説明

樹脂組成物、プリプレグおよび金属箔張り積層板

【課題】 低温でのワニス保存安定性に優れ、冬期間および長期間においても多層成形性、吸湿後の耐熱性、電気特性、ピール強度などを低下させることのない高多層、高周波用プリント配線板用の、ビニル化合物をベースとした樹脂組成物およびこれを用いたプリプレグ、金属箔張り積層板および樹脂シートを提供する。
【解決手段】 ポリフェニレンエーテル骨格を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマーの末端ビニル化合物(a)、特定のマレイミド化合物(b)、ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(c)およびナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(d)を含む樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピール強度、吸湿後の耐熱性、電気特性に優れた樹脂組成物およびこれを用いたプリプレグ、金属箔張り積層板および樹脂シートに関する。得られた樹脂組成物は鉛フリーはんだリフロー対応、高周波,高多層用途のプリント配線板用として、マザーボード用、更には半導体チップを搭載した半導体プラスチックパッケージ用等に好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューター,サーバーをはじめとする情報端末機器およびインターネットルーター,光通信などの通信機器は、大容量の情報を高速で処理することが要求され、電気信号の高速化・高周波化が進んでいる。それに伴い、これらに用いられるプリント配線板用の積層板は高周波への要求に対応するため、低誘電率化・誘電正接化、特に低誘電正接化が求められている。これら要求に対応するため、従来、高周波用途の積層板にはシアン酸エステル樹脂(例えば特許文献1参照)やポリフェニレンエーテル樹脂(例えば特許文献2参照)などが知られている。また高周波用途に使用されるエポキシ樹脂として、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂が誘電特性に優れるなどの報告(例えば特許文献3、4、5参照)が多くなされている。
【0003】
しかしながら、このビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂は、有機溶剤に溶解させた溶液品での保存安定性が乏しい問題があった。樹脂組成物の溶解品の保存安定性は、通常、5℃保管において3ヶ月以上固形分が析出しない事が必要とされている。これに対し、ビフェニルアラルキルノボラック型エポキシ樹脂の溶解品は、5℃保管において2週間程度の短期間で固形分が析出するため、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂を含む樹脂組成物を溶解したワニスを使用したプリプレグおよび積層板の品質の安定性は大きな問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−120173号公報
【特許文献2】特開2005−112981号公報
【特許文献3】特開平10−237162号公報
【特許文献4】特開2002−179761号公報
【特許文献5】特開2007−224162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低温でのワニス保存安定性に優れ、冬期間および長期間においても多層成形性、吸湿後の耐熱性、電気特性、ピール強度などを低下させることのない高多層、高周波用プリント配線板用のビニル化合物をベースとした樹脂組成物およびこれを用いたプリプレグ、金属箔張り積層板および樹脂シートを提供するものである。本発明において保存安定性とは所定期間、所定温度で保存した溶液樹脂組成物の溶液、すなわちワニスに固形分の析出が生じるか否かにより判断される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、この課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の数平均分子量のポリフェニレンエーテル骨格を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマーの末端をビニルベンジル化した構造のビニル化合物にマレイミド化合物とナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂を、特定の配合当量比で配合し、さらに官能基のないホスファゼン化合物または臭素化合物を添加し、無機充填剤を併用することで、ワニス保存安定性に優れ、また多層成形性、吸湿後の耐熱性を低下させることなく、電気特性、ピール強度、熱分解温度が向上することを見出し、本発明に到達した。
【0007】
即ち本発明は、ポリフェニレンエーテル骨格を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマーの末端をビニルベンジル化した構造のビニル化合物(a)、特定のマレイミド化合物(b)、ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(c)およびナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(d)を含む樹脂組成物を提供する。
【0008】
好ましくは難燃剤として特定のシクロホスファゼン化合物または臭素化ポリカーボネートを添加し、無機充填剤を含有する樹脂組成物を提供する。さらに好ましくは、マレイミド化合物(b)がビスマレイミド樹脂、シクロホスファゼン化合物がシアノ基を含有するシクロホスファゼン樹脂であり、無機充填剤は平均粒子径が3μm以下の球状シリカである樹脂組成物を提供する。
【0009】
更に本発明は該樹脂組成物をガラス織布に含浸して半硬化状態にしたプリプレグあるいは、該プリプレグを少なくとも1枚以上重ね、その片面もしくは両面に金属箔を配して積層成形して得られる金属箔張り積層板を提供する。
【0010】
本発明は更に該樹脂組成物と有機溶剤からなるワニスを提供する。該ワニスを金属箔またはフィルム上に塗工して得られる樹脂シートを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の樹脂組成物と有機溶剤からなる溶液、すなわちワニスは低温、長期間保存しても固形分の析出が無いため、ワニスとしての保存安定性が良く、該樹脂組成物から得られるプリプレグ、金属箔張り積層板を使用したプリント配線板は、多層成形性、吸湿後の耐熱性、ピール強度、電気特性、寸法安定性、成形性などの特性が、冬期の製造期間を通じて安定している。このため、高多層・高周波対応のプリント配線板材料に好適であり、工業的な実用性は極めて高い。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に使用される一般式(1)で表されるビニル化合物(a)とは、一般式(1)において、-(O-X-O)-は、一般式(2)または一般式(3)で定義される構造からなり、R1,R2,R3,R7,R8は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基であり、R4,R5,R6,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基であり、-A-は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基であり、-(Y-O)-は、一般式(4)で定義される1種類の構造または一般式(4)で定義される2種類以上の構造がランダムに配列したものであり、R17,R18は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基であり、R19,R20は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基であり、a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜100の整数を示すビニル化合物であれば、特に限定されない。また、本発明の樹脂組成物には、構造の異なる2種類以上のビニル化合物(a)が混合されていてもよい。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【0013】
一般式(3)における-A-としては、例えば、メチレン、エチリデン、1-メチルエチリデン、1,1-プロピリデン、1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)、1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)、シクロヘキシリデン、フェニルメチレン、ナフチルメチレン、1-フェニルエチリデン、等の2価の有機基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
本発明におけるビニル化合物(a)のなかでは、R1,R2,R3,R7,R8,R17,R18が炭素数3以下のアルキル基であり、R4,R5,R6,R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16,R19,R20が水素原子または炭素数3以下のアルキル基であるビニル化合物が好ましく、特に一般式(2)または一般式(3)で表される-(O-X-O)-が、式(8)あるいは一般式(9)または一般式(10)であり、一般式(4)で表される-(Y-O)-が一般式(11)または一般式(12)あるいは一般式(11)と一般式(12)がランダムに配列した構造を有するビニル化合物であることがより好ましい。
【化5】

