説明

樹脂組成物並びにこれを用いたプリプレグ及び積層板

【課題】 プリント配線板用材料として好適なシアン酸エステル樹脂を用いた樹脂組成物において、ハロゲンを含有せずに、難燃性、硬化性、耐熱性、吸湿耐熱性を改善し、併せてこれと有機繊維基材を用いた新規なプリプレグ及び積層板を提供する。
【解決手段】 特定のシアン酸エステル樹脂、非ハロゲン系エポキシ樹脂および9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシドを必須成分とする樹脂組成物であって、シアン酸エステル樹脂と非ハロゲン系エポキシ樹脂と9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシドの合計配合量100重量部に対してシアン酸エステル樹脂を10〜89.7重量部、非ハロゲン系エポキシ樹脂を10〜89.7重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシドを0.3〜35重量部の範囲で含有する樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路を形成するプリント配線板用に好適に使用される樹脂組成物、並びにこれと有機繊維を用いたプリプレグ、および積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器や通信機、パーソナルコンピューター等に広く用いられているプリント配線板は、高密度配線化や高集積化が進展している。特に近年、半導体プラスチックパッケージ用などの高機能のプリント配線板用材料では、高耐熱化、低熱膨張化が強く求められている。耐熱性に優れるプリント配線板用樹脂としては、シアン酸エステル樹脂が知られており、ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂と、他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂との樹脂組成物をベースにして、幅広く使用されている。(例えば特許文献1参照)
そして、これらの分野で使用される材料には、火災に対する安全性確保のため、一般に臭素化エポキシ樹脂が配合されており、エポキシ樹脂に臭素等のハロゲンを導入すると、優れた難燃性を示す硬化物が得られることは広く知られている。(例えば特許文献2参照)しかしながら、このような硬化物は燃焼時において、ハロゲン化水素等の有害物質を生成する可能性が高く、人体や自然環境に対し悪影響を及ぼすという欠点を有している。そこで、この問題を解決すべく、ハロゲンを含有せずに難燃性を付与した樹脂組成物を用いたハロゲンフリー材料の開発が広く行われている。(例えば特許文献3参照)
また、目的とする用途や性能によって、基材に有機繊維基材を使用する方法は広く知られている。しかしながら、有機繊維基材は易燃であり、ハロゲンを含有せずに難燃性を付与するためにはリン化合物や無機充填剤等を多量に使用する必要があり、硬化性、耐熱性、吸湿耐熱性において満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開2003-251739号公報
【特許文献2】特開平11-021452号公報
【特許文献3】特開2007-045984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、プリント配線板用材料として好適なシアン酸エステル樹脂を用いた樹脂組成物において、ハロゲンを含有せずに、難燃性、硬化性、耐熱性、吸湿耐熱性を改善することであり、併せてこれと有機繊維基材を用いた新規なプリプレグ及び積層板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するため本発明者らは、特定構造のシアン酸エステル樹脂と特定構造のリン化合物と非ハロゲン系エポキシ樹脂を配合することにより、少量のリン化合物にて難燃性を付与でき、かつ、硬化性、耐熱性、吸湿耐熱性に優れる特性を有する樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式(1)で示されるシアン酸エステル樹脂(A)、非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)および一般式(2)で示される9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)を必須成分とする樹脂組成物であって、シアン酸エステル樹脂(A)と非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)と9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)の合計配合量100重量部に対してシアン酸エステル樹脂(A)を10〜89.7重量部、非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)を10〜89.7重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)を0.3〜35重量部の範囲で含有する樹脂組成物である。
なお、本明細書では「9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)」を「リン化合物(C)」ということがある。
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1から50までの整数を示す。また、nが異なる化合物の混合物であってもよい。)
【化2】

本発明の好ましい態様としては、(1)シアン酸エステル樹脂(A)、非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)および9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)の合計配合量100重量部に対して硬化促進剤(D)として有機金属塩類(a)を0.001〜1重量部および/またはイミダゾール類(b)を0.001〜1重量部の範囲で含有する態様、(2)シアン酸エステル樹脂(A)、非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)および9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)の合計配合量100重量部に対してビスマレイミド化合物(E)を1〜100重量部の範囲で含有する態様、(3)これらの樹脂組成物と有機繊維基材(F)とからなるプリプレグ、(4)このプリプレグを硬化して得られる積層板または金属箔張り積層板および多層プリント配線板、が挙げられる。
【発明の効果】
【0005】
本発明による樹脂組成物は硬化性が良好であり、短時間でプリプレグを作成可能であることから製造コストを下げることができ、実用性が極めて高いものである。硬化促進剤を2種類以上使用すればさらに効果的である。本発明の樹脂組成物からなるプリプレグは、基材として有機繊維基材を用いた場合であっても、ハロゲンを含有せずにリン化合物や無機充填剤等を多量に使用することなく、高い難燃性を確保できる。得られるプリプレグを硬化してなる積層板や金属箔張り積層板は、高いガラス転移温度を有し、耐熱性および吸湿耐熱性が優れることから、高密度化対応のプリント配線板材料に好適であり、工業的な実用性は極めて高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の樹脂組成物は、一般式(1)で示されるシアン酸エステル樹脂(A)、非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)および一般式(2)で示される9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)を必須成分とする樹脂組成物である。
