説明

洗浄装置

【課題】凹凸のある歯車のようなワークであっても、切屑、切粉等の異物および油分をきれいに除去することができ、また空圧源だけでも作動させることができる、装備および設置が容易な洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄液を貯留するタンク10と、洗浄室40内に回転軸を支持することにより回転自在に設けられたワーク保持具46と、回転軸に設けられたフィン48に対し圧縮空気を噴射することによりワーク保持具を回転動させる。ワークWに相対するように洗浄室内に設けた対物ノズルと、洗浄液を吸引して対物ノズルに圧送する空圧作動式給液ポンプ20と、圧縮空気を供給する空圧源とからなり、回転動用ノズルから圧縮空気を所定時間噴射することによりワークを回転させると同時に、空圧作動式給液ポンプを作動させて対物ノズルから洗浄液を所定時間噴射し、その後は対物ノズルの流入路が空圧源に切換えられて圧縮空気が所定時間噴射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工後の歯車等の機械部品や電気,電子部品等に付着する機械油等の油分、切屑、切粉等の異物を洗浄液および圧縮空気を噴射することにより除去する洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば切削加工により製造された歯車等の機械部品の表面には機械油等の油分、切屑、切粉等の異物が付着していることから、使用に際しては予め充分洗浄してこれらの汚れを除去しておく必要がある。下記特許文献に示された洗浄装置は、多数の機械部品をバスケットに入れて洗浄液槽に浸漬することにより、油分等を洗い流そうとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3379816号公報
【特許文献2】特開平6−299381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のようにワークの入ったバスケットを洗浄液に浸漬させる方式の洗浄装置によっては、表面に深い凹凸のあるワークについて充分に油分等を除去することができないという問題があった。特にワークが歯車のような機械部品や精密部品の場合は、細かな隙間に付着している切屑、切粉等の異物や油分まできれいに洗い流すことが困難であった。
そこで本発明は、歯車のようなワークであっても、切屑、切粉等の異物および油分をきれいに洗浄することができる洗浄装置を提供しようとするものである。
また、本発明は、工場に従来から標準的に配備されている空圧源だけで作動し、電源が不要な洗浄装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために本発明の洗浄装置は、洗浄液を貯留するタンクと、該タンクの上部に設けられ該タンク内と連通している洗浄室と、該洗浄室にワークを出し入れするために設けられた開閉蓋と、該開閉蓋を開閉動させる空圧シリンダと、該洗浄室内に回転軸を支持することにより回転自在に設けられたワーク保持具と、該回転軸に設けられたフィンに対し圧縮空気を噴射することにより該ワーク保持具を回転動させる回転動用ノズルと、該ワーク保持具にセットされるワークに相対するように該洗浄室内に設けた対物ノズルと、前記タンクから洗浄液を吸引して該洗浄液を前記対物ノズルに圧送する空圧作動式給液ポンプと、圧縮空気を供給する空圧源とからなり、前記回転動用ノズルから圧縮空気を所定時間噴射することによりワークを回転させると同時に前記空圧作動式給液ポンプを作動させて前記対物ノズルから該ワークに対して洗浄液を所定時間噴射し、その後は該対物ノズルの流入路が空圧源に切換えられて該ワークに対して圧縮空気が所定時間噴射されるようにしたことを特徴とする洗浄装置。
また、本発明は上記洗浄装置において、フィンに逆転防止部材を当接させると共に、該フィンに対して回転動用ノズルとは逆向きに圧縮空気が噴射されるように回転減速用ノズルを設け、ワークに対して圧縮空気を所定時間噴射させた後に該回転減速用ノズルから圧縮空気を所定時間噴射することにより、ワーク保持具の回転停止に要する時間が短縮されるようにしたことを特徴とする。
