説明

案内軌条式鉄道用モニタリング方法及び装置

【課題】 台車や案内輪の劣化を推定できるようにする。
【解決手段】 案内アーム4に設けたロードセル13より入力される案内輪5の荷重信号について、時刻歴応答波形を求め、現時点より過去一定時間までの最大値又はRMS値を求めて、それを或るサンプリング回数分記憶する。記憶してある最大値又はRMS値の平均値を求めて、案内軌条式鉄道の車両納入当初のときに同様にして得た平均値との変化量を求め、その変化量が或るしきい値よりも大となると、表示装置にエラーを表示させて、このエラー表示により案内輪5や案内軌条7の長期的な劣化を推定できるようにする。更に、記憶してある最大値又はRMS値の平均値に対し、次にサンプリングされた最大値又はRMS値の変化量が、別に設定して或るしきい値よりも大となるときにもエラーを表示させ、このエラー表示により案内輪5の急な損傷や案内軌条7の局所的な損傷を推定できるようにさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内軌条を備えた走行路を走行するようにしてある案内軌条式鉄道の車両における台車や案内輪、及び、案内軌条式鉄道の案内軌条や走行路の状態を監視するための案内軌条式鉄道用モニタリング方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道とバスとの中間の輸送力を持つ公共交通機関として、新交通システムと呼ばれる中量輸送システムが知られており、この種の中量輸送システムとしては、車両が、専用の軌道に設けた案内軌条(ガイドレール)に誘導されて走行するようにしてある案内軌条式鉄道が多く採用されている。
【0003】
上記案内軌条式鉄道は、APM(Automated People Mover)とも略称されるもので、案内軌条が、車両の走行する走行路の側方にある側方案内軌条方式のものと、案内軌条が走行路の中央にある中央案内軌条方式のものがある。上記側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道としては、案内軌条を走行路の左右両側に設けてなる両側案内式のものが一般的であるが、近年では、側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道の1つとして、案内軌条を走行路の片側のみに集約して設置するようにした片側案内式のものも提案されている。
【0004】
このうち、両側案内式とした側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道の車両は、本体部である車体の前後方向の2個所に、ゴムタイヤ製の車輪で支持された台車を備えた構成としてある。
【0005】
上記台車は、左右両側部に、左右一対の案内アームを備えると共に、該各案内アームの前後両端部には、走行路の左右両側に設置してある案内軌条に転がり接触させるための案内輪がそれぞれ回転自在に取り付けてある。これにより、走行路がカーブしている個所では、上記案内アームが、走行路のカーブに応じたカーブ形状とされている上記案内軌条に、転動する案内輪を介して接触し、この接触に伴って上記案内軌条のカーブしている方向へ案内される該案内アームの左右方向への変位に基づいて上記車輪を左右方向へ操舵できるようにしてなる操舵系を、上記台車が具備するようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
又、上記台車は、上記車輪の車軸を保持させた懸架枠の上側に、車体を支持する台車枠が、空気ばねを介して取り付けてある。更に、上記台車枠と懸架枠との間には、平行リンク機構を備えてなる構成としてある。これにより、上記台車枠と懸架枠の前後左右方向への相対的なずれを規制した状態で、上記空気ばねにより、走行路を転動する車輪からの振動が伝わる上記懸架枠と、上記車体側に取り付けられている台車枠との間で、振動を絶縁させることで、上記車体の乗り心地の向上化を図るようにしてある。
【0007】
なお、図示してないが、側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道を片側案内式とする場合は、上記と同様の構成において、車両を、台車の左右両側部に左右一対の案内アームを備える構成に代えて、台車の左右いずれかの一側に案内アームを備えて、該案内アームの前後両端部に、押付用と引っ掛け用の2個一組の案内輪をそれぞれ設けるようにしてある。更に、走行路には、上記台車の案内アームと対応する側となる左右いずれか一側のみに、走行路の幅方向中央寄りに臨む面に上記車両の案内アームの押付用案内輪を走行路の幅方向外向きに押し付けるように転がり接触させるための押付用案内輪専用の案内軌条と、走行路の幅方向の外側に臨む面に上記引っ掛け用案内輪を走行路の幅方向の外側から走行路の幅方向内向きに引っ掛けるようにして転がり接触させるための引っ掛け用案内輪専用の案内軌条を、共に備えた構成としてある。これにより、片側案内式の側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道では、走行路が或る方向へカーブして上記各案内軌条がカーブの外側に沿って位置する個所では、上記車両の案内アームが、押付用案内輪を介して上記押付用案内輪専用の案内軌条に接触することで該案内アームの左右方向への変位が生じるようにし、一方、走行路が上記とは反対の方向へカーブして上記各案内軌条がカーブの内側に沿って位置する個所では、上記車両の案内アームが、引っ掛け用案内輪を介して上記引っ掛け用案内輪専用の案内軌条に引っ掛けられるようにして接触することで、該案内アームの左右方向への変位が生じるようにして、上記車両の台車の車輪のカーブに沿う方向への操舵を行うことができるようにしてある。
