説明

活性酸素除去剤及びその製造方法

【課題】優れた活性酸素除去作用を有し、各種飲食物及び各種化粧料に添加して好適に用いられる活性酸素除去剤及び該活性酸素除去剤の製造方法の提供。
【解決手段】樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させてなる複合粒子を含有する活性酸素除去剤である。該白金族元素が、Pt、Pd、PtRu、及びPtRdから選択される少なくともいずれかである態様が好ましい。樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させて複合粒子を形成する複合粒子形成工程を含む活性酸素除去剤の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた活性酸素除去作用を有する活性酸素除去剤及び該活性酸素除去剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素は、多くの生物の生命維持に必須の物質であり、生体においてエネルギー産生等の様々な役割を果たしている。このエネルギー産生系や他の反応系において、酸素は酵素、紫外線、他の放射線等の作用により、スーパーオキシドアニオン(・O)、一重項酸素()、ヒドロキシアニオン(・OH)等の活性酸素となることが知られている。
前記活性酸素は、白血球による殺菌作用、即ち、食細胞が捕食した異物を分解する作用等の面で、生体にとって極めて重要な役割を果たしている。その反面、前記活性酸素が過剰に生産されると、生体組織自体に障害を起こしたり、生体膜のリン脂質を形成する不飽和脂肪酸の過酸化を促進して過酸化脂質等の炎症因子の産生を誘発する。また、該過酸化脂質と一緒になってアルコキシラジカルやヒドロキシラジカルを発生して生体膜を攻撃し、膜障害を起こしたり、有用な種々の酵素類を失活させるおそれがある。
【0003】
一方、生体内には、前記活性酸素を失活させる酵素類としては、例えば、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ等が挙げられる。また、抗酸化作用を有する各種ビタミン類としては、例えば、α−トコフェロール(ビタミンE)等が挙げられる。これら酵素やビタミン類の作用により正常な生体維持がなされている。しかし、現代の生体を取りまく環境中には活性酸素の生体内産生を促す各種化学物質、例えば、除草剤、殺虫剤、洗剤、医薬品、各種食品添加物等が多量に存在している。これら化学物質の影響によって、前記酵素類やビタミン類等による適切な防御機構の能力を越える活性酸素の発生や過酸化脂質の生成や蓄積が生じる。前記活性酸素が体内において異常に増加した場合には、過酸化反応の連鎖反応的進行に伴って、例えば、種々の炎症、肝障害、腎障害、胃障害、動脈硬化、溶血、老人性痴呆症、網膜症、肺障害、虚血性血管疾患等の重大な障害が発生するおそれがある。
【0004】
このように、過剰な活性酸素が生体に悪影響を及ぼすことは認識されており、日常口にする飲食物や肌等に直接塗布する化粧品等に活性酸素の除去作用を積極的に付与することが検討され、例えば、活性酸素の除去作用を有する白金コロイドを含む飲食物や化粧料が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
しかしながら、これらの提案に係る白金コロイドは、粒径が比較的大きく、分散性に劣るため、十分満足できる活性酸素除去作用が得られておらず、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開平11−346715号公報
【特許文献2】特開2001−122723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた活性酸素除去作用を有し、各種飲食物及び各種化粧料に好適に用いられる活性酸素除去剤及び該活性酸素除去剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させてなる複合粒子を含有することを特徴とする活性酸素除去剤である。
<2>白金族元素が、Pt、Pd、PtRu、及びPtRdから選択される少なくともいずれかである前記<1>に記載の活性酸素除去剤である。
<3> 白金族元素を結合乃至内包する樹状分岐分子のサイトが、金属元素捕捉サイトである前記<1>から<2>のいずれかに記載の活性酸素除去剤である。
<4> 樹状分岐分子が、デンドリマー、デンドロン及びハイパーブランチポリマーから選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の活性酸素除去剤である。
<5> 樹状分岐分子が、他の材料の一部に含まれている前記<1>から<4>のいずれかに記載の活性酸素除去剤である。
<6> 樹状分岐分子の分子量が200以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載の活性酸素除去剤である。
<7> 樹状分岐分子の世代数が、第1世代以上である前記<1>から<6>のいずれかに記載の活性酸素除去剤である。
<8> 複合粒子の体積平均粒径(D50)が、0.1〜500nmである前記<1>から<7>のいずれかに記載の活性酸素除去剤である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の活性酸素除去剤を製造する方法であって、樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させて複合粒子を形成する複合粒子形成工程を含むことを特徴とする活性酸素除去剤の製造方法である。
<10> 樹状分岐分子の金属元素捕捉サイトに白金族元素を結合乃至内包させる前記<9>に記載の活性酸素除去剤の製造方法である。
<11> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の活性酸素除去剤を含有することを特徴とする飲食物である。
<12> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の活性酸素除去剤を含有することを特徴とする化粧料である。
【0008】
