説明

有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法、有機ガス供給装置、及び有機ガス供給装置の運転方法

【課題】簡単な構成で有機ガス供給装置から供給される混合ガス中の有機ガス濃度を検出できる有機ガス濃度検出方法、及び有機ガス供給装置を提供すること。
【解決手段】ガス導入管12及びガス吐出管13を備えたバブリングタンク11内にIPA等の有機溶剤を収容し、該タンク内の有機溶剤104中に不活性ガスを通気して気化させ、ガス吐出管13から不活性ガスと有機ガスの混合ガスを吐出す有機ガス供給装置において、ガス導入管12に第1マスフローコントローラ15を設け、ガス吐出管13にマスフローメータ16を設け、第1マスフローコントローラ15からのガス流量測定値とマスフローメータ16のガス流量測定値から、混合ガス中の有機ガス濃度を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はN2等の不活性ガスをキャリアガスとし、該キャリアガスをIPA(イソプロピルアルコール)ガス等の有機溶剤に通気し、該有機溶剤が気化した有機ガスとキャリアガスの混合ガスを基板洗浄装置等の処理装置に供給する有機ガス供給装置の混合ガス中の有機ガス濃度を検出する有機ガス濃度検出方法、有機ガス供給装置、及び有機ガス供給装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程で使用する基板洗浄装置のように、回転する基板の表面に洗浄液を供給しながら基板を洗浄し、該基板表面に残る液を速やかに除去(乾燥)する装置がある。このような装置として、例えば特許文献1に記載された装置がある。該装置は図1に示すように、支軸を中心に矢印A方向に回転する基板ホルダー1と、該基板ホルダー1に保持された基板2の上方に配置され、該基板2の半径方向に矢印Bに示すように移動する可動アーム3を備えている。可動アーム3にはノズル4、5が設けられている。ノズル4には気体導入管6から不活性ガス(例えば、N2ガス)と有機ガス(例えば、IPAガス)の混合ガス101が供給される。また、ノズル5には液体導入管7から洗浄液102が供給される。
【0003】
上記装置のように回転する基板2の上面にノズル4から不活性ガスと有機ガスの混合ガス101を、ノズル5から洗浄液102を供給することにより、ノズル4から供給される混合ガス101の有機ガス(例えば、IPAガス)の作用により、基板2の上面に付着した洗浄液の表面張力が低下する。これにより、基板2の上面に付着した洗浄液が速やかに除去(乾燥)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−233481号公報
【特許文献2】特開平1−294868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記基板2の上面に付着する洗浄液102の表面張力の低下は、ノズル4から供給される混合ガス101の有機ガスの濃度に依存する。基板2の上面に付着する液の表面張力を低下させ、速やかに液を除去(乾燥)させるためには、有機ガスの濃度を所定以上に維持する必要がある。そのためには、混合ガス101の有機ガス濃度をリアルタイムで監視する必要がある。しかしながら、現存する有機溶剤濃度計は、応答性が悪くリアルタイムで有機ガス濃度を検出できない上、有機溶剤濃度計自体が高価であるという問題があった。
【0006】
また、上記のように回転する基板2の上面にノズル4から不活性ガスと有機ガスの混合ガス101を供給しながら、基板2の表面を乾燥させる基板乾燥処理においては、均一な乾燥処理を行うためには、有機ガスの濃度を乾燥処理工程の初めから終わりまで均一にする必要があり、不均一であると均一な乾燥処理ができないという問題がある。特に乾燥処理開始時は有機ガスの濃度が低く、乾燥処理不良が発生するという問題があった。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で有機ガス供給装置から供給される混合ガス中の有機ガス濃度を検出できる有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法、及び有機ガス供給装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は回転する基板上面に有機ガス供給装置で発生する不活性ガスと有機ガスの混合ガスを供給しながら乾燥処理を行う基板乾燥処理において均一な乾燥処理、特に乾燥処理開始時に乾燥処理不良が発生することのない有機ガス供給装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、ガス導入管及びガス吐出管を備えたタンク内に有機溶剤を収容し、ガス導入管を通して該タンク内の有機溶剤中に不活性ガスを通気し、該有機溶剤を気化させ、ガス吐出管から不活性ガスと有機ガスの混合ガスを吐出す有