説明

新規縮合ピリミジン誘導体

【課題】自己免疫が関与する疾患、免疫不全症または神経変性疾患の予防薬および/または治療薬、特にセプシスの予防薬および/または治療薬の提供。
【解決手段】
式(I)の化合物又はその塩[式中、A1は、式(A)または(B)を表し、A1が式(A)のときA2は上記式 (B)等を表し、


1は、−NR12等を表し、R1およびR2は、各々水素原子、C1-10アルキル等を表し、Alk3は、単結合等を表し、Xは、単結合等を表し、R3は、C1-10アルキル等を表し、Q2は、−NR45等を表し、R4およびR5は、各々水素原子、C1-10アルキル等を表し、Alk4は、単結合等を表し、Arは、アリレン等を表し、Yは、単結合、−O−等を表し、Zは、単結合、−N(R10)−等を表し、Alk1およびAlk2は、各々メチレン等を表し、n1およびn2は、各々1〜3の整数を表し、R10は、水素原子、C1-10アルキル等を表す]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬として有用な縮合ピリミジン誘導体に関する。より詳しくは、トール様受容体(TLR)を介したシグナル伝達に関連する疾患の予防および/または治療に有効な縮合ピリミジン誘導体に関する。具体的には、自己免疫が関与する疾患(セプシス、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病、感染症、癌)、免疫不全症または神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン病など)の予防薬および/または治療薬としての縮合ピリミジン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内における免疫系の刺激は、宿主に対して保護的な生理学的結果またはそれと相反する有害な生理学的結果をもたらす。近年、これら自然免疫(先天免疫)機構への関心が増大している。特に、最近発見されたTLRは、自然免疫に関係し、病原微生物を認識する受容体であることが報告されている。TLRは、高度に保存されたパターン認識受容体であり、注目を集めている。現在までにヒトのTLRは10種類が同定され、TLR1〜TLR10と命名されている。それぞれのTLRは病原微生物の細胞壁成分やDNAに代表される特有の分子構造(パソジェン・アソシエーテッド・モレキュラー・パターン、PAMPs)を識別して宿主の免疫反応を誘起し、生体防御を担っている(Nature Reviews Immunology, 2001, 1, 135-145)。例えば、TLR2は、微生物細胞壁の構成成分であるペプチドグリカン、酵母のザイモザンなどのシグナルを伝達し、TLR4は、グラム陰性菌細胞壁の構成成分であるリポ多糖(LPS)のシグナルを宿主細胞外から細胞内へと伝達している(Nature Immunology, 2001, 2, 675-680)。また、宿主細胞内のエンドソームに発現しているTLR9は、病原微生物のDNAやCpG DNAを認識することが報告されており、特に注目される(Nature, 2000, 408, 740-745 または Proceedings of the National Academy of Sciences, 2001, 98, 9237-9242)。従って、このTLRを介した自然免疫の制御に有用な薬剤および/または組成物は、以下に示す自己免疫が関与する疾患(セプシス、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病、感染症、癌)、免疫不全症または神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン病など)に対する予防薬および/または治療薬と成り得る。
【0003】
「自己免疫疾患」は、自己の組織を構成する成分に反応する抗体あるいはリンパ球が体内で持続的に産生されることによって組織障害に至る疾患であり、下記に掲げる(1)臓器特異的自己免疫疾患と(2)臓器非特異的自己免疫疾患(全身性自己免疫疾患)の2つに大別される。
【0004】
(1) 臓器特異的自己免疫疾患:橋本病、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症、悪性貧血、Good-pasture症候群、急性進行性糸球体腎炎、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、インスリン抵抗性糖尿病、若年性糖尿病、I型糖尿病、アジソン病、萎縮性胃炎、男性不妊症、早発性更年期、水晶体原性ぶどう膜炎、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、慢性活動性肝炎、自己免疫性血液性疾患(例えば、自己免疫性溶血性貧血、突発性血小板減少症等)、発作性血色素尿症、原発性胆汁性肝硬変、ギラン・バレー症候群、バセドウ病、突発性血小板減少性紫斑病、間質性肺腺維症および慢性円板状エリテマトーデス。
【0005】
(2)臓器非特異的自己免疫疾患(全身性自己免疫疾患):関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、全身性皮膚硬化症、結節性多発動脈炎、アレルギー性肉芽種性血管炎、強皮症および混合結合組織病。
【0006】
一方、セプシスは、感染症を伴う全身性炎症反応症候群(Systemic Inflammatory Response Syndrome, SIRS)と定義されている(Chest, 1992, 101, 1644-1655)。その発症原因は、病原微生物とその毒素によって誘導された炎症性メディエーターの過剰産生であり、その炎症性メディエーターが、セプティックショック、それに伴う臓器不全の発症、さらには抗炎症性メディエーターの誘導にも関与すると考えられてきた。
【0007】
近年、このような背景の基、一酸化窒素(NO)やサイトカインなどの炎症性メディエーターを抑制する薬剤が開発され、その有効性が動物レベルで示され、重症セプシス患者を対象に炎症性メディエーターを標的とした薬物療法の臨床試験が実施された。しかし、現在までに十分な治療効果は得られておらず、複雑なネットワークを形成する炎症性メディエーターの一部を抑制するだけでは高い効果が期待できないことが示唆される(British Medical Bulletin, 1999, 55, 212-225)。このような結果から、近年は、免疫反応により発現される炎症性メディエーターと抗炎症性メディエーターとの不均衡が、セプシスの重症化、セプティックショック、それに伴う臓器不全の発症、2次感染によるセプシスの再発またはセプシスの予後不良に深く関与すると考えられるようになった。従って、自然免疫を司るTLRからの免疫反応の制御が、上記セプシス関連疾患の根本的な予防および/または治療となることが期待できる。特に、TLR9に対する阻害剤は、病原微生物から惹起される免疫反応に対して選択的な制御が期待できる。また、TLR9阻害剤は、単独、TLR2阻害剤と併用、TLR4阻害剤との併用またはTLR2阻害剤およびTLR4との併用でのさらなる効果も期待でき、新しいセプシス治療として根本治療が期待できる。既存の抗菌剤、血液凝固剤等の既存のセプシス治療法との組み合わせによる併用療法により、セプシス関連疾患に対するさらなる効果も期待できる。
【0008】
本発明は、TLRを介する自然免疫を制御し、自己免疫が関与する疾患(セプシス、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病、感染症、癌)、免疫不全症または神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン病など)に対する予防薬および/または治療薬として有用な縮合ピリミジン誘導体に関する。
【0009】
抗マラリア薬として開発されたクロロキン(a)は、種々の自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリトマトーデスなど)の治療にも使用されており、抗炎症薬としても有用である。最近、その自己免疫疾患に対するクロロキンおよびその類縁体であるキナクリン(b)の作用機構が、TLR9拮抗作用によるものであることが報告されている(European Journal of Immunology, 2004, 34, 2541-2550)。
【0010】
【化1】

【0011】
そのほかに、最近TLR9阻害剤に関する開示があるが、本願発明の化合物とは構造が異なる(特許文献1)。また、TLR7、TLR8およびTLR9拮抗作用を有する化合物として、以下の代表化合物(c)も開示されているが、本願発明の化合物とは構造が異なる(特許文献2)。
【0012】
【化2】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2000/076982
【特許文献2】国際公開第2008/030455
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、自己免疫疾患の予防および/または治療、具体的には自己免疫が関与する疾患(炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病、感染症、癌)、免疫不全症または神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン病など)の予防薬および/または治療薬を提供することである。また、選択的にTLRを阻害するようなTLR阻害剤を見出すことで、セプシス、特に重症セプシスの予防および/または治療にも有効な医薬品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、下記式(I)で表される新規化合物が、強いTLR阻害作用を示し、重症セプシスの予防および/または治療に有用な医薬となり得ることを見出し、本発明を完成させた。本発明によれば、下記式(I)で表され縮合ピリミジン誘導体(以下、「本発明の化合物」と称することもある。)が提供される。即ち、本発明は以下の通りである。
【0016】
[項1]下記式(1):
【0017】
【化3】