また、本発明は上記洗浄装置において、エゼクタポンプのスロート部に空圧源から圧縮空気を導入し、少なくとも対物ノズルからワークに対して圧縮空気を噴射している間は、該エゼクタポンプにより洗浄室内の空気を吸引し排出する排気手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の洗浄装置によれば、表面に深い凹凸のある歯車のようなワークであっても、切屑、切粉等の異物、および、油分をきれいに除去することができる。また、空圧源だけで作動するので、空圧源を備えた一般的な工場への設置が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る洗浄装置の正面図。
【図2】本発明に係る洗浄装置の側面図。
【図3】本発明に係る洗浄装置の洗浄室の縦断面図。
【図4】図3のA−A線断面矢視図。
【図5】図3のB−B線断面矢視図。
【図6】本発明に係る洗浄装置の空圧回路図。
【図7】本発明に係る洗浄装置の圧縮空気および洗浄液の流路図。
【図8】本発明に係る洗浄装置の油水分離機のタンク内の縦断面図。
【図9】本発明に係る洗浄装置の油水分離機のサイクロン分離器および油槽の縦断面図。
【図10】図9のC−C線断面矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施形態を図面に従い説明する。図1,図2において、10は洗浄液を貯留するために設けられた直方形の大容量のタンク、20は該タンク内から吸液管21を通して洗浄液を吸引するために設けられた空圧作動式給液ポンプ(ここではエアーダイヤフラムポンプが最適である。)、30は各種空圧制御機器を収納するために該タンク上に設けられた制御盤パネル、40は該タンク上に設けられた角形容器からなる洗浄室、100は該タンク上に設けられた油水分離回収機である。なお、該タンク10内は通気口(図示せず)によって外気と連通していることから常に大気圧に開放されている。12は該タンク10内に貯留された洗浄液の水位を表示する水位計である。
【0009】
31は洗浄室40に向かって左側に設けられた押しボタン式起動バルブ、32は向かって右側に設けられた押しボタン式原位置復帰バルブ、33は制御盤パネル30の前面に設けられた押しボタン式非常停止バルブである。
【0010】
35は洗浄室40の上部開口に被せられる開閉蓋で、該開閉蓋35は該洗浄室40の上部開口縁の後側に設けられたヒンジ部36を支点として開閉可能に支持されている。37は基端部を該タンク上に支持した空圧シリンダで、開閉蓋35の後側面に突設されたレバー39の先端に該空圧シリンダの作動軸を枢着し、該空圧シリンダを作動させることにより該開閉蓋35が破断線で示したように開閉動する。このため、ワークWを該洗浄室40内に出し入れできる。図1に示す符号38は、開閉蓋35が閉じた際に該開閉蓋35に当接して作動するように洗浄室40の上部側壁に設けられた開閉確認バルブを示す。
【0011】
洗浄室40は、図3〜図5に示したように、下方に漏斗状開口部49が形成され、その内側に支持フレーム41が固設され、該支持フレーム上中心に軸受42を設けることにより回転軸43を鉛直に支持し、該回転軸の上端部にナット47により円形板44を固設している。そして該円形板の上面に同心状に複数本の係合片45を突設することによりワーク保持具46を構成している。そして該係合片45をワークWとして破断線で示した歯車の内径に差し込むことにより、該ワークWが水平に保持されるようにしている。なお、係合片45は内径の異なる歯車の内径に差し込み得るように外側面が段状に形成されている。また、該ワーク保持具46はナット47を外すことにより洗浄しようとするワークの形状や大きさに従い最適なものを回転軸43の上端部に着脱自在に止着できるようにしている。また、該円形板44の下面には多数のフィン48を回転軸43を中心とする放射状に設けることにより、いわゆる風車を形成している。
【0012】
また、50は支持フレーム41に固設されていて、フィン48に対し圧縮空気を噴射することによりワーク保持具46を矢印の方向に回転動させる回転動用ノズル、51は先端がフィン48に当接するように支持フレーム41に固設した板バネからなる逆転防止部材である。また、フィン48に対して前記回転動用ノズル50とは逆向きに圧縮空気が噴射されるように支持フレーム41に回転減速用ノズル52が固設されている。