本発明の活性酸素除去剤は、樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させてなる複合粒子を含有する。該活性酸素除去剤は、一般的な白金ナノ粒子よりも粒径及び粒度分布が小さく、分散安定性が高いので、優れた活性酸素除去作用を発揮し得、飲食物及び化粧料に好適に用いることができる。
なお、前記活性酸素除去作用には、スーパーオキサイド消去作用、一重項酸素除去作用、過酸化水素消去作用及びラジカル消去作用の少なくともいずれかが含まれるが、これらの中でも、一重項酸素除去作用が特に好ましい。
【0009】
本発明の活性酸素除去剤の製造方法は、本発明の前記活性酸素除去剤を製造する方法であって、樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させて複合粒子を形成する複合粒子形成工程を含むことを特徴とする。その結果、優れた活性酸素除去作用を有する活性酸素除去剤を効率よく製造することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、優れた活性酸素除去作用を有し、各種飲食物及び各種化粧料に好適に用いられる活性酸素除去剤及び該活性酸素除去剤の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(活性酸素除去剤及び活性酸素除去剤の製造方法)
本発明の活性酸素除去剤は、樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させてなる複合粒子を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明の活性酸素除去剤の製造方法は、樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させて複合粒子を形成する複合粒子形成工程を含んでなり、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の活性酸素除去剤は、本発明の活性酸素除去剤の製造方法により製造される。
以下、本発明の活性酸素除去剤の製造方法の説明を通じて、本発明の活性酸素除去剤の詳細についても明らかにする。
【0012】
<複合粒子形成工程>
前記複合粒子形成工程は、樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させて複合粒子を形成する工程である。
ここで、前記結合乃至内包の態様としては、例えば、化学結合、静電的相互作用による結合などが挙げられる。該化学結合としては、例えば、配位結合、イオン結合、共有結合、などが挙げられる。
【0013】
前記複合粒子形成工程としては、白金族元素と錯体形成可能なサイト及び静電引力により白金族元素が結合可能なサイトのいずれかを有する樹状分岐分子とを反応させる態様が好適である。
【0014】
−樹状分岐分子−
前記樹状分岐分子とは、金属元素捕捉サイトの数がほぼ一定な樹状分岐分子であり、好ましくは単分散の樹状分岐分子を意味する。
前記樹状分岐分子としては、分岐の中心であるコアより規則的に逐次分岐されたデンドリマーやデンドロンばかりでなく、ハイパーブランチポリマーも含まれる。また、前記樹状分岐分子が他の材料の一部に含まれているものであってもよい。即ち、樹状分岐分子の表面の官能性基を、高分子又は他の材料と結合させたものでもよく、或いは、樹状分岐分子を含む有機分子であってもよい。例えば、デンドリマーの表面が高分子主鎖に結合した分子も本発明の樹状分岐分子に含まれる。
【0015】
ここで、前記金属元素捕捉サイト(以下、「フォーカルサイト」と称することもある)としては適宜選択することができ、例えば、前記白金族元素を結合可能な官能基及び白金族元素を静電的に相互作用可能な官能基のいずれかが好ましい。
前記白金族元素を結合可能な官能基における結合の種類としては、配位結合、化学結合、イオン結合、共有結合、などが挙げられる。
前記白金族元素を配位結合可能な官能基としては、例えば、NH、RNH、N、HO、OH、O−2、ROH、RO、RO、MeCOO、CO−2、NO、F、PhNH、CN、N、NO、SO−2、Br、H、R、C、C、CN、RNC、CO,SCN、RP、(RO)P、RAs、RS、RSH、RS、S−2、I、などが挙げられる。ただし、前記式中、Rはアルキル基を表し、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。
前記白金族元素を静電的に相互作用可能な官能基としては、例えば、4級アンモニウム塩、COO、PO3−、SO2−などが挙げられる。
【0016】
前記樹状分岐分子(特にデンドリマー)の分子量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200以上が好ましく、1500〜10万がより好ましい。前記分子量が200未満であると、ナノ粒子が樹状分岐分子の内部で形成されないことがある。
前記樹状分岐分子の世代数は、第1世代以上が好ましく、第2世代〜第10世代がより好ましい。前記世代数が、1世代未満であると、ナノ粒子が樹状分岐分子の内部で形成されないことがある。
【0017】
前記デンドリマーとしては、例えば、G.R.Newkome,C.N.Moorefield、F.フェグトレ著「Dendrimers and Dendrons」(2001年、WILEY‐VCH発行)、C.J.Hawker et al;J.Chem.Soc.,Commun.,第1010頁(1990年)、D.A.Tomalia et al;Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,29巻,第138頁(1990年)、C.J.Hawker et al;J.Am.Chem.Soc.,112巻、第7638頁(1990年)、J.M.J.Frechet,;Science、263巻、第1710頁(1994年)などの文献に記述されているものが好適に挙げられる。
【0018】
前記デンドリマーとしては、具体的には、以下のデンドリマー(1)から(8)に示すものが好適に用いられる。
【0019】
<デンドリマー(1):アミド型デンドリマー>
【化1】

