説明

放電灯点灯装置

【課題】放電灯負荷回路の部品の特性値にバラツキがある場合でも、調整用の部品を付加することなくバラツキを補正することができる放電灯点灯装置を提供する。
【解決手段】放電灯点灯装置1000は、ドライブ信号により駆動して高周波電力を放電灯110に供給するインバータ回路300と、インバータ回路300の駆動周波数に対応する値である基準指令値を記憶する駆動周波数基準指令値記憶部315と、基準指令値を補正する補正値を記憶する不揮発性メモリ400aと、基準指令値とこの補正値とに基づいてインバータ回路300の駆動周波数を算出し、算出した駆動周波数に対応する制御信号を生成して出力するインバータ制御回路310aと、インバータ制御回路310aが出力した制御信号からインバータ回路300を駆動するドライブ信号を生成し、生成したドライブ信号をインバータ回路300に出力するインバータ駆動回路320とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直流電源を高周波電源に変換して放電灯を点灯する放電灯点灯装置に関するもので、特に、放電灯負荷回路の部品のバラツキを調整するする機能を有する放電灯点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平5−190291号公報(特許文献1)は、「放電灯に供給する電流のタイミングをスイッチング素子のオン・オフ制御により制御して前記放電灯の調光を行う放電灯点灯装置において、所定の発振周波数を有する発振手段と、この発振手段の発振周波数を複数の周波数に変換出力する周波数変換手段と、この周波数発振手段の変換周波数を制御する周波数制御手段と、前記周波数変換手段の変換周波数に従って前記スイッチング素子をオン・オフ制御する出力手段とを具備したことを特徴とする放電灯点灯装置。」を開示している。
【0003】
特許文献1の実施例の回路図は、この特許文献1の図1(本願には添付していない)に示されている。また、この特許文献1の図1の制御回路40に対応する回路部は、この特許文献1の図8(本願には添付していない)に示されている。また、この特許文献1の図8の「S1〜S4出力」と変換周波数の関係は上記特許文献1の表1(本願には添付していない)に示されている。即ち、この表1では、S1〜S4の組み合わせ可能な16通り段階と変換周波数との対応関係が示されている。
【0004】
また、上記16通りの組み合わせは、特許文献1の図8の選択スイッチ群42で選択される。例えば、段階5の変換周波数48.8kHzで駆動した場合よりも、段階10の変換周波数55.6kHzで駆動した場合の方が、放電灯3の放電電流を減少させることができる。即ち、選択スイッチ群42でS1〜S4の組み合わせを選択して変換周波数を選択すれば、放電灯3の調光ができるというものである。
【0005】
しかし、チョークコイル4、コンデンサ8等の放電灯負荷回路を構成する部品には特性のバラツキがある。仮に、段階5の48.8kHzの変換周波数で駆動したとしても、放電灯負荷回の構成部品の特性が同一でない場合には、同一の放電電流が得られないという課題がある。即ち、変換周波数を増減すれば放電灯の放電電流が減増するという相対的変化の制御を行うことは可能であるが、放電灯負荷回路の部品の特性バラツキにより、放電灯の放電電流もバラツクという課題がある。
【0006】
従って、例えば同一フロアにある多数の放電灯の光出力を概略同一に揃えて、放電灯の光出力の経時変化に対応して補正するような応用の場合には、実用的に対応できないという課題がある。
【特許文献1】特開平5−190291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の第1の目的は、同一の駆動周波数(従来例の変換周波数に相当)の指令値(従来例の選択スイッチ群で選択されたS1〜S4に相当)の場合には、複数の放電灯点灯装置の光出力が概略同一にできる放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【0008】
この発明の第2の目的は、経時変化に対応して放電灯の光出力を補正する放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の放電灯点灯装置は、
放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、
ドライブ信号にしたがって所定の駆動周波数で駆動することにより、駆動周波数に応じた高周波電力を前記放電灯に供給するインバータ回路と、
前記インバータ回路の駆動周波数に対応する値である駆動周波数対応値を記憶する駆動周波数対応値記憶部と、
前記駆動周波数対応値記憶部が記憶する駆動周波数対応値を補正する補正値を記憶する補正値記憶部と、
前記駆動周波数対応値記憶部が記憶する駆動周波数対応値と前記補正値記憶部が記憶する補正値とに基づいて前記インバータ回路の駆動周波数を算出し、算出した駆動周波数に対応する制御信号を生成して出力する制御信号出力部と、
前記制御信号出力部が出力した制御信号から前記インバータ回路を駆動するドライブ信号を生成し、生成したドライブ信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動回路と
を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
所定の周波数のクロック信号を発振するクロック発振回路を備え、
前記制御信号出力部は、
前記クロック発振回路の発振するクロック信号の周波数を前記駆動周波数対応値記憶部が記憶する駆動周波数対応値と前記補正値記憶部が記憶する補正値との和で除算し、除算して得られた値を前記インバータ回路の駆動周波数とすることを特徴とする。
【0011】
前記駆動周波数対応値記憶部は、
前記インバータ回路の駆動周波数のうちあらかじめ基準として定められた基準駆動周波数に対応する駆動周波数対応値を基準指令値として記憶することを特徴とする。
【0012】
この発明の放電灯点灯装置は、
放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、
ドライブ信号にしたがって所定の駆動周波数で駆動することにより、駆動周波数に応じた高周波電力を前記放電灯に供給するインバータ回路と、
前記放電灯の点灯時間を累積して累積点灯時間として記録する累積点灯時間記録部と、
前記インバータ回路の駆動周波数に対応するとともに前記累積点灯時間記録部に記録された累積点灯時間からいずれかが定まる複数の駆動周波数対応値を記憶する駆動周波数対応値記憶部と、
前記累積点灯時間記録部に記録された累積点灯時間を参照することにより前記駆動周波数対応値記憶部が記憶する複数の駆動周波数対応値のなかから所定の駆動周波数対応値を選択値として選択し、選択した選択値に基づいて前記インバータ回路の駆動周波数を算出し、算出した駆動周波数に対応する制御信号を生成して出力する制御信号出力部と、
前記制御信号出力部が出力した制御信号から前記インバータ回路を駆動するドライブ信号を生成し、生成したドライブ信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動回路と
を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
所定の周波数のクロック信号を発振するクロック発振回路を備え、
前記制御信号出力部は、
前記クロック発振回路の発振するクロック信号の周波数を選択値で除算し、除算して得られた値を前記インバータ回路の駆動周波数とすることを特徴とする。
【0014】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
前記駆動周波数対応値記憶部が記憶する複数の駆動周波数対応値のうちの少なくともいずれかを補正する補正値を記憶する補正値記憶部を備え、
前記制御信号出力部は、
選択値として選択した駆動周波数対応値に前記補正値記憶部が記憶する補正値が存在する場合には、選択値とこの選択値を補正する補正値とに基づいて前記インバータ回路の駆動周波数を算出することを特徴とする。
【0015】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
所定の周波数のクロック信号を発振するクロック発振回路を備え、
前記制御信号出力部は、
選択値として選択した駆動周波数対応値に前記補正値記憶部が記憶する補正値が存在する場合には、前記クロック発振回路の発振するクロック信号の周波数を選択値とこの選択値を補正する補正値との和で除算し、除算して得られた値を前記インバータ回路の駆動周波数とすることを特徴とする。
【0016】
前記駆動周波数対応値記憶部は、
前記インバータ回路の駆動周波数のうちあらかじめ基準として定められた互いに異なる複数の基準駆動周波数のそれぞれに対応する複数の駆動周波数対応値を基準指令値として記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明により、放電灯負荷回路の部品の特性値にバラツキがある場合でも、調整用の部品を付加することなくバラツキを補正することができる放電灯点灯装置を提供することができる。また、この発明により、経時変化に対応して放電灯の光出力を補正可能な放電灯点灯装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施の形態1.
