説明

樹脂組成物及び樹脂組成物を使用して作製した半導体装置

【課題】良好な低応力性及び良好な高温での接着性を有しながら室温での保存性にも優れる半導体用ダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料、及び特に耐リフロー性などの信頼性に優れた半導体装置を提供することである。
【解決手段】銀粉(A)、熱硬化性樹脂(B)、少なくとも1つの一般式(1)で示される結合と少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する化合物(C)を含む樹脂組成物であって、前記化合物(C)の50%以上が一般式(1)におけるnが2である化合物であることを特徴とする樹脂組成物及び該樹脂組成物を使用して作製したことを特徴とする半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及び樹脂組成物を使用して作製した半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高速化は著しく、多層配線部における配線抵抗と配線間の寄生容量に起因する信号伝搬速度の低下による伝送遅延が問題となってきている。こうした問題は、半導体デバイスの高集積化に伴う配線幅及び配線間隔の微細化につれて配線抵抗が上昇しかつ寄生容量が増大するので、益々顕著となる傾向にある。そこで、配線抵抗及び寄生容量の増大に基づく信号遅延を防止するために、従来のアルミニウム配線に代わり銅配線の導入が行われると共に、層間絶縁膜に比誘電率が二酸化シリコン膜の3.9より小さい低誘電率の絶縁膜の適用が行われている。特に設計基準が65nmから45nmへと構成素子の微細化が進む中で層間絶縁膜の比誘電率は2.0程度またはそれ以下の値が強く求められ、このために層間絶縁膜として膜内部の空孔率を高めることで比誘電率を小さくした多孔質絶縁膜が必要になってきている。
このような多孔質絶縁膜は、その構造上一般的に機械的強度か弱いという問題がある。すなわち従来の絶縁膜を使用した半導体素子に比較して外部からのストレスに対して敏感で、これまで問題とされなかったストレスでも絶縁膜の破壊に至る場合がある。
そこで発生するストレスを少なくするために、封止材料、ダイアタッチ材料などの半導体構成材料に対して低応力性のものが要求されると共に、半導体生産プロセスの見直しも行われている。
半導体素子をリードフレーム、有機基板などの支持体に接着するダイアタッチプロセスにおいては、ダイアタッチ後に半導体素子と支持体の熱膨張率の異なりに基づく反りが発生するが、過度の反りは層間絶縁膜のダメージの原因となるため、反りの小さいダイアタッチ材料が求められると共に低温で硬化することが可能な硬化性に優れる材料が求められている。(例えば、特許文献1参照。)
一般に低温での硬化性をよくすると室温での粘度上昇も短時間でおこり、またワイヤボンド時、半田リフロー時などの高温プロセス下での接着力が低下するといった傾向があった。
【特許文献1】特開2002−305212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、十分な低応力性を有しながら高温での接着性及び室温での保存性に優れる樹脂組成物並びに該樹脂組成物を半導体用ダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として使用することで信頼性に優れた半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような目的は、下記[1]〜[3]に記載の本発明により達成される。
[1](A)銀粉、(B)熱硬化性樹脂、(C)少なくとも1つの一般式(1)で示される結合と少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する化合物を含む樹脂組成物であって、前記少なくとも1つの一般式(1)で示される結合と少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する化合物(C)の50%以上が一般式(1)におけるnが2である化合物であることを特徴とする樹脂組成物。
【0005】

−(S)n− (1)
nは1〜10の整数
【0006】
[2]前記化合物(C)に含まれる一般式(1)におけるnが4以上である化合物が、化合物(C)に対して20%以下である前記[1]項記載の樹脂組成物。
[3]前記熱硬化性樹脂(B)が、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、ラジカル重合性のアクリル樹脂、マレイミド樹脂のいずれかを含むことを特徴とする前記[1]項記載の樹脂組成物。
[4]前記[1]〜[3]項のいずれか1項に記載の樹脂組成物を半導体用ダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として用いて作製したことを特徴とする半導体装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂組成物は、良好な低応力性及び良好な高温での接着性を有しながら室温での保存性にも優れるため、ダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として使用した場合、半導体素子のダメージが少なくまた得られた半導体装置は耐リフロー性に優れており、その結果高信頼性の半導体装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、銀粉、熱硬化性樹脂、少なくとも1つの一般式(1)で示される結合と少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する化合物を含む樹脂組成物であって、前記少なくとも1つの一般式(1)で示される結合と少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する化合物の50%以上が一般式(1)におけるnが2である化合物であることを特徴とする樹脂組成物で特に低温硬化性と室温での保存性に優れ、高接着性かつ弾性率が低く応力緩和特性に優れる樹脂組成物を提供するものである。ここで、支持体とは、半導体素子を接着する場合は、リードフレーム、有機基板などであり、放熱部材を接着する場合は、半導体素子、リードフレーム、有機基板、半導体製品などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0009】

