説明

水不溶性物質のための水性担体系

【課題】有機リン脂質を含み、アルコールやこれに類似する溶媒を含まない、新規な新油性成分のための送達系を提供する。
【解決手段】水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質;
前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの両性界面活性剤;及び前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤;を含んで成る組成物であり、有機リン脂質は好ましくはレシチンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の陳述
本出願は、本書にその全体が参考として内含されている、1997年6月9日付同時係属米国出願第08/871,524号の一部継続出願である。
【0002】
技術的分野
本発明は、水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ有機リン脂質、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤に基づき、親油性材料及び水不溶性重合体、樹脂又はラテックスを水溶液中に取込むことを可能にする、新規の担体系に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
有機リン脂質は、例えば乳化、軟化及び酸化防止効果といったその顕著な生理学的特性のため化粧品及び薬品業界において重要な役割を果たしている。加水分解した時点で、有機リン脂質は、リン酸、アルコール、脂肪酸及び含窒素塩基を生み出す。大部分のリン脂質は両性である。すなわち極性「ヘッド」と無極性の「テイル」を有する。その結果、大部分のリン脂質は、水性環境中で懸濁させられたとき、極性ヘッドが水と接し無極性テイルが互いに接し合う状態で、自発的に2分子層に配列する傾向をもつ。大部分の天然に産生されるリン脂質は、水溶液中で小包性2分子層を形成しようとする。かかる2分子小包中では、リン脂質の無極性部分のいずれも、水溶液と全く接触していない。
【0004】
その無極性部分のため、リン脂質は標準的に水不溶性でありかつ、アニオン界面活性剤といった数多くの水溶性アニオン化合物と相容性をもたない。これらは、一範囲の界面活性剤により低レベルで水中で可溶化させることができるものの、これを達成することは往々にして容易ではない。
【0005】
その代り、可溶化は、アルコール水溶液中で特異的可溶化剤を用いて、適切に達成されてきた。例えば、Hager et al.に対する米国特許第4,874,553号は、可溶化剤として或る種のアミン化合物を使用することによりリン脂質混合物を水溶性又は水和性にする方法について論述している。Kassに対する米国特許第4,174,296号は、両性及びアニオン界面活性剤を含む特定の単一の可溶化剤とレシチンを混合することによって、水中のリン脂質化合物特にレシチン化合物の可溶性を改善する方法について記述している。これらの方法は、同時可溶化のためアルコールを利用している。アルコール溶液は、アルコールが二次溶媒として機能するように溶液を変質させることによりあらゆる2分子層形成を妨害するという欠点をもつことがある。
【0006】
水不溶性薬物のための担体を処方するため薬品業界ではレシチン及びその他のリン脂質が使用されてきた。例えば、Lau et al.,に対する米国特許第5,173,303号においては、水不溶性材料は、レシチンといったリン脂質から成る小包に包埋されている。Ribosa et al.,は、「界面活性剤との担体作用を通してのリポソーム構造の物理化学的修正」Int’l Journal of Cosmetic Science 14:131−149(1992)の中で、同様に、界面活性剤とリポソームの相互作用を介してのリン脂質の可溶化について論述している。しかしながら、Lau及びRibosaは、純粋リポソームの希釈溶液のみを調査した。
【0007】
可溶化のむずかしさにも関わらず、レシチンといったいくつかの有機リン脂質は、有利にも毛髪及び皮ふの疎水性表面に対する強い親和性をもつことから、毛髪及び皮ふに対し柔軟で潤った感触を与えることができる。さらに、これらのリン脂質は、毒物学的に安全である。かくして、化粧品及び薬品業界にとっては、アルコール又はその他の類似の溶媒を必要とすることなく、その他の親油性成分のための担体としてかかる有機リン脂質を内含する送達系を提供することが望ましいと思われる。
【0008】
水性系内に油、ビタミン及びセラミドといった親油性成分を可溶化させることに加えて、特定的には中和されていない又は部分的に中和された重合体、樹脂、又はラテックスといったその他の水不溶性成分を水性送達系内で可溶化させることも望ましいことだろう。Gersteinに対する米国特許第5,391,368号は、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤を含む組成物中でのヘヤスタイリング用重合体の可溶化について教示している。Gersteinによると、水不溶性スタイリング重合体はアニオン界面活性剤単独の中では可溶でないことから、これを溶解させるのは両性界面活性剤である。
【0009】
しかしながら、Gersteinにはいくつかの問題点がある。多くのヘヤケア及びヘヤセット製品は、それを頭皮及び髪の表面のpHと相容性あるものにしたいという考えで酸性pHで処方されている。Gersteinは、その系が処方されているpHについて開示していないものの、Gersteinの系が酸性化されたならば、ポリマーは溶液から沈降することになるだろう。さらにGersteinの系は、アニオン界面活性剤,両性界面活性剤及びスタイリングポリマーのその混合物中でいかなる付加的な親油性成分の担体とならず、又はそれがその担体となりうるという示唆も全くなされていない。さらにGersteinは、開示されたスタイリングシャンプー以外のいかなる製品へのそのスタイリングポリマーの取込みも記述しておらず、かかる取込みが可能であるという示唆も行なっていない。
【0010】
かくして、水不溶性材料、特に親油性材料、中和されていない又は部分的に中和されているポリマー、樹脂又はラテックスを可溶化することのできる水性送達系であって、これらの水不溶性材料が溶液から沈降せず、水不溶性材料の被着量を制御することができ、水不溶性成分に加えその他の成分の担体ともなりうる水性送達系に対するニーズがなお存在している。例えば、ヘヤダイ及びパーマ組成物といったその他の成分を含有する組成物中に水不溶性材料を取り込ませる系を得ることが有益であろう。本発明は、このような送達系を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの及びその他の利点を達成するため、本発明は、水溶液中に2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質、少なくとも1つの両性界面活性剤及び少なくとも1つの非イオン界面活性剤で構成された組成物に向けられている。非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤は両方共、有機リン脂質の量以上の量で存在する。
【0012】
もう1つの実施形態では、本発明は、水不溶性材料のための水性送達系に関する。この送達系(すなわち「担体」)には、少なくとも1つの水不溶性成分に加えて上述の組成物、そして水性層が内含される。非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤は好ましくは各々、有機リン脂質の量以上の量で存在する。有機リン脂質、両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤は、水不溶性成分を送達系中に取込むか又は送達系により可溶化させることを可能にするのに充分な組合せ量で存在する。
【0013】
本発明は同様に、(a)水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質、及び少なくとも1つの両性界面活性剤を組合わせて1つの混合物を形成する段階、(b)階(a)で得た混合物を加熱する段階、(c)水溶液を添加して希釈した混合物を形成する段階及び(d)希釈した混合物を冷却する段階を含んで成る水性系の調製のための方法にも向けられている。水不溶性成分は、段階(a)において取り込まれうる。
【0014】
最後にさらにもう1つの実施形態においては、本発明は、ケラチン性物質を処置するための方法にも向けられている。まず最初に、水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質;有機リン脂質の量以上の量で存在する少なくとも1つの両性界面活性剤;リン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤、及び少なくとも1つの水不溶性成分を含む水溶液が調製される。リン脂質、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤は、水不溶性成分を水溶液中に取込むことを可能にするのに充分な組合せ量で存在する。水溶液は、次にケチラン性物質に塗布される。
【0015】
ここで、本発明の当該好ましい実施形態を詳しく参照する。
発明の最良の実施形態
有利には、本発明は、水不溶性材料又は成分を水溶液中で可溶化させることを可能にする。同時に可溶化のためにいかなるアルコールも必要とされず、リポソーム調製の必要も全くない。さらに、水が蒸発した時点で、残された残渣は、水不溶性材料及び/又はリン脂質を内含する。
【0016】
本発明の組成物は同様に処方が容易でしかも、使用される界面活性剤が一般に穏やかであることから毛髪、皮ふ又はまつげに対し穏やかである。先行技術において試みられたリン脂質の可溶化とは異なり、本発明は、リン脂質の濃縮溶液中に少なくとも1つの非イオン界面活性剤及び少なくとも1つの両性界面活性剤の存在を必要とする。
【0017】
本発明の組成物及び送達系は、毛髪、皮ふ及びまつげの上に有機リン脂質/水不溶性物質を容易に被着させ、その固有の不溶性のため、水による洗い流しに耐える。従って、これらの組成物及び送達系は、毛髪シャンプー、コンディショナ、酸化力あるダイ及び脱色剤を含むヘヤダイ組成物、パーマ組成物、縮れ毛緩和組成物、ヘヤセット組成物、バス及びボディ製品、日焼け止め又は化粧品例えばマスカラ及びファンデーションの中で使用することができる。
【0018】
これらの系は同様に、特に局所施用において水不溶性薬品有効成分を送達するためにも使用可能である。かかる系はさらに、薬品又は食物中で敏感な成分を保護することにより酸化及び酸敗に対する保護をさらに助長することができる。
【0019】
付加的には、これらの系により運ばれる「負荷」はきわめて高いものであってよく、これは、経済的な意味でユーザー及びメーカーの両者に対し効力をもつ利点である。負荷は、添加された疎水性物質(水不溶性材料)の重量をリン脂質の重量で除したものを百分率で表わしたものとして定義される。かくして5gのリン脂質を伴う組成物中の疎水性物質1gは1/5又は20%の負荷である。当該技術分野においては、50%は高い負荷とみなされ、或る種の疎水性物質及び界面活性剤の組合せで達成できる。
【0020】
特別な理論に束縛されることなく、発明人は、本発明の組成物中では、組織された構造、恐らくは薄層状ゲルが有機リン脂質と非イオン性界面活性剤の間に形成され、両性界面活性剤により可溶化されると考えている。組織された構造はその他の水不溶性材料又は疎水性物質を取込むことができる。水性系においては、この構造は、溶液の清澄度により実証されるように、組織された状態にとどまり、わずかなチンダル光散乱効果を示し、濃縮されたとき、偏光の下で薄葉状の異方性構造を示す。
【0021】
従って1つの実施形態においては、本発明は、水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質、少なくとも1つの両性界面活性剤そして少なくとも1つの非イオン界面活性剤を含む組成物であって、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤が各々リン脂質の量以上の重量で存在している組成物に向けられている。両性界面活性剤の非イオン界面活性剤のいずれも単独では、有機リン脂質と満足のいく溶液を提供しない。両性界面活性剤又は非イオン界面活性剤のいずれかの中で溶解された場合、リン脂質についての可溶性は、本発明の界面活性剤混合物の中での可溶性に比べて低いものであった。