【0008】
ところで、鉄道車両とレールとの間で荷重を伝達するために車輪軸受とその支持フレームとの間に設ける荷重支持用弾性パッドに、複数のセンサを埋め込んだ構成として、これらのセンサを用いることで、軸受状態、車輪状態、台車蛇行動、ローラ軸受アダプター変位、ブレーキ性能及び状態、レール欠陥をモニタリングする手法は従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0009】
又、複数の車両で編成単位を構成する電車について、車両ごとの加速度検出手段で検出された加速度を基に乗り心地レベルを演算して、該乗り心地レベルに基づいて電車の状態監視を行う手法が従来提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−265570号公報
【特許文献2】特表2009−521902号公報
【特許文献3】特開2005−306119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上記側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道の車両の台車では、走行路がカーブしている個所で操舵を行う際には、案内アームの前後両端部に設けてある案内輪が、カーブ形状としてある案内軌条に対して押し付けられながら転動するようになっていることから、車両の誘導と走行を円滑に行わせるためには、上記台車(車輪を含む)の状態と、案内アームの案内輪の状態を把握する必要がある。そのため、従来、台車や案内輪の状態や寿命は、走行時間と、定期的なメンテナンスでの検査によって確認するようにしてある。
【0012】
又、台車の運動と振動に密接に関係する上記案内軌条の状態は、別の定期的検査により確認するようにしてある。
【0013】
更に、走行路における上記車輪の踏面となる部分は、通常、コンクリート製としてあるため、この走行路の状態の変化、たとえば、上記案内軌条式鉄道の車両の走行に伴う摩耗やその他の要因によって生じる状態の変化も、台車の運動や振動に密接に関係する。そのため、該走行路についても、個別の定期的検査によりその状態を確認するようにしてある。
【0014】
したがって、従来は、上記台車や案内輪の状態や寿命、案内軌条の状態、走行路の状態は、個別に行う定期的な検査によって別々に確認するようにしてあるというのが実状である。
【0015】
なお、特許文献2に示された手法は、車輪軸受とその支持フレームとの間に設ける荷重支持用弾性パッドに埋め込んだ複数のセンサを用いる必要があるため、案内軌条式鉄道に特有な案内輪の状態を把握するためにそのまま適用できるものではない。
【0016】
しかも、特許文献2に示された手法では、長期の時間経過に伴って徐々に変化する状態を検出する考えは示されていないため、案内軌条式鉄道の車両における台車や案内輪、及び、案内軌条式鉄道の案内軌条や走行路の状態の長期的な変化を検出するために適用できるものではない。
【0017】
又、特許文献3に示された手法は、複数の車両で編成単位を構成する電車に適用するためのものであるため、案内軌条式鉄道の車両における台車や案内輪、案内軌条式鉄道の案内軌条や走行路の状態の検出にそのまま適用できるものではなく、これらの状態の長期的な変化の検出に適用できるものでもない。
【0018】
そこで、本発明は、案内軌条式鉄道の車両の台車や案内輪、案内軌条式鉄道の案内軌条や走行路の状態について、急な損傷や、長期的な変化による劣化を判断することができるようにするための案内軌条式鉄道用モニタリング方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、案内軌条式鉄道の車両の台車に設けた検出器による検出値を基に求めた、上記台車の或る状態量の時刻歴応答波形について、現時点より過去の一定時間分をバッファに取得して該時間内での最大値又はRMS値を求めるサンプリングを順次行い、次に、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値を記憶し、次いで、記憶された或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値の平均値を求め、該平均値について、上記案内軌条式鉄道の車両が初期状態のときに同様の手順で求めた最大値又はRMS値の平均値からの変化量を求めるようにする案内軌条式鉄道用モニタリング方法とする。
【0020】
又、上記構成において、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値として記憶されたものの平均値について求められた、案内軌条式鉄道の車両が初期状態のときに同様の手順で求めた最大値又はRMS値の平均値からの変化量が、或るしきい値を越えると、表示装置にエラー表示を表示させるようにする。
【0021】
