説明

放射線画像検出器を用いた画像生成方法、放射線画像検出器、および放射線画像生成システム

【課題】1回のダーク読取で有効なオフセット補正値を得ることが可能な放射線画像検出器を用いた画像生成方法、放射線画像検出器および放射線画像生成システムを提供する。
【解決手段】2次元状に配置された複数の光電変換素子14の出力値を読み取る放射線画像検出器1を用いた画像生成方法であって、被写体を撮影した各光電変換素子14の出力値を読み取る被写体撮影ステップS1と、被写体撮影ステップS1の前や後に少なくとも1回のダーク読取を行うダーク読取ステップS2と、ある光電変換素子14のダーク読取値Dと当該光電変換素子14と類似の特性関係にある他の光電変換素子14の各ダーク読取値Dとに基づいて当該光電変換素子14に対するオフセット補正値Oを算出する補正値算出ステップS3と、被写体を撮影した出力値からオフセット補正値Oを差し引いて画像データIを生成する画像データ生成ステップS4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像検出器を用いた画像生成方法、放射線画像検出器、および放射線画像生成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の放射線検出素子(例えばフォトダイオード等の光電変換素子)を2次元状に配置して構成される放射線画像検出器(FPD(Flat Panel Detector)ともいい、以下、FPDという。)においては、一般的に、ゲイン補正およびオフセット補正(ダーク(dark)読取補正等ともいう。)を行う必要があることが知られている。ゲイン補正は、一般的にはFPDに放射線を照射して行われ、キャリブレーションとも呼ばれる。ゲイン補正は、FPDの施設への導入時等に、被写体がない状態で放射線発生装置からFPDに放射線を照射し、被写体のない撮影画像の読み取りを実行することで算出される。
【0003】
一方、オフセット補正は、放射線画像撮影の前または後に、放射線を照射しない状態での各放射線検出素子からの出力値(以下、ダーク読取値という。)をオフセット補正値として算出して、実際に被写体を透過してきた放射線による画像データ(実写画像データ)からオフセット補正値を差し引くこと(サブトラクション処理)で、撮影画像が補正される。
【0004】
これは、放射線検出素子や信号読み出し用のスイッチ素子であるTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)等の各素子の温度特性影響や特性ばらつき、前回の放射線照射(撮影)に起因する残留電位影響等を相殺して、撮影画像におけるムラを除去するために行われるものである。なお、オフセット補正値の算出は、上記のように放射線画像撮影ごとに行われる場合もあるが、予め算出されたオフセット補正値を記憶手段等から取得して行われる場合もある。後者の場合、通常、上記のゲイン補正よりも短い所定の周期で行われる。
【0005】
また、オフセット補正値を算出する際、各放射線検出素子からの1回のダーク読取値のみに基づいて算出すると、ダーク読取値に含まれるノイズ等の誤差要因の影響で誤差が大きくなってしまう。そのため、ダーク読取を複数回行い、それらの平均値をオフセット補正値として採用することも多い(例えば、特許文献1〜3等参照)。
【0006】
このようなオフセット補正をはじめとする補正処理や、諧調処理等の画像処理は、従来から、撮影装置とは異なる画像処理プロセッサやコンソール等の処理装置で行われることが多い(例えば、特許文献4等参照)。
【0007】
一方、近年、バッテリを内蔵し、ケーブルを介さずに無線方式により外部の処理装置等との間で画像データ等の送受信を行うポータブルのFPDが開発されている(例えば、特許文献5等参照)。
【特許文献1】米国特許第5452338号明細書
【特許文献2】米国特許第6222901号明細書
【特許文献3】米国特許第7041955号明細書
【特許文献4】特開平11−113889号公報
【特許文献5】特開平7−140255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ダーク読取を複数回行ってそれらの平均値をオフセット補正値として算出するように構成した場合、FPDからケーブル等を用いた有線方式或いは無線方式でダーク読取値を外部の処理装置に送信する際、ダーク読取値を送信するごとに電力を消費してしまう。また、全てのダーク読取値を送信し終わるまでの時間が長くなってしまう。
【0009】
特に、バッテリ内蔵で無線方式のポータブルのFPDを用いる場合、複数のダーク読取値を無線通信する際に、ダーク読取および無線通信のたびに内蔵バッテリの電力が用いられるため、内蔵バッテリが消耗し、充電サイクルが短くなるという新たな問題が生じる。
【0010】
また、ピクセル(画素)サイズが150〜200μmで半切サイズ(14インチ×17インチ)相当の読み取り領域を有するFPDの場合、1回のダーク読取時間は1秒未満であるが、そのダーク読取値の送信には数秒を要する(ダーク読取値が10MBで送信レートが10Mbpsの場合、送信時間は8秒)。しかも、ノイズ混入の抑制の観点から、ダーク読取値の送信中は、通常、次のダーク読取を行うことが回避される。
【0011】
そのため、1回のダーク読取値の送信が完了した後に、次のダーク読取を行わざるを得ず、平均値としてオフセット補正値を算出するために必要なダーク読取値の全データが揃うまでにかなりの時間を要してしまう。そして、ダーク読取とダーク読取値の送信で電力を消費し、それが繰り返されるため、内蔵バッテリの消耗が著しくなり、バッテリ内蔵と無線方式の採用によるFPDのポータブル化のメリットを十分に発揮できなくなる恐れがあった。
【0012】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、1回のダーク読取で有効なオフセット補正値を得ることが可能な放射線画像検出器を用いた画像生成方法、放射線画像検出器および放射線画像生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像検出器を用いた画像生成方法は、
複数の放射線検出素子を2次元状に配置したセンサパネル部と、前記センサパネル部の前記各放射線検出素子の出力値を読み取る読取部とを備える放射線画像検出器を用いた画像生成方法であって、
被写体を透過した放射線に基づく前記各放射線検出素子の出力値を読み取る被写体撮影ステップと、
前記被写体撮影ステップの前または後に、少なくとも1回のダーク読取を行うダーク読取ステップと、
前記ダーク読取により得られた一の前記放射線検出素子のダーク読取値と、当該一の放射線検出素子と予め類似の特性関係にあると定められた他の放射線検出素子の各ダーク読取値とに基づいて、当該一の放射線検出素子に対するオフセット補正値を算出し、前記各放射線検出素子に対する前記オフセット補正値を算出する補正値算出ステップと、
前記被写体撮影ステップで読み取られた前記各放射線検出素子の出力値から、前記補正値算出ステップで前記各放射線検出素子について算出された前記各オフセット補正値をそれぞれ差し引いて、前記各放射線検出素子の前記被写体に対応する画像データを生成する画像データ生成ステップと、
を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の放射線画像検出器は、
本発明の放射線画像検出器を用いた画像生成方法を実行するための放射線画像検出器であって、
前記複数の放射線検出素子を2次元状に配置した前記センサパネル部と、
前記センサパネル部の前記各放射線検出素子の出力値を読み取る前記読取部と、
前記放射線検出素子に関する前記特性関係の情報が記憶された記憶手段と、
前記被写体撮影ステップ、前記ダーク読取ステップ、前記補正値算出ステップおよび前記画像データ生成ステップを実行し、前記補正値算出ステップでは前記記憶手段から前記特性関係の情報を読み出して前記特性関係の情報に基づいて前記各放射線検出素子の前記オフセット補正値を算出する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の放射線画像生成システムは、
