説明

液処理システム

【課題】液処理部等を含むあるエリアにおいて発生したミスト又はパーティクルが、搬送部又は他の処理部等を含む他のエリアに流出することを防止できる液処理システムを提供する。
【解決手段】薬液を用いて基板を液処理する液処理部COTと、基板を液処理部COTに搬入出する搬送部8と、液処理部COTと搬送部8との間を仕切るとともに、搬送部8が基板Wを液処理部COTに搬入出するための開口部51が設けられた仕切板50とを備え、仕切板50に、液処理部COTが設けられた空間27の雰囲気を排気する排気孔52が設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を液処理する液処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィ工程では、半導体基板(以下、「基板」又は「ウェハ」という。)の表面を疎水化処理した後、BARC(Bottom Anti-Reflective Coating)を塗布処理及び加熱処理し、レジストを塗布処理及び加熱処理し、露光処理し、可溶化された部分を現像処理して除去することにより、微細なレジストパターンを形成している。
【0003】
上述した塗布処理は、通常、カップ内に設けられ、ウェハを回転可能に保持するスピンチャック、及び薬液を供給するノズルを備えた塗布処理部において、スピンチャックに保持したウェハを回転させた状態で、ウェハ表面にノズルから薬液を供給することによって行われている。
【0004】
また、上述した加熱処理は、通常、熱板を備えたオーブン等の加熱処理部において、所望の熱処理温度に維持された熱板上にウェハを載置することによって行われている。
【0005】
また、塗布処理が行われたウェハが加熱処理される場合には、塗布処理部及び加熱処理部に隣接し、塗布処理部及び加熱処理部に進退自在に設けられたウェハ搬送アームを備えた搬送部により、塗布処理が行われたウェハが塗布処理部から加熱処理部へと搬送される。
【0006】
このようにウェハに塗布処理を行う場合、塗布処理部で薬液を用いてウェハに塗布処理を行う際に、高速で回転するウェハ表面に供給された薬液が、ウェハ表面からミストとして飛散する場合がある。また、塗布処理されたウェハを搬送する場合には、搬送部には、搬送アームを伸縮駆動、上下駆動等するための駆動機構が設けられているため、駆動機構からパーティクルが発生する場合がある。
【0007】
ここで、搬送部が設けられた搬送室と、塗布処理部が設けられた処理室とは、ミスト又はパーティクルが相互に拡散しないように、個別に仕切られている場合がある。例えば、シャッターが設けられ、処理容器(処理室)に搬送部がアーム(ウェハ搬送アーム)を侵入させるための搬送口にシャッターを設けた基板処理装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される例では、搬送口を挟むようにしてガス供給手段を設け、シャッターが開くとガス吐出孔からパージガスを供給し、パーティクルの拡散バリアとして機能する気流カーテンを形成する。
【0008】
また、特許文献1に開示される例では、搬送部の昇降機構の外装体をなす筐体を第1の部屋と第2の部屋に区分けし、第2の部屋にファンを設け、第1の部屋内の雰囲気を吸引させ、搬送部の昇降時に発生するパーティクルを第2の部屋から排出するようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−217264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記した液処理システム(基板処理装置)において薬液を用いて基板を液処理する場合、次のような問題がある。
【0011】
特許文献1に開示される例では、搬送部を駆動する際に発生するパーティクルが塗布処理部に流出することを防止できる。しかし、塗布処理部で発生するミストが搬送部に流出することを防止できない場合がある。
【0012】
塗布処理部でウェハ表面に薬液を供給して塗布処理を行う場合、ウェハ表面にパーティクル等が存在すると、塗布膜均質性又は表面平坦性を低下させる。従って、処理室内の雰囲気に含まれる塵埃を極力少なくすることが好ましく、処理室内の圧力が搬送室の圧力よりも高くなるようにする、すなわち処理室内を搬送室内に対して陽圧にする場合があるため、シャッターが開く際に、処理室内の雰囲気に含まれるミストが搬送口を通って搬送室側に流出する場合がある。
【0013】
このような場合、ガス吐出孔からパージガスを供給する方法では、処理室内からミストが搬送室側に流出することを十分に防止できない場合がある。
【0014】
また、シャッターが駆動機構を有するため、シャッターが開閉動作する際に、駆動機構からパーティクルが発生する場合がある。
