説明

新規アリール化カンフェン、その製造方法およびその使用

本発明は、アリール化カンフェン、それらの製造方法、ならびにCB2受容体の刺激と関連するかまたはそれから利益を得る疾患、障害または症状の処置のための医薬剤の製造のためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリール化カンフェン、それらの製造方法、ならびにCB2受容体の刺激と関連するかまたはそれから利益を得る疾患、障害または症状の処置のための医薬剤の製造のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の出版物は、本発明の技術分野における技術の状態を述べるために関係がある:





【0003】
2つのカンナビノイド受容体−すなわち、CB1受容体(中枢神経系(CNS)に主に存在し、末梢にはより少ない程度に存在する)およびCB2受容体(主に末梢受容体とみなされる)は、これまでは、十分に特性化されてきた。内因性カンナビノイドにより産生されるCB1受容体の天然刺激は、必要な時および必要な場合、われわれの生理学的系の多くにとって重要である。しかしながら、CB1アゴニスト(例えば、マリファナ構成物質THC)の外因性投与は、望ましくない副作用をもたらし得る。したがって、中枢神経系に作用を及ぼすCB1アゴニストは、限定された治療価値を有する(近年の再検討に関しては、Kogan and Mechoulam, 2007参照)。
【0004】
CB2受容体は、CNS中に、主に神経膠細胞中に、低レベルで存在する。しかしながら、多数の神経学的症状は、脳におけるこの受容体の発現を誘導することが示されている。これらの症状のいくつかは、大脳低酸素症−虚血、大脳動脈閉塞、アルツハイマー病およびハンチントン病である。CB2受容体の刺激は、通常はCB1受容体の刺激に関連する望ましくないCNSまたな他の作用、例えば大きなおよび/または有害な神経活性作用を伴わない、ということがさらに示された(Ashton and Glass, 2007)。
【0005】
したがって、CB2受容体のこのような刺激と関連するかまたはそれから利益を得る疾患、障害または症状を処置するために利用され得る選択的CB2受容体刺激が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、一般式(I):
【化1】


(式中、


は、各々独立して、単結合または二重結合であり;
は、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルケニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキニルおよび−C(=O)R(各々任意に、−OH、−COOH、−NH、C〜Cアミン、ハロゲン、フェニル、ヘテロアリールから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択され;この場合、
は、−H、−OH、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルケニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシ、−NRからなる群から選択され:
およびRは、各々独立して、Hおよび直鎖または分枝鎖C〜Cアルキルから選択され;そして
およびRは、各々独立して、−H、−OH、=O、=CR、=NR、=S、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−OH、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択され;ここで、
、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシおよび−NHから選択されるが;
但し、RおよびRのうちの少なくとも1つは、前記置換−C〜C15アリール環である)
の化合物を提供する。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態では、


のうちの少なくとも1つは二重結合である。
【0008】
本発明の一実施形態では、式(I)の


は二重結合である。その結果として、式(I)の化合物は、式(I’):
【化2】


(式中、置換基R、RおよびRは上記と同様である)
の化合物である。
【0009】
本発明の別の実施形態では、式(I)の


は単結合である。その結果として、式(I)の化合物は、式(I''):
【化3】


(式中、置換基R、RおよびRは上記と同様である)
の化合物である。
【0010】
一実施形態では、


は二重結合である。この実施形態によれば、


は単結合であり、


は単結合または二重結合であり得る。
【0011】
別の実施形態では、


は二重結合である。この実施形態によれば、


は単結合であり、


は単結合または二重結合であり得る。
【0012】
さらなる実施形態では、


は単結合であり、


は単結合である。
【0013】
本発明の別の実施形態では、RおよびRのうちの少なくとも1つは、直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルコキシカルボン酸、−C(=O)OH、−C(=O)NH、−C(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)(C〜Cアルコキシ)、−OC(=O)H、−OC(=O)NH、−OC(=O)(C〜Cアルキル)から選択される少なくとも2つの置換基により置換されるフェニル環である。したがって、一実施形態では、Rは、直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−COOH、−CONH、−C(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)(C−Cアルコキシ)、−OCOH、−OC(=O)NH、−OC(=O)(C〜Cアルキル)から選択される少なくとも2つの置換基により置換されるフェニル環であり、そしてRは、−H、−OH、=O、=CR、=NR、=S、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択されるが、この場合、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜CアルコキシおよびNHから選択される。別の実施形態では、Rは、フェニル環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ−COOH、−CONH、−C(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)(C〜Cアルコキシ)、−OCOH、−OC(=O)NH、−OC(=O)(C〜Cアルキル)から選択される少なくとも2つの置換基により置換される)であり、そしてRは、−H、−OH、=O、=CR、=NR、=S、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択されるが;ここで、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシおよび−NHから選択される。
【0014】
本発明の別の実施形態では、RおよびRの少なくとも1つは、フェニル環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、−C(=O)OH、−C(=O)NH、−C(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)(C〜Cアルコキシ)、−OC(=O)H、−OC(=O)NH、−OC(=O)(C〜Cアルキル)から選択される少なくとも3つの置換基により置換される)である。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、


のすべてが単結合を表す場合、RおよびRの少なくとも1つは、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも2つの置換基により置換される)であり、この場合、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜CアルコキシおよびNHから選択される。
【0016】
本発明の他の実施形態では、


のすべてが単結合を表す場合、RおよびRのうちの少なくとも1つは、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも3つの置換基により置換される)であり;この場合、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜CアルコキシおよびNHから選択される。
【0017】
本発明の別の実施形態では、RおよびRの少なくとも1つは、式(II)の基である:
【化4】


(式中、RjおよびRは、各々独立して、H、および−OR(ここで、Rは、H、−COOR、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル(任意に、−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択される)から選択されるが、但し、RjおよびRの少なくとも1つはHではなく、そしてRは、直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシ、直鎖または分枝鎖C〜Cエーテルから選択され、各々、任意に、−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により置換され、そしてRは、H、C〜Cアルキルおよび−NHから選択される)。
【0018】
したがって、本発明の化合物は、式(III)、(IV)、(V)または(VI)のいずれか1つの化合物であり得る:
【化5】


(式中、RjおよびRは、各々独立して、Hまたは−OR(ここで、Rは、H、−COOR、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル(−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により任意に置換される)から選択されるが、但し、RjおよびRの少なくとも1つはHではなく;そしてRは、直鎖または分枝鎖C〜C12アルキルであり、Rは、H、C〜Cアルキルおよび−NHから選択される)。
【0019】
本発明の別の実施形態では、Rは、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキルおよび−C(=O)R(各々任意に、−OH、−COOH、−NH、C〜Cアミン、ハロゲン、フェニル、ヘテロアリールから選択される少なくとも1つの基により置換され、そしてRは本明細書中の前記と同様である)から選択される。
【0020】
本発明の別の実施形態では、RおよびRの少なくとも1つは、式(II’)または(II''):
【化6】


(式中、Rj、RおよびRmmは、各々独立して、H、および−OR(ここで、Rは、H、−COOR、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル(−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により任意に置換される)から選択される)から選択されるが、但し、RjおよびRの少なくとも1つはHではなく、そしてRは、任意置換直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、任意置換直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシ、任意置換直鎖または分枝鎖C〜Cエーテルから選択され、そしてRは、H、C〜Cアルキルおよび−NHから選択される)
の基である。
【0021】
式(I)の化合物の他の実施形態では、


が単結合である場合、RおよびRは、各々独立して、−H、−OH、=O、=CR、=NR、=S、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも2つの置換基により置換され、この場合、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシおよび−NHから選択される)から選択されるが、但し、RおよびRの少なくとも1つは前記置換−C〜C15アリール環である。さらなる実施形態では、上記Rは=Oであり、したがって、本発明の化合物は、式(VII)(式中、Rは上記置換−C〜C15アリール環である)の化合物であり得る:
【化7】

【0022】
さらなる実施形態では、Rは=Oであり、したがって、本発明の化合物は、式(VIII)(式中、Rは上記置換−C〜C15アリール環である)の化合物であり得る:
【化8】

【0023】
一実施形態では、本発明の化合物は、以下の一覧から選択される:
−メチル−2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート;
−メチル−2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート;
−2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン;
−(2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール;
−(2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール;
−2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸;
−2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸;
−3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン;
−3−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン;
−3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン;
−3−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール;
−3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール;
−(3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール;
−3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸;
−メチル3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート;
−(3−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール;
−3−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸;
−5−(2−メチルオクタン−2−イル)−2−(4,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール;
−2−(4−(ヒドロキシメチル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)−5−(2−メチルオクタン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール;
−3−(2,6−ジヒドロキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸;
−2−(4−(ヒドロキシメチル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−5−(2−メチルオクタン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール;
−5−(2−メチルオクタン−2−イル)−2−(4,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール;および
−3−(2,6−ジヒドロキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸。
【0024】
本発明は、さらに、一般式(I):
【化9】


(式中、


は、各々独立して、単結合または二重結合であり;
は、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルケニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキニルおよび−C(=O)R(各々任意に、−OH、−COOH、−NH、C〜Cアミン、ハロゲン、フェニル、ヘテロアリールから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択され、この場合、
は、−H、−OH、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルケニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシ、−NRからなる群から選択され、
およびRは、各々独立して、Hおよび直鎖または分枝鎖C〜Cアルキルから選択され、そして
およびRは、各々独立して、−H、−OH、=O、=CR、=NR、=S、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−OH、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択され、ここで、
、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシおよび−NHから選択され、あるいは
およびRは、それらが各々結合される炭素原子と一緒になって環を形成し得るし;前記環は、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロヘテロアルキニル環であり;いくつかの場合、上記環は6〜12員環であるが、
但し、RおよびRのうちの少なくとも1つは、前記置換−C〜C15アリール環である)
の化合物を提供する。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、一般式(XII):
【化10】


(式中、


は、単結合または二重結合であり、
は、−H、−OH、=O、=CR、=NR、=S、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択され;この場合、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシおよび−NHから選択され、
Rjは、H、および−OR(ここで、Rは、H、−COOR、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル(任意に、−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択される)から選択され、そしてRは、H、C〜Cアルキルおよび−NHから選択され、
は、直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシ、直鎖または分枝鎖C〜Cエーテルから選択され、各々任意に、−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により置換され、
およびZは、各々独立して、−O−、直鎖または分枝鎖C〜C−アルキレン、−S−、−C(=O)−および−C(=S)−から選択される)
を有する。
【0026】
他の実施形態では、本発明の化合物は、以下の:
【化11】


からなる群から選択され得る。
【0027】
本明細書中で用いる場合、「アルキル」という用語は、1〜5個の炭素原子、または1〜7個の炭素原子、または5〜9個の炭素原子、または6〜12個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素を指す。本明細書中で用いられる「アルキル」の例としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチルおよびイソプロピル、tert−ブチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書中で用いる場合、「アルケニル」という用語は、2〜5個、または2〜12個の炭素原子、ならびに少なくとも1つの二重結合を有する分枝鎖または直鎖炭化水素を表す。このような基の例としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1,3−ブタジエニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書中で用いる場合、「アルキニル」という用語は、2〜5個、または2〜12個の炭素原子、ならびに少なくとも1つの三重結合を有する分枝鎖または直鎖炭化水素を表す。このような基の例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書中で用いる場合、「アリール」という用語は、5〜15個の炭素原子を含有する芳香族単環式または多環式基を指す。アリール基としては、非置換または置換フルオレニル、非置換または置換フェニル、および非置換または置換ナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。置換されている上記アリールに言及する場合、上記置換は、本発明の化合物の他の環系への結合の点以外の環上の任意の位置であり得る。したがって、アリール環上の任意の水素原子は、本発明により定義される置換基で置換され得る。アリールがフェニル環である実施形態では、上記置換は、結合の点に比して、メタ−および/またはオルト−および/またはパラ−位置であり得る。
【0031】
本明細書中で用いる場合、「ヘテロアリール」という用語は、ある実施形態では、約5〜約15員の、単環式または多環式芳香族環系を指し、この場合、環系中の1つ以上の、一実施形態では、1〜3個の原子が。異種原子、すなわち、炭素以外の元素、例えば窒素、酸素またはイオウであるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、任意に、ベンゼン環と縮合され得る。ヘテロアリール基としては、フリル、イミダゾリル、ピリミジニル、テトラゾリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、トリアゾリル、キノリニルおよびイソキノリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書中で用いる場合、「C〜C12アルコキシカルボン酸」という用語は、−O−(C〜C12アルキレン)−COOHラジカルを指す。
【0033】
本明細書中で用いる場合、「アルキレン」という用語は、1〜5個の炭素原子を有する飽和、二価、分枝鎖または直鎖炭化水素基を指す。C1−5アルキレン基の非限定例としては、メチレン、エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、ブチレン、イソブチリデン、ペンチレン、ヘキシレン等が挙げられる。
【0034】
本明細書中で用いる場合、「エステル」という用語は、−COOR基(ここで、Rは上記で定義されたようなアルキルである)を包含するよう意図される。
【0035】
本明細書中で用いる場合、「エーテル」という用語は、−R’OR基(ここで、R’はC〜C直鎖または分枝鎖アルキレン基であり、RはC〜C直鎖または分枝鎖アルキル基である)を指す。
【0036】
本明細書中で用いる場合、「アルコキシ」という用語は、RO−基(ここで、Rは上記のようなアルキルである)を指す。
【0037】
本明細書中で用いる場合、「C〜Cアミド」という用語は、モノアルキルアミド(−CONHR)またはジアルキルアミド(−CONRR’)(ここで、RおよびR’は、独立して、C〜C直鎖または分枝鎖アルキルである)を指す。
【0038】
本明細書中で用いる場合、「C〜Cアミン」という用語は、−NHRまたは−NRR’基(ここで、RおよびR’は、独立して、C〜C直鎖または分枝鎖アルキルである)を指す。
【0039】
「任意に置換される」という用語は、本明細書中で用いる場合、当該基が、置換されないか、または、例えば上記のような置換基、ならびにフェニル、置換フェニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン(−F、−Cl、−Br、−I)、−COOH、−NH、−NHRおよび−NRR’基(ここで、RおよびR’は、各々独立して、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキルである)といったような置換基のうちの1つ以上で置換される、ということを意味する。当該基が1つより多い置換基で置換される場合、置換基は、同一であることも異なることもあり、そして上記置換は置換される基の上の任意の位置で(すなわち、末端または任意の中間鎖位置、あるいはその両方で)起こり得る。
【0040】
「シクロアルキル」という用語は、単結合のみを介して連結される6〜12個の炭素原子を有する環式環を指す。
【0041】
「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を有して連結される6〜12個の炭素原子を有する環式環を指す。
【0042】
「シクロアルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を有して連結される6〜12個の炭素原子を有する環式環を指す。
【0043】
「シクロヘテロアルキル」という用語は、単結合のみを介して連結される6〜12個の炭素原子を有する環式環を指し、この場合、少なくとも1つの炭素原子が、N、O、Sから選択される異種原子に置き換えられる。
【0044】
「シクロヘテロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を有して連結される6〜12個の炭素原子を有する環式環を指し、この場合、少なくとも1つの炭素原子が、N、O、Sから選択される異種原子に置き換えられる。
【0045】
「シクロヘテロアルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を有して連結される6〜12個の炭素原子を有する環式環を指し、この場合、少なくとも1つの炭素原子が、N、O、Sから選択される異種原子に置き換えられる。
【0046】
本発明のある種の化合物は少なくとも1つのステレオジェニック炭素原子を保有し得る、と当業者により理解される。したがって、本発明は、このような化合物のすべての考え得る立体異性体、例えばそのすべての考え得る混合物(例えば、ラセミ混合物、ジアステレオマー混合物、非ラセミ混合物等)を包含する、ということに留意すべきである。本発明の化合物は二重結合を保有し得る、ということがさらに強調される。したがって、本発明は、その任意の混合物を含めたこのような化合物の任意の立体異性体(シス、トランス、EまたはZ立体異性体)を包含する。
【0047】
本発明はさらに、本発明の化合物の製造方法を提供する。
【0048】
一態様において、本発明は、上記で定義されたような一般式(I)の化合物の製造方法であって、以下の:
(a)一般式(X)または(X’):
【化12】