【0020】
<デンドリマー(2):アミド型デンドリマー>
【化2】

【0021】
<デンドリマー(3):アミド型デンドリマー>
【化3】

【0022】
<デンドリマー(4):アミド型デンドリマー>
【化4】

【0023】
<デンドリマー(5):プロピレンイミン型デンドリマー>
【化5】

【0024】
<デンドリマー(6):プロピレンイミン型デンドリマー>
【化6】

【0025】
<デンドリマー(7):プロピレンイミン型デンドリマー>
【化7】

【0026】
<デンドリマー(8):メチレンイミン型デンドリマー>
【化8】

【0027】
前記デンドリマーのうち、トリメチレンイミン骨格を含むデンドリマーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下の方法などが挙げられる。
例えば、国際公開第93/14147号パンフレット、及び国際公開第95/02008号パンフレットなどに記載されているように、アンモニア及び2個以上の1級アミノ基を含有する化合物を出発物質とし、アクリロニトリルを反応させてシアノエチル化する。その後、ニトリル基を活性酸素除去剤の存在下で、水素又はアンモニアを用いて1級アミノ基に還元する(G1)。次に、シアノエチル化と1級アミノ基への還元を3度繰り返して(G2→G3→G4)合成する方法などが挙げられる。なお、G1はデンドリマー第1世代、G2はデンドリマー第2世代、G3はデンドリマー第3世代、G4はデンドリマー第4世代、をそれぞれ表す。
前記デンドリマーの製造方法においては、出発物質として、アンモニアの他、1級アミノ基、アルコール、フェノール、チオール、チオフェノール及び2級アミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する化合物を用いてもよい。
【0028】
前記デンドリマーのうち、アミドアミン骨格を含むデンドリマーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下の方法などが挙げられる。例えば、特公平7−2840号公報、特公平7−57735号公報、特公平7−57736号公報、特開平7−267879号公報、及び特開平11−140180号公報に記載されているように、先ず、第1級アミノ基を有する化合物を出発物質とし、そのアミノ基に2当量のメチルアクリレートを反応させ(マイケル付加反応)、窒素分枝部を有する2官能のメチルエステル化合物とする。次に、メチルエステルに対し1級アミノ基を有するジアミン化合物の一方を反応させ(エステル/アミド交換反応)、他方の1級アミノ基を残す(G1)。次いで、2当量のメチルアクリレートとの反応により、メチルエステルに対し1級アミノ基を有するジアミン化合物の一方を反応させ、他方の1級アミノ基を残す反応を3度繰り返して(G2→G3→G4)合成する方法などが挙げられる。
前記デンドリマーの製造方法においては、出発物質として、アンモニアのほか、1級アミノ基、アルコール、フェノール、チオール、チオフェノール、及び、2級アミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する化合物を用いてもよい。
【0029】
前記デンドリマーのうち、分岐構造を有するπ共役ポリアリールアゾメチン骨格を含むデンドリマーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下の方法などが挙げられる。例えば、K.Yamamoto et al;J.Am.Chem.Soc.123巻,第4414頁(2001年)に記載されているように、先ず、4,4’−ジアミノベンゾフェノンのアミノ基と2当量のベンゾフェノンのケトンとの反応生成物(G2)を得る。次いで、4,4’‐ジアミノベンゾフェノンのアミノ基と2倍量のG2のケトンとの反応生成物(G3)を得る。更に同様に、4,4’‐ジアミノベンゾフェノンのアミノ基と2倍量のG3のケトンとの反応生成物(G4)を得た後、2個のアミノ基を含有する化合物と2倍量のG4との反応により合成する方法などが挙げられる。
前記分岐構造を有するπ共役ポリアリールアゾメチン骨格を含むデンドリマーとしては、芳香環以外で分岐した構造であるのが好ましい。なお、前記デンドリマーは、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。
【0030】
前記デンドロンとしては、例えば、以下のデンドロン(1)から(4)に示すものが好適に用いられる。これらの中でも、粒径が均一で、かつ小さい、単分散状態の複合粒子を製造するためには、フォーカルサイトにメルカプト基を有するデンドロン、即ち、前記デンドロン(1)及び(3)のデンドロンが好ましい。この場合、1個の前記白金族元素を、複数のフォーカルサイトのメルカプト基が捕捉するため、得られる複合粒子は逆ミセルとなり、樹脂等に対する分散性にも優れる。更に、自己集積性により容易に配列化することができ、シャープな粒度分布となる。
【0031】
−デンドロン(1)−
【化9】

