説明

有機金属錯体及びそれを使用する堆積方法

【課題】有機金属前駆体と、シリコン、金属窒化物及び他の金属層などの基材上にコンフォーマルな金属含有膜を製造するための堆積方法を提供する。
【解決手段】当該有機金属前駆体は、次の式


(Mはコバルト、鉄、ニッケル、マンガン、ルテニウム、亜鉛、銅、パラジウム、白金、イリジウム、レニウム、オスミウム、R1-5は水素、アルキル、アルコキシ、フルオロアルキル及びアルコキシ、脂環式、並びにアリール)により表されるN,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
厚さが50Å以下の金属及び金属酸化物の高度にコンフォーマルな薄膜は、マイクロエレクトロニクス及び磁気情報記憶を含むエレクトロニクスデバイスの製造においてますます注目を集めつつある。典型的には、これらの膜は化学気相成長(CVD)及び原子層堆積(ALD)法により製造されている。部品デバイス(すなわちトランジスタ)が小型化し、部品デバイス及び回路が増大した密度でパターニングされるにつれ、CVD又はALD法のいずれかによるこれらの種類の膜の製造につながることができる新しい種類の有機金属前駆体化合物が相当に必要とされている。
【0002】
熱安定性のある金属アミジナートは、高度にコンフォーマルな遷移金属薄膜を製造する候補として使用されてきた。これらは、ロジックデバイス及びメモリデバイスの製造に使用されることもある。そのような金属アミジナートについて利用される典型的な金属には、コバルト、バナジウム、鉄及びニッケルがある。
【0003】
VIIb、VIII、IX及びX族の金属から得られた金属シリサイドは、エレクトロニクスの分野、特に集積回路及びマイクロエレクトロニクスの製造において、魅力的な化合物であることが示されている。金属シリサイドの良好な熱安定性及び化学的安定性、低電気抵抗率、広い加工ウィンドウ(processing window)、及びシリコン上に金属シリサイドがエピタキシャル成長するのを可能にするシリコン結晶格子に対する小さい格子不整合のため、デバイスの小型化が進むにつれ、金属シリサイドへの関心は高まりつつある。
【0004】
以下の特許文献及び論文は、CVD及びALDによる金属又は金属酸化物のコンフォーマル膜の製造に適した有機金属化合物と、エレクトロニクス産業におけるそれらの利用の代表的なものを説明するものである。
【0005】
米国特許第6777565号明細書及び米国特許第6753245号明細書には、式(R1mM(PR23xを有する有機金属化合物を利用した金属膜の堆積が開示されており、この式において、Mは、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、ロジウムなどの、VIIb、VIII、IX、又はX族からなる群から選択される金属である。金属シリルホスファイトも示されており、例としては、式H2M[(CH33SiOP(OC2524及びM[(CH33SiOP(OCH325のものが挙げられている。
【0006】
米国特許出願公開第2002/0081381号明細書には、ALD法においてビス(アセチルアセトナト)コバルトを水素又はシランと交互に反応させることによる、コバルト膜の形成が開示されている。コバルトを、銅とTiN、TaN及びWN由来のものなどの拡散バリア層との間の接着層として使用し、接着性を高めることができる。
【0007】
米国特許出願公開第2002/0016065号明細書には、金属中心にキレート形成用のC、Nドナー配位子が配位している有機金属錯体を利用した金属含有膜の形成が開示されている。実施例に示されている錯体の1つ、Co{C(SiMe32(C54N)}2を使用して、シリコン基材上にコバルト膜が形成された。
【0008】
国際公開第2004/046417号パンフレット及びRoy G. Gordon, et al., Alternate Layer Deposition of Transition Metals, Nature Materials, vol. 2, 749(2003年11月)には、金属アミジナートを有機金属前駆体として使用する、ALDによる高度にコンフォーマルな薄膜の形成が開示されている。コバルト(II)ビス(N,N’−ジイソプロピルアセトアミジナート、ビス(N,N’−tert−ブチルアセトアミジナート)マンガン及びランタントリス(N,N’−ジイソプロピル−2−tert−ブチルアミジナート)が前駆体として示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、有機金属前駆体と、これらの有機金属前駆体を使用してシリコン、金属窒化物及び他の金属層などの支持体上にコンフォーマルな金属含有膜を製造する堆積方法に関する。そのような膜には、コンピュータチップ、光学デバイス、磁気情報記憶から、支持材料上に被覆された金属触媒に至るまでの用途がある。
【0010】
この有機金属前駆体は、次の式
【0011】
【化1】