【0015】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、液処理部等を含むあるエリアにおいて発生したミスト又はパーティクルが、搬送部又は他の処理部を含む他のエリアに流出することを防止できる液処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る液処理システムは、薬液を用いて基板を液処理する液処理部と、前記基板を前記液処理部に搬入出する搬送部と、前記液処理部と前記搬送部との間を仕切るとともに、前記搬送部が前記基板を前記液処理部に搬入出するための開口部が設けられた仕切板とを備え、前記仕切板に、前記液処理部が設けられた空間の雰囲気を排気する排気孔が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、液処理部等を含むあるエリアにおいて発生したミスト又はパーティクルが、搬送部又は他の処理部等を含む他のエリアに流出することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの概略平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの概略正面図である。
【図3】第1の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの概略背面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの搬送部、塗布処理部及び加熱処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの仕切板の構成を示す正面図及び側面図である。
【図6】第1の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの仕切板の構成を示す断面図である。
【図7】第1の実施の形態の変形例に係るレジスト塗布現像処理システムの仕切板の構成を示す正面図及び側面図である。
【図8】第1の実施の形態の変形例に係るレジスト塗布現像処理システムの仕切板の構成を示す断面図である。
【図9】第2の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの搬送部及び塗布処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【図10】第2の実施の形態の変形例に係るレジスト塗布現像処理システムの搬送部及び塗布処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【図11】第3の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの搬送部及び加熱処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【図12】第3の実施の形態の変形例に係るレジスト塗布現像処理システムの搬送部及び加熱処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
始めに、図1から図8を参照し、第1の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムについて説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの概略平面図、図2は、レジスト塗布現像処理システムの概略正面図、図3は、レジスト塗布現像処理システムの概略背面図である。
【0022】
レジスト塗布現像処理システム1は、図1に示すように、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部からレジスト塗布現像処理システム1に対して搬入出すると共に、カセットCに対してウェハWを搬入出するカセットステーション2と、このカセットステーション2に隣接して設けられ、塗布現像工程の中で枚葉式に所定の処理を施す各種処理ユニットを多段配置してなる処理ステーション3と、この処理ステーション3に隣接して設けられている露光装置(図示せず)との間でウェハWの受け渡しをするインターフェース部4とを一体に接続した構成を有している。
【0023】
カセットステーション2は、カセット載置台5上の所定の位置に、複数のカセットCを水平のX方向に一列に載置可能となっている。また、カセットステーション2には、搬送路6上をX方向に沿って移動可能なウェハ搬送アーム7が設けられている。ウェハ搬送アーム7は、カセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動自在であり、X方向に配列された各カセットC内のウェハWに対して選択的にアクセスできるように構成されている。
