説明

標板検査方法、および撮像装置

【課題】自動車のナンバープレート等の標板等の表示内容を、出荷される形態で画像処理技術によって確実に検査すること。
【解決手段】予め設定された生産データを基に、検査対象の標板を一連の撮像工程によって撮像し、画像処理を用いた判定工程によって、前記検査対象の標板が前記生産データにて指示されたものであることを照合して確認するともに、照合の結果生成された標板データを用いて管理用データを生成する標板検査方法である。具体的には、外部から収納物を撮像可能な構造の収納袋に、複数枚の標板の表面の文字や図形を同時に撮像可能な状態に収納する収納工程と、前記複数枚の標板の表面の文字や図形を同時に撮像する撮像工程と、撮像された画像を解析して、前記複数枚の標板に、それぞれ所定の文字や図形が標示されているか否かを判定する判定工程とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の前後に取り付けるナンバープレート等のように、表側に所定の文字や図形が標示された例えば2枚1組の標板等の検査に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の前後に取り付けるナンバープレートは主に2枚1組で製造されて、各地の標板交付代行者に出荷されている。出荷に際しては、同じ文字や図形が標示された主に2枚1組の標板は、それぞれ印刷汚れが無いか、傷が無いか、変形が無いか、表示に間違いは無いかなどの製品検査が行われている。出願人の場合は、汚れや傷を防止するために、標板を袋に収納してから出荷している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
2枚1組の標板は、それぞれ単体では、印刷汚れや、傷や、変形が無いことが確認されたものであっても、最終段階で袋に収納する場合に、同じ文字や図形の標板が2枚1組で、間違いなくひとつの袋に収納されているか否かの検査は、目視で検査されていたので、1文字違いなどの検査漏れを完全には防止できなかった。
一旦出荷された2枚1組の標板が標板交付代行者の窓口で交付され、自動車の前後の所定の位置に取り付けられた後では、自動車の前後を同時に見渡すことはできないため、1文字違いなどの検査漏れを発見することが困難であった。
したがって、出荷時点において、生産データに基づいて2枚の標板の標示内容が同じ文字もしくは図形であるように製作されていることを確実に検査し、記録にも残しておくことが望まれていた。
【0004】
そこで、本発明は、出荷される形態である袋に収納された状態で、主に2枚1組で形成される標板の標示内容を撮像して画像処理技術によって確実に検査し、記録に残すことを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる請求項1の検査方法は、
予め設定された生産データを基に、検査対象の標板を一連の撮像工程によって撮像し、画像処理を用いた判定工程によって、前記検査対象の標板が前記生産データにて指示されたものであることを照合して確認するともに、照合の結果生成された標板データを用いて管理用データを生成することを特徴としている。
請求項2の発明では、
外部から収納物を撮像可能な構造の収納袋に、
複数枚の標板の表面の文字や図形を同時に撮像可能な状態に収納する収納工程と、
前記複数枚の標板の表面の文字や図形を同時に撮像する撮像工程と、
撮像された画像を解析して、前記複数枚の標板に、それぞれ所定の文字や図形が標示されているか否かを判定する判定工程と
を含んでいる。
検査対象の標板は、現在のところ2枚1組もしくは1枚であるが、複数枚1組であってもよい。
また、複数枚1組の標板の標示内容は、現在のところ同一であるが、生産データで指示された内容であれば合格と判定する。
請求項3の発明では、
前記収納袋は、透明な収納袋であり、
前記収納工程では、前記収納袋に、2枚の標板を背中合わせにして収納することによって、2枚の標板の表面の文字や図形を、表側と裏側から同時に撮像可能な状態に収納することを特徴としている。
請求項4の発明は、
前記撮像工程では、
前記収納袋に背中合わせにして収納された2枚の標板の表面の文字や図形を、表側に設けた撮像手段と裏側に設けた撮像手段によって同時に撮像する。
なお、「同時に撮像する」とは、時間的に多少前後してもよいことは当然である。
請求項5の発明は、
請求項1乃至4の標板検査方法における判定工程において、2枚の標板の表面の文字や図形が、互いに同じ内容であると判定された2枚1組を、前記透明袋に入れたままの状態で出荷する出荷工程を含んでいる。
したがって、判定結果が合格になったものだけが、そのまま収納袋に収納されたままの状態で出荷される。