【0032】
−デンドロン(2)−
【化10】

【0033】
−デンドロン(3)−
【化11】

【0034】
−デンドロン(4)−
【化12】

【0035】
前記デンドロンを合成する方法としては、例えば、前記デンドロン(1)を合成する場合には、3,5−ビス〔3,5−ビス(ベンジロキシ)ベンジロキシ〕ベンジルブロミドと、チオウレアと、極性溶剤とを混合攪拌し、更に水酸化ナトリウム水溶液を添加し、希塩酸等でpHを2〜3に調整した後、酢酸エチルで抽出する方法などが挙げられる。
前記デンドロンにおけるフォーカルサイトの位置としては、前記デンドロンの分岐鎖中に存在していてもよい。なお、前記デンドロンは市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。
【0036】
前記ハイパーブランチポリマーとしては、例えば、以下のハイパーブランチポリマー(1)から(2)に示すものが好適に用いられる。
【0037】
<ハイパーブランチポリマー(1)>
【化13】

【0038】
<ハイパーブランチポリマー(2)>
【化14】

【0039】
前記ハイパーブランチポリマーの製造方法としては、例えば、M.Suzuki et al;Macromolecules,25巻,7071頁(1992)、同31巻,1716頁(1998)に記載されているように、一級アミンを求核成分とし、パラジウム触媒による環状化合物の開環重合による合成方法等が挙げられる。
なお、前記ハイパーブランチポリマーは市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。
【0040】
前記樹状分岐分子(特にデンドリマー)にはフォーカルサイト以外の、前記白金族元素と相互作用する部位を有しないことが好ましい。即ち、前デンドリマー(1)〜(8)のように内部に白金族元素のフォーカルサイトを有し、表面には前記白金族元素と相互作用する部位を有しないものについてはそのままでも支障はないが、前記フォーカルサイト以外にも多数の前記白金族元素と相互作用する部位を有するものは、前記フォーカルサイト以外の白金族元素と相互作用する部位に対して、相互作用能力(配位能力)の小さい置換基を導入して、前記フォーカルサイト以外の白金族元素と相互作用する部位を有さなくすることが好ましい。即ち、樹状分岐分子におけるフォーカルサイトと、白金族元素との相互作用力の方が、該樹状分岐分子における該フォーカルサイト以外の部位と、白金族元素との相互作用力よりも大きいことが好ましい。また、前記相互作用能力の小さい置換基は樹状分岐分子の表面領域より大きいものが好ましい。例えば、樹状分岐分子の分岐の先端を水素原子を含むアミノ基とし、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メチルビニルスルホン、フェニルビニルスルホン、等と反応させて、相互作用力の小さい置換基を導入する。
前記配位能力の小さい置換基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、置換又は無置換のアルキル基、などが挙げられる。
【0041】
なお、前記デンドリマーの表面にフェニル基、又はベンジル基のようなベンゼン環を有する硬い置換基を導入した場合には、前記デンドリマー及び粒子含有デンドリマーの耐熱性、剛直性、及び光捕集能が高くなり、このような性能を必要とする用途に好適に用いることができる。
【0042】
−白金族元素−
前記白金族元素としては、例えば、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rd)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、Pt、Pd、PtRu、PtRd、が特に好ましい。
【0043】
前記白金族元素の添加量としては、前記樹状分岐分子が分子鎖中にフォーカルサイトを有する場合には、添加する白金族元素の数が、前記樹状分岐分子のフォーカルサイトの数以下であることが好ましい。これにより、樹状分岐分子に捕捉されていない過剰の白金族元素を除去する操作なしに、効率よく粒子を形成することができる。
また、添加する白金族元素の数が、前記樹状分岐分子のフォーカルサイトの数を超えるときには、樹状分岐分子のフォーカルサイトに捕捉されていない過剰の白金族元素を取り除いた後、該フォーカルサイトに捕捉された前記白金族元素を粒子に変換することが好ましい。この場合には、前記フォーカルサイト分の粒子からなる種粒子を形成させることができ、粒子サイズ及び組成の実質的に均一な粒子を形成することができる点で好ましい。なお、添加する白金族元素の数が、前記樹状分岐分子のフォーカルサイトの数と等量の場合にも粒子サイズ及び組成の実質的に均一な粒子を形成することができる点で好ましい。