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法において、ガス導入管に第1のガス測定手段を設けると共に、ガス吐出管に第1のガス測定手段と同じ流量特性を備えた第2のガス測定手段を設け、第1のガス測定手段のガス流量測定値と第2のガス測定手段のガス流量測定値から、混合ガス中の有機ガスの濃度を検出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法において、混合ガス中の有機ガスの濃度を第1のガス測定手段のガス流量測定値と第2のガス測定手段のガス流量測定値から有機ガス濃度を検出するための所定の演算を行い混合ガス中の有機ガス濃度を検出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法において、有機溶剤はIPAであり、不活性ガスはN2ガスであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法において、ガス導入管に100%のN2ガスを流した時に混合ガスのIPAガスの濃度に対する第1のガス測定手段のガス流量測定値と第2のガス測定手段のガス流量測定値の割合を示すIPAガス濃度対ガス流量比データを予め求めておき、第1のガス測定手段の実ガス流量測定値と第2のガス測定手段の実ガス流量測定値の割合からIPAガス濃度対ガス流量比データを参照してIPAガス濃度を検出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、ガス導入管及びガス吐出管を備えたタンク内に有機溶剤を収容し、ガス導入管を通して該タンク内の有機溶剤中に不活性ガスを通気し、該有機溶剤を気化させ、ガス吐出管から不活性ガスと有機ガスの混合ガスを吐出す有機ガス供給装置において、ガス導入管に第1のガス測定手段を設けると共に、ガス吐出管に第1のガス測定手段と同じ流量特性を備えた第2のガス測定手段を設け、第1のガス測定手段のガス流量測定値と第2のガス測定手段のガス流量測定値から、混合ガス中の有機ガスの濃度を検出する有機ガス濃度検出手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記有機ガス供給装置において、有機ガス濃度検出手段は、混合ガス中の有機ガスの濃度を第1のガス測定手段のガス流量測定値と第2のガス測定手段のガス流量測定値から有機ガス濃度を検出するための所定の演算を行い混合ガス中の有機ガス濃度を検出する演算手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記有機ガス供給装置において、有機溶剤はIPAであり、不活性ガスはN2ガスであり、有機ガス濃度検出手段は、ガス導入管に100%のN2ガスを流した時に混合ガスのIPAガスの濃度に対する第1のガス測定手段のガス流量測定値と第2のガス測定手段のガス流量測定値の割合を示すIPAガス濃度対ガス流量比データを具備し、第1のガス測定手段の実ガス流量測定値と第2のガス測定手段の実ガス流量測定値の割合を求め、該割合からIPAガス濃度対ガス流量比データを参照してIPAガス濃度を検出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記有機ガス供給装置の運転方法において、ガス吐出管から吐出される混合ガスは基板処理装置に供給されるようになっており、基板処理装置の基板処理終了後にタンク内及びガス吐出管内に不活性ガスを供給し、該タンク内及びガス吐出管内に残存する不活性ガスと有機ガスの混合ガスをパージして該不活性ガスで置換すると共に、基板処理装置の基板処理開始の所定時間前に不活性ガスをタンク内の有機溶剤中に通気し、該タンク内及びガス吐出管内を有機ガス濃度が所定濃度の混合ガスで置換することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記有機ガス供給装置の運転方法において、タンク内及びガス吐出管内に置換された混合ガスは所定のガス圧に維持されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記有機ガス供給装置の運転方法において、基板処理装置は、基板の洗浄処理後に基板に洗浄液と混合ガスとを供給して基板乾燥処理工程を実施する基板処理装置であり、基板乾燥処理工程開始の所定時間前に不活性ガスをタンク内の有機溶剤中に通気し、該タンク内及びガス吐出管内を有機ガス濃度が所定濃度の混合ガスで置換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のようにガス導入管に設けた第1のガス測定手段で測定した実ガス流量測定値と、ガス吐出管に設けた第2のガス測定手段で測定した実ガス流量測定値とから、ガス吐出管から吐出される混合ガス中の有機ガス濃度を検出するので、高価な有機ガス濃度計を設けることなく、簡単な構成でリアルタイムで、且つ高精度で有機ガス濃度を検出できる。
【0020】