【0022】
本発明の組成物の成分に関しては、水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ好ましいリン脂質はレシチンである。レシチンは、リン脂質の混合物、すなわちリン酸エステルに結合した脂肪酸ジグリセリドの混合物である。好ましくは、レシチンは、リン酸のコリンエステルに結合したステアリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸のジグリセリドである。レシチンは通常、純粋ホスファチジルコリンとしてか又はホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、その他のリン脂質及び脂肪酸、トリグリセリド、ステロール、炭水化物及び糖脂質といったさまざまなその他の化合物を内含するリン脂質の粗製混合物として定義される。
【0023】
本発明で用いられるレシチンは、液体、粉末又は顆粒の形で存在することができる。本発明において有用なレシチンとしては、大豆レシチン及びヒドロキシル化レシチンがあるが、これらに制限されるわけではない。例えば、ALCOLEC Sは、流体状の大豆レシチンであり、ALCOLEC F100は粉末状の大豆レシチンであり、ALCOLEC Z3はヒドロキシル化レシチンであり、これらは全てAmerican Lecithin Companyから入手できる。
【0024】
本発明においては、レシチンは好ましくは、組成物全体の重量パーセントで0〜約5%の量で使用される。レシチン自体は、純粋原料ではなく遊離グリセリド、グリセリン、脂肪酸及び石けんを有する可能性があることから、この比率の調整を行なう必要がでてくる可能性がある。すなわち、1つのレシチン供給源が、最大限の溶液清澄度を達成するのにその他のレシチン供給源と異なる非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の比率を必要とする可能性もある。好ましくは、本発明の組成物は、清澄な溶液を形成するが、わずかに曇った溶液でも本発明の目的は同様に有効に達成される。
【0025】
レシチン以外で、本発明において有用である可能性のあるもう1つのリン脂質グループは、多機能性生体模倣リン脂質である。例えば、Mona Industries製の以下の多機能性生体模倣リン脂質が有用であると考えられる:PHOSPHOLIPID PTC,PHOSPHOLIPID CDM,PHOS PHOLIPID SV,PHOSPHOLIPID GLA及びPHOSPHOLIPID EFA。
【0026】
本発明において有用な両性界面活性剤としては、ベタイン、スルテイン、ヒドロキシスルテイン、両性2酢酸アルキル、両性2プロピオン酸アルキル、及びイミダゾリン又はその塩が含まれるが、これらに制限されるわけではない。アミノ酸、タンパク質などで形成されたものといったその他の脂肪酸凝縮物が適したものとして認められている。例えばRhone−Poulenc社から入手可能なその無塩形態でのMIRANOL C2M−SF Conc.(コカンフォジプロピオン酸2ナトリウム)といったコカンフォジプロピオネートが特に好ましい。同様に好ましいのは、Crodaから入手可能なCROSULTAINE−50(コカミドプロピルヒドロキシスルティン)である。両性界面活性剤は好ましくは、5%の有機リン脂質好ましくはレシチンが使用される場合、組成物全体の重量パーセントで約5〜25%の範囲内の量で組成物中に存在する。水不溶性重合体又は樹脂のための担体としてリン脂質/両性/非イオン系が利用される場合、両性界面活性剤は好ましくは約15〜25重量%の範囲内の量で組成物内に存在する。親油性材料のための担体としてリン脂質/両性/非イオン系が利用される場合、両性界面活性剤は好ましくは、約10〜20重量%の範囲内の量で組成物中に存在する。本発明において有用なその他の両性界面活性剤としては、McIntyre Group LtdからMACKANATE WGDの商品名で入手可能な小麦麦芽イミドPEG−2スルフォコハク酸2ナトリウム及びMcIntyre Group LtdからMACKAM2Sの商品名で入手可能な大豆両性2酢酸2ナトリウムがある。
【0027】
本発明に有用な非イオン性界面活性剤は、少なくとも10の親水親油バランス(HLB)を生じるよう誘導された、好ましくは、C〜C24の炭素鎖、好ましくはC12〜C18の炭素鎖、さらに好ましくはC16〜C18の炭素鎖を有する脂肪アルコール、脂肪酸またはグリセリドから生成される。HLBは、界面活性剤の親水性基のサイズおよび強度と親油性基のサイズおよび強度との間の平衡を意味すると理解される。このような誘導体は、ポリマー、例えばエトキシレート、プロポキシレート、ポリグルコシド、ポリグリセリン、ポリラクテート、ポリグリコレート、ポリソルベートおよび当業者に明らかなその他のものであり得る。このような誘導体は、前記のものの混合ポリマー、例えばエトキシレート/プロポキシレート種でもあり得るが、この場合、総HLBは好ましくは10またはそれ以上である。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、10〜25,さらに好ましくは10〜20モルのモル含量でエトキシレートを含有する。
【0028】
非イオン性界面活性剤は、以下のものから選択されるが、しかしこれらに限定されない:
炭素数 名称 商品名
C-12 ラウレス-23 BRIJ35 (ICI Surfactants)
C-16 セテス-10 BRIJ56 (ICI Surfactants)
C-16 セテス-20 BRIJ58 (ICI Surfactants)
C-16 イソセテス-20 Arlasolve200 (ICI Surfactants)
C-18 ステアレス-10 Volpo S-10 (Croda Chemicals Ltd.)
C-18 ステアレス-16 Solulan-16 (Amerchol Corp.)
C-18 ステアレス-20 BRIJ 78 (ICI Surfactants)
C-18 ステアレス-25 Solulan-25 (Amerchol Corp.)
C-18= オレス-10 BRIJ 97 (ICI Surfactants)
C-18= オレス-20 Volpo-20 (Croda Chemicals Ltd.)
プランタレン PLANTAREN(Henkel)の名称で販売されているアルキルポリグルコース界面活性剤も用い得る。非イオン性界面活性剤は、5%レシチンを用いる場合、全組成物の重量に対して好ましくは約5〜20重量%の量で存在する。さらに好ましくは、非イオン性界面活性剤は、約10〜20重量%の量で存在する。
【0029】
本発明の組成物の好ましい一実施態様では、水性溶液中で二分子層を生成し得る有機リン脂質、両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤がリン脂質の量より多い重量で各々存在するように、組成物中に存在する。さらに好ましい実施態様では、組成物中のリン脂質の量は一定に保持されるが、一方、両性および非イオン性界面活性剤の量は増大される。さらに好ましい実施態様では、存在するリン脂質の値を1として計算した場合、リン脂質、両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤は、全組成物に対して重量で、好ましくは約1:2:2の範囲の割合で組成物中に存在するが、即ちこの場合、界面活性剤の量は互いに別々に増大し得るが、リン脂質の量はずっと一定である。比率は、界面活性剤のいずれかの量が増大した場合、1:2:2を「上回る」と考えられる。リン脂質/両性/非イオン性系が親油性物質のための担体として用いられる場合、比率は、好ましくは約1:3:2およびそれ以上の範囲である。リン脂質/両性/非イオン性系が水溶性ポリマーまたは樹脂のための担体として用いられる場合、比率は、好ましくは約1:3:3およびそれ以上、さらに好ましくは約1:3:4以上の範囲である。本発明の送達系により保有される疎水性物質に関する荷重能力は、非イオン性界面活性剤対リン脂質の比が最小になると最大になり、過剰量の非イオン性界面活性剤が組織化構造を崩壊し得るため、二重層は可溶化されたままである。
【0030】
好ましい一実施態様では、本発明の組成物は、ALCOLECS(ダイズレシチン)、MIRANOL C2M−SF濃縮物(二ナトリウムコカンフォジプロピオネート、両性界面活性剤)、ARLASOLVE200(イソセテス−20、非イオン性界面活性剤)を、親油性水不溶性成分が用いられる場合は5:15:10(1:3:2)の比で、水不溶性ポリマー、樹脂またはラテックスが用いられる場合には5:15:20(1:3:4)の比で包含するが、この場合、比は、全組成物に対して重量で算出される。概して、本発明の好ましい組成物は、それらがレシチン(L)、両性界面活性剤(A)および非イオン性界面活性剤(N)を含有するために、「LAN」として知られている。レシチンは特に好ましいが、しかし両性および非イオン性界面活性剤は変わり得る。
【0031】
さらに別の処方物中の一成分として用いられる場合、LANは相溶性であり、一般に陰イオン性界面活性剤、例えばアルキルスルフェートおよびエトキシル化アルキルスルフェートとともに透明溶液を生じる。その他の陰イオン性界面活性剤、例えばスルホスクシネートも用い得る。典型的には、LAN組成物は、45℃で3ヶ月またはそれ以上の貯蔵に耐え得るが、これは、それらが室温で少なくとも3年の保存寿命を有することを予測する。
【0032】
別の局面において、本発明は以下のものを包含する水性送達または担体系に関する:水性溶液中で二分子層を生成し得る少なくとも1つの有機リン脂質、好ましくはリン脂質と等しいかまたはそれ以上の量で存在する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、好ましくはリン脂質と等しいかまたはそれ以上の量で存在する少なくとも1つの両性界面活性剤、少なくとも1つの水不溶性成分、および水性相。レシチン、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤は、少なくとも1つの水不溶性成分を水性系中に混入させるかまたはそれにより可溶化させるのに十分な併合量で存在する。可溶化のために十分な量は、組成物の種類によって変わり得る:例えば、シャンプーおよびマスカラ処方物は、コンディショナー、ディープトリートメント、ブリーチ、パーマ液、ヘアダイおよび弛緩剤組成物よりも低濃度のLANを要する。
【0033】
水不溶性物質または成分としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
(1)親油性「成分」または「物質」、例えばシリコーン、油溶性ビタミン、例えばビタミンEおよびビタミンA、日焼け止め、セラミドおよび天然油:親油性成分は、日焼け止め、静菌剤、モイスチャライザー、ヘアカラー、局所薬等。好ましい親油性成分としては以下のものが挙げられる:ビタミンE、ビタミンEアセテート、ビタミンAパルミテート、オリーブ油、鉱油、2−オレアミド−1,3−オクタデカンジオール、オクチルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、ならびにシリコーン、例えばジメチコーン、シクロメチコーン、フェニルトリメチコーン、ジメチコノール、ジメチコーンコポリオールおよびラウリルメチコーンコポリオール。親油性成分は、例えば、皮膚、毛髪および/または睫毛に潤いを与え、または状態調節し、そして油っぽい感触を後に残さない。
【0034】
(2)非中和または部分的中和水不溶性ポリマー、樹脂およびラテックス。これらのポリマーおよび樹脂としては、カルボキシル部分を含有するもの、例えばアクリレートおよびその他のカルボキシポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、水不溶性ポリマーおよび樹脂は、水性溶液中の製品を処方するために、そして良好な非沈着特性を有する、即ち使用後に毛髪から容易に洗い落とせる製品を製造するために、それらを水溶性にするためにそれらのカルボキシル部分の約90%に対して中和されねばならない。しかしながら、本発明の組成物とともに用いる場合、これらのポリマー/樹脂を溶解するためにはほとんどまたは全く中和は必要ない。一部分、非中和または部分的中和水不溶性ポリマーまたは樹脂は、本発明で特許請求された送達系に含入される両性界面活性剤によりそれは中和されるため、可溶化されるが、しかし単独で作用する両性界面活性剤は水中でポリマーまたは樹脂を可溶化せず、pHを酸性にさせる。前記のGersteinの特許を参照しながら考察すると、ポリマーまたは樹脂が両性界面活性剤単独により中和されると、溶液を酸性化して、望ましい場合には酸性pHを有するヘアケア組成物を調整しようとした場合、ポリマーまたは樹脂のカルボキシル部分は中和されなくなり、沈殿が生じる。水不溶性ポリマーまたは樹脂の可溶性を達成するのは、本発明の有機リン脂質、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤の組合せである。