【化6】

(式中、R11,R12,R13,R14は、水素原子またはメチル基である。-A-は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である)
【化7】

(-A-は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である)
【化8】

【化9】

【0015】
ビニル化合物(a)のGPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量は500〜3,000の範囲が好ましい。数平均分子量が500未満では、塗膜状にした際にべたつきが出やすく、また、3000を超えると、溶剤への溶解性が低下する。これらのビニル化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、2官能フェノール化合物と1官能フェノール化合物を酸化カップリングさせて得られる2官能フェニレンエーテルオリゴマーの末端フェノール性水酸基をビニルベンジルエーテル化することで製造することができる。
【0016】
2官能フェニレンエーテルオリゴマーは、例えば、2官能フェノール化合物、1官能フェノール化合物、触媒を溶剤に溶解させた後、加熱攪拌下で酸素を吹き込むことで製造することができる。2官能フェノール化合物としては、例えば、2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-(1,1’-ビフェノール)-4,4’-ジオール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシ-2,2’-ジフェニルプロパン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。1官能フェノールとしては、2,6-ジメチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。触媒としては、例えば、CuCl、CuBr、CuI、CuCl2、CuBr2等の銅塩類とジn-ブチルアミン、n-ブチルジメチルアミン、N,N’-ジt-ブチルエチレンジアミン、ピリジン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、イミダゾール等のアミン類を組合せたものが使用できるが、これらに限定されるものではない。溶剤としては、例えば、トルエン、メタノール、メチルエチルケトン、キシレン、等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
2官能フェニレンエーテルオリゴマーの末端フェノール水酸基をビニルベンジルエーテル化する方法としては、例えば、2官能フェニレンエーテルオリゴマーとビニルベンジルクロライドを溶剤に溶解させ、加熱攪拌下で塩基を添加して反応させた後、樹脂を固形化することで製造できる。ビニルベンジルクロライドとしては、o-ビニルベンジルクロライド、m-ビニルベンジルクロライド、p-ビニルベンジルクロライド、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。反応後に余った塩基を中和するために酸を使用することもできる。
【0019】
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、りん酸、ホウ酸、硝酸、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。反応溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、塩化メチレン、クロロホルム等が使用できるが、これらに限定されるものではない。固形化の方法としては、溶剤をエバポレーションし乾固させる方法、反応液を貧溶剤と混合し再沈殿させる方法、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
ビニル化合物(a)の配合量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100重量部に対し、30〜95重量部が好ましく、50〜80重量部が特に好ましい。この範囲外では電気特性や反応性の問題がある。
【0021】
本発明に使用される、分子内にマレイミド基を2個以上有し、一般式(5)で表されるマレイミド化合物(b)とは、一般式(5)において、Zは炭素数が200以下の有機基であり酸素原子、硫黄原子、リン原子、窒素原子を含むこともあり、cは2〜20の整数であるマレイミド化合物であれば特に制限はないが、分子内のマレイミド基の数が増えると、硬化した際に未反応のマレイミド基が残りやすくなり、マレイミド当量が大きくなると反応性が乏しくなることから、好ましくはc=2〜10、マレイミド当量2000(g/マレイミド基)以下であり、さらに好ましくは、c=2〜10、マレイミド当量1000(g/マレイミド基)以下であり、最も好ましくは、c=2〜10、マレイミド当量500(g/マレイミド基)以下である。また、Zとしては、炭化水素基または炭素原子、水素原子および酸素原子より構成される有機基または炭素原子、水素原子および窒素原子より構成される有機基または炭素原子、水素原子、窒素原子および酸素原子より構成される有機基が好ましい。
【化10】

