説明

機械部品の非破壊検査の方法

本発明は、機械部品(14)の非破壊検査のための自動化された方法に関し、画像センサ(24)と、照明光源(26)と、画像センサ(24)、光源(26)、および機械部品(14)の相対的移動のための手段(18、22)とを含む、デジタル画像を取得するための機器(10)を使用してデータベース内に記憶される基準画像と部品の表面の画像を比較するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品、たとえばターボ機械の構成要素などの非破壊検査の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のターボ機械部品の摩耗が、表面に開口し遮られていない密集した欠陥を、たとえば亀裂、細孔、またはくぼみを検出するのに効果的な浸透剤発汗技術により検査されることができる。
【0003】
その技術は、低い表面張力を示し、部品内の開口欠陥の中に毛管現象により浸透することができる「浸透剤」と一般に呼ばれる、発色性または蛍光性の液体の使用を必要とする。そのような浸透剤が部品に適用され、含浸させられ、次に表面上に残っている過剰な浸透剤が除去された後、部品の不連続部分の中に浸透した浸透剤を吸い上げるのに適した毛管から作られる粉末の微細な層を部品に適用することにより、欠陥が見えてくるようにさせられる。
【0004】
それにもかかわらず、具体的には、発汗技術は、結果を解釈するために適切な資質のあるオペレータが役割を果たすことを必要とするので、実際には制約となることがわかった。
【0005】
さらに、発汗技術は比較的危険であり、可燃性で揮発性の有害な物質を使用するという点で汚染する可能性がある。
【0006】
部品の表面の調査からまたは部品の表面を規定するデジタルデータから確立される、部品の表面上を移動する画像センサおよび照明手段が部品の表面上を移動する経路を自動的に規定するステップにあり、前記経路に沿った画像センサの移動が部品の表面全体の画像を取得するのに役立つ、機械部品を光学的に検査する方法も既知の(たとえば、米国特許出願公開第2007/0122026号明細書による)。次に、これらの画像が、部品の表面内の欠陥を検出するために、調査され分析される必要があり、そのような調査および分析が、今日まで納得がゆく方法で解決されなかった問題を生み出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0122026号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の具体的な目的が、これらの問題に対する、費用がかからず効果的であり、取得された画像を処理し取得された画像を自動的に最適化することができるようにする解決策を提供することである。
【0009】
本発明の具体的な目的が、簡単かつ迅速に実現されることができ、接触なしに自動的かつ光学的に行われることができる方法で機械部品が検査されることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明は画像センサ、照明光源、ならびに画像センサ、照明光源、および機械部品を互いに対して移動させるための手段を含む機器を用いて、機械部品を非破壊的に検査する自動的方法を提供し、方法は、本質的に、部品の表面の3次元調査を行うステップと、部品の表面を画像センサにより撮像するのに適したゾーンに細分することを規定するステップと、部品に対する画像センサのためおよび照明光源のためのそれぞれの経路を規定するステップと、部品の表面の前記ゾーンの画像を取得するステップとにあり、方法は、さらに:
画像を分析し、露出過多または露出不足の画像内のゾーンを決定するステップと、
前記ゾーンの画像取得のために光学的パラメータを最適化し、前記ゾーンに対して前記光学的パラメータの最適化を考慮し、部品の表面の二次細分を規定するステップと、
最適化された光学的パラメータおよび二次細分を使用しながら、部品の表面の画像が取得されることができるようにする、画像センサに対する新しい経路および照明光源に対する新しい経路を規定するステップと、
新しい経路に従い画像を記録しながら、前記ゾーンの画像を取得するステップと、
記録された画像内の、部品の任意の表面欠陥を自動的に決定し、部品の任意の表面欠陥をデータベース内に記録された既知の欠陥と比較するステップとにあることを特徴とする。
【0011】
