説明

樹脂シートの製造装置

【課題】一方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを高い形状精度で製造し得る製造装置を提供する。
【解決手段】樹脂シート製造装置1は、押出ダイ10と、加熱ロール11aと、冷却ロール13と、加熱ロール11a及び冷却ロール13に巻き掛けられているベルト14と、樹脂シート16を加熱ロール11a側に押圧する圧着ロール11bと、凹凸18bが表面18aに形成されている賦形シート18と、ベルト14の冷却ロール13と接する部分において樹脂シート17をベルト14から剥離する剥離ロール15とを備えている。樹脂シート製造装置1では、圧着ロール11bによって樹脂シート16が加熱ロール11a側に押圧されることにより、樹脂シート16と賦形シート18とが圧着し、賦形シート18の表面18aに形成されている凹凸18bが樹脂シート16に転写される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートの製造装置に関し、詳細には、溶融されたシート状の樹脂を一対のロールを用いてプレス成形することにより一方の表面に凹凸が形成されている樹脂シートを製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置などに用いられるマイクロレンズアレイシートやエンボスシートなどの樹脂シートが種々知られている。樹脂シートの製造方法としては、溶融されたシート状の樹脂を一対のロール対を用いてプレス成形する方法が広く用いられている。例えば、下記の特許文献1には、一対のロール対を用いて溶融されたシート状の樹脂をプレス成形するための装置が記載されている。
【0003】
図8は、特許文献1に記載された樹脂シートの製造装置の模式図である。図8に示すように、製造装置100は、溶融された樹脂シート101を押出する押出ダイ102を備えている。押出ダイ102から押出された樹脂シート101は、冷却ロール103とゴムロール104との間に供給される。また、冷却ロール103とゴムロール104との間には、支持体層105も供給される。樹脂シート101は、冷却ロール103とゴムロール104とによって支持体層105と共に押圧されることにより樹脂シート106に成形される。樹脂シート106は、支持体層105と共に、第2の冷却ロール107を経由して第3の冷却ロール108にまで搬送される。樹脂シート106は、第3の冷却ロール108において支持体層105から剥離される。
【特許文献1】特開2004−306549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、上記の製造装置100を用いて両表面が平滑な偏光板などの光学フィルムを製造することが開示されているが、製造装置100は、例えば、一方の表面に凹凸が形成された凹凸賦形樹脂シートの製造にも適用し得るものである。
【0005】
例えば、冷却ロール103の表面、または支持体層105の樹脂シート101側の表面に、凹凸賦形樹脂シートの表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸を形成しておくことにより、製造装置100を用いて凹凸賦形樹脂シートを製造することができる。
【0006】
例えば、支持体層105の樹脂シート101側の表面に凹凸を形成する場合、樹脂シート101への凹凸の転写性を高めるためには、冷却ロール103及びゴムロール104のそれぞれの温度を高くすると共に、冷却ロール103及びゴムロール104のそれぞれの半径を小さくすることが好ましい。
【0007】
しかしながら、冷却ロール103及びゴムロール104の温度を高くしたり、冷却ロール103及びゴムロール104の半径を小さくしたりすると、樹脂シート101が冷却ロール103に張り付いてしまい、樹脂シート101が冷却ロール103から剥離しにくくなる。従って、冷却ロール103及びゴムロール104の温度を高くしたり、冷却ロール103及びゴムロール104の半径を小さくしたりすることにより、樹脂シート101への凹凸の転写性を十分に高めることが困難であるという問題がある。すなわち、一方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを高い形状精度で製造することが困難であるという問題がある。
【0008】