【0022】
マレイミド化合物(b)としては、例えば、1,1’-(メチレンジ-4,1-フェニレン)ビスマレイミド、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、2,2’-ビス-[4-(4-マレミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3'-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4'-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、N,N’-4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-4,4-ジシクロヘキシルメタンビスマレイミド、N,N’-エチレンビスマレイミド、N,N’-ブチレンビスマレイミド、N,N’-ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’-ジフェニルシクロヘキサンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,11-ビスマレイミドジエチレングリコール、1,4-ビス(4-マレイミドフェノキシ)エタン、1,4-ビス(4-マレイミドフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ブタン、1,4-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ヘキサン、トリス(4-マレイミドフェニル)アミン、ビス(4-マレイミドフェニル)メチルアミン、ビス(4-マレイミドフェニル)フェニルアミン、N,N’-4,4’-ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルスルフィドビスマレイミド、アニリン、ホルムアルデヒドおよび無水マレイン酸の重縮合物、ポリ(オキシ-1,4-ブタンジイル),α-[4-(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル)ベンゾイル]オキシ-ω-[[4-(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル)ベンゾイル]オキシ]-、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのマレイミド化合物は単独または2種類以上を混合して用いることができる。ビニル化合物との反応性、吸湿耐熱性の問題からビスマレイミドが好ましい。
【0023】
本発明において使用されるマレイミド化合物(b)の配合量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100重量部に対し、0.01〜20重量部の範囲が好ましく、1〜15重量部の範囲が特に好適であり、この範囲外では、反応性が速く、電気特性、吸湿耐熱性が低下する場合がある。
【0024】
本発明において使用されるシアン酸エステル樹脂(c)は、一般式(6)で示されるシアン酸エステル樹脂及びそのプレポリマーであれば特に限定されない。一般式(6)で示されるシアン酸エステル樹脂(c)は、α-ナフトールあるいはβ-ナフトール等のナフトール類とp-キシリレングリコール、α,α’-ジメトキシ-p-キシレン、1,4-ジ(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ベンゼン等との反応により得られるナフトールアラルキル樹脂とシアン酸とを縮合させて得られるものである。その製法は特に限定されず、シアン酸エステル合成として現存するいかなる方法で製造してもよい。
【0025】
具体的に例示すると、一般式(13)で示されるナフトールアラルキル樹脂とハロゲン化シアンを不活性有機溶媒中で、塩基性化合物存在下反応させることにより得ることができる。また、同様なナフトールアラルキル樹脂と塩基性化合物による塩を、水を含有する溶液中にて形成させ、その後、ハロゲン化シアンと2相系界面反応を行い、合成する方法を採ることもできる。本発明において使用されるシアン酸エステル樹脂(c)の配合量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100重量部に対し、1〜25重量部の範囲が好ましく、3〜15重量部の範囲が特に好適であり、この範囲外では、電気特性、吸湿耐熱性が低下する場合がある。
【化11】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1から10である。)
【化12】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1から10である。)
【0026】
本発明において使用されるナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(d)は、一般式(7)の繰り返し構造を有する、分子内にナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂である。
【化13】

式中、R21は炭素数1〜6のアルキル基、R22は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基、Bは直結(すなわちナフタレン環は隣接する繰り返し単位のベンゼン環と直接結合する)または炭素数1〜6のアルキレン基、mは1から10である。分子内にナフタレン骨格を高濃度に付与させることにより、汎用のエポキシ樹脂と比較し、耐熱性、難燃性、耐湿性、誘電特性に優れるといった特徴を有する。特に一般式(14)で表される繰り返し構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。具体的には、DIC(株)製HP5000,EXA9900が挙げられる。上記のシアン酸エステル樹脂(c)とナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(d)の合計配合量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100重量部に対し、3〜30重量部が好ましく、5〜25重量部が特に好ましい。この範囲外では、ピール強度、電気特性、吸湿耐熱性が低下する場合がある。
【化14】

