説明

検査装置および検査方法

【課題】従来はウエハの半径方向と楕円形状ビームの長辺とを合わせる方法として、光軸調整用検出器と検査用の検出器を別々に設けられていた。そのため検査用の検出器上で光ビームの長辺と半径方向とが一致していないという問題が発生した。
【解決手段】本発明は、ウエハからの散乱光の検出方法としてマルチアノードの検出器を使用し、欠陥検出用の検出器(マルチアノード)のデータを使用して、ウエハに照射されているビームの形状や半径方向とビーム長辺との回転ズレなどを算出して照射ビームの光軸調整を行う方法を提供する。さらに、上記補正データをもとに、回転や振幅の補正量を検査信号データにフィードバックさせ、検査データの補正を行う手段を設ける。本発明により、光学系の調整や信号処理による微細な補正が可能になるため、欠陥検出の位置精度および欠陥強度(欠陥寸法)の精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の検査装置に係り、特にウエハを検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの検査装置は、ウエハを回転させながら検査する検査装置と、ウエハをXY方向にスキャンさせて検査する方法の2種類がある。本発明に関する方法は、ウエハを回転させながら半径方向に直線移動させながら、光学的にビームを照射し、ウエハ上で反射してきた散乱光を利用してウエハ上の異物等の欠陥を検出する方法に関するものである。
【0003】
ウエハの散乱光強度を検出する方法として、回転ステージに取り付けられた角度検出器(エンコーダ)から出力される信号を使用して、検出信号をA/D変換した後、フィルタなどの信号処理を行い、異物・欠陥の大きさや座表を検出している。
【0004】
ウエハを回転させてらせん状にビームを走査して表面を検査する異物欠陥検査装置は、照射されるビームの形状として半径方向に長い楕円形状のビームが用いられている。
【0005】
従来技術では、上記楕円形状をした散乱光を一つの光検出器(たとえばホトマル)で検出しウエハ上の異物や欠陥の検出を行っていた。散乱光検出方法としてホトマルなどの代わりにマルチアノードタイプの光検出器を使った事例もあるが、楕円形状のビームの光軸とマルチアノードの方向を合わせる必要があるなど精度の高い光学系の校正が必要になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−3447号公報
【0007】
マルチアノードを用いた検出方法に関する従来例としては、特許文献1(特開2005−3447号公報)記載の光学式検査装置がある。特許文献1によれば、楕円形状のビームの長辺方向にマルチアノードの検出器を配置していることが説明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ウエハを回転させて半径方向を長辺とした楕円形状の光ビームを用いて欠陥を検出する検査装置においては、光ビームの光軸と半径方向の軸を合わせることが必要である。従来は、光軸を観察する光画像検出部と検査に使用する散乱光検出部とは別に配置されており、光軸は、光画像検出部を用いて行い、欠陥検出は散乱光検出部を用いて行っていた。このように二つの別々の検出器を用いると光画像検出部で光軸を調整しても、散乱光検出部では必ずしも光軸合っているとはいえず、欠陥検出位置の精度が向上しないという点には配慮がなされていなかった。
【0009】
本発明は、散乱光の検出方法としてマルチアノードの検出器を使用し、従来方法で困難であった、楕円ビームの光軸とマルチアノードの一次元センサの受光軸とを合わせる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の特徴は、ウエハに楕円形状の第1の光を照射する照射光学系と、ウエハからの第2の光を検出するマルチアノード検出系と、前記マルチアノード検出系の検出結果を用いて、前記第1の光の光軸を調整する調整部とを有することにある。
【0011】
本発明の第2の特徴は、マルチアノード検出系の検出結果を用いて、検出結果の補正を行う補正部を有することにある。
【0012】
本発明の第3の特徴は、照射光学系からの第1の光の長辺方向の長さは、搬送系の走査ピッチより長く、マルチアノード検出系の検出素子の長さは、基板からの第2の光の長辺方向の長さより長いことにある。