同様に、冷却ロール103の表面に凹凸を形成する場合にも、一方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを高い形状精度で製造することが困難であるという問題が生じる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、一方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを高い形状精度で製造し得る製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る第1の樹脂シートの製造装置は、一方の面に凹凸が形成されている樹脂シートを製造するための装置である。本発明に係る第1の樹脂シートの製造装置は、押出ダイと、加熱ロールと、冷却ロールと、ベルトと、圧着ロールと、賦形シートと、剥離ロールとを備えている。押出ダイは、溶融された樹脂をシート状に押し出す。冷却ロールは、加熱ロールよりも温度が低い。ベルトは、加熱ロールと、冷却ロールとに巻き掛けられている。圧着ロールは、加熱ロールと共に、押出ダイから押し出された樹脂シートが供給される隙間を形成している。圧着ロールは、樹脂シートを加熱ロール側に押圧する。賦形シートの表面には、樹脂シートの表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸が形成されている。賦形シートは、押出ダイから押し出された樹脂シートと共に圧着ロールと加熱ロールとの間に供給される。剥離ロールは、ベルトの冷却ロールと接する部分において樹脂シートをベルトから剥離する。本発明に係る樹脂シートの製造装置では、押出ダイから押し出された樹脂シートと賦形シートとが、賦形シートの凹凸が形成されている表面が樹脂シート側を向くように圧着ロールと加熱ロールとの間の隙間に供給され、圧着ロールによって樹脂シートが加熱ロール側に押圧されることにより、樹脂シートと賦形シートとが圧着し、賦形シートの表面に形成されている凹凸が樹脂シートに転写される。
【0011】
本発明に係る第2の樹脂シートの製造装置は、一方の面に凹凸が形成されている樹脂シートを製造するための装置である。本発明に係る第2の樹脂シートの製造装置は、押出ダイと、加熱ロールと、冷却ロールと、ベルトと、圧着ロールと、支持シートと、剥離ロールとを備えている。押出ダイは、溶融された樹脂をシート状に押し出す。冷却ロールは、加熱ロールよりも温度が低い。ベルトは、加熱ロールと、冷却ロールとに巻き掛けられている。ベルトの外側の表面には、樹脂シートの表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸が形成されている。圧着ロールは、加熱ロールと共に、押出ダイから押し出された樹脂シートが供給される隙間を形成している。圧着ロールは、樹脂シートを加熱ロール側に押圧する。支持シートは、押出ダイから押し出された樹脂シートと共に圧着ロールと加熱ロールとの間に供給される。剥離ロールは、ベルトの冷却ロールと接する部分において樹脂シートをベルトから剥離する。本発明に係る第2の樹脂シートの製造装置では、押出ダイから押し出された樹脂シートと賦形シートとが圧着ロールと加熱ロールとの間の隙間に供給され、圧着ロールによって樹脂シートが加熱ロール側に押圧されることにより、樹脂シートとベルトとが圧着し、ベルトの表面に形成されている凹凸が樹脂シートに転写される。
【0012】
本発明のある特定の局面では、冷却ロールの半径は加熱ロールの半径以上である。この構成によれば、樹脂シートのベルトからの剥離性をより高めることができる。
【0013】
本発明の他の特定の局面では、ベルトの搬送方向において、ベルトの加熱ロールと冷却ロールとの間に位置する部分を冷却する冷却機構をさらに備えている。この構成によれば、樹脂シートのベルトからの剥離性をさらに高めることができる。
【0014】
本発明の別の特定の局面では、ベルトの搬送方向において、ベルトの冷却ロールと加熱ロールとの間に位置する部分を加熱する加熱機構をさらに備えている。この構成によれば、ベルトの冷却ロールと接する部分における温度を低くしつつ、ベルトの加熱ロールと接する部分における温度を高くすることができる。従って、凹凸の転写性をより高くすると共に、樹脂シートのベルトからの剥離性をさらに高くすることができる。
【0015】
本発明のさらに他の特定の局面では、樹脂シートは、一方の表面に複数のマイクロレンズが形成されたマイクロレンズアレイシートである。
【0016】