【0035】
ラテックスに関しても同様に、それらは、その乳状(不溶性)外見のために用いられるため、一般的に非中和形態で化粧品中に用いられてきた。しかしながら、本発明の状況では、水不溶性ラテックスはアルカリ性pHに中和されて、溶解し、透明溶液を生じる。本発明人の知る限り、中和ラテックスは従来、化粧品組成物中に用いられていない。
【0036】
非中和または部分的中和ポリマーまたは樹脂の場合、このような物質はアルコール性または水性/アルコール性系から毛髪または皮膚に適用されるが、それらの毛髪からの濯ぎ落ちの良さは大いに待望されている。これに対比して、少なくとも1つの有機リン脂質、少なくとも1つの両性界面活性剤および少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を包含し、非イオン性界面活性剤が有機リン脂質と等しいかまたはそれ以上の量で存在する送達系中にこのようなポリマーまたは樹脂が適用される場合、ポリマーまたは樹脂は毛髪から容易に濯ぎ落とされる(非沈着)一方で、カールが望ましいことである場合には、カールの強力な保持を提供する。
【0037】
本発明の送達系中に混入し得るポリマーの例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0038】
・AMPHOMER LV−71(National Starch)(オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、
・OMNIREZ−2000(ISP)(PVM/MA半エチルエステルコポリマー)、
・RESYN28−2930(National Starch)(ビニルアセテート/クロトネート/ビニルネオデカノエートコポリマー)
・LUVIMER 100P(BASF)(t−ブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸)、および
・ULTRAHOLD STRONG(BASF)(アクリル酸/エチルアクリレート/t−ブチルアクリルアミド)。
【0039】
非中和または部分的中和水不溶性ラテックスは、皮膜形成剤として種々の用途に用いられてきた。本発明の送達系中に混入し得るラテックスを以下に示す:
・AMERHOLD DR−25(Amerchol)(アクリル酸/メタクリル酸/アクリレート/メタクリレート)、
・LUVIMER 36D(BASF)(エチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/メタクリル酸)、および
・ACUDYNE258(Rohm&Haas)(アクリル酸/メタクリル酸/アクリレート/メタクリレート/ヒドロキシエステルアクリレート)
60重量%までのこれらのポリマー/樹脂/ラテックスの各々を、リン脂質がレシチンであり、レシチン:両性界面活性剤:非イオン性界面活性剤が1:3:4である35%リン脂質/両性界面活性剤/非イオン性界面活性剤溶液に溶解した。溶液はすべて透明であり、水で無期限に希釈可能で沈殿せず、2ヶ月間保存後も安定であった。
【0040】
本発明の送達系の水性相は、付加的成分、例えば陰イオン性界面活性剤、有機塩、無機塩、タンパク質、ヘアダイ、水溶性ポリマー、第四級アンモニウム化合物、錯体および簡単な炭水化物、アミノ酸、防腐剤および芳香剤を含有し得る。
【0041】
本発明の系が濃縮形態で、即ち約5重量%の;有機リン脂質および1%の付加される水不溶性成分とともに用いられるものである場合、組成物は、最大の安定性および透明性のために、好ましくは4〜12の範囲のpHを有する。溶液の濃度が高いほど、送達は良好である。
【0042】
この配合物を水で希釈するか、または配合物を別の組成物中の一成分として用いる場合には、pHはより広い範囲を有し、即ち好ましくは2〜12の範囲であって、広範な種々の添加剤を溶液中に含入し得る。水を濃縮LANに付加する場合、多量の水を一度に付加すると濁った溶液が生じると考えられる。しかしながら、LANは最後には溶液中に入って、透明になるかまたは少なくともより透明になる。透明になるまでの時間は、LAN比が増大すると低減する。LANの組織化構造が一旦形成されると、さらに水を付加しても透明性には影響しない。これらの希釈配合物は、水不溶性成分を送達する場合でも非常に有効である。配合物を凍結乾燥して、水に再溶解する吸湿性固体にし得る。このような固体を、それらが余分の水分を取り込み、保持しないようカプセル封入することも意図される。このようなカプセル封入固体は望ましい保存特性を有し、種々の希釈で水に溶解するのが容易である。希釈の必要性は、用いられる水不溶性物質によって変わる。
【0043】
本発明の別の実施態様は、本発明の水性系の製造方法に言及する。この方法は、(a)以下の成分、即ち水性溶液中に二重層を生成し得る少なくとも1つの有機リン脂質、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤および少なくとも1つの両性界面活性剤であって、非イオン性および両性界面活性剤は各々有機リン脂質の量と等しいかまたはそれ以上の重量で存在するものを併合して混合物を生成し、(b)工程(a)で得られた混合物を加熱し、そして(c)水性溶液を加熱混合物に付加して、所望の担体系を得る工程から成る。水不溶性成分は、工程(a)で付加され得る。好ましくは、得られた担体系は、高負荷(即ち、50%は高負荷とみなされる)の有機リン脂質/水不溶性成分を保有し得る。混合物は、固体界面活性剤の融点によって、好ましくは65℃〜85℃の温度で加熱される。
【0044】
特に、本発明の担体系の調製は、以下のように実行し得る。レシチン(L)を水に分散させる。水不溶性物質を、適切な割合で非イオン性界面活性剤(単数または複数)(N)と併合して、レシチン/水分散液に付加する。両性界面活性剤(A)を付加し、混合物を、好ましくは75℃〜85℃の温度に加熱する。これらの成分の組合せにより溶液が生じるが、これは透明〜わずかに曇っていて、「LAN」と呼ばれる。次にこれを「原料」として用いて、完成品を製造する。
【0045】
あるいは、レシチン、両性界面活性剤(単数または複数)および非イオン性界面活性剤(単数または複数)を計量して適切な比率にし、攪拌しながら70℃に加熱する。次に十分量の水を同一温度で付加する。別の代替的製造方法は、溶液冷却後に、攪拌しながら水不溶性成分を付加する工程を包含する。この最後の代替法は、感熱性水不溶性成分を保護するのに役立つ。
【0046】
その結果生じる組成物は、透明〜わずかに曇っていると変わり得るが、水で無期限に希釈可能である。わずかな曇りは、レシチン体界面活性剤の比率を調整し、pHを調整し、または水不溶性成分の濃度を低減することにより克服し得る。
【0047】
別の実施態様では、本発明はケラチン物質、例えば毛髪、皮膚または睫毛(これらに限定されない)の処理方法に関する。先ず、水性溶液中で二重層を生成し得る少なくとも1つの有機リン脂質、リン脂質の量と等しいかまたはそれ以上の量(重量)で存在する少なくとも1つの両性イオン性界面活性剤、リン脂質の量と等しいかまたはそれ以上の量(重量)で存在する少なくとも1つの非イオン性界面活性剤、少なくとも1つの水不溶性成分を含有する水性溶液を調製する。リン脂質、両性界面活性剤および非イオン性界面活性剤は、水不溶性成分を水性溶液中に混入させるのに十分な併合量で存在する。次に水性溶液をケラチン物質に適用する。処理するという用語は、本発明の状況では、シャンプーし、状態調節し、染毛し、ブリーチし、パーマ処理し、弛緩し、セットし、潤いを与え、そしてメークアップする、例えばマスカラまたはファンデーションを適用することを含むが、これらに限定されない。
【0048】
前記のように、本発明の組成物および担体系は、成分それ自体として、例えばシャンプー、コンディショナー(リンスオフおよびリーブイン)、毛発揚ディープトリートメント、ボディウォッシュ、バスゲル、ヘアダイ組成物、パーマネント処方物、弛緩剤、メークアップ調製物、特に増すからおよびファンデーション、ならびにスキンクリームまたはローション中に用い得る。
【0049】
毛髪用製品に関しては、本発明のキャリアー系を用いて、例えば正常毛髪、カラー処理毛髪、乾燥毛髪、細い毛髪および損傷毛髪のための毛髪用製品を処方し得る。各種類の毛髪に対して、LANを用いて、シャンプー、コンディショナーおよびディープトリートメント(即ちディープコンディショナー)から成るレジメンを作成し得る。これらの製品に用いられるLAN組成物は、好ましくはレシチン(L)、少なくとも1つの両性界面活性剤(A)、例えば二ナトリウムコカンフォジプロピオネート、そして少なくとも1つの非イオン性界面活性剤(N)、例えばオレス−10とPPG−5−セテス−20の配合物を含有する。付加的非イオン性、両性、そして陰イオン性界面活性剤も付加し得る。LAN組成物は、少なくとも1つの水不溶性成分(疎水性とも呼ばれる)、例えばオリーブ油、鉱油またはその他の油、オクチルサリチレート、ビタミンE(トコフェロール)、オクチルメトキシシンナメート、および2−オレアミド−1,3−オクタデカンジオールを含めたセラミドも含有し得る。
【0050】
概して、LANの濃度は、シャンプーからコンディショナー〜ディープトリートメントまでの各レジメン内で増大される。したがって、ディープトリートメント処方物は、最高濃縮疎水性物質保有LANを有する。
【0051】
本発明のLAN系は、前記の毛髪用製品において、タンパク質、例えば加水分解ダイズタンパク質、ラウリルジモニウム加水分解ダイズタンパク質(陽イオン性ダイズタンパク質)およびコムギアミノ酸とも会合され得る。タンパク質としては、トウモロコシ、コムギ、牛乳または絹タンパク質、コラーゲン、ケラチンまたはその他のものも挙げられる。さらに、タウリンおよびアルギニン塩酸塩もそこに会合されて、タンパク質の毛髪との結合を最大にし得る。陽イオン性タンパク質またはタンパク質は、概して、LANのための安定剤であり、LAN構造の表面の電荷を変えることによりその送達を増強し得る。皮膚および毛髪は陽イオン性成分を引きつけ、タンパク質は一般に、これらの組織に常在する。
【0052】
コンディショニングエマルションでは、非イオン性乳化剤、例えばグリセリルステアレートおよびPEG−100ステアレートが用いられ、LANはそれ自体水不溶性、特に親油性の成分として処理される。
【0053】
LANヘアケア組成物中のその他の成分としては、陽イオン性ポリマー、例えばポリクォーターニウム4、ポリクォーターニウム6、ポリクォーターニウム7、ポリクォーターニウム10、ポリクォーターニウム11、ポリクォーターニウム16、ポリクォーターニウム22およびポリクォーターニウム32、陽イオン性コンディショナー、例えばクォーターニウム27、ベヘンアミドプロピルPG−二ナトリウムクロリド、ヒドロキシエチルタロウジモニウムクロリド、ヘキサジメトリンクロリド、ステアルアルコニウムクロリドおよびセトリモニウムクロリド、イソパラフィン、塩化ナトリウム、プロピレングリコール、防腐剤、例えばフェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベンおよびプロピルパラベン、pH調整剤、例えばリン酸、保湿剤、例えばトレハロース、ならびにエモリエント剤、例えばオクチルドデカノールが挙げられる。前記の種類の物質からの多数のその他の例も、当業者には容易に分かる。
【0054】
さらに、本発明の範囲内のシャンプー、コンディショナーおよびディープトリートメントは、例えばカラー処理(ヘアダイまたはブリーチ)した、または化学処理(パーマ処理またはストレート処理)した毛髪、あるいは乾燥した毛髪や細い毛髪に用い得るし、毛髪に対して有意の常在性を示す。
【0055】
以下の実施例により本発明はさらに明らかにされるが、それらは本発明を説明するためのものであって、本発明はそれらに限定されない。
実施例
実施例1:界面活性剤の混合物における溶解度パラメーターの確定
5gのレシチンをMIRANOL C2M−SF濃縮物(両性界面活性剤)およびARLASOLVE200(イソセテス−20、非イオン性界面活性剤)の混合物中に溶解した。水不溶性(親油性
)成分はオリーブ油であった。結果を下記の表1および2に示す。
【0056】
【表1】


