説明

機器認証制御システムと、そのプログラム

【課題】金銭授与を伴う電子決済機能のセキュリティ強化、第3者による悪用防止する。
【解決手段】固有の機能を重要度合いに応じて複数分割して実現する機能実現手段10と、通信距離を第1の通信距離と第2の通信距離との少なくとも2段階の通信距離に変更可能な第1の通信手段14と、報知手段13と、前記機能実現手段10と前記第1の通信手段14と前記報知手段13を制御する第1の制御手段12とを具備した機器1と、第2の通信手段20と、前記第2の通信手段20を制御する第2の制御手段21とを具備した携帯認証キー2とから構成され、通信が共に行えない時、前記第1の制御手段12が前記機能実現手段10の機能すべてに制限をかける、または前記報知手段13から報知し、第2の通信距離での通信が行えた時、前記機能実現手段10の機能制限の一部を解除し、第1の通信距離による通信が行えた時、前記機能実現手段10の機能制限をすべて解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機器と携帯型認証キーとの間で無線通信を行い、機器(携帯電話)と携帯型認証キーとの距離が一定以上離れた場合、機器(携帯電話)の機能に制限をかける機器認証制御システムと、そのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、あるいはパソコンをはじめとする機器の機能が高度化しており、例えば携帯電話であれば、本来の通話という基本機能以外に、電子決済のような金銭授与にも関係するようになり、使用者に対して著しい利便性を有する半面、盗難あるいは紛失時の危険度合いも非常に高くなってきている。
【0003】
そのために、携帯電話の盗難を防止するために、携帯電話の使用者が携帯型認証キーを保持して、前記の携帯電話と携帯型認証キーとの間で予め定めた認証コードを相互に通信し、双方で認証コードを確認できた時に携帯電話の使用を可能とするものも提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1においては、携帯電話が携帯型認証キーからの一定の強度の認証信号を検知、お互いの距離が一定以上離れてしまった場合には、携帯電話の使用を制限するといったことが示されている。
【特許文献1】特開平11−88499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、機器(携帯電話)と、携帯側認証キーとの距離が一定距離以内であれば、使用者の近くで使用者が知らないままにどのような機能でも操作可能ということは場合によっては深刻な問題を起こし得る。
【0006】
すなわち、例えば、使用者が乗車中に就寝してしまい、その間に機器(携帯電話)を盗まれ、すぐ近くの座席(例えば後席など)にて電子決済で口座への振込みのような金銭授与を行なわれてしまうといったケースも考えられる。
【0007】
また、決済機能が非接触で行われるので、使用者が乗車中に眠っていなくても、たとえば満員電車の中で接近したときを狙って非接触で不当に決済されスリに遭う、いわゆる電子スリの危険性が出てくる。
【0008】
このように機器(携帯電話)と、携帯側認証キーとの距離が一定距離(たとえば数メートル)であっても、機器(携帯電話)が備える機能をすべて許可してしまうのではなく、機器(携帯電話)が有する機能の重要度に応じて、それを制限してしまうといったことが考えられる。例えば電子決済については、通信距離を切り替えて、電話の発着信機能よりもセキュリティを高める必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、前記の課題を解決するために、本発明において、固有の機能を重要度合いに応じて複数に分割して、前記機能を実現する機能実現手段と、通信距離を第1の通信距離と第2の通信距離との少なくとも2段階の通信距離(第1の通信距離<第2の通信距離)に変更可能な第1の通信手段と、報知手段と、前記機能実現手段と前記第1の通信手段と前記報知手段を制御する第1の制御手段とを具備した機器と、第2の通信手段と、前記第2
の通信手段を制御する第2の制御手段とを具備した携帯認証キーとから構成され、前記機器が前記携帯認証キーとで、前記第1の通信手段と前記第2の通信手段により第1の通信距離と第2の通信距離による通信が共に行えない時、前記第1の制御手段が前記機能実現手段の機能すべてに制限をかける、または、前記報知手段から報知し、第1の通信距離での通信は行なえないが第2の通信距離での通信が行えた時、前記機能実現手段の機能制限の一部を解除し、第1の通信距離による通信が行えた時、前記機能実現手段の機能制限をすべて解除するようにした。
【発明の効果】
【0010】
