説明

案内提供サーバ、方法、プログラムおよびシステム

【課題】車両の走行挙動に対応した走行支援機能を車載端末に実行させる技術の提供。
【解決手段】車両の走行挙動に関する複数の状況項目のそれぞれについての状況値を含む走行データを前記車両から取得し、前記走行データにおいて前記状況値が理想条件を満足しない前記状況項目を対象項目として特定し、前記対象項目についての前記状況値が前記理想条件を満足するための支援を行う走行支援機能を前記車両に備えられた車載端末に実行させるプログラムを対象プログラムとして特定し、前記対象プログラムを提示させる案内情報を前記車載端末に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載端末に実行させるプログラムを提示した案内を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、運転の技術を指導するため教育情報を車両に備えられた運転支援装置に送信するサーバが知られている(特許文献1、参照。)。特許文献1において、サーバは車両の走行状況に応じた教育情報を運転支援装置に送信し、運転支援装置は教育情報に基づくアドバイスを運転者に提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−171060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では車両の走行状況に応じたアドバイスを運転者に提示することはできるが、アドバイスの提示以外の走行支援機能を走行状況に応じて車載端末に実行させることはできないという問題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、車両の走行挙動に対応した走行支援機能を車載端末に実行させる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の案内提供サーバは、走行データを取得し、この走行データに基づいて車両の走行挙動に関する状況値が理想条件を満足しない対象項目を特定する。そして、対象項目についての状況値が理想条件を満足するための支援を行う走行支援機能を車載端末に実行させる対象プログラムを提示した案内を車載端末に行わせるための案内情報を車載端末に送信する。これにより、車載端末に対象プログラムを取得させるように促すことができ、対象項目についての状況値が理想条件を満足するための走行支援機能を車載端末にて実行させるように仕向けることができる。
【0006】
走行データ取得手段は、車両において作成された走行データを車両から受信することにより走行データを取得してもよいし、車両から送信されたデータに基づいて案内提供サーバ自体が走行データを作成することにより走行データを取得してもよい。状況項目は車両の走行に伴って状況値が変動する車両挙動に関するものであればよく、例えば運転者の運転操作を状況値の変動要因とする項目であってもよいし、車両の周囲環境を状況値の変動要因とする項目であってもよい。
【0007】
ここで、車載端末が対象プログラムの案内を行うタイミングは、車載端末による対象プログラムの取得よりも前でもよいし、対象プログラムの取得中でもよいし、対象プログラムの取得よりも後でもよい。車載端末による対象プログラムの取得よりも前に対象プログラムの案内を行わせる場合には、対象プログラムの案内とともに運転者に対象プログラムの取得可否を問い合わせてもよい。対象プログラムの案内では少なくとも対象プログラムを特定すればよく、対象プログラムの対価やデータ容量等を案内してもよい。
【0008】
車載端末が対象プログラムを取得する媒体は特に限定されず、車載端末と案内提供サーバとを通信可能とする無線通信や有線通信によって対象プログラムを取得してもよい。また、対象プログラムを記録した記録媒体を利用して車載端末が対象プログラムを取得してもよい。無線通信を利用する場合には、通信圏内であれば車両の現在位置に拘わらず車載端末が対象プログラムを取得することができる。一方、対象プログラムの案内に際し、有線通信が可能な場所や記録媒体が入手可能な場所を案内しておけば、有線通信や記録媒体を利用して対象プログラムを取得させることができる。
【0009】
理想条件とは車両の走行挙動が理想的な状態であると判断できる状況値の条件であり、例えば状況値が理想的な値から乖離していなければ理想条件を満足すると判断することができる。また、状況値が好ましくない値から乖離していることをもって理想条件を満足すると判断してもよい。ここで理想条件によって判断される理想的な状態は、種々の観点に基づいて定義することができる。例えば、燃費や乗り心地や運転のしやすさや安全性などが良好な状態を理想的な状態とすることができる。なお、状況値が理想条件を満足するための支援を行う走行支援機能として、例えば運転操作についてのアドバイスや経路探索の結果等を運転者に提示する機能や、車両の動作を直接関与する機能や、車両の状況を解析しその結果を提示する機能が挙げられる。
【0010】
また、対象プログラムの案内においては、単一の対象プログラムだけでなく複数の対象プログラムを案内させるようにしてもよい。例えば複数の対象プログラムが特定された場合に、特定した複数の対象プログラムのそれぞれを対象プログラムの案内において提示してもよい。この場合において、車両の燃費が向上する程度が大きい対象プログラムであるほど強調する程度を強めた対象プログラムの案内を行うのが望ましい。これにより、燃費が向上する程度が大きい対象プログラムが車載端末に取得されやすくすることができる。例えば、燃費が向上する程度が大きい順に対象プログラムを並べたリストを提示してもよい。また、燃費が向上する程度が最も大きい対象プログラムや、燃費が向上する程度の大きい対象プログラムのみを案内してもよい。
【0011】
ところで、状況値が理想条件を満足しない複数の状況項目が対象項目として特定される場合も考えられる。この場合において、複数の対象項目のなかから状況値が理想条件を満足しなかった頻度が閾値よりも高い対象項目に対応づけられたプログラムを対象プログラムとして特定するのが望ましい。これにより、特に改善を要する状況項目についての状況値が理想条件を満足するための支援を行う走行支援機能を車載端末に取得させることができる。なお、ここで用いる頻度は、絶対頻度であってもよいし、相対頻度であってもよい。さらに、複数の対象プログラムを案内する場合に、状況値が理想条件を満足しなかった頻度が高い対象項目に対応づけられた対象プログラムであるほど強調する程度を強めてもよい。
【0012】