更に、上記各構成において、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値として記憶されたものの平均値と、次にサンプリングされる最大値又はRMS値との変化量を求め、該変化量が、或るしきい値を越えると、表示装置にエラー表示を表示させるようにする。
【0022】
更に又、上記各構成において、検出器として、案内軌条式鉄道の車両の台車における案内アームに設けたロードセルを用いて、台車の或る状態量の時刻歴応答波形として、上記ロードセルにより案内アームを介して検出される案内輪に作用する荷重の信号の時刻歴応答波形を求めるようにする。
【0023】
上述の各構成において、検出器として、案内軌条式鉄道の車両の台車の懸架枠に設けた加速度センサを用いて、台車の或る状態量の時刻歴応答波形として、上記加速度センサにより検出される懸架枠の加速度信号の時刻歴応答波形を求めるようにする。
【0024】
又、請求項6に対応して、案内軌条式鉄道の車両の台車に検出器を設け、該検出器による検出値を基に、上記台車の或る状態量の時刻歴応答波形を求める機能を備えた信号変換器と、該信号変換器より入力される台車の或る状態量の時刻歴応答波形について現時点より過去の一定時間分内での最大値又はRMS値を求めるサンプリングを順次行う機能、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値を記憶する機能、記憶された或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値の平均値を求める機能、及び、該求められた平均値について、上記案内軌条式鉄道の車両が初期状態のときに同様の手順で求めた最大値又はRMS値の平均値からの変化量を求める機能を具備した解析器とを備えてなる構成を有する案内軌条式鉄道用モニタリング装置とする。
【0025】
更に、上記構成において、解析器は、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値として記憶されたものの平均値について求めた、案内軌条式鉄道の車両が初期状態のときに同様の手順で求めた最大値又はRMS値の平均値からの変化量を、或るしきい値と比較して、上記変化量が上記しきい値を超えると、表示装置にエラー表示を表示させる機能を備えてなるものとした構成とする。
【0026】
更に又、上記各構成において、解析器は、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値として記憶されたものの平均値と、次にサンプリングされる最大値又はRMS値との変化量を求め、該変化量が、或るしきい値を越えると、表示装置にエラー表示を表示させるようにする機能を備えてなるものとした構成とする。
【0027】
上述の各構成において、検出器を、案内軌条式鉄道の車両の台車における案内アームに設けたロードセルとし、信号変換器を、上記ロードセルにより案内アームを介して検出される案内輪に作用する荷重の信号の時刻歴応答波形を求める機能を備えてなるものとした構成とする。
【0028】
更に、上述の各構成において、検出器を、案内軌条式鉄道の車両の台車の懸架枠に設けた加速度センサとし、信号変換器を、上記加速度センサにより検出される懸架枠の加速度信号の時刻歴応答波形を求める機能を備えてなるものとした構成とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)案内軌条式鉄道の車両の台車に設けた検出器による検出値を基に求めた、上記台車の或る状態量の時刻歴応答波形について、現時点より過去の一定時間分をバッファに取得して該時間内での最大値又はRMS値を求めるサンプリングを順次行い、次に、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値を記憶し、次いで、記憶された或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値の平均値を求め、該平均値について、上記案内軌条式鉄道の車両が初期状態のときに同様の手順で求めた最大値又はRMS値の平均値からの変化量を求めるようにする案内軌条式鉄道用モニタリング方法、及び、案内軌条式鉄道の車両の台車に検出器を設け、該検出器による検出値を基に、上記台車の或る状態量の時刻歴応答波形を求める機能を備えた信号変換器と、該信号変換器より入力される台車の或る状態量の時刻歴応答波形について現時点より過去の一定時間分内での最大値又はRMS値を求めるサンプリングを順次行う機能、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値を記憶する機能、記憶された或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値の平均値を求める機能、該求められた平均値について、上記案内軌条式鉄道の車両が初期状態のときに同様の手順で求めた最大値又はRMS値の平均値からの変化量を求める機能を具備した解析器とを備えてなる構成を有する案内軌条式鉄道用モニタリング装置としてあるので、案内軌条式鉄道の車両の台車について、検出器の検出対象とされた或る状態量に関連する部分の急激な損傷の発生のみならず、その長期的な劣化をリアルタイムに推定することができる。