−(S)n− (1)
nは1〜10の整数

【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いる銀粉(A)は、純銀または銀合金の微粉末である。銀合金としては銀を50重量%以上、好ましくは70重量%以上含有する銀−銅合金、銀−パラジウム合金、銀−錫合金、銀−亜鉛合金、銀−マグネシウム合金、銀−ニッケル合金などが挙げられる。銀が好ましいのは良好な導電性、熱伝導性を有する上に酸化されにくく加工性にも優れるからである。また後述する化合物(C)と反応可能で樹脂組成物を硬化した場合に良好な機械的特性を示すからである。
通常電子材料用として市販されている銀粉であれば、還元粉、アトマイズ粉などが入手可能で、好ましい粒径としては平均粒径が0.5μm以上、30μm以下である。より好ましい平均粒径は1μm以上、10μm以下である。下限値以下では樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、上限値以上ではディスペンス時にノズル詰まりの原因となりうるからであり、電子材料用以外の銀粉ではイオン性不純物の量が多い場合があるので注意が必要である。必要により平均粒径が1μm以下の金属粉との併用も可能である。
銀粉(A)の形状としては、フレーク状、球状など特に限定されないが、好ましくはフレーク状のものを使用し、通常樹脂組成物中70重量%以上、95重量%以下含まれる。銀粉の割合が下限値より少ない場合には導電性が悪化し、上限値より多い場合には樹脂組成物の粘度が高くなりすぎるためである。
【0011】
本発明に用いる熱硬化性樹脂(B)とは、加熱により3次元的網目構造を形成し、硬化する樹脂で、樹脂、硬化剤、硬化促進剤などを含む一般的な熱硬化性樹脂であり、特に限定されるものではないが、ペーストを形成する材料であることから室温で液状であることが望ましい。例えば、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、ラジカル重合性のアクリル樹脂、マレイミド樹脂などが挙げられる。
【0012】
シアネート樹脂は、分子内に−NCO基を有するもので具体的に例示すると、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2,7−ジシアナトナフタレン、1,3、6−トリシアナトナフタレン、4,4'−ジシアナトビ
フェニル、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、及びノボラック樹脂とハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などが挙げられ、これらの多官能シアネート樹脂のシアネート基を三量化することによって形成されるトリアジン環を有するプレポリマーも使用できる。このプレポリマーは、上記の多官能シアネート樹脂モノマーを、例えば、鉱酸、ルイス酸などの酸、ナトリウムアルコラート、第三級アミン類などの塩基、炭酸ナトリウムなどの塩類を触媒として重合させることにより得られる。
【0013】
シアネート樹脂の硬化促進剤としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトン鉄などの有機金属錯体、塩化アルミニウム、塩化錫、塩化亜鉛などの金属塩、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどのアミン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化促進剤は1種または2種以上混合して用いることができる。シアネート樹脂とエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリル樹脂、マレイミド樹脂を併用することも可能である。
【0014】
エポキシ樹脂は、グリシジル基を分子内に1つ以上有する化合物であるが、グリシジル基は1分子に2つ以上含まれていることが好ましい。グリシジル基が1つの化合物のみでは反応させても十分な硬化物特性を示すことができないからである。グリシジル基を1分子に2つ以上含む化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールなどのビスフェノール化合物またはこれらの誘導体、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビフェノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シジロヘキサンジエタノールなどの脂環構造を有するジオールまたはこれらの誘導体、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオールまたはこれらの誘導体などをエポキシ化した2官能のもの、トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する3官能のもの、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などをエポキシ化した多官能のものなどが挙げられるがこれらに限定されるわけではなく、また樹脂組成物として室温で液状である必要があるので、単独でまたは混合物として室温で液状のものが好ましい。通常行われるように反応性の希釈剤を使用することも可能である。反応性希釈剤としては、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテルなどの1官能の芳香族グリシジルエーテル類、脂肪族グリシジルエーテル類などが挙げられる。エポキシ樹脂を硬化させる目的で硬化剤を使用する。