【0024】
また、ウェハ搬送アーム7は、Z軸を中心としてθ方向に回転可能に構成されており、後述するように処理ステーション3側の第3の処理ユニット群G3に属するトランジション装置TRSに対してもアクセスできるように構成されている。
【0025】
処理ステーション3は、複数の処理ユニットが多段に配置された、例えば5つの処理ユニット群G1〜G5を備えている。図1に示すように、処理ステーション3の正面側には、カセットステーション2側から第1の処理ユニット群G1、第2の処理ユニット群G2が順に配置されている。また、処理ステーション3の背面側には、カセットステーション2側から第3の処理ユニット群G3、第4の処理ユニット群G4及び第5の処理ユニット群G5が順に配置されている。第3の処理ユニット群G3と第4の処理ユニット群G4との間には、第1の搬送部8が設けられている。第1の搬送部8は、第1の処理ユニット群G1、第3の処理ユニット群G3及び第4の処理ユニット群G4に選択的にアクセスしてウェハWを搬送するように構成されている。第4の処理ユニット群G4と第5の処理ユニット群G5との間には、第2の搬送部9が設けられている。第2の搬送部9は、第2の処理ユニット群G2、第4の処理ユニット群G4及び第5の処理ユニット群G5に選択的にアクセスしてウェハWを搬送するように構成されている。
【0026】
第1の処理ユニット群G1には、図2に示すように、ウェハWに所定の処理液を供給して処理を行う液処理ユニット、例えばウェハWにレジスト液を塗布するレジスト塗布ユニットCOT、露光時の光の反射を防止するための反射防止膜を形成するボトムコーティングユニットBARCが下から順に5段に重ねられている。第2の処理ユニット群G2には、液処理ユニット、例えばウェハWに現像処理を施す現像処理ユニットDEVが下から順に5段に重ねられている。また、第1の処理ユニット群G1及び第2の処理ユニット群G2の最下段には、各処理ユニット群G1及びG2内の前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室CHMがそれぞれ設けられている。
【0027】
一方、第3の処理ユニット群G3には、図3に示すように、下から順に、温調ユニットTCP、ウェハWの受け渡しを行うためのトランジション装置TRS及び精度の高い温度管理下でウェハWを加熱処理する熱処理ユニットULHPが9段に重ねられている。
【0028】
第4の処理ユニット群G4では、例えば高精度温調ユニットCPL、レジスト塗布処理後のウェハWを加熱処理するプリベーキングユニットPAB及び現像処理後のウェハWを加熱処理するポストベーキングユニットPOSTが下から順に10段に重ねられている。
【0029】
第5の処理ユニット群G5では、ウェハWを熱処理する複数の熱処理ユニット、例えば高精度温調ユニットCPL、露光後のウェハWを加熱処理するポストエクスポージャーベーキングユニットPEBが下から順に10段に重ねられている。
【0030】
また、第1の搬送部8のX方向正方向側には、図1に示すように、複数の処理ユニットが配置されており、例えば図3に示すように、ウェハWを疎水化処理するためのアドヒージョンユニットAD、ウェハWを加熱する加熱ユニットHPが下から順に4段に重ねられている。また、第2の搬送部9の背面側には、図1に示すように、例えばウェハWのエッジ部のみを選択的に露光する周辺露光ユニットWEEが配置されている。
【0031】
インターフェース部4は、図1に示すように、処理ステーション3側から順に第1のインターフェース部10と、第2のインターフェース部11とを備えている。第1のインターフェース部10には、ウェハ搬送アーム12が第5の処理ユニット群G5に対応する位置に配設されている。ウェハ搬送アーム12のX方向の両側には、例えばバッファカセット13(図1の背面側)、14(図1の正面側)が各々設置されている。ウェハ搬送アーム12は、第5の処理ユニット群G5内の熱処理装置とバッファカセット13、14に対してアクセスできる。第2のインターフェース部11には、X方向に向けて設けられた搬送路15上を移動するウェハ搬送アーム16が設けられている。ウェハ搬送アーム16は、Z方向に移動可能で、かつθ方向に回転可能であり、バッファカセット14と、第2のインターフェース部11に隣接した図示しない露光装置に対してアクセスできるようになっている。したがって、処理ステーション3内のウェハWは、ウェハ搬送アーム12、バッファカセット14、ウェハ搬送アーム16を介して露光装置に搬送でき、また、露光処理の終了したウェハWは、ウェハ搬送アーム16、バッファカセット14、ウェハ搬送アーム12を介して処理ステーション3内に搬送できる。
【0032】
