説明

木質系繊維成形体の製造方法

【課題】 木質系繊維がポリ乳酸系脂肪族ポリエステルで結合された成形体の製造に関し、強度が高く、耐湿性に優れた木質系繊維成形体を得ることができる木質系繊維成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】 木質系繊維成形体の製造方法であって、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維を混合してマット体を作成するマット体作成工程と、前記マット体に相溶性共重合体を付与して成形前材料を作成する成形前材料作成工程と、前記ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維が軟化状態または溶融状態となる温度で前記成形前材料を加圧して成形する成形工程と、を含むことを特徴とする木質系繊維成形体の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質系繊維がポリ乳酸系脂肪族ポリエステルで結合されている木質系繊維成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境保全意識の向上に伴い、各種製品の設計に際して、使用時の機能性だけでなく、廃棄時の環境負荷の低減や廃棄の容易さが求められている。
従来、車両や建物、家具等の部材として用いられる木質系繊維成形体は、木質系繊維がフェノール樹脂やポリオレフィン系樹脂等のバインダーで結合されている成形体が用いられてきた。しかし、天然素材である木質系繊維は生分解性であるが、フェノール樹脂やポリオレフィン系樹脂等のバインダー樹脂が難分解性であるため、これらによって作製された木質系繊維成形体の生分解性は充分といえるものではなかった。そこで、これらの難分解性のバインダー樹脂に替えて、ポリ乳酸樹脂等の生分解性樹脂を使用する試みがなされており、例えば、特許文献1には、ケナフ繊維にバインダーとしてポリ乳酸樹脂の水分散体を付与し、得られた成形前材料を加熱圧縮して成形体を得る方法が開示されている。バインダー樹脂としてポリ乳酸等の生分解性樹脂を使用することにより、木質系繊維成形体の生分解性は著しく向上し、埋め立てやコンポスト化(堆肥化)によって分解処理することが可能となり、廃棄時の環境負荷の低減を図ることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−55871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生分解性樹脂は、土中で微生物の作用により分解するため、廃棄に際して環境への負荷が少ないという長所を有する一方で、使用中であっても空気中の水分によって徐々に加水分解するため、経時に伴い強度が低下し劣化しやすいという短所を有する。特に、木質系繊維が生分解性樹脂で結合された成形体においては、木質系繊維の吸湿性が高いため、木質系繊維が吸収した水分により、生分解性樹脂の加水分解が促進され、木質系繊維同士の結合強度が低下し、成形体自体の強度が低下するという問題点も懸念されていた。
そこで本発明は、木質系繊維がポリ乳酸系脂肪族ポリエステルで結合された成形体の製造に関し、強度が高く、耐湿性に優れた木質系繊維成形体を得ることができる木質系繊維成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための第1の発明は、木質系繊維成形体の製造方法であって、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維を混合してマット体を作成するマット体作成工程と、前記マット体に相溶性共重合体を付与して成形前材料を作成する成形前材料作成工程と、前記ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維が軟化状態または溶融状態となる温度で前記成形前材料を加熱し加圧して所定形状に成形する成形工程と、を含むことを特徴とする木質系繊維成形体の製造方法である。
第1の発明によれば、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの両方になじみのよい相溶性共重合体をマット体に付与して成形前材料を作成し、成形工程においてポリ乳酸系脂肪族ポリエステルが軟化状態または溶融状態となる温度で、成形前材料を加熱しながら加圧することにより、相溶性共重合体が、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとの間で双方に対してより強く結合し、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの結合強度を良好に増大させることができる。その結果、木質系繊維が均一かつ強力に結合し、強度が高く、耐湿性に優れた木質系繊維成形体を得ることができる。
また、第1の発明によれば、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維とからなるマット体を作成してから相溶性共重合体を付与するために、相溶性共重合体をマット体の内部に均一に浸透させることができる。そのため、相溶性共重合体を木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維に対して良好に接触させることができる。その結果、木質系繊維が均一かつ強力に結合し、強度が高く、耐湿性に優れた木質系繊維成形体を得ることができる。
【0006】
