説明

母基板、および電解めっき膜の形成方法

【課題】 電解めっき法により被めっきパターンに厚みが均一なめっき膜を被着させることが可能な多数個取り配線基板を提供すること。
【解決手段】 配線基板領域102に形成された被めっきパターン103と、配線基板領域102の周囲の捨代領域104に形成され、被めっきパターン103に電気的に接続されるとともに、少なくとも一部が表面に露出する電解めっき用パターン105と、電解めっき用パターン105の露出部105aに離間して並設された検査用パターン109とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主面に半導体素子や水晶振動子等の電子部品が搭載される配線基板領域を備えた母基板、および電解めっき膜の形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種電子部品を搭載するための配線基板は、上面の中央部に電子部品の搭載部を有する素基板と、搭載部やその周辺から素基板の側面や下面にかけて導出された配線導体とを具備している。この配線基板は、一般に、複数の配線基板領域と捨代領域とを備えた母基板の形態で形成されている。
【0003】
この母基板は、例えば酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック材料から成る絶縁層を積層してなる母基板の主面に、電子部品の搭載部が形成された配線基板領域が複数縦横に配列形成されてなる構造を有している。このような母基板には、例えば、あらかじめ配線基板領域の境界に沿って分割溝が形成されており、この分割溝に沿って母基板が分割されることによって各配線基板領域が個片化されて電子部品搭載用の配線基板となる。
【0004】
各配線基板の搭載部には、電子部品が搭載されるとともに、電子部品の電極が搭載部に露出された配線導体にボンディングワイヤや導電性接着剤を介して電気的に接続され、しかる後、たとえば蓋体が搭載部を塞ぐように絶縁基体の上面に接合されて、搭載部内に電子部品を気密に収容することによって電子装置となる。
【0005】
そして、配線基板領域の周囲には、母基板の取り扱いを容易なものとするための捨代領域が形成されている。また、配線導体の露出表面には、酸化腐食の防止やボンディングワイヤのボンディング性の向上等のために、ニッケルや金等のめっき膜が被着される。めっき膜の被着は、めっき膜の品質の安定性やコスト等を考慮して電解めっき法により行なわれる。電解めっきは、めっきしようとする金属の塩類を含む水溶液中に、被めっきパターンがカソード(陰極)となるように浸漬し、アノード(陽極)との間に適切な電解条件(電流値、浸漬時間、浴温度など)で制御されためっき用電源から出力した直流を通じ、水溶液中の金属イオンをカソード面上に金属として還元析出させて金属からなる被めっきパターン上に所要の結晶を形成することによって金属のめっき膜を形成する技術である。
【0006】
電解めっき法により各配線基板領域の配線導体にめっき膜を被着させるために、捨代領域には枠状の電解めっき用パターンが形成されている。すなわち、外部の電源(直流整流器等のめっき用電源の供給装置)から送られてきた電流は、母基板の外縁に形成された端子を介して電解めっき用パターンに送られ、電解めっき用パターンの内縁から配線基板領域にかけて形成された引き出し導体を経て各配線基板領域の配線導体に供給される。
【特許文献1】特開2005−209761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような母基板は、例えば、母基板の外周部に形成されている配線基板領域の配線導体に集まる電流の密度が、母基板の中央部のそれに比べて高くなる傾向がある(エッジ効果)。
【0008】
さらに母基板の外周部に形成されている配線基板領域の配線導体は、母基板の外周部ではめっき液の循環が良いことから、母基板の中央の配線基板領域に比べてめっき液中の金属イオンが十分に供給されることとなり、配線導体に被着されるめっき膜の厚みが相対的に厚くなることがあった。
【0009】
このように、めっき膜の厚みが母基板の領域ごとでばらつくと、個々の配線基板領域間で、配線導体の電気的特性等のバラツキや、めっき膜の色調の変化等の不具合が生じる可能性がある。
【0010】
また、配線導体の表面には、配線導体が酸化腐食するのを防止するとともに、配線導体と電子部品の各電極との電気的接続性を良好なものとするために、金めっき等の貴金属が被着されているが、このようにめっき膜の厚みが母基板の外周部と中央部とでばらつくと、必要以上に金めっき膜が被着される配線基板領域も製造されてしまうことから、めっき工程におけるコスト増大の要因となっている。
【0011】
特に、近年、電子部品搭載用の配線基板となる配線基板領域の小型化や、配線導体の高密度化、母基板に配列された配線基板領域の数の増加に伴う母基板の大型化が進んできているため、母基板の各配線導体に均一にめっき膜を被着させることが非常に困難となってきている。
【0012】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、めっき膜が被着された母基板の領域ごとのめっきの被着状態を容易に推測することができるとともに、電解めっき法により被めっきパターンに均一な厚みのめっき膜を被着させることが可能な多数個取り配線基板、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の母基板は、配線基板領域を有する素基板と、前記配線基板領域に形成された被めっきパターンと、前記被めっきパターンに電気的に接続されるとともに、少なくとも一部が前記素基板の表面に露出する電解めっき用パターンと、前記電解めっき用パターンの露出部に離間して並設された検査用パターンとを備えることを特徴とする。
【0014】
また本発明の母基板は、好ましくは、前記素基板が、配線基板領域の周囲に捨代領域をさらに備え、前記電解めっき用パターンの露出部と、前記検査用パターンとが、前記捨代領域に形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の母基板は、前記素基板が、前記配線基板領域内に、ダミー配線基板領域を有しており、前記電解めっき用パターンの露出部と、前記検査用パターンとが、前記ダミー配線基板領域に形成されていることを特徴とする。
【0016】
また本発明の母基板は、好ましくは、前記電解めっき用パターンに、めっき用電源に電気的に接続するための端子が複数設けられており、該複数の端子のそれぞれに対応して、前記検査用パターンおよびこれと対になる前記露出部が、複数組設けられていることを特徴とする。
【0017】
また本発明の母基板は、好ましくは、前記検査用パターンが、前記電解めっき用パターンの露出部までの最短距離が互いに異なる複数の対向部を備えることを特徴とする。
【0018】
また本発明の母基板は、好ましくは、前記電解めっき用パターンの露出部が、前記検査用パターンまでの最短距離が互いに異なる複数の対向部を備えることを特徴とする。
【0019】
また本発明の母基板は、好ましくは、前記電解めっき用パターンの露出部が、先端が前記検査用パターンに向かって伸びる突起部を備えることを特徴とする。
【0020】
また本発明の母基板は、好ましくは、前記電解めっき用パターンが、前記露出部を除き、その表面が露出しないことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の母基板は、好ましくは、前記検査用パターンは、前記電解めっき用パターンの露出部との離間距離が、前記被めっきパターンに被着される電解めっき膜の厚みの管理範囲の下限に対応するものと、上限に対応するものとを含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の母基板は、好ましくは、前記検査用パターンは、前記被めっきパターンに被着される前記電解めっき膜の厚みの管理範囲の前記下限に対応したものが前記配線基板領域の中央部分に形成され、前記上限に対応したものが前記配線基板領域の前記周囲に形成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の電解めっき膜の形成方法は、前記母基板の前記電解めっき用パターンの露出部と前記検査用パターンとの間が短絡した場合に、前記電解めっき用パターンに流す電流を調整或いは停止することを特徴とする。