本発明により提案される非破壊検査法は、部品内の表面欠陥によい感度を示し、検査のための部品を準備するために必要とされる時間が著しく低減されることができるようにする。
【0012】
この方法はまた、どんな消耗品も使用される必要がないという点でより費用がかからないことが理解され、方法は比較的資質のない職員により実現されることができる。
【0013】
本発明の方法はまた、可燃性で不揮発性の有害な物質を使用することに関連する危険性、および有害な物質から生じる、液体廃棄物を管理することに固有の難点を避けることができるようにする。
【0014】
任意の使用前に、各部品は、画像センサおよび照明光源が部品の表面へ向いて、かつ部品の位置または形状のどんな観測される差にも関係なく、正確に配置されることができるようにすることによりその後の非破壊試験の精度を保証するために、各部品の表面のトポロジの3次元調査にあらかじめかけられることがある。この方法では、本発明の方法を使って、(任意の使用前の)新しい部品から、使用されたまたは摩耗した部品に至る任意のタイプの部品を分析することができる。3次元調査はまた、時間をかけて部品の状態の変動を追跡することができるようにする。これは、同じタイプの異なる部品間に形状の著しい差の可能性が存在するときに有利である。
【0015】
同じ大量生産された部品の異なる部品間に存在する可能性が高い形状および外観の差が無視できるという前提で、すなわち形状欠陥が光センサおよび照明光源が配置される精度よりも小さく、かつ部品の外観の差がデータベース内の設定の規定された範囲内にあるという前提で、表面の3次元調査、および画像取得プログラムの規定が、所与のタイプの機械部品に対して1回で行われることがあり、したがって、検査の精度を著しく落とすことなく時間が節約されることができるようにする。
【0016】
本発明の別の特徴によれば、方法はまた、典型的欠陥を示す機械部品表面の基準画像が記録されるデータベースをあらかじめ構築するステップにあり、各画像は、表面特性、たとえば材料の特質および材料の粗さに関するデータと一緒に、照明および画像撮影条件に関係する情報と一緒に、ならびに部品の表面内に欠陥が検出される品質の指標と一緒に記録され、その後、方法は、光学的パラメータおよび取得経路に対する修正、ならびに様々な部品に対して行われる検査の結果を前記データベース内に記録するステップにある。
【0017】
このデータベースは、最初できるだけ大量の情報を使用して構築され、その情報は既知の非破壊検査法を使用して測定された特性について、既知の典型的欠陥を示す、検査のための部品に対して、および標準的部品または部分に対して収集されることがあり、その後、データベースは拡大される、または連続して調査される様々な部品に対し行われる検査の結果を使って「育てられる」。データベースが十分「育てられる」と、本発明の方法の実行は、以下に説明されるように、たとえば画像を最適化することに関して簡略化されることができる。
【0018】
本発明の別の特徴によれば、方法はまた、部品の表面の3次元調査を行うステップの後に、数学的曲線、たとえばベジエ(Bezier)曲線および非一様有理ベーススプライン(NURBS)関数の形で前記表面のデジタルモデルを生成するステップと、3次元調査を使用することにより部品に対して画像センサおよび照明光源を再配置するステップとにある。
【0019】
本発明の別の特徴によれば、画像を取得するための光学的パラメータは、照明光源により生成される照明の強度および入射の角度を変えることにより最適化され、照明の強度および入射の角度の最適値を決定する際には、表面欠陥検出のレベルと、表面特性とさらに照明の強度および入射の角度の両方との間の関係を確立しながら、データベースを参照して互いに画像を比較することにより最適化される。
【0020】
この最適化はまた、二次細分に起因する各ゾーンの表面領域が画像センサによりカバーされる領域よりも小さいこと、および前記ゾーンのすべての点で法線の標準偏差が所定の最小値未満であることを検証するステップにある。
【0021】
最適化は、測定条件下でリアルタイムに画像を取得しながら、照明に対して露出過多の、露出不足の、または適切な露出の実際の条件を表す一次細分の画像内の決定されたゾーンに適用される。
【0022】
