構造物の状態検出装置とその状態検出システム及び埋設物
【課題】安価で簡単に構造物の状態を検出することができるとともにこの検出結果を確実に送信することができる構造物の状態検出装置とその状態検出システム及び埋設物を提供する。
【解決手段】検出装置3は、構造物Bの状態を埋設状態で検出する装置であり、構造物Bの鉄筋S1の状態を検出する。検出装置3は、構造物Bの歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージ3aを備えている。無線タグ4は、検出装置3の検出結果を埋設状態で送信する装置であり、電源となる電池などを備えておらず、リーダライタ装置側から供給される電力を電源として動作する。無線タグ4は、コンクリートC1の表面から鉄筋S1の表面までのかぶりコンクリート内に埋め込まれている。制御部4bは、歪みゲージ3aの抵抗値を測定してこの測定結果をアンテナ部4aからリーダライタ装置に送信する。
【解決手段】検出装置3は、構造物Bの状態を埋設状態で検出する装置であり、構造物Bの鉄筋S1の状態を検出する。検出装置3は、構造物Bの歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージ3aを備えている。無線タグ4は、検出装置3の検出結果を埋設状態で送信する装置であり、電源となる電池などを備えておらず、リーダライタ装置側から供給される電力を電源として動作する。無線タグ4は、コンクリートC1の表面から鉄筋S1の表面までのかぶりコンクリート内に埋め込まれている。制御部4bは、歪みゲージ3aの抵抗値を測定してこの測定結果をアンテナ部4aからリーダライタ装置に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート構造物の状態を検出する構造物の状態検出装置とその状態検出システム、及び検出対象部の状態を検出する検出装置を備える埋設物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートなどの構造物の劣化によるひび割れなどの点検では、目に見える箇所では定期的な目視点検があり、目で見えない箇所では高価な設備である超音波による非破壊検査などが行われている。このため、高価な超音波による非破壊検査に代えて、無線タグを利用した構造物の損傷検知装置が提案されている。
【0003】
従来の構造物の状態検出装置は、電磁波信号の変復調及び直流電源を生成するRFアナログ回路と、チップ動作制御を行う論理回路と、歪みを測定する歪みセンサ回路と、この歪みセンサ回路の出力信号を増幅する増幅回路とを含む電子回路が形成された単結晶シリコン基板と、外部から照射される電磁波によって発電してこの電子回路に電力を供給する電源回路とを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の構造物の状態検出装置では、歪みセンサを基板上にその他の回路とともに一体構造にしたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術が利用されており、リード線による結線を必要とせず、非接触で測定が可能である。
【0004】
【特許文献1】特開2006-029931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の構造物の状態検出装置では、歪みセンサ回路とRFアナログ回路とが一体であるため構造が簡素になる。しかし、従来の構造物の状態検出装置では、歪みを測定する箇所に設置する必要があり、測定箇所がコンクリートなどの構造物の埋設部や地下構造物の埋設部などであるときには、測定結果をRFアナログ回路から外部に送信することができない問題点がある。
【0006】
この発明の課題は、安価で簡単に構造物の状態を検出することができるとともにこの検出結果を確実に送信することができる構造物の状態検出装置とその状態検出システム及び埋設物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1、図3、図4、図11、図18、図20、図22及び図23に示すように、コンクリート構造物(B)の状態を検出する構造物の状態検出装置であって、前記構造物の状態を埋設状態で検出する検出装置(3;3X〜3Z)と、前記検出装置の検出結果を埋設状態で送信する無線タグ(4)とを備える構造物の状態検出装置(2)である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構造物の状態検出装置において、図2、図3、図10、図11及び図14に示すように、前記無線タグは、前記検出装置の検出結果を送信するアンテナ部(4a)を備え、前記アンテナ部は、外部から受信した電波によって発生する誘導起電力を前記検出装置に供給することを特徴としている構造物の状態検出装置である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の構造物の状態検出装置において、図17及び図18に示すように、前記無線タグは、前記検出装置に電力を供給する電源部(4g)と、前記検出装置が所定のタイミングに検出動作を開始するように、前記電源部からこの検出装置への前記電力の供給動作を制御する制御部(4b)と、前記検出装置の検出結果を送信するアンテナ部(4a)とを備えることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図3、図4、図11、図18、図20及び図22に示すように、前記検出装置は、前記構造物の鉄筋(S1)の状態を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構造物の状態検出装置において、図4に示すように、前記検出装置は、検出感度方向が前記鉄筋の長さ方向と一致するように、この鉄筋の長さ方向に沿って複数配置されていることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の構造物の状態検出装置において、図20に示すように、前記検出装置は、杭頭部(B41)の鉄筋の状態を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図23及び図24に示すように、前記検出装置は、前記構造物のコンクリート(C1)の状態を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7に記載の構造物の状態検出装置において、前記検出装置は、検出感度方向がそれぞれ異なるように、前記コンクリート内に複数配置されていることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載の構造物の状態検出装置において、前記検出装置は、検出感度方向がそれぞれX軸、Y軸及びZ軸方向になるように、前記コンクリート内に3つ配置されていることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0016】
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9に記載の構造物の状態検出装置において、図24に示すように、前記検出装置は、前記構造物のコンクリートの表面に沿ってこの構造物の鉄筋から進展する亀裂(W1)を検出する第1の検出装置(3X)と、前記コンクリートの表面に向かって前記鉄筋から進展する亀裂(W2)を検出する第2の検出装置(3Y)とを備えることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0017】
請求項11の発明は、請求項2の発明は、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図22に示すように、前記検出装置は、前記構造物の基部(B21,B22,B51)の状態を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0018】
請求項12の発明は、請求項11に記載の構造物の状態検出装置において、前記検出装置は、橋梁の柱基部(B21,B22)又は橋台基部(B51)の状態を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0019】
請求項13の発明は、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図2、図3、図10、図11、図14、図17及び図18に示すように、前記検出装置は、前記構造物の歪みを検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0020】
請求項14の発明は、請求項13に記載の構造物の状態検出装置において、前記検出装置は、前記構造物の歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージ(3a)を備えることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0021】
請求項15の発明は、請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図10、図11、図14、図17及び図18に示すように、前記検出装置は、前記構造物の温度を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0022】
請求項16の発明は、請求項15に記載の構造物の状態検出装置において、前記検出装置は、前記構造物の温度に応じて起電力が変化する熱電対(3e)を備えることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0023】
請求項17の発明は、請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図14、図17及び図18に示すように、前記無線タグは、前記検出装置の検出結果を記憶する記憶部(4f)を備えることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0024】
請求項18の発明は、請求項17に記載の構造物の状態検出装置において、図16に示すように、前記記憶部は、前記構造物の施工完了直後の前記検出装置の検出結果を記憶(S170)することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0025】
請求項19の発明は、請求項17又は請求項18に記載の構造物の状態検出装置において、図16に示すように、前記記憶部は、前記検出装置の過去の検出結果を更新してこの検出装置の最新の検出結果を記憶(S170)することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0026】
請求項20の発明は、図2、図10、図14及び図17に示すように、コンクリート構造物(B)の状態を検出する構造物の状態検出システムであって、請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置(2)と、前記検出装置の検出結果を前記無線タグ(4)から受信するリーダライタ装置(6)とを備える構造物の状態検出システム(1)である。
【0027】
請求項21の発明は、請求項20に記載の構造物の状態検出システムにおいて、前記検出装置の検出結果に基づいて前記構造物の損傷状態を評価する評価装置(7)を備えることを特徴とする構造物の状態検出システムである。
【0028】
請求項22の発明は、請求項21に記載の構造物の状態検出システムにおいて、前記評価装置は、前記検出装置が前記構造物の歪みと温度とを検出したときに、前記温度に基づいて前記歪みを補正し、補正後の前記歪みに基づいて前記構造物の損傷状態を評価することを特徴とする構造物の状態検出システムである。
【0029】
請求項23の発明は、図25に示すように、検出対象部(S1,C1)の状態を検出する検出装置(3)を備える埋設物であって、前記検出装置は、前記検出対象部の状態を送信する無線タグ(4)に信号線(5)を通じて接続可能であることを特徴とする埋設物(S2)である。
【0030】
請求項24の発明は、請求項23に記載の埋設物において、前記検出装置は、前記検出対象部が前記構造物の鉄筋(S1)であるときにこの鉄筋の状態を検出することを特徴とする埋設物である。
【0031】
請求項25の発明は、請求項23又は請求項24に記載の埋設物において、前記検出装置は、前記検出対象部が前記構造物のコンクリート(C1)であるときにこのコンクリートの状態を検出することを特徴とする埋設物である。
【0032】
請求項26の発明は、請求項23から請求項25までのいずれか1項に記載の埋設物において、前記検出装置は、前記検出対象部の歪みを検出することを特徴とする埋設物である。
【0033】
請求項27の発明は、請求項26に記載の埋設物において、前記検出装置は、前記検出対象部の歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージ(3a)を備えることを特徴とする埋設物である。
【発明の効果】
【0034】
この発明によると、安価で簡単に構造物の状態を検出することができるとともにこの検出結果を確実に送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの使用状態を概略的に示す模式図である。
図1に示す構造物Bは、状態検出システム1によって状態が検出される検出対象物であり、車両Vが走行する軌道Rの下部に空間を確保して、列車の荷重を支持する橋梁などの固定構造物である。構造物Bは、例えば、都市部などで路面交通などと立体化を図るために、都市鉄道又は新幹線などの一定区間を橋梁構造にして軌道Rを連続的に高架にする高架橋である。図1に示す構造物Bは、例えば、鉄筋コンクリート構造(RC構造)を主体とするラーメン高架橋などのコンクリート構造物であり、桁B1と、柱B2と、フーチングB3と、杭基礎B4などを備えている。地盤Gは、構造物Bの基礎を支える地面である。
【0036】
桁B1は、軌道Rを支持して路盤(基盤)として機能する部分であり、場所打ちコンクリートによって施工され水平方向に配置されるPC桁などである。柱B2は桁B1を支持する部分であり、場所打ちコンクリートによって所定の間隔をあけて施工され鉛直方向に配置される鉄筋コンクリート柱などの橋脚である。フーチングB3は、柱B2から荷重を受ける部分であり、場所打ちコンクリートによって施工された版状の構造物である。フーチングB3は、杭基礎B4の杭頭部に連結されており柱B2からの荷重を杭基礎B4に伝達する。杭基礎B4は、構造物Bを支持するための基礎部分であり、フーチングB3からの荷重を地盤Gに伝達する。杭基礎B4は、例えば、掘削機械によって掘削された所定の深さの穴の中に、鉄筋かごを挿入しコンクリートを打ち込んで構築された場所打ちコンクリート杭である。
【0037】
コンクリートC1は、砂、砂利、砕石などの骨材、水硬性セメント及び水を適当な割合で配合しこれらを練り混ぜて一体硬化させた部材である。鉄筋S1は、コンクリートC1内に埋め込まれてこのコンクリートC1を補強するための鋼材である。鉄筋S1は、断面が異形の棒鋼(異形鉄筋)又は断面が円形の棒鋼(丸鋼)などである。図1に示す鉄筋S1は、コンクリートC1との付着性を向上させるために、長さ方向に所定の間隔をあけてリブ又は節などの突起が外周面に形成された異形鉄筋である。
【0038】
軌道Rは、車両Vが走行する通路(線路)である。車両Vは、軌道Rに沿って構造物B上を走行する電車又は気動車などの鉄道車両である。利用者Mは、構造物Bを監視、保守又は検査する作業者である。
【0039】
図2は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。図4は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の設置状態を概略的に示すブロック図である。
図1及び図2に示す状態検出システム1は、構造物Bの状態を検出するシステムであり、図2に示すように状態検出装置2と、リーダライタ装置6と、評価装置7と、通信装置8などを備えている。状態検出システム1は、構造物Bの状態を状態検出装置2によって検出し、この状態検出装置2の検出結果をリーダライタ装置6によって受信し、評価装置7によってこの検出結果を解析して構造物Bの状態を評価する。
【0040】
状態検出装置2は、構造物Bの状態を検出する装置であり、図2及び図3に示すように検出装置3と、無線タグ4と、信号線5などを備えている。状態検出装置2は、構造物Bの状態を検出装置3によって検出し、この検出装置3の検出結果を図2に示すリーダライタ装置6に無線タグ4によって送信する。状態検出装置2は、例えば、通常、左右4本(合計8本)の柱B2が桁B1を支持するラーメン高架橋の場合には、地震発生時に損傷を受け易い両端の4本の柱B2に配置することが好ましい。
【0041】
検出装置3は、構造物Bの状態を埋設状態で検出する装置であり、図3及び図4に示すように構造物Bの鉄筋S1の状態を検出する。検出装置3は、図4に示すように、検出感度方向が鉄筋S1の長さ方向と一致するように、この鉄筋S1の長さ方向に沿って複数配置されている。図1に示す検出装置3は、図1に示すように、構造物Bの柱B2に設置されておりこの構造物Bの歪みを検出する。検出装置3は、例えば、鉄筋S1の曲がりを検出可能なように、鉄筋S1の長さ方向に沿ってこの鉄筋S1の両側又は片側に複数並べて配置されている。検出装置3は、セメントのアルカリ分や酸に侵食されずに長寿命を確保するために、耐候性を有する合成樹脂などのコーティング材によって被覆されている。検出装置3は、図2及び図3に示すように、構造物Bの歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージ3aを備えている。歪みゲージ3aは、図3に示すように、コンクリートC1を打設する前に鉄筋S1の外周部に接着剤などによって固定される薄板状の絶縁性基板(ベース)3bと、この絶縁性基板3bに接着剤などによって固定される金属抵抗線3cと、この金属抵抗線3cの両端部にそれぞれ接続された引出し導線3dなどを備えている。歪みゲージ3aは、鉄筋S1の伸縮に応じて金属抵抗線3cが伸縮し電気抵抗値が変化するように、この金属抵抗線3cの長さ方向(検出感度方向)が鉄筋S1の長さ方向と一致するように配置されている。
【0042】
図2及び図3に示す無線タグ4は、検出装置3の検出結果を埋設状態で送信する装置である。無線タグ4は、例えば、無線ICタグ、IDタグ、RFID(Radio Frequency Identification)、RFタグ、電子タグなどであり、図2及び図3に示すようにアンテナ部4aと、制御部4bと、記憶部4cと、インタフェース部4dと、被覆部4eなどを備えている。図2及び図3に示す無線タグ4は、電源となる電池などを備えておらず、リーダライタ装置6側から供給される電力を電源として動作するパッシブ型タグである。無線タグ4は、図3及び図4に示すように、コンクリートC1の表面から鉄筋S1の表面までのかぶりコンクリート内に埋め込まれており、このかぶりコンクリートは通常30〜50mm程度の厚さで形成されている。無線タグ4は、通常、コンクリートC1内を電波が伝播し埋設状態で外部と通信可能なように、例えばコンクリートC1の表面から10cm程度以内の深さに埋設されている。無線タグ4は、例えば、コンクリートC1を打設する前に、鉄筋S1の表面に接着又は縛り付けて固定されている。無線タグ4は、型枠に貼り付けられた状態でコンクリートC1が打設されたときには、コンクリートC1の表面から露出した状態で埋設されており、型枠との間に介在物を挟み込み固定した状態でコンクリートC1が打設されたときには、コンクリートC1内に埋没した状態で埋設される。無線タグ4の設置箇所には、図1に示すリーダライタ装置6を使用して利用者Mが外部から通信する際の目安となるような指標が構造物Bの表面に表示されている。
【0043】