(2)しかも、案内軌条式鉄道の車両の運用中に、万一、不測の事態が生じた場合は、それまでに得られている上記検出器による検出値や、上記のような手順で求められた各種の値を、速やかな原因究明の手がかりとして活用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の案内軌条式鉄道用モニタリング方法及び装置の実施の一形態を示すもので、(イ)は本発明のモニタリング装置を装備した案内軌条式鉄道の車両の概略切断平面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視拡大図である。
【図2】図1のモニタリング装置の構成の概要を示すブロック図である。
【図3】図1のモニタリング装置を用いて行う案内軌条式鉄道用モニタリング方法における案内輪の荷重信号の処理手順を示すフロー図である。
【図4】図1のモニタリング装置を用いて行う案内軌条式鉄道用モニタリング方法における台車の懸架枠の加速度信号の処理手順を示すフロー図である。
【図5】本発明のモニタリング装置を装備する両側案内式の側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道の車両における台車部分を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0032】
図1(イ)(ロ)乃至図5は本発明の案内軌条式鉄道用モニタリング方法及び装置の実施の一形態として、たとえば、図1(イ)(ロ)及び図5に示す如き両側案内式の側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道に適用する場合の例を示すもので、以下のような構成としてある。
【0033】
ここで、先ず、図1(イ)(ロ)及び図5に示した両側案内式の側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道の車両について概説すると、該車両は、本体部である車体1の前後方向の2個所に、ゴムタイヤ製の車輪3で支持された前位台車2a及び後位台車2bを備えた構成としてある。
【0034】
上記各台車2a,2bは、左右両側部に、左右一対の案内アーム4を備えると共に、該各案内アーム4の前後両端部に、走行路6の左右両側に設置してある案内軌条7に転がり接触させるための案内輪5が、それぞれ回転自在に取り付けてある。
【0035】
更に、上記各台車2a,2bは、図5に示すように、上記車輪3の車軸8を保持させた懸架枠9の上側に、車体1を支持する台車枠10が、振動の絶縁を図るための空気ばね11を介して取り付けてあり、且つ上記台車枠10と懸架枠9との間に、平行リンク機構12を備えた構成としてある。
【0036】
上記構成としてある両側案内式の側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道の車両に適用する本発明の案内軌条式鉄道用モニタリング装置は、図1(イ)(ロ)乃至図4に示す如き構成としてある。
【0037】
すなわち、図1(イ)に示すように、上記両側案内式の側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道の車両における前位台車2aと後位台車2bの左右いずれか一方の案内アーム4の所要個所、たとえば、図1(イ)に示す如き基部に、それぞれ検出器としてのロードセル(歪みゲージ)13を設ける。これにより、上記案内アーム4に取り付けてある案内輪5に作用する荷重を、上記案内アーム4に取り付けてある上記ロードセル13で間接的に検出できるようにする。
【0038】
又、図1(ロ)に示すように、上記各台車2a,2bの懸架枠9に、検出器として、三軸の加速度を検出する形式の加速度センサ14を設ける。これにより、上記各台車2a,2bの懸架枠9の加速度を、上記加速度センサ14によって検出できるようにする。この際、上記加速度センサ14は、上記懸架枠9における左右対象となる2個所にそれぞれ設置することが望ましい。これは、左右一対の加速度センサ14によって個別に検出される上下方向の加速度を基に、上記懸架枠9のロールと並進成分を解析によって得ることができるためである。
【0039】
更に、本発明の案内軌条式鉄道用モニタリング装置は、図2に示すように、上記ロードセル13によって検出される案内輪5の荷重信号S1と、上記加速度センサ14によって検出される懸架枠9の加速度信号S2を入力して後段の解析器16で解析可能な信号に変換し且つ増幅して出力することができるようにしてある信号変換器15と、該信号変換器15より入力される信号S1a,S2aを基に、後述する手順で各種の分析に必要な解析を行うための解析器16と、該解析器16の解析結果を表示するための表示装置(出力装置)17とを、案内軌条式鉄道の車両の所要個所に装備する。更に、案内軌条式鉄道を統括する監視センター18に、上記解析器16との間で通信手段20を介して通信を行うことで、該解析器16の解析結果を表示するための表示装置(表示画面)19を備えた構成とする。
【0040】
詳述すると、上記信号変換器15は、上記ロードセル13より入力される案内輪5の荷重信号S1と、上記加速度センサ14より入力される懸架枠9の加速度信号S2について、いずれも時刻歴応答波形の信号S1a,S2aとして上記解析器16へ出力することができるようにしてある。
【0041】