このことにより、表面欠陥が検出されるレベルと、表面特性とさらに照明光源により与えられる照明の強度および入射の角度の両方との間の関係を確立し、次に、撮られる、二次細分の各画像に対する最適照明およびセンサ位置パラメータを決定するために、上述のデータベースを参照して、各特性ゾーン内で画像を互いに比較することにより照明の強度および角度に対する最適値を決定することができるようになる。
【0023】
最後に、最適化されたパラメータを使用しながら、二次細分の画像が取得されることができるようにする、照明光源に対するおよびセンサに対するそれぞれの経路が決定される。
【0024】
当該ゾーンをそれぞれ再度細分することにより、および画像取得のための光学的パラメータを調節することにより、および/またはゾーンのすべての点で法線の標準偏差を検証することにより画像を最適化することは、十分な品質の結果を得るために必要なだけしばしば繰り返されることがある。
【0025】
繰り返される最適化、およびデータベース内への結果の記録は、データベースを「育てる」のに役立ち、その結果、その後、必要な場合、後に検査のための部品に対して、取得の光学的パラメータを設定すること、または法線の標準偏差を検証することを伴う上述の最適化法の1つだけを使用することができる。
【0026】
本発明の一実施形態では、方法は、画像センサを運ぶ一端を有するロボットアームを用いて、および照明光源を支えるための操縦機器を用いて、機械部品に対して画像センサおよび照明光源を移動させるステップにある。
【0027】
ロボットアームは、画像センサおよび照明光源が、表面照明のおよび焦点距離調節の最適条件の下で部品の表面領域全体の連続画像を取得するために、機械部品の周囲を移動させられることができるようにする。
【0028】
画像センサは対象下の表面への法線に実質的に沿って画像センサを向けるのに役立つ第1のロボットアームにより運ばれることがあり、照明光源は、第1のロボットアームと同期して第2のロボットアームにより運ばれ、したがって、照明光源の角度の向きがセンサの動きとは独立に部品に対して修正されることができるようにする。
【0029】
ある種の画像取得構成では、照明光源の向きは、光線の入射の角度が部品の対象下の表面に対してかすめて通っているようになる。
【0030】
有利には、部品の表面の細分は、各ゾーンの画像が、隣接するゾーンの画像と所定の量の重複を示すような方法で規定される。
【0031】
このことが、部品の表面のどの部分も検査を免れないことを保証することができるようにする。
【0032】
本発明の別の特徴によれば、画像センサは、電荷結合デバイス(CCD)タイプまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)タイプの光検出器マトリクスを有するカメラである。
【0033】
そのようなカメラは、よい解像度を示し、かつデジタル形式であるが、さらに、比較的費用をかけないで画像が取得され得るようにする。
【0034】
限定しない実施例によって行われる以下の説明を読むことで、および添付の図面を参照して、本発明がよりよく理解されることができ、本発明の別の詳細、有利な点、および特徴がより明白に見えてくる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の方法で実現される手段の概略図である。
【図2】本発明の方法の主要ステップを示す。
【図3】本発明の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明の背景で提案されるような、機械部品を非破壊的に検査する方法を実現するための手段10、12を、検査するための部品14、たとえばターボ機械のファンブレード14などと一緒に示す図である。
【0037】
非破壊試験法で実現される手段は、照明機器に結合される、ならびにたとえば好ましくは画像取得機器10および照明機器を制御することができるPCまたは類似のタイプのマクロコンピュータ16を含む画像プロセッサ手段12に結合されるデジタル画像取得機器10を含む。
【0038】
デジタル画像取得機器10は、画像センサ24を支えるためのヒンジ手段を含む一端20を有する少なくとも1つのロボットアーム18を含む。照明機器は、照明光源26を支えるためのヒンジ手段22を含む。
【0039】
例として、画像センサ24は、CCDタイプまたはCMOSタイプの光検出器のアレイを有するカメラであり、一般に「デジタルカメラ」と呼ばれる。
【0040】