また、本発明によれば、基板処理装置の基板処理終了後にタンク内及びガス吐出管内に不活性ガスを供給し、該タンク内及びガス吐出管内に残存する不活性ガスと有機ガスの混合ガスをパージして該不活性ガスで置換すると共に、基板処理装置の基板処理開始の所定時間前に不活性ガスをタンク内の有機溶剤中に通気し、該タンク内及びガス吐出管内を有機ガス濃度が所定濃度の混合ガスで置換するので、基板処理装置の基板処理終了後にガス吐出管内でIPAガスが結露するのを防止できると共に、基板処理開始時のIPAガスとN2ガスの混合ガスの流量及びIPAガス濃度が所定値になるまでの立ち上がりが、基板処理開始と略同時か或いは極めて短くなる。
【0021】
また、本発明によれば、基板乾燥処理工程開始の所定時間前に不活性ガスをタンク内の有機溶剤中に通気し、該タンク内及びガス吐出管内を有機ガス濃度が所定濃度の混合ガスで置換しているので、基板乾燥処理工程開始と略同時或いは若干送れて所定の有機ガス濃度の混合ガスが基板の表面に供給されることになり、基板乾燥処理工程開始時に乾燥不良が発生する恐れが無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】有機ガスを使用する装置の概略構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る有機ガス供給装置の概略構成を示す図である。
【図3】有機ガス供給装置のガス導入管に100%のN2ガスを流した時のガス導入管のガス流量とガス吐出管のガス流量の割合とIPAガス濃度の関係を示す図である。
【図4】本発明に係る有機ガス供給装置を備えた半導体製造設備の一部の概略構成例を示す図である。
【図5】有機ガス供給装置のユースポイントでのN2ガス+IPAガスの混合ガスとN2ガス流量変化とガス濃度変化を示す図である。
【図6】基板洗浄装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図2は本発明に係る有機ガス供給装置の概略構成を示す図である。なお、本実施の形態では、有機溶剤としてIPA溶剤を、該IPA溶剤に通気するキャリアガスとしてN2ガスを用いる有機ガス供給装置を例に説明する。図2において、10は有機ガス供給装置であり、該有機ガス供給装置10はIPA溶剤を収容するバブリングタンク11を備えている。バブリングタンク11には、ガス導入管12と、ガス吐出管13が配置されている。
【0024】
2ガス供給源14からキャリアガスとしてN2ガス103をガス導入管12を通して導き、バブリングタンク11内に収容されたIPA溶剤104中に通気する。これにより、IPA溶剤104が気化し、該気化したIPAガスとN2ガスの混合ガス105がバブリングタンク11内のIPA溶剤104の上面空間に滞留する。このIPAガスとN2ガスの混合ガス105がガス吐出管13を通して基板洗浄装置等の基板処理装置20に供給される。
【0025】
ガス導入管12にはN2ガスで校正された第1マスフローコントローラ15が、ガス吐出管13にはN2ガスで校正されたマスフローメータ16が設けられている。第1マスフローコントローラ15はガス導入管12内を流れるN2ガス103の流量を制御し、マスフローメータ16はガス吐出管13内を流れるIPAガスとN2ガスの混合ガス105の流量を測定するようになっている。17はガス吐出管13を流れる混合ガス105中のIPAガス濃度を検出するIPAガス濃度検出部である。IPAガス濃度検出部17は、後に詳述する手法により第1マスフローコントローラ15で制御したN2ガス103のガス流量f1の測定値とマスフローメータ16で測定された混合ガス105のガス流量f2の測定値から、混合ガス105中のIPAガス濃度を検出するようになっている。
【0026】
18はバイパス管で、該バイパス管18にはバルブ19が設けられている。例えば、基板処理装置20での基板処理終了により、IPAガスとN2ガスの混合ガスの供給が停止した場合、バルブ19を開放して、ガス吐出管13内及びバブリングタンク11内(IPA溶剤104の液面上空間内)に残留する混合ガス中をパージすると共に、該ガス吐出管13内及びバブリングタンク11内をN2ガスに置換する。これにより、ガス吐出管13内及びバブリングタンク11内でIPAガスが結露するのを防止できる。
【0027】
次に、上記IPAガス濃度検出部17において、第1マスフローコントローラ15で制御されたN2ガス103のガス流量f1の測定値と、マスフローメータ16で測定された混合ガス105のガス流量f2の測定値からIPAガス濃度を検出する手法について説明する。
【0028】
先ず、キャリアガスであるN2ガスの実流量(モル数×22.4SLM)をQA、第1マスフローコントローラ15で制御されたガス流量測定値をf1、蒸発したIPA溶剤の実蒸発量(蒸発モル数×22.4SLM)をQB、混合ガス105の実流量((N2ガスのモル数+蒸発ガスのモル数)+22.4SLM)をQAB、マスフローメータ16のガス流量測定値をf2とする。更に、N2ガス、IPAガス、混合ガスの標準状態での密度をρA、ρB、ρAB、定圧比熱CPA、CPB、CPAB、マスフローメータ補正係数をNA、NB、NAB、コンバージョンファクターをCA、CB、CAB、とする。