本発明の放射線画像検出器を用いた画像生成方法を実行するための放射線画像生成システムであって、
前記複数の放射線検出素子を2次元状に配置した前記センサパネル部と、前記センサパネル部の前記各放射線検出素子の出力値を読み取る前記読取部と、前記ダーク読取値を含む前記各放射線検出素子の出力値の取得を行うように前記読取部を制御する制御手段と、前記ダーク読取値を含む前記各放射線検出素子の出力値を送信する通信手段と、を備える放射線画像検出器と、
前記放射線画像検出器から前記ダーク読取値を含む前記各放射線検出素子の出力値を取得して前記被写体に対応する画像データを生成するコンソールと、
前記放射線検出素子に関する前記特性関係の情報と、前記放射線画像検出器のIDとを対応付けて記憶する記憶手段を備えるサーバ手段と、
を備え、
前記コンソールと前記サーバ手段とはネットワーク接続されており、
前記コンソールは、前記放射線画像検出器から前記ダーク読取値を含む前記各放射線検出素子の出力値および前記IDが送信されると、前記IDに基づいて前記サーバ手段から前記IDに対応付けられた前記放射線検出素子に関する前記特性関係の情報を入手し、前記ダーク読取値および前記特性関係の情報に基づいて前記放射線画像検出器の前記各放射線検出素子の前記オフセット補正値を算出して、前記被写体に対応する画像データを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のような方式の放射線画像検出器を用いた画像生成方法、放射線画像検出器、および放射線画像生成システムによれば、放射線画像撮影の前または後にダーク読取を1回(または少数回)行うだけで、放射線画像検出器の各放射線検出素子についてそれぞれ有効なオフセット補正値を取得することが可能となるため、例えば放射線画像検出器(FPD)からダーク読取値を送信する場合、ダーク読取値の読取回数および送信回数が1回(または少数回)で済む。そのため、ダーク読取値の読取および送信に要する電力消費を低減させることが可能となるとともに、全てのダーク読取値を送信し終わるまでの送信時間の短縮を図ることが可能となる。
【0017】
特に、放射線画像検出器がバッテリ内蔵型であり、ダーク読取値を無線通信するような場合でも、読取および送信が1回(または少数回)で済むため、読取および送信に要する電力消費が低減されて内蔵バッテリの消耗を防止することが可能となる。また、各放射線検出素子について、従来方式と同等の有効なオフセット補正値がそれぞれ取得されるため、良好な画像データを得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る放射線画像検出器を用いた画像生成方法、放射線画像検出器、および放射線画像生成システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
【0019】
[放射線画像検出器の基本的な構成]
まず、以下の放射線画像検出器を用いた画像生成方法の説明において必要となる放射線画像検出器の基本的な構成について説明する。
【0020】
放射線画像検出器(FPD)1は、図1に示すように、内部を保護する筐体2を備えており、筐体2の内部には、照射された放射線を光に変換するシンチレータ層3が形成されている。シンチレータ層3は、例えばCsI:TlやCdS:Tb、ZnS:Ag等の母体内に発光中心物質が付活された蛍光体を用いて形成されたものを用いることができる。
【0021】
シンチレータ層3の放射線が入射する側の面とは反対側の面側には、放射線検出素子として、シンチレータ層3から出力された光を電気信号に変換するフォトダイオード等の複数の光電変換素子が2次元状に配置されたセンサパネル部4が設けられている。2次元状に配置された各光電変換素子14には、図3に示すように、行方向の位置mと列方向の位置nとからなる番号(m,n)がそれぞれ予め割り当てられている。なお、図3では、16×8個の光電変換素子14が記載されているが、これは簡略化して表現したものであり、実際にはさらに多くの光電変換素子14が2次元状に配置されていてそれぞれ番号が割り当てられている。
【0022】
また、図1に示すように、センサパネル部4の周囲の部分や裏面側には、センサパネル部4の各光電変換素子の出力値を読み取る読取部5が設けられている。読取部5は、マイクロコンピュータ等からなる制御手段6やROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等からなる記憶手段7、走査駆動回路8、信号読み出し回路9等で構成されている。
【0023】
また、放射線画像検出器1には、バッテリ10が内蔵されており、制御手段6により、バッテリ10から各部材への給電が制御されるようになっている。また、筐体2には、外部との通信およびバッテリ10の充電用の端子11や各種の操作状況等を表示するインジケータ12、各種の指示等を入力設定するための入力操作部13等が設けられている。
【0024】
センサパネル部4および読取部5の構成についてさらに説明すると、図2の等価回路図に示すように、センサパネル部4の各光電変換素子14の一方の電極にはそれぞれ信号読み出し用のスイッチ素子であるTFT15のソース電極が接続されている。また、各光電変換素子14の他方の電極にはバイアス線Lbが接続されており、バイアス線Lbはバイアス電源16に接続されていて、バイアス電源16から各光電変換素子14にバイアス電圧が印加されるようになっている。
【0025】
各TFT15のゲート電極はそれぞれ走査駆動回路8から延びる走査線Llに接続されており、各TFT15のドレイン電極はそれぞれ信号線Lrに接続されている。各信号線Lrは、それぞれ信号読み出し回路9内の増幅回路17に接続されており、各増幅回路17の出力線はそれぞれサンプルホールド回路18を経てアナログマルチプレクサ19に接続されている。また、アナログマルチプレクサ19にはA/D変換機20が接続されており、信号読み出し回路9はA/D変換機20を介して制御手段6に接続されている。制御手段6には、記憶手段7が接続されている。
【0026】
放射線画像検出器1では、図示しない被写体を撮影する放射線画像撮影において、被写体を透過した放射線がシンチレータ層3に入射すると、シンチレータ層3からセンサパネル部4に光が照射され、光の照射を受けた量に応じて、光電変換素子14の特性が変化する。
【0027】
そして、放射線画像撮影を終了し、放射線画像検出器1から画像データを電気信号として読み出す際には、走査線LlからTFT15のゲート電極に読み出し電圧を印加して各TFT15のゲートを開き、光電変換素子14からTFT15を介して電気信号を信号線Lrに取り出す。そして、電気信号を増幅回路17で増幅する等して、アナログマルチプレクサ19から順次A/D変換機20を介して制御手段6に出力し、制御手段6は、電気信号と前述した光電変換素子14(すなわち画素)の番号(m,n)とを対応付けて記憶手段7に保存する。
【0028】
TFT15に読み出し電圧を印加する走査線Llを順次走査して上記の読み出し処理を走査線Llごとに行うことで、センサパネル部4の全光電変換素子14から電気信号をそれぞれ読み出し、各電気信号にそれぞれ画素の番号(m,n)を対応付けて画像データとして記憶手段7に保存するようになっている。
【0029】
また、放射線画像検出器1では、ダーク読取においては、放射線を照射しない状態で、走査線LlからTFT15のゲート電極に読み出し電圧を印加して各TFT15のゲートを開き、光電変換素子14からその状態で溜まった電荷(出力値)を信号線Lrに取り出す。そして、上記と同様に、出力値を増幅回路17で増幅する等してアナログマルチプレクサ19から順次A/D変換機20を介して制御手段6に出力し、制御手段6で出力値と各画素の番号(m,n)とを対応付けて記憶手段7に保存する。
【0030】
