説明

汚泥容量測定装置

【課題】発光源からの光を効率的かつ均一に計測管へ照射し、光検出器によって透過光を検出するために十分な光を得ることができる汚泥容量測定装置を実現することを目的とする。
【解決手段】側面と底面で構成された計測槽1の側面外側の一方に光源2からの光を発光させる発光部5を、他方に光センサー8を備え、計測槽1は発光部5の光を光センサー8へと透過する部分を有し、計測槽1に汚泥混合液を一定液位まで導入し、所定時間経過後に、発光部5から計測槽1を透過し光センサー8へと到達する光を光センサー8で検出し、光センサー8で検出する光の検出量から、汚泥混合液の汚泥容量を測定する装置であって、光源2からの光を第1の集光手段3で集め、導光手段4で発光部5へと導くようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性汚泥法による有機性排水処理施設における主要な維持管理指標の一つである汚泥容量を自動的に測定する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
活性汚泥法における主要な維持管理指標の一つである汚泥容量の測定方法は、下水試験法上巻(社団法人 日本下水道協会発行)の第8節に「活性汚泥沈殿率」として記載されており、「容量1リットルのメスシリンダー中で反応タンク内混合液を30分間静置したときの沈殿汚泥体積を、その試料量1リットルに対する百分率で表したもの」とされている。ここで、使用するメスシリンダーの容量及び形状が変わると、活性汚泥沈殿率が異なる場合があるので、使用するメスシリンダーは容積1リットルで、内径約6.5cmと規定されている。一般的には排水処理施設の維持管理者が日々の業務として下水試験法の手順に従って手作業で汚泥容量を測定し、維持管理の判断材料とすることで排水処理施設を適正に運転している。しかし、活性汚泥処理槽を複数もつ大型施設では測定に手間がかかり、屋外施設では測定値が雨や日照の影響を受け、土・日・祝日・盆・正月などの休日対応が必要となるなど維持管理者にとって大きな負担になっている。
【0003】
そこで、汚泥容量を自動的に測定する装置として、試料注入口を上部に備えた計測管の底を開閉自在の弁とし、計測管の一方に軸方向に発光源を配列し、この発光源に対向する計測管の他方に光検出器を配列し、計測管における光の透過量を光検出器の電気量としてとりだすことで、汚泥容量を算出する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭51−35363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1に記載の活性汚泥容量測定装置は、基本構成として計測管を挟んで一方に発光源を、他方に光検出器を配置した単純な構成であり、このままの構成では発光源からの光が計測管及び計測管内の水中で反射・屈折・散乱し、光検出器によって検出するために十分な光を得ることができないという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は発光源からの光を効率的かつ均一に計測管へ照射し、光検出器によって透過光を検出するために十分な光を得ることができる汚泥容量測定装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明の汚泥容量測定装置は、側面と底面で構成された計測槽の側面外側の一方に光源からの光を発光させる発光部を、他方に受光部を備え、計測槽は発光部の光を受光部へと透過する部分を有し、計測槽に汚泥混合液を一定液位まで導入し、所定時間経過後に、発光部から計測槽を透過し受光部へと到達する光を受光部で検出し、受光部で検出する光の検出量から、汚泥混合液の汚泥容量を測定する装置であって、光源からの光を集光手段で集め、導光手段で発光部へと導くものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、光源からの光を効率的かつ均一に計測槽へ照射し、光検出器によって透過光を検出するために十分な光を得ることができる汚泥容量測定装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の第1の実施の形態による汚泥容量測定装置は、側面と底面で構成された計測槽の側面外側の一方に光源からの光を発光させる発光部を、他方に受光部を備え、計測槽は発光部の光を受光部へと透過する部分を有し、計測槽に汚泥混合液を一定液位まで導入し、所定時間経過後に、発光部から計測槽を透過し受光部へと到達する光を受光部で検出し、受光部で検出する光の検知量から、汚泥混合液の汚泥容量を測定する装置であって、光源からの光を第1の集光手段で集め、導光手段で発光部へと導くものである。