【0044】
前記樹状分岐分子のフォーカルサイトのすべてに白金族元素を捕捉させる手段としては、樹状分岐分子が分岐中にフォーカルサイトを有する場合には、(1)樹状分岐分子におけるフォーカルサイトと等量の白金族元素を添加する方法、(2)樹状分岐分子におけるフォーカルサイトより過剰の白金族元素を加え、過剰の白金族元素を除去(例えば、透析)する方法、などが挙げられる。
【0045】
なお、前記白金族元素1個を前記フォーカルサイト1個が捕捉する態様だけでなく、前記白金族元素1個を2個以上の前記フォーカルサイトが捕捉する態様であってもよい。
【0046】
前記活性酸素除去剤の製造方法としては、前記複合粒子形成工程において、樹状分岐分子を含む液と、白金族元素を含む液とを混合する場合には、両液を同時に滴下し、混合することが、粒径分布の小さい均一な複合粒子を形成する観点から好適である。この場合、前記樹状分岐分子を含む液と、白金族元素を含む液とを略等量で混合することが好ましい。また、前記樹状分岐分子を含む液と、白金族元素を含む液を加熱しながら混合することが好ましく、加熱温度は、通常15〜90℃である。
前記両液を入れ、滴下する容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリンジ、シリンジとチューブとの組み合わせ、Y字状のマイクロチューブ、マイクロリアクター、などが挙げられる。
前記両液の送液は、手動、シリンジポンプ、その他の手段、などが挙げられ、前記両液を連続及び間欠の少なくともいずれかの方法で送液することが好ましく、間欠で送液する場合には、混合効率が向上するので特に好ましい。
【0047】
ここで、樹状分岐分子を含む液と、白金族元素を含む液との混合方法の一例について具体的に説明する。例えば、図1に示すように、デンドリマーを含む液をシリンジAに入れ、白金族元素を含む液をシリンジBに入れ、両シリンジを同時に押し出し、ビーカー中に同時に一定のスピードで滴下し、撹拌する。前記送液は、手動、シリンジポンプ、などで行うことができ、滴下速度は、通常0.05〜10ml/minである。なお、図1において、シリンジの先端にチューブを取り付け、該チューブを加熱するようにしても構わない。
【0048】
また、図2に示すように、Y字状の流路に組み立てたチューブを用い、デンドリマーを含む液をA方向から、白金族元素を含む液をB方向から、送液し、ビーカー中に同時に一定のスピードで滴下し、撹拌する。前記送液は、手動、シリンジポンプ、などで行うことができる。A、B方向からの送液は連続及び間欠のいずれであってもよく、A方向と、B方向とを間欠で送液することで、デンドリマーを含む液と、白金族元素を含む液とを効率よく均一に混合することができる。
なお、図2のY字状の流路は、チューブ以外にも、金属、ガラス、シリコン等の基板上に流路を形成したものであってもよい。Y字状の流路におけるA、Bの混合部〜Cまでを加熱しても構わない。加熱温度は、通常15〜90℃が好ましい。滴下速度は、通常0.05〜10ml/minが好ましい。
【0049】
本発明の活性酸素除去剤の製造方法により製造される複合粒子は、粒子サイズが一定であり、かつ粒子間の組成が実質的に均一である単分散粒子であり、粒子の粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1nm〜500nmが好ましく、0.3nm〜100nmがより好ましく、0.3nm〜10nmが更に好ましい。なお、粒子の大きさは、粒子の形状が球状である場合には直径を意味し、棒状の場合には長辺を意味する。また、粒子の粒度分布が0〜200nmまで狭くすることができる。
【0050】
本発明の活性酸素除去剤は、前記複合粒子を含有してなり、粒径及び粒度分布が小さく、分散安定性が高いので、粉末状、水溶液、コロイド溶液などの種々の形態で各種分野に用いることができるが、以下の飲食物、及び化粧料に特に好適に用いられる。
【0051】
(飲食物)
前記飲食物は、本発明の前記活性酸素除去剤を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
前記飲食物とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品、などの区分に制限されるものではなく、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものを意味する。
【0052】
前記飲食物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ等の医薬品、医薬部外品などが挙げられる。なお、前記飲食物は上記例示に限定されるものではない。
【0053】
前記その他の成分としては、前記飲食物を製造するに当たって通常用いられる補助的原料又は添加物、などが挙げられる。