これにより、盗難や置忘れにより機器と携帯側認証キーとの距離が第2段階の通信距離(例えば数メートル以上)離れた状態においては、機器(携帯電話)が備えた機能はすべて制限を受け使用不可能となり悪用を防止すると共に、報知手段で報知することで盗難や置忘れの警告を受けることができる。
【0011】
機器(携帯電話)と携帯側認証キーとの距離が第2段階通信距離(例えば数メートル)以内においては、通常機能は使用可能ながら重要な機能だけは制限を加えられ、機器(携帯電話)と、携帯側認証キーとの距離が第1の通信距離(例えば数センチ程度)まで近づかないと、電子決済のような金銭授与に関わる重要な機能が操作できない。
【0012】
これにより、第2段階の通信距離(例えば数メートル)以内であっても、使用者が知らないままに電子決済で多額の金銭授与を行なわれてしまうといったことを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、機器認証制御システムにおいて、固有の機能を重要度合いに応じて複数に分割して、前記機能を実現する機能実現手段と、通信距離を第1の通信距離と第2の通信距離との少なくとも2段階の通信距離(第1の通信距離<第2の通信距離)に変更可能な第1の通信手段と、報知手段と、前記機能実現手段と前記第1の通信手段と前記報知手段を制御する第1の制御手段とを具備した機器と、第2の通信手段と、前記第2の通信手段を制御する第2の制御手段とを具備した携帯認証キーとから構成され、前記機器が前記携帯認証キーとで、前記第1の通信手段と前記第2の通信手段により第1の通信距離と第2の通信距離による通信が共に行えない時、前記第1の制御手段が前記機能実現手段の機能すべてに制限をかける、または、前記報知手段から報知し、第1の通信距離での通信は行なえないが第2の通信距離での通信が行えた時、前記機能実現手段の機能制限の一部を解除し、第1の通信距離による通信が行えた時、前記機能実現手段の機能制限をすべて解除するようにした。
【0014】
これにより、盗難や置忘れにより機器(携帯電話)と携帯側認証キーとの距離が第2段階以上離れた状態においては、機器が備えた機能はすべて制限を受け使用不可能となり悪用を防止すると共に、報知手段で報知することで盗難や置忘れの警告を受けることができる。
【0015】
機器(携帯電話)と携帯側認証キーとの距離が第2段階より近い状態においては、通常機能は使用可能ながら重要な機能だけは制限を加えられ、第1の通信距離よりも更に近い状態にならない限り、電子決済のような金銭授与に関わる重要な機能が操作できないので、例えば、第2段階よりも近い距離の状態では、使用者の近くで使用者が知らないままに乗車中に就寝してしまい、その間に機器(携帯電話)を盗まれたとしても、近くの座席にて電子決済で多額の金銭授与を行なわれてしまうといったことを回避できる。
【0016】
すなわち、泥棒は機器(携帯電話)を盗んでも、携帯認証キーに近づけなければたとえば電子決済の機能制限を解除できず、それを解除するためには使用者が携帯認証キーをど
こに携帯しているのか(たとえばズボンのポケット、上着のポケット、カバンなど)を調べて接近させなければならない。これによりセキュリティを飛躍的に向上させることができる。
【0017】
第2の発明は、機器認証制御システムにおいて、固有の機能を重要度合いに応じて決済機能と発着信機能とに分割して、前記機能を実現する機能実現手段と、第1の制御手段と、通信距離を数メートルまで通信可能な中距離通信と、数センチ以下(←一応確認しますと、数センチぐらいに広げておかなくていいですか?)でしか通信できない近距離通信とに変更可能な第1の通信手段と、報知手段と、前記機能実現手段と前記第1の通信手段と前記報知手段を制御する第1の制御手段とを具備した機器(携帯電話)と、第2の通信手段と、前記第2の通信手段を制御する第2の制御手段とを具備した携帯認証キーとから構成され、前記機器が前記携帯認証キーとで、前記第1の通信手段と前記第2の通信手段により近距離通信と中距離通信とが共に行えない時、前記第1の制御手段が前記決済機能と発着信機能とに制限をかける、または、前記報知手段から報知し、近距離通信は行なえないが中距離通信が行えた時、前記機能実現手段の発着信機能だけを制限解除し、近距離通信が行えた時、前記機能実現手段の決済機能と発着信機能とを制限解除するようにした。
【0018】