【0018】
[式中、A1およびA2は、下記式(A)または(B)を表し、
【0019】
【化4】

【0020】
1が式(A)のとき、A2は上記式 (B)を表し、
1が式(B)のとき、A2は上記式(A)を表し、
1は、置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環、または−NR12を表し、R1は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC3-8シクロアルキルまたは置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環基を表し、
Alk3は、単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいC1-8アルキレンを表し、
−X−は、単結合、−CO−、−NR6CO−、−CO2−、−COCO−、−CONR6−、−OCONR6−、−NR6CO2−、−NR6CONR7−、−(CR67)m1O−または−NR6−を表し、
ここにおいて、Q1が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する炭素原子がXと結合している)であって、Alk3が単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいメチレンのとき、−X−は、単結合、−CO−、−NR6CO−または−COCO−であり、
1が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する窒素原子がXと結合している)または−NR12であって、Alk3がC1-3アルキルで置換されていてもよいC2-8アルキレンのとき、−X−は、単結合、−CO−、−CO2−、−COCO−、−CONR6−または−(CR672O−であり、
1が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する窒素原子がXと結合している)または−NR12であって、Alk3が単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいメチレンのとき、−X−は、−CO−または−COCO−であり、
3は、水素原子、置換されていてもよいC1-10アルキルまたは置換されていてもよいC3-8シクロアルキルを表すか、R1またはAlk3の1つの炭素原子と一緒になって置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環を形成していてもよく、
2は、置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環、または−NR45を表し、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC3-8シクロアルキルまたは置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環を表し、
Alk4は、単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいC1-4アルキレンを表し、
Arは、置換されていてもよいアリレンまたは置換されていてもよいヘテロアリレンを表し、
−Y−は、単結合、−O−、−CO−、−NR8CO−、−CO2−、−COCO−、−CONR8−、−OCONR8−、−NR8CO2−、−NR8CONR9−、−NR8−、−CO(CR89)O−、−NR8SO2−、−SO2NR8−または−S−を表し、
ここにおいて、Q2が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する窒素原子がAlk4と結合している)または−NR45であって、Alk4がC1-3アルキルで置換されていてもよいC2-4アルキレンであって、Ar(該Arは、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、インドリン、テトラヒドロキノリン、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジンまたは1H-ピロロ[2,3-b]ピリジンである)の環上の窒素原子とYが結合するとき、−Y−は、単結合、−CO−、−NR8CO−、−COCO−または−NR8SO2−であり、
2が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する窒素原子がAlk4と結合している)または−NR45であって、Alk4が単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいメチレンであって、Arの環上の炭素原子とYが結合するとき、−Y−は、単結合、−CO−、−CO2−、−COCO−、−CONR8−、−CO(CR89)O−または−SO2NR8−であり、
2が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する窒素原子がAlk4と結合している)または−NR45であって、Alk4が単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいメチレンであって、Ar(該Arは、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、インドリン、テトラヒドロキノリン、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジンまたは1H-ピロロ[2,3-b]ピリジンである)の環上の窒素原子とYが結合するときは、−Y−は、−CO−または−COCO−であり、
Zは、単結合、−O−、−S(O)m2−または−N(R10)−を表し、
Alk1およびAlk2は、それぞれ独立して;ハロゲン、水酸基、カルボキシル、置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC1-5アルコキシ、置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、−NR1112、−CONR1112、置換されていてもよいC1-5アルキルカルボニルおよび置換されていてもよいC1-5アルコキシカルボニルからなる群から選択される同一または異なる1〜2個の置換基で置換されていてもよいメチレン;またはカルボニルを表し、
1およびm2は、それぞれ独立して、0〜2の整数を表し、
1およびn2は、それぞれ独立して、1〜3の整数を表し、
10は、水素原子、置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、置換されていてもよいアリール−C1-10アルキル、置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環基、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいC1-5アルキルカルボニル、置換されていてもよいC1-5アルコキシカルボニル、−CONR1314または−SO213を表し、
6、R7、R8、R9、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよいC1-10アルキルを表す]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0021】
[項2]置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC1-5アルコキシ、置換されていてもよいC1-5アルキルカルボニル、置換されていてもよいC1-5アルコキシカルボニルおよび置換されていてもよいアリール−C1-10アルキルのそれぞれの基のアルキル部分が、
(1)ハロゲン原子、
(2)水酸基、
(3)シアノ、
(4)カルボキシル、
(5)置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、
(6)置換されていてもよいアリール、
(7)置換されていてもよいヘテロアリール、
(8)C1-5アルコキシ、
(9)置換されていてもよいC3-8シクロアルコキシ、
(10)C1-5アルコキシカルボニル、
(11)−NR1112
(12)−CONR1516、および
(13)置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよく
(ここにおいて、前記(6)および(7)に示す基は、
(a)水酸基、
(b)ハロゲン、
(c)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキル、
(d)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシ、
(e)シアノ、
(f)カルボキシル、
(g)−NR1516
(h)−CONR1516、および
(i)C1-5アルコキシカルボニルからなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基を意味し、
(5)、(9)および(13)に示す基は、前記
(a)水酸基、
(b)ハロゲン、
(c)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキル、
(d)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシ、
(h)−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基を意味し、
(11)に示す基(R11および/またはR12が置換されていてもよいアルキルである)は、前記
(c) 1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキル、
(h)−CONR1516
(i) C1-5アルコキシカルボニル、
(j) C3-8シクロアルキル、
(k)ハロゲンおよびC1-10アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよいアリール−C1-10アルキル、
(l)−SO215
(m)−COR15、および
(n)−SO2NR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基を意味する);
シクロアルキルおよび飽和複素環基が、前記(a)、(b)、(c)、(d)および(h)からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基であり;
アリレン、ヘテロアリレン、アリール、ヘテロアリールおよびアリール−C1-10アルキルが、それぞれの基のアリール部分が、前記(a)〜(i) からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基であり;
アミノが、(c)、 (h)、 (i)、 (j)、(k)、 (l)、(m)および (n) からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基であり、
15およびR16が、それぞれ独立して、水素原子、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキルまたは置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環であるか、あるいは、R15およびR16が同一の窒素原子に結合するときは、一緒になって4〜10員の飽和複素環を形成していてもよい、
項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0022】
[項3]Q1が、ハロゲン、水酸基、−CONR1516およびC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環、または−NR12であり、R1およびR2が、それぞれ独立して、水素原子;フッ素原子、水酸基および−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル;フッ素原子および水酸基からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC3-8シクロアルキル;またはC1-6アルキルで置換されていてもよい4〜7員の飽和複素環であり、
Alk3が、単結合またはC1-6アルキレンであり、
−X−が、単結合、−CO−、−NR6CO−または−(CR67)m1O−であり、
3が、水素原子、または、フッ素原子および水酸基からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
2が、水酸基、フッ素原子、C1-6アルキルおよび−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環、または−NR45であり、R4およびR5が、それぞれ独立して、水素原子;フッ素原子、水酸基、C1-5アルコキシ、−NR1516および−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルまたはC3-8シクロアルキル;またはC1-6アルキルで置換されていてもよい4〜7員の飽和複素環であり、
Alk4が、単結合またはC1-2アルキルで置換されていてもよいC1-3アルキレンであり、
−Y−が、単結合、−O−、−NR8CO−、−CONR8−、−NR8CONR9−、−NR8−、−CO(CR89)O−または−SO2NR8−であり、
Arが、ハロゲン、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいフェニレンまたは、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい1〜2個の窒素原子を含むヘテロアリレンであり、
Zが、単結合、−O−、−S−または−N(R10)−であり、
Alk1およびAlk2が、それぞれ独立して、水酸基およびC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜2個の置換基で置換されていてもよい1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよいメチレンであるか、またはカルボニルであり、
1が、0または1であり、
1およびn2が、それぞれ独立して、1または2であり、
10が、水素原子;フッ素原子およびC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-10アルキル;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール−C1-6アルキル;1〜3個のC1-6アルキルで置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール;フッ素原子および−NR1112からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニル;−CONR1314または−SO213であり、
6、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子またはC1-6アルキルである、
項1または2に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0023】
[項4]Alk1およびAlk2が、それぞれ独立して、メチレンまたはカルボニルである、
項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0024】
[項5]−X−が、単結合、−CO−または−(CR67)m1O−であり、Alk3が、単結合、C2-6アルキレンである、
項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0025】
[項6]−Y−が、単結合、−O−、−NR8CO−、−CONR8−または−CO(CR89)O−である、
項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0026】
[項7]Zが、単結合または−N(R10)−である、
項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0027】
[項8]R10が、水素原子;1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール−C1-6アルキル;1〜3個のC1-6アルキルで置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール;またはハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリールである、
項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0028】
[項9]R3が、水素原子、または、1個の水酸基で置換されていてもよいC1-6アルキルである、
項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0029】
[項10]A1が、式(A)であり、A2が、式(B)である、
項1〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0030】
[項11]A1が、式(B)であり、A2が、式(A)である、
項1〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0031】
[項12]Q2が、−NR45である、
項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0032】
[項13]Q2が、水酸基、フッ素原子、C1-6アルキルおよび−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環である、
項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0033】
[項14]Alk1およびAlk2が、いずれもメチレンである、
項1〜13のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0034】
[項15]Arが、ハロゲン、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいフェニレンである、
項1〜14のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0035】
[項16]Arが、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい1〜2個の窒素原子を含むヘテロアリレンである、
項1〜14のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0036】
[項17]Q1が、−NR12である、
項1〜16のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0037】
[項18]Q1が、ハロゲン、水酸基、−CONR1516およびC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環である、
項1〜16のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【0038】
[項19]項1〜18のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【0039】
[項20]項1〜18のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分とするトール様受容体が関連する疾患の治療剤および/または予防剤。
【0040】
[項21]トール様受容体が関連する疾患がセプシス、自己免疫疾患または神経変性疾患である項20に記載の治療剤および/または予防剤。
【発明の効果】
【0041】
本発明化合物は、自己免疫疾患の予防および/または治療、具体的には自己免疫が関与する疾患(炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病、感染症、癌)、免疫不全症または神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン病など)の予防薬および/または治療薬として有用である。また、選択的にTLRを阻害するようなTLR阻害剤を見出すことで、セプシス、特に重症セプシスの予防および/または治療にも有効な医薬品としても有用である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0043】
以下の記載において、式(I)で表される化合物を化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である。
【0044】
なお、本明細書において、「置換」された基における置換基の数は、特に記載した場合を除き、置換可能であれば特に制限はなく、1または2以上である。本明細書内の記載において、特段の記載のない基は無置換の基を意味する。また、特に記載した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分または置換基である場合にも該当する。
(i)「アルキル」とは、直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味し、例えば、「C1-6アルキル」又は「C1-10アルキル」とは炭素原子数が1〜6又は1〜10の置換基をそれぞれ意味する。具体例的には、「C1-6アルキル」の場合には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等が、「C1-10アルキル」の場合には、前記に加えてヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。中でも好ましくは、「C1-4アルキル」が挙げられる。
(ii)「シクロアルキル」とは、環状の飽和炭化水素基を意味し、例えば、「C3-8シクロアルキル」とは3〜8員の環状の飽和炭化水素基を意味する。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。好ましくは、5〜7員のシクロアルキル基が挙げられる。
(iii)「アリール」としては、6〜14員の単環性、2環性、3環性のアリール基が挙げられる。具体的には、フェニル、ナフチル、インデニル、アントラニル等が挙げられる。好ましくは、炭素数6の単環性又は8〜10員の二環性のアリール基が挙げられ、例えば、フェニルおよびナフチルが挙げられる。「アリレン」とは、上記「アリール」の2価基を意味し、上記に挙げられる基が同様に好ましい。また、他の基と結合する際の結合位置としては、アリレン上の1,3置換または1,4置換が好ましく、より好ましくは1,4置換である。
(iv)「ヘテロアリール」としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1から4個の原子を含む、5〜7員環の単環性芳香族複素環基、9〜11員の2環性芳香族複素環基又は12〜15員の3環性芳香族複素環基が挙げられる。具体的には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、2−オキソベンゾオキサゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、プリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジオキソリル、イミダゾリル、インドリル、イソインドリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチルリジニル、キノキサリニル、ピロリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チエニル、フリル等が挙げられる。好ましくは、5員もしくは6員の単環性芳香族複素環基または9員もしくは10員の単環性芳香族複素環基が挙げられ、具体的には、ピリジル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、イソインドリル、キノリルまたはイソキノリルが挙げられる。「ヘテロアリレン」とは、上記「ヘテロアリール」の2価基を意味し、上記に挙げられる基が同様に好ましい。また、他の基と結合する際の結合位置としては、ヘテロアリレン上の1,3置換および1,4置換が好ましい。
(v)「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の各原子を意味する。好ましくは、フッ素、塩素または臭素の各原子が挙げられる。
(vi)「アルコキシ」とは、直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基が酸素原子を介して結合している基を意味し、例えば、「C1-5アルコキシ」とは炭素原子が1〜5のアルコキシを意味する。具体的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソポロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、tert-ペントキシ等が挙げられる。中でも好ましくは、「C1-3アルコキシ」が挙げられる。
(vii)「アルキルカルボニル」とは、カルボニルに直鎖または分枝状のアルキルが直結した基を意味し、例えば、「C1-5アルキルカルボニル」とは炭素原子の総数が1〜5のアルキルカルボニルを意味する。具体的には、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニル等を挙げることができる。好ましくは、「C1-4アルキルカルボニル」が挙げられる。
(viii)「アルコキシカルボニル」とは、カルボニルに直鎖状もしくは分枝状のアルコキシが直結した基を意味し、例えば、「C1-5アルコキシカルボニル」とは炭素原子が1〜5のアルコキシを有するアルコキシカルボニルを意味する。具体的には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソポロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、イソペントキシカルボニル、ネオペントキシカルボニル、tert-ペントキシカルボニル等が挙げられる。好ましくは、「C1-3アルコキシカルボニル」が挙げられる。
(ix)「4〜10員の飽和複素環」とは、炭素原子以外に1〜3個のヘテロ原子を含む4〜10個の原子で構成される飽和環を意味する。具体例としては、アゼチジン、ピロリジル、ピペリジル、モルホリル、ホモピペリジル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、オキソテトラヒドロチオピラニル、ジオキソテトラヒドロチオピラニル等が挙げられる。好ましくは、4〜7員の飽和複素環である。具体的には、アゼチジン、ピロリジル、ピペリジル、モルホリル、ホモピペリジル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルが挙げられる。「4〜10員の含窒素飽和複素環」とは、炭素原子以外に1〜2個の窒素原子を含む4〜10個の原子で構成される飽和環(ここにおいて、該飽和環は更に1個の炭素原子が酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい)を意味する。好ましくは、4〜7員の含窒素飽和複素環である。
(x)「アルキレン」とは、直鎖状の炭化水素鎖(該基は、環状の炭化水素鎖を形成してもよい)を意味し、例えば、「C1-4アルキレン」または「C1-8アルキレン」とは炭素原子数が1〜4または1〜8の炭化水素鎖を意味する。具体例的には、「C1-4アルキレン」の場合には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられ、「C1-8アルキレン」の場合には、前記に加えてペンチレン、ヘキシレン等が挙げられる。中でも好ましくは、「C1-3アルキレン」が挙げられる。
【0045】
「置換されていてもよいC1-10アルキル」、「置換されていてもよいC1-5アルコキシ」、「置換されていてもよいC1-5アルキルカルボニル」、「置換されていてもよいC1-5アルコキシカルボニル」および「置換されていてもよいアリール−C1-10アルキル」のそれぞれの基のアルキル部分の置換基としては、
(1)ハロゲン原子、
(2)水酸基、
(3)シアノ、
(4)カルボキシル、
(5)置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、
(6)置換されていてもよいアリール、
(7)置換されていてもよいヘテロアリール、
(8)C1-5アルコキシ、
(9)置換されていてもよいC3-8シクロアルコキシ、
(10)C1-5アルコキシカルボニル、
(11)−NR1516
(12)−CONR1516、および
(13)置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基が挙げられる
(ここにおいて、前記(6)および(7)に示す基は、
(a)水酸基、
(b)ハロゲン、
(c)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキル、
(d)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシ、
(e)シアノ、
(f)カルボキシル、
(g)−NR1516
(h)−CONR1516、および
(i)C1-5アルコキシカルボニルからなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基を意味し、
(5)、(9)および(13)に示す基は、前記
(a)水酸基、
(b)ハロゲン、
(c)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキル、
(d)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシ、
(h)−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基を意味し、
(11)に示す基(R11および/またはR12が置換されていてもよいアルキルである)は、前記
(c) 1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキル、
(h)−CONR1516
(i) C1-5アルコキシカルボニル、
(j) C3-8シクロアルキル、
(k)ハロゲンおよびC1-10アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよいアリール−C1-10アルキル、
(l)−SO215
(m)−COR15、および
(n)−SO2NR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基を意味する。)。中でも好ましくは、(1)、(2)、(8)、(11)、(12)または(13)の置換基であり、より好ましくは、フッ素原子、(2)または無置換の(8)が挙げられる。
【0046】
「置換されていてもよいC3-8シクロアルキル」および「置換されていてもよい4〜10員の(含窒素)飽和複素環」の置換基としては、前記(a)、(b)、(c)、(d)および(h)からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基が挙げられる。中でも好ましくは、(a)、(b)、(c)または(h)の置換基であり、より好ましくは、(a)、フッ素原子または(c)が挙げられる。
【0047】
「置換されていてもよいアリレン」、「置換されていてもよいヘテロアリレン」、「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいヘテロアリール」および「置換されていてもよいアリール−C1-10アルキルのアリール部分」の置換基としては、前記(a)〜(i) からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基が挙げられる。中でも好ましくは、(a)〜(e)の置換基であり、より好ましくは、フッ素原子、(c)または(d)が挙げられる。
【0048】
化合物(I)の薬理学的に許容される塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩等の酸付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等の金属塩、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等のアンモニウム塩、モルホリン付加塩、ピペリジン付加塩等の有機アミン付加塩、またはグリシン付加塩、フェニルアラニン付加塩、リジン付加塩、アスパラギン酸付加塩、グルタミン酸付加塩等のアミノ酸付加塩等が挙げられる。
【0049】
式(I)で表される本発明の化合物の中でも、A1、A2、X〜Z、Q1、Q2、Ar、Alk1〜Alk4およびR1〜R16の各々の基、m1、m2、n1およびn2で、好ましい基または数値は以下のとおりであるが、本発明は下記に挙げる化合物に限定されるものではない。
【0050】
1が式(A)であり、A2が式 (B)である式(I)の化合物が好ましい。Zとして好ましくは、単結合、−O−、−S−または−N(R10)−が挙げられ、より好ましくは、単結合または−N(R10)−が挙げられ、もっとも好ましくは、−N(R10)−が挙げられる。Alk1およびAlk2として好ましくは、水酸基およびC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜2個の置換基で置換されていてもよい1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよいメチレン、またはカルボニルが挙げられる。より好ましくは、メチレン、またはカルボニルが挙げられ、さらに好ましくは、メチレンが挙げられる。
【0051】
10として好ましくは、水素原子;フッ素原子およびC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-10アルキル;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール−C1-6アルキル;1〜3個のC1-6アルキルで置換されていてもよい飽和複素環;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール;またはハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリールが挙げられる。より好ましくは、水素原子、C1-10アルキル、アリール−C1-6アルキル、飽和複素環、アリールまたはヘテロアリールが挙げられる。さらに好ましくは、水素原子、アリール−C1-6アルキルまたはアリールが挙げられ、もっとも好ましくは、アリール−C1-6アルキルが挙げられる。
【0052】
1およびn2として好ましくは、1または2が挙げられる。
【0053】
1が−NR12のとき、R1およびR2として好ましくは、水素原子;フッ素原子、水酸基および−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル;フッ素原子および水酸基からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC3-8シクロアルキル;またはC1-6アルキルで置換されていてもよい4〜7員の飽和複素環が挙げられる。より好ましくは、水素原子;水酸基で置換されていてもよいC1-6アルキル;水酸基で置換されていてもよいC3-8シクロアルキル;またはC1-3アルキルで置換されていてもよい5〜6員の飽和複素環が挙げられる。さらに好ましくは、水素原子、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキルまたは5〜6員の飽和複素環が挙げられる。もっとも好ましくは、水素原子またはC1-6アルキルが挙げられる。C1-6アルキルの中でも好ましくは、メチル、エチル、プロピルである。
【0054】
1が4〜10員の含窒素飽和複素環のとき、好ましい環としては、下記の構造の環が挙げられる。
【0055】
【化5】