図1〜図4を用いて実施の形態1を説明する。
【0019】
実施の形態1における放電灯点灯装置1000は、放電灯が装着される放電灯点灯回路の部品のバラツキに対応する値(後述の補正値)を不揮発性メモリに記憶し、前記部品のバラツキに起因する放電灯点灯電流のバラツキを補正する構成を備えるものである。なお、放電灯点灯回路の部品のバラツキは一例であり、揮発性メモリに記憶される値は、例えば、昇圧チョッパ回路により昇圧される電圧のバラツキに対応する値でもよい。
【0020】
図1は、実施の形態1における放電灯点灯装置1000の構成を示す回路図である。図1を参照して、放電灯点灯装置1000の構成を説明する。
【0021】
図1に示すように、放電灯点灯装置1000は、
(1)ダイオードブリッジ20、
(2)昇圧チョッパ回路200、
(3)昇圧チョッパ制御回路210、
(4)インバータ回路300、
(5)インバータ駆動回路320、
(6)インバータ制御回路310a、
(7)不揮発性メモリ400a、
(8)放電灯が装着される放電灯負荷回路330
を備える。
【0022】
(直流電源)
ダイオードブリッジ20は、商用電源等の交流電源10を全波整流して直流電源を供給する。直流電源としてのダイオードブリッジ20の出力電圧は、昇圧チョッパ回路200で昇圧・平滑される。
【0023】
(昇圧チョッパ回路200,昇圧チョッパ制御回路210)
昇圧チョッパ回路200は昇圧チョッパ制御回路210で制御される。なお、昇圧チョッパ制御回路210の制御電源は図示を省略する。昇圧チョッパ回路200において、チョークコイル30はダイオードブリッジ20(直流電源)の正極側出力とダイオード40のアノードとの間に接続される。ダイオード40のカソード側は、コンデンサ60を介してダイオードブリッジ20(直流電源)の負極側に接続される。MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)からなるスイッチング素子50は、ダイオード40のアノードとダイオードブリッジ20(直流電源)の負極側との間に接続される。スイッチング素子50の制御端子(MOSFETであるスイッチング素子50のゲート)には、昇圧チョッパ制御回路210が接続される。昇圧チョッパ回路200の出力は、インバータ回路300に接続される。
【0024】
(インバータ回路300)
インバータ回路300は、スイッチング素子70、80とから構成される。インバータ回路300のスイッチング素子70、80は、インバータ制御回路310aからの出力制御信号(以下、制御信号という場合がある。)を入力したインバータ駆動回路320が生成し出力するドライブ信号により駆動される。インバータ回路300は、インバータ駆動回路320が出力するドライブ信号にしたがって所定の駆動周波数で駆動することにより、駆動周波数に応じた高周波電力を放電灯110に供給する。インバータ制御回路310a及びインバータ駆動回路320の制御電源は図示を省略する。インバータ回路300において、MOSFETからなるスイッチング素子70及びスイッチング素子80は直列接続されて昇圧チョッパ回路200の出力に接続される。スイッチング素子70とスイッチング素子80との接続点と昇圧チョッパ回路200の負極側との間に放電灯負荷回路330が接続される。なお、スイッチング素子70及びスイッチング素子80のドレイン・ソース間に逆並列に内蔵されているダイオードは図示を省略する。
【0025】
(放電灯負荷回路330)
放電灯負荷回路330は、カップリングコンデンサ90、チョークコイル100、放電灯110が直列に接続され、更に、放電灯110に対してコンデンサ120が並列に接続された構成である。カップリングコンデンサ90の他端はスイッチング素子70とスイッチング素子80の接続点に接続され、放電灯110の他端は昇圧チョッパ回路200の負極側に接続される。
【0026】
(インバータ駆動回路320)
インバータ駆動回路320は、スイッチング素子70及びスイッチング素子80のゲートを駆動する。すなわち、インバータ駆動回路320は、インバータ制御回路310aが出力した制御信号からドライブ信号を生成し、生成したドライブ信号をインバータ回路300に出力し、スイッチング素子70及びスイッチング素子80を駆動する。
【0027】
(不揮発性メモリ400a)
不揮発性メモリ400a(補正値記憶部の一例)は、駆動周波数基準指令値の補正値を記憶する。なお「駆動周波数基準指令値」、「補正値」については後に詳しく説明する。
【0028】
(インバータ制御回路310a)
インバータ制御回路310aについて説明する。インバータ制御回路310aは、例えば、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと呼ぶ)で実現される。図1に示すように、インバータ制御回路310aは、駆動周波数基準指令値記憶部315、補正値一時格納部313、クロック発振回路312、駆動周波数生成出力回路311、動作モード切替回路314を備える。
【0029】
(1)駆動周波数基準指令値記憶部315(駆動周波数対応値記憶部の一例)は、後述する駆動周波数基準指令値(駆動周波数対応値の一例)やプログラムを記憶する。なお、「駆動周波数基準指令値」を、単に「基準指令値」という場合がある。駆動周波数基準指令値記憶部315は、例えばROM(Read Only Memory)により実現される。
(2)補正値一時格納部313は、後述の調整モードの場合にはインバータ制御回路310aの外部から補正値を読み込み、読み込んだ補正値を不揮発性メモリ400aに転送する。通常動作モードの場合には、不揮発性メモリ400aに格納されている補正値を読み込んで、駆動周波数生成出力回路311に転送する。駆動周波数基準指令値の「補正値」については後述する。補正値一時格納部313は、例えばマイコンに組み込まれたRAM(Random Access Memory)により実現される。
(3)クロック発振回路312は、基準クロックを発振する回路である。
(4)駆動周波数生成出力回路311(制御信号出力部の一例)は、駆動周波数基準指令値記憶部315が記憶する駆動周波数基準指令値と不揮発性メモリ400aから補正値一時格納部313に転送された補正値とに基づいてインバータ回路300の駆動周波数を算出し、算出した駆動周波数に対応する制御信号を生成して出力する。
(5)動作モード切替回路314は、「調整モード時駆動周波数基準指令値の補正値入力500」、「通常動作/調整モード切替入力600」を入力する。これらについては後述する。
【0030】
(駆動周波数基準指令値:nSTD
インバータ制御回路310aについて、さらに詳しく説明する。インバータ制御回路310aにおいて、クロック発振回路312は、前述のようにマイコンの基準クロックを発振する発振回路であり、発振子は図示を省略している。駆動周波数基準指令値記憶部315は、インバータ回路300の基準となる駆動周波数fSTD(基準駆動周波数)の「基準指令値」を記憶する。この実施の形態における「基準指令値」とは、放電灯負荷回路330を構成する各部品の特性値がバラツキの中心値にある場合(補正値nc=0)に与えられるインバータ回路300の駆動周波数fINV(以下、インバータ駆動周波数、あるいは駆動周波数という)に対応する数値であり、次の(式1)の関係がある。
インバータ回路300の基準となる駆動周波数:fSTD
マイコン(クロック発振回路312)の基準クロック周波数:fMIC
駆動周波数基準指令値:nSTD
として、
STD=fMIC÷nSTD (式1)
である。
【0031】
例えば、
マイコンの基準クロック周波数fMIC=6.000MHz、
駆動周波数基準指令値nSTD=141
とする。
この場合、インバータ回路300の基準となる基準駆動周波数fSTDは、
(式1)から
STD=fMIC÷nSTD=6.000MHz÷141=42.553kHz
となる。
【0032】
(補正値:n
駆動周波数基準指令値nSTDの補正値nは、この駆動周波数基準指令値nSTDを補正するための値である。補正値nは、放電灯負荷回路330を構成する部品のバラツキにより、正又は負の値として与えられる数値である。
【0033】
(演算指令値:NCAL
駆動周波数基準指令値nSTDと補正値nの和を演算指令値NCALと呼ぶこととする。
すなわち、
CAL=nSTD+n
とおく。
【0034】
(制御信号の生成)
駆動周波数生成出力回路311は、補正値nが存在する場合には、この演算指令値NCALを計算して、次の(式2)で示すインバータ駆動周波数fINVを算出し、算出した駆動周波数fINVに対応する制御信号を生成してインバータ駆動回路320に出力する。
