説明

液体吐出装置

【課題】液体吐出部と液体貯留部間を循環して供給される液体に混入した気泡を排出し、かつフィルタの目詰まりや液圧異常などの検出を簡易な構成で実現可能な液体吐出装置を提供する。
【解決手段】圧力検出部6は、インクの流路に接続された圧力室6cにインクを供給する圧力室インク供給部6dが当該圧力室6cからインクを送出する圧力室インク送出部6eより重力方向下方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット記録装置などの液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置においてはインクカートリッジより供給されたインクをインクジェットヘッドに設けられた微細なノズルから媒体に向けて吐出するため、該インクに異物が混入していた場合ノズルの目詰まりを防ぐためインク供給路にフィルタが設けられている。
【0003】
インク供給系のチューブには、インクカートリッジの下流側に圧力センサ、フィルタ、圧力センサが直列に配置されている。圧力センサは公知のものが使用され、チューブ内のインクの圧力を検出してその検出信号をコントローラに送出し、コントローラでは予め記憶されているプログラムに従いフィルタの目詰まりまたはインクカートリッジのエンプティ状態を検出して警報手段として設けた対応するランプを点灯させて報知するようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−116337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1においては、インクカートリッジからインクチューブを通じてインクジェットヘッドに至るまでインクを導入するために、インクジェットヘッド側からインクを吸引するときやポンプでインクを送るときに空気を巻き込み易く、インクに混入した気泡が機械振動などによりインクチューブ内を移動してインクジェットヘッドのノズルに侵入すると圧電素子の振動が伝わり難く、インクの吐出不良を招くおそれがあった。
また、インクに混入した気泡がチューブ内でメニスカスを形成すると、圧力損失の増加やヒステリシス発生のおそれがあった。
更には、フィルタを定期的に交換する際に、インク供給路の上流側及び下流側との接続を外して交換する作業が煩わしい上に、新たに空気が混入するおそれもある。
【0006】
本願発明の目的は、液体吐出部と液体貯留部間を循環して供給される液体に混入した気泡を排出し、かつフィルタの目詰まりや液圧異常などの検出を簡易な構成で実現可能な液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ノズルに対向する媒体に液体を吐出する液体吐出部と、前記液体吐出部に供給する前記液体を収容した液体貯留部と、前記液体吐出部と液体貯留部との間を往路及び復路によって各々連結する液体循環路を通じて前記液体を循環させる循環ポンプと、前記液体循環路の一部に配設された液圧を検出する圧力検出部と、を具備し、前記圧力検出部は、前記液体循環路に接続された圧力室を有し、当該圧力室には前記液体を供給する液体供給部が当該圧力室から前記液体を送出する液体送出部より重力方向下方に配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、液体(インク)の流路に接続された圧力室に液体を供給する圧力室液体供給部が当該圧力室から液体を送出する圧力室液体送出部より重力方向下方に配置されているので、液体(インク)に混入した気泡が圧力室液体供給部から圧力室液体送出部に向かって移動させやすく気泡が圧力室に滞留することなく液体貯留部(例えばインクカートリッジ)へ戻すことで排出することができる。
【0008】
また、本発明において、前記液体循環路には複数の圧力検出部と当該圧力検出部間に配設されたフィルタ部を備え、前記フィルタ部は、循環する液体をろ過するフィルタに仕切られたフィルタ室を有し、該フィルタ室に前記液体を供給するフィルタ室液体供給部が前記フィルタ室から前記液体を送り出すフィルタ室液体送出部より重力方向下方に配置されているのが好ましい。
これによれば、フィルタ部のフィルタ室液体供給部がフィルタ室液体送出部より重力方向下方に配置されていることから、液体(インク)に混入した気泡がフィルタ室内でフィルタ室液体供給部からフィルタ室液体送出部に向かって重力方向下方から上方へ向かって移動させやすく、フィルタ室に気泡が滞留することなく液体貯留部(インクカートリッジ)へ戻すことで排出することができる。
【0009】