【0056】
[式中、R17は置換されていてもよい飽和複素環の置換基である前記(a)、(b)、(c)、(d)または(h)であり、R18は(c)、(d)、(h)または水素原子であり、rは0〜5の整数である。]
より好ましくは、q1−a、q1−c、q1−d、q1−e、q1−f、q1−g、q1−h、q1−i、q1−j、q1−k、q1−l、q1−m、q1−n、q1−o、q1−p、q1−qおよびq1−tが挙げられ、さらに好ましくは、q1−a、q1−c、q1−d、q1−e、q1−f、q1−g、q1−h、q1−i、q1−j、q1−k、q1−l、q1−m、q1−n、q1−oおよびq1−qが挙げられる。
【0057】
Alk3として好ましくは、単結合およびC1-6アルキレンが挙げられ、より好ましくは、単結合およびC2-6アルキレンが挙げられ、さらに好ましくは、C2-5アルキレンが挙げられ、もっとも好ましくは、C2-4アルキレンが挙げられる。
【0058】
−X−として好ましくは、単結合、−CO−、−NR6CO−および−(CR67)m1O−が挙げられ、より好ましくは、単結合、−CO−および−(CR67)m1O−が挙げられ、さらに好ましくは、単結合および−O−が挙げられる。
【0059】
3として好ましくは、水素原子、または、フッ素原子および水酸基からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルが挙げられ、より好ましくは、水素原子、または、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルが挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、または、C1-6アルキルが挙げられる。
【0060】
また、R3は、R1またはAlk3の1つの炭素原子と一緒になって置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環を形成していてもよく、その好ましい例としては下記の構造が挙げられる。
【0061】
【化6】

【0062】
[式中、R19は置換されていてもよい飽和複素環の置換基である前記(a)、(b)、(c)、(d)または(h)であり、R20は(c)、(d)、(h)または水素原子であり、pは0〜5の整数である。]
より好ましくは、r3−a、r3−b、r3−c、r3−d、r3−e、r3−f、r3−g、r3−h、r3−i、r3−k、r3−nおよびr3−sが挙げられ、さらに好ましくは、r3−a、r3−c、r3−e、r3−f、r3−h、r3−kおよびr3−sが挙げられる。
【0063】
2が−NR45のとき、R4およびR5として好ましくは、水素原子;フッ素原子、水酸基、C1-5アルコキシ、−NR1516および−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルまたはC3-8シクロアルキル;またはC1-6アルキルで置換されていてもよい4〜7員の飽和複素環が挙げられる。より好ましくは、水素原子;水酸基で置換されていてもよいC1-6アルキル;水酸基で置換されていてもよいC3-8シクロアルキル;またはC1-3アルキルで置換されていてもよい5〜6員の飽和複素環が挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキルまたは5〜6員の飽和複素環が挙げられ、もっとも好ましくは、水素原子またはC1-6アルキルが挙げられる。C1-6アルキルの中でも好ましくは、メチル、エチルまたはプロピルである。
【0064】
2が4〜10員の含窒素飽和複素環のとき、好ましい環としては、下記の構造の環が挙げられる。
【0065】
【化7】

【0066】
[式中、R21は置換されていてもよい飽和複素環の置換基である前記(a)、(b)、(c)、(d)または(h)であり、R22は(c)、(d)、(h)または水素原子であり、oは0〜5の整数である。]
より好ましくは、q2−a、q2−c、q2−d、q2−f、q2−g、q2−i、q2−j、q2−k、q2−l、q2−m、q2−n、q2−o、q2−pまたはq2−qが挙げられ、さらに好ましくは、q2−a、q2−c、q2−d、q2−f、q2−g、q2−i、q2−j、q2−kまたはq2−nが挙げられる。
【0067】
Alk4として好ましくは、単結合、メチレン、エチレンまたはプロピレンが挙げられる。
【0068】
Arとして好ましくは、ハロゲン、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいフェニレン、または、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい1〜2個の窒素原子を含むヘテロアリレンが挙げられる。より好ましくは、ハロゲン、C1-6アルキルおよびC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいフェニレン、または、C1-6アルキルおよびC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい1〜2個の窒素原子を含むヘテロアリレンが挙げられる。さらに好ましくは、フェニレンまたはヘテロアリレンが挙げられる。アリレンおよびヘテロアリレンとしては、下記の構造が好ましい構造として例示でき、また、記載の置換位置における結合が好ましい。
【0069】
【化8】

【0070】
[式中、R23は置換されていてもよいヘテロアリールの置換基である前記(a)〜(i)であり、qは0〜4の整数である。]
より好ましくは、ar−b、ar−c、ar−d、ar−e、ar−i、ar−n、ar−o、ar−y、ar−z、ar−aa、ar−ab、ar−ac、ar−ad、ar−ae、ar−af、ar−ai、ar−al、ar−am、ar−anまたはar−aoが挙げられる。
【0071】
−Y−として好ましくは、単結合、−O−、−NR8CO−、−CONR8−、−NR8CONR9−、−NR8−、−CO(CR89)O−または−SO2NR8−が挙げられる。より好ましくは、単結合、−O−、−NR8CO−、−CONR8−または−CO(CR89)O−が挙げられ、さらに好ましくは、単結合または−O−が挙げられ、もっとも好ましくは、単結合が挙げられる。
【0072】
1として好ましくは、0または1が挙げられる。
【0073】
2として好ましくは、0または2が挙げられる。さらに好ましくは、0が挙げられる。
【0074】
6、R7、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R15およびR16として好ましくは、水素原子またはC1-6アルキルが挙げられる。より好ましくは、水素原子またはC1-4アルキルが挙げられる。
【0075】
なお、本明細書において記載の簡略化のために、次に挙げる略号を用いることもある。p−:para−、t−:tert−、s−:sec−、THF:テトラヒドロフラン、DME:エチレングリコールジメチルエーテル、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、DMA:ジメチルアセトアミド、NMP:N−メチルピロリジノン、DCE:1,2−ジクロロエタン、DMSO:ジメチルスルホキシド、CDCl3:重クロロホルム、DMSO−d6:重ジメチルスルホキシド、OMs:メタンスルホニルオキシ、OTs:トルエンスルホニルオキシ、OTf:トリフルオロメタンスルホニルオキシ、s:singlet, d:dublet, t:triplet, m:multiplet,Boc:t−ブトキシカルボニル、BINAP(登録商標):2,2‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、DPE−Phos(登録商標):ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル、XANT−Phos(登録商標):9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンチン。
【0076】
本発明の化合物(I)の製造法について以下に述べる。化合物(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Il)(Im)、(In)および(Io)は化合物(I)に含まれる化合物である。化合物(I)は、下記の製造法1〜11で示される方法またはそれに準じた方法により得られる。反応式中の化合物は塩を形成している場合も含み、該塩としては、例えば化合物(I)の塩と同様のものが挙げられる。
【0077】
製造法1:
化合物(I)のうち、A1が式(A)であり、A2が式 (B)である化合物(Ia)、およびA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物(Ib)は、以下に示す製造法によって得ることができる。
【0078】
【化9】

【0079】
(式中、Q1、Q2、R3、Alk1〜Alk4、X、Y、Z、Ar、n1およびn2は前記と同義である。RaおよびRbは、水素原子または置換されていてもよいアルキル基であり、Halは、塩素原子または臭素原子である。)
〔工程1〕
化合物(II)を、溶媒中2〜10当量、好ましくは3〜5当量の塩基の存在下、1〜20当量、好ましくは2〜10当量の尿素と反応させることにより、化合物(III)を得ることができる。化合物(II)は、市販品としてまたは公知の方法 [例えば、Journal of American Chemical Society, 5779 (1958), Journal of Medicinal Chemistry, 40, 2474-2482 (1997), Journal of Organic Chemistry, 60, 1665-1673 (1995), WO2004/26864, EP1552842] もしくはそれに準じた方法によって合成される。
【0080】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF 、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、DMA、NMP、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもメタノールまたはエタノールが好ましい。
【0081】
塩基としては、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム t-ブトキシド等の各種アルカリまたはアルカリ土類金属アルコキシド等を用いることができ、中でもナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドが好ましい。
【0082】
反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜100℃で、通常1〜60時間行われる。
【0083】
〔工程2〕
工程1で得られる化合物(III)を、溶媒中または無溶媒で過剰量、好ましくは3〜10当量のハロゲン化剤と反応させることにより、化合物(IV)を得ることができる。
【0084】
ハロゲン化剤としては、例えばオキシ塩化リン、五塩化リン、オキシ臭化リン等が用いられる。本反応で用いられる溶媒としては、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばDCE、THF、1,4−ジオキサン、DME、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等を単独でまたはそれらを混合して用いることができる。
【0085】
反応は0℃ から溶媒またはハロゲン化剤の沸点の間の温度、好ましくは50〜140℃で、通常1〜24時間行われる。
【0086】
〔工程3〕
工程2で得られる化合物(IV)を、溶媒中で1〜5当量、好ましくは1.5〜2当量の塩基の存在下、1〜5当量、好ましくは1.2〜3当量の化合物(V)と反応させることにより、化合物(VI−a)および/または(VI−b)を得ることができる。
【0087】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、DMA 、NMP、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でも1,4−ジオキサン、NMPまたは2-プロパノールが好ましい。
【0088】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基類、ピリジン、ルチジン等の芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類、中でもトリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
【0089】
反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ で、通常0.5〜24時間行われる。
【0090】
〔工程4〕
工程3で得られる化合物(VI−a)または化合物(VI−b)を、溶媒中で1〜10当量、好ましくは2〜4当量の塩基、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のパラジウム触媒の存在下、1〜5当量、好ましくは1.1〜2当量の化合物(VII)と反応させることにより、化合物(Ia)または化合物(Ib)を得ることができる。
【0091】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、水等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもDMEと水または1,4−ジオキサンと水の混合溶媒が好ましい。
【0092】
パラジウム触媒としては、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(t−ブチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどの0価触媒、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ジクロリド、酢酸パラジウム、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム・ジクロリドなどの2価触媒を用いることができ、中でもテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムが好ましい。
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類が挙げられるが、中でも炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ の加熱下もしくはマイクロ波照射下で、通常0.5〜24時間で行われる。
【0093】
製造法2:
化合物(I)のうち、A1が式(A)であり、A2が式 (B)であり、Alk4および−Y−が単結合であり、Q2が−NR45であるかまたはAlk4と窒素原子で結合する含窒素飽和複素環である化合物(Ic)は、化合物(VI−a)より、以下に示す製造法によっても得ることができる。
【0094】
【化10】

【0095】
(式中、Q1、Q2、R3、Alk1〜Alk3、X、Z、Ar、n1およびn2は前記と同義である。R’は、水素原子または置換されていてもよいアルキル基であり、Halは、塩素原子または臭素原子である。)
【0096】
〔工程5〕
工程3で得られる化合物(VI−a)を、溶媒中で1〜10当量、好ましくは2〜4当量の塩基、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のパラジウム触媒の存在下、1〜5当量、好ましくは1.1〜2当量の化合物(VIII)と反応させることにより、化合物(IX)を得ることができる。
【0097】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、水等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもDMEと水または1,4−ジオキサンと水の混合溶媒が好ましい。
【0098】
パラジウム触媒としては、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(t−ブチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどの0価触媒、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ジクロリド、酢酸パラジウム、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム・ジクロリドなどの2価触媒を用いることができ、中でもテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムが好ましい。
【0099】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類が挙げられるが、中でも炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが好ましい。
【0100】
反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ の加熱下もしくはマイクロ波照射下で、通常0.5〜24時間で行われる。
【0101】
〔工程6〕
工程5で得られる化合物(IX)を、溶媒中1〜10当量、好ましくは3〜5当量の塩基、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のホスフィンリガンド、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のパラジウム触媒の存在下、1〜5当量、好ましくは1〜2当量の化合物(X)と反応させることにより、化合物(Ic)を得ることができる。
【0102】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもトルエンまたは1,4−ジオキサンが好ましい。
【0103】
ホスフィンリガンドとしては、例えばトリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリフラニルホスフィン、トリ t−ブチルホスフィンなどの単座配位型ホスフィン、またはBINAP、2,2‘−ビス(ジトリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、DPE−Phos、XANT−Phosなどの2座配位型ホスフィンを用いることができ、中でもBINAPが好ましい。
【0104】
パラジウム触媒としては、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(t−ブチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどの0価触媒、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ジクロリド、酢酸パラジウム、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム・ジクロリドなどの2価触媒を用いることができ、中でもトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムまたは酢酸パラジウムが好ましい。
【0105】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム t-ブトキシド等の各種アルカリまたはアルカリ土類金属アルコキシド等を用いることができ、中でも炭酸セシウムまたはカリウム t-ブトキシドが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ の間の温度で加熱下もしくはマイクロ波照射下で、通常0.5〜24時間で行われる。なお、同様の製造法によりA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物も工程3で得られる化合物(VI−b)より得ることができる。
【0106】
製造法3:
化合物(I)のうち、A1が式(A)であり、A2が式(B)であり、−Y−が−O−、−CO2−、−CONR8−、−NR8−、−CO(CR89)O−または−SO2NR8−である化合物(Id)は、化合物(VI−a)より、以下に示す製造法によっても得ることができる。
【0107】
【化11】