【0012】
を有するN,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体であり、上式において、Mは、VIIb、VIII、IX及びX族から選択される金属であり、金属の具体例としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、バナジウム、ランタン、ルテニウム、亜鉛、銅、パラジウム、白金、イリジウム、レニウム、オスミウムが挙げられ、そしてR1-5は同一でも異なっていてもよく、水素、アルキル、アルコキシ、フルオロアルキル及びアルコキシ、脂環式、並びにアリール基から選択される。
【0013】
これらの有機金属前駆体、特にN,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体前駆体によりいくつかの利点を得ることができ、それらには以下のもの、すなわち、
反応性のN,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体を良好な収率で生成する能力、
広範囲の電気用途での使用に適した高度にコンフォーマルな金属薄膜を製造する能力、
マイクロエレクトロニクスデバイスでの使用に適した高度にコンフォーマルな金属酸化物薄膜を形成する能力、
錯体の高い化学反応性により、N,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体と基材の表面との表面反応を高める能力、及び
N,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体のR基の変更により、N,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体の物理的性質を調整する能力、
が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、一つの部類の有機金属錯体、典型的にはキレート形成用のN,N’−ドナー配位子を有するN,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体と、それらの合成、及び堆積プロセスでの使用に関する。これらのN,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体の一般式は、
M{R12Si(NR3)(NR45)}2
のように表すことができ、上式において、Mは、VIIb、VIII、IX及びX族から選択される金属であり、金属の具体例としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、ルテニウム、亜鉛、銅、パラジウム、白金、イリジウム、レニウム、オスミウムが挙げられる。R1-5は、水素、アルキル又はアルコキシ基、フルオロアルキル及びアルコキシ基、アリール及び脂環式基からなる群から選択される。
【0015】
これらの有機金属錯体、例えばN,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体を潜在的な前駆体として利用して、500℃未満の温度で化学気相成長(CVD)又は原子層堆積(ALD)法のいずれかにより金属薄膜又は金属酸化物薄膜を作ることができる。CVD法は、還元剤又は酸化剤があってもなくても実施できるが、それに対しALD法は、通常、還元剤又は酸化剤などの他の反応物の使用を必要とする。
【0016】
これらの有機金属錯体は、Xが好ましくはCl又はBrである式(MX2)の無水二価金属ハロゲン化物の反応により調製できる。好ましい態様では、MCl2を2当量のN,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノリチウムR12Si(LiNR3)(NR45)と反応させる。次の反応式が代表的なものである。
【0017】
【化2】