次に、図4を参照し、レジスト塗布現像処理システムの搬送部、塗布処理部及び加熱処理部について説明する。図4は、本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの搬送部、塗布処理部及び加熱処理部の構成を模式的に示す断面図である。なお、図4には、排気される気体の流れを矢印で示している。
【0033】
なお、図4に示す搬送部は、図3に示す第1の搬送部8、第2の搬送部9に相当する。また、図4に示す塗布処理部は、図3に示すレジスト塗布ユニットCOT、ボトムコーティングユニットBARCに相当する。また、図4に示す加熱処理部は、図3に示す温調ユニットTCP、熱処理ユニットULHP、高精度温調ユニットCPL、プリベーキングユニットPAB、ポストベーキングユニットPOST、及び加熱ユニットHPに相当する。ここでは、以後、図4に示す搬送部を、図3に示す第1の搬送部8、図4に示す塗布処理部を、図3に示すレジスト塗布ユニットCOT、図4に示す加熱処理部を、図3に示すプリベーキングユニットPABとした例について説明する。
【0034】
図4において、搬送部8、塗布処理部COT、加熱処理部PABは、同一の高さに設けられているが、同一の高さに設けられる場合に限定されるものではなく、搬送アームがZ方向(上下方向)に移動して塗布処理部COT、加熱処理部PABにウェハWを搬送できるのであれば、異なる高さに設けられていてもよい。
【0035】
また、図4において、塗布処理部COT、搬送部8、加熱処理部PABは、水平方向一直線に配列して図示されているが、説明を容易にするためのものであり、図1に示す例のように、平面視において塗布処理部COT、搬送部8、加熱処理部PABがL字状に並んで配置していてもよい。
【0036】
なお、図4に示す加熱処理部として、プリベーキングユニットPABに代え、加熱ユニットHPとすることもでき、この場合には、塗布処理部COT、搬送部8、加熱処理部HPは、X方向一直線に配列する。
【0037】
搬送部8は、ウェハを搬送するウェハ搬送アーム21を複数(図4に示す例では3つ)有する。ウェハ搬送アーム21は、スライド機構22によって平面内に進退自在に移動することができ、Z軸移動機構23によってZ方向に移動することができ、回転機構24によって回転軸25の周りに回転することができる。従って、搬送部8は、ウェハ搬送アーム21を、搬送部8が設けられている空間(搬送室)から、塗布処理部COTが設けられている空間(塗布処理室)又は加熱処理部PABが設けられている空間(加熱処理室)へウェハを搬入出することができる。
【0038】
なお、ウェハ搬送アーム21内には、例えば冷媒が通流する図示しない冷却管が内蔵されていてもよい。この場合、ウェハ搬送アーム21内は、所定の冷却温度例えば23℃に維持される。また、ウェハ搬送アーム21には、図示しないスリットが形成されていてもよい。この場合には、ウェハ搬送アーム21が塗布処理部COTのカップ31上に移動したときに図示しない支持ピンに衝突しないように、又はウェハ搬送アーム21が加熱処理部PABの熱板41上に移動したときに熱板に設けられた図示しない支持ピンに衝突しないようにすることができる。
【0039】
搬送部8は、搬送室26に収容されている。搬送室26は、搬送部8の上方、下方、及び4方の側方を取り囲むように形成されている。搬送室26と塗布処理部COTを収容する後述する塗布処理室27との間は、第1の仕切板50により仕切られており、搬送室26と加熱処理部PABを収容する加熱処理室28、29との間は、第2の仕切板60により仕切られている。第1の仕切板50には塗布処理部COTへウェハWを搬入出するための第1の開口部51が形成されており、第2の仕切板60には加熱処理部PABへウェハWを搬入出するための第2の開口部61、62が形成されている。
【0040】
塗布処理部COTは、カップ31、スピンチャック32、ノズル33を有する。
【0041】
カップ31は、塗布処理部COTの中央部に配置され、環状形状を有する。スピンチャック32は、カップ31の内側に配置され、真空吸着によってウェハWを固定保持した状態で図示しない例えばモータよりなる回転駆動手段によって、回転駆動される。スピンチャック32は、図示しない例えばエアシリンダよりなる昇降駆動手段によって、上下動駆動される。また、スピンチャック32は、ウェハWを受け渡すために上下動可能な図示しない支持ピンを有している。
【0042】
ノズル33は、ウェハWの表面に薬液を供給する。ノズル33は、図示しない薬液供給管を介して図示しない薬液供給源に接続され、薬液供給源から薬液を供給される。ノズル33はノズルスキャンアーム34の先端部に着脱可能に取り付けられている。ノズルスキャンアーム34は、塗布処理部COTの底板の上に水平面一方向に敷設された図示しないガイドレール上で水平移動可能な垂直支持部材35の上端部に取り付けられている。