【0013】
本発明の第4の特徴は、前記補正部が、前記第1の光の回転補正、または振幅補正を行うことにある。
【0014】
本発明の第5の特徴は、前記第1の光の強度の分布は、ガウス分布、または半径方向及びθ方向に一定な分布であることにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、欠陥検出の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の欠陥検出方法の構成を示す図。
【図2】散乱光とマルチ光検出器の関係を示した図。
【図3】ウエハの送りピッチとビーム形状の関係を示す図。
【図4】マルチ光検出器で受光した光の信号強度を示す図。
【図5】照射光ビームの例を示した図。
【図6】マルチ光検出器で検出した信号から二次元画像を生成した場合の例。
【図7】半径方向,θ方向にほぼ一定の光強度を持った照射ビームの例。
【図8】本発明の第1の実施例としてのシステム構成を示す図。
【図9】本発明の第2の実施例としてのシステム構成を示す図。
【図10】本発明の第3の実施例としてのシステム構成を示す図。
【図11】光ビームの分布計測とGUI表示の関係を示した図。
【図12】本発明の異物・欠陥検査装置の全体構成を示す図。
【図13】異物欠陥情報の回転補正を行う方法を示す図。
【図14】異物欠陥情報の振幅補正を行う方法を示す図。
【図15】二次元の入力データと補正係数の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
まずは、半導体ウエハの異物・欠陥検出装置の構成例について説明する。
【0019】
図12は、本発明の異物・欠陥検出方法を用いた異物・欠陥検査装置の全体構成を示す図である。被検査物体である半導体ウエハ1はチャック1204に真空吸着されており、このチャック1204は、回転ステージ1206と並進ステージ1207から成る被検査物体移動ステージ1205,Zステージ1208上に搭載されている。半導体ウエハ1の上方に配置されている照明・検出光学系1201は、照明用及び検出用の光学系である。照明光の光源2にはレーザ光源を用いており、光源2から出た照射ビームは照射レンズ1202を通って半径r方向に長い楕円形状のビームを形成し、ウエハ1に照射され、異物あるいは欠陥1200にあたって散乱してきた光を光検出器1203で検出し、電気信号に変換された後増幅回路1211に入力される。
【0020】
被検査物体移動ステージ1205は、主走査である回転移動θと副走査である並進移動Rを時間と共に組合せて変化させることで、相対的に照明スポットを半導体ウエハ101の全表面上で螺旋状に走査させる。
【0021】
前記回転ステージが1回転する間に、副走査はΔrだけ移動する。本実施例では、照明スポットの走査は半導体ウエハ1の内周から外周に向かって走査を行うが、逆であっても差し支えない。また、本実施例では、半導体ウエハ1の内周から外周までの全領域で、前記回転ステージ1206を概略角速度一定で、かつ前記並進ステージ1207を概略線速度一定で駆動させる。その結果、半導体ウエハ1の表面に対する照明スポットの相対移動線速度は、内周に比べて外周で高速となる。被検査物体移動ステージ1205には、検査中の主走査座標位置θと副走査座標位置rを検出するために、検査座標検出機構1214が取り付けてある。本実施例では、主走査座標位置θの検出に光学読み取り式のロータリエンコーダ,副走査座標位置rに光学読み取り式のリニアエンコーダを用いているが、共に、高精度で角度または直線上の位置が検出できるセンサであれば、他の検出原理を用いたものでも良い。
【0022】
増幅回路1211の出力をAD変換回路1212でディジタル信号に変換し、検査座標検出機構1214から出力されるrとθの座標データを道いて、欠陥検出回路1213によって欠陥の大きさと欠陥の位置とを算出し、コントローラ1210に出力される。
【0023】
この構成において、異物あるいは欠陥1200は照明スポットを通過し、光電子検出器1203からは光散乱光信号が得られる。本実施例では光検出器1203として光電子増倍管を用いているが、異物からの散乱光を高感度に検出できる光検出器であれば他の検出原理の光検出器であっても良い。
【0024】
図1は、本発明の欠陥検出方法の構成を示す図である。
【0025】