【0018】
N,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノリチウムR12Si(LiNR3)(NR45)は、式{R12Si(HNR3)(NR45)}の有機化合物とアルキルリチウム、例えばLiBunとのその場での(in situ)反応により調製できる。
【0019】
熱安定性の化合物を生成するための好ましい方法としては、窒素原子と結合した大きいR基、例えばC3-4アルキル基、アリール基又は環状基を有する配位子を選択することが好ましい。これらの大きい基は、反応中のポリマー様種の生成防止を助ける。他方で、相反する問題があり、それは、得られる有機金属化合物の分子量を下げ、そして高い蒸気圧を持つ錯体を得るために、ケイ素原子に結合しているR基が可能な限り小さくなくてはならないことである。窒素原子に結合する好ましい置換基は、イソプロピル、sec−ブチル及びtert−ブチル基であり、メチル又はメトキシ基はケイ素原子に結合する好ましい置換基である。
【0020】
反応のためには広範囲の溶媒を使用することができる。テトラヒドロフラン(THF)などの極性溶媒が、反応媒体への金属ハロゲン化物の低溶解度のため推奨される。得られる錯体は通常、ヘキサンなどの炭化水素溶媒には極めてよく溶解する。従って、反応溶媒の除去、ヘキサンによる抽出及びろ過により、得られた錯体を反応混合物から分離することが容易である。
【0021】
以下の例は、N,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体の調製と、それらを膜堆積法において前駆体として使用するのを説明する。
【実施例】
【0022】
〔例1〕
ここでは、ビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)コバルト(II)の合成を説明する。
【0023】
15g(0.116モル)の無水CoCl2を、100mlのTHFとともに1リットルのシュレンクフラスコに入れた。このフラスコに、200mlのヘキサン中でのMe2Si(HNBut2(49.5g、0.245モル)と2.5MのLiBunヘキサン溶液(98ml、0.245モル)との反応によりその場で調製したMe2Si(LiNBut)(HNBut)を加えた。混合物を室温で終夜撹拌した。反応が完了した後、揮発分を全て真空下で除去し、反応で生成した黒っぽい固形分をヘキサン混合物(200ml)で抽出した。セライトのパッドを当てたガラスフリットを通してヘキサン抽出物をろ過し、紺青色の溶液を得た。この溶液を約50mlに濃縮し−40℃に保つと、黒っぽい結晶を得た。20gの結晶を集め、真空下で乾燥した。母液を約10mlに濃縮して、更に5gの黒っぽい結晶が得られた。
【0024】
収率はコバルト基準で84%である。分析結果は次のとおりであり、C20 H50 Co N4 Si2に対する計算値は、Coが12.76、Cが52.02、Nが12.13、Hが10.91であり、実測値は、Coが13.20、Cが49.52、Nが11.44、Hが9.72であった。
【0025】
ビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)コバルト(II)の紺青色結晶の構造的特性を、X線単結晶分析により調べた。下記の構造は、歪みのある四面体環境中で、コバルトに2つのN,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ配位子が配位していることを示している。平均Co−N間隔は2.006Åである。
【0026】
【化3】

【0027】
上記は、ビス(N,N’−ジ(t−ブチル)−1,1−ジメチルシランアミナト)コバルト(II)の結晶構造を表している。
【0028】
原子の周囲の数字は、X線単結晶分析によるものである。
【0029】
〔例2〕
ここでは、ビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)ニッケル(II)の合成を説明する。
【0030】
CoCl2の代わりにNiCl2を使用したことを除いて、例1の手順に従った。10g(0.077モル)の無水NiCl2を、80mlのTHFとともに1リットルのシュレンクフラスコに入れた。このフラスコに、200mlのヘキサン中でのMe2Si(HNBut2(32.0g、0.154モル)と2.5MのLiBunヘキサン溶液(61.6ml、0.154モル)との反応によりその場で調製したMe2Si(LiNBut)(HNBut)を加えた。この混合物を室温で終夜撹拌した。
【0031】
次いで、揮発分を全て真空下で除去し、得られた黒っぽい固形分をヘキサン(200ml)で抽出した。セライトのパッドを当てたガラスフリットを通してヘキサン抽出物をろ過して、暗緑色の溶液を得た。この溶液を約50mlに濃縮し−40℃に保つと、黒っぽい結晶を得た。25gの結晶を集め、真空下で乾燥した。収率はニッケル基準で70%である。
【0032】
ビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)ニッケル(II)の暗緑色結晶の構造的特性を、X線単結晶分析により調べた。以下の構造は、歪みのある四面体環境中で、ニッケルに2つのN,N’−ビス(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ配位子が配位していることを示している。平均Ni−N間隔は2.005Åである。ビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)ニッケル(II)の構造は次のとおりに表される。
【0033】
【化4】