画像プロセッサ手段12は、典型的欠陥(亀裂、かき傷、衝撃、・・・)を示す様々なタイプの機械部品の表面の、データベース内に記録された基準画像を有するデータベースに接続される、またはデータベースを有し、各画像は、ある種の表面特性、たとえば材料の特質および材料の粗さに関係があるデータと一緒に、照明および写真撮影の条件に関係がある情報と一緒に、および部品の表面上に存在する欠陥が検出される品質に関係がある指標と一緒に記録される。実際の欠陥のおよび光学的アーチファクトの基準画像が、具体的には、実質的に一様なグレイの背景により、および一様な背景のグレイレベルよりも高いまたは低いグレイレベルを有する部分により構築される。実質的に一様なグレイの背景は、許容値の範囲内までの決定されたグレイレベル値を有するとして規定される。
【0041】
基準画像データベースは、方法を実行する前に準備される。既知の欠陥を含む部品の画像を取得するために、光学的手段が使用される。これらの画像は、非破壊検査で一般に使用される1つまたは複数の参照方法と、たとえば、熱画像法または渦電流と比較されることにより検証される。これらの方法は、ロボットアームにより移動させられることができる器具を使用して実現される。データベースを確立するために使用される部品は、検査されるべき部品とは異なることがある。
【0042】
各画像に対して、基準画像データベースは、以下に関係する情報:
画像背景のグレイレベル、
画像が撮影された材料、
部品を製造する方法、たとえばフライス削り、鋳造、・・・、
部品の表面状態(粗さ、・・・)、
画像を撮るために使用される、具体的には照明、焦点距離、レンズ口径、および露光時間に関するデータを含む測定条件、
欠陥が存在することを画像が示す場合における欠陥のタイプおよび形状、
光学的アーチファクトの存在、
撮像されている部品の一部に存在する応力場、および
本発明の方法により所与のゾーンの画像が取得された回数を含む。
【0043】
上述のデータベースは、コンピュータネットワークによりマイクロコンピュータ16に接続される専用コンピュータサーバ上にホスティングされても、マイクロコンピュータ16上に直接ホスティングされてもよい。
【0044】
図2は、本発明の非破壊検査法の主要な連続段階を示す。
【0045】
方法は、部品の表面の画像を取得するためのプログラムを規定する第1段階30を含む。
【0046】
第1のステップ32では、検査されるべき部品の表面の3次元(3D)調査が、たとえば非接触タイプの従来の3D測定手段を使用して行われ、次に、ステップ34で、表面のデジタルモデルが、3次元調査に基づきSTL形式で生成される。3次元調査の簡略化されたモデルが、コンピュータ支援設計およびコンピュータ支援製造の標準的システムと互換性があるIGESタイプの中立のデジタル形式で、ベジエ曲線およびNURBSから作られる3Dの数学的表面の形で作られる。
【0047】
3次元調査を使用することにより、部品に対して光センサおよび照明光源を正確に配置するために、光センサおよび照明光源を再配置するステップが実行される。
【0048】
この再配置ステップは、本質的に、所与のタイプの部品に対して照明光源および光センサを配置するために既知の理論的デジタルモデルを使用するステップと、3次元調査から得られる幾何学的情報を使用することにより照明光源および光センサに対するこれらの理論的位置を修正するステップとにある。所与のタイプの部品、たとえばブレードに対して、光センサおよび照明光源を配置するための、部品全体の画像を取得することを理論的に可能にする3次元モデルが確立される。それにもかかわらず、実際の部品と理論的部品の間の形状の差、およびさらに、画像取得機器10のおよび照明の実際の配置による差が、正しい光学的取得を保証するために、各取得位置に対する光学的センサのおよび照明光源の各位置を修正するオペレータにより手動で従来行われる再配置を必要とする。部品を3次元測定する事前のステップを方法に組み込むことが、この再配置ステップを自動的に実行することを可能にする。
【0049】
実際には、事前の3次元測定は、部品に対する光センサのおよび照明光源の実際の位置を調節するために使用される、各取得位置での実際の法線を計算することができるようにする。
【0050】
したがって、このステップは、実際の部品に対して正確にかつ自動的に取得機器を配置することができるようにする。
【0051】