表1では、レシチンを5gに固定し、種々の比率のLANを20〜100%の負荷の一関数として調べた(負荷は付加した親油性物質の重量をレシチンの重量で割った値である)。界面活性剤対レシチンの最低比率では、20%負荷のみが達成された。言い換えれば、1:3:2の割合に関しては、LAN溶液は0.2または20%荷重でのみ透明であった。しかしながら、界面活性剤対レシチンの比率を上げると、組織化構造は壊れた。したがって、界面活性剤対レシチン比が最大のLANでも、理論的にはより多くの親油性物質を保有し得るし、最適結果は最大レシチン対最小界面活性剤で達成される。結果は、1:3:2の割合の場合にオリーブ油を含有する透明な、希釈可能な混合物が得られたことを示す。
【0057】
【表2】


* 最適比
表2は、親油性負荷を考慮していない。したがって、両性および非イオン性界面活性剤の量は、表1の(1:3:2)および(1:3:3)における20%負荷で透明であった1組の点のあたりの広範な濃度全体で変化した。表は、LANの比が溶液の透明性の差を作ったことを示す。非イオン性界面活性剤の量を増大すると溶液は透明のままであるが、しかしその量を低減すると、溶液は曇ってきた。両性界面活性剤対非イオン性界面活性剤の比は、得られる最適結果に関してはあるレベルで保持されるが、しかし界面活性剤の総濃度は、その上、ある役割を演じる。例えば、両性界面活性剤対非イオン性界面活性剤の比を3:2に保持した場合、総界面活性剤濃度はレシチンに対して低減し(即ち1:3:2から1:2.4:1.6に。これは同一比率であるが、相対濃度が異なる)、結果は曇り溶液であった。この場合、例えば非イオン性界面活性剤を2.0に増大した場合、レシチンのこの重量の混合物は透明にならなかった。
【0058】
1:2:2(5:10:10)より大きい溶液の希釈可能性は無限であったが、しかしその比率では、溶液は完全に透明ではなかった。1:3:2のLAN比では、溶液は一般に透明で且つ無期限に希釈可能であった。
【0059】
実施例2:新油性成分の溶解性試験
2−オレアミド−1,3−オクタデカンジオール(セラミド)とヘアケア製品中にしばしば用いられる親油性成分であるオリーブ油の溶解度を、5gのレシチンと種々の量のMIRANOL C2M−SF濃縮物を包含する混合物で評価した。2−オレアミド−1,3−オクタデカンジオールとオリーブ油はともに、1%レベルで、15%(15g)MIRANOLおよび10%(10g)ARLASOLVEと透明安定レシチン溶液を形成した。したがって、親油性物質は1:3:2LAN比で最良に可溶化された。
【0060】
実施例3:HLB値の調査
異なる比率の非イオン性界面活性剤BRIJ72(HLB4.9)およびBRIJ700(HLB18.8)を用いて、5〜18の範囲のHLBを得た。同一のHLB値だけを調べた。試験した処方物は、異なるHLBを有する5%ALCOLEC S、15%MIRANOL C2M−SF濃縮物および15%非イオン性物質(1:3:3の比)を含有した。意外なことに、調べたHLB値の中で透明溶液を提供したものはなかった。各々の場合、溶液の代わりに濃厚なゲルが生成された(表3参照)。
【0061】
【表3】


実施例4:LAN中の染料の溶解性および有効性の検査
LANと組合せて用いた染料の溶解性および有効性を調べた。LANは毛髪用着色/染毛調製物に、特に以下の3つの新規の且つ意外な局面を提供する:(1)LANは、ヘアカラー組成物中に典型的に含まれ、染料をカラー基剤に溶解させるのに役立つ古典的補助溶媒、例えばエタノール、アルキルポリオールまたはプロピレングリコールの必要をなくし、(2)LANを用いると、第四級化アミノ化合物が毛髪の状態調節を実行する必要がなくなり、そして(3)これらの組成物の混合または貯蔵中にヘアカラー組成物を窒素掩蔽する必要がない。
【0062】
染料組成物1
脱イオン水 61.4g
亜硫酸ナトリウム 1.0g(酸化防止剤)
イソアスコルビン酸 0.8g(酸化防止剤)
パラフェニレンジアミン 0.8g
p−アミノオルトクレゾール 0.15g
メタ−アミノフェノール 0.3g
パラ−アミノフェノール 0.5g
2、4−ジアミノフェノキシエタノール 0.05g
脱イオン水を70℃でガラスビーカーに付加し、その後前記の残りの成分を付加した。別のビーカーで、5gのダイズレシチン、15gの二ナトリウムコカンフォジプロピオネートおよび15gのイソセテス−20(LAN、1:3:3)を70℃に加熱して、攪拌しながら水性相に付加した。水酸化アンモニウムのアリコートを付加して、pHを8.4に調整した。
【0063】
その結果生じた透明薄黄色ヘアカラー組成物をガラス瓶中に5週間保存した。窒素ブランケットは用いなかった。結晶化は起きなかった。溶液の黒化も生じなかった。
【0064】
ヘアカラー組成物の10g部分をプラスチックボールに深し、等容量の20容量過酸化水素と混合し、次に25%の白髪も含有するレベル6のナチュラルブラウン毛髪に室温で20分間適用した。20分後、水道水で10分間毛髪を濯ぎ、市販のヘアドライヤーで乾燥させて、L=19.11、a=0.82、b=0.03とした。
【0065】
L、aおよびbは、以下のように定義される。Lは、色値の明るさまたは暗さを示す。したがって、L値が高いほど毛髪は明るくなり、生じていた褪色がより大きかったということである。Lが0である場合、毛髪は黒色で、Lが100であれば毛髪は白色である。−aおよび+aは、緑色から赤色への色調の変化を表す。−bおよび+bは、青色から黄色への色調の変化を表す。本実施例では、毛髪の色全体がレベル4の濃さの中間褐色色調に低減した。
【0066】
染料組成物2
染料組成物1を調製したが、但し、酸化防止剤は、イソアスコルビン酸+亜硫酸ナトリウムの代わりに1.8gのイソアスコルビン酸であった。その結果生じた透明で薄黄色ヘアカラー組成物を、ガラス瓶中で5週間保存した。窒素ブランケットは用いなかった。結晶化は起きなかった。溶液の黒化は起きなかった。組成物を前記のように毛髪に適用した。結果は、L=22.11、a=0.70、b=−0.07であった。毛髪の色は全体にレベル5の濃さの褐色色調に低減した。
【0067】
染料組成物3
染料組成物1を調製したが、但し、pHは10に調整した。その結果生じた透明で薄黄色ヘアカラー組成物を、ガラス瓶中で5週間保存した。窒素ブランケットは用いなかった。結晶化は起きなかった。溶液の黒化は起きなかった。組成物を前記のように毛髪に適用した。結果は、L=21.32、a=2.60、b=1.51であった。毛髪の色は全体にレベル5の濃さの褐色色調に低減した。
【0068】
染料組成物4
染料組成物2を調製したが、但し、pHを10に調整した。その結果生じた透明で薄黄色ヘアカラー組成物を、ガラス瓶中で3週間保存した。窒素ブランケットは用いなかった。結晶化は起きなかった。溶液の黒化は起きなかった。組成物を前記のように毛髪に適用した。結果は、L=21.66、a=2.77、b=1.46であった。毛髪の色は全体にレベル5の濃さの褐色色調に低減し、赤色/金色色調も伴った。
【0069】
染料組成物5
ビーカー中で、5gのダイズレシチン、15gの二ナトリウムコカンフォジプロピオネートおよび15gのイソセテス−20(LAN、1:3:3)を70℃に加熱した。次に、0.8gのパラフェニレンジアミン、0.15gのp−アミノ−オルト−クレゾール、0.3gのメタ−アミノフェノール、0.5gのパラ−アミノフェノールおよび0.05gの2,4−ジアミノフェノキシエタノールを攪拌しながら融解組成物に付加した。次に攪拌混合物を、攪拌しながら1.8gのイソアスコルビン酸および0.8gの亜硫酸ナトリウムを含有する70℃の61.4gの脱イオン水に付加した。水酸化アンモニウムのアリコートを付加して、pHを10に調整した。
【0070】
上記組成の一部40gに4gのステアレス−10アリルエーテル/アクリレートコポリマーを加えた。生じた透明な淡琥珀色のゲルをガラス製ボトルの中に5週間保存した。窒素ブラケットは使用しなかった。結晶化は起きなかった。液体の暗色化は起きなかった。
【0071】
色素組成物1では、ヘアカラー組成10gをプラスチック製ボールに加え、等量の過酸化水素20容量と混合し、25%のグレーの髪含むレベル6の天然の茶色の髪に20分間、室温で適用した。20分後、髪を10分間水道水を流しながらすすぎ、市販のドライヤーでL=20.69,a=1.72、b=0.86まで乾燥した。ヘアカラーは全体的に赤/金色式中を伴うレベル5の茶色の色調までレベルを落とした。
【0072】
LANで処方した色素組成物1−5は髪を柔らかく、コンディションされた状態にし、また使用するまで5週間安定であり、使用後もさらに安定な液体である。
【0073】
加えられた親油性成分を含むLAN組成物を45℃で3ヶ月以上保存され、室温での保存期間は3年と推定された。このようなLAN−含有液により、この様な組成物への共溶媒の添加が必要となくなる。
【0074】
実施例5:様々なpHのLANs中の親油性成分の安定性の研究
各種親油性成分を含む濃縮したLAN溶液について、pHを3ないし12に変化させて研究した。レシチンは5%、親油性成分は1%量存在した。LANそれだけ、及びLANに親油性成分を加えたものは、pH3.5で濁った。pH6では、LANそのものは透明であった。pH11および12では、液体は全て透明であった。表4参照。
【0075】
【表4】