光源2の光ビームは、ウエハ1に照射光ビーム3の形状で照射され、放射状パターン6にあたることによって、散乱光ビーム形状5が発生し、マルチ光検出器4に入力される。
【0026】
マルチ光検出器4は半径方向に複数の検出素子が配列された一次元の光検出器である。
【0027】
照射光ビーム3は、ウエハの半径方向に長辺をもつ楕円形状の光ビームを用いている。照射された照射光ビーム3は、異物や欠陥(ウエハ上の凹凸)にあたると散乱光ビーム形状5が発生する。放射状の凹凸やパターンがあると散乱光は、照射ビームの形状を投影した信号となる。したがって、放射状のパターンにビームを照射するとマルチ光検出器では半径方向におけるビーム強度を検出することになる。
【0028】
図2は、散乱光とマルチ光検出器の関係を示した図である。
【0029】
ウエハ上の放射状パターンにあたり散乱してきた散乱光ビーム形状5は、図2に示すように楕円形状になっており、等高線に示すようなビーム強度の信号が得られる。
【0030】
マルチ光検出器4は、光ビームの長辺方向に沿って素子が配列されており、ビーム強度分布7の縦方向1列分のデータ204を得ることができる。ウエハが回転することで、放射状パターン上を照射ビームが本図の横方向に走査することになり、マルチ光検出器から得られたデータを一定時間間隔で取り込んでディジタル信号に変換してメモリなどに蓄積することでビーム強度分布7に示すデータ201からデータ206の信号を二次元の強度分布信号が得られる。照射ビームの長辺方向の長さは、光がウエハをらせん状に走査する走査ピッチ相当になっており、楕円ビームの短辺の大きさは、10μmから数10μm程度である。たとえば、10μm幅のビームを一定間隔で取り込んで二次元の強度分布信号を得るために、10μmを5分割〜10分割程度のデータが得られるようにサンプリングする。
【0031】
図3は、ウエハの送りピッチとビーム形状の関係を示す図である。
【0032】
ウエハを回転させながら欠陥検査を行う装置は、ウエハ1に照射光ビーム3を照射しながら一定の送りピッチでウエハを移動させ、らせん状に検査を行っていく。図3(a)は光ビームが照射されているA部分の拡大図である。301〜303は、一定の送りピッチでウエハを移動させた場合の光ビームが通った(あるいはこれから通る)軌跡である。ウエハの送りピッチすなわち光の走査ピッチはPとなる。また照射された光ビームの長辺方向の長さをB1とすると、B1>Pの関係を持っている。また、散乱光の長辺方向の長さをB2とし、マルチ光検出器の検出素子が配列されている長さをLとすれば、L>B2の関係が成り立つように構成されている。そうすることによって、楕円光ビームの長辺方向の信号をマルチ光検出器4にて一度に受光し変換できる。
【0033】
図4は、マルチ光検出器で受光した光の信号強度を示す図である。
【0034】
照射光ビーム3は、ウエハ上の放射状パターン6を矢印404の方向に走査することにより、マルチ光検出器4によって散乱光ビーム形状5が得られる。
【0035】
照射光の強度は、通常ガウス分布形状をしており、楕円形状ビームの長辺方向(図中のY方向,ウエハ上では半径方向)の散乱光ビーム強度のR方向波形401のようになる。また、短辺方向(図中のX方向,ウエハ上では円周(θ)方向)の信号波形は402となる。マルチ光検出器4の出力信号としては、出力信号403に示すようにそれぞれの検出器から出力信号が得られる。
【0036】
図5は、照射光ビームの例を示した図である。
【0037】
図5(a)は、図4と同様に照射光がきれいなガウス分布をした散乱光を受講した場合の図であり、ビーム強度の中心がC1とビーム中央に位置し、R方向波形401,θ方向出力402ともに歪のないガウス分布波形を形成している。図5(b)および図5(c)は、光強度分布が歪んだ場合の例である。図5(b)は、光ビーム強度の中心C2が楕円ビームの中心になっていない例であり、R方向出力501θ方向出力502が、それぞれガウス分布となっておらず歪んだかたちとなっている。照射光ビームが歪んでいると、散乱光も同様なひずみになり、欠陥信号の最大値の位置がずれることになる。ウエハの異物の位置や大きさを検出する場合に、本来ビームの中心位置C1に異物があったとしても、図5(b)のように光分布が歪んでいると、C2の位置に検出信号の最大値があることになり、C2近傍に異物の位置があるように誤検出されることになる。また、図5(c)は照射光ビームが半径方向に対して傾いている場合の波形である。このように光ビームが傾いている場合にも、異物の検出結果の位置が回転方向にずれて検出されるなど、検出位置の精度が悪くなる原因となる。