状況項目は車両の走行挙動に関するものであればよく、車両の速度状態ごとに細分化されてもよい。例えば、状況項目を加速状態や減速状態や定速状態や停止状態等の速度状態ごとに細分化することにより、各速度状態における車両の走行挙動を理想的とするような走行支援機能を実行させる対象プログラムを車載装置に取得させることができる。さらに、状況項目は、車両の走行位置に基づく走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化されてもよい。例えば、状況項目を交差点付近や踏切付近や直線道路やカーブ等の走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化することにより、各走行シーンにおける車両の走行挙動を理想的とするような走行支援機能を実行させる対象プログラムを車載装置によって案内させることができる。すなわち、運転者が苦手とする走行シーンや速度状態における車両の走行挙動を改善する対象プログラムを車載装置に取得させるように仕向けることができる。
【0013】
本発明は、車載端末と案内提供サーバを含む案内提供システムについての発明であるとも捉えることができる。また、案内提供サーバを構成する手段の一部が車載端末に備えられてもよい。例えば、対象項目特定手段を車載端末に備えさせ、車載端末自体が取得した走行データに基づいて対象項目を特定してもよい。さらに、対象プログラム特定手段を車載端末に備えさせ、車載端末が対象プログラムを特定してもよい。状況項目とプログラムとの対応関係を定義したプログラムマップを車載端末が参照できるようにしておけば、車載端末が対象項目に対応する対象プログラムを特定することができる。車載端末が対象プログラムを特定する場合、引き続き車載端末において対象プログラムを提示した案内を行わせるための案内情報を作成するのが望ましい。
【0014】
さらに、本発明のように対象プログラムを提示した案内を行う手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような装置、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】案内提供システムのブロック図である。
【図2】案内提供処理を示すフローチャートである。
【図3】プログラム配信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)プログラム管理システムの構成:
(1−1)ナビゲーション装置の構成:
(1−2)プログラム管理サーバの構成:
(1−3)案内提供処理:
(1−4)プログラム配信処理:
(2)他の実施形態:
【0017】
(1−1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、車両に備えられた車載端末としてのナビゲーション装置100とプログラム管理センターに設置された案内提供サーバとしてのプログラム管理サーバ10とを含む案内提供システムの構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は複数の車両に搭載されており、当該ナビゲーション装置100はCPU,RAM,ROM等を備える制御部200と記録媒体300とを備えている。記録媒体300には、地図情報300aと走行データ300bと一時データ300cとが記録されている。ナビゲーション装置100は、記録媒体300やROMに記憶されたプログラムを制御部200で実行する。本実施形態において、制御部200は、少なくともナビゲーションプログラム210を実行し、付加プログラム250をインストールした場合には付加プログラム250も実行する。
【0018】
地図情報300aは記録媒体300に記録されており、当該地図情報300aには車両が走行する道路上に設定されたノードを示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ等が含まれている。ノードデータにおいて、各ノードに対応する位置に交差点や踏切が存在するかを特定する情報が対応づけられている。また、制御部200は、形状補間データに基づいて各道路が直線道路なのかカーブなのかを判定することができる。GPS受信部410は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための情報を出力する。車速センサ420は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。ジャイロセンサ430は、車両に作用する角速度に対応した信号を出力する。制御部200は図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車両の走行方向を取得する。制御部200は、GPS受信部410の出力信号から特定される車両の現在位置を、車速センサ420とジャイロセンサ430等からの信号に基づいて補正する。また、車両の現在位置は、当該車両の走行軌跡に基づいて適宜補正される。
【0019】
ユーザI/F部440は、運転者が指示を入力し、または運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しない表示部や操作スイッチ、スピーカ等を備えている。本実施形態では、ユーザI/F部440ユーザI/F部440が表示部と操作スイッチの機能を兼ね備えたタッチパネルを備えている。通信部450は、無線通信によってプログラム管理サーバ10と通信する。ECU(Electronic Control Unit)460は、車両の各種動作の制御処理を実行する。図示の便宜上、ECU460を単一の要素により示しているが、各種動作の制御処理を分担する複数のECUが備えられてもよいし、単一のECUが統合的に各種動作の制御処理を実行してもよい。
【0020】
ナビゲーションプログラム210は、ナビゲーション部210aと走行データ作成部210bと案内部210cとインストール部210dとを含む。
制御部200はナビゲーション部210aの機能により、ユーザI/F部440を介して目的地の入力を受け付けて経路探索を行う。また、制御部200はナビゲーション部210aの機能により、車両の現在位置および走行予定経路をタッチパネルに表示させながら、当該車両を目的地に誘導するための案内を行う。制御部200はナビゲーション部210aの機能により、図示しないインタフェースを介して、車速センサ420から車輪の回転速度に対応する信号を取得する。この信号に基づいて、制御部200は車両の速度を取得する。さらに、制御部200はナビゲーション部210aの機能により、車両の速度の微分値に基づいて車両の加速度と減速度とを取得する。なお、加速度は車両が加速している状態において車両に作用する進行方向と同じ向きの加速度を意味し、減速度は車両が減速している状態において車両に作用する進行方向と逆向きの加速度を意味する。速度と加速度と減速度とは車両の走行期間における各時刻について取得される。
