説明

治療化合物

本発明は、式(I)の化合物[式中、R1およびR2は、本明細書に規定の任意の意義または特定の意義を有する]ならびにこのような化合物を含む組成物およびこのような化合物を投与することを含む治療方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の資金援助
本明細書に記載の発明は、全米科学財団により付与された助成金番号CHE−0213502のもと、政府の支援によりなされた。合衆国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
発明の背景
化学療法は、癌(例えば、乳癌)の管理において主要な役割を担っている。再発性または転移性疾患を患う患者の場合、全身化学療法は第1選択療法であることが多い。あいにく、全身化学療法で治癒することは稀である。さらに、標準的な化学療法剤、例えばシクロホスファミド、5−FU、ドキソルビシンおよびパクリタキセルによる治療は、顕著な副作用をもたらし、進行した疾患の症例では治癒することは稀である。結果的に、乳癌だけで合衆国において毎年約41000人の女性が命を落としている。したがって、特有の活性を有するおよび/または副作用が少ない新規抗癌剤が早急に必要とされている。
【0003】
発明の概要
本発明のある実施形態は、抗癌活性を有する化合物を提供する。したがって、一実施形態において、本発明は、式(I):
【0004】
【化1】


の化合物またはその塩
[式中、
は、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−C20)シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、NR、(C−C20)アルキノイルオキシおよびアリールカルボニルオキシから独立して選択される1個または複数の基で置換されており;
は、CFBr、CFHBr、CFCl、CFHCl、CFBr、CFCl、CBr、C(R)(R)Br、C(R)(R)Cl、CF(R)Br、CFI、CFHI、C(R)(R)I、CF(R)IまたはCClであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシまたはアリール−(C−C20)アルコキシカルボニルであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
の各アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールカルボニルオキシまたはヘテロアリールカルボニルオキシが、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C20)アルキル、ヘテロアリール(C−C20)アルキル、アリール(C−C20)アルケニル、アリール(C−C20)アルキニル、ヘテロアリール(C−C20)アルケニル、ヘテロアリール(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルカノイルオキシ、(C−C20)アルケノイルオキシ、(C−C20)アルキノイルオキシから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている]を提供する。
【0005】
本発明の一態様において、式(I)の化合物は、4−ブロモ−4,4−ジフルオロブト−2−イン酸でない。
【0006】
本発明の一態様において、式(I)の化合物は、6−ブロモ−6,6−ジフルオロ−2−メチルヘキス−4−イン−3−オールでない。
【0007】
本発明の一態様において、式(I)の化合物は、1−ブロモ−1,1−ジフルオロ−ノン−2−イン−4−オールでない。
【0008】
本発明はまた、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明はまた、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を動物に投与することを含む、動物における癌を治療する方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を動物に投与することを含む、DNAメチルトランスフェラーゼ1の活性が関与し、この作用の阻害が望まれる、動物における病態または症状を治療する方法を提供する。このような状態は、骨髄異形成症候群(MDS)、白血病、固形腫瘍、統合失調症、鎌状赤血球症およびループス(SLE)を含む。
【0011】
本発明はまた、DNAメチルトランスフェラーゼ1を式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩と接触させることを含む、DNAメチルトランスフェラーゼ1の活性を阻害する方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を動物に投与することを含む、動物における異常ヘモグロビン症、例えばサラセミア(例えば、ベータ−サラセミア)を治療する方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、医学療法において使用される、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0014】
本発明はまた、動物における癌を治療する医薬品の製造のための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0015】
本発明はまた、DNAメチルトランスフェラーゼ1の活性が関与し、この作用の阻害が望まれる、動物における病態または症状を治療する医薬品の製造のための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0016】
本発明はまた、動物における異常ヘモグロビン症、例えばサラセミア(例えば、ベータ−サラセミア)を治療する医薬品の製造のための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0017】
本発明はまた、式(I)の化合物またはその塩の調製に有用な本明細書に開示の方法および中間体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】60種腫瘍細胞株スクリーン(60 Tumor Cell Line Screen)における実施例1の化合物およびハロモン(右側のパネル)の活性プロファイルを示す平均グラフ表示(Mean Graph Representation)である。
【図2】試験Fからの実施例1の化合物のインビボ作用を示すグラフである。
【0019】
詳細な説明
特に記載のない限り、以下の定義を使用する:ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキルチオなどは、直鎖基および分枝鎖基の両方を示すが、個々の基、例えばプロピルに関しては、直鎖基のみを含み、分枝鎖異性体、例えばイソプロピルについては明確に言及する。用語シクロアルキルは、3個から12個の炭素原子を含有する単環式または多環式アルキル環を含む。用語アルケニルは、1個または複数(例えば、1個、2個、3個または4個)の二重結合を鎖中に含む炭化水素鎖を含む。用語アルキニルは、1個または複数(例えば、1個、2個、3個または4個)の三重結合を鎖中に含み、1個または複数(例えば、1個、2個、3個または4個)の二重結合を鎖中に場合によって含んでもよい炭化水素鎖を含む。炭化水素鎖(例えば、アルキル、アルケニルまたはアルキニル)中の炭素数は、本明細書において、例えば、1個から20個の炭素原子を含む鎖を意味する(C−C20)により明示し、または別の同様の明示により明示していることがある。
【0020】
アリールは、フェニル基または少なくとも一方の環が芳香族である約9個から10個の環原子を有するオルト縮合二環式炭素環基を示す。ヘテロアリールは、炭素と、非過酸化物酸素、硫黄およびN(X)(式中、Xは不存在である、あるいはH、O、(C−C)アルキル、フェニルまたはベンジルである)からなる群からそれぞれ選択される1個から4個のヘテロ原子とからなる5個または6個の環原子を含有する単環式芳香族環の基、およびこれから誘導された約8個から10個の環原子のオルト縮合二環式複素環の基、特にベンズ誘導体またはプロピレン、トリメチレンもしくはテトラメチレンジ基をこれに縮合することにより誘導されたものを包含する。
【0021】
用語「ヘテロシクリル」は、4〜7個の原子と、酸素、硫黄および窒素N(Y)(式中、Yは、結合点、H、O、(C−C)アルキル、フェニルあるいはベンジルである)からなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子とを含有する飽和または部分的に不飽和の単環式基およびこれから誘導された二環式または三環式環系の基、特にプロピレン、トリメチレンもしくはテトラメチレンジ基をこれに縮合することにより誘導されたものまたはアリール(例えば、ベンズ基)もしくはヘテロアリール環をこれに縮合することにより誘導されたものを意味する。
【0022】
本明細書において使用される用語「アリールカルボニルオキシ」は、式アリール−C(=O)−O−(式中、アリールは上述の意味を有する)の基を意味する。
【0023】
本明細書において使用される用語「ヘテロアリールカルボニルオキシ」は、式ヘテロアリール−C(=O)−O−(式中ヘテロアリールは上述の意味を有する)の基を意味する。
【0024】
本明細書において使用される用語「アリールオキシカルボニル」は、式アリール−O−C(=O)−(式中、アリールは上述の意味を有する)の基を意味する。
【0025】
本明細書において使用される用語「ヘテロアリールオキシカルボニル」は、式ヘテロアリール−O−C(=O)−(式中、ヘテロアリールは上述の意味を有する)の基を意味する。
【0026】
キラル中心を有する本発明の化合物が光学活性体およびラセミ体で存在し、単離することができることは当業者に理解される。いくつかの化合物は、結晶多形を示すことができる。本発明は、本明細書に記載の有用な特性を有する本発明の化合物のあらゆるラセミ体、光学活性体、結晶多形体もしくは立体異性体またはこれらの混合物を包含すると解されるべきであり、光学活性体の調製法(例えば、再結晶化技術によるラセミ体の分割による、光学活性出発材料からの合成による、キラル合成による、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離による)および本明細書に記載の標準試験または当該技術分野において十分公知の他の同様の試験を使用する抗癌活性の決定法は当該技術分野において十分公知である。
【0027】
以下に列記された基、置換基および範囲についての特定の意義は、説明のためのものにすぎず、これらは、基および置換基についての規定される他の意義および規定される範囲内の他の意義を除外するものではない。
【0028】
具体的には、(C−C20)アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロプロイル(isoproproyl)、ブチル、イソブチル、tertブチル、ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロプ−1−イル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルまたはデシルなどであってよく;(C−C20)アルカノイルは、アセチル、プロパノイルまたはブタノイルなどであってよく;(C−C20)アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペントキシまたはヘキシルオキシであってよく;(C−C20)アルキルチオは、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオまたはヘキシルチオであってよく;(C−C20)アルケニルは、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1,−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニルまたは5−ヘキセニルなどであってよく;(C−C20)アルキニルは、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニルまたは5−ヘキシニルなどであってよく;(C−C20)アルカノイルは、アセチル、プロパノイルまたはブタノイルなどであってよく;(C−C20)アルコキシカルボニルは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tertブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルまたはヘキシルオキシカルボニルなどであってよく;(C−C20)アルカノイルオキシは、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、イソブタノイルオキシ、tertブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシまたはヘキサノイルオキシなどであってよく;アリールは、フェニル、インデニルまたはナフチルであってよく;複素環は、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロピリジニル、チオモルホリニル、アゼチジニル、アジリジニル、ジヒドロイソインドイル、1,3−ジオキソランまたはジヒドロイソキノリニルであってよく;ヘテロアリールは、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソオキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾイル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル(もしくはこのN−オキシド)、チエニル、ピリミジニル(もしくはこのN−オキシド)、インドリル、イソキノリル(もしくはこのN−オキシド)またはキノリル(もしくはこのN−オキシド)であってよい。
【0029】
についての特定の意義は、カルボキシである。
【0030】
についての特定の意義は、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシ−カルボニルまたは(C−C20)アルキニルオキシカルボニルである。
【0031】
についての特定の意義は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニルおよび(C−C20)アルキニルオキシカルボニルから独立して選択される1個または複数の基で置換されており、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、アリール、ヘテロアリールおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている。
【0032】
についての特定の意義は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニルおよび(C−C20)アルキニルオキシカルボニルから独立して選択される1個または複数の基で置換されている。
【0033】
についての特定の意義は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、1個または複数のカルボキシで置換されている。
【0034】
についての特定の意義は、(C−C10)アルキルであり、(C−C10)アルキルが、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニルおよび(C−C20)アルキニルオキシカルボニルから独立して選択される1個または複数の基で置換されている。
【0035】
についての特定の意義は、(C−C10)アルキルであり、(C−C10)アルキルが、1個または複数のカルボキシで置換されている。
【0036】
についての特定の意義は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリールおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で置換されている。
【0037】
についての特定の意義は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシまたはNRで置換されている。
【0038】
についての特定の意義は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ヒドロキシで置換されている。
【0039】
についての特定の意義は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、式(I)における三重結合に隣接する炭素上でヒドロキシで置換されている。
【0040】
についての特定の意義は、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシもしくはNRで置換されている(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルである。
【0041】
についての特定の意義は、ヒドロキシで置換されている(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルである。
【0042】
についての特定の意義は、式(I)における三重結合に隣接する炭素上でヒドロキシで置換されている(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルである。
【0043】
についての特定の意義は、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシまたはNRで置換されている(C−C10)アルキルである。
【0044】
についての特定の意義は、ヒドロキシで置換されている(C−C10)アルキルである。
【0045】
についての特定の意義は、式(I)における三重結合に隣接する炭素上でヒドロキシで置換されている(C−C10)アルキルである。
【0046】
についての特定の意義は、2,2−ジメチル1−ヒドロキシプロプ−1−イル、1−ヒドロキシヘプト−4−エン−1−イル、2−エチル−1−ヒドロキシヘキス−1−イル、3−フェニル−1−ヒドロキシプロプ−1−イル、1−ヒドロキシ−ヘキス−1−イル、R−1−ヒドロキシ−ヘキス−1−イル、S−1−ヒドロキシ−ヘキス−1−イル、カルボキシ、1−ブロモヘキス−1−イル、1−ベンゾイルオキシヘキス−1−イル、1−アセトキシヘキス−1−イル、1−フェノキシヘキス−1−イル、1−ヒドロキシ−ブト−1−イル、1−ヒドロキシオクト−1−イル、1−ヒドロキシ−1−デク−1−イル、1−ヒドロキシ−1−ドデク−1−イル、1−シクロプロピル−1−ヒドロキシメチル、1−シクロヘキシル−1−ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシ−2,4−ヘキサジエン−1−イル、2−エチル−1−ヒドロキシヘキス−1−イル、2−メチル−1−ヒドロキシペント−1−イル、3−[N−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]−1−ヒドロキシプロプ−1−イルまたは
【0047】
【化2】