【0038】
図6は、マルチ光検出器で検出した信号から二次元画像を生成した場合の例を示す。二次元画像604は、マルチ光検出器から検出された信号をθ方向に数個のデータを並べて二次元画像にした信号である。散乱光強度二次元画像601は図5(a)の光検出信号に相当した画像である。散乱光強度二次元画像602は図5(b)の光検出信号に相当したものであり、信号強度の最大値がビームの中心からずれた画像になっている。また、散乱光強度二次元画像603は図5(c)の光検出信号に相当したものであり、光ビームが回転した画像になっている。
【0039】
本発明ではガウス分布の光強度を持つ例について説明してきたが、欠陥検出に使用する照射ビームの多くはガウス分布をした光強度のビームのほかに、半径方向,θ方向に一定(フラット)な光強度を持ったビームを使用する場合もある。
【0040】
図7は、半径方向,θ方向にほぼ一定の光強度を持った照射ビームの例である。
【0041】
図7(a)は正常な強度一定のビームを照射した場合の検出信号である。強度一定照射ビーム701のビーム波形はR(半径)方向波形702,θ(円周)方向波形703が得られる。図7(b)は正常な強度が不均一なビームを照射した場合の検出信号である。強度が不均一な照射ビーム704のビーム波形はR(半径)方向波形705,θ(円周)方向波形706が得られる。
【0042】
このように、強度一定なビームを使用する場合にも、ビームの形状が計測できるため、ビーム強度の補正や照射ビームの回転補正が可能になる。
【0043】
図8は、本発明の第1の実施例としてのシステム構成を示す図である。
【0044】
光源1から照射された光ビームは、光軸補正機構801を通りウエハ1に照射される。ウエハには放射状パターン6が刻まれており、放射状パターンにあたって反射した散乱光はマルチ光検出器4によって複数の素子によって、それぞれの素子ごとに光信号から電気信号に変換される。電気信号に変換された検出信号は、素子ごとに配置された増幅器10によって増幅され、それぞれの信号ごとにAD変換器11によってディジタル信号に変換する。マルチ光検出器から得られたそれぞれの信号は、AD変換された後、メモリ回路12に入力され、二次元画像の形として蓄積される。メモリに入力された画像は散乱光検出処理回路13によって信号処理を行い、コントローラ14に送信される。散乱光検出処理回路では、散乱光から異物や欠陥位置の検出処理を行うとともに異物の大きさの識別などを行う。さらに、本発明では、散乱光検出処理回路13において、二次元の画像信号からビームの強度分布情報を算出しその結果をコントローラ14に送信する。コントローラ14は、散乱光強度分布の情報から、照射ビームの最大値の大きさや位置情報,半径Rを基準とした散乱光の傾き角度情報を求めて、さらに、光軸を調整するためのデータを生成し、光軸調整制御回路802を介して光軸補正機構801を制御して、照射光ビームが本来のガウス分布の強度で、かつ楕円ビームの長辺が半径方向と一致するように調整する。
【0045】
図9は、本発明の第2の実施例としてのシステム構成を示す図である。
【0046】
図8の実施例では、照射ビームの最大値の大きさや位置情報,半径Rを基準とした散乱光の傾き角度の検出をコントローラ14にて行っているが、図9の実施例では、散乱光検出処理回路13の後段に、二次元の画像信号からビームの中心位置座標検出回路15とビーム強度分布係数算出回路17を設け、強度分布係数をコントローラ14に送信し、コントローラ14にて欠陥検出位置の補正データを生成し、欠陥位置座標補正回路16によって、散乱光の光強度の補正や回転の補正を行う。
【0047】
本実施例は、図8における光軸補正のための回路は図示していないが、光軸補正機構801と欠陥位置補正回路16を併用することで異物や欠陥の位置を高精度に検出することができる。
【0048】
また、コントローラ14に送信されたデータをもとにして、GUIインタフェース20に光ビームの形状や算出された補正データを表示する。ビーム形状や補正データを表示することでユーザに光ビームの状態を知らせることにより光学系の調整がやりやすくなる。
【0049】