(式中、R、RおよびRは、本明細書中に上記されたものと同じ意味を有し、Xはハロゲン化物、擬ハロゲン化物、官能性脱離基(例えば、−OTfおよびカップリング反応時に容易に除去され得る類似の官能基)であり;そして


は、各々独立して、単結合または二重結合である)
を有する化合物を提供すること;
(b)触媒の存在下で、化合物(X)または(X’)を、それぞれ一般式(XI)または(XI’):
【化13】


(式中、Yの各々は、OH、C〜Cアルコキシから選択されるか、あるいはともに、それらが結合されるホウ素原子と一緒になって環式ジアルコキシ環を形成し得る)
を有する化合物と反応させて、それにより式(I)の化合物を得ること
を包含する方法を提供する。
【0049】
別の態様では、本発明は、上記で定義されたような一般式(I)の化合物の製造方法であって、以下の:
(a)一般式(X)または(X’):
【化14】


(式中、R、RおよびRは、本明細書中に上記されたものと同じ意味を有し;Xはハロゲン化物、擬ハロゲン化物、官能性脱離基(例えば、−OTfおよびカップリング反応時に容易に除去され得る類似の官能基)であり、そして


は、各々独立して、単結合または二重結合である)
を有する化合物を提供すること、
(b)化合物(X)または(X’)を、それぞれR−HまたはR−Hとカップリングさせて、それにより式(I)の化合物を得ること
を包含する方法を提供する。いくつかの実施形態では、上記カップリング工程は、以下で詳述されるようなハロゲン−金属交換法である。
【0050】
このような方法としては、例えば、以下のような鈴木クロスカップリング反応が挙げられる:
1. ジメチルホルムアミド中のヨウ化メチルおよび炭酸カリウムで(±)ケトピニン酸をメチル化し、それにより(±)ケトピニン酸メチルを得ること;
2. リチウムジイソプロピルアミドにより(±)カンファー/(±)エピカンファー/(±)ケトピニン酸メチルをエノール化し、テトラヒドロフラン中のフェニルトリフリミドを付加して、対応する(±)ビニルトリフラートを得ること;
3. n−ブチルリチウムにより2,6−ジメチルエーテル−4−アルキルレゾルシノールをリチウム化し、テトラヒドロフラン中のイソプロピルピナコールボレートを用いてアリールホウ酸エステルを生成すること;
4. テトラヒドロフラン中のtert−ブチルフッ化アンモニウムの存在下でテトラキス−パラジウムトリフェニルホスフィンにより触媒されるアリールホウ酸エステルおよび(±)ビニルトリフラート間のクロスカップリング反応により対応する(±)アリール化ボルネンを得ること;
5. テトラヒドロフラン中で水素化アルミニウムリチウムにより(±)アリール化ケトピニン酸メチルを還元して、対応するアルコールを得ること;
6. メタノール/水中で水酸化リチウムにより(±)アリール化ケトピニン酸メチルを加水分解して、対応する酸を得ること。
【0051】
本発明の化合物の製造のための別の代替法としては、以下のようなハロゲン−金属交換法が挙げられる:
1. n−ブチルリチウムによるリチウム化および2,6−ジメチルエーテル−4−アルキルレゾルシノールのヨウ化銅金属化は、ジエチルエーテル中で(+)3−ブロモカンファーとのカップリング反応を促進して、対応するアリール化カンファーを生成すること;
2. テトラヒドロフラン中で水素化アルミニウムリチウムによりカンファーカルボニルを還元して、対応するアルコールを得ること。
【0052】
本発明の化合物の製造のための合成手順の例を、スキーム1および2に記載する。
【化15−1】