第2の発明は、前記第1の発明に記載の木質系繊維成形体の製造方法であって、前記成形前材料作成工程と前記成形工程の間に、前記成形前材料を予備成形する予備成形工程を含むことを特徴とする木質系繊維成形体の製造方法である。
第2の発明によれば、例えば、成形前材料を圧縮して体積の小さい形状に予備成形することにより、成形前材料の輸送、保管時の取り扱いを容易にし、より小さいスペースでたくさんの成形前材料を輸送、保管することができる。したがって、製造効率等の便宜を考慮して予備成形体を保管しておくことができるため、強度が高く、耐湿性に優れた木質系繊維成形体をより効率よく製造することができる。
【0007】
第3の発明は、前記第1の発明または第2の発明に記載の木質系繊維成形体の製造方法であって、前記相溶性共重合体は、第1の重合性単量体と第2の重合性単量体を重合して得られる共重合体を含み、前記第1の重合性単量体は、重合性二重結合部分と親水基を有し、前記第2の重合性単量体は、重合性二重結合部分とエポキシ基を有することを特徴とする木質系繊維成形体の製造方法である。
第3の発明によれば、相溶性共重合体は、第1の重合性単量体に由来する親水基によって木質系繊維となじみ、第2の重合性単量体に由来するエポキシ基によってポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとなじむ。したがって、成形工程において加熱されることにより、相溶性共重合体が木質系繊維と乳酸系脂肪族ポリエステルとの両者に良好に結合し、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル間の結合強度を向上させる。また、同時に、相溶性共重合体がポリ乳酸系脂肪族ポリエステルに結合することにより、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの分子量が増大したり、三次元構造を形成したりする。そのため、成形体の強度が向上し、木質系繊維同士の結合強度を良好に増大させることができる。その結果、強度が高く、耐湿性に優れた木質系繊維成形体を得ることができる。
【0008】
第4の発明は、前記第3の発明に記載の木質系繊維成形体の製造方法であって、前記第1の重合性単量体は親水基としてポリアルキレンオキシド鎖を有する、木質系繊維成形体の製造方法である。
第4の発明によれば、第1の重合性単量体が親水基によって木質系繊維へ強く親和し、その結果、強度が高く、耐湿性に優れた木質系繊維成形体を得ることができる。
【0009】
第5の発明は、前記第3の発明または第4の発明に記載の木質系繊維成形体の製造方法であって、前記第1の重合性単量体をメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとし、前記第2の重合性単量体をグリシジル(メタ)アクリレートとする木質系繊維成形体の製造方法である。
第5の発明によれば、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの両方に対する親和性が良好な重合性単量体を用いることにより、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの結合強度を向上させることができる。その結果、より強度が高く、耐湿性に優れた木質系繊維成形体を得ることができる。
【0010】
第6の発明は、前記第1の発明ないし第5の発明のいずれかに記載の木質系繊維成形体の製造方法おいて、前記成形前材料作成工程では、前記マット体に前記相溶性共重合体を水溶液の状態で付与する、木質系繊維成形体の製造方法である。
第6の発明によれば、成形工程で、水分を含む木質系繊維を加熱および加圧することにより水分が蒸発し、木質系繊維の主成分であるセルロースの結晶化が進行し、木質系繊維の強度を向上させるとともに、水分を吸収しにくくすることができる。その結果、より強度が高く、より耐湿性に優れた木質系繊維成形体を得ることができる。
【0011】
第7の発明は、前記第1の発明ないし第6の発明のいずれかに記載の木質系繊維成形体の製造方法において、前記木質系繊維がケナフ由来の繊維である木質系繊維成形体の製造方法である。
ケナフ由来の繊維は、セルロース含有量が高く、長繊維で強度が高いのが特徴である。したがって、第7の発明によれば、より強度が高く、耐湿性に優れた木質系繊維成形体が得られる。
【0012】
第8の発明は、前記第1の発明ないし第7の発明のいずれかに記載の木質系繊維成形体の製造方法であり、前記ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維がポリ乳酸からなる繊維である、木質系繊維成形体の製造方法である。
ポリ乳酸は、原料である乳酸を植物から採取することができ、植物が地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収するので、環境にやさしい材料である。したがって、第8の発明によれば、強度が高く、耐湿性に優れるだけでなく、地球環境への負荷の少ない木質系繊維成形体を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、木質系繊維がポリ乳酸系脂肪族ポリエステルで結合された成形体の製造に関し、強度が高く、耐湿性に優れた成形体を得ることができる木質系繊維成形体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明によって製造される木質系繊維成形体は、木質系繊維がポリ乳酸系脂肪族ポリエステルで結合された成形体であり、この成形体の例としては、例えば、単層または複数層よりなる木質系のボード材(板状部材)を挙げることができる。このボード材は、必要に応じて曲げ成形や絞り成形が施されているボード材であってもよい。限定されるものではないが、本発明によって製造される木質系繊維成形体は、車両や建物、船舶などの室内面を構成する部材、例えば、内装壁材、床材、天井材や家具類の表層材に適用することができる。車両の部材としては、例えば、ドアトリム、インストルメントパネル、ピラーのカバーなどに適用することができる。
