説明

検索装置、及び、ナビゲーション装置

【課題】 施設を絞り込む際、利用者に提示される施設の属性情報が多くなることを抑制し、属性情報の選択操作に要する時間を短くする。
【解決手段】 ツリー構造をなすように階層化されたジャンル情報を、施設に対応させて記憶しておく。利用者から音声にてキーワードが入力されると(S100)、50音検索を行い(S110)、履歴記憶部に記憶された履歴情報に基づき、検索結果をソートする(S180,S190,S220)。ソートした施設と共にそれら施設の主ジャンルの一覧を表示する(S240)。このとき、施設の主ジャンルの数が予め定められる定数Nを上回っている場合(S230:NO)、階層処理を行い(S250)、異なる主ジャンルを有する複数の施設である対象施設について、当該対象施設の主ジャンルを同一とするように、上位階層のジャンル情報へ主ジャンルを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設検索を行う技術に関し、特にナビゲーション装置の目的地設定等に用いて有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置における検索方法では、施設などを検索する場合、その施設に関するキーワードを入力する。このとき、入力したキーワードにヒットする施設が多くなることがあるため、所望する施設を絞り込むためのジャンルやエリアが表示されるようになっている。つまり、ユーザは、キーワードにヒットした施設を絞り込むために、さらに、施設のジャンルやエリアを選択する必要がある。このとき、ジャンルやエリアの数が多いと、その選択操作に要する時間が長くなってしまう。
【0003】
このような課題を解決するため、目的地等の設定履歴等を参照し、キーワードにヒットする施設を、設定頻度順にリスト表示するナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このナビゲーション装置によれば、キーワードにヒットした施設が設定頻度順に並べて表示されるため、所望する施設を見つけられる可能性が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4569523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、設定履歴が多くなり過ぎ、しかも設定頻度に差がない場合には、絞り込みが上手く機能しないことが起こり得る。そのため、過去数ヶ月(例えば6ヶ月)の設定履歴を参照するという方法も開示されているが、現在に近い過去の履歴だからといって必ずしも有用に機能するとは限らない。
【0006】
絞り込みが上手く機能しない場合には従来と同様に検索された施設をジャンルやエリアといった属性情報で絞り込むことが考えられるが、そもそも検索された施設が多くなれば、属性情報も多岐にわたる虞がある。このような場合、従来と同様、属性情報の選択操作に要する時間が長くなることが懸念される。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、属性情報を選択させることにより当該属性情報で施設を絞り込む際、利用者に提示される属性情報が多くなることを抑制し、属性情報の選択操作に要する時間を短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するためになされた請求項1に記載の検索装置は、施設の検索を可能とするデータベースを備えている。このデータベースには、ツリー構造をなすように階層化された属性情報が施設に対応させて記憶されている。なお、「施設」は、検索対象となる場所の総称であり、例えば観光地なども施設に含まれるものとする。
【0009】
本発明の検索装置では、検索手段が、利用者からの入力情報を検索キーとして、データベースから施設を検索する。また、主属性取得手段が、検索手段にて検索された施設に対応する主属性として当該施設に対応づけられた最下層の属性情報を取得する。
【0010】
ここで特に、属性変更手段は、主属性取得手段にて取得される主属性が予め定められた数を上回った場合、異なる主属性を有する複数の施設である対象施設について、当該対象施設の主属性を同一とするように、ツリー構造を辿って上位階層の属性情報へ主属性を変更する。
【0011】
そして、変更された主属性を含め、検索された施設に対応する主属性の一覧が、属性提示手段によって提示される。