【0108】
(式中、Q1、Q2、R3、Alk1、Alk2、Alk3、Alk4、X、Y、Z、Ar、n1およびn2は前記と同義である。R’は、水素原子または置換されていてもよいアルキル基であり、Lは、−Y−Hであり、Halは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
【0109】
〔工程7〕
工程3で得られる化合物(VI−a)を、溶媒中で1〜10当量、好ましくは2〜4当量の塩基、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のパラジウム触媒の存在下、1〜5当量、好ましくは1.1〜2当量の化合物(XI)と反応させることにより、化合物(XII)を得ることができる。
【0110】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、水等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもDMEと水または1,4−ジオキサンと水の混合溶媒が好ましい。
【0111】
パラジウム触媒としては、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(t−ブチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどの0価触媒、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ジクロリド、酢酸パラジウム、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム・ジクロリドなどの2価触媒を用いることができ、中でもテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムが好ましい。
【0112】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類が挙げられるが、中でも炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが好ましい。
【0113】
反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ の間の加熱下もしくはマイクロ波照射下で、通常0.5〜24時間で行われる。
【0114】
〔工程8〕
工程7で得られる化合物(XII)を、Lが水酸基の場合、溶媒中、1〜10当量、好ましくは1〜3当量のホスフィン、およびの1〜10当量、好ましくは1〜3当量のアゾ化合物または角田試薬存在下、1〜5当量、好ましくは1〜3当量の対応するアルコール誘導体と反応させることにより、Yが−O−の化合物(Id)を得ることができる。または、工程7で得られる化合物(XII)を、Lが水酸基または−NHR8の場合、溶媒中、1〜10当量、好ましくは1〜3当量の塩基の存在下または非存在下、1〜5当量、好ましくは1〜3当量の対応するハロゲン誘導体と反応させることにより、Yが−O−、−CO2−、−CONR8−、−NR8−、−CO(CR89)O−または−SO2NR8−である化合物(Id)を得ることができる。
【0115】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ジクロロメタン、DCE、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、DMA 、NMP、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもTHF、ジクロロメタン、トルエン、DMFが好ましい。
【0116】
使用するホスフィンとしては、例えばトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン等があげられるが、中でもトリフェニルホスフィンが好ましい。
【0117】
アゾ化合物としては、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、ジシクロヘキシルアゾジカルボキシレート、ジベンジルアゾジカルボキシレート等が上げられるが、中でもジエチルアゾジカルボキシレートまたはジイソプロピルアゾジカルボキシレートが好ましい。
【0118】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類、ピリジン、ルチジン等の芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類、中でも炭酸カリウム、炭酸セシウム、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはが水素化ナトリウムが好ましい。反応は0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは室温〜100℃ で、通常0.5〜24時間行われる。なお、同様の製造法によりA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物も得ることができる。
【0119】
製造法4:
化合物(I)のうち、A1が式(A)であり、A2が式 (B)である化合物(Ia)は、以下に示す製造法によっても得ることもできる。
【0120】
【化12】

【0121】
(式中、Q1、Q2、R3、Alk1〜Alk4、X、Y、Z、Ar、n1およびn2は前記と同義である。Rcは、置換されていてもよいアルキル基であり、Halは、塩素原子または臭素原子である。)
【0122】
〔工程9〕
1〜10当量、好ましくは1〜3当量の化合物 (XIII) と、化合物(II)とを、溶媒中2〜10当量、好ましくは2〜4当量の塩基の存在下反応させることにより、化合物(XIV)を得ることができる。化合物 (XIII)は、市販品としてまたは公知の方法 [例えば、Chemical and Pharmaceutical Bulletin, 55, 372-375 (2007) ] もしくはそれに準じた方法によって合成される
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF 、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF 、DMA 、NMP、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもメタノールまたはエタノールが好ましい。
【0123】
塩基としては、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム t-ブトキシド等の各種アルカリまたはアルカリ土類金属アルコキシド等を用いることができ、中でもナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜100℃ で、通常1〜60時間行われる。
【0124】
〔工程10〕
工程9で得られる化合物(XIV)を、溶媒中または無溶媒で過剰量、好ましくは3〜10当量のハロゲン化剤と反応させることにより、化合物(XV)を得ることができる。
【0125】
ハロゲン化剤としては、例えばオキシ塩化リン、五塩化リンまたはオキシ臭化リン等が用いられる。本反応で用いられる溶媒としては、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばDCE、THF、1,4−ジオキサン、DME、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルエミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等を単独でまたはそれらを混合して用いることができる。反応は0℃ から溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜140℃ で、通常1〜24時間行われる。
【0126】
〔工程11〕
工程10で得られる化合物(XV)を、溶媒中または無溶媒で、1〜10当量、好ましくは1〜3当量の塩基の存在下、1〜10当量、好ましくは1〜3当量の化合物(V)と反応させることにより、化合物(Ie)を得ることができる。
【0127】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、DMA 、NMP、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でも1,4−ジオキサンが好ましい。
【0128】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基類、ピリジン、ルチジン等の芳香族アミン類、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類、中でもトリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜100℃ で、通常0.5〜24時間行われる。なお、同様の製造法によりA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物も得ることができる。
【0129】
製造法5:
化合物(I)のうち、A1が式(A)であり、A2が式 (B)であり、Q2−Alk4−Y−Ar−のAlk4およびYが単結合であり、Q2が−NR45であるかまたはAlk4と窒素原子で結合する含窒素飽和複素環である化合物(Ic)は、例えば化合物(II)より、以下に示す製造法によっても得ることができる。
【0130】
【化13】

【0131】
(式中、Q1、Q2、R3、Alk1〜Alk3、X、Z、Ar、n1およびn2は前記と同義であり、Halは、塩素原子または臭素原子であり、Hal’は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Raは、水素原子または置換されていてもよいアルキル基である。)
【0132】
〔工程12〕
1〜10当量、好ましくは1〜3当量の化合物 (XVI) と、化合物(II)とを、溶媒中2〜10当量、好ましくは2〜4当量の塩基の存在下反応させることにより、化合物(XVII)を得ることができる。化合物 (XVI)は、市販品としてまたは公知の方法 [例えば、Chemical and Pharmaceutical Bulletin, 55, 372-375 (2007) ] もしくはそれに準じた方法によって合成される
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF 、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF 、DMA 、NMP、メタノール、エタノール、n -プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもメタノールまたはエタノールが好ましい。
【0133】
塩基としては、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt e r t-ブトキシド等の各種アルカリまたはアルカリ土類金属アルコキシド等を用いることができ、中でもナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシドが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜100℃ で、通常1〜60時間行われる。
【0134】
〔工程13〕
工程12で得られる化合物(XVII)を、溶媒中または無溶媒で過剰量、好ましくは3〜10当量のハロゲン化剤と反応させることにより、化合物(XVIII)を得ることができる。
【0135】
ハロゲン化剤としては、例えばオキシ塩化リン、五塩化リンまたはオキシ臭化リン等が用いられる。本反応で用いられる溶媒としては、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えば1,2-ジクロロエタン、THF、1,4−ジオキサン、DME、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等を単独でまたはそれらを混合して用いることができる。反応は0℃ から溶媒の沸点、好ましくは50〜140℃ で、通常1〜24時間行われる。
【0136】
〔工程14〕
工程13で得られる化合物(XVIII)を、溶媒中または無溶媒で、1〜10当量、好ましくは1〜3当量の塩基の存在下、1〜10当量、好ましくは1〜3当量の化合物(V)と反応させることにより、化合物(XIX)を得ることができる。
【0137】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、DMA 、NMP、メタノール、エタノール、n -プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でも1,4−ジオキサンが好ましい。
【0138】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基類、ピリジン、ルチジン等の芳香族アミン類、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類、中でもトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜100℃ で、通常0.5〜24時間行われる。
【0139】
〔工程15〕
工程14で得られる化合物(XIX)を、溶媒中1〜10当量、好ましくは3〜5当量の塩基、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のホスフィンリガンド、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のパラジウム触媒の存在下、1〜5当量、好ましくは1〜2当量の化合物(X)と反応させることにより、化合物(Ic)を得ることができる。
【0140】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもトルエンまたは1,4−ジオキサンが好ましい。
【0141】
ホスフィンリガンドとしては、例えばトリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリフラニルホスフィン、トリ t−ブチルホスフィンなどの単座配位型ホスフィン、BINAP、2,2‘−ビス(ジトリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、DPE−Phos、XANT−Phosなどの2座配位型ホスフィンを用いることができ、中でもBINAPが好ましい。
【0142】
パラジウム触媒としては、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(t−ブチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどの0価触媒、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ジクロリド、酢酸パラジウム、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム・ジクロリドなどの2価触媒を用いることができ、中でもトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムまたは酢酸パラジウムが好ましい。
【0143】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム t-ブトキシド等の各種アルカリまたはアルカリ土類金属アルコキシド等を用いることができ、中でも炭酸セシウムまたはカリウム t -ブトキシドが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ の加熱下もしくはマイクロ波照射下で、通常0.5〜24時間で行われる。なお、同様の製造法によりA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物も得ることができる。
【0144】
製造法6:
化合物(I)のうち、A1が式(A)であり、A2が式 (B)であり、−X−が単結合であり、Q1が−NR12であるかまたは窒素原子で結合する含窒素飽和複素環であってAlk3が2個以上の炭素原子である化合物(Ie)は、例えば化合物(IV)より、以下に示す製造法によっても得ることができる。
【0145】
【化14】

【0146】
(式中、Q1、Q2、R3、Alk1、Alk2、Alk4、Y、Z、Ar、n1およびn2は前記と同義である。Rcは、置換されていてもよいアルキル基であり、Rbは、水素原子または置換されていてもよいアルキル基である。Alk3’は、置換されていてもよいC1-7アルキレンである。)
【0147】
〔工程16〕
工程2で得られる化合物(IV)を、溶媒中で1〜5当量、好ましくは1.5〜2当量の塩基の存在下、1〜5当量、好ましくは1.2〜3当量の化合物(XX)と反応させることにより、化合物(XXI)を得ることができる。
【0148】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、DMA 、NMP、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でも1,4−ジオキサン、NMPまたは2-プロパノールが好ましい。
【0149】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基類、ピリジン、ルチジン等の芳香族アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等の第3級アミン類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類、中でもトリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ で、通常0.5〜24時間行われる。
【0150】
〔工程17〕
工程16で得られる化合物(XXI)を、溶媒中で0.1〜5当量、好ましくは0.1〜1当量の酸と反応させることにより、化合物(XXIII)を得ることができる。
【0151】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもアセトンが好ましい。
【0152】
酸としては、例えばp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸などの有機スルホン酸類、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸類、塩酸、硫酸などの鉱酸類、スカンジウムトリフルオロメタンスルホネート、インジウムトリフルオロメタンスルホネートなどのルイス酸類が上げられるが、中でもp−トルエンスルホン酸が好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは室温〜80℃ で、通常0.5〜24時間行われる。
【0153】
〔工程18〕
工程17で得られる化合物(XXIII)を、溶媒中で1〜10当量、好ましくは2〜3当量の酸の存在下、1〜10当量、好ましくは2〜4当量の水素化ホウ素化合物、および1〜10当量、好ましくは1.1〜2当量の化合物(XXIII)と反応させることにより、化合物 (XXIV)を得ることができる。
【0154】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2 -ジクロロエタン、メタノール、エタノール、n -プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でも1,2 -ジクロロエタンまたはメタノールが好ましい。
【0155】
酸としては、例えばギ酸、プロピオン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、塩酸等の鉱酸類を用いることができ、中でも酢酸が好ましい。
【0156】
水素化ホウ素化合物としては、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムを用いることができ、中でもシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
【0157】
反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは室温〜40℃ で、通常0.5〜24時間行われる。
【0158】
〔工程19〕
工程18得られる化合物(XXIV)を、溶媒中で1〜10当量、好ましくは2〜4当量の塩基、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のパラジウム触媒の存在下、1〜5当量、好ましくは1.1〜2当量の化合物(VII)と反応させることにより、化合物(Ie)を得ることができる。
【0159】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、水等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもDMEと水または1,4−ジオキサンと水の混合溶媒が好ましい。
【0160】
パラジウム触媒としては、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(t−ブチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどの0価触媒、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ジクロリド、酢酸パラジウム、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム・ジクロリドなどの2価触媒を用いることができ、中でもテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムが好ましい。
【0161】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類が挙げられるが、中でも炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ の加熱下もしくはマイクロ波照射下で、通常0.5〜24時間で行われる。なお、同様の製造法によりA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物も得ることができる。
【0162】
製造法7:
化合物(I)のうち、A1が式(A)であり、A2が式 (B)であり、Zが−N(R10)−であり、かつR10が水素原子である化合物(Ig)、および、R10が置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよい飽和複素環基または置換されていてもよいアリールアルキルである化合物(Ih)は、化合物(I)のうち、Zが−N(Pro)−である化合物(If)より以下に示す製造法により得ることができる。
【0163】
【化15】