(網かけ部分はpH調整していないことを示す)
表は濃縮したLAN溶液は好ましくはよりアルカリで透明になることを示している。即ち、pH10−12の溶液の結果が最も良い。当業者は、異なるLAN比または濃度において、様々な程度の透明性を得られることを知っている。
【0076】
実施例6:シリコン/LAN混合体の調整
シリコンは光沢と柔軟性を高めるのには非常に好ましい成分であるが、水及びアルコールに対する不溶性をもたらすことから処方が難しい。シリコン、フェニルトリメチコン(A)およびラウリルメチコンコポリオール(B)からLANしょう液を処方すると、透明な希釈可能な液が得られた。非イオン性界面活性剤はPPG−5−Ceteth−20、Oleth−10及びデシルグルコシドであった。両性界面活性剤はコカンフォ2プロピオン酸2ナトリウムであった。
【0077】
成分 湿重量%
A B
シリコン 2.0 2.0
レシチン 4.0 4.0
PPG−5−Ceteth−20 14.0 −
Oleth−10 − 15.0
デシルグルコシド 15.0 10.0
コカンフォ2プロピオン酸2ナトリウム 19.0 1.0
水 q.s q.s
pHはリン酸により6.0−6.5に調整した。
【0078】
A:負荷率=50% LAN比=1:4.75:7.25
B:負荷率=50% LAN比=1:0.25:6.25
これらLAN/シリコーン混合体を利用し、シャンプー、コンディショナー及びその他の調合体にシリコンを容易に取り込ませることができる。
【0079】
実施例7:色染めした髪用透明シャンプーの調整
以下の透明シャンプーを処方した。これには日焼け止め及びビタミンEを含むLANが含まれている。成分量は全て重量%で示した。
LAN* 以下LAN組成体の0.100%
レシチン 4.00%
コカンフォ2プロピオン酸2ナトリウム
(両性界面活性剤) 19.00%
PPG−5−Ceteth−20 14.00%
Oleth−10(非イオン性界面活性剤) 9.00%
メチルパラベン 0.20%
エチルパラベン 0.10%
EDTA2ナトリウム 0.10%
フェノキシエタノール 0.50%
リン酸85%(pH調整剤) 1.40%
水 49.70%
ビタミンE(トコフェロール) 1.00%
サリチル酸オクチル(日焼け止め) 1.00%
*該LANは50%加重量:2%全親油成分(ビタミンE及びサリチル酸オクチル)並びに4.00%のレシチンを含んでいる。
シャンプーベース組成:
硫酸ラウレスナトリウム(陰イオン性界面活性剤)25.000%
ポリクオテリニウム10(ポリマー) 0.100%
PPG−5−Ceteth−10−リン酸(緩和剤)0.500%
コカンフォ2プロピオン酸2ナトリウム
(両性界面活性剤) 5.000%
コカミドプロピルベタイン(両性界面活性剤) 8.000%
オクチルメトキシシンナメート(日焼け止め) 1.000%
リン酸85%(pH調整剤) 0.800%
塩化ナトリウム 0.500%
芳香剤 0.500%
フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチル
パラベン及びEDTA2ナトリウムより選択され
る保存剤 0.800%
タウリン、アルギニン塩酸塩、ラウリルジノニウ
ムヒドロキシプロピルで加水分解したダイズ蛋白、
およびコムギアミノ酸を加えた加水分解ダイズ蛋
白より選択される蛋白及びアミノ酸 0.400%
トレハロース(湿潤剤) 0.001%
水 q.sないし100
実施例8:色染めした髪用コンディショナーの調整
陽イオン性コンディショナー、シリコーン、陽イオン性ポリマー、日焼け止めおよびビタミンEを含む以下の乳剤クリームトリートメントを処方した:
The LAN実施例7記載のLAN処方に同じ 0.500%
コンディショナーベース組成:
ステアリン酸グリセリル及びPEG−100ステア
リン酸(非イオン性乳化剤) 5.000%
クオテリニウム27 4.100%
塩化ヘキサジメチリン(陽イオン性)0.5%
およびヒドロキシ 0.8%
エチルセルロース(陽イオン性セルロース重合体) 1.300%
オクチルメトキシシンナメート(日焼け止め) 0.100%
ジメチコン(シリコーン) 2.000%
ステアリルアルコール(乳剤) 5.000%
オクチルドデカノール(乳剤) 2.000%
クエン酸ナトリウム 0.150%
芳香剤 0.500%
フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチル
パラベン、プロピルパラベン及びEDTA2ナト
リウムより選択される保存剤 0.900%
タウリン、アルギニン塩酸塩、ラウリルジノニウ
ムヒドロキシプロピルで加水分解したダイズ蛋白、
およびコムギアミノ酸を加えた加水分解ダイズ蛋
白より選択される蛋白及びアミノ酸 0.400%
トレハロース(湿潤剤) 0.001%
水 q.sないし100
実施例9:色染めした髪用ディープトリートメントの処方
陽イオン性コンディショナー、シリコン、陽イオン性ポリマー(例えばポリアクリルアミド)、日焼け止め及びビタミンEを含む以下の粘調水性液:
The LAN 実施例7記載のLAN処方に
同じ 20.000%
トリートメンスベース組成:
SEPIGEL305(ポリアクリルアミド/
C13−C14イソパラフィン/ラウレス7、
SEPPICより入手可能) 2.000%
キサンタンガム 1.000%
ベヘンアミドプロピルPG−塩化ジモニウム
(陽イオン性コンディショナー) 3.000%
塩化セントリモニウム
(陽イオン性コンディショナー) 3.000%
シクロメチコンおよびジメチコン 3.000%
オクチルメトキシシンナマート(日焼け止め) 0.100%
芳香剤 0.500%
フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチ
ルパラベン及びEDTA2ナトリウムより選択
される保存剤 0.800%
タウリン、アルギニン塩酸塩、ラウリルジノニ
ウムヒドロキシプロピルで加水分解したダイズ
蛋白、およびコムギアミノ酸を加えた加水分解
ダイズ蛋白より選択される蛋白及びアミノ酸 1.210%
リン酸85%(pH調整剤) 0.060%
トレハロース(湿潤剤) 0.001%
水 q.sないし100
実施例10:塩素水及びシャンプーに対する色染め製品の色保持効果
茶色に染めた髪を、色染め髪用の上記処方のディープトリートメント、シャンプー及びコンディショナーで1週間処置(1ディープトリートメント、4シャンプーおよび4コンディショナー)する間5ppmの塩素水で処理した。有意なデータを得るために、実験は72例の茶髪見本を以下の如く染め、実施した:
・24例の見本について;
トリートメント(10分/室温(RT)、リンス)
シャンプー(5分/RT、リンス)
コンディショナー(10分/RT、リンス)
シャンプーとコンディショナー処理は3回以上繰り返し、1週間の製品使用とし、塩素処理(5ppm塩素水、30分、室温/リンス)を第1回目と4回目のサイクル後に行った:
・24例の見本については、アルギニン、タウリン、蛋白、LAN、ビタミンE、日焼け止めを含まない製品で上記の如く色染め髪を処理している間に塩素水処理を行った。
・24例の見本については、記載のヘアー用品に代わって水で上記の如く色染め髪を処理している間に塩素水処理した。
【0080】
下表は、色染め髪用製品を頻繁に利用することで、塩素水及びシャンプーによる色落ちが防止されることを示している。Lは色落ちの程度を表している。Lの値が高いほど、色は薄く、即ち色落ちが大きいことを示している。LANおよび蛋白の様な添加成分の作用も明らかである。
【0081】
【表5】


発明のLAN含有調剤を使用した時にLの変化が最も小さい、即ち色落ちが少ないことは明らかである。
【0082】
実施例11:AMPHOMER LV−71の溶解度に関するLAN液と非L AN液の比較
以下4種類の液を下表6に従い調整した。
液A:水不溶性ポリマー、AMPHOMER LV71を含む1:3:5LAN 水溶液
液B:水不溶性ポリマー、AMPHOMER LV71と陰イオン性界面活性剤 であるリン酸ラウリルエーテルナトリウム(SLES)を含む1:3:5 LAN水溶液
液C:水不溶性ポリマー、AMPHOMER LV71の両性界面活性剤および 陰イオン性界面活性剤水溶液。レシチン及び非イオン性界面活性剤は存在 しない。この液はGesteinに対する米国特許第5,391,368 号の実施例1に従い調整された。
液D:水不溶性ポリマー、AMPHOMER LV71の両性界面活性剤水溶液 。レシチンまたは非イオン性界面活性剤は存在しない。
【0083】
【表6】


液A−Dは10%塩酸でpH3に酸性化した。様々なpHに酸化した後の各液のpHおよび外観を以下に示す:
【0084】
【表7】


表7の結果より、LAN水溶液中への水不溶性ポリマーの溶解(液A及びB)は同一ポリマーの非LAN液への溶解(液CおよびD)に比べて遥かに優れていることは明らかである。液AおよびBはpH7ないしpH3で透明であったが、液CはpH以下で濁り、液DはpH6で不透明になり始めた。言い換えれば、水不溶性ポリマーは非LANシステムでは酸性pHで液体から沈殿する。
【0085】
実施例12:他の水不溶性体のLANと非LAN液に対する溶解度の比較
実施例11同様の試験を別種の水不溶性ポリマーであるULTRAHOLD STRONGと水不溶性ラテックスであるLUVIMER 36Dについて行った。液体1−6の成分を下表8に示す。
【0086】
【表8】


液3及び6はLAN比1:3:5のLAN液である。液1および4は両極性及び陰イオン性ポリマーを含んでおり、液2および5は両極性ポリマーだけを含んでいる。液体は10%塩酸でpH3に酸性化した。様々なpHに酸性化した後の各液のpHおよび外観を下表9に示す。
【0087】
【表9】


結果は、実施例11同様にLAN水溶液への水不溶性ポリマーまたはラテックスの溶解は、同一ポリマーまたはラテックスの非LAN液への溶解に比べ遥かに優れていることを示している。LAN液3および6はpH3までのいずれに於いても透明のままであったが、液4および5は酸性化する前から濁っており、液1はpH6から、液2はpH7から濁った。
【0088】
実施例13:LAN液に持ち込めるポリマー/ラテックスの負荷量の決定
水不溶性ポリマーまたはラテックスを含むLAN液を表10記載の様に調整した。液EはLAN比1:3:4であり、重量で10%のAMPHOMERを含んでいる。液FはLAN比1:5:5であり、重量で15%のAMPHOMERを含んでいる。液GはLAN比1:3:4であり、重量で60%のAMPHOLDDR−25(ラテックス)を含んでいる。
【0089】
【表10】


液E,F,Gは透明な液である。重量で60%のポリマーまたはラテックスはまだLANシステムに溶解したが、液は極めて粘調であった。
【0090】
実施例14:LAN/ポリマーシステムに持ち込める追加負荷量の決定
3%のAMPHOMER(水不溶性ポリマー)並びにシリコーン成分を含むLANを下表11の如く調整した。液HはLAN比1:3:4であり、重量で1%のフェニルトリメチコンを含んでいる。液IはLAN比1:3:4であり、重量で1%のジメチコンをを含んでいる。
【0091】
【表11】


液HおよびIは共に透明な液であった。このことは、LANシステムが水不溶性成分の持ち込みに効果的であると同時に、その他の成分の持ち込みにも有効であることを示している。例えばLAN/ポリマーはまたはセラミド、日焼け止め、油、ビタミンを含むことができる。
【0092】
実施例15:非中和ポリマーを含むLAN液の調整
LANキャリアー液は次の組成を持つように調整された:
レシチン(ALCOLECF100) 5g
両性界面活性剤(MIRANOL
C2M−SFConc) 15g
非イオン性界面活性剤(ARLASOLVE200) 15g
水不溶性ポリマー(AMPHOMERLV−71) 6g
水 q.s.100g
上記のLAN/6%AMPHOMER液適当量を水100gまで希釈し、次の一連の液を得た。
【0093】
【表12】


上記LAN/6%AMPHOMERの希釈液処理した髪のカールの効果を図1に示す。データより、非中和AMPHOMERの濃度上昇に伴って希釈LAN/ポリマー液の性能が上がることが示された。
【0094】
即ち、その組み合わせが中和された、または部分的に中和された不溶性ポリマー、樹脂またはラテックスの有効な溶媒として作用する有機リン脂質、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤は、希釈された、または溶液中のLANのパーセンテージが低い時により良い結果を得/性能が向上した。好ましくは、溶液のLANのパーセンテージは全成分の重量に対して35%またはそれ以下である。パーセーンテージが35%以上の場合、LANはポリマー、樹脂、またはラテックスに対して可塑剤として作用し、その結果スタイリング製品に求められる保持力が低下する。もちろん、LANをシャンプー、髪染め組成物、または緩和剤の様なその主目的がスタイリングではない製品に使用される場合にはLANのパーセーンテージをさらに高くしても有害作用はなく、実際LANのパーセンテージを高くすると非スタリング製品へのポリマー、樹脂、またはラテックスの取り込みをより完全にするのに役立つ。
【0095】
実施例16:部分中和ポリマーを含むLAN液の性能
一般に、少量のLANの水溶液中に溶解するポリマー/樹脂の負荷量を最大化するために、ポリマー/樹脂を部分的に中和される。上記の如く、一般に水不溶性ポリマーまたは樹脂の場合には、その約90%以上が中和されたときのみ水可溶性である。本実施例で例示する如く、LANの利用により、より中和度が低い状態のポリマーまたは樹脂を可溶化することが可能となる。
【0096】
アミノメチルプロパノール(AMP)で60%中和された4%のポリマー/樹脂(2%AMPHOMERLV−71及び2%RESYN28−2930)の全量を1.2%及び0.8%のLAN(1:3:4)液に溶解し、2種類のLAN担体液を調整した。
【0097】
【表13】