【0009】
本実施の形態によれば、光源から発した光は第1の集光手段によって集められ、集められた光は導光手段によって発光部へと導かれ、発光部から計測槽へと照射されるため、光源の光を無駄なく計測槽へ照射することができ、計測槽を透過した光を受光部で確実に検出することができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による汚泥容量測定装置において、発光部は導光手段によって導かれた光を乱反射させる乱反射層を有するものである。
【0011】
本実施の形態によれば、導光手段によって導かれた光が乱反射層によって発光部内で均一となるため、発光部の寸法を計測槽の大きさに合わせることで、効率よく均一に計測槽を照射することができるようなり、計測槽を透過する光のムラも抑えることが出来るので、受光部に到達する光のムラも抑えることができ、安定した光の検出が可能となる。
【0012】
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による汚泥容量測定装置において、導光手段は光ファイバーであるものである。
【0013】
本実施の形態によれば、光源および集光手段と発光部とを離れた距離に設置することが可能となり、より大出力の光源を用いたり、ランプの交換などメンテナンス時にアクセスし易い場所に光源を設置したりすることが可能となる。
【0014】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3いずれか1つの実施の形態による汚泥容量測定装置において、計測槽は空気層を設けた2重構造で、断熱効果を有しており、計測槽の外面は発光部の光を受光部へと透過する部分以外は光を反射するものである。
【0015】
本実施の形態によれば、計測槽内の汚泥混合液は外気温や輻射熱の影響を受け難く、その結果計測槽内は温度分布が均一となり、計測槽内の汚泥混合液は対流が発生し難くなり、気温の高・低、夜・昼などの外部環境の変化に影響を受けることなく安定して汚泥容量を測定することが可能となる。
【0016】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第3いずれか1つの実施の形態による汚泥容量測定装置において、光源はLEDとしたものである。
【0017】
本実施の形態によれば、LEDは電気エネルギーを直接光へと変換するため、輻射熱の発生がないため、光源から発生する輻射熱の影響による計測槽内の汚泥混合液の対流を防ぎ、安定した汚泥容量を測定することが可能となる。
【0018】
本発明の第6の実施の形態は、第1から第3いずれか1つの実施の形態による汚泥容量測定装置において、受光部は複数の光センサーを、計測槽の深さ方向へ配列したものである。
【0019】
本実施の形態によれば、汚泥の沈降にしたがって光を検出する光センサーの数が増加していくため、汚泥容量を算出するために光センサーの電気的な出力から演算を行なったり、汚泥の種類に応じた演算パラメーターの微調整を行うことなく、簡単で確実に汚泥界面を捉え、汚泥容量を測定することが可能となる。
【0020】
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による汚泥容量測定装置において、受光部が計測槽に密着するように配置したものである。
【0021】
本実施の形態によれば、計測槽内を透過してきた光を無駄なく光センサーへ導くことができ、汚泥容量の測定を確実に行うことができる。
【0022】
本発明の第8の実施の形態は、第6の実施の形態による汚泥容量測定装置において、受光部と計測槽との間に第2の集光手段を備えたものである。
【0023】
本実施の形態によれば、計測槽内を透過してきた光を集光して光センサーへ導くことができ、汚泥混合液が着色等していて光を透過しにくい性状の場合であっても、確実に汚泥容量を測定することが可能となる。
【0024】
本発明の第9の実施の形態は、第1から第3いずれか1つの実施の形態による汚泥容量測定装置において、光源は赤色の光源としたものである。
【0025】
本実施の形態によれば、赤色は波長が長く、散乱による光の減衰を受け難い性質をもっているため、汚泥混合液中に懸濁物質が多い場合であっても確実に汚泥容量を測定することができる。
【0026】
本発明の第10の実施の形態は、第1から第3いずれか1つの実施の形態による汚泥容量測定装置において、汚泥混合液は側面の上端からオーバーフローによって自然流下するものである。
【0027】