【0024】
また本発明の電解めっき膜の形成方法は、前記母基板の前記複数の端子のそれぞれに対応する各検査用パターンおよびこれと対になる各露出部からなる組のうち、前記電解めっき用パターンの露出部と前記検査用パターンとの間が短絡した組から順次、該短絡した組に対応する端子に流す電流を調整或いは停止することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の電解めっき膜の形成方法は、前記電解めっき用パターンの露出部との離間距離が前記電解めっき膜の管理範囲の下限に対応した前記検査用パターンと前記電解めっき用パターンの露出部とが短絡した後で、前記上限に対応した前記検査用パターンと前記露出部とが短絡する前または短絡した時に前記電解めっき用パターンに流す電流を停止することを特徴とする。
【0026】
本発明の母基板は、配線基板領域を有する素基板と、前記配線基板領域に形成された被めっきパターンと、前記被めっきパターンに電気的に接続される電解めっき用パターンと、を有する被めっき基板、及び、前記電解めっき用パターンに電気的に接続される第1の検査用パターンと、該第1の検査用パターンに離間して並設された第2の検査用パターンとを表面に有する検査用基板を備えたことを特徴とする。
【0027】
また、本発明の母基板は、好ましくは、前記第1の検査用パターン及び第2の検査用パターンが、フォトリソグラフィ技術を用いて形成されたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明の電解めっき膜の形成方法は、好ましくは、上記に記載の被めっき基板の被めっきパターンに電解めっき膜を形成する方法において、前記第1の検査用パターンと第2の検査用パターンとの間が短絡した場合に、前記電解めっき用パターンに流す電流を調整或いは停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の母基板は、配線基板領域を有する素基板と、配線基板領域に形成された被めっきパターンと、被めっきパターンに電気的に接続されるとともに、少なくとも一部が表面に露出する電解めっき用パターンと、電解めっき用パターンの露出部に離間して並設された検査用パターンとを備える。これにより、電解めっき用パターンにめっき膜が被着されて、該被着しためっき膜が、対応する検査用パターンに向かって成長することにより、めっき過程における母基板へのめっき膜の被着状態を、この電解めっき用パターンと検査用パターンとの間隔を確認することで容易に推測することが可能な母基板を提供できる。或いは、電解めっき用パターンの露出部と検査用パターンとの間の電気的短絡を調べることにより、めっき過程における母基板へのめっき膜の被着状態を推測することができる。
【0030】
また、本発明の母基板は、好ましくは、素基板は、配線基板領域の周囲に捨代領域をさらに備え、電解めっき用パターンの露出部と、検査用パターンとが、捨代領域に形成されている。これにより、母基板の取り扱いを容易にできるとともに、配線基板領域が形成されない捨代領域に電解めっき用パターンの露出部と検査用パターンを形成することができ、めっき過程における母基板へのめっき膜の被着状態を確認する際に、電解めっき用パターンと検査用パターンとの間隔の視認性を向上することができる。
【0031】
また、本発明の母基板は、好ましくは、素基板が、配線基板領域内に、ダミー配線基板領域を有しており、電解めっき用パターンの露出部と、検査用パターンとが、ダミー配線基板領域に形成されている。これにより、母基板の周辺だけでなく、配線基板領域の内側においても、めっき過程における母基板へのめっき膜の被着状態を、この電解めっき用パターンと検査用パターンとの間隔を確認することで容易に推測することが可能な母基板を提供できる。
【0032】
また、本発明の母基板は、好ましくは、電解めっき用パターンに、めっき用電源に電気的に接続するための端子が複数設けられており、複数の端子のそれぞれに対応して、検査用パターンおよびこれと対になる前記露出部が、複数組設けられている。これにより、母基板の各領域や各部位に対応する電解めっき用パターンの露出部と検査用パターンとの間のめっき膜の被着状態を確認することにより、配線基板領域ごとや、配線基板領域内の部位ごとのめっき膜の被着状態を推測することが可能な母基板を提供できる。
【0033】
また、本発明の母基板は、好ましくは、検査用パターンが、電解めっき用パターンの露出部までの最短距離が互いに異なる複数の対向部を備えることから、この複数の対向部のそれぞれと、露出部との電気的な導通を確認することで、めっき膜の被着状態を推測することができる。すなわち、被着されるめっき膜の厚みに応じて、成長しためっき膜が到達した対向部と、到達していない対向部とをそれぞれ確認して、めっきした後の母基板のめっき膜の被着状態を、さらに詳細に推測することが可能な母基板を提供できる。
【0034】
また、本発明の母基板は、好ましくは、電解めっき用パターンの露出部が、検査用パターンまでの最短距離が互いに異なる複数の対向部を備えることから、この複数の対向部のそれぞれと、検査用パターンとの電気的な導通を確認することで、めっき膜の被着状態を推測することができる。すなわち、検査用パターンまでめっき膜が成長した対向部と、検査用パターンまでめっき膜が成長していない対向部とをそれぞれ確認して、母基板のめっき膜の被着状態を、さらに詳細に推測することが可能な母基板を提供できる。
【0035】
また、本発明の母基板は、好ましくは、前記電解めっき用パターンの露出部が、先端が前記検査用パターンに向かって伸びる突起部を備える。この突起部によりエッジ効果がはたらき、検査用パターンと電解めっき用パターンとの間にめっき膜が成長し易い状態となる。従って、検査用パターンのめっき厚みに対する感度を向上させることが可能な母基板を提供できる。
【0036】
また、本発明の母基板は、好ましくは、電解めっき用パターンが、露出部を除き、その表面が露出しないことから、母基板の電解めっき用パターンへの余分なめっき膜の被着を抑制できる。
【0037】
また、本発明の母基板は、検査用パターンは、電解めっき用パターンの露出部との離間距離が、被めっきパターンに被着される電解めっき膜の厚みの管理範囲の下限に対応するものと、上限に対応するものを含んでいる場合には、以下の点で好ましいものとなる。
【0038】
すなわち、この場合には、電解めっき用パターンに電解めっき膜が被着される際に、そのめっき膜の厚みについて管理範囲の上限および下限に対応する検査用パターンと電解めっき用パターンとの短絡の有無や離間距離を確認することによって、電解めっき用パターンを介してめっき用の電流が供給されて電解めっき膜が被着される被めっきパターンについて、より容易に、精度を高めて電解めっき膜の厚みを管理することができる母基板を提供できる。
【0039】
例えば、検査用パターンのうち、電解めっき用パターンの露出部との離間距離が被めっきパターンに被着される電解めっき膜の厚みの管理範囲の下限に対応するものと電解めっき用パターンとが短絡しているときには、被着された電解めっき膜の厚みが管理範囲の下限以上にあると推測することができ、また、上限に対応するものと電解めっき用パターンとが短絡していない場合には、未だ管理範囲の上限を超えていないと推測することができる。
【0040】