【化15−2】


【化16】

【0053】
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、CB受容体を刺激し得る。
【0054】
「CB受容体」という用語は、カンナビノイドおよび/またはエンドカンナビノイドと結合するそれらの能力により定義されるカンナビノイドGタンパク質連結受容体を包含するよう意図される。一実施形態では、上記受容体はCB2受容体(カンナビノイド受容体2型)である。別の実施形態では、CB2受容体の上記刺激は、疾患、障害または症状の処置に関連する。
【0055】
CB受容体に対する本発明の組成物の「刺激」に言及する場合、例えば上記CB受容体に及ぼす本発明の化合物のアゴニスト作用といったような、上記受容体の活性化を可能にするためのCB受容体の任意程度の励起を包含することが意図される。このような刺激が達成されるために、本発明の化合物および上記受容体間の会合が確立されるべきである、ということが特筆される。本発明の化合物は、任意の型の相互作用、例えば共有結合、静電結合(例えば、水素結合、πまたはσ相互作用、ロンドン分散力、ファンデルワールス力等)、イオン結合、金属結合等を介して、上記受容体と会合され得る。
【0056】
CB2受容体刺激は、かなりの医学的価値を有することが示されている(Ashton and Glass, 2007)。われわれの特許に関連するいくつかの作用を、いかに列挙する:
1. 選択的CB2受容体は、多様な範囲の動物モデルにおいて強力な抗炎症作用を引き起こし(Ashton and Glass, 2007; Benito et al. 2008);神経障害性疼痛を低減し(Yamamoto et al., 2008);前炎症性サイトカインの分泌を抑制するプロ炎症性サイトカイン(pro-inflammatory cytokines)(Klegeris et al., 2003)。
2. CB2受容体アゴニストは、骨芽細胞機能を刺激し、破骨細胞を抑制して、骨形成増大をもたらす。これらの作用は、骨粗鬆症に大きく関連している(Ofek et al., 2005)。
3. CB2受容体刺激は、動物モデルにおけるアテローム硬化症の進行を遅らせる(Stefens et al., 2005; Steffens and Mach, 2006)。大脳低酸素症−虚血および中大脳動脈閉塞はCB2受容体の発現を誘導するので、このようなアゴニストはこれらの症状の作用を下げ得る(Ashton et al., 2006)。
4. 選択的CB2受容体刺激は、肝性脳症(急性および慢性肝不全の両方を生じる神経精神医学的合併症)を低減し、抗フィブリノーゲン作用を表示することが示されている(Avraham et al., 2006; Dagon et al., 2007; Lotersztajn et al., 2008)。
5. CB2受容体刺激は、アルツハイマー病(Benito et al., 2008)、ハンチントン病(Fernandez-Ruiz et al. 2005)、筋萎縮性側索硬化症(Bilsland et al., 2006;Centonze et al., 2007)、多発性硬化症(Docagne et al., 2008)およびミエリン障害(Arevalo-Martin et al., 2008)の進行を遮断する可能性を有する。一般的再検討に関しては、Fernandez-Ruiz et al., (2008)参照。
6. カンナビノイドCB2受容体活性化は、マウス巣状虚血/再還流モデルにおける脳梗塞を低減し、そしてCB1アンタゴニストはCB2アゴニストと一緒に、大脳血管流を改善した(Zhang et al. 2008)。
7. CB2受容体刺激は、虚血準備状態の確立を手助けする(種々の器官における虚血−再還流に対する強力な内因性形態の組織防御)(Pacher and Hasko, 2008)。
8. CB2受容体刺激は、嘔吐の抑制を生じる(van Sickle et al., 2005)。
9. CB2カンナビノイドアゴニストは、神経前駆体増殖を刺激する(Palazuelos et al., 2006, 2008)。この作用は、神経損害の改善に関連し得る。
【0057】
本発明の状況では、「処置」という用語は、疾患、障害または症状と闘う目的のための患者の管理およびケアを包含するよう意図される。本用語は、疾患、障害または症状の進行の遅延、症候および合併症の緩和または軽減、および/または疾患、障害あるいは症状の治癒または排除を含むよう意図される。処置されるべき患者は、好ましくは哺乳動物、特にヒトである。この用語は、以下のうちの1つにおいて有効である治療量の本発明の化合物の投与を指す:疾患、障害または病理学的症状に関連した望ましくない症候を改善する;それらが起きる前にこのような症候の症状発現を防止するのに有効;疾患または障害の進行を遅くするのに有効;疾患、障害または症状の悪化を遅らせるのに有効;寛解期間の時期開始を延長するのに有効;障害の進行性慢性段階に引き起こされる不可逆的損害を遅らせるのに有効;上記進行性事象の開始を遅延するのに有効;重症度を小さくし、疾患または障害を治癒するために有効;疾患に感染した固体の生存率を改善するのに有効;あるいは上記の全部(例えば、一般的に疾患傾向のある個体)、あるいはそのうちの2つ以上の組合せを生じる疾患形態を防止するのに有効。
【0058】
したがって、本発明の一実施形態では、上記疾患、障害または症状は、炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される。
【0059】
さらなる実施形態では、上記疾患、障害または症状は、大脳損傷である。別の実施形態では、上記大脳損傷は、非開放性頭部損傷、穿通性頭部損傷、爆風損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される脳外傷である。
【0060】
別の実施形態では、本発明の化合物は、脳外傷により引き起こされる二次損害を低下し得る。
【0061】
「大脳損傷」、「脳外傷」または「外傷性脳損傷」という用語は、本明細書中で互換的に用いられる場合、脳に対する任意の外傷性損傷を包含するよう意図されるが、これは、外部衝撃力(例えば急な加速または減速、衝撃、爆風、または発射物による穿通)により、あるいは任意の疾患または障害(例えば、虚血、卒中、感染または動脈瘤)により引き起こされ得る。
【0062】
脳外傷は、重症度、機序(非開放性または穿通性頭部損傷)、あるいは他の特徴(例えば、脳の特定の解剖学的位置で、または広範な領域に亘って生じる)に基づいて分類され得る。頭部損傷は、軽度、中等度および重度区分に分類もされ得るし、例えば損傷被験者の意識のレベルを測定する異なる国際尺度を用いて診断され得る。
【0063】
損傷の時点で引き起こされる損害のほかに、脳外傷は二次損傷(脳外傷により引き起こされる二次損害)を引き起こし、これは、損傷後数分および/または数日以内に起こる種々の事象で症状発現される。これらの過程(大脳血流および頭蓋内圧の変化を含む)は、初期損傷からの損害の実質一因となる。その結果、脳機能は一時的または恒久的に減損されて、構造的損害が検出されることがあるかもしれない。
【0064】
脳機能および脳の神経学的機能の悪化は、原発性脳損傷(組織および血管が引き伸ばされ、圧縮され、引裂かれる外傷時点で起こる損害)だけでなく、外傷後数分〜数日で起こる複合組の細胞過程および生化学的カスケードにより現される二次損傷の一因であり得る。これらの二次過程は、原発性損傷により引き起こされる損害を劇的に悪化し、最大数の恒久的減損を、そして死をも説明し得る。二次事象としては、血液−脳関門に対する損害、炎症を引き起こす因子の放出、フリーラジカル過負荷、神経伝達物質グルタミン酸塩(興奮毒性)の過剰放出、ニューロンへのカルシウムおよびナトリウムイオンの流入、ならびにミトコンドリアの機能不全が挙げられるが、これらに限定されない。脳の白質における損傷軸索は、二次損傷の結果としてそれらの細胞体から分離して、潜在的にそのニューロンを殺し得る。二次損傷における他の因子は、脳への血流の変化;虚血(不十分な血流);大脳低酸素症(脳中の不十分な酸素);大脳水腫(脳の腫脹);ならびに頭蓋内圧上昇(頭蓋骨内の圧力)である。頭蓋内圧は、腫脹、または出血のような病変からの質量効果のため、上昇し得る。その結果、大脳還流圧(脳中の血流の圧力)は低減される;虚血が生じる。頭蓋骨内の圧力が高すぎると、それは脳死またはヘルニア形成を引き起こし、この場合、脳の一部は頭蓋骨内の構造により圧搾される。
【0065】
別の実施形態では、本発明の化合物は、医薬剤として用いるために利用される。
【0066】
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される疾患、障害または症状の処置に利用される。一実施形態では、本発明の化合物は、大脳損傷の処置に用いられる。一実施形態では、上記大脳損傷は、非開放性頭部損傷、穿通性頭部損傷、爆風損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される。別の実施形態では、本発明の化合物は、脳外傷により引き起こされる二次損害を低下するのに用いるために利用される。
【0067】
その態様のうちの別の1つでは、本発明は、本発明の化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0068】
一実施形態では、本発明の上記薬学的組成物は、炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される疾患、障害または症状の処置に用いるためである。別の実施形態では、上記疾患、障害または症状は大脳損傷である。さらなる実施形態では、上記大脳損傷は、非開放性頭部損傷、穿通性頭部損傷、爆風損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される。別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、脳外傷により引き起こされる二次損害を低下するのに用いられる。
【0069】
本発明のさらなる態様では、薬学的組成物の製造のための本発明の化合物の使用が提供される。
【0070】
いくつかの実施形態では、上記薬学的組成物は、骨成長、骨質量、骨修復の刺激または骨損失の防止に用いるためである。
【0071】
別の態様では、本発明は、CB受容体を刺激し得る医薬剤(または薬学的組成物)の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。一実施形態では、受容体はCB2受容体である。
【0072】
さらなる態様において、本発明は、大脳損傷の処置のための医薬剤の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0073】
別の態様では、本発明は、脳外傷により引き起こされる二次損害を低下するための医薬剤の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0074】
その態様のうちの別の1つにおいて、本発明は、骨成長、骨質量、骨修復の刺激または骨損失の防止のための薬学的組成物の調製のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0075】
本発明のさらなる態様では、骨成長、骨質量、骨修復の刺激または骨損失の防止に用いるための本発明の化合物が提供される。
【0076】
その態様のうちの別の1つにおいて、本発明は、骨成長、骨質量、骨修復の刺激または骨損失の防止の方法であって、それを必要とする被験者に、治療的有効量の本発明の少なくとも1つの化合物を投与することを包含する方法を提供する。
【0077】
いくつかの実施形態では、上記の骨成長、骨質量、骨修復の刺激または骨損失の防止は、骨減少症、骨粗鬆症、骨折または骨欠損、原発性または続発性上皮小体機能亢進症、骨関節炎、歯周疾患または欠損症、骨溶解性骨損失疾患、形成外科術後、整形外科術後、口腔術後、整形外科移植後および歯科インプラント術後、原発性および転移性骨癌、骨髄炎、あるいはその任意の組合せから選択される少なくとも1つの疾患または障害の処置に関連する。
【0078】
他の実施形態では、上記少なくとも1つの疾患または障害は、骨減少症および骨粗鬆症から選択される。
【0079】
「骨成長、骨質量、骨修復の刺激」という用語は、任意の発達段階(胚性期から初老期まで)での脊椎動物における、骨組織の成長の任意の定量的および/または定性的促進、骨組織の質量の任意の定量的および/または定性的促進、ならびに骨組織修復の任意の定量的および/または定性的促進(例えば、その場合、骨組織の任意の部分が、例えば衝撃後、または疾患、症状あるいは外部処置の任意の副作用の結果として、損害されるかまたは骨折される)を包含するよう意図される。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、それを必要とする被験者における骨質量を増大するためである。他の実施形態では、薬学的組成物は、骨修復を促進するためである。
【0080】
「骨損失の防止」という用語は、任意の発生段階(胚発生段階から初老期まで)での脊椎動物における骨組織損失の任意の定量的および/または定性的抑止を包含するよう意図される。
【0081】
骨成長の刺激、骨質量の獲得、骨損失の防止および救出、ならびに骨修復から利益を得る医学的状態の非限定例は、骨減少症、骨粗鬆症、骨折または骨欠損、原発性または続発性上皮小体機能亢進症、骨関節炎、歯周疾患または欠損症、骨溶解性骨損失疾患、形成外科術後、整形外科術後、口腔術後、整形外科移植後および歯科インプラント術後、原発性および転移性骨癌、骨髄炎、あるいはその任意の組合せである。いくつかの実施形態では、骨成長の刺激から利益を得る医学的状態は、骨減少症または骨粗鬆症である。
【0082】
本発明の化合物を含む薬学的組成物に言及する場合、本発明の化合物と、製薬上許容可能な補助剤との、任意に他の治療薬との混合物を包含する、と理解されるべきである。補助剤は、組成物の他の成分と相溶性であり、そのレシピエントに有害でない、という意味で「許容可能」でなければならない。
【0083】
薬学的組成物は、経口、直腸、鼻、局所(例えば、経皮、頬および舌下)、膣または非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内および皮内)投与に、あるいは埋め込み物を介した投与にてきしたものを包含する。組成物は、製薬業界で周知の任意の方法により調製され得る。このような方法は、本発明に用いられる化合物またはその組合せを任意の補助剤と会合させるステップを包含する。
【0084】
副成分(単数または複数)とも呼ばれる補助剤(単数または複数)としては、当該技術分野で慣用的なもの、例えば担体、充填剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤、着色剤、風味剤、酸化防止剤および湿潤剤が挙げられる。
【0085】
経口投与に適した薬学的組成物は、個別投与単位、例えばピル、錠剤、糖衣錠またはカプセルとして、あるいは粉剤または顆粒として、あるいは溶液または懸濁液として提示され得る。活性成分は、ボーラス剤またはペーストとしても提示され得る。組成物は、さらに、直腸投与のために坐薬または浣腸に加工処理され得る。
【0086】
本発明は、さらに、本明細書中で上記したような薬学的組成物を、本明細書中で上記したような使用のための組成物の使用のための使用説明書を含めた包装材と組合せて包含する。
【0087】
非経口投与に関しては、適切な組成物は、水性および非水性滅菌注射液を包含する。組成物は、単位用量または多用量容器、例えば密封バイアルおよびアンプル中で提供され得るし、冷凍−乾燥(凍結乾燥)状態で保存されて、使用前に、滅菌液体担体、例えば水の付加のみを要する。
【0088】
経皮投与に関しては、例えばゲル、パッチまたはスプレーが意図され得る。例えば鼻吸入による、肺投与に適した組成物または処方物としては、計量用量圧縮エーロゾル、ネブライザーまたは吹付け器により生成され得るダストまたはミストが挙げられる。
【0089】
組成物の投与の正確な用量およびレジメンは、必然的に、達成されるべき治療的または栄養的作用によって決まり、そして、特定の処方、投与経路、ならびに組成物が投与されるべき個々の被験者の年齢および症状に伴って変わり得る。
【0090】
さらなる態様において、本発明は、それを必要とする被験者におけるCB受容体の刺激方法であって、治療的有効量の本発明の化合物を上記被験者に投与することを包含する方法を提供する。一実施形態では、上記CB受容体はCB2受容体である。
【0091】
その態様の別の1つにおいて、本発明は、炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される疾患、障害または症状の処置方法であって、それを必要とする被験者に有効量の本発明の化合物を投与することを包含する方法を提供する。
【0092】
さらなる態様では、本発明は、それを必要とする被験者における大脳損傷の処置方法であって、有効量の本発明の化合物を上記被験者に投与することを包含する方法を提供する。一実施形態では、上記大脳損傷は、非開放性頭部損傷、穿通性頭部損傷、爆風損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される。
【0093】
さらなる態様では、本発明は、それを必要とする被験者における脳外傷により引き起こされる続発性損害を低下させる方法であって、有効量の本発明の化合物を上記被験者に投与することを包含する方法を提供する。
【0094】
さらなる態様では、本発明は、それを必要とする被験者におけるc−AMP形成に作用する方法であって、有効量の本発明の化合物を上記被験者に投与することを包含する方法を提供する。
【0095】
「c−AMP形成に作用する」ことに及ぼす本発明の化合物の影響に言及する場合、フォルスコリン誘導性c−AMP蓄積の刺激または抑制を包含する、と理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
本発明を理解し、そしてそれが実際に実行され得る方法を知るために、ここで、添付の図面を参照しながら、実施形態を、単に非限定例として記載する。
【図1A−1G】本発明の化合物のヒトCB2受容体に関するGTPγS結合グラフを示す:HU−308(図1A)、HU−909(図1B)、HU−910(図1C)、HU−911(図1D)、HU−913(図1E)、HU−926(図1F)およびHU−928(図1G)。データは、同一実験条件下で最大HU−308結合に正規化される[35S]GTPγS結合として示される。
【図2】異なる用量のHU−910(14b)、(c1=0.1mg/kg、c2=1mg/kg、c3=10mg/kg、CH1後1時間に腹腔内注射)を摂取する群に関する非開放性頭部外傷後24時間〜21日の期間における回復の程度(ΔNSS(神経学的重症度スコア)=NSS(1h)−NSS(t)として測定される)を示す。対照群(veh)は、ビヒクル単独を摂取した(エタノール:クレモフォア:生理食塩水を1:1:18の比で)。
【図3】10mg/kgのHU−910(14b)(CHI後1時間に腹腔内注射)、1mg/kgのSR144528 CB2アゴニスト単独、1mg/kgのSR144528 CB2アンタゴニストおよび10mg/kgのHU−910(10分後)を摂取する群に関する非開放性頭部外傷後24時間〜21日の期間における回復の程度(ΔNSS(神経学的重症度スコア)=NSS(1h)−NSS(t)として測定される)を示す。対照群(veh)は、ビヒクル単独を摂取した(エタノール:クレモフォア:生理食塩水を1:1:18の比で)。
【図4】CHI後、1時間〜28日の期間の間のΔNSSとして測定される4つの群の回復(ΔNSS(神経学的重症度スコア)=NSS(1h)−NSS(t)として測定される)を示す。
【図5】CHI後、24時間〜21日の間に追跡調査した神経学的重症度スコア(ΔNSS=NSS(1h)−NSS(t))を示す。
【図6】4つの群の回復の程度(CHI後24時間〜28日の期間の間のΔNSS=NSS(1h)−NSS(t)として測定される)を示す。
【図7】CHI後、1時間〜14日の間に追跡調査した場合の神経学的重症度スコア(NSS)を示す。
【図8A−8D】左皮質(図8A)、左海馬(図8B)、右皮質(図8C)および右海馬(図8D)におけるCHI後のTNF−α産生を示す。
【発明を実施するための形態】
【0097】
以下の実施例は、本発明の態様を実行するに際して本発明が用いた技法を代表するものである。これらの技法は本発明の実施のための好ましい実施形態の例であるが、当業者は、本発明の開示にかんがみて、本発明の精神および意図された範囲を逸脱しない限り、多数の修正がなされ得ると認識するであろう、と理解されるべきである。
実施例1:合成的調製
材料および方法
【0098】
試薬はすべて、Sigma-Aldrich(イスラエル)およびAcros(イスラエル)から購入し、さらに精製することなく用いた。(±)−樟脳および(+)−3−ブロモ樟脳は、Sigma-Aldrich(イスラエル)から購入した。(±)−樟脳−10−スルホニル塩化物および(±)−樟脳キノリンは、Acros(イスラエル)から購入した。
【0099】
溶媒はすべて、Bio-Lab(イスラエル)から購入した。
【0100】
無水反応はすべて、無水溶媒を用いて、火炎乾燥ガラス容器中で窒素雰囲気かで実施した。
【0101】
シリカゲル60Å 0.063〜0.2メッシュは、Bio-Lab(イスラエル)から購入し、カラムクロマトグラフィーのために用いた。
【0102】
Merck(ドイツ)から購入したPLCシリカゲルプレート60Å F254、2mmで、分取薄層クロマトグラフィー(TLC)を実施した。
【0103】
予備被覆アルミナシリカゲル60Å F254、200μm(Merck(ドイツ)から購入)上での分析的TLCにより、中間生成物および最終化合物の純度を確定し、紫外線下で、ホスホモリブデン酸染色により、クロマトグラムを可視化した。
【0104】
毛細管電熱融点計測装置で融点を測定したが、無補正である。
【0105】
Varian Unity 300MHz分光計でH NMRスペクトルを記録し、MestReCソフトウェアで処理した。別記しない限り、溶媒としてCDClを用いて全NMRスペクトルを記録し、内部標準としてのテトラメチルシランに比して、化学シフトをppmで報告する。多重度を、s(一重項)、d(二重項)、dd(二重項の二重項)、ddd(二重項の二重項の二重項)、dddd(二重項の二重項の二重項の二重項)、t(三重項)、m(多重項)およびカップリング定数(J)を、ヘルツ(Hz)で報告する。
【0106】
電子イオン化検出器を伴うHP−5971ガスクロマトグラフを用いるヒューレット・パッカードG2000 GC/MSシステムで、質量スペクトルを記録した。
【0107】
エルサレムのヘブライ大学化学部門の微量分析研究室(Microanalytical Laboratory at the Department of Chemistry, Hebrew University of Jerusalem)により、パーキン・エルマー2400シリーズII分析器で、元素分析を実施した。
化合物(3)および(4)の合成的調製:
【化17】

【0108】
2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルヘプタン−2−イル)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(3). 4mlのTHF中の4−アルキルレゾルシノールジメチルエーテル 1 0.132g(0.5mmol)の溶液に、n−BuLi 0.34ml(0.55mmol、ヘキサン中の1.6M溶液)を0℃で付加した。0℃でさらに1時間撹拌後、反応混合物を−78℃に冷却し、PINBOP 0.15ml(0.75mmol)の溶液を同時に付加した。反応混合物を室温に上げて、撹拌を一晩継続した。反応をNHCl水溶液で整えて、3部分のジエチルエーテルで抽出し、これをブラインおよび水で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、真空濃縮した。生成物を、ピナコールアリールボロネート 3および4−アルキルレゾルシノールジメチルエーテル 1の非分離可能混合物(4:3の比、GC−MS分析による)0.19gとして得て、鈴木カップリング反応の場合と同様に用いた。1H NMR(300MHz,CDCl3) δppm 6.41(s,2H), 3.76(s,6H), 1.51-1.58(m,2H), 1.37(s,6H), 1.25(s,6H), 1.24(s,6H), 1.13-1.21(m,8H), 0.84(t,J=6.87Hz,3H). C2734に関する正確な算定質量 m/e 390.29;実測値 390.80。
【0109】
2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(4).化合物3に関して記載した一般手法により、4mlのTHF中の4−アルキルレゾルシノールジメチルエーテル 2 0.104g(0.5mmol)、n−BuLi 0.34ml(0.55mmol、ヘキサン中の1.6M溶液)およびPINBOP 0.15ml(0.75mmol)を用いて、表題化合物を調製した。生成物を、ピナコールアリールボロネート 4および4−アルキルレゾルシノールジメチルエーテル 2の非分離可能混合物0,165g(4:3の比、GC−MS分析による)として得て、鈴木カップリング反応の場合と同様に用いた。1H NMR(300MHz,CDCl3) δppm 6.28(s,2H), 3.76(s,6H), 2.55(t,J=7.53Hz,2H), 1.55-1.63(m,2H), 1.27(s,6H), 1.26(s,6H), 1.24(m,4H), 0.87(m,3H). C2734に関する正確な算定質量 m/e 334.23;実測値 334.62。
化合物(7)の合成的調製:
【化18】