前記原料又は添加物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤、などが挙げられる。
【0054】
前記飲食物における本発明の前記活性酸素除去剤の添加量は、対象となる飲食物の種類に応じて異なり一概には規定することができないが、飲食物本来の味を損なわない範囲で添加すれば良く、各種対象飲食物に対し、通常0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましい。また、顆粒、錠剤又はカプセル形態の飲食物の場合には、通常0.01〜100質量%が好ましく、5〜100質量%がより好ましい。
【0055】
(化粧料)
前記化粧料は、本発明の前記活性酸素除去剤を含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
【0056】
前記化粧料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、ヘアクリーム、ヘアリキッド、入浴剤、などが挙げられる。
【0057】
前記活性酸素除去剤の前記化粧料全体に対する配合量は、化粧料の種類等によって異なり適宜調整することができ、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜5質量%がより好ましい。
【0058】
前記活性酸素除去剤を含有する化粧料には、更に必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他成分を使用することができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した成分が挙げられ、例えば、美白剤、収斂剤、殺菌・抗菌剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料、などが挙げられる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
(実施例1)
−活性酸素除去剤(複合粒子)の調製−
50ml三角フラスコを使用して、15mMのK〔PtCl〕水溶液10.0ml(15.0×10−5モル)を20ml滴下ロートに移した。0.5mMのデンドリマー〔商品名:Starburst(ポリアミドアミン型デンドリマー(PAMAM)、Aldrich社製、第4世代、表面に64個のOH基を有する)〕の水溶液5.0mlを別の50ml三角フラスコに入れた後、マグネティックスターラーで攪拌しながら、白金イオン溶液を室温で5分間かけて滴下した後、40℃にて4時間攪拌した。
白金イオン−デンドリマー錯体/水について、窒素原子量を元素分析(パーキンエルマー社製、2400)と、白金イオン量を原子吸光分析法(株式会社日立製作所製、Z5010)で測定し、白金イオン量/N原子量の比が60/62であることを確認した。
【0061】
得られた溶液のUVスペクトルを測定したところ、260nmに、前記ポリアミドアミン型デンドリマーの水溶液及びK〔PtCl〕水溶液にはない新たな吸収が観察された。
反応溶液を洗浄したPETベース上に塗布・乾燥したものを試料とし、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を測定したところ、K〔PtCl〕水溶液におけるPt−4f7/2の化学シフトの73.0eVが72.5eVに変化した。また、ポリアミドアミン型デンドリマーのN−1sの化学シフトの398.4eVが399.3eVに変化したことを確認した。
【0062】
(実施例2)
−フォーカルサイトにメルカプト基を有するデンドロンの調製−
3,5−Bis〔3,5−bis(benzyloxy)benzyloxy〕benzyl Bromide 1.61g(2.0mmol)、チオウレア0.18g(2.4mmol)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)10mlを混合し、室温で一晩攪拌して反応混合物を得た。得られた反応混合物に10質量%水酸化ナトリウム水溶液5mlを添加し、室温で1時間攪拌を行った。次いで、該攪拌溶液を、希塩酸を用いてpHが2〜3になるように調整し、酢酸エチルにより抽出を行った。得られた酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムにより乾燥し、溶媒を留去して、下記式で示されるフォーカルサイトにメルカプト基を有するデンドロン1.38gを油状物として得た(収率92%)。
なお、前記フォーカルサイトにメルカプト基を有するデンドロンは、重クロロホルムを溶媒としてH−NMRスペクトルを測定して同定した。
【0063】
【化15】