すなわち、
インバータ駆動周波数fINV=fMIC÷(nSTD+n)=fMIC÷NCAL (式2)
【0035】
例えば、
マイコンの基準クロック周波数fMIC=6.000MHz
駆動周波数基準指令値nSTD=141、
駆動周波数基準指令値の補正値n=4
とする。
この場合、駆動周波数生成出力回路311により算出されるインバータ駆動周波数fINVは、
INV=141MHz÷145=41.379kHz
となる。
【0036】
また、例えば、
マイコンの基準クロック周波数fMIC=6.000MHz、
駆動周波数基準指令値=141、
駆動周波数基準指令値の補正値n=−4
とする。
この場合、駆動周波数生成出力回路311により算出されるインバータ駆動周波数fINVは、
INV=6.000MHz÷137=43.796kHz
となる。
【0037】
次に補正値の書込みについて説明する。図1に示す「通常動作/調整モード切替入力600」は、「H」又は「L」レベルの信号である。「通常動作/調整モード切替入力600」の「H」又は「L」に従い、動作モード切替回路314のモードが切り替わる。
(1)「通常動作/調整モード切替入力600」が「調整モード」の場合には、インバータ制御回路310aの動作モード切替回路314が「調整モード」に切り替わり、「調整モード時駆動周波数基準指令値の補正値入力500」が取り込まれ(すなわち補正値nが入力される)る。取り込まれた補正値nは、補正値一時格納部313に格納され、さらに不揮発性メモリ400aに転送され、不揮発性メモリ400aにより記憶される。
(2)「通常動作/調整モード切替入力600」により「通常動作」に切り替えた場合には、不揮発性メモリ400aに記憶された補正値nは補正値一時格納部313に転送され、駆動周波数生成出力回路311がこれを用いることにより、上記(式2)の演算処理を行う。
【0038】
図2は、インバータ駆動周波数fINVと放電灯負荷回路330のコンデンサ120の電圧Vc120及び放電灯110の放電電流Iの関係を示したものである。横軸はインバータ回路300の駆動周波数を示す。縦軸はコンデンサ120の電圧VC120、あるいは放電灯110に流れる電流Iを示す。
また、
(1)グラフ1(破線)は、コンデンサ120の静電容量C120、チョークコイル100のインダクタL100との積である「C120×L100」の値が、バラツキ最大の場合における放電灯110の予熱時のコンデンサ120の電圧VC120の特性を示す。
(2)グラフ2(実線)は、「C120×L100」の値が、バラツキtyp(typical)の場合における放電灯110の予熱時のコンデンサ120の電圧VC120の特性を示す。
(3)グラフ3(点線)は、「C120×L100」の値が、バラツキ最小の場合における放電灯110の予熱時のコンデンサ120の電圧VC120の特性を示す。
また、
(4)グラフ11は、放電灯110の点灯時におけるグラフ1に対応する放電電流Iの特性を示す。
(5)グラフ12は、放電灯110の点灯時におけるグラフ2に対応する放電電流Iの特性を示す。
(6)グラフ13は、放電灯110の点灯時におけるグラフ3に対応する放電電流Iの特性を示す。
【0039】
(グラフ2)
図2において、
グラフ2は、放電灯負荷回路330の構成部品の特性値がバラツキの中心値にある場合を示す。グラフ2は、放電灯110が未放電時において、コンデンサ120に発生する電圧Vc120を示した特性図である。電圧Vc120の最大値をもたらす周波数である固有振動周波数f0typは次の(式4)の条件下、次の(式3)で示される。
即ち
【0040】
【数1】

【0041】
90>>C120 (式4)
ただし、
100:チョークコイル100のインダクタンス、
90:コンデンサ90の静電容量、
120:コンデンサ120の静電容量
である。
【0042】
(グラフ1)
同様に、グラフ1は、L100とC120の積が最大(バラツキmax)の場合の、上記グラフ2と同様の特性図である。(固有振動周波数は最小:f0min)
【0043】
(グラフ3)
同様に、グラフ3は、L100とC120の積が最小(バラツキmin)の場合の、上記グラフ2と同様の特性図である。(固有振動周波数は最大:f0max)
【0044】
(グラフ12)
また、グラフ12は、L100とC120の積がバラツキの中心値(typ)の場合において、放電灯110が点灯した場合の放電電流Iを示す特性図であり、グラフ2に対応する。グラフ12と100%出力時のIを示す一点鎖線の「100%出力時I18」との「交点12a」は、放電灯110の点灯時出力電力が仕様値の100%のときの駆動周波数f21に対応する放電電流Iを示している。
【0045】
(グラフ11)
同様に、グラフ11は、L100とC120の積が最大(バラツキmax)の場合の上記グラフ12に対応する特性図である(固有振動周波数は最小:f0min)。また、グラフ11と一点鎖線の「100%出力時I18」との「交点11a」は、放電灯110の点灯時出力電力が仕様値の100%のときの駆動周波数f11に対応する放電電流Iを示している。
【0046】
(グラフ13)
同様に、グラフ13は、L100とC120の積が最小(バラツキmin)の場合の上記グラフ12に対応する特性図である(固有振動周波数は最大:f0max)。また、グラフ13と一点鎖線の「100%出力時I18」との「交点13a」は、放電灯110の点灯時出力電力が仕様値の100%のときの駆動周波数f31に対応する放電電流Iを示している。
【0047】
次に図3を説明する。図3は、インバータ駆動周波数fINVを生成する生成法の原理を説明する表である。
【0048】
(行番1)
行番1は、放電灯負荷回路330の固有振動周波数f0を示す。行番1のf0min等は、図2で示したものである。
【0049】
(行番2)
行番2はインバータ回路300の駆動周波数fINVである。
【0050】
(行番3)
行番3は演算指令値NCALである。行番3の演算指令値NCALは、前述のように、駆動周波数生成出力回路311により、行番5のnSTDと行番4のnとの和として演算される。インバータ回路300を駆動するインバータ駆動周波数fINVは、マイコンのクロック周波数fMICを行番3の駆動周波数指令値(演算指令値NCAL)で除した値で得られる。
すなわち、
INV=fMIC÷NCAL
である。
【0051】
(行番4)
また、行番4の補正値nは、不揮発性メモリ400aからマイコン(インバータ制御部310a)の補正値一時格納部313に格納される数値である。
【0052】
(行番5)
図3において、行番5の値である駆動周波数基準指令値nSTDは、図1の駆動周波数基準指令値記憶部315に記憶されている。前記のように、駆動周波数基準指令値記憶部315は、例えば、不揮発性メモリの一種であるROMである。駆動周波数基準指令値nSTDは、予めROM中に格納される。
【0053】
なお、行番4の駆動周波数基準指令値の補正値nは、後述のように放電灯点灯装置100の製造工程等において出力電力の調整過程で得られ不揮発性メモリ400aに記録される。
【0054】
図4は、図3に対応する図であり、実際の回路を設計した場合の試験データを示した。図4の行番1〜5は図3の行番1〜5に対応している。図4の行番6〜7は、放電灯電力及び放電灯電流の試験データを示す。行番8〜11はインバータ回路300の試験条件(設計条件)を示す。
【0055】
図1〜図4を使って、実施の形態1における放電灯点灯装置1000の動作を説明する。
【0056】
先ず、放電灯負荷回路330の固有振動周波数が中心値であるf0typの場合について説明する。図2ではグラフ2とグラフ12が相当し、図3と図4では、f0typの列が相当する。
【0057】
図1において、交流電源10が投入されると図示を省力した各回路の制御電源が立ち上がり、インバータ制御回路310aのマイコンプログラムも動作を開始する。駆動周波数生成出力回路311のCPU(Central Processing Unit)がプログラムを読み込む。なお、インバータ制御回路310aのマイコンプログラムは、例えば、ROMである駆動周波数基準指令値記憶部315に記憶されている。あるいは不揮発性メモリ400aに格納されている。
【0058】
その後、説明を省力する放電灯110のフィラメントの予熱動作、始動電圧印加のプログラムを経て、放電灯110は点灯する。このときのインバータ駆動周波数f21は、図3において説明した原理によって生成され、「交点12a」で示した放電灯電流Iが流れる。
【0059】