そして、TFT15に読み出し電圧を印加する走査線Llを順次走査して上記の読み出し処理を走査線Llごとに行うことで、センサパネル部4の全光電変換素子14から上記状態における出力値をそれぞれ読み出し、各電気信号にそれぞれ画素の番号(m,n)を対応付けてダーク読取値として記憶手段7に保存するようになっている。
【0031】
なお、上記のように、本実施形態では、シンチレータ層3で放射線を光に変換して光電変換素子14で検出する、いわゆる間接型の放射線画像検出器1を用いる場合について説明したが、放射線画像検出器は、この他にも、シンチレータ層3を介さず光電変換素子14で入射した放射線を直接電気信号に変換する、いわゆる直接型の放射線画像検出器を用いることも可能であり、その場合にも本発明を適用することが可能である。
【0032】
また、後述するように、上記のように構成された本実施形態の放射線画像検出器1を用いて、放射線画像撮影の前または後に少なくとも1回のダーク読取が行われ、取得されたダーク読取値に基づいて各光電変換素子14に対するオフセット補正値が算出されるようになっているが、このような個々の撮影用のオフセット補正値算出のためのダーク読取とは別に、放射線画像検出器1の各光電変換素子14からの出力値特性変動把握のために、図4に示すように予め設定された所定の時間間隔をおいて定期的にダーク読取が行われるようになっている。そして、1回のダーク読取の読取タイミングでは、1回または連続して複数回(図4の例では1回の読取タイミングにつき3回)のダーク読取値の取得が行われるようになっている。
【0033】
ダーク読取値は、各光電変換素子14内部の熱等による統計的なゆらぎや、各光電変換素子14からの出力値を読み取る読取部5内の増幅回路17等におけるノイズ等による影響で、読み取られた出力値にゆらぎを生じる。そのため、各光電変換素子(m,n)についてそれぞれ各回ごとに取得される各ダーク読取値D(m,n)をヒストグラムにまとめて表すと、図5に示すように、ダーク読取値D(m,n)は平均値μ(m,n)を中心として標準偏差σ(m,n)を有する正規分布状に分布する。
【0034】
本実施形態では、図4に示した定期的なダーク読取を行うたびに、各光電変換素子(m,n)ごとに、過去の所定回数の読取タイミングにおけるダーク読取値D(m,n)(図4の例では過去4回の読取タイミングにおける全12回分のダーク読取値D(m,n))についてヒストグラムを作成して、平均値μ(m,n)を算出するようになっている。なお、この処理は、放射線画像検出器1で行ってもよく、或いは放射線画像検出器1からコンソール32(図16参照)等の外部の装置にダーク読取値を送信して外部装置で行ってもよい。
【0035】
算出された各光電変換素子(m,n)のダーク読取値D(m,n)の平均値μ(m,n)は、各光電変換素子(m,n)の番号(m,n)に対応付けられて更新されて、放射線画像検出器1の記憶手段7或いは外部装置の記憶手段に保存されるようになっている。
【0036】
[放射線画像検出器を用いた画像生成方法]
以下、本発明に係る放射線画像検出器を用いた画像生成方法の実施の形態について説明する。本発明では、撮影された画像データのオフセット補正に用いるオフセット補正値を得るためのダーク読取は、当該放射線画像撮影の前または後に少なくとも1回行われるようになっており、そのダーク読取によって取得されたダーク読取値に基づいて各光電変換素子(m,n)のオフセット補正値O(m,n)を算出するようになっている。
【0037】
なお、以下では、放射線画像撮影の後にダーク読取を1回だけ行う場合について説明するが、ダーク読取は当該放射線画像撮影の前に行ってもよく、また、ダーク読取を複数回行うように構成することも可能である。
【0038】
放射線画像検出器1を用いた画像生成は、図6に示すフローチャートに従って行われるようになっている。放射線画像検出器1を用いた画像生成方法は、被写体撮影ステップ(ステップS1)と、ダーク読取ステップ(ステップS2)と、補正値算出ステップ(ステップS3)と、画像データ生成ステップ(ステップS4)とを有している。
【0039】
被写体撮影ステップ(ステップS1)では、放射線画像検出器1の放射線入射面X(図1参照)側に図示しない患者の手等の被写体部位を載置または接近させた状態で、図示しない放射線発生装置から放射線を照射する通常の放射線照射が行われるようになっている。
【0040】
そして、信号読み取り操作により、各光電変換素子14から出力値として電気信号が順次読み取られ、放射線画像検出器1の制御手段6により電気信号(すなわち被写体を撮影した放射線画像のrawデータ)と光電変換素子14の番号(m,n)とが対応付けられて記憶手段7に保存される。
【0041】
ダーク読取ステップ(ステップS2)では、続いて、前述したダーク読取が行われるようになっている。すなわち、放射線を照射しない状態で、放射線画像検出器1の各走査線Llに順次読み出し電圧を印加して各光電変換素子14に溜まった電荷(出力値)を取り出し、上記と同様に、放射線画像検出器1の制御手段6によりそれらの出力値がそれぞれ各光電変換素子の番号(m,n)と対応付けられたダーク読取値D(m,n)として記憶手段7に保存される。
【0042】
後述する補正値算出ステップ(ステップS3)や画像データ生成ステップ(ステップS4)をコンソール32等の外部装置で行う場合には、有線方式や無線方式によって、光電変換素子14の番号(m,n)と対応付けられた各電気信号(放射線画像のrawデータ)やダーク読取値がそれぞれ放射線画像検出器1から外部装置に送信される。
【0043】
補正値算出ステップ(ステップS3)では、各光電変換素子(m,n)のダーク読取値D(m,n)に基づいて、各光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)が算出されるようになっている。本発明では、特に、ダーク読取値の特性が互いに類似する光電変換素子に着目し、それらから出力されるダーク読取値を用いて各光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)を算出するように構成されている。以下、詳しく説明する。
【0044】
図5に示したように、各光電変換素子(m,n)から出力されるダーク読取値D(m,n)をヒストグラムに投票していくと、ダーク読取値D(m,n)は平均値μ(m,n)を中心として標準偏差σ(m,n)を有する正規分布状に分布する。しかし、平均値μ(m,n)や標準偏差σ(m,n)は、光電変換素子同士で必ずしも同様の値にはならず、実際には、例えば図7に示すように、各光電変換素子(m,n)で種々の値を取る。
【0045】
そこで、本実施形態では、各光電変換素子(m,n)から出力されるダーク読取値D(m,n)を予め多数回出力させて図7に示したようなダーク読取値D(m,n)の分布を得ておき、その分布のばらつきの度合、すなわちダーク読取値D(m,n)の分布の標準偏差σ(m,n)で評価されるばらつきの度合に基づいて、各光電変換素子(m,n)を複数のグループに予め分類しておくようになっている。
【0046】
例えば、ダーク読取値D(m,n)の分布の標準偏差σ(m,n)に大小2つの閾値σth1、σth2(σth1<σth2)を設定する。そして、各光電変換素子(m,n)について予め取得したダーク読取値D(m,n)の分布に基づいて、図7に示した光電変換素子(m,n)の分布の標準偏差σ(m,n)のように、標準偏差σ(m,n)が閾値σth1以下となるダーク読取値D(m,n)を出力する光電変換素子(m,n)が互いに類似の特性関係にあると定められて第1グループに分類される。
【0047】
また、図7に示した光電変換素子(m,n)の分布の標準偏差σ(m,n)のように、標準偏差σ(m,n)が閾値σth1より大きく閾値σth2以下となるダーク読取値D(m,n)を出力する光電変換素子(m,n)が互いに類似の特性関係にあると定められて第2グループに分類され、光電変換素子(m,n)の分布の標準偏差σ(m,n)のように、標準偏差σ(m,n)が閾値σth2より大きくなるダーク読取値D(m,n)を出力する光電変換素子(m,n)が互いに類似の特性関係にあると定められて第3グループに分類される。このようにグループ分けを行うと、放射線画像検出器1の各光電変換素子(m,n)は、例えば図8に示すように予め各グループにそれぞれ分類される。