図2及び図3に示すアンテナ部4aは、検出装置3の検出結果を送信する部分であり、外部から受信した電波によって発生する誘導起電力を検出装置3に供給する。アンテナ部4aは、図2に示すように、リーダライタ装置6側のアンテナ部6aとの間で通信可能である。アンテナ部4aは、図2に示すアンテナ部6aのアンテナ線との間の電磁誘導作用によってリーダライタ装置6側からアンテナ線に電力が供給される。
【0044】
図2及び図3に示す制御部4bは、無線タグ4側の種々の動作を制御する部分である。制御部4bは、情報を送受信する送受信制御部として機能し、アンテナ部4aが供給する電力を電源として動作する。制御部4bは、無線タグ4の種々の動作を制御する制御プログラムに従って一連の処理を実行する。制御部4bは、例えば、記憶部4cから読み出した固有ID情報をアンテナ部4aからリーダライタ装置6に送信させたり、歪みゲージ3aの抵抗値を測定してこの測定結果を検出結果情報としてアンテナ部4aからリーダライタ装置6に送信させたりする。制御部4bは、アンテナ部4a、記憶部4c及びインタフェース部4dと通信可能なように接続されている。
【0045】
記憶部4cは、種々の情報を記憶する部分である。記憶部4cは、構造物Bに関する種々の情報を記憶するとともに、無線タグ4側の種々の動作を制御部4bに実行させる制御プログラムを記憶している。記憶部4cは、各検出装置3の設置場所などを特定するための識別番号を固有ID情報として記憶しており、制御部4bとともに大規模集積回路(LSI)のICチップを構成している。記憶部4cは、例えば、A線のB駅から上り線側C番目の柱B2の高さ方向の中間部のように、検出装置3の設置場所を特定するための固有ID情報を記憶している。
【0046】
インタフェース部4dは、検出装置3と無線タグ4との間で種々の情報を入出力させる部分である。インタフェース部4dは、検出装置3と制御部4bとを接続しこれらの間で種々の情報を入出力させるインタフェース(I/O)回路であり、検出装置3に出力信号(電気信号)を増幅する増幅回路と、この増幅回路が出力する電気信号(アナログ信号)をディジタル信号に変換するA/D変換回路などを備えている。
【0047】
図3に示す被覆部4eは、アンテナ部4a、制御部4b、記憶部4c及びインタフェース部4dを被覆する部分である。被覆部4eは、例えば、ガラス又はプラスチックなどの誘電体によって内部を絶縁しており、セメントのアルカリ分や酸による侵食を防ぐために耐候性を有する合成樹脂などのコーティング材によってアンテナ部4a、制御部4b、記憶部4c及びインタフェース部4dなどを被覆し保護している。
【0048】
図2〜図4に示す信号線5は、検出装置3と無線タグ4とを接続する部分である。信号線5は、検出装置3とインタフェース部4dとの間に電流が流れるようにこれらを電気的に接続しておりコンクリートC1内に配線されるリード線などである。信号線5は、一方の端部が歪みゲージ3aの引出し導線3dに接続されており、他方の端部がインタフェース部4dに接続されている。信号線5は、検出装置3及び無線タグ4と同様に被覆材によって被覆され保護されている。
【0049】
図2に示すリーダライタ装置6は、無線タグ4との間で相互に無線通信する装置であり、検出装置3の検出結果を無線タグ4から受信する。リーダライタ装置6は、固有ID情報及び検出結果情報を無線タグ4から読み取るとともに、無線タグ4に電波(電磁波)を送信して無線タグ4のアンテナ部4aに誘導起電力を発生させる。リーダライタ装置6は、図2に示すように、アンテナ部6aと、入力部6bと、記憶部6cと、電源部6dと、インタフェース部6eと、表示部6fと、制御部6gなどを備えている。
【0050】
アンテナ部6aは、検出装置3の検出結果を受信する部分である。アンテナ部6aは、無線タグ4側のアンテナ部4aとの間で相互に通信可能である。アンテナ部6aは、固有ID情報及び検出結果情報の送信要求をキャリア波とともにアンテナ部4aに送信する変調器と、アンテナ部4aからのキャリア波を受信して固有ID情報及び検出結果情報を抽出する復調器と、アンテナ部6a側のアンテナ線との間で通信可能なアンテナ線などを備えている。
【0051】
入力部6bは、リーダライタ装置6に種々の情報を入力する部分である。入力部6bは、例えば、固有ID情報の送信要求や検出結果情報の送信要求を無線タグ4に指令するときに利用者Mが操作する入力装置である。入力部6bは、利用者Mが入力した情報を制御部6gに出力する。入力部6bは、例えば、任意の操作項目を利用者Mが選択するタッチパネル式のスイッチなどである。
【0052】
図5は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムにおけるリーダライタ装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
図2に示す記憶部6cは、種々の情報を記憶する部分である。記憶部6cは、検出装置3毎に検出結果情報を記憶するとともに、リーダライタ装置6側の種々の動作を制御部6gに実行させる制御プログラムを記憶している。記憶部6cは、例えば、無線タグ4側から受信した固有ID情報及び検出結果情報を記憶するメモリなどである。記憶部6cは、例えば、図5に示すように、各検出装置3の固有ID情報I1,…,INを記憶するとともに、各検出装置3が検出動作したときの年月日及び時刻に関する検出時間情報D11,…,DN1と、各検出装置3の歪みゲージ3aの抵抗値に関する抵抗値情報R11,…,RN1などを検出結果情報として記憶する。
【0053】
図2に示す電源部6dは、リーダライタ装置6に電力を供給する部分である。電源部6dは、例えば、リーダライタ装置6に着脱自在に装着され交換可能な電池などであり、図示しない電源スイッチを利用者MがON操作することによってリーダライタ装置6に電力の供給を開始する。
【0054】
インタフェース部6eは、リーダライタ装置6と外部装置との間で種々の情報を入出力させる部分である。インタフェース部6eは、コンピュータ又は各種コントローラなどの外部装置とリーダライタ装置6とを接続しこれらの間で種々の情報を入出力させるインタフェース(I/O)回路である。
【0055】
表示部6fは、種々の情報を表示する部分である。表示部6fは、例えば、インタフェース部7aから入力した固有ID情報及び検出結果情報を画面上に表示したり、入力部6bによって利用者Mが選択する操作項目などを画面上に表示したりする表示装置である。
【0056】
制御部6gは、リーダライタ装置6側の種々の動作を制御する部分である。制御部6gは、リーダライタ装置6の動作を制御する制御プログラムに従って一連の処理を実行する。制御部6gは、例えば、アンテナ部4aが受信した固有ID情報及び検出結果を記憶部6cに記憶させたり、固有ID情報及び検出結果情報を記憶部6cから読み出してインタフェース部6eから出力させたりする。制御部6gは、アンテナ部6a、入力部6b、記憶部6c、電源部6d、インタフェース部6e及び表示部6fと通信可能なように接続されている。
【0057】
評価装置7は、検出装置3の検出結果を評価する装置である。評価装置7は、リーダライタ装置6が無線タグ4から読み取った検出結果情報に基づいて構造物Bの損傷状態を評価する。評価装置7は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成されており、構造物Bの状態を評価するための評価プログラムに従って所定の処理を実行する。評価装置7は、図2に示すように、インタフェース部7aと、入力部7bと、記憶部7cと、評価部7dと、表示部7eと、制御部7fなどを備えている。
【0058】
インタフェース部7aは、評価装置7と外部装置との間で種々の情報を入出力させる部分である。インタフェース部7aは、リーダライタ装置6と評価装置7とを接続しこれらの間で種々の情報を入出力させるインタフェース(I/O)回路である。インタフェース部7aは、例えば、リーダライタ装置6の記憶部6cが記憶する固有ID情報及び検出結果情報を評価装置7に入力させる。
【0059】
入力部7bは、評価装置7に種々の情報を入力する部分である。入力部7bは、例えば、固有ID情報の送信要求や検出結果情報の送信要求をリーダライタ装置6に指令するときに利用者Mが操作するキーボードなどの入力装置である。入力部7bは、利用者Mが入力した種々の情報を制御部7fに出力する。
【0060】
図6は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
記憶部7cは、種々の情報を記憶する部分である。記憶部7cは、例えば、リーダライタ装置6から入力した固有ID情報及び検出結果情報を記憶するメモリである。記憶部7cは、検出装置3毎の検出結果情報を過去から現在に至るまでの検出結果履歴として記憶している。記憶部7cは、例えば、図6に示すように、固有ID情報I1,…,IN毎に検出時間情報D11,…,D1nと抵抗値情報R11,…,R1nとを検出結果情報として時系列順に記憶している。
【0061】
図2に示す評価部7dは、検出装置3の検出結果に基づいて構造物Bの損傷状態を評価する部分である。評価部7dは、歪みゲージ3aの抵抗値を評価プログラムに従って測定し、この測定結果に基づいて構造物Bの損傷状態を評価する。評価部7dは、図6に示すように、過去から現在に至るまでの歪みゲージ3aの抵抗値情報R11,…,R1nに基づいて鉄筋S1の歪みを演算し、この演算結果に基づいて鉄筋S1の損傷状態を評価する。評価部7dは、歪みが所定のしきい値を超えたときには鉄筋S1の損傷状態が進行し鉄筋S1が危険な状態であると評価する。また、評価部7dは、構造物Bの鉄筋S1の損傷状態を複数レベルで評価してこの構造物Bが異常な状態であるか否かを評価したりする。例えば、評価部7dは、構造物Bの鉄筋S1の損傷状態を安全(レベルA)、注意(レベルB)及び危険(レベルC)の三段階に分けて評価する。評価部7dは、歪みゲージ3aの抵抗値が徐々に変化して所定のしきい値を超えたときには構造物Bが損傷状態であると評価する。さらに、評価部7dは、歪みゲージ3aの抵抗値が無限大になり通電状態から非通電状態に変化したときには、構造物Bの亀裂が進展して歪みゲージ3aが切断状態になり、構造物Bが極めて危険な状態であると評価する。評価部7dは、これらの評価結果を評価結果情報として制御部7fに出力する。
【0062】
表示部7eは、評価装置7に種々の情報を表示する部分である。表示部7eは、例えば、評価部7dの評価結果を画面上に表示したり、構造物Bの損傷状態を利用者Mに知らせるための警告を画面上に表示したり、無線タグ4から読み出した固有ID情報及び検出結果情報を画面上に表示したりする表示装置である。
【0063】
制御部7fは、評価装置7側の種々の動作を制御する部分である。制御部7fは、例えば、インタフェース部7aから入力した固有ID情報及び検出結果情報を記憶部7cに記憶させたり、検出装置3の検出結果を評価部7dに評価させたり、評価部7dの評価結果を記憶部7cに記憶させたり、記憶部7cが記憶する固有ID情報、検出結果情報及び評価結果情報を表示部7eに表示させたりする。制御部7fは、インタフェース部7a、入力部7b、記憶部7c、評価部7d及び表示部7eと通信可能なように接続されている。
【0064】
通信装置8は、リーダライタ装置6と評価装置7とを相互に通信可能に接続する装置である。通信装置8は、例えば、リーダライタ装置6側のインタフェース部6eと評価装置7側のインタフェース部7aとを接続する信号線又は電気通信回線などである。
【0065】
次に、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明する。
図7は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。
図7に示すステップ(以下、Sという)100において、無線タグ4がリーダライタ装置6から送信要求を受信する。図1に示すリーダライタ装置6の入力部6bを利用者Mが操作して送信要求が選択されると、図2に示すリーダライタ装置6のアンテナ部6aから無線タグ4のアンテナ部4aに電磁波が送信されて、無線タグ4のアンテナ部4aがこの電磁波を受信する。
【0066】
S110において、無線タグ4が起動する。リーダライタ装置6のアンテナ部6aが送信する電波を無線タグ4のアンテナ部4aが受信すると、アンテナ部4aに電力が供給されて無線タグ4が起動を開始する。その結果、制御プログラムを記憶部4cから制御部4bが読み出してこの制御プログラムに従って一連の処理を実行する。
【0067】
S120において、固有ID情報の送信要求を受信したか否かを制御部4bが判断する。アンテナ部4aが受信した電波から固有ID情報の送信が要求されていると制御部4bが判断したときにはS130に進み、アンテナ部4aが受信した電波から固有ID情報の送信が要求されていないと制御部4bが判断したときには一連の動作を終了する。
【0068】
S130において、アンテナ部4aがアンテナ部6aに固有ID情報を送信する。固有ID情報を記憶部4cから制御部4bが読み出して、この固有ID情報をアンテナ部4aがアンテナ部6aに送信する。
【0069】
S140において、リーダライタ装置6から検出結果情報の送信要求を受信したか否かを制御部4bが判断する。アンテナ部4aが受信した電波から検出結果情報の送信が要求されていると制御部4bが判断したときにはS150に進み、アンテナ部4aが受信した電波から検出結果情報の送信が要求されていないと制御部4bが判断したときには一連の動作を終了する。
【0070】
S150において、アンテナ部4aがアンテナ部6aに検出結果情報を送信する。アンテナ部4aが検出装置3に電力を供給すると歪みゲージ3aに電流が流れ、歪みゲージ3aの金属抵抗線3cの抵抗値を制御部4bが測定し、この測定結果を測定結果情報としてアンテナ部4aがアンテナ部6aに送信する。
【0071】
次に、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムのリーダライタ装置の動作を説明する。
図8は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムのリーダライタ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図8に示すS200において、送信要求するか否かを制御部6gが判断する。図1に示すように、リーダライタ装置6を利用者Mが携帯して構造物Bが存在する現場まで行き、無線タグ4とリーダライタ装置6との間で無線通信可能な距離まで近づく。次に、リーダライタ装置6の図示しない電源スイッチを利用者MがON操作するとリーダライタ装置6が起動を開始する。その結果、制御プログラムを記憶部6cから制御部6gが読み出してこの制御プログラムに従って一連の処理を実行する。入力部6bを利用者Mが操作して送信要求が選択されたと制御部6gが判断したときにはS210に進み、送信要求がされなかったと制御部6gが判断したときには一連の動作を終了する。
【0072】
S210において、リーダライタ装置6が無線タグ4に送信要求する。図2に示すようにリーダライタ装置6のアンテナ部6aから無線タグ4のアンテナ部4aに電磁波が送信されて送信要求がされる。
【0073】
S220において、リーダライタ装置6が無線タグ4から固有ID情報を受信したか否かを制御部6gが判断する。図7に示すS130において、無線タグ4側のアンテナ部4aが固有ID情報を送信するとこの固有ID情報をアンテナ部6aが受信する。固有ID情報をアンテナ部6aが受信したと制御部6gが判断したときにはS230に進み、固有ID情報をアンテナ部6aが受信しなかった制御部6gが判断したときには一連の動作を終了する。
【0074】
S230において、固有ID情報を記憶部6cが記憶する。アンテナ部4aからアンテナ部6aが固有ID情報を受信すると、この固有ID情報を制御部6gが記憶部6cに出力し、図5に示すようにこの固有ID情報を記憶部6cが記憶する。
【0075】
S240において、リーダライタ装置6が無線タグ4から検出結果情報を受信したか否かを制御部6gが判断する。図7に示すS150において、無線タグ4側のアンテナ部4aが検出結果情報を送信すると、この検出結果情報をアンテナ部6aが受信する。検出結果情報をアンテナ部6aが受信したと制御部6gが判断したときにはS250に進み、検出結果情報をアンテナ部6aが受信しなかった制御部6gが判断したときには一連の動作を終了する。
【0076】
S250において、検出結果情報を記憶部6cが記憶する。アンテナ部4aからアンテナ部6aが検出結果情報を受信すると、この検出結果情報を制御部6g
が記憶部6cに出力し、図5に示すようにこの検出結果情報を記憶部6cが記憶する。
【0077】
次に、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置の動作を説明する。
図9は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図9に示すS300において、評価装置7がリーダライタ装置6に固有ID情報の送信を要求する。例えば、図1に示す利用者Mが作業終了後に管理事務所内の評価装置7にリーダライタ装置6を通信装置8によって接続する。次に、評価装置7の図示しない電源スイッチを利用者MがON操作すると評価装置7が起動を開始し、評価プログラムを記憶部7cから制御部7fが読み出してこの評価プログラムに従って一連の処理を実行する。図2に示す評価装置7のインタフェース部7aからリーダライタ装置6のインタフェース部6eに通信装置8を通じて固有ID情報の送信を要求すると、リーダライタ装置6の制御部6gが記憶部6cから固有ID情報を読み出して、インタフェース部6eがインタフェース部7aにこの固有ID情報を送信する。
【0078】
S310において、固有ID情報を記憶部7cが記憶する。インタフェース部7aから固有ID情報が入力すると制御部7fがこの固有ID情報を記憶部7cに出力し、図6に示すように記憶部7cがこの固有ID情報を記憶する。
【0079】
S320において、評価装置7がリーダライタ装置6に検出結果情報の送信を要求する。図2に示すインタフェース部7aからインタフェース部6eに検出結果情報の送信を要求すると、制御部6gが記憶部6cから検出結果情報を読み出して、インタフェース部6eがインタフェース部7aにこの検出結果情報を送信する。
【0080】
S330において、検出結果情報を記憶部7cが記憶する。インタフェース部7aから検出結果情報が入力すると制御部7fがこの検出結果情報を記憶部7cに出力し、図6に示すように記憶部7cがこの検出結果情報を記憶する。
【0081】
S340において、構造物Bの損傷状態を評価部7dが評価する。評価部7dは、図6に示すように、過去から現在に至るまでの歪みゲージ3aの抵抗値情報R11,…,R1nに基づいて鉄筋S1の歪みを演算し、この演算結果に基づいて鉄筋S1の損傷状態を評価する。評価部7dは、評価結果を評価結果情報として制御部7fに出力する。
【0082】
S350において、評価部7dの評価結果を記憶部7cが記憶する。評価結果情報を制御部6gが記憶部7cに出力すると、この評価結果情報を記憶部7cが記憶する。
【0083】
S360において、評価部7dの評価結果を表示部7eが表示する。評価結果情報を制御部6gが表示部7eに送信するとこの評価結果情報を表示部7eが画面上に表示する。
【0084】
この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出装置とこの状態検出システムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、構造物Bの状態を埋設状態で検出装置3が検出し、この検出装置3の検出結果を埋設状態で無線タグ4が送信する。このため、例えば、構造物BのコンクリートC1内に埋設されている鉄筋S1の状態を簡単に検出し、この検出結果を確実に送信することができる。また、検出装置3及び無線タグ4が埋設状態であるため、物体の衝突や悪意による破損を防ぐことができる。
【0085】
