説明

欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法及び感度表作成方法

【課題】マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を評価するために用いられる評価用マスクに作り込まれた評価用パターンの欠陥サイズを精度良く算出することが可能な欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法及び感度マスクの作成方法を提供する。
【解決手段】感度マスクに設計寸法で形成された基準パターン11sの寸法A2と、基準パターン11s周辺に形成された周辺パターン12sの寸法B2と、設計寸法から所定寸法だけ異なるように作り込まれた評価用パターン11の寸法A1と、評価用パターン11周辺に形成された周辺パターン12の寸法B1とを測定する。寸法B1に対する寸法B2の比率を評価用パターン11の寸法A1に乗算した値と基準パターン11sの寸法A2との差分を、評価用パターン11の欠陥サイズとして算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を評価するために用いられる評価用マスクに作り込まれた評価用パターンの欠陥サイズを算出する欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法及び感度表作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造過程において、基板(「ウェハ」ともいう。)上に回路パターンを形成するために、原画パターンとしてフォトマスクやレチクル(以下「マスク」という。)が用いられている。マスクは、通常、光を透過するガラス基板に遮光材料(例えば、Cr)でパターンが形成されてなる。このようなマスクの製造には、優れた解像度を有する電子ビーム描画装置のような荷電粒子ビーム描画装置が用いられている。
【0003】
マスクに欠陥が存在すると、基板上に欠陥が転写されるため、半導体デバイスの歩留まりが低下する。そこで、マスク欠陥検査装置を用いてマスクの欠陥検査が行われている。マスクの欠陥検査方法として、ダイ・トゥ・ダイ(Die-to-Die)検査方法と、ダイ・トゥ・データベース(Die-to-Database)検査方法とがある。ダイ・トゥ・ダイ検査方法は、マスク上の異なる位置にある同一パターンの光学画像同士を比較する方法である。一方、ダイ・トゥ・データベース検査方法は、マスク作製時に使用した描画データ(CADデータ)から生成される参照画像と、実際のマスクの光学画像とを比較する方法である。
【0004】
マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を評価するために用いられる評価用マスク(プログラムマスクともいう。)として、欠陥タイプ毎に欠陥サイズの異なる複数のプログラム欠陥(模擬欠陥ともいう。)が作り込まれた感度マスクが知られている。この感度マスクの欠陥検査を複数回行い、その複数回の検査結果に基づいて、各プログラム欠陥の欠陥検出率を可視化した感度表を作成することで、マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を評価することができる。また、感度表を定期的に作成することで、マスク欠陥検査装置の状態を管理することができる。
【0005】
ところで、近年の回路パターンの微細化に伴い、パターンの寸法(CD:critical dimension)の精度が要求されている。そこで、マスク欠陥検査装置を用いて、マスクに形成されたパターンの寸法が設計寸法に対して大きく異なるパターンをCD欠陥(「寸法欠陥」ともいう。)として検出している。特開2002−296762号公報には、CD欠陥を検出する方法の一例が開示されている。そして、マスク欠陥検査装置によるCD欠陥の検出感度を評価するために、設計寸法に対する寸法差を異ならしめた複数のプログラムCD欠陥が、評価用パターンとして感度マスクに作り込まれている。
【0006】
マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を適正に評価するためには、感度マスクに作り込まれた各評価用パターンの欠陥サイズが正確に算出されている必要がある。従来の欠陥サイズの算出方法によれば、感度マスクに設計寸法で形成された基準パターンの寸法と、上記評価用パターンの寸法とを測定し、測定した2つの寸法の差分を欠陥サイズとして算出していた。
【0007】