【0048】
なお、図8では、斜線を付して示される光電変換素子(1,4)、(2,2)等が第3グループに属しており、別の斜線を付して示される光電変換素子(3,5)、(5,4)等が第2グループに属しており、斜線が付されていない他の光電変換素子(m,n)が第1グループに属していることが表されている。
【0049】
また、以上の説明では、各光電変換素子(m,n)をそのダーク読取値D(m,n)の分布のばらつきの度合を、ダーク読取値D(m,n)の分布の標準偏差σ(m,n)で評価する場合について説明したが、分布の分散σ(m,n)を用いて評価し、ダーク読取値D(m,n)の分布の分散σ(m,n)に基づいて各光電変換素子(m,n)を複数のグループに予め分類しておくように構成することも可能である。
【0050】
さらに、各光電変換素子(m,n)から出力されるダーク読取値D(m,n)のばらつきの度合は、前述したように各光電変換素子自体や読取部5等に起因するものであるため、その分布の標準偏差σ(m,n)や分散σ(m,n)が他の光電変換素子に比べて相対的に大きいとか小さいという特性は、時間的に変化しないと考えられる。そのため、前述した定期的なダーク読取の際に取得されるダーク読取値D(m,n)に基づいて各光電変換素子(m,n)をグループ分けし直すように構成することも可能であるが、放射線画像検出器1が製造された段階で各光電変換素子(m,n)から複数回出力させたダーク読取値D(m,n)に基づいて予めグループ分けを行っておけば十分である。
【0051】
補正値算出ステップ(図6のステップS3)では、以上のようにして予め分類されたグループに基づいて、各光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)を算出するようになっている。そして、オフセット補正値O(m,n)の算出の際に、各光電変換素子(m,n)のダーク読取値D(m,n)と、当該光電変換素子(m,n)が属するグループと同一のグループに属する他の光電変換素子(m´,n´)のダーク読取値D(m´,n´)を用いて、当該光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)を算出するようになっている。
【0052】
同一のグループに属する各光電変換素子(m,n)は、上記のように分布の標準偏差σ(m,n)は互いに近接する値を有しているが、分布の平均値μ(m,n)は、図9に示すように必ずしも近接した値であるとは限らない。
【0053】
そこで、本実施形態では、ある光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)を算出する際に、同一のグループに属する他の光電変換素子(m,n)、(m,n)、…のダーク読取値D(m,n)、D(m,n)、…を、平均値μ(m,n)を用いて当該光電変換素子(m,n)のダーク補正値D(m,n)にいわば引き寄せて、オフセット補正値O(m,n)を算出するようになっている。
【0054】
すなわち、前述したように、定期的なダーク読取により各光電変換素子(m,n)ごとに過去の所定回数の読取タイミングにおけるダーク読取値D(m,n)の各平均値μ(m,n)が算出されているから、まず、他の各光電変換素子(m,n)のダーク読取値の平均値μ(m,n)と当該光電変換素子(m,n)のダーク補正値の平均値μ(m,n)との差分ΔKAを下記(1)式に従ってそれぞれ算出する。
ΔKA=μ(m,n)−μ(m,n) …(1)
【0055】
そして、前述したダーク読取ステップ(図6のステップS2)で1回のダーク読取で各光電変換素子(m,n)、(m,n)、(m,n)、…から読み出された各ダーク読取値D(m,n)、D(m,n)、D(m,n)、…は、図10に示すように、それぞれ各光電変換素子(m,n)、(m,n)、(m,n)、…の分布内に検出された1点の値であるから、上記の差分ΔKAを用い、下記(2)式に従って、当該光電変換素子(m,n)以外の他の各光電変換素子(m,n)のダーク読取値D(m,n)を当該光電変換素子(m,n)の分布内における値D(m,n)に変換する。
(m,n)=D(m,n)−ΔKA …(2)
【0056】
このように、他の各光電変換素子(m,n)のダーク読取値D(m,n)を当該光電変換素子(m,n)の分布内に移行させると、図11に示すように、当該光電変換素子(m,n)の分布内に、当該光電変換素子(m,n)のダーク補正値D(m,n)や他の各光電変換素子(m,n)の各ダーク読取値D(m,n)から変換された各値D(m,n)が集まる。
【0057】
そこで、本実施形態では、下記(3)式に従って、これらのダーク補正値D(m,n)や各値D(m,n)の平均値を算出することにより、算出された平均値を当該光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)として算出するようになっている。なお、下記(3)式において、Nは当該光電変換素子(m,n)が属するグループに属する光電変換素子の総数である。
O(m,n)=(D(m,n)+ΣD(m,n))/N …(3)
【0058】
また、同一のグループに属する他の光電変換素子(m,n)、(m,n)、…についても、同様にして、他の各光電変換素子(m,n)のダーク読取値D(m,n)を当該光電変換素子(m,n)の分布内における値D(m,n)に変換して平均値を算出することで、オフセット補正値O(m,n)を算出することが可能である。
【0059】
しかし、ある光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)が算出されれば、同一のグループに属する他の光電変換素子(m,n)、(m,n)、…については、各オフセット補正値O(m,n)、O(m,n)、…は、算出された光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)に前記差分ΔBA、ΔCA、…をそれぞれ加えた値になる。そのため、本実施形態では、同一のグループに属する他の光電変換素子(m,n)に対する各オフセット補正値O(m,n)は、算出された光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)に基づいて下記(4)式に従ってそれぞれ算出されるようになっている。
O(m,n)=O(m,n)+ΔKA …(4)
【0060】
また、他のグループに属する光電変換素子(m,n)についても同様にして同一のグループに属する光電変換素子(m,n)のダーク補正値D(m,n)と平均値μ(m,n)を用いてオフセット補正値O(m,n)が算出される。このようにして、全光電変換素子(m,n)のオフセット補正値O(m,n)が算出されるようになっている。
【0061】
なお、本実施形態では、上記(3)式に従って、これらのダーク補正値D(m,n)や各値D(m,n)を単純平均してオフセット補正値O(m,n)を算出する場合について説明したが、これに限定されず、例えば、図11に示したようなダーク補正値D(m,n)や各値D(m,n)をヒストグラムにそれぞれ投票してヒストグラムに基づいて平均値を算出するように構成することも可能である。また、例えば、ダーク補正値D(m,n)や各値D(m,n)を所定の条件に基づいて加重平均してオフセット補正値O(m,n)を算出するように構成することも可能である。
【0062】
画像データ生成ステップ(図6のステップS4)では、前述した被写体撮影ステップ(ステップS1)で各光電変換素子(m,n)から読み取られた出力値すなわち放射線画像のrawデータ(m,n)から、上記の補正値算出ステップ(ステップS3)で各光電変換素子(m,n)について算出された各オフセット補正値O(m,n)をそれぞれ差し引いて、被写体が撮影された各光電変換素子(m,n)の画像データI(m,n)が生成されるようになっている。
【0063】
次に、本実施形態に係る放射線画像検出器1を用いた画像生成方法の作用について説明する。本実施形態の画像生成方法の各ステップ(ステップS1〜S4)における各処理は、上記のとおりであり、説明を省略する。