また、本発明において、複数の前記圧力検出部が隣接して配置され、一方の圧力検出部の圧力室液体送出部にフィルタ室液体供給部が連結され、他方の圧力検出部の圧力室液体供給部にフィルタ室液体送出部が連結されて前記フィルタ部が前記圧力検出部対して着脱可能に組み付けられているのが好ましい。
これによれば、フィルタ部のフィルタ室液体供給部及びフィルタ室液体送出部の圧力検出部との連結を解除するだけでフィルタの交換作業が容易に行える。
【0010】
また、本発明において、前記一方の圧力検出部の前記圧力室液体送出部及び他方の圧力検出部の圧力室液体供給部は、重力方向に対して水平方向に凸状または凹状に形成され、前記水平方向に凸状または凹状に形成されたフィルタ室液体供給部およびフィルタ室液体送出部を有する前記フィルタ部を前記水平方向に移動することによって前記一方の圧力検出部と他方の圧力検出部とを連結させるのが好ましい。
この構成によれば、フィルタ部と圧力検出部を一方向(水平方向)に移動させるだけで容易に着脱することができる。
【0011】
また、本発明において、前記圧力検出部は、圧力室の壁面を形成する可撓性フィルムを有し、当該可撓性フィルムの液圧変動による変位を検出して液圧を検出することが望ましい。これによれば、高価な圧力センサ及びこれに付随するコンパレータなどのセンサ回路を用いなくても、簡易な機械的構成によって圧力変動を検出することができる。
【0012】
また、本発明において、前記第1圧力検出部と前記第2圧力検出部とが重力方向下方から上方に向かって重ね合わせて設けられ、前記フィルタ部は、前記第1圧力検出部の圧力室と前記第2圧力検出部の圧力室の双方の側面に重力方向で重なり合うように連結されて組み付けられていても良い。
これによれば、第1圧力検出部からフィルタ部に侵入した気泡がフィルタ室内を重力方向下方から上方に短い移動距離で移動して第2圧力検出部へ抜けやすくして液体貯留部(インクカートリッジ)へ導いて排出することができる。また、フィルタ部と第1圧力検出部及び第2圧力検出部との連結部を近づけて配置することで、圧力検出部の重力方向のサイズを小型化することができる。
【0013】
また、本発明において、前記第1圧力検出部と前記第2圧力検出部とが重力方向下方から上方に向かって重ね合わせて設けられ、前記第1圧力検出部の圧力室、前記フィルタ部のフィルタ室及び前記第2圧力検出部の圧力室が重力方向下方から上方に向かってこの順に連続するように前記フィルタ部が組み付けられていても良い。
これによって、フィルタ部の第1圧力検出部と第2圧力検出部との連結部が重力方向で上下にバランスよく配置できるうえに、液体(インク)中に混入する気泡が第1圧力検出部の圧力室より重力方向上側に配置されたフィルタ部のフィルタ室に抜けやすく、フィルタ室の重力方向下方より上方に向かって気泡が移動してフィルタ部より重力方向上側に配置された第2圧力検出部の圧力室に抜けやすく、気泡を液体貯留部(インクカートリッジ)へ導いて排出することができる。
【0014】
また、本発明において、前記第1圧力検出部は、前記フィルタ部の重力方向最下面側に前記圧力室液体送出部が連結され、前記第2圧力検出部は、前記フィルタ部の重力方向最上面側に前記圧力室液体供給が連結されていても良い。
これによれば、液体(インク)に混入した気泡が、重力方向下方から上方へ移動しながら、直列状に配置された第1圧力検出部、フィルタ部、第2圧力検出部を通じて抜けやすく液体(インク)に混入した気泡すべてを排出することができる。
【0015】
また、本発明において、前記第1圧力検出部はフィルタの目詰まりを検出し、第2圧力検出部は液体の液圧を検出することが好ましい。
これにより、第1圧力検出部の異常検出でフィルタの目詰まりを検出し、第2圧力検出部の異常検出で液圧の異常を検出し、双方の異常検出で、インク循環系の異常を検出することができ、適切なメンテナンスを行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液体吐出部(インクジェットヘッド)と液体貯留部(インクカートリッジ)間を循環して供給される液体(インク)に混入した気泡を排出し、かつフィルタの目詰まりや液圧異常などの検出を簡易な構成で実現可能な液体吐出装置(インクジェット記録装置)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】インクジェット記録装置のブロック構成図である。
【図2】インクジェット記録装置の他例に係るブロック構成図である。
【図3】圧力検出ユニットの外観斜視図である。
【図4】図3の圧力検出ユニットの断面図である。
【図5】他例に係る圧力検出ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る液体吐出装置の実施形態について詳細に説明する。以下では、液体吐出装置の一例としてインクジェット記録装置について説明する。