(式中、mは1から10である。)
【0027】
本発明において使用される難燃剤は、シアノ基を含有するシクロホスファゼン化合物または臭素化ポリカーボネート樹脂が好適に使用される。これらの難燃剤は耐熱性、電気特性および溶剤溶解性に優れる特徴がある。シアノ基を含有するシクロホスファゼン化合物の配合量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100重量部に対し、10〜30重量部が好ましく、15〜25重量部が特に好ましい。この範囲外では、難燃性やピール強度が低下する問題がある。また臭素化ポリカーボネート樹脂の分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量で500〜2000のものが好適で、臭素含有量は30〜80%のものが好適である。臭素化ポリカーボネート樹脂の配合量は、樹脂組成物中の樹脂固形分100重量部に対し、5〜25重量部が好ましく、10〜20重量部が特に好ましい。この範囲外では、難燃性やピール強度が低下する問題がある。
【0028】
本発明において使用される無機充填剤は積層板用途において一般に使用されるものであれば適用可能である。具体的には、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等のシリカ類、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維(EガラスやDガラスなどのガラス微粉末類)、中空ガラスなどが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0029】
使用する無機充填剤の平均粒子径(D50)は特に限定されないが、分散性を考慮すると平均粒子径(D50)が0.1〜3μmのメソポーラスシリカ、球状溶融シリカ、球状合成シリカ、中空球状シリカ等が好ましい物として挙げられる。平均粒径が0.1〜3μmの範囲外では、成形時の流れ特性や小径ドリルビットの使用時の折損などの問題が生じ場合がある。無機充填剤の配合量は、特に限定はないが、樹脂組成物中の樹脂固形分100重量部に対し、10〜150重量部の範囲が好ましく、20〜100重量部の範囲が特に好適である。無機充填剤の配合量が多すぎると成形性が低下することがあることから、100重量部以下が特に好ましい。
【0030】
無機充填剤に関して、シランカップリング剤や湿潤分散剤を併用することも可能である。これらのシランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン系、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系、γ-メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシラン系、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などのカチオニックシラン系、フェニルシラン系などが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0031】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じ硬化速度を適宜調節するために硬化促進剤を併用することも可能である。これらはビニル化合物(a)、マレイミド化合物(b)、ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(c)、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(d)の硬化促進剤として一般に使用されるものであれば、特に限定されるものではない。これらの具体例としては、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等の有機金属塩類、イミダゾール類及びその誘導体、第3級アミン類等、またラジカル重合開始剤等が挙げられる。
【0032】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じ架橋型硬化剤を添加することも可能である。樹脂組成物の流動性を高め、銅箔引き剥がし強度を向上する効果があり、架橋型硬化剤としては、特にポリフェニレンエーテル骨格を有する2官能性フェニレンエーテルオリゴマーの末端ビニル化合物との相溶性が良好なものが用いられる。具体的には、ジビニルベンゼンやジビニルナフタレンやジビニルビフェニルなどの多官能ビニル化合物、フェノールとビニルベンジルクロライドの反応から合成されるビニルベンジルエーテル系化合物、スチレンモノマー, フェノールとアリルクロライドの反応から合成されるアリルエーテル系化合物などが挙げられる。さらにトリアルケニルイソシアヌレートなどが良好である。特に相溶性が良好なトリアルケニルイソシアヌレートが良く、なかでも具体的にはトリアリルイソシアヌレート(TAIC) やトリアリルシアヌレート(TAC) が好ましい。これらは、成形性に優れ、銅箔引き剥がし強度に優れた積層板を得ることができるからである。
【0033】
本発明の樹脂組成物には、保存安定性を増すために、重合禁止剤を添加することもできる。重合禁止剤は一般に広知のものが使用でき、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p-ベンゾキノン、クロラニル、トリメチルキノン等のキノン類および芳香族ジオール類、ジ-t-ブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0034】
本発明の樹脂組成物には、所期の特性が損なわれない範囲において、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物、他の難燃性化合物、添加剤などの併用も可能である。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性の化合物では、4,4-ジブロモビフェニルなどの臭素化合物、リン酸エステル、リン酸メラミン、リン含有エポキシ樹脂、メラミンやベンゾグアナミンなどの窒素化合物、オキサジン環含有化合物、シリコン系化合物等が挙げられる。添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤等、所望に応じて適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0035】
本発明のワニスは、上記の樹脂組成物および有機溶剤からなる。この有機溶剤としては、ビニル化合物(a)、マレイミド化合物(b)、シアン酸エステル樹脂(c)、エポキシ樹脂(d)の混合物を溶解するものであれば、特に限定されるものではない。具体的に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性溶剤類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤類等が例示され、単独或いは2種以上混合して用いられる。ワニス調製の際の各成分の溶解手順は特に限定されるものではない。各成分を上記溶剤に溶解した後混合して用いる、あるいは各成分すべてを混合した後溶剤に溶解して用いることもできる。樹脂固形分濃度としては、55〜70%が好ましく、60〜65%が特に好ましい。この範囲外では、ワニスの保存安定性、あるいはワニスのガラス織布への含浸性が悪化する場合がある。
【0036】
本発明において使用されるガラス織布は、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラス、クォーツ等が挙げられる。ガラス織布の厚みは特に限定されないが、0.01〜0.2mmの範囲の積層板用途に使用されるもので、特に超開繊処理や目詰め処理を施したガラス織布が、寸法安定性の面から好適である。またエポキシシラン処理、アミノシラン処理などのシランカップリング剤などで表面処理したガラス織布は吸湿耐熱性の面から好適に使用される。
【0037】
本発明のプリプレグの製造方法は、上記の樹脂組成物とガラス織布とを組み合わせてプリプレグを製造する方法であれば、特に限定されない。具体的には、本発明の樹脂組成物をガラス織布に含浸させ、例えば130〜180℃、3〜20分程度乾燥させて半硬化状態のBステージとし、無機充填剤を含めた樹脂量30〜90重量%程度のプリプレグを作成する。含浸は公知の方法で実施できる。本発明のワニスをガラス織布に含浸させる他、本発明の樹脂組成物を熱溶融してガラス織布に含浸させるなどの方法がある。
【0038】
本発明の金属箔張り積層板は、上述のプリプレグを用いて積層成形したものである。具体的には、このプリプレグを所定枚数重ね、その片面もしくは両面に銅箔を配置して、例えば温度180〜220℃、加熱時間100〜300分、面圧20〜40kg/cm2で積層成形し、銅箔張り積層板とする。使用する銅箔の厚みは、特に限定はないが、好適には3〜35μmの電解銅箔を使用する。電解銅箔は一般に積層板用途に使用されるものであれば特に限定されないが、高周波領域での導体損失を考慮し、マット面の粗さが小さい電解銅箔が好適である。また多層板の製造方法としては、例えば、本発明のプリプレグ1枚の両面に、35μmの銅箔を配置して、上記条件にて積層形成した後、内層回路を形成し、この回路に黒化処理を実施して、内層回路板とする。この内層回路板と本発明のプリプレグを交互に1枚ずつ配置し、最外層に銅箔を配置して、上記条件にて、好ましくは真空下に積層成形して多層板とする。
【0039】
本発明の樹脂シートは、上記のワニスを基材に塗布し乾燥した後、基材を剥離またはエッチングすることで得られる。基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体フィルム、ならびにこれらのフィルムの表面に離型剤を塗布した離型フィルム、ポリイミドフィルム、等の有機系のフィルム基材、銅箔、アルミ箔等の導体箔、ガラス板、SUS板、FRP等の板状の基材が挙げられる。塗布する方法としては、例えば、樹脂組成物の溶液をバーコーター、ダイコーター、ドクターブレード、ベーカーアプリケーター等で基材上に塗布し、溶剤を乾燥する方法が挙げられる。
【0040】
溶剤を乾燥する際の乾燥条件は特に制限はないが、低温であると樹脂組成物中に溶剤が残り易く、高温であると樹脂組成物の硬化が進行することから、20℃〜150℃の温度で1〜90分間乾燥するのが好ましい。樹脂層の厚みは樹脂組成物溶液の濃度と塗布厚みにより調整することができるが、塗布厚みが厚くなると乾燥時に溶剤が残り易くなることから、0.1〜500μmが好ましい。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層、半導体パッケージ用材料として用いることができる。例えば、基材として銅箔を用いて本発明の硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を塗布し乾燥することで樹脂付き銅箔としたり、基材として剥離可能なプラスチックフィルムを用いて本発明の硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を塗布し乾燥することでビルドアップ用フィルム、ドライフィルムソルダーレジスト、ダイアタッチフィルムとすることができる。溶剤は20℃〜150℃の温度で1〜90分間加熱することで乾燥できる。また、硬化性樹脂組成物は溶剤を乾燥しただけの未硬化の状態で使用することもできるし、必要に応じて半硬化の状態にして使用することもできる。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
合成例1
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーの合成)
攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた12Lの縦長反応器にCuBr29.36g(42.1mmol)、N,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン1.81g(10.5mmol)、n-ブチルジメチルアミン67.77g(671.0mmol)、トルエン 2,600gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ2,300gのメタノールに溶解させた2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-(1,1’-ビフェノール)-4,4’-ジオール 129.32g(0.48mol)、2,6-ジメチルフェノール878.4g(7.2mol)、N,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン1.22g(7.2mmol)、n-ブチルジメチルアミン26.35g(260.9mmol)の混合溶液を、窒素と空気とを混合して酸素濃度8%に調整した混合ガスを5.2 L/minの流速でバブリングを行いながら230分かけて滴下し、攪拌を行った。滴下終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム48.06g(126.4mmol)を溶解した水1,500gを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、有機層を1Nの塩酸水溶液、次いで純水で洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで50wt%に濃縮し、2官能性フェニレンエーテルオリゴマー体(樹脂「A」)のトルエン溶液を1981g得た。樹脂「A」の数平均分子量は1975、重量平均分子量は3514、水酸基当量が990であった。
(ビニル化合物の合成)
攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に樹脂「A」のトルエン溶液833.40g、ビニルベンジルクロライド(商品名CMS-P;セイミケミカル(株)製)76.7g、塩化メチレン1600g、ベンジルジメチルアミン6.2g、純水199.5g、30.5wt% NaOH水溶液83.6gを仕込み、反応温度40℃で攪拌を行った。24時間攪拌を行った後、有機層を1Nの塩酸水溶液、次いで純水で洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで濃縮し、メタノール中へ滴下して固形化を行い、濾過により固体を回収、真空乾燥してビニル化合物「B」450.1gを得た。ビニル化合物「B」の数平均分子量は2250、重量平均分子量は3920、ビニル基当量は1189g/ビニル基であった。
【0044】
合成例2
(2官能フェニレンエーテルオリゴマーの合成)
攪拌装置、温度計、空気導入管、じゃま板のついた12Lの縦長反応器にCuBr23.88g(17.4mmol)、N,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン0.75g(4.4mmol)、n-ブチルジメチルアミン28.04g(277.6mmol)、トルエン 2,600gを仕込み、反応温度40℃にて攪拌を行い、あらかじめ2,300gのメタノールに溶解させた2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-(1,1’-ビフェノール)-4,4’-ジオール 129.3g(0.48mol)、2,6-ジメチルフェノール233.7g(1.92mol)、2,3,6-トリメチルフェノール 64.9g(0.48mol)、N,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン0.51g(2.9mmol)、n-ブチルジメチルアミン10.90g(108.0mmol)の混合溶液を、窒素と空気とを混合して酸素濃度8%に調整した混合ガスを5.2 L/minの流速でバブリングを行いながら230分かけて滴下し、攪拌を行った。滴下終了後、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム19.89g(52.3mmol)を溶解した水1,500gを加え、反応を停止した。水層と有機層を分液し、有機層を1Nの塩酸水溶液、次いで純水で洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで50wt%に濃縮し、2官能性フェニレンエーテルオリゴマー体(樹脂「C」)のトルエン溶液を836.5g得た。樹脂「C」の数平均分子量は986、重量平均分子量は1,530、水酸基当量が471であった。
(ビニル化合物の合成)
攪拌装置、温度計、還流管を備えた反応器に樹脂「C」のトルエン溶液836.5g、ビニルベンジルクロライド(商品名CMS-P;セイミケミカル(株)製)162.6g、塩化メチレン1600g、ベンジルジメチルアミン12.95g、純水420g、30.5wt% NaOH水溶液178.0gを仕込み、反応温度40℃で攪拌を行った。24時間攪拌を行った後、有機層を1Nの塩酸水溶液、次いで純水で洗浄した。得られた溶液をエバポレーターで濃縮し、メタノール中へ滴下して固形化を行い、濾過により固体を回収、真空乾燥してビニル化合物「D」503.5gを得た。ビニル化合物「D」の数平均分子量は1187、重量平均分子量は1675、ビニル基当量は590g/ビニル基であった。
【0045】
合成例3
(α−ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂の合成)
【化15】

