説明

液体吐出装置、体積測定方法、検査部材

【課題】吐出された液体の体積を精度よく測定する。
【解決手段】吐出手段101から吐出される液体200を表面張力を用いて凸状に保持する保持面部121と、保持面部121の周囲に形成され、保持面部121からの液体200の流出を抑止する抑止面領域122とを備える検査部材102と、保持面部121に保持される液体200の形状に関する情報である形状情報を取得する形状情報取得手段103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、吐出手段が吐出する液体の体積を測定する技術に関し、特に、ナノリットル〜マイクロリットルオーダーの体積の微小な液滴(液体)の体積を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置、特に微小な量の液体を正確な位置に吐出する液体吐出装置は、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置の製造や、白色発光するLED(Light Emitting Diode)照明装置の製造などに用いられている。具体的に前述のような製造工程において、液体吐出装置は、LEDが放射する青色光を白色に変換する蛍光物質が分散された樹脂や有機EL材料を正確な量で正確な位置に吐出する。従って、液体吐出装置が吐出する微少量の体積を測定することは非常に重要となる。
【0003】
従来、液体吐出装置から吐出されるきわめて微少な液体の体積を測定するには、例えば、一箇所に微少な量の液体を一単位の液滴として液体吐出装置により複数回吐出させ、精密天秤で吐出させた液体の総重量を計測し、計測結果を吐出回数で除算することで吐出された微少量の液体の重量や体積を算出する方法が採用されている。また、昨今では特許文献1や特許文献2に記載のように、液滴をシートなどに一滴吐出し、画像認識技術を用いて液滴の体積を算出する技術が提案されている。また、特許文献3に記載のように、溝内に樹脂を塗布し、溝の両壁面を伝って這い上がった樹脂の表面形状を円に近似することで塗布量を算出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−264608号公報
【特許文献2】特開平9−248512号公報
【特許文献3】国際公開第2006/013915号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが昨今では、表示装置の画素が細密化してきているため、より微小な量の液体を正確に吐出する技術が望まれている。また、LED照明の分野でも、蛍光物質を含有する樹脂の塗布量を正確に制御して、色むらのない安定した生産技術の確立が望まれている。
【0006】
しかし、画像解析技術を用いる場合、測定に時間がかかるため吐出装置の操業中に吐出量を測定して操業条件にフィードバックするなどの即時性に難があり、液体の色や屈折率によって大きな誤差が生じるなどの問題もある。一方、吐出された液体である複数の液滴をまとめて計測する場合は、平均的な値しか算出することができないため、表示装置や照明装置の製造などにおいて1箇所に1滴を吐出するだけの場合、ムラの発生を把握することが困難となり、また、即時性にも難がある。さらに、吐出される液体の粘度が異なる場合、壁を伝って這い上がる状態が大きく異なるため、経時的に粘度が変化するような樹脂を安定して正確に測定することは困難となる。
【0007】
本願発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、液体吐出装置から吐出される液体の体積を正確、かつ、高速に測定することのできる液体吐出装置、体積測定方法、検査部材の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる液体吐出装置は、液体を吐出する吐出手段を備える液体吐出装置であって、前記吐出手段から吐出された液体を当該液体の表面張力を用いて凸状に保持する保持面部と、前記保持面部の周囲に形成され前記保持面部からの液体の流出を抑止する抑止面領域とを備える検査部材と前記保持面部に保持される液体の形状に関する情報である形状情報を取得する形状情報取得手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記検査部材は、上端面部が保持面部である柱状の保持部材を備え、前記抑止面領域は、前記保持部材を囲う空間であってもよい。
【0010】
また、前記抑止面領域は、前記保持面部よりも液体をはじく表面を備えてもよい。