【0064】
前述したように、従来の画像生成においては、各光電変換素子(m,n)のオフセット補正を、1回のデータ読取におけるデータ読取値D(m,n)をオフセット補正値O(m,n)として行うとデータ読取値D(m,n)にノイズ等が含まれていて誤差を生じる可能性があるため、放射線画像撮影の前または後にダーク読取を複数回行い、それらの平均値をオフセット補正値O(m,n)として採用した。そして、このように平均化することで、ノイズ等の影響を希釈化して、良好なオフセット補正値O(m,n)を得た。
【0065】
それに対し、本実施形態では、上記のように、ダーク読取ステップ(図6のステップS2)では被写体を撮影する放射線画像撮影の前または後にダーク読取を1回しか行わない。また、ダーク読取を複数回行うように構成するとしても、より誤差が少ないオフセット補正値O(m,n)を得る場合に、放射線画像検出器1のバッテリ10(図1参照)の電力を多大に消耗しない程度に2、3回行われるだけである。
【0066】
本実施形態の場合にも、その1回(または少数回)のダーク読取で各光電変換素子(m,n)から出力されるデータ読取値D(m,n)にノイズ等が含まれている可能性はある。しかし、本実施形態では、前述したように、ダーク読取値D(m,n)の特性が互いに類似する光電変換素子(m,n)に着目して、それらを同一のグループに分類し、ある光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)を算出する際に、当該光電変換素子(m,n)と同一のグループに属する他の各光電変換素子(m,n)のダーク読取値D(m,n)を例えば上記(2)式に従って当該光電変換素子(m,n)の分布内における値D(m,n)に変換して当該光電変換素子(m,n)の分布内に集め、例えば上記(3)式に従ってこれらのダーク補正値D(m,n)や各値D(m,n)の平均値を算出してオフセット補正値O(m,n)として算出する。
【0067】
そのため、例えば図12に示すように、当該光電変換素子(m,n)のダーク読取値D(m,n)にノイズがのっていても、同一のグループに属する他の各光電変換素子(m,n)のダーク読取値D(m,n)から変換された各値D(m,n)と平均化されることによりノイズ等の影響が希釈化され、良好なオフセット補正値O(m,n)を得ることができる。しかも、従来の画像生成における複数回のダーク読取の場合とは異なり、1回(または少数回)のダーク読取で良好なオフセット補正値O(m,n)を得ることが可能となる。
【0068】
ところで、放射線画像検出器1の各光電変換素子(m,n)から出力されるダーク読取値D(m,n)は、前述したように各光電変換素子内部の熱等による統計的なゆらぎ等に起因するものであるため、光電変換素子(m,n)自体の温度によって変化することが知られている。放射線画像検出器1の電源をONし、光電変換素子(m,n)に対するバイアス線Lb(図2参照)を介したバイアス電圧の印加を開始すると、光電変換素子(m,n)の温度が上昇していく。
【0069】
そのため、光電変換素子(m,n)から出力されるダーク読取値D(m,n)は、図13に示すように、時間経過により光電変換素子(m,n)の温度が上昇するに従って上昇していき、光電変換素子(m,n)の温度が一定になると所定の値で安定することが知られている。なお、前述した定期的なダーク読取は、通常、このように光電変換素子(m,n)から出力されるダーク読取値D(m,n)が安定した時点で行われる。
【0070】
放射線画像検出器1は、バッテリ10の電力の消耗を防止するため、電源がONの状態であっても放射線画像検出を行わない場合にはいわゆるsleepモードとされることも多く、sleepモードでは通常各光電変換素子(m,n)へのバイアス電圧の印加が停止されるため、各光電変換素子(m,n)の温度が低下する。このように、放射線画像検出器1では、電源がONになっていても、各光電変換素子(m,n)が常時一定に保たれているとは限らない。
【0071】
そして、上記の被写体撮影ステップ(図6のステップS1)やダーク読取ステップ(ステップS2)が、光電変換素子(m,n)の温度が低い状態で行われる場合もあり得る。その場合、被写体撮影ステップ(ステップS1)で被写体を撮影して各光電変換素子(m,n)から出力される電気信号、すなわち被写体を撮影した放射線画像のrawデータ(m,n)の値は、光電変換素子(m,n)の温度が高い場合と比較して小さな値になるため、オフセット補正値O(m,n)も放射線画像のrawデータ(m,n)の値に対応して小さくなる必要がある。
【0072】
本実施形態では、図13に示したように、各光電変換素子(m,n)の温度が低い場合、各光電変換素子(m,n)からは、温度が上昇した場合よりも低い値のダーク読取値D(m,n)がそれぞれ出力される。そのため、各ダーク読取値D(m,n)は、図10に示した各光電変換素子(m,n)の定期的なダーク読取で得られた分布の位置よりも低い値としてそれぞれ出力される。
【0073】
そして、上記の手順に従って、オフセット補正値O(m,n)を算出する光電変換素子(m,n)と同一のグループに属する他の各光電変換素子(m,n)のダーク読取値D(m,n)を上記(2)式に従って値D(m,n)に変換すると、図14に示すように、ダーク読取値D(m,n)や各値D(m,n)が光電変換素子(m,n)の分布から低い側にシフトした位置に集まる。
【0074】
そのため、上記(3)式に従ってそれらの値を平均してオフセット補正値O(m,n)を算出すると、光電変換素子(m,n)の定期的なダーク読取で得られた分布の平均値μ(m,n)よりも小さい値のオフセット補正値O(m,n)が得られ、オフセット補正値O(m,n)を放射線画像のrawデータ(m,n)の値に対応して小さな値とすることが可能となる。
【0075】
このように、本実施形態によれば、各光電変換素子(m,n)の温度が上昇し或いは下降して各光電変換素子(m,n)から出力される放射線画像のrawデータ(m,n)やダーク読取値D(m,n)が増減しても、被写体撮影ステップ(図6のステップS1)とダーク読取ステップ(ステップS2)とを時間的に近接して行い、各光電変換素子(m,n)の温度が略同一になるようなタイミングで上記2つのステップを行うことで、各光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)を、当該光電変換素子(m,n)から出力される放射線画像のrawデータ(m,n)の値に的確に対応して増減させることが可能となり、画像データ生成ステップ(ステップS4)で、各光電変換素子(m,n)の画像データI(m,n)を良好に生成することが可能となる。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像検出器を用いた画像生成方法によれば、放射線画像撮影の前または後に、ダーク読取を1回(または少数回)行うだけで、放射線画像検出器1の各光電変換素子(m,n)についてそれぞれ有効なオフセット補正値O(m,n)を取得することが可能となる。
【0077】
そのため、例えば放射線画像検出器(FPD)1からダーク読取値D(m,n)を送信する場合、ダーク読取値D(m,n)の送信が1回(または少数回)で済むため、ダーク読取値D(m,n)の読取や送信に要する電力消費を低減させることが可能となる。また、全てのダーク読取値D(m,n)を送信し終わるまでの送信時間の短縮を図ることが可能となる。
【0078】
特に、放射線画像検出器1がバッテリ内蔵型であり、ダーク読取値D(m,n)を無線通信するような場合でも、送信が1回(または少数回)で済むため、送信に要する電力消費が低減されて内蔵バッテリの消耗を防止することが可能となる。
【0079】
また、各光電変換素子(m,n)について従来方式と同等の有効なオフセット補正値O(m,n)がそれぞれ取得されるため、良好な画像データI(m,n)を得ることが可能となる。
【0080】