【0043】
また、塗布処理部COTには、ノズル33、ノズルスキャンアーム34、垂直支持部材35よりなる組が、例えばレジスト、BARC、TARC(Top Anti-Reflective Coating)、SOG(Spin On Glass)等の使用する薬液の種類に対応して複数組設けられてもよく、必要に応じてそれら複数の種類の薬液のうち1種類を選択して用いることができる。
【0044】
塗布処理部COTは、塗布処理室27に収容されている。塗布処理室27は、塗布処理部COTの上方、下方を取り囲み、塗布処理部COTの4方の側方のうち3方を取り囲み、一方には開口部51が形成されている。開口部51が形成されている一方は、後述する第1の仕切板50により、搬送室26と仕切られている。
【0045】
また、塗布処理室27には、後述する第1の仕切板50とは別に、図示しない排気口が設けられ、塗布処理室27の内部の雰囲気は、図示しないレジスト塗布現像処理装置内部又は外部の設けられた排気系により、図示しない排気口に接続した排気流路を介して、排気されてもよい。
【0046】
加熱処理部PABは、熱板を有する。ここでは、加熱処理部PABが上下に重ねて2つ設けられた例を示し、それぞれ熱板41、42を有する。熱板41、42は、レジスト、BARC、TARC、SOG等の各薬液が塗布されたウェハWを載置して所定温度例えば130℃に加熱する。熱板41、42は、例えば厚みのある円盤形状を有し、熱板41、42内には、図示しない例えばヒータが内蔵されている。このヒータにより、熱板41、42は、所定の加熱温度例えば130℃に昇温できる。
【0047】
熱板41、42の中央付近には、複数例えば3個の図示しない貫通孔が形成されており、各貫通孔には、上下動可能に設けられた図示しない支持ピンが設けられ、この支持ピンによって、熱板41、42上でウェハWを昇降し、熱板41、42と搬送部8のウェハ搬送アーム21との間でウェハWの受け渡しを行うようにしてもよい。
【0048】
加熱処理部PABの熱板41、42は、上下に重ねて2つ設けられた加熱処理室28、29のそれぞれに収容されている。加熱処理室28、29は、それぞれ熱板41、42の上方、下方を取り囲み、熱板41、42の4方の側方のうち3方を取り囲み、一方にはそれぞれ開口部61、62が形成されている。開口部61、62が形成されている一方は、後述する第2の仕切板60により構成されている。その結果、熱板41、42を含む加熱処理部PABは、後述する第2の仕切板60により、搬送部8が設けられている搬送室26と仕切られている。
【0049】
また、加熱処理室28、29の一部には、排気口が設けられ、その内部の雰囲気は、図示しないレジスト塗布現像処理装置内部又は外部の設けられた排気系により、排気口に接続した排気流路43、44を介して、排気されてもよい。
【0050】
また、熱板41、42は、例えば上下動自在な蓋体と、蓋体の下方に位置し蓋体と一体となって熱板41、42と共働して処理容器を形成するサポートリングとにより構成された処理容器によって囲まれていてもよい。この場合には、処理容器の外側を囲み、加熱処理室とすることもできる。
【0051】
次に、図4を参照し、第1の仕切板50及び第2の仕切板60について説明する。
【0052】
前述したように、搬送室26と塗布処理室27とは、第1の仕切板50により仕切られ、第1の仕切板50には、搬送部8がウェハ搬送アーム21によりウェハWを塗布処理室27に搬入出するための第1の開口部51が形成されている。図4に示すように、第1の仕切板50には、塗布処理部COTが設けられた空間である塗布処理室27の雰囲気を排気するための第1の排気孔52が設けられている。第1の排気孔52は、第1の開口部51の周辺に設けることができ、特に、第1の開口部51の内周面に設けることができる。また、第1の排気孔52は、第1の仕切板50の塗布処理部COT側の面及び搬送部8側の面に設けることができる。
【0053】
第1の仕切板50の内部には、第1の排気孔52と、塗布処理部COTが設けられた空間である塗布処理室27及び搬送部8が設けられた空間である搬送室26を排気する排気系と、を接続する第1の排気流路53が設けられている。これにより、第1の開口部51の周辺において、薬液のミストを、第1の仕切板50の内部に形成された第1の排気流路53内に吸引することができる。
【0054】
また、図4に示すように、第2の仕切板60には、加熱処理部PABが設けられた空間である加熱処理室28、29の雰囲気を排気するための第2の排気孔63が設けられている。第2の排気孔63は、第2の開口部61、62の周辺に設けることができ、特に、第2の開口部61、62の内周面に設けることができる。また、第2の排気孔63は、第2の仕切板60の加熱処理部PAB側の面及び搬送部8側の面に設けることができる。