【0011】
これによれば、吐出手段から吐出された液体は、抑止面領域によって平面的に広がる領域が規制され、保持面部に表面張力を用いて凸状に保持される。従って、保持面部に保持される液体は、液体の粘度にあまり影響を受けることなく、一定の形状をとることとなる。このように一定の形状となる液体の形状情報、例えば、保持面部に保持される液体の高さを形状情報として取得することで、吐出手段から吐出される微小な液体の体積を正確、かつ、高速に算出することが可能となる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本願発明にかかる体積測定方法は、吐出された液体の体積を測定する体積測定方法であって、吐出された液体を当該液体の表面張力を用いて凸状に保持する保持面部と、前記保持面部の周囲に形成され前記保持面部からの液体の流出を抑止する抑止面領域とを備える検査部材の前記保持面部に液体を吐出し、前記保持面部に保持される液体の形状に関する情報である形状情報を取得し、前記形状情報と前記保持面部の形状に関する保持面情報とに基づき、吐出された液体の体積を算出することを特徴とする。
【0013】
これによれば、吐出手段から吐出された液体は、抑止面領域によって平面的に広がる領域が規制され、保持面部に表面張力を用いて凸状に保持される。従って、保持面部に保持される液体は、液体の粘度にあまり影響を受けることなく、一定の形状をとることとなる。このように一定の形状となる液体の形状情報、例えば、保持面部に保持される液体の高さを形状情報として取得することで、吐出手段から吐出される微小な液体の体積を正確、かつ、高速に算出することが可能となる。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本願発明にかかる検査部材は、吐出された液体の体積を測定する際に用いられる検査部材であって、液体を当該液体の表面張力を用いて凸状に保持する保持面部と、前記保持面部の周囲に形成され前記保持面部からの液体の流出を抑止する抑止面領域とを備えることを特徴とする。
【0015】
これによれば、吐出手段から吐出された液体は、抑止面領域によって平面的に広がる領域が規制され、保持面部に表面張力を用いて凸状に保持される。従って、保持面部に保持される液体は、液体の粘度にあまり影響を受けることなく、一定の形状をとることとなる。このように一定の形状となる液体の形状情報、例えば、保持面部に保持される液体の高さを形状情報として取得することで、吐出手段から吐出される1滴の液体の体積を正確、かつ、高速に算出することが可能となる。
【0016】
さらに、前記保持面部が複数個並べて設けられるものでもよい。
【0017】
これによれば、吐出された液体である液滴を断続的(例えば所定の吐出回数に1回の割合)に測定し、吐出量の経時的変化などを容易に測定することが可能となる。
【0018】
なお、前記体積測定方法が含む各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを実施することも本願発明の実施に該当する。無論、そのプログラムが記録された記録媒体を実施することも本願発明の実施に該当する。
【発明の効果】
【0019】
本願発明によれば、吐出手段から吐出された微少液体(液滴)の体積を正確、かつ、高速に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、液体吐出装置の概略構成を示す斜示図である。
【図2】図2は、吐出手段の概略構成を一部断面で示す図である。
【図3】図3は、体積検査装置の機構構成などを模式的に示す斜視図である。
【図4】図4は、体積検査装置の機能構成などを模式的に示すブロック図である。
【図5】図5は、形状情報取得手段を側方から示す平面図である。
【図6】図6は、保持部材のエッジ(抑止面領域)のバリエーションの一つを側面から示す平面図である。
【図7】図6は、保持部材のエッジ(抑止面領域)のバリエーションの一つを側面から示す平面図である。
【図8】図8は、検査部材の別態様を示す斜視図である。
【図9】図9は、別態様の検査部材に設けられる保持面部の一つを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本願発明に係る液体吐出装置、体積測定方法、検査部材の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る液体吐出装置、体積測定方法、検査部材の一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。