【0013】
また、53は洗浄室40内に設けられたマニホールド管、54は該マニホールド管に突設した複数本の対物ノズルで、該各対物ノズルはワークWの外周面および下面と相対するように設けられる。なお、前記開閉蓋34の内側にもマニホールド管55が設けられ、該マニホールド管にワークWの外周面および上面と相対するように複数本の対物ノズル56が突設される。
【0014】
57は洗浄室40と相対するタンク10の上壁の開口部に設けられたフィルターで、該開口部に該洗浄室40の漏斗状開口部49が対向するよう配置される。このため、洗浄室40から流下した排液中から固形異物が該フィルター57によって捕捉されて該排液がタンク10に落下する。58は洗浄室40の下部前壁面に設けられた扉板で、フィルター57を交換する際に該扉板を開閉する。
【0015】
図2に示した符号60は、洗浄室40内の空気を該洗浄室外(タンク10内の上部空間)に排出するためのエゼクタポンプからなる排気手段である。該エゼクタポンプは、図7に示したように、スロート部63に空圧源から圧縮空気を導入すると共に、洗浄室40と連通する配管61を設け、該スロート部63を通る空気のベンチュリー効果により該配管61内を負圧とし、これにより洗浄室40内の空気が配管61を通して吸引され、吸引された空気が排気管64を通してタンク10内上部空間に排出されるようにしたものである。
【0016】
次に制御盤パネル30内に設けられるこの装置の空圧回路を図6に従い説明する。同図において、70は機械工場等に標準的に配備されている空圧源(空気ポンプからの圧縮空気の供給源)、71は該空圧源に設けられた圧縮空気導入設定用バルブ、72はフィルタ、73は圧力計付き空圧調整バルブで、該空圧調整バルブ73により該空圧調整バルブ73の2次側の空圧が0.5MPaになるように設定されている。そして、該空圧調整バルブ73の2次側は、前記空圧シリンダ37を作動させる流路切換開閉バルブ74および後述する開閉バルブ75〜79に配管されている。また、80は2次側の空圧が0.3MPaになるように設定された圧力計付き空圧調整バルブで、該空圧調整バルブ80の2次側は、前記押しボタン式原位置復帰バルブ32、押しボタン式非常停止バルブ33およびリレーバルブ81に配管される。該リレーバルブ81は該非常停止バルブ33の2次側に設けられ常態では開いていて該押しボタン式非常停止バルブ33が操作されると閉動する。該リレーバルブ81の2次側は前記押しボタン式起動バルブ31、開閉確認バルブ38および流路切換バルブ82に配管される。該流路切換バルブ82の一方のパイロットポートには押しボタン式起動バルブ31の2次側が接続されている。
【0017】
83は該流路切換バルブ82の他方のパイロットポートに流出ポートが接続されたシャトル弁である。また、84は前記流路切換開閉バルブ74の一方のパイロットポートに流出ポートが接続されたシャトル弁である。前記押しボタン式原位置復帰バルブ32の2次側は該シャトル弁83の一方の流入ポートおよび該シャトル弁84の一方の流入ポートに接続される。85は開閉確認バルブ38の2次側に該開閉確認バルブ38の作動によって開閉するように設けられたリレーバルブで、該リレーバルブの一方の開閉口が前記流路切換バルブ82の一方の開閉口および前記流路切換開閉バルブ74の他方のパイロットポートに配管され、該リレーバルブの他方の開閉口は開閉バルブ75のパイロットポートおよび流路切換バルブ86の流入口に配管されている。また、流路切換バルブ82の他方の開閉口はシャトル弁84の他方の流入ポートおよび流路切換バルブ86の一方のパイロットポートおよび流路切換バルブ87の一方のパイロットポートに配管されている。
【0018】