これにより、盗難や置忘れにより機器(携帯電話)と携帯側認証キーとの距離が数メートル以上離れた状態においては、機器(携帯電話)が備えた機能はすべて制限を受け使用不可能となり悪用を防止すると共に、報知手段で報知することで盗難や置忘れの警告を受けることができる。機器(携帯電話)と携帯側認証キーとの距離が数メートルにおいては、通常機能は使用可能ながら重要な機能だけは制限を加えられ、機器(携帯電話)と、携帯側認証キーとの距離が数センチ程度まで近づかないと、電子決済のような金銭授与に関わる重要な機能が操作できないので、例えば、近距離(例えば数メートル程度)であれば、使用者の近くで使用者が知らないままに乗車中に就寝してしまい、その間に機器(携帯電話)を盗まれたとしても、近くの座席にて電子決済で多額の金銭授与を行なわれてしまうといったことを回避できる。
【0019】
第3の発明は、機器認証制御システムにおいて、固有の機能を重要度合いに応じて決済機能と発着信機能とに分割して、前記機能を実現する機能実現手段と、第1の制御手段と、通信距離を数メートルまで通信可能な中距離通信と、数センチ以下でしか通信できない近距離通信とに変更可能な第1の通信手段と、報知手段とを具備した機器と、第2の通信手段と、第2の制御手段とを具備した携帯認証キーとから構成され、前記第1の通信手段と前記第2の通信手段により近距離通信と中距離通信とが共に行えない時、前記第1の制御手段が前記決済機能と発着信機能とに制限をかける、または、前記報知手段から報知し、近距離通信が行えた時、前記機能実現手段の決済機能を制限解除し、発着信機能を制限するようにした。
【0020】
これにより、機器(携帯電話)と、携帯側認証キーとの距離が数センチ程度まで近づかないと、電子決済のような金銭授与に関わる重要な機能が操作できないので、例えば、近距離(例えば数メートル程度)であれば、使用者の近くで使用者が知らないままに乗車中に就寝してしまい、その間に機器(携帯電話)を盗まれたとしても、近くの座席にて電子決済で多額の金銭授与を行なわれてしまうといったことを回避できる。
【0021】
加えて、決済機能を使用する際には発着信機能を制限することで、決済中に電話着信して使用者が不注意になる(電話に気を取られて決済金額を誤るなど)ことがなくなる。また、将来、ウイルスプログラムによって、携帯電話で決済している時にその処理情報(口座番号、認証番号など)を使用者に気づかれずに第三者に発信するような恐れがあり得るが、決済処理時の発着信を禁止することでこれを防ぐことができる。
【0022】
第4の発明は、特に第1〜第3の発明の機器認証制御システムにおいて、前記機器(携帯電話)が、タイマー手段を具備して、第1の通信距離(近距離通信)が行えた時点から時間計測して、前記タイマー手段に従って一定時間経過後(例えば3分後)前記機能実現手段の機能を再び制限するようにした。
【0023】
このようにして、正規の使用者が電子決済のような金銭授与に関わる重要な機能を使用する際には、機器(携帯電話)に、携帯側認証キーを数センチ程度まで接触させた後、一定時間(例えば3分間)以内に操作を終えることで、より便利かつ、安全に使用することが可能となる。
【0024】
すなわち、泥棒は、機器(携帯電話)を盗んで、仮に携帯認証キーに近づけて電子決済のような機能制限を解除ができたとしても、一定時間後には再び機能制限がかかる。例えば、電子決済の認証(パスワードの入力)にとまどっているうちに制限時間となり機能制限がかかるのでセキュリティをさらに向上させることができる。
【0025】
第5の発明は、特に第1〜4の発明の機器認証制御システムにおいて、少なくともひとつの動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、CPU、RAM、ROM、記憶装置、I/Oなどを備えた電気情報機器、コンピュータ等のハードリソースを協働させて本発明の一部あるいは全てをプログラムとして容易に実現することができる。また記録媒体に記録あるいは、通信回線を用いてプログラム配信することにより、プログラム配布が他の手段に比べて極めて簡単に実現できる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて一実施形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は本発明の機器認証制御システムの構成一例を示す図である。
【0028】
携帯電話(機器)1には、機能実現手段10と、第1の制御手段12と、報知手段13と、第1の通信手段14とを具備している。さらに機能実現手段10は、金銭授与に関わる電子決済などの重要機能を行う決済機能10Aと、携帯電話が本来備えている通常の発信、着信の機能である発着信機能10Bとを具備している。決済機能10Aや発着信機能10Bの詳細については従来特許と同じであるので説明を省く。
【0029】
決済機能10A、あるいは、発着信機能10Bへの機能制限は、その回路ブロック(機能実現手段)への電源供給を停止するといった実現方法がもっとも簡便で分かりやすいが、機能実現のソフトウエアの実行停止といった論理的な方法で実現することも考えられる。