【0110】
(1R,4S)−メチル−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシレート(7a)ケトピン酸 6a 0.182g(1mmol)およびKCO 1.1g(8mmol)の混合物(DMF 10ml中で撹拌)に、MeI 0.125ml(0.284g、2mmol)を付加した。反応混合物を、周囲温度で18時間撹拌した。反応混合物を水80ml中に溶解し、ジエチルエーテルの3×30ml部分で抽出した。有機相をNaHCO飽和溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、真空濃縮して、黄色油0.184g(94%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3) δppm 3.75(s,3H), 2.53(ddd,J=18.29,3.7Hz,1H), 2.36(ddd, J = 14.99, 11.82, 3.99 Hz, 1H), 2.10 (t, J = 4.4 Hz, 1H), 2.02 (m, 1H), 1.92-1.98 (d, J = 18.40 Hz, 1H), 1.79 (ddd, J = 14.16, 9.35, 4.95 Hz, 1H), 1.41 (ddd, J = 12.65, 9.49, 4.26 Hz, 1H), 1.15 (s, 3H), 1.07 (s, 3H). C1116に関する正確な算定質量 m/e 196.11;実測値 196.22。
【0111】
(1S,4R)−メチル−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシレート(7b)化合物7aに関して記載した一般手法により、6bから表題化合物を調製した。黄色油(96%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 3.75 (s, 3H), 2.53 (ddd, J = 18.29, 3.7 Hz, 1H), 2.36 (ddd, J = 14.99, 11.82, 3.99 Hz, 1H), 2.10 (t, J = 4.4 Hz, 1H), 2.02 (m, 1H), 1.92-1.98 (d, J = 18.40 Hz, 1H), 1.79 (ddd, J = 14.16, 9.35, 4.95 Hz, 1H), 1.41 (ddd, J = 12.65, 9.49, 4.26 Hz, 1H), 1.15 (s, 3H), 1.07 (s, 3H). C1116に関する正確な算定質量 m/e 196.11;実測値 196.22。
化合物(9)および(10)の合成的調製:
【化19】

【0112】
(1R,4S)−メチル−7,7−ジメチル−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート(9a)1.5ml THF中のメチルエステル 7a 0.06g(0.3mmol)の予備冷却(0℃)溶液を、−78℃で2ml THF中のLDA 0.17ml(0.34mmol、2M溶液)の溶液に付加し、その結果生じた溶液を2時間撹拌した。2mlのTHF中のフェニルトリフリミド 0.115g(0.32mmol)の溶液を付加し、反応を0℃で3時間撹拌して、室温でさらに15時間撹拌した。回転蒸発器での溶媒除去後、その結果生じた黄色油をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/エーテル)により精製して、褐色味を帯びた油0.07g(71%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 5.81 (d, J =3.74, 1H), 3.77 (s, 3H), 2.51 (t, J = 3.67 Hz, 1H), 2.39 (ddd, J = 3.71, 8.76, 12.47 Hz, 1H), 2.03-2.13 (m, 1H), 1.65 (ddd, J = 3.68, 9.18, 12.65 Hz, 1H), 1.24 (ddd, J = 3.72, 9.18, 12.64 Hz, 1H), 1.11(s, 3H), 0.97 (s, 3H). C1215Sに関する正確な算定質量 m/e 328.06;実測値 328.44。
【0113】
(1R,4R)−メチル−7,7−ジメチル−2−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート(9b)化合物9aに関して記載した一般手法により、7bから表題化合物を調製した。褐色味を帯びた油(68%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 5.81 (d, J =3.74, 1H), 3.77 (s, 3H), 2.51 (dd, J = 3.67, 3.67 Hz, 1H), 2.39 (ddd, J = 3.71, 8.76, 12.47 Hz, 1H), 2.03-2.13 (m, 1H), 1.65 (ddd, J = 3.68, 9.18, 12.65 Hz, 1H), 1.24 (ddd, J = 3.72, 9.18, 12.64 Hz, 1H), 1.11(s, 3H), 0.97 (s, 3H). C1215Sに関する正確な算定質量 m/e 328.06;実測値 328.44。
化合物(11)、(12)および(13)の合成的調製:
【化20】

【0114】
(1R,4S)−メチル−2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート(11a)15ml中のピナコールアリールボロネート 3(4−アルキルレゾルシノールジメチルエーテル 1と混合)0.474g、エノールトリルラート 9a 0.328g(1.00mmol)、Pd(PPh 0.07g(0.006mmol)およびt−BuNF 1.5ml(1.5mmol、THF中1M溶液)を、15時間還流した。反応混合物を、セライトを通して濾過し、濾液を真空濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/エーテル)により精製して、生成物を薄黄色油 0.288g(65%)として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.45 (s, 2H), 6.28 (d, J = 3.42 Hz, 1H), 3.72 (s, 6H), 3.45 (s, 3H), 2.43 (m, 2H), 1.80-2.03 (m, 1H), 1.53-1.58 (m, 2H), 1.26 (s, 6H), 1.13-1.22 (m, 7H), 1.11 (s, 3H), 0.98-1.08 (m, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.84 (t, J = 6.79 Hz, 3H). C2842に関する正確な算定質量 m/e 442.31;実測値 442.92。C2842に関する算定分析値:C、75.98;H、9.56。実測値:C、76.14;H、9.65。
【0115】
(1S,4R)−メチル−2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート(11b、HU−912)化合物11aに関して記載した一般手法により、9bから表題化合物を調製した。黄色味を帯びた油(69%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.45 (s, 2H), 6.28 (d, J = 3.42 Hz, 1H), 3.72 (s, 6H), 3.45 (s, 3H), 2.43 (m, 2H), 1.80-2.03 (m, 1H), 1.53-1.58 (m, 2H), 1.26 (s, 6H), 1.13-1.22 (m, 7H), 1.11 (s, 3H), 0.98-1.08 (m, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.84 (t, J = 6.79 Hz, 3H). C2842に関する正確な算定質量 m/e 442.31;実測値 442.91。C2842に関する算定分析値:C、75.98;H、9.56。実測値:C、75.58;H、9.70。
【0116】
(1R,4S)−メチル−2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート(13a、HU−971)化合物11a(HU−911)に関して記載した一般手法により、ピナコールアリールボロネート 4(2と混合)0.244g、エノールトリフラート 9a 0.2g(0.61mmol)、Pd(PPh 0.042g(0.037mmol)およびt−BuNF 0.91ml(0.91mmol、THF中1M溶液)を用いて、表題化合物を調製して、無色油 170mg(72%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.33 (s, 2H), 6.26 (d, J = 3.42 Hz, 1H), 3.71 (s, 6H), 3.47 (s, 3H), 2.55 (t, J = 7.70 Hz, 2H), 2.38-2.46 (m, 2H), 1.81-2.03 (m, 2H), 1.56-1.66 (m, 2H), 1.30-1.35 (m, 4H), 1.12 (s, 3H, syn), 1.07-1.16 (m, 1H), 0.97 (s, 3H, anti), 0.90 (t, J = 6.84 Hz, 3H). compoに関して記載した一般手法によるC2434に関する正確な算定質量:C、74.58;H、8.87。実測値:C、74.61;H、9.04。
【0117】
(1S,4R)−メチル−2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート(13b、HU−972).化合物13a(HU−971)に関して記載した一般手法により、9bから表題化合物を調製した。無色油(69%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.33 (s, 2H), 6.26 (d, J = 3.42 Hz, 1H), 3.71 (s, 6H), 3.47 (s, 3H), 2.55 (t, J = 7.70 Hz, 2H), 2.38-2.46 (m, 2H), 1.81-2.03 (m, 2H), 1.56-1.66 (m, 2H), 1.30-1.35 (m, 4H), 1.12 (s, 3H, syn), 1.07-1.16 (m, 1H), 0.97 (s, 3H, anti), 0.90 (t, J = 6.84 Hz, 3H). C2434に関する正確な算定質量 m/e 386.25;実測値 386.67。C2434に関する算定分析値:C、74.58;H、8.87。実測値:C、74.31;H、8.90。
【0118】
(1R,4R)−2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(12a、HU−907)。化合物11aに関して記載した一般手法により、ピナコールアリールボロネート 3(1と混合)0.755g、樟脳エノールトリフラート 10a 0.5g(1.76mmol)、Pd(PPh 0.122g(0.011mmol)およびt−BuNF 2.64ml(2.64mmol、THF中1M溶液)を用いて、表題化合物を調製して、黄色味を帯びた油 0.525g(75%)を得て、これを−20℃で放置して固化して、白色固体を得た。融点34〜36℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.50 (s, 2H), 5.87 (d, J = 3.27 Hz, 1H), 3.74 (s, 6H), 2.37 (t, J = 3.46, 1H), 1.88 (m, 1H), 1.65 (m, 1H), 1.61 (m, 2H), 1.55 (m, 1H), 1.30 (s, 6H), 1.15 (m, 1H), 1.19-1.26 (m, 6H), 1.07-1.18 (m, 2H), 1.05 (s, 3H), 0.86 (t, J = 6.71 Hz, 3H), 0.83 (s, 3H), 0.82 (s, 3H). C2742に関する正確な算定質量 m/e 398.32;実測値 398.79。C2742に関する算定分析値:C、81.35;H、10.62。実測値:C、81.08;H、10.69。
【0119】
(1S,4S)−2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(12b、HU−908)。化合物12a(HU−907)に関して記載した一般手法により、10bから表題化合物を調製した。白色固体(81%)。融点 35〜37℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.50 (s, 2H), 5.87 (d, J = 3.27 Hz, 1H), 3.74 (s, 6H), 2.37 (t, J = 3.46, 1H), 1.88 (m, 1H), 1.65 (m, 1H), 1.61 (m, 2H), 1.55 (m, 1H), 1.30 (s, 6H), 1.15 (m, 1H), 1.19-1.26 (m, 6H), 1.07-1.18 (m, 2H), 1.05 (s, 3H), 0.86 (t, J = 6.71 Hz, 3H), 0.83 (s, 3H), 0.82 (s, 3H). C2742に関する正確な算定質量 m/e 398.32;実測値 398.79。C2742に関する算定分析値:C、81.35;H、10.62。実測値:C、81.47;H、10.85。
化合物(14)および(15)の合成的調製:
【化21】

【0120】
(1R,4S)−(2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール(14a、HU−909)。THF 20ml中のメチルエステル 11a 0.790g(1.79mmol)の溶液を、0℃に冷却した。LiAlH 3.58ml(3.58mmol、ジエチルエーテル中1M溶液)の付加後、反応を周囲温度に上げて、18時間撹拌した。少量の飽和MgSO溶液で反応を整えて、酢酸エチルで抽出した。有機相をブラインおよび水で洗浄し、MgSO上で乾燥して、真空濃縮した。生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/エーテル)により精製して、油 0.460g(62%)を得て、これを−20℃で放置して固化して、黄色固体を得た。融点 49〜51℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.52 (s, 2H), 5.90 (d, J = 3.24 Hz, 1H), 3.75 (s, 6H), 3.65 (m, 2H), 2.35 (t, J = 3.39, 1H), 2.25 (dd, J = 7.29, J = 5.01,1H), 1.93 (m, 1H), 1.53-1.59 (m, 5H), 1.27 (s, 6H), 1.21 (s, 3H), 1.0-1.19 (m, 7H), 0.94 (s, 3H), 0.85 (t, J = 6.71 Hz, 3H). C2742に関する正確な算定質量 m/e 414.31;実測値 414.87。C2742に関する算定分析値:C、78.21;H、10.21。実測値:C、78.31;H、10.31。
【0121】
(1S,4R)−(2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール(14b、HU−910)。化合物14a(HU−909)に関して記載した一般手法により、11b(HU−912)から表題化合物を調製した。白色固体(64%)。融点48〜50℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.52 (s, 2H), 5.90 (d, J = 3.24 Hz, 1H), 3.75 (s, 6H), 3.65 (m, 2H), 2.35 (t, J = 3.39, 1H), 2.25 (dd, J = 7.29, J = 5.01,1H), 1.93 (m, 1H), 1.53-1.59 (m, 5H), 1.27 (s, 6H), 1.21 (s, 3H), 1.0-1.19 (m, 7H), 0.94 (s, 3H), 0.85 (t, J = 6.71 Hz, 3H). C2742に関する正確な算定質量 m/e 414.31;実測値 414.86。C2742に関する算定分析値:C、78.21;H、10.21。実測値:C、78.08;H、10.32。
【0122】
(1R,4S)−(2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール(15a、HU−969)。化合物14a(HU−909)に関して記載した一般手法により、3mlのドライTHF中のメチルエステル 13a(HU−971)0.1g(0.259mmol)、およびLiAlH 0.51ml(0.518mmol、ジエチルエーテル中の1M溶液)を用いて、表題化合物を調製した。生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/エーテル)により精製して、油 0.086g(93%)を得て、これを、−20℃で放置して固化して、白色固体を得た。融点 28〜29℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.40 (s, 2H), 5.88 (d, J = 3.24 Hz, 1H), 3.74 (s, 6H), 3.65 (d, J = 2.51 Hz, 2H), 2.58 (t, J = 7.70 Hz, 2H), 2.35 (t, J = 3.41 Hz, 1H), 1.89-1.98 (m, 1H), 1.54-1.66 (m, 4H), 1.32-1.38 (m, 4H), 1.23 (s, 3H), 1.11-1.19 (m, 1H), 0.94 (s, 3H), 0.92 (t, J = 6.84 Hz, 3H). C2334に関する正確な算定質量 m/e 358.25;実測値 358.67。Anal.calcd.for C2334に関する算定分析値:C、77.05;H、9.56。実測値:C、77.06;H、9.72。
【0123】
(1S,4R)−(2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール(15b、HU−970)。化合物13b(HU−972)に関して記載した一般手法により、10bから表題化合物を調製した。油(83%)。これを、−20℃で放置して固化した。融点26〜27℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.40 (s, 2H), 5.88 (d, J = 3.24 Hz, 1H), 3.74 (s, 6H), 3.65 (d, J = 2.51 Hz, 2H), 2.58 (t, J = 7.70 Hz, 2H), 2.35 (t, J = 3.41 Hz, 1H), 1.89-1.98 (m, 1H), 1.54-1.66 (m, 4H), 1.32-1.38 (m, 4H), 1.23 (s, 3H), 1.11-1.19 (m, 1H), 0.94 (s, 3H), 0.92 (t, J = 6.84 Hz, 3H). C2334に関する正確な算定質量 m/e 358.25;実測値 358.71。C2334に関する算定分析値:C、77.05;H、9.56。実測値:C、76.25;H、9.55。
化合物(16)および(17)の合成的調製:
【化22】