整髪中の上記溶液の性能は図2に示したが、図2はLAN/部分的中和ポリマー/樹脂の上記溶液で処理された髪のカールが4時間後95%と高く保持されることを示している。
【0098】
実施例17:整髪性能に及ぼす中和度の影響
1%AMPHOMERLV−71を含み、AMP(アミノメチルプロパノール)によりそれぞれ20%、40%、60%、80%中和された4種類の0.8%LAN(1:3:4)液を調整した。
【0099】
【表14】


上記液A−Dのカール保持を図3に示した。図は、部分的に中和されたポリマーまたは樹脂を含むLAN液の効果が中和度に依存していること、即ち整髪性能が中和度が低いほど高くなることを例示している。換言すると、LAN液システムは、従来有機溶媒を基本とする非水性システムのみ取り込むことができた水不溶性高性能ポリマー/樹脂を取り込むことができる。
【0100】
実施例18:部分的に中和されたポリマーおよびポリマー/樹脂を増量したL AN液の性能:カール効果
5種類のLAN担体液を調整した。各液は0.8%LAN(ALCOLECF100、MIRANOL C2M−SFConc.,およびARLASOLVE200)および60%中和された水不溶性ポリマー、AMPHOMERLV−71をそれぞれ0%ないし4%含む。表15参照。
【0101】
【表15】


組成物を、4時間にわたりパーセントカール効果について比較した。LAN液中のスタイリングポリマーの量が0%ないし4%に増加すると、カール保持も増加する、即ち効果的であることを示す図4を参照。
【0102】
実施例19:部分的に中和されたポリマーおよびポリマー/樹脂を増量したL AN液の性能:
5種類のLANキャリアー液を調整した。液1はBASF製水溶性ポリビニルピロロリドン/酢酸ビニルコポリマーである4%LUVISKOL VA64と96%の水を含んでいる。液2−5はAMPHOMERを増量しながらLUVISKOLを漸次AMPに置き換えたLAN/AMPHOMER液である。表16参照。
【0103】
【表16】


組成物を、4時間にわたりパーセントカール効果について比較した。LAN/ポリマー液を通常水溶性ポリマー/樹脂に置き換えると性能の向上すること、即ちLUVISKOLが少量または含まない液4および5ではカールの保持が良好であることを示す図5を参照。
【0104】
実施例20:永久ウエービング効果の改良
6髪見本、3セット(12髪繊維、各13.8cm/見本)を永久ウエービングロッドに巻き付け、続いて以下の液を含浸させた:
【0105】
【表17】


室温30分後、髪見本(まだロッド上)を水で良くすすぎ、吸い取り乾燥させた。次にこれらを2%過酸化水素液で、5分間、室温処理し、水でよくすすぎ、吸い取り乾燥した。髪見本をロッドから外し、その長さを測定した。以下の結果を得た:
【0106】
【表18】


表18より分かるように、LAN/AMPHOMERを含む還元液で処理した髪はより良いカール効果を示した。改良は信頼度95%のレベルで統計有意であった。
【0107】
実施例21:透明過酸化水素ゲルの調整
pH3−4で3%、6%、9%および12%の過酸化水素を含む、LAN/ポリマー製透明ゲルのシリーズを得た。ゲル中に使用したポリマーはVISCOPHOBEDB−100で、UnionCarbide社製のアクリル酸性ラテックスである。典型的な透明過酸化水素/LAN/VISCOPHOBEゲルの組成は次の通りである:
ALCOLEC F100 1
MIRANOL C2M−SF CONC 10
ARLASOLVE200 15
VISCOPHOBE DB−100 12
過酸化水素 24
水 38
リン酸 q.s.ないしpH3
ゲルの粘度は処方に使用するVISCOPHOBEの量で調整した。下表19に見られるように、過酸化水素/LAN/VISCOPHOBEゲルは、REDKEN社開発の市販品PRO−OXIDEに比べて効果的な発色剤である。
【0108】
【表19】