本発明のさらに別の特定の局面では、樹脂シートは、一方の表面に微細な複数の凹凸が形成されたエンボスシートである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加熱ロールの下流側に設けられた冷却ロールと、冷却ロールと加熱ロールとの間に巻き掛けられたベルトとが設けられており、ベルトの冷却ロールと接する部分において樹脂シートが剥離されるため、加熱ロールや圧着ロールの温度を高くしたり、加熱ロールや圧着ロールの半径を小さくしたりした場合であっても、樹脂シートがベルトから剥離しやすい。従って、加熱ロール及び圧着ロールの温度を高くすると共に、加熱ロール及び圧着ロールの半径を小さくすることができるため、一方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを高い形状精度で製造し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明するが、以下の実施形態は単なる一例であって、本発明は、下記の実施形態に限定されない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る樹脂シート製造装置の略図的模式図である。図1に示す樹脂シート製造装置1は、図2に示す樹脂シート17を製造するための装置である。図2に示すように、樹脂シート17の一方の表面17aには、凹凸が形成されている。具体的には、本実施形態では、樹脂シート17は、マイクロレンズアレイシートであり、樹脂シート17の表面17aには、複数のマイクロレンズ17bがマトリクス状に配列されたマイクロレンズアレイが形成されている。
【0020】
樹脂シート17の材質は、熱可塑性樹脂である限り特に限定されない。樹脂シート17は、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどからなるシートであってもよい。
【0021】
尚、マイクロレンズ17bの断面形状は、特に限定されないが、半円形状であることが好ましい。
【0022】
図1に示すように、樹脂シート製造装置1は、押出ダイ10を備えている。押出ダイ10は、溶融された樹脂をシート状に押し出す。押出ダイ10から押し出された樹脂シート16は、ロール対11に供給される。
【0023】
ロール対11は、圧着ロール11bと、加熱ロール11aとにより構成されている。圧着ロール11bと加熱ロール11aとの間には、押出ダイ10から押し出された溶融状態にある樹脂シート16と、賦形シート18とが供給される隙間が形成されている。尚、圧着ロール11bと加熱ロール11aは、金属ロールやゴムロールなどにより構成することができる。典型的には、圧着ロール11bがゴムロールにより構成され、加熱ロール11aが金属ロールにより構成される。
【0024】
賦形シート18は、樹脂シート16の成形型となる可撓性のシートである。図3は、賦形シート18の一部分の長手方向に沿った断面図である。図3に示すように、賦形シート18の一方の表面18aには、製造される樹脂シート17の表面17aに形成されるマイクロレンズ17bに対応する形状の凹部18bが、マイクロレンズ17bの配列に対応して複数形成されている。具体的には、賦形シート18の外側の表面18aには、マイクロレンズ17bに対応する形状の半休形状の凹部18bが、マイクロレンズ17bの配列に対応して複数形成されている。一方、賦形シート18の他方の表面18cは、鏡面に形成されている。
【0025】
賦形シート18の形成材料は、限り特に限定されない。賦形シート18は、例えば、金属や樹脂、ゴムなどにより形成することができる。なお、賦形シート18の表面には、樹脂シート17の離型性を向上するための離型層が形成されていてもよい。
【0026】
図1に示すように、加熱ロール11aの下流側には、冷却ロール13が配置されている。冷却ロール13は、加熱ロール11aよりも低い温度に制御されている。尚、本実施形態では、加熱ロール11aの半径rと冷却ロール103の半径rとは、略同一とされている。
【0027】
加熱ロール11aと冷却ロール13との間の中心間距離Lは、加熱ロール11aと冷却ロール13とが相互に接触しない範囲内において特に限定されない。加熱ロール11aと冷却ロール13との間の中心間距離Lは、加熱ロール11aの温度や樹脂シート17の材質などに応じて適宜設定される。一般的には、加熱ロール11aと冷却ロール13との間の中心間距離Lは、例えば、加熱ロール11aの半径rの1.1倍〜3倍程度であることが好ましい。
【0028】
冷却ロール13と加熱ロール11aとには、両表面が鏡面であるベルト14が巻き掛けられている。ベルト14の材質は特に限定されない。ベルト14は、例えば金属製であってもよい。また、ベルト14の表面に、例えば樹脂シート17の張り付きを抑制するためのコーティング層などが形成されていてもよい。
【0029】
冷却ロール13の近傍には、剥離ロール15が配置されている。この剥離ロール15は、ベルト14から樹脂シートを剥離するためのロールである。
【0030】
次に、樹脂シート製造装置1の動作について説明する。
【0031】