【0064】
−活性酸素除去剤(複合粒子)の調製−
前記フォーカルサイトにメルカプト基を有するデンドロン2.5mg(7.4mmol)を酢酸エチル5mlに溶解させた溶液に、HPtCl20.0mg(58.8mmol)をイオン交換水5mlに溶解させた溶液を添加し、室温で5分間攪拌した。この溶液に、NaBH 22.8mg(600mmol)をイオン交換水5mlに溶解させた溶液を均一に添加し、室温で5分間撹拌することにより、デンドロンが配位した白金複合粒子を得た。
得られた白金複合粒子を透過電子顕微鏡(TEM)観察した結果、白金ナノ粒子間にデンドロン2分子に相当するスペースが認められた。このことから、白金ナノ粒子がデンドロン分子により被覆されていることが確認できた。
【0065】
(比較例1)
−白金ナノコロイド(活性酸素除去剤)の作製−
アリーン冷却管、及び三方コックを接続した100mLの二口ナス型フラスコ内に、ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)(和光純薬工業株式会社製)0.147gを入れ、蒸留水23mLで溶解した。この溶液を10分間攪拌した後、塩化白金酸(HPtCl・6HO、和光純薬工業株式会社製)水溶液(1.66×10−2mol/L)2mLを加えて、更に30分間攪拌した。反応系内を窒素置換し、特級エタノール25mLを加えて窒素雰囲気下を保ちながら、100℃で2時間還流した。反応液のUVを測定し、白金イオンピークの消失と、金属固体特有の散乱によるピークの飽和から還元反応の終了を確認した。
次に、有機溶媒を減圧留去した後、水を加えて白金ナノコロイド液(白金濃度1mmol/L)を調製した。得られた白金ナノコロイド液中の白金ナノコロイドの平均粒径は2.4±0.7nmであった。
【0066】
次に、実施例1〜2、比較例1、活性酸素除去剤として公知のβ−カロチン、アジ化ナトリウム、アスコルビン酸、ヒポタウリン、及びマンニトールについて、以下のようにして、一重項酸素除去作用を確認するための一重項酸素除去定数の測定を行った。結果を表1に示す。なお、実施例1及び2では、比較例1と同じ白金濃度(1mmol/L)のサンプルで測定した。
【0067】
<一重項酸素除去定数の測定>
一重項酸素検出装置は、特許第3356517号公報に記載の装置を用いた。フローセル中には、ローズベンガルの200μmol/Lの水溶液を、20mL/分の速度で循環させた。このセルに、ローズベンガルの吸収波長である514.5nmの波長のレーザーを照射すると、一重項酸素の遷移に伴う発光が観察され、その発光ピークは波長1268nmであった。次に、白金ナノコロイド液を種々の濃度(白金濃度1〜10μmol/Lの範囲)で添加し、発光強度(I)を測定した。各濃度における発光強度(I)と(I)との強度比(I)/(I)を濃度(Cq:白金濃度)に対してプロットし、下記数式1から一重項酸素除去定数(kq)を求めた。
<数式1>
/I = 1 + kq・τ・Cq
ただし、前記数式1(Stern−Vormerの式)中、Iは、活性酸素除去剤を含有しないときの一重項酸素の遷移に伴う発光強度を表す。Iは、活性酸素除去剤を添加したときの発光強度を表す。kqは、反応速度定数を表す。τは、一重項酸素の寿命を示す定数である。Cqは、活性酸素除去剤の濃度を表す。
【0068】
【表1】