本発明において用いられるシアン酸エステル樹脂(A)は、一般式(1)で示されるシアン酸エステル樹脂またはそのプレポリマーであれば特に限定されない。一般式(1)で示されるシアン酸エステル樹脂(A)は、α-ナフトールあるいはβ-ナフトール等のナフトール類とp-キシレングリコール、α,α’-ジメトキシ-p-キシレン、1,4-ジ(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ベンゼン等の縮合剤との反応により得られるナフトールアラルキル樹脂とシアン酸とを縮重合させて得られるものであり、その製法は特に限定されず、シアン酸エステル合成として現存するいかなる方法で製造してもよい。具体的に例示すると、一般式(3)で示されるナフトールアラルキル樹脂とハロゲン化シアンを不活性有機溶媒中で、塩基性化合物存在下反応させることにより得ることができる。また、同様なナフトールアラルキル樹脂と塩基性化合物による塩を、水を含有する溶液中にて形成させ、その後、ハロゲン化シアンと2相系界面反応を行い、合成する方法を採ることもできる。
【0007】
【化3】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1から50までの整数を示す。また、nが異なる化合物の混合物であってもよい。)
【0008】
また、シアン酸エステル樹脂(A)としては、特にRが水素であるα-ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂が好ましいが、複数のシアン酸エステル樹脂(A)の1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
本発明におけるシアン酸エステル樹脂(A)の配合量は、シアン酸エステル樹脂(A)と非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)とリン化合物(C)の合計配合量100重量部に対して10〜89.7重量部の範囲であり、30〜70重量部の範囲が好適である。シアン酸エステル樹脂(A)の配合量が10重量部未満では得られる積層板の耐熱性が低下し、89.7重量部を超えると溶剤溶解性や硬化性などが低下する。
【0009】
本発明において使用される非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、意図的にハロゲンを有さない化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ブタジエンなどの2重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物等が挙げられる。好適なものとして、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)は、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)の配合量は、シアン酸エステル樹脂(A)と非ハロゲン系エポキシ樹脂(B) とリン化合物(C)の合計配合量100重量部に対して通常10〜89.7重量部の範囲であり、30〜70重量部の範囲が好適である。非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)の配合量が10重量部未満では得られる積層板の硬化性などが低下し、89.7重量部を超えると耐熱性などが低下する。
【0010】
本発明の樹脂組成物には一般式(2)で示される9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)が用いられる。
リン化合物(C)の配合量は、シアン酸エステル樹脂(A)と非ハロゲン系エポキシ樹脂(B) とリン化合物(C)の合計配合量100重量部に対して通常0.3〜35重量部の範囲であり、1〜21重量部の範囲が好ましい。リン化合物(C)の配合量が0.3重量部未満では難燃性向上の効果が得られず、逆に35重量部を超えると耐熱性が低下する恐れがある。
【0011】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じ、硬化速度を適宜調節するために硬化促進剤(D)を併用することも可能である。硬化促進剤(D)としては、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等と有機カルボン酸等からなる有機金属塩類、イミダゾール類及びその誘導体、第3級アミン等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種でも良いが、2種以上を適宜混合して使用することも好ましい。有機金属塩類またはイミダゾール類が好ましく、両者の混合使用が特に好適である。硬化促進剤(D)を配合する場合の配合量は、特に限定されないが、シアン酸エステル樹脂(A)と非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)とリン化合物(C)の合計配合量100重量部に対して通常0.001〜1重量部の範囲であり、0.005〜0.5重量部の範囲が好ましい。
【0012】
本発明の樹脂組成物には、無機充填剤を併用することも可能である。無機系充填剤としては、一般に使用されるものであれば、特に限定されるものではないが、その具体例としては、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等のシリカ類、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水和物、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、アルミナ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維(EガラスやDガラスなどのガラス微粉末類)、中空ガラスなどが挙げられる。無機充填剤を配合する場合の配合量は、特に限定されないが、シアン酸エステル樹脂(A)と非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)とリン化合物(C)の合計配合量100重量部に対して通常2〜200重量部の範囲であり、30〜150重量部の範囲が好ましい。
【0013】