ここで仮に、グラフ11の特性の場合及びグラフ13の特性の場合も、同一のインバータ駆動周波数f21で駆動したとする。その場合には、放電灯電流のバラツキ範囲は図2のΔIの範囲の値になる。
【0060】
そこで、放電灯負荷回路330のインダクタンスL100と静電容量C120との積に対応した適当な補正値nを与えることにより、固有振動周波数が低い場合には(グラフ1、グラフ11の特性)、インバータ駆動周波数をf21よりも低いf11としてやり、逆に固有振動周波数が大きい場合には(グラフ3、グラフ13の特性)、インバータ駆動周波数をf31のようにf21よりも高くしてやる。そうすることで、図2に示すように、インバータ回路300の部品特性のバラツキによる放電灯電流Iのバラツキを小さくすることができる。
【0061】
次に駆動周波数基準指令値nSTDの補正値n(図3及び図4の行番4の数値)の定め方について説明する。
【0062】
図1において、インバータ制御回路310aの「通常動作/調整モード切替入力600」を「調整モード」にする。その状態で放電灯110を点灯させて、放電灯110の電力を測定する。
【0063】
測定した放電灯110の電力を、固有振動周波数が中心値の放電灯電力と相対比較をする。比較の結果、差がある場合には、「調整モード時駆動周波数基準指令値の補正値入力500」から、動作モード切替回路314及び補正値一時格納部313を介して、正または負の補正値nを入力する。そして、図3で述べた原理に従ってプログラムを実行しながら、固有振動周波数が中心値の放電灯点灯装置で駆動した場合の放電灯電力と概略一致するように補正値入力を増減させる(補正値入力の増減は人力または自動機などによる)。
【0064】
放電灯110の電力が固有振動周波数が中心の電力と一致した場合は、「通常動作/調整モード切替入力600」を「通常モード」に切り替えるとともに、補正値一時格納部313に格納している駆動周波数基準指令値nSTDの補正値nを不揮発性メモリ400にも記録する。調整後、交流電源10が遮断され、そして再び、交流電源10が再投入された場合、不揮発性メモリ400aに格納さえた補正値nは、補正値一時格納部313(RAM領域)に書き込まれる。
【0065】
なお、入力電力は放電灯110の電力と制御回路の電力および回路損失の和であり、制御回路の電力と回路損失の電力の和は補正値の調整範囲では大きく変動しないので、放電灯電力に替えて入力電力が概略一致するように補正値を求めても良い。
【0066】
さらに図4により、具体的設計例の試験データについて説明する。
(1)行番1〜5は図3の行番1〜5に対応している。
(2)行番9に示すように、適合する放電灯の型名は、「FHF32EX−W(MITSUBISHI/OSRAM製)」である。
(3)行番6および行番7は、放電灯110の電力及び電流を示している。
(4)行番8は、チョークコイル100とコンデンサ120の特性値の積を示す。
(5)行番10は、コンデンサ60の電圧を示す。
(6)行番11は、クロック発振回路312のクロック発振周波数を示している。
(7)行番12は、行番7において、駆動周波数をバラツキ中心の駆動周波数である42.553kHzで駆動した場合の放電灯電流Iを示している。放電灯電流Iの最大値と最小値の差ΔIは、図2に示したΔIに対応している。
【0067】
図4の結果から明らかなように、放電灯110の点灯時の電力のバラツキは概略ゼロである。すなわち、行番6の放電灯電力は、いずれの場合も41.1(W)であり、バラツキは無い。また、行番7は、補正値nを用いて駆動周波数fINVを算出した場合の放電電流Iを示している。行番7に示すように、補正値nを用いた場合は、放電電流Iのバラツキは5(mA)にとどまっている。一方、行番12は、min,typ,maxいずれの特性の場合も駆周波数が同一(42.553kHz)の場合である。この場合は、放電電流Iのバラツキは18(mA)であり、ΔI=36(mA)になる。このように、補正値nを用いた場合は、放電電流Iのバラツキも大幅に小さくなっている。なお、不揮発性メモリ400aはマイコン内部(インバータ制御回路310aの内部)に備える構成でもよいことは勿論である。
【0068】
また、図3及び図4では、放電灯負荷回路330を構成する部品(主として共振用コンデンサ、共振用コイル)のバラツキを補正する原理と実試験データについて説明したが、その他の回路部、例えば昇圧チョッパ回路の構成部分のバラツキにより出力電圧が変動するような場合についても、適当な駆動周波数基準指令値nSTDの補正値nを与えることで、放電灯110の点灯時の電力のバラツキを概略ゼロにすることができる。
【0069】
なお、図3、図4の場合について、具体的な放電灯点灯装置としての動作は次の様である。放電灯点灯装置1000が、図4の「f0min」の場合に該当することを想定する。
【0070】
(1)駆動周波数基準指令値記憶部315は、インバータ回路300の駆動周波数fINVに対応する値である駆動周波数基準指令値nSTDを記憶している。図4のように
STD=141
である。
(2)不揮発性メモリ400aは、駆動周波数基準指令値記憶部315が記憶する駆動周波数基準指令値nSTDを補正する補正値nを記憶している。この補正値nは、前述のように「通常動作/調整モード切替入力600」、「調整モード時駆動周波数基準指令値の補正値入力500」により、補正値nが不揮発性メモリ400aに格納される。よって、不揮発性メモリ400aは不揮発的に、駆動周波数基準指令値nSTDを補正する値である補正値nを記憶する。
この場合、図4のように
=「+4」である。
(3)インバータ制御回路310aの駆動周波数生成出力回路311は、駆動周波数基準指令値記憶部315が記憶するnSTD=141と、不揮発性メモリ400aが記憶するn=「+4」とに基づいてインバータ回路300の駆動周波数fINVを算出し、算出したfINVに対応する制御信号を生成してインバータ駆動回路320に出力する。前述したように、駆動周波数生成出力回路311は、クロック発振回路312の発振するクロック信号の周波数(図4では6MHz)をnSTD=141とn=「+4」との和で除算し、除算して得られた値をインバータ回路300の駆動周波数とする。すなわち、駆動周波数生成出力回路311は、
6MHz÷(141+4)=41.379kHz
を算出し、41.379kHzに対応する制御信号を生成してインバータ駆動回路320に出力する。
(4)インバータ駆動回路320は、駆動周波数生成出力回路311が出力した前記制御信号を入力し、入力した41.379kHzに対応する制御信号からインバータ回路300を駆動するドライブ信号を生成する。もちろん、生成したドライブ信号もインバータ駆動周波数である41.379kHzに対応する信号である。インバータ駆動回路320は、生成したドライブ信号をインバータ回路300に出力する。
(5)インバータ回路300は、インバータ駆動周波数である41.379kHzに対応するドライブ信号にしたがって、41.379kHzの駆動周波数で駆動することにより、この駆動周波数に応じた高周波電力を放電灯110に供給する。これにより、放電灯110の出力を容易、かつ正確に調整することができる。
【0071】
以上のように本実施の形態1の放電灯点灯装置1000によれば、放電灯負荷回路330の部品の特性値にバラツキがある場合でも、調整用の部品を付加することなくマイコンのプログラムによりバラツキを補正する補正値を与えることができ、放電灯110の点灯時の電力のバラツキを概略ゼロにすることができる。即ち、本放電灯点灯装置を搭載した複数の照明器具間の光出力を概略同一にできる。このような小型で安価な放電灯点灯装置を提供することができる。
【0072】
実施の形態1の放電灯点灯装置1000は、駆動周波数生成出力回路311が、補正値に基づきインバータ駆動周波数を算出し、このインバータ駆動周波数から制御信号を生成するので、放電灯出力のバラツキを簡易に補正することができる。よって、点灯時における放電灯の電力のバラツキを抑制することができる。
【0073】
実施の形態1の放電灯点灯装置1000は、駆動周波数生成出力回路311が、クロック信号を発振するクロック発振回路を備えるとともに、このクロック信号の周波数を基準指令値とこの補正値との和で除算し、除算して得られた値をインバータ駆動周波数とする。よって、補正値のみを修正することで容易に放電灯出力のバラツキに対応することができる。
【0074】
実施の形態1の放電灯点灯装置1000は、インバータ回路300の基準駆動周波数に対応する基準指令値を記憶している。このため、放電灯点灯装置1000を搭載した複数の照明器具どうしの光出力を概略同一にできる。
【0075】
実施の形態2.