【0034】
〔例3〕
ここでは、ビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)鉄(II)の合成を説明する。
【0035】
CoCl2の代わりに無水FeCl2を使用したことを除いて。例1の手順に従った。10g(0.079モル)の無水FeCl2を、50mlのTHFとともに1リットルのシュレンクフラスコに入れた。このフラスコに、200mlのヘキサン中でのMe2Si(HNBut2(32g、0.158モル)と2.5MのLiBunヘキサン溶液(63.1ml、0.158モル)との反応によりその場で調製したMe2Si(LiNBut)(HNBut)を加えた。この混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、揮発分を全て真空下で除去し、得られた黒っぽい固形分をヘキサン(200ml)で抽出した。セライトのパッドを当てたガラスフリットを通してヘキサン抽出物をろ過し、紫色の溶液を得た。この溶液を約50mlに濃縮し−40℃に保つと、黒っぽい結晶を得た。16gの結晶を集め、真空下で乾燥した。収率は鉄基準で44%である。分析結果は次のとおりであり、C20H50FeN4Si2に対する計算値は、Feが12.18、Cが52.37、Nが12.22、Hが10.99であり、実測値は、Feが11.81、Cが52.37、Nが11.29、Hが9.21であった。
【0036】
ビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)鉄(II)の紫色結晶の構造的特性を、X線単結晶分析により調べた。この構造は、歪みのある四面体環境中でFeに2つのN,N’−ビス(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ配位子が配位していることを示している。平均Fe−N間隔は2.048Åである。
【0037】
【化5】

【0038】
〔例4〕
ここでは、ビス(N,N’−ジ(イソプロピル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)コバルト(II)の合成を説明する。
【0039】
5g(0.0385モル)の無水CoCl2を、50mlのTHFとともに500mlのシュレンクフラスコに入れた。このフラスコに、100mlのヘキサン中でのMe2Si(HNBut2(14.2g、0.0815モル)と2.5MのLiBunヘキサン溶液(32.6ml、0.0815モル)との反応によりその場で調製したMe2Si(LiNBut)(HNBut)を加えた。この混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、揮発分を全て真空下で除去し、得られた黒っぽい固形分をヘキサン(100ml)で抽出した。セライトのパッドを当てたガラスフリットを通してヘキサン抽出物をろ過し、紺青色の溶液を得た。この溶液を約10mlに濃縮し−40℃に保つと、黒っぽい結晶を得た。10gの結晶を集め、真空下で乾燥した。収率はコバルト基準で64%である。
【0040】
〔例5〕
ここでは、ビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)コバルト(II)のCVDを説明する。
【0041】
この例では、ビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)コバルト(II)を、既知のCVD技術を利用する通常のCVD装置中で膜を形成するための有機金属前駆体として使用して、シリコン基材上に金属シリサイド膜を製造した。
【0042】
この態様では、ビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)コバルト(II)を90℃でバブラー中において気化させ、100sccmのN2キャリアガスとともにCVDチャンバー中に移送した。このCVDチャンバーは、加熱される基材ホルダを有するコールドウォールシステムであった。基材を400℃に保ち、チャンバ圧力を1トルに保った。得られた膜のEDX分析から、膜がコバルトを含んでいることが示された。
【0043】
上記の説明及び例から要約すると、一般式M{R12Si(NR3)(NR45)}2のN,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体は、ソリッドステートトランジスタ、キャパシタ、ビア、及び回路の製造に使われるものなどの、電子デバイスにおけるTaN、TiN、WN、TaSiN、TiSiN、WSiNなどの拡散バリア層と銅との間の接着層を形成することを含めて、基材上に金属又は半金属酸化物を形成するのに使用することができる。還元剤(すなわち、水素、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、アンモニア及びそれらの混合物)を用いて、又は用いずに、このN,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体を接触させることができる。所望のままに、酸素含有反応物を堆積チャンバに導入してもよく、その例としては水、O2、H22及びオゾンが挙げられる。好ましくは、N,N’−アルキル−1,1−アルキルシリルアミノ金属錯体の堆積には、CVD法よりもALD法が利用されるが、これは単にALD法の自己制御性のためである。ALDにより形成される薄膜は、45nm以下の膜の生成を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造により表される有機金属錯体。
【化1】