請求項6にかかる撮像装置は、
それぞれの表面に文字や図形が標示された2枚1組の標板を、透明袋に背中合わせにして収納した状態で、前記2枚の標板の表面の文字や図形を撮像する撮像装置であって、
前記透明袋に背中合わせにして収納した状態の2枚1組の標板を支持する支持手段と、
前記支持手段によって支持された2枚1組の標板の一方の標板の表面と他方の標板の表面を所定の明るさに照明する照明手段と、
前記支持手段によって支持された2枚1組の標板の一方の標板の表面を撮像する第1撮像手段と、
他方の標板の表面を撮像する第2撮像手段と
を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1〜5にかかる検査方法によれば、
収納袋に収納した状態の1組の標板のそれぞれの面を同時に撮像して、それぞれ所定の文字や図形が標示されているか否かを検査するので、従来の目視検査に比べて、検査精度が均一化し、かつ検査精度が格段に向上する。また、収納した状態で検査するので、検査合格したものは収納した状態でそのまま出荷することができ、検査後に傷等がついてしまったり、途中で入れ代わったりする問題を防止することができる。
したがって、一連の検査工程を経て生成された標板データ等(データ、バーコード、QRコードなど)を用いて、納入先における標板管理業務及び標板交付業務に活用することができるのである。
請求項6にかかる撮像装置によれば、2枚1組の標板を、透明袋に背中合わせにして収納した状態で撮像するので、上記検査装置における効果が得られる撮像装置を省スペースで実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明にかかる検査方法を、その実施の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
図1は、本発明に係る検査方法を採用したナンバープレート生産・検査システムの全体を説明する工程図である。
図1において、
工程Aは、プレス工程であり、例えば、ナンバープレートとしての所定寸法に裁断された無地のカラーアルミ製の板(ブランキング材)に、所定の文字や図形等をプレス加工して半製品の板を形成する工程である。この工程で必要な加工データは、サーバコンピュータから出力されるか、もしくは、別途作成された生産データ等を、記録媒体を介して入力する。この状態では、前記板には保護シートが貼られている。
工程Bは、塗装工程であり、保護シート剥離装置を用いて、前記板に貼られている保護シートを剥がした後、プレスされた部分を所定の色で塗装し、乾燥炉で加熱乾燥させる。なお、乾燥炉に投入する前に、人間の目による目視検査を行って、欠陥の見られないものだけを乾燥炉に投入する。
【0009】
工程Cは、収納工程であり、前記工程Bを終了して出来上がったナンバープレートを、同じ文字・図形の2枚を背中合わせにセットにして、出荷用の透明袋に収納する。このとき、人間の目による目視検査を行って、欠陥の見られないものだけを袋に入れる。
背中合わせとは、2枚のナンバープレートの裏面どうしを向かい合わせにして、文字や図形が標示されている面が、上面と下面にくるようにセットした状態である。
【0010】
工程Dは、撮像工程D1と判定工程D2とからなる検査工程であり、
前記工程Cで、透明袋に収納された2枚1組のナンバープレートを、撮像工程D1で撮像して、判定工程D2で所定の文字や図形が標示されているか否かを検査して、合否を判定する。
前記撮像工程D1では、
前記透明袋に背中合わせにして収納した状態の2枚1組のナンバープレートを水平のガラス板等の支持手段に載せて支持した状態で、
上方に設けた第1照明手段と、下方に設けた第2照明手段を用いて、前記透明袋に収納された2枚1組のナンバープレートの上下両面を明るく照らして、
上方に設けた第1撮像手段(CCDカメラなど)で上側のナンバープレートの標示内容を撮像し、下方に設けた第2撮像手段(CCDカメラなど)で下側のナンバープレートの標示内容を撮像する。
【0011】
前記判定工程D2では、
照合判定用の画像処理装置においては、前記第1撮像手段で撮像した上側のナンバープレートの標示内容と、前記第2撮像手段で撮像した下側のナンバープレートの標示内容は、予めサーバに入力された生産データと照合され、同じ標示内容であるか否かを判定し、同じでない場合には不合格としてディスプレイの画面に表示し、同じである場合には、照合検査に合格としてディスプレイの画面に表示し、シーラーラベラーに合格情報を出力する。また、照合検査に合格した情報は納品データとしてサーバに蓄積される。