図10は、本発明の第3の実施例としてのシステム構成を示す図である。
【0050】
本実施例では、欠陥位置座標補正回路16の後段にビーム強度補正回路18を設けており、ビーム強度分布係数算出回路17のデータによって特に半径方向の光ビームの歪による信号振幅の補正を行う。欠陥位置座標補正回路16およびビーム強度補正回路18の内容については、図13,図14にて説明する。
【0051】
図11は、光ビームの分布計測とGUI表示の関係を示した図である。
【0052】
マルチ光検出器4の出力をそれぞれの検出器ごとに配置された増幅器10,AD変換器11によってディジタル信号に変換して、メモリ回路12に入力する。
【0053】
マルチ光信号検出器は、前述したようにウエハ上の放射状パターンから散乱してくる半径方向の一次元のデータをメモリに入れながら、メモリ回路12には散乱光強度の最大値を中心としたθ方向のデータを蓄積している。メモリには、1101に示すような二次元画像データとしてデータが保存される。メモリ回路12に保存されたデータをコントローラ14に送信し、コントローラ14では、GUIインタフェース(表示装置)20を用いて光ビーム形状などの表示を行う。
【0054】
GUIインタフェース(表示装置)20における表示の例を21に示す。GUIインタフェースでは、光ビームの強度分布に相当する強度の等高線表示1101や強度分布データなどから得られた光ビームの補正データの表示を行う。
【0055】
光ビームデータの補正データの一例としては、回転補正データやレベル(振幅)補正データがある。補正式補正係数の一例を下記に示す。
光ビームの回転補正:
P(θ)=Ax+By …(式1)
x/y…二次元画像のXY座標
A/B…xおよびy方向の補正量(補正係数)
レベル(振幅)補正:
Z(c)=Gz+C …(式2)
z…二次元画像の各ポイントの振幅値
G/C…ゲイン補正係数およびシフト補正量
【0056】
上記の補正データを用いて二次元画像データの各ポイントごとに補正計算を行うことによって、光ビームの回転補正や振幅補正を行う。
【0057】
図15は、二次元の入力データと補正係数の関係を示す図である。入力された二次元画像1501を用いて、光ビームの中心位置のズレ量や半径方向との回転角データなどを算出し、それを補正するためのデータとして補正係数テーブル1502を設ける。補正係数テーブル1502は、ビーム形状を包含する二次元の補正係数データテーブル(メモリ)となっており、それぞれのポイントごとに補正係数k11〜k61、およびk1n〜k6nが格納されている。それぞれの補正係数は係数データ1503のような内容となっている。係数データ1503は、たとえばk11の内容を示すものであり、回転補正(Ax+By)の係数としてA11,B11を、また振幅補正(Gz+C)の係数としてZ11,C11が格納されている。
【0058】
図15で説明した補正係数を用いて、検出された異物や欠陥に対する回転補正や振幅補正を行う。
【0059】
図13は、異物欠陥情報の回転補正を行う方法を示す図である。
【0060】
欠陥位置座標検出回路19によって、欠陥検出信号1302を入力として欠陥1200の座標を検出する。一方、強度分布係数検出回路17−1によって、ビーム強度分布補正データ1301の中から、回転補正を行うためのデータ(図15のAn,Bn)を取り出し、前記欠陥座標検出回路で得られた異物・欠陥座標に相当する回転補正用の係数を取り出し、欠陥位置座標補正回路16で補正演算を行う。欠陥位置座標補正回路によって回転の補正を行うことによって検出された欠陥位置1305が角度θ分だけ補正され真の欠陥位置1306に位置情報が補正され、欠陥検出データ1303が得られる。
【0061】
図14は、異物欠陥情報の振幅補正を行う方法を示す図である。
【0062】
欠陥位置座標検出回路19によって、欠陥検出信号1402を入力として欠陥1200の座標を検出する。一方、強度分布係数検出回路17−2によって、ビーム強度分布補正データ1401の中から、振幅補正を行うためのデータ(図15のZn,Cn)を取り出し、前記欠陥座標検出回路で得られた異物・欠陥座標に相当する振幅補正用の係数を取り出し、ビーム強度補正回路18で補正演算を行う。ビーム強度補正回路によって振幅補正を行うことによって検出された欠陥信号1405の大きさがゲインG分だけ補正され真の欠陥振幅1406に補正され、補正された欠陥検出データ1403となる。