上記解析器16は、上記信号変換器15より入力される案内輪5の荷重信号の時刻歴応答波形の信号S1aを処理するための図3に示す如き案内輪荷重信号処理部16aと、上記信号変換器15より入力される懸架枠9の加速度信号の時刻歴応答波形の信号S2aを処理するための図4に示す如き懸架枠加速度信号処理部16bを備えるようにしてある。
【0042】
以下、上記解析器16の機能の説明に即して、本発明の案内軌条式鉄道用モニタリング方法の具体的内容について説明する。
【0043】
上記解析器16の案内輪荷重信号処理部16aは、図3に示すように、上記案内輪5の荷重信号の時刻歴応答波形の信号S1aが入力されると、先ず、最大値又はRMS(二乗平均平方根)値の算出部21にて、現時点より過去の時間T秒間をバッファに取得し、該現時点より過去の時間T秒間における案内輪5の荷重信号の時刻歴応答波形について、最大値又はRMS値aを求め、この処理を或るサンプリング時間間隔、たとえば、10ミリ秒ごとに順次繰り返して行うようにしてある。
【0044】
次に、上記のようにして算出部21で最大値又はRMS値aが算出されると、この算出された最大値又はRMS値aを時間分記憶部22へ入力し、該時間分記憶部22にて、現時点より過去の或るサンプリング回数分、たとえば、現時点より過去300回のサンプリング回数分記憶する。
【0045】
次いで、上記時間分記憶部22に記憶されている現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値aについて、平均値算出部23で平均値bを算出する。
【0046】
その後、比較部24にて、上記平均値算出部23で算出された最大値又はRMS値の平均値bについて、上記案内軌条式鉄道の車両納入時、すなわち、上記案内輪5が新品の状態のときに上記と同様の手順で得られている初期の平均値bからの変化量Δbを求めて、この変化量Δbと、予め定めてある或るしきい値b0との比較を行い、上記変化量Δbが上記しきい値b0以下である場合は、特別な処理を行うことなく、上記案内軌条式鉄道の運用を継続して行わせる。
【0047】
一方、上記比較部24にて、上記変化量Δbが上記しきい値b0よりも大となっていると判断された場合は、上記案内軌条式鉄道の車両側及び監視センター側の各表示装置17及び19にエラー表示x1を表示させる。このエラー表示x1は、上記案内輪5の荷重信号の時刻歴応答波形の最大値が、案内輪5が新品状態のときに比して徐々に大きくなっていることに起因しているため、上記表示装置17や19でのエラー表示x1を監視することで、上記案内輪5の長期的な劣化、又は、該案内輪5を転動させる対象である案内軌条7の長期的な劣化が生じていると推定することができるようになる。
【0048】
又、上記時間分記憶部22に記憶されている現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値aを基に、別の比較部25にて、上記算出部21より時間分記憶部22へ新たに入力された最大値又はRMS値aについて、その直前の時点で該時間分記憶部22に記憶されている或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値aの平均値からの変化量Δcを求めて、この変化量Δcと、予め定めてある或るしきい値c0との比較を行う。この際、上記しきい値c0はある程度大きな値に設定してあるものとする。この比較により、上記変化量Δcが上記しきい値c0以下である場合は、特別な処理を行うことなく、上記案内軌条式鉄道の稼働を継続して行わせる。
【0049】
一方、上記比較部25にて、上記変化量Δcが上記しきい値c0よりも大となっていると判断された場合は、上記案内軌条式鉄道の車両側及び監視センター側の各表示装置17及び19にエラー表示x2を表示させる。このエラー表示x2は、上記案内輪5の荷重信号の時刻歴応答波形の最大値が急に大きくなったことに起因しているため、上記表示装置17や19でのエラー表示x2を監視することで、上記案内輪5の急激な損傷、又は、上記案内軌条7の局所的な損傷を推定することができるようになる。なお、上記案内輪5に急激な損傷が生じた場合は、上記時間分記憶部22に入力される最大値又はRMS値aが大きく変化した状態が持続するのに対し、上記案内軌条7の局所的な損傷の場合は、上記時間分記憶部22に入力される最大値又はRMS値aの大幅な変化は速やかに収束すると考えられるため、この変化の差を基に、損傷が生じたのが案内輪5と案内軌条7のいずれであるかを判別することが可能になる。
【0050】
上記案内輪荷重信号処理部16aは、荷重頻度及び荷重頻度分布解析部26を更に備えて、該荷重頻度及び荷重頻度分布解析部26にて、上記信号変換器15(図2参照)より入力される案内輪5の荷重信号の時刻歴応答波形の信号S1aについて、荷重が大となる部分の単位時間当たりの頻度数、たとえば、波形の極大部分の単位時間当たりの頻度数dと、該頻度数dより求まる荷重頻度分布eを求めて、求められた頻度数d及び荷重頻度分布eを、上記案内軌条式鉄道の車両側及び監視センター側の各表示装置17及び19に表示させるようにしてある。
【0051】
更に、荷重頻度及び荷重頻度分布解析部26で求められた荷重頻度分布eについては、時間分記憶部27へ入力し、該時間分記憶部27にて、現時点より過去の或るサンプリング回数分、たとえば、現時点より過去300回のサンプリング回数分記憶する。
【0052】