【0015】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、ジシアンジアミド、ジカルボン酸ジヒドラジド化合物、酸無水物、フェノール樹脂などが挙げられる。ジヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、P−オキシ安息香酸ジヒドラジドなどのカルボン酸ジヒドラジドなどが挙げられ、酸無水物としてはフタル酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸とポリブタジエンの反応物、無水マレイン酸とスチレンの共重合体などが挙げられる。フェノール樹脂とは1分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物であり、1分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の場合には架橋構造をとることができないため硬化物特性が悪化し使用できない。また1分子内のフェノール性水酸基数は2つ以上であれば使用可能であるが、好ましいフェノール性水酸基の数は2〜5である。これより多い場合には分子量が大きくなりすぎるので導電性ペーストの粘度が高くなりすぎるため好ましくない。より好ましい1分子内のフェノール性水酸基数は2つまたは3つである。このような化合物としては、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラメチルビフェノール、エチリデンビスフェノール、メチルエチリデンビス(メチルフェノール)、シクロへキシリデンビスフェノール、ビフェノールなどのビスフェノール類及びその誘導体、トリ(ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(ヒドロキシフェニル)エタンなどの3官能のフェノール類及びその誘導体、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール類とホルムアルデヒドを反応することで得られる化合物で2核体または3核体がメインのもの及びその誘導体などが挙げられる。
【0016】
エポキシ樹脂の硬化促進剤としては、イミダゾール類、トリフェニルホスフィンまたはテトラフェニルホスフィンの塩類、ジアザビシクロウンデセンなどのアミン系化合物及びその塩類などが挙げられるが、2−メチルイミダゾール,2−エチルイミダゾール,2−フェニルイミダゾール,2−フェニル−4−メチルイミダゾール,2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール,2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール,2−C1123−イミダゾール、2−メチルイミダゾールと2,4−ジアミノ−6−ビニルトリアジンとの付加物といったイミダゾール化合物が好適に用いられる。なかでも特に好ましいのは融点が180℃以上のイミダゾール化合物である。
【0017】
ラジカル重合性のアクリル樹脂としては、例えば、不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル樹脂などがあるが、特に限定されるものではない。なかでも分子量が500〜10000のポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリブタジエン、ブタジエンアクリロニトリル共重合体で(メタ)アクリル基を有するものが好ましい。
ポリエーテルとしては、炭素数が3〜6の2価の有機基がエーテル結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能である。
ポリエステルとしては、炭素数が3〜6の2価の有機基がエステル結合を介して繰り返
したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能である。
ポリカーボネートとしては、炭素数が3〜6の2価の有機基がカーボネート結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能である。
【0018】
ポリ(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリレートとの共重合体または水酸基を有する(メタ)アクリレートと極性基を有さない(メタ)アクリ
レートとの共重合体などが好ましい。これら共重合体とカルボキシ基と反応する場合には水酸基を有するアクリレート、水酸基と反応する場合には(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応することにより得ることが可能である。
ポリブタジエンとしては、カルボキシ基を有するポリブタジエンと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応、水酸基を有するポリブタジエンと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能であり、また無水マレイン酸を付加したポリブタジエンと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得ることも可能である。
ブタジエンアクリロニトリル共重合体としては、カルボキシ基を有するブタジエンアクリロニトリル共重合体と水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得ることが可能である。