次に、図5〜図11を用いて実施の形態2における放電灯点灯装置2000を説明する。実施の形態2における放電灯点灯装置2000は、実施の形態1の放電灯点灯装置1000と同様に放電灯が装着される放電灯点灯回路の部品のバラツキを不揮発性メモリに記憶して前記部品のバラツキに起因する放電灯点灯電流のバラツキを補正する構成を備えるとともに、さらに、放電灯の累積点灯時間に対応して放電灯の調光率を変化させ、放電灯の光出力を一定に保つ構成を備えるものである。
【0076】
図5は、実施の形態2の放電灯点灯装置2000の構成を示す回路図である。
【0077】
放電灯点灯装置2000は、実施の形態1と同様に放電灯負荷回路330の部品の特性バラツキによって生じる本点灯装置が搭載された照明器具の光出力のバラツキを小さくするとともに、さらに放電灯の使用時間(累積点灯時間)の経過に伴う照度の低下を抑制する。図5において図1と同一又は同等の作用をする要素には同一符号を付してあり、その説明を省略する。
【0078】
放電灯点灯装置2000は、放電灯点灯装置1000に対して、さらに点灯時間カウンタ2001を備える点と、不揮発性メモリ400b(累積点灯時間記録部の一例)が、放電灯の累積点灯時間を記録する「累積点灯時間記録領域2002」を有する点が異なる。放電灯点灯装置1000に対して、放電灯点灯装置2000では「符号b」を用いてインバータ制御回路310b、不揮発性メモリ400bと表記した。
【0079】
インバータ制御回路310bにおいて、駆動周波数生成出力回路311は、図示を省略した放電灯110の「寿命末期保護検出回路」からの信号を得て、放電灯110が正常点灯の場合にのみ、インバータ駆動回路320に出力を送出するものとする。
【0080】
インバータ制御回路310bの点灯時間カウンタ2001は、クロック発振回路312のクロック発振周波数fMICと、駆動周波数生成出力回路311bの動作信号の有無を基にして、インバータ駆動回路320に制御信号が出力されている場合の時間、即ち、放電灯110が正常点灯している時間を累積計時し、不揮発性メモリ400bに送出する。不揮発性メモリ400bは、放電灯110の点灯時間を累積して累積点灯時間として累積点灯時間記録領域2002に記録する。
【0081】
その際、インバータ制御回路310bは、不揮発性メモリ400bに既に累積されている点灯時間に現在の累積点灯時間を加算して新たな累積点灯時間として、不揮発性メモリ400bに予め定められたタイミングで記録する。予め定められたタイミングとは、例えば、インバータ制御回路310bの点灯時間カウンタ2001が1時間になった場合、あるいは、交流電源10が遮断された場合などである。
【0082】
図6は、図2に相当する特性図である。記載されているグラフは、図2と同様であり、横軸がインバータ回路300の駆動周波数であり、縦軸が放電灯負荷回路330のコンデンサ12の電圧及び放電灯110の放電電流Iである。図6は、図2の特性図に、さらに放電灯110の出力電力が約70%(約70%調光)の場合の放電電流Iの動作点15、動作点16、動作点17を追加したものである。
【0083】
図6において、「動作点16」は、放電灯負荷回路330の固有振動周波数がバラツキの中心値であり、かつ、放電灯110の出力電力が約70%のときの、インバータ駆動周波数f23に対応する放電電流Iの動作点である。
【0084】
同様に「動作点15」は、固有振動周波数のバラツキが最小値の場合の駆動周波数f13と放電電流Iの動作点を示す。
【0085】
「動作点17」は、固有振動周波数のバラツキが最大値の場合の駆動周波数f33と放電電流Iの動作点を示すものである。
【0086】
図7は図3に相当する駆動周波数生成法の原理を説明するための表である。図7において、行番5の値(駆動周波数基準指令値nSTD)は、プログラムで与えられる数値であり、図2の場合と同様である。放電灯110の電力を全光の100%から減少させる場合、即ち、光束を減光させる場合は、駆動周波数基準指令値nSTDは全光の100%時の場合よりも小さくする。この駆動周波数基準指令値nSTDの値は、放電灯110の累積点灯時間に対応して予め設定されており、駆動周波数生成出力回路311のCPUがプログラムに基づき選択・設定する。
【0087】
図8は放電灯110の累積点灯時間(横軸)と減光率(縦軸)との関係の一例を示すグラフである。例えば、図8に示すように、累積点灯時間がゼロ時間である初期値は、70調光(30%減光)になるように駆動周波数基準指令値nSTDをプログラムで設定し、その後、累積点灯時間が1000時間増加する毎に2%調光率が増加するように駆動周波数基準指令値nSTDをプログラムで減少させるよう設定する。即ち、累積点灯時間が1000時間増加するごとに30%→28%→26%・・・のように減光率が下がっていくことになる。そうすれば、累積点灯時間が15000時間を経過した時点(図8のt15)で調光率が100%(0%減光)になる。図8では5000時間をt5,10000時間をt10等と表している。また、例えば、累積点灯時間0.5千時間毎に1%調光率が増加するようにマイコンのプログラムを設定すれば、累積点灯時間の増加に対する調光率の変化をより滑らか(smooth)にすることができる。すなわち、図8の減少する刻みが半分(500時間ごとに1%減光率が下がる)になるので、調光率の変化が滑らかになる。
【0088】
駆動周波数基準指令値nSTDを減少することにより、インバータ駆動周波数は増加し、放電灯110の電力は減少する。これは次の理由からである。
インバータ駆動周波数fINV=fMIC÷nSTD
であり、
STD→小のとき、fINV→大
となる。
INVが大きくなると、図6のグラフ11〜13に示すように放電電流Iが減少することによる。
【0089】
さらに図7の説明を続ける。図7の行番4は、実施の形態1で説明した補正値nである。実施の形態1で説明したように、不揮発性メモリ400bから転送されて補正値一時格納部313(RAM)に格納される数値である。補正値nの値は、放電灯負荷回路330の部品の特性バラツキによって決まる。補正値nは、通常、放電灯110の累積点灯時間に関係なく全光の100%出力時と同一の値が設定される。また、実施の形態1で述べたように、行番4の補正値nと、行番5の駆動周波数基準指令値nSTDとの和が行番3の演算指令値NCALの数値として演算される。
【0090】
インバータ回路300の駆動周波数fINVは、クロック発振回路312のクロック周波数を行番3の演算指令値NCALで除した値として得られる。これも実施の形態1の場合と同様である。
【0091】
なお、行番4の補正値nは、実施の形態1で説明したのと同一の手順により、放電灯点灯装置2000の製造工程等において放電灯110の出力電力の調整過程で得られ不揮発性メモリ400bに記録される。
【0092】
図9(a)は、放電灯110の点灯時の電力を一定にした場合の、累積点灯時間と光束の関係を示した特性図である。横軸が累積点灯時間を示し、縦軸が光束を示す。図9(a)に示すように、放電灯110の光束は累積点灯時間の経過に伴って低下する。また、時間の経過に伴って、放電灯110の汚れや装着している照明器具の汚れなどによっても光量は低下する。
【0093】
図9(b)は、累積点灯時間の経過に伴って放電灯の電力を増加することを示す図である。横軸が累積点灯時間を示し、縦軸が放電灯の電力を示す。放電灯110の光量が累積点灯時間に伴って低下することを抑制するため、図9(b)のように、累積点灯時間が短い時は放電灯110の電力を全光の100%よりも抑制し(例えば70%:70%調光)、放電灯の累積点灯時間の経過に伴って放電灯110の電力を増加していく。このような制御により、図9(c)のように、累積点灯時間の経過によっても、放電灯の光出力が概略一定になる。このように、累積点灯時間が放電灯の定格寿命になった場合に、全光の100%の電力になるように駆動周波数の基準指令値nSTDをプログラムで与える。
【0094】
即ち、累積点灯時間に対する放電灯110の電力が図9(b)の特性になるように、所定の累積点灯時間の増加毎に(例えば、500時間の増加毎に)、それに対応した放電灯110の電力が得られるような駆動周波数基準指令値nSTDをマイコンプログラムで設定する。これによって、累積点灯時間の経過に対して、放電灯110の光出力を図9(c)の特性になるように制御することがきる。なお、累積点灯時間が放電灯の定格寿命に到達したり、あるいは放電灯110が定格寿命前に不良になった場合等は、新品放電灯への置換作業と、それに対応した不揮発性メモリ400bにおける累積点灯時間の初期値へのクリア(RESET)が行われる(図示省略)。