【0063】
なお、照射ビームの形状は、楕円形状ではなくスポット形状であっても良い。
また、検査装置の構成は本実施例には限定されず、検出器は、CCD等の画素を複数有するセンサであっても良いし、楕円球を用いて散乱光を集光する方式を用いても良い。さらに、検査対象はウエハに限定されず、ハードディスク基板等であっても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 ウエハ
2 光源
3 照射光ビーム
4 マルチ光検出器
5 散乱光ビーム形状
6 放射状パターン
7 ビーム強度分布
10 増幅器
11 AD変換器
12 メモリ回路
13 散乱光検出処理回路
14 コントローラ
15 ビームの中心位置座標検出回路
16 欠陥位置補正回路
17 ビーム強度分布係数算出回路
18 ビーム強度補正回路
19 欠陥位置座標検出回路
20 GUIインタフェース
21 GUI表示例
401 R方向波形
601,602,603 散乱光強度二次元画像
701 強度一定照射ビーム
801 光軸補正機構
802 光軸調整制御回路
1200 欠陥
1203 光電子検出器
1205 被検査物体移動ステージ
1208 Zステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を検査する検査装置において、
基板を移動する搬送系と、
前記基板に楕円形状の第1の光を照射する照射光学系と、
前記基板からの第2の光を検出するマルチアノード検出系と、
前記マルチアノード検出系の検出結果を用いて、前記第1の光の光軸を調整する調整部と、を有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、
前記第1の光の長辺方向の長さは、前記搬送系の走査ピッチより長く、
前記マルチアノード検出系の検出素子の長さは、前記第2の光の長辺方向の長さより長いことを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検査装置において、
前記第1の光の強度の分布は、ガウス分布、または半径方向及びθ方向に一定な分布であることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
基板を検査する検査装置において、
基板を移動する搬送系と、
前記基板に楕円形状の第1の光を照射する照射光学系と、
前記基板からの第2の光を検出するマルチアノード検出系と、
前記マルチアノード検出系の検出結果を用いて、前記検出結果の補正を行う補正部と、を有することを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置において、
前記第1の光の長辺方向の長さは、前記搬送系の走査ピッチより長く、
前記マルチアノード検出系の検出素子の長さは、前記第2の光の長辺方向の長さより長いことを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項4に記載の検査装置において、
前記補正部は、
前記第1の光の回転補正、または振幅補正を行うことを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項4に記載の検査装置において、
前記第1の光の強度の分布は、ガウス分布、または半径方向及びθ方向に一定な分布であることを特徴とする検査装置。
【請求項8】
基板を検査する検査方法において、
前記基板に第1の光を照射し、
前記基板からの第2の光を検出し、
前記第2の光の分布を取得し、
前記第2の光の分布に基づいて、前記第1の光の光軸を調整することを特徴とする検査方法。
【請求項9】
基板を検査する検査方法において、
前記基板に第1の光を照射し、
前記基板からの第2の光を検出し、
前記第2の光の分布を取得し、
前記第2の光の分布に基づいて、前記第2の光の検出結果を補正することを特徴とする検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−141184(P2011−141184A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1703(P2010−1703)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】