本発明の樹脂組成物には、所期の特性が損なわれない範囲において、上記一般式(1)で示されるシアン酸エステル樹脂(A)以外のシアン酸エステル樹脂を更に加えることも可能である。一般式(1)以外のシアン酸エステル樹脂としては、公知のものが使用できる。例えば、ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂、ビスフェノールF型シアン酸エステル樹脂、ビスフェノールM型シアン酸エステル樹脂、ビスフェノールP型シアン酸エステル樹脂、ビスフェノールE型シアン酸エステル樹脂、フェノールノボラック型シアン酸エステル樹脂、クレゾールノボラック型シアン酸エステル樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型シアン酸エステル樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアン酸エステル樹脂、ビフェノール型シアン酸エステル樹脂等、及びこれらのプレポリマー等が挙げられ、1種もしくは2種以上適宜混合して使用することも可能である。一般式(1)以外のシアン酸エステル樹脂を配合する場合の配合量は、特に限定されないが、一般式(1)で示されるシアン酸エステル樹脂(A)と非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)とリン化合物(C)の合計配合量100重量部に対して通常1〜100重量部の範囲であり、5〜70重量部の範囲が好ましい。
【0014】
本発明の樹脂組成物には、ビスマレイミド化合物(E)を併用することも可能である。これらは1分子中に2個のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、これらビスマレイミド化合物のプレポリマー、もしくはビスマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーなどが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。より好適なものとしては、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタンが挙げられる。ビスマレイミド化合物(E)を配合する場合の配合量は、特に限定されないが、シアン酸エステル樹脂(A)と非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)とリン化合物(C)の合計配合量100重量部に対して通常1〜100重量部の範囲であり、5〜70重量部の範囲が好ましい。
【0015】
本発明の樹脂組成物には、所期の特性が損なわれない範囲において、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びそのオリゴマー、エラストマー類などの種々の高分子化合物、他の難燃性の化合物、添加剤などの併用も可能である。これらは一般に使用されているものであれば、特に限定されるものではない。例えば、難燃性の化合物では、メラミンやベンゾグアナミンなどの窒素含有化合物、オキサジン環含有化合物、シリコーン系化合物などが挙げられる。添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤等、所望に応じて適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0016】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、有機溶剤を使用することが可能である。この有機溶剤としては、シアン酸エステル樹脂(A)と非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)とリン化合物(C)の混合物が溶解するものであれば、特に限定されるものではない。具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド類等が挙げられる。
【0017】
本発明の樹脂組成物と各種基材を用いれば、好適にプリプレグを製造することができる。この場合の基材としては有機繊維からなるもの(以下「有機繊維基材(F)」という)が好ましい。有機繊維基材(F)に用いられる有機繊維としては、例えばポリパラフェニレンテレフタラミド(ケブラー(登録商標)、デュポン株式会社製)、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)等の全芳香族ポリアミド、2,6-ヒドロキシナフトエ酸・パラヒドロキシ安息香酸(ベクトラン(登録商標)、株式会社クラレ製)等のポリエステル、ポリイミド、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(ザイロン(登録商標)、東洋紡績株式会社製)などが挙げられる。目的とする用途や性能により適宜選択し、単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。形状としては織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、サーフェシングマットなどが挙げられる。厚みについては、特に制限はされないが、通常は0.01〜0.3mm程度を使用する。また、シランカップリング剤などで表面処理したものや、織布において物理的に開繊処理を行ったものは、吸湿耐熱性の面から好適に使用できる。
【0018】
本発明の樹脂組成物を用いたプリプレグの製造方法は、シアン酸エステル樹脂(A)と非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)とリン化合物(C)を必須成分として含有する樹脂組成物と有機繊維基材(F)等の基材とを組み合わせてプリプレグを製造する方法であれば、特に限定されない。例えば、上記樹脂組成物を有機繊維基材(F)に含浸または塗布させた後、100〜200℃の乾燥機中で、1〜60分加熱させる方法などにより半硬化させ、プリプレグを製造する方法などが挙げられる。有機繊維基材(F)を基材として用いる場合、有機繊維基材(F)に対する樹脂組成物の付着量は、プリプレグの樹脂量で20〜95重量%の範囲が好ましい。
【0019】
本発明によれば、上述のプリプレグを用いてこれを積層成形すれば好適に積層板とすることができる。具体的には前述のプリプレグを1枚あるいは複数枚以上を重ね、所望によりその片面もしくは両面に、銅やアルミニウムなどの金属箔を配置した構成で、積層成形することにより製造する。使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されない。成形条件としては、通常のプリント配線板用積層板および多層板の手法が適用できる。例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機などを使用し、温度は100〜300℃、圧力は2〜100kgf/cm2、加熱時間は0.05〜5時間の範囲が一般的である。また、本発明のプリプレグと、別途作成した内層用の配線板を組み合わせ、積層成形することにより、多層板とすることも可能である。以下に合成例、実施例、比較例を示し、本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
(合成例1)α-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂の合成
【化4】

式(4)で表されるα-ナフトールアラルキル樹脂(SN495、OH基当量:237g/eq.、新日鐵化学製) 0.47モル (OH基換算)をクロロホルム 500mlに溶解後、トリエチルアミン 0.7モルを添加混合し、これに 0.93モルの塩化シアンのクロロホルム溶液 300gを、−10℃で1.5時間かけて滴下し、30分撹拌した後、更に 0.1モルのトリエチルアミンとクロロホルム 30gの混合溶液を滴下し、30分撹拌して反応を完結させた。生成するトリエチルアミンの塩酸塩を濾別した後、得られた濾液を 0.1N塩酸 500mlで洗浄した後、水 500mlでの洗浄を4回繰り返した。これを硫酸ナトリウムにより乾燥した後、75℃でエバポレートし、更に90℃で減圧脱気することにより、褐色固形の式(5)で表されるα-ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル樹脂(赤外吸収スペクトルにおいて、2264cm-1付近にシアン酸エステル基の吸収を確認)を得た。