である。
【0048】
についての特定の意義は、1−ヒドロキシヘキス−3−エン−1−イルである。
【0049】
についての特定の意義は、CFBr、CFHBr、CFClまたはCFHClである。
【0050】
についての特定の意義は、CFBrである。
【0051】
式(I)の特定の化合物は、式(II):
【0052】
【化3】


の化合物
[式中、Rは、ヒドロキシ、メルカプト、クロロ、ブロモ、メチルチオ、エチルチオ、メトキシ、エトキシまたはアセチルアミノであり;Rは、(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルであり、(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C10)アルコキシ、(C−C10)アルキルチオ、カルボキシ、(C−C10)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリールおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている]である。Rについての特定の意義は、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C10)アルコキシ、(C−C10)アルキルチオ、カルボキシ、(C−C10)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリールおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている(C−C10)アルキルである。
【0053】
本発明の特定の化合物は、式(I):
【0054】
【化4】


の化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、Rは、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリールおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で置換されており;
は、CFBr、CFHBr、CFCl、CFHCl、CFBr、CFCl、CBr、C(R)(R)Br、C(R)(R)Cl、CF(R)BrまたはCClであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
の各アリールおよびヘテロアリールが、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C20)アルキル、ヘテロアリール(C−C20)アルキル、アリール(C−C20)アルケニル、アリール(C−C20)アルキニル、ヘテロアリール(C−C20)アルケニル、ヘテロアリール(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルカノイルオキシ、(C−C20)アルケノイルオキシ、(C−C20)アルキノイルオキシから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている]である。
【0055】
についての特定の意義は、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C10)アルコキシカルボニルおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている(C−C10)アルキルである。
【0056】
についての特定の意義は、(C−C10)アルキルである。
【0057】
についての特定の意義は、(C−C)アルキルである。
【0058】
式(I)の特定の化合物は、1−ブロモ−1,1−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−2−ノニンもしくは1−ブロモ−1,1−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−2−ヘキシンまたはこれらの塩である。
【0059】
式(I)の特定の化合物は、
【0060】
【化5】