【0015】
本発明に係る木質系繊維成形体の製造方法は、図1に示すように、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維とを混合してマット体を形成するマット体作成工程と、前記マット体に相溶性共重合体を付与して成形前材料を作成する成形前材料作成工程と、前記ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維が軟化状態または溶融状態となる温度で前記成形前材料を加熱し加圧して所定形状に成形する成形工程と、を含んでいることを特徴とする。本発明の製造方法では、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維とによってマット体を作成してから相溶性共重合体を付与するために、そのマット体の内部に相溶性共重合体を十分に浸透させることができる。その結果、木質系繊維同士の結合強度が高く、耐湿性に優れる木質系繊維成形体を製造することができる。
【0016】
本発明に係る製造方法において使用される主な材料について以下順番に説明する。
木質系繊維は、木質系材料から採取することができる繊維質材料のことである。この木質系繊維は、例えば、木本類、草木類等の木質系材料を解繊処理することによって得ることができる。木質系材料の具体例としては、例えば、ケナフ、サイザル、ジュート、ラミー、バガス等が挙げられる。とりわけ、ケナフの靭皮より得られる木質系繊維は、繊維の骨格であり主成分であるセルロースの含有量が高く、長繊維で高強度である。したがって、ケナフの靭皮繊維を用いれば、強度の高い木質系繊維成形体を得ることができる。また、ケナフは1年性植物で成長が早く、短期間に大量栽培が可能であり、二酸化炭素の吸収能も高いため、環境保全の見地においても極めて好適な木質系材料である。
【0017】
ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルは、例えば、乳酸、リンゴ酸、グルコース酸などのオキシ酸の重合体またはこれらの共重合体、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートなどの二塩基酸ポリエステルを挙げることができる。また、特に、ポリ乳酸や、ポリ乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、カプロラクトンと他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステルなど、ヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルが好ましい。さらに、乳酸を重合して得られるポリ乳酸は、原料である乳酸を、トウモロコシやサツマイモ等の植物から採取した澱粉を分解して得ることができるので、より好ましい。
【0018】
相溶性共重合体は、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの両方に対してなじみの良い重合体である。
元来、木質系繊維は、主成分であるセルロースがたくさんの水酸基を有しており、極性が大きい、すなわち親水性の表面を有する。このため、木質系繊維は、同様に極性が大きい親水性の表面を有する材料との相性が良い。一方、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルは、アルキル鎖とアルコキシカルボニル鎖を主たる構成基とするポリマーであり、親油性が大きい。このため、極性の大きい木質系繊維との相性、すなわちなじみは良好でなく、極性がより小さい表面を有する材料との相性が良い。
【0019】
したがって、相溶性共重合体は、木質系繊維になじむ親水性部分とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルになじむ親油性部分とを併有するポリマーで構成される。相溶性共重合体は、好ましくは、親水性部分と親油性部分とをポリマー鎖中に分散状態で備えるポリマーであると、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとの間で双方に対してより強く結合し、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとの間の結合強度を良好に増大させることができる。このような相溶性共重合体は、典型的には、側鎖として親水性基と親油性基を併せ持つポリマーであり、重合性二重結合を有し親水性基を有する第1の重合性単量体と、重合性二重結合を有し親油性基を有する第2の重合性単量体とを含む原料を重合することによって得られる。
【0020】