【0019】
必要により以下に示す化合物を併用することも可能である。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートやこれら水酸基を有する(メタ)アクリレートとジカルボン酸またはその誘導体を反応して得られるカルボキシ基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ここで使用可能なジカルボン酸としては、例えばしゅう酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0020】
上記以外にもメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャルブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャルブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフロロブチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール
ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,2−ジ(メタ)アクリルアミドエチレングリコール、ジ(メタ)アクリロイロキシメチルトリシクロデカン、N−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルフタルイミド、n−ビニル−2−ピロリドン、スチレン誘導体、α−メチルスチレン誘導体などを使用することも可能である。
【0021】
さらに重合開始剤として熱ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。通常熱ラジカル重合開始剤として用いられるものであれば特に限定しないが、望ましいものとしては、急速加熱試験(試料1gを電熱板の上にのせ、4℃/分で昇温した時の分解開始温度)における分解温度が40〜140℃となるものが好ましい。分解温度が40℃未満だと、導電性ペーストの常温における保存性が悪くなり、140℃を越えると硬化時間が極端に長くなるため好ましくない。これを満たす熱ラジカル重合開始剤の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、P−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α、α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチ−ルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、1−シクロヘキシル−
1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられるが、これらは単独または硬化性を制御するため2種類以上を混合して用いることもできる。
【0022】
マレイミド樹脂は、1分子内にマレイミド基を1つ以上含む化合物であり、例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンなどのビスマレイミド樹脂が挙げられる。より好ましいマレイミド樹脂は、ダイマー酸ジアミンと無水マレイン酸の反応により得られる化合物、マレイミド酢酸、マレイミドカプロン酸といったマレイミド化アミノ酸とポリオールの反応により得られる化合物である。マレイミド化アミノ酸は、無水マレイン酸とアミノ酢酸またはアミノカプロン酸とを反応することで得られ、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールが好ましく、芳香族環を含まないものが特に好ましい。マレイミド基は、アリル基と反応可能であるのでアリルエステル樹脂との併用も好ましい。アリルエステル樹脂としては、脂肪族のものが好ましく、中でも特に好ましいのはシクロヘキサンジアリルエステルと脂肪族ポリオールのエステル交換により得られる化合物である。またシアネート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂との併用も好ましい。
【0023】
本発明で用いる少なくとも1つの一般式(1)で示される結合と少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する化合物(C)は、その種類については特に限定されるものではないが化合物(C)の50%以上が一般式(1)におけるnが2である化合物であることが好ましい。ここで化合物(C)の50%以上とは、化合物(C)を高速液体クロマトグラムにて測定して得られたチャートの一般式(1)に示される結合を有する成分の面積に対するn=2の成分の面積比である。
【0024】
化合物(C)を使用する第1の理由は良好な接着特性を得るためである。硫黄原子を含有する化合物が金属との密着を向上させることはよく知られているが、なかでも化合物(C)を用いた場合に接着性向上効果が著しい。硫黄原子とアルコキシシリル基を有する化合物として3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが一般的だが、メルカプト基は、熱硬化性樹脂(B)に含まれるグリシジル基や(メタ)アクリロイル基と室温でも反応するため樹脂組成物の保存性が悪化するため好ましくない。特に(メタ)アクリロイル基との反応は室温でも著しく進行し場合によっては室温でも10分程度で流動しなくなる。グリシジル基との反応は(メタ)アクリロイル基との反応の場合ほど急激ではないが配合する割合が多い場合には室温24時間程度で粘度の増加が観察され始める。このため配合する量を調整する必要があるが保存性を確保するためには、良好な接着性を得るのに十分な量を配合することができない。
ここで一般式(1)に示される結合には急激な反応を起こす活性水素が存在しないため室温での保存性を悪化させることなく接着性を向上することが可能となる。