【0029】
このとき、N2ガスの実流量QAとIPA溶剤の実蒸発量QBの和は混合ガスの実流量QABに等しいため、式(1)式が成立する。
AB=QA+QB (1)
また、マスフローメータの原理から、式(2)、(3)が成立する。
A={0.3115/(ρA・CPA)}・NA=QA/f1 (2)
B={0.3115/(ρB・CPB)}・NB (3)
さらに、N2ガスとIPAガスの混合比KA、KBを(4)式のように定義すれば、
A=(QA)/(QA+QB), KB=(QB)/(QA+QB) (4)
ρAB、CPAB、NAB、CABは式(5)〜(8)のようになる。
【0030】
ρAB=KA・ρA+KB・ρB (5)
PAB=KA・(ρA/ρAB)・CPA+KB・(ρB/ρAB)・CPB (6)
AB=KA・NA+KB・NB (7)
AB={0.3115/(ρAB・CPAB)}・NAB=QAB/f2 (8)
式(1)と(8)より、
A+QB=CAB・f2 (9)
【0031】
さらに、式(9)に、式(2)〜(8)を代入して、QBについて整理すると、
(NB/CB)・QB2+{NA・f1−NB・f2・(CA/CB)・NB・f1}・QB
A・CA・f1(f1−f2)=0 (10)
となる。式(10)の2次方程式をQBに関して解くと、
B={−(NA・f1−NB・f2+NB・f1・CA/CB)±(D)1/2}/
{2・(NB/CB)} (11)
ここで、
D=(NA・f1−NB・f2+NB・f1・CA/CB2−4・(NB/CB)・NA
A・f1・(f1×f2) (12)
であり、キャリアガスであるN2ガス流量が保存されることから、f2≧f1であるから、
D≧0 (13)
が成り立つ。よって、式(11)は、QB≧0を満たす実数解をもつことになる、
【0032】
つまり、式(11)よりIPA溶剤104の実蒸発量QBが算出できるから、マスフローメータ16の測定された混合ガス105のガス流量測定値f2=QAB中に含まれる実蒸発量QBの割合、即ち混合ガス中のIPAガス濃度が算出できる。
【0033】
IPAガス濃度検出部17には、図示は省略するが上記(1)〜(12)の演算が実施できる演算器を設ける。そして第1マスフローコントローラ15で制御したN2ガス103のガス流量f1の測定値と、マスフローメータ16で測定された混合ガス105のガス流量f2の測定値とをIPAガス濃度検出部17に入力する。IPAガス濃度検出部17では、上記演算器により上記演算を実施、混合ガス105中のIPAガス濃度を検出する。これにより有機ガス供給装置10からガス吐出管13を通して基板処理装置20に供給される混合ガス105中のIPAガス濃度をリアルタイムで監視できる。
【0034】
図3は、上記有機ガス供給装置10において、ガス導入管12に100%のN2ガスを流した時のガス導入管12のガス流量とガス吐出管13のガス流量の割合と混合ガス中105中のIPAガス濃度の関係を示す図である。図示するように、ガス吐出管13のガス流量(マスフローメータ16のガス流量f2の測定値)のガス導入管12のガス流量(第1マスフローコントローラ15からのガス流量f1の測定値)に対する割合(f2/f1)が1.00、1.05、1.10、1.15、1.20・・・と増加するに伴って、ガス吐出管13を流れる混合ガス105中のIPAガス濃度[%]が上昇している。
【0035】
図3に示すデータを予め実験で求め、テーブル化してIPAガス濃度検出部17に備えておく。IPAガス濃度検出部17では、マスフローメータ16からのガス流量f2の測定値と、第1マスフローコントローラ15からのガス流量f1の測定値の比(ガス流量比f2/f1)を求める。そして該ガス流量比f2/f1を図3のデータテーブルの縦軸(f2/f1)に当てはめ、該当するIPAガス濃度を検索する。これにより第1マスフローコントローラ15のガス流量f1の測定値と、マスフローメータ16のガス流量f2の測定値からIPAガス濃度をリアルタイムで検出することができる。
【0036】
なお、上記例では、図3に示すデータを予め実験で求める例を説明したが、このデータは上記式(1)〜(12)の演算を実施し、予め計算で求めても良い。
【0037】
図4は上記有機ガス供給装置を備えた半導体製造設備の一部の概略構成例を示す図である。図示するように、本半導体製造設備は有機ガス供給装置10を有機ガス供給装置収容室42内に設置し、該有機ガス供給装置10から基板処理装置20にN2ガスとIPAガスの混合ガス105を供給するようになっている。即ち、図示しないN2ガス源からガス導入管12を通してバブリングタンク11内にN2ガス103を導き、該バブリングタンク11内に収容しているIPA溶剤104中に通気させることにより、該IPA溶剤104が気化され、該気化したIPAガスとN2ガスの混合ガス105がバブリングタンク11内のIPA溶剤104の液面上空間内に滞留する。このIPAガスとN2ガスの混合ガス105がガス吐出管13を通して基板処理装置20に供給されるようになっている。