第1の重合性単量体は、重合性の二重結合部分と親水性基とを有する。重合性の二重結合は、典型的には、ビニル基、アリル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基などが挙げられる。また、親水性基は、限定されるものではないが、例えば、水酸基、アルキレンオキシド鎖、第4級アンモニウム基、スルホン酸基あるいはその塩などを挙げることができる。具体的な第1の重合性単量体には、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルー3−メタクリルアミドプロピルアンモニウムクロライド、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、アリルスルホン酸アンモニウム塩、メタリルスルホン酸トリエチルアミン塩があり、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。第1の重合性単量体中の親水性基は、活性水素を含有しない、あるいは活性水素を生成しにくい親水性基が好ましい。例えば、アルコキシポリアルキレンオキシド基等が好ましく、具体的には、メトキシポリエチレンオキシド基が好ましい。そして、具体的な重合性単量体としては、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0021】
第2の重合性単量体は、重合性の二重結合部分と親油性基とを有する。親油性基は、とりわけ、エポキシ基であると、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとの相性が極めて良いため、好ましい。また、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの軟化温度(溶融温度以上を含む)におけるポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとの結合反応に対する活性をも有しており、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの高温高湿下における耐久性の向上に、より好ましい。第2の重合性単量体の重合性の二重結合部分は、第1の重合性単量体と同様、典型的にはビニル基、アリル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基などであり、例えば、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを用いることができる。第2の重合性単量体は、エポキシ基を備えており、典型的には、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0022】
相溶性共重合体における第1の重合性単量体及び第2の重合性単量体の配合割合は、特に限定されない。このため、例えば、第1の重合性単量体と第2の重合性単量体との割合は、1:9〜9:1の重量比で所望の割合にすることができる。好ましくは、木質系繊維とのなじみとポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとのなじみとが同程度となるように調製される。したがって、典型的には、第1の重合性単量体:第2の重合性単量体の重量比が1:1であることが、木質系繊維およびポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとのなじみがより均等となって、良好な結合力を発揮するため、好ましい。
【0023】
相溶性共重合体を、第1および第2の重合性単量体とともに、他の重合性単量体を重合させて作成しても良いことはもちろんである。例えば、ラウリルアクリレートなど、直鎖アルコキシレートを有する(メタ)アクリル酸などを含んでいても良い。他の重合性単量体を含めることにより、例えば、相溶性共重合体の立体規則性を制御することとも可能である。
相溶性共重合体は、重合性二重結合を有する単量体の公知の重合方法を用いることができ、ラジカル重合反応または付加重合反応により作成することができるため、詳細な説明は省略する。
相溶性共重合体の分子量は特に限定されないが、5000以上100000以下が好ましく、より好ましくは10000〜30000である。分子量が5000未満の場合、ブリードし成形後の外観不良が起こりやすい。また、分子量が100000を超える場合、相溶化の作用が低下し曲げ物性が低下しやすい。また、分子量が10000〜30000である相溶性共重合体は、ブリードしにくく相溶性が良いため、より好ましい。
【0024】
相溶性共重合体は、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの双方になじみ、結合強度を向上させるだけでなく、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルと接触させて加熱すると、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルに結合し、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの分子量を増大したり、三次元構造を形成したりする。したがって、相溶性共重合体を好適に作用させることにより、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの強度を向上させるとともに、加水分解しにくくし、耐湿性を向上させることもできる。
【0025】