(上式において、Mは、VIIb、VIII、IX及びX族からなる群から選択される金属であり、R1-5は同一でも異なっていてもよく、水素、アルキル、アルコキシ、フルオロアルキル、フルオロアルコキシ、脂環式、及びアリール基からなる群から選択される)
【請求項2】
Mが、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、ルテニウム、亜鉛、銅、パラジウム、白金、イリジウム、レニウム及びオスミウムからなる群から選択される、請求項1に記載の有機金属錯体。
【請求項3】
1-5が、水素及びアルキルからなる群から選択される、請求項2に記載の有機金属錯体。
【請求項4】
化学名がビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)コバルト(II)である、請求項1に記載の有機金属錯体。
【請求項5】
化学名がビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)鉄(II)である、請求項1に記載の有機金属錯体。
【請求項6】
化学名がビス(N,N’−ジ(tert−ブチル)−1,1−ジメチルシリルアミノ)ニッケル(II)である、請求項1に記載の有機金属錯体。
【請求項7】
有機金属前駆体を堆積チャンバに入れ、気化させ、そして基材上に堆積させる、基材上に金属又は金属酸化物のコンフォーマルな薄膜を形成するための堆積方法であって、当該有機金属前駆体として請求項1に記載の有機金属錯体を使用することを含むことを特徴とする堆積方法。
【請求項8】
当該堆積方法が化学気相成長法である、請求項7に記載の堆積方法。
【請求項9】
当該堆積方法が原子層堆積法である、請求項7に記載の堆積方法。
【請求項10】
前記有機金属錯体が次の式
【化2】

(上式において、Mは、鉄、ニッケル、コバルト及び銅からなる群から選択される金属であり、R1及びR2は独立にメチル又はメトキシであり、R3、R4及びR5は独立に、イソプロピル、sec−ブチル及びt−ブチルからなる群から選択される)
により表される、請求項7に記載の堆積方法。
【請求項11】
金属薄膜を製造するため前記有機金属前駆体を導入後に堆積チャンバに還元剤を導入する、請求項7に記載の堆積方法。
【請求項12】
前記還元剤を、水素、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、アンモニア及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
当該方法が化学気相成長法である、請求項12に記載の堆積方法。
【請求項14】
当該方法が原子層堆積法である、請求項12に記載の堆積方法。
【請求項15】
酸素含有反応物を堆積チャンバに導入して金属酸化物膜を作製する、請求項7に記載の堆積方法。
【請求項16】
酸素含有を、水、O2、H22及びオゾンからなる群から選択する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
次の構造
【化3】

を有する有機金属錯体を製造する方法であって、式MX2(この式のMはVIIb、VIII、IX及びX族からなる群から選択される金属であり、XはCl又はBrである)の金属ハロゲン化物を、2当量の式R12Si(LiNR3)(NR45)(この式のR1-5は同一でも異なっていてもよく、水素、アルキル、アルコキシ、フルオロアルキル及びアルコキシ、脂環式、並びにアリールからなる群から選択される)のシリル化合物と反応させることを含む、有機金属錯体の製造方法。
【請求項18】
Mが、鉄、ニッケル、コバルト、銅からなる群から選択される金属である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1及びR2がメチル又はメトキシであり、R3、R4及びR5がイソプロピル、sec−ブチル及びtert−ブチルからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
得られる金属酸化物膜を、水素、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、アンモニア及びそれらの混合物からなる群から選択される還元剤により還元して金属膜にすることができる、請求項15に記載の方法。

【公開番号】特開2006−257073(P2006−257073A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−28539(P2006−28539)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】