本実施の形態によれば、汚泥容量の測定時、計測槽の上端からオーバーフローするまで汚泥混合液を供給することが可能となり、汚泥混合液は計測槽の上端全周よりオーバーフローするため汚泥容量計測開始時の計測槽内の流速分布が均一化するため、汚泥容量の測定値も安定した値を得ることが可能となる。
【0028】
本発明の第11の実施の形態は、第1から第3いずれか1つの実施の形態による汚泥容量測定装置において、計測槽は底面に汚泥混合液の排出口と散気口とを備え、汚泥容量を測定した後、排出口から汚泥混合液を排出し、洗浄水を計測槽へ導入しつつ、散気口から散気することで、計測槽内を気泡噴流によって洗浄するものである。
【0029】
本実施の形態によれば、計測槽内を気泡噴流によって撹拌することで、計測槽内壁と洗浄水を激しく接触させることができるため、計測槽内壁をきれいに洗浄することが可能となる。また、気泡の体積分は洗浄水を入れる必要がなくなるため、洗浄水を節約することも可能となる。
【0030】
本発明の第12の実施の形態は、第1から第3いずれか1つの実施の形態による汚泥容量測定装置において、計測槽、発光部、受光部を本体ケース内へ配設し、本体ケース外面は光を反射するものである。
【0031】
本実施の形態によれば、本体ケースが外部の光や外気温や輻射熱の影響を遮断するため、計測槽自体は透明な材料で製作するだけでよく、装置の構成を単純にすることが可能となる。また、メンテナンス等で本体ケースを外して維持管理者が目視で汚泥容量を確認することも可能となる。
【0032】
本発明の第13の実施の形態は、第12の実施の形態において本体ケースに吸気口と換気装置を備えたものである。
【0033】
本実施の形態によれば、本体ケース内の空気を換気しつつ、撹拌することができるため、本体ケース内の温度分布を均一に保つことができ、計測槽内の汚泥混合液の対流を防ぎ、安定した汚泥容量を測定することが可能となる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例における汚泥容量測定装置について、図面を参照して説明する。
【0035】
図1は本発明の一実施例における汚泥容量測定装置を示す構成図である。なお、図中の矢印は汚泥混合液の流れを示す。汚泥容量を測定する計測槽1は下水試験法に従い容積1リットルで内径約65mmの円筒状の容器で構成されている。計測槽1の一方には発光部5が、発光部5に対向する他方には光センサー8が配置されている。
【0036】
光源2は第1の集光手段3内に配置されており、第1の集光手段3は導光手段4へ接続され、導光手段4は発光部5へと接続されている。発光部5には乱反射層6が備えてあり、導光手段4内はアクリル等の導光材料が充填されており、発光部5の発光面は計測槽1へ密着するようになっている。
【0037】
光センサー8は計測槽1へ密着するように配置された第2の集光手段7へ密着するように配置されている。光センサー8は計測槽1の深さ方向へ直列に複数個並べられており、光センサーの信号線14によってインジケーター15を複数個配置した表示機16へと接続されている。ここで、光センサー8はフォトトランジスタ、フォトダイオード、フォトICなどである。
【0038】
また、第1の集光手段3はステンレスやメッキを施した鉄板や鏡など、光を反射する材質である。計測槽1の上部には曝気槽等から汚泥混合液を導入してくる汚泥混合液導入管11と計測槽1内を洗浄するための洗浄水導入管51が備えてあり、計測槽1の下部には測定後に汚泥混合液を排出するための排出口12と、排出口12に接続する汚泥混合液排出管17および排出弁13が備えられている。
【0039】
上記構成において、汚泥容量を測定する場合、図示しない曝気槽等から水中ポンプや陸上ポンプやエアリフトポンプ等で曝気槽内の汚泥混合液を計測槽1へと導入してくる。計測槽1へと導入する汚泥混合液の量はタイマーや図示しない電磁流量計や図示しない液面レベルセンサーによって計測する。汚泥混合液を計測槽1へ導入後、30分間静置し、濃縮汚泥20と汚泥上澄21との界面がどの程度の高さに位置するかを測定する。
【0040】
このため、光源2を点灯し、光を第1の集光手段3によって集光し、集めた光を導光手段4によって発光部5へと導き、発光部5の乱反射層6によって光を乱反射させ導光手段4内で光を均一にした上で、発光部5から面発光させて計測槽1へと照射するようになっている。
【0041】
計測槽1内へ照射された光は濃縮汚泥20では遮られるため、光センサー8は光を検出しない。一方、汚泥上澄21では光は遮られないため、光センサー8は光を検出する。このように、光を検出する光センサー8と光を検出しない光センサー8の個数や予め設定した位置によって汚泥界面を簡単で確実に捉え、汚泥容量を測定することが可能となる。なお、静置時間(30分)は一例であり、必要に応じて数分〜数時間で設定することが可能である。