なお、本発明において、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルは、加熱溶融し、細孔から空気中に押し出し、冷却固化させる等、公知の紡糸法によって繊維化して使用する。本明細書では、この繊維化したポリ乳酸系脂肪族ポリエステルのことを、「ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維」と称する。ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維は、適宜、捲縮させたり、カッティングして使用することができる。ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂は、1種ないし数種の樹脂を混合して使用することができる。また、必要に応じて、可塑剤等の副原料を添加して使用することもできる。
【0026】
つぎに、本発明に係る木質系繊維成形体の製造方法に含まれる各工程について説明する。本発明に係る木質系繊維成形体の製造方法は、図1のフローチャートに示すように、「マット体作成工程」、「成形前材料作成工程」、「成形工程」、及び、必要に応じて「予備成形工程」を含んでいる。
【0027】
(マット体作成工程)
マット体作成工程では、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維とを混合してマット体を作成する。この「マット体」とは、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維とが混合してまとまったもの全般を指している。この「マット体」は、例えば、以下の方法によって作成することができる。
マット体の作成方法の一つ目の例は、まず、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維とを混合して積層体(ウェブ)を作成する。積層体を作成するためには、カード法、フリース法、エアーレイ法などの公知の積層化手法を用いることができる。つぎに、ニードルパンチングなどの公知の交絡手法を用いることによって、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維とを交絡させる。これにより、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維とが均一でかつ密度が高く交絡したマット体を作成することが可能である。
二つ目の例は、木質系繊維の解繊処理時等に、その木質系繊維に対してポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維を少しずつ投入する。これにより、木質系繊維に対してポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維を均一に混合することができる。次に、これらの繊維をニードルパンチング等によって交絡させたり、型に詰めてひとまとまりの形を保持しうるように圧縮することによって、マット体を作成することが可能である。
【0028】
木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維の混合比率は、特に限定されないが、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維の比率が高い方が、加熱加圧した後に成形される木質系繊維成形体の重量が増大する。一方、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維が少なすぎると、バインダーとしての機能が充分に発揮されず、木質系繊維同士の結合が弱くなるため、成形体の強度が低下したり、層間剥離の原因となる可能性がある。したがって、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維は、マット体全体の重量に対して10重量%以上50重量%以下が好ましく、30重量%以上50重量%以下がより好ましい。ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維の混合比率がこの範囲であると、木質系繊維同士の十分な結合を達成できるとともに、木質系繊維成形体の重量増加を抑制できる。
【0029】
(成形前材料作成工程)
成形前材料作成工程では、マット体に対して相溶性共重合体を付与する。相溶性共重合体は、そのままの状態でマット体に付与しても良いが、水や有機溶媒に溶解あるいは分散させた状態で付与することが好ましい。相溶性共重合体が付与された後のマット体のことを、本明細書では「成形前材料」と称する。
相溶性共重合体は、マット体に付与するときの作業性等を考慮して、水あるいは有機溶媒に溶解あるいは分散させて、濃度、粘度等を適宜調整して使用することが可能である。
相溶性共重合体は、噴霧、浸漬、塗工など、いかなる方法でマット体に付与してもよいが、マット体に対して均一に付与するためには、相溶性共重合体をスプレーなどを用いて噴霧によって付与するのが好ましい。
【0030】
本発明に係る木質系繊維成形体の製造方法は、マット体を作成した後に、このマット体に対して相溶性共重合体を付与する点に特徴がある。