つまり、本発明は、検索された施設が多数になった場合など、属性情報で絞り込むことを前提として、属性情報の提示の仕方を工夫するものである。具体的には、施設に対応する属性情報を、ツリー構造をなすように階層化しておく。このとき、最下層の属性情報が施設に対応する主属性となるのであるが、下位階層の属性情報ほど、その数が多くなる。そこで、複数の施設を対象施設とし、当該対象施設の主属性を同一とするように、上位階層の属性情報へ主属性を変更する。
【0012】
例えば、図4では、「名古屋Aゴルフ」の主属性が「ゴルフ場」となっており、「なごやBゴルフ練習場」の主属性が「ゴルフ練習場」となっている。この2つの施設を対象施設とし、当該対象施設の主属性を同一とするように、上位階層の属性情報「ゴルフ」へ主属性を変更する。これにより、主属性の数を減らすことができる。
【0013】
このようにすれば、属性情報を選択させることにより当該属性情報で施設を絞り込む際、利用者に提示される属性情報が多くなることが抑制され、属性情報の選択操作に要する時間を短くすることができる。
【0014】
なお、属性情報は、図4の例に示すようなジャンル情報であることが考えられる。ただし、ツリー構造をなすように階層化できる情報であればよい。したがって、住所を階層化したエリア情報を採用することもできる。また、過去に検索された施設であれば過去の検索時点の時間帯や曜日などを記憶しておくようにし、当該時間帯や曜日という検索状況を階層化して属性情報としてもよい。この場合、検索時点等で属性情報が更新されることになり、属性情報が動的なものとなる。
【0015】
また、「予め定められた数」とは、主属性の一覧を表示する際、例えばその一覧が一画面に収まる数とすることが考えられる。このようにすれば、例えばスクロールバーを用いて画面をスクロールさせなくてもよいため、属性情報の選択操作に要する時間を短くするという効果が際だつ。
【0016】
ところで、主属性が上位階層の属性情報へ変更される対象施設は、次のようにして決定することが考えられる。
すなわち、請求項2に示すように、属性変更手段は、主属性取得手段にて取得される主属性毎の施設数に基づき、対象施設のうちの少なくとも一つを決定することが考えられる。例えば主属性毎に施設数を求め、当該施設数が相対的に少ない主属性を有する施設を対象施設にするという具合である。このようにすれば、主属性を変更する対象施設を適切に決定することができる。
【0017】
また、請求項3に示すように、属性変更手段は、主属性取得手段にて取得される主属性毎の階層数に基づき、対象施設のうちの少なくとも一つを決定することが考えられる。例えば主属性毎に階層数を求め、当該階層数が相対的に大きな(階層が深い)主属性を有する施設を対象施設にするという具合である。このようにすれば、主属性を変更する対象施設を適切に決定することができる。
【0018】
以上は検索装置の発明として説明してきたが、ナビゲーション装置の発明として実現することもできる。
すなわち、請求項4に示すように、施設が目的地として設定されると、当該施設への誘導経路を算出し、当該誘導経路に沿った案内を行うナビゲーション装置である。このナビゲーション装置も、上述した検索装置と同様のデータベース、検索手段、主属性取得手段、属性変更手段、及び、属性提示手段を備える。このようにすれば、ナビゲーション装置において、属性情報を選択させることにより当該属性情報で施設を絞り込む際、利用者に提示される属性情報が多くなることが抑制され、属性情報の選択操作に要する時間を短くすることができる。
【0019】
このようなナビゲーション装置を前提として、請求項5に示すように、施設に対応する履歴情報を記憶する履歴情報記憶手段をさらに備える構成とすることが考えられる。履歴情報は、目的地として施設が設定されたことを示す設定情報及び、施設へ到達したことを示す到達情報のうち少なくとも一方で構成される。この場合、施設提示手段が、履歴情報記憶手段に記憶される履歴情報に基づき、施設を並べ替えて提示する。このようにすれば、属性情報の選択操作に要する時間を短くできると共に、施設の選択操作に要する時間をも短くすることができる。
【0020】
なお、設定情報には、目的地として施設が設定された回数を示す設定回数が含まれることが考えられる。また、到達情報には、施設へ到達した回数を示す到達回数が含まれることが考えられる。
【0021】
このように履歴情報が記憶される構成であれば、請求項6に示すように、属性変更手段は、主属性取得手段にて取得される主属性毎の施設に対応する履歴情報に基づき、対象施設のうちの少なくとも一つを決定することが考えられる。例えば主属性毎に施設の設定回数や到達回数を求め、当該設定回数や到達回数が相対的に小さな主属性を有する施設を対象施設にするという具合である。このようにすれば、主属性を変更する対象施設を適切に決定することができる。
【0022】