【0021】
制御部200は走行データ作成部210bの機能により、走行データ300bを作成する。この走行データ300bにおいては、走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化された状況項目ごとに状況値が格納される。状況項目は車両の走行挙動に関する項目であり、本実施形態では、上述した走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化された車両の走行挙動("平均速度","平均加速度","平均減速度","継続時間")が状況項目とされる。平均速度と平均加速度と平均減速度とは、各時刻において取得された車両の速度と加速度と減速度を平均したものであり、継続時間は同一の車両の速度状態が継続する時間である。
【0022】
本実施形態では、制御部200は走行データ作成部210bの機能により、現在の車両の走行シーンが、"交差点付近"と"踏切付近"と"直線道路"と"カーブ"とのいずれであるかを判定する。すなわち、制御部200は走行データ作成部210bの機能により、車両の現在位置が交差点の付近、踏切の付近、直線道路上、カーブ上のいずれに存在しているかを地図情報300aを参照して判定することにより、車両の走行シーンがいずれであるかを判定する。走行シーンは車両が現在位置している場所の性質を示すものであればよく、例えば勾配等の高さ方向の道路形状や、車線数や、道路種別(高速道路または一般道路等)や、施設種別(駐車場等)を走行シーンとしてもよい。
【0023】
制御部200は走行データ作成部210bの機能により、車両の速度と加速度と減速度とに基づいて、車両の現在の速度状態を判定する。本実施形態では、速度状態として、"加速状態"と"減速状態"と"定速状態"と"停止状態"が設けられる。車両の加速度が所定の閾値(正値)よりも大きければ加速状態と判定し、車両の加速度が所定の閾値(負値)よりも小さければ減速状態と判定する。加速状態にも減速状態にも該当せず車両の速度の絶対値が所定の閾値(≒0)よりも小さければ停止状態と判定し、加速状態にも減速状態にも該当せず車両の速度の絶対値が前記閾値以上である場合には定速状態と判定する。
制御部200は走行データ作成部210bの機能により、以上のように判定された走行シーンと速度状態との組み合わせごとの状況値を走行データ300bに格納し、当該走行データ300bをプログラム管理サーバ10へ送信する。
【0024】
制御部200は案内部210cの機能により、プログラム管理サーバ10から案内情報を受信し、当該案内情報に基づいて推奨プログラムリストをタッチパネルに表示させる。この推奨プログラムリストの表示においては、対象プログラムの名称が一覧化して表示される。制御部200はインストール部210dの機能により、対象プログラムの選択を受け付け、選択された対象プログラムの配信要求をプログラム管理サーバ10に送信し、当該配信要求に応じて配信された当該対象プログラムのインストールデータ30bをプログラム管理サーバ10から受信する。さらに、制御部200はインストール部210dの機能により、受信した対象プログラムのインストールデータ30bを展開して、ナビゲーション装置100にインストールする。制御部200が付加プログラム250を実行することにより、ナビゲーション装置100が車両の燃費を向上させるための走行支援機能を実行する。
【0025】
(1−2)プログラム管理サーバの構成:
次に、プログラム管理サーバ10の構成を説明する。プログラム管理サーバ10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており、制御部20は当該記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。記録媒体30には、付加プログラム250をナビゲーション装置100にインストールするためのインストールデータ30bと、状況項目と付加プログラム250との対応関係を規定したプログラムマップ30aとが記録されている。本実施形態において制御部20は、案内提供プログラム21を実行することによって、走行データ300bに応じた推奨プログラムリストを運転者に提示させるための案内情報を送信する。
【0026】
案内提供プログラム21は、走行データ取得部21aと対象項目特定部21bと対象プログラム特定部21cと案内情報送信部21dとプログラム送信部21eとを含む。制御部20は走行データ取得部21aの機能により、車両から受信した走行データ300bを取得する。
【0027】
制御部20は対象項目特定部21bの機能により、走行データ300bにおいて状況値が理想条件を満足しない状況項目を対象項目として特定する。上述したように、状況項目は走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化されているため、走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化された各状況項目について状況値が理想条件を満足するか否かが判定される。理想条件も、走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化された各状況項目について規定され、予め対象項目特定部21bに組み込まれている。理想条件は、理想的な状況値の条件を定義するものであり、種々の方法で定義することができる。例えば、ある理想値に対して状況値が所定量よりも乖離していないことをもって状況値が理想条件を満足すると判断してもよいし、好ましくない値に対して状況値が所定量よりも乖離していることをもって状況値が理想条件を満足すると判断してもよい。
【0028】
本実施形態では、状況値が理想条件を満足するようになることにより、車両の燃費が向上するような理想条件が定義されている。例えば、交差点や踏切から加速する際の加速度が小さくなれば車両の燃費が向上するため、交差点付近や踏切付近における加速状態での加速度が所定の上限値よりも小さいことを理想条件とする。例えば、交差点や踏切から徐々に加速することにより車両の燃費が向上するため、交差点付近や踏切付近における加速期間が所定の下限値よりも大きいことを理想条件とする。
【0029】