すなわち、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルに相溶性共重合体を均一に添加するための方法としては、例えば、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルを繊維化する前の段階で、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルに相溶性共重合体をあらかじめ添加しておく方法などが考えられる。しかし、この場合、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルを繊維化するために加熱した段階で、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの分子量が増大して粘度が上昇し、紡糸の際に樹脂が細孔に詰まって糸が切れたり、紡糸速度が低下したりする等の不具合が生ずる場合があるという問題がある。そこで、本発明においては、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルを繊維化し、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維とを混合してマット体を作成し、このマット体に対して相溶性共重合体を付与している。この方法によれば、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維との間隙に相溶性共重合体が保持されるために、相溶性共重合体が両繊維に対してまんべんなく接触する。その結果、成形工程において成形前材料を加熱した段階で、相溶性共重合体の作用によって、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとの結合強度が高まるという効果が得られる。
【0031】
木質系繊維の主成分であるセルロースは、水分を含んだ後にその水分が蒸発することによって、結晶化が進行し、剛性が向上する性質がある。そのため、相溶性共重合体と共に水分をマット体に付与しておくと、次工程の成形工程で加熱しながら加圧した際に、木質系繊維の剛性が向上し、成形体の強度を向上させることができる。したがって、相溶性共重合体は、水に溶解させて水溶液の状態にしてから、水分と共にマット体に付与するのが好ましい。また、水溶液を使用すれば、有機溶剤を使用する場合よりも、製造工程の環境負荷を軽減できる点においても優れている。相溶性共重合体のマット体への付与量は、特に限定されないが、その付与による効果が得られる範囲でできるだけ少ないことが好ましい。例えば、相溶性共重合体の配合割合は、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維の重量に対して、1.0重量%以上10.0重量%以下であることが好ましい。
【0032】
(成形工程)
成形工程では、上述の工程で得られた成形前材料を、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルが軟化状態または溶融状態となる温度に加熱し、公知の方法で加圧成形する。加圧成形のためには、公知のプレス機等を用いることができる。これにより、ボード状などの所望の形状に成形された木質系繊維成形体を得ることができる。
【0033】
成形工程において、成形前材料が所定の温度まで加熱されると、その成形前材料中に添加されているポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維は軟化し溶融する。このとき、成形前材料には相溶性共重合体が付与されているので、この相溶性共重合体が木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとを結合する架橋剤のように機能し、この結果、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとが相溶性共重合体を介して結合されるので、これら3つの成分によって三次元的な結合構造が構成され、木質系繊維の膨潤による成形体の膨張を防ぐことができる。また、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルが相溶性共重合体を介して強固に結合されることによって、木質系繊維成形体の耐湿性が著しく向上する。
【0034】
(予備成形工程)
本発明に係る木質系繊維成形体の製造方法では、成形前材料作成工程と成形工程との間に、予備成形工程を実施することもできる。この予備成形工程では、成形前材料をプレス機等を用いて加圧することによって、この成形前材料を圧縮する。これにより、成形前材料の体積(かさ)を減らすことができる。
予備成形工程を実施することによって、成形前材料の体積を減少させることができる。これにより、成形前材料の輸送や保管が容易になる。この場合、成形前材料を作成する工程までをある場所で実施し、成形前材料を加圧して成形する工程は別の場所で実施する、という製造工程の分担が可能になる。例えば、成形前材料を作成する工程までは海外で実施し、その成形前材料を船積みで輸入して、最終的に木質系繊維成形体を成形する工程は国内で実施する、という生産方式の実現が可能になる。これにより、木質系繊維成形体を高効率で大量に生産することが可能になる。
なお、予備成形工程では、成形前材料を加熱しながら加圧してもよい。この場合、予備成形時の加熱温度は、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルが溶融する温度であることが好ましい。
【0035】
なお、本発明に係る木質系繊維成形体の製造方法においては、さらに、他の副原料を添加してもよいことはもちろんである。例えば、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの加水分解による劣化を防止するために、ポリエステル樹脂改質剤等を添加することが可能である。このような改質剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドといったカルボジイミドなど、脱水反応を促進できる試薬(触媒)等をその例として挙げることができる。このような改質剤は、あらかじめポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの溶融樹脂に添加してもよいし、溶媒等に溶解あるいは分散させた状態でマット体に噴霧して付与する等、適宜、成形工程以前の中間材料の段階で付与することができる。