【0030】
決済機能10Aとは、例えば銀行口座のアクセスあるいは口座への振り込みといった現金やり取りを行うような機能を想定しており、公共交通機関での改札処理といった金銭のやり取りに関することも含まれる。
【0031】
また、第1の通信手段14は、例えば数十センチ〜数メートルまでの中距離で通信が行なえる中距離通信手段14Bと、例えば数センチ以下でしか通信できない近距離通信手段14Cとを具備している。
【0032】
携帯認証キー2B、2Cは、第2の通信手段20B、20Cと、第2の制御手段21B、20Cとを具備し、第2の制御手段21B、21Cは固有IDコードを保持しており、携帯電話(機器)1との通信時にこの固有IDコードを送信して、第1の制御手段12が
保持している固有IDコードと比較して、携帯認証キー2B、2Cが携帯電話(機器)1の正式な認証キーであるかどうかを判定している。
【0033】
なお、携帯型認証キー2Bと、2Cは全く同一の構成であって、IDコードも全く同じであり、説明上2つに分けて書いているが、実際にはまった同一のものであって、単に携帯電話(機器)1との位置関係(距離)が異なるだけである。
【0034】
第1の通信手段14が具備する中距離通信手段14Bと近距離通信手段14Cとの内部構成は後ほど詳しく述べるので、ここでは省略する。
【0035】
ここで述べている中距離通信は例えば数十センチ〜数メートル程度の距離、すなわち、携帯電話(機器)1を持ち物として持っており、携帯型認証キー2Bは身につけていることを想定している。近距離通信は例えば数センチ以下の密着したような距離で、携帯電話(機器)1を携帯型認証キー2Cに密着させているような状態を想定している。
【0036】
携帯電話(機器)1を携帯型認証キー2Bとの距離が、数十センチ〜数メートル程度であった場合、携帯型認証キー2Bは、近距離通信手段14Cとの通信はできないが、中距離通信手段14Bとの通信はできるので、携帯電話(機器)1は携帯型認証キー2Bとの距離が、数十センチ〜数メートル程度であると判断できる。
【0037】
この場合には、第1の制御手段12が機能実現手段10の決済機能10Aには制限をかけて使用不可能として、発着信機能10Bだけ機能させる。これにより、携帯電話(機器)1の備えている基本機能である通話だけが可能となる。
【0038】
もし、盗難、あるいは、置き忘れなどにより携帯電話(機器)1が所有者の持つ携帯型認証キー2Bから離れていくようなことになれば、携帯電話(機器)1は、携帯型認証キー2Bと通信することができなくなり、携帯認証キー2Bが存在しなくなったということで、報知手段13により報知を行ない使用者に警告をすると共に、第1の制御手段12が機能実現手段10のすべての機能(ここでは決済機能10Aと、発着信機能10Bと)に制限をかけて完全に使用不可能として、携帯電話(機器)1が悪用されることを未然に防止する。もちろん、携帯認証キー2B、2Cにも報知手段を具備して、報知させることも考えられる。
【0039】
使用者が決済を行うような場合には、使用者は携帯電話(機器)1を、ポケットなどに入れた携帯型認証キー2Cの直近、例えば数センチ以下に近づけると、近距離通信手段14Cと通信可能となり、携帯電話(機器)1は携帯型認証キー2Cとの距離が、数センチ以下であると判断できる。
【0040】
この場合には、第1の制御手段12が機能実現手段10の決済機能10Aの制限を含む、全ての制限を解除して、使用者は決済を行うことができるようになる。
【0041】
あるいはまた、数センチ以下の近距離通信で認証したときは決済機能のみを有効にして、電話の発着信機能は停止する。すなわち、現実的に考えて、決済しているときに電話はしないし、また着信したときはその通話内容に気を取られて決済金額を間違えたりする恐れがある。プログラム的にいえば、決済処理しているときに電話の発着信のプログラムを割り込みせれば全体の処理プログラムが複雑となるので、それを禁止することでソフトウエアの信頼性を高めることができる。
【0042】
さらに将来、ウイルスプログラムによって、携帯電話で決済している時にその処理情報(口座番号、認証番号など)を使用者に気づかれずに第三者に発信するような恐れがあり
得るが、決済処理時の発着信を禁止することでこれを防ぐことができる。
【0043】
この決済に要する時間は任意であるが、一般的には3分程度で終了するので、使用者が携帯電話(機器)1を携帯型認証キー2Cに数センチ以下に近づけた後に、携帯電話(機器)1が具備しているタイマー手段15を用いて、例えば3分程度で決済に対する制限を再度かけなおすことが安全上からも好ましい。
【0044】
もちろん、この3分の時間は使用者が設定変更できるし、決済処理が完了した時点でタイマー手段によらず決済機能に対する制限をかけてもよい。