【0164】
(式中、Q1、Q2、R3、Alk1〜Alk4、X、Y、Ar、n1およびn2は前記と同義である。Proは、例えば文献(Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Edition (John Wiley & Sons, Inc.))に示されている一般的なアミンの保護基であり、R110は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよい飽和複素環または置換されていてもよいアリールアルキルである。)
【0165】
〔工程20〕
化合物(If)の保護基を脱保護することで化合物(Ig)を得ることができる。例えば、保護基がベンジル基であるとき、溶媒中で1〜10気圧、好ましくは1〜4気圧の水素雰囲気下、0.1〜10当量、好ましくは1〜3当量の酸の存在下、0.1〜10当量、好ましくは0.1から1当量のパラジウム炭素等の触媒で処理することにより、化合物(Ig)を得ることができる。化合物(If)は、製造法1〜6に準じて製造することができる。
【0166】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、酢酸エチル、メタノール、エタノール、n -プロパノール、2-プロパノール、水等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもメタノールと水の混合溶媒が好ましい。
【0167】
触媒としては、例えばパラジウム炭素、水酸化パラジウム炭素、パラジウムブラック等のパラジウム触媒類、ラネーニッケル等のニッケル触媒類、酸化白金等の白金触媒類を用いることができ、中でもパラジウム炭素が好ましい。酸としては、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、塩酸等の鉱酸類を用いることができ、中でもトリフルオロ酢酸または塩酸が好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは室温〜50℃ で、通常0.5〜24時間行われる。
【0168】
〔工程21〕
工程20で得られる化合物(Ig)を、溶媒中で1〜10当量、好ましくは2〜3当量の酸の存在下、1〜10当量、好ましくは2〜4当量の水素化ホウ素化合物、および1〜10当量、好ましくは1.1〜2当量の対応するアルデヒドまたはケトン誘導体と反応させることにより、化合物 (Ih)を得ることができる。
【0169】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2 -ジクロロエタン、メタノール、エタノール、n -プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でも1,2 -ジクロロエタンまたはメタノールが好ましい。
【0170】
酸としては、例えばギ酸、プロピオン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、塩酸等の鉱酸類を用いることができ、中でも酢酸が好ましい。
【0171】
水素化ホウ素化合物としては、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムを用いることができ、中でもシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは室温〜40℃ で、通常0.5〜24時間行われる。なお、同様の製造法によりA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物も得ることができる。
【0172】
製造法8:
化合物(I)のうち、A1が式(A)であり、A2が式 (B)であり、Zが−N(R10)−であり、かつR10が置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよい飽和複素環、置換されていてもよいアリールアルキルまたは置換されていてもよいヘテロアリールである化合物(Ii)は、化合物(Ig)より以下に示す製造法により得ることができる。
【0173】
【化16】

【0174】
(式中、Q1、Q2、R3、Alk1〜Alk4、X、Y、Ar、n1およびn2は前記と同義である。Halは、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、R210は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよい飽和複素環基、置換されていてもよいアリールアルキルまたは置換されていてもよいヘテロアリールである。)
【0175】
〔工程22〕
工程20で得られる化合物(Ig)を、溶媒中、1〜10当量、好ましくは1〜3当量の塩基の存在下もしくは非存在下、1〜5当量、好ましくは1〜3当量の化合物(XXV)と反応させることにより、化合物(Ii)を得ることができる。
【0176】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばジクロロメタン、DCE、THF、1,4−ジオキサン、DME、DMF、DMA 、NMP等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもジクロロメタン、THF、DMFまたはNMPが好ましい。
【0177】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物類が上げられ、中でも炭酸カリウム、炭酸セシウムまたは水素化ナトリウムが好ましい。
【0178】
反応は0℃から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは室温〜100℃ で、通常0.5〜24時間行われる。なお、同様の製造法によりA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物も得ることができる。
【0179】
製造法9:
化合物(I)のうち、A1が式(A)であり、A2が式 (B)であり、Zが−N(R10)−であり、かつR10が置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基である化合物(Ij)は、化合物(Ig)より以下に示す製造法により得ることができる。
【0180】
【化17】

【0181】
(式中、Q1、Q2、R3、Alk1〜Alk4、X、Y、Ar、n1およびn2は前記と同義である。Hal’は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、R310は、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基である。)
【0182】
〔工程23〕
製造法20で得られる化合物(Ih)を、溶媒中1〜10当量、好ましくは3〜5当量の塩基、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のホスフィンリガンド、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のパラジウム触媒の存在下、1〜10当量、好ましくは1.1〜2当量の化合物(XXV)と反応させることにより、化合物(Ij)を得ることができる。
【0183】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもトルエン、DMEまたは1,4−ジオキサンが好ましい。
【0184】
ホスフィンリガンドとしては、例えばトリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリフラニルホスフィン、トリ t−ブチルホスフィンなどの単座配位型ホスフィン、またはBINAP、2,2‘−ビス(ジトリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、DPE−Phos、XANT−Phosなどの2座配位型ホスフィンを用いることができ、中でもBINAPが好ましい。
【0185】
パラジウム触媒としては、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(t−ブチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどの0価触媒、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ジクロリド、酢酸パラジウム、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム・ジクロリドなどの2価触媒を用いることができ、中でもトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムまたは酢酸パラジウムが好ましい。
【0186】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム t-ブトキシド等の各種アルカリまたはアルカリ土類金属アルコキシド等を用いることができ、中でも炭酸セシウムまたはカリウム t−ブトキシドが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ の間の加熱下もしくはマイクロ波照射下で、通常0.5〜24時間で行われる。なお、同様の製造法によりA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物も得ることができる。
【0187】
製造法10:
化合物(I)のうち、A1が式(A)であり、A2が式 (B)であり、Alk4がメチレンであり、Yが単結合であり、かつ、Q2が−NR45であるかまたはAlk4と窒素原子で結合する含窒素飽和複素環である化合物(Il)は、例えば化合物(VI−a)より、以下に示す製造法により得ることができる。
【0188】
【化18】

【0189】
(式中、Q1、Q2、R3、Alk1〜Alk3、X、Z、Ar、n1およびn2は前記と同義である。Rbは、水素原子または置換されていてもよいアルキル基であり、Rdは、水素原子またはC1-3アルキルであり、Halは、塩素原子または臭素原子を表す。)
【0190】
〔工程24〕
製造法1で得られる化合物(VI−a)を、溶媒中1〜10当量、好ましくは3〜5当量の塩基、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のパラジウム触媒の存在下、1〜5当量、好ましくは1.1〜1.5当量の化合物(XXVI)と反応させることにより、化合物(XXVII)を得ることができる。
【0191】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、水等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもDMEと水または1,4−ジオキサンと水の混合溶媒が好ましい。
【0192】
パラジウム触媒としては、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(t−ブチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどの0価触媒、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ジクロリド、酢酸パラジウム、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム・ジクロリドなどの2価触媒を用いることができ、中でもテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムが好ましい。
【0193】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類が挙げられるが、中でも炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ の加熱下もしくはマイクロ波照射下で、通常0.5〜24時間で行われる。
【0194】
〔工程25〕
工程24で得られる化合物(XXVII)を、溶媒中で1〜10当量、好ましくは2〜3当量の酸の存在下、1〜10当量、好ましくは2〜3当量の水素化ホウ素化合物、および1〜10等量、好ましくは1.1〜2当量の化合物(X)と反応させることにより、化合物(Ik)を得ることができる。
【0195】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2 -ジクロロエタン、メタノール、エタノール、n -プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でも1,2 -ジクロロエタンまたはメタノールが好ましい。
【0196】
酸としては、例えばギ酸、プロピオン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、塩酸等の鉱酸類を用いることができ、中でも酢酸が好ましい。
【0197】
水素化ホウ素化合物としては、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムを用いることができ、中でもシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
【0198】
反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは室温〜40℃ で、通常0.5〜20時間行われる。なお、同様の製造法によりA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物も得ることができる。
【0199】
製造法11:
化合物(I)のうち、Q2が−NR45であり、R4が水素原子である化合物(Il)、Q2が4〜10員の含窒素飽和複素環であり、含窒素飽和複素環の内の少なくとも一つの窒素原子が−NH−である化合物(Im)、Q2が−NR45である化合物(In)またはQ2が4〜10員の含窒素飽和複素環である化合物(Io)は、化合物(VI−a)より、以下に示す製造法により得ることができる。
【0200】
【化19】

【0201】
(式中、Q1、R3〜R5、Alk1〜Alk3、X、Y、Z、Ar、n1およびn2は前記と同義である。Raは、水素原子または置換されていてもよいアルキルであり、Proは例えば文献(Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Edition (John Wiley & Sons, Inc.))に示されている一般的なのアミンの保護基であり、Hetは置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環であり、Reは1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキル等である。)
【0202】
〔工程26〕
製造法1で得られる化合物(IV−a)を、溶媒中1〜10当量、好ましくは3〜5当量の塩基、および0.01〜1当量、好ましくは0.05〜0.2当量のパラジウム触媒の存在下、1〜5当量、好ましくは1.1〜1.5当量の化合物(XXVIII)または化合物(XXIX)と反応させることにより、化合物(XXX)または化合物(XXXI)を得ることができる。
【0203】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ベンゼン、トルエン、キシレン、水等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でもDMEと水または1,4−ジオキサンと水の混合溶媒が好ましい。
【0204】
パラジウム触媒としては、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ビス(t−ブチルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどの0価触媒、またはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ジクロリド、酢酸パラジウム、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)パラジウム・ジクロリドなどの2価触媒を用いることができ、中でもテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムが好ましい。
【0205】
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム等の塩基性塩類が挙げられるが、中でも炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは50〜180℃ の加熱下もしくはマイクロ波照射下で、通常0.5〜24時間で行われる。
【0206】
〔工程27〕
工程26で得られる化合物(XXX)または化合物(XXXI)の保護基を脱保護することで化合物(Il)または化合物(Im)を得ることができる。例えば、保護基がBoc基である時、溶媒中で過剰量、好ましくは5〜10当量の酸と反応させることにより、化合物(Il)または化合物(Im)を得ることができる。
【0207】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、DCE、メタノール、エタノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でも1,4−ジオキサン、ジクロロメタンまたはメタノールが好ましい。
【0208】
酸としては、例えばギ酸、プロピオン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、塩酸等の鉱酸類を用いることができ、中でも塩酸またはトリフルオロ酢酸が好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは室温〜40℃ で、通常0.5〜24時間行われる。
【0209】
〔工程28〕
工程27で得られる化合物(Il)または化合物(Im)を、溶媒中で1〜10当量、好ましくは2〜3当量の酸の存在下、1〜10当量、好ましくは2〜3当量の水素化ホウ素化合物、および1〜10等量、好ましくは1.1〜2当量の対応するアルデヒドまたはケトン誘導体と反応させることにより、化合物(Io)または化合物(Ip)を得ることができる。
【0210】
本反応で用いられる溶媒は、反応に不活性なものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばTHF、1,4−ジオキサン、DME、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2 -ジクロロエタン、メタノール、エタノール、n -プロパノール、2-プロパノール等を単独でまたはそれらを混合して用いることができ、中でも1,2 -ジクロロエタンまたはメタノールが好ましい。
【0211】
酸としては、例えばギ酸、プロピオン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、塩酸等の鉱酸類を用いることができ、中でも酢酸が好ましい。
【0212】
水素化ホウ素化合物としては、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムを用いることができ、中でもシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。反応は室温から用いる溶媒の沸点の間の温度、好ましくは室温〜40℃ の間の温度で、通常0.5〜24時間行われる。なお、同様の製造法によりA1が式(B)であり、A2が式(A)である化合物も得ることができる。
【0213】
上記の製造法を適宜組み合わせて実施することにより、所望の位置に所望の官能基を有する本発明の化合物を得ることができる。上記製造法における中間体および生成物の単離、精製は、通常の有機合成で用いられる方法、例えばろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、各種クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて行うことができる。また、中間体においては、特に精製することなく次の反応に供することもできる。
【0214】
上記の製造法における原料化合物または中間体は、反応条件等により、例えば塩酸塩等の塩の形態で存在し得るものもあるが、そのまま、または遊離の形で使用することができる。原料化合物または中間体が塩の形態で得られ、原料化合物または中間体を遊離の形で使用または取得したい場合には、これらを適当な溶媒に溶解または懸濁し、例えば炭酸水素ナトリウム水溶液等の塩基等で中和することにより遊離の形へ変換できる。
【0215】
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩の中には、ケトエノール体のような互変異性体、位置異性体、幾何異性体または光学異性体のような異性体が存在し得るものもあるが、これらを含め可能な全ての異性体および該異性体のいかなる比率における混合物も本発明に包含される。
【0216】
また、光学異性体は前記製造法の適切な工程で、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法などの公知の分離工程を実施することで分離することができる。また、出発原料として光学活性体を使用することもできる。
【0217】
化合物(I)の塩を取得したい場合は、化合物(I)の塩が得られる場合はそのまま精製すればよく、また化合物(I)が遊離の形で得られる場合は化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁し、酸または塩基を加えて塩を形成させればよい。また、化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との溶媒和物の形で存在することもあるが、それら溶媒和物も本発明に包含される。
【0218】
本発明に関わる医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種またはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。使用される製剤用担体としては、例えばラクトース、マンニトール、グルコース、デンプン、セテアリン酸マグネシウム、グリセリン酸エステル、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール等が挙げられる。また、本発明に係わる医薬製剤は、その他の各種の賦形剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、等張化剤、乳化剤等を含有していてもよい。
【0219】
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口、または、静脈内、塗布、吸入および点眼等の非経口を挙げることができるが、好ましくは静脈内投与であり、特に点滴静注で投与するのが好ましい。投与形態としては、例えば錠剤、注射剤等を挙げる事ができるが、好ましくは注射剤である。これらの医薬組成物の投与量や投与回数は、投与形態、患者の疾患やその症状、患者の年齢や体重等によって異なり、一概に規定することができないが、通常は成人に対し1日あたり有効成分の量として約0.0001〜約2000mgの範囲、好ましくは約0.001〜約1000mgの範囲、さらに好ましくは約0.1〜約500mgの範囲、特に好ましくは約1〜約300mgの範囲を1日1回または数回に分けて投与することができる。
【実施例】
【0220】
以下、本発明を実施例および参考例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されることはない。
【0221】
下記、実施例中の各化合物の物理化学データは、以下の機器類によって測定した。
1HNMR:JEOL JNM−LA300(300MHz)
1HNMR:Burker AVANCE400(400MHz)
LC/MS:API150EX(API法で測定)
以下の実施例および参考例の項に保持時間を記載した高速液体クロマトグラフィー分析の実施条件は以下の通りである。
カラム:オクタデシル基化学結合型シリカ(ODS)、孔径5μm、粒径12nm、カラム長50mm、カラム内径4.6mm [商品名 CAPCELL PAK C18 ( S-5μm, 12nm) 50X4.6mm (株式会社 資生堂ファインケミカル)]
流速:2.8ml/min
測定波長:220nm、254nm
移動層:A液;0.05%トリフルオロ酢酸水溶液
B液;0.035%トリフルオロ酢酸メタノール溶液
タイムプログラム:
ステップ 時間(分) A液 : B液
1 0.0−0.5 99 : 1
2 0.5−5.9 99 : 1 → 1 : 99
3 5.9−6.4 1 : 99
4 6.4−6.5 1 : 99 → 99 : 1
5 6.5−7.5 99 : 1
【0222】
(参考例1)
N'-(6-ベンジル-2-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン
【0223】
【化20】