(2) この第1実施形態では、検出装置3の検出結果を送信するアンテナ部4aを無線タグ4が備えており、外部から受信した電波によって発生する誘導起電力をこのアンテナ部4aが検出装置3に供給する。このため、無線タグ4に電源を設ける必要がなく、安価で簡単な構造の無線タグ4によって検出装置3の検出結果を確実に送信することができる。
【0086】
(3) この第1実施形態では、構造物Bの鉄筋S1の状態を検出装置3が検出する。このため、接近が困難で危険が伴う高所や、目視による検査が不可能である埋設箇所の鉄筋S1の状態を簡単に検出することができる。
【0087】
(4) この第1実施形態では、検出装置3の検出感度方向が鉄筋S1の長さ方向と一致するように、この鉄筋S1の長さ方向に沿って検出装置3が複数配置されている。このため、安価で簡単な構造の検出装置3によって鉄筋S1の状態を広範囲に検出して検出精度を向上させることができる。
【0088】
(5) この第1実施形態では、検出装置3が構造物Bの歪みを検出する。このため、地震や火災などの災害を受けたときに、歪みを検出することによって構造物Bの損傷状態を評価することができる。
【0089】
(6) この第1実施形態では、構造物Bの歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージ3aを検出装置3が備えている。このため、高価で複雑な光ファイバ式の検出装置などを使用せずに、安価で簡単な構造の歪みゲージ3aによって構造物Bの歪みを容易に検出することができる。
【0090】
(7) この第1実施形態では、検出装置3の検出結果を無線タグ4からリーダライタ装置6が受信する。このため、非接触で遠距離から構造物Bの状態を検出することができる。
【0091】
(8) この第1実施形態では、検出装置3の検出結果に基づいて構造物Bの損傷状態を評価装置7が評価する。このため、例えば、検出装置3が歪みゲージ3aであるときには、歪みゲージ3aの通電状態を検出することによって構造物Bの損傷状態を精度よく評価することができる。
【0092】
(第2実施形態)
図10は、この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。図11は、この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。以下では、図1〜図4に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図10及び図11に示す検出装置3は、構造物Bの歪みを検出するとともに、この構造物Bの温度を検出する。検出装置3は、熱電対3eを備えており、この熱電対3eは構造物Bの温度に応じて起電力が変化する。熱電対3eは、図11に示すように、材質の異なり二本の金属線3fと、これらの金属線3fの両端を接続する一対の接点3gなどを備えており、一対の接点3g間の温度差によって起電力を発生する。熱電対3eは、歪みゲージ3aと同様に、コンクリートC1を打設する前に鉄筋S1の外周部に接着剤などによって固定されており、鉄筋S1の長さ方向に沿って歪みゲージ3aと対応して同数配置されている。
【0093】
図10及び図11に示す制御部4bは、歪みゲージ3aの抵抗値と熱電対3eの電圧値とを測定してこの測定結果を検出結果情報としてアンテナ部4aからリーダライタ装置6に送信する。信号線5は、歪みゲージ3aの引出し導線3dとインタフェース部4dとを接続するとともに、熱電対3eの接点3gとインタフェース部4dとを接続する。
【0094】
図12は、この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムにおけるリーダライタ装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
図10に示す記憶部6cは、例えば、図12に示すように、各検出装置3の固有ID情報I1,…,INを記憶するとともに、各検出装置3が検出動作したときの年月日及び時刻に関する検出時間情報D11,…,DN1と、各検出装置3の歪みゲージ3aの抵抗値に関する抵抗値情報R11,…,RN1と、各検出装置3の熱電対3eの電圧値に関する電圧値情報V11,…,VN1とを検出結果情報として記憶する。
【0095】
図13は、この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
図10に示す評価装置7は、検出装置3が構造物Bの歪みと温度とを検出したときに、この温度に基づいてこの歪みを補正し、補正後の歪みに基づいて構造物Bの損傷状態を評価する。評価装置7は、図10に示すように、温度に基づいて歪みを補正する補正部7gを備えている。記憶部7cは、例えば、図13に示すように、固有ID情報I1,…,IN毎に検出時間情報D11,…,D1nと、抵抗値情報R11,…,R1nと、電圧値情報V11,…,VN1とを時系列順に記憶している。評価部7dは、歪みゲージ3aの抵抗値と熱電対3eの電圧値とを評価プログラムに従って測定し、この測定結果に基づいて構造物Bの損傷状態を評価する。補正部7gは、記憶部7cが記憶する電圧値情報V11,…,VN1に基づいて抵抗値情報R11,…,R1nを補正し、補正後の抵抗値情報R11,…,R1nを制御部7fに出力する。評価部7dは、過去から現在に至るまでの歪みゲージ3aの補正後の抵抗値情報R11,…,R1nに基づいて鉄筋S1の歪みを演算し、この演算結果に基づいて鉄筋S1の損傷状態を評価する。
【0096】
この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムとこの状態検出装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、検出装置3が構造物Bの温度を検出する。このため、歪みゲージ3aの抵抗値が温度による影響を受けるときに、構造物Bの温度を検出することによって歪みゲージ3aの抵抗値を正確に検知することができる。
【0097】
(2) この第2実施形態では、構造物Bの温度に応じて起電力が変化する熱電対3eを検出装置3が備えている。このため、安価で簡単な構造の熱電対3eによって構造物Bの温度を容易に検出することができる。
【0098】
(3) この第2実施形態では、構造物Bの歪みと温度とを検出装置3が検出したときに、この温度に基づいてこの歪みを補正し、補正後の歪みに基づいて構造物Bの損傷状態を評価装置7が評価する。このため、温度の変化によって歪みゲージ3aの抵抗値が変化しても、温度特性を考慮してこの抵抗値を補正し構造物Bの損傷状態をより一層正確に評価することができる。
【0099】
(第3実施形態)
図14は、この発明の第3実施形態に係る状態検出システムのブロック図である。図15は、この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグ側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
図14に示す無線タグ4は、検出装置3の検出結果を記憶する記憶部4fを備えており、この記憶部4fは制御プログラム、固有ID情報及び検出結果情報を記憶している。記憶部4fは、構造物Bの施工完了直後の検出装置3の検出結果を記憶したり、検出装置3の過去の検出結果を更新してこの検出装置3の最新の検出結果を記憶したりする。記憶部4fは、例えば、図15に示すように、検出装置3の固有ID情報I1を記憶するとともに、この検出装置3が検出動作を開始したときの基準年月日及び基準時刻に関する基準検出時間情報D11と、各検出装置3の歪みゲージ3aの基準抵抗値(初期設定値)に関する基準抵抗値情報R11と、各検出装置3の熱電対3eの基準電圧値(初期設定値)に関する基準電圧値情報V11とを検出結果情報として記憶する。
【0100】
次に、この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明する。
図16は、この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図7に示す処理と同一の処理については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図16に示すS160において、リセット要求を受信したか否かを制御部4bが判断する。アンテナ部4aが受信した電波からリセット要求されていると制御部4bが判断したときにはS170に進み、アンテナ部4aが受信した電波からリセット要求されていないと制御部4bが判断したときには一連の動作を終了する。
【0101】
S170において、検出結果情報を記憶部4fが記憶する。例えば、コンクリートC1を打設する前に鉄筋S1に検出装置3を装着し、その後にコンクリートC1を打設すると、コンクリートC1を打設する前後で歪みゲージ3aの抵抗値や熱電対3eの電圧値が変化してしまう。このため、リーダライタ装置6から無線タグ4がリセット要求を受信したときには、コンクリートC1の打設を完了し全ての施工を完了した直後の歪みゲージ3aの抵抗値や熱電対3eの電圧値を制御部4bが測定し、これらの測定結果を基準抵抗値情報及び基準電圧値情報として記憶部4fが記憶する。また、リーダライタ装置6から無線タグ4がリセット要求を受信したときには、歪みゲージ3aの抵抗値や熱電対3eの電圧値を制御部4bが測定する度に、前回の測定結果を更新して今回の測定結果を基準抵抗値情報及び基準電圧値情報として記憶部4fが記憶する。
【0102】
この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムとその状態検出装置には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、検出装置3の検出結果を記憶する記憶部4fを無線タグ4が備えている。このため、検出装置3の検出結果をリーダライタ装置6や評価装置7に記録し蓄積しておく必要がなくなって、検出装置3の検出結果を構造物B自体に記録させ保持させておくことができる。
【0103】
(2) この第3実施形態では、構造物Bの施工完了直後の検出装置3の検出結果を記憶部4fが記憶する。このため、施工完了直後の検出結果を記憶部4fに記憶させ把握することができるとともに、施工完了直後の検出結果を初期値として確認することができる。
【0104】
(3) この第3実施形態では、検出装置3の過去の検出結果を更新してこの検出装置3の最新の検出結果を記憶部4fが記憶する。このため、今回の検出結果を前回の検出結果と置き換えることによって、最新の測定結果を次回の測定時の基準値として利用することができる。
【0105】
(第4実施形態)
図17は、この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。図18は、この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。
図17及び図18に示す無線タグ4は、図2及び図3に示す無線タグ4とは異なり電源部4gを備えており、電源部4gの電力によって動作しリーダライタ装置6との間で交信するアクティブ型タグである。制御部4bは、検出装置3が所定のタイミングで検出動作を開始するように、電源部4gから検出装置3への電力の供給を制御しており、電源部4gが供給する電力を電源として動作する。制御部4bは、例えば、記憶部4fから読み出した固有ID情報をアンテナ部4aからリーダライタ装置6に送信させたり、検出結果情報を記憶部4fに記憶させたり、検出結果情報を記憶部4fから読み出してアンテナ部4aからリーダライタ装置6に送信させたりする。制御部4bは、アンテナ部4a、記憶部4f、インタフェース部4d及び電源部4gと通信可能なように接続されている。記憶部4fは、制御プログラム、固有ID情報及び検出結果情報を記憶している。記憶部4fは、例えば、図6及び図12に示すように、検出時間情報D11,…,D1nと、抵抗値情報R11,…,R1nと、電圧値情報V11,…,V1nとを検出結果情報として時系列順に記憶したり、図15に示すように基準検出時間情報D11と、基準抵抗値情報R11と、基準電圧値情報V11とを検出結果情報として記憶したりする。電源部4gは、検出装置3に電力を供給する部分である。電源部4gは、例えば、リーダライタ装置6側のアンテナ部6aが送信する電波をアンテナ部4aが受信したときに、このアンテナ部4aが発生する誘導起電力によって充電される二次電池などである。
【0106】
次に、この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明する。
図19は、この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。
図19に示すS400において、動作タイミングであるか否かを制御部4bが判断する。図示しないタイマ回路を制御部4bが備えており、このタイマ回路の出力信号に基づいて、検出動作を開始する時刻に達したか否かを制御部4bが判断し、検出開始時刻に達したと制御部4bが判断したときにはS410に進み、検出開始時刻に達していないと制御部4bが判断したときには検出開始時刻に達するまで判断を繰り返す。
【0107】
S410において、検出装置3に制御部4bが電力を供給する。電源部4gの電力を制御部4bが検出装置3に供給すると、検出装置3の歪みゲージ3a及び熱電対3eに電流が流れる。
【0108】
S420において、制御部4bが測定を開始する。検出装置3に電力が供給されると、歪みゲージ3aの抵抗値と熱電対3eの電圧値とを制御部4bが測定する。
【0109】
S430において、検出結果情報を記憶部4fが記憶する。歪みゲージ3aの抵抗値と熱電対3eの電圧値とを制御部4bが測定すると、この測定結果を検出結果情報として制御部4bが記憶部4fに出力し、記憶部4fがこの検出結果情報を記憶する。
【0110】
S440において、送信タイミングであるか否かを制御部4bが判断する。図示しないタイマ回路の出力信号に基づいて送信動作を開始する時刻に達したか否かを制御部4bが判断し、送信開始時刻に達したと制御部4bが判断したときにはS450に進み、送信開始時刻に達していないと制御部4bが判断したときには送信開始時刻に達するまで判断を繰り返す。
【0111】
S450において、固有ID情報及び検出結果情報をアンテナ部4aが送信する。検出結果情報を記憶部4fから制御部4bが読み出して、この検出結果情報をアンテナ部4aから制御部4bが送信させる。図1に示すように、リーダライタ装置6を利用者Mが携帯して無線タグ4とリーダライタ装置6との間で無線通信可能な距離まで近づき、リーダライタ装置6の図示しない電源スイッチを利用者MがON操作する。その結果、所定の送信タイミングで無線タグ4から送信される固有ID情報及び検出結果情報をリーダライタ装置6のアンテナ部6aが受信し、これらの情報を記憶部6cが記憶し、評価装置7が構造物Bの状態を評価する。
【0112】
この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムとその状態検出装置には、第1実施形態〜第3実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第4実施形態では、検出装置3に電源部4gが電力を供給し、検出装置3が所定のタイミングに検出動作を開始するように、電源部4gから検出装置3への電力の供給動作を制御部4bが制御し、検出装置3の検出結果をアンテナ部4aが送信する。このため、構造物Bの状態を定期的に検出することができ、この検出結果を定期的に無線タグ4から送信することができる。このため、簡単な構造の受信機能のみを有するリーダライタ装置によって検出装置3の検出結果を受信することができる。
【0113】
(第5実施形態)
図20は、この発明の第5実施形態に係る構造物の状態検出システムの使用状態を概略的に示す模式図である。図21は、この発明の第5実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の設置方法を説明するための概念図であり、図21(A)〜図21(F)は施工開始から施工完了までの手順を概略的に示す概念図である。
図20に示す杭基礎B4は、鉄筋かごS2とコンクリートC1とによって構築されており、杭基礎B4の上部には杭頭部B41が形成されている。鉄筋かごS2は、図21(A)に示すように、鉄筋S1をかご状に組み立てた埋設物であり、例えば鉄筋S1を溶接して円筒状又は角柱状に組み立てられている。図20及び図21(D)に示す芯鉄筋S3は、地震時の杭基礎B4に発生する引き抜き力の伝達を担う部材であり、鉄筋かごS2に組み込まれている。図20及び図21(E)(F)に示すフーチングB3は、捨てコンクリートC2上に構築されており、この捨てコンクリートC2はフーチングB3を打設する前に割栗や砕石などの上に打設されたコンクリート構造物である。図20に示す検出装置3は、杭頭部B41の鉄筋S1の状態を検出しており、捨てコンクリートC2より上方の鉄筋かごS2の鉄筋S1に固定された状態でフーチングB3のコンクリートC1内に埋設されている。無線タグ4は、例えば、柱B2のコンクリートC1内に埋設されており、信号線5によって検出装置3と電気的に接続されている。
【0114】
次に、この発明の第5実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の設置方法を説明する。
図21(A)に示すように、掘削機械などによってボーリング穴G1を地盤Gに掘削し、このボーリング穴G1に鉄筋かごS2を落とし込み、ボーリング穴G1にコンクリートC1を流し込む。その結果、図21(B)に示すように、コンクリートC1が硬化すると杭基礎B4が構築される。コンクリート打設後の杭頭部B41では、鉄筋かごS2がコンクリートC1によって覆われている。このため、図21(C)に示すように、杭頭部B41のコンクリートC1を取り除き、杭頭部B41の上端面(杭天端)を露出させる。次に、図21(D)に示すように、杭頭部B41の上端面に所定の高さで捨てコンクリートC2を打設し、この捨てコンクリートC2の上面から露出した鉄筋かごS2に芯鉄筋S3を組み込む。このときに、捨てコンクリートC2の上面から露出した鉄筋かごS2の鉄筋S1に検出装置3を固定し、検出装置3に信号線5を接続する。次に、図21(E)に示すように、捨てコンクリートC2上にフーチングB3を構築してフーチングB3内に検出装置3を埋設する。このとき、無線タグ4と接続する側の端部の信号線5が外部に引き出された状態で、捨てコンクリートC2上にフーチングB3が構築される。その後に、図21(F)に示すように、フーチングB3上に柱B2が構築されて、この柱B2内に無線タグ4が埋設される。
【0115】
この第5実施形態に係る構造物の状態検出システムとその状態検出装置には、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第5実施形態では、杭頭部B41の鉄筋S1の状態を検出装置3が検出する。このため、地震発生時に損傷を受け易い杭基礎B4の損傷状態を評価することができる。また、フーチングB3の下方で杭基礎B4の上部に検出装置3を埋設した場合には、フーチングB3と杭基礎B4との間を信号線5が通過するため、地震時の揺れによってフーチングB3と杭基礎B4とが相対的に変位し信号線5が破断するおそれがある。この第5実施形態では、フーチングB3内の杭基礎B4の上部に検出装置3が埋設されている。このため、地震発生時の揺れによってフーチングB3と杭基礎B4とが相対的に変位しても信号線5が破断するのを防ぐことができる。
【0116】
(第6実施形態)
図22は、この発明の第6実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の使用状態を概略的に示す模式図であり、図22(A)は橋梁の柱基部に設置した状態を示す模式図であり、図22(B)は橋梁の橋台基部に設置した状態を示す模式図である。