【0055】
第2の仕切板60の内部には、第2の排気孔63と、加熱処理部PABが設けられた空間である加熱処理室28、29及び搬送部8が設けられた空間である搬送室26を排気する排気系と、を接続する第2の排気流路64が設けられている。これにより、第2の開口部61、62の周辺において、薬液のミストを、第2の仕切板60の内部に形成された第2の排気流路64内に吸引することができる。
【0056】
また、図4に示すように、搬送室26の床下には、搬送室26の床面である第3の仕切板70により仕切られた第3の排気流路71が設けられる。第3の仕切板70には、搬送室26内の雰囲気を第3の排気流路71を介して排気するための第3の排気孔72が設けられている。また、第1の排気流路53は、排気系との間において、第3の排気流路71を介して第2の排気流路64と合流し、加熱処理室28、29等の下に設けられた排気流路室30に設けられたファン30aにより排気され、更に排気系へと排気される。排気流路室30は、レジスト塗布現像処理システム1の背面側にあるため、搬送室26等の下部を通り、レジスト塗布現像処理システム1背面側へと排出される。
【0057】
次に、図5及び図6を参照し、第1の仕切板、第2の仕切板及び第3の仕切板の構造を説明する。
【0058】
図5は、本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの仕切板の構成を示す正面図及び側面図であり、図6は、その断面図である。図5は、紙面右側に第1の仕切板を塗布処理部の方向から視たときの正面図を示し、紙面左側に第1の仕切板を塗布処理部の方向と水平面内において直交する方向から視たときの側面図を示す。また、図6は、図5の正面図及び側面図のそれぞれに対応する断面図であり、紙面右側に図5の側面図におけるA−A´線に沿う断面図を示し、紙面左側に図5の正面図におけるB−B´線に沿う断面図を示す。なお、図5及び図6には、排気される気体の流れを矢印で示している。
【0059】
図5に示すように、第1の仕切板50は、中央部分に矩形形状を有する第1の開口部51が形成されている。第1の開口部51は、搬送部8がウェハ搬送アーム21によりウェハWの表面が水平面に平行になるように保持しながら塗布処理部COTに搬入出するためのものであるため、横方向の開口幅寸法が縦方向の開口幅寸法よりも小さい。具体的には、例えば横方向の開口幅寸法を350mmとし、縦方向の開口幅寸法を30mmとすることができる。なお、ウェハ搬送アーム21が保持するウェハWの表面は、水平面と平行にならず、水平面と垂直であってもよく、又は水平面と所定の角度を有していてもよい。その場合、保持されるウェハWの形状に対応して、矩形形状を有する第1の開口部51の長辺の水平面からの傾き角を決定してもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、第1の仕切板50は、複数の部分に分割され、分割された各部分ごとに異なる排気流路が設けられている。それに伴って、第1の排気流路53は、第1の仕切板50が分割された各部分に対応し、複数の排気流路に分割されている。
【0061】
図5及び図6に示す例では、第1の仕切板50は、矩形形状を有する第1の開口部51の内周面のうち、上面51a、下面51b、第1の側面51c、第2の側面51dに対応し、4つの部分である第1の部分50a、第2の部分50b、第3の部分50c、及び第4の部分50dに分割されている。それに伴って、第1の排気流路53は、第1の開口部の内周面のうち、上面51a、下面51b、第1の側面51c、第2の側面51dに対応し、4つの部分である第1の流路部分53a、第2の流路部分53b、第3の流路部分53c、及び第4の流路部分53dに分割されている。第1から第4の流路部分53a〜53dは、それぞれ第1から第4の接続流路54a〜54dを介して第3の排気流路71に接続されて合流する。
【0062】
第1の排気孔52の形状及びサイズは、特に限定されるものではないが、例えば第1の仕切板50の表面に縦横50mm間隔で形成された3mm径の円形形状の孔、又は縦横50mm間隔で形成された5mm角の矩形形状の孔を用いることができる。また、第1の排気流路53の排気流量を500L/minとすることができる。
【0063】
また、第1の排気流路の内部に、ケミカルフィルタ等のフィルタを設けてもよい。
【0064】