【0022】
図1は、液体吐出装置の概略構成を示す斜示図である。
【0023】
同図に示すように、液体吐出装置100は、液体を吐出する吐出手段101を備える装置であって、検査部材102と、形状情報取得手段103とで構成される体積検査装置120を備えている。また本実施の形態の場合、液体吐出装置100は、被塗布体201上の所望の位置に液体200を吐出することができる装置であって、被塗布体201を支持するステージ202を備えている。
【0024】
ヘッド203の吐出手段101は、1または複数の吐出手段101(後述)が設けられ、ヘッドX軸移動装置205、および、ヘッドY軸移動装置206によりステージ202に指示された被塗布体201に対してXY軸方向に相対的に移動する。
【0025】
液体吐出装置100は、この構成によって、ヘッド203とステージ202上の被塗布体201とを相対移動させながら、ヘッド203に備えられた吐出手段101から被塗布体201に向かって液体200を吐出し、被塗布体201上の所望の位置に所望の量の液体を塗布する。なお、吐出手段101を備えるヘッド203と、被塗布体201を支持するステージ202とは、相対的に移動して被塗布体201上の所望の位置に所望の量の液体を吐出手段101により吐出して塗布できる構成であればよい。例えば、吐出手段101を備えたヘッド203に対して被塗布体201を支持するステージ202がXY軸方向に移動する構成であってもよい。また、このようにヘッド203がXY軸方向の水平面移動を行わない場合であれば、後述する体積検査装置120が水平面内を移動してヘッド203に対して相対移動する構成にしてもよい。
【0026】
図2は、吐出手段の概略構成を一部断面で示す図である。
【0027】
同図に示すように、吐出手段101は、所望の液体200を液滴として吐出することができる装置である。
【0028】
吐出手段101は、本実施の形態の場合、シリンジ113と、ニードル112と、プランジャ114とを備えている。
【0029】
シリンジ113は、液体200を内方に保持し、プランジャ114を移動させることにより液体200を一定の圧力でシリンジ113の先端側に備えられたニードル112より液体200を吐出することができる筒状の容器である。
【0030】
プランジャ114は、シリンジ113の内方にシリンジ113に対し摺動自在に配置され、シリンジ113内の液体200を押し出すことができるピストンである。
【0031】
なお、吐出手段101は、例えば加圧手段(図示せず)によりエアーをシリンジ113内に導入することで、プランジャ114をシリンジ113に対し摺動させ、液体200を加圧して吐出口であるニードル112から吐出することができるものとなっている。
【0032】
なお、液体200の粘度により吐出体110より液体200の吐出に問題が無ければシリンジ113にプランジャ114を備えていない構成であってもよい。
【0033】
図3は、体積検査装置の機構構成などを模式的に示す斜視図である。
【0034】
図4は、体積検査装置の機能構成などを模式的に示すブロック図である。
【0035】
図5は、形状情報取得手段を側方から示す平面図である。
【0036】
体積検査装置120は、液滴として吐出される液体の体積を測定する装置であって、検査部材102と、形状情報取得手段103とを備えている。また、本実施の形態の場合、体積検査装置120は、体積算出部129と、保持面情報取得部128と、判断部127とを備えている。
【0037】
検査部材102は、吐出手段101から吐出される液体200を所定の領域に上方凸状に保持し、吐出された液体200を略半球状やドーム状に保持することができる部材であり、保持面部121と、抑止面領域122とを備えている。本実施の形態、検査部材102は、上端面部が保持面部121である円柱状の保持部材123を備えており、さらに、保持面部121が複数個並べて一直線上に配置されるように、保持部材123を一列に並べて保持する長尺帯状の基材124を備えている。また、本実施の形態の場合、体積検査装置120は、保持部材123のピッチで基材124を一方向に送ることができる送り機構(図示せず)を備え、液体200が付着していない保持部材123を順次供給できるものとなっている。
【0038】