【0038】
第1マスフローコントローラ15からのN2ガスのガス流量f1の測定値と、マスフローメータ16からの混合ガス105のガス流量f2の測定値は、IPAガス濃度検出部17に入力され、該IPAガス濃度検出部17で混合ガス105内のIPAガス濃度を検出する。24はIPA溶剤供給管であり、IPA溶剤供給バルブ26を開くことにより、図示しないIPA溶剤源からバブリングタンク11内にIPA溶剤106を供給できるようになっている。25はガス抜管であり、ガス排出バルブ27を開くことにより、バブリングタンク11内のIPA溶剤104の液面上に滞留する混合ガス105を抜き出すことができるようになっている。28はバブリングタンク11内のIPA溶剤104の液面レベルを検出する液面センサーである。23は第2マスフローコントローラである。
【0039】
上記構成の半導体製造設備において、液面センサー28でIPA溶剤104の液面レベルを監視し、液面が所定レベルL以下になったらIPA溶剤供給バルブ26を開いてバブリングタンク11内にIPA溶剤106を供給し、該バブリングタンク11内のIPA溶剤104の液面レベルが所定レベルLを超えたらIPA溶剤供給バルブ26を閉じて、IPA溶剤106の供給を停止する。バブリングタンク11内にIPA溶剤106を供給する時に、ガス排出バルブ27を開いてIPA溶剤104の液面上に滞留するN2ガスとIPAガスとの混合ガス105を抜く為、バブリングタンク11内の圧力が低下してしまう。
【0040】
上記バブリングタンク11の内圧が低下した状態からバブリングタンク11内のIPA溶剤104中にN2ガスを通気してIPA溶剤104を気化させ、基板処理装置20にIPA溶剤とN2ガスの混合ガス105の供給を開始すると、バブリングタンク11内のIPA溶剤液面上部がN2ガスとIPAガスとの混合ガス105で満たされ圧力が上昇するまでに時間がかかる。そのため、基板処理装置20に供給される混合ガス流量及びIPAガス濃度が所定の値になるまでに時間がかかる。言い換えると供給始めは混合ガス105の流量が小さく、そのIPAガス濃度も低い。
【0041】
この混合ガス105の流量及びIPAガス濃度の立ち上がりの遅れを防止するため、バブリングタンク11内へのIPA溶剤106の供給が終了したら、基板処理装置20の基板処理の所定時間前にバブリングタンク11内のIPA溶剤104中にN2ガスを通気し、液面上空間を所定の圧力及び所定のIPAガス濃度の混合ガス105で満たしておく。これにより、混合ガス流量及びIPAガス濃度の立ち上がりの遅れを回避できる。このIPA溶剤104の液面上空間を所定の圧力、所定のIPAガス濃度の混合ガス105で満たす方法は下記のようにして行う。
【0042】
バブリングタンク11内のIPA溶剤104の液面レベルが所定のレベルL以下となった場合に、ガス排出バルブ27を開き、IPA溶剤供給バルブ26を開いて、バブリングタンク11内の混合ガス105を排出すると共に、IPA溶剤106を供給する。該IPA溶剤106の供給によるIPA溶剤104の液面の上昇を液面センサー28で監視し、液面が所定レベルLを超えたらIPA溶剤供給バルブ26を閉じ、IPA溶剤の供給を停止し、ガス排出バルブ27を閉じる。次にバルブ21を開き、N2ガス源からガス導入管12を通して、N2ガスをバブリングタンク11内のIPA溶剤104中に通気し、IPA溶剤104を気化させ、該IPAガスとN2ガスの混合ガスを発生させる。
【0043】
第1マスフローコントローラ15で制御されるN2ガス103の流量f1を監視し、マスフローメータ16で混合ガス105の流量f2を監視し、この流量f1及び流量f2の検出値をIPAガス濃度検出部17に出力する。IPAガス濃度検出部17ではこの流量f1と流量f2からIPAガス濃度を検出し、該IPAガス濃度が所定の濃度になったら、N2ガスの供給を停止すると共に、バルブ21を閉じる。これにより、バブリングタンク11内のIPA溶剤104の液面上空間は所定の圧力、所定のIPAガス濃度の混合ガス105で満たされる。なお、バブリングタンク11内の圧力は図示しない圧力センサーで検出し監視する。
【0044】
また、基板処理装置20での基板処理の終了後、ガス吐出管13内にN2ガスとIPAガスとの混合ガス105が残留したままにするとIPAガスが結露する。このIPAガスの結露を防止するため、第2マスフローコントローラ23を通して所定流量のN2ガスをガス吐出管13内及びバブリングタンク11内に供給し、混合ガス105のパージを行い、ガス吐出管13内及びバブリングタンク11内をN2ガスで置換する。そのため、基板処理装置20での基板処理のプロセス開始時にバルブ21を開いて、バブリングタンク11内のIPA溶剤104中にN2ガスを通気し、ガス吐出管13から混合ガス105を供給しようとしても、バブリングタンク11内及びガス吐出管13内のN2ガスがパージされ、所定のIPAガス濃度の混合ガス105に置換されるまで時間がかかるという問題がある。即ち、混合ガス105の流量とIPAガス濃度が所定値になるまでの立ち上がりに時間がかかる。