表1の結果から、実施例1及び2は、活性酸素除去剤として公知のβ−カロチン、アジ化ナトリウム、アスコルビン酸、ヒポタウリン、及びマンニトールよりも高く、比較例1の白金ナノコロイドと同レベルの優れた一重項酸素除去作用を有し、活性酸素除去剤として有用であることが認められる。
【0069】
(配合実施例1)
−乳液の調製−
下記組成の活性酸素除去作用を有する乳液を常法により製造した。
実施例1の活性酸素除去剤1.0g、ホホバオイル4.0g、プラセンタエキス0.1g、アスコルビン酸リン酸マグネシウム0.1g、オリーブオイル2.0g、スクワラン2.0g、セタノール2.0g、モノステアリン酸グリセリル2.0g、ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)2.5g、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)2.0g、1.3−ブチレングリコール3.0g、ヒノキチオール0.15g、香料0.15g、及び精製水を残部添加し、全量を100gとした。
【0070】
(配合実施例2)
−クリームの調製−
下記組成の活性酸素除去作用を有するクリームを常法により製造した。
実施例2の活性酸素除去剤1.0g、流動パラフィン
5.0g、サラシミツロウ4.0g、セタノール3.0g、スクワラン10.0g、ラノリン2.0g、アルブチン0.1g、ルシノール0.1g、コウジ酸0.1g、コンキオリン0.1g、オウバクエキス0.1g、ステアリン酸1.0g、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)1.5g、モノステアリン酸グリセリル3.0g、1.3−ブチレングリコール6.0g、パラオキシ安息香酸メチル0.05g、香料0.1g、及び精製水を残部添加して全量を100gとした。
【0071】
(配合実施例3)
−カプセル剤の調製−
常法により、以下の組成の活性酸素除去作用を有するカプセル剤を製造した。
実施例1の活性酸素除去剤20.0mg、コーンスターチ60.0mg、乳糖100.0mg、乳酸カルシウム10.0mg、及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)10.0mgを常法により混合し、1号ハードゼラチンカプセル中に充填した。
【0072】
(配合実施例4)
−カプセル剤の調製−
常法により、以下の組成の活性酸素除去作用を有するカプセル剤を製造した。
実施例2の活性酸素除去剤20.0mg、コーンスターチ60.0mg、乳糖100.0mg、乳酸カルシウム10.0mg、及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)10.0mgを常法により混合し、1号ハードゼラチンカプセル中に充填した。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の活性酸素除去剤は、優れた活性酸素除去作用を有し、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、ヘアクリーム、ヘアリキッド、入浴剤などの各種化粧料、例えば、経口的に摂取される一般食品、健康食品、保健機能食品、医薬部外品、医薬品などの飲食物に幅広く添加して好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、樹状分岐分子を含む液と白金族元素を含む液を同時に添加する方法の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、樹状分岐分子を含む液と白金族元素を含む液を同時に添加する方法の一例を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させてなる複合粒子を含有することを特徴とする活性酸素除去剤。
【請求項2】
白金族元素が、Pt、Pd、PtRu、及びPtRdから選択される少なくともいずれかである請求項1に記載の活性酸素除去剤。
【請求項3】
白金族元素を結合乃至内包する樹状分岐分子のサイトが、金属元素捕捉サイトである請求項1から2のいずれかに記載の活性酸素除去剤。
【請求項4】
樹状分岐分子が、デンドリマー、デンドロン及びハイパーブランチポリマーから選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の活性酸素除去剤。
【請求項5】
樹状分岐分子が、他の材料の一部に含まれている請求項1から4のいずれかに記載の活性酸素除去剤。
【請求項6】
樹状分岐分子の分子量が、200以上である請求項1から5のいずれかに記載の活性酸素除去剤。
【請求項7】
樹状分岐分子の世代数が、第1世代以上である請求項1から6のいずれかに記載の活性酸素除去剤。
【請求項8】
複合粒子の体積平均粒径(D50)が、0.1〜500nmである請求項1から7のいずれかに記載の活性酸素除去剤。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の活性酸素除去剤を製造する方法であって、樹状分岐分子に白金族元素を結合乃至内包させて複合粒子を形成する複合粒子形成工程を含むことを特徴とする活性酸素除去剤の製造方法。
【請求項10】
樹状分岐分子の金属元素捕捉サイトに白金族元素を結合乃至内包させる請求項9に記載の活性酸素除去剤の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−151974(P2006−151974A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323428(P2005−323428)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】