またはその塩である。
【0061】
式(I)の化合物またはこれらの塩を調製する方法を、本発明のさらなる実施形態として提供し、一般基の意味が特に限定のない限り上述のとおりである以下の手順により説明する。
【0062】
式(I)の化合物は、式1の脱プロトン化末端アルキンを式2の求電子剤(式中、Xは、好適な脱離基である)と反応させることにより調製することができる。末端アルキンは、1個または複数の他の官能基もしくは保護されている官能基を含んでよい。
【0063】
【化6】

【0064】
以下に説明するとおり、Rが、式(I)における三重結合に隣接する炭素上でヒドロキシで置換されており、1個または複数の基で場合によってさらに置換されている(C−C20)アルキルである式(I)の化合物は、式3のトリアルキルシリルアルキンを式4のアルデヒドと反応させて対応する式(I)の化合物を提供することにより調製することができる。
【0065】
【化7】

【0066】
反応は、式3の化合物をアルデヒド4およびフッ化物イオン源(例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム)により好適な溶媒中で処理することにより便宜的に実施することができる。
【0067】
式5の化合物は、さらに改質して他の式(I)の化合物、例えば以下に説明する式6〜8の化合物を提供することができる。
【0068】
【化8】

【0069】
式5のアルコールの変換、例えばCBrおよびトリフェニルホスフィンによる臭素化により、式6の臭化物が提供される。式5のアルコールをジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、トリフェニルホスフィンおよび式RSHのチオールにより処理することにより、式7の硫化物が提供される。式5のアルコールをジエチルアゾジカルボキシレート、トリフェニルホスフィンおよびアミド(例えば、式CHCONH)により処理することにより、式8のアミドが提供される。
【0070】
以下の化合物9は、文献(Journal of the Chemical Society、Perkin Transactions 1:1063〜1065頁;1982)において最初に報告された。以下に説明するとおり、これはG.B.Hammond J.Fluorine Chem.2006、127、476〜488頁により記載されているとおりに調製することもできる。
【0071】
【化9】

【0072】
が、カルボキシ基で置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニル基である式(I)の化合物は、対応するアルキニルリチウムをジブロモジフルオロメタンと反応させることにより調製することができる。
【0073】
がヒドロキシであり、RがCHBrである式(II)の化合物は、以下に説明するとおりに調製することができる。
【0074】
【化10】