【0045】
また、この3分間の時間は、第1の通信手段14と第2の通信手段20との通信をとめて低消費電力の動作に切り替え、電池電源の消耗を防ぐようにしても良い。
【0046】
例えば、タイマー手段15はダウンカウンタであって、カウント終了時に第1の制御手段12(実際にはCPU)に割り込みを発生させ、ソフトウエア処理において、重要機能の停止を行うといったことが考えられる。
【0047】
次に、第1の通信手段14が行なっている通信距離変更の仕組み、すなわち、中距離通信手段14A(たとえば数十センチ〜数メートルまで通信可能)と、近距離通信手段14B(数センチ以下で通信可能)との通信距離を変更する仕組みは電波の送受信強度を変更することで実現しているが、この仕組みについては図2を用いて後ほど説明する。
【0048】
図2は、携帯電話1の第1の通信手段14の内部構成の一例を示しており、アンテナの信号を減衰させる減衰手段140と、第1の送信手段141と、第1の受信手段142と、第1の通信制御手段143とを具備している。
【0049】
減衰手段140は第1の通信制御手段143から制御されて、少なくとも以下の2段階に減衰率を変更することが出来る。
第1の通信距離:減衰強(例えば50〜60dB程度減衰させる)。近距離通信(例えば通信距離数センチ以下)
第2の通信距離:減衰なし。中距離通信(例えば通信距離数十センチ〜数メートル)
これらの通信距離切り替えを行なって、携帯認証キー2B、2Cとの距離を検知して、その距離に応じた動作をさせることが可能となる。
【0050】
すなわち、第2の通信距離(中距離)で通信できないが第1の通信距離(近距離)で通信できるのであれば近距離であることがわかり、第2の通信距離(中距離)で通信できるのであれば中距離であることが容易に判定できる。さらに第2の通信距離(中距離)で通信できないのであれば、携帯認証キー2B、2Cとの距離が少なくとも第2の通信距離以上(例えば数メートル以上)離れてしまったことがわかる。
【0051】
もちろん、ここで述べてきたように減衰手段を用いて通信可能距離を変更するという方法は単に一例であって、近距離通信の場合だけ送受信用アンテナを切り離して感度を落とすことも可能であるし、また、受信した電界強度を同時に監視してお互いの距離を推定するといった方法も可能である。
【0052】
さらに、通信には小電力無線や、微弱無線を想定して説明してきたが、必ずしもこの限りではなく、例えば、第1の通信手段14が非接触ICタグのようなRFIDリーダライタであっても良いし、第2の通信手段2B、2CはRFID(パッシブ型、あるいは、アクティブ型)を併用するような構成であっても良い。加えて、電波ではなく、赤外線を用いた方式であってももちろん構わない。
【0053】
ここまでの説明では、機器が携帯電話であるということで説明してきたが、これに限るものではなく、家庭内機器、車載機器などにも適用できるものであり、同等の効果が期待できるものである。
【0054】
また、お互いの存在を確認する通信データの内容については、特に限定するものではないが、固有のIDコードをそのまま送信するのではなく、暗号化して送るといったことも一般的に行なわれており、盗聴、悪用防止のためには、毎回パスワードが変更される方式(チェレンジレスポンス方式)といったことも実現されており、そういった暗号化技術を用いて安全性を高くすることが望ましい。
【0055】
また、決済するときのセキュリティを高めるために、数センチの近距離通信での認証を行った後の所定時間(例えば3分間)は、通信の暗号やIDを切り替えるようにしてもよい。
【0056】
なお、本実施の形態で説明した機能実現手段や制御手段などは、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバ等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録、もしくはインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明は、中距離(例えば数メートル以下)検知により盗難や置忘れを未然に防止すると共に、近距離(例えば数センチ以下)検知により電子決済のような金銭授与に関わる重要な機能のセキュリティを高め、より安全な機器(例えば、決済機能の備わった携帯電話)を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態1の機器認証制御システムの構成一例を示す図
【図2】本発明の実施の形態1の第1の通信手段、第2の通信手段の構成一例を示す図
【符号の説明】
【0059】
1 携帯電話
2B 携帯電話から数メートルの位置に存在する携帯認証キー