保持部材123は、上端面部が保持面部121である柱状の部材であり、保持部材123の上端面部の周囲に形成され保持面部121と同一の面に存在する空間が抑止面領域122(図5参照)として機能している。本実施の形態の場合、保持部材123の保持面部121の周縁部にあるエッジ、すなわち保持面部121と抑止面領域122との境界が存在することにより、抑止面領域122は、保持面部121に保持された液体200が保持面部121から流出することを抑止し、液体200が保持面部121に保持されている状態を維持することができるものとなっている。
【0039】
ここで、保持部材123、特に保持面部121の材質は、特に限定されるものでは無いが、保持する液体200とのぬれ性がある程度高いものを選定することが好ましい。保持面部121上に吐出された液体200の表面張力により凸状に保持される液体200のぬれ性の接触角αは0°<α≦90°で表される浸漬ぬれが好ましい。保持面部121が液体200をはじきすぎてしまうと、保持面部121に保持される液体200の形状が安定せず、形状に関する情報を正確に取得することが困難となるからである。また、保持部材123が樹脂などの場合、保持する液体200に対する耐性(耐溶剤性、耐薬品性など)の高い材質(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)を選定することが好ましい。また、保持部材123を使い捨てにしない場合などには、耐溶剤性や耐薬品性が高く、かつ、洗浄時の摺擦にも耐えるステンレスやアルミニウムなどの金属材料を選定してもよい。特にアルミニウムは、吐出された液体200とともに精密天秤にて重量の検証がし易いという効果を有する。
【0040】
また、周囲に抑止面領域122が形成された保持面部121の形状は、保持面部121の全体にぬれ広がり、表面張力により凸形状保持された液体200の形状が球体の一部であるとして近似できるような形状であることが好ましい。さらに具体的には、保持面部121にぬれ広がった液体200の凸形状の水平面に鉛直な断面形状が円弧曲線に近似できる形状が好ましい。
【0041】
また、保持部材123の上端面部周縁のエッジの形状は、図5に示すような直角でもよく、また、図6に示すような、先端に向かって狭まるテーパ形状や、図7に示すような、先端に向かって広がるテーパ形状であってもよい。また、保持部材123の上端面部周縁(エッジ)は製造の都合上ある程度丸くなる場合もあるが、液体200を保持面部121上に維持できる程度(接触角:α、0°<α≦90°)の丸さであれば、特に問題は無い。
【0042】
また、保持面部121の形状は円形に限定されることは無く、矩形や星形など任意の形状を選定しうるが、円形を採用すると、液体200を安定して保持することができ、また、形状情報として液体200の高さのみを取得した場合でも、液体200の凸形状の鉛直断面はその表面張力により円弧近似が可能で、高い精度で液体200の体積を外挿することが可能となるため好ましい。
【0043】
また、保持面部121の面積は、測定対象となる吐出された液体200の液滴の量、すなわち、保持する液体200の体積に対応して選定する。具体的には、液体200の体積に対して保持面部121の面積が広すぎる場合、吐出された液体200が周囲に抑止面領域122が形成された保持面部121の全体に広がることができないため液体200の形状が安定せず、また、液体200の十分な高さを得ることができないため、正確な形状に関する情報を取得することができない。また、液体200の体積に対して保持面部121の面積が狭すぎる場合、保持面部121から液体が容易に流出し、液体200の体積を測定することができなくなる。例えば、測定対象となる液体200の体積が2立方ミリメートルの場合、円形の保持面部121の直径が2mm以上8mm以下から選定する。ナノリットルオーダーの体積の液体200を測定する場合、円形の保持面部121の直径は0.5mm以下となる。
【0044】
図8は、検査部材の別態様を示す斜視図である。
【0045】
図9は、別態様の検査部材に設けられる保持面部の一つを示す斜視図である。
【0046】
これらの図に示すように、検査部材102は、板状(シート状)の保持体125の表面に保持面部121を設け、保持面部121の周囲に保持面部121よりも液体をはじく表面を備える抑止面領域122を設けてもかまわない。具体的には、保持体125の表面の一部を環状に荒らし(表面粗度を悪くする)、当該荒れた部分を抑止面領域122、抑止面領域122に囲われた部分を保持面部121としてもよい。また、保持体125の表面の一部にフッ素樹脂など液体をはじきやすい物質を環状に形成し、その物質が形成された部分を抑止面領域122、抑止面領域122に囲われた部分を保持面部121としてもよい。