式(15)で表されるα−ナフトールアラルキル樹脂(SN485、OH基当量:219g/eq.軟化点:86℃、新日鐵化学(株)製) 103g(OH基0.47モル)をクロロホルム 500mlに溶解後、トリエチルアミン 0.7モルを添加混合し、これを 0.93モルの塩化シアンのクロロホルム溶液 300gに、-10℃で1.5時間かけて滴下し、30分撹拌した後、更に 0.1モルのトリエチルアミンとクロロホルム 30gの混合溶液を滴下し、30分撹拌して反応を完結させた。生成するトリエチルアミンの塩酸塩を濾別した後、得られた濾液を 0.1N塩酸 500mlで洗浄した後、水 500mlでの洗浄を4回繰り返した。ついで、クロロホルム/水混合溶液のクロロホルム層を分液処理により抽出、クロロホルム溶液に硫酸ナトリウムを添加し脱水処理を行った。硫酸ナトリウムを濾別した後、75℃でエバポレートし、更に90℃で減圧脱気することにより、褐色固形の一般式(16)で表されるα−ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂を得た。赤外吸収スペクトルにおいて、2264cm-1付近にシアン酸エステル基の吸収を確認。また、13C-NMR及び1H-NMRにより、構造を同定し、OH基からOCN基への転化率は、99%以上であった。
【化16】