【0025】
化合物(C)を使用する第2の理由は硬化反応時に銀粉(A)と反応することで樹脂組成
物と支持体との接着力向上のみならず樹脂組成物自体の凝集力を向上させる点である。前述のように硫黄原子は金属と結合可能であり金属との良好な接着性を要求される場合によく利用されるが、一般式(1)に示される結合の場合室温付近での銀粉との反応は例えばメルカプト基に比較すると非常にゆっくりしたものである。このため硬化時には樹脂組成物中に未反応で存在するため、被着体との接着性向上のみならず銀粉(A)とも強固に結合することが可能となり樹脂組成物自体の凝集力を向上させることが可能となる。
【0026】
化合物(C)を使用する第3の理由は、良好な保存性である。熱硬化性樹脂(B)が重合開始剤として有機過酸化物を含む場合、保存中でも分解は進行しており特に分解温度の低い重合開始剤の場合には分解により発生したラジカルが熱硬化性樹脂(B)の反応を引き起こし粘度上昇が顕著になる場合がある。通常ハイドロキノンなどの禁止剤を添加することで粘度上昇を抑えるが、禁止剤を多量に配合すると硬化性の悪化が著しくなる場合、硬化物特性に悪影響を及ぼす場合がある。ここでスルフィド結合は発生したラジカルをトラップすることが可能なので禁止剤として働き粘度上昇を抑制することが可能であると共に、硬化開始温度の上昇は見られるが汎用の禁止剤ほどの悪影響はない。なかでも硬化物特性への悪化は見られないので好適に使用することが可能である。
【0027】
化合物(C)を使用する第4の理由は、保存安定性である。前述したように化合物(C)は銀粉(A)と反応し樹脂組成物硬化物の凝集力向上に効果的だが、室温でも非常にゆっくりではあるが銀粉と反応し、支持体との接着力向上に必要な量が不足し接着力の低下が観察される場合がある。このため樹脂組成物に化合物(C)を多めに配合する必要がある。ここで室温での化合物(C)と銀粉(A)の反応について検討を行った結果、一般式(1)に示される結合のnが大きい成分が選択的に反応することが確認された。
【0028】
図1には、ラウロイルメタクリレート:カブラス4(一般式(1)におけるnが2である成分が約19%、一般式(1)におけるnが4以上である成分が約54%):銀粉を重量比で9:1:40の割合で混合した直後(a−1)、及び混合物を25℃48時間放置した後(a−2)のサンプルのゲルパーミュエーショングロマトグラフ(GPC)の測定結果である。測定試料は上記サンプルを遠心分離した上澄み100mgをテトラヒドロフラン6mlに溶解したものを用い、UV検出器(波長254nm)にて測定を行った。
GPCの測定は、Waters社製アライアンス(2695セパレーションズモデュール、2414リフラクティブインデックスディテクター、TSKゲルGMHHR−Lx2+TSKガードカラムHHR−Lx1、移動相:THF、1.0ml/分)を用い、カラム温度40.0℃、UV検出器内温度40.0℃、サンプル注入量100μlにて行った。
図1において、右側のラウロイルメタクリレートのピーク(溶離時間約18分)面積は、混合した直後(a−1)と混合物を25℃48時間放置した後(a−2)ともほぼ同じなのに対し、左側のカブラス4のピーク(溶離時間約17分)面積は、混合した直後(a−1)に対して、混合物を25℃48時間放置した後(a−2)では減少していることがわかる。
【0029】
一方図2は、ラウロイルメタクリレート:カブラス2A(一般式(1)におけるnが2である成分が約58%、一般式(1)におけるnが4以上である成分が約10%):銀粉を重量比で9:1:40の割合で混合した直後(b−1)、及び混合物を25℃48時間放置した後(b−2)のサンプルのGPC測定結果である。図2よりラウロイルメタクリレート/カブラス2A/銀粉の混合物の場合、25℃48時間経過してもピークにはほとんど差が観察されず、良好な保存安定性を示すことがわかる。このため化合物(C)は一般式(1)におけるnが2である化合物が50%以上であることが好ましく、一般式(1)におけるnが4以上である化合物が20%以下であることが好ましい。
【0030】
化合物(C)は少なくとも1つのアルコキシシリル基を有するが、アルコキシシリル基とはSi原子にメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、その他のアルキルエーテル基から選ばれる少なくとも1種の官能基が1〜3個結合したものであり、反応性の観点からメトキシ基またはエトキシ基から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。同様に反応性の観点からSi原子に結合している官能基は2個または3個が好ましく、最も好ましいのは3個の場合である。
化合物(C)は少なくとも1つのアルコキシシリル基を有するが、より好ましいのはアルコキシシリル基が2つの場合である。
このような化合物としては、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(ジメトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(ジブトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィドなどが挙げられる。
なかでも特に好ましいのは、ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドであり前述のように一般式(1)におけるnが3以上の化合物を含むことは可能であるが、前述のように一般式(1)におけるnが2の化合物は50%以上含まれることが好ましい。
【0031】
本発明の樹脂組成物には、必要により、消泡剤、界面活性剤、各種重合禁止剤、酸化防止剤などの添加剤を用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、例えば各成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練した後真空下脱泡することにより製造することができる。