なお、検査用パターンと電解めっき用パターンの露出部との離間距離が被めっきパターンに被着される電解めっき膜の厚みの管理範囲の下限に対応するというのは、以下のように検査用パターンと電解めっき用パターンの露出部との離間距離を設定することをいう。すなわち、予め電解めっき試験を行い、電解めっき膜の厚みの管理範囲の下限に達したときの電解めっき膜の横方向への広がり幅(平面視したときの被めっきパターンから外側への広がり幅)を求めておき、この広がり幅に相当する距離を検査用パターンと電解めっき用パターンの露出部との離間距離とする。同様に、検査用パターンと電解めっき用パターンの露出部との離間距離が被めっきパターンに被着される電解めっき膜の厚みの管理範囲の上限に対応するというのは、予め電解めっき試験を行い、電解めっき膜の厚みの管理範囲の上限に達したときの電解めっき膜の横方向への広がり幅を求めておき、この広がり幅に相当する距離を検査用パターンと電解めっき用パターンの露出部との離間距離とする。
【0041】
また、本発明の母基板は、検査用パターンは、被めっきパターンに被着される電解めっき膜の厚みの管理範囲の下限に対応したものが配線基板領域の中央部分に形成され、上限に対応したものが配線基板領域の周囲に形成されている場合には、以下の点でより好ましいものとなる。
【0042】
すなわち、この場合には、前述したエッジ効果に起因して、めっき膜が被着され難い(つまり電解めっき膜が最も薄くなる可能が高い)母基板の中央部分においてめっき厚みの管理範囲の下限を管理でき、さらにめっき膜が被着され易い(つまり電解めっき膜が最も厚くなる可能が高い)母基板の周囲において電解めっき膜の厚みの管理範囲の上限を管理できることから、さらに効果的に、精度を高くして電解めっき膜の厚みを管理することができる母基板を提供できる。
【0043】
本発明の電解めっき膜の形成方法は、電解めっき用パターンの露出部と検査用パターンとの間が短絡した場合に、電解めっき用パターンに流す電流を調整、或いは停止することから、配線基板領域ごとや、各配線基板領域内の部位ごとのめっき膜の被着状態を、検査用パターンと露出部とが短絡しているかいないかにより推測することができる。さらに短絡した場合に、電解めっき用パターンに流す電流を調整、或いは停止することから、部分的にめっき膜が過剰に被着されることを抑制できる。従って、めっき膜の厚みのバラツキが小さく、配線基板領域ごとや各配線基板領域内の部位ごとで電気的特性等の特性が良好であり、めっき膜の色調の変化が小さい電解めっき膜の形成方法を提供することができる。
【0044】
また、本発明の電解めっき膜の形成方法は、複数の端子のそれぞれに対応する各検査用パターンおよびこれと対になる各露出部からなる組のうち、電解めっき用パターンの露出部と検査用パターンとの間が短絡した組から順次、該短絡した組に対応する端子に流す電流を調整或いは停止することから、配線基板領域ごとや、各配線基板領域内の部位ごとのめっき膜の被着状態を、母基板の各領域に対応した組の検査用パターンが短絡することにより推測できる。従って、部分的にめっき膜が過剰に被着されることを抑制してめっき膜の厚みのバラツキがより小さく、配線導体間で電気的特性等の特性が良好であり、めっき膜の色調の変化が小さい電解めっき膜の形成方法を提供することができる。
【0045】
また、本発明の電解めっき膜の形成方法は、上記電解めっき膜の管理範囲の上下限に対応した検査用パターンを備える母基板の被めっきパターンに電解めっき膜を形成する方法において、電解めっき用パターンの露出部との離間距離が電解めっき膜の管理範囲の下限に対応した検査用パターンと電解めっき用パターンの露出部とが短絡した後で、上限に対応した検査用パターンと露出部とが短絡する前または短絡した時に電解めっき用パターンに流す電流を停止するようにした場合には、厚みの管理精度をより一層高くして電解めっき膜を形成することができる。
【0046】
例えば、この場合には、電解めっき用パターンに被着されるめっき膜の厚みについて、管理範囲の下限に対応した検査用パターンと電解めっき用パターンの露出部とが短絡することを検知することにより、電解めっき用パターンを介してめっき用の電流が供給される被めっきパターンに被着されている電解めっき膜について管理範囲の下限以上であることを検知することができる。そのため、母基板の電解めっき用パターンに被着されるめっき膜の下限値以下の厚みとなることを抑制できる。また、同様に、管理範囲の上限に対応した検査用パターンと電解めっき用パターンの露出部とが短絡する前、または短絡した時に電解めっき用パターンに流す電流を停止することにより、部分的にめっき膜が過剰に被着されることを抑制できる。したがって、この場合には、厚みの管理精度をより一層高くすることが可能な電解めっき膜の形成方法を提供できる。
【0047】
本発明の母基板は、配線基板領域を有する素基板と、配線基板領域に形成された被めっきパターンと、被めっきパターンに電気的に接続される電解めっき用パターンとを有する被めっき基板、及び、電解めっき用パターンに電気的に接続される第1の検査用パターンと、第1の検査用パターンに離間して並設された第2の検査用パターンとを表面に有する検査用基板を備えたことから、配線基板領域内におけるめっき膜の被着状態を、検査用基板の第1の検査用パターンと第2の検査用パターンとが短絡しているかいないかを調べることにより容易に推測することが可能な母基板を提供できる。
【0048】
また、本発明の母基板は、好ましくは、第1の検査用パターン及び第2の検査用パターンが、フォトリソグラフィ技術を用いて形成されていることから、第1の検査用パターンと第2の検査用パターンとの隙間をきめ細かく形成することが可能となる。これにより安定してパターン間の隙間を形成することが可能となる。従って、各配線基板領域内におけるめっき膜の被着状態を、第1の検査用パターンと第2の検査用パターンとが短絡しているかいないかを調べることにより、さらに精度よく推測することが可能な母基板を提供できる。
【0049】
本発明の電解めっき膜の形成方法は、好ましくは、被めっき基板の被めっきパターンに電解めっき膜を形成する方法において、第1の検査用パターンと第2の検査用パターンとの間が短絡した場合に、電解めっき用パターンに流す電流を調整或いは停止することから、めっき膜が過剰に被着されることを抑制してめっき膜の厚みのバラツキをより小さくでき、従って、配線導体間で電気的特性等の特性が良好であり、めっき膜の色調の変化が小さい電解めっき膜の形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
次に、本発明の母基板、および母基板の被めっきパターンへの電解めっき膜の形成方法について添付の図面を基に詳細に説明する。図1(a)は本発明の母基板の実施の形態を示す平面図であり、図1(b)は、そのA−A’線における断面図である。
【0051】
本発明の母基板は、捨代領域104および配線基板領域102を有する素基板101と、捨代領域104に形成された電解めっき用パターン105と、素基板101の外周に形成された端子107と、捨代領域104の電解めっき用パターン105と配線基板領域102との間に形成された引き出し導体(図示せず)を備えている。配線基板領域102の境界には、配線基板領域102を個片にすることを容易とするために、分割溝が形成される場合もある。
【0052】
素基板101は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミック材料から成る。素基板101は、このようなセラミック材料から成る複数の絶縁層が積層されることにより形成されている。素基板101は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の原料粉末を有機溶剤、バインダーとともにシート状に成形して複数のセラミックグリーンシートを作製し、このセラミックグリーンシートに打ち抜き加工を施して所定の形状、寸法に加工するとともに上下に積層して積層体となし、高温(1500〜1600℃程度)で焼成することにより形成される。
【0053】
配線基板領域102は、素基板101に設けられている。多数個取りの母基板の場合は、図1(a)に示すように、各配線基板領域102が中央部に集積して配置される。
【0054】
そして配線基板領域102は、被めっきパターン103、電子部品を搭載するための搭載部108等が形成される。
【0055】