【0075】
式1〜4の中間体は、式(I)の化合物の調製に特に有用である。
【0076】
化合物が十分に塩基性または酸性である場合、式(I)の化合物の塩は、式(I)の化合物を単離または精製するための中間体として有用であり得る。さらに、薬学的に許容される酸塩または塩基塩としての式(I)の化合物の投与は、好適であり得る。薬学的に許容される塩の例は、生理学的に許容される陰イオンを形成する酸により形成されている有機酸付加塩、例えばトシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩およびα−グリセロリン酸塩である。塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩および炭酸塩を含む好適な無機酸塩を形成してもよい。
【0077】
薬学的に許容される塩は、当該技術分野において十分公知の標準的な手順を使用して、例えば十分に塩基性の化合物、例えばアミンを、生理学的に許容される陰イオンをもたらす好適な酸と反応させることにより得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)塩またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩を作製してもよい。
【0078】
式(I)の化合物は、医薬組成物として配合することができ、哺乳動物宿主、例えばヒトの患者に、選択投与経路に適合された種々の形態で、例えば経口的または非経口的に、静脈内経路、筋肉内経路、局所経路または皮下経路により投与することができる。
【0079】
したがって、本化合物は、例えば経口的に、薬学的に許容されるビヒクル、例えば不活性希釈剤または同化性食用担体と組み合わせて全身投与することができる。これらは、硬もしくは軟シェルゼラチンカプセル中に封入し、錠剤に圧縮し、または患者の食事の食物とともに直接取り込ませることができる。経口療法投与のため、活性化合物は、1種または複数の賦形剤と組み合わせて、内服錠、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、オブラート剤などの形態で使用することができる。このような組成物および調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有すべきである。組成物および調製物の割合は無論変動させてよく、便宜的には、所与の単位剤形の重量の約2%から約60%であってよい。このような治療に有用な組成物における活性化合物の量は、有効投与量レベルが得られるような量である。
【0080】
錠剤、トローチ剤、ピル剤、カプセル剤などは、以下のもの:結合剤、例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、トウモロコシデンプンまたはゼラチン;賦形剤、例えばリン酸二カルシウム;崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸など;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム;および甘味剤、例えばスクロース、フルクトース、ラクトースもしくはアスパルテームを含有してよく、または香料剤、例えばペパーミント、ウインターグリーン油もしくはチェリー香料が添加されていてよい。単位剤形がカプセル剤である場合、これは、上述のタイプの材料に加え、液体担体、例えば植物油またはポリエチレングリコールを含有してよい。種々の他の材料は、コーティング剤として、または固体の単位剤形の物理形態を他の点で改質するために存在してよい。例えば、錠剤、ピル剤またはカプセル剤は、ゼラチン、ワックス、シェラックまたは糖などによりコーティングされていてよい。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのスクロースまたはフルクトース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、染料および香料、例えばチェリーまたはオレンジフレーバーを含有してよい。無論、任意の単位剤形を調製するにつき使用される任意の材料は、薬学的に許容されるものであり、使用される量において実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性調製物および装置中に取り込ませることができる。
【0081】
活性化合物は、注入または注射により静脈内投与または腹腔内投与することもできる。活性化合物またはその塩の溶液は、水中で調製することができ、非毒性界面活性剤と場合によって混合することができる。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチンおよびこれらの混合物中で調製することもでき、油中で調製することもできる。貯蔵および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を予防するため保存剤を含有する。
【0082】
注射または注入に好適な医薬剤形は、無菌水性溶液または分散液、あるいはリポソーム中に場合によってカプセル化されている、無菌注射もしくは注入溶液または分散液の即時調製のために適合された有効成分を含む無菌粉末を含んでよい。すべての場合において、最終的な剤形は、製造および貯蔵の条件下で無菌的、流動的および安定的であるべきである。液体担体およびビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリルエステルおよびこれらの好適な混合物を含む溶媒または液体分散液媒体であってよい。適当な流動性は、例えば、リポソームの形成、分散液の場合における粒度の維持または界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどにより予防することができる。多くの場合において、等張剤、例えば糖、緩衝液または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射組成物は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中で使用することにより、吸収を遅らせることができる。
【0083】
無菌注射溶液は、活性化合物を適切な溶媒中に上述の種々の他の成分と取り込ませ、次いでフィルター滅菌することにより調製する。無菌注射溶液調製用の無菌粉末の場合において、好ましい調製方法は、事前に滅菌濾過された溶液中に存在する有効成分と任意の追加の所望成分の粉末を生じさせる真空乾燥および凍結乾燥技術である。
【0084】
局所投与のため、本化合物は、例えばこれらが液体である場合、純粋形態で塗布することができる。しかしながら、一般に、これらを固体もしくは液体であってよい皮膚科学的に許容される担体と組み合わせた組成物または配合物として皮膚に投与することが望ましい。
【0085】
有用な固体担体は、微粉砕固体、例えばタルク、粘土、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナなどを含む。有用な液体担体は、本化合物を場合によって非毒性界面活性剤により溶解または分散させることができる水、アルコールもしくはグリコールまたは水−アルコール/グリコールブレンドを含む。補助剤、例えば芳香剤および追加の抗菌剤は、所与の使用のための特性を最適化するために添加することができる。得られた液体組成物は、吸収パッドから塗布し、包帯または他の手当用品に含浸させるために使用し、またはポンプタイプもしくはエアゾール噴射剤を使用して患部領域上に噴射することができる。
【0086】
使用者の皮膚に直接塗布するための拡展性のペースト剤、ゲル剤、軟膏剤、洗浄剤などを形成するため、増粘剤、例えば合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪アルコール、改質セルロースまたは改質鉱物材料を液体担体と使用することもできる。
【0087】
式(I)の化合物を皮膚に運搬するために使用することができる有用な皮膚科学組成物の例は、当該技術分野において公知であり;例えば、Jacquetら(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら(米国特許第4,559,157号)およびWortzman(米国特許第4,820,508号)を参照のこと。
【0088】
式(I)の化合物の有用な投与量は、動物モデルにおけるこれらのインビトロ活性およびインビボ活性を比較することにより決定することができる。マウスおよびヒトにいたる他の動物における有効な投与量の推定方法は、当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第4,938,949号を参照のこと。
【0089】
一般に、液体組成物、例えばローション剤における(1種または複数の)式(I)の化合物の濃度は、約0.1〜25重量%、好ましくは約0.5〜10重量%である。半固体または固体組成物、例えばゲル剤または粉末における濃度は、約0.1〜5重量%、好ましくは約0.5〜2.5重量%である。
【0090】
化合物もしくは活性塩またはこれらの誘導体の治療における使用に有効な量は、選択された特定の塩によってだけでなく、投与経路、治療されている病態の性質ならびに患者の年齢および状態によっても変動し、最終的には主治医または臨床医の裁量である。
【0091】
しかしながら、一般に、好適な用量は、1日当たり約0.5mg/kg体重から約100mg/kg体重、例えば1日当たり約10mg/kg体重から約75mg/kg体重、例えば1日当たりレシピエントの体重1kg当たり3mgから約50mgの範囲内、好ましくは6mg/kg/日から90mg/kg/日の範囲内、最も好ましくは15mg/kg/日から60mg/kg/日の範囲内である。
【0092】
化合物は、便宜的には、単位剤形で投与することができ、単位剤形当たり例えば5mgから1000mg、便宜的には10mgから750mg、最も便宜的には50mgから500mgの有効成分を含有する剤形で投与することができる。
【0093】
理想的には、有効成分は、活性化合物の最高血漿中濃度が約0.5μMから約75μM、好ましくは約1μMから50μM、最も好ましくは約2μMから約30μMに達するまで投与すべきである。このことは、例えば0.05%から5%の有効成分溶液(場合によって生理食塩水中)の静脈内注射により、または約1〜100mgの有効成分を含有するボーラスとして経口投与することにより達成することができる。所望の血中濃度は、約0.01〜5.0mg/kg/時間の継続的な注入により、または約0.4〜15mg/kgの(1種または複数の)有効成分を含有する間欠的な注入により維持することができる。
【0094】
所望の用量は、便宜的には、単回用量、または適切な間隔で、例えば1日当たり2回、3回、4回またはこれより多い小用量(sub-dose)として投与される分割用量で提供することができる。小用量これ自体は、例えば何回かの非連続の不定間隔投与、例えば吸入器からの複数回吸入に分割することができ、または眼への複数滴の塗布によりにさらに分割することができる。
【0095】
本発明の化合物は、他の治療剤、例えば癌の治療に有用な他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。このような薬剤の例は、アルキル化剤(例えば、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、ロムスチン、シクロホスファミド、メルファラン、メクロレタミン、プロカルバジン、チオテパ、ウラシルマスタード、トリエチレンメラミン、ブスルファン、ピポブロマン、ストレプトゾシン、イフォスファミド、ダカルバジン、カルボプラチンおよびヘキサメチルメラミン)、代謝拮抗剤(例えば、シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メルカプトプリン、メトトレキサート、アザセリン、チオグアニン、フロクスウリジン、フルダラビン、クラドリビンおよびL−アスパラギナーゼ)、天然物(例えば、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、カンプトテシン、ダウノマイシン、ドキソルビシン、エトポシド、マイトマイシンC、(パクリタキセル)、タキソテール、テニポシド、ビンクリスチン、ビノレルビン、ミトラマイシン、イダルビシン、(プリカマイシン)およびデオキシコフォルマイシン)、ホルモン剤(例えば、タモキシフェン)および他の薬剤(例えば、ミトタン、ミトキサントロン、ビンブラスチンおよびレバミゾール)を含む。
【0096】
本発明の特定の実施形態において、化合物は、1種または複数の他のDNMT阻害剤(例えば、ダシタビン(dacitabine))と組み合わせて投与または配合することができる。
【0097】
本発明の特定の実施形態において、化合物は、1種または複数のHDAC阻害剤(例えば、ボリノスタット)と組み合わせて投与または配合することができる。
【0098】
本発明の特定の実施形態において、化合物は、1種または複数の他の治療剤(例えば、ソラフェニブ、スーテント、ハーセプチン、アバスタチン(avastatin)、グリベック、イレッサまたはタルセバ)と組み合わせて投与または配合することができる。
【0099】
したがって、一実施形態において、本発明はまた、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、少なくとも1種の他の治療剤および薬学的に許容される希釈剤または担体を含む組成物を提供する。本発明はまた、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、少なくとも1種の他の治療剤、包装材料ならびに式(I)の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩および(1種または複数の)他の治療剤を動物に投与して病態(例えば、癌)を治療するための説明書を含むキットを提供する。
【0100】
本発明の化合物の抗癌剤としての作用能は、当該技術分野において十分公知の薬理学モデルを使用し、または以下に説明する試験Aを使用して決定することができる。
【0101】
試験A
試験化合物を無菌水またはDMSO中で懸濁させ、無菌水により適切な濃度(最終DMSOは、<0.5%である)に希釈する。試料を、96ウェルプレート中にプレートしたMDA−MB−231およびMCF7乳癌細胞に添加してトリプリケートウェルにおける最終濃度を10−10M、10−9M、10−8M、10−7M、10−6Mにする。各プレートは、陽性対照および陰性対照(未処理細胞)を含有する。細胞を4日間インキュベートし、増殖を比色定量MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイ(Methods Mol Biol 1998、79、79〜83頁を参照のこと)を使用して測定する。式(I)の代表的な化合物をこのアッセイにおいて試験し、有用な活性を有することを見出した。
【0102】
本発明の化合物のDNMT1阻害剤としての作用能は、当該技術分野において十分公知の薬理学モデルを使用し、または以下に説明する試験Bを使用して決定することができる。
【0103】
試験B 組換えヒトDNMT1を使用するインビトロ酵素アッセイ
化合物のDNMT1阻害剤としての作用能を評価するため、Carcinogenesis、2006、27、269〜277頁により記載されている方法と同様の方法を使用することができる。すなわち、化合物を組換えヒトDNMT1(市販品)、ヘミメチル化DNA基質(ポリ[dI−dC])およびメチル供与体としてのS−アデノシル−[メチル−H]−メチオニンとインキュベートする。反応後、DNAを沈澱させ、取り込まれたHを測定する。20μMのカフェイン酸を陽性対照として使用する。
【0104】
本発明の化合物の培養細胞中におけるDNAメチル化への影響能は、当該技術分野において十分公知である薬理学モデルを使用し、または以下に説明する試験Cを使用して決定することができる。
【0105】
試験C 乳癌細胞におけるプロモーターメチル化および遺伝子発現に対する作用
エストロゲン受容体RASS1FAおよびCDKN2Aを含む、乳癌細胞においてプロモーターメチル化により調節されることが公知の遺伝子を評価する。RT−PCRおよびウェスタンブロッティング分析を、式(I)の化合物の変動用量により処理したMCF7およびMDA−MB−231乳癌細胞からの抽出物を使用してこれらの遺伝子産物について実施する。発現をいくつかの時点で試験し、5−アザシチジンを陽性対照として使用する。活性が関連プロモーターの脱メチル化に起因することを確認するため、メチル化特異的PCRを使用する。すなわち、ゲノムDNAを重硫酸ナトリウムにより処理し、非メチル化シトシンをウラシルに変換する。したがって、相補的PCRプライマーは、(非メチル化シトシンからの)ウラシルを認識するためAを要求するが、メチル化シトシンを認識するためGを要求する。したがって、ネステッドPCRプロトコールは、メチル化プロモーターと非メチル化プロモーターとを区別することができる。
【0106】
試験D 抗癌活性
以下の実施例1の化合物を、60種のヒト腫瘍細胞系のパネルに対して検査した。この検査は、化合物が強力であること、および化合物が特徴的な活性パターンを有することを示した。化合物は、乳腫瘍細胞、前立腺腫瘍細胞、結腸腫瘍細胞および脳(CNS)腫瘍細胞において高度に活性であったが、他の腫瘍タイプ、例えば黒色腫においてはほとんど効かなかった。最も感受性の細胞タイプの1種は乳癌であり、7種すべての細胞系(ドキソルビシン耐性系を含む)が10〜66nM範囲のGI50値を有した。
【0107】
また、60種の細胞系データの分析を、「シード」の活性プロファイルと公共データベース中の60000種以上の化合物との比較を可能にするオンラインCOMPAREプログラムを使用して実施した。実施例1の化合物をCOMPAREシードとして使用した場合、ハロモンとして公知の化合物との強い相関関係(Pearson係数0.82)が見出された。ハロモンは、実施例1の化合物と構造的に区別されるハロゲン化モノテルペンである。これにもかかわらず、ある種の腫瘍タイプ(例えば、乳腫瘍、結腸腫瘍、CNS腫瘍)についての類似性および各パネル内の特定の細胞株についての類似性が見出された。これらの結果は、実施例1の化合物およびハロモンが同一の作用機序を共有することを示唆する。60種腫瘍細胞株スクリーンにおける実施例1の化合物およびハロモン(右側のパネル)の活性プロファイルを示す平均グラフ表示を、図1に示す。
【0108】
試験E 実施例1の化合物のメチルトランスフェラーゼ活性を、以下のとおり評価した。
実験1および2のため、A549非小細胞肺癌細胞を、実施例1の化合物(最終濃度1μM)またはビヒクル(未処理)と2時間インキュベートし、核抽出物を標準的な方法により調製した。抽出物の総DNAメチルトランスフェラーゼ活性を、EpiQuik(商標)DNAメチルトランスフェラーゼ活性/阻害アッセイキット(Epigentek、Brooklyn、NY)を供給元の手引書により使用して測定した。実験3のため、アッセイを、精製したHeLa核抽出物を実施例1の化合物(最終濃度500nM)またはビヒクル(未処理)の存在下で使用して実施した。
【0109】
アッセイは、核抽出物(DNAメチルトランスフェラーゼ活性源として)をAdomet(メチル供与体)の存在下で固定化DNA基質とインキュベートすることを含む。DNAメチルトランスフェラーゼ活性を、5−メチルシトシンに対する一次抗体および450nmでの比色定量検出用の二次抗体を使用してDNA基質中の5−メチルシトシンのレベルを決定することにより測定した。結果を以下の表に提供する。
【0110】
【表1】