図22(A)に示す構造物Bは、ラーメン高架橋などのコンクリート構造物である。図22(B)に示す構造物Bは橋梁の両側で桁B1を受ける橋台であり、桁B1を支持する躯体B5を備えている。図22に示す基部B21,B22,B51は、二つの部材が接続する根元部分であり、基部B21は桁B1と接続する柱B2の根元部分であり、基部B22はフーチングB3と接続する柱B2の根元部分であり、基部B51はフーチングB3と接続する躯体B5の根元部分である。検出装置3は、構造物Bの基部B21,B22,B51の状態を検出している。図22(A)に示す検出装置3は、構造物Bがラーメン高架橋などの橋梁であるときにこの橋梁の柱B2の基部B21,B22の状態を検出し、図2(B)に示す検出装置3は構造物Bが橋梁の橋台であるときにこの橋台の基部B51の状態を検出する。
【0117】
この第6実施形態に係る構造物の状態検出システムとその状態検出装置には、第1実施形態〜第5実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第6実施形態では、構造物Bの基部B21,B22,B51の状態を検出装置3が検出する。例えば、剛性の高い桁B1やフーチングB3に剛性の低い柱B2や躯体B5が接続されている場合には、地震によって基部B21,B22,B51の鉄筋S1が大きな損傷を受けることがある。この第6実施形態では、このような二つの部材同士の応力を受け持つ強さの比率(剛比)が大きく異なる基部B21,B22,B51の状態を検出装置3によって検出し評価することができる。
【0118】
(2) この第6実施形態では、橋梁の柱B2の基部B21,B22又は橋台の基部B51の状態を検出装置3が検出する。このため、地震による被害が集中し易い基部B21,B22,B51の状態を検出して、地震後の健全度を評価することができる。
【0119】
(第7実施形態)
図23は、この発明の第7実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の使用状態を概略的に示す模式図であり、図23(A)は横断面図であり、図23(B)は縦断面図である。図24は、この発明の第7実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置による亀裂の検出動作を説明するための模式図であり、図24(A)は亀裂が発生した初期段階を示す横断面図であり、図24(B)は亀裂が進展した状態を示す横断面図である。
図23に示す検出装置3X〜3Zは、構造物BのコンクリートC1の状態を検出しており、検出感度方向がそれぞれ異なるようにコンクリートC1内に合計3個配置されている。検出装置3X〜3Zは、検出感度方向がそれぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向になるようにコンクリートC1内に配置されており、信号線5によって無線タグ4に接続されている。例えば、検出装置3Xは、図24(A)に示すようにコンクリートC1の表面に沿って鉄筋S1から進展する亀裂W1を検出し、検出装置3Yは図24(B)に示すようにコンクリートC1の表面に向かって鉄筋S1から進展する亀裂W2を検出する。
【0120】
次に、この発明の第7実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の動作を説明する。
例えば、図24(A)に示すように、鉄筋S1が腐食すると鉄筋S1の周囲のコンクリートC1が浮き上がり、コンクリートC1の表面に沿って亀裂W1が進展する。その結果、コンクリートC1の表面に沿って鉄筋S1から進展する亀裂W1を検出装置3Xが検出する。図24(B)に示すように、鉄筋S1の腐食がさらに進むと、鉄筋S1からコンクリートC1が剥離して浮き上がりコンクリートC1の劣化がさらに進み、コンクリートC1の表面に向かって亀裂W2が進展する。その結果、コンクリートC1の表面に向かって鉄筋S1から進展する亀裂W2を検出装置3Yが検出する。
【0121】
この第7実施形態に係る構造物の状態検出システムとその状態検出装置には、第1実施形態〜第6実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第7実施形態では、構造物BのコンクリートC1の状態を検出装置3X〜3Zが検出する。このため、コンクリートC1の剥離などの劣化状態を検出して、構造物Bの損傷状態を簡単に評価することができる。
【0122】
(2) この第7実施形態では、検出感度方向がそれぞれ異なるようにコンクリートC1内に検出装置3X〜3Zが配置されている。このため、コンクリートC1の劣化による剥離やひび割れの方向性を確認することができるとともに、構造物Bの劣化の進捗度を評価することができる。
【0123】
(3) この第7実施形態では、検出感度方向がそれぞれX軸、Y軸及びZ軸方向になるようにコンクリートC1内に検出装置3X〜3Zが配置されている。このため、コンクリートC1内を様々な方向に進展する亀裂W1,W2を検出して、構造物Bの損傷状態を初期段階から評価することができる。
【0124】
(4) この第7実施形態では、構造物Bの鉄筋S1からこの構造物BのコンクリートC1の表面に沿って進展する亀裂W1を検出装置3Xが検出し、コンクリートC1の表面に向かって鉄筋S1から進展する亀裂W2を検出装置3Yが検出する。このため、コンクリートC1が鉄筋S1から剥離する初期の浮き始め検出することができるとともに、コンクリートC1の表面に向かうひび割れを検出することができる。
【0125】
(第8実施形態)
図25は、この発明の第8実施形態に係る構造物の状態検出システムによって検出される埋設物を概略的に示す模式図であり、図25(A)は設置前の埋設物の状態を示す外観図であり、図25(B)は設置後の埋設物の状態を示す外観図である。
図25に示す鉄筋かごS2は、検出対象部の状態を検出する検出装置3を備えており、この検出装置3は無線タグ4に信号線5を通じて接続可能である。検出装置3は、検出対象部が鉄筋S1であるときにはこの鉄筋S1の状態を検出し、検出対象部がコンクリートC1であるときにはこのコンクリートC1の状態を検出する。検出装置3は、図25(A)に示すように、鉄筋かごS2を組立工場などで組み立てるときに予め鉄筋S1に固定されており、鉄筋S1に固定された状態で現場に搬入される。検出装置3は、図25(B)に示すように、信号線5によって無線タグ4と接続された状態で鉄筋かごS2とともに現場でコンクリートC1内に埋設される。検出装置3は、例えば、杭基礎B4の外径Dであるときには、フーチングB3の下面から深さH(=1.5D)以内における鉄筋S1に損傷が集中し易い位置に固定されている。この第8実施形態では、第1実施形態〜第7実施形態の効果に加えて、検出装置3を鉄筋S1に取り付けた状態で鉄筋かごS2が製品化されているため、この鉄筋かごS2を現場に搬入して設置するだけで構造物Bの状態を簡単に検出することができる。
【0126】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、構造物Bとして橋梁を例に挙げて説明したが、トンネル又は架線柱などの他の固定構造物についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、鉄道車両が走行する橋梁を例に挙げて説明したが、自動車が走行する橋や歩行者のみが通行する橋などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、構造物Bがコンクリート構造である場合を例に挙げて説明したが、このような構造に限定するものではない。例えば、鉄筋コンクリートスラブと鋼桁とによって構成された合成桁や、H形鋼などをRC桁に埋め込み一体化させたH鋼埋め込み桁などの合成(複合)構造などについても、この発明を適用することができる。
【0127】
(2) この実施形態では、歪みゲージ3aによって検出装置3を構成する場合を例に挙げて説明したが、歪みゲージ3a以外の亀裂検出センサ(クラックセンサ)や熱電対3eのみによって検出装置3を構成することもできる。例えば、熱電対3eのみによって検出装置3を構成した場合には、構造物Bの火災による損傷状態を評価することができる。また、この実施形態では、歪みゲージ3aと熱電対3eとによって検出装置3を構成する場合を例に挙げて説明したが、歪み検出機能と温度検出機能とを備える一つのセンサによって検出装置3を構成することもできる。さらに、この実施形態では、杭基礎B4が場所打ち杭である場合を例に挙げて説明したが既成杭である場合についてもこの発明を適用することができる。
【0128】
(3) この実施形態では、受信機能を有するリーダライタ装置6と解析機能を有する評価装置7とによって状態検出システム1を構成する場合を例に挙げて説明したが、リーダライタ装置6と評価装置7とを一体化させてハンディ型リーダライタ装置によって状態検出システム1を構成することもできる。また、この実施形態では、構造物Bの状態を評価装置7が評価する場合を例に挙げて説明したが、構造物Bの状態を無線タグ4側で評価してこの評価結果をリーダライタ装置6側に送信することもできる。さらに、この実施形態では、埋設物として鉄筋かごS2を例に挙げて説明したが、地中に埋設される杭などの他の埋設物についてもこの発明を適用することができる。この場合には、無線タグ4を埋設物の表面に露出させた状態で固定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの使用状態を概略的に示す模式図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の設置状態を概略的に示すブロック図である。
【図5】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムにおけるリーダライタ装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
【図6】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
【図7】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムのリーダライタ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。
【図11】この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。
【図12】この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムにおけるリーダライタ装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
【図13】この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
【図14】この発明の第3実施形態に係る状態検出システムのブロック図である。
【図15】この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグ側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
【図16】この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。
【図18】この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。
【図19】この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。
【図20】この発明の第5実施形態に係る構造物の状態検出システムの使用状態を概略的に示す模式図である。
【図21】この発明の第5実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の設置方法を説明するための概念図であり、(A)〜(F)は施工開始から施工完了までの手順を概略的に示す概念図である。
【図22】この発明の第6実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の使用状態を概略的に示す模式図であり、(A)は橋梁の柱基部に設置した状態を示す模式図であり、(B)は橋梁の橋台基部に設置した状態を示す模式図である。
【図23】この発明の第7実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の使用状態を概略的に示す模式図であり、(A)は横断面図であり、(B)は縦断面図である。
【図24】この発明の第7実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置による亀裂の検出動作を説明するための模式図であり、(A)は亀裂が発生した初期段階を示す横断面図であり、(B)は亀裂が進展した状態を示す横断面図である。
【図25】この発明の第8実施形態に係る構造物の状態検出システムによって検出される埋設物を概略的に示す模式図であり、(A)は設置前の埋設物の状態を示す外観図であり、(B)は設置後の埋設物の状態を示す外観図である。
【符号の説明】
【0130】
1 状態検出システム
2 状態検出装置
3 検出装置
3X〜3Z 検出装置
3a 歪みゲージ
3e 熱電対
4 無線タグ
4a アンテナ部
4b 制御部
4c 記憶部
4d インタフェース部
4f 記憶部
4g 電源部
5 信号線
6 リーダライタ装置
6a アンテナ部
6c 記憶部
6e インタフェース部
6g 制御部
7 評価装置
7a インタフェース部
7c 記憶部
7d 評価部
7f 制御部
7g 補正部
B 構造物(コンクリート構造物)
B1 桁
B2 柱
B21,B22 基部(柱基部)
B3 フーチング
B4 杭基礎
B41 杭頭部
B5 躯体
B51 基部(橋台基部)
C1 コンクリート(検出対象部)
S1 鉄筋(検出対象部)
S2 鉄筋かご(埋設物)
M 利用者
V 車両
R 軌道
W1,W2 亀裂
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート構造物の状態を検出する構造物の状態検出装置とその状態検出システム、及び検出対象部の状態を検出する検出装置を備える埋設物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートなどの構造物の劣化によるひび割れなどの点検では、目に見える箇所では定期的な目視点検があり、目で見えない箇所では高価な設備である超音波による非破壊検査などが行われている。このため、高価な超音波による非破壊検査に代えて、無線タグを利用した構造物の損傷検知装置が提案されている。
【0003】
従来の構造物の状態検出装置は、電磁波信号の変復調及び直流電源を生成するRFアナログ回路と、チップ動作制御を行う論理回路と、歪みを測定する歪みセンサ回路と、この歪みセンサ回路の出力信号を増幅する増幅回路とを含む電子回路が形成された単結晶シリコン基板と、外部から照射される電磁波によって発電してこの電子回路に電力を供給する電源回路とを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の構造物の状態検出装置では、歪みセンサを基板上にその他の回路とともに一体構造にしたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術が利用されており、リード線による結線を必要とせず、非接触で測定が可能である。
【0004】
【特許文献1】特開2006-029931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の構造物の状態検出装置では、歪みセンサ回路とRFアナログ回路とが一体であるため構造が簡素になる。しかし、従来の構造物の状態検出装置では、歪みを測定する箇所に設置する必要があり、測定箇所がコンクリートなどの構造物の埋設部や地下構造物の埋設部などであるときには、測定結果をRFアナログ回路から外部に送信することができない問題点がある。
【0006】
この発明の課題は、安価で簡単に構造物の状態を検出することができるとともにこの検出結果を確実に送信することができる構造物の状態検出装置とその状態検出システム及び埋設物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1、図3、図4、図11、図18、図20、図22及び図23に示すように、コンクリート構造物(B)の状態を検出する構造物の状態検出装置であって、前記構造物の状態を埋設状態で検出する検出装置(3;3X〜3Z)と、前記検出装置の検出結果を埋設状態で送信する無線タグ(4)とを備える構造物の状態検出装置(2)である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構造物の状態検出装置において、図2、図3、図10、図11及び図14に示すように、前記無線タグは、前記検出装置の検出結果を送信するアンテナ部(4a)を備え、前記アンテナ部は、外部から受信した電波によって発生する誘導起電力を前記検出装置に供給することを特徴としている構造物の状態検出装置である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の構造物の状態検出装置において、図17及び図18に示すように、前記無線タグは、前記検出装置に電力を供給する電源部(4g)と、前記検出装置が所定のタイミングに検出動作を開始するように、前記電源部からこの検出装置への前記電力の供給動作を制御する制御部(4b)と、前記検出装置の検出結果を送信するアンテナ部(4a)とを備えることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図3、図4、図11、図18、図20及び図22に示すように、前記検出装置は、前記構造物の鉄筋(S1)の状態を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構造物の状態検出装置において、図4に示すように、前記検出装置は、検出感度方向が前記鉄筋の長さ方向と一致するように、この鉄筋の長さ方向に沿って複数配置されていることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の構造物の状態検出装置において、図20に示すように、前記検出装置は、杭頭部(B41)の鉄筋の状態を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図23及び図24に示すように、前記検出装置は、前記構造物のコンクリート(C1)の状態を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7に記載の構造物の状態検出装置において、前記検出装置は、検出感度方向がそれぞれ異なるように、前記コンクリート内に複数配置されていることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載の構造物の状態検出装置において、前記検出装置は、検出感度方向がそれぞれX軸、Y軸及びZ軸方向になるように、前記コンクリート内に3つ配置されていることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0016】
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9に記載の構造物の状態検出装置において、図24に示すように、前記検出装置は、前記構造物のコンクリートの表面に沿ってこの構造物の鉄筋から進展する亀裂(W1)を検出する第1の検出装置(3X)と、前記コンクリートの表面に向かって前記鉄筋から進展する亀裂(W2)を検出する第2の検出装置(3Y)とを備えることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0017】