【0042】
このような構成の測定装置のため測定の精度は光センサーの個数によって左右される。例えば、図1中では光センサーの数は10個で等間隔に配置されているので、10%刻みで汚泥容量を測定することが可能である。ここで、光センサーの数を20個にすると、5%刻みで汚泥容量を測定することが可能となる。活性汚泥処理維持管理の実情からすると5%刻み程度で十分に実用に耐えうる精度であるといえる。
【0043】
光センサー8の信号は光センサー信号線14によって表示機16へと伝えられる。表示機16には光センサー8と同じ個数のインジケーター15が備えられており、光センサー8が光を検出するとインジケーター15が点灯するようになっており、インジケーター15の点灯数を見ることで、汚泥容量を知ることが可能となる。
【0044】
また、インジケーター15の点灯数を数字で表示したり、汚泥容量を数字で表示したりすることも簡単に実現することができる。汚泥容量を測定した後は、排出弁13を開けて、計測槽1内の汚泥混合液を排出し、その後排出弁13を閉め、洗浄水導入管51から洗浄水を導入することで、計測槽1内を洗浄するようになっている。ここで、洗浄水は水道水、地下水などの工業用水、排水処理施設の処理水などでよい。
【0045】
以上のような構成とすることで、光源2の光を無駄なく計測槽1へ照射することができ、計測槽1を透過した光を光センサー8で確実に検知できるようなる。また、光源2の光を発光部5から面発光させて計測槽1へと照射できるので、計測槽1を透過する光のムラも抑えることができ、光センサーに到達する光のムラも抑えることができ、安定した光の検出が可能となる。
【0046】
ここで、光源2としては蛍光灯や白熱電球などが一般的であるが、LEDを用いるのが最もよい。LEDは電気エネルギーを直接光へと変換するため、輻射熱の発生がなく、光源2から発生する輻射熱の影響による計測槽1内の汚泥混合液の対流を防ぎ、安定した汚泥容量を測定することが可能となる。
【0047】
また、光源2の発する光は可視光であればよいが、可視光の中でも赤色であるのが望ましい。赤色の光は波長が700nm程度と長いため、水中の懸濁物による光の減衰を受け難い性質を持っており、汚泥混合液中に懸濁物質が多い場合であっても確実に汚泥容量を測定することができる。
【0048】
また、光センサー8は第2の集光手段7によって計測槽1内から光を集めるため、汚泥混合液が着色等しており、光を透過しにくい性状のものであっても、確実に汚泥容量を測定することが可能となる。ここで、第2の集光手段7はプラスチック(アクリル等)やガラスによるレンズであり、計測槽1内を透過してきた光をできるだけ多く集めるために用いるものである。
【0049】
また、光センサー8は感度が最大となる波長が種類によって異なるため、光源2の光の波長にマッチした光センサー8を選定することが重要である。
【0050】
図2は本発明の図1おける汚泥容量測定装置の光センサー8部での水平断面を上側から見た構成図である。
【0051】
計測槽1は空気層1dを挟んで内面と外面から構成されており(簡単のため、図1では説明と共に省略)、外面・内面ともに発光部5側は発光透過部1a、光センサー8側の面は受光透過部1bのように光を透過するように透明な材質となっている。発光透過部1a、受光透過部1b以外は外面に遮光層1c(図2中で太線で示す)が備えてあり、外部からの光を反射するようになっている。
【0052】
ここで、計測槽1の材質はプラスチックやガラスが望ましい。また、遮光層1cは簡易的にはアルミホイルでもよいが、黒色などの下塗りをした上でシルバーや白色など光を反射し易い塗料を使用しても良い。
【0053】
このように、計測槽1に空気層1dを設けることで、計測槽1は断熱効果を有し、また計測槽1の外面は光を反射するようになる。このため、計測槽1内の汚泥混合液は外気温や輻射熱の影響を受け難く、その結果計測槽1内は温度分布が均一となり、計測槽1内の汚泥混合液は対流が発生し難くなり、気温の高・低、夜・昼などの外部環境の変化に影響を受けることなく安定して汚泥容量を測定することが可能となる。
【0054】
図3は光源2と発光部5とを導光手段4で接続した場合の構成図を示している。光源2の光は第1の集光手段3で集められ、導光手段4によって発光部5へと到達するようになっている。ここで、導光手段4の一部には光ファイバーケーブル22が用いられている。このようにすることで、光源2および第1の集光手段3と発光部5とを離れた距離に設置することが可能となり、より大出力の光源2を用いたり、光源2の交換などメンテナンス時にアクセスし易い場所に光源2を設置することが可能となる。