他方、捨代領域104は、素基板101の配線基板領域102の外側に、これに隣接して形成されている。捨代領域104は、素基板101の取り扱いを容易とするためのものである。また、後述するように各配線基板領域102の被めっきパターン103にめっき用の電流を流す際に、その導電経路となる端子107、電解めっき用パターン105、および引き出し導体を形成するための領域としても機能する。
【0056】
なお、複数の配線基板領域102が、素基板101の主面の中央部に集積して形成される場合には、引き出し導体は、最外周に形成された配線基板領域102と電解めっき用パターン105との間の捨代領域104内に形成される。また、隣接する各配線基板領域102同士は、各配線基板領域102の周囲に形成された貫通導体106を介して接続される。
【0057】
また、被めっきパターン103は、たとえば配線基板領域102に搭載される電子部品の電極を電気的に接続させるための電極パッド(図示せず)や、その電極パッドを搭載部108の外側に導出する導電経路の一部である。このような被めっきパターン103には、電子部品の電極が、ボンディングワイヤや半田、あるいは導電性樹脂等の導電性接続材(図示せず)を介して電気的に接続される。
【0058】
なお、被めっきパターン103は、タングステン,モリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,白金,金等の金属材料から成り、例えば、タングステンから成る場合であれば、タングステンのペーストをセラミックグリーンシートに所定のパターンで印刷塗布しておき、一体焼成することにより形成することができる。
【0059】
このような被めっきパターン103は、その露出した部位の表面にニッケルや金,銅,コバルト,パラジウム,白金等の金属またはその合金等のめっき膜(図示せず)が被着される。これにより、被めっきパターン103の酸化を効果的に防止することができるとともに、被めっきパターン103に対するボンディングワイヤのボンディング性や半田の濡れ性等を向上させることができ、より一層、電子部品の電気的接続等の信頼性を優れたものとすることができる。
【0060】
そして、本発明の母基板は、被めっきパターン103に電気的に接続されるとともに、少なくとも一部が表面に露出する電解めっき用パターン105と、電解めっき用パターン105の露出部105aに所定の距離だけ離間して並設された検査用パターン109とを備えている。尚、この距離は、欲するめっき膜の厚みに応じて、例えば欲するめっき膜の厚みの70%〜130%程度の範囲で決定されることが好ましい。
【0061】
上記母基板に電解めっきを行う場合、素基板101の外周に形成された端子107をめっき用治具(図示せず)で保持し、めっき用電源からめっき用治具、端子107、電解めっき用パターン105、引き出し導体、貫通導体106等を介して各配線基板領域102の被めっき用パターン103にめっき用の電流が流される。
【0062】
多数個取りの母基板の場合、最外周の配線基板領域102の被めっきパターン103は、引き出し導体と直に接してめっき用の電流が流される。また、被めっきパターン103について隣り合う配線基板領域102同士の間で貫通導体106を介して電気的に接続させておくことにより、順次、最外周よりも内側の配線基板領域102の被めっきパターン103にもめっき用の電流が流される。
【0063】
さらに、電解めっき用パターン105の露出部105aは、被めっきパターン103に電気的に接続されているため、露出部105aにおいても、めっき膜が厚み方向に加え、この方向と直交する方向にも成長する。このとき、検査用パターン109は被めっきパターン103に電気的に接続されておらず電流が流されないことから、検査用パターン109にめっき膜が成長することはほとんどない。
【0064】
従って、電解めっき用パターン105にめっき膜が被着されて、被着しためっき膜が、対応する検査用パターン109に向かって成長することになり、めっき過程における多数個取り配線基板へのめっき膜の被着状態を、この電解めっき用パターン105の露出部105aと検査用パターン109との間隔を確認することで容易に推測することができる。
【0065】
また、本発明の母基板は、好ましくは、素基板101は、配線基板領域102の周囲に捨代領域104をさらに備え、電解めっき用パターン105の露出部105aと、検査用パターン109とが、捨代領域104に形成されている。ここで捨代領域104は、母基板の取り扱いを容易とするため、または電解めっき用パターン105や引き出し導体等の配線導体を容易に形成するためのものである。よって、捨代領域104には配線基板領域102が形成されておらず、通常は配線導体が形成されない。
【0066】
これにより、母基板の取り扱いを容易にできるとともに、配線基板領域102が形成されない捨代領域104に電解めっき用パターン105の露出部105aと検査用パターン109を形成することができ、電解めっき用パターン105の露出部105aとめっき過程における母基板へのめっき膜の被着状態を確認する際に、捨代領域104の主面はセラミックであり、電解めっき用パターン105や検査用パターン109と色調が異なることから、電解めっき用パターン105と検査用パターン109との間隔の視認性を向上することができる。
【0067】
また、本発明の母基板は、好ましくは、素基板101が、配線基板領域102内に、ダミー配線基板領域102aを有しており、電解めっき用パターン105の露出部105aと、検査用パターン109とが、ダミー配線基板領域102aの表面に形成されている。これにより、母基板の周辺だけでなく、配線基板領域102の内側においても、めっき過程における母基板へのめっき膜113の被着状態を、この電解めっき用パターン105と検査用パターン109との間隔を確認することで容易に推測することができる。
【0068】
ダミー配線基板領域102aを形成する場合、例えば、図6に示すように母基板の中央に、ダミー配線基板領域102aの周囲に配線基板領域102が配置されるようにダミー配線基板領域102aを形成しておき、このダミー配線基板領域102aの主面に被めっきパターン103と電気的に接続される露出部105aと、これに対応する検査用パターン109が形成されるようにすればよい。尚、検査用パターン109は、これに対応する検査用端子(図示せず)を設けて、該検査用端子に電気的に接続される。
【0069】
また、本発明の母基板は、電解めっき用パターン105に、めっき用電源に電気的に接続するための端子107が複数設けられており、複数の端子107のそれぞれに対応して、検査用パターン109および電解めっき用パターン105の露出部105aが複数組設けられていることが好ましい。このような構造により、配線基板領域102ごとのめっき膜の被着状態を、素基板101の各領域に対応する検査用パターン109を確認することにより、領域ごとに推測することができる。
【0070】
例えば、図1に示すように、素基板101の長辺側の両側にそれぞれ検査用パターン109およびこれと対になる露出部を複数組設ければ、それぞれの検査用パターン109の周囲の領域ごと(この場合、素基板101の角部に近い4箇所の領域ごと)に、配線基板領域102のめっき膜の被着状態を推測することができる。検査用パターン109の数をさらに増やすことにより、素基板101の領域ごとにめっき膜の被着状態をさらに精度よく推測することができる。
【0071】
なお、上述は多数個取りの母基板の例であったが、一の大型の配線基板領域と捨代領域からなる母基板の場合であっても、一の母基板の四隅にそれぞれ検査用パターン109およびこれと対になる露出部105aを複数組設けることにより、配線基板領域内の部位ごとのめっき膜の被着状態を推測することができる。
【0072】
また、図2に示すように、本発明の母基板は、検査用パターン109が、電解めっき用パターン105の露出部105aまでの最短距離が互いに異なる複数の対向部111を備えることが好ましい。この複数の対向部111のそれぞれと、検査用パターン109との間のめっき膜113の被着状態を確認することで、被めっきパターン103におけるめっき膜113の被着状態を段階的に推測することができる。すなわち、めっき膜113が検査用パターン109に到達するまで成長している対向部111と、めっき膜113が検査用パターン109に到達するまで成長していない対向部111とをそれぞれ確認して、被めっきパターン103におけるめっき膜113の被着状態を段階的に推測することが可能となる。