その後、上記時間分記憶部27に記憶された荷重頻度分布eについて、平均値算出部28で平均値fを算出して、該算出された平均値fを、上記頻度数d及び荷重頻度分布eと同様に、上記表示装置17及び19に表示させるようにしてある。これにより、上記表示装置17や19に表示される上記頻度数d、荷重頻度分布e及び荷重頻度分布平均値fを監視することで、上記案内輪5に生じる荷重の変動の回数や、荷重が変動するときの極大値の短期及び長期的な変化を確認できるため、上記案内輪5の寿命を予測することが可能になる。
【0053】
上記解析器16の懸架枠加速度信号処理部16bは、図4に示すように、信号変換器15(図2参照)より、懸架枠9の加速度信号の時刻歴応答波形の信号S2aが入力されると、先ず、最大値又はRMS値の算出部29にて、現時点より過去の時間T秒間をバッファに取得し、該現時点より過去の時間T秒間における懸架枠9の加速度信号の時刻歴応答波形について、最大値又はRMS値gを求め、この処理を或るサンプリング時間間隔、たとえば、10ミリ秒ごとに順次繰り返して行うようにしてある。
【0054】
次に、上記のようにして算出部29で最大値又はRMS値gが算出されると、この算出された最大値又はRMS値gを時間分記憶部30へ入力し、該時間分記憶部30にて、現時点より過去の或るサンプリング回数分、たとえば、現時点より過去300回のサンプリング回数分記憶する。
【0055】
次いで、上記時間分記憶部30に記憶されている現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値gについて、平均値算出部31で平均値hを算出する。
【0056】
その後、比較部32にて、上記平均値算出部31で算出された最大値又はRMS値の平均値hについて、上記案内軌条式鉄道の車両納入時、すなわち、台車2a,2bや車輪3が新品の状態のときに上記と同様の手順で得られている初期の平均値hからの変化量Δhを求め、この変化量Δhと、予め定めてある或るしきい値h0との比較を行い、上記変化量Δhが上記しきい値h0以下である場合は、特別な処理を行うことなく、上記案内軌条式鉄道の運用を継続して行わせる。
【0057】
一方、上記比較部32にて、上記変化量Δhが上記しきい値h0よりも大となっていると判断された場合は、上記案内軌条式鉄道の車両側及び監視センター側の各表示装置17及び19にエラー表示x3を表示させる。このエラー表示x3は、上記懸架枠9の加速度信号の時刻歴応答波形の最大値が、台車2a,2bや車輪3が新品状態のときに比して徐々に大きくなっていることに起因しているため、上記表示装置17や19でのエラー表示x3を監視することで、上記台車2a,2bの長期的な劣化、又は、車輪3の長期的な劣化が生じていると推定できるようになる。
【0058】
又、上記時間分記憶部30に記憶されている現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値gを基に、別の比較部33にて、上記算出部29より時間分記憶部30に新たに入力された最大値又はRMS値gについて、その直前の時点で該時間分記憶部30に記憶されている或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値gの平均値からの変化量Δiを求めて、この変化量Δiと、予め定めてある或るしきい値i0との比較を行う。この際、上記しきい値i0はある程度大きな値に設定してあるものとする。この比較により、上記変化量Δiが上記しきい値i0以下である場合は、特別な処理を行うことなく、上記案内軌条式鉄道の稼働を継続して行わせる。
【0059】
一方、上記比較部33にて、上記変化量Δiが上記しきい値i0よりも大となっていると判断された場合は、上記案内軌条式鉄道の車両側及び監視センター側の各表示装置17及び19にエラー表示x4を表示させる。このエラー表示x4は、上記懸架枠9の加速度信号の時刻歴応答波形の最大値が急に大きくなったことに起因しているため、上記表示装置17や19でのエラー表示x4を監視することで、上記台車2a,2bの車輪3が走行している走行路6に損傷が生じていることや、車体1の乗り心地が悪化していることが推定できるようになる。
【0060】
上記懸架枠加速度信号処理部16bは、更に、FFT(高速フーリエ変換)処理部34を備えて、該FFT処理部34にて、上記信号変換器15(図2参照)より入力される懸架枠9の加速度信号の時刻歴応答波形の信号S2aについて、FFT処理を行うことで上記懸架枠9の加速度信号の時刻歴応答波形のスペクトルjを求め、該求められたスペクトルjを、共振振動数・応答値算出部35へ入力させることで、該共振振動数・応答値算出部35にて、共振振動数kとその応答値lを算出する。
【0061】
上記のようにして共振振動数・応答値算出部35で共振振動数kとその応答値lが算出されると、この共振振動数kと応答値lについて、図示しないフィルタ等の抽出手段により、台車2a,2bのばね下共振となる6〜12Hzの成分を抽出して時間分記憶部36へ入力し、該時間分記憶部36にて、現時点より過去の或るサンプリング回数分、たとえば、現時点より過去300回のサンプリング回数分記憶する。
【0062】
次いで、上記時間分記憶部36に記憶されている現時点より過去の或るサンプリング回数分の上記共振振動数kと応答値lのばね下共振成分について、平均値算出部37で平均値mを算出する(なお、説明及び図示する便宜上、上記共振振動数kと応答値lのばね下共振成分についてのそれぞれの平均値を、1つの平均値mに代表させて記載してある)。