【0055】
図4は図1における汚泥容量測定装置の他の実施例を示す構成図である。図1と同じ構成については同一符号を付し、説明は省略する。
【0056】
計測槽1の側面を囲うように2次計測液受槽31が計測槽1の上側に配置され、2次計測液受槽31の底面は計測槽1の側面に対して傾斜し、底面の内側が鋭角に接するような形状となっている。2次計測液受槽31の底面には2次計測液排出口32が配置されている。2次計測液受槽31の上部には2次計測液受槽フタ33が配置されており、2次計測液受槽フタ33には汚泥混合液導入口34が配置されている。
【0057】
発光部5には光源2からの光が光ファイバーケーブル22によって導かれるようになっている。計測槽1の底面には散気口37が配置されており、散気口37へは配管を通じて散気弁35や散気ブロア36が接続されている。また、光センサー8・第2の集光手段7・光センサー信号線14は光センサーカバー38によって汚泥混合液から保護されている。
【0058】
上記構成において、汚泥容量を測定する場合、汚泥混合液導入口34より計測槽1へ汚泥混合液を導入し、2次計測液排出口32より曝気槽へと汚泥混合液を排出する。その後、汚泥混合液の導入を止めて、図1と同様な手順で汚泥容量を測定する。
【0059】
汚泥容量の測定後、排出弁13を開き、汚泥混合液を排出した後、排出弁13を閉じ、洗浄水を洗浄水導入管51から導入し、10秒から30秒程度の間、計測槽1から洗浄水を2次計測液受槽へオーバーフローさせ、次に洗浄水を導入しつつ散気ブロア36を運転後、散気弁35を開いて気泡噴流で計測槽1を洗浄するようになっている。気泡噴流は計測槽1からオーバーフローし、2次計測液排出口32より曝気槽へと送り込まれるようになっている。
【0060】
ここで、汚泥容量の測定時、所定(1リットル)の汚泥混合液以上の汚泥混合液が計測槽1へ導入された場合は、計測槽1の上端からオーバーフローするため、確実に所定量の汚泥混合液を計量することが可能となる。なお、計測槽1へと導入する汚泥混合液の流量は2リットル/分以上とすることが望ましい。あまり流量が少ない場合は、計測槽1へと汚泥混合液を導入する間に汚泥混合液の沈降が始まってしまうためである。
【0061】
また、汚泥混合液は計測槽1の上端全周よりオーバーフローするため、汚泥容量計測開始時の計測槽1内の流速分布が均一化するため、汚泥容量の測定値が安定する。
【0062】
また、洗浄水で満たした計測槽1内を気泡噴流によって撹拌することで、計測槽1内壁と洗浄水を激しく接触させることができるため、計測槽1内壁をきれいに洗浄することが可能となる。
【0063】
また、気泡の体積分は洗浄水を入れる必要がなくなるため、洗浄水を節約することも可能となる。ここで、洗浄水は水道水・排水処理の処理水・工業用水などが使われる。
【0064】
図5は本体ケース41内に図1や図4の汚泥容量測定装置を配設した構成図を示している。本体ケース41内には測定装置固定脚46を介して測定装置45が配設されている。測定装置45には汚泥混合液導入管61によって、汚泥混合液が導入され、汚泥混合液排出管67によって汚泥混合液が排出されるようになっている。
【0065】
また、測定結果は光センサー信号線14によって本体ケース外部の表示機16へと伝えられるようなっている。また、本体ケース41上部には換気用の換気ファン42が配置され、本体ケース41下部には吸気口43が配置されている。
【0066】
なお、本体ケース41下部には傾き調整手段44が配置されており、計測装置45の傾きを補正できるようなっている。本体ケース41の外面は光を反射する材質(ステンレス)、色(白色、シルバー)となっている。
【0067】
このような構成とすることで、本体ケース41が外部の光や外気温や輻射熱の影響を遮断するため、計測槽は図2で説明した遮光層1cを設ける必要がなく、透明な材料で製作するだけでよく、装置の構成を単純にすることが可能となる。
【0068】
また、メンテナンス等で本体ケース41を開けて、維持管理者が目視で汚泥容量を確認することも可能となる。
【0069】
また、換気ファン42を運転することで、本体ケース41内の空気を換気しつつ撹拌することができるため、本体ケース41内の温度分布を均一に保つことができ、安定した汚泥容量を測定することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明による汚泥容量測定装置は、活性汚泥処理槽の維持管理に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施例における汚泥容量測定装置を示す構成図
【図2】本発明の図1おける汚泥容量測定装置の断面を示す構成図