【0111】
試験F 実施例1の化合物のインビボ作用
以下の調査は、A549ヒト非小細胞肺癌異種移植型の雌ヌードマウスにおける毒性および活性を査定するために設計した。胸腺欠損ヌードマウスにA549細胞を皮下接種(s.c.)し、小腫瘍が可視化した後に処置を開始した。実施例1の化合物をDMSO中で100mg/mlまたは50mg/mlで調製し、無菌PBSにより1:10に希釈した。マウスをこれらの溶液の100μlの腹腔内(i.p.)注射により処置し(約25mg/kgまたは50mg/kgに相当)、対照群は、ビヒクル(PBS中10%DMSO)の同一の注射を受けた。マウスは、実施例1の化合物またはビヒクルの注射を1週間に5回(1日1回、週末を除く)、最大30回の注射を受けた。マウスの体重および挙動により判断されたとおり、実施例1の化合物により処置したマウスにおいて急性毒性の徴候は存在しなかった。腫瘍は、対照処置マウスと比べて処置マウスにおいてゆっくりと成長したが、差異は統計的に有意ではなかった(図2のAを参照のこと)。長期の結果を評価することは、実施例1の化合物により処置した群のいくつかの動物が腫瘍壊死/潰瘍化を発症し、IACUCプロトコールにより要求されているとおり、実験終了前に安楽死させなければならないという事実により困難であった。この腫瘍壊死が発生したのは処置動物12匹中5匹であったが、対照群については6匹中0匹であったので、この腫瘍壊死は処置と関連性があると考えられる。潰瘍化腫瘍のサイズが同時点での対照群の潰瘍化腫瘍のサイズより実質的に小さいので、観察された腫瘍壊死は抗腫瘍作用を予測させるものであることが示唆される(図2のBを参照のこと)。全体の応答は、高用量群と比べて低用量群において同等または良好であると思われたが、同様の作用がヒトにおいてデシタビンについて観察されているので、このことは作用機序と一致し得る。これらのインビボの結果は、実施例1の化合物が急性毒性の徴候を示さないことを示し、この化合物がマウスの癌モデルにおいて腫瘍壊死を誘導することができることを示唆している。
【0112】
本発明を、以下の限定されない実施例により目下説明する。
【実施例1】
【0113】
1−ブロモ−1,1−ジフルオロ−ノン−2−イン−4−オールの合成
【0114】
【化11】