【0045】
上記のようにプロセス開始時にバブリングタンク11内及びガス吐出管13内のN2ガスを所定のIPAガス濃度の混合ガス105に置換するのに時間がかかるという問題を解決するため、プロセスを開始する所定時間前にバルブ21を開き、所定流量のN2ガスをガス導入管12に供給し、バブリングタンク11内のIPA溶剤104中に通気する。これにより、IPA溶剤104が気化し、該気化したIPAガスとN2ガスの混合ガスがガス吐出管13を通って基板処理装置20に供給される。
【0046】
ガス導入管12を通るN2ガス流量f1とガス吐出管13を通る混合ガス流量f2はそれぞれ第1マスフローコントローラ15及びマスフローメータ16で検出される。IPAガス濃度検出部17は、該流量f1とf2から混合ガス105のIPAガス濃度を検出し、該IPAガス濃度が所定の値になったら、N2ガスの供給を停止すると共に、バルブ21を閉じる。これによりバブリングタンク11内のIPA溶剤液面上の空間及びガス吐出管13内が所定の圧力、所定のIPAガス濃度の混合ガス105により置換される。これにより基板処理装置20の基板処理開始と略同時に所定のIPAガス濃度の混合ガス105を所定の流量で供給できる。即ち、IPAガスとN2ガスの混合ガス流量及び濃度の立ち上がりを改善できる。
【0047】
図5は上記構成の半導体製造設備における基板処理装置20のユーズポイント(図4の基板処理装置20内で基板ホルダー1に保持された基板2上面にノズル4から混合ガス105が供給される点P)でのN2ガス+IPAガスの混合ガス105と、N2ガスの流量・濃度の変化を示す図である。図示するように、基板処理開始前にバブリングタンク11内のIPA溶剤面上の空間及びガス吐出管13内のN2ガスをN2ガス+IPAガスの混合ガス105で置換しない基板処理Aでは、所定のIPAガス濃度の混合ガス105が所定の流量ユーズポイントに供給されるまでには、基板処理Aでは基板処理開始から時間t1の遅れが発生する。
【0048】
これに対して、基板処理Bでは基板処理開始の所定時間T前にN2ガスをバブリングタンク11内のIPA溶剤104中に通気して、該IPA溶剤104を気化させ、該IPAガスとN2ガスの混合ガス105中のIPAガス濃度が所定の値になったらN2ガスの供給を停止し、バブリングタンク11内及びガス吐出管13内を所定の圧力、所定のIPAガス濃度の混合ガス105で満たし(置換)している。これにより基板処理開始と略同時に所定の圧力、所定のIPAガス濃度のN2ガス+IPAガスの混合ガス105がユーズポイントに供給される。
【0049】
図6は基板処理装置20の一例である基板洗浄装置の構成例を示す図である。基板洗浄装置30は洗浄槽31内に配置されている。図示しない回転駆動部によりスピンホイール32を水平面内で回転するようになっている。基板回転機構33を囲むように液飛散防止カップ34が配置されている。該液飛散防止カップ34は矢印Aに示すように、昇降機構(図示せず)により上下動できるようになっている。
【0050】
洗浄槽31内の上部には、揺動アーム35が配置され、該揺動アーム35はスピンホイール32に保持され、水平面内で回転する基板Wfに対してN2ガス+IPAガスの混合ガス105を供給する混合ガス供給ノズル36、水等の洗浄液を供給する液供給ノズル37が取付けられている。38は基板Wfの上面にリンス液を噴射するリンス液ノズルであり、39は液飛散防止カップ34の内面を洗浄するカップリンスノズルである。なお、図示は省略するが、基板Wfの下面にリンス液を噴射する基板下面リンスノズルを設けている。また、洗浄槽31には基板Wfを搬出搬入するための搬出入口31aが設けられ、更に搬出入口31aを開閉するためのシャッター31bが設けられている。
【0051】
上記基板洗浄装置において、液飛散防止カップ34をその上端がスピンホイール32の下方に位置するように下降させると共に、シャッター31bを下降させて、洗浄槽31の搬出入口31aを開放する。この状態で、図示しない、ロボットアーム等の基板搬入手段で搬出入口31aから洗浄槽31内に基板Wfを搬入し、スピンホイール32の上に載置し、図示しない基板保持部材で基板Wfの周縁部を保持(挟持)する。
【0052】
続いて、液飛散防止カップ34をその上端がスピンホイール32の上方に位置するように上昇させると共に、シャッター31bを上昇させて、搬出入口31aを閉鎖する。続いてスピンホイール32を所定方向に回転させ、該基板Wfを回転数300rpm程度で回転しながら基板上面をリンスするリンス液ノズル38から基板Wf上面にリンス液を供給し、基板Wfの上面をリンスする。なお、図示しない上記基板下面リンスノズルからも基板Wfの下面にリンス液を供給し、基板Wfの下面もリンスする。