【0124】
(1R,4S)−2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸(16a、HU−913)。2mlのMeOH/HO(3:1)中のメチルエステル 11a(HU−911)0.103g(0.233mmol)およびLiOH 0.111g(4.66mmol)を、大気下で、ねじ付きバイアル中で48時間に亘って200℃で加熱した。水を反応混合物に付加し、エーテルで数回抽出した。有機相を収集し、MgSO上で乾燥して、真空濃縮した。生成物を分取TLC(ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、黄色固体 0.026g(26%)を得た。融点101〜102℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.46 (s, 2H), 6.32 (d, J = 3.40 Hz, 1H), 3.71 (s, 6H), 2.46 (t, J = 3.44 Hz, 1H), 2.38-2.44 (m, 1H), 1.80-2.03 (m, 1H), 1.53-1.58 (m, 2H), 1.26 (s, 6H), 1.16-1.24 (m, 7H), 1.14 (s, 3H), 1.03-1.12 (m, 3H), 1.00 (s, 3H), 0.85 (t, J = 6.74 Hz, 3H). C2842に関する正確な算定質量 m/e 428.29;実測値 428.98。C2842に関する算定分析値:C、75.66;H、9.41。実測値:C、75.50;H、9.48。
【0125】
(1S,4R)−2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸(16b、HU−914)。化合物16a(HU−913)に関して記載した一般手法により、11b(HU−912)から表題化合物を調製した。黄色固体(25%)。融点100〜101℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.46 (s, 2H), 6.32 (d, J = 3.40 Hz, 1H), 3.71 (s, 6H), 2.46 (t, J = 3.44 Hz, 1H), 2.38-2.44 (m, 1H), 1.80-2.03 (m, 1H), 1.53-1.58 (m, 2H), 1.26 (s, 6H), 1.16-1.24 (m, 7H), 1.14 (s, 3H), 1.03-1.12 (m, 3H), 1.00 (s, 3H), 0.85 (t, J = 6.74 Hz, 3H). C2842に関する正確な算定質量 m/e 428.29;実測値 428.98。C2842に関する算定分析値:C、75.66;H、9.41。実測値:C、74.81;H、9.40。
【0126】
(1R,4S)−2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸(17a、HU−973)。1.5mlのMeOH/HO(3:1)中のメチルエステル 13a(HU−971)0.075g(0.194mmol)およびLiOH 0.093g(3.89mmol)を用いて、化合物16a(HU−913)に関して記載した一半手法により、表題化合物を調製した。生成物を、分取TLC(ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、黄色味を帯びた固体 0.010g(14%)を得た。融点85〜87℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.33 (s, 2H), 6.28 (d, J = 3.39 Hz, 1H), 3.69 (s, 6H), 2.55 (t, J = 7.80 Hz, 2H), 2.45 (t, J = 3.48 Hz, 1H), 2.36-2.44 (m, 1H), 1.82-2.03 (m, 2H), 1.55-1.65 (m, 2H), 1.30-1.35 (m, 4H), 1.14 (s, 3H), 1.06-1.12 (m, 1H), 1.00 (s, 3H), 0.90 (t, J = 6.84 Hz, 3H). C2332に関する正確な算定質量 m/e 372.23;実測値 372.92。C2332に関する算定分析値:C、74.16;H、8.66。実測値:C、73.91;H、8.80。
【0127】
(1S,4R)−2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸(17b、HU−974)。化合物17a(HU−973)に関して記載した一般手法により、13b(HU−972)から表題化合物を調製した。黄色味を帯びた固体(21%)。融点84〜86℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.33 (s, 2H), 6.28 (d, J = 3.39 Hz, 1H), 3.69 (s, 6H), 2.55 (t, J = 7.80 Hz, 2H), 2.45 (t, J = 3.48 Hz, 1H), 2.36-2.44 (m, 1H), 1.82-2.03 (m, 2H), 1.55-1.65 (m, 2H), 1.30-1.35 (m, 4H), 1.14 (s, 3H), 1.06-1.12 (m, 1H), 1.00 (s, 3H), 0.90 (t, J = 6.84 Hz, 3H). C2332に関する正確な算定質量 m/e 372.23;実測値 372.92。C2332に関する算定分析値:C、74.16;H、8.66。実測値:C、73.60;H、8.70。
化合物(19)の合成的調製:
【化23】

【0128】
(1S,4S)−4,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル トリフルオロメタンスルホネート(19a)。化合物 9aに関して記載した一般手法により、ケトン 18a 0.375g(2.35mmol)、LDA 1.29ml(2.58mmol、2M溶液)およびフェニルトリフリミド 0.943g(2.64mmol)を用いて、表題化合物を調製した。生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/エーテル)により精製して、油 0.514g(77%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 5.37 (d, J=1.04 Hz, 1H), 2.45 (d, J = 3.48 Hz, 1H), 1.93 (dddd, J = 3.43, 3.43, 7.85, 11.61 Hz, 1H), 1.70 (ddd, J = 3.12, 8.52, 11.84 Hz, 1H), 1.19-1.38 (m, 2H), 1.08 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.78 (s, 3H). C1115Sに関する正確な算定質量 284.07、実測値 284.77。
【0129】
(1R,4R)−4,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル トリフルオロメタンスルホネート(19b)。化合物 19aに関して記載した一般手法により、18bから表題化合物を調製した。褐色味を帯びた油(73%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 5.37 (d, J=1.04 Hz, 1H), 2.45 (d, J = 3.48 Hz, 1H), 1.93 (dddd, J = 3.43, 3.43, 7.85, 11.61 Hz, 1H), 1.70 (ddd, J = 3.12, 8.52, 11.84 Hz, 1H), 1.19-1.38 (m, 2H), 1.08 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.78 (s, 3H). C1115Sに関する正確な算定質量 284.07、実測値、284.77。
化合物(20)の合成的調製:
【化24】

【0130】
(1S,4S)−3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(20a、HU−917)。化合物11a(HU−911)に関して記載した一般手法により、ピナコールアリールボロネート 3(4−アルキルレゾルシノールジメチルエーテル 1と混合)0.755g、エノールトリフラート 19a 0.17g(0.598mmol)、Pd(PPh 0.041g(0.036mmol)およびt−BuNF 0.9ml(0.9mmol、THF中の1M溶液)を用いて、表題化合物を調製した。生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/エーテル)により精製して、油 0.185g(78%)を得て、これを−20℃で放置して固化した。融点33〜34℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.50 (s, 2H), 5.79 (d, J = 3.00 Hz, 1H), 3.76 (s, 6H), 2.60 (d, J = 3.51, 1H), 1.81 (m, 1H), 1.64 (m, 1H), 1.60 (m, 1H), 1.55 (m, 2H), 1.31 (m, 1H), 1.28 (s, 6H), 1.17-1.25 (m, 8H), 1.08 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.86 (t, J = 6.69 Hz, 3H), 0.81 (s, 3H). C2742に関する正確な算定質量 m/e 398.32;実測値 398.82。C2742に関する算定分析値:C、81.35;H、10.62。実測値:C、81.50;H、10.71。
【0131】
(1R,4R)−3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(20b、HU−918)。化合物20a(HU−917)に関して記載した一般手法により、19bから表題化合物を得た。黄色味を帯びた固体(77%)。融点32〜33℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.50 (s, 2H), 5.79 (d, J = 3.00 Hz, 1H), 3.76 (s, 6H), 2.60 (d, J = 3.51, 1H), 1.81 (m, 1H), 1.64 (m, 1H), 1.60 (m, 1H), 1.55 (m, 2H), 1.31 (m, 1H), 1.28 (s, 6H), 1.17-1.25 (m, 8H), 1.08 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.86 (t, J = 6.69 Hz, 3H), 0.81 (s, 3H). C2742に関する正確な算定質量 m/e 398.32;実測値 398.84。C2742に関する算定分析値:C、81.35;H、10.62。実測値:C、81.56;H、10.85。
化合物(22、HU−936)および(23、HU−926)の合成的調製:
【化25】

【0132】
(1R,4R)−3−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(22、HU−936)。n−BuLi 0.6ml(0.96mmol、ヘキサン中1.6M)を、3mlのジエチルエーテル中の2 0.2g(0.96mmol)の予備冷却(0℃)溶液に付加した。その結果生じた溶液を、室温で2.5時間撹拌した。次いで、溶液を0℃に冷却し戻して、カニューレを介して、0℃の2mlのジエチルエーテル中のCuI 0.092g(0.48mmol)の懸濁液に滴下して移した。その結果生じた溶液を、30分間撹拌して、5mlの無水DMSOを付加した。次いで、1mlのジエチルエーテルおよび1mlのDMSO中の3−ブロモ樟脳 21 0.086g(0.37mmol)の溶液を、0℃で、隔壁を介して滴下した。次に、反応を室温に温めて、15時間に亘って撹拌した。5mlの飽和NHCl水溶液の付加により、反応をクエンチした。水相を、ジエチルエーテルで3回抽出した。併合有機層をブラインで3回洗浄して、MgSO上で乾燥し、溶媒を真空除去した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/エーテル)により精製して、afforded white crystals of 22(HU−936)の白色結晶0.093g(70%)を得た。融点62℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.37 (s, 2H), 3.89 (d, J=4.23 Hz, 1H), 3.72 (s, 6H), 2.55 (t, J=7.87 Hz, 2H), 2.19 (t, J=4.11Hz, 1H), 1.71-1.76 (m, 2H), 1.63 (m, 1H), 1.59 (m, 2H), 1.37 (m, 1H), 1.33-1.36 (m, 4H), 1.02 (s, 3H), 1.002 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.91 (t, J=6.93 Hz, 3H). C2334に関する正確な算定質量 m/e 358.25;実測値 358.67。C2334に関する算定分析値:C、77.05;H、9.56。実測値:C、77.20;H、9.63。
【0133】
(1R,4R)−3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(23、HU−926)。化合物22(HU−936),に関して記載した一般手法により、1 0.23g(0.87mmol)、n−BuLi 0.54ml(0.87mmol、ヘキサン中1.6M)、CuI 0.083g(0.44mmol)、3−ブロモ樟脳 21 0.069g(0.3mmol)を用いて、表題化合物を調製した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/エーテル)により精製して、23(HU−926)の白色結晶 0.081g(65%)を得た。融点64〜65℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.49 (s, 2H), 3.89 (d, J=4.23 Hz, 1H), 3.72 (s, 6H), 2.19 (t, J=4.11 Hz, 1H), 1.71-1.76 (m, 1H), 1.53-1.68 (m, 4H), 1.30-1.42 (m, 1H), 1.26 (s, 6H), 1.15-1.24 (m, 8H), 1.01 (s, 3H), 1.00 (s, 3H), 0.97 (s, 3H), 0.85 (t, J=6.73 Hz, 3H). C2742に関する正確な算定質量 m/e 414.31;実測値 414.84。C2742に関する算定分析値:C、78.21;H、10.21。実測値:C、78.39;H、10.27。
化合物(24、HU−938)および(25、HU−928)の合成的調製:
【化26】