【0115】
(3−ブロモ−3,3−ジフルオロ−プロプ−1−イニル)−トリイソプロピル−シラン(156mg、0.5mmol)およびヘキサナール(60mg、0.6mmol)のTHF(5mL)中溶液に、TBAF(1M、0.75mL)を−90℃で滴加した。添加を完了させた後、反応混合物を0.5時間攪拌し、飽和水性NHClによりクエンチした。混合物をエーテル(20mL×3)により抽出し、水(20mL×2)により洗浄した。NaSO上で乾燥させた後、溶媒を除去し、生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt:ヘキサン=1:20)により精製して表題化合物(82mg、65%)を無色液体として生じさせた。無色液体、収率:78%。IR(無希釈):3320、2934、2261、1223、1096cm−1。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.49-4.52 (m, 1H), 2.14 (bs, 1H), 1.74-1.77 (m, 2H), 1.45-1.47 (m, 2H), 1.33-1.38 (m, 4H), 0.91 (t, J = 6.5 Hz, 3H); 19F NMR (470 MHz, CDCl3) δ -32.9 (s, 2F); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 101.5 (t, J = 288 Hz), 91.5 (t, J = 5.8 Hz), 77.3 (t, J = 38 Hz), 62.2, 36.8, 31.4, 24.6, 22.6, 14.1; GCMS: 157, 137, 115, 104, 91.
【実施例2】
【0116】
S−1−ブロモ−1,1−ジフルオロ−ノン−2−イン−4−オールの合成
【0117】
【化12】

【0118】
2−[1−(3−ブロモ−3,3−ジフルオロ−プロプ−1−イニル)−ヘキシルオキシ]−テトラヒドロ−ピラン(1.08g、3.2mmol)の20mLメタノール中溶液に、TsOH・HO(12mg、0.069mmol)を添加した。添加を完了させた後、反応混合物を12時間攪拌し、飽和水性NaHCOによりクエンチした。混合物をエーテル(20mL×3)により抽出し、水(20mL×2)により洗浄した。NaSO上で乾燥させた後、溶媒を除去し、生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM:ヘキサン=1:1)により精製して表題化合物(0.58g、71%)を無色液体として生じさせた:収率:78%。IR(無希釈):3320、2934、2261、1223、1096cm−11H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.49-4.52 (m, 1H), 2.14 (bs, 1H), 1.74-1.77 (m, 2H), 1.45-1.47 (m, 2H), 1.33-1.38 (m, 4H), 0.91 (t, J = 6.5 Hz, 3H); 19F NMR (470 MHz, CDCl3) δ -32.9 (s, 2F); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 101.5 (t, J = 288 Hz), 91.5 (t, J = 5.8 Hz), 77.3 (t, J = 38 Hz), 62.2, 36.8, 31.4, 24.6, 22.6, 14.1; GCMS: 157, 137, 115, 104, 91.
【0119】
中間体2−[1−(3−ブロモ−3,3−ジフルオロ−プロプ−1−イニル)−ヘキシルオキシ]−テトラヒドロ−ピランを、以下のとおり調製した。
【0120】
a.S−2−(1−エチニル−ヘキシルオキシ)−テトラヒドロピラン
S−オクト−1−イン−3−オール(900mg、7.13mmol)および3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(901mg、10.7mMol)の5mLジクロロメタン中溶液に、TsOH・HO(13mg、0.071mMol)を添加した。添加を完了させた後、反応混合物を12時間攪拌し、飽和水性NaHCOによりクエンチした。混合物をDCM(20mL×3)により抽出し、水(20mL×2)により洗浄した。NaSO上で乾燥させた後、溶媒を除去し、生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt:ヘキサン=1:10)により精製して2−(1−エチニル−ヘキシルオキシ)テトラヒドロピラン(1.27g、85%)を無色液体として生じさせた。生成物は、2種のジアステレオマーの混合物(比1:5.8)であった。主ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.98-4.97 (m, 1H), 4.40-4.43 (m, 1H), 3.79-3.83 (m, 1H), 3.53-3.55 (m, 1H), 2.38 (s, 1H), 1.71-1.84 (m, 4H), 1.44-1.62 (m, 6H), 1.33-1.34 (m, 4H), 0.91 (t, J = 6.5 Hz, 3H)
【0121】
b.2−[1−(3−ブロモ−3,3−ジフルオロ−プロプ−1−イニル)−ヘキシルオキシ]−テトラヒドロ−ピラン
S−2−(1−エチニル−ヘキシルオキシ)テトラヒドロピラン(1.24g、5.9mmol)の乾燥THF30mL中溶液に、n−ブチルリチウム(2.36mL、5.9mmol)の2.5Mヘキサン溶液をアルゴン雰囲気下で約−90℃(液体N/EtOH浴)で滴加した。反応混合物をその温度で30分間攪拌し、反応混合物を−110℃に冷却した(反応フラスコ壁際の溶媒は−110℃で凍結したので、良好な全体的な攪拌を維持することが有益である)。冷ジブロモジフルオロメタン(5.5mL、60mmol)をカニュレーションにより混合物に添加した。反応混合物の温度を、CFBrの添加の間、反応混合物中に浸漬させた温度計を使用して極めて慎重に制御した。CFBrをゆっくりと導入したとしても、反応温度は−90℃またはさらに高温に上昇し得る。添加を完了させた後、混合物を1時間の間攪拌しながら−50℃に加温させ、飽和水性NHCl(50mL)によりクエンチした。水層をエーテル(50mL)により抽出し、有機層を水(10mL×3)により洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt:ヘキサン=1:10)により精製して生成物(1.5g、75%)を無色液体として生じさせた。生成物は、2種のジアステレオマーの混合物(比1:9.5)であった。主ジアステレオマー:1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.88-4.85 (m, 1H), 4.56-4.58 (m, 1H), 3.78-3.81 (m, 1H), 3.55-3.57 (m, 1H), 1.72-1.83 (m, 6H), 1.49-1.64 (m, 4H), 1.33-1.34 (m, 4H), 0.91 (t, J = 6.5 Hz, 3H); 19F NMR (470 MHz, CDCl3) δ -32.9 (s), -32.3 (d, J = 9.8 Hz)
【実施例3】
【0122】
6−ブロモ−6,6−ジフルオロ−2,2−ジメチル−ヘキス−4−イン−3−オールの合成
(3−ブロモ−3,3−ジフルオロ−プロプ−1−イニル)−トリイソプロピル−シラン(156mg、0.5mmol)および2,2−ジメチル−プロピオンアルデヒド(52mg、0.6mmol)のTHF(5mL)中溶液に、TBAF(1M、0.75mL)を−90℃で滴加した。添加を完了させた後、反応混合物を0.5時間攪拌し、飽和水性NHClによりクエンチした。混合物をエーテル(20mL×3)により抽出し、水(20mL×2)により洗浄した。NaSO上で乾燥させた後、溶媒を除去し、生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt:ヘキサン=1:20)により精製して表題化合物を無色液体として生じさせた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 4.08-4.09 (m, 1H), 1.83 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 0.965 (s, 9H).
【実施例4】
【0123】
式(I)の代表化合物の合成
【0124】
【化13】