表19に示すように、色の明るさまたは暗さを示すL値についてはPRO−OXIDEに比べヘアカラー1は高く、ヘアカラー2は低い。換言すれば、本表より過酸化水素/LAN/VISCOPHOBEゲルは既存の発色剤PRO−OXIDEと同等またはそれ以上に作用することを示している。ゲルを発色剤に使用することは、液状発色剤に比べて流れが少なく、使用をコントロールしやすいため有益である。
【0109】
過酸化水素/LAN/VISCOPHOBEゲルはまた液状水性カラーシステムと共に用いて、水性無溶媒カラーゲルを得ることもできる。pH3−4の透明な過酸化水素/LAN/VISCOPHOBEゲルをpH8以上の水性カラーシステムと1:1で混合し、髪を効果的に染めることができる粘性カラーゲルを得た。髪の脱色作用剤としては、過酸化水素/LAN/VISCOPHOBEゲルは室温で利用して天然の髪の色を除くことができるが、より高い温度で効果は増大する。
【0110】
実施例22:マスカラ処方
およそ1:3:4の割合で、量が1%以下のあるLANを含む以下の成分よりマスカラ組成体を処方した。
(A)
水 39.250
PVP−K−30(PVP/VAコポリマー.
GAF/BASF) 1.000
ブチレングリコール 2.000
ヒドロキシエチルセルロース 0.350
メチレンパラベン 0.400
トリエタノールアミン 1.500
シメチコン(RhodiaChimie社製
MIRASIL SM) 0.100
KAMA KM13(KamaInt’l
製多糖体樹脂) 4.000
酸化鉄 8.000
ポリメチルメタクリレートイソプロピルチタ
ニウムトリイソステアリン酸 2.000
(B)
蜜蝋 4.300
ステアリン酸グリセリル 4.000
パラフィン 2.500
カルナウバ蝋 3.100
ステアリン酸 3.000
ブチルパラベン 0.050
PVP/エイコセンコポリマー(GANEX
V220、ISP製) 1.500
PERFORMA V103ポリマー
(NewPhase社製合成蝋) 1.000
(C)
シクロペンタシロキサン(DowCornign
社製DC245) 2.000
シクロペンタシロキサン/ジメチコノール
(Dow Corning社製DC2−9071) 3.500
シリカ 1.000
ポリエチレン(Presperse社製
MICROPOLY524) 2.000
(D)
レシチン(ALCOLECF100) (L) 0.133
コカンフォ2プロピオン酸2ナトリウム
(MIRANOL)(A) 0.400
イソセテス−20(ARLASOLVE200)(N)
0.530
オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチル
アミノエチルメタクリレートコポリマー
(AMPHOMERLV−71) 0.160
メチルパラベン 0.005
エチルパラベン 0.003
2ナトリウムEDTA 0.003
フェノキシエタノール 0.013
水 1.403
(E)
AVALUREUR450(B.F.
Goodrich社製樹脂液) 10.000
(F)
イミダゾリジニル尿素 0.300
水 1.000
マスカラ組成体は合計100gの材料から、以下の方法により作成した:
(A)39.250gの水を60℃に加熱し、1.000gのPVP/VAコポリマーを加えた。コポリマーが分散した後、前もって混合しておいた2.000gのブチレングリコールと0.350gのヒドロキシエチルセルロースを加え、Homomixerを用いて混合体を完全に分散させた。分散後、0.400gのメチルパラベンと1,500gのトリエタノールアミン、0.100gのMIRASIL SM(シメチコン)及び4.00gのKAMA KM13(多糖体樹脂)を加えた。次に酸化鉄とポリメチルメタクリレートイソプロピルチタニウムトリイソステアリン酸を一度に加え、分散するまで、およそ30−45分間、約85℃ないし90℃でHomomixer中に置いた。
(B)作業手順Bの全ての成分を秤量し、85ないし90℃に加熱した。得られた組成物をパドルミキサーで乳化し、手順Bの産物を上記手順Aの産物に15分間かけて加えた。得られた混合体を60℃に冷やした。
(C)作業手順(C)の全ての成分を60℃でAおよびBの混合体に加えた。
(D)作業手順(D)の全ての成分を55℃でA−B−C混合体に加えた。
(E)作業手順(E)の全ての成分を45℃でA−B−C−D混合体に加えた。
(F)作業手順(F)の全ての成分を45℃でA−B−C−D−E混合体に加えた。
【0111】
A−B−C−D−E−F混合組成体を30−35℃に冷やした。形成されたマスカラ組成体はクリーム状の光沢のある外観を持ち、睫毛に適用すると深い、豊かな色彩を提供し、睫毛がより太く、より長く見え、そして塊を作ったり硬直することなく利用できる。
【0112】
本発明によるデリバリーシステム、組成物、および方法について、本発明の精神または範囲から逸脱することなく様々な改良および変更が可能であることは当業者にとって明白である。従って、本発明は添付したクレームおよびそれに等価である範囲の内である本発明の改良及び変更を含むものである。
【0113】
本発明の好ましい実施態様は下記の通りである。
1.− 水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質;
− 前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの両性界面活性剤;及び
− 前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤;
を含んで成る組成物。
2.さらに水を含んで成る1に記載の組成物。
3.前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、前記少なくとも1つのリン脂質の量より大きい重量で存在する、1に記載の組成物。
4.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、前記少なくとも1つのリン脂質の量より大きい重量で存在する、1に記載の組成物。
5.水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ前記少なくとも1つの有機リン脂質がレシチンである1に記載の組成物。
6.前記少なくとも1つのリン脂質、前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤及び前記少なくとも1つの両性界面活性剤は、少なくとも1つの水不溶性成分を水溶液中に取込むことを可能にするのに充分な組合せ量で存在する、1に記載の組成物。
7.前記少なくとも1つの水不溶性成分が、中和されていない及び部分的に中和された水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスの中から選択されている、6に記載の組成物。
8.前記水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスが少なくとも1つのカルボキシル成分を含有している、7に記載の組成物。
9.前記少なくとも1つの水不溶性成分が親油性成分である、6に記載の組成物。
10.前記親油性成分がシリコーン、油溶性ビタミン、セラミド、天然油、日焼け止め又はそれらの混合物である、9に記載の組成物。
11.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、少なくともC〜C24の脂肪アルコール、C〜C24の脂肪酸又はC〜C24グリセリドから形成されている、1に記載の組成物。
12.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が少なくとも10のHLBを有する、1に記載の組成物。
13.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がベタイン、スルテイン、ヒドロキシスルテイン、両性2酢酸アルキル、両性2プロピオン酸アルキル、イミダゾリン及びその塩の中から選択されている、1に記載の組成物。
14.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がコカンフォジプロピオネート又はコカミドプロピルヒドロキシスルテインである、13に記載の組成物。
15.前記少なくとも1つの有機リン脂質が組成物の合計重量との関係において0以上約5重量%までの量で存在している1に記載の組成物。
16.前記少なくとも1つの有機リン酸脂質が組成物の合計重量との関係において約5重量%の量で存在する、12に記載の組成物。
17.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において約5〜約20重量%の量で存在する1に記載の組成物。
18.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において約10〜約20重量%の量で存在する17に記載の組成物。
19.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において約5〜約25重量%の量で存在する1に記載の組成物。
20.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において約15%〜約25%の量で存在する7に記載の組成物。
21.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において約10〜約20重量%の量で存在する9に記載の組成物。
22.前記少なくとも1つ有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において重量で約1:2:2以上の比率で存在する、1に記載の組成物。
23.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において重量で約1:3:3以上の比率で存在する、7に記載の組成物。
24.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において重量で約1:3:4以上の比率で存在する、23に記載の組成物。
25.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において重量で約1:3:2以上の比率で存在する、9に記載の組成物。
26.− 水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質;
− 少なくとも1つの両性界面活性剤;
− 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤;
− 少なくとも1つの水不溶性成分;及び
− 水性相;
を含んで成る水不溶性成分のための送達系において、前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、前記少なくとも1つの水不溶性成分をこの系内に取り込むことを可能にするのに充分な組合せ量で存在する、送達系。
27.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が前記少なくとも1つの有機リン脂質の量以上の重量で存在し、前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が前記少なくとも1つの有機リン脂質の量以上の重量で存在する、26に記載の水不溶性成分のための送達系。
28.前記水性相が、アニオン界面活性剤、有機塩、無機塩、タンパク質、ヘヤダイ、水溶性ポリマー及びアミノ酸から選択された付加的な成分をさらに含んでいる、26に記載の送達系。
29.前記少なくとも1つの水不溶性成分が、中和されていない及び部分的に中和された水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスの中から選択されている、26に記載の送達系。
30.前記水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスが少なくとも1つのカルボキシル成分を含有している、29に記載の送達系。
31.前記少なくとも1つの水不溶性成分が親油性成分である、26に記載の送達系。
32.前記親油性成分がシリコーン、油溶性ビタミン、セラミド、天然油、日焼け止め又はそれらの混合物である、31に記載の送達系。
33.水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ前記少なくとも1つの有機リン脂質がレチシンである26に記載の送達系。
34.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、少なくともC〜C24の脂肪アルコール、C〜C24の脂肪酸又はC〜C24グリセリドから形成されている、26に記載の送達系。
35.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が少なくとも10のHLBを有する、26に記載の送達系。
36.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がベタイン、スルテイン、ヒドロキシスルテイン、両性2酢酸アルキル、両性2プロピオン酸アルキル、イミダゾリン及びその塩の中から選択されている、26に記載の送達系。
37.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がコカンフォジプロピオネート又はコカミドプロピルヒドロキシスルテインである、36に記載の送達系。
38.前記少なくとも1つの有機リン脂質が、前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤の組合せの合計重量との関係において0〜約5重量%の量で存在している、26に記載の送達系。
39.前記少なくとも1つの有機リン脂質が約5重量%の量で存在する、38に記載の送達系。
40.前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤の組合せの合計重量との関係において約5〜約20重量%の量で存在している、27に記載の送達系。
41.前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が約10〜約20重量%の量で存在する、40に記載の送達系。
42.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤の組合せの合計重量との関係において約5〜約25重量%の量で存在している、27に記載の送達系。
43.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤の組合せの合計重量との関係において約15〜約25重量%の量で存在している、29に記載の送達系。
44.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤の組合せの合計重量との関係において約10〜約20重量%の量で存在している、31に記載の送達系。
45.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤の組合せの合計重量との関係において重量で約1:2:2以上の比率で存在している、27に記載の送達系。
46.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤の組合せの合計重量との関係において重量で約1:3:3以上の比率で存在している、29に記載の送達系。
47.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤の組合せの合計重量との関係において重量で約1:3:4以上の比率で存在している、46に記載の組成物。
48.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤の組合せの合計重量との関係において重量で約1:3:2以上の比率で存在している、31に記載の送達系。
49.前記少なくとも1つの有機リン脂質がレシチンであり、前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤がPPG−5−Cetech−20及びOleth−10から選択され、前記少なくとも1つの両性界面活性剤がコカンフォ2プロピオン酸2ナトリウムである、26に記載の送達系。
50.前記系が、シャンプー、コンディショナ、毛髪用ディープトリートメント、ボディ洗浄剤、バスジェル、バスオイル、ヘヤダイ組成物、パーマ処方剤、メークアップ組成物、スキンクリーム、又はローションの形態をしている、26に記載の送達系。
51.前記メークアップ組成物がマスカラ又はファンデーションである、50に記載の送達系。
52.(a)前記有機リン脂質、前記非イオン界面活性剤及び前記両性界面活性剤を組合わせて混合物を得る段階;
(b)段階(a)で得られた混合物を加熱する段階、
(c)希釈した混合物を形成するべく水溶液を添加する段階、
(d)前記希釈した混合物を冷却する段階を含んで成る、26に記載の送達系の調製方法。
53.水不溶性成分が段階(a)の混合物に添加される、52に記載の方法。
54.− 水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質:前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの両性界面活性剤;前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤、及び少なくとも1つの水不溶性成分を含む水溶液を調製する段階であって、前記少なくとも1つのリン脂質、前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤及び前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、前記水不溶性成分を前記水溶液中に取込むことを可能にするのに充分な組合せ量で存在する段階;及び
− 前記水溶液をケラチン性物質に塗布する段階;
を含んで成る、ケラチン性物質の処置方法。
55.前記処置が、シャンプー、コンディショニング、ヘヤダイ、脱色、パーマ、縮れ毛緩和、セット、モイスチュアライジング、メイクアップを含んで成る、54に記載の方法。
56.前記ケラチン性物質が毛髪、皮ふ及びまつ毛を含む、54に記載の方法。
57.メイクアップが、まつ毛にマスカラを又は顔の皮ふにファンデーションを塗布すること含んで成る、55に記載の方法。
【0114】
本発明の好ましい実施態様はまた下記の通りである。
1.− 水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質;
− 少なくとも1つの両性界面活性剤;及び
− 前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤;を含んで成る組成物。
2.さらに水を含んで成る1に記載の組成物。
3.前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、前記少なくとも1つのリン脂質の量より大きい重量で存在する、1に記載の組成物。
4.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、前記少なくとも1つのリン脂質の量より大きい重量で存在する、1に記載の組成物。
5.水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ前記少なくとも1つの有機リン脂質がレシチンである1に記載の組成物。
6.前記少なくとも1つのリン脂質、及び前記少なくとも1つの両性界面活性剤は、少なくとも1つの水不溶性成分を水溶液中に取込むことを可能にするのに充分な組合せ量で存在する、1に記載の組成物。
7.前記少なくとも1つの水不溶性成分が、中和されていない及び部分的に中和された水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスの中から選択されている、6に記載の組成物。
8.前記水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスが少なくとも1つのカルボキシル成分を含有している、7に記載の組成物。
9.前記少なくとも1つの水不溶性成分が親油性成分である、6に記載の組成物。
10.前記親油性成分がシリコーン、油溶性ビタミン、セラミド、天然油、日焼け止め又はそれらの混合物である、6に記載の組成物。
11.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、少なくともC〜C24の脂肪アルコール、C〜C24の脂肪酸又はC〜C24グリセリドから形成されている、1に記載の組成物。
12.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が少なくとも10のHLBを有する、1に記載の組成物。
13.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がベタイン、スルテイン、ヒドロキシスルテイン、両性2酢酸アルキル、両性2プロピオン酸アルキル、イミダゾリン及びその塩の中から選択されている、1に記載の組成物。
14.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がコカンフォジプロピオネート又はコカミドプロピルヒドロキシスルテインである、13に記載の組成物。
15.前記少なくとも1つの有機リン脂質が組成物の合計重量との関係において0以上5重量%までの量で存在している1に記載の組成物。
16.前記少なくとも1つの有機リン酸脂質が組成物の合計重量との関係において5重量%の量で存在する、12に記載の組成物。
17.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において5〜20重量%の量で存在する1に記載の組成物。
18.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において10〜20重量%の量で存在する17に記載の組成物。
19.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において2〜25重量%の量で存在する1に記載の組成物。
20.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において6%〜25%の量で存在する7に記載の組成物。
21.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において4〜20重量%の量で存在する9に記載の組成物。
22.前記少なくとも1つ有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、重量で1:0.8:2以上の比率で存在する、1に記載の組成物。