上記の基準パターンや評価用パターンを感度マスクに形成するためには、電子ビーム描画装置を用いた描画と、現像処理やエッチングのようなプロセスとを経る必要がある。ここで、一般に、感度マスク上の基準パターンの位置と評価用パターンの位置とは離れている。このようにパターン形成位置が異なると、描画位置が異なることによる寸法変動が生じるほか、プロセスによる寸法変動が生じる。つまり、従来の欠陥サイズの算出方法を用いて算出された欠陥サイズには、本来の欠陥サイズだけでなく、パターン形成位置が異なることによる描画やプロセスに起因する寸法変動分が含まれる。その結果、感度マスクの評価用パターンの欠陥サイズが正確に算出されないことから、マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を適正に評価することができないという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−296762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記課題に鑑み、マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を評価するために用いられる評価用マスクに作り込まれた評価用パターンの欠陥サイズを精度良く算出することが可能な欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法及び感度マスクの作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を評価するために用いられる評価用マスクに設計寸法で形成された基準パターンの寸法と、設計寸法から所定の寸法だけ異なるように作り込まれた評価用パターンの寸法とを測定し、基準パターンの寸法と評価用パターンの寸法との差分を評価用パターンの欠陥サイズとして算出する欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法において、基準パターンの寸法と、基準パターン周辺に所定の位置関係で形成された第1の周辺パターンの寸法と、評価用パターンの寸法と、評価用パターン周辺に上記位置関係と同じ位置関係で形成され、かつ、第1の周辺パターンと設計寸法が同じである第2の周辺パターンの寸法とを測定する寸法測定工程と、第2の周辺パターンの寸法に対する第1の周辺パターンの寸法の比率を算出する比率算出工程と、比率を評価用パターンの寸法に乗算した値と基準パターンの寸法との差分を評価用パターンの欠陥サイズとして算出する欠陥サイズ算出工程とを含むことを特徴とする。なお、本発明において、位置関係が同じとは、厳密な一致をいうのではなく、多少の違いを含むものとする。
【0011】
この第1の態様において、基準パターン周辺に複数の第1の周辺パターンが形成され、かつ、評価用パターン周辺に複数の第2の周辺パターンが形成されている場合に、寸法測定工程では、複数の第1の周辺パターンの寸法と複数の第2の周辺パターンの寸法をそれぞれ測定し、比率算出工程は、複数の第1の周辺パターンの寸法の平均値と、複数の第2の周辺パターンの寸法の平均値とを算出する工程を有し、第1の周辺パターンの寸法の平均値を第2の周辺パターンの寸法の平均値で除算することによって比率を算出することが好ましい。
【0012】
この第1の態様において、複数の第1の周辺パターンの寸法が相互に異なると共に、複数の第2の周辺パターンの寸法が相互に異なっていてもよい。
【0013】
この第1の態様において、基準パターン及び第1の周辺パターンを撮像して得られた第1の画像と、評価用パターン及び第2の周辺パターンを撮像して得られた第2の画像とを取得する画像取得工程を更に含み、寸法測定工程では、画像取得工程で取得された第1の画像に含まれる基準パターン及び第1の周辺パターンの寸法をそれぞれ測定し、第2の画像に含まれる評価用パターン及び第2の周辺パターンの寸法をそれぞれ測定することが好ましい。
【0014】
本発明の第2の態様は、マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を評価するために用いられる評価用マスクに基準寸法から所定の寸法だけ異なるように作り込まれた評価用パターンの欠陥検査を該マスク欠陥検査装置により複数回実行し、その複数回の検査結果と、上記第1の態様の欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法を用いて算出された欠陥サイズとに基づいて、前記評価用パターンの欠陥検出率を可視化した感度表を作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の態様によれば、マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を評価するために用いられる評価用マスクに作り込まれた評価用パターンの欠陥サイズを精度良く算出することができる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を適正に評価することが可能な感度表を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1において、マスク欠陥検査装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1において、評価用パターンの欠陥サイズの算出方法を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態1で算出された欠陥サイズを用いて作成された感度表を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2において、評価用パターンの欠陥サイズの算出方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1において、マスク欠陥検査装置の構成を示す概略図である。図1に示すマスク欠陥検査装置100は、検査対象であるマスク1を保持するステージ2を備えている。ステージ2は、X方向モータ3Aと、Y方向モータ3Bとにより、XY方向に移動自在である。これらのモータ3A、3Bは、ステージ駆動部23により駆動される。ステージ2のX方向及びY方向の位置は、レーザ干渉計4を用いて、ステージ位置検出部22により検出される。