請求項11の発明は、請求項2の発明は、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図22に示すように、前記検出装置は、前記構造物の基部(B21,B22,B51)の状態を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0018】
請求項12の発明は、請求項11に記載の構造物の状態検出装置において、前記検出装置は、橋梁の柱基部(B21,B22)又は橋台基部(B51)の状態を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0019】
請求項13の発明は、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図2、図3、図10、図11、図14、図17及び図18に示すように、前記検出装置は、前記構造物の歪みを検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0020】
請求項14の発明は、請求項13に記載の構造物の状態検出装置において、前記検出装置は、前記構造物の歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージ(3a)を備えることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0021】
請求項15の発明は、請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図10、図11、図14、図17及び図18に示すように、前記検出装置は、前記構造物の温度を検出することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0022】
請求項16の発明は、請求項15に記載の構造物の状態検出装置において、前記検出装置は、前記構造物の温度に応じて起電力が変化する熱電対(3e)を備えることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0023】
請求項17の発明は、請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、図14、図17及び図18に示すように、前記無線タグは、前記検出装置の検出結果を記憶する記憶部(4f)を備えることを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0024】
請求項18の発明は、請求項17に記載の構造物の状態検出装置において、図16に示すように、前記記憶部は、前記構造物の施工完了直後の前記検出装置の検出結果を記憶(S170)することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0025】
請求項19の発明は、請求項17又は請求項18に記載の構造物の状態検出装置において、図16に示すように、前記記憶部は、前記検出装置の過去の検出結果を更新してこの検出装置の最新の検出結果を記憶(S170)することを特徴とする構造物の状態検出装置である。
【0026】
請求項20の発明は、図2、図10、図14及び図17に示すように、コンクリート構造物(B)の状態を検出する構造物の状態検出システムであって、請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置(2)と、前記検出装置の検出結果を前記無線タグ(4)から受信するリーダライタ装置(6)とを備える構造物の状態検出システム(1)である。
【0027】
請求項21の発明は、請求項20に記載の構造物の状態検出システムにおいて、前記検出装置の検出結果に基づいて前記構造物の損傷状態を評価する評価装置(7)を備えることを特徴とする構造物の状態検出システムである。
【0028】
請求項22の発明は、請求項21に記載の構造物の状態検出システムにおいて、前記評価装置は、前記検出装置が前記構造物の歪みと温度とを検出したときに、前記温度に基づいて前記歪みを補正し、補正後の前記歪みに基づいて前記構造物の損傷状態を評価することを特徴とする構造物の状態検出システムである。
【0029】
請求項23の発明は、図25に示すように、検出対象部(S1,C1)の状態を検出する検出装置(3)を備える埋設物であって、前記検出装置は、前記検出対象部の状態を送信する無線タグ(4)に信号線(5)を通じて接続可能であることを特徴とする埋設物(S2)である。
【0030】
請求項24の発明は、請求項23に記載の埋設物において、前記検出装置は、前記検出対象部が前記構造物の鉄筋(S1)であるときにこの鉄筋の状態を検出することを特徴とする埋設物である。
【0031】
請求項25の発明は、請求項23又は請求項24に記載の埋設物において、前記検出装置は、前記検出対象部が前記構造物のコンクリート(C1)であるときにこのコンクリートの状態を検出することを特徴とする埋設物である。
【0032】
請求項26の発明は、請求項23から請求項25までのいずれか1項に記載の埋設物において、前記検出装置は、前記検出対象部の歪みを検出することを特徴とする埋設物である。
【0033】
請求項27の発明は、請求項26に記載の埋設物において、前記検出装置は、前記検出対象部の歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージ(3a)を備えることを特徴とする埋設物である。
【発明の効果】
【0034】
この発明によると、安価で簡単に構造物の状態を検出することができるとともにこの検出結果を確実に送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの使用状態を概略的に示す模式図である。
図1に示す構造物Bは、状態検出システム1によって状態が検出される検出対象物であり、車両Vが走行する軌道Rの下部に空間を確保して、列車の荷重を支持する橋梁などの固定構造物である。構造物Bは、例えば、都市部などで路面交通などと立体化を図るために、都市鉄道又は新幹線などの一定区間を橋梁構造にして軌道Rを連続的に高架にする高架橋である。図1に示す構造物Bは、例えば、鉄筋コンクリート構造(RC構造)を主体とするラーメン高架橋などのコンクリート構造物であり、桁B1と、柱B2と、フーチングB3と、杭基礎B4などを備えている。地盤Gは、構造物Bの基礎を支える地面である。
【0036】
桁B1は、軌道Rを支持して路盤(基盤)として機能する部分であり、場所打ちコンクリートによって施工され水平方向に配置されるPC桁などである。柱B2は桁B1を支持する部分であり、場所打ちコンクリートによって所定の間隔をあけて施工され鉛直方向に配置される鉄筋コンクリート柱などの橋脚である。フーチングB3は、柱B2から荷重を受ける部分であり、場所打ちコンクリートによって施工された版状の構造物である。フーチングB3は、杭基礎B4の杭頭部に連結されており柱B2からの荷重を杭基礎B4に伝達する。杭基礎B4は、構造物Bを支持するための基礎部分であり、フーチングB3からの荷重を地盤Gに伝達する。杭基礎B4は、例えば、掘削機械によって掘削された所定の深さの穴の中に、鉄筋かごを挿入しコンクリートを打ち込んで構築された場所打ちコンクリート杭である。
【0037】
コンクリートC1は、砂、砂利、砕石などの骨材、水硬性セメント及び水を適当な割合で配合しこれらを練り混ぜて一体硬化させた部材である。鉄筋S1は、コンクリートC1内に埋め込まれてこのコンクリートC1を補強するための鋼材である。鉄筋S1は、断面が異形の棒鋼(異形鉄筋)又は断面が円形の棒鋼(丸鋼)などである。図1に示す鉄筋S1は、コンクリートC1との付着性を向上させるために、長さ方向に所定の間隔をあけてリブ又は節などの突起が外周面に形成された異形鉄筋である。
【0038】
軌道Rは、車両Vが走行する通路(線路)である。車両Vは、軌道Rに沿って構造物B上を走行する電車又は気動車などの鉄道車両である。利用者Mは、構造物Bを監視、保守又は検査する作業者である。
【0039】
図2は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。図4は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の設置状態を概略的に示すブロック図である。
図1及び図2に示す状態検出システム1は、構造物Bの状態を検出するシステムであり、図2に示すように状態検出装置2と、リーダライタ装置6と、評価装置7と、通信装置8などを備えている。状態検出システム1は、構造物Bの状態を状態検出装置2によって検出し、この状態検出装置2の検出結果をリーダライタ装置6によって受信し、評価装置7によってこの検出結果を解析して構造物Bの状態を評価する。
【0040】
状態検出装置2は、構造物Bの状態を検出する装置であり、図2及び図3に示すように検出装置3と、無線タグ4と、信号線5などを備えている。状態検出装置2は、構造物Bの状態を検出装置3によって検出し、この検出装置3の検出結果を図2に示すリーダライタ装置6に無線タグ4によって送信する。状態検出装置2は、例えば、通常、左右4本(合計8本)の柱B2が桁B1を支持するラーメン高架橋の場合には、地震発生時に損傷を受け易い両端の4本の柱B2に配置することが好ましい。
【0041】
検出装置3は、構造物Bの状態を埋設状態で検出する装置であり、図3及び図4に示すように構造物Bの鉄筋S1の状態を検出する。検出装置3は、図4に示すように、検出感度方向が鉄筋S1の長さ方向と一致するように、この鉄筋S1の長さ方向に沿って複数配置されている。図1に示す検出装置3は、図1に示すように、構造物Bの柱B2に設置されておりこの構造物Bの歪みを検出する。検出装置3は、例えば、鉄筋S1の曲がりを検出可能なように、鉄筋S1の長さ方向に沿ってこの鉄筋S1の両側又は片側に複数並べて配置されている。検出装置3は、セメントのアルカリ分や酸に侵食されずに長寿命を確保するために、耐候性を有する合成樹脂などのコーティング材によって被覆されている。検出装置3は、図2及び図3に示すように、構造物Bの歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージ3aを備えている。歪みゲージ3aは、図3に示すように、コンクリートC1を打設する前に鉄筋S1の外周部に接着剤などによって固定される薄板状の絶縁性基板(ベース)3bと、この絶縁性基板3bに接着剤などによって固定される金属抵抗線3cと、この金属抵抗線3cの両端部にそれぞれ接続された引出し導線3dなどを備えている。歪みゲージ3aは、鉄筋S1の伸縮に応じて金属抵抗線3cが伸縮し電気抵抗値が変化するように、この金属抵抗線3cの長さ方向(検出感度方向)が鉄筋S1の長さ方向と一致するように配置されている。
【0042】
図2及び図3に示す無線タグ4は、検出装置3の検出結果を埋設状態で送信する装置である。無線タグ4は、例えば、無線ICタグ、IDタグ、RFID(Radio Frequency Identification)、RFタグ、電子タグなどであり、図2及び図3に示すようにアンテナ部4aと、制御部4bと、記憶部4cと、インタフェース部4dと、被覆部4eなどを備えている。図2及び図3に示す無線タグ4は、電源となる電池などを備えておらず、リーダライタ装置6側から供給される電力を電源として動作するパッシブ型タグである。無線タグ4は、図3及び図4に示すように、コンクリートC1の表面から鉄筋S1の表面までのかぶりコンクリート内に埋め込まれており、このかぶりコンクリートは通常30〜50mm程度の厚さで形成されている。無線タグ4は、通常、コンクリートC1内を電波が伝播し埋設状態で外部と通信可能なように、例えばコンクリートC1の表面から10cm程度以内の深さに埋設されている。無線タグ4は、例えば、コンクリートC1を打設する前に、鉄筋S1の表面に接着又は縛り付けて固定されている。無線タグ4は、型枠に貼り付けられた状態でコンクリートC1が打設されたときには、コンクリートC1の表面から露出した状態で埋設されており、型枠との間に介在物を挟み込み固定した状態でコンクリートC1が打設されたときには、コンクリートC1内に埋没した状態で埋設される。無線タグ4の設置箇所には、図1に示すリーダライタ装置6を使用して利用者Mが外部から通信する際の目安となるような指標が構造物Bの表面に表示されている。
【0043】
図2及び図3に示すアンテナ部4aは、検出装置3の検出結果を送信する部分であり、外部から受信した電波によって発生する誘導起電力を検出装置3に供給する。アンテナ部4aは、図2に示すように、リーダライタ装置6側のアンテナ部6aとの間で通信可能である。アンテナ部4aは、図2に示すアンテナ部6aのアンテナ線との間の電磁誘導作用によってリーダライタ装置6側からアンテナ線に電力が供給される。
【0044】
図2及び図3に示す制御部4bは、無線タグ4側の種々の動作を制御する部分である。制御部4bは、情報を送受信する送受信制御部として機能し、アンテナ部4aが供給する電力を電源として動作する。制御部4bは、無線タグ4の種々の動作を制御する制御プログラムに従って一連の処理を実行する。制御部4bは、例えば、記憶部4cから読み出した固有ID情報をアンテナ部4aからリーダライタ装置6に送信させたり、歪みゲージ3aの抵抗値を測定してこの測定結果を検出結果情報としてアンテナ部4aからリーダライタ装置6に送信させたりする。制御部4bは、アンテナ部4a、記憶部4c及びインタフェース部4dと通信可能なように接続されている。
【0045】
記憶部4cは、種々の情報を記憶する部分である。記憶部4cは、構造物Bに関する種々の情報を記憶するとともに、無線タグ4側の種々の動作を制御部4bに実行させる制御プログラムを記憶している。記憶部4cは、各検出装置3の設置場所などを特定するための識別番号を固有ID情報として記憶しており、制御部4bとともに大規模集積回路(LSI)のICチップを構成している。記憶部4cは、例えば、A線のB駅から上り線側C番目の柱B2の高さ方向の中間部のように、検出装置3の設置場所を特定するための固有ID情報を記憶している。
【0046】
インタフェース部4dは、検出装置3と無線タグ4との間で種々の情報を入出力させる部分である。インタフェース部4dは、検出装置3と制御部4bとを接続しこれらの間で種々の情報を入出力させるインタフェース(I/O)回路であり、検出装置3に出力信号(電気信号)を増幅する増幅回路と、この増幅回路が出力する電気信号(アナログ信号)をディジタル信号に変換するA/D変換回路などを備えている。
【0047】
図3に示す被覆部4eは、アンテナ部4a、制御部4b、記憶部4c及びインタフェース部4dを被覆する部分である。被覆部4eは、例えば、ガラス又はプラスチックなどの誘電体によって内部を絶縁しており、セメントのアルカリ分や酸による侵食を防ぐために耐候性を有する合成樹脂などのコーティング材によってアンテナ部4a、制御部4b、記憶部4c及びインタフェース部4dなどを被覆し保護している。
【0048】
図2〜図4に示す信号線5は、検出装置3と無線タグ4とを接続する部分である。信号線5は、検出装置3とインタフェース部4dとの間に電流が流れるようにこれらを電気的に接続しておりコンクリートC1内に配線されるリード線などである。信号線5は、一方の端部が歪みゲージ3aの引出し導線3dに接続されており、他方の端部がインタフェース部4dに接続されている。信号線5は、検出装置3及び無線タグ4と同様に被覆材によって被覆され保護されている。
【0049】
図2に示すリーダライタ装置6は、無線タグ4との間で相互に無線通信する装置であり、検出装置3の検出結果を無線タグ4から受信する。リーダライタ装置6は、固有ID情報及び検出結果情報を無線タグ4から読み取るとともに、無線タグ4に電波(電磁波)を送信して無線タグ4のアンテナ部4aに誘導起電力を発生させる。リーダライタ装置6は、図2に示すように、アンテナ部6aと、入力部6bと、記憶部6cと、電源部6dと、インタフェース部6eと、表示部6fと、制御部6gなどを備えている。
【0050】
アンテナ部6aは、検出装置3の検出結果を受信する部分である。アンテナ部6aは、無線タグ4側のアンテナ部4aとの間で相互に通信可能である。アンテナ部6aは、固有ID情報及び検出結果情報の送信要求をキャリア波とともにアンテナ部4aに送信する変調器と、アンテナ部4aからのキャリア波を受信して固有ID情報及び検出結果情報を抽出する復調器と、アンテナ部6a側のアンテナ線との間で通信可能なアンテナ線などを備えている。
【0051】
入力部6bは、リーダライタ装置6に種々の情報を入力する部分である。入力部6bは、例えば、固有ID情報の送信要求や検出結果情報の送信要求を無線タグ4に指令するときに利用者Mが操作する入力装置である。入力部6bは、利用者Mが入力した情報を制御部6gに出力する。入力部6bは、例えば、任意の操作項目を利用者Mが選択するタッチパネル式のスイッチなどである。
【0052】
図5は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムにおけるリーダライタ装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
図2に示す記憶部6cは、種々の情報を記憶する部分である。記憶部6cは、検出装置3毎に検出結果情報を記憶するとともに、リーダライタ装置6側の種々の動作を制御部6gに実行させる制御プログラムを記憶している。記憶部6cは、例えば、無線タグ4側から受信した固有ID情報及び検出結果情報を記憶するメモリなどである。記憶部6cは、例えば、図5に示すように、各検出装置3の固有ID情報I1,…,INを記憶するとともに、各検出装置3が検出動作したときの年月日及び時刻に関する検出時間情報D11,…,DN1と、各検出装置3の歪みゲージ3aの抵抗値に関する抵抗値情報R11,…,RN1などを検出結果情報として記憶する。
【0053】
図2に示す電源部6dは、リーダライタ装置6に電力を供給する部分である。電源部6dは、例えば、リーダライタ装置6に着脱自在に装着され交換可能な電池などであり、図示しない電源スイッチを利用者MがON操作することによってリーダライタ装置6に電力の供給を開始する。
【0054】
インタフェース部6eは、リーダライタ装置6と外部装置との間で種々の情報を入出力させる部分である。インタフェース部6eは、コンピュータ又は各種コントローラなどの外部装置とリーダライタ装置6とを接続しこれらの間で種々の情報を入出力させるインタフェース(I/O)回路である。
【0055】
表示部6fは、種々の情報を表示する部分である。表示部6fは、例えば、インタフェース部7aから入力した固有ID情報及び検出結果情報を画面上に表示したり、入力部6bによって利用者Mが選択する操作項目などを画面上に表示したりする表示装置である。
【0056】
制御部6gは、リーダライタ装置6側の種々の動作を制御する部分である。制御部6gは、リーダライタ装置6の動作を制御する制御プログラムに従って一連の処理を実行する。制御部6gは、例えば、アンテナ部4aが受信した固有ID情報及び検出結果を記憶部6cに記憶させたり、固有ID情報及び検出結果情報を記憶部6cから読み出してインタフェース部6eから出力させたりする。制御部6gは、アンテナ部6a、入力部6b、記憶部6c、電源部6d、インタフェース部6e及び表示部6fと通信可能なように接続されている。
【0057】
評価装置7は、検出装置3の検出結果を評価する装置である。評価装置7は、リーダライタ装置6が無線タグ4から読み取った検出結果情報に基づいて構造物Bの損傷状態を評価する。評価装置7は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成されており、構造物Bの状態を評価するための評価プログラムに従って所定の処理を実行する。評価装置7は、図2に示すように、インタフェース部7aと、入力部7bと、記憶部7cと、評価部7dと、表示部7eと、制御部7fなどを備えている。
【0058】
インタフェース部7aは、評価装置7と外部装置との間で種々の情報を入出力させる部分である。インタフェース部7aは、リーダライタ装置6と評価装置7とを接続しこれらの間で種々の情報を入出力させるインタフェース(I/O)回路である。インタフェース部7aは、例えば、リーダライタ装置6の記憶部6cが記憶する固有ID情報及び検出結果情報を評価装置7に入力させる。