また、上記検索装置と同様、請求項7に示すように、属性変更手段は、主属性取得手段にて取得される主属性毎の施設数に基づき、対象施設のうちの少なくとも一つを決定することが考えられる。また、請求項8に示すように、属性変更手段は、主属性取得手段にて取得される主属性毎の階層数に基づき、対象施設のうちの少なくとも一つを決定することが考えられる。いずれの構成であっても、主属性を変更する対象施設を適切に決定することができる。
【0023】
ところで、上記ナビゲーション装置は、携帯電話機やスマートフォン等、例えばGPS受信機を備える種々の機器として具現化することができる。例えばカーナビゲーション装置として具現化し、請求項9に示すように、車両に搭載されて用いられることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】カーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】施設情報に含まれるジャンル情報を示す説明図である。
【図3】検索表示処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施例の階層処理を示す説明図である。
【図5】第2実施例の階層処理を示す説明図である。
【図6】第3実施例の階層処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、カーナビゲーション装置10の概略構成を示すブロック図である。
カーナビゲーション装置10は、位置検出器21と、操作スイッチ群22と、リモコン装置23と、外部通信機24と、地図データベース25と、表示部26と、音声出力部27と、マイクロフォン28と、履歴記憶部29と、制御部30とを備えている。
【0026】
位置検出器21は、車両の現在地を特定するための構成であり、GPS受信機21a、ジャイロスコープ21b、及び、距離センサ21cを有している。
GPS受信機21aは、GPS(Global Positioning System )用の人工衛星からの電波を受信し、その受信信号を出力する。ジャイロスコープ21bは、車両に加えられる回転運動の大きさを検出する。また、距離センサ21cは、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出する。
【0027】
これら各センサ等21a〜21cからの出力信号に基づき、車両の位置,方位,速度等が算出される。なお、GPS受信機21aからの出力信号に基づいて現在地を求める手法は、単独測位方式、相対測位方式の何れであってもよい。
【0028】
操作スイッチ群22は、ユーザからの各種指示を入力するためのスイッチである。
リモコン装置23は、操作スイッチ群22と同様、ユーザから各種指示を入力するための構成であり、カーナビゲーション装置10とは別体のリモコン23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bとを有している。
【0029】
外部通信機24は、パケット通信網などに接続し外部と通信を行うための構成である。この外部通信機24により、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介し、VICS情報センタから事故情報や渋滞情報等が取得される。
【0030】
地図データベース25は、地図情報や音声データ等を記録する。詳しくは、地図情報(ノード番号、リンク番号、道路の形状データ、道路の幅員データ、道路種別データ、道路番号、道路の規制データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設情報等)、案内用の音声データ、音声認識データ等である。
【0031】
表示部26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は、CRT等で構成することが考えられる。表示部26では、地図や検索画面の表示が行われる。地図画面には、車両の現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路などが重ねて表示される。検索画面には、音声入力画面や検索結果の表示画面がある。
【0032】
音声出力部27は、各種のガイド音声等を出力するための構成であり、地図データベース25から入力した施設情報に基づくガイド音声や、誘導経路に基づく各種の案内音声を出力可能である。
【0033】