【0032】
本発明の樹脂組成物を用いて半導体装置を製作する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、市販のダイボンダーを用いて、リードフレームの所定の部位に樹脂組成物をディスペンス塗布した後、半導体素子をマウントし、加熱硬化する。その後、ワイヤーボンディングして、エポキシ樹脂を用いてトランスファー成形することによって半導体装置を製作する。または、フリップチップ接合後アンダーフィル材で封止したフリップチップBGA(Ball Grid Array)などのチップ裏面に樹脂組成物をディスペンスしヒートスプレッダー、リッドなどの放熱部品を搭載し加熱硬化するなどの使用方法も可能である。
【実施例】
【0033】
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。配合割合は重量部で示す。
[実施例1]
銀粉(A)として平均粒径8μm、最大粒径30μmのフレーク状銀粉(以下銀粉)を、熱硬化性樹脂(B)としてポリテトラメチレングリコールとイソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシメチルメタクリレートとの反応により得られたウレタンジメタクリレート化合物(分子量約1600、以下化合物B1)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成(株)製、CHDMMA、以下化合物B6)、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−MS、以下化合物B7)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル1、6HX、以下化合物B8)、ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、パークミルD、急速加熱試験における分解温度:126℃、以下重合開始剤)を、化合物(C)としてビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド(ダイソー(株)製、カブラス2A、一般式(1)におけるnが2である成分が約58%(高速液体クロマトグラム(GPC)で測定し得られたチャートの面積比)、一般式(1)におけるnが4以上である成分が約10%(高速液体クロマトグラム(GPC)で測定し得られたチャートの面積比)、以下化合物C1)を、グリシジル基を有するカップリング剤(信越化学工業(
株)製、KBM−403E、以下化合物Z2)を表1のように配合し、3本ロールを用いて混練し、脱泡することで樹脂組成物を得た。配合割合は重量部である。得られた樹脂組成物を以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0034】
[実施例2〜9]
以下の化合物を使用した。
ポリテトラメチレングリコールとマレイミド化酢酸の反応により得られたビスマレイミド化合物(分子量580、以下化合物B2)、シクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルとポリプロピレングリコールとの反応により得られたジアリルエステル化合物(分子量1000、ただし原料として用いたシクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルを約15%含む、以下化合物B3)、1,4−シクロヘキサンジメタノール/1,6−ヘキサンジオール(=3/1(重量比))と炭酸ジメチルの反応により得られたポリカーボネートジオールとメチルメタクリレートの反応により得られたポリカーボネートジメタクリレート化合物(分子量1000、以下化合物B4)、酸価108mgKOH/gで分子量4600のアクリルオリゴマーと2−ヒドロキシメタクリレート/ブチルアルコール(=1/2(モル比))との反応により得られたメタクリル化アクリルオリゴマー(分子量5000、以下化合物B5)、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により得られるジグリシジルビスフェノールA(エポキシ当量180、常温で液体、以下化合物B9)、クレジルグリシジルエーテル(エポキシ当量185、以下化合物B10)、ビスフェノールF(大日本インキ工業(株)製、DIC−BPF、水酸基当量100、以下化合物B11)、ジシアンジアミド(以下化合物B12)、2−メチルイミダゾールと2,4−ジアミノ−6−ビニルトリアジンとの付加物(四国化成工業(株)製、キュアゾール2MZ−A、以下化合物B13)、化合物(C)としてビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド((ダイソー(株)製、カブラス2B、一般式(1)におけるnが2である成分が約86%、一般式(1)におけるnが4以上である成分が約2%、以下化合物C2)及び(デグサ社製、Si−75、一般式(1)におけるnが2である成分が約72%、一般式(1)におけるnが4以上である成分が約12%、以下化合物C3))を、表1のように配合し、実施例1と同様に3本ロールを用いて混練し、脱泡することで樹脂組成物を得た。配合割合は重量部である。得られた樹脂組成物を以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0035】
[比較例1〜3]
表1に示す割合で配合し実施例1と同様に樹脂組成物を得た。
なお比較例1ではビス(トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(ダイソー(株)製、カブラス4、一般式(1)におけるnが2である成分が約19%、一般式(1)におけるnが4以上である成分が約54%、以下化合物Z1)を、比較例3ではメルカプト基とアルコキシシラン基を有する化合物として3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−803P、以下化合物Z3)を用いた。