2C 携帯電話から数センチの位置に存在する携帯認証キー
10 機能実現手段
10A 決済機能
10B 発着信機能
12 第1の制御手段(通信相手側の固有IDコードを保持)
13 報知手段
14 第1の通信手段
14A 中距離通信手段
14B 近距離通信手段
15 タイマー手段
20 第2の通信手段
20B 携帯認証キー2Bの第2の通信手段
20C 携帯認証キー2Cの第2の通信手段
21B 携帯認証キー2Bの第2の制御手段(固有IDコードを保持)
21C (携帯認証キー2Cの)第2の制御手段(固有IDコードを保持)
140 減衰手段
141 第1の送信手段
142 第1の受信手段
143 第1の通信制御手段
210 第2の送信手段
211 第2の受信手段
212 第2の通信制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の機能を重要度合いに応じて複数に分割して、前記機能を実現する機能実現手段と、通信距離を第1の通信距離と第2の通信距離との少なくとも2段階の通信距離(第1の通信距離<第2の通信距離)に変更可能な第1の通信手段と、報知手段と、前記機能実現手段と前記第1の通信手段と前記報知手段を制御する第1の制御手段とを具備した機器と、第2の通信手段と、前記第2の通信手段を制御する第2の制御手段とを具備した携帯認証キーとから構成され、
前記機器が前記携帯認証キーとで、前記第1の通信手段と前記第2の通信手段により第1の通信距離と第2の通信距離による通信が共に行えない時、前記第1の制御手段が前記機能実現手段の機能すべてに制限をかける、または、前記報知手段から報知し、
第1の通信距離での通信は行なえないが第2の通信距離での通信が行えた時、前記機能実現手段の機能制限の一部を解除し、
第1の通信距離による通信が行えた時、前記機能実現手段の機能制限をすべて解除する機器認証制御システム。
【請求項2】
固有の機能を重要度合いに応じて決済機能と発着信機能とに分割して、前記機能を実現する機能実現手段と、第1の制御手段と、通信距離を数メートルまで通信可能な中距離通信と、数センチ以下でしか通信できない近距離通信とに変更可能な第1の通信手段と、報知手段と、前記機能実現手段と前記第1の通信手段と前記報知手段を制御する第1の制御手段とを具備した機器(携帯電話)と、
第2の通信手段と、前記第2の通信手段を制御する第2の制御手段とを具備した携帯認証キーとから構成され、
前記機器が前記携帯認証キーとで、
前記第1の通信手段と前記第2の通信手段により近距離通信と中距離通信とが共に行えない時、前記第1の制御手段が前記決済機能と発着信機能とに制限をかける、または、前記報知手段から報知し、
近距離通信は行なえないが中距離通信が行えた時、前記機能実現手段の発着信機能だけを制限解除し、
近距離通信が行えた時、前記機能実現手段の決済機能と発着信機能とを制限解除する機器認証制御システム。
【請求項3】
固有の機能を重要度合いに応じて決済機能と発着信機能とに分割して、前記機能を実現する機能実現手段と、第1の制御手段と、通信距離を数メートルまで通信可能な中距離通信と、数センチ以下でしか通信できない近距離通信とに変更可能な第1の通信手段と、報知手段と、前記機能実現手段と前記第1の通信手段と前記報知手段を制御する第1の制御手段とを具備した機器(携帯電話)と、
第2の通信手段と、前記第2の通信手段を制御する第2の制御手段とを具備した携帯認証キーとから構成され、
前記機器が前記携帯認証キーとで、
前記第1の通信手段と前記第2の通信手段により近距離通信と中距離通信とが共に行えない時、前記第1の制御手段が前記決済機能と発着信機能とに制限をかける、または、前記報知手段から報知し、
近距離通信が行えた時、前記機能実現手段の決済機能を制限解除し、発着信機能を制限する機器認証制御システム。
【請求項4】
前記機器(携帯電話)が、タイマー手段を具備して、第1の通信距離(近距離通信)が行えた時点から時間計測して、前記タイマー手段に従って一定時間経過後(例えば3分後)前記機能実現手段の機能を再び制限する請求項1〜3のいずれか1項記載の機器認証制御システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の機器認証制御システムにおいて少なくともひとつの動作をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−150668(P2007−150668A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341748(P2005−341748)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】