マイクロフォン28は、利用者が発話した音声に基づく電気信号を出力する。具体的には、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部30に出力する。利用者はこのマイクロフォン28に様々な音声を入力することにより、カーナビゲーション装置10を音声操作することが可能である。施設検索の際には、このマイクロフォン28を使用して施設に関するキーワードを入力する。
【0034】
履歴記憶部29は、施設に対応する履歴情報を記憶するための構成である。具体的には、目的地として施設が設定された回数である設定回数を含む設定情報及び、施設へ到達した回数である到達回数を含む到達情報を記憶する。
【0035】
設定情報は、目的地設定がなされた時点で記憶される。一方、目的地としての設定がなされても実際にその施設へ行くかどうかは分からないため、施設への実際の到達を示すのが、到達情報である。したがって、到達情報は、目的地として設定された施設への案内が終了した時点で自動的に記憶される。あるいは、到達情報を記憶する旨の指示が利用者から入力された時点でその周辺施設が記憶される。
【0036】
なお、履歴記憶部29は、いわゆるHDDなどとして具現化される。もちろん、メモリスティック等の外部記憶装置であってもよい。
制御部30は、装置全体の制御を司り、CPU,ROM,RAM,SRAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、ROM等に記憶されたプログラムに基づき、後述する検索表示処理をはじめ、各種処理を実行する。
【0037】
各種処理には、経路算出処理が含まれる。経路算出処理では、地図データベース25に記憶された地図情報と操作スイッチ群22等を介して設定された目的地とに基づいて、現在地から目的地までの最適な誘導経路を算出する。
【0038】
また各種処理には、経路案内処理が含まれる。経路案内処理では、表示部26に誘導経路を表示したり音声出力部27に誘導経路に基づく案内音声を出力したりすることにより、経路案内を行う。
【0039】
ここで特に本実施形態では、地図データベース25に地図情報の一部として記憶されている施設情報に特徴を有している。そこで次に施設情報について図2を用いて説明する。なお、本実施形態では、検索対象となる場所をすべて「施設」ということとする。したがって、施設には、観光地なども含まれる。
【0040】
施設情報には、その施設のジャンル情報が含まれる。これにより、施設名称の一部で検索された施設を、ジャンルを選択することによって絞り込むことが可能となる。具体的には、施設名称の一部がキーワードとして音声などで入力されると、検索が行われる。その結果、そのキーワードを含む施設が表示されるのであるが、その際に、当該検索施設のジャンル一覧も表示される。ここで、利用者は、ジャンル一覧からジャンルを選択することにより、検索施設を絞り込むことが可能となる。
【0041】
本実施形態におけるジャンル情報は、ツリー構造をなす階層化されたデータとなっている。図2(a)に示す如くである。例えば第1階層のジャンル「食べる・飲む」には、第2階層のジャンル「レストラン」、「ファミレス」及び「寿司」が付されている。また、第2階層のジャンル「ファミレス」に対し、第3階層のジャンル「ファミレスA」、「ファミレスB」(店名)が付されている。さらにまた、第2階層のジャンル「寿司」に対し、第3階層のジャンル「寿司」、「回転寿司」、「持ち帰り寿司」が付されており、第3階層のジャンル「回転寿司」に対し、第4階層のジャンル「回転寿司A」及び「回転寿司B」(店名)が付されている。
【0042】
そして、施設情報は、このように階層化されたジャンル情報を有するものとなっている。図2(b)に示す如くである。例えば施設情報は、「名古屋Aホテル」に対応する第1階層のジャンル「泊まる」及び第2階層のジャンル「ホテル」を有しているという具合である。また例えば「名古屋A寿司」に対応する第1階層のジャンル「食べる・飲む」、第2階層のジャンル「寿司」、第3階層のジャンル「回転寿司」及び第4階層のジャンル「A寿司」(店名)を有しているという具合である。
【0043】
ここで、各施設の主ジャンルが、階層化されたジャンル情報の最下層のジャンルとなっている。例えば「名古屋Aホテル」の主ジャンルは「ホテル」であり、「なごやA庵」の主ジャンルは「喫茶店」となる。そして、検索結果として「名古屋市役所」、「名古屋Aホテル」、「なごやA庵」及び「名古屋A寿司」が表示される場合、ジャンル一覧として表示されるのは、主ジャンルである「公共施設」、「ホテル」、「喫茶店」、「A寿司」となる。
【0044】