【0053】
続いて、回転する基板Wfに混合ガス供給ノズル36及び液供給ノズル37からそれぞれN2ガス+IPAガスの混合ガス105及び洗浄液を供給し、乾燥工程に入る。この乾燥工程では、基板Wfを回転数300rpm程度で回転させ混合ガス105及び洗浄液を供給しながら、混合ガス供給ノズル36及び液供給ノズル37を基板Wf中心からエッジへ移動するように揺動アーム35を移動させる。このように回転する基板WfにN2ガス+IPAガスの混合ガス105及び洗浄液を供給することにより、基板Wfの上面に供給された洗浄液の表面張力は、N2ガス+IPAガスの混合ガス105中のIPAガスにより弱められ、洗浄液は効率よく除去され乾燥する。
【0054】
上記基板Wfの上面の乾燥効率は、N2ガス+IPAガスの混合ガス105のIPAガス濃度に依存するから、上記の乾燥工程に入る時に、上記のようにバブリングタンク11内のIPA溶剤液面上の空間及びガス吐出管13内にN2ガスが残っていると、乾燥工程初期はN2ガス又はIPAガス濃度が低い混合ガスが供給されることになり、乾燥不良が発生する。そこで上記のように基板Wfの乾燥工程に入る前に、バブリングタンク11内のIPA溶剤面上の空間及びガス吐出管13内のN2ガスを所定のIPAガス濃度及び所定の圧力のN2ガス+IPAガスの混合ガスで置換することにより、乾燥工程開始と略同時或いは若干遅れて所定のIPAガス濃度及び所定の圧力の混合ガスが供給されるから、基板Wfの乾燥不良の発生を防止できる。
【0055】
なお、上記実施形態例では、キャリアガスとしてN2ガスを、有機溶剤としてIPA溶剤を用いる例を示したが、キャリアガスはN2ガスに限定されるものでなく、他の不活性ガスでもよく、有機溶剤もIPA溶剤に限定されるものではなく、他の有機溶剤でもよい。また、基板処理装置も基板洗浄装置に限らず、半導体基板や液晶基板等の被処理基板の表面に付着する液を速やかに除去(乾燥)する必要がある基板処理装置に供給する有機ガスとキャリアガスの混合ガス中の有機ガス濃度を監視する監視装置に本発明は利用できる。
【0056】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用効果を奏する以上、本願発明の技術範囲である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、上記のようにガス導入管に設けた第1のガス測定手段で測定したガス流量測定値と、ガス吐出管に設けた第2のガス測定手段で測定したガス流量測定値とから、ガス吐出管から吐出される混合ガス中の有機ガス濃度を検出するので、高価な有機ガス濃度計を設けることなく、簡単な構成でリアルタイムで、且つ高精度で有機ガス濃度を検出できる。よって、半導体製造設備や液晶製造設備等の分野で基板表面に付着した液を速やかに除去(乾燥)させることを必要とする処理装置に有機ガスとキャリアガスの混合ガスを供給する有機ガス供給装置の有機ガス濃度を監視するのに本発明は利用できる。
【符号の説明】
【0058】
10 有機ガス供給装置
11 バブリングタンク
12 ガス導入管
13 ガス吐出管
14 N2ガス供給源
15 第1マスフローコントローラ
16 マスフローメータ
17 IPAガス濃度検出部
18 バイパス管
19 バルブ
20 基板処理装置
21 バルブ
23 第2マスフローコントローラ
24 IPA供給管
25 ガス抜管
26 IPA溶剤供給バルブ
27 ガス排出バルブ
28 液面センサー
30 基板洗浄装置
31 洗浄槽
32 スピンホイール
33 基板回転機構
34 液飛散防止カップ
35 揺動アーム
36 混合ガス供給ノズル
37 液供給ノズル
38 リンス液ノズル
39 カップリンスノズル
40 クリーンルーム
41 クリーンルームの下部
42 有機ガス供給装置収容室
50 センサー部
51 毛細管
52 抵抗体
53 抵抗体
61 ブリッジ回路
62 増幅回路
63 表示器
64 電源
65 バイパス
66 ガス入口
67 ガス出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス導入管及びガス吐出管を備えたタンク内に有機溶剤を収容し、前記ガス導入管を通して該タンク内の有機溶剤中に不活性ガスを通気し、該有機溶剤を気化させ、前記ガス吐出管から前記不活性ガスと前記有機ガスの混合ガスを吐出す有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法において、
前記ガス導入管に第1のガス測定手段を設けると共に、前記ガス吐出管に前記第1のガス測定手段と同じ流量特性を備えた第2のガス測定手段を設け、
前記第1のガス測定手段のガス流量測定値と第2のガス測定手段のガス流量測定値から、前記混合ガス中の有機ガスの濃度を検出することを特徴とする有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法において、