【0047】
また検査部材102の別態様として、上端面部が保持面部121である柱状部材を水平面上にマトリクス状に配置する構成でもよい。
【0048】
形状情報取得手段103は、保持面部121に保持される液体200の形状に関する情報である形状情報を取得する装置である。図3や図5に示すように、本実施の形態の場合、形状情報取得手段103は、鉛直方向(図中Z軸方向)に延在し水平方向(図中Y軸方向)に進行する平行光を投光する投光部131と、投光部131から投光された光りを受光したか否かを高い分解能で検出する受光部132とを備えている。形状情報取得手段103は、検査部材102の保持面部121上に保持されている液体200により投光部131から投光される光りの一部が遮られることを利用し、液体200の形状情報の一つである保持面部121からの液体の高さの情報を送信することができるものとなっている。
【0049】
なお、形状情報取得手段103は、上記構成に限定されるわけではない。例えば、投光部131、および、受光部132と保持部材123とを相対的に移動させることにより、液体200の形状情報を二次元的に取得するものでもかまわない。また、保持面部121に対しレーザ光などを垂直に照射し、反射光などを利用して液体200の保持面部121からの高さを測定するものでもかまわない。この場合も、レーザ光を走査することにより、液体200の2次元形状や3次元形状を測定してもかまわない。また、液体200をカメラで撮像し、得られた撮像情報から形状情報を取得してもかまわない。
【0050】
図4において、保持面情報取得部128は、中央演算装置とメモリなどからなるコンピュータを用い、プログラムを実行させることで実現される演算部に含まれ、検査に用いられる検査部材102の情報、特に、保持面部121の面積や直径など形状に関する保持面情報を取得する処理部である。なお、保持面情報の入力方法は特に限定されるわけではなく人間によって情報を入力してもよく、保持面情報取得部128が複数種類の検査部材102の形状に関する保持面情報を記憶し、検査部材102が備える識別情報に基づき保持面情報を選択するものでもかまわない。
【0051】
体積算出部129は、演算部に含まれ、形状情報取得手段103から得られた形状情報と、保持面情報取得部128から得られた保持面情報とに基づき保持面部121に保持される液体200の体積を算出する処理部である。具体的には、形状情報取得手段103から得られた液体200の高さの情報と、保持面情報取得部128から得られた保持面部121の径の情報に基づき、液体200の形状を球の一部であるとして近似することで液体200の体積を算出、あるいは、保持面部121上の液体200の形状情報により、液体200の体積を算出する。
【0052】
判断部127は、演算部の一部であり、体積算出部129で算出された液体200の体積が保持面部121の情報に対して許容範囲内か否かを閾値判断し、許容範囲を逸脱している場合、その旨を報知する処理部である。
【0053】
なお、体積算出部129は必須の構成ではなく、例えば、判断部127は、形状情報取得手段103が取得した形状情報(例えば液体200の高さ)を断続的に取得しておき、形状情報の変化度合いに基づきエラーを報知したり、形状情報に対して閾値判断することでエラーを報知してもかまわない。
【0054】
次に、上記液体吐出装置100に適用される体積測定方法について説明する。
【0055】
液体吐出装置100は、通常の操業状態として液体200を吐出し被塗布体201に対し液体200を吐出する。そして、吐出回数毎や時間毎など予め定められた規則に従い、液体吐出装置100は、体積検査装置120の検査部材102に対し、液体200を1回、あるいは複数回吐出する。ここで、本実施の形態の液体吐出装置100により、保持面部121の径が0.3mm程度であったとしても正確に保持面部121に液体200を吐出(塗布)することが可能である。
【0056】
次に、保持面部121に保持される液体の形状に関する情報である形状情報を形状情報取得手段103により取得する。本実施形態の場合、液体200の最も高い部分の高さを形状情報として取得する。ここで、保持面部121の形状は円形であるため、保持面部121の中心から鉛直上方に仮想的に延びる線と液体200の表面とが交差する部分が液体200の最も高い部分と考えられる。
【0057】
次に、形状情報取得手段103により取得された形状情報と保持面情報取得部128により予め取得された保持面部の形状に関する保持面情報とに基づき、液体200の体積を算出する。
【0058】