方法の次のステップ36は、最初に、写真を撮られるのに適したゾーンを規定するステップにある。これを行うために、検査のための部品の表面は、画像センサ24により写真を撮られるのに適した一次ゾーンに細分される。画像取得は、基準画像データベース内に含まれるパラメータを、すなわち写真を撮られる表面の材料に、表面の粗さに、および表面の形状に関係があるパラメータを使用しながら、センサおよび照明光源を配置することにより行われる。
【0052】
部品の表面を一次ゾーンに細分するためのプログラムは、調査される部品に対して、または基準部品に対して規定される。この事前のステップでは、オペレータは、撮られる写真ができるだけ一様なグレイスケールを有するように画像撮影パラメータを規定する。パラメータ(センサ位置、画像撮影パラメータ、・・・)は、具体的には調査されている部品に関連するデータベース内で編成されることがある。したがって、オペレータは、部品の基準を呼び出すことにより、この一次細分を実行するために必要とされるパラメータをロードすることがある。
【0053】
部品を細分するこの第1のステップは、調査されている部品の外観がデータベース内の基準設定に対して一様であることを検証するのに役立つ。たとえば、ある種の部品は、任意の機械加工の削りくずを除去するために、または動つりあいを提供するために、生産サイクルの終わりに追加の機械加工を必要とする。そのような追加の機械加工の頻度、および任意の所与の部品に対するそのような追加の機械加工の位置もランダムである。したがって、1つの特定のタイプの部品の外観全体は部品ごとに変わり、ある種の部品は他よりも明るいゾーンをランダムに示す。あらかじめ確立されたプログラムを使用することが、これらのゾーンを検出し、これらのゾーンを具体的に処理することができるようにする。
【0054】
一次細分の画像を分析するこの第1のステップの終わりに、一様でない外観を示すこれらの画像のゾーンが、すなわちデータベースから得られる設定に対する露出過多または露出不足を示すゾーンが検出される。この目的のために、それぞれの一様でないゾーンが複数の部分に分割され、照明の入射および強度、焦点距離の設定および向き、ならびにさらにセンサの露光時間を変えながら、複数のデジタル画像がこれらの部分から取得され、これらの取得パラメータが、部品の材料、部品の製造方法、およびさらに部品の表面状態も考慮しながら、決定される。
【0055】
露出過多または露出不足のゾーンのすべてにわたり2次元(2D)取得設定を最適化した後、ゾーンのすべてに対して最適化される新しい細分が行われる。
【0056】
この新しい細分過程は、本質的には、部品のゾーンを規定するステップと、第1に、各ゾーンの寸法が画像センサによりカバーされる線形領域以下であることを、および第2に、対象下のゾーン内の1組の法線に対する標準偏差角度が、表面欠陥が部品上でおよび画像センサの被写界深度で検出されるべき所望のレベルに依存する所定の値よりも小さいことを検証するステップとにある。
【0057】
この所定の値は、複数のパラメータを一緒に結合することにより得られる。この目的のために、3D曲率が各ゾーン内で測定され、光センサの被写界深度と組み合わせられることがあり、それにより、得られるであろう検出のレベルに関する情報を得る。欠陥が検出されることを保証するために、焦点面に対する法線と検出点に対する法線の間の角度差に対する最大値が規定され、これは、基準画像データベースを使用することにより行われる。したがって、各ゾーン内の1組の法線に対する標準偏差角度が、対象下の焦点面の最大検出角度値よりも小さいことが必要である。
【0058】
角度差に対する最大値は、標準部品を使用して実験で規定される。これを行うために、標準部品がセンサへ向けて配置され、納得がゆく画像が得られることができない角度差が決定される。
【0059】
細分過程は、好ましくは、画像取得プログラム中に部品の表面全体が画像センサによりカバーされることを保証するために、各ゾーンの画像が隣接するゾーンの画像と一定量の重複を示すように設計される。
【0060】
次のステップ38は、部品の表面のそれぞれの所定の二次ゾーンの平均法線上に、前記表面から距離Dの所に、連続して画像センサ34を持ってくるために、ロボットアーム18がたどる最適経路を規定する一方で、さらにロボットアームの動きの数を最小にするステップにある。
【0061】