このように階層化されたジャンル情報を有することを前提に、本実施形態は、制御部30にて実行される検索表示処理に特徴を有している。そこで次に、検索表示処理を説明する。図3は、検索表示処理を示すフローチャートである。この検索表示処理は、運転者によってイグニッションキーが操作されてアクセサリー給電位置(ACC)になったとき又はエンジン動作位置(ON)になったときに実行される。
【0045】
最初のS100では、キーワードを入力する。この処理は、マイクロフォン28を介して入力された使用者の音声からキーワードを入力するものである。ここでは、施設名称の少なくとも一部がキーワードとして入力される。
【0046】
続くS110では、50音検索を行う。この処理は、入力されたキーワードを検索キーとして、地図データベース25の中からそのキーワードが含まれる施設を検索するものである。検索結果は、RAM内部で50音順に並べられる。
【0047】
次のS120では、検索結果が得られたか否かを判断する。検索キーに該当するものがあれば、ここで肯定判断される。ここで検索結果が得られたと判断された場合(S120:YES)、S130へ移行する。一方、検索結果が得られなかった場合(S120:NO)、S140にて「該当項目なし」とされて、その後、S230へ移行する。この場合、S240において、該当施設がない旨のメッセージが表示される。
【0048】
S130では、設定情報に含まれる設定回数を取得する。設定回数は、上述したように、施設が目的地として設定された回数である。したがって、この処理は、S110にて検索された各施設について、目的地として設定された回数を履歴記憶部29から読み出すものである。
【0049】
続くS150では、設定回数が取得できたか否かを判断する。この処理は、S130において設定回数が取得されたか否かを判断するものである。つまり、S110にて検索された施設のうちの少なくとも一つが過去に目的地として設定されていれば、ここで肯定判断される。ここで設定回数が取得できたと判断された場合(S150:YES)、S160へ移行する。一方、設定回数が取得できなかったと判断された場合(S150:NO)、S200へ移行する。
【0050】
S160では、到達情報に含まれる到達回数を取得する。到達回数は、上述したように、施設へ到達した回数である。したがって、この処理は、S110にて検索された各施設について、当該施設へ到達した回数を履歴記憶部29から読み出すものである。
【0051】
続くS170では、到達回数が取得できたか否かを判断する。S110にて検索された施設のうちの少なくとも一つへ過去に到達していれば、ここで肯定判断される。ここで到達回数が取得できた判断された場合(S170:YES)、S180へ移行する。一方、到達回数が取得できなかったと判断された場合は(S170:NO)、S190へ移行する。
【0052】
S180では、検索施設を設定回数及び到達回数の合計でソートする。この処理は、50音順に並べられた検索結果を設定回数及び到達回数の合計で並べ直すものである。なお、設定回数及び到達回数の合計が同じになる施設については、設定回数によって順序を決する。
【0053】
到達回数が取得できなかった場合に移行するS190では、検索施設を設定回数でソートする。この処理は、50音順に並べられた検索結果を設定回数で並べ直すものである。
一方、設定回数が取得できなかった場合に移行するS200では、S160と同様に、到達回数を取得する。
【0054】
続くS210では、到達回数が取得できたか否かを判断する。この処理は、S170と同様のものである。ここで到達回数が取得できたと判断された場合(S210:YES)、S220へ移行する。一方、到達回数が取得できなかったと判断された場合(S210:NO)、S220の処理を実行せず、S230へ移行する。この場合、検索施設のソートは行われず、50音順に並べられたままとなる。
【0055】
S220では、検索施設を到達回数でソートする。この処理は、50音順に並べられた検索結果を、到達回数で並べ直すものである。
S230では、検索施設のジャンル数が定数N以下であるか否かを判断する。この処理は、検索された各施設の主ジャンルの合計が定数N以下であるか否かを判断するものである。なお、定数Nは、利用者が絞り込みのためにジャンル選択を行うことを考えると小さいほうが好ましく、例えばジャンル一覧が一画面に収まる数、すなわちジャンル一覧をスクロールして閲覧する必要がない数に設定することが好ましい。ここでジャンル数≦Nである場合(S230:YES)、S240へ移行する。一方、ジャンル数>Nである場合(S230:NO)、S250へ移行する。
【0056】
S240では、結果表示を行う。この処理は、検索された施設の一覧を表示すると共に、当該施設の主ジャンルの一覧を表示するものである。これにより、利用者は、ジャンル選択を行うことによって、さらに、検索施設を絞り込むことが可能となる。