得られた樹脂組成物を以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0036】
評価方法
・粘度及び保存性:E型粘度計(3°コーン)を用い25℃、2.5rpmでの値を樹脂組成物作製後(初期)及び25℃48時間静置後に測定した。粘度が15〜25Pa・s、粘度の変化率が20%以下の場合を合格とした。粘度の単位はPa・sである。
・接着強度(1):表1に示す樹脂組成物作製後3時間以内に樹脂組成物を用いて6×6mmのシリコンチップを銀めっきした銅フレームにマウントし、175℃オーブン中30分硬化した。硬化後85℃、85%、72時間吸湿処理を行い、自動接着力測定装置を用いて260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。260℃熱時ダイシェア強度が30N/チップ以上の場合を合格とした。接着強度の単位はN/チップである。
・接着強度(2):表1に示す樹脂組成物作製後25℃48時間静置した樹脂組成物を用
いた以外は接着強度(1)と同様に260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。260℃熱時ダイシェア強度が30N/チップ以上の場合を合格とした。接着強度の単位はN/チップである。
【0037】
・弾性率:表1に示す樹脂組成物を用いて4×20×0.1mmのフィルム状の試験片を作製し(硬化条件120℃60分)、動的粘弾性測定機(DMA)にて引っ張りモードでの測定を行った。測定条件は以下の通りである。
測定温度:−100〜300℃
昇温速度:5℃/分
周波数:10Hz
荷重:100mN
25℃における貯蔵弾性率を弾性率とし5000MPa以下の場合を合格とした。弾性率の単位はMPaである。
・耐リフロー性(1):表1に示す樹脂組成物を用いて、下記のリードフレームとシリコンチップをオーブン中175℃30分間硬化し接着した。封止材料(スミコンEME−G620A、住友ベークライト(株)製)を用い封止し、半導体装置を作製した。この半導体装置を60℃、相対湿度60%、120時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒、3回リフロー)を行った。処理後の半導体装置を超音波探傷装置(透過型)により剥離の程度を測定した。ダイアタッチ部の剥離面積が10%未満の場合を合格とした。剥離面積の単位は%である。
半導体装置:QFP(14×20×2.0mm)
リードフレーム:銀めっきした銅フレーム
チップサイズ:6×6mm
・耐リフロー性(2):表1に示す樹脂組成物作製後25℃48時間静置した樹脂組成物を用いた以外は耐リフロー性(1)と同様に表1に示す樹脂組成物を用いて、剥離の程度を測定した。ダイアタッチ部の剥離面積が10%未満の場合を合格とした。
【0038】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の樹脂組成物は、良好な室温での保存性を有しかつ高接着性で応力緩和特性にも優れるため、ダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として使用した場合、半導体素子のダメージが少なく、また得られた半導体装置は耐リフロー性に優れており、その結果高信頼性の半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ラウロイルメタクリレート/カブラス4/銀粉混合物のGPCでの測定結果(GPC曲線)で、混合した直後(a−1)と混合物を25℃48時間放置した後(a−2)の曲線を重ね合わせたものである。
【0041】
【図2】ラウロイルメタクリレート/カブラス2A/銀粉混合物のGPCでの測定結果(GPC曲線)で、混合した直後(b−1)と混合物を25℃48時間放置した後(b−2)の曲線を重ね合わせたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)銀粉、(B)熱硬化性樹脂、(C)少なくとも1つの一般式(1)で示される結合と少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する化合物を含む樹脂組成物であって、前記少なくとも1つの一般式(1)で示される結合と少なくとも1つのアルコキシシリル基を有する化合物(C)の50%以上が一般式(1)におけるnが2である化合物であることを特徴とする樹脂組成物。

−(S)n− (1)
nは1〜10の整数

【請求項2】
前記化合物(C)に含まれる一般式(1)におけるnが4以上である化合物が、化合物(C)に対して20%以下である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂(B)が、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、ラジカル重合性のアクリル樹脂、マレイミド樹脂のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を半導体用ダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として用いて作製したことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−108162(P2009−108162A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280696(P2007−280696)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】