制御部20は対象プログラム特定部21cの機能により、プログラムマップ30aにおいて、対象項目に対応付けられた付加プログラム250を対象プログラムとして特定する。プログラムマップ30aにおいては、走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化された状況項目ごとに、当該状況項目についての状況値が理想条件を満足するための走行支援機能をナビゲーション装置100に実行させるための付加プログラム250が対応づけられている。プログラムマップ30aにおいては、各付加プログラム250がナビゲーション装置100にて実行された場合に車両の燃費が向上する程度の大きさに応じた燃費効果ランクが各付加プログラム250に対応づけて規定されている。燃費効果ランクは、付加プログラム250をナビゲーション装置100にて実行させない場合の車両の燃費と、付加プログラム250をナビゲーション装置100にて実行させた場合の燃費との差が大きければ大きいほど高くなるように規定されている。なお、運転者にアドバイスや経路探索の結果を提示する走行支援機能は、運転者がアドバイスや経路探索の結果の提示にしたがって車両を動作させない可能性もあるため、車両の動作に対して間接関与する走行支援機能であると言える。このように車両の動作に対して間接関与する走行支援機能を実行させる付加プログラム250よりも、シフトダウンや制動等の車両の動作に直接関与する走行支援機能を実行させる付加プログラム250の方が燃費を向上させる程度が大きく、高い燃費効果ランクが付されている。
【0030】
制御部200は案内情報送信部21dの機能により、対象プログラムを提示した案内をナビゲーション装置100に行わせるための案内情報をナビゲーション装置100に送信する。すなわち、制御部20は案内情報送信部21dの機能により、対象プログラムとして特定された付加プログラム250を一覧化した推奨プログラムリストを作成し、この推奨プログラムリストにおいて対象プログラムを燃費効果ランクに応じてソートする。制御部20は案内情報送信部21dの機能により、燃費効果ランクに応じて対象プログラムをソートした推奨プログラムリストを案内情報としてナビゲーション装置100に送信する。
【0031】
プログラム送信部21eは、プログラム管理サーバ10から送信された対象プログラムの配信要求を受け付け、配信要求にて指定された対象プログラムをインストールするためのインストールデータ30bをプログラム管理サーバ10に配信する。
【0032】
以上の構成において、ナビゲーション装置100のユーザI/F部440において対象プログラムを提示することにより、状況値が理想条件を満足するための走行支援機能をナビゲーション装置100に実行させる対象プログラムを、ナビゲーション装置100に取得させるように仕向けることができる。また、走行シーンと速度状態との組み合わせごとに状況項目が細分化されるため、運転者が苦手とする走行シーンや速度状態における車両の走行挙動を改善する対象プログラムをナビゲーション装置100に取得させるように仕向けることができる。さらに、車両の燃費を向上させる程度の大きい順に対象プログラムを強調した案内がされるため、車両の燃費を向上させる程度の大きい対象プログラムをナビゲーション装置100に取得させるように仕向けることができる。
【0033】
(1−3)案内提供処理:
次に、案内提供プログラム21およびナビゲーションプログラム210による案内提供処理を実施例に沿って説明する。図2は案内提供処理を示すフローチャートである。制御部200は走行データ作成部210bの機能により、車両の現在位置と進行方向を取得し、進行方向の前方にあるシーン領域、および、当該シーン領域に対応する走行シーンを取得する(ステップSN01)。ここでは、地図情報300aが参照される。シーン領域とは走行シーンに対応する道路上の領域であり、例えば走行シーンとしての"交差点付近"に対応するシーン領域は地図情報300aにおいて交差点を示すノードの位置を中心とした所定範囲(例えば半径300m以内の円形範囲等。)の領域とされる。本実施形態では、走行シーンとしての"交差点付近"と"踏切付近"と"直線道路"と"カーブ"に対応するシーン領域が地図情報300aを参照することにより特定可能となっている。
【0034】
次に、制御部200は走行データ作成部210bの機能により、車両の現在位置を取得し、車両がいずれかの走行シーンに対応するシーン領域に進入したか否かを判定する(ステップSN02)。ここでは、車両の前方にあるシーン領域の外側から内側へと車両の現在位置が転じたことをもって、シーン領域に進入したと判定する。
【0035】
車両がある走行シーンのシーン領域に進入したと判定されると、制御部200は走行データ作成部210bの機能により、現在における車両の走行挙動を取得する(ステップSN03)。ここでは、まず車両の速度と加速度と減速度を取得し、速度と加速度と減速度とに基づいて車両の現在の速度状態を判定する。
【0036】
車両の現在の速度状態が判定できると、制御部200は走行データ作成部210bの機能により、現在の車両の速度と加速度と減速度を一時データ300cに格納する(ステップSN04)。ここでは、現在の時刻と、車両が現在進入しているシーン領域に対応する走行シーンと、現在の車両の速度状態とを、現在の車両の速度と加速度と減速度に対応づけて一時データ300cに格納する。
【0037】
次に、制御部200は走行データ作成部210bの機能により、車両の現在位置を取得し、進入していたシーン領域から車両が脱出したか否かを判定する(ステップSN05)。すなわち、制御部200は、シーン領域の内側から外側へと車両の現在位置が転じたことをもって、シーン領域から脱出したと判定する。車両が継続してシーン領域の内側に位置している場合には、制御部200は走行データ作成部210bの機能により、再度、現在における車両の走行挙動を取得する(ステップSN03)。以上の処理を、繰り返して実行することにより、車両がシーン領域内に位置する期間における各時刻の車両の速度と加速度と減速度を一時データ300cに蓄積していくことができる。一時データ300cでは、各時刻における車両の速度と加速度と減速度に走行シーンと速度状態とが対応づけられて蓄積されることとなる。
【0038】
ステップSN05において車両の現在位置がシーン領域の外側となったと判定された場合には、制御部200は走行データ作成部210bの機能により、直前に車両が存在していたシーン領域について蓄積した一時データ300cに基づいて走行データ300bを更新する(ステップSN06)。ここでは、まず一時データ300cにおいて車両の速度と加速度と減速度が記憶された各時刻についての速度状態を取得し、同一の速度状態が対応づけられた時刻が連続する期間(以下、サンプル期間と表記する。)を検出する。すなわち、速度状態の切り替わりが生じない期間をそれぞれサンプル期間として検出する。
【0039】