【化5】

【0021】
(実施例1)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 48重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)48重量部と9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)4重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、さらにオクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.1重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で 5分間加熱乾燥して、樹脂含有量55重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを8枚重ね、厚さ12μm、の電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力30kgf/cm2、温度200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を測定した。測定結果を表1に示す。耐燃性に優れ、ガラス転移温度が高く、さらに吸湿耐熱性にも優れていた。
【0022】
(実施例2)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 40重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)40重量部と9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)20重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.1重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で 5分間加熱乾燥して、樹脂含有量55重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表1に示す。耐燃性に優れ、ガラス転移温度が高く、さらに吸湿耐熱性にも優れていた。
【0023】
(実施例3)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 46重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)46重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)8重量部、分散剤(BYK-W9010、ビッグケミージャパン製) 2重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、更にベーマイト(BS100、河合石灰工業製) 100重量部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.1重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で 5分間加熱乾燥して、樹脂含有量64重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表1に示す。耐燃性に優れ、ガラス転移温度が高く、さらに吸湿耐熱性にも優れていた。
【0024】
(実施例4)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 46重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)46重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)8重量部、分散剤(BYK-W9010、ビッグケミージャパン製) 2重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、更にベーマイト(BS100、河合石灰工業製) 100重量部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.05重量部、2-エチル-4メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業株式会社製)0.05重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で3分間加熱乾燥して、樹脂含有量64重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表1に示す。耐燃性に優れ、ガラス転移温度が高く、さらに吸湿耐熱性にも優れていた。
【0025】
(実施例5)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 46重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)46重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)8重量部、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン(BMI-80、ケイアイ化成株式会社製)19重量部、分散剤(BYK-W9010、ビッグケミージャパン製) 2重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、更にベーマイト(BS100、河合石灰工業製) 100重量部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.1重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で6分間加熱乾燥して、樹脂含有量64重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表2に示す。耐燃性に優れ、ガラス転移温度が高く、さらに吸湿耐熱性にも優れていた。
【0026】