【0073】
なお、対向部111から検査用パターン109に到達するまでめっき膜113が成長したか否かは、視覚的に確認することも可能であるが、検査用パターン109と対向部111とが短絡しているか否かにより電気的に確認することも可能である。
【0074】
また、本発明の母基板は、電解めっき用パターン105の露出部105aが、検査用パターン109までの最短距離が互いに異なる複数の対向部111を備えることが好ましい。この複数の対向部111のそれぞれと、検査用パターン109との電気的な導通を確認することで、めっき膜113の被着状態を推測することができる。すなわち、検査用パターン109までめっき膜113が成長した対向部111と、検査用パターン109までめっき膜113が成長していない対向部111とをそれぞれ確認して、母基板のめっき膜113の被着状態を、さらに詳細に推測することができる。
【0075】
なお、この場合においても対向部111から検査用パターン109に到達するまでめっき膜113が成長したか否かは、視覚的に確認することも可能であり、検査用パターン109と対向部111とが短絡しているか否かにより電気的に確認することも可能である。
【0076】
また、図3(a)〜(c)に示すように、本発明の母基板は、電解めっき用パターン105の露出部105aが、先端が検査用パターン109に向かって伸びる突起部112を備えることが好ましい。このような構造では、突起した部位が形成されていない被めっきパターン103よりも、エッジ効果により、露出部105aの突起部112のほうが、めっき膜113がより成長し易くなる。従って検査用パターン109のめっき膜113の被着状態の確認に対する感度を向上させることができる。
【0077】
ここで、突起部112は、被めっきパターン103の一部として、素基板101となるセラミックグリーンシート上に、突起部112が形成されるように被めっき用パターン103用のペーストを印刷し、セラミックグリーンシートとともに一体焼成することにより形成することができる。
【0078】
なお、スクリーン印刷法により被めっき用パターン103用のペーストを用いて突起部112を形成するには、検査用パターン109と露出部105aとの間隔(距離)を位置精度良く確保するために、突起部112の先端はその幅を狭すぎないように形成することが好ましい。例えば、突起部112の先端は、台形状(図3の(a))、半円状(図3の(b))、長方形状(図3の(c))等といった形状に形成することにより、ペーストがスクリーン印刷用の製版を抜け易くなり、突起部112となるパターン形状を形状良く形成することができる。
【0079】
また、上述のスクリーン印刷法により露出部105aや突起部112或いは検査用パターン109を形成する方法にかえて、以下の方法により形成してもよい。例えば、突起部112となる領域に、スパッタリングやCVD法によりアルミニウム等の金属薄膜を形成し、これにフォトエッチング技術などを適用して、上述した形状を有する露出部105aや突起部112或いは検査用パターン109を形成してもよい。この場合、スクリーン印刷法に比べて、より微細な加工が可能となる。
【0080】
また、本発明の母基板は、電解めっき用パターン105は、露出部105aを除き、その表面が露出しないようにしてもよい。このような構造としたことから、多数個取り配線基板の電解めっき用パターン105への余分なめっき膜の被着を抑制できる。本来、電解めっき用パターン105は、電解めっき法により各配線基板領域102の配線導体にめっき膜を被着させるための導電経路として作用するものであり、配線基板領域102を取り囲むようにして捨代領域104に枠状に形成されているとよい。よって、めっき液に触れないように、素基板101の内部に埋設すれば、電解めっき用パターン105への余分なめっき膜の被着を抑制できるとともに、めっき液中の金属イオンの減少も抑制できることから、めっき液の金属イオン濃度が無駄に低下し難くなってよい。
【0081】
また、本発明の母基板は、図7および図8に示すように、検査パターン109について、電解めっき用パターン105の露出部105aとの離間距離が、被めっきパターン103に被着される電解めっき膜の厚みの管理範囲の下限に対応するもの(下限に対応する検査用パターン109a)と、上限に対応するもの(上限に対応する検査用パターン109b)とを含んでいる場合には、以下の点で好ましい。
【0082】
なお、図7(a)は本発明の母基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり図7(b)はそのA−A’線における断面図である。また、図8は、図7に示す母基板の要部を拡大して模式的に示す要部拡大図である。図7および図8において図1と同様の部位には同様の符号を付している。図8において、下限に対応する検査用パターン109aと電解めっき用パターン105の露出部105aとの離間距離K1、および上限に対応する検査用パターン109bと電解めっき用パターン105の露出部105aとの離間距離K2を、比較のため、まとめて模式的に示している。
【0083】
すなわち、この場合には、電解めっき用パターン105の露出部105aに(電解)めっき膜113が被着される際に、めっき膜113の厚みについて管理範囲の下限および上限に対応する検査用パターン109a,109bと電解めっき用パターン105の露出部105aとの短絡状態を確認することによって、電解めっき用パターン105を介してめっき用の電流が供給されて電解めっき膜が被着される被めっきパターン103について、より容易に、精度を高めて電解めっき膜の厚みを管理することができる。
【0084】
例えば、被めっきパターン103に被着される電解めっき膜の厚みの管理範囲を10〜30μmとした場合、外部の電源(直流整流器等のめっき用電源の供給装置)から送られてきた電流は、母基板の外縁に形成された端子107を介して被めっきパターン103に送られ、電解めっき用パターン105の内縁から配線基板領域102にかけて形成された引き出し導体を経て各配線基板領域102の被めっきパターン103に供給されて、被めっきパターン103や露出部105aにめっき膜113が被着される。この際に、下限に対応する管理用パターン109aと電解めっき用パターンの露出部105aとがめっき膜113を介して短絡したことを検知することにより、各配線基板領域102の被めっきパターン103に被着される電解めっき膜が下限値以上になったことを容易に推測できる。また、この図8に示す例では上限に対応する管理用パターン109bを4つ(上限に対応する管理用パターン109bと電解めっき用パターン105の露出部105aとの組が4組)設けている。これらの上限に対応する管理用パターン109bのいずれかと電解めっき用パターン105の露出部105aとが短絡したことを検知することにより、各配線基板領域102の被めっきパターン103に被着される電解めっき膜が上限値に達したことを容易に推測できる。
【0085】
また、本発明の母基板は、下限に対応する検査用パターン109a)が配線基板領域102の中央部分に形成され、上限に対応する検査用パターン109b)が配線基板領域102の周囲に形成されている場合には、以下の点でより好ましいものとなる。
【0086】
すなわち、この場合には、エッジ効果に起因して、めっき膜113が被着され難い(つまり電解めっき膜が最も薄くなる可能が高い)母基板の中央部分においてめっき厚みの管理範囲の下限を管理でき、さらにめっき膜113が被着され易い(つまり電解めっき膜が最も厚くなる可能が高い)母基板の周囲において電解めっき膜の厚みの管理範囲の上限を管理できることから、さらに効果的に電解めっき膜の厚みを管理することができる母基板を提供できる。
【0087】