【0020】
また、マスク検査装置100は、レーザ光を発する光源5を備えている。光源5から発せられたレーザ光は、ミラー6及びレンズ7によりマスク1表面に照射される。マスク1を透過した投光光は、結像レンズ8によって、画像センサ9上に結像される。画像センサ9としては、一次元のラインセンサや二次元のCCDセンサ(TDIセンサ)を用いることができる。画像センサ9により生成された光学画像は、光学画像入力部24に一時的に格納され、欠陥検出部26に入力される。
【0021】
マスク欠陥検査装置100は、光学画像に対する比較基準となる参照画像を生成する参照画像生成部25を備えている。参照画像生成部25は、記憶装置21に記憶されたCADデータ(マスクの設計データ)を展開し、展開したデータにリサイズ処理、コーナ丸め処理及びフィルタ処理等を施すことにより参照画像を生成し、生成した参照画像を欠陥検出部26に出力する。欠陥検出部26は、光学画像入力部24から入力される光学画像と、参照画像生成部25から入力される参照画像とを比較し、両者のパターン形状が相違する場合にパターン欠陥として検出する。欠陥検出部26の検査結果は、記憶装置21に格納される。
【0022】
上記マスク欠陥検査装置100の欠陥検出感度を評価するために、設計寸法と寸法の差を異ならしめた複数の評価用パターン(プログラムCD欠陥)が作り込まれた感度マスクが用いられている。感度表作成部27では、同一の感度マスクの複数回の検査結果に基づいて、後述する感度表(図3参照)を作成する。既述したように、感度表の基準値となる評価用パターンの欠陥サイズを算出する際に、描画位置が異なることによる寸法変動が生じるほか、プロセスによる寸法変動が生じる。以下、評価用パターンの算出方法について説明する。
【0023】
図2は、感度マスクに作り込まれた評価用パターン11の欠陥サイズの算出方法を説明する図である。
【0024】
図2では説明を分かりやすくするために重ねて示しているが、感度マスク上の評価用パターン11の位置とは異なる位置に、基準パターン11sが形成されている。この基準パターン11sは、所定の設計寸法となるように形成(描画)され、評価用パターン11の欠陥サイズを算出する基準となる。設計寸法は、例えば、400nmとすることができる。評価用パターン11は、設計寸法に対して意図的に所定の寸法だけ異なるように形成(描画)されている。この評価用パターン11から距離r1だけ離れた位置に、周辺パターン12が形成されている。
【0025】
評価用パターン11と周辺パターン12との位置関係と同じ位置関係となるように、基準パターン11sの周辺に周辺パターン12sが形成されている。尚、図2では周辺パターン12と周辺パターン12sとを重ねて示しているが、これらの周辺パターン12、12sは感度マスク上の異なる位置に形成されている。
【0026】
ここで、周辺パターン12と周辺パターン12sの設計寸法は同じであるが、実際には、図2に示すように、周辺パターン12の寸法B1と周辺パターン12sの寸法B2とは相違する。この2つの寸法B1、B2の差は、描画位置が異なることやプロセスに起因して生じる。尚、説明を理解しやすくするために、図2では寸法B1、B2の差を実際よりも大きく示しており、実際の寸法B1、B2の差は例えば数nm程度である。本実施の形態1では、評価パターン11の欠陥サイズを算出する際に、これら周辺パターン12、12sの寸法B1、B2を用いる。
【0027】
本実施の形態1による欠陥サイズの算出方法では、先ず、評価用パターン11の寸法A1と、周辺パターン12の寸法B1と、基準パターン11sの寸法A2と、周辺パターン12sの寸法B2とを測定する。これらの寸法A1、B1、A2、B2の測定は、CD−SEM(測長SEM)の画像から求めることができる。つまり、CD−SEMにより評価用パターン11と周辺パターン12を撮像した画像から、評価用パターン11の寸法A1と、周辺パターン12の寸法B1とを測定することができる。同様に、CD−SEMにより基準パターン11sと周辺パターン12sとを撮像した画像から、基準パターン11sの寸法A2と、周辺パターン12sの寸法B2とを測定することができる。
【0028】
上述したように、周辺パターン12、12sの設計寸法は同じであるため、寸法B1、B2の差は、描画位置やプロセスによる寸法変動量を表している。本実施の形態1では、周辺パターン12の寸法B1に対する周辺パターン12sの寸法B2の比率(B2/B1)を算出する。そして、次式(1)のように、この比率を評価用パターン11の寸法A1に乗算した値と、基準パターン11sの寸法A2との差分を欠陥サイズとして算出する。