【0046】
合成例4
(α−ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂の合成)
α−ナフトールアラルキル樹脂(SN485、OH基当量:219g/eq.軟化点:86℃、新日鐵化学(株)製)の代わりにα−ナフトールアラルキル樹脂(SN4105、OH基当量:226g/eq.軟化点:105℃、新日鐵化学(株)製) 102g(OH基0.45モル)を使用し、塩化シアンの使用量を0.90モルとした以外は合成例3と同様の手法にてα−ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂を合成した。OH基からOCN基への転化率は、99%以上であった。
【0047】
(実施例1)
合成例1で得たビニル化合物「B」(数平均分子量2250、ビニル基当量は1189g/ビニル基)70重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)10重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬製)5重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(HP-5000,DIC(株)製)15重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスの低温での保存安定性評価結果を表1に示す。
【0048】
(実施例2)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)80重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)12重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬製)5重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(HP-5000,DIC(株)製) 3重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスの低温での保存安定性評価結果を表1に示す。
【0049】
(実施例3)
合成例1で得たビニル化合物「B」(数平均分子量2250、ビニル基当量は1189g/ビニル基)70重量部、合成例4で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:244g/eq.)10重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬製)5重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(HP5000,DIC(株)製) 15重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスの低温での保存安定性評価結果を表1に示す。
【0050】
(実施例4)
合成例1で得たビニル化合物「B」(数平均分子量2250、ビニル基当量は1189g/ビニル基)60重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)10重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬製)5重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(EXA-9900,DIC(株))製)15重量部、トリアリルイソシアヌレート(TAIC) 5重量部、トリアリルシアヌレート(TAC)5重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスの低温での保存安定性評価結果を表1に示す。
【0051】
(比較例1)
合成例1で得たビニル化合物「B」(数平均分子量2250、ビニル基当量は1189g/ビニル基)70重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)10重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬製)5重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬製)15重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスの低温での保存安定性評価結果を表2に示す。
【0052】
(比較例2)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)80重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)12重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬製)5重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬製) 3重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスの低温での保存安定性評価結果を表2に示す。
【0053】
(比較例3)
合成例1で得たビニル化合物「B」(数平均分子量2250、ビニル基当量は1189g/ビニル基)70重量部、合成例4で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:244g/eq.)10重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬製)5重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬製)15重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスの低温での保存安定性評価結果を表2に示す。
【0054】
(比較例4)
合成例1で得たビニル化合物「B」(数平均分子量2250、ビニル基当量は1189g/ビニル基)60重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)10重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)5重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬(株)製)15重量部、トリアリルイソシアヌレート(TAIC) 5重量部、トリアリルシアヌレート(TAC)5重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスの低温での保存安定性評価結果を表2に示す。
【0055】
(実施例5)
合成例1で得たビニル化合物「B」(数平均分子量2250、ビニル基当量は1189g/ビニル基)70重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)10重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬製)5重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(HP-5000,DIC(株)製)15重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部、ジ-t-ブチルヒドロキシトルエン(川口化学工業(株)製)0.1重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスの常温での保存安定性評価結果を表3に示す。
【0056】
(実施例6)
合成例1で得たビニル化合物「B」(数平均分子量2250、ビニル基当量は1189g/ビニル基)70重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)10重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬製)5重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(HP-5000,DIC(株))製)15重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスを5℃の保冷庫で2週間保管した後、厚さ0.08mm(IPC No.-#3313)のEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で8分加熱乾燥して、樹脂量55重量%のプリプレグを得た。この55重量%のプリプレグ8枚を重ねた両面に18μm銅箔(3EC-HTE、三井金属鉱業(株)製)を配置し、圧力30kg/cm2、温度210℃で150分間真空プレスを行い、厚さ0.8mmの18μm銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表4に示す。
【0057】
(実施例7)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)64重量部、合成例4で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:244g/eq.)5重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)5重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(HP-5000,DIC(株))製)3重量部、シアノ基を有するシクロホスファゼン(FP-300、(株)伏見製薬所製)18重量部、球状シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)50重量部、トリアリルシアヌレート(TAC)5重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例6と同様に行い、銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表4に示す。
【0058】
(実施例8)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)67重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)4重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)3重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(EXA-9900,DIC(株)製)10重量部、臭素化ポリカーボネート樹脂(FG8500、帝人化成(株)製)16重量部、球状合成シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)50重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例6と同様に行い、銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表4に示す。
【0059】
(実施例9)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)71重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)5重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)5重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(EXA-9900,DIC(株)製)3重量部、臭素化ポリカーボネート樹脂(FG8500、帝人化成(株)製)16重量部、球状シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)25重量部、オクチル酸亜鉛0.06重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例6と同様に行い、銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表4に示す。
【0060】
(実施例10)
合成例1で得たビニル化合物「B」(数平均分子量2250、ビニル基当量は1189g/ビニル基)71重量部、合成例4で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:244g/eq.)5重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)5重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(EXA-9900,DIC(株)製)3重量部、臭素化ポリカーボネート樹脂(FG8500、帝人化成(株)製)16重量部、メソポーラスシリカ(MSF-01P、平均粒径1.3μm、(株)アドマテックス製)30重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例6と同様に行い、銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表4に示す。
【0061】
(実施例11)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)60重量部、合成例4で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:244g/eq.)5重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)3重量部、ナフタレン骨格変性したノボラック型のエポキシ樹脂(HP-5000,DIC(株)製)9重量部、シアノ基を有するシクロホスファゼン(FP-300、(株)伏見製薬所製)18重量部、球状シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)70重量部、トリアリルイソシアヌレート(TAIC) 5重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。さらに攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに秤量し、固形分濃度が20重量%となるようにメチルエチルケトンを加えて60℃に加熱して1時間攪拌しワニスを調整した。この得られたワニスを5℃の保冷庫で2週間保管した後、この調整した溶液をドクターブレード(隙間200μm)で、18μm電解銅箔(3EC-HTE:三井金属鉱業(株)製)のマット面上に塗布、室温で10分風乾後、送風乾燥機で50℃、20分乾燥して、樹脂層の厚み約15μmの銅箔付き樹脂シートを得た。次に、この銅箔付き樹脂シートをエッチングされた厚さ0.8mmコア材(CCL-EL190T、三菱ガス化学(株)製)の上下に配置し、圧力30kg/cm2、温度210℃で150分間真空プレスを行い、厚さ0.85mmの樹脂シート付き18μm銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表4に示す。
【0062】
(比較例6)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)60重量部、合成例4で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:244g/eq.)5重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)3重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬(株)製)9重量部、シアノ基を有するシクロホスファゼン(FP-300、(株)伏見製薬所製)18重量部、球状シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)70重量部、トリアリルイソシアヌレート(TAIC) 5重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例6と同様に行い、銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表5に示す。
【0063】
(比較例7)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)64重量部、合成例4で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:244g/eq.)5重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)5重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬(株)製)3重量部、シアノ基を有するシクロホスファゼン(FP-300、(株)伏見製薬所製)18重量部、球状シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)50重量部、トリアリルシアヌレート(TAC)5重量部オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例6と同様に行い、銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表5に示す。
【0064】
(比較例8)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)67重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)4重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)3重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬(株)製)10重量部、臭素化ポリカーボネート樹脂(FG8500、帝人化成(株)製)16重量部、球状合成シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)50重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例6と同様に行い、銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表5に示す。
【0065】
(比較例9)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)71重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)5重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)5重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬(株)製)3重量部、臭素化ポリカーボネート樹脂(FG8500、帝人化成(株)製)16重量部、球状シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)25重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例6と同様に行い、銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表5に示す。
【0066】
(比較例10)
合成例1で得たビニル化合物「B」(数平均分子量2250、ビニル基当量は1189g/ビニル基)71重量部、合成例4で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:244g/eq.)5重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)5重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬(株)製)3重量部、臭素化ポリカーボネート樹脂(FG8500、帝人化成(株)製)16重量部、メソポーラスシリカ(MSF-01P、平均粒径1.3μm、(株)アドマテックス製)30重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例6と同様に行い、銅張り積層板を得た。得られた銅張積層板の物性値を表5に示す。
【0067】
(比較例11)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)60重量部、合成例4で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:244g/eq.)5重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)3重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬(株)製)9重量部、シアノ基を有するシクロホスファゼン(FP-300、(株)伏見製薬所製)18重量部、球状シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)65重量部、トリアリルイソシアヌレート(TAIC) 5重量部、オクチル酸亜鉛0.06重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。このワニスを使用する以外は実施例11と同様に行い、樹脂シート付き銅張り積層板を得た。得られた樹脂シート付き銅張り積層板の物性値を表5に示す。
【0068】
(比較例12)
合成例2で得たビニル化合物「D」(数平均分子量1187、ビニル基当量は590g/ビニル基)67重量部、合成例3で得たナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(シアネート当量:237g/eq.)4重量部、ビスマレイミド(BMI-70,日本化薬(株)製)3重量部、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(NC3000H,日本化薬(株)製)10重量部、臭素化ポリカーボネート樹脂(FG8500、帝人化成(株)製)16重量部、球状合成シリカ(SC2050、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)50重量部、オクチル酸亜鉛0.05重量部を混合し、メチルエチルケトンで樹脂固形分65%に希釈しワニスを得た。この得られたワニスを5℃で2週間保存せずにワニス作製後すぐに実施例6と同様に行い銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性値を表6に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
【表6】