設定を最適化する結果を二次ゾーンのすべてに外挿することにより、ステップ40では、ロボットアームに対する、画像センサを支えるための手段20に対する、および照明光源を支えるための手段22に対する経路を含む、部品の表面の画像を獲得するための完全なプログラムを決定することができ、したがって、画像センサ24および照明光源26が、部品の表面の各ゾーンの画像を取得するために二次ゾーンのそれぞれの最適位置の中に連続して持ってくること、およびさらにこの経路に沿った照明光源による照明の強度の最適な変動を決定することができるようにする。
【0062】
非破壊試験は、第2段階42中に行われ、検査のための部品の表面が、上記で説明される段階30中に最適化されるような二次光学的取得ゾーンに細分される。部品の表面のトポロジの3次元調査から得られるような画像取得プログラムに従いながら、検査される部品の表面の各ゾーンの画像がステップ44で記録される。
【0063】
ステップ46では、画像処理アルゴリズムがゾーンのそれぞれの画像に対して適用される。これらのアルゴリズムは、本質的に画像の残りに対するグレイレベルでの非一様性に対応する部分をゾーンの画像から抽出するステップにある。これらの部分は、その後同じ幾何形状および同じ表面特性を有する、すなわち同一の表面粗さ、画像が得られたものと同一の材料、および表面を得る同一の方法を有する、基準データベースからの画像と比較される。たとえば、調査中の各画像に対して、調査されているゾーン上で調査される一様でない部分のグレイレベルの空間分布の間で、基準画像データベース内の画像上に存在する欠陥との比較が行われる。
【0064】
比較は2つの結果を生ずる:
基準画像データベースの画像と一致しない、
または、一致する。
【0065】
部品の所与のゾーンの画像に対して基準画像データベースとの一致が全く行われない第1の結果に対して、次に、ゾーンは、欠陥が存在するかどうかを決定するために、ロボットアームにより運ばれる従来の非破壊試験器具を用いて分析される。次に、この情報は、画像と一緒に、および具体的には画像が取得された条件、表面状態、および部品の材料のタイプと関連して基準画像データベース内に記録される。
【0066】
基準画像データベース内の画像との一致がある第2の結果については、次に、信頼性規準が一致に適用され、そのような画像が既に撮像された回数を求めて基準画像データベースを探索するステップにある。が所定のしきい値Nよりも大きい場合、検出は信頼できると考えられ、画像は欠陥の存在または欠如に関係がある情報と関連付けられる。がしきい値N未満の場合、欠陥の存在または欠如に関する情報を確認するために、従来の器具を使った非破壊試験法が実行される。次に、基準画像データベース内の画像とのそのような一致があった回数は、n+1に増分される。
【0067】
したがって、本発明の方法は、基準画像データベースとの信頼できる一致が存在するという前提で、人間の介在なしに実現されることができる。従来の非破壊試験手段を使用することが必要なとき、得られた画像は、データベースを拡大するために、および将来の検出を改善するために、基準画像データベース内に組み込まれる。
【0068】
上記で説明される非破壊試験法は、上述のような浸透剤発汗技術と比較して数多くの有利な点を提示しながら、浸透剤発汗技術に匹敵する感度で欠陥を検出することができるようにする。
【0069】
この方法は、具体的には完全に自動化されるのに適しているという有利な点を提示する。方法はまた自己適応性がある。照明光源に対するおよびセンサに対する部品の最初の位置がどうであれ、ならびに部品の形状がどうであれ、最初の3次元取得を用いて非破壊検査手順を実行することができる。
【0070】
図3は、本発明の方法の概略のフローチャートであり、
部品の表面の3次元調査を行い、それに基づき、照明機器および写真撮影機器に対する部品の実際の位置が計算されるステップと、
部品の表面の2次元画像を光学的に取得するために機器に対する経路を計算するステップと、
部品の材料、粗さ、および表面形状に関係がある、データベースからのパラメータを使用することにより、部品の全体画像を取得するステップと、
画像を分析し、写真撮影センサの向き、照明、および表面形状に関してデータベース内に見えてくるパラメータの関数として露出に関連する光学的設定を最適化するのに役立つ、画像内のゾーンを決定するステップと、
上記の分析、および照明機器に対する経路を考慮しながら、光学的設定を最適化するのに役立つ、画像を取得するための経路を計算するステップと、
上記で規定されるゾーンの画像を取得するための光学的設定を最適化するステップと、
画像を分析し、様々なゾーンに対する最適化された設定を検証し、最適化された設定をデータベース内に記憶するステップと、