前記混合ガス中の有機ガスの濃度を前記第1のガス測定手段のガス流量測定値と第2のガス測定手段のガス流量測定値から有機ガス濃度を検出するための所定の演算を行い前記混合ガス中の有機ガス濃度を検出することを特徴とする有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法。
【請求項3】
請求項1に記載の有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法において、
前記有機溶剤はIPAであり、
前記不活性ガスはN2ガスであることを特徴とする有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法において、
前記ガス導入管に100%のN2ガスを流した時に前記混合ガスの前記IPAガスの濃度に対する前記第1のガス測定手段のガス流量測定値と前記第2のガス測定手段のガス流量測定値の割合を示すIPAガス濃度対ガス流量比データを予め求めておき、
前記第1のガス測定手段の実ガス流量測定値と前記第2のガス測定手段の実ガス流量測定値の割合から前記IPAガス濃度対ガス流量比データを参照して前記IPAガス濃度を検出することを特徴とする有機ガス供給装置の有機ガス濃度検出方法。
【請求項5】
ガス導入管及びガス吐出管を備えたタンク内に有機溶剤を収容し、前記ガス導入管を通して該タンク内の有機溶剤中に不活性ガスを通気し、該有機溶剤を気化させ、前記ガス吐出管から前記不活性ガスと前記有機ガスの混合ガスを吐出す有機ガス供給装置において、
前記ガス導入管に第1のガス測定手段を設けると共に、前記ガス吐出管に前記第1のガス測定手段と同じ流量特性を備えた第2のガス測定手段を設け、
前記第1のガス測定手段のガス流量測定値と第2のガス測定手段のガス流量測定値から、前記混合ガス中の有機ガスの濃度を検出する有機ガス濃度検出手段を設けたことを特徴とする有機ガス供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の有機ガス供給装置において、
前記有機ガス濃度検出手段は、前記混合ガス中の有機ガスの濃度を前記第1のガス測定手段のガス流量測定値と第2のガス測定手段のガス流量測定値から有機ガス濃度を検出するための所定の演算を行い前記混合ガス中の有機ガス濃度を検出する演算手段を備えていることを特徴とする有機ガス供給装置。
【請求項7】
請求項5に記載の有機ガス供給装置において、
前記有機溶剤はIPAであり、
前記不活性ガスはN2ガスであり、
前記有機ガス濃度検出手段は、前記ガス導入管に100%のN2ガスを流した時に前記混合ガスの前記IPAガスの濃度に対する前記第1のガス測定手段のガス流量測定値と前記第2のガス測定手段のガス流量測定値の割合を示すIPAガス濃度対ガス流量比データを具備し、前記第1のガス測定手段の実ガス流量測定値と前記第2のガス測定手段の実ガス流量測定値の割合を求め、該割合から前記IPAガス濃度対ガス流量比データを参照して前記IPAガス濃度を検出することを特徴とする有機ガス供給装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の有機ガス供給装置の運転方法において、
前記ガス吐出管から吐出される混合ガスは基板処理装置に供給されるようになっており、
前記基板処理装置の基板処理終了後にタンク内及びガス吐出管内に不活性ガスを供給し、該タンク内及びガス吐出管内に残存する前記不活性ガスと前記有機ガスの混合ガスをパージして該不活性ガスで置換すると共に、前記基板処理装置の基板処理開始の所定時間前に不活性ガスをタンク内の有機溶剤中に通気し、該タンク内及びガス吐出管内を前記有機ガス濃度が所定濃度の混合ガスで置換することを特徴とする有機ガス供給装置の運転方法。
【請求項9】
請求項8に記載の有機ガス供給装置の運転方法において、
前記タンク内及びガス吐出管内に置換された前記混合ガスは所定のガス圧に維持されることを特徴とする有機ガス供給装置の運転方法。
【請求項10】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の有機ガス供給装置の運転方法において、
前記基板処理装置は、前記基板の洗浄処理後に基板に洗浄液と前記混合ガスとを供給して基板乾燥処理工程を実施する基板処理装置であり、
前記基板乾燥処理工程開始の所定時間前に前記不活性ガスをタンク内の有機溶剤中に通気し、該タンク内及びガス吐出管内を前記有機ガス濃度が所定濃度の混合ガスで置換することを特徴とする有機ガス供給装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−3843(P2011−3843A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147795(P2009−147795)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】