図1は、インクジェット記録装置のブロック構成図である。インクジェットヘッド(液体吐出部)1は制御信号に応じてノズルから対向する媒体に向かってインク(インク液滴)を吐出する。インクジェットヘッド1は例えば往復動するキャリッジに搭載され対向するステージ部(吸着プレート)に吸着支持された印刷対象である媒体にインクを吐出する。
【0019】
インクカートリッジ(液体貯留部)2は、インクジェットヘッド1に供給するインクを収容している。インクカートリッジ2とインクジェットヘッド1とは、インク循環路となるインクチューブ3,4により連結されている。インクカートリッジ2からインクジェットヘッド1へインクを供給する往路に相当するインクチューブ3とインクジェットヘッド1からインクをインクカートリッジ2に戻す復路に相当するインクチューブ4が各々連結されている。また、インクチューブ3の一部には循環ポンプ5が接続されている。循環ポンプ5を作動させることでインクジェットヘッド1において吐出やキャップ吸引などで消費されなかったインクがインクチューブ4を通じてインクカートリッジ2へ回収されて再度インクチューブ3を通じてインクジェットヘッド1に供給されるようになっている。
【0020】
また、往路に相当するインクチューブ3には、液圧変動を検出する圧力検出部6が接続されている。第1圧力検出部6aと第2圧力検出部6bとがインク循環方向に直列にかつ重力方向下方から上方に重ね合わせて設けられており、第1圧力検出部6aと第2圧力検出部6bとの間にはフィルタ部7が接続されている。
第1圧力検出部6a及び第2圧力検出部6bは、後述する図4に示すように、インク循環路に接続された圧力室6cにインクを供給する圧力室インク供給部6dが当該圧力室6cからインクを送出する圧力室インク送出部6eより重力方向下方となるように配置されている。
【0021】
上記構成によれば、インク循環路に接続された圧力室6cにインクを供給する圧力室インク供給部6dが当該圧力室6cからインクを送出する圧力室インク送出部6eより重力方向下方に配置されているので、インクに混入した気泡が圧力室インク供給部6dから圧力室インク送出部6eに向かって移動させやすく気泡が圧力室6cに滞留することなくインクカートリッジ2へ戻して排出することができる。
【0022】
また、図4に示すように、フィルタ部7は、内部にメッシュ状のフィルタ7aに仕切られたフィルタ室7bを有し、循環するインクをろ過するようになっている。フィルタ室7bにはフィルタ室インク供給部7cがフィルタ室インク送出部7dより重力方向下方に配置されている。
【0023】
これによれば、フィルタ部7のフィルタ室インク供給部7cがフィルタ室インク送出部7dより重力方向下方に配置されていることから、インクに混入した気泡がフィルタ室インク供給部7cからフィルタ室インク送出部7dに向かって移動させやすく、フィルタ室7bに気泡が滞留することなくインクカートリッジ2へ戻すことで排気することができる。
【0024】
また、インクカートリッジ2には、圧力制御部8が設けられており、圧力検出部6で検出される液圧異常やフィルタ目詰まりを検出して報知したり、圧力検出部6の検出結果に応じてインクジェットヘッド1に適正な液圧が作用するように循環ポンプ5の動作をフィードバック制御したりする。
尚、図2に示すように、圧力検出部6を構成する第1圧力検出部6aと第2圧力検出部6b及びフィルタ部7は復路であるインクチューブ4の一部に接続されていても良い。
【0025】
図3に示すように、第1圧力検出部6aと第2圧力検出部6bは隣接して配置され、フィルタ部7はフィルタ室インク供給部7cが第1圧力室インク送出部6eと連結され、フィルタ室インク送出部7dが第2圧力検出部の圧力室インク供給部6dと連結されて圧力検出部6に対して着脱可能に組み付けられている。
これによれば、フィルタ部7のフィルタ室インク供給部7c及びフィルタ室インク送出部7dの圧力検出部6との連結を解除するだけでフィルタ7aの交換作業が容易に行える。
【0026】
第1圧力検出部6a及び第2圧力検出部6bは、圧力室6cの壁面を形成する可撓性フィルム6f,6gを有し、当該可撓性フィルム6fの液圧変動による変位をフォトセンサ6hにより検出し、可撓性フィルム6gの液圧変動による変位をフォトセンサ6i,6jによって検出して液圧状態を検出する。
【0027】
具体的には、図4において、可撓性フィルム6f,6gは、検出部本体6p,6qの壁面の一部を形成し、各圧力室6c内に設けられたコイルばね9a,9bによって変位可能に支持されている。尚、可撓性フィルム6f,6gが液圧の変動により変位するものであれば、コイルばね9a,9bは省略しても良い。第1圧力検出部6aの可撓性フィルム6fにはスリット付遮光板6kが設けられており、フォトセンサ6hの光軸に交差するように配置されている。また、第2圧力検出部6bの可撓性フィルム6gにはスリット付遮光板6mが設けられており、併設されたフォトセンサ6i,6jの光軸に交差(直交)するように配置されている。