【0057】
S250では、階層処理を行う。この処理は、複数の施設である対象施設を決定し、当該対象施設の主ジャンルを階層化されたジャンル情報の上位階層のジャンルへ変更するものである。ここで対象施設の決定方法を以下に実施例として示す。
【0058】
[第1実施例]
第1実施例では、主ジャンル毎の施設数に基づき、対象施設のうちの少なくとも一つを決定する。
【0059】
例えば図4(a)は、キーワード「名古屋」で検索された施設と、これら施設のジャンル(階層すべて)を示すものである。図4(a)に示すように「名古屋市役所」、「なごやA庵」、「名古屋A寿司」、「名古屋Aゴルフ」、及び、「なごやBゴルフ練習場」などが検索されたものとする。
【0060】
ここで、名古屋市役所の主ジャンルは「公共施設」、なごやA庵の主ジャンルは「喫茶店」、名古屋A寿司の主ジャンルは「A寿司」(店名)、名古屋Aゴルフの主ジャンルは「ゴルフ場」、なごやBゴルフ練習場の主ジャンルは「ゴルフ練習場」となる。
【0061】
これら主ジャンルの一覧を示すのが、図4(b)である。括弧内の数字は、主ジャンル毎の施設数を示している。すなわち、階層処理前は、左欄に示すように、公共施設に属する施設が「10」件、喫茶店に属する施設が「5」件、A寿司に属する施設が「1」件、ゴルフ場に属する施設が「1」件、ゴルフ練習場に属する施設が「1」件となっている。
【0062】
この場合、「A寿司」、「ゴルフ場」、「ゴルフ練習場」に属する施設がそれぞれ1件となっており、当該主ジャンルに属する施設数が少なくなっている。そこで、名古屋Aゴルフの主ジャンル「ゴルフ場」及びなごやBゴルフ練習場の主ジャンル「ゴルフ練習場」を上位階層のジャンル「ゴルフ」へ変更する(図4(a)参照)。
【0063】
これにより図4(b)の右欄に示すように、階層処理後の主ジャンルは、「公共施設」、「喫茶店」、「A寿司」及び「ゴルフ」となり、ジャンル数を減らすことができる。
このようにすれば、主ジャンルの変更対象となる対象施設を適切に決定することができる。
【0064】
[第2実施例]
第2実施例では、主ジャンル毎の階層数に基づき、対象施設のうちの少なくとも一つを決定する。
【0065】
例えば図5(a)は、図4(a)と同様、キーワード「名古屋」で検索された施設の一部と、これら施設のジャンルを示すものである。
施設に対応する主ジャンルの一覧を示すのが、図5(b)である。括弧内の数字は、主ジャンルの階層を示している。すなわち、階層処理前は左欄に示すように、公共施設が第1階層、喫茶店が第2階層、A寿司が第4階層、ゴルフ場が第3階層、ゴルフ練習場が第3階層となっている。
【0066】
この場合、名古屋A寿司の主ジャンル「A寿司」が最も深い階層となっている。そこで、名古屋A寿司の主ジャンル「A寿司」及びなごやA庵の主ジャンル「喫茶店」を上位階層のジャンル「食べる・飲む」へ変更する(図5(a)参照)。
【0067】
これにより図4(b)の右欄に示すように、階層処理後のジャンルは、「公共施設」、「食べる・飲む」、「ゴルフ場」及び「ゴルフ練習場」となり、ジャンル数を減らすことができる。
【0068】
このようにすれば、主ジャンルの変更対象となる対象施設を適切に決定することができる。
[第3実施例]
第3実施例では、主ジャンル毎の施設に対応する履歴情報に基づき、対象施設のうちの少なくとも一つを決定する。
【0069】
例えば図6(a)は、図4(a)及び図5(a)と同様、キーワード「名古屋」で検索された施設の一部と、これら施設のジャンルを示すものである。
施設に対応する主ジャンルの一覧を示すのが、図6(b)である。括弧内の数字は、各ジャンルに属する施設の設定回数及び到達回数の合計を示すものである。すなわち、階層処理前は左欄に示すように、公共施設については「1」、喫茶店については「2」、A寿司については「1」、ゴルフ場については「10」、ゴルフ練習場については「8」となっている。
【0070】
この場合、ジャンル「公共施設」、「喫茶店」及び「A寿司」について見ると、設定回数及び到達回数の合計が小さくなっている。そこで、名古屋A寿司の主ジャンル「A寿司」及びなごやA庵の主ジャンル「喫茶店」を上位階層のジャンル「食べる・飲む」へ変更する(図6(a)参照)。
【0071】
これにより図6(b)の右欄に示すように、階層処理後のジャンルは、「公共施設」、「食べる・飲む」、「ゴルフ場」及び「ゴルフ練習場」となり、ジャンル数を減らすことができる。
【0072】
なお、上述したように、履歴情報(設定回数及び到達回数の合計)は履歴記憶部29に記憶されているため、主ジャンル毎に設定回数及び到達回数を求めることができる。このような主ジャンル毎の設定回数及び到達回数は、S250の処理において求めてもよいし、予め求めて記憶しておくようにしてもよい。