例えば、母基板の中央部分にダミー配線基板領域102aを形成しておき、この中央部分に下限に対応する検査用パターン109aと露出部105aを並設しておれば、配線基板領域102の被めっきパターン103配線導体に供給される電流の密度が低下し、母基板の外周部のめっき厚みに比べて低くなる傾向がある母基板の中央部分において下限値を管理できる。また、配線基板領域102の周囲(母基板の外周部分)に上限に対応する検査用パターン109bと露出部105aを複数並設しておれば、配線基板領域102の被めっきパターンに供給される電流の密度が、母基板の中央部分のめっき厚みに比べて高くなる傾向(エッジ効果)がある母基板の外周部分において上限値を管理できることから、さらに効果的に電解めっき膜の厚みを管理することができる母基板を提供できる。
【0088】
次に、本発明の電解めっき膜の形成方法について説明する。本発明の電解めっき膜の形成方法は、上述した素基板101の被めっきパターン103に電解めっき膜を形成する際に適用可能なものである。すなわち、電解めっき用パターン105の露出部105aと検査用パターン109との間がめっき膜113の成長により短絡した場合に、電解めっき用パターン105に流す電流を調整或いは停止するものである。このような製造方法としたことから、被めっきパターン103に対するめっき膜の被着状態を検査用パターン109と露出部105aが短絡することにより推測することができる。従って被めっきパターン103にめっき膜が過剰に被着されることや被めっきパターン103にめっき膜が十分に被着されない状態のままめっき工程を終えることを抑制してめっき膜の厚みのバラツキが小さく、配線導体間で電気的特性等の特性が良好であり、めっき膜の色調の変化が小さい多数個取り配線基板を提供することができる。
【0089】
以下、図4を基にさらに詳細に説明する。まず、素基板101が電解めっき液中に浸漬される。このとき素基板101の外周に形成された端子107をめっき用治具(図示せず)で保持し、めっき用電源210からめっき用治具を介して電流を流す。これにより、端子107、電解めっき用パターン105、引き出し導体、および貫通導体106を介して各配線基板領域102の被めっきパターン103にめっき用の電流が流される。従ってめっき液中の金属イオンがマイナスに帯電した被めっきパターン103に析出することにより、被めっきパターン103の表面にめっき膜が被着される。
【0090】
さらに、電解めっき用パターン105に流す電流を調整或いは停止する機能を果たすのが、電源コントローラ220である。検査用パターン109と露出部105aがめっき膜の成長により短絡した場合に、めっき用電源210から流す電流を調整或いは停止する機能を有する。検査用パターン109と露出部105aが短絡した場合には、電源コントローラ220側にも電流が流されるため、この電流の変化を検知して、めっき用電源210をコントロールできるようになっている。
【0091】
このとき、検査用パターン109と露出部105aの間が短絡していない場合でも、素基板101は電解めっき液中に浸漬されているため、検査用パターン109と露出部105aとの間は完全な絶縁状態にはなりにくいが、検査用パターン109と露出部105aが短絡した場合には、明らかに検査用パターン109と露出部105aとの間の抵抗値が小さくなることから、短絡の状態を電源コントローラ220で検知することが可能である。
【0092】
なお、図4では、図が煩雑になることを避けるため、電源コントローラ220と検査用端子110との接続を1箇所でしか明示していないが、電源コントローラ220は他の3箇所の検査用端子110とも電気的に接続されていてもよい。
【0093】
また、図5に示すように、本発明の電解めっき膜の形成方法は、被めっきパターン103に電解めっき膜を形成する方法において、複数の端子107のそれぞれに対応する各検査用パターン109およびこれと対になる各露出部105aからなる組のうち、電解めっき用パターン105の露出部105aと検査用パターン109との間が短絡した組から順次、該短絡した組に対応する端子107に流す電流を調整或いは停止することを特徴とする。
【0094】
これにより、複数の端子107にそれぞれ対応する各領域の被めっきパターン103へのめっき膜の被着状態を、各端子に対応する検査用パターン109と露出部105aとの組における短絡を検知することにより推測できる。そして、検知信号に基づいて、各端子107への通電を上述のように制御することで、各端子107に対応する領域において,めっき膜が過剰に被着されることやめっき膜が十分に成長しないままめっき工程を終えてしまうことを抑制できる。従って、母基板101における端子107に対応する各領域ごとのめっき膜の厚みのバラツキが小さく、配線導体間で電気的特性等の特性が良好であり、めっき膜の色調の変化が小さい多数個取り配線基板を提供することができる。
【0095】
この場合、電源コントローラ220A,B,C,Dと各検査用端子110が電気的に独立して接続され、さらに、めっき用電源210A,B,C,Dと各端子107も同様に電気的に独立して接続される。これにより、それぞれの領域ごとの検査用パターン109と露出部105aが短絡したことを電源コントローラ220A,B,C,Dで検知して素基板101のそれぞれの領域A,B,C,Dごとに短絡の確認ができ、さらに、電源コントローラ220からめっき用電源210A,B,C,Dに素基板101の各端子107ごとに流す電流を調整或いは停止することができる。
【0096】
尚、各組からの検知信号を独立して確認でき、且つ各端子への通電を独立して制御できるのであれば、上記実施例に限定されるものではない。
【0097】
また、本発明の電解めっき膜の形成方法は、電解めっき膜の管理範囲の上下限に対応する検査用パターン109a,109bを備える母基板の被めっきパターン103に電解めっき膜を形成する方法において、電解めっき用パターン105の露出部105aとの離間距離が電解めっき膜の管理範囲の下限に対応する検査用パターン109aと電解めっき用パターン105の露出部105aとが短絡した後で、上限に対応する検査用パターン109bと露出部105aとが短絡する前または短絡した時に電解めっき用パターン105に流す電流を停止するようにした場合には、厚みの管理精度をより一層高くして電解めっき膜を形成することができる。
【0098】
例えば、この場合には、電解めっき用パターン105に被着されるめっき膜の厚みについて、管理範囲の下限に対応する検査用パターン109aと電解めっき用パターン105の露出部105aとが短絡することを検知することにより、電解めっき用パターン105を介してめっき用の電流が供給される被めっきパターン103に被着されている電解めっき膜について管理範囲の下限以上であることを検知することができる。そのため、母基板の被めっきパターン103に被着されるめっき膜の下限値以下の厚みとなることを抑制できる。また、同様に、管理範囲の上限に対応する検査用パターン109bと電解めっき用パターン105の露出部105aとが短絡する前、または短絡した時に電解めっき用パターン105に流す電流を停止することにより、部分的にめっき膜が過剰に被着されることを抑制できる。したがって、この場合には、厚みの管理精度をより一層高くすることが可能な電解めっき膜の形成方法を提供できる。
【0099】
また、本発明の電解めっき膜の形成方法は、上記した下限に対応する検査用パターン109aおよび上限に対応する検査用パターン109bを備える母基板の被めっきパターン103に電解めっき膜を形成する方法において、電解めっき用パターン105の露出部105aと下限に対応する検査用パターン109aとが短絡した後で、上限に対応する検査用パターン109bと露出部105aとが短絡する前または短絡した時に電解めっき用パターン105に流す電流を停止するようにした場合には、厚みの管理精度をより一層高くして電解めっき膜を形成することができる。
【0100】