それぞれの別個のゾーンから最高品質の画像を取得するために、最適化された設定を考慮する別個の取得ゾーンに部品の表面を細分するステップと(この工程は、画像欠陥、たとえば局所的な露出過多を示すゾーンを、より小さくより一様な、かつ照明および画像撮影のパラメータが最適値に調節されるゾーンに細分するのに役立つ)、
その後、分割するステップ、簡略化するステップ、および再構築するステップの結果と組み合わせて、リアルタイムの画像取得経路を計算するステップと、
最適化された設定で経路の表面の画像を撮るステップと、
画像を分析し、欠陥および光学的アーチファクトを求めて探索するステップと、
見つけられる欠陥およびアーチファクトを特徴付けて、欠陥およびアーチファクトを、欠陥およびアーチファクトの画素の重みに基づき、部品の3D曲率に基づき、ならびに長手方向でのおよび横方向での各欠陥の分布に基づき、データベース内に記憶される既知の欠陥およびアーチファクトと比較するステップと、
その後、見つけられた欠陥およびアーチファクトが既知の場合、欠陥およびアーチファクトを基準データベース内に記録し、対応する報告を発行するステップと、
または、見つけられる欠陥およびアーチファクトがデータベース内に見えてこない場合、非破壊検査法を適用することにより(たとえば渦電流または熱画像法を使用して)欠陥およびアーチファクトを相関させ、欠陥およびアーチファクトを新しい欠陥および新しいアーチファクトであるとして識別し、欠陥およびアーチファクトを基準データベース内に記録するステップとを本質的に含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサ(24)と、照明光源(26)と、画像センサ、照明光源、および機械部品を互いに対して移動させるための手段(18、22)とを含む機器(10)を用いて機械部品(14)を非破壊的に検査する、本質的に、部品の表面の3次元調査を行うステップと、画像センサにより写真を撮られるのに適したゾーンに部品の表面を細分することを規定するステップと、部品に対する画像センサのためおよび照明光源のためのそれぞれの経路を規定するステップと、部品の表面の前記ゾーンの画像を取得するステップとにある自動的方法であって、さらに、
画像を分析し、露出過多または露出不足の、画像内のゾーンを決定するステップと、
前記ゾーンの画像取得のための光学的パラメータを最適化し、前記ゾーンに対する前記光学的パラメータの最適化を考慮して、部品の表面の二次細分を規定するステップと、
最適化された光学的パラメータおよび二次細分を使用しながら、部品の表面の画像が取得されることができるようにする、画像センサのための新しい経路および照明光源のための新しい経路を規定するステップと、
新しい経路に従いながら前記ゾーンの画像を取得し、画像を記録するステップと、
記録された画像内の、部品の任意の表面欠陥を自動的に決定し、任意の表面欠陥をデータベース内に記録された既知の欠陥と比較するステップとにあることを特徴とする方法。
【請求項2】
方法が、典型的欠陥を示す機械部品表面の基準画像が記録されるデータベースをあらかじめ構築するステップにあり、各画像が表面特性、たとえば材料の特質および材料の粗さに関するデータと、照明および写真撮影の条件に関係がある情報と、ならびに欠陥が部品の表面内に検出される品質の指標と一緒に記録され、その後、方法が、光学的パラメータおよび取得経路に対する修正、ならびに様々な部品に対し行われる検査の結果を前記データベース内に記録するステップにあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検査されている部品間の形状および外観の差が小さいまたは実質的にゼロであるという前提で、部品の表面の3次元調査が任意の所与のタイプの機械部品に対して1度だけ行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
検査のための部品が、別の検査される部品と比べて、形状および外観の無視できない差を示すときはいつでも、部品の表面の3次元調査にかけられることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
部品の表面の3次元調査を行うステップの後に、数学的曲線たとえばベジエ曲線およびNURBS関数の形で前記表面のデジタルモデルを生成するステップと、3次元調査を使用することにより部品に対して画像センサおよび照明光源を再配置するステップとにあることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