なお、単一の走行シーンに対応する期間内において、車両の速度状態は刻々と変動する。例えば、走行シーンとしての交差点付近に対応するシーン領域に車両が進入してから脱出するまでの期間においては、減速状態と判定される時刻が連続するサンプル期間が最初に到来し、その後、加速状態と判定される時刻が連続するサンプル期間が到来する。交差点において赤信号等により車両が停止した場合には、減速状態と加速状態と判定される時刻が連続するサンプル期間の間に停止状態と判定される時刻が連続するサンプル期間が到来することとなる。走行シーンとしての踏切付近やカーブにおいても交差点付近と同様に減速状態と判定される時刻が連続するサンプル期間の後に、加速状態と判定される時刻が連続するサンプル期間が到来する。
【0040】
サンプル期間が検出できると、制御部200は走行データ作成部210bの機能により、検出したサンプル期間のそれぞれについて、検出したサンプル期間に属する各時刻における車両の速度と加速度と減速度を平均することにより、平均速度と平均加速度と平均減速度をそれぞれ算出する。また、各サンプル期間の長さ、すなわち各サンプル期間に属する最後の時刻から最初の時刻を引いて得られる時間を継続時間として算出する。継続時間は、車両が継続して加速した加速期間や、車両が継続して減速した減速期間や、車両が継続して停止した停止期間を意味する。
【0041】
制御部200は走行データ作成部210bの機能により、以上のようにして得られた各サンプル期間についての平均速度と平均加速度と平均減速度と継続時間を走行データ300bに追記し、一時データ300cを消去する。このとき、車両が直前まで進入していたシーン領域に対応する走行シーンと各サンプル期間に対応する速度状態との組み合わせを、平均速度と平均加速度と平均減速度と継続時間に対応づけておく。すなわち、走行データ300bにおいては、各サンプル期間についての平均速度と平均加速度と平均減速度と継続時間を特定する状況値が、各サンプル期間に対応する走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化されて記憶される。ここで、平均速度と平均加速度と平均減速度と継続時間は車両の走行挙動に関する状況項目である。なお、速度等の標準偏差や最大の速度や最小の速度を状況項目とし、標準偏差の値や速度の最大値や速度の最小値を状況値とする構成を採用してもよい。
【0042】
【表1】

【0043】
表1は、走行データ300bの一例を示している。走行データ300bにおいては、各サンプル期間について各状況項目の状況値が格納され、各状況値には走行シーンと速度状態との組み合わせが対応づけられている。表1に示された複数の平均速度に注目すると、各平均速度がそれぞれ走行シーンと速度状態との組み合わせによって細分化されているということができる。ステップSN06における走行データ300bの更新は、車両があるシーン領域に進入して脱出するごとに実行されるため、走行データ300bにおいては単一の走行シーンごとに状況値が追記されていくこととなる。
以上のようにして走行データ300bの更新が行われると、制御部200は走行データ作成部210bの機能により、通信部450を介して走行データ300bをプログラム管理サーバ10へ送信する(ステップSN07)。
【0044】
すると、走行データ取得部21aの機能によりプログラム管理サーバ10の制御部20は、車両から受信した走行データ300bを取得する(ステップSC01)。プログラム管理サーバ10においては、車両があるシーン領域に進入して脱出するごとに走行データ300bが受信されることとなる。
【0045】
次に、制御部20は対象項目特定部21bの機能により、走行データ300bにおいて状況値が理想条件を満足しない状況項目を対象項目として特定する(ステップSC02)。ここでは、まず走行データ300bに格納された各サンプル期間についての各状況項目の状況値が理想条件を満足するか否かを判定する。理想条件は、走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化された状況項目のそれぞれについて設定されている。すなわち、同一の車両の走行挙動についての状況項目であっても、走行シーンと速度状態との組み合わせが互いに異なれば理想条件も互いに異なる。走行シーンと速度状態との組み合わせごとに理想とする車両の走行挙動の具体的態様が異なるからである。例えば、直線道路と定速状態との組み合わせにおいて平均加速度の状況値が理想条件を満足する範囲の上限値よりも、交差点付近と加速状態との組み合わせにおいて平均加速度の状況値が理想条件を満足する範囲の上限値の方が大きい値となる。
【0046】
ステップSC02において制御部20は対象項目特定部21bの機能により、状況値が理想条件を満足しなかったサンプル期間の相対頻度を、走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化された状況項目ごとに算出する。ここでは、走行シーンと速度状態との組み合わせのいずれかに注目し、走行データ300bにおいて当該組み合わせが対応づけられたサンプル期間の個数(以下、母数と表記する。)を取得する。さらに、走行データ300bにおいて当該組み合わせが対応づけられたサンプル期間のうち、状況値が理想条件を満足しなかったサンプル期間の個数(以下、絶対頻度と表記する。)を平均速度と平均加速度と平均減速度と継続時間のそれぞれについて取得する。そして、平均速度と平均加速度と平均減速度と継続時間のそれぞれについての絶対頻度を母数によって除算することにより、平均速度と平均加速度と平均減速度と継続時間のそれぞれについて相対頻度を算出する。以上の処理を、走行シーンと速度状態とのすべての組み合わせに順次注目して行うことにより、走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化された状況項目ごとに、状況値が理想条件を満足しなかった相対頻度を算出することができる。
【0047】
さらに、ステップSC02において制御部20は対象項目特定部21bの機能により、状況値が理想条件を満足しなかった相対頻度が所定の閾値(例えば60%等。)よりも大きい状況項目を対象項目として特定する。このようにすることにより、運転者が苦手としており、それにより車両の燃費を悪くさせている走行シーンと速度状態との組み合わせを特定し、さらに当該組み合わせにおいて改善すべき車両の走行挙動を特定することができる。相対頻度に基づいて対象項目を特定することにより、運転者が好ましくない運転操作を行う確率が高い走行シーンや速度状態を特定することができる。また、相対頻度でなく、絶対頻度に基づいて対象項目を特定してもよい。これにより、運転者が好ましくない運転操作を行う可能性があり、かつ、車両がよく遭遇する走行シーンや速度状態を特定することができる。