【0224】
(a) 6-ベンジル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
メチル 1-ベンジル-4-オキソ-3-ピペリジンカルボキシレート 塩酸塩 (28.4 g, 0.10mol) のエタノール (360 ml) 溶液に、28%-ナトリウムメトキシド・メタノール溶液 (204 ml, 1.00 mol)および尿素 (30.1 g, 0.50 mol) を加え、加熱還流した。16時間後、反応溶液を減圧濾過した。ろ物を水に加え塩酸水で中和し、減圧濾過することにより表題化合物を得た (16.96 g, 収率 66%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6,δ ppm): 10.92 (1H, s), 10.76 (1H, s), 7.29 (5H, m), 3.60 (2H, s), 2.98 (2H, s), 2.61 (2H, m), 2.42 (2H, m).
(b) 6-ベンジル-2,4-ジクロロ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン
上記で得られた化合物 (8.0 g, 0.031 mol) に、オキシ塩化リン (80 ml) を加え、加熱還流した。3時間後、減圧留去し得られた残渣に氷を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。これをクロロホルムで分液抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル) で精製することにより表題化合物を得た (7.27 g、収率 79%) 。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm): 7.32 (5H, m), 3.75 (2H, s), 3.65 (2H, s), 3.00 (2H, t, J = 5.8 Hz), 2.79 (2H, t, J = 5.8 Hz).
(c) N'-(6-ベンジル-2-chloro-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン
上記で得られた化合物 (500 mg, 1.70 mmol) のジオキサン (5 ml) 溶液に、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン (213 μl, 1.70 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン (337 μl, 1.87 mmol) を加え、80℃にて攪拌した。3時間後、反応溶液を酢酸エチル−水で分液抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残査をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム:酢酸エチル) で精製することにより表題化合物を得た (413 mg、収率 68%) 。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm): 7.93 (1H, s), 7.31 (5H, m), 3.73 (2H, s), 3.51 (2H, m), 3.08 (2H, s), 2.82 (4H, m), 2.42 (2H, m), 1.99 (6H, s), 1.64 (2H, m).
【0225】
参考例2−16
対応する原料化合物を用い、参考例1に記載の方法と同様に反応・処理して表1に示す化合物を得た。
【0226】
【表1】

【0227】
【表2】

【0228】
(参考例17)
7-ベンジル-2-クロロ-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
【0229】
【化21】

【0230】
(a) 7-ベンジル-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
エタノール (200 ml)に、金属ナトリウム (7.72 g, 0.336 mol) を少しずつ加え、金属ナトリウムが溶解した後、エチル 1-ベンジル-3-オキソ-4-ピペリジンカルボキシレート 塩酸塩 (10 g, 0.0336 mol)および尿素 (10.1 g, 0.168 mol) を加え、加熱還流した。25時間後、反応溶液に水を加え、減圧留去した。得られた残渣を水で希釈し、5mol/L 塩酸水でpH5〜6とした。生じた固体を減圧濾過、水およびエーテルで洗浄することにより表題化合物を得た (4.05 g, 収率 47%)。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6,δ ppm): 10.93 (1H, s), 10.61 (1H, s), 7.29 (5H, m), 3.62 (2H, s), 3.13 (2H, s), 2.61 (2H, m), 2.22 (2H, m).
(b) 7-ベンジル-2,4-ジクロロ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン
参考例1(b)と同様の方法にて合成した。ただし原料として化合物11Aを用い、表題化合物を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm): 7.34 (5H, m), 3.72 (2H, s), 3.65 (2H, s), 2.83 (4H, m).
(c) 7-ベンジル-2-クロロ-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
参考例1(c)と同様の方法にて合成した。ただしアミンとして1-(3-アミノプロピル)ピロリジンを用い、表題化合物を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm): 7.87 (1H, s), 7.32 (5H, m), 3.67 (2H, s), 3.57 (2H, m), 3.44 (2H, s), 2.77 (2H, m), 2.69 (2H, m), 2.56 (4H, m), 2.31 (2H, m), 1.79 (6H, m).
【0231】
(参考例18)
4-{6-ベンジル-4-[(3-ピロリジン-1-イルプロピル)アミノ]-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-2-イル}ベンズアルデヒド
【0232】
【化22】

【0233】
6-ベンジル-2-クロロ-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン (116 mg, 0.30 mmol) の ジオキサン (1.2 ml) 溶液に、4-ホルミルフェニルボロン酸 (54.1 mg, 0.36 mmol)、3mol/L 炭酸ナトリウム水溶液 (300 μl, 0.90 mmol)およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム (34.7 mg、0.030 mmol) を加え、マイクロウエーブ照射下120℃にて攪拌した。2時間後、酢酸エチル−塩酸水で分液抽出し、水層を水酸化ナトリウム水溶液でpH10とした。これを酢酸エチルで分液抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣をジオールシリカゲルクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム:酢酸エチル) で精製することにより表題化合物を得た (119.2 mg、収率 87%) 。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm): 10.07 (1H, s), 8.55 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.93 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.26-7.42 (5H, m), 7.08 (1H, m), 3.76 (2H, s), 3.72 (2H, m), 3.37 (2H, s), 2.89 (2H, t, J = 5.6 Hz), 2.80 (2H, t, J = 5.6 Hz), 2.69 (2H, m), 2.54 (4H, m), 1.85 (2H, m), 1.73 (4H, m).
【0234】
参考例19−21
対応する原料化合物を用い、参考例18に記載の方法と同様に反応・処理して表2に示す化合物を得た。
【0235】
【表3】

【0236】
(参考例22)
4-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピルアミノ)-7,8-ジヒドロ-5H-チエノピラノ[4,3-d]ピリミジン-2-イル)ベンズアルデヒド
【0237】
【化23】

【0238】
a) 7,8-ジヒドロ-1H-チエノピラノ[4,3-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオン
テトラヒドロチオピラン−4−オン (5.3 g, 46 mmol) のテトラヒドロフラン (50 ml) 溶液に、リチウム ビストリメチルシリルアミドのヘキサン溶液 (1.1 M, 43 ml, 47 mmol)を-70 ℃で加えた。30分後、シアノギ酸メチルエステル(4.67ml、47mmol)を加えた。1時間半後、飽和塩化アンモニア水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥、エバポレーターで濃縮した。残渣をメタノール(90ml)に溶かし、このうち50 mlをナトリウムメトキシドのメタノール溶液(28w/w%、6.36 g、33 mmol)と尿素(1.98 g、33 mmol)の混合物に加えた。60 ℃にて1時間、70 ℃にて2時間攪拌した。反応溶液を室温に冷却し、得られた懸濁液をろ過し、残渣をメタノールで洗浄した。残渣を水に溶解後、塩酸で酸性にし、生じた懸濁液をろ過し、残渣を水で洗浄することにより表題化合物を得た (0.906 mg、収率 22%) 。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6,δ ppm): 11.10 (1H, s), 10.69 (1H, s), 3.27 (2H, s), 2.80 (2H, t, J = 5.8 Hz), 2.57 (2H, t, J = 5.8 Hz).
b) 2-クロロ-N-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-7,8-ジヒドロ-5H-チエノピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-アミン
7,8-ジヒドロ-1H-チエノピラノ[4,3-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオン(0.906 g、4.9 mmol)にオキシ塩化リン(15 ml)、N,N−ジメチルアニリン(1 ml)を加え、110℃で4時間加熱した。エバポレーターで溶媒を留去し、残渣にトルエンを加え再び溶媒を留去した。残渣をテトラヒドロフラン(30 ml)に溶解し、氷浴で冷却しながら、ジイイソプロピルエチルアミン(2 ml,11.6 mmol)、N−(3−アミノプロピル)ピロリジン(1.0 g、7.8 mmol)を加えた。ゆっくりと室温に昇温後、一晩攪拌した。反応溶液をエバポレーターで濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒クロロホルム・メタノール)で精製することにより表題化合物を得た(1.09 g、収率 71%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3,δ ppm): 8.19 (1H, s), 3.56-3.50 (2H. m), 3.23 (2H, s), 2.92 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.80 (2H, t, J = 6.0 Hz), 2.73-2.48 (6H, m), 1.85-1.69 (6H, m).
c) 4-(4-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピルアミノ)-7,8-ジヒドロ-5H-チエノピラノ[4,3-d]ピリミジン-2-イル)ベンズアルデヒド
上記で得られたか化合物 (235 mg, 0.73 mmol) の 1,4-ジオキサン (2.0 ml) /水 (1.0 ml) 溶液に、4-ホルミルフェニルボロン酸 (225 mg, 1.5 mmol)、炭酸カリウム (415 mg, 3.0 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム (87 mg, 0.07 5mmol) を加え、125 ℃にて加熱攪拌した。2時間後、反応溶液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム/メタノール) で精製することにより表題化合物を得た (219 mg、収率 76%) 。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3,δ ppm): 10.03 (1H, s), 8.47 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.86 (2H, d, J = 8.3 Hz), 7.82 (1H, s), 3.71-3.63 (2H, m), 3.36 (2H, s), 3.05 (2H, t, J = 5.7 Hz), 2.86 (2H, t, J = 5.7 Hz), 2.75 (2H, t, J = 5.4 Hz), 2.72-2.58 (4H, m), 1.93-1.77 (6H, m).
【0239】
参考例23
対応する原料化合物を用い、参考例22に記載の方法と同様に反応・処理して表3に示す化合物を得た。
【0240】
【表4】

【0241】
(参考例24)
N1-(6-ベンジル -2-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-N3-イソプロピルプロパン-1,3-ジアミン
【0242】
【化24】

【0243】
a) 6-ベンジル -2-クロロ-N-(3,3-ジエトキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン
参考例1(b)で得られた化合物 (500.0 mg, 1.70 mmol) の1,4-ジオキサン(5 ml) 溶液に、1-アミノ-3,3-ジエトキシプロパン (412.5 uL, 2.55 mmol) とジイソプロピルエチルアミン (613.5 uL, 3.40 mmol) を加えた後、50℃下5時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより表題化合物 (517.0 mg, 収率75%) を得た。
1H NMR δ (CDCl3) 7.34-7.22 (5H, m), 5.53 (1H, brs), 4.58 (1H, m), 3.71-3.40 (8H, m), 3.22 (2H, s), 2.76 (4H, m), 1.88 (2H, m), 1.15 (6H, t, J=6.97Hz).
b) 3-(6-ベンジル-2-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリジン-4-イルアミノ)プロパナール
参考例24(a)で得られた化合物 (120.2 mg, 0.297 mmol) のアセトン-水(4:1)混合溶液 (3 mL) に、p-トルエンスルホン酸 (76.7 mg, 0.446 mmol) を加えた後、室温で3時間攪拌した。反応混合物をクロロホルムで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより表題化合物 (82.4 mg, 収率84%) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm) 9.80 (1H, s), 7.34-7.24 (5H, m), 4.96 (1H, brs), 3.80-3.67 (4H, m), 3.21 (2H, s), 2.83 (2H, t, J = 5.71 Hz), 2.77-2.73 (4H, m).
c) N1-(6-ベンジル -2-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-イル)-N3-イソプロピルプロパン-1,3-ジアミン
参考例24(b)で得られた化合物 (51.6 mg, 0.156 mmol) のメタノール溶液 (1.6 ml) に、0℃下イソプロピルアミン (26.7 uL, 0.312 mmol) 、酢酸 (18.1 uL, 0.312 mmol)、NaBH3CN (19.6 mg, 0.312 mmol) を加えた後、室温下2時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより表題化合物 (43.2 mg, 収率74%) を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm) δ7.39-7.21 (5H, m), 5.93 (1H, brs), 3.73 (2H, s), 3.64 (2H, m), 3.32 (2H, s), 2.92-2.71 (7H, m), 1.87 (2H, m), 0.96 (6H, d, J=6.42Hz).
【0244】
(参考例25)
7-ベンジル-2-クロロ-N-{3-(ピロリジン-1-イル)プロピル}-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-d]アゼピン-4-アミン および 7-ベンジル-4-クロロ-N-{3-(ピロリジン-1-イル)プロピル}-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[5,4-d]アゼピン-2-アミン
【0245】
【化25】