シーラーラベラーでは、前記合格情報に基づいてラベルデータを生成してバーコードやQRコードをラベルに印刷し、シール作業用の台に、合格した前記2枚1組、もしくは1枚のナンバープレートが収納された透明袋をセットして、シールスイッチを足で操作すると、前記袋の開口部が自動的にシールされるとともに、収納された2枚1組のナンバープレートに対応したラベルが自動的に貼付される。ここでも、ディスプレイの画面に標示されたラベルデータと、収納されたナンバープレートの標示内容とを目視照合する。
【0012】
工程Eは、梱包出荷工程であり、
前記工程Dで検査合格と判定された2枚1組、もしくは1枚のナンバープレートは、透明袋に収納された状態で箱詰めされて、順次出荷される。
【0013】
前記サーバは、この検査システムの基幹部であり、生産予定データの入力や、希望番号・再交付番号の生産データ登録、撮像工程や判定工程から出力される撮像データや判定結果データの保存などを行う。このサーバは、各工程へ生産データを出力するとともに、納品データも出力する。
また、制作したナンバープレートの検査や抜け番号の設定、ソート指示、各種マスタ管理などを行う。
【0014】
以上の検査システムにおいては、2枚のナンバープレートに同じ文字や図形が規定どおりに表示されているか否かを、裏表同時に撮像して検査・判定する場合を説明したが、2枚1組のナンバープレートを背中合わせではなく、横に並べて袋に収納し、1つの撮像手段で2枚の標示内容を撮像して、検査・判定するように構成することも可能である。
また、3枚1組で同じ内容のナンバープレートを検査する場合には、3枚のナンバープレートを袋や箱等の収納手段に収納した状態で、3枚のナンバープレートの標示内容を同時に撮像して検査・判定するように構成することも可能である。
いずれの場合においても、収納手段に収納した状態で検査・判定した後のナンバープレートは、照合結果が合格したものだけ、収納した状態のままで出荷するので、検査・判定した結果が合格であれば、その後に入れ代わったりすることがなく、高い品質の状態で出荷することが可能となるのである。
また、納品データを、納入先の交付管理システムに連動させることにより、標板交付代行者における管理に供することができる。
【実施例1】
【0015】
図2は、実施例1に係る撮像装置Tの斜視図である。
図2に示したように、
縦長の四角柱状のフレーム1の内壁11は、塗装などによって艶消しの白色で光を拡散させやすいように構成されており、
前記フレーム1の中段に、透明ガラス板21を用いた水平の支持手段2が形成されている。
この支持手段2の中央部分に形成された窓部分に前記透明ガラス板21が配設され、前記透明ガラス板21には、撮像対象のナンバープレートの形状・大きさに対応した撮像範囲を規定する枠22が着脱可能に配設されている。また、前記透明ガラス板21の奥と両サイドには、撮像対象のナンバープレートの形状・大きさに対応したガイド23が配設されている。前記枠22を交換しやすいように、前記支持手段2は凹部が形成されている。
【0016】
前記フレーム1の天井の中央部分には、第1撮像手段としてのCCDカメラ31が光軸を下方の前記透明ガラス板21の上面の中央に向けて配設されている。
さらに、前記CCDカメラ31の横には、間接照明による第1照明手段41が、前記透明ガラス板21の上面およびその周囲を均一に照らすように配設されている。
【0017】
前記フレーム1の底の中央部分には、第2撮像手段としてのCCDカメラ32が光軸を上方の前記透明ガラス板21の下面の中央に向けて配設されている。
さらに、前記CCDカメラ32の横には、間接照明による第2照明手段42が、前記透明ガラス板21の下面およびその周囲を均一に照らすように配設されている。
【0018】
なお、前記フレーム1の上部の正面は開口しており、撮像対象のナンバープレートを出し入れしやすいように構成されている。
前記フレーム1の下部の正面には、メンテナンス用に開閉式の扉が備えられている。
【0019】
2枚1組のナンバープレートが収納された透明袋を、作業者が前記枠22に合わせてセットした後、撮像スイッチを操作すると、上下2台のCCDカメラ31、32によって、上側のナンバープレートの標示内容と、下側のナンバープレートの標示内容とがほぼ同時に撮像されて、照合判定用の画像処理装置に入力されて、生産データと照合して合否が判定出力される。
【0020】
なお、図2に示した撮像装置は、水平にセットした2枚1組のナンバープレートを、上下2方向に設置した2台の撮像手段で撮像する形態であるが、垂直にセットした2枚1組のナンバープレートを、左右2方向に設置した2台の撮像手段で撮像する形態も可能である。さらには、図3に示したように、1台の撮像手段30と2枚の鏡Mを用いて、2枚1組のナンバープレートPの両面を撮像するように構成することも可能である。