欠陥サイズ=A1×(B2/B1)-A2・・・(1)
【0029】
つまり、周辺パターン12、12sの寸法B1、B2の比率を評価パターン11の寸法A1に乗算することで、描画位置やプロセスによる寸法変動量Δa1を取り除いた寸法A3が求められる。そして、この寸法A3から基準パターン11sの寸法A2を減算した値(A3−A2)が、評価用パターン11の欠陥サイズとされる。尚、図2では、欠陥サイズ(A3−A2)と寸法変動量Δa1とが明瞭に区別されているが、実際は混在している。本実施の形態1によれば、描画位置やプロセスによる寸法変動量Δa1を含まない欠陥サイズが算出されるため、評価用パターン11の欠陥サイズを精度良く算出することができる。
【0030】
次に、本実施の形態1の感度マスクの作成方法について説明する。先ず、上記マスク欠陥検査装置100において、同一の感度マスクの欠陥検査を複数回行う。その複数回の検査結果と、上記算出された欠陥サイズとを用いて図3に示すような感度表を作成する。ここで、図3には、設計寸法に対して寸法を意図的に太らせる欠陥タイプAについて、欠陥サイズが互いに異なるNo.1〜8のプログラムCD欠陥の欠陥検出率を可視化した部分を抽出して示している。実際の感度表は、欠陥タイプA以外の複数の欠陥タイプ毎に、欠陥サイズが異なる複数のプログラム欠陥について、各プログラム欠陥の欠陥検出率が可視化されている。感度表の欠陥サイズとして、上述したように評価用パターン11の測定寸法A1から描画位置やプロセスによる寸法変動量Δa1が取り除かれた寸法A3と、基準パターン11sの寸法A2との差分(A3−A2)が用いられる。これにより、マスク欠陥検査装置100の感度表作成部27によって、欠陥検出感度を適正に評価することが可能な感度表を作成することができる。
【0031】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2において、評価用パターンの欠陥サイズの算出方法を説明する図である。上記実施の形態1では評価用パターン11、基準パターン11sの周辺にそれぞれ1つの周辺パターン12、12sが形成されている場合について説明した。本実施の形態2では、図4に示すように評価用パターン11周辺に4つの周辺パターン12乃至15が形成され、基準パターン11s周辺に4つの周辺パターン12s乃至15sが形成されている場合について説明する。
【0032】
図4に示すように、評価用パターン11から距離r2だけ離れており、かつ、評価用パターン11に対して周辺パターン12と同じ側に、周辺パターン13が形成されている。評価用パターン11の反対側には、周辺パターン12、13に対向して周辺パターン14、15がそれぞれ形成されている。周辺パターン14、15は、評価用パターン11からそれぞれ距離r3、r4だけ離れている。尚、図4に示す例では、周辺パターン12乃至15の寸法が互いに異なっているが、同じ寸法であってもよい。
【0033】
評価用パターン11と周辺パターン12乃至15との位置関係となるように、基準パターン11sの周辺に周辺パターン12s乃至15sが形成されている。尚、図4では、図2と同様に、評価用パターン11と基準パターン11sとを重ねて図示しているが、評価用パターン11と基準パターン11sとは感度マスク上の異なる位置に形成されており、さらに周辺パターン12乃至15と周辺パターン12s乃至15sとは異なる位置に形成されている。
【0034】
ここで、対応する周辺パターン12乃至15と周辺パターン12s乃至15sの設計寸法はそれぞれ同じであるが、実際には、図4に示すように、各周辺パターン12乃至15の寸法B1乃至E1と各周辺パターン12s乃至15sの寸法B2乃至E2とは相違する。これらの寸法B1乃至E1、B2乃至E2の差は、描画位置が異なることやプロセスに起因して生じる。
【0035】
本実施の形態2による欠陥サイズの算出方法では、先ず、評価用パターン11の寸法A1と、周辺パターン12乃至15の寸法B1乃至E1と、基準パターン11sの寸法A2と、周辺パターン12s乃至15sの寸法B2乃至E2とを測定する。これらの寸法A1、B1乃至E1、A2、B2乃至E2は、上記実施の形態1と同様に、CD−SEM画像から求めることができる。
【0036】
次に、評価用パターン11周辺の周辺パターン12乃至15の寸法B1乃至E1の平均値と、基準パターン11s周辺の周辺パターン12s乃至15sの寸法B2乃至E2の平均値とを算出する。そして、寸法B1乃至E1の平均値に対する寸法B2乃至E2の平均値の比率を算出する。そして、次式(2)のように、この比率を評価用パターン11の寸法A1に乗算した値と、基準パターン11sの寸法A2との差分を欠陥サイズとして算出する。
欠陥サイズ=A1×{(B2+C2+D2+E2)/4}/{(B1+C1+D1+E1)/4}-A2・・・(2)
【0037】
つまり、周辺パターン12乃至15の平均寸法に対する周辺パターン12s乃至15sの平均寸法の比率を寸法A1に乗算することで、描画位置やプロセスによる寸法変動量Δa2を取り除いた寸法A3が求められる。そして、この寸法A3から基準パターン11sの寸法A2を減算した値(A3−A2)が、評価用パターン11の欠陥サイズとされる。従って、本実施の形態2によれば、描画位置やプロセスによる寸法変動量Δa2を含まない欠陥サイズが算出されるため、評価用パターン11の欠陥サイズを精度良く算出することができる。