押出ダイ10から押し出された溶融状態にある樹脂シート16は、図示しない巻き取りロールから供給される賦形シート18と共に、加熱ロール11aと圧着ロール11bとの間の隙間に供給される。この際、図4に示すように、賦形シート18は、複数の凹部18bが形成されている表面18aが樹脂シート16側を向くように加熱ロール11aと圧着ロール11bとの間の隙間に供給される。
【0032】
この加熱ロール11aと圧着ロール11bとの間の隙間に供給された樹脂シート16と賦形シート18とは、圧着ロール11bによって加熱ロール11a側に押圧される。これにより、樹脂シート16が賦形シート18に圧着する。その結果、賦形シート18の表面18aに形成されている複数の凹部18bが溶融状態にあった樹脂シート16に転写され、図2に示す樹脂シート17が成形される。
【0033】
成形された樹脂シート17と賦形シート18とは、図1に示すように、ベルト14上を冷却ロール13側に搬送される。冷却ロール13は、加熱ロール11aよりも低温に制御されているため、ベルト14と共に冷却ロール13側に搬送される途中で樹脂シート17及び賦形シート18は冷却される。そして、ベルト14の冷却ロール13と接する部分において、剥離ロール15によって、樹脂シート17及び賦形シート18は、ベルト14から剥離される。また、ベルト14から剥離された樹脂シート17と賦形シート18とは、相互に隔離され、それぞれ、図示しない巻き取りロールによって巻き取られる。巻き取られた賦形シート18は、再利用され、再度圧着ロール11bと加熱ロール11aとの間に供給される。
【0034】
尚、本実施形態では、賦形シート18が、剥離ロール15によって、樹脂シート17と共にベルト14から剥離される例について説明したが、剥離ロール15により樹脂シート17がベルト14から剥離される前に、賦形シート18を樹脂シート17から剥離してもよい。その場合は、剥離ロール15に加えて、賦形シート18を剥離するための賦形シート用剥離ロールをさらに設けることが好ましい。
【0035】
例えば、図8に示す製造装置100において、支持体層105の表面に凹部を形成して図2に示す構造の樹脂シートを製造する場合、マイクロレンズが形成されてから冷却ロール103から剥離されるまでの樹脂シートの搬送距離を長くすることが困難である。具体的には、マイクロレンズが形成されてから冷却ロール103から剥離されるまでの樹脂シートの搬送距離は、冷却ロール103の周長の1/4程度となってしまう。このため、例えば、冷却ロール103やゴムロール104の温度を高くしたり、冷却ロール103やゴムロール104の半径を小さくしたりすると、冷却ロール103に対して樹脂シートが張り付いてしまい、樹脂シートが剥離し難くなるおそれがある。従って、製造装置100では、冷却ロール103やゴムロール104の温度を十分に高くしたり、冷却ロール103やゴムロール104の半径を十分に小さくしたりすることが困難である。よって、高い形状精度でマイクロレンズを成形することが困難である。
【0036】
それに対して、本実施形態では、ロール対11により成形された樹脂シート17は、賦形シート18と共にベルト14上を冷却ロール13側に搬送された後にベルト14から剥離される。このため、マイクロレンズ17bが形成されてからベルト14から剥離されるまでの樹脂シート17の搬送距離を長くすることができる。また、樹脂シート17は、加熱ロール11aから離れて、加熱ロール11aよりも温度が低い冷却ロール13側に搬送される。このため、ベルト14から剥離されるまでに樹脂シート17を十分に低い温度にまで冷却することができる。よって、樹脂シート17をベルト14から容易に剥離することができる。従って、加熱ロール11aや圧着ロール11bの温度を高くしたり、加熱ロール11aの半径rや圧着ロール11bの半径rを小さくしたりすることが可能となる。換言すれば、加熱ロール11aや圧着ロール11bの温度を高くしたり、加熱ロール11aの半径rや圧着ロール11bの半径rを小さくしたりした場合であっても、樹脂シート17をベルト14から容易に剥離することができる。よって、高い形状精度で樹脂シート17を製造することが可能となる。
【0037】
また、樹脂シート17のベルト14への張り付きを抑制できるため、樹脂シート17の張り付き異常などの製造トラブルの発生を抑制できる。従って、樹脂シート17の良品率を高めることができる。
【0038】
さらに、樹脂シート17をベルト14から剥離させる際に樹脂シート17にかかる応力を小さくすることができる。従って、より均質な樹脂シート17の製造が可能となる。
【0039】