図6中に破断線で囲った符号88a〜88cで示すものは、いずれも流量調整弁と、該流量調整弁を通過した空気が充満するアキュムレータと、アキュムレータに充満した空気の圧力により開作動する開閉バルブとから構成される空圧作動式タイマーである。この空圧作動式タイマー88aの開閉バルブの2次側は前記流路切換バルブ87の他方のパイロットポートに配管され、空圧作動式タイマー88bの開閉バルブの2次側は前記流路切換バルブ86の他方のパイロットポートに配管され、空圧作動式タイマー88cの開閉バルブの2次側は前記シャトル弁83の他方の流入ポートに配管される。また、流路切換バルブ86の一方の流出口は、開閉バルブ77のパイロットポートと、空圧作動式タイマー88aの流量調整弁および開閉バルブと、流路切換バルブ87の流入口に配管されている。また、流路切換バルブ86の他方の流出口は開閉バルブ76のパイロットポートと空圧作動式タイマー88cの流量調整弁および開閉バルブに配管されている。また、流路切換バルブ87の一方の流出口は開閉バルブ79のパイロットポートに配管され、該流路切換バルブ87の他方の流出口は開閉バルブ78のパイロットポートと、空圧作動式タイマー88bの流量調整弁および開閉バルブに配管されている。
【0019】
図6および図7に示したように、開閉バルブ75の2次側の圧縮空気接続口Aは、後述する油水分離回収機100のエゼクタポンプ107に圧縮空気を供給するものである。また、開閉バルブ76の2次側の圧縮空気接続口Bは、前記回転減速用ノズル52に圧縮空気を供給するものである。また、開閉バルブ77の2次側の圧縮空気接続口Cは、前記回転動用ノズル50に圧縮空気を供給するものである。また、開閉バルブ78の2次側の圧縮空気接続口Dは、逆止弁91を経て前記マニホールド管53およびマニホールド管55に圧縮空気を供給するものである。また、開閉バルブ79の2次側の圧縮空気接続口Eは、前記空圧作動式給液ポンプ20に接続され、該ポンプ20を作動させることで、タンク10から吸引した洗浄液を逆止弁90を経て前記マニホールド管53およびマニホールド管55に供給する。
【0020】
このように構成された洗浄装置では、押しボタン式原位置復帰バルブ32を操作することにより、圧縮空気がシャトル弁84を経て流路切換開閉バルブ74を切換作動させると同時に、該圧縮空気はシャトル弁83を経て流路切換バルブ82を図示した状態にすることから、シャトル弁84に継続的に圧縮空気が供給され、空圧シリンダ37を収縮させ開閉蓋35を開かしめる。そこで作業者またはロボットがワーク保持具46にワークWをセットし得る。
【0021】
そして押しボタン式起動バルブ31が操作されると、流路切換バルブ82が切換わり流路切換開閉バルブ74を反対向きに切換作動させ空圧シリンダ37を伸張させることにより開閉蓋35が閉じられる。開閉蓋35が閉じられると該開閉蓋35の重みで開閉確認バルブ38が開き、リレーバルブ85が開かれ、開閉バルブ75が開き、圧縮空気が圧縮空気接続口Aから後述するエゼクタポンプ107に供給されると同時に、該圧縮空気は流路切換バルブ86を経て開閉バルブ77に供給され該開閉バルブ77を開くことから、回転動用ノズル50からフィン48に圧縮空気が噴射されワーク保持具46を矢印の方向に回転動させる。
【0022】
また、リレーバルブ85が開かれると該圧縮空気は流路切換バルブ86を経て空圧作動式タイマー88aの流量調整弁に供給され該空圧作動式タイマー88aを作動させ、さらには該圧縮空気は流路切換バルブ87を経て開閉バルブ79にも供給されることから該開閉バルブ79を開かしめ、空圧作動式給液ポンプ20に圧縮空気が送給され該ポンプ20を作動させ、タンク10内から吸引された洗浄液をマニホールド管53,55に圧送し、対物ノズル54,56からワークWに向けて洗浄液を噴射させる。このため対物ノズル54,56から噴射された洗浄液がワークWに隈なく当たるとともに、回転に伴う遠心力により該ワークWに付着していた油分、切屑、切粉等の異物がきれいに吹き飛ばされ洗い落とされる。洗浄室40から排出された洗浄液中の切屑、切粉等の固形異物はフィルター57によって捕捉され、油分および洗浄液がタンク10に流下して貯留される。
【0023】
その間、空圧作動式タイマー88aのアキュムレータには流量調整弁を通った空気が少しずつ供給されるので、該アキュムレータの空気圧力が次第に上昇し一定時間後(例えば17秒後)に該タイマー88aの開閉バルブが開き、流路切換バルブ87が切換作動する。このため、開閉バルブ79が閉じ、空圧作動式タイマー88bの流量調整弁に空気が少しずつ供給されるようになると同時に開閉バルブ78が開き、圧縮空気接続口Dから逆止弁91を経てマニホールド管53,55に圧縮空気が圧送され、対物ノズル54,56からワークWに向けて圧縮空気が噴射され、該ワークWに付着した洗浄液がその回転に伴う遠心力と相俟って吹き飛ばされる。なお、このとき開閉バルブ77は開状態に維持され、ワークWの回転動は維持される。また、圧縮空気接続口Dからの圧縮空気は前記排気手段60スロート部63にも圧送されるので、洗浄室40内の空気が配管61を通して吸引され、吸引された空気が排気管64を通してタンク10内上部空間に排出される。このように洗浄室40内の空気を強制排出することにより、洗浄室40内の気圧上昇が抑制され、対物ノズル54,56から圧縮空気がスムースに噴射される。