【0246】
(a) エチル 1-ベンジル-5-オキソアゼパン-4-カルボキシレート
1-ベンジルピペリジン-4-オン (25.0 g, 0.13 mol) のテトラヒドロフラン (150 ml) 溶液に、-25℃にて、トリフルオロボラン ジエチルエーテル錯体 (40.8 ml, 0.33 mol)およびジアゾ酢酸エチル (16.7 ml, 0.16 mol) を同時に滴下し、滴下終了後0℃までゆっくり昇温した。1時間後、水を加え反応を停止し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈後、これを酢酸エチルで分液抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル) で精製することにより表題化合物を得た (16.74 g、収率 46%) 。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm): 7.22 (5H, m), 4.12 (2H, m), 3.53 (2H, m), 2.32-2.92 (6H, m), 2.06 (1H, m).
(b) 7-ベンジル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-ピリミド[4,5-d]アゼピン-2,4(3H,5H)-ジオン
上記で得られた化合物 (16.4 g, 0.060 mol) のエタノール (240 ml) 溶液に、28%-ナトリウムメトキシド・メタノール溶液 (124 ml, 0.60 mol)および尿素 (18.3 g, 0.30 mol) を加え、加熱還流した。9時間後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣を塩酸水で中和した。これを酢酸エチルで分液抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム:メタノール) で精製することにより表題化合物を得た (0.99 g、収率 6.2%) 。
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6,δ ppm): 10.94 (1H, s), 10.67 (1H, s), 7.26 (5H, m), 3.58 (2H, s), 2.61 (2H, m), 2.50 (4H, m), 2.41 (2H, m).
(c) 7-ベンジル-2,4-ジクロロ-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-d]アゼピン
上記で得られた化合物 (960 mg, 3.54 mmol) に、オキシ塩化リン (15 ml) を加え、加熱還流した。5時間後、減圧留去し得られた残渣に氷を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。これをクロロホルムで分液抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル) で精製することにより表題化合物を得た (941 mg、収率 86%) 。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm): 7.32 (5H, m), 3.62 (2H, s), 3.10 (4H, m), 2.67 (4H, m).
(d) 7-ベンジル-2-クロロ-N-{3-(ピロリジン-1-イル)プロピル}-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-d]アゼピン-4-アミン および 7-ベンジル-4-クロロ-N-{3-(ピロリジン-1-イル)プロピル}-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[5,4-d]アゼピン-2-アミン
上記で得られた化合物 (462 mg, 1.50 mmol) のジオキサン (8.0 ml) 溶液に、3-(ピロリジン-1-イル)プロパン-1-アミン (284 μl, 2.25 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン (541 μl, 3.00 mmol) を加え、60℃にて攪拌した。5時間後、反応溶液を酢酸エチル−水で分液抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残査をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル) で精製することにより表題化合物 7-ベンジル-2-クロロ-N-{3-(ピロリジン-1-イル)プロピル}-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-d]アゼピン-4-アミン (246 mg、収率 41%) および 7-ベンジル-4-クロロ-N-{3-(ピロリジン-1-イル)プロピル}-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[5,4-d]アゼピン-2-アミン を得た (165 mg、収率 28%) 。
7-ベンジル-2-クロロ-N-{3-(ピロリジン-1-イル)プロピル}-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[4,5-d]アゼピン-4-アミン : 1H-NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm): 8.05 (1H, m), 7.27 (5H, m), 3.55 (2H, s), 3.46 (2H, m), 2.82 (2H, m), 2.62 (2H, m), 2.44-2.57 (10H, m), 1.73 (6H, m).
7-ベンジル-4-クロロ-N-{3-(ピロリジン-1-イル)プロピル}-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ピリミド[5,4-d]アゼピン-2-アミン : 1H-NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm): 7.24 (5H, m), 5.45 (1H, m), 3.54 (2H, s), 3.37 (2H, m), 2.84 (4H, m), 2.39-2.57 (10H, m), 1.72 (6H, m).
【0247】
(実施例1)
N'-{6-ベンジル-2-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-イル}-N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン トリストリフルオロ酢酸塩
【0248】
【化26】

【0249】
参考例1 (50 mg, 0.139 mmol) の DME (0.8 ml) −水 (0.2 ml) 溶液に、4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニルボロン酸 ピナコールエステル (63.0 mg, 0.208 mmol)、炭酸ナトリウム (44.2 mg, 0.417 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム (16.1 mg、0.0139 mmol) を加え、110℃にて加熱攪拌した。6時間後、酢酸エチル−水で分液抽出し、、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、有機層を減圧留去した。得られた残渣を高速液体クロマトグラフィー (溶出溶媒;0.05%-トリフルオロ酢酸水:メタノール) で精製することにより表題化合物を得た (1.7 mg、収率 1.4%) 。
LC/MS ; 保持時間 3.57 分,m/z = 500 (M+1)
【0250】
(実施例2)
N'-{6-ベンジル-2-[6-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-3-イル]-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-イル}-N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン
【0251】
【化27】

【0252】
参考例1(50 mg, 0.139 mmol) の ジオキサン (1.0 ml) と水 (0.25 ml) 溶液に、2-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピリジン-5-ボロン酸 ピナコールエステル (63.2 mg, 0.208 mmol)、炭酸ナトリウム (44.2 mg, 0.417 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム (8.0 mg、0.0070 mmol) を加え、マイクロウエーブ照射下120℃にて攪拌した。1.5時間後、酢酸エチル−水で分液抽出し、、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、有機層を減圧留去した。得られた残渣を高速液体クロマトグラフィー (溶出溶媒;0.05%-トリフルオロ酢酸水:メタノール) で精製することにより表題化合物を得た (9.7 mg、収率 14%) 。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3,δ ppm): 9.19 (1H, d, J = 2.4 Hz), 8.40 (1H, dd, J = 8.8, 2.4 Hz), 7.36 (5H, m), 6.83 (1H, s), 6.66 (1H, d, J = 8.8 Hz), 3.75 (2H, s), 3.65 (6H, m), 3.20 (2H, s), 2.87 (4H, m), 2.54 (4H, m), 2.44 (2H, m), 2.35 (3H, s), 2.06 (6H, s), 1.73 (2H, m).
LC/MS ; 保持時間 3.54 分,m/z = 501 (M+1)
【0253】
実施例3−40
対応する原料化合物を用いて実施例2と同様に反応・処理し、表4に示す化合物を得た。
【0254】
【表5】

【0255】
【表6】

【0256】
【表7】

【0257】
【表8】

【0258】
【表9】

【0259】
【表10】

【0260】
(実施例43)
6-ベンジル-2-{4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル]-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン
【0261】
【化28】

【0262】
参考例18(50 mg, 0.110 mmol) のメタノール (1.0 ml) 溶液に、1-メチルピペラジン (14.6 μl, 0.132 mmol)、酢酸 (37.7 μl, 0.658 mmol)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム (27.6 mg, 0.439 mmol) を加え、室温にて攪拌した。終夜反応後、酢酸エチル−飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で分液抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。生じた残査をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム:メタノール) で精製することにより表題化合物を得た (27.2 mg、収率 46%) 。
LC/MS ; 保持時間 3.63 分,m/z = 540 (M+1)
【0263】
実施例44−57
対応する原料化合物を用いて実施例43と同様に反応・処理し、表5に示す化合物を得た。
【0264】
【表11】

【0265】
【表12】

【0266】
(実施例58)
2-{4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル}-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン
【0267】
【化29】

【0268】
実施例6で得た 6-ベンジル-2-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン
(800 mg, 1.52 mmol) のメタノール (16 ml)−水 (4.0 ml) 溶液に、10%パラジウム−炭素 (320 mg、50%-含水)、4mol/l 塩酸/ジオキサン (4.0 ml) を加え、水素雰囲気下 (0.4 MPa) 、40℃にて攪拌した。7時間後、セライトでろ過し、ろ液を減圧留去した。得られた残査をメタノールに溶解し、トリエチルアミンで中和後、減圧留去した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム:メタノール) で精製し、得られた混合物をエーテル・ヘキサンで洗浄することにより表題化合物を得た (476 mg、収率 72%) 。
LC/MS ; 保持時間 2.78 分,m/z = 436 (M+1)
【0269】
実施例59−61
対応する原料化合物を用いて実施例58と同様に反応・処理し、表6に示す化合物を得た。
【0270】
【表13】

【0271】
(実施例62)
6-メチル-2-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン
【0272】
【化30】

【0273】
実施例58で得た 2-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン (50 mg, 0.115 mmol) のメタノール (1.0 ml) 溶液に、35%ホルマリン水溶液 (27.3 μl, 0.344 mmol)、酢酸 (39.4 μl, 0.689 mmol)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム (28.9 mg, 0.459 mmol) を加え、室温にて攪拌した。終夜反応後、クロロホルム−飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で分液抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、有機層を減圧留去した。生じた残査をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム:酢酸エチル→クロロホルム:メタノール) で精製することにより表題化合物を得た (35.9 mg、収率 70%) 。
LC/MS ; 保持時間 2.61 分,m/z = 450 (M+1)
【0274】
実施例63−71
対応する原料化合物を用いて実施例62と同様に反応・処理し、表7に示す化合物を得た。
【0275】
【表14】

【0276】
【表15】

【0277】
(実施例72)
7-アセチル-2-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン
【0278】
【化31】

【0279】
実施例61で得た 2-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-d]ピリミジン-4-アミン (40 mg, 0.0918 mmol) のジクロロメタン (1.0 ml) 溶液に、0℃にてアセチルクロリド (7.8 μl, 0.110 mmol) を加え、室温にて攪拌した。2時間後、減圧留去し、生じた残査を高速液体クロマトグラフィー (溶出溶媒;0.05%-トリフルオロ酢酸水:メタノール) で精製することにより表題化合物を得た (14.4 mg、収率 33%) 。
LC/MS ; 保持時間 3.51 分,m/z = 478 (M+1)
【0280】
実施例73−74
対応する原料化合物を用いて実施例71と同様に反応・処理し、表8に示す化合物を得た。
【0281】
【表16】

【0282】
(実施例75)
6-ベンジル-2-[4-(ピペラジン-1-イル)フェニル]-N-[3-(ピロリジン-1-イル)プロピル]-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン
【0283】
【化32】

【0284】
参考例3 (50 mg, 0.130 mmol) の ジオキサン (1.0 ml) と水 (0.13 ml) 溶液に、tert-ブチル 4−[4−(4,4,5,5,−テトラメチル−1,3,2−ボロラン-2-イル)フェニル]ピペラジン−1−カルボキシレート (70.4 mg, 0.181 mmol)、3mol/L炭酸ナトリウム水溶液 (0.13 ml, 0.390 mmol)およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム (15.0 mg、0.0130 mmol) を加え、マイクロウエーブ照射下120℃にて攪拌した。2時間後、酢酸エチル−塩酸水で分液抽出し、水層を水酸化ナトリウム水溶液でpH10とした。反応物を酢酸エチルで分液抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム:酢酸エチル) で精製することにより保護体を得た (66.4 mg、収率 84%) 。
【0285】
得られた保護体(66.4 mg)に、2mol/L塩酸/メタノール(2.0 ml)を加え、終夜攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し得られた残渣をメタノールに希釈した。これにトリエチルアミンを加え中和し、再度減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム:メタノール) で精製することにより表題化合物を得た (37.3 mg、収率 67%) 。
LC/MS ; 保持時間 3.46 分,m/z = 512 (M+1)
【0286】
(実施例76)
6-ベンジル-N-(3-モルホリノプロピル)-2-[4-(ピペラジン-1-イルオキシ)フェニル]-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン
【0287】
【化33】

【0288】
参考例8 (166 mg, 0.413 mmol) の ジオキサン (4.0 ml)−水 (0.41 ml) 溶液に、WO2006/59778を参考に合成した 4-(4,4,5,5,−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ-1-tert-ブトキシカルボニルピペリジン(200 mg, 0.496 mmol)、3mol/L炭酸ナトリウム水溶液 (0.41 ml, 1.23 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム (47.8 mg、0.0413 mmol) を加え、マイクロウエーブ照射下120℃にて攪拌した。2時間後、酢酸エチル−塩酸水で分液抽出し、水層を水酸化ナトリウム水溶液でpH10とした。反応物を酢酸エチルで分液抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム:酢酸エチル) で精製することにより保護体を得た。
【0289】
得られた保護体に、2 mol/L塩酸/メタノール(4.0 ml)を加え、終夜攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し得られた残渣に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、反応物を酢酸エチルで分液抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出溶媒;クロロホルム:酢酸エチル) で精製することにより表題化合物を得た(32.3 mg、収率 14%)。
LC/MS ; 保持時間 3.40 分,m/z = 543 (M+1)
【0290】
(実施例77)
6-ベンジル-N-(3-モルホリノプロピル)-2-[4-(1-メチルピペラジン-1-イルオキシ)フェニル]-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン
【0291】
【化34】

【0292】
実施例76で得た 6-ベンジル-N-(3-モルホリノプロピル)-2-[4-(ピペラジン-1-イルオキシ)フェニル]-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン (24.5 mg, 0.0451 mmol) のメタノール (1.0 ml) 溶液に、35%ホルマリン水溶液 (10.7 μl, 0.135 mmol)、酢酸 (10.3 μl, 0.181 mmol)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム (8.5 mg, 0.135 mmol) を加え、室温にて攪拌した。終夜反応後、酢酸エチル−飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で分液抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、有機層を減圧留去した。生じた残査を分取薄層クロマトグラフィー (アミノシリカゲル、展開溶媒;クロロホルム:メタノール) で精製することにより表題化合物を得た (16.1 mg、収率 64%) 。
LC/MS ; 保持時間 3.41 分,m/z = 557 (M+1)
(実施例78)
2-{4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル}-6-(ピリミジン-2-イル)-N-{3-(ピロリジン-1-イル)プロピル}-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン
【0293】
【化35】