次に、判断部127は、算出された体積を閾値判断し、その結果を液体吐出装置100にフィードバックする。
【0059】
液体吐出装置100は、判断部127からの情報に基づき、液体200の吐出圧力や吐出液体200の温度などのパラメータを調整して液体200の吐出量が所定の範囲に収まるように調整する。また、パラメータの調整により調整できる限度を超えている場合、吐出体110の交換などを行う。なお、液体吐出装置100は、液体200の吐出圧力のパラメータに替えて吐出量のパラメータ(図示せず)を調整する構成であってもよい。
【0060】
以上のようにすることで、液体吐出装置100は、一定の体積の液体200を安定して吐出することが可能となる。
【0061】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0062】
例えば、体積検査装置120は、液体吐出装置100とは別体で独立して存在する装置であってもかまわない。また、検査部材102は使い捨てではなく、洗浄して繰り返し利用するものでもかまわない。また、検査部材102は、保持面部121が一つのみ存在するものでもかまわない。
【0063】
また、体積検査装置120が計時手段を備え、形状情報取得手段103から形状情報を所定の間隔で取得し、保持面部121に液体200が吐出されてから、急激に形状情報が変化するまでの時間を測定することにより、液体200の粘度を測定してもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本願発明は、液体を液滴として吐出する、インクジェット印刷装置や液体塗布装置などに利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
100 液体吐出装置
101 吐出手段
102 検査部材
103 形状情報取得手段
112 ニードル(吐出口)
113 シリンジ
114 プランジャ
120 体積検査装置
121 保持面部
122 抑止面領域
123 保持部材
124 基材
125 保持体
127 判断部
128 保持面情報取得部
129 体積算出部
131 投光部
132 受光部
200 液体
201 被塗布体
202 ステージ
203 ヘッド
205 ヘッド移動装置
206 ステージ移動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出手段を備える液体吐出装置であって、
前記吐出手段から吐出された液体を当該液体の表面張力を用いて凸状に保持する保持面部と、前記保持面部の周囲に形成され前記保持面部からの液体の流出を抑止する抑止面領域とを備える検査部材と、
前記保持面部に保持される液体の形状に関する情報である形状情報を取得する形状情報取得手段と
を備える液体吐出装置。
【請求項2】
前記検査部材は、上端面部が保持面部である柱状の保持部材を備え、
前記抑止面領域は、前記保持部材を囲う空間である
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記抑止面領域は、前記保持面部よりも液体をはじく表面を備える、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
吐出された液体の体積を測定する体積測定方法であって、
吐出された液体を当該液体の表面張力を用いて凸状に保持する保持面部と、前記保持面部の周囲に形成され前記保持面部からの液体の流出を抑止する抑止面領域とを備える検査部材の前記保持面部に液体を吐出し、
前記保持面部に保持される液体の形状に関する情報である形状情報を取得し、
前記形状情報と前記保持面部の形状に関する保持面情報とに基づき、吐出された液体の体積を算出する
体積測定方法。
【請求項5】
吐出された液体の体積を測定する際に用いられる検査部材であって、
液体を当該液体の表面張力を用いて凸状に保持する保持面部と、
前記保持面部の周囲に形成され前記保持面部からの液体の流出を抑止する抑止面領域と
を備える検査部材。
【請求項6】
さらに、
前記保持面部が複数個並べて設けられる請求項5に記載の検査部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−2964(P2013−2964A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134474(P2011−134474)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】