本実施形態では、本発明を実施した樹脂シート製造装置の好ましい一例について、マイクロレンズアレイシートを製造するための樹脂シート製造装置1を例に挙げて説明した。但し、本発明において、樹脂シート製造装置は、マイクロレンズアレイシートを製造するための装置に限定されない。本発明に係る製造装置は、例えば、複数の線条凸部が形成されたレンチキュラーレンズアレイシート、プリズムシートや、微細な複数の凹凸が形成されたエンボスシートなどの各種光学シート、若しくは光学シート以外のシートを製造するための装置であってもよい。
【0040】
以下、上記実施形態の変形例について説明する。以下の変形例の説明において、上記実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符合で参照し、説明を省略する。
【0041】
(第1の変形例)
図5は、第2の変形例に係る樹脂シートの製造装置の略図的模式図である。図5に示すように、本変形例では、ベルト14の搬送方向dにおいて、ベルト14の加熱ロール11aと冷却ロール13との間に位置する部分を冷却する冷却機構20が設けられている。このように、冷却機構20を設けることによって、加熱ロール11aと冷却ロール13との間の中心間距離Lを長くすることなく、ベルト14から剥離される際の樹脂シート17の温度をより低くすることができる。従って、樹脂シート17のベルト14への張り付きをさらに効果的に抑制でき、樹脂シート17のベルト14からの剥離性をさらに高くすることができる。また、加熱ロール11aと冷却ロール13との間の中心間距離Lを短くすることができる。従って、ベルト14のばたつき等を効果的に抑制することができる。
【0042】
また、本変形例では、ベルト14の搬送方向dにおいて、ベルト14の冷却ロール13と加熱ロール11aとの間に位置する部分を加熱する加熱機構21が設けられている。従って、ベルト14の樹脂シート17が剥離される位置における温度を低くしつつ、マイクロレンズ17bが形成される位置におけるベルト14の温度を高くすることができる。よって、樹脂シート17の剥離性を高めつつ、マイクロレンズ17bの成形性を高めることができる。
【0043】
尚、冷却機構20及び加熱機構21の構成は特に限定されない。冷却機構20は、例えば、スリーブベルトや冷風吹きつけ機構などにより構成することができる。一方、加熱機構21は、例えば、電熱ヒーターなどにより構成することができる。
【0044】
(第2の変形例)
上記実施形態では、冷却ロール103の半径rが、加熱ロール11aの半径rと実質的に等しい例について説明した。但し、冷却ロール103の半径rと加熱ロール11aの半径rとの大小関係は特に限定されない。例えば、冷却ロール103の半径rを加熱ロール11aの半径rよりも小さくしてもよい。また、図6に示すように、冷却ロール103の半径rを加熱ロール11aの半径r以上としてもよい。冷却ロール103の半径rを加熱ロール11aの半径r以上とすることによって、マイクロレンズ17bが形成されてからベルト14から剥離されるまでの樹脂シート17の搬送距離をより長くすることができる。従って、樹脂シート17のベルト14への張り付きをより効果的に抑制でき、樹脂シート17のベルト14からの剥離性をより高くすることができる。
【0045】
(第3の変形例)
上記実施形態では、賦形シート18の表面18aに凹部18bを形成する例について説明したが、賦形シート18の表面に凹部18bを形成する替わりに、図7に示すように、ベルト14の外側の表面14aに、マイクロレンズ17bに対応した形状の凹部14bを形成してもよい。その場合は、上記実施形態の賦形シート18に替えて、樹脂シートを支持する支持シートを用いることが好ましい。
【0046】
尚、上記実施形態及び第1〜第3の変形例では、一方の表面にのみ凹凸が形成された樹脂シートの製造装置を例に挙げて本発明に係る樹脂シートの製造装置について説明した。但し、本発明に係る樹脂シートの製造装置は、両方の表面に凹凸が形成された樹脂シートを製造するための装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態に係る樹脂シート製造装置の略図的模式図である。
【図2】樹脂シート製造装置により製造される樹脂シートの一部を表す長手方向に沿った断面図である。
【図3】賦形シートの一部を表す長手方向に沿った断面図である。
【図4】樹脂シート製造装置のロール対部分を拡大した模式的断面図である。
【図5】第1の変形例に係る樹脂シートの製造装置の略図的模式図である。
【図6】第2の変形例に係る樹脂シートの製造装置の略図的模式図である。
【図7】第3の変形例におけるベルトの長手方向に沿った断面図である。
【図8】特許文献1に記載された樹脂シートの製造装置の模式図である。