【0024】
また、その間にも空圧作動式タイマー88bのアキュムレータの空気圧力が次第に上昇することから一定時間後(例えば20秒後)に該タイマー88bの開閉バルブが開き、流路切換バルブ86を切換作動させる。このため、開閉バルブ77が閉じて回転動用ノズル50からの圧縮空気の噴射が停止されると同時に開閉バルブ76が開かれ、回転減速用ノズル52からフィン48に対し圧縮空気が噴射され、やがてワークWの回転を停止させる。このように回転減速用ノズル52から圧縮空気を所定時間噴射することにより、ワーク保持具の回転停止に要する時間が短縮される。なお、逆転防止部材51を設けたことによりワークWが逆回転することはない。
【0025】
また、流路切換バルブ86が切換作動することで空圧作動式タイマー88cの流量調整弁に空気が少しずつ供給されるようになり、一定時間後(例えば3秒後)に該タイマー88cの開閉バルブが開かれることで、圧縮空気がシャトル弁83を経て流路切換バルブ82を作動させる。このため該流路切換バルブ82は図示した状態、即ち、押しボタン式起動バルブ31が操作される以前の状態になる。このため、回転減速用ノズル52からの圧縮空気の噴射が停止されると同時に流路切換開閉バルブ74が作動し空圧シリンダ37を作動させて開閉蓋35が開き、ワークWを取り出すことができる。なお、押しボタン式非常停止バルブ33が操作されると、リレーバルブ81が閉じることから、何時でも以上の洗浄動作が中断する。
【0026】
次に、この洗浄装置に設けられる油水分離回収機(オイルスキマー)100について説明する。図8に示したように、タンク10の上壁に鉛直に支持筒101を固設し、該支持筒101中に中空パイプからなる吸液管102を支持し該吸液管の下部を該タンク10内に垂下させる。なお該吸液管のタンク10内に垂下している部分には上下方向に長い長孔103が形成されている。104は該吸液管102の外周に摺動自在に設けられたスライド管、105は該スライド管の外周に固着された一対のフロートで、該スライド管に前記長孔103中に遊嵌するピン106が設けられている。このためフロート105がタンク10内の洗浄液によって浮上し、該液面が上下するに従いスライド管104が長孔103の範囲内にて上下に摺動する。
【0027】
107は該吸液管102の上端部に設けられたエゼクタポンプである。該エゼクタポンプは、図7に示したように、スロート部108に前記圧縮空気接続口Aから圧縮空気が供給されるように接続され、該スロート部108に圧縮空気が供給された際にベンチュリー効果により吸液管102内が負圧になることでタンク10中の洗浄液を吸引する。該吸液管102の下端部は図8に示したようにスライド管104により覆われていることから、該吸液管102が洗浄液を吸引する吸液口は洗浄液面が上下するのに従い上下動する。このため、常に洗浄液の上層部分(即ち、比重の軽い油分を多く含む層)が該吸液管102中に吸引される。そして吸引された液体はスロート部108から吹き出た圧縮空気と混合して霧状になり、連通管109を通ってサイクロン分離器110に導かれる。
【0028】
サイクロン分離器110は、図9、図10に示したように、円筒形容器の上部に接線方向に連なるように吹出管111が設けられ、該円筒形容器の上蓋に中心に排気ホース112の一端開口を接続し、該排気ホース112の他端開口をタンク10内の上部空間に連通させる。該円筒形容器は下半部が漏斗状に形成され、その下部開口と相対するように油槽113を設け、該油槽113と堰114を隔てて隣接するように回収油槽115を形成してなるものである。このため、連通管109を通り吹出管111から吹き出た霧状のもののうちの油分が該サイクロン分離器110の内面に付着し、空気分は排気ホース112を通ってタンク10内の上部空間に排出される。そしてサイクロン分離器110の内面に付着した油分は自重によって油槽113に流下し、該油槽内で比重の重い洗浄液が沈下し軽い油分が堰114を超えて回収油槽115にオーバーフローする。