【0048】
対象項目が特定できると、制御部20は対象プログラム特定部21cの機能により、プログラムマップ30aにおいて対象項目に対応付けられた付加プログラム250を対象プログラムとして特定する(ステップSC03)。
【0049】
【表2】

【0050】
表2は、プログラムマップ30aの一例を示している。プログラムマップ30aにおいては走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化された状況項目と、付加プログラム250(A〜E)との対応関係が規定されている。付加プログラム250をナビゲーション装置100にて実行させることにより、当該付加プログラム250に対応する状況項目の状況値が理想条件を満足するように支援する走行支援機能が車両において実行され、その結果として車両の燃費を向上させることができる。なお、単一の状況項目に複数の付加プログラム250が対応づけられてもよいし、単一の付加プログラム250が複数の状況項目に対応づけられてもよい。
【0051】
以下、プログラムマップ30aに規定される付加プログラム250を例示する。例えば状況項目としての交差点付近での加速状態の平均加速度に対して、ユーザI/F部440によって過剰なアクセル操作を警告するアドバイスを提示する走行支援機能を実行する付加プログラム250(A)が対応づけられている。ナビゲーション装置100が付加プログラム250(A)を実行する場合には、交差点付近での加速状態の平均加速度を特定する状況値が理想条件を満足するように抑制され、結果として車両の燃費が向上する。状況項目としての交差点付近での加速状態の継続時間(加速期間)に対しても、同様に付加プログラム250(A)が対応づけられている。過剰なアクセル操作を警告するアドバイスを提示することにより、交差点付近での加速状態において短すぎる加速期間を、理想条件を満足するように長くさせることができるからである。
【0052】
例えば、状況項目として直線道路での定速状態の平均加速度や平均減速度に対して、ユーザI/F部440によって無駄なアクセル操作とブレーキ操作を警告するアドバイスを提示する走行支援機能を実行する付加プログラム250(B)が対応づけられている。ナビゲーション装置100が付加プログラム250(B)を実行する場合には、直線道路での定速状態における平均加速度や平均減速度を特定する状況値が理想条件を満足するように抑制され、結果として車両の燃費が向上する。さらに、前記アドバイスに必要な車両の情報を解析する走行支援機能(例えば定速状態における各アクセル操作が無駄なものか否かを解析する機能)を実行させる付加プログラム250がプログラムマップ30aに規定されてもよい。
【0053】
さらに、例えば状況項目としてカーブでの減速状態の平均減速度に対して、自動変速機を制御するECU460に対して早めのシフトダウンを指令する走行支援機能を実行する付加プログラム250(C)が対応づけられている。ナビゲーション装置100が付加プログラム250(C)を実行する場合には、カーブでの減速状態の平均減速度を特定する状況値が理想条件を満足するように抑制され、結果として車両の燃費が向上する。例えば状況項目として踏切付近での停止状態における継続時間(停止期間)に対して、時刻表に基づいて列車の通行本数の少ない踏切を優先して選択して探索された経路をナビゲーション部210aに提示させる走行支援機能を実行する付加プログラム250(D)が対応づけられている。ナビゲーション装置100が付加プログラム250(D)を実行する場合には、踏切付近での停止状態における停止期間を特定する状況値が理想条件を満足するように抑制され、結果として車両の燃費が向上する。さらに、例えば状況項目として直線道路での定速状態の平均速度に対して、通信部450を介して取得した渋滞情報を重視して探索された経路をナビゲーション部210aに提示させる走行支援機能を実行する付加プログラム250(E)が対応づけられている。ナビゲーション装置100が付加プログラム250(E)を実行する場合には、直線道路での定速状態の平均速度を特定する状況値が理想条件を満足するように大きくなり、結果として車両の燃費が向上する。
【0054】
制御部20は対象プログラム特定部21cの機能により、以上説明したプログラムマップ30aを参照して、対象項目に対応する付加プログラム250を対象プログラムとして特定することができる。次に、制御部200は案内情報送信部21dの機能により、対象プログラムを一覧化した推奨プログラムリストを案内情報として作成する(ステップSC04)。このとき、制御部200は案内情報送信部21dの機能により、対象プログラムを燃費効果ランクの高い順に応じてソートする。
【0055】
上述したように、付加プログラム250には種々のタイプの走行支援機能をナビゲーション装置100に実行させるものがあり、各付加プログラム250をナビゲーション装置100にて実行することにより車両の燃費が向上する程度も各付加プログラム250に応じて異なる。本実施形態のプログラムマップ30aにおいては、車両の燃費が向上する程度に応じた燃費効果ランク(a〜e)が各付加プログラム250について規定されている。従って、制御部200は案内情報送信部21dの機能により、プログラムマップ30aを参照しつつ、対象プログラムを燃費効果ランクの高い順に応じてソートすることができる。
次に、制御部200は案内情報送信部21dの機能により、ソート済みの推奨プログラムリストを案内情報としてナビゲーション装置100に送信する(ステップSC05)。このとき、推奨プログラムリストにおいて一覧化された対象プログラムの対価や概要を案内情報に添付する。
すると、ナビゲーション装置100の制御部200は案内部210cの機能により、案内情報としての推奨プログラムリストを受信する(ステップSN08)。以上により、案内提供処理が終了する。
【0056】
(1−4)プログラム配信処理:
次に、案内提供プログラム21およびナビゲーションプログラム210によるプログラム配信処理を実施例に沿って説明する。図3はプログラム配信処理を示すフローチャートである。制御部200は案内部210cの機能により、車両が停車をしているか否かを判定し(ステップSN09)、停車をしている場合には推奨プログラムリストをタッチパネルに表示させる(ステップSN10)。この推奨プログラムリストの表示においては、対象プログラムの名称が、燃費効果ランクが高いほどタッチパネルにおける高い位置に表示される。また、購入する対象プログラムを選択するよう促すメッセージや、対象プログラムの対価や概要も併せて表示する。これにより、運転者は停車時に、燃費を向上させるために必要な付加プログラム250のリストを確認することができる。推奨プログラムリストの表示においては、燃費効果ランクが高い付加プログラム250であるほど強調した表示がなされればよく、名称を表示するフォントを変更することにより燃費効果ランクが高い付加プログラム250が強調されてもよい。また、ソート済みの推奨プログラムリストを案内情報としてナビゲーション装置100が受信するようにしたが、ナビゲーション装置100の制御部200が各対象プログラムに燃費効果ランクを対応づけられた案内情報を受信し、ソートを行ってもよい。