【符号の説明】
【0048】
1…樹脂シート製造装置
10…押出ダイ
11…ロール対
11a…加熱ロール
11b…圧着ロール
13…冷却ロール
14…ベルト
14a…ベルトの外側の表面
14b…凹部
15…剥離ロール
16…溶融状態にある樹脂シート
17…樹脂シート
17a…樹脂シートの表面
17b…マイクロレンズ
18…賦形シート
18a…賦形シートの一方の表面
18b…凹部
18c…賦形シートの他方の表面
20…冷却機構
21…加熱機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に凹凸が形成されている樹脂シートの製造装置であって、
溶融された樹脂をシート状に押し出す押出ダイと、
加熱ロールと、
前記加熱ロールよりも温度が低い冷却ロールと、
前記加熱ロールと、前記冷却ロールとに巻き掛けられているベルトと、
前記加熱ロールと共に、前記押出ダイから押し出された樹脂シートが供給される隙間を形成しており、前記樹脂シートを前記加熱ロール側に押圧する圧着ロールと、
前記樹脂シートの表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸が表面に形成されており、前記押出ダイから押し出された樹脂シートと共に前記圧着ロールと前記加熱ロールとの間に供給される賦形シートと、
前記ベルトの前記冷却ロールと接する部分において前記樹脂シートを前記ベルトから剥離する剥離ロールと、
を備え、
前記押出ダイから押し出された樹脂シートと前記賦形シートとが、前記賦形シートの凹凸が形成されている表面が前記樹脂シート側を向くように前記圧着ロールと前記加熱ロールとの間の隙間に供給され、前記圧着ロールによって前記樹脂シートが前記加熱ロール側に押圧されることにより、前記樹脂シートと前記賦形シートとが圧着し、前記賦形シートの表面に形成されている凹凸が前記樹脂シートに転写される、樹脂シートの製造装置。
【請求項2】
一方の面に凹凸が形成されている樹脂シートの製造装置であって、
溶融された樹脂をシート状に押し出す押出ダイと、
加熱ロールと、
前記加熱ロールよりも温度が低い冷却ロールと、
前記加熱ロールと、前記冷却ロールとに巻き掛けられており、前記樹脂シートの表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸が外側の表面に形成されているベルトと、
前記加熱ロールと共に、前記押出ダイから押し出された樹脂シートが供給される隙間を形成しており、前記樹脂シートを前記加熱ロール側に押圧する圧着ロールと、
前記押出ダイから押し出された樹脂シートと共に前記圧着ロールと前記加熱ロールとの間に供給される支持シートと、
前記ベルトの前記冷却ロールと接する部分において前記樹脂シートを前記ベルトから剥離する剥離ロールと、
を備え、
前記押出ダイから押し出された樹脂シートと前記賦形シートとが前記圧着ロールと前記加熱ロールとの間の隙間に供給され、前記圧着ロールによって前記樹脂シートが前記加熱ロール側に押圧されることにより、前記樹脂シートと前記ベルトとが圧着し、前記ベルトの表面に形成されている凹凸が前記樹脂シートに転写される、樹脂シートの製造装置。
【請求項3】
前記冷却ロールの半径は前記加熱ロールの半径以上である、請求項1または2に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項4】
前記ベルトの搬送方向において、前記ベルトの前記加熱ロールと前記冷却ロールとの間に位置する部分を冷却する冷却機構をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項5】
前記ベルトの搬送方向において、前記ベルトの前記冷却ロールと前記加熱ロールとの間に位置する部分を加熱する加熱機構をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項6】
前記樹脂シートは、一方の表面に複数のマイクロレンズが形成されたマイクロレンズアレイシートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項7】
前記樹脂シートは、一方の表面に微細な複数の凹凸が形成されたエンボスシートである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−76307(P2010−76307A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248317(P2008−248317)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】