【0036】
以上説明したように、本発明に係る木質系繊維成形体の製造方法によれば、相溶性共重合体を作用させることによって、木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの結合強度を上昇させるとともに、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルの分子量を増大させることができる。その結果、物理的な強度が高く、耐湿性に優れた木質系繊維成形体を得ることができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明のさらに具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
木質系繊維としてケナフの靭皮から採取した繊維を準備し、ポリ乳酸系ポリエステルとしてポリ乳酸(L体95%以上)を準備した。ポリ乳酸(L体95%以上)を公知の紡糸法によって繊維化し、ケナフ繊維:ポリ乳酸繊維が70:30の重量比になるように混合、積層し、マット体を作成した。
これとは別に、第1の重合性単量体をメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとし、第2の重合性単量体をグリシジル(メタ)アクリレートとする重合性共重合体(以下、共重合体Aという。)の1.5重量%の水溶液を調製した。
マット体に対してこの水溶液を、ポリ乳酸繊維に対する共重合体Aの割合が5.0重量%になるようにスプレーにて付与し、成形前材料を作成した。
作成した成形前材料を、プレス面を230℃に加熱したプレス型の間に挟み、圧力24kgf/cm、内部温度210℃になるまで加熱しながら加圧し、厚さ2.5mmの予備成形体を作成した。
予備成形体を、230℃に加熱したオーブン内で170秒間加熱し、内部温度を210℃にまで上昇させて、この予備成形体をプレス型の間に挟み、圧力36kgf/cmで60秒間圧縮し、木質系繊維成形体を作成した。
【0038】
(実施例2)
前記実施例1で使用したポリ乳酸(L体95%以上)を公知の紡糸法によって繊維化し、ケナフ繊維:ポリ乳酸繊維が70:30の重量比になるように混合、積層し、マット体を作成した。
これとは別に、共重合体Aを1.5重量%と、ポリイミド化合物である「カルボジライトE−04」(日清紡株式会社製)を0.3重量%含有する水溶液を調製した。
マット体に対してこの水溶液を、ポリ乳酸繊維に対する共重合体Aの割合が5.0重量%、ポリ乳酸繊維に対するカルボジライトE−04の割合が1.0重量%になるようにスプレーにて付与し、成形前材料を作成した。
作成した成形前材料を、プレス面を230℃に加熱したプレス型の間に挟み、圧力24kgf/cm、内部温度210℃になるまで加熱しながら加圧し、厚さ2.5mmの予備成形体を作成した。
予備成形体を、230℃に加熱したオーブン内で170秒間加熱し、内部温度を210℃にまで上昇させて、この予備成形体をプレス型の間に挟み、圧力36kgf/cmで60秒間圧縮し、木質系繊維成形体を作成した。
【0039】
(比較例1)
実施例1と同様の方法を用いて、木質系繊維成形体を作成した。
ただし、マット体に対して共重合体Aの水溶液を付与しないで作成した。また、ポリ乳酸繊維には、ポリイミド化合物である「カルボジライトHMV−8CA」(日清紡株式会社製)を1.0重量%添加したものを使用した。
【0040】
(比較例2)
比較例1と同様の方法を用いて、木質系繊維成形体を作成した。
ただし、マット体は、ケナフ繊維とポリ乳酸繊維を50:50の重量比で混合したものを使用した。
【0041】
(耐湿熱性の評価)
まず、作成した実施例1,2及び比較例1,2の各試料の板厚、曲げ強さおよび試料中のポリ乳酸樹脂の重量平均分子量を測定した。板厚、曲げ強さは、幅50mm、長さ150mmの長方形の試験片から測定した。曲げ強さは、試験片を、支点間距離L=100mmとなるように2つの支点で支持し、両支点の間の中心位置に速度50mm/分の荷重を加え、試験片が破断する直前の最大荷重Pを測定した。なお、2つの支点および荷重作用点の曲率半径は3.2mmとした。曲げ強さは、以下の式により算出した。
曲げ強さ(MPa)=3PL/2Wt
ただし、P:最大荷重
L:支点間距離
W:試験片の幅(50mm)
t:試験片の厚み(2.3mm)
【0042】
次に、各試験片を温度50℃、湿度95%RHの室に設置して400時間放置後に、上記と同じ方法で、各試料の板厚、曲げ強さおよび試料中のポリ乳酸樹脂の重量平均分子量を測定した。また、曲げ強度保持率および板厚膨張率を以下の式より算出した。以下、温度50℃、湿度95%RHの高温高湿の室に試験片を設置する前を「暴露前」、室に設置して400時間放置後を「暴露後」として試験片を識別する。
曲げ強度保持率(%)=(δ´/δ)×100
ただし、δ :暴露前の曲げ強度
δ´:暴露後の曲げ強度
板厚膨張率(%)=(T´−T)/T×100
ただし、T :暴露前の試験片の厚み
T´:暴露後の試験片の厚み
【0043】
各試料の測定値を表1に示す。
【0044】

【表1】



【0045】