これによれば、高価な圧力センサ及びこれに付随するコンパレータなどのセンサ回路を用いなくても、簡易な機械的構成によって圧力変動を検出することができる。
【0028】
図4において、圧力検出部6のより具体的構成について説明する。
第1圧力検出部6aと第2圧力検出部6bはインク循環路の上流側から下流側に向かって筐体状の検出部本体6p,6qが直列状に併設されている。フィルタ部7は第1圧力検出部6aの圧力室インク送出部6eがフィルタ室インク供給部7cと凹凸嵌合により連結され、第2圧力検出部6bの圧力室インク供給部6dがフィルタ室インク送出部7dと凹凸嵌合により連結されて組み付けられている。
これによれば、第1,第2圧力検出部6a,6bを重力方向に重ね合わせて配置して、第1圧力検出部6aと第2圧力検出部6bの圧力室6cの双方の側面にフィルタ部7が重なり合うように連結されるので、圧力検出部6の重力方向のサイズを小型化してフィルタ部7を交換可能に組み付けることができる。
【0029】
また、図4においては第1圧力検出部6aの圧力室インク送出部6eはフィルタ室インク供給部7cの可撓性フィルタ7aの上縁部に沿って連結され、第2圧力検出部6bの圧力室6cの重力方向最下方に設けられた圧力室インク供給部6dは、圧力室7bの上縁部に設けられたフィルタ室インク送出部7dに沿って連結されている。即ち、第1圧力検出部6aの圧力室6c及び第2圧力検出部6bの圧力室6cとフィルタ部7が重力方向に重なり合った状態で配置されている。
【0030】
このように、フィルタ部7との連結部分がフィルタ室7bの上方に偏って配置することで、インク中に混入する気泡が第1圧力検出部6aより重力方向上側のフィルタ部7に抜けやすく、フィルタ部7より気泡が重力方向の移動距離が短く第2圧力検出部6bに抜けやすくなっている。また、第1圧力検出部6aと第2圧力検出部6bが隣接する検出部本体6p,6qの壁面部6r,6sの肉厚を薄くして重ね合わせることができるので、圧力検出部6の重力方向のサイズが小さく設計でき、コンパクトに設計することができる。
【0031】
第1圧力検出部6a、フィルタ室7及び第2圧力検出部6bは、インク流路の上流側から下流側に向かって重力方向上方にこの順に組み付けられている。これによって、インクに混入した気泡をインク流路である第1圧力検出部6a、フィルタ室7及び第2圧力検出部6bの順に移動させてインクカートリッジ7へ導いて排気することができる。このように、フィルタ室7bの上方でインク液の流入と流出が行われると気泡を効率よくフィルタ部7を通過させることができる。
【0032】
フィルタ室7の可撓性フィルタ7aが目詰まりすると、その上流側である第1圧力検出部6aの圧力室6cの内圧が上昇する。これにより可撓性フィルム6fが外側に膨らんでスリット付遮光板6kがフォトセンサ6hを遮光して圧力異常を検出する。これにより、圧力制御部8は、フィルタの目詰まりを検出して可撓性フィルタ7aの交換を報知することができる。
【0033】
また、インク流路の液圧が適正範囲にあるか否かは第2圧力検出部6bの圧力室6cの内圧上昇により検出する。液圧が可撓性フィルム6gに作用すると外側に膨らみ、スリット付遮光板6mが変動する。このとき、例えば検出部本体6qに対して直列に配置されたフォトセンサ6i,6jがともにスリット透過している場合は適正圧と判断することができる。また、フォトセンサ6iが遮断されフォトセンサ6jが透過している場合には、撓性フィルム6gが過度に外側に膨んでいる状態になることから高圧側の異常であると判断できる。また、フォトセンサ6iが透過でありフォトセンサ6jが遮断されている場合には、撓性フィルム6gが内側に変位している状態になることから低圧側の異常であると判断できる。これにより、圧力制御部8は、インクの液圧状態を検出し、循環ポンプ5の動作をフィードバック制御することができる。
これにより、第1圧力検出部6aの異常検出でフィルタの目詰まりを検出し、第2圧力検出部6bの異常検出で液圧の異常を検出し、双方の異常検出で、インク循環系の異常を検出することができ、適切なメンテナンスを行うことができる。
【0034】
図5に、圧力検出部6の他例を示す。圧力検出部6の重力方向のサイズがやや大きくなるが、第1圧力検出部6aの圧力室インク送出部6eはフィルタ室インク供給部7cの可撓性フィルタ7aの下縁部に沿って連結され、第2圧力検出部6bの圧力室6cの重力方向最下方に設けられた圧力室インク供給部6dは、圧力室7bの上縁部に設けられたフィルタ室インク送出部7dに沿って連結するようにしても良い。即ち、第1圧力検出部6aの圧力室6c、フィルタ部7のフィルタ室7b及び第2圧力検出部6bの圧力室6cが重力方向にこの順で連続するように配置されている。