23.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、重量で1:1.2:3以上の比率で存在する、7に記載の組成物。
24.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、重量で1:1.2:4以上の比率で存在する、23に記載の組成物。
25.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、重量で1:1.2:2以上の比率で存在する、9に記載の組成物。
26.− 水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質;
− 少なくとも1つの両性界面活性剤;
− 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤;
− 少なくとも1つの水不溶性成分;及び
− 水性相;
を含んで成る水不溶性成分のための送達系において、前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、前記少なくとも1つの水不溶性成分をこの系内に取り込むことを可能にするのに充分な組合せ量で存在する、送達系。
27.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が前記少なくとも1つの有機リン脂質の量以上の重量で存在する、26に記載の水不溶性成分のための送達系。
28.前記水性相が、アニオン界面活性剤、有機塩、無機塩、タンパク質、ヘヤダイ、水溶性ポリマー及びアミノ酸から選択された付加的な成分をさらに含んでいる、26に記載の送達系。
29.前記少なくとも1つの水不溶性成分が、中和されていない及び部分的に中和された水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスの中から選択されている、26に記載の送達系。
30.前記水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスが少なくとも1つのカルボキシル成分を含有している、29に記載の送達系。
31.前記少なくとも1つの水不溶性成分が親油性成分である、26に記載の送達系。
32.前記親油性成分がシリコーン、油溶性ビタミン、セラミド、天然油、日焼け止め又はそれらの混合物である、31に記載の送達系。
33.水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ前記少なくとも1つの有機リン脂質がレチシンである26に記載の送達系。
34.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、少なくともC〜C24の脂肪アルコール、C〜C24の脂肪酸又はC〜C24グリセリドから形成されている、26に記載の送達系。
35.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が少なくとも10のHLBを有する、26に記載の送達系。
36.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がベタイン、スルテイン、ヒドロキシスルテイン、両性2酢酸アルキル、両性2プロピオン酸アルキル、イミダゾリン及びその塩の中から選択されている、26に記載の送達系。
37.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がコカンフォジプロピオネート又はコカミドプロピルヒドロキシスルテインである、36に記載の送達系。
38.前記少なくとも1つの有機リン脂質が、前記送達系の合計重量との関係において0〜5重量%の量で存在している、26に記載の送達系。
39.前記少なくとも1つの有機リン脂質が送達系の合計重量との関係において5重量%の量で存在する、38に記載の送達系。
40.前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、送達系の合計重量との関係において5〜20重量%の量で存在している、27に記載の送達系。
41.前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が送達系の合計重量との関係において10〜20重量%の量で存在する、40に記載の送達系。
42.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が送達系の合計重量との関係において2〜25重量%の量で存在している、27に記載の送達系。
43.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が送達系の合計重量との関係において6〜25重量%の量で存在している、29に記載の送達系。
44.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が送達系の合計重量との関係において4〜20重量%の量で存在している、31に記載の送達系。
45.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、送達系の合計重量との関係において重量で1:0.8:2以上の比率で存在している、27に記載の送達系。
46.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、送達系の合計重量との関係において重量で1:1.2:3以上の比率で存在している、29に記載の送達系。
47.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、送達系の合計重量との関係において重量で1:1.2:4以上の比率で存在している、46に記載の送達系。
48.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、送達系の合計重量との関係において重量で1:1.2:2以上の比率で存在している、31に記載の送達系。
49.前記少なくとも1つの有機リン脂質がレシチンであり、前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤がPPG−5−Cetech−20及びOleth−10から選択され、前記少なくとも1つの両性界面活性剤がコカンフォ2プロピオン酸2ナトリウムである、26に記載の送達系。
50.前記系が、シャンプー、コンディショナ、毛髪用ディープトリートメント、ボディ洗浄剤、バスジェル、バスオイル、ヘヤダイ組成物、パーマ処方剤、メークアップ組成物、スキンクリーム、又はローションの形態をしている、26に記載の送達系。
51.前記メークアップ組成物がマスカラ又はファンデーションである、50に記載の送達系。
52.(a)前記有機リン脂質、前記非イオン界面活性剤及び前記両性界面活性剤を組合わせて混合物を得る段階;
(b)段階(a)で得られた混合物を加熱する段階、
(c)希釈した混合物を形成するべく水溶液を添加する段階、
(d)前記希釈した混合物を冷却する段階を含んで成る、26に記載の送達系の調製方法。
53.水不溶性成分が段階(a)の混合物に添加される、52に記載の方法。
54.− 水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質:少なくとも1つの両性界面活性剤;前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤、及び少なくとも1つの水不溶性成分を含む水溶液を調製する段階であって、前記少なくとも1つのリン脂質、前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤及び前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、前記水不溶性成分を前記水溶液中に取込むことを可能にするのに充分な組合せ量で存在する段階;及び
− 前記水溶液をケラチン性物質に塗布する段階;
を含んで成る、ケラチン性物質の処置方法。
55.前記処置が、シャンプー、コンディショニング、ヘヤダイ、脱色、パーマ、縮れ毛緩和、セット、モイスチュアライジング、メイクアップを含んで成る、54に記載の方法。
56.前記ケラチン性物質が毛髪、皮ふ及びまつ毛を含む、55に記載の方法。
57.メイクアップが、まつ毛にマスカラを又は顔の皮ふにファンデーションを塗布すること含んで成る、55に記載の方法。
58.水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質:少なくとも1つの両性界面活性剤;前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤、少なくとも1つの多糖類樹脂、及び少なくとも1つの顔料を含む組成物。
59.水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質:少なくとも1つの両性界面活性剤;前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤、少なくとも1つの多糖類樹脂、及び前記の多糖類樹脂以外の少なくとも1つのフィルム形成剤を含む組成物。
60.顔料を更に含む59に記載の組成物。
【0115】
本発明の好ましい実施態様はさらに下記の通りである。
1.− 水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質;
− 少なくとも1つの有機リン脂質以外の両性界面活性剤;及び
− 前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤;を含んで成る組成物。
2.さらに水を含んで成る1に記載の組成物。
3.前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、前記少なくとも1つのリン脂質の量より大きい重量で存在する、1に記載の組成物。
4.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、前記少なくとも1つのリン脂質の量より大きい重量で存在する、1に記載の組成物。
5.水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ前記少なくとも1つの有機リン脂質がレシチンである1に記載の組成物。
6.前記少なくとも1つのリン脂質、及び前記少なくとも1つの両性界面活性剤は、少なくとも1つの水不溶性成分を水溶液中に取込むことを可能にするのに充分な組合せ量で存在する、1に記載の組成物。
7.前記少なくとも1つの水不溶性成分が、中和されていない及び部分的に中和された水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスの中から選択されている、6に記載の組成物。
8.前記水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスが少なくとも1つのカルボキシル成分を含有している、7に記載の組成物。
9.前記少なくとも1つの水不溶性成分が親油性成分である、6に記載の組成物。
10.前記親油性成分がシリコーン、油溶性ビタミン、セラミド、天然油、日焼け止め又はそれらの混合物である、6に記載の組成物。
11.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、少なくともC〜C24の脂肪アルコール、C〜C24の脂肪酸又はC〜C24グリセリドから形成されている、1に記載の組成物。
12.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が少なくとも10のHLBを有する、1に記載の組成物。
13.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がベタイン、スルテイン、ヒドロキシスルテイン、両性2酢酸アルキル、両性2プロピオン酸アルキル、イミダゾリン及びその塩の中から選択されている、1に記載の組成物。
14.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がコカンフォジプロピオネート又はコカミドプロピルヒドロキシスルテインである、13に記載の組成物。
15.前記少なくとも1つの有機リン脂質が組成物の合計重量との関係において0以上5重量%までの量で存在している1に記載の組成物。
16.前記少なくとも1つの有機リン酸脂質が組成物の合計重量との関係において5重量%の量で存在する、12に記載の組成物。
17.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において5〜20重量%の量で存在する1に記載の組成物。
18.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において10〜20重量%の量で存在する17に記載の組成物。
19.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において2〜25重量%の量で存在する1に記載の組成物。
20.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において6%〜25%の量で存在する7に記載の組成物。
21.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が、組成物の合計重量との関係において4〜20重量%の量で存在する9に記載の組成物。
22.前記少なくとも1つ有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、重量で1:0.8:2の比率で存在する、1に記載の組成物。
23.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、重量で1:1.2:3の比率で存在する、7に記載の組成物。
24.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、重量で1:1.2:4の比率で存在する、23に記載の組成物。
25.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、重量で1:1.2:2の比率で存在する、9に記載の組成物。
26.− 水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質;
− 少なくとも1つの有機リン脂質以外の両性界面活性剤;
− 少なくとも1つの非イオン性界面活性剤;
− 少なくとも1つの水不溶性成分;及び
− 水性相;
を含んで成る水不溶性成分のための送達系において、前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、前記少なくとも1つの水不溶性成分をこの系内に取り込むことを可能にするのに充分な組合せ量で存在する、送達系。
27.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が前記少なくとも1つの有機リン脂質の量以上の重量で存在する、26に記載の水不溶性成分のための送達系。
28.前記水性相が、アニオン界面活性剤、有機塩、無機塩、タンパク質、ヘヤダイ、水溶性ポリマー及びアミノ酸から選択された付加的な成分をさらに含んでいる、26に記載の送達系。
29.前記少なくとも1つの水不溶性成分が、中和されていない及び部分的に中和された水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスの中から選択されている、26に記載の送達系。
30.前記水不溶性ポリマー、樹脂及びラテックスが少なくとも1つのカルボキシル成分を含有している、29に記載の送達系。
31.前記少なくとも1つの水不溶性成分が親油性成分である、26に記載の送達系。
32.前記親油性成分がシリコーン、油溶性ビタミン、セラミド、天然油、日焼け止め又はそれらの混合物である、31に記載の送達系。
33.水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ前記少なくとも1つの有機リン脂質がレチシンである26に記載の送達系。
34.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が、少なくともC〜C24の脂肪アルコール、C〜C24の脂肪酸又はC〜C24グリセリドから形成されている、26に記載の送達系。
35.前記少なくとも1つの非イオン性界面活性剤が少なくとも10のHLBを有する、26に記載の送達系。
36.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がベタイン、スルテイン、ヒドロキシスルテイン、両性2酢酸アルキル、両性2プロピオン酸アルキル、イミダゾリン及びその塩の中から選択されている、26に記載の送達系。
37.前記少なくとも1つの両性界面活性剤がコカンフォジプロピオネート又はコカミドプロピルヒドロキシスルテインである、36に記載の送達系。
38.前記少なくとも1つの有機リン脂質が、前記送達系の合計重量との関係において0〜5重量%の量で存在している、26に記載の送達系。
39.前記少なくとも1つの有機リン脂質が送達系の合計重量との関係において5重量%の量で存在する、38に記載の送達系。
40.前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、送達系の合計重量との関係において5〜20重量%の量で存在している、27に記載の送達系。
41.前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が送達系の合計重量との関係において10〜20重量%の量で存在する、40に記載の送達系。
42.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が送達系の合計重量との関係において2〜25重量%の量で存在している、27に記載の送達系。
43.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が送達系の合計重量との関係において6〜25重量%の量で存在している、29に記載の送達系。
44.前記少なくとも1つの両性界面活性剤が送達系の合計重量との関係において4〜20重量%の量で存在している、31に記載の送達系。
45.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、送達系の合計重量との関係において重量で1:0.8:2の比率で存在している、27に記載の送達系。
46.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、送達系の合計重量との関係において重量で1:1.2:3の比率で存在している、29に記載の送達系。
47.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、送達系の合計重量との関係において重量で1:1.2:4の比率で存在している、46に記載の送達系。
48.前記少なくとも1つの有機リン脂質、前記少なくとも1つの両性界面活性剤及び前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤が、送達系の合計重量との関係において重量で1:1.2:2の比率で存在している、31に記載の送達系。
49.前記少なくとも1つの有機リン脂質がレシチンであり、前記少なくとも1つの非イオン界面活性剤がPPG−5−Cetech−20及びOleth−10から選択され、前記少なくとも1つの両性界面活性剤がコカンフォ2プロピオン酸2ナトリウムである、26に記載の送達系。
50.前記系が、シャンプー、コンディショナ、毛髪用ディープトリートメント、ボディ洗浄剤、バスジェル、バスオイル、ヘヤダイ組成物、パーマ処方剤、メークアップ組成物、スキンクリーム、又はローションの形態をしている、26に記載の送達系。
51.前記メークアップ組成物がマスカラ又はファンデーションである、50に記載の送達系。
52.(a)前記有機リン脂質、前記非イオン界面活性剤及び前記両性界面活性剤を組合わせて混合物を得る段階;
(b)段階(a)で得られた混合物を加熱する段階、
(c)希釈した混合物を形成するべく水溶液を添加する段階、
(d)前記希釈した混合物を冷却する段階を含んで成る、26に記載の送達系の調製方法。
53.水不溶性成分が段階(a)の混合物に添加される、52に記載の方法。
54.水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質:少なくとも1つの有機リン脂質以外の両性界面活性剤;前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤、少なくとも1つの多糖類樹脂、及び少なくとも1つの顔料を含む組成物。
55.水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質:少なくとも1つの有機リン脂質以外の両性界面活性剤;前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤、少なくとも1つの多糖類樹脂、及び前記の多糖類樹脂以外の少なくとも1つのフィルム形成剤を含む組成物。
56.顔料を更に含む55に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】LAN/6%AMPHOMERの希釈液処理した髪のカールの効果を示す(実施例15)図である。
【図2】部分中和ポリマーを含むLAN液(実施例16)の整髪中の性能を示す図である。
【図3】整髪性能が中和度が低いほど高くなる(実施例17)ことを示す図である。
【図4】LAN液中のスタイリングポリマーの量が増加すると、カール保持も増加する(実施例18)ことを示す図である。
【図5】水溶性ポリビニルピロロリドン/酢酸ビニルコポリマー(LUVISKOL)を少量または含まない液ではカールの保持が良好であることを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液中で2分子層を形成する能力をもつ少なくとも1つの有機リン脂質;
少なくとも1つの有機リン脂質以外の両性界面活性剤;及び
前記少なくとも1つのリン脂質の量以上の重量で存在する少なくとも1つの非イオン界面活性剤;を含んで成る組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−189686(P2008−189686A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97680(P2008−97680)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【分割の表示】特願平11−502524の分割
【原出願日】平成10年6月9日(1998.6.9)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】