表1に示すように、実施例1,2の製造方法では、ケナフ繊維:ポリ乳酸繊維の重量比が同じ70:30である比較例1と比較して、暴露前の曲げ強さ及び曲げ強さ保持率が著しく高く、板厚膨張率が著しく低い木質系繊維成形体が得られた。また、ポリ乳酸繊維(バインダー繊維)の重量比が高く、ケナフ繊維:ポリ乳酸繊維の重量比が50:50である比較例2と比較しても、暴露前の曲げ強さ及び曲げ強さ保持率が高く、板厚膨張率の低い木質系繊維成形体が得られた。この結果より、マット体に相溶性共重合体を付与した後に、加熱圧縮成形すると、バインダー樹脂を増加させることなく、軽量で強度が高く、暴露後においても強度劣化及び変形に強く、耐湿性の高い木質系繊維成形体を得られることが明らかとなった。
【0046】
また、実施例2では、実施例1よりも曲げ強さ保持率の高い木質系繊維成形体が得られた。この結果より、相溶性共重合体とポリイミド化合物を複合添加することにより、相乗効果を発揮し、より耐湿性に優れた木質系繊維成形体を得られることが明らかとなった。これは、ポリイミド化合物である「カルボジライトE−04」も末端封鎖剤の効果があるため、ポリ乳酸の加水分解が抑制されたためであると考えられる。
【0047】
実施例1,2で得られた木質系繊維成形体のポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、比較例1,2に比べて著しく高く、暴露後も減少せずにむしろ増大する傾向が見られた。この結果より、ポリ乳酸樹脂に相溶性共重合体を付与して加熱すると、ポリ乳酸の分子量が増大することが判明した。分子量が増大することにより、ポリ乳酸自体の強度が向上し、木質系繊維成形体の強度向上に有効に関与していることが推察される。
【0048】
実施例1,2で得られた木質系繊維成形体の曝露前の曲げ強さは、比較例1,2で得られた木質系繊維成形体の曝露前の曲げ強さよりも高いことが判明した。これは、実施例1,2では、マット体に水分が付与された後にその水分が蒸発することによって、木質系繊維に含まれるセルロースの結晶化が進行し、このセルロースの剛性が向上したことが原因であると考えられる。つまり、マット体に相溶性共重合体を付与する場合には、相溶性共重合体をそのまま付与するよりも、相溶性共重合体を水に溶解させてから水溶液の状態で付与した方が、より強度が高く、耐湿性に優れる木質系繊維成形体が得られることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本願発明に係る木質系繊維成形体の製造方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質系繊維成形体の製造方法であって、
木質系繊維とポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維を混合してマット体を作成するマット体作成工程と、
前記マット体に相溶性共重合体を付与して成形前材料を作成する成形前材料作成工程と、
前記ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維が軟化状態または溶融状態となる温度で前記成形前材料を加熱し加圧して所定形状に成形する成形工程とを含むことを特徴とする木質系繊維成形体の製造方法。
【請求項2】
前記成形前材料作成工程と前記成形工程の間に、前記成形前材料を予備成形する予備成形工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の木質系繊維成形体の製造方法。
【請求項3】
前記相溶性共重合体は、第1の重合性単量体と第2の重合性単量体を重合して得られる共重合体を含み、
前記第1の重合性単量体は、重合性二重結合部分と親水基を有し、
前記第2の重合性単量体は、重合性二重結合部分とエポキシ基を有する、請求項1または請求項2に記載の木質系繊維成形体の製造方法。
【請求項4】
前記第1の重合性単量体は親水基としてポリアルキレンオキシド鎖を有する、請求項3に記載の木質系繊維成形体の製造方法。
【請求項5】
前記第1の重合性単量体をメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとし、前記第2の重合性単量体をグリシジル(メタ)アクリレートとする請求項3または請求項4に記載の木質系繊維成形体の製造方法。
【請求項6】
前記成形前材料作成工程では、前記マット体に前記相溶性共重合体を水溶液の状態で付与する、請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の木質系繊維成形体の製造方法。
【請求項7】
前記木質系繊維がケナフ由来の繊維である、請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の木質系繊維成形体の製造方法。
【請求項8】
前記ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル繊維が、ポリ乳酸からなる繊維である、請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の木質系繊維成形体の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2007−98583(P2007−98583A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287448(P2005−287448)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】