【0125】
上述の合成プロセスを使用して、以下の式(I)の化合物を調製した。ほとんどの化合物は、TIPSまたは他のシリル保護基(R’、R”、R”’は、メチル、エチル、フェニル、イソ−プロピル、tert−ブチル、フェニルである)置換されている臭化ジフルオロプロパルギルをフッ化物イオン(TBAFまたは好適なフッ化物イオン源)の存在下でアルデヒドと反応させることにより調製した。他の化合物は、官能化末端アルキンを直接ジフルオロブロモメチル化することにより作製した。
【0126】
【表2】

【実施例5】
【0127】
以下、ヒトにおける治療的または予防的使用のための、式(I)の化合物(「化合物X」)を含有する代表的な医薬剤形を説明する。
【0128】
(i)錠剤1 mg/錠
化合物X= 100.0
ラクトース 77.5
ポビドン 15.0
クロスカルメロースナトリウム 12.0
微結晶性セルロース 92.5
ステアリン酸マグネシウム 3.0
300.0
【0129】
(ii)錠剤2 mg/錠
化合物X= 20.0
微結晶性セルロース 410.0
デンプン 50.0
ナトリウムデンプングリコレート 15.0
ステアリン酸マグネシウム 5.0
500.0
【0130】
(iii)カプセル剤 mg/カプセル
化合物X= 10.0
コロイド状二酸化ケイ素 1.5
ラクトース 465.5
アルファ化デンプン 120.0
ステアリン酸マグネシウム 3.0
600.0
【0131】
(iv)注射剤1(1mg/ml) mg/ml
化合物X=(遊離酸形態) 1.0
リン酸水素ナトリウム 12.0
リン酸二水素ナトリウム 0.7
塩化ナトリウム 4.5
1.0N水酸化ナトリウム溶液
(pHを7.0〜7.5に調整) 適量
注射剤用水 適量(最大1mL)
【0132】
(v)注射剤2(10mg/ml) mg/ml
化合物X=(遊離酸形態) 10.0
リン酸二水素ナトリウム 0.3
リン酸水素ナトリウム 1.1
ポリエチレングリコール400 200.0
0.1N水酸化ナトリウム溶液
(pHを7.0〜7.5に調整) 適量
注射剤用水 適量(最大1mL)
【0133】
(vi)エアゾール剤 mg/容器
化合物X= 20.0
オレイン酸 10.0
トリクロロモノフルオロメタン 5000.0
ジクロロジフルオロメタン 10000.0
ジクロロテトラフルオロエタン 5000.0
【0134】
上述の配合物は、製剤技術分野において十分公知の慣用の手順により得ることができる。
【0135】
すべての刊行物、特許および特許文献は、あたかも参照により個々に組み込まれるように、本明細書に参照により組み込む。本発明について、種々の特定の好ましい実施形態および技術を参照して記載した。しかしながら、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく多くの変更および修正がなされてよいと解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化14】


の化合物またはその塩
[式中、
は、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−C20)シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、NR、(C−C20)アルキノイルオキシおよびアリールカルボニルオキシから独立して選択される1個または複数の基で置換されており;
は、CFBr、CFHBr、CFCl、CFHCl、CFBr、CFCl、CBr、C(R)(R)Br、C(R)(R)Cl、CF(R)Br、CFI、CFHI、C(R)(R)I、CF(R)IまたはCClであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシまたはアリール−(C−C20)アルコキシカルボニルであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
の各アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールカルボニルオキシまたはヘテロアリールカルボニルオキシが、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C20)アルキル、ヘテロアリール(C−C20)アルキル、アリール(C−C20)アルケニル、アリール(C−C20)アルキニル、ヘテロアリール(C−C20)アルケニル、ヘテロアリール(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルカノイルオキシ、(C−C20)アルケノイルオキシ、(C−C20)アルキノイルオキシから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている]であって、
ただし、4−ブロモ−4,4−ジフルオロブト−2−イン酸または1−ブロモ−1,1−ジフルオロ−ノン−2−イン−4−オールでない化合物またはその塩。
【請求項2】
が、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリールおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で置換されており;
が、CFBr、CFHBr、CFCl、CFHCl、CFBr、CFCl、CBr、C(R)(R)Br、C(R)(R)Cl、CF(R)BrまたはCClであり;
各RおよびRが、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
各RおよびRが、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
が、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
の各アリールまたはヘテロアリールが、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C20)アルキル、ヘテロアリール(C−C20)アルキル、アリール(C−C20)アルケニル、アリール(C−C20)アルキニル、ヘテロアリール(C−C20)アルケニル、ヘテロアリール(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルカノイルオキシ、(C−C20)アルケノイルオキシ、(C−C20)アルキノイルオキシから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
6−ブロモ−6,6−ジフルオロ−2−メチルヘキス−4−イン−3−オールでない、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシまたはNRで置換されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ヒドロキシで置換されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、式(I)における三重結合に隣接する炭素上でヒドロキシで置換されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシもしくはNRで置換されている(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、ヒドロキシで置換されている(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が、式(I)における三重結合に隣接する炭素上でヒドロキシで置換されている(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
が、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシまたはNRで置換されている(C−C10)アルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が、ヒドロキシで置換されている(C−C10)アルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
が、式(I)における三重結合に隣接する炭素上でヒドロキシで置換されている(C−C10)アルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
が、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、(C−C20)アルカノイルオキシで置換されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
が、式(I)における三重結合に隣接する炭素上で(C−C20)アルカノイルオキシで置換されている(C−C10)アルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
が、1−ヒドロキシヘキサン、1−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパン、1−アセトキシヘキサンまたはシス−1−ヒドロキシ−3−ヘキセンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
が、式(I)における三重結合に隣接する炭素上でアセトキシで置換されている(C−C10)アルキルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
が、CFBr、CFHBr、CFClまたはCFHClである、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
がCFBrである、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
式(I)の化合物が、式(II):
【化15】


の化合物
[式中、Rは、ヒドロキシ、メルカプト、クロロ、ブロモ、メチルチオ、エチルチオ、メトキシ、エトキシ、アセチルアミノ、(C−C10)アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシであり;Rは、(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルであり、(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C10)アルコキシ、(C−C10)アルキルチオ、カルボキシ、(C−C10)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリールおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている]である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
が、ヒドロキシ、メルカプト、クロロ、ブロモ、メチルチオ、エチルチオ、メトキシ、エトキシまたはアセチルアミノであり;Rが、(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルであり、(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニルまたは(C−C10)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C10)アルコキシ、(C−C10)アルキルチオ、カルボキシ、(C−C10)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリールおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
が、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C10)アルコキシ、(C−C10)アルキルチオ、カルボキシ、(C−C10)アルコキシカルボニル、アリール、ヘテロアリールおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている(C−C10)アルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
が、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C10)アルコキシカルボニルおよびNRから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている(C−C10)アルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
が(C−C10)アルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
が(C−C)アルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項25】
化合物1−ブロモ−1,1−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−2−ヘキシンまたはその塩。
【請求項26】
化合物
【化16】