【0063】
その後、比較部38にて、上記平均値算出部37で算出された共振振動数kと応答値lのばね下共振成分の平均値mについて、上記案内軌条式鉄道の車両納入時のような台車2a,2bや車輪3が新品の状態のときに上記と同様の手順で得られている初期の平均値mからの変化量Δmを求め、この変化量Δmと、予め定めてある或るしきい値m0との比較を行い、上記変化量Δmが上記しきい値m0以下である場合は、特別な処理を行うことなく、上記案内軌条式鉄道の運用を継続して行わせる。
【0064】
一方、上記比較部38にて、上記変化量Δmが上記しきい値m0よりも大となっていると判断された場合は、上記案内軌条式鉄道の車両側及び監視センター側の各表示装置17及び19にエラー表示x5を表示させる。このエラー表示x5は、上記懸架枠9の加速度信号の時刻歴応答波形における共振振動数kとその応答値lのばね下成分が、台車2a,2bや車輪3が新品状態のときに比して徐々に大きくなっていることに起因しているため、上記表示装置17や19でのエラー表示x5を監視することで、上記台車2a,2bの長期的な劣化や異常が生じているか、又は、車輪3が接する走行路6に長期的な劣化が生じていると推定できるようになる。
【0065】
更に、上記懸架枠加速度信号処理部16bは、上記FFT処理部34で求められた懸架枠9の加速度信号の時刻歴応答波形のスペクトルjと、該スペクトルjを基に共振振動数・応答値算出部35で算出される共振振動数k及び応答値lを上記各表示装置17及び19に表示させる機能を備えるようにしてある。
【0066】
これにより、図4に二点鎖線で示す如く、案内軌条式鉄道の車両の走行時に、別途、モータの回転数等から算出するか、あるいは、直接計測することで得られる車輪3の回転数nも、上記各表示装置17及び19に表示させるようにすることにより、上記各表示装置17及び19における上記懸架枠9の加速度信号の時刻歴応答波形のスペクトルj、共振振動数k、応答値lについて、上記車輪3の回転数nに同期した振動や、該回転数nの整数倍の成分が検出される場合は、上記車輪3に歪みが生じたことや、該車輪3を支持する軸系にアンバランスが発生したことが推定できるようになる。
【0067】
図1(イ)(ロ)において、39は台車2a,2bの左右の案内アーム4を接続して左右方向に同期して変位させるためのラテラルロッド、40はオイルダンパである。
【0068】
このように、本発明の案内軌条式鉄道用モニタリング方法及び装置によれば、案内軌条式鉄道の車両の台車2a,2bについて、案内アーム4に設けた検出器としてのロードセル(歪みゲージ)13により検出される案内輪の荷重信号S1を基に、案内輪5については、急激な損傷の発生のみならず、その長期的な劣化をリアルタイムに推定できると共に、該案内輪5の寿命を予測することも可能になる。又、案内軌条7については、局所的な損傷の発生のみならず、その長期的な劣化をリアルタイムに推定することができる。
【0069】
更に、懸架枠9に設けた検出器としての加速度センサ14により検出される懸架枠の加速度信号S2を基に、案内軌条式鉄道の車両の台車2a,2bの長期的な劣化や異常、車輪3の長期的な劣化、走行路6の損傷や長期的な劣化、車体1の乗り心地が悪化していることをリアルタイムに推定することができ、更には、上記車輪3に歪みが生じたことや、該車輪3を支持する軸系にアンバランスが発生したことの推定が可能になる。
【0070】
しかも、案内軌条式鉄道の車両の運用中に、万一、不測の事態が生じた場合は、それまでに得られている前述した各計測値や算出値を、速やかな原因究明の手がかりとして活用することが可能になる。
【0071】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、懸架枠9に加速度センサ14を設けると共に、解析器16に、懸架枠加速度信号処理部16bを設けて、上記懸架枠の加速度信号S2を基に、案内軌条式鉄道の車両の台車2a,2bの長期的な劣化や異常、車輪3の長期的な劣化、走行路6の損傷や長期的な劣化、車体1の乗り心地が悪化していること、及び、車輪3に歪みが生じたことや車輪3を支持する軸系にアンバランスが発生したことを推定できるようにすることが望ましいが、上記加速度センサ14及び解析器16における懸架枠加速度信号処理部は省略してもよい。
【0072】
上記実施の形態では、両側案内式の側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道に適用する場合について示したが、片側案内式としてある側方案内軌条方式の案内軌条式鉄道に適用してもよい。
【0073】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0074】
2a 前位台車(台車)
2b 後位台車(台車)
4 案内アーム
5 案内輪
9 懸架枠
13 ロードセル(検出器)
14 加速度センサ(検出器)
15 信号変換器
16 解析器
17 表示装置
19 表示装置
S1 案内輪の荷重信号(状態量)
S1a 時刻歴応答波形の信号
S2 懸架枠の加速度信号(状態量)
S2a 時刻歴応答波形の信号
a 最大値又はRMS値
b 平均値
Δb 変化量
b0 しきい値
Δc 変化量
c0 しきい値
g 最大値又はRMS値