【0038】
更に、本実施の形態2によれば、周辺パターン12乃至15の寸法B1乃至E1の平均値を求め、この平均値に対する周辺パターン12s乃至15sの寸法B2乃至E2の平均値の比率が算出されるため、寸法B1乃至E1が互いに相違する場合であっても欠陥サイズを精度良く算出することができるという効果を得ることができる。
【0039】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することができる。例えば、上記実施の形態2では、4つの周辺パターンが形成されている場合について説明したが、少なくとも1以上の周辺パターンが形成されている場合に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
11 評価用パターン(プログラムCD欠陥)
11s 基準パターン
12、13、14、15 周辺パターン
12s、13s、14s、15s 周辺パターン
100 マスク欠陥検査装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を評価するために用いられる評価用マスクに設計寸法で形成された基準パターンの寸法と、前記設計寸法から所定の寸法だけ異なるように作り込まれた評価用パターンの寸法とを測定し、前記基準パターンの寸法と前記評価用パターンの寸法との差分を前記評価用パターンの欠陥サイズとして算出する欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法において、
前記基準パターンの寸法と、前記基準パターンの周辺に所定の位置関係で形成された第1の周辺パターンの寸法と、前記評価用パターンの寸法と、前記評価用パターンの周辺に前記位置関係と同じ位置関係で形成され、かつ、前記第1の周辺パターンと設計寸法が同じである第2の周辺パターンの寸法とを測定する寸法測定工程と、
前記第2の周辺パターンの寸法に対する前記第1の周辺パターンの寸法の比率を算出する比率算出工程と、
前記比率を前記評価用パターンの寸法に乗算した値と前記基準パターンの寸法との差分を前記評価用パターンの欠陥サイズとして算出する欠陥サイズ算出工程とを含むことを特徴とする欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法。
【請求項2】
前記基準パターンの周辺に前記第1の周辺パターンが複数形成され、かつ、前記評価用パターンの周辺に前記第2の周辺パターンが複数形成されている場合に、前記寸法測定工程では、複数の第1の周辺パターンの寸法と複数の第2の周辺パターンの寸法をそれぞれ測定し、
前記比率算出工程は、前記複数の第1の周辺パターンの寸法の平均値と、前記複数の第2の周辺パターンの寸法の平均値とを算出する工程を有し、前記第1の周辺パターンの寸法の平均値を前記第2の周辺パターンの寸法の平均値で除算することによって比率を算出することを特徴とする請求項1記載のマスク欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法。
【請求項3】
前記複数の第1の周辺パターンの寸法が相互に異なると共に、前記複数の第2の周辺パターンの寸法が相互に異なることを特徴とする請求項2記載の欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法。
【請求項4】
前記基準パターン及び前記第1の周辺パターンを撮像して得られた第1の画像と、前記評価用パターン及び前記第2の周辺パターンを撮像して得られた第2の画像とを取得する画像取得工程を更に含み、
前記寸法測定工程では、前記画像取得工程で取得された前記第1の画像に含まれる前記基準パターン及び前記第1の周辺パターンの寸法をそれぞれ測定し、前記第2の画像に含まれる前記評価用パターン及び前記第2の周辺パターンの寸法をそれぞれ測定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法。
【請求項5】
マスク欠陥検査装置の欠陥検出感度を評価するために用いられる評価用マスクに基準寸法から所定の寸法だけ異なるように作り込まれた評価用パターンの欠陥検査を該マスク欠陥検査装置により複数回実行し、その複数回の検査結果と、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の欠陥検出感度評価用パターンの欠陥サイズ算出方法を用いて算出された欠陥サイズとに基づいて、前記評価用パターンの欠陥検出率を可視化した感度表を作成することを特徴とする感度表作成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−256043(P2010−256043A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103192(P2009−103192)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【Fターム(参考)】