【0035】
上述したように、第1圧力検出部6aは、フィルタ部7の重力方向最下面側に圧力室インク送出部6eが連結され、第2圧力検出部6bは、フィルタ室7の重力方向最上面側に圧力室インク供給部6dが連結されるので、インクに混入した気泡が、重力方向下方から上方へ移動しながら、直列状に配置された第1圧力検出部6a、フィルタ室7、第2圧力検出部6bを通じて抜けやすくインクに混入した気泡すべてを排出することができる。
【0036】
また、この場合には、第1圧力検出部6aと第2圧力検出部6bが隣接する検出部本体6p,6qの壁面部6r,6sの肉厚を厚くして重ね合わせるので、圧力検出部6の剛性が高くなるうえに、フィルタ部7の第1圧力検出部6aと第2圧力検出部6bとの連結部が重力方向で上下にバランスよく配置できる。
【0037】
上述した本発明によれば、インクの流路に接続された圧力室6にインクを供給する圧力室インク供給部6dが当該圧力室6からインクを送出する圧力室インク送出部6eより重力方向下方に配置されているので、インクに混入した気泡が圧力室インク供給部6dから圧力室インク送出部6eに向かって移動させやすく気泡が圧力室6に滞留することなくインクカートリッジ2へ戻すことで排気することができる。
【0038】
また、フィルタ部7のフィルタ室インク供給部7cがフィルタ室インク送出部7dより重力方向下方に配置されていることから、インクに混入した気泡がフィルタ部7内でフィルタ室インク供給部7cからフィルタ室インク送出部7dに向かって重力方向下方から上方へ向かって移動させやすく、フィルタ室7bに気泡が滞留することなくインクカートリッジ2へ戻すことで排出することができる。
【0039】
フィルタ部7のフィルタ室インク供給部7c及びフィルタ室インク送出部7dの第1圧力検出部6a,第2圧力検出部6bとの連結を解除するだけでフィルタ7aの交換作業が容易に行える。特に、フィルタ部7と第1,第2圧力検出部6a,6bを一方向(水平方向)に移動させるだけで容易に着脱することができると作業性が良い。
【0040】
また、第1,第2圧力検出部6a,6bは、圧力室6cの壁面を形成する可撓性フィルム6f,6gを有し、当該可撓性フィルム6f,6gの液圧変動による変位を検出して液圧を検出する場合には、高価な圧力センサ及びこれに付随するコンパレータなどのセンサ回路を用いなくても、簡易な機械的構成によって圧力変動を検出することができる。
【0041】
また、第1圧力検出部6aからフィルタ部7に侵入した気泡がフィルタ室7b内を重力方向下方から上方に短い移動距離で移動して第2圧力検出部6bへ抜けやすくしてインクカートリッジ2へ導いて排出する構成において、フィルタ部7と第1圧力検出部6a及び第2圧力検出部6bとの連結部を近づけて配置することで、圧力検出部6の重力方向のサイズを小型化することができる。
【0042】
また、第1圧力検出部6aと第2圧力検出部6bとが重力方向下方から上方に向かって重ね合わせて設けられ、第1圧力検出部6aの圧力室6c、フィルタ部7のフィルタ室7b及び第2圧力検出部6bの圧力室6cが重力方向下方から上方に向かってこの順に連続するようにフィルタ部7が組み付けられていると、フィルタ部7の第1圧力検出部と第2圧力検出部との連結部が重力方向で上下にバランスよく配置できるうえに、インク中に混入する気泡が第1圧力検出部6aの圧力室6cより重力方向上側に配置されたフィルタ部7のフィルタ室7bに抜けやすく、フィルタ室7bの重力方向下方より上方に向かって気泡が移動してフィルタ室7bより重力方向上側に配置された第2圧力検出部6bの圧力室6cに抜けやすく、インクに混入した気泡をインクカートリッジ2へ導いて排出することができる。
【0043】
また、第1圧力検出部6aは、フィルタ部7の重力方向最下面側に圧力室インク送出部6e連結され、第2圧力検出部6bは、フィルタ部7の重力方向最上面側に圧力室インク供給部6dが連結されていると、インクに混入した気泡が、重力方向下方から上方へ移動しながら、直列状に配置された第1圧力検出部6a、フィルタ部7、第2圧力検出部6bを通じて抜けやすく液体(インク)に混入した気泡すべてを排出することができる。
【0044】