【0073】
このようにすれば、主ジャンルの変更対象となる対象施設を適切に決定することができる。
以上詳述したように本実施形態では、地図データベース25中の施設情報に、ツリー構造をなすように階層化されたジャンル情報が施設に対応させて記憶されている。ここで、利用者から音声にてキーワードが入力されると(図3中のS100)、50音検索が行われ(S110)、履歴記憶部29に記憶された履歴情報に基づき、検索結果がソートされる(S180,S190,S220)。そして、検索結果である施設と共にそれら施設の主ジャンルの一覧が表示される(S240)。
【0074】
ここで特に、検索結果となる施設の主ジャンルの数が予め定められる定数Nを上回っている場合(S230:NO)、階層処理が行われる(S250)。この階層処理では、異なる主ジャンルを有する複数の施設である対象施設について、当該対象施設の主ジャンルを同一とするように、上位階層のジャンル情報へ主ジャンルが変更される。
【0075】
これにより、ジャンル情報を利用者に選択させることにより当該ジャンル情報で施設を絞り込む際、利用者に表示されるジャンル情報(主ジャンルの数)が多くなることが抑制され、ジャンル情報の選択操作に要する時間を短くすることができる。
【0076】
このとき、予め定められた定数Nは、主ジャンルの一覧を表示する際、例えばその一覧が一画面に収まるような数とすることが考えられる。このようにすれば、例えばスクロールバーを用いて画面をスクロールさせなくてもよいため、ジャンル情報の選択操作に要する時間を短くするという効果が際だつ。
【0077】
また、本実施形態では、施設に対応する履歴情報(設定情報及び到達情報)を記憶する履歴記憶部29を備えている。そして、検索表示処理において、設定情報に含まれる設定回数を取得する(図3中のS130)。また、到達情報に含まれる到達回数を取得する(S160,S200)。そして、設定回数及び到達回数の少なくとも一方で施設を並べ替える(S180,S190,S220)。これにより、ジャンル情報の選択操作に要する時間を短くできると共に、施設の選択操作に要する時間をも短くすることができる。
【0078】
なお、本実施形態における地図データベース25が特許請求の範囲の「データベース」を構成し、ジャンル情報が「属性情報」に相当する。また、本実施形態における制御部30が特許請求の範囲における「検索手段」、「主属性取得手段」、「属性変更手段」及び「属性提示手段」を構成し、履歴記憶部29が「履歴情報記憶手段」を構成する。
【0079】
さらに、図3中のS110の処理が「検索手段」の機能としての処理に相当し、S250の処理が「主属性取得手段」及び「属性変更手段」の機能としての処理に相当し、S240の処理が「属性提示手段」の機能としての処理に相当する。
【0080】
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されることなく、その技術的範囲を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施できる。
(イ)上記実施形態では階層化されたジャンル情報を施設の属性情報としているが、属性情報は、ツリー構造をなすように階層化できる情報であればよい。したがって、住所を階層化したエリア情報を採用することもできる。また、過去に検索された施設であれば過去の検索時点の時間帯や曜日などを記憶しておくようにし、当該時間帯や曜日という検索状況を階層化して属性情報としてもよい。この場合、検索時点等で属性情報が更新されることになり、属性情報が動的なものとなる。
【0081】
(ロ)上記実施形態ではカーナビゲーション装置10として発明を具現化しているが、ナビゲーション機能を有する携帯電話機やスマートフォンとして具現化することも考えられる。
【0082】
(ハ)上記実施形態では、マイクロフォン28を使用して施設に関するキーワードを入力するものとした。これに対し、操作スイッチ群22やリモコン23aなどを用いて、施設に関するキーワードを入力してもよい。つまり、施設に関するキーワードは、何らかの入力手段にて入力されるものとすればよい。
【符号の説明】
【0083】
10…カーナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、23…リモコン装置、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…外部通信機、25…地図データベース、26…表示部、27…音声出力部、28…マイクロフォン、29…履歴記憶部、30…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の検索を可能とし、ツリー構造をなすように階層化された属性情報を施設に対応させて記憶するデータベースと、