上記した第1の仕切板50の形状及び構造は、第2の仕切板60についても同様である。すなわち、矩形形状を有する第2の開口部61、62が、加熱処理部PABに対応して形成されている。第2の開口部61、62も、搬送部8がウェハ搬送アーム21によりウェハWの表面が水平面に平行になるように保持しながら加熱処理部PABに搬入出するためのものであるため、横方向の開口幅寸法が縦方向の開口幅寸法よりも小さい。具体的には、第1の仕切板50と同様に、例えば横方向の開口幅寸法を350mmとし、縦方向の開口幅寸法を30mmとすることができる。また、ウェハ搬送アーム21が保持するウェハWの表面は、水平面と平行にならず、水平面と垂直であってもよく、又は水平面と所定の角度を有していてもよいのは、第1の仕切板50と同様である。
【0065】
また、第2の仕切板60も、複数の部分に分割され、分割された各部分ごとに異なる排気流路が設けられていてもよい。また、第2の排気流路64も、第2の仕切板60が分割された各部分に対応し、複数の排気流路に分割されていてもよい。例えば、矩形形状を有する第2の開口部61、62の内周面のうち、上面、下面、第1の側面、第2の側面に対応する4つの部分に分割されていてもよい。また、第2の排気孔63の形状及びサイズも、第1の排気孔52の形状及びサイズと同様にすることができる。更に、第3の排気孔72の形状及びサイズも、第1の排気孔52の形状及びサイズと同様にすることができる。
【0066】
また、第2の排気流路の内部にも、ケミカルフィルタ等のフィルタを設けてもよい。
【0067】
本実施の形態によれば、搬送室26と塗布処理室27との間に、第1の開口部51が形成された第1の仕切板50が設けられ、第1の開口部51の周辺例えば第1の開口部51の内周面に第1の排気孔52が形成される。
【0068】
塗布処理部COTでウェハWの表面に薬液を供給して塗布処理を行う際に、高速で回転するウェハWの表面に供給された薬液が、ウェハWの表面からミストとして飛散する場合がある。この場合、ウェハ搬送アーム21を搬送室26から塗布処理室27に進出させ、塗布処理が行われたウェハWを、ウェハ搬送アーム21により塗布処理部COTから搬出しようとするときに、塗布処理室27内の雰囲気に含まれる薬液のミストがウェハ搬送アーム21の水平面内での動きに伴って、塗布処理室27から搬送室26に流出する場合がある。
【0069】
しかし、本実施の形態では、第1の開口部51の周辺に第1の排気孔52を形成し、第1の仕切板50の内部に設けられた第1の排気流路53により排気を行う。従って、ウェハ搬送アーム21の動きに伴って塗布処理室27内から搬送室26内に流出しようとするミストは、第1の開口部51を横切る際に、第1の開口部51の周辺に形成された第1の排気孔52により吸引され、第1の排気流路53を通って排気される。従って、薬液のミストが塗布処理部COTを含むエリア(塗布処理室27)から搬送部8を含むエリア(搬送室26)に流出することを防止できる。
【0070】
また、塗布処理室27内の塵埃を極力少なくするために、塗布処理室27内の圧力を搬送室26の圧力よりも高くなるようにした場合でも、塗布処理室27内から搬送室26内へ圧力差により移動しようとする薬液のミストが、第1の開口部51により吸引されるため、薬液のミストが塗布処理部COTを含むエリア(塗布処理室27)から搬送部8を含むエリア(搬送室26)に流出することを防止できる。
【0071】
また、本実施の形態では、第1の排気孔52から排気されたミストは、第1の排気流路53を通って搬送室26等の床下に設けられた第3の排気流路71を通り、加熱処理室28、29の下に設けられた排気流路室30に設けられたファン30aにより排気され、更に排気系へと排気される。従って、いったん第1の排気流路53を通って排気されたミストが搬送室26等の床面から塗布現像処理システムの他の処理室内に戻ることがない。
【0072】
また、本実施の形態では、第1の排気流路53が複数に分割されており、分割された各部分の間で排気が合流することがないため、第1の排気流路53の内部で薬液のミストが逆流したり拡散することを防止できる。そのため、ウェハWを塗布処理部COTから搬送部8のウェハ搬送アーム21に受け渡し、ウェハWを塗布処理部COTから搬出する際に、塗布処理室27から搬送室26に薬液のミスト等が流出するおそれを更に低減することができる。また、処理室内を搬送室内に対して陽圧にする陽圧調整を行わなくてもよいか、あるいはその陽圧調整を行ったとしても精密に行わなくてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、第1の仕切板50に駆動機構を有するシャッターが設けられていない。従って、シャッターが開閉動作する際にパーティクルを発生させることもない。
【0074】