また、第1圧力検出部6aの異常検出でフィルタ7bの目詰まりを検出し、第2圧力検出部6bの異常検出で液圧の異常を検出し、双方の異常検出で、インク循環系の異常を検出することができ、適切なメンテナンスを行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 インクジェットヘッド 2 インクカートリッジ 3,4 インクチューブ 5 循環ポンプ 6 圧力検出部 6a 第1圧力検出部 6b 第2圧力検出部 6c 圧力室 6d 圧力室インク供給部 6e 圧力室インク送出部 6f,6g 可撓性フィルム 6h,6i,6j フォトセンサ 6k,6m スリット付遮光板 6p,6q 検出部本体 6r,6s 壁面部 7 フィルタ部 7a フィルタ 7b フィルタ室 7c フィルタ室インク供給部 7d フィルタ室インク送出部 8 圧力制御部 9a,9b コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルに対向する媒体に液体を吐出する液体吐出部と、
前記液体吐出部に供給する前記液体を収容した液体貯留部と、
前記液体吐出部と液体貯留部との間を往路及び復路によって各々連結する液体循環路を通じて前記液体を循環させる循環ポンプと、
前記液体循環路の一部に配設された液圧を検出する圧力検出部と、を具備し、
前記圧力検出部は、前記液体循環路に接続された圧力室を有し、当該圧力室には前記液体を供給する液体供給部が当該圧力室から前記液体を送出する液体送出部より重力方向下方に配置されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記液体循環路には複数の圧力検出部と当該圧力検出部間に配設されたフィルタ部を備え、
前記フィルタ部は、循環する液体をろ過するフィルタに仕切られたフィルタ室を有し、該フィルタ室に前記液体を供給するフィルタ室液体供給部が前記フィルタ室から前記液体を送り出すフィルタ室液体送出部より重力方向下方に配置されている請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
複数の前記圧力検出部が隣接して配置され、一方の圧力検出部の圧力室液体送出部にフィルタ室液体供給部が連結され、他方の圧力検出部の圧力室液体供給部にフィルタ室液体送出部が連結されて前記フィルタ部が前記圧力検出部対して着脱可能に組み付けられている請求項1又は2記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記一方の圧力検出部の前記圧力室液体送出部及び他方の圧力検出部の圧力室液体供給部は、重力方向に対して水平方向に凸状または凹状に形成され、前記水平方向に凸状または凹状に形成されたフィルタ室液体供給部およびフィルタ室液体送出部を有する前記フィルタ部を前記水平方向に移動することによって前記一方の圧力検出部と他方の圧力検出部とを連結させる請求項3記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記圧力検出部は、圧力室の壁面を形成する可撓性フィルムを有し、当該可撓性フィルムの液圧変動による変位を検出して液圧を検出する請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第1圧力検出部と前記第2圧力検出部とが重力方向下方から上方に向かって重ね合わせて設けられ、前記フィルタ部は、前記第1圧力検出部の圧力室と前記第2圧力検出部の圧力室の双方の側面に重力方向で重なり合うように連結されて組み付けられている請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1圧力検出部と前記第2圧力検出部とが重力方向下方から上方に向かって重ね合わせて設けられ、前記第1圧力検出部の圧力室、前記フィルタ部のフィルタ室及び前記第2圧力検出部の圧力室が重力方向下方から上方に向かってこの順に連続するように前記フィルタ部が組み付けられる請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第1圧力検出部は、前記フィルタ部の重力方向最下面側に前記圧力室液体送出部が連結され、前記第2圧力検出部は、前記フィルタ室の重力方向最上面側に前記圧力室液体供給が連結されている請求項7記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第1圧力検出部はフィルタの目詰まりを検出し、第2圧力検出部は液体の液圧を検出する請求項6乃至は請求項8のうちいずれか1項記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−192328(P2012−192328A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57394(P2011−57394)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】