【0059】
入力部7bは、評価装置7に種々の情報を入力する部分である。入力部7bは、例えば、固有ID情報の送信要求や検出結果情報の送信要求をリーダライタ装置6に指令するときに利用者Mが操作するキーボードなどの入力装置である。入力部7bは、利用者Mが入力した種々の情報を制御部7fに出力する。
【0060】
図6は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
記憶部7cは、種々の情報を記憶する部分である。記憶部7cは、例えば、リーダライタ装置6から入力した固有ID情報及び検出結果情報を記憶するメモリである。記憶部7cは、検出装置3毎の検出結果情報を過去から現在に至るまでの検出結果履歴として記憶している。記憶部7cは、例えば、図6に示すように、固有ID情報I1,…,IN毎に検出時間情報D11,…,D1nと抵抗値情報R11,…,R1nとを検出結果情報として時系列順に記憶している。
【0061】
図2に示す評価部7dは、検出装置3の検出結果に基づいて構造物Bの損傷状態を評価する部分である。評価部7dは、歪みゲージ3aの抵抗値を評価プログラムに従って測定し、この測定結果に基づいて構造物Bの損傷状態を評価する。評価部7dは、図6に示すように、過去から現在に至るまでの歪みゲージ3aの抵抗値情報R11,…,R1nに基づいて鉄筋S1の歪みを演算し、この演算結果に基づいて鉄筋S1の損傷状態を評価する。評価部7dは、歪みが所定のしきい値を超えたときには鉄筋S1の損傷状態が進行し鉄筋S1が危険な状態であると評価する。また、評価部7dは、構造物Bの鉄筋S1の損傷状態を複数レベルで評価してこの構造物Bが異常な状態であるか否かを評価したりする。例えば、評価部7dは、構造物Bの鉄筋S1の損傷状態を安全(レベルA)、注意(レベルB)及び危険(レベルC)の三段階に分けて評価する。評価部7dは、歪みゲージ3aの抵抗値が徐々に変化して所定のしきい値を超えたときには構造物Bが損傷状態であると評価する。さらに、評価部7dは、歪みゲージ3aの抵抗値が無限大になり通電状態から非通電状態に変化したときには、構造物Bの亀裂が進展して歪みゲージ3aが切断状態になり、構造物Bが極めて危険な状態であると評価する。評価部7dは、これらの評価結果を評価結果情報として制御部7fに出力する。
【0062】
表示部7eは、評価装置7に種々の情報を表示する部分である。表示部7eは、例えば、評価部7dの評価結果を画面上に表示したり、構造物Bの損傷状態を利用者Mに知らせるための警告を画面上に表示したり、無線タグ4から読み出した固有ID情報及び検出結果情報を画面上に表示したりする表示装置である。
【0063】
制御部7fは、評価装置7側の種々の動作を制御する部分である。制御部7fは、例えば、インタフェース部7aから入力した固有ID情報及び検出結果情報を記憶部7cに記憶させたり、検出装置3の検出結果を評価部7dに評価させたり、評価部7dの評価結果を記憶部7cに記憶させたり、記憶部7cが記憶する固有ID情報、検出結果情報及び評価結果情報を表示部7eに表示させたりする。制御部7fは、インタフェース部7a、入力部7b、記憶部7c、評価部7d及び表示部7eと通信可能なように接続されている。
【0064】
通信装置8は、リーダライタ装置6と評価装置7とを相互に通信可能に接続する装置である。通信装置8は、例えば、リーダライタ装置6側のインタフェース部6eと評価装置7側のインタフェース部7aとを接続する信号線又は電気通信回線などである。
【0065】
次に、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明する。
図7は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。
図7に示すステップ(以下、Sという)100において、無線タグ4がリーダライタ装置6から送信要求を受信する。図1に示すリーダライタ装置6の入力部6bを利用者Mが操作して送信要求が選択されると、図2に示すリーダライタ装置6のアンテナ部6aから無線タグ4のアンテナ部4aに電磁波が送信されて、無線タグ4のアンテナ部4aがこの電磁波を受信する。
【0066】
S110において、無線タグ4が起動する。リーダライタ装置6のアンテナ部6aが送信する電波を無線タグ4のアンテナ部4aが受信すると、アンテナ部4aに電力が供給されて無線タグ4が起動を開始する。その結果、制御プログラムを記憶部4cから制御部4bが読み出してこの制御プログラムに従って一連の処理を実行する。
【0067】
S120において、固有ID情報の送信要求を受信したか否かを制御部4bが判断する。アンテナ部4aが受信した電波から固有ID情報の送信が要求されていると制御部4bが判断したときにはS130に進み、アンテナ部4aが受信した電波から固有ID情報の送信が要求されていないと制御部4bが判断したときには一連の動作を終了する。
【0068】
S130において、アンテナ部4aがアンテナ部6aに固有ID情報を送信する。固有ID情報を記憶部4cから制御部4bが読み出して、この固有ID情報をアンテナ部4aがアンテナ部6aに送信する。
【0069】
S140において、リーダライタ装置6から検出結果情報の送信要求を受信したか否かを制御部4bが判断する。アンテナ部4aが受信した電波から検出結果情報の送信が要求されていると制御部4bが判断したときにはS150に進み、アンテナ部4aが受信した電波から検出結果情報の送信が要求されていないと制御部4bが判断したときには一連の動作を終了する。
【0070】
S150において、アンテナ部4aがアンテナ部6aに検出結果情報を送信する。アンテナ部4aが検出装置3に電力を供給すると歪みゲージ3aに電流が流れ、歪みゲージ3aの金属抵抗線3cの抵抗値を制御部4bが測定し、この測定結果を測定結果情報としてアンテナ部4aがアンテナ部6aに送信する。
【0071】
次に、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムのリーダライタ装置の動作を説明する。
図8は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムのリーダライタ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図8に示すS200において、送信要求するか否かを制御部6gが判断する。図1に示すように、リーダライタ装置6を利用者Mが携帯して構造物Bが存在する現場まで行き、無線タグ4とリーダライタ装置6との間で無線通信可能な距離まで近づく。次に、リーダライタ装置6の図示しない電源スイッチを利用者MがON操作するとリーダライタ装置6が起動を開始する。その結果、制御プログラムを記憶部6cから制御部6gが読み出してこの制御プログラムに従って一連の処理を実行する。入力部6bを利用者Mが操作して送信要求が選択されたと制御部6gが判断したときにはS210に進み、送信要求がされなかったと制御部6gが判断したときには一連の動作を終了する。
【0072】
S210において、リーダライタ装置6が無線タグ4に送信要求する。図2に示すようにリーダライタ装置6のアンテナ部6aから無線タグ4のアンテナ部4aに電磁波が送信されて送信要求がされる。
【0073】
S220において、リーダライタ装置6が無線タグ4から固有ID情報を受信したか否かを制御部6gが判断する。図7に示すS130において、無線タグ4側のアンテナ部4aが固有ID情報を送信するとこの固有ID情報をアンテナ部6aが受信する。固有ID情報をアンテナ部6aが受信したと制御部6gが判断したときにはS230に進み、固有ID情報をアンテナ部6aが受信しなかった制御部6gが判断したときには一連の動作を終了する。
【0074】
S230において、固有ID情報を記憶部6cが記憶する。アンテナ部4aからアンテナ部6aが固有ID情報を受信すると、この固有ID情報を制御部6gが記憶部6cに出力し、図5に示すようにこの固有ID情報を記憶部6cが記憶する。
【0075】
S240において、リーダライタ装置6が無線タグ4から検出結果情報を受信したか否かを制御部6gが判断する。図7に示すS150において、無線タグ4側のアンテナ部4aが検出結果情報を送信すると、この検出結果情報をアンテナ部6aが受信する。検出結果情報をアンテナ部6aが受信したと制御部6gが判断したときにはS250に進み、検出結果情報をアンテナ部6aが受信しなかった制御部6gが判断したときには一連の動作を終了する。
【0076】
S250において、検出結果情報を記憶部6cが記憶する。アンテナ部4aからアンテナ部6aが検出結果情報を受信すると、この検出結果情報を制御部6g
が記憶部6cに出力し、図5に示すようにこの検出結果情報を記憶部6cが記憶する。
【0077】
次に、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置の動作を説明する。
図9は、この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図9に示すS300において、評価装置7がリーダライタ装置6に固有ID情報の送信を要求する。例えば、図1に示す利用者Mが作業終了後に管理事務所内の評価装置7にリーダライタ装置6を通信装置8によって接続する。次に、評価装置7の図示しない電源スイッチを利用者MがON操作すると評価装置7が起動を開始し、評価プログラムを記憶部7cから制御部7fが読み出してこの評価プログラムに従って一連の処理を実行する。図2に示す評価装置7のインタフェース部7aからリーダライタ装置6のインタフェース部6eに通信装置8を通じて固有ID情報の送信を要求すると、リーダライタ装置6の制御部6gが記憶部6cから固有ID情報を読み出して、インタフェース部6eがインタフェース部7aにこの固有ID情報を送信する。
【0078】
S310において、固有ID情報を記憶部7cが記憶する。インタフェース部7aから固有ID情報が入力すると制御部7fがこの固有ID情報を記憶部7cに出力し、図6に示すように記憶部7cがこの固有ID情報を記憶する。
【0079】
S320において、評価装置7がリーダライタ装置6に検出結果情報の送信を要求する。図2に示すインタフェース部7aからインタフェース部6eに検出結果情報の送信を要求すると、制御部6gが記憶部6cから検出結果情報を読み出して、インタフェース部6eがインタフェース部7aにこの検出結果情報を送信する。
【0080】
S330において、検出結果情報を記憶部7cが記憶する。インタフェース部7aから検出結果情報が入力すると制御部7fがこの検出結果情報を記憶部7cに出力し、図6に示すように記憶部7cがこの検出結果情報を記憶する。
【0081】
S340において、構造物Bの損傷状態を評価部7dが評価する。評価部7dは、図6に示すように、過去から現在に至るまでの歪みゲージ3aの抵抗値情報R11,…,R1nに基づいて鉄筋S1の歪みを演算し、この演算結果に基づいて鉄筋S1の損傷状態を評価する。評価部7dは、評価結果を評価結果情報として制御部7fに出力する。
【0082】
S350において、評価部7dの評価結果を記憶部7cが記憶する。評価結果情報を制御部6gが記憶部7cに出力すると、この評価結果情報を記憶部7cが記憶する。
【0083】
S360において、評価部7dの評価結果を表示部7eが表示する。評価結果情報を制御部6gが表示部7eに送信するとこの評価結果情報を表示部7eが画面上に表示する。
【0084】
この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出装置とこの状態検出システムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、構造物Bの状態を埋設状態で検出装置3が検出し、この検出装置3の検出結果を埋設状態で無線タグ4が送信する。このため、例えば、構造物BのコンクリートC1内に埋設されている鉄筋S1の状態を簡単に検出し、この検出結果を確実に送信することができる。また、検出装置3及び無線タグ4が埋設状態であるため、物体の衝突や悪意による破損を防ぐことができる。
【0085】
(2) この第1実施形態では、検出装置3の検出結果を送信するアンテナ部4aを無線タグ4が備えており、外部から受信した電波によって発生する誘導起電力をこのアンテナ部4aが検出装置3に供給する。このため、無線タグ4に電源を設ける必要がなく、安価で簡単な構造の無線タグ4によって検出装置3の検出結果を確実に送信することができる。
【0086】
(3) この第1実施形態では、構造物Bの鉄筋S1の状態を検出装置3が検出する。このため、接近が困難で危険が伴う高所や、目視による検査が不可能である埋設箇所の鉄筋S1の状態を簡単に検出することができる。
【0087】
(4) この第1実施形態では、検出装置3の検出感度方向が鉄筋S1の長さ方向と一致するように、この鉄筋S1の長さ方向に沿って検出装置3が複数配置されている。このため、安価で簡単な構造の検出装置3によって鉄筋S1の状態を広範囲に検出して検出精度を向上させることができる。
【0088】
(5) この第1実施形態では、検出装置3が構造物Bの歪みを検出する。このため、地震や火災などの災害を受けたときに、歪みを検出することによって構造物Bの損傷状態を評価することができる。
【0089】
(6) この第1実施形態では、構造物Bの歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージ3aを検出装置3が備えている。このため、高価で複雑な光ファイバ式の検出装置などを使用せずに、安価で簡単な構造の歪みゲージ3aによって構造物Bの歪みを容易に検出することができる。
【0090】
(7) この第1実施形態では、検出装置3の検出結果を無線タグ4からリーダライタ装置6が受信する。このため、非接触で遠距離から構造物Bの状態を検出することができる。
【0091】
(8) この第1実施形態では、検出装置3の検出結果に基づいて構造物Bの損傷状態を評価装置7が評価する。このため、例えば、検出装置3が歪みゲージ3aであるときには、歪みゲージ3aの通電状態を検出することによって構造物Bの損傷状態を精度よく評価することができる。
【0092】
(第2実施形態)
図10は、この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。図11は、この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。以下では、図1〜図4に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図10及び図11に示す検出装置3は、構造物Bの歪みを検出するとともに、この構造物Bの温度を検出する。検出装置3は、熱電対3eを備えており、この熱電対3eは構造物Bの温度に応じて起電力が変化する。熱電対3eは、図11に示すように、材質の異なり二本の金属線3fと、これらの金属線3fの両端を接続する一対の接点3gなどを備えており、一対の接点3g間の温度差によって起電力を発生する。熱電対3eは、歪みゲージ3aと同様に、コンクリートC1を打設する前に鉄筋S1の外周部に接着剤などによって固定されており、鉄筋S1の長さ方向に沿って歪みゲージ3aと対応して同数配置されている。
【0093】
図10及び図11に示す制御部4bは、歪みゲージ3aの抵抗値と熱電対3eの電圧値とを測定してこの測定結果を検出結果情報としてアンテナ部4aからリーダライタ装置6に送信する。信号線5は、歪みゲージ3aの引出し導線3dとインタフェース部4dとを接続するとともに、熱電対3eの接点3gとインタフェース部4dとを接続する。
【0094】
図12は、この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムにおけるリーダライタ装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
図10に示す記憶部6cは、例えば、図12に示すように、各検出装置3の固有ID情報I1,…,INを記憶するとともに、各検出装置3が検出動作したときの年月日及び時刻に関する検出時間情報D11,…,DN1と、各検出装置3の歪みゲージ3aの抵抗値に関する抵抗値情報R11,…,RN1と、各検出装置3の熱電対3eの電圧値に関する電圧値情報V11,…,VN1とを検出結果情報として記憶する。
【0095】
図13は、この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
図10に示す評価装置7は、検出装置3が構造物Bの歪みと温度とを検出したときに、この温度に基づいてこの歪みを補正し、補正後の歪みに基づいて構造物Bの損傷状態を評価する。評価装置7は、図10に示すように、温度に基づいて歪みを補正する補正部7gを備えている。記憶部7cは、例えば、図13に示すように、固有ID情報I1,…,IN毎に検出時間情報D11,…,D1nと、抵抗値情報R11,…,R1nと、電圧値情報V11,…,VN1とを時系列順に記憶している。評価部7dは、歪みゲージ3aの抵抗値と熱電対3eの電圧値とを評価プログラムに従って測定し、この測定結果に基づいて構造物Bの損傷状態を評価する。補正部7gは、記憶部7cが記憶する電圧値情報V11,…,VN1に基づいて抵抗値情報R11,…,R1nを補正し、補正後の抵抗値情報R11,…,R1nを制御部7fに出力する。評価部7dは、過去から現在に至るまでの歪みゲージ3aの補正後の抵抗値情報R11,…,R1nに基づいて鉄筋S1の歪みを演算し、この演算結果に基づいて鉄筋S1の損傷状態を評価する。
【0096】
この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムとこの状態検出装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、検出装置3が構造物Bの温度を検出する。このため、歪みゲージ3aの抵抗値が温度による影響を受けるときに、構造物Bの温度を検出することによって歪みゲージ3aの抵抗値を正確に検知することができる。
【0097】
(2) この第2実施形態では、構造物Bの温度に応じて起電力が変化する熱電対3eを検出装置3が備えている。このため、安価で簡単な構造の熱電対3eによって構造物Bの温度を容易に検出することができる。
【0098】
(3) この第2実施形態では、構造物Bの歪みと温度とを検出装置3が検出したときに、この温度に基づいてこの歪みを補正し、補正後の歪みに基づいて構造物Bの損傷状態を評価装置7が評価する。このため、温度の変化によって歪みゲージ3aの抵抗値が変化しても、温度特性を考慮してこの抵抗値を補正し構造物Bの損傷状態をより一層正確に評価することができる。
【0099】
(第3実施形態)
図14は、この発明の第3実施形態に係る状態検出システムのブロック図である。図15は、この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグ側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
図14に示す無線タグ4は、検出装置3の検出結果を記憶する記憶部4fを備えており、この記憶部4fは制御プログラム、固有ID情報及び検出結果情報を記憶している。記憶部4fは、構造物Bの施工完了直後の検出装置3の検出結果を記憶したり、検出装置3の過去の検出結果を更新してこの検出装置3の最新の検出結果を記憶したりする。記憶部4fは、例えば、図15に示すように、検出装置3の固有ID情報I1を記憶するとともに、この検出装置3が検出動作を開始したときの基準年月日及び基準時刻に関する基準検出時間情報D11と、各検出装置3の歪みゲージ3aの基準抵抗値(初期設定値)に関する基準抵抗値情報R11と、各検出装置3の熱電対3eの基準電圧値(初期設定値)に関する基準電圧値情報V11とを検出結果情報として記憶する。
【0100】