【0095】
即ち、図9(b)のように、放電灯110が新品又は新品と交換直後には、例えば放電灯電力70%の調光点灯をさせておき、累積点灯時間の経過とともに次第に放電灯110の電力を全光の100%にするよう制御する。
【0096】
図5〜図10を用いて、実施の形態2の放電灯点灯装置2000の動作を説明する。
【0097】
先ず、放電灯負荷回路330の固有振動周波数がバラツキの中心値であるf0typの場合について説明する。f0typには図6におけるグラフ2とグラフ12とが対応し、図7、図10とでは、固有振動周波数fにおける「f0typの列」がこのf0typに相当する。
【0098】
図5において交流電源10が投入されると、実施の形態1で説明したのと同様に、放電灯110は点灯する。
【0099】
(f0typ:70%調光)
ここで、放電灯110が新品又は新品と交換直後であれば図9(b)に示すように、例えば、放電灯の電力が70%(70%調光)になるような、
駆動周波数基準指令値nSTD=n3(図7の行番5)
がマイコンプログラムで与えられる。この場合の駆動周波数fINVは、f23(図7、2行目)である。このf23に対応して図6の「動作点16」で示される放電電流Iが放電灯110に流れる。
【0100】
(f0typ:85%調光)
そして累積点灯時間の経過に従って、放電灯電力を70%調光から適当な調光ステップで増加させる。
例えば、85%調光の場合は、
駆動周波数基準指令値nSTD=n2
として、駆動周波数f22となるように制御する。
【0101】
(f0typ:100%調光)
また、全光の100%出力時には、
駆動周波数基準指令値nSTD=n1
として、駆動周波数f21となるように制御する。この場合、放電灯電流Iは、図6の「動作点12a」になるように制御される。これによって、放電灯110の光出力は図5(c)のように、累積点灯時間の経過に対し概略一定になるように制御できる。
【0102】
(f0max:70%調光)
同様に、放電灯負荷回路330の固有振動周波数が最大(f0max)の場合、70%調光では、図7に示すように、
駆動周波数基準指令値nSTD=n3、
駆動周波数基準指令値の補正値n=−nc1(nc1>0)、
駆動周波数fINV=f33
となる。
これは、図6では、放電灯電流Iは「動作点17」になる。
【0103】
(f0max:85%調光)
また、85%調光では、
駆動周波数基準指令値nSTD=n2、
補正値n=−nc1、
駆動周波数fINV=f32
となる。
【0104】
(f0max:100%調光)
全光の100%出力では、
駆動周波数基準指令値nSTD=n1、
補正値n=−nc1、
駆動周波数fINV=f31となる。
図6では、放電灯電流Iは「動作点13a」となるように制御する。
【0105】
(f0minの場合)
同様に、放電灯負荷回路330の固有振動周波数が最小(f0min)の場合、駆動周波数基準指令値の補正値として+nc1が選択される以外は同様に制御され、放電灯110の光出力は図9(c)のように、累積点灯時間の経過に対し固有振動周波数が中心値の場合と同じ値で概略一定になるように制御できる。
【0106】
そして、累積点灯時間が放電灯110の定格寿命に達したり、あるいは放電灯110が定格寿命前に不良になった場合等は、新品放電灯への置換作業と、それに応動した不揮発性メモリ401の累積点灯時間の初期値へのクリア(RESET)が行われる(図示省略)。
【0107】
図10を参照して具体的設計例の試験データについて説明する。図10は、図7に対応し、実際のインバータ回路300、放電灯負荷回路330等を設計した場合の試験データを示した図である。
(1)図10の行番1〜5は図7の行番1〜5に対応している。
(2)行番9に示すように、適合する放電灯の型名は、「FHF32EX−W(MITSUBISHI/OSRAM製)」である。
(3)行番6および行番7は、放電灯110の電力及び電流を示している。
(4)行番8は、チョークコイル100とコンデンサ120の特性値の積を示す。
(5)行番10は、コンデンサ60の電圧を示す。
(6)行番11は、クロック発振回路312のクロック発振周波数を示している。
(7)行番12は、行番7において、駆動周波数をバラツキ中心の駆動周波数である42.553kHzで駆動した場合の放電灯電流Iを示している。放電灯電流Iの最大値と最小値の差ΔIは、図2に示したΔIに対応している。
【0108】
図10の行番6に示す放電灯110の電力の結果から明らかなように、放電灯110の点灯時の電力のバラツキは概略ゼロである。放電灯110の電力は、累積点灯時間に対応して与えられる駆動周波数基準指令値nSTDによって、累積点灯時間の経過に従って増加するよう制御される。行番6が示すように、累積点灯時間の各通過ポイントで適当な基準周波数基準指令値nSTDを与えることで、放電灯110の光出力を図9(c)の特性にすることができる。
【0109】
(補正値nを用いる場合)
また、放電灯負荷回路330の部品の特性バラツキを補正する駆動周波数基準指令値nSTDの補正値nを加味した駆動周波数fINVを用いることにより、全光時には勿論、各調光時において放電灯電力を概略同一にできる。
【0110】
(調光率70%時)
例えば、調光率70%時に、本実施の形態2による制御方式(補正値nを用いて駆動周波数fINVを算出)での放電電流IのバラツキΔIは、1mA(=221−220:図10、行番7)である。これに対し、駆動周波数fINVを53.097kHzとした一定周波数の場合のΔIは、74mA(図10、行番12)と大幅に増大している。
【0111】
(調光率85%時)
同様に、調光率85%の場合は、本実施の形態2による制御方式(補正値nを用いて駆動周波数fINVを算出)での放電電流IのΔIは、6mA(=293−287:図10、行番7)である。これに対し、駆動周波数fINVを一定とした場合のΔIは、47mA(図10、行番12)と大幅に増大している。
【0112】
即ち、本実施の形態2による制御方式(補正値nを用いて駆動周波数fINVを算出)によれば、放電灯負荷回路330の部品の特性バラツキによらず、各調光率のおいて、放電灯110の光出力を概略同一にできる。なお、不揮発性メモリはマイコン内部に保有するものでもよいことは勿論である。
【0113】
なお、図10の場合について、具体的な放電灯点灯装置2000の動作は次の様である。放電灯点灯装置2000の特性が、図6の「f0min」の場合に該当することを想定する。
(1)(駆動周波数基準指令値記憶部315)
放電灯点灯装置2000が、図6の「f0min」に該当する場合には、その特性は、図6のグラフ、グラフ11が対応する。駆動周波数基準指令値記憶部315は、図10における行番5の「f0min」のそれぞれの駆動周波数基準値nSTDであるnSTD=113(70%出力)、nSTD=123(85%出力)、nSTD=141(100%出力)を累積点灯時間との関係で記憶している。図11は、駆動周波数基準指令値記憶部315が記する累積点灯時間と基準指令値nSTDとの対応関係を示す対応テーブル2003である。
対応テーブル2003は、累積点灯時間をtとした場合、
0≦t<t1の場合は、nSTD=113、
t1≦t<t2の場合は、nSTD=123、
tがt2以上の場合は、nSTD=141が対応することを示している。
図9(d)は、図11の対応テーブル2003の対応関係をグラフ化して示している。対応テーブル2003により、不揮発性メモリ400bに記録された累積点灯時間tにより113、123、141という複数の駆動周波数基準指令値nSTDのなかからいずれかが定まることとなる。
(2)(駆動周波数生成出力回路311)
具体的には、駆動周波数生成出力回路311は、不揮発性メモリ400bに記録された累積点灯時間tを参照することにより駆動周波数基準指令値記憶部315が記憶する複数の駆動周波数基準指令値nSTDである113、123、141のなかから、対応テーブル2003の累積点灯時間の範囲に合致する駆動周波数基準指令値nSTDを選択値として選択する。例えば、駆動周波数生成出力回路311は、不揮発性メモリ400bに記録された累積点灯時間tがt1≦t<t2の範囲(85%出力範囲)に属する場合、選択値としてnSTD=123を選択する。この設例では補正値nを考慮しないので、駆動周波数生成出力回路311は、インバータ駆動周波数fINVを次のように48.780kHzと算出する。
すなわち、
INV=クロック周波数fMIC÷nSTD