【0134】
(1R,4R)−3−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(24、HU−938)。1mlのジエチルエーテル中のケトン 22(HU−936)0.085g(0.23mmol)を、ジエチルエーテル 2ml中のLiAlH 0.14ml(0.14mmol、ジエチルエーテル中の1M溶液)の予備冷却(0℃)溶液に付加した。還流下で1時間撹拌後、反応混合物を0℃に冷却し、EtOAcの付加によりクエンチした。
【0135】
水を反応混合物に付加し、それを、3部分のジエチルエーテルで抽出した後、10%HCl水溶液で洗浄した。有機相をMgSO上で乾燥し、真空濃縮した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(エーテル/石油エーテル)により精製して、24(HU−938)の白色結晶0.078g(92%)を得た。融点58〜60℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.44 (s, 2H), 4.52 (d, J=6.96 Hz, J=1.87 Hz, 1H), 4.14-4.17 (m, 2H), 3.82 (s, 6H), 2.56 (t, J=7.70 Hz, 2H), 2.19 (t, J=4.11Hz, 1H), 1.77-1.89 (m, 2H), 1.63 (m, 1H), 1.46-1.70 (m, 3H), 1.23-1.41 (m, 4H), 1.06 (s, 3H), 0.94 (s, 3H), 0.92 (s, 3H), 0.90 (t, J=6.93 Hz, 3H,). C2336に関する正確な算定質量 m/e 360.27;実測値 360.65。C2336に関する算定分析値:C、76.62;H、10.06。実測値:C、76.46;H、10.11。
【0136】
(1R,4R)−3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール(25、HU−928)。化合物24(HU−938)に関して記載した一般手法により、ケトン 23(HU−926)0.238g(0.57mmol)、LiAlH0.345ml(0.34mmol)を用いて、表題化合物を調製した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(エーテル/石油エーテル)により精製して、25(HU−928)の白色結晶0.208g(88%)を得た。融点96〜98℃; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δppm 6.55 (s, 2H), 4.58 (dd, J=8.88 Hz, 1H), 4.14-4.17 (m, 2H), 3.82 (s, 6H), 1.78-1.88 (m, 2H), 1.48-1.61 (m, 5H), 1.29-1.33 (m, 1H), 1.27 (s, 6H), 1.16-1.25 (m, 7H), 1.06 (s, 3H), 0.94 (s, 3H), 0.92 (s, 3H), 0.85 (t, J=6.74 Hz, 3H). C2744に関する正確な算定質量 m/e 416.33;実測値 416.90。C2744に関する算定分析値:C、77.83;H、10.64。実測値:C、78.10;H、10.82。
実施例2: カンナビノイド受容体とのin vitro結合
細胞株生成および維持
【0137】
ベクターpcDNA3.1プラスをクローニングするに際して、ヒトHAタグ化CB1およびCB2受容体に関するcDNAクローンを、Missouri S&T cDNA Resource Center (www.cdna.org)から入手した。ヒトCB2受容体を含有するベクターを、ATCCから入手したCHO−KI細胞中に直接トランスフェクトした。HAタグ化ヒトCB1受容体配列を、Kpn1およびPme1制限酵素を有するpef4−V5−HisAベクター中にサブクローン化し、その後、CHO−K1細胞にトランスフェクトした。細胞を限定希釈によりクローン単離し、HAタグの発現に関して免疫細胞化学によりスクリーニングした。次いで、HAタグを発現するクローンを、RT−PCRによりスクリーニングして、hCB1およびhCB2受容体mRNA転写体の発現を確証した(データは示されていない)。
【0138】
10%ウシ胎仔血清(FBS)、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンおよび2mMのL−グルタミンを補足したDMEM/F12培地中に、細胞を保持した。pEF HA−CB1トランスフェクト化細胞に関してはさらに150ug/mlゼオシンを、pcDNA HA−CB2トランスフェクト化細胞に関しては500ug/ml G−418を用いて、トランスフェクト化細胞株を保持した(試薬はすべて、Invitrogenから入手)。
膜調製
【0139】
細胞を集密増殖させて、5mM EDTAを加えた氷冷リン酸塩緩衝生理食塩水中に採取した。細胞を、200×gで10分間回転させて、必要になるまで−80℃で凍結した。細胞ペレットを冷0.32Mスクロースで解凍して、ガラスホモジナイザーで均質化した。ホモジネートを、4℃で10分間、1000×gで回転させて、上清を、100,000×gで30分間、Sorvall遠心分離器で遠心分離した。次いで、ペレットを氷冷水中で洗浄し、2回以上再遠心分離した。最終ペレットを、50mMトリス、pH7.5、0.5mM EDTA中に再懸濁した。Dcタンパク質検定キット(BioRad, Hercules, CA, USA)を用いて、タンパク質濃度を測定した。
膜競合結合検定
【0140】
単離CB1およびCB2受容体発現膜におけるCP 55,940のKは、それぞれ2.3nMおよび1.5nMであることが以前に測定された(Pertwee, R.G. Current Medicinal Chemistry 6 635-664 (1999)参照)。2.5nM[H]−CP 55,940(PerkinElmer)での競合結合検定を実施して、試験化合物に関するKを測定した。膜(5〜10μg)を、放射性リガンドならびに一連の濃度の試験化合物とともに、0.5%()ウシ血清アルブミン(BSA)(ICP Bio, New Zealand)を有する結合緩衝液(50mMトリス、pH7.4、5mM MgCl、1mM EDTA)中で、30℃で60分間インキュベートした。推定カンナビノイドリガンドのストック溶液を、ジメチルスルホキシド中に10mMの濃度に調製した。50μM〜0.1nMの範囲の6つの異なる最終濃度の化合物を用いた。非特異的結合を、1μMの非放射性CP 55,940(Tocris Cookson)の存在下で測定した。2mlの氷冷結合緩衝液を付加し、冷却結合緩衝液中に予備浸漬させたGF/Cフィルター(Whatman)を通して濾過し、その後、同一緩衝液で2回洗浄することにより、検定を終結させた。
【0141】
Irgasageシンチレーション液(PerkinElmer)とともにフィルターをインキュベートし、Microbeta Triluxソフトウェアを用いてワラック・トリルックス(Wallac Trilux)でシンチレーション計数することにより、放射能を測定した。Prism4.02プログラム(GraphPad Software, San Deigo, CA, USA)を用いて、データを分析した。
cAMP検定
【0142】
ポリ−L−リシン処理96ウェル培養プレート(BD Biosciences)中に、10,000細胞/ウェルの密度で細胞を播種した。翌日、ウェルを、0.5%(w/v)BSAおよび0.5mM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(Sigma-Aldrich)を含有するDMEM/F12 40μlとともに30分間インキュベートした後、50μMフォルスコリン(Tocris Cookson)ならびに種々の濃度の指示化合物を用いて、37℃、5%COで、15分間刺激した。培地を除去し、100%氷冷エタノールを付加することにより、検定を停止した。次いで、プレートを最低でも2時間凍結させた後、エタノールを完全に蒸発させた。次に、ウェル内容物を、50μl cAMP検定緩衝液(20mM HEPES、pH7.5および5mM EDTA)中に再構成した。再構成試料の半分を、50μlの0.01%(w/v)PKA(2mMジチオトレイトールを含有する1mM クエン酸Na、pH6.5中のcAMP依存性プロテインキナーゼ(Sigma-Aldrich))および25μlの[H]−cAMP(cAMP検定緩衝液中22nM)(GE Healthcare, Life Sciences)を含有する丸底96ウェルプレート(Greiner Bio-One GmbH)に移した。これを、3〜18時間、平衡させた。この後、木炭スラリー(cAMP検定緩衝液中5%(w/v)活性炭および0.2%(w/v)BSA)を試料に付加し、プレートを、4℃で5分間、3000×gで遠心分離した。次いで、上清内の放射能計数を、競合結合検定に関して記載したように測定した。
膜[35S]GTPγS結合検定
【0143】
ヒトCB2発現CHO−K1膜(5μg/インキュベーション混合物)を、50mMトリス−HCl(pH7.5)および0.5mM EDTA中で希釈し、予備混合インキュベーションカクテル中のHU化合物に付加した。最終インキュベーション濃度は、55mM トリス−HCl(pH7.4)、1mM EDTA、100mM NaCl、5mM MgCl、0.5%BSA、50μM GDP、0.2nM[35S]GTPγS(PerkinElmer)で、種々のHU化合物濃度および5μg膜であった。振盪水浴中で、30℃で60分間、インキュベーションを継続した。2ml氷冷洗浄緩衝液(50mM トリス−HCl、pH7.5および5mM MgCl)を付加し、予備浸漬GF/Cフィルター(Whatman)を通して濾過した後、さらに2回洗浄することにより、検定を終結させた。競合結合検定に関して記載したように、放射能を測定した。
統計学的分析
【0144】
Prism 4.02プログラム(GraphPad Software, San Deigo, CA, USA)を用いて、データを分析した。IC50およびEC50(S字形曲線から確定)を、対数スケールでプロットした薬剤濃度から生成した。平均の標準誤差(SEM)またはこれらの値の標準偏差が算定され得るが、一方、それらが対数形式である場合、モル(線形)値への変換は一様でなくなり、誤差は「プラスまたはマイナス」算定値として表すことが出来ない。平均、プラスまたはマイナス、対数形式での平均の標準誤差としてデータを表示することが出来るが、しかしながらこれは、容易に解釈されないし、または他の値と比較されない。したがって、対数形式での平均値に関する95%信頼区間を算定し、次いで、最小限、平均および最大限をモル(線形)スケールに変換することを選択した。このデータフォーマットで示される範囲はしばしば広範囲の濃度に及ぶが、しかし、それはデータを表示する非常に使い勝手の良い方法で、この章で生成されるデータは、名声の高い出典(Pertwee et al., 2000)の他の類似の発表済み結果に匹敵する。化合物のエナンチオマー対間の統計学的分析のための両側t検定を、CB2K値に関して実施した。結合、cAMPまたはGTPγS実験のそれぞれにおいてCB2受容体に関して得られたKおよびIC50またはEC50結果に関して、線形性の指標であるピアソン値を測定した。Emax値がHU−308と有意に異なるか否かを確定するために、選択対のボンフェローニ事後検定を用いて、一方向ANOVAを実施した。
結果
CB1およびCB2受容体との結合の有効性および親和性
【0145】
Prism 4.02を用いて、全データを分析した。結合データに関しては、上記のK値を用いたPrism 4.02による片側性競合非線形回帰分析と適合される競合結合データから得られるIC50値から、Kを確定した。
【0146】
Prism 4.02を用いてS字形濃度応答極性を適合することにより、cAMP検定から、pIC50値を確定した。
【0147】
2つの個別に確定されたpIC50値を平均することにより、表1および2に示した結果を生成した。示したデータは、IC50(95%信頼区間)である。HU−210(1,1−ジメチルヘプチル−11−ヒドロキシ−テトラヒドロカンナビノールまたは(6aR)−トランス−3−(1,1−ジメチルヘプチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ[b,d]ピラン−9−メタノール)あるいはHU−308([(1R,2R,5R)−2−[2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル]−7,7−ジメチル−4−ビシクロ[3.1.1]ヘプト−3−エニル]メタノール)を用いた平行cAMP検定で検出された最大応答のパーセンテージとして、Emax値を算定した。データは、平均±SEMとして表示される。
【表1】


CB2受容体との結合の有効性
【0148】
選択高効力化合物に関して、本検定を実施した。S字形濃度応答曲線を適合することにより、[35S]GTPγS検定からEC50値を確定した(表2および図1A〜1G)。HU−308を用いた平行[35S]GTPγS検定で検出された最大応答のパーセンテージとして、Emax値を算定した。Emax値は線形スケールで確定される(%の対数でない)ので、これらは、平均±SEMとして表示される。0.9268というピアソン値(データ間の良好な相関を示す)を、GTPγS検定により確定されるそれらのEC50に対して化合物のK値をプロットすることにより生成した。
【表2】