例えば、この場合には、電解めっき用パターン105の露出部105aに被着されるめっき膜113の厚みについて、管理範囲の下限に対応する検査用パターン109aと電解めっき用パターン105の露出部105aとが短絡することを検知することにより、母基板の電解めっき用パターン105を介してめっき用の電流が供給される被めっきパターンに被着されるめっき膜の厚みについて管理範囲の下限以上であることを検知することができる。また、同様に、管理範囲の上限に対応する検査用パターン109bと電解めっき用パターン105が短絡した時に電解めっき用パターン105に流す電流を停止することにより、部分的にめっき膜が過剰に被着されることを抑制できる。したがって、この場合には、厚みの管理精度をより一層高くすることが可能な電解めっき膜の形成方法を提供できる。
【0101】
また、この場合に、図7(a)のように、母基板の中央部分にダミー配線基板領域102aを形成しておき、この中央部分に下限に対応する検査用パターン109aと露出部105aを並設しておれば、配線基板領域102の被めっきパターンに供給される電流の密度が低下し、母基板の外周部のめっき厚みに比べて低くなる傾向がある母基板の中央部分において下限値を管理できる。また、母基板の外周部分(例えば、前述した、配線基板領域102の周囲に設けた捨代領域104等)に上限に対応する検査用パターン109bと露出部105aを複数並設しておれば、配線基板領域102の被めっき用パターンに供給される電流の密度が、母基板の中央部分のめっき厚みに比べて高くなる傾向(エッジ効果)がある母基板の外周部分において上限値を管理できることから、さらに効果的に電解めっき膜の厚みを管理することができる電解めっき膜の形成方法を提供できる。
【0102】
ここで、下限に対応する検査用パターン109aは、母基板の中央部分に形成される配線基板領域102の被めっきパターン103のいずれかと電気的に接続されて形成されており、また、上限に対応する検査用パターン109bは、母基板の外周部分に形成される配線基板領域102の被めっきパターン103のうち、最外周の被めっきパターン103と電気的に接続されて形成されている。また、上限に対応する検査用パターン109bは、母基板に形成される電流供給用の複数の端子107のそれぞれに対応して母基板の外周部分に形成されている。
【0103】
また、母基板の被めっきパターン103に電解めっき膜を形成する際に、電解めっき膜の管理範囲の下限に対応する検査用パターン109aと電解めっき用パターン105の露出部105aとが短絡する前に、上限に対応する検査用パターン109bと電解めっき用パターン105の露出部105aとが短絡した場合には、被めっきパターン103への電解めっき膜の被着状態に何らかの不具合(断線や通電不良など)が発生したとして検知することも可能である。
【0104】
また、図9に示すように、本発明の第2の実施例にかかる母基板は、配線基板領域102を有する素基板101と、配線基板領域102に形成された被めっきパターン103と、被めっきパターン103に電気的に接続される電解めっき用パターン105と、を有する被めっき基板114、及び電解めっき用パターン105に電気的に接続される第1の検査用パターン117と、第1の検査用パターン117に離間して並設されるとともに、被めっき基板114に形成された検査用端子(図示せず)に電気的に接続された第2の検査用パターン118とを表面に有する検査用基板115を備える。これにより、各配線基板領域内のめっき膜113の被着状態を、第1の検査用パターン117と第2の検査用パターン118とが短絡しているかいないかにより推測することができる。
【0105】
このような検査用基板115は、例えば酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック材料から成る絶縁層を積層してなる小基板の上面に、離間して並設された第1の検査用パターン117と第2の検査用パターン118が形成されている。さらに小基板の下面に、電解めっき用パターン105、および検査用端子110にそれぞれ電気的に接続される1対の電極パッド116が形成されている。そして、第1の検査用パターン117および第2の検査用パターン118は、一対の電極パッド116の各々にビアホール119等で接続されている。また、検査用基板115は、絶縁性を有し、めっき液で変質しないものであればどのような材料でもよいため、素基板101と同一ではなく、その他のセラミック基板やガラスエポキシ基板等でもよい。
【0106】
尚、電極パッド116と電解めっき用パターン105とを電気的に接続するには、例えば、低温半田で接合する方法、導電性接着剤で接合する方法、機械的に母基板にはめ合せて接合する方法等が採用可能である。
【0107】
そして、本発明の電解めっき膜の形成方法は、第1の検査用パターン117及び第2の検査用パターン118が、フォトリソグラフィ技術を用いて形成されていることが好ましい。これにより、第1の検査用パターン117と第2の検査用パターン118との隙間を数μmオーダーまで狭くすることが可能となり、さらに安定して各配線基板領域内の部位ごとにおけるめっき膜113の被着状態を、推測することができる。フォトリソグラフィ技術を使用して、例えば、検査用基板115となるガラスエポキシ基板(図示せず)が多数配列形成された母基板の主面に、第1の検査用パターン117や第2の検査用パターン118、および各電極パッド116となる導体を形成することにより、第1の検査用パターン117と第2の検査用パターン118との隙間を例えば1μm〜100μm程度までの間で任意に調整して形成できる。この場合、1つの母基板において、第1の検査用パターン117と第2の検査用パターン118との隙間を何種類か形成することにより、管理するためのめっき膜113の厚みに応じた検査用基板115を一括して製造することも可能である。
【0108】
尚、フォトリソグラフィ技術とは、感光性物質の表面を、パターン状に露光することで、露光された部分と露光されていない部分からなるパターンを生成する技術をいう。そして、第1の検査用パターン117と第2の検査用パターン118は、この技術を用いて、以下の手順によって作成される。
【0109】
すなわち、小基板の上面に、アルミニウム等の金属薄膜を被着する。次に、この被着された金属薄膜上に感光性物質からなるフォトレジスト膜を被着する。次に所定パターンの開口を有するマスクによってフォトレジスト膜を被覆した状態で露光をする。次にフォトレジスト膜の露光された部位或いは露光されていない部位のどちらか一方が消失するように、ウェットエッチングを行う。これにより所定パターンの金属薄膜からなる第1の検査用パターン117及び第2の検査用パターン118が形成される。
【0110】
また、本発明の電解めっき膜の形成方法は、被めっき基板114の被めっきパターン103に電解めっき膜を形成する方法において、第1の検査用パターン117と第2の検査用パターン118との間が短絡した場合に、電解めっき用パターン105に流す電流を調整或いは停止することが好ましい。これにより、各配線基板領域内の部位ごとに被着されるめっき膜113の被着状態を、母基板の各領域に対応した第1の検査用パターン117と第2の検査用パターン118同士が短絡することにより、より効率的に推測できる。従って、部分的にめっき膜113が過剰に被着されることを抑制してめっき膜113の厚みのバラツキがより小さく、配線導体間で電気的特性等の特性が良好であり、めっき膜113の色調の変化が小さい電解めっき膜の形成方法を提供することができる。
【0111】
なお、本発明は上記実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更、改良を施すことは何ら差し支えない。例えば、本発明の実施の多数個取り配線基板の実施の形態では、母基板に電流を印加するための4箇所の端子、短絡を確認するための4箇所の検査用パターンを設けたが、その他の数の端子やパターンを設けた母基板としても良い。さらに、検査用パターンとこれに対向する露出部を母基板の周囲に形成したが、母基板のその他の場所に検査用パターンとこれに対向する露出部を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】(a)は、本発明の母基板の一の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は、(a)に示した母基板のA−A’線における断面図である。