次に、この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明する。
図16は、この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。以下では、図7に示す処理と同一の処理については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図16に示すS160において、リセット要求を受信したか否かを制御部4bが判断する。アンテナ部4aが受信した電波からリセット要求されていると制御部4bが判断したときにはS170に進み、アンテナ部4aが受信した電波からリセット要求されていないと制御部4bが判断したときには一連の動作を終了する。
【0101】
S170において、検出結果情報を記憶部4fが記憶する。例えば、コンクリートC1を打設する前に鉄筋S1に検出装置3を装着し、その後にコンクリートC1を打設すると、コンクリートC1を打設する前後で歪みゲージ3aの抵抗値や熱電対3eの電圧値が変化してしまう。このため、リーダライタ装置6から無線タグ4がリセット要求を受信したときには、コンクリートC1の打設を完了し全ての施工を完了した直後の歪みゲージ3aの抵抗値や熱電対3eの電圧値を制御部4bが測定し、これらの測定結果を基準抵抗値情報及び基準電圧値情報として記憶部4fが記憶する。また、リーダライタ装置6から無線タグ4がリセット要求を受信したときには、歪みゲージ3aの抵抗値や熱電対3eの電圧値を制御部4bが測定する度に、前回の測定結果を更新して今回の測定結果を基準抵抗値情報及び基準電圧値情報として記憶部4fが記憶する。
【0102】
この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムとその状態検出装置には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、検出装置3の検出結果を記憶する記憶部4fを無線タグ4が備えている。このため、検出装置3の検出結果をリーダライタ装置6や評価装置7に記録し蓄積しておく必要がなくなって、検出装置3の検出結果を構造物B自体に記録させ保持させておくことができる。
【0103】
(2) この第3実施形態では、構造物Bの施工完了直後の検出装置3の検出結果を記憶部4fが記憶する。このため、施工完了直後の検出結果を記憶部4fに記憶させ把握することができるとともに、施工完了直後の検出結果を初期値として確認することができる。
【0104】
(3) この第3実施形態では、検出装置3の過去の検出結果を更新してこの検出装置3の最新の検出結果を記憶部4fが記憶する。このため、今回の検出結果を前回の検出結果と置き換えることによって、最新の測定結果を次回の測定時の基準値として利用することができる。
【0105】
(第4実施形態)
図17は、この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。図18は、この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。
図17及び図18に示す無線タグ4は、図2及び図3に示す無線タグ4とは異なり電源部4gを備えており、電源部4gの電力によって動作しリーダライタ装置6との間で交信するアクティブ型タグである。制御部4bは、検出装置3が所定のタイミングで検出動作を開始するように、電源部4gから検出装置3への電力の供給を制御しており、電源部4gが供給する電力を電源として動作する。制御部4bは、例えば、記憶部4fから読み出した固有ID情報をアンテナ部4aからリーダライタ装置6に送信させたり、検出結果情報を記憶部4fに記憶させたり、検出結果情報を記憶部4fから読み出してアンテナ部4aからリーダライタ装置6に送信させたりする。制御部4bは、アンテナ部4a、記憶部4f、インタフェース部4d及び電源部4gと通信可能なように接続されている。記憶部4fは、制御プログラム、固有ID情報及び検出結果情報を記憶している。記憶部4fは、例えば、図6及び図12に示すように、検出時間情報D11,…,D1nと、抵抗値情報R11,…,R1nと、電圧値情報V11,…,V1nとを検出結果情報として時系列順に記憶したり、図15に示すように基準検出時間情報D11と、基準抵抗値情報R11と、基準電圧値情報V11とを検出結果情報として記憶したりする。電源部4gは、検出装置3に電力を供給する部分である。電源部4gは、例えば、リーダライタ装置6側のアンテナ部6aが送信する電波をアンテナ部4aが受信したときに、このアンテナ部4aが発生する誘導起電力によって充電される二次電池などである。
【0106】
次に、この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明する。
図19は、この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。
図19に示すS400において、動作タイミングであるか否かを制御部4bが判断する。図示しないタイマ回路を制御部4bが備えており、このタイマ回路の出力信号に基づいて、検出動作を開始する時刻に達したか否かを制御部4bが判断し、検出開始時刻に達したと制御部4bが判断したときにはS410に進み、検出開始時刻に達していないと制御部4bが判断したときには検出開始時刻に達するまで判断を繰り返す。
【0107】
S410において、検出装置3に制御部4bが電力を供給する。電源部4gの電力を制御部4bが検出装置3に供給すると、検出装置3の歪みゲージ3a及び熱電対3eに電流が流れる。
【0108】
S420において、制御部4bが測定を開始する。検出装置3に電力が供給されると、歪みゲージ3aの抵抗値と熱電対3eの電圧値とを制御部4bが測定する。
【0109】
S430において、検出結果情報を記憶部4fが記憶する。歪みゲージ3aの抵抗値と熱電対3eの電圧値とを制御部4bが測定すると、この測定結果を検出結果情報として制御部4bが記憶部4fに出力し、記憶部4fがこの検出結果情報を記憶する。
【0110】
S440において、送信タイミングであるか否かを制御部4bが判断する。図示しないタイマ回路の出力信号に基づいて送信動作を開始する時刻に達したか否かを制御部4bが判断し、送信開始時刻に達したと制御部4bが判断したときにはS450に進み、送信開始時刻に達していないと制御部4bが判断したときには送信開始時刻に達するまで判断を繰り返す。
【0111】
S450において、固有ID情報及び検出結果情報をアンテナ部4aが送信する。検出結果情報を記憶部4fから制御部4bが読み出して、この検出結果情報をアンテナ部4aから制御部4bが送信させる。図1に示すように、リーダライタ装置6を利用者Mが携帯して無線タグ4とリーダライタ装置6との間で無線通信可能な距離まで近づき、リーダライタ装置6の図示しない電源スイッチを利用者MがON操作する。その結果、所定の送信タイミングで無線タグ4から送信される固有ID情報及び検出結果情報をリーダライタ装置6のアンテナ部6aが受信し、これらの情報を記憶部6cが記憶し、評価装置7が構造物Bの状態を評価する。
【0112】
この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムとその状態検出装置には、第1実施形態〜第3実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第4実施形態では、検出装置3に電源部4gが電力を供給し、検出装置3が所定のタイミングに検出動作を開始するように、電源部4gから検出装置3への電力の供給動作を制御部4bが制御し、検出装置3の検出結果をアンテナ部4aが送信する。このため、構造物Bの状態を定期的に検出することができ、この検出結果を定期的に無線タグ4から送信することができる。このため、簡単な構造の受信機能のみを有するリーダライタ装置によって検出装置3の検出結果を受信することができる。
【0113】
(第5実施形態)
図20は、この発明の第5実施形態に係る構造物の状態検出システムの使用状態を概略的に示す模式図である。図21は、この発明の第5実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の設置方法を説明するための概念図であり、図21(A)〜図21(F)は施工開始から施工完了までの手順を概略的に示す概念図である。
図20に示す杭基礎B4は、鉄筋かごS2とコンクリートC1とによって構築されており、杭基礎B4の上部には杭頭部B41が形成されている。鉄筋かごS2は、図21(A)に示すように、鉄筋S1をかご状に組み立てた埋設物であり、例えば鉄筋S1を溶接して円筒状又は角柱状に組み立てられている。図20及び図21(D)に示す芯鉄筋S3は、地震時の杭基礎B4に発生する引き抜き力の伝達を担う部材であり、鉄筋かごS2に組み込まれている。図20及び図21(E)(F)に示すフーチングB3は、捨てコンクリートC2上に構築されており、この捨てコンクリートC2はフーチングB3を打設する前に割栗や砕石などの上に打設されたコンクリート構造物である。図20に示す検出装置3は、杭頭部B41の鉄筋S1の状態を検出しており、捨てコンクリートC2より上方の鉄筋かごS2の鉄筋S1に固定された状態でフーチングB3のコンクリートC1内に埋設されている。無線タグ4は、例えば、柱B2のコンクリートC1内に埋設されており、信号線5によって検出装置3と電気的に接続されている。
【0114】
次に、この発明の第5実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の設置方法を説明する。
図21(A)に示すように、掘削機械などによってボーリング穴G1を地盤Gに掘削し、このボーリング穴G1に鉄筋かごS2を落とし込み、ボーリング穴G1にコンクリートC1を流し込む。その結果、図21(B)に示すように、コンクリートC1が硬化すると杭基礎B4が構築される。コンクリート打設後の杭頭部B41では、鉄筋かごS2がコンクリートC1によって覆われている。このため、図21(C)に示すように、杭頭部B41のコンクリートC1を取り除き、杭頭部B41の上端面(杭天端)を露出させる。次に、図21(D)に示すように、杭頭部B41の上端面に所定の高さで捨てコンクリートC2を打設し、この捨てコンクリートC2の上面から露出した鉄筋かごS2に芯鉄筋S3を組み込む。このときに、捨てコンクリートC2の上面から露出した鉄筋かごS2の鉄筋S1に検出装置3を固定し、検出装置3に信号線5を接続する。次に、図21(E)に示すように、捨てコンクリートC2上にフーチングB3を構築してフーチングB3内に検出装置3を埋設する。このとき、無線タグ4と接続する側の端部の信号線5が外部に引き出された状態で、捨てコンクリートC2上にフーチングB3が構築される。その後に、図21(F)に示すように、フーチングB3上に柱B2が構築されて、この柱B2内に無線タグ4が埋設される。
【0115】
この第5実施形態に係る構造物の状態検出システムとその状態検出装置には、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第5実施形態では、杭頭部B41の鉄筋S1の状態を検出装置3が検出する。このため、地震発生時に損傷を受け易い杭基礎B4の損傷状態を評価することができる。また、フーチングB3の下方で杭基礎B4の上部に検出装置3を埋設した場合には、フーチングB3と杭基礎B4との間を信号線5が通過するため、地震時の揺れによってフーチングB3と杭基礎B4とが相対的に変位し信号線5が破断するおそれがある。この第5実施形態では、フーチングB3内の杭基礎B4の上部に検出装置3が埋設されている。このため、地震発生時の揺れによってフーチングB3と杭基礎B4とが相対的に変位しても信号線5が破断するのを防ぐことができる。
【0116】
(第6実施形態)
図22は、この発明の第6実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の使用状態を概略的に示す模式図であり、図22(A)は橋梁の柱基部に設置した状態を示す模式図であり、図22(B)は橋梁の橋台基部に設置した状態を示す模式図である。
図22(A)に示す構造物Bは、ラーメン高架橋などのコンクリート構造物である。図22(B)に示す構造物Bは橋梁の両側で桁B1を受ける橋台であり、桁B1を支持する躯体B5を備えている。図22に示す基部B21,B22,B51は、二つの部材が接続する根元部分であり、基部B21は桁B1と接続する柱B2の根元部分であり、基部B22はフーチングB3と接続する柱B2の根元部分であり、基部B51はフーチングB3と接続する躯体B5の根元部分である。検出装置3は、構造物Bの基部B21,B22,B51の状態を検出している。図22(A)に示す検出装置3は、構造物Bがラーメン高架橋などの橋梁であるときにこの橋梁の柱B2の基部B21,B22の状態を検出し、図2(B)に示す検出装置3は構造物Bが橋梁の橋台であるときにこの橋台の基部B51の状態を検出する。
【0117】
この第6実施形態に係る構造物の状態検出システムとその状態検出装置には、第1実施形態〜第5実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第6実施形態では、構造物Bの基部B21,B22,B51の状態を検出装置3が検出する。例えば、剛性の高い桁B1やフーチングB3に剛性の低い柱B2や躯体B5が接続されている場合には、地震によって基部B21,B22,B51の鉄筋S1が大きな損傷を受けることがある。この第6実施形態では、このような二つの部材同士の応力を受け持つ強さの比率(剛比)が大きく異なる基部B21,B22,B51の状態を検出装置3によって検出し評価することができる。
【0118】
(2) この第6実施形態では、橋梁の柱B2の基部B21,B22又は橋台の基部B51の状態を検出装置3が検出する。このため、地震による被害が集中し易い基部B21,B22,B51の状態を検出して、地震後の健全度を評価することができる。
【0119】
(第7実施形態)
図23は、この発明の第7実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の使用状態を概略的に示す模式図であり、図23(A)は横断面図であり、図23(B)は縦断面図である。図24は、この発明の第7実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置による亀裂の検出動作を説明するための模式図であり、図24(A)は亀裂が発生した初期段階を示す横断面図であり、図24(B)は亀裂が進展した状態を示す横断面図である。
図23に示す検出装置3X〜3Zは、構造物BのコンクリートC1の状態を検出しており、検出感度方向がそれぞれ異なるようにコンクリートC1内に合計3個配置されている。検出装置3X〜3Zは、検出感度方向がそれぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向になるようにコンクリートC1内に配置されており、信号線5によって無線タグ4に接続されている。例えば、検出装置3Xは、図24(A)に示すようにコンクリートC1の表面に沿って鉄筋S1から進展する亀裂W1を検出し、検出装置3Yは図24(B)に示すようにコンクリートC1の表面に向かって鉄筋S1から進展する亀裂W2を検出する。
【0120】
次に、この発明の第7実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の動作を説明する。
例えば、図24(A)に示すように、鉄筋S1が腐食すると鉄筋S1の周囲のコンクリートC1が浮き上がり、コンクリートC1の表面に沿って亀裂W1が進展する。その結果、コンクリートC1の表面に沿って鉄筋S1から進展する亀裂W1を検出装置3Xが検出する。図24(B)に示すように、鉄筋S1の腐食がさらに進むと、鉄筋S1からコンクリートC1が剥離して浮き上がりコンクリートC1の劣化がさらに進み、コンクリートC1の表面に向かって亀裂W2が進展する。その結果、コンクリートC1の表面に向かって鉄筋S1から進展する亀裂W2を検出装置3Yが検出する。
【0121】
この第7実施形態に係る構造物の状態検出システムとその状態検出装置には、第1実施形態〜第6実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第7実施形態では、構造物BのコンクリートC1の状態を検出装置3X〜3Zが検出する。このため、コンクリートC1の剥離などの劣化状態を検出して、構造物Bの損傷状態を簡単に評価することができる。
【0122】
(2) この第7実施形態では、検出感度方向がそれぞれ異なるようにコンクリートC1内に検出装置3X〜3Zが配置されている。このため、コンクリートC1の劣化による剥離やひび割れの方向性を確認することができるとともに、構造物Bの劣化の進捗度を評価することができる。
【0123】
(3) この第7実施形態では、検出感度方向がそれぞれX軸、Y軸及びZ軸方向になるようにコンクリートC1内に検出装置3X〜3Zが配置されている。このため、コンクリートC1内を様々な方向に進展する亀裂W1,W2を検出して、構造物Bの損傷状態を初期段階から評価することができる。
【0124】
(4) この第7実施形態では、構造物Bの鉄筋S1からこの構造物BのコンクリートC1の表面に沿って進展する亀裂W1を検出装置3Xが検出し、コンクリートC1の表面に向かって鉄筋S1から進展する亀裂W2を検出装置3Yが検出する。このため、コンクリートC1が鉄筋S1から剥離する初期の浮き始め検出することができるとともに、コンクリートC1の表面に向かうひび割れを検出することができる。
【0125】
(第8実施形態)
図25は、この発明の第8実施形態に係る構造物の状態検出システムによって検出される埋設物を概略的に示す模式図であり、図25(A)は設置前の埋設物の状態を示す外観図であり、図25(B)は設置後の埋設物の状態を示す外観図である。
図25に示す鉄筋かごS2は、検出対象部の状態を検出する検出装置3を備えており、この検出装置3は無線タグ4に信号線5を通じて接続可能である。検出装置3は、検出対象部が鉄筋S1であるときにはこの鉄筋S1の状態を検出し、検出対象部がコンクリートC1であるときにはこのコンクリートC1の状態を検出する。検出装置3は、図25(A)に示すように、鉄筋かごS2を組立工場などで組み立てるときに予め鉄筋S1に固定されており、鉄筋S1に固定された状態で現場に搬入される。検出装置3は、図25(B)に示すように、信号線5によって無線タグ4と接続された状態で鉄筋かごS2とともに現場でコンクリートC1内に埋設される。検出装置3は、例えば、杭基礎B4の外径Dであるときには、フーチングB3の下面から深さH(=1.5D)以内における鉄筋S1に損傷が集中し易い位置に固定されている。この第8実施形態では、第1実施形態〜第7実施形態の効果に加えて、検出装置3を鉄筋S1に取り付けた状態で鉄筋かごS2が製品化されているため、この鉄筋かごS2を現場に搬入して設置するだけで構造物Bの状態を簡単に検出することができる。
【0126】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、構造物Bとして橋梁を例に挙げて説明したが、トンネル又は架線柱などの他の固定構造物についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、鉄道車両が走行する橋梁を例に挙げて説明したが、自動車が走行する橋や歩行者のみが通行する橋などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、構造物Bがコンクリート構造である場合を例に挙げて説明したが、このような構造に限定するものではない。例えば、鉄筋コンクリートスラブと鋼桁とによって構成された合成桁や、H形鋼などをRC桁に埋め込み一体化させたH鋼埋め込み桁などの合成(複合)構造などについても、この発明を適用することができる。
【0127】