である。この説例では、図10の行番11に示すようにクロック周波数fMIC=6MHzである。
よって、
INV=6MHz÷123=48.780kHz
となる。
駆動周波数生成出力回路311は、算出した前記インバータ駆動周波数fINV=48.780kHzに対応する制御信号を生成してインバータ駆動回路320に出力する。
後の動作は、実施の形態1の場合と同様である。
(3)以上に説明した「f0min」に該当する場合では、実施の形態1で述べた補正値nを考慮しない場合を説明した。続いて、「f0min」に該当する場合であり、かつ、補正値nを考慮する場合について説明する。これは、図10の「f0min」(補正値=+4)に該当するものである。
【0114】
(「f0min」に該当し、補正値nを考慮する場合)
(1)(駆動周波数基準指令値記憶部315)
この場合も、駆動周波数基準指令値記憶部315は、図11の対応テーブル2003を記憶しているとする。本設例では、さらに、不揮発性メモリ400bが、対応テーブル2003に記載された基準指令値である113、123、141のそれぞれを補正する補正値nを記憶している。この補正値nは、図10の行番4に示すように、「+4」である。本設例では基準指令値である113、123、141の全部に一律「+4」の補正値nを設定しているが、これは一例である。基準指令値ごとに異なる補正値nを設定してもよい。また、補正値が0(ゼロ)の基準指令値(つまり補正しない)が存在しても構わない。これらの場合、不揮発性メモリ400bが記憶する補正値と、対応テーブル2003に記載された基準指令値とを関連付けておけばよい。このように、不揮発性メモリ400bが少なくともいずれかの基準指令値を補正する補正値を記憶していれば、実施の形態1で説明した効果を得ることができる。
(2)(駆動周波数生成出力回路311)
上記の「補正値nを考慮しない場合」と同様にして、駆動周波数生成出力回路311は、不揮発性メモリ400bに記録された累積点灯時間tを参照することにより対応テーブル2003から合致する駆動周波数基準指令値nSTDを選択値として選択する。選択値としてnSTD=123を選択したとする。駆動周波数生成出力回路311は、この選択値に補正値が存在する場合には、選択値とこの選択値の補正補正値とに基づいてインバータ回路300の駆動周波数fINVを算出する。
本設例では、
STD=123には
補正値n=「+4」
が存在する。
よって、
駆動周波数生成出力回路311は、選択値であるnSTD=123と補正値=「+4」とに基づき駆動周波数fINVを算出する。
この設例では補正値nを考慮することにより、駆動周波数生成出力回路311は、インバータ駆動周波数fINVを次のように47.244kHzと算出する。
INV=クロック周波数fMIC÷(nSTD+n
である。この設例では、図10の行番11に示すようにクロック周波数fMIC=6MHzである。
よって、
INV=6MHz÷(123+4)=47.244kHz
となる。
駆動周波数生成出力回路311は、算出した前記インバータ駆動周波数fINV=47.244kHzに対応する制御信号を生成してインバータ駆動回路320に出力する。
後の動作は、実施の形態1の場合と同様である。
【0115】
以上のように本施例の形態2によれば、実施の形態1の場合と同様に、放電灯負荷回路330の部品の特性値にバラツキがある場合でも、調整用の部品を付加することなくマイコンのプログラムでバラツキを補正する補正値を与えることができ、放電灯110の点灯時の電力のバラツキを全光時には勿論、各調光時においても概略放電灯電力を同一にできる効果がある。
【0116】
また、累積点灯時間の各通過ポイントで適当な駆動周波数基準指令値を与えることで、放電灯110の光出力を図9(c)のような累積点灯時間に対する放電灯110の光出力が概略一定であるような特性にすることができる効果がある。即ち、本点灯装置を搭載した複数の照明器具間の光出力を累積点灯時間の初期から寿命末期までにわたって概略同一にできる小型で安価な放電灯点灯装置を提供することができる効果がある。
【0117】
実施の形態2の放電灯点灯装置2000は、駆動周波数生成出力回路311が、不揮発性メモリ400bに記録された累積点灯時間tを参照することにより駆動周波数基準指令値記憶部315が記憶する対応テーブル2003に記載された複数の基準指令値のなかから累積点灯時間tに対応する所定の基準指令値を選択値として選択し、選択した選択値に基づいてインバータ回路300の駆動周波数を算出し、算出した駆動周波数に対応する制御信号を生成して出力する。このため、放電灯点灯装置2000は、放電灯110の光出力を累積点灯時間の初期から寿命末期までにわたって概略同一することができる。
【0118】
実施の形態2の放電灯点灯装置2000は、駆動周波数生成出力回路311が、
クロック信号を発振するクロック発振回路を備えるとともに、このクロック信号の周波数を基準指令値で除算し、除算して得られた値をインバータ駆動周波数とする。よって、累積点灯時間の経過に対して基準指令値のみを変えていくことで、容易に放電灯出力の出力を調整することができる。
【0119】
実施の形態2の放電灯点灯装置2000は、
駆動周波数基準指令値記憶部315が記憶する複数の基準指令値のうちの少なくともいずれかを補正する補正値を記憶する不揮発性メモリ400bを備え、
駆動周波数生成出力回路311が、選択値として選択した基準指令値に補正値が存在する場合には、選択した基準指令値とこの基準指令値を補正する補正値とに基づいてインバータ駆動周波数を算出する。
したがって、累積点灯時間に応じて基準指令値を選択する場合にも、放電灯出力のバラツキを簡易に補正することができる。
【0120】
実施の形態2の放電灯点灯装置2000は、
駆動周波数生成出力回路311が、選択値として選択した基準指令値にその補正値が存在する場合には、クロック発振回路の発振するクロック信号の周波数を選択値とその補正値との和で除算し、除算して得られた値をインバータ駆動周波数とする。よって、基準指令値と補正値とはメモリに書き込むだけでよいので、なんら部品を必要とすることなく、放電灯の光出力を調整することができる。
【0121】
実施の形態2の放電灯点灯装置2000は、駆動周波数基準指令値記憶部315が、互いに異なる複数の基準駆動周波数のそれぞれに対応する複数の基準指令値を記憶するので、このため、累積点灯時間の経過にともない、放電灯点灯装置2000を搭載した複数の照明器具どうしの光出力を概略同一にできる。
【0122】
以上の実施の形態1、実施の形態2で説明した放電灯点灯装置は、以下に示すような効果を奏する。
【0123】
放電灯負荷回路の部品の特性値にバラツキがある場合でも、調整用の部品を付加することなくマイコンのプログラムでバラツキを補正する補正値を与えることができ、放電灯の点灯時の電力のバラツキを全光時には勿論、各調光時においても概略放電灯電力を同一にできる効果がある。また、累積点灯時間の各通過ポイントで適当な駆動周波数基準指令値を与えることで、放電灯の累積点灯時間に対する放電灯の光出力が概略一定であるような特性にすることができる効果がある。即ち、本放電灯点灯装置を搭載した複数の照明器具間の光出力を累積点灯時間の初期から寿命末期までにわたって概略同一にできる小型で安価な放電灯点灯装置を提供することができる効果がある。
【0124】
以上の実施の形態では、直流電源を高周波電源に変換して放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、
指令値に対応して所定の発振周波数から分割された複数の駆動周波数を出力可能なマイコン制御回路(インバータ制御回路)と、上記放電灯の累積点灯時間とを不揮発的に記憶するメモリとを備え、上記指令値と累積点灯時間とに対応する駆動周波数を上記マイコン制御回路から出力して放電灯を点灯させる放電灯点灯装置を説明した。
【0125】
以上の実施の形態では、直流電源を高周波電源に変換して放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、指令値に対応して所定の発振周波数から分割された複数の駆動周波数を出力可能なマイコン制御回路と、放電灯負荷回路のバラツキを上記駆動周波数の指令値の補正値として不揮発的に記録するメモリとを備え、上記指令値と指令値の補正値とに対応する駆動周波数を上記マイコン制御回路から出力して放電灯を点灯させることを特徴とする放電灯点灯装置を説明した。
【0126】