なお、本実施形態では、放射線画像検出器1の光電変換素子(m,n)を3つのグループに分類する場合について説明したが、本発明は、3つのグループに分類する場合に限定されず、分類するグループの数は、各光電変換素子(m,n)の特性等に基づいて適宜決められる。
【0081】
また、光電変換素子(m,n)に欠陥がある場合があるが、本実施形態では、そのような欠陥を有する光電変換素子(m,n)は無視される。また、欠陥画素(m,n)における画像データI(m,n)の値は周辺画素の出力値に基づく補間等の手法により適宜決められる。
【0082】
さらに、本実施形態では、図13に示したように、放射線画像検出器1の各光電変換素子(m,n)から出力されるダーク読取値D(m,n)の時間経過に対する変化プロファイルが各光電変換素子(m,n)で一様である場合について説明した。しかし、放射線画像検出器1によっては、図15に示すように、各光電変換素子(m,n)から出力されるダーク読取値D(m,n)の時間経過に対する変化プロファイルが一様でなく、各光電変換素子(m,n)ごとに異なる場合もあり得る。
【0083】
そのため、このような場合には、各光電変換素子(m,n)から出力されるダーク読取値D(m,n)等の出力値の時間経過に対する変化プロファイルに基づいて、変化プロファイルが類似する光電変換素子同士を類似の特性関係にあるとして同じグループに分類できるように複数のグループを予め設定しておく。そして、同一のグループに属する光電変換素子(m,n)に対して上記と同様の処理を行うことで、本実施形態に係る放射線画像検出器を用いた画像生成方法と同様の効果を得ることが可能となる。
【0084】
また、ダーク読取値D(m,n)等の出力値の時間経過に対する変化プロファイルが類似する光電変換素子同士を同じグループに分類できるように複数のグループを予め設定し、さらに、同じグループに属する光電変換素子(m,n)を、本実施形態のように、分布の標準偏差σ(m,n)等で評価されるダーク読取値D(m,n)のばらつきの各度合に応じて複数のサブグループに予め分類する。そして、同一のサブグループに属する光電変換素子(m,n)に対して上記と同様の処理を行うことで、本実施形態に係る放射線画像検出器を用いた画像生成方法と同様の効果を得ることが可能となる。
【0085】
[放射線画像検出器]
上記の放射線画像検出器を用いた画像生成方法の実施に使用される放射線画像検出器1の基本構成は前述したとおりであり、上記の被写体撮影ステップ(図6のステップS1)、ダーク読取ステップ(ステップS2)、補正値算出ステップ(ステップS3)および画像データ生成ステップ(ステップS4)をすべて放射線画像検出器1の制御手段6で実行するように構成することが可能である。
【0086】
この場合、記憶手段7には、各光電変換素子(m,n)(各光電変換素子14)が属するグループの情報が予め記憶されており、また、定期的に行われるダーク読取により取得されたダーク読取値D(m,n)に基づく分布の平均値μ(m,n)の情報も記憶手段7に記憶されている。
【0087】
そして、制御手段6は、ROM等に格納されている上記各ステップの実行に必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開し、プログラムに従って各種処理を実行するようになっている。その際、制御手段6は、補正値算出ステップ(ステップS3)では、記憶手段7から各光電変換素子(m,n)についてのグループの情報や各光電変換素子(m,n)の分布の平均値μ(m,n)をそれぞれ読み出して、各光電変換素子(m,n)のオフセット補正値O(m,n)を算出するように構成される。
【0088】
このように放射線画像検出器1を構成すれば、上記の放射線画像検出器を用いた画像生成方法の効果が有効に発揮され、各光電変換素子(m,n)についてそれぞれ有効なオフセット補正値O(m,n)を取得して、良好な画像データI(m,n)を得ることが可能となる。
【0089】
また、それとともに、放射線画像撮影の前または後にダーク読取を1回(または少数回)行うだけで済むため、放射線画像撮影に要する電力消費を低減させることが可能となる。特に、放射線画像検出器1がバッテリ内蔵型である場合には、ダーク読取が1回(または少数回)で済むため、放射線画像撮影に要する電力消費が低減され、内蔵バッテリの消耗を防止することが可能となる。
【0090】
[放射線画像生成システム]
また、上記の放射線画像検出器を用いた画像生成方法を、放射線画像生成システムで実施することも可能である。放射線画像生成システム30は、図16に示すように、放射線画像検出器31と、コンソール32と、サーバ手段33とを備えている。
【0091】
放射線画像検出器31は、撮影室R1に設けられたブッキー装置34の保持部34aに装填されて用いられるようになっている。なお、ブッキー装置34には、携帯情報端末様の小型の操作部34bが設けられている。また、ブッキー装置34には、それぞれ放射線発生装置35が対応付けられて設けられており、放射線画像検出器31をブッキー装置34に装填して用いる場合には、対応する放射線発生装置35から放射線が照射されるようになっている。
【0092】
放射線画像検出器31は、ブッキー装置34に装填されずに、単独でフリーの状態で用いることもできるようになっており、その場合には、撮影室R1に備えられたポータブルの放射線発生装置35cから放射線を照射するようになっている。
【0093】
放射線画像検出器31の基本構成は、図1に示した放射線画像検出器1の構成と同様であるが、この場合、図17に示すように、筐体31aの側面部分に、ダーク読取値D(m,n)等を無線方式で送信するための通信手段であるアンテナ装置31bが設けられている。なお、31cはバッテリ10の交換用の蓋部材、31dは放射線画像検出器31の電源のON/OFFを切り替える電源スイッチ、31eはインジケータである。
【0094】
また、放射線画像検出器31の筐体31aの反対側の側面部分には、放射線画像検出器31がブッキー装置34の保持部34aに装填された際に保持部34aに設けられた図示しない電極と接続してダーク読取値D(m,n)等を有線方式で送信するための通信手段である図示しない端子が設けられている。
【0095】
このように、放射線画像検出器31は、ブッキー装置34に装填された際には端子と保持部34aの電極とが接続されてダーク読取値D(m,n)等を有線方式で送信し、また、ブッキー装置34に装填されずに単独で用いられる場合には、アンテナ装置31bを介してダーク読取値D(m,n)等を無線方式で送信するようになっている。撮影室R1には、放射線画像検出器31が無線方式でコンソール32にダーク読取値D(m,n)等を通信する際に中継する無線アクセスポイント36が設けられている。
【0096】
また、放射線画像検出器31は、ブッキー装置34に装填された際には電極から電力の供給を受けるが、単独で用いられる場合には、内蔵のバッテリ10の電力により動作するようになっている。しかし、この形態には限定されない。
【0097】
また、放射線画像検出器31内には、図示しないタグが内蔵されている。この場合、タグとして、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグが用いられており、タグには、タグの各部を制御する制御回路や放射線画像検出器31のID等の固有情報を記憶する記憶部がコンパクトに内蔵されている。
【0098】
前室R2の入口の近傍には、放射線画像検出器31のRFIDタグを読み取るタグリーダ37が設置されている。タグリーダ37は、内蔵する図示しないアンテナを介して電波等に所定の指示情報を乗せて発信し、前室R2に入室し或いは退室する放射線画像検出器31を検出して、放射線画像検出器31のID等をコンソール32に送信するようになっている。
【0099】
前室R2には、放射線画像生成システム30全体の制御を行うコンソール32が設けられており、コンソール32には、前述したブッキー装置34や放射線発生装置35、タグリーダ37等が接続されている。
【0100】