【0057】
制御部200はインストール部210dの機能により、タッチパネルを介して取得する対象プログラムの選択操作を受け付ける(ステップSN11)。いずれの対象プログラムの選択操作も受け付けられない場合には、制御部200はステップSN09に戻る。一方、いずれかの対象プログラムの選択操作が受け付けられた場合には、制御部200はインストール部210dの機能により、選択操作が受け付けられた対象プログラムの配信要求をプログラム管理サーバ10に送信する(ステップSN12)。この配信要求には、選択された対象プログラムを特定する情報が含まれる。
【0058】
すると、走行データ取得部21aの機能によりプログラム管理サーバ10の制御部20は、車両から配信要求を受信する(ステップSC06)。そして、走行データ取得部21aの制御部20は、配信要求にて特定された対象プログラムに対応するインストールデータ30bを記録媒体30から取得し、当該インストールデータ30bを車両に送信する(ステップSC07)。
【0059】
すると、車両に備えられたナビゲーション装置100の制御部200はインストール部210dの機能により、受信した対象プログラムのインストールデータ30bをナビゲーション装置100にインストールする(ステップSN13)。これにより、制御部200が付加プログラム250を実行することが可能となり、車両の燃費を向上させるための走行支援機能を実行することができる。例えば、カーブでの減速状態の平均減速度が対象項目として特定され、付加プログラム250(C)が対象プログラムとして案内され、かつ、当該付加プログラム250(C)がナビゲーション装置100の制御部200にインストールされた場合には、自動変速機を制御するECU460に対して早めのシフトダウンを指令する走行支援機能がナビゲーション装置100において実行され、結果として車両の燃費を向上させることができる。車両の燃費を悪化させる要因は様々であるが、本実施形態によれば当該要因に対応した付加プログラム250を案内することができる。
【0060】
(3)他の実施形態:
前記実施形態においては、対象プログラムの案内を行うタイミングをナビゲーション装置100へのインストールデータ30bの送信よりも前とし、当該案内において受信する対象プログラムの選択するようにしたが、インストールデータ30bの送信中または送信後において対象プログラムの案内を行ってもよい。すなわち、ナビゲーション装置100が受信している、もしくは、受信したインストールデータ30bについての案内を行うようにしてもよい。この場合、運転者に受信する対象プログラムの選択する機会が与えられないため、予めプログラム管理サーバ10が送信するインストールデータ30bに対応する対象プログラムを決定しておく必要がある。ここでは、上述した相対頻度や絶対頻度や燃費効果ランクが高いものを対象プログラムとして決定するのが望ましい。
【0061】
前記実施形態においては、ナビゲーション装置100が無線通信を介してインストールデータ30bを取得するものを例示したが、ナビゲーション装置100が他の媒体を介してインストールデータ30bを取得してもよい。例えば、インストールデータ30bを記録した記録媒体や、有線通信を介してナビゲーション装置100がインストールデータ30bを取得してもよい。この場合、インストールデータ30bが取得できる場所が限られるため、対象プログラムの案内と併せて有線通信が可能な場所や記録媒体が入手可能な場所を案内するのが望ましい。
【0062】
前記実施形態においては、ナビゲーション装置100において、各時刻における車両の速度や加速度や減速度を走行シーンと速度状態との組み合わせごとに細分化し、さらに各組み合わせについて平均速度と平均加速度と平均減速度と継続時間を特定する値を算出する処理(ステップSN06)を行うこととしたが、当該処理をプログラム管理サーバ10において行ってもよい。すなわち、ナビゲーション装置100が一時データ300cをプログラム管理サーバ10に送信し、プログラム管理サーバ10が一時データ300cを自ら解析することにより走行データ300bを取得してもよい。
【0063】
また、前記実施形態のプログラム管理サーバ10にて実行された機能の一部がナビゲーション装置100において実行されてもよい。例えば、対象項目特定部21bに相当するプログラムモジュールをナビゲーション装置100において実行させ、ナビゲーション装置100が自ら取得した走行データ300bに基づいて対象項目を特定してもよい。さらに、対象プログラム特定部21cに相当するプログラムモジュールをナビゲーション装置100において実行させ、ナビゲーション装置100が対象プログラムを特定してもよい。状況項目と付加プログラム250との対応関係を定義したプログラムマップ30aをナビゲーション装置100が参照できるようにしておけば、ナビゲーション装置100が対象項目に対応する対象プログラムを特定することができる。例えば、定期的、または、要求に応じてプログラム管理サーバ10がプログラムマップ30aをナビゲーション装置100に送信し、ナビゲーション装置100がプログラムマップ30aを保持するようにすればよい。ナビゲーション装置100が対象プログラムを特定する場合、引き続きナビゲーション装置100において対象プログラムを提示した案内を行わせるための案内情報を作成すればよい。
【0064】
対象プログラムの案内においては、少なくとも対象プログラムを提示すればよく、他の情報を併せて提示してもよい。すなわち、上述した対象プログラムの対価や概要のほかに、対象プログラムに対応するインストールデータ30bのデータ容量(受信に要する時間)等を提示してもよい。さらには、特定した対象項目に関する運転操作が苦手であり、改善すべき旨を示すアドバイスを併せて提示してもよい。対象項目によれば、苦手な走行シーンや速度状態が特定できるため、改善すべき走行シーンや速度状態を特定した効果的なアドバイスを提示することができる。さらに、対象プログラムの案内において、配信要求に応じてプログラム管理サーバ10がインストールデータ30bを送信した頻度の高い付加プログラム250を提示してもよい。
【0065】