またはその塩。
【請求項27】
式(I):
【化17】


の化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、
は、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−C20)シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、NR、(C−C20)アルキノイルオキシおよびアリールカルボニルオキシから独立して選択される1個または複数の基で置換されており;
は、CFBr、CFHBr、CFCl、CFHCl、CFBr、CFCl、CBr、C(R)(R)Br、C(R)(R)Cl、CF(R)Br、CFI、CFHI、C(R)(R)I、CF(R)IまたはCClであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシまたはアリール−(C−C20)アルコキシカルボニルであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
の各アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールカルボニルオキシまたはヘテロアリールカルボニルオキシが、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C20)アルキル、ヘテロアリール(C−C20)アルキル、アリール(C−C20)アルケニル、アリール(C−C20)アルキニル、ヘテロアリール(C−C20)アルケニル、ヘテロアリール(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルカノイルオキシ、(C−C20)アルケノイルオキシ、(C−C20)アルキノイルオキシから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている];
および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項28】
請求項1から26のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項29】
式(I):
【化18】


の化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、
は、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−C20)シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、NR、(C−C20)アルキノイルオキシおよびアリールカルボニルオキシから独立して選択される1個または複数の基で置換されており;
は、CFBr、CFHBr、CFCl、CFHCl、CFBr、CFCl、CBr、C(R)(R)Br、C(R)(R)Cl、CF(R)Br、CFI、CFHI、C(R)(R)I、CF(R)IまたはCClであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシまたはアリール−(C−C20)アルコキシカルボニルであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
の各アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールカルボニルオキシまたはヘテロアリールカルボニルオキシが、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C20)アルキル、ヘテロアリール(C−C20)アルキル、アリール(C−C20)アルケニル、アリール(C−C20)アルキニル、ヘテロアリール(C−C20)アルケニル、ヘテロアリール(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルカノイルオキシ、(C−C20)アルケノイルオキシ、(C−C20)アルキノイルオキシから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている]を動物に投与することを含む、動物における癌を治療する方法。
【請求項30】
請求項1から26のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を動物に投与することを含む、動物における癌を治療する方法。
【請求項31】
癌が、固形腫瘍または血液癌である、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
癌が、乳癌、結腸癌または脳癌である、請求項29または30に記載の方法。
【請求項33】
動物がヒトである、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
式(I):
【化19】


の化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、
は、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−C20)シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、NR、(C−C20)アルキノイルオキシおよびアリールカルボニルオキシから独立して選択される1個または複数の基で置換されており;
は、CFBr、CFHBr、CFCl、CFHCl、CFBr、CFCl、CBr、C(R)(R)Br、C(R)(R)Cl、CF(R)Br、CFI、CFHI、C(R)(R)I、CF(R)IまたはCClであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシまたはアリール−(C−C20)アルコキシカルボニルであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
の各アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールカルボニルオキシまたはヘテロアリールカルボニルオキシが、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C20)アルキル、ヘテロアリール(C−C20)アルキル、アリール(C−C20)アルケニル、アリール(C−C20)アルキニル、ヘテロアリール(C−C20)アルケニル、ヘテロアリール(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルカノイルオキシ、(C−C20)アルケノイルオキシ、(C−C20)アルキノイルオキシから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている]を動物に投与することを含む、DNAメチルトランスフェラーゼ1の活性が関与し、この作用の阻害が望まれる、動物における病態または症状を治療する方法。
【請求項35】
請求項1から26のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を動物に投与することを含む、DNAメチルトランスフェラーゼ1の活性が関与し、この作用の阻害が望まれる、動物における病態または症状を治療する方法。
【請求項36】
病態が、骨髄異形成症候群(MDS)、白血病、固形腫瘍、統合失調症、鎌状赤血球症またはループス(SLE)である、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
医学療法において使用される、式(I):
【化20】


の化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、
は、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−C20)シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、NR、(C−C20)アルキノイルオキシおよびアリールカルボニルオキシから独立して選択される1個または複数の基で置換されており;
は、CFBr、CFHBr、CFCl、CFHCl、CFBr、CFCl、CBr、C(R)(R)Br、C(R)(R)Cl、CF(R)Br、CFI、CFHI、C(R)(R)I、CF(R)IまたはCClであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシまたはアリール−(C−C20)アルコキシカルボニルであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
の各アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールカルボニルオキシまたはヘテロアリールカルボニルオキシが、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C20)アルキル、ヘテロアリール(C−C20)アルキル、アリール(C−C20)アルケニル、アリール(C−C20)アルキニル、ヘテロアリール(C−C20)アルケニル、ヘテロアリール(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルカノイルオキシ、(C−C20)アルケノイルオキシ、(C−C20)アルキノイルオキシから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている]。
【請求項38】
医学療法において使用される、請求項1から24および1から19のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項39】
動物における癌を治療する医薬品の製造のための、式(I):
【化21】


の化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、
は、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルであり、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニルまたは(C−C20)アルキニルが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C−C20)シクロアルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、カルボキシ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、NR、(C−C20)アルキノイルオキシおよびアリールカルボニルオキシから独立して選択される1個または複数の基で置換されており;
は、CFBr、CFHBr、CFCl、CFHCl、CFBr、CFCl、CBr、C(R)(R)Br、C(R)(R)Cl、CF(R)Br、CFI、CFHI、C(R)(R)I、CF(R)IまたはCClであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシまたはアリール−(C−C20)アルコキシカルボニルであり;
各RおよびRは、独立して、H、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
は、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルカノイル、(C−C20)アルケニルカルボニル、(C−C20)アルキニルカルボニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシまたは(C−C20)アルキニルオキシであり;
の各アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールカルボニルオキシまたはヘテロアリールカルボニルオキシが、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メルカプト、カルボキシ、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルコキシ、(C−C20)アルケニルオキシ、(C−C20)アルキニルオキシ、(C−C20)アルキルチオ、(C−C20)アルケニルチオ、(C−C20)アルキニルチオ、(C−C20)アルコキシカルボニル、(C−C20)アルケニルオキシカルボニル、(C−C20)アルキニルオキシカルボニル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C20)アルキル、ヘテロアリール(C−C20)アルキル、アリール(C−C20)アルケニル、アリール(C−C20)アルキニル、ヘテロアリール(C−C20)アルケニル、ヘテロアリール(C−C20)アルキニル、(C−C20)アルカノイルオキシ、(C−C20)アルケノイルオキシ、(C−C20)アルキノイルオキシから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている]の使用。
【請求項40】
動物における癌を治療する医薬品の製造のための、請求項1から26のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項41】
癌が、固形腫瘍または血液癌である、請求項39または40に記載の使用。
【請求項42】
癌が、乳癌、結腸癌または脳癌である、請求項39または40に記載の使用。
【請求項43】
動物がヒトである、請求項39から42のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−518108(P2010−518108A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549221(P2009−549221)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/053214
【国際公開番号】WO2008/098077
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509223586)ユニバーシティ オブ ルーイビル リサーチ ファウンデーション,インコーポレーテッド (2)
【出願人】(310000440)
【出願人】(310000451)
【出願人】(310000462)
【Fターム(参考)】