利用者からの入力情報を検索キーとして前記データベースから施設を検索する検索手段と、
前記検索手段にて検索された施設に対応する主属性として当該施設に対応づけられた最下層の属性情報を取得する主属性取得手段と、
前記主属性取得手段にて取得される前記主属性が予め定められた数を上回った場合、異なる主属性を有する施設である対象施設について、当該対象施設の主属性を同一とするように、前記ツリー構造を辿って上位階層の属性情報へ主属性を変更する属性変更手段と、
前記属性変更手段にて変更された主属性を含め、前記検索された施設に対応する主属性の一覧を提示する属性提示手段と、
を備えていることを特徴とする検索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検索装置において、
前記属性変更手段は、前記主属性取得手段にて取得される主属性毎の施設数に基づき、前記対象施設のうちの少なくとも一つを決定すること
を特徴とする検索装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検索装置において、
前記属性変更手段は、前記主属性取得手段にて取得される主属性毎の階層数に基づき、前記対象施設のうちの少なくとも一つを決定すること
を特徴とする検索装置。
【請求項4】
施設が目的地として設定されると、当該施設への誘導経路を算出し、当該誘導経路に沿った案内を行うナビゲーション装置であって、
施設の検索を可能とし、ツリー構造をなすように階層化された属性情報を施設に対応させて記憶するデータベースと、
利用者からの入力情報を検索キーとして前記データベースから施設を検索する検索手段と、
前記検索手段にて検索された施設に対応する主属性として当該施設に対応付けられた最下層の属性情報を取得する主属性取得手段と、
前記主属性取得手段にて取得される前記主属性が予め定められた数を上回った場合、異なる主属性を有する複数の施設である対象施設について、当該対象施設の主属性を同一とするように、前記ツリー構造を辿って上位階層の属性情報へ主属性を変更する属性変更手段と、
前記属性変更手段にて変更された主属性を含め、前記検索された施設に対応する主属性の一覧を提示する属性提示手段と、
を備えていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、さらに、
前記目的地として前記施設が設定されたことを示す設定情報及び前記施設へ到達したことを示す到達情報のうち少なくとも一方を施設に対応する履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、
前記履歴情報記憶手段に記憶される前記履歴情報に基づき、前記施設を並べ替えて提示する施設提示手段と、
を備えていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記属性変更手段は、前記主属性取得手段にて取得される主属性毎の前記施設に対応する履歴情報に基づき、前記対象施設のうちの少なくとも一つを決定すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項4又は5に記載のナビゲーション装置において、
前記属性変更手段は、前記主属性取得手段にて取得される主属性毎の施設数に基づき、前記対象施設のうちの少なくとも一つを決定すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項4又は5に記載のナビゲーション装置において、
前記属性変更手段は、前記主属性取得手段にて取得される主属性毎の階層数に基づき、前記対象施設のうちの少なくとも一つを決定すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項4〜8の何れか一項に記載のナビゲーション装置において、
車両に搭載されて用いられること
を特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−47649(P2013−47649A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186250(P2011−186250)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】