h 平均値
Δh 変化量
h0 しきい値
Δi 変化量
i0 しきい値
x1,x2,x3,x4,x5 エラー表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内軌条式鉄道の車両の台車に設けた検出器による検出値を基に求めた、上記台車の或る状態量の時刻歴応答波形について、現時点より過去の一定時間分をバッファに取得して該時間内での最大値又はRMS値を求めるサンプリングを順次行い、次に、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値を記憶し、次いで、記憶された或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値の平均値を求め、該平均値について、上記案内軌条式鉄道の車両が初期状態のときに同様の手順で求めた最大値又はRMS値の平均値からの変化量を求めることを特徴とする案内軌条式鉄道用モニタリング方法。
【請求項2】
現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値として記憶されたものの平均値について求められた、案内軌条式鉄道の車両が初期状態のときに同様の手順で求めた最大値又はRMS値の平均値からの変化量が、或るしきい値を越えると、表示装置にエラー表示を表示させるようにする請求項1記載の案内軌条式鉄道用モニタリング方法。
【請求項3】
現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値として記憶されたものの平均値と、次にサンプリングされる最大値又はRMS値との変化量を求め、該変化量が、或るしきい値を越えると、表示装置にエラー表示を表示させるようにする請求項1又は2記載の案内軌条式鉄道用モニタリング方法。
【請求項4】
検出器として、案内軌条式鉄道の車両の台車における案内アームに設けたロードセルを用いて、台車の或る状態量の時刻歴応答波形として、上記ロードセルにより案内アームを介して検出される案内輪に作用する荷重の信号の時刻歴応答波形を求めるようにする請求項1、2又は3記載の案内軌条式鉄道用モニタリング方法。
【請求項5】
検出器として、案内軌条式鉄道の車両の台車の懸架枠に設けた加速度センサを用いて、台車の或る状態量の時刻歴応答波形として、上記加速度センサにより検出される懸架枠の加速度信号の時刻歴応答波形を求めるようにする請求項1、2、3又は4記載の案内軌条式鉄道用モニタリング方法。
【請求項6】
案内軌条式鉄道の車両の台車に検出器を設け、該検出器による検出値を基に、上記台車の或る状態量の時刻歴応答波形を求める機能を備えた信号変換器と、該信号変換器より入力される台車の或る状態量の時刻歴応答波形について現時点より過去の一定時間分内での最大値又はRMS値を求めるサンプリングを順次行う機能、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値を記憶する機能、記憶された或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値の平均値を求める機能、及び、該求められた平均値について、上記案内軌条式鉄道の車両が初期状態のときに同様の手順で求めた最大値又はRMS値の平均値からの変化量を求める機能を具備した解析器とを備えてなる構成を有することを特徴とする案内軌条式鉄道用モニタリング装置。
【請求項7】
解析器は、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値として記憶されたものの平均値について求めた、案内軌条式鉄道の車両が初期状態のときに同様の手順で求めた最大値又はRMS値の平均値からの変化量を、或るしきい値と比較して、上記変化量が上記しきい値を超えると、表示装置にエラー表示を表示させる機能を備えてなるものとした請求項6記載の案内軌条式鉄道用モニタリング装置。
【請求項8】
解析器は、現時点より過去の或るサンプリング回数分の最大値又はRMS値として記憶されたものの平均値と、次にサンプリングされる最大値又はRMS値との変化量を求め、該変化量が、或るしきい値を越えると、表示装置にエラー表示を表示させるようにする機能を備えてなるものとした請求項6又は7記載の案内軌条式鉄道用モニタリング装置。
【請求項9】
検出器を、案内軌条式鉄道の車両の台車における案内アームに設けたロードセルとし、信号変換器を、上記ロードセルにより案内アームを介して検出される案内輪に作用する荷重の信号の時刻歴応答波形を求める機能を備えてなるものとした請求項6、7又は8記載の案内軌条式鉄道用モニタリング装置。
【請求項10】
検出器を、案内軌条式鉄道の車両の台車の懸架枠に設けた加速度センサとし、信号変換器を、上記加速度センサにより検出される懸架枠の加速度信号の時刻歴応答波形を求める機能を備えてなるものとした請求項6、7、8又は9記載の案内軌条式鉄道用モニタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−56474(P2012−56474A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202350(P2010−202350)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】