【0075】
(測定方法)
1) 数平均分子量及び重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。試料のGPC曲線と分子量校正曲線よりデータ処理を行った。分子量校正曲線は、標準ポリスチレンの分子量と溶出時間の関係を次の式に近似して得た。 LogM = A0X3+ A1X2 + A2X + A3 + A4/X2(ここでM:分子量、X:溶出時間−19(分)、A:係数である。)
2) 水酸基当量は、2,6-ジメチルフェノールを標準物質とし、溶媒に乾燥ジクロロメタンを使用してIR分析(液セル法;セル長=1mm)を行い、3,600cm-1の吸収強度より求めた。
3) ビニル基当量は、1-オクテンを標準物質とし、溶剤に二硫化炭素を使用してIR分析(液セル法:セル長=1mm)を行い、910 cm-1の吸収強度より求めた。
4) シアネート当量は、赤外吸収スペクトルにおいて、2264cm-1付近のシアン酸エステル基の吸収を確認後、13C-NMR及び1H-NMRにより、構造を同定し、OH基からOCN基への転化率を測定。その転化率をもとに評価に使用したナフトールアラルキル樹脂のOH当量から算出。
5) 低温でのワニス保存安定性
300ccのガラスサンプル瓶に各種ワニスを入れ、ワニスの透明性(濁り性)を目視にて観察。その後、5℃の保冷庫で2週間保存後、再度ワニスの透明性(濁り性)を目視にて観察。(n=1)
6) 常温でのワニス保存安定性
ワニス作製直後と室温(25℃)で4週間放置後に、ワニスのGPC法による測定を実施。チャート中に、高分子量体の生成を示すピークが現れた場合を有、現れなかった場合を無とした。
7) ピール強度
JIS C6481に準じて、18μm銅箔付きの試験片(30mm×150mm×0.8mm)を用い、銅箔の引き剥がし強度を測定し、2回測定した平均値が0.7kg/cm以上を合格(○)、0.7kg/cm未満を不合格(×)とした。(n=2)
8) 誘電率、誘電正接
厚さ0.8mm銅張り積層板の銅箔を除去した試験片を使用し、空洞共振器摂動法(Agilent 8722ES,アジレントテクノロジー製)にて10GHzの誘電率、誘電正接を測定。(n=1)
9) 吸湿耐熱性
厚さ約0.8mm 18μm銅箔付き積層板の銅箔をエッチングした5cmx5cmのサンプル(n=4)を115℃で20時間乾燥した後、プレッシャークッカー試験器(平山製作所製 PC-3型)で121℃、2気圧で4時間処理後、288℃の半田浴に30秒浸漬し、4個のサンプルそれぞれにつき膨れ有無を目視観察し、異常なし:(○)、膨れ発生:(×)として表記した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるビニル化合物(a)、一般式(5)で表されるマレイミド化合物(b)、一般式(6)で表されるシアン酸エステル樹脂(c)及び一般式(7)の繰り返し構造を有するエポキシ樹脂(d)を含む樹脂組成物。
【化1】