コンソール32は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータで構成されており、ROMに格納されている上記各ステップ(図6のステップS1〜S4)の実行に必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
【0101】
また、コンソール32には、無線アクセスポイント36を介して放射線画像検出器31から送信されてくるダーク読取値D(m,n)等を受信するための無線通信手段38が設けられている。
【0102】
コンソール32には、ネットワークNWを介してコンピュータからなるサーバ手段33が接続されている。サーバ手段33は、ハードディスク等からなる記憶手段39が接続されており、記憶手段39には、放射線画像生成システム30で使用可能な各放射線画像検出器31について、放射線画像検出器31の各光電変換素子(m,n)(各光電変換素子14)が属するグループの情報が放射線画像検出器31のIDに対応付けられて予めそれぞれ記憶されている。
【0103】
また、この場合も、放射線画像検出器31は、ダーク読取を定期的に行い、その際取得されたダーク読取値D(m,n)をコンソール32を介してサーバ手段33に送信するようになっている。サーバ手段33は、放射線画像検出器31からダーク読取値D(m,n)が送信されてくると、記憶手段39にダーク読取値D(m,n)を保存するとともに、各光電変換素子(m,n)の分布の平均値μ(m,n)を算出して記憶手段39に記憶させるようになっている。
【0104】
なお、このダーク読取値D(m,n)の保存および平均値μ(m,n)の算出、記憶はサーバ手段33に接続された記憶手段39で行う代わりに、コンソール32で行うように構成することも可能である。
【0105】
コンソール32は、放射線技師や医師等から放射線画像撮影の指示を受けると、放射線発生装置35を駆動する等して被写体撮影ステップ(図6のステップS1)を実行する。また、放射線画像撮影の前または後に、少なくとも1回のダーク読取を行うように放射線画像検出器31に指示信号を送信して、ダーク読取ステップ(ステップS2)を実行する。
【0106】
放射線画像検出器31は、被写体撮影ステップ(ステップS1)で取得した放射線画像のrawデータ(m,n)とダーク読取ステップ(ステップS2)で取得したダーク読取値D(m,n)とを有線方式または無線方式でコンソール32に送信する。
【0107】
コンソール32は、放射線画像検出器31から放射線画像のrawデータ(m,n)とダーク読取値D(m,n)とが送信されてくると、続いて、補正値算出ステップ(ステップS3)を実行する。その際、コンソール32は、タグリーダ37を介して送信されてきた放射線画像検出器31のIDをネットワークNWを介してサーバ手段33に送信し、サーバ手段33がIDに基づいて記憶手段39から読み出した当該放射線画像検出器31の各光電変換素子(m,n)のグループの情報および各光電変換素子(m,n)の分布の平均値μ(m,n)を入手し、ダーク読取値D(m,n)と各光電変換素子(m,n)のグループの情報と分布の平均値μ(m,n)等に基づいて前述した補正値算出ステップ(ステップS3)を実行して、各光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)を算出する。
【0108】
コンソール32は、続いて、画像データ生成ステップ(ステップS4)を実行し、放射線画像のrawデータ(m,n)から、算出した各光電変換素子(m,n)に対するオフセット補正値O(m,n)をそれぞれ差し引いて、各光電変換素子(m,n)の被写体に対応する画像データI(m,n)を生成する。なお、放射線画像検出器31のIDに対応付けて、欠陥画素のアドレス情報もサーバ手段33側に保存しておき、各画素のグループ情報等とともにコンソール32に送信し、各欠陥画素の周囲のオフセット補正済み画素値を使用した補間処理を行って、各欠陥画素の出力値としてもよい。
【0109】
このように放射線画像生成システム30を構成することで、上記の放射線画像検出器を用いた画像生成方法の効果が有効に発揮され、各光電変換素子(m,n)についてそれぞれ有効なオフセット補正値O(m,n)を取得して、良好な画像データI(m,n)を得ることが可能となる。
【0110】
また、それとともに、放射線画像撮影の前または後にダーク読取を1回(または少数回)行うだけで済み、放射線画像のrawデータ(m,n)と1回分(または少数回分)のダーク読取値D(m,n)を放射線画像検出器31から送信するだけで済むため、放射線画像撮影に要する電力消費を低減させることが可能となる。
【0111】
特に、放射線画像検出器31がバッテリ内蔵型である場合には、ダーク読取が1回(または少数回)で済み、ダーク読取値D(m,n)の送信が1回分(または少数回分)だけで済むため、放射線画像撮影やダーク読取値D(m,n)の送信に要する電力消費が低減され、内蔵バッテリの消耗を防止することが可能となる。
【0112】
さらに、放射線画像検出器31の記憶手段7に各光電変換素子(m,n)が属するグループの情報等を記憶させておく必要がなくなるため、放射線画像検出器31の記憶手段7に記憶させることができるデータ量が増大し、より多くの画像データ等を記憶させることが可能となる。
【0113】
なお、本発明が上記の実施の形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。本発明の概念は、類似の特性関係にある放射線検出素子同士を例えばグループ化する等して他の特性関係にある放射線検出素子と区別して各放射線検出素子のオフセット補正値を算出するものである。そのため、各放射線検出素子自体は、上記の実施形態のように光電変換素子タイプである必要はなく、他の構造を有するものを2次元的に配置したセンサパネル部を備える放射線画像検出器にも適用可能であることはいうまでもない。
【0114】
また、例えば、上記の実施形態においては、被写体撮影時とは個別に、定期的にダーク読取を行うこととしたが、被写体撮影時の前または後に行うダーク読取値を使用するように構成してもよく、この場合には、例えば連続する12回分のダーク読取値を保存しておき、当該12回分のダーク読取値を使用して上記の実施形態と同様に平均値μ(m,n)を算出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本実施形態に係る放射線画像検出器を用いた画像生成方法に用いられる放射線画像検出器の基本構成を示す図である。
【図2】放射線画像検出器のセンサパネル部および読取部の構成に示す等価回路図である。
【図3】光電変換素子に割り当てられた番号を説明する図である。
【図4】定期的に行われるダーク読取の読取タイミングを表す図である。
【図5】ダーク読取で取得されるダーク読取値の分布、平均値および標準偏差を表すグラフである。
【図6】本実施形態に係る放射線画像検出器を用いた画像生成方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】分布の平均値や標準偏差が光電変換素子で異なり得ることを示すグラフである。
【図8】各グループに分類された光電変換素子を表す図である。
【図9】同一のグループに属する各光電変換素子の分布の平均値が近接した値でない場合を表し、平均値の差分を説明するグラフである。
【図10】1回のダーク読取で各分布内に検出されたダーク読取値を表すグラフである。
【図11】光電変換素子のダーク読取値と他の光電変換素子のダーク読取値から変換された各値を表すグラフである。
【図12】図11のグラフで光電変換素子のダーク読取値にノイズがのった状態を表すグラフである。
【図13】光電変換素子から出力されるダーク読取値の時間経過に対する変化プロファイルを表すグラフである。
【図14】光電変換素子の温度が低い場合の光電変換素子のダーク読取値と他の光電変換素子のダーク読取値から変換された各値を表すグラフである。
【図15】各光電変換素子から出力されるダーク読取値の時間経過に対する変化プロファイルが一様でない場合を説明するグラフである。
【図16】本実施形態に係る放射線画像生成システムの構成を示す図である。