また、前実施形態においては車両の燃費を向上させるような運転支援機能が付加プログラム250によって実行されるものを例示したが、他の目的をもった運転支援機能が付加プログラム250によって実行されてもよい。例えば、乗り心地や運転のしやすさや安全性などを良好とする運転支援機能が付加プログラム250によって実行されてもよい。この場合、理想条件は、乗り心地や運転のしやすさや安全性などが良好となる状況値の条件に対応することとなる。なお、プログラムマップ30aにおいて、走行シーンと速度状態との複数の組み合わせに対して同一の付加プログラム250が対応づけられる場合もある。この場合、同一の付加プログラム250が対応づけられた走行シーンと速度状態との複数の組み合わせごとに、異なる燃費効果ランクが対応づけられてもよい。例えば、表2のプログラムマップ30aにおいて、走行シーンと速度状態との2つの組み合わせに対して同一の付加プログラム250(A)が対応づけられているが、これらの組み合わせに対応づけられた燃費効果ランク(a)が互いに異なる値であってもよい。同じ付加プログラム250をナビゲーション装置100にて実行させた場合でも、走行挙動が改善される走行シーンと速度状態との組み合わせに応じて燃費が向上する程度が異なるからである。
【符号の説明】
【0066】
10…プログラム管理サーバ、20…制御部、21…案内提供プログラム、21a…走行データ取得部、21b…対象項目特定部、21c…対象プログラム特定部、21d…案内情報送信部、21e…プログラム送信部、30…記録媒体、30b…インストールデータ、30a…プログラムマップ、100…ナビゲーション装置、200…制御部、210…ナビゲーションプログラム、210a…ナビゲーション部、210b…走行データ作成部、210c…案内部、210d…インストール部、250…付加プログラム、300…記録媒体、300a…地図情報、300b…走行データ、300c…一時データ、410…受信部、420…車速センサ、430…ジャイロセンサ、440…ユーザI/F部、450…通信部、460…ECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行挙動に関する複数の状況項目のそれぞれについての状況値を含む走行データを取得する走行データ取得手段と、
前記走行データにおいて前記状況値が理想条件を満足しない前記状況項目を対象項目として特定する対象項目特定手段と、
前記対象項目についての前記状況値が前記理想条件を満足するための支援を行う走行支援機能を前記車両に備えられた車載端末に実行させるプログラムを対象プログラムとして特定する対象プログラム特定手段と、
前記対象プログラムを提示させる案内情報を前記車載端末に送信する案内情報送信手段と、
を備える案内提供サーバ。
【請求項2】
前記案内情報送信手段は、複数の前記対象プログラムが特定された場合に、前記走行支援機能を前記車載端末に実行させることにより前記車両の燃費が向上する程度が大きい前記対象プログラムであるほど強調して提示させる前記案内情報を前記車載端末に送信する、
請求項1に記載の案内提供サーバ。
【請求項3】
前記対象項目特定手段は、前記状況値が理想条件を満足しない頻度が所定の閾値よりも大きい前記状況項目を前記対象項目として特定する、
請求項1または請求項2に記載の案内提供サーバ。
【請求項4】
前記対象項目特定手段は、前記車両の複数の速度状態ごとに細分化された前記状況項目のなかから前記状況値が理想条件を満足しないものを前記対象項目として特定し、
前記対象プログラム特定手段は、前記速度状態ごとに細分化された前記状況項目のなかから特定した前記対象項目についての前記対象プログラムを特定する、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の案内提供サーバ。
【請求項5】
前記対象項目特定手段は、前記車両の走行位置に基づく走行シーンと前記速度状態との組み合わせごとに細分化された前記状況項目のなかから前記状況値が理想条件を満足しないものを前記対象項目として特定し、
前記対象プログラム特定手段は、前記走行シーンと前記速度状態との組み合わせごとに細分化された前記状況項目のなかから特定した前記対象項目についての前記対象プログラムを特定する、
請求項4に記載の案内提供サーバ。
【請求項6】
車両の走行挙動に関する複数の状況項目のそれぞれについての状況値を含む走行データを取得する走行データ取得工程と、
前記走行データにおいて前記状況値が理想条件を満足しない前記状況項目を対象項目として特定する対象項目特定工程と、
前記対象項目についての前記状況値が前記理想条件を満足するための支援を行う走行支援機能を前記車両に備えられた車載端末に実行させるプログラムを対象プログラムとして特定する対象プログラム特定工程と、
前記対象プログラムを提示させる案内情報を前記車載端末に送信する案内情報送信工程と、
を含む案内提供方法。
【請求項7】
車両の走行挙動に関する複数の状況項目のそれぞれについての状況値を含む走行データを前記車両から取得する走行データ取得機能と、
前記走行データにおいて前記状況値が理想条件を満足しない前記状況項目を対象項目として特定する対象項目特定機能と、
前記対象項目についての前記状況値が前記理想条件を満足するための支援を行う走行支援機能を前記車両に備えられた車載端末に実行させるプログラムを対象プログラムとして特定する対象プログラム特定機能と、
前記対象プログラムを提示させる案内情報を前記車載端末に送信する案内情報送信機能と、
を案内提供サーバに実行させる案内提供プログラム。
【請求項8】
車両に備えられた車載端末と、前記車載端末と通信可能な案内提供サーバを有する案内提供システムであって、
前記車載端末は、
前記車両の走行挙動に関する複数の状況項目のそれぞれについての状況値を含む走行データを取得する走行データ取得手段と、
前記走行データにおいて前記状況値が理想条件を満足しない前記状況項目を対象項目として特定する対象項目特定手段と、を備え、
前記案内提供サーバは、
前記対象項目についての前記状況値が前記理想条件を満足するための支援を行う走行支援機能を前記車載端末に実行させるプログラムを対象プログラムとして特定する対象プログラム特定手段と、
前記対象プログラムを提示させる案内情報を前記車載端末に送信する案内情報送信手段と、を備える、
案内提供システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−164747(P2011−164747A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24081(P2010−24081)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】