(式中、-(O-X-O)-は、一般式(2)または一般式(3)で定義される構造からなる。-(Y-O)-は、一般式(4)で定義され、1種類の構造または2種類以上の構造がランダムに配列している。a,bは、少なくともいずれか一方が0でない、0〜100の整数を示す。)
【化2】

(R1,R2,R3,R7,R8は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R4,R5,R6は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。)
【化3】

(R9,R10,R11,R12,R13,R14,R15,R16は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。-A-は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である。)
【化4】

(R17,R18は、同一または異なってもよく、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。R19,R20は、同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数6以下のアルキル基またはフェニル基である。)
【化5】

(式中、Zは炭素数が200以下の有機基を示し、酸素原子、硫黄原子、リン原子、窒素原子を含むこともある。cは2〜20の整数を示す。)
【化6】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1から10である。)
【化7】

(式中、R21は炭素数1〜6のアルキル基、R22は炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基、Bは直結(すなわちナフタレン環は隣接する繰り返し単位のベンゼン環と直接結合する)または炭素数1〜6のアルキレン基、mは1から10である。)
【請求項2】
ビニル化合物(a)が、-(O-X-O)-が一般式(8)、一般式(9)または一般式(10)であり、-(Y-O)-が一般式(11)または一般式(12)あるいは一般式(11)と一般式(12)がランダムに配列した構造を有するビニル化合物である請求項1記載の樹脂組成物。
【化8】

【化9】

(式中、R11,R12,R13,R14は、水素原子またはメチル基である。-A-は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である。)
【化10】

(-A-は、炭素数20以下の直鎖状、分岐状または環状の2価の炭化水素基である。)
【化11】

【化12】

【請求項3】
さらに、シアノ基を有するシクロホスファゼン化合物又は臭素化ポリカーボネート樹脂を含む請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、無機充填剤を含む請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1記載の樹脂組成物をガラス織布に含浸し、半硬化状態にして得られたプリプレグ。
【請求項6】
ガラス織布への含浸が、請求項1記載の樹脂組成物を熱溶融状態にして実施される請求項5記載のプリプレグ。
【請求項7】
ガラス職布への含浸が、請求項1記載の樹脂組成物と有機溶剤とからなるワニスとして実施される請求項5記載のプリプレグ。
【請求項8】
請求項5記載のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、その片面もしくは両面に金属箔を配して積層成形して得られる金属箔張り積層板。
【請求項9】
請求項1記載の樹脂組成物と有機溶剤とからなるワニス。
【請求項10】
請求項9記載のワニスを金属箔又はフィルムの表面に塗工、乾燥させて得られる樹脂シート。

【公開番号】特開2010−138364(P2010−138364A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25855(P2009−25855)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】