画像を取得するための光学的パラメータが照明光源により生成される照明の強度および入射の角度を変えることにより最適化されること、ならびに表面欠陥検出のレベルと、表面特性とさらに照明の入射の強度および角度の両方の間との関係を確立しながら、データベースを参照し互いに画像を比較することにより、照明の強度および入射の角度に対する最適値を決定するステップを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
最適化がまた、二次細分に起因する各ゾーンの表面領域が画像センサによりカバーされる領域よりも小さいこと、および前記ゾーンのすべての点で法線の標準偏差が所定の最小値未満であることを検証するステップにあることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
画像センサ(24)および照明光源(26)を、それぞれ画像センサおよび照明光源を運ぶロボットアーム(18、22)を用いて機械部品(14)に対して移動させるステップにあることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
画像センサ(24)がCCDタイプまたはCMOSタイプの光検出器のマトリクスを有するカメラであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
本質的に、
部品の表面の3次元調査を行い、それに基づき、照明機器および写真撮影機器に対する部品の実際の位置が計算されるステップと、
部品の表面の2次元画像を光学的に取得するために機器に対する経路を計算するステップと、
部品の材料、粗さ、および表面形状に関係がある、データベースからのパラメータを使用することにより、部品の全体画像を取得するステップと、
画像を分析し、写真撮影センサの向き、照明、および表面形状に関してデータベース内に見えてくるパラメータの関数として露出に関連する光学的設定を最適化するのに役立つ、画像内のゾーンを決定するステップと、
前記分析、および照明機器に対する経路を考慮しながら、光学的設定を最適化するのに役立つ、画像を取得するための経路を計算するステップと、
上記で規定されるゾーンの画像を取得するための光学的設定を最適化するステップと、
画像を分析し、様々なゾーンに対する最適化された設定を検証し、最適化された設定をデータベース内に記憶するステップと、
最適化された設定を考慮する別個の取得ゾーンに部品の表面を細分するステップと、
その後、分割するステップ、簡略化するステップ、および再構築するステップの結果と組み合わせて、リアルタイムの画像取得経路を計算するステップと、
最適化された設定で部品の表面の画像を撮るステップと、
画像を探索し、欠陥および光学的アーチファクトを求めて探索するステップと、
見つけられる欠陥およびアーチファクトを特徴付けて、欠陥およびアーチファクトを、データベース内に記憶される既知の欠陥およびアーチファクトと比較するステップと、
その後、見つけられた欠陥およびアーチファクトが既知の場合、欠陥およびアーチファクトを基準データベース内に記録し、対応する報告書を発行するステップと、
または、見つけられる欠陥およびアーチファクトがデータベース内に見えてこない場合、非破壊検査法を適用することにより(たとえば渦電流または熱画像法を使用して)欠陥およびアーチファクトを相関させ、欠陥およびアーチファクトを新しい欠陥または新しいアーチファクトであるとして識別し、欠陥およびアーチファクトを基準データベース内に記録するステップとにあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−514193(P2012−514193A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542861(P2011−542861)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001468
【国際公開番号】WO2010/072920
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(505277691)スネクマ (567)
【Fターム(参考)】