また、検査すべきナンバープレートの標示内容としては、文字(数字を含む)や図形に限らず、色彩やナンバープレートの形状なども撮像して検査することが可能である。
【0021】
図4は、前記工程B(塗装工程)において用いる保護シート剥離装置5の要部構造を示した説明図である。図4において、保護シートSが貼付された状態の標板Pが搬送されてくると、図4の(a)に示したように、保護シート剥離装置5に備えられた回転ブラシ51によって、前記標板Pの縁がかき上げられるので、保護シートSの縁が前記標板Pから引き剥がされて浮き上がる。その後、図4の(b)に示したように、クランプ機構52が、浮き上がった保護シートSの縁をつまんで移動することによって、保護シートSの全体が前記標板Pから引き剥がされるように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の検査方法および撮像装置は、自動車用のナンバープレートに限らず、種々の標示板の検査に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる検査方法の実施の形態の構成を示した構成図である。
【図2】本発明にかかる撮像装置の実施例1の斜視図である。
【図3】別形態の撮像装置の構成図である。
【図4】保護シート剥離装置の説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 フレーム
2 支持手段
21 透明ガラス板
31 第1撮像手段
32 第2撮像手段
41 第1照明手段
42 第2照明手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された生産データを基に、検査対象の標板を一連の撮像工程によって撮像し、画像処理を用いた判定工程によって、前記検査対象の標板が前記生産データにて指示されたものであることを照合して確認するともに、照合の結果生成された標板データを用いて管理用データを生成することを特徴とする標板検査方法。
【請求項2】
外部から収納物を撮像可能な構造の収納袋に、
複数枚の標板の表面の文字や図形を同時に撮像可能な状態に収納する収納工程と、
前記複数枚の標板の表面の文字や図形を同時に撮像する撮像工程と、
撮像された画像を解析して、前記複数枚の標板に、それぞれ所定の文字や図形が標示されているか否かを判定する判定工程と
を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の標板検査方法。
【請求項3】
前記収納袋は、透明な収納袋であり、
前記収納工程では、前記収納袋に、2枚の標板を背中合わせにして収納することによって、2枚の標板の表面の文字や図形を、表側と裏側から同時に撮像可能な状態に収納することを
特徴とする請求項1乃至2に記載の標板検査方法。
【請求項4】
前記撮像工程では、
前記収納袋に背中合わせにして収納された2枚の標板の表面の文字や図形を、表側に設けた撮像手段と裏側に設けた撮像手段によって同時に撮像することを
特徴とする請求項3に記載の標板検査方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の標板検査方法における判定工程において、2枚の標板の表面の文字や図形が、互いに同じ内容であると判定された2枚1組を、前記透明袋に入れたままの状態で出荷する出荷工程を含んでいることを特徴とする標板検査方法。
【請求項6】
それぞれの表面に文字や図形が標示された2枚1組の標板を、透明袋に背中合わせにして収納した状態で、前記2枚の標板の表面の文字や図形を撮像する撮像装置であって、
前記透明袋に背中合わせにして収納した状態の2枚1組の標板を支持する支持手段と、
前記支持手段によって支持された2枚1組の標板の一方の標板の表面と他方の標板の表面を所定の明るさに照明する照明手段と、
前記支持手段によって支持された2枚1組の標板の一方の標板の表面を撮像する第1撮像手段と、
他方の標板の表面を撮像する第2撮像手段と
を備えていることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−139472(P2010−139472A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318300(P2008−318300)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(508368714)株式会社兵庫標板製作所 (1)
【出願人】(508368839)財団法人大阪陸運協会 (1)
【Fターム(参考)】