【0294】
実施例58で得た 2-{4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル}-N-(3-ピロリジン-1-イルプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-4-アミン (43.6 mg, 0.10 mmol) の N,N-ジメチルホルムアミド (1.0 ml) 溶液に、2-クロロピリミジン (13.8 mg, 0.12 mmol)、炭酸カリウム (27.7 mg, 0.20 mmol) を加え、60℃にて攪拌した。3時間後、酢酸エチル−水で分液抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧留去した。生じた残査をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー (展開溶媒;クロロホルム:酢酸エチル) で精製後、ジエチルエーテルで利パルプ洗浄することにより表題化合物を得た (12.7mg、収率 25%) 。
LC/MS ; 保持時間 3.82 分,m/z = 514 (M+1)
次に、代表的な本発明の化合物の薬理作用について試験例により具体的に説明する。
【0295】
試験例1:ヒトTLR9 レポータージーン試験
HEK293細胞安定ヒトTLR9発現株(ヒトTLR9-293細胞)を起眠し、細胞の状態が安定するまで継代を繰り返した。細胞の培養は、CO2インキュベーター内(37℃、5% CO2)に放置した。細胞の回収はトリプシン-EDTAを用いて細胞を剥離し、遠心後の細胞ペレットを増殖培地に懸濁した。3×105 cells/mLに調製したヒトTLR9-293細胞を6穴コラーゲンプレートに播種し、一晩培養した。NF-κB-ルシフェラーゼ遺伝子を細胞に導入し、一晩培養した。NF-κB-ルシフェラーゼ遺伝子導入細胞を6.25×105 cells/mLに調製し、96穴ブラックプレートに80 μL/wellで播種した(5×104 cells/well)。被験物質(最終濃度:1, 3, 10, 30, 100, 300, 1000 nM)及び、CpG2006(最終濃度150 nM)を各々10 μLずつ添加後、6時間培養した。Bright-Glo調製液を100 μL/well添加し、遮光下で1分間放置した。ルミノメーターを用いて発光を測定し、各被験物質の50%阻害率(IC50値)を算出し、表9に示した。
【0296】
【表17】

【0297】
表9に示すように、本発明の化合物はNF-kB阻害試験において強い阻害作用を示した。実施例16、20、21、36、41、62、63、64、66、67、70および78の化合物は、特に強い阻害作用を示した。
【0298】
試験例2:マウス脾臓細胞を用いたCpG誘発IL-6産生阻害試験
マウス脾臓細胞を以下の通り調製した。C57BL/6マウス(♀)から摘出した脾臓を外科用はさみで分割し、スライドガラスのすり部分ですりつぶした。遠心後、ACKを用いて溶血処理を行った。培地を加えてACKの反応を止め、遠心を行った。細胞を1×107 cells/mLに調製し、96穴プレートに100 μL/wellで播種した(1×106 cells/well)。被験物質(最終濃度:1, 3, 10, 30, 100, 300, 1000 nM)及びCpG1826(最終濃度100 nM)を各々50 μLずつ添加し、CO2インキュベーター(37℃、5% CO2)内で24時間培養した。ELISA kitを用いて培養上清中のIL-6産生量を測定し、各被験物質の50%阻害率(IC50値)を算出し、表10に示した。
【0299】
【表18】

【0300】
表10に示すように、本発明の化合物はIL-6産生阻害試験において強い阻害作用を示した。また、表9に示したNF-kB阻害試験で高い活性値を示した化合物も上記実施例16、64および67と同様に強いIL-6産生阻害作用を示した。
【産業上の利用可能性】
【0301】
以上で説明したように、式(I)で表される誘導体、またはその製薬学上許容される塩は、自己免疫疾患の予防および/または治療、具体的には自己免疫疾が関与する患(炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病、感染症、癌)、免疫不全症または神経変性疾患(アルツハイマー、パーキンソン病など)の予防薬および/または治療薬として利用しうる。また、選択的にTLRを阻害するようなTLR阻害剤を見出すことで、セプシス、特に重症セプシスの予防および/または治療にも有効な医薬品として利用しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):

[式中、A1およびA2は、下記式(A)または(B)を表し、

1が式(A)のとき、A2は上記式 (B)を表し、
1が式(B)のとき、A2は上記式(A)を表し、
1は、置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環、または−NR12を表し、R1は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC3-8シクロアルキルまたは置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環基を表し、
Alk3は、単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいC1-8アルキレンを表し、
−X−は、単結合、−CO−、−NR6CO−、−CO2−、−COCO−、−CONR6−、−OCONR6−、−NR6CO2−、−NR6CONR7−、−(CR67)m1O−または−NR6−を表し、
ここにおいて、Q1が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する炭素原子がXと結合している)であって、Alk3が単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいメチレンのとき、−X−は、単結合、−CO−、−NR6CO−または−COCO−であり、
1が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する窒素原子がXと結合している)または−NR12であって、Alk3がC1-3アルキルで置換されていてもよいC2-8アルキレンのとき、−X−は、単結合、−CO−、−CO2−、−COCO−、−CONR6−または−(CR672O−であり、
1が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する窒素原子がXと結合している)または−NR12であって、Alk3が単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいメチレンのとき、−X−は、−CO−または−COCO−であり、
3は、水素原子、置換されていてもよいC1-10アルキルまたは置換されていてもよいC3-8シクロアルキルを表すか、R1またはAlk3の1つの炭素原子と一緒になって置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環を形成していてもよく、
2は、置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環、または−NR45を表し、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC3-8シクロアルキルまたは置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環を表し、
Alk4は、単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいC1-4アルキレンを表し、
Arは、置換されていてもよいアリレンまたは置換されていてもよいヘテロアリレンを表し、
−Y−は、単結合、−O−、−CO−、−NR8CO−、−CO2−、−COCO−、−CONR8−、−OCONR8−、−NR8CO2−、−NR8CONR9−、−NR8−、−CO(CR89)O−、−NR8SO2−、−SO2NR8−または−S−を表し、
ここにおいて、Q2が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する窒素原子がAlk4と結合している)または−NR45であって、Alk4がC1-3アルキルで置換されていてもよいC2-4アルキレンであって、Ar(該Arは、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、インドリン、テトラヒドロキノリン、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジンまたは1H-ピロロ[2,3-b]ピリジンである)の環上の窒素原子とYが結合するとき、−Y−は、単結合、−CO−、−NR8CO−、−COCO−または−NR8SO2−であり、
2が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する窒素原子がAlk4と結合している)または−NR45であって、Alk4が単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいメチレンであって、Arの環上の炭素原子とYが結合するとき、−Y−は、単結合、−CO−、−CO2−、−COCO−、−CONR8−、−COCR89O−または−SO2NR8−であり、
2が置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環(該環は環を形成する窒素原子がAlk4と結合している)または−NR45であって、Alk4が単結合またはC1-3アルキルで置換されていてもよいメチレンであって、Ar(該Arは、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、インドリン、テトラヒドロキノリン、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジンまたは1H-ピロロ[2,3-b]ピリジンである)の環上の窒素原子とYが結合するときは、−Y−は、−CO−または−COCO−であり、
Zは、単結合、−O−、−S(O)m2−または−N(R10)−を表し、
Alk1およびAlk2は、それぞれ独立して;ハロゲン、水酸基、カルボキシル、置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC1-5アルコキシ、置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、−NR1112、−CONR1112、置換されていてもよいC1-5アルキルカルボニルおよび置換されていてもよいC1-5アルコキシカルボニルからなる群から選択される同一または異なる1〜2個の置換基で置換されていてもよいメチレン;またはカルボニルを表し、
1およびm2は、それぞれ独立して、0〜2の整数を表し、
1およびn2は、それぞれ独立して、1〜3の整数を表し、
10は、水素原子、置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、置換されていてもよいアリール−C1-10アルキル、置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環基、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいC1-5アルキルカルボニル、置換されていてもよいC1-5アルコキシカルボニル、−CONR1314または−SO213を表し、
6、R7、R8、R9、R11、R12、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素原子または置換されていてもよいC1-10アルキルを表す]
で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項2】
置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC1-5アルコキシ、置換されていてもよいC1-5アルキルカルボニル、置換されていてもよいC1-5アルコキシカルボニルおよび置換されていてもよいアリール−C1-10アルキルのそれぞれの基のアルキル部分が、
(1)ハロゲン原子、
(2)水酸基、
(3)シアノ、
(4)カルボキシル、
(5)置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、
(6)置換されていてもよいアリール、
(7)置換されていてもよいヘテロアリール、
(8)C1-5アルコキシ、
(9)置換されていてもよいC3-8シクロアルコキシ、
(10)C1-5アルコキシカルボニル、
(11)−NR1112
(12)−CONR1516、および
(13)置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよく
(ここにおいて、前記(6)および(7)に示す基は、
(a)水酸基、
(b)ハロゲン、
(c)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキル、
(d)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシ、
(e)シアノ、
(f)カルボキシル、
(g)−NR1516
(h)−CONR1516、および
(i)C1-5アルコキシカルボニルからなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基を意味し、
(5)、(9)および(13)に示す基は、前記
(a)水酸基、
(b)ハロゲン、
(c)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキル、
(d)1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシ、
(h)−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基を意味し、
(11)に示す基(R11および/またはR12が置換されていてもよいアルキルである)は、前記
(c) 1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキル、
(h)−CONR1516
(i) C1-5アルコキシカルボニル、
(j) C3-8シクロアルキル、
(k)ハロゲンおよびC1-10アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよいアリール−C1-10アルキル、
(l)−SO215
(m)−COR15、および
(n)−SO2NR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基を意味する);
シクロアルキルおよび飽和複素環基が、前記(a)、(b)、(c)、(d)および(h)からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基であり;
アリレン、ヘテロアリレン、アリール、ヘテロアリールおよびアリール−C1-10アルキルが、それぞれの基のアリール部分が、前記(a)〜(i) からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基であり;
アミノが、(c)、 (h)、 (i)、 (j)、(k)、 (l)、(m)および (n) からなる群から選択される同一または異なる1〜5個の置換基で置換されていてもよい基であり、
15およびR16が、それぞれ独立して、水素原子、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-10アルキルまたは置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環であるか、あるいは、R15およびR16が同一の窒素原子に結合するときは、一緒になって4〜10員の飽和複素環を形成していてもよい、
請求項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項3】
1が、ハロゲン、水酸基、−CONR1516およびC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環、または−NR12であり、R1およびR2が、それぞれ独立して、水素原子;フッ素原子、水酸基および−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル;フッ素原子および水酸基からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC3-8シクロアルキル;またはC1-6アルキルで置換されていてもよい4〜7員の飽和複素環であり、
Alk3が、単結合またはC1-6アルキレンであり、
−X−が、単結合、−CO−、−NR6CO−または−(CR67)m1O−であり、
3が、水素原子、または、フッ素原子および水酸基からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
2が、水酸基、フッ素原子、C1-6アルキルおよび−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環、または−NR45であり、R4およびR5が、それぞれ独立して、水素原子;フッ素原子、水酸基、C1-5アルコキシ、−NR1516および−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルまたはC3-8シクロアルキル;またはC1-6アルキルで置換されていてもよい4〜7員の飽和複素環であり、
Alk4が、単結合またはC1-2アルキルで置換されていてもよいC1-3アルキレンであり、
−Y−が、単結合、−O−、−NR8CO−、−CONR8−、−NR8CONR9−、−NR8−、−COCR89O−または−SO2NR8−であり、
Arが、ハロゲン、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいフェニレンまたは、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい1〜2個の窒素原子を含むヘテロアリレンであり、
Zが、単結合、−O−、−S−または−N(R10)−であり、
Alk1およびAlk2が、それぞれ独立して、水酸基およびC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜2個の置換基で置換されていてもよい1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよいメチレンであるか、またはカルボニルであり、
1が、0または1であり、
1およびn2が、それぞれ独立して、1または2であり、
10が、水素原子;フッ素原子およびC1-5アルコキシからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-10アルキル;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール−C1-6アルキル;1〜3個のC1-6アルキルで置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-3アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール;フッ素原子および−NR1112からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキルカルボニル;−CONR1314または−SO213であり、
6、R8、R9、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子またはC1-6アルキルである、
請求項1または2に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Alk1およびAlk2が、それぞれ独立して、メチレンまたはカルボニルである、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項5】
−X−が、単結合、−CO−または−(CR67)m1O−であり、Alk3が、単結合、C2-6アルキレンである、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項6】
−Y−が、単結合、−O−、−NR8CO−、−CONR8−または−CO(CR89)O−である、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Zが、単結合または−N(R10)−である、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項8】
10が、水素原子;1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール−C1-6アルキル;1〜3個のC1-6アルキルで置換されていてもよい4〜10員の飽和複素環;ハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいアリール;またはハロゲンおよび1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリールである、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項9】
2が、−NR45である、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項10】
2が、水酸基、フッ素原子、C1-6アルキルおよび−CONR1516からなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環である、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
1が、−NR12である、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項12】
1が、ハロゲン、水酸基、−CONR1516およびC1-6アルキルからなる群から選択される同一または異なる1〜3個の置換基で置換されていてもよい4〜10員の含窒素飽和複素環である、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその製薬学的に許容される塩を有効成分とするトール様受容体が関連する疾患の治療剤および/または予防剤。
【請求項15】
トール様受容体が関連する疾患がセプシス、自己免疫疾患または神経変性疾患である請求項14に記載の治療剤および/または予防剤。

【公開番号】特開2013−32290(P2013−32290A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264612(P2009−264612)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】