【0029】
このためこの油水分離回収機によれば、ワークWに付着していた機械油等の油分を洗浄液から分離させて回収油槽115に高純度で回収することができ、タンク10内の洗浄液を油分の少ない常に清浄な状態に保つことができる。なお、116は回収油槽115からさらにオーバーフローした油分が受けられるようにテーブル117上に配置された移動可能な容器である。
【0030】
このように本発明に係る洗浄装置およびその油水分離回収機は、全制御がエアーシーケンス方式でなされるので、機械工場等に標準的に配備された空圧源だけで簡単に作動させることができ、電源を必要としないので設置が容易である。また、そのために電気的短絡により火災や爆発事故を起こすおそれがなく、危険物を取り扱う工場に設置しても安全に作動させることができる。
【符号の説明】
【0031】
W ワーク
10 タンク
20 空圧作動式給液ポンプ
31 押しボタン式起動バルブ
32 押しボタン式原位置復帰バルブ
33 押しボタン式非常停止バルブ
35 開閉蓋
37 空圧シリンダ
40 洗浄室
43 回転軸
46 ワーク保持具
48 フィン
50 回転動用ノズル
51 逆転防止部材
52 回転減速用ノズル
54,56 対物ノズル
57 フィルター
60 排気手段
63 スロート部
70 空圧源
80 マスターバルブ
81〜83 空圧作動式タイマー
84,88,89 開閉バルブ
100 油水分離回収機
102 吸液管
104 スライド管
105 フロート
107 エゼクタポンプ
108 スロート部
110 サイクロン分離器
112 排気ホース
113 油槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を貯留するタンクと、該タンクの上部に設けられ該タンク内と連通している洗浄室と、該洗浄室にワークを出し入れするために設けられた開閉蓋と、該開閉蓋を開閉動させる空圧シリンダと、該洗浄室内に回転軸を支持することにより回転自在に設けられたワーク保持具と、該回転軸に設けられたフィンに対し圧縮空気を噴射することにより該ワーク保持具を回転動させる回転動用ノズルと、該ワーク保持具にセットされるワークに相対するように該洗浄室内に設けた対物ノズルと、前記タンクから洗浄液を吸引して該洗浄液を前記対物ノズルに圧送する空圧作動式給液ポンプと、圧縮空気を供給する空圧源とからなり、前記回転動用ノズルから圧縮空気を所定時間噴射することによりワークを回転させると同時に前記空圧作動式給液ポンプを作動させて前記対物ノズルから該ワークに対して洗浄液を所定時間噴射し、その後は該対物ノズルの流入路が空圧源に切換えられて該ワークに対して圧縮空気が所定時間噴射されるようにしたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
フィンに逆転防止部材を当接させると共に、該フィンに対して回転動用ノズルとは逆向きに圧縮空気が噴射されるように回転減速用ノズルを設け、ワークに対して圧縮空気を所定時間噴射させた後に該回転減速用ノズルから圧縮空気を所定時間噴射することにより、ワーク保持具の回転停止に要する時間が短縮されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載した洗浄装置。
【請求項3】
エゼクタポンプのスロート部に空圧源から圧縮空気を導入し、少なくとも対物ノズルからワークに対して圧縮空気を噴射している間は、該エゼクタポンプにより洗浄室内の空気を吸引し排出する排気手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載した洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−245444(P2011−245444A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122962(P2010−122962)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(510332970)株式会社テクノウェイブ (2)
【Fターム(参考)】