(実施例6)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 46重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)46重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)8重量部、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン(BMI-80、ケイアイ化成株式会社製)19重量部、分散剤(BYK-W9010、ビッグケミージャパン製) 2重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、更にベーマイト(BS100、河合石灰工業製) 100重量部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.05重量部、2-エチル-4メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業株式会社製)0.05重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で6分間加熱乾燥して、樹脂含有量64重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表2に示す。耐燃性に優れ、ガラス転移温度が高く、さらに吸湿耐熱性にも優れていた。
【0027】
(実施例7)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 46重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)46重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)8重量部、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン(BMI-80、ケイアイ化成株式会社製)19重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製)0.05重量部、2-エチル-4メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業株式会社製)0.05重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で6分間加熱乾燥して、樹脂含有量55重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表2に示す。耐燃性に優れ、ガラス転移温度が高く、さらに吸湿耐熱性にも優れていた。
【0028】
(実施例8)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 46重量部とフェノールノボラック型エポキシ樹脂(エピクロンN770,大日本インキ化学工業株式会社製)46重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)8重量部、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン(BMI-80、ケイアイ化成株式会社製)19重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.05重量部、2-エチル-4メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成工業株式会社製)0.05重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で6分間加熱乾燥して、樹脂含有量55重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力30 kgf/cm2、温度200℃で120分間プレスを行い、厚さ0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表2に示す。耐燃性に優れ、ガラス転移温度が高く、さらに吸湿耐熱性にも優れていた。
【0029】
(比較例1)
ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂46重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)46重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)8重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.1重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有量55重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表3に示す。耐燃性試験で燃焼した。
【0030】
(比較例2)
ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂46重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)46重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)8重量部、分散剤(BYK-W9010、ビッグケミージャパン製) 2重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、更にベーマイト(BS100、河合石灰工業製) 100重量部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.1重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で5分間加熱乾燥して、樹脂含有量64重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表3に示す。耐燃性試験で燃焼した。
【0031】
(比較例3)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 46重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)46重量部、フェノキシホスファゼンオリゴマー(FP-100、伏見製薬所製)8重量部、分散剤(BYK-W9010、ビッグケミージャパン製) 2重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、更にベーマイト(BS100、河合石灰工業製) 100重量部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.15重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で20分間加熱乾燥して、樹脂含有量64重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表3に示す。ガラス転移温度が低く、吸湿耐熱性に劣っていた。
【0032】
(比較例4)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 50重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)17重量部、リン含有エポキシ樹脂(FX-305、東都化成製)33重量部、分散剤(BYK-W9010、ビッグケミージャパン製) 2重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、更にベーマイト(BS100、河合石灰工業製) 100重量部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.1重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で12分間加熱乾燥して、樹脂含有量64重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表3に示す。ガラス転移温度が低く、吸湿耐熱性に劣っていた。