【0149】
図1A〜1Gは、本発明の化合物のヒトCB2受容体に関するGTPγS結合グラフを示す:HU−308(図1A)、HU−909(図1B)、HU−910(図1C)、HU−911(図1D)、HU−913(図1E)、HU−926(図1F)およびHU−928(図1G)。データは、同一実験条件下で最大HU−308結合に正規化される[35S]GTPγS結合として示される。
実施例3:非開放性頭部損傷に及ぼすHU−910のin vivo作用
非開放性頭部損傷モデルおよび神経行動評価
【0150】
ヘブライ大学の動物実験委員会の指針に従って、試験を実行した。体重35〜50gの雄Sabraマウスを、全実験に用いた。12時間/12時間の明暗周期での制御光条件下に、動物を保持した。以前記載したようなわれわれの実験室で開発した改良型体重減少装置を用いて、実験的非開放性頭部損傷(CHI)を誘導した(Chen et al., 1996)。CHIの1時間後に、一組の10神経行動タスク、即ち、神経学的重症度スコア(NSS)により、マウスの機能状態を評価した。このスコアは、それらの運動能力、平衡および警戒性を評価する10の異なるタスク(Beni-Adani et al., 2001)を実施するマウスの能力に基づいている。1つのタスクを実施することが出来なければ、1点が付与される。CHI後1時間に評価され、その後の結果の信頼できる予測子でもある初期NSSにより、損傷の重症度が示される。10のスコアは、最大神経学的減損を反映しており、回復期間中のNSSの減少は機能の部分的回復を示す。
統計学的分析
【0151】
Prism 4.02プログラム(GraphPad Software, San Deigo, CA, USA)を用いて、データを分析した。データを平均±SEMで表し、そして一元配置分散分析(ANOVA)とその後の、TNF−αレベルに関するダネットの事後分析を用いて、統計学的有意を査定した。非パラメーターNSS値を、各時点で2つの群間で比較した。これらのデータを、個々の時点での(そして同一群内の時間に亘ってでない)群間の差に関して分析した。それゆえ、比較のために、マン・ホイットニー検定を用いた。
in vivo実験1:
【0152】
この試験では、4群のマウスをCHIに付して(n=10/群および対照n=9)、その後、以下の作用物質を投与した:
群1(対照): ビヒクルのみ(エタノール:クレモフォア:生理食塩水を1:1:18の比で)、CHI後1時間。
群2: HU−910、0.1mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
群3: HU−910、1.0mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
群4: HU−910、10.0mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
【0153】
神経学的重症度スコア(NSS)を21日間追跡調査し、回復の程度(ΔNSS=NSS(1h)−NSS(t)として測定される)を算定し、図2に示した。HU−910の最も有効な用量は10mg/kgであったことは、注目される。損傷後5日目および7日目に、処置マウスは、対照(ビヒクル処置)または低用量(HU−910:0.1および1mg/kg)処置群より有意に大きい回復を示した。
in vivo実験2:
【0154】
この試験では、4群のマウスをCHIに付して(n=9/群)、その後、以下の作用物質を投与した:
群1(対照): ビヒクルのみ(エタノール:クレモフォア:生理食塩水を1:1:18の比で)、CHI後1時間。
群2: HU−910、10mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
群3: 特定のCB2アンタゴニスト SR144528(N−[(1S)−エンド−1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル]−5−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−1−(4−メチルベンジル)ピラゾール−3 カルボキサミド)、(M. Rinaldi-Carmona, et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 284 (1998) 644-650参照)、1mg/kg、CHIの1時間後に腹腔内。
群4: 特定のCB2アンタゴニスト(SR144528、N−[(1S)−エンド−1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル]−5−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−1−(4−メチルベンジル)ピラゾール−3 カルボキサミド)、1mg/kg、CHIの1時間後に腹腔内、ならびにHU−910 10mg/kgをアンタゴニストの投与後10分に投与。
【0155】
HU−910が実際にCB2受容体を介して作用することを立証するために、群3および4に投与した、ということに留意されたい。
【0156】
図3は、CHI後24時間〜14日の期間の4つの群の回復の程度(ΔNSS=NSS(1h)−NSS(t)として測定される)を示す。このことから、アンタゴニスト単独(群3)の存在下で、回復は、ビヒクル単独を投与された対照群(群1)と比較して、有意に低減された、と理解され得る。さらに、HU−910の有益な作用は、アンタゴニストの存在下で同様程度に低減された(群4)。これらの知見は、HU−910がCB2受容体を介してその作用を発揮する、ということを示唆する。したがって、CB2受容体の刺激によりそれらの神経保護作用を発揮する内因性リガンド、2−AGおよびアナンダミドは、CB2受容体が遮断された場合(例えばアンタゴニストにより)、それらの作用が同様に排除されて、回復遅延をもたらすよう、CHI後期間に保護作用を提供する、ということも条件として要求される。
in vivo実験3:
【0157】
この試験では、4群のマウスをCHIに付して(n=7〜8/群)、その後、以下の作用物質を投与した:
群1(対照): ビヒクルのみ(ジメチルスルホキシド(DMSO):トゥイーン80:生理食塩水を1:1:18の比で)、CHI後1時間。
群2: HU−910、10mg/kg、ビヒクル中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
群3: 特定のCB2アンタゴニスト/逆アゴニストAM630、1mg/kg、CHIの1時間後に腹腔内、ならびにHU−910(ビヒクル中に溶解)、10mg/kgを、アンタゴニスト/逆アゴニストの投与後10分に投与。
群4: 特定のCB2アンタゴニスト/逆アゴニストAM630(6−ヨード−2−メチル−1−[2−(4−モルホリニル)エチル]−1H−インドール−3−イル](4−メトキシフェニル)メタノン)(ビヒクル中に溶解)、CHIの1時間後に腹腔内。
【0158】
HU−910が実際にCB2受容体を介して作用することを立証するために、群3および4に投与した、ということに留意されたい。
【0159】
図4は、CHI後1時間〜28日の期間の4つの群の回復の程度(ΔNSSとして測定される)を示す。このことから、アンタゴニスト/逆アゴニスト(群3)の存在下と同程度に、HU−910(群2)の有益作用は低減された、と理解され得る。これらの知見は、HU−910がCB2受容体を介してその作用を発揮する、ということを示唆する。
非開放性頭部損傷に及ぼすHU−910のin vivo作用
in vivo実験4:
【0160】
この試験では、4群のマウスをCHIに付して(n=10/群)、その後、以下の作用物質を投与した:
群1(対照): ビヒクルのみ(エタノール:クレモフォア:生理食塩水を1:1:18の比で)、CHI後1時間。
群2: HU−914、5mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
群3: HU−914、10mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
群4: HU−914、20.0mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
【0161】
神経学的重症度スコア(NSS)を21日間追跡調査し、図5に示した。HU−914の最も有効な用量は5mg/kgであった。損傷後3日目に開始して、HU−914 5mg/kgを用いた処置マウスは、対照(ビヒクル処置)または高用量(HU−914:10mg/kgおよび20mg/kg)処置群より有意に大きい回復を示した。
in vivo実験5:
【0162】
この試験では、3群のマウスをCHIに付して(n=10/群)、その後、以下の作用物質を投与した:
群1(対照): ビヒクルのみ(エタノール:クレモフォア:生理食塩水を1:1:18の比で)、CHI後1時間。
群2: HU−914、5mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
群3: 特定のCB2アンタゴニスト/逆アゴニスト(SR144528(N−[(1S)−エンド−1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル]−5−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−1−(4−メチルベンジル)ピラゾール−3 カルボキサミド)、1mg/kg、CHIの1時間後に腹腔内、ならびにHU−914 5mg/kgをアンタゴニスト/逆アゴニストの投与後10分に投与。
【0163】
図6は、CHI後24時間〜28日の期間の4つの群の回復の程度(ΔNSS=NSS(1h)−NSS(t)として測定される)を示す。このことから、アンタゴニスト/逆アゴニスト(群3)の存在下で、HU−914(群2)により達成される回復は、ビヒクル単独を投与された対照群(群1)と同様の程度に低減された、と理解され得る。これらの知見は、少なくとも一部は、HU−914がCB2受容体を介してその作用を発揮する、ということを示唆する。
in vivo実験6:
【0164】
この試験では、4群のマウスをCHIに付して(n=7〜10/群)、その後、以下の作用物質を投与した:
群1(対照): ビヒクルのみ(エタノール:クレモフォア:生理食塩水を1:1:18の比で)、CHI後1時間。
群2: HU−914、2.5mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
群3: HU−914、5mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
群4: HU−914、10.0mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
【0165】
神経学的重症度スコア(NSS)を14日間追跡調査し、図7に示した。特定系統のマウスにおけるHU−914の最も有効な用量は2.5mg/kgおよび5mg/kgである、ということに留意されたい。損傷後14日目に、HU−914(2.5mg/kgおよび5mg/kg)を用いた処置マウスは、対照(ビヒクル処置)または高用量(HU−914:10mg/kg)処置群より有意に大きい回復を示した。Sabraマウスと同様に、この試験は、C57B1マウスにおけるHU−914の用量応答作用を示すが、この場合、低用量(HU−914 2.5および5mg/kg)は高用量(HU−914 10mg/kg)またはビヒクルより有効であった。
CHI後のTNF−α産生に及ぼすHU−914の作用
【0166】
TNF−α活性は、虚血性および外傷性脳損傷により誘導され、CHI後の1〜2時間で開始し、4時間でピークに達し得る(Shohami et al., 1997)。次のステップは、CHI後のTNF−α産生に及ぼすHU−914の作用を調べることであった。3群のマウス(n=5〜6)をCHIに付した:
群1(対照): 擬似対照は麻酔剤を摂取し、皮膚切開のみを施された。
群2: ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)のみ。CHIの1時間後に腹腔内。
群3: HU−914、5mg/kg、ビヒクル(1:1:18 エタノール:クレモフォア:生理食塩水)中に溶解、CHIの1時間後に腹腔内。
【0167】
断頭により、CHIの4時間後に動物を屠殺した。脳を迅速に取り出して、同側および対側皮質および海馬セグメントに切断し、これを液体窒素中で凍結させて、−78℃に保持した。脳組織を氷冷溶解緩衝液(50mM トリス−HCl、1mM EDTA、1mM EGTA、0.5mM NaVO、0.1% 2−メルカプトエタノール、1% トリトンX−100、50mM NaF、5mM ピロリン酸ナトリウム、10mM β−グリセロピロリン酸ナトリウム、0.1mM フッ化フェニルメタンスルホニルおよびプロテアーゼ阻害剤混合物)(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)中でホモジナイズした。氷上で45秒間音波処理し、12,000rpmで20分間遠心分離した後、ブラッドフォード法(Bio-Rad Laboratories, Munich, Germany)を用いて上清中のタンパク質濃度を測定した。酵素結合免疫吸着検定(ELISA)により、TNF−αの産生に関して、サイトカイン特異性キット(R&D Systems (Minneapolis, MN))を用いて、上清を分析した。HU−914は、損傷左半球の海馬におけるTNF−α産生を抑制したが、しかし、左皮質におけるサイトカインレベルに影響を及ぼさなかった。TNF−α評価は、右皮質または海馬においては検出されなかった(図8)。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】

【図1G】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】


(式中、


は、各々独立して、単結合または二重結合であり、
は、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルケニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキニルおよび−C(=O)R(各々任意に、−OH、−COOH、−NH、C〜Cアミン、ハロゲン、フェニル、ヘテロアリールから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択され、この場合、
は、−H、−OH、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルケニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシ、−NRからなる群から選択され、
およびRは、各々独立して、Hおよび直鎖または分枝鎖C〜Cアルキルから選択され、そして
およびRは、各々独立して、−H、−OH、=O、=CR、=NR、=S、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−OH、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択され、ここで、
、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシおよび−NHから選択されるが、
但し、RおよびRのうちの少なくとも1つは、前記置換−C〜C15アリール環である)
の化合物。
【請求項2】


が二重結合である請求項1記載の化合物。
【請求項3】


が単結合である請求項1記載の化合物。
【請求項4】


が二重結合である請求項3記載の化合物。
【請求項5】


が二重結合である請求項3記載の化合物。
【請求項6】


が単結合であり且つ


が単結合である請求項3記載の化合物。
【請求項7】
およびRのうちの少なくとも1つが、直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、−C(=O)OH、−C(=O)NH、−C(=O)(C〜Cアルキル)、−C(=O)(C〜Cアルコキシ)、−OC(=O)H、−OC(=O)NH、−OC(=O)(C〜Cアルキル)から選択される少なくとも2つの置換基により置換されるフェニル環である請求項2または3記載の化合物。
【請求項8】
およびRの少なくとも一方が、式(II):
【化2】


(式中、RjおよびRは、各々独立して、Hおよび−OR(ここで、Rは、H、−COORから選択される)、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル(−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により任意に置換される)から選択されるが、但し、RjおよびRのうちの少なくとも一方はHではなく、
は、直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、直鎖または分枝鎖C〜C アルコキシ、直鎖または分枝鎖C〜Cエーテルから選択され、各々任意に、−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により置換され、そして
は、H、C〜Cアルキルおよび−NHから選択される)
の基である請求項7記載の化合物。
【請求項9】
およびRの少なくとも一方が、式(II):
【化3】


(式中、RjおよびRは、各々独立して、Hまたは−OR(ここで、Rは、H、−COORから選択される)、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル(−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により任意に置換される)であるが、但し、RjおよびRのうちの少なくとも一方はHではなく、そしてRは、直鎖または分枝鎖C〜C12アルキルであり、そしてRは、H、C〜Cアルキルおよび−NHから選択される)の基である請求項2記載の化合物。
【請求項10】
が、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキルおよび−C(=O)R(各々任意に、−OH、−COOH、−NH、C〜Cアミン、ハロゲン、フェニル、ヘテロアリールから選択される少なくとも1つの基により置換され、そしてRは前記と同様である)から選択される請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
およびRが、各々独立して、−H、−OH、=O、=CR、=NR、=S、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも2つの置換基により置換される)から選択され、ここで、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシおよび−NHから選択されるが、但し、RおよびRの少なくとも一方が前記置換−C〜C15アリール環である請求項3記載の化合物。
【請求項12】
が=Oである請求項11記載の化合物。
【請求項13】
が=Oである請求項11記載の化合物。
【請求項14】
以下の一覧から選択される請求項1記載の化合物:
メチル−2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート、
メチル−2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート;
2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
(2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール、
(2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール、
2−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸、
2−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸、
3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
3−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン、
3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン、
3−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、
3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オール、
(3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール、
3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸、
メチル3−(2,6−ジメトキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボキシレート、
(3−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−イル)メタノール、
3−(2,6−ジメトキシ−4−ペンチルフェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸、
5−(2−メチルオクタン−2−イル)−2−(4,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール、
2−(4−(ヒドロキシメチル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−イル)−5−(2−メチルオクタン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール、
3−(2,6−ジヒドロキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−1−カルボン酸、
2−(4−(ヒドロキシメチル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−5−(2−メチルオクタン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール、
5−(2−メチルオクタン−2−イル)−2−(4,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジオール、および
3−(2,6−ジヒドロキシ−4−(2−メチルオクタン−2−イル)フェニル)−7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸。
【請求項15】
CB受容体を刺激し得る請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
前記受容体がCB2受容体である請求項15記載の化合物。
【請求項17】
前記刺激が疾患、障害または症状の処置に関連する請求項15または16記載の化合物。
【請求項18】
前記疾患、障害または症状が、炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される請求項17記載の化合物。
【請求項19】
前記疾患、障害または症状が大脳損傷である請求項18記載の化合物。
【請求項20】
前記大脳損傷が、非開放性頭部損傷、穿通性頭部損傷、爆風損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される請求項19記載の化合物。
【請求項21】
脳外傷により引き起こされる二次損害を低下し得る請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
医薬剤として用いるための請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される疾患、障害または症状の処置に用いるための請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
大脳損傷の処置に用いるための請求項1〜14記載の化合物。
【請求項25】
前記大脳損傷が、非開放性頭部損傷、開放性頭部損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される請求項24記載の化合物。
【請求項26】
脳外傷により引き起こされる続発性損害を低下し得る請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
骨成長、骨質量、骨修復の刺激、または骨損失の防止に用いるための請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
骨減少症、骨粗鬆症、骨折または骨欠損、原発性または続発性上皮小体機能亢進症、骨関節炎、歯周疾患または欠損症、骨溶解性骨損失疾患、形成外科術後、整形外科術後、口腔術後、整形外科移植後および歯科インプラント術後、原発性および転移性骨癌、骨髄炎、あるいはその任意の組合せから選択される少なくとも1つの疾患または障害の処置に用いるための請求項27記載の化合物。
【請求項29】
前記少なくとも1つの疾患または障害が骨減少症および骨粗鬆症から選択される請求項28記載の化合物。
【請求項30】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物を含む薬学的組成物。
【請求項31】
炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される疾患、障害または症状の処置に用いるための請求項30記載の薬学的組成物。
【請求項32】
前記疾患、障害または症状が大脳損傷である請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記大脳損傷が、非開放性頭部損傷、開放性頭部損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される請求項32記載の薬学的組成物。
【請求項34】
脳外傷により引き起こされる続発性損害を低下させるのに用いるための請求項30記載の薬学的組成物。
【請求項35】
骨成長、骨質量、骨修復の刺激、または骨損失の防止に用いるための請求項30記載の薬学的組成物。
【請求項36】
骨減少症、骨粗鬆症、骨折または骨欠損、原発性または続発性上皮小体機能亢進症、骨関節炎、歯周疾患または欠損症、骨溶解性骨損失疾患、形成外科術後、整形外科術後、口腔術後、整形外科移植後および歯科インプラント術後、原発性および転移性骨癌、骨髄炎、あるいはその任意の組合せから選択される少なくとも1つの疾患または障害の処置に用いるための請求項35記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記少なくとも1つの疾患または障害が骨減少症および骨粗鬆症から選択される請求項36記載の化合物。
【請求項38】
薬学的組成物の製造のための請求項1〜14記載の化合物の使用。
【請求項39】
CB受容体を刺激し得る医薬剤の製造のための請求項1〜14記載の化合物の使用。
【請求項40】
前記受容体がCB2受容体である請求項39記載の使用。
【請求項41】
前記刺激が少なくとも1つの疾患、障害または症状の処置に関連する請求項38または39記載の使用。
【請求項42】
前記少なくとも1つの疾患、障害または症状が、炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される請求項41記載の使用。
【請求項43】
大脳損傷の処置のための医薬剤の製造のための請求項1〜14記載の化合物の使用。
【請求項44】
前記大脳損傷が、非開放性頭部損傷、穿通性頭部損傷、爆風損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される請求項43記載の使用。
【請求項45】
脳外傷により引き起こされる続発性損害を低下させるための医薬剤の製造のための請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項46】
骨成長、骨質量、骨修復の刺激、または骨損失の防止のための薬学的組成物の調製のための請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項47】
前記骨成長、骨質量、骨修復の刺激、または骨損失の防止が、骨減少症、骨粗鬆症、骨折または骨欠損、原発性または続発性上皮小体機能亢進症、骨関節炎、歯周疾患または欠損症、骨溶解性骨損失疾患、形成外科術後、整形外科術後、口腔術後、整形外科移植後および歯科インプラント術後、原発性および転移性骨癌、骨髄炎、あるいはその任意の組合せから選択される少なくとも1つの疾患または障害の処置に関連する請求項46記載の使用。
【請求項48】
前記少なくとも1つの疾患または障害が骨減少症および骨粗鬆症から選択される請求項47記載の使用。
【請求項49】
それを必要とする被験者におけるCB受容体を刺激するための方法であって、治療的有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物を前記被験者に投与することを包含する方法。
【請求項50】
前記CB受容体がCB2受容体である請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記刺激が少なくとも1つの疾患、障害または症状の処置に関連する請求項49または50記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1つの疾患、障害または症状が、炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される請求項51記載の方法。
【請求項53】
炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される疾患、障害または症状の処置方法であって、それを必要とする被験者に有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物を投与することを包含する方法。
【請求項54】
それを必要とする被験者における大脳損傷の処置方法であって、有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物を前記被験者に投与することを包含する方法。
【請求項55】
前記大脳損傷が、非開放性頭部損傷、穿通性頭部損傷、爆風損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される請求項54記載の方法。
【請求項56】
それを必要とする被験者における脳外傷により引き起こされる続発性損害を低下させる方法であって、有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物を前記被験者に投与することを包含する方法。
【請求項57】
それを必要とする被験者におけるc−AMP形成に作用する方法であって、有効量の請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物を前記被験者に投与することを包含する方法。
【請求項58】
骨成長、骨質量、骨修復の刺激、または骨損失の防止の方法であって、それを必要とする被験者に、治療的有効量の請求項1〜14記載の少なくとも1つの化合物を投与することを包含する方法。
【請求項59】
骨減少症、骨粗鬆症、骨折または骨欠損、原発性または続発性上皮小体機能亢進症、骨関節炎、歯周疾患または欠損症、骨溶解性骨損失疾患、形成外科術後、整形外科術後、口腔術後、整形外科移植後および歯科インプラント術後、原発性および転移性骨癌、骨髄炎、あるいはその任意の組合せから選択される少なくとも1つの疾患または障害の処置のための請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記少なくとも1つの疾患または障害が骨減少症および骨粗鬆症から選択される請求項59記載の方法。
【請求項61】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物の製造方法であって、以下の:
(a)一般式(X)または(X’):
【化4】