【図3】光源2と発光部5とを光ファイバーで接続した場合の構成図
【図4】図1における汚泥容量測定装置の他の実施例を示す構成図
【図5】本体ケース内に図1や図4の汚泥容量測定装置を配設した構成図
【符号の説明】
【0072】
1 計測槽
1a 発光透過部
1b 受光透過部
1c 遮光層
1d 空気層
2 光源
3 第1の集光手段
4 導光手段
5 発光部
6 乱反射層
7 第2の集光手段
8 光センサー
11、61 汚泥混合液導入管
12 排出口
13 排出弁
14 光センサー信号線
15 インジケーター
16 表示機
17、67 汚泥混合液排出管
20 濃縮汚泥
21 汚泥上澄
22 光ファイバーケーブル
31 2次計測液受槽
32 2次計測液排出口
34 汚泥混合液導入口
35 散気弁
36 散気ブロア
37 散気口
38 光センサーカバー
41 本体ケース
42 換気ファン
43 吸気口
44 傾き調整手段
45 測定装置
46 測定装置固定脚
51 洗浄水導入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面と底面で構成された計測槽の側面外側の一方に光源からの光を発光させる発光部を、他方に受光部を備え、前記計測槽は発光部の光を受光部へと透過する部分を有し、前記計測槽に汚泥混合液を所定液位まで導入し、所定時間経過後に、前記発光部から前記計測槽を透過し前記受光部へと到達する光を前記受光部で検出し、前記受光部で検出する光の検出量から、前記汚泥混合液の汚泥容量を測定する装置であって、光源からの光を第1の集光手段で集め、導光手段で発光部へと導く汚泥容量測定装置。
【請求項2】
前記発光部は導光手段によって導かれた光を乱反射させる乱反射層を有することを特徴とする請求項1記載の汚泥容量測定装置。
【請求項3】
前記導光手段は光ファイバーであることを特徴とする請求項1記載の汚泥容量測定装置。
【請求項4】
前記計測槽は空気層を設けた2重構造で、断熱効果を有しており、前記計測槽の外面は発光部の光を受光部へと透過する部分以外は光を反射することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の汚泥容量測定装置。
【請求項5】
前記光源はLEDであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の汚泥容量測定装置。
【請求項6】
前記受光部は複数の光センサーを、前記計測槽の深さ方向へ配列したことを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の汚泥容量測定装置。
【請求項7】
前記受光部が前記計測槽に密着するように配置したことを特徴とする請求項6記載の汚泥容量測定装置。
【請求項8】
前記受光部と前記計測槽との間に第2の集光手段を備えたことを特徴とする請求項6記載の汚泥容量測定装置。
【請求項9】
前記光源は赤色の光源であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の汚泥容量測定装置。
【請求項10】
前記計測槽の側面を囲うように2次計測液受槽が配置され、前記2次計測液受槽は汚泥混合液を導出する導出口を備え、汚泥混合液は前記側面の上端からオーバーフローによって自然流下することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の汚泥容量測定装置。
【請求項11】
前記計測槽は底面に汚泥混合液の排出口と散気口とを備え、汚泥容量を測定した後、前記排出口から汚泥混合液を排出し、洗浄水を前記計測槽へ導入しつつ、前記散気口から散気することで、前記計測槽内を気泡噴流によって洗浄することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の汚泥容量測定装置。
【請求項12】
前記計測槽、発光部、受光部を本体ケース内へ配設し、本体ケース外面は光を反射することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の汚泥容量測定装置。
【請求項13】
前記本体ケースに吸気口と換気装置を備えたことを特徴とする請求項12に記載の汚泥容量測定装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−80072(P2009−80072A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250911(P2007−250911)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】