(2) この実施形態では、歪みゲージ3aによって検出装置3を構成する場合を例に挙げて説明したが、歪みゲージ3a以外の亀裂検出センサ(クラックセンサ)や熱電対3eのみによって検出装置3を構成することもできる。例えば、熱電対3eのみによって検出装置3を構成した場合には、構造物Bの火災による損傷状態を評価することができる。また、この実施形態では、歪みゲージ3aと熱電対3eとによって検出装置3を構成する場合を例に挙げて説明したが、歪み検出機能と温度検出機能とを備える一つのセンサによって検出装置3を構成することもできる。さらに、この実施形態では、杭基礎B4が場所打ち杭である場合を例に挙げて説明したが既成杭である場合についてもこの発明を適用することができる。
【0128】
(3) この実施形態では、受信機能を有するリーダライタ装置6と解析機能を有する評価装置7とによって状態検出システム1を構成する場合を例に挙げて説明したが、リーダライタ装置6と評価装置7とを一体化させてハンディ型リーダライタ装置によって状態検出システム1を構成することもできる。また、この実施形態では、構造物Bの状態を評価装置7が評価する場合を例に挙げて説明したが、構造物Bの状態を無線タグ4側で評価してこの評価結果をリーダライタ装置6側に送信することもできる。さらに、この実施形態では、埋設物として鉄筋かごS2を例に挙げて説明したが、地中に埋設される杭などの他の埋設物についてもこの発明を適用することができる。この場合には、無線タグ4を埋設物の表面に露出させた状態で固定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの使用状態を概略的に示す模式図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の設置状態を概略的に示すブロック図である。
【図5】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムにおけるリーダライタ装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
【図6】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
【図7】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムのリーダライタ装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】この発明の第1実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。
【図11】この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。
【図12】この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムにおけるリーダライタ装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
【図13】この発明の第2実施形態に係る構造物の状態検出システムの評価装置側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
【図14】この発明の第3実施形態に係る状態検出システムのブロック図である。
【図15】この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグ側の記憶部のデータ構造を概略的に示す模式図である。
【図16】この発明の第3実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムのブロック図である。
【図18】この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置のブロック図である。
【図19】この発明の第4実施形態に係る構造物の状態検出システムの無線タグの動作を説明するためのフローチャートである。
【図20】この発明の第5実施形態に係る構造物の状態検出システムの使用状態を概略的に示す模式図である。
【図21】この発明の第5実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の設置方法を説明するための概念図であり、(A)〜(F)は施工開始から施工完了までの手順を概略的に示す概念図である。
【図22】この発明の第6実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の使用状態を概略的に示す模式図であり、(A)は橋梁の柱基部に設置した状態を示す模式図であり、(B)は橋梁の橋台基部に設置した状態を示す模式図である。
【図23】この発明の第7実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置の使用状態を概略的に示す模式図であり、(A)は横断面図であり、(B)は縦断面図である。
【図24】この発明の第7実施形態に係る構造物の状態検出システムの状態検出装置による亀裂の検出動作を説明するための模式図であり、(A)は亀裂が発生した初期段階を示す横断面図であり、(B)は亀裂が進展した状態を示す横断面図である。
【図25】この発明の第8実施形態に係る構造物の状態検出システムによって検出される埋設物を概略的に示す模式図であり、(A)は設置前の埋設物の状態を示す外観図であり、(B)は設置後の埋設物の状態を示す外観図である。
【符号の説明】
【0130】
1 状態検出システム
2 状態検出装置
3 検出装置
3X〜3Z 検出装置
3a 歪みゲージ
3e 熱電対
4 無線タグ
4a アンテナ部
4b 制御部
4c 記憶部
4d インタフェース部
4f 記憶部
4g 電源部
5 信号線
6 リーダライタ装置
6a アンテナ部
6c 記憶部
6e インタフェース部
6g 制御部
7 評価装置
7a インタフェース部
7c 記憶部
7d 評価部
7f 制御部
7g 補正部
B 構造物(コンクリート構造物)
B1 桁
B2 柱
B21,B22 基部(柱基部)
B3 フーチング
B4 杭基礎
B41 杭頭部
B5 躯体
B51 基部(橋台基部)
C1 コンクリート(検出対象部)
S1 鉄筋(検出対象部)
S2 鉄筋かご(埋設物)
M 利用者
V 車両
R 軌道
W1,W2 亀裂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の状態を検出する構造物の状態検出装置であって、
前記構造物の状態を埋設状態で検出する検出装置と、
前記検出装置の検出結果を埋設状態で送信する無線タグと、
を備える構造物の状態検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の構造物の状態検出装置において、
前記無線タグは、前記検出装置の検出結果を送信するアンテナ部を備え、
前記アンテナ部は、外部から受信した電波によって発生する誘導起電力を前記検出装置に供給すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の構造物の状態検出装置において、
前記無線タグは、
前記検出装置に電力を供給する電源部と、
前記検出装置が所定のタイミングに検出動作を開始するように、前記電源部からこの検出装置への前記電力の供給動作を制御する制御部と、
前記検出装置の検出結果を送信するアンテナ部とを備えること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の鉄筋の状態を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、検出感度方向が前記鉄筋の長さ方向と一致するように、この鉄筋の長さ方向に沿って複数配置されていること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、杭頭部の鉄筋の状態を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物のコンクリートの状態を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、検出感度方向がそれぞれ異なるように、前記コンクリート内に複数配置されていること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、検出感度方向がそれぞれX軸、Y軸及びZ軸方向になるように、前記コンクリート内に3つ配置されていること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、
前記構造物のコンクリートの表面に沿ってこの構造物の鉄筋から進展する亀裂を検出する第1の検出装置と、
前記コンクリートの表面に向かって前記鉄筋から進展する亀裂を検出する第2の検出装置とを備えること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の基部の状態を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、橋梁の柱基部又は橋台基部の状態を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の歪みを検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージを備えること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の温度を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項16】
請求項15に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の温度に応じて起電力が変化する熱電対を備えること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記無線タグは、前記検出装置の検出結果を記憶する記憶部を備えること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項18】
請求項17に記載の構造物の状態検出装置において、
前記記憶部は、前記構造物の施工完了直後の前記検出装置の検出結果を記憶すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載の構造物の状態検出装置において、
前記記憶部は、前記検出装置の過去の検出結果を更新してこの検出装置の最新の検出結果を記憶すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項20】
コンクリート構造物の状態を検出する構造物の状態検出システムであって、
請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置と、
前記検出装置の検出結果を前記無線タグから受信するリーダライタ装置と、
を備える構造物の状態検出システム。
【請求項21】
請求項20に記載の構造物の状態検出システムにおいて、
前記検出装置の検出結果に基づいて前記構造物の損傷状態を評価する評価装置を備えること、
を特徴とする構造物の状態検出システム。
【請求項22】
請求項21に記載の構造物の状態検出システムにおいて、
前記評価装置は、前記検出装置が前記構造物の歪みと温度とを検出したときに、前記温度に基づいて前記歪みを補正し、補正後の前記歪みに基づいて前記構造物の損傷状態を評価すること、
を特徴とする構造物の状態検出システム。
【請求項23】
検出対象部の状態を検出する検出装置を備える埋設物であって、
前記検出装置は、前記検出対象部の状態を送信する無線タグに信号線を通じて接続可能であること、
を特徴とする埋設物。
【請求項24】
請求項23に記載の埋設物において、
前記検出装置は、前記検出対象部が前記構造物の鉄筋であるときにこの鉄筋の状態を検出すること、
を特徴とする埋設物。
【請求項25】
請求項23又は請求項24に記載の埋設物において、
前記検出装置は、前記検出対象部が前記構造物のコンクリートであるときにこのコンクリートの状態を検出すること、
を特徴とする埋設物。
【請求項26】
請求項23から請求項25までのいずれか1項に記載の埋設物において、
前記検出装置は、前記検出対象部の歪みを検出すること、
を特徴とする埋設物。
【請求項27】
請求項26に記載の埋設物において、
前記検出装置は、前記検出対象部の歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージを備えること、
を特徴とする埋設物。
【請求項1】
コンクリート構造物の状態を検出する構造物の状態検出装置であって、
前記構造物の状態を埋設状態で検出する検出装置と、
前記検出装置の検出結果を埋設状態で送信する無線タグと、
を備える構造物の状態検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の構造物の状態検出装置において、
前記無線タグは、前記検出装置の検出結果を送信するアンテナ部を備え、
前記アンテナ部は、外部から受信した電波によって発生する誘導起電力を前記検出装置に供給すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の構造物の状態検出装置において、
前記無線タグは、
前記検出装置に電力を供給する電源部と、
前記検出装置が所定のタイミングに検出動作を開始するように、前記電源部からこの検出装置への前記電力の供給動作を制御する制御部と、
前記検出装置の検出結果を送信するアンテナ部とを備えること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の鉄筋の状態を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、検出感度方向が前記鉄筋の長さ方向と一致するように、この鉄筋の長さ方向に沿って複数配置されていること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、杭頭部の鉄筋の状態を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物のコンクリートの状態を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、検出感度方向がそれぞれ異なるように、前記コンクリート内に複数配置されていること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、検出感度方向がそれぞれX軸、Y軸及びZ軸方向になるように、前記コンクリート内に3つ配置されていること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、
前記構造物のコンクリートの表面に沿ってこの構造物の鉄筋から進展する亀裂を検出する第1の検出装置と、
前記コンクリートの表面に向かって前記鉄筋から進展する亀裂を検出する第2の検出装置とを備えること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の基部の状態を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、橋梁の柱基部又は橋台基部の状態を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の歪みを検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージを備えること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の温度を検出すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項16】
請求項15に記載の構造物の状態検出装置において、
前記検出装置は、前記構造物の温度に応じて起電力が変化する熱電対を備えること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置において、
前記無線タグは、前記検出装置の検出結果を記憶する記憶部を備えること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項18】
請求項17に記載の構造物の状態検出装置において、
前記記憶部は、前記構造物の施工完了直後の前記検出装置の検出結果を記憶すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載の構造物の状態検出装置において、
前記記憶部は、前記検出装置の過去の検出結果を更新してこの検出装置の最新の検出結果を記憶すること、
を特徴とする構造物の状態検出装置。
【請求項20】
コンクリート構造物の状態を検出する構造物の状態検出システムであって、
請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の構造物の状態検出装置と、
前記検出装置の検出結果を前記無線タグから受信するリーダライタ装置と、
を備える構造物の状態検出システム。
【請求項21】
請求項20に記載の構造物の状態検出システムにおいて、
前記検出装置の検出結果に基づいて前記構造物の損傷状態を評価する評価装置を備えること、
を特徴とする構造物の状態検出システム。
【請求項22】
請求項21に記載の構造物の状態検出システムにおいて、
前記評価装置は、前記検出装置が前記構造物の歪みと温度とを検出したときに、前記温度に基づいて前記歪みを補正し、補正後の前記歪みに基づいて前記構造物の損傷状態を評価すること、
を特徴とする構造物の状態検出システム。
【請求項23】
検出対象部の状態を検出する検出装置を備える埋設物であって、
前記検出装置は、前記検出対象部の状態を送信する無線タグに信号線を通じて接続可能であること、
を特徴とする埋設物。
【請求項24】
請求項23に記載の埋設物において、
前記検出装置は、前記検出対象部が前記構造物の鉄筋であるときにこの鉄筋の状態を検出すること、
を特徴とする埋設物。
【請求項25】
請求項23又は請求項24に記載の埋設物において、
前記検出装置は、前記検出対象部が前記構造物のコンクリートであるときにこのコンクリートの状態を検出すること、
を特徴とする埋設物。
【請求項26】
請求項23から請求項25までのいずれか1項に記載の埋設物において、
前記検出装置は、前記検出対象部の歪みを検出すること、
を特徴とする埋設物。
【請求項27】
請求項26に記載の埋設物において、
前記検出装置は、前記検出対象部の歪みに応じて電気抵抗が変化する歪みゲージを備えること、
を特徴とする埋設物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2008−134117(P2008−134117A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319603(P2006−319603)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年9月1日 財団法人研友社発行の「Railway Research Review 2006 9 第63巻第9号」に発表、平成18年9月22日 社団法人土木学会主催の「第61回年次学術講演会」において文書をもって発表
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年9月1日 財団法人研友社発行の「Railway Research Review 2006 9 第63巻第9号」に発表、平成18年9月22日 社団法人土木学会主催の「第61回年次学術講演会」において文書をもって発表
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
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