(式中、R、RおよびRは、本明細書中に上記されたものと同じ意味を有し;Xはハロゲン化物、擬ハロゲン化物、官能性脱離基であり;そして


は、各々独立して、単結合または二重結合である)
を有する化合物を提供すること;
(b)触媒の存在下で、化合物(X)または(X’)を、それぞれ一般式(XI)または(XI’):
【化5】


(式中、Yの各々は、OH、C〜Cアルコキシから選択されるか、あるいはともに、それらが結合されるホウ素原子と一緒になって環式ジアルコキシ環を形成し得る)
を有する化合物と反応させて、式(I)の化合物を得ること
を包含する方法。
【請求項62】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物の製造方法であって、以下の:
(a)一般式(X)または(X’):
【化6】


(式中、R、RおよびRは、本明細書中に上記されたものと同じ意味を有し;Xはハロゲン化物、擬ハロゲン化物、官能性脱離基であり;そして


は、各々独立して、単結合または二重結合である)
を有する化合物を提供すること;
(b)化合物(X)または(X’)を、それぞれR−HまたはR−Hとカップリングさせて;それにより式(I)の化合物を得ること
を包含する方法。
【請求項63】
一般式(I):
【化7】


(式中、


は、各々独立して、単結合または二重結合であり;
は、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルケニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキニルおよび−C(=O)R(各々任意に、−OH、−COOH、−NH、C〜Cアミン、ハロゲン、フェニル、ヘテロアリールから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択され;この場合、
は、−H、−OH、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルケニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキニル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシ、−NRからなる群から選択され:
およびRは、各々独立して、Hおよび直鎖または分枝鎖C〜Cアルキルから選択され;そして
およびRは、各々独立して、−H、−OH、=O、=CR、=NR、=S、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−OH、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択され;ここで、
、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシおよび−NHから選択され;あるいは
およびRは、それらが結合される炭素原子と一緒になって環を形成し得るし;前記環は、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロヘテロアルキニル環であり得るが;
但し、RおよびRの少なくとも一方は、前記置換−C〜C15アリール環である)
の化合物。
【請求項64】
式(XII):
【化8】


(式中、


は、単結合または二重結合であり;
は、−H、−OH、=O、=CR、=NR、=S、−C〜C15アリール環(直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、アミン、C〜C12アルコキシカルボン酸、−OC(=O)Rおよび−C(=O)Rから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択され;この場合、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、H、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシおよび−NHから選択され;
Rjは、H、および−OR(ここで、Rは、H、−COOR、直鎖または分枝鎖C〜Cアルキル(任意に、−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により置換される)から選択される)から選択され;そしてRは、H、C〜Cアルキルおよび−NHから選択され;
は、直鎖または分枝鎖C〜C12アルキル、直鎖または分枝鎖C〜Cアルコキシ、直鎖または分枝鎖C〜Cエーテルから選択され;各々任意に、−COOH、−NHから選択される少なくとも1つの基により置換され;
およびZは、各々独立して、−O−、直鎖または分枝鎖C〜C−アルキレン、−S−、−C(=O)−および−C(=S)−から選択される)
を有する請求項63記載の化合物。
【請求項65】
以下の:
【化9】


からなる群から選択される請求項63または64記載の化合物。
【請求項66】
CB受容体を刺激し得る請求項63〜65記載の化合物。
【請求項67】
前記受容体がCB2受容体である請求項66記載の化合物。
【請求項68】
前記刺激が疾患、障害または症状の処置に関連する請求項66または67記載の化合物。
【請求項69】
前記疾患、障害または症状が、炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される請求項68記載の化合物。
【請求項70】
前記疾患、障害または症状が大脳損傷である請求項69記載の化合物。
【請求項71】
前記大脳損傷が、非開放性頭部損傷、穿通性頭部損傷、爆風損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される請求項70記載の化合物。
【請求項72】
脳外傷により引き起こされる続発性損害を低下し得る請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項73】
医薬剤としての使用のための請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項74】
炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される疾患、障害または症状の処置に用いるための請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項75】
大脳損傷の処置に用いるための請求項63〜65記載の化合物。
【請求項76】
前記大脳損傷が、非開放性頭部損傷、開放性頭部損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される請求項75記載の化合物。
【請求項77】
脳外傷により引き起こされる続発性損害を低下させるのに用いるための請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項78】
骨成長、骨質量、骨修復の刺激または骨損失の防止に用いるための請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項79】
骨減少症、骨粗鬆症、骨折または骨欠損、原発性または続発性上皮小体機能亢進症、骨関節炎、歯周疾患または欠損症、骨溶解性骨損失疾患、形成外科術後、整形外科術後、口腔術後、整形外科移植後および歯科インプラント術後、原発性および転移性骨癌、骨髄炎、あるいはその任意の組合せから選択される少なくとも1つの疾患または障害の処置に用いるための請求項78記載の化合物。
【請求項80】
前記少なくとも1つの疾患または障害が骨減少症および骨粗鬆症から選択される請求項79記載の化合物。
【請求項81】
請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物を含む薬学的組成物。
【請求項82】
炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される疾患、障害または症状の処置に用いるための請求項81記載の薬学的組成物。
【請求項83】
前記疾患、障害または症状が大脳損傷である請求項82記載の薬学的組成物。
【請求項84】
前記大脳損傷が、非開放性頭部損傷、開放性頭部損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される請求項83記載の薬学的組成物。
【請求項85】
脳外傷により引き起こされる続発性損害を低下させるのに用いるための請求項81記載の薬学的組成物。
【請求項86】
骨成長、骨質量、骨修復の刺激、または骨損失の防止に用いるための請求項81記載の薬学的組成物。
【請求項87】
骨減少症、骨粗鬆症、骨折または骨欠損、原発性または続発性上皮小体機能亢進症、骨関節炎、歯周疾患または欠損症、骨溶解性骨損失疾患、形成外科術後、整形外科術後、口腔術後、整形外科移植後および歯科インプラント術後、原発性および転移性骨癌、骨髄炎、あるいはその任意の組合せから選択される少なくとも1つの疾患または障害の処置に用いるための請求項86記載の薬学的組成物。
【請求項88】
前記少なくとも1つの疾患または障害が骨減少症および骨粗鬆症から選択される請求項87記載の薬学的組成物。
【請求項89】
薬学的組成物の製造のための請求項63〜65記載の化合物の使用。
【請求項90】
CB受容体を刺激し得る医薬剤の製造のための請求項63〜65記載の化合物の使用。
【請求項91】
前記受容体がCB2受容体である請求項90記載の使用。
【請求項92】
前記刺激が少なくとも1つの疾患、障害または症状の処置に関連する請求項90または91記載の使用。
【請求項93】
前記少なくとも1つの疾患、障害または症状が、炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される請求項92記載の使用。
【請求項94】
大脳損傷の処置のための医薬剤の製造のための請求項63〜65記載の化合物の使用。
【請求項95】
前記大脳損傷が、非開放性頭部損傷、穿通性頭部損傷、爆風損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される請求項94記載の使用。
【請求項96】
脳外傷により引き起こされる続発性損害を低下させるための医薬剤の製造のための請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項97】
骨成長、骨質量、骨修復の刺激、または骨損失の防止のための薬学的組成物の調製のための請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項98】
前記骨成長、骨質量、骨修復の刺激、または骨損失の防止が、骨減少症、骨粗鬆症、骨折または骨欠損、原発性または続発性上皮小体機能亢進症、骨関節炎、歯周疾患または欠損症、骨溶解性骨損失疾患、形成外科術後、整形外科術後、口腔術後、整形外科移植後および歯科インプラント術後、原発性および転移性骨癌、骨髄炎、あるいはその任意の組合せから選択される少なくとも1つの疾患または障害の処置に関連する請求項97記載の使用。
【請求項99】
前記少なくとも1つの疾患または障害が骨減少症および骨粗鬆症から選択される請求項98記載の使用。
【請求項100】
それを必要とする被験者におけるCB受容体を刺激するための方法であって、治療的有効量の請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物を前記被験者に投与することを包含する方法。
【請求項101】
前記CB受容体がCB2受容体である請求項100記載の方法。
【請求項102】
前記刺激が少なくとも1つの疾患、障害または症状の処置に関連する請求項100または101記載の方法。
【請求項103】
前記少なくとも1つの疾患、障害または症状が、炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される請求項102記載の方法。
【請求項104】
炎症、疼痛、アレルギー、神経学的および神経変性疾患、肝臓疾患、大脳損傷、癌、網膜血管新生、子宮内膜炎、食欲関連障害、代謝症候群、糖尿病、アテローム硬化症;抗フィブリノーゲン作用に関連した障害、炎症性腸疾患、関節炎および嘔吐、あるいはその任意の組合せから選択される疾患、障害または症状の処置方法であって、それを必要とする被験者に有効量の請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物を投与することを包含する方法。
【請求項105】
それを必要とする被験者における大脳損傷の処置方法であって、有効量の請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物を前記被験者に投与することを包含する方法。
【請求項106】
前記大脳損傷が、非開放性頭部損傷、穿通性頭部損傷、爆風損傷、大脳虚血再還流損傷、術後脳損傷、脳出血から選択される請求項105記載の方法。
【請求項107】
それを必要とする被験者における脳外傷により引き起こされる続発性損害を低下させる方法であって、有効量の請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物を前記被験者に投与することを包含する方法。
【請求項108】
それを必要とする被験者におけるc−AMP形成に作用する方法であって、有効量の請求項63〜65のいずれか一項に記載の化合物を前記被験者に投与することを包含する方法。
【請求項109】
骨成長、骨質量、骨修復の刺激、または骨損失の防止の方法であって、それを必要とする被験者に、治療的有効量の請求項63〜65記載の少なくとも1つの化合物を投与することを包含する方法。
【請求項110】
骨減少症、骨粗鬆症、骨折または骨欠損、原発性または続発性上皮小体機能亢進症、骨関節炎、歯周疾患または欠損症、骨溶解性骨損失疾患、形成外科術後、整形外科術後、口腔術後、整形外科移植後および歯科インプラント術後、原発性および転移性骨癌、骨髄炎、あるいはその任意の組合せから選択される少なくとも1つの疾患または障害の処置のための請求項109記載の方法。
【請求項111】
前記少なくとも1つの疾患または障害が骨減少症および骨粗鬆症から選択される請求項110記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A−D】
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【公表番号】特表2013−511511(P2013−511511A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539469(P2012−539469)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000970
【国際公開番号】WO2011/061744
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504000281)イッサム・リサーチ・ディベロップメント・カンパニー・オブ・ザ・ヘブルー・ユニバーシティ・オブ・エルサレム・リミテッド (6)
【Fターム(参考)】