【図2】図1の(a)に示すP箇所の要部拡大図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は、図1の(a)に示すP箇所の他の例を示す要部拡大図である。
【図4】本発明の電解めっきの形成方法の他の実施の形態を示す図である。
【図5】本発明の電解めっきの形成方法の他の実施の形態を示す図である。
【図6】(a)は、本発明の母基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり、(b)は、(a)に示した母基板のA−A’線における断面図である。
【図7】(a)は、本発明の母基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり、(b)は、(a)に示した母基板のA−A’線における断面図である。
【図8】本発明の母基板の他の実施の形態を示す要部拡大図である。
【図9】本発明の母基板の他の実施の形態を示す要部拡大図である。
【図10】(a)は、従来の多数個取り配線基板の実施の形態の構造を示す平面図であり、(b)は、(a)に示した多数個取り配線基板のB−B’線における断面図である。
【符号の説明】
【0113】
101・・・・素基板
102・・・・配線基板領域
102a・・・ダミー配線基板領域
103・・・・被めっきパターン
104・・・・捨代領域
105・・・・電解めっき用パターン
105a・・・露出部
106・・・・貫通導体
107・・・・端子
108・・・・搭載部
109・・・・検査用パターン
109a・・・下限に対応する検査用パターン
109b・・・上限に対応する検査用パターン
110・・・・検査用端子
111・・・・対向部
112・・・・突起部
113・・・・めっき膜
114・・・・被めっき基板
115・・・・検査用基板
116・・・・電極パッド
117・・・・第1の検査用パターン
118・・・・第2の検査用パターン
119・・・・ビアホール
210・・・・めっき用電源
220・・・・電源コントローラ
P・・・・・・要部
K1・・・・・下限に対応する離間距離
K2・・・・・上限に対応する離間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板領域を有する素基板と、
前記配線基板領域に形成された被めっきパターンと、
前記被めっきパターンに電気的に接続されるとともに、少なくとも一部が前記素基板の表面に露出する電解めっき用パターンと、
前記電解めっき用パターンの露出部に離間して並設された検査用パターンとを備えることを特徴とする母基板。
【請求項2】
前記素基板は、配線基板領域の周囲に捨代領域をさらに備え、
前記電解めっき用パターンの露出部と、前記検査用パターンとが、前記捨代領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の母基板。
【請求項3】
前記素基板は、前記配線基板領域内に、ダミー配線基板領域を有しており、
前記電解めっき用パターンの露出部と、前記検査用パターンとが、前記ダミー配線基板領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の母基板。
【請求項4】
前記電解めっき用パターンには、めっき用電源に電気的に接続するための端子が複数設けられており、該複数の端子のそれぞれに対応して、前記検査用パターンおよびこれと対になる前記露出部が、複数組設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の母基板。
【請求項5】
前記検査用パターンは、前記電解めっき用パターンの露出部までの最短距離が互いに異なる複数の対向部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の母基板。
【請求項6】
前記電解めっき用パターンの露出部は、前記検査用パターンまでの最短距離が互いに異なる複数の対向部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の母基板。
【請求項7】
前記電解めっき用パターンの露出部は、先端が前記検査用パターンに向かって伸びる突起部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の母基板。
【請求項8】
前記電解めっき用パターンは、前記露出部を除き、その表面が露出しないことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の母基板。
【請求項9】
前記検査用パターンは、前記電解めっき用パターンの露出部との離間距離が、前記被めっきパターンに被着される電解めっき膜の厚みの管理範囲の下限に対応するものと、上限に対応するものとを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の母基板。
【請求項10】
前記検査用パターンは、前記被めっきパターンに被着される前記電解めっき膜の厚みの管理範囲の前記下限に対応したものが前記配線基板領域の中央部分に形成され、前記上限に対応したものが前記配線基板領域の周囲に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の母基板。
【請求項11】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の母基板の被めっきパターンに電解めっき膜を形成する方法において、前記電解めっき用パターンの露出部と前記検査用パターンとの間が短絡した場合に、前記電解めっき用パターンに流す電流を調整或いは停止することを特徴とする電解めっき膜の形成方法。
【請求項12】
請求項4に記載の母基板の被めっきパターンに電解めっき膜を形成する方法において、前記複数の端子のそれぞれに対応する各検査用パターンおよびこれと対になる各露出部からなる組のうち、前記電解めっき用パターンの露出部と前記検査用パターンとの間が短絡した組から順次、該短絡した組に対応する端子に流す電流を調整或いは停止することを特徴とする電解めっき膜の形成方法。
【請求項13】
請求項9または請求項10に記載の母基板の前記被めっきパターンに前記電解めっき膜を形成する方法において、前記電解めっき用パターンの露出部との離間距離が前記電解めっき膜の管理範囲の下限に対応した前記検査用パターンと前記電解めっき用パターンの露出部とが短絡した後で、前記上限に対応した前記検査用パターンと前記露出部とが短絡する前または短絡した時に前記電解めっき用パターンに流す電流を停止することを特徴とする電解めっき膜の形成方法。
【請求項14】
配線基板領域を有する素基板と、前記配線基板領域に形成された被めっきパターンと、前記被めっきパターンに電気的に接続される電解めっき用パターンと、を有する被めっき基板、及び、前記電解めっき用パターンに電気的に接続される第1の検査用パターンと、該第1の検査用パターンに離間して並設された第2の検査用パターンとを表面に有する検査用基板を備えたことを特徴とする母基板。
【請求項15】
前記第1の検査用パターン及び第2の検査用パターンは、フォトリソグラフィ技術を用いて形成されたことを特徴とする請求項14に記載の母基板。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の被めっき基板の被めっきパターンに電解めっき膜を形成する方法において、前記第1の検査用パターンと第2の検査用パターンとの間が短絡した場合に、前記電解めっき用パターンに流す電流を調整或いは停止することを特徴とする電解めっき膜の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−141303(P2009−141303A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17623(P2008−17623)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】