以上の実施の形態では、直流電源を高周波電源に変換して放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、指令値に対応して所定の発振周波数から分割された複数の駆動周波数を出力可能なマイコン制御回路と、放電灯負荷回路のバラツキを補正する駆動周波数の指令値の補正値及び上記放電灯の累積点灯時間とを不揮発的に記録するメモリとを備え、上記指令値と指令値の補正値と累積点灯時間に対応する駆動周波数を上記マイコン制御回路から出力して放電灯を点灯させる放電灯点灯装置を説明した。
【0127】
以上の実施の形態では、放電灯の駆動周波数は、マイコンの基準クロック周波数を上記指令値で除した周波数であることを特徴とする放電灯点灯装置を説明した。
【0128】
以上の実施の形態では、放電灯の駆動周波数はマイコンの基準クロック周波数を上記指令値と上記指令値の補正値との和で除した周波数であることを特徴とする放電灯点灯装置を説明した。
【0129】
以上の実施の形態では、上記指令値を累積点灯時間の経過とともに大きくすることを特徴とする放電灯点灯装置を説明した。
【0130】
以上の実施の形態では、上記指令値の補正値を累積点灯時間の経過で一定にすることを特徴とする放電灯点灯装置を説明した。
【0131】
以上の実施の形態では、上記放電灯の正常点灯時間を累積点灯時間とすることを特徴とする放電灯点灯装置を説明した。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】実施の形態1における放電灯点灯装置1000の回路図。
【図2】実施の形態1における放電灯点灯装置1000の動作を説明するための説明図。
【図3】実施の形態1における駆動周波数の生成方法を示す図。
【図4】実施の形態1における放電灯点灯装置1000の実動作の試験データ表。
【図5】実施の形態2における放電灯点灯装置2000の回路図。
【図6】実施の形態2における放電灯点灯装置2000の動作を説明するための説明図。
【図7】実施の形態2における放電灯点灯装置2000の動作を説明するための説明図。
【図8】実施の形態2における調光を説明する図。
【図9】実施の形態2における累積点灯時間と放電灯の光出力との関係を示す図。
【図10】実施の形態2における放電灯点灯装置2000の実動作の試験データ表。
【図11】実施の形態2における対応テーブルを示す図。
【符号の説明】
【0133】
10 交流電源、20 ダイオードブリッジ、30 チョークコイル、40 ダイオード、50 スイッチング素子、60 コンデンサ、70,80 スイッチング素子、90 カップリングコンデンサ、100 チョークコイル、110 放電灯、120 コンデンサ、200 昇圧チョッパ回路、210 昇圧チョッパ制御回路、300 インバータ回路、310a,310b インバータ制御回路、311 駆動周波数生成出力回路、312 クロック発振回路、313 補正値一時格納部、314 動作モード切替回路、315 駆動周波数基準指令値記憶部、2001 点灯時間カウンタ、2002 累積点灯時間記録領域、2003 対応テーブル、320 インバータ駆動回路、330 放電灯負荷回路、400a,400b 不揮発性メモリ、500 調整モード時駆動周波数基準指令値の補正値入力、600 通常動作/調整モード切替入力、1000,2000 放電灯点灯装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、
ドライブ信号にしたがって所定の駆動周波数で駆動することにより、駆動周波数に応じた高周波電力を前記放電灯に供給するインバータ回路と、
前記インバータ回路の駆動周波数に対応する値である駆動周波数対応値を記憶する駆動周波数対応値記憶部と、
前記駆動周波数対応値記憶部が記憶する駆動周波数対応値を補正する補正値を記憶する補正値記憶部と、
前記駆動周波数対応値記憶部が記憶する駆動周波数対応値と前記補正値記憶部が記憶する補正値とに基づいて前記インバータ回路の駆動周波数を算出し、算出した駆動周波数に対応する制御信号を生成して出力する制御信号出力部と、
前記制御信号出力部が出力した制御信号から前記インバータ回路を駆動するドライブ信号を生成し、生成したドライブ信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動回路と
を備えたことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
所定の周波数のクロック信号を発振するクロック発振回路を備え、
前記制御信号出力部は、
前記クロック発振回路の発振するクロック信号の周波数を前記駆動周波数対応値記憶部が記憶する駆動周波数対応値と前記補正値記憶部が記憶する補正値との和で除算し、除算して得られた値を前記インバータ回路の駆動周波数とすることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記駆動周波数対応値記憶部は、
前記インバータ回路の駆動周波数のうちあらかじめ基準として定められた基準駆動周波数に対応する駆動周波数対応値を基準指令値として記憶することを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
放電灯を点灯させる放電灯点灯装置において、
ドライブ信号にしたがって所定の駆動周波数で駆動することにより、駆動周波数に応じた高周波電力を前記放電灯に供給するインバータ回路と、
前記放電灯の点灯時間を累積して累積点灯時間として記録する累積点灯時間記録部と、
前記インバータ回路の駆動周波数に対応するとともに前記累積点灯時間記録部に記録された累積点灯時間からいずれかが定まる複数の駆動周波数対応値を記憶する駆動周波数対応値記憶部と、
前記累積点灯時間記録部に記録された累積点灯時間を参照することにより前記駆動周波数対応値記憶部が記憶する複数の駆動周波数対応値の中から所定の駆動周波数対応値を選択値として選択し、選択した選択値に基づいて前記インバータ回路の駆動周波数を算出し、算出した駆動周波数に対応する制御信号を生成して出力する制御信号出力部と、
前記制御信号出力部が出力した制御信号から前記インバータ回路を駆動するドライブ信号を生成し、生成したドライブ信号を前記インバータ回路に出力するインバータ駆動回路と
を備えたことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
所定の周波数のクロック信号を発振するクロック発振回路を備え、
前記制御信号出力部は、
前記クロック発振回路の発振するクロック信号の周波数を選択値で除算し、除算して得られた値を前記インバータ回路の駆動周波数とすることを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
前記駆動周波数対応値記憶部が記憶する複数の駆動周波数対応値のうちの少なくともいずれかを補正する補正値を記憶する補正値記憶部を備え、
前記制御信号出力部は、
選択値として選択した駆動周波数対応値に前記補正値記憶部が記憶する補正値が存在する場合には、選択値とこの選択値を補正する補正値とに基づいて前記インバータ回路の駆動周波数を算出することを特徴とする請求項4記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
所定の周波数のクロック信号を発振するクロック発振回路を備え、
前記制御信号出力部は、
選択値として選択した駆動周波数対応値に前記補正値記憶部が記憶する補正値が存在する場合には、前記クロック発振回路の発振するクロック信号の周波数を選択値とこの選択値を補正する補正値との和で除算し、除算して得られた値を前記インバータ回路の駆動周波数とすることを特徴とする請求項6記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
前記駆動周波数対応値記憶部は、
前記インバータ回路の駆動周波数のうちあらかじめ基準として定められた互いに異なる複数の基準駆動周波数のそれぞれに対応する複数の駆動周波数対応値を基準指令値として記憶することを特徴とする請求項4〜7いずれかに記載の放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−213871(P2007−213871A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30285(P2006−30285)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】