【図17】図16の放射線画像生成システムに用いられる放射線画像検出器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0116】
1、31 放射線画像検出器
4 センサパネル部
5 読取部
6 制御手段
7 記憶手段
10 バッテリ
14、(m,n) 放射線検出素子(光電変換素子)
30 放射線画像生成システム
31b 通信手段(アンテナ装置)
32 コンソール
33 サーバ手段
39 記憶手段
D(m,n) ダーク読取値
(m,n) 値
I(m,n) 画像データ
(m,n) 放射線検出素子(光電変換素子)の出力値(rawデータ)
NW ネットワーク
O(m,n) オフセット補正値
Δ 差分
μ(m,n) 平均値
σ(m,n) 標準偏差
σ(m,n) 分散

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換素子を2次元状に配置したセンサパネル部と、前記センサパネル部の前記各光電変換素子の出力値を読み取る読取部とを備える放射線画像検出器を用いた画像生成方法であって、
被写体を透過した放射線に基づく前記各光電変換素子の出力値を読み取る被写体撮影ステップと、
前記被写体撮影ステップの前または後に、少なくとも1回のダーク読取を行うダーク読取ステップと、
前記ダーク読取により得られた一の前記光電変換素子のダーク読取値と、当該一の光電変換素子と予め類似の特性関係にあると定められた他の光電変換素子の各ダーク読取値とに基づいて、当該一の光電変換素子に対するオフセット補正値を算出し、前記各光電変換素子に対する前記オフセット補正値を算出する補正値算出ステップと、
前記被写体撮影ステップで読み取られた前記各光電変換素子の出力値から、前記補正値算出ステップで前記各光電変換素子について算出された前記各オフセット補正値をそれぞれ差し引いて、前記各光電変換素子の前記被写体に対応する画像データを生成する画像データ生成ステップと、
を有することを特徴とする放射線画像検出器を用いた画像生成方法。
【請求項2】
前記光電変換素子は、前記各光電変換素子から出力される出力値の時間経過に対する変化プロファイルに基づいて複数のグループに予め分類され、前記一の光電変換素子と同一のグループに属する前記他の光電変換素子が前記類似の特性関係にあると定められることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像検出器を用いた画像生成方法。
【請求項3】
前記光電変換素子は、前記各光電変換素子から出力されるダーク読取値のばらつきの各度合に基づいて複数のグループに予め分類され、前記一の光電変換素子と同一のグループに属する前記他の光電変換素子が前記類似の特性関係にあると定められることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像検出器を用いた画像生成方法。
【請求項4】
前記光電変換素子は、前記各光電変換素子から出力されるダーク読取値の時間経過に対する変化プロファイルに基づいて複数のグループに予め分類され、かつ、同一の前記グループに属する前記各光電変換素子のうち、各光電変換素子から出力されるダーク読取値のばらつきの各度合に基づいて当該各光電変換素子がさらに複数のサブグループに予め分類され、前記一の光電変換素子と同一のサブグループに属する前記他の光電変換素子が前記類似の特性関係にあると定められることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像検出器を用いた画像生成方法。
【請求項5】
前記ダーク読取値のばらつきの度合は、前記各光電変換素子から出力されるダーク読取値の分布の標準偏差または分散により評価されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の放射線画像検出器を用いた画像生成方法。
【請求項6】
前記補正値算出ステップでは、前記一の光電変換素子と予め類似の特性関係にあると定められた前記他の光電変換素子の各ダーク読取値から、予め算出された前記一の光電変換素子のダーク読取値の平均値と当該他の光電変換素子のダーク読取値の平均値との差分をそれぞれ減じた各値と、前記一の光電変換素子のダーク読取値との平均値を算出して、当該一の光電変換素子に対するオフセット補正値とすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の放射線画像検出器を用いた画像生成方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線画像検出器を用いた画像生成方法を実行するための放射線画像検出器であって、
前記複数の光電変換素子を2次元状に配置した前記センサパネル部と、
前記センサパネル部の前記各光電変換素子の出力値を読み取る前記読取部と、
前記光電変換素子に関する前記特性関係の情報が記憶された記憶手段と、
前記被写体撮影ステップ、前記ダーク読取ステップ、前記補正値算出ステップおよび前記画像データ生成ステップを実行し、前記補正値算出ステップでは前記記憶手段から前記特性関係の情報を読み出して前記特性関係の情報に基づいて前記各光電変換素子の前記オフセット補正値を算出する制御手段と、
を備えることを特徴とする放射線画像検出器。
【請求項8】
バッテリが内蔵されており、前記制御手段により前記バッテリから各部材への給電が制御されることを特徴とする請求項7に記載の放射線画像検出器。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の放射線画像検出器を用いた画像生成方法を実行するための放射線画像生成システムであって、
前記複数の光電変換素子を2次元状に配置した前記センサパネル部と、前記センサパネル部の前記各光電変換素子の出力値を読み取る前記読取部と、前記ダーク読取値を含む前記各光電変換素子の出力値の取得を行うように前記読取部を制御する制御手段と、前記ダーク読取値を含む前記各光電変換素子の出力値を送信する通信手段と、を備える放射線画像検出器と、
前記放射線画像検出器から前記ダーク読取値を含む前記各光電変換素子の出力値を取得して前記被写体に対応する画像データを生成するコンソールと、
前記光電変換素子に関する前記特性関係の情報と、前記放射線画像検出器のIDとを対応付けて記憶する記憶手段を備えるサーバ手段と、
を備え、
前記コンソールと前記サーバ手段とはネットワーク接続されており、
前記コンソールは、前記放射線画像検出器から前記ダーク読取値を含む前記各光電変換素子の出力値および前記IDが送信されると、前記IDに基づいて前記サーバ手段から前記IDに対応付けられた前記光電変換素子に関する前記特性関係の情報を入手し、前記ダーク読取値および前記特性関係の情報に基づいて前記放射線画像検出器の前記各光電変換素子の前記オフセット補正値を算出して、前記被写体に対応する画像データを生成することを特徴とする放射線画像生成システム。
【請求項10】
前記放射線画像検出器には、バッテリが内蔵されており、
前記放射線画像検出器の前記通信手段は、無線方式の通信手段であることを特徴とする請求項9に記載の放射線画像生成システム。
【請求項11】
前記放射線画像検出器は、定期的にダーク読取を行うように構成され、
前記放射線画像検出器から前記定期的に行われるダーク読取により取得された前記ダーク読取値が送信されると、前記コンソールまたは前記サーバ手段で当該ダーク読取値が保存されることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の放射線画像生成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−160816(P2011−160816A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135149(P2008−135149)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】