【0033】
(比較例5)
合成例1で得たα-ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂 46重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)46重量部、フェノキシホスファゼンオリゴマー(FP-100、伏見製薬所製)8重量部、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン(BMI-80、ケイアイ化成株式会社製)19重量部、分散剤(BYK-W9010、ビッグケミージャパン製) 2重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、更にベーマイト(BS100、河合石灰工業製) 100重量部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.15重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で20分間加熱乾燥して、樹脂含有量64重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表4に示す。ガラス転移温度が低く、吸湿耐熱性に劣っていた。
【0034】
(比較例6)
ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂46重量部とビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC-3000H,日本化薬株式会社製)46重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(HCA,三光株式会社製)8重量部、2,2-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン(BMI-80、ケイアイ化成株式会社製)19重量部、分散剤(BYK-W9010、ビッグケミージャパン製) 2重量部をメチルエチルケトン(80重量部)で溶解混合し、更にベーマイト(BS100、河合石灰工業製) 100重量部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製) 0.1重量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトン溶剤で必要に応じて適宜希釈し、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)の厚さ 0.05mm、坪量35g/m2の織布に含浸塗工し、165℃で6分間加熱乾燥して、樹脂含有量64重量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを 8枚重ね、12μmの電解銅箔(マット面Rz=3.3)を上下に配置し、圧力 30 kgf/cm2、温度 200℃で120分間プレスを行い、厚さ 0.4mmの銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板の物性を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表4に示す。耐燃性試験で燃焼した。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
(測定方法)
1)耐燃性:UL94垂直試験法に準拠して測定。
2)ガラス転移温度:JIS C6481に準拠して、DMA法(2980型DMA、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)にて測定。
3)吸湿耐熱性:50mm×50mmのサンプルの片面の半分以外の全銅箔をエッチング除去した試験片を、プレッシャークッカー試験機(株式会社平山製作所製、PC-3型)で121℃、2気圧で3時間処理後、260℃のハンダ中に30秒浸漬した後の外観変化を目視で観察。(フクレ無し:○、フクレ発生:×)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるシアン酸エステル樹脂(A)、非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)および一般式(2)で示される9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)を必須成分とする樹脂組成物であって、シアン酸エステル樹脂(A)、非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)および9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)の合計配合量100重量部に対してシアン酸エステル樹脂(A)を10〜89.7重量部、非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)を10〜89.7重量部、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)を0.3〜35重量部の範囲で含有する樹脂組成物。
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは1から50までの整数を示す。また、nが異なる化合物の混合物であってもよい。)
【化2】

【請求項2】
シアン酸エステル樹脂(A)、非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)および9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)の合計配合量100重量部に対して、硬化促進剤(D)として、有機金属塩類(a)を0.001〜1重量部および/またはイミダゾール類(b)を0.001〜1重量部の範囲で含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
シアン酸エステル樹脂(A)、非ハロゲン系エポキシ樹脂(B)および9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(C)の合計配合量100重量部に対して、ビスマレイミド化合物(E)を1〜100重量部の範囲で含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物および有機繊維基材(F)からなるプリプレグ
【請求項5】
請求項4に記載のプリプレグを硬化して得られる積層板
【請求項6】
請求項4に記載のプリプレグおよび金属箔からなる金属箔張り積層板
【請求項7】
請求項5記載の積層板または請求項6記載の金属箔張り積層板を含む多層プリント配線板

【公開番号】特開2010−65092(P2010−65092A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230824(P2008−230824)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】