更に、本実施の形態によれば、搬送室26と加熱処理室28、29との間にも、第2の開口部61、62が形成された第2の仕切板60を設け、第2の開口部61、62の周辺例えば第2の開口部61、62の内周面に第2の排気孔63を形成し、第2の仕切板60の内部に設けられた第2の排気流路64により排気を行う。従って、ウェハ搬送アーム21の動きに伴って搬送室26内から加熱処理室28、29内に流出しようとするミストは、第2の開口部61、62を横切る際に、第2の開口部61、62の周辺に形成された第2の排気孔63により吸引され、第2の排気流路64を通って排気される。従って、塗布処理室27で発生した薬液のミストの一部が搬送室26に流出した場合でも、薬液のミストが塗布処理部COTを含むエリア(塗布処理室27)から搬送部8を含むエリア(搬送室26)を介して加熱処理部PABを含むエリア(加熱処理室28、29)に流出することを防止できる。
【0075】
また、本実施の形態では、第2の仕切板60に駆動機構を有するシャッターが設けられていない。従って、シャッターが開閉動作する際にパーティクルを発生させることもない。
【0076】
また、本実施の形態に係る塗布処理部は、本発明における液処理部に相当し、本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムは、本発明に係る液処理システムに相当する。本発明における液処理部及び液処理システムは、ミスト又はパーティクルが発生するおそれがある処理装置を含むものであればよい。例えば、スピンコータ、ディップコータ等を含み、レジスト、BARC、TARC、SOG等の薬液を用いてウェハを塗布処理する塗布処理装置を含むものであってもよい。また、ディベロッパ等の現像液、酸を含む溶液等の薬液を用いてウェハを現像処理又は酸処理する液処理装置を含むものであってもよい。あるいは、スピンリンスプロセスステーション、プリポストイマーションリンスステーション等のウェハを洗浄処理する洗浄処理装置を含むものであってもよい。
(第1の実施の形態の変形例)
次に、図7及び図8を参照し、第1の実施の形態の変形例に係るレジスト塗布現像処理システムについて説明する。
【0077】
図7は、本変形例に係るレジスト塗布現像処理システムの仕切板の構成を示す正面図及び側面図であり、図8は、その断面図である。図7は、紙面右側に第1の仕切板を塗布処理部の方向から視たときの正面図を示し、紙面左側に第1の仕切板を塗布処理部の方向と水平面内において直交する方向から視たときの側面図を示す。また、図8は、図7の正面図及び側面図のそれぞれに対応する断面図であり、紙面右側に図7の側面図におけるA−A´線に沿う断面図を示し、紙面左側に図7の正面図におけるB−B´線に沿う断面図を示す。なお、図7及び図8には、排気される気体の流れを矢印で示している。また、以下の文中では、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある(以下の実施の形態及び変形例についても同様)。
【0078】
本変形例に係るレジスト塗布現像処理システムは、仕切板が複数の部分に分割されていない点で、第1の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムと相違する。
【0079】
本変形例に係るレジスト塗布現像処理システムの、仕切板の分割方法以外の構成方法については、第1の実施の形態において図1から図4を用いて説明した液処理システム、搬送部、液処理部及び加熱処理部と同様にすることができる。また、第1の仕切板の中央部分に矩形形状を有する第1の開口部が形成されていることも、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0080】
一方、本変形例では、図7及び図8に示すように、第1の仕切板50には、複数の部分に分割されず、同一の排気流路53が設けられている。第1の実施の形態において、第1の排気流路が第1から第4の部分に分割されていたのと相違し、本変形例では、第1の開口部51のうち、上面51a、下面51b、第1の側面51c、第2の側面51dは、全て第1の仕切板50の内部に設けられた第1の排気流路53を介して連通している。第1の排気流路53は、第1から第4の流路54a〜54dに分散して第3の排気流路71に接続されるが、第3の排気流路71に接続されて再び合流する。
【0081】
また、第2の仕切板60も、複数の部分に分割されず、同一の排気流路が設けられていてもよい。
【0082】
本変形例でも、第1の排気流路53が分割されていないものの、ウェハ搬送アーム21の動きに伴って塗布処理室27内から搬送室26内に流出しようとするミストは、第1の開口部51を横切る際に、第1の開口部51の周辺に形成された第1の排気孔52により吸引され、第1の排気流路53を通って排気される。従って、薬液のミストが塗布処理部COTを含むエリア(塗布処理室27)から搬送部8を含むエリア(搬送室26)に流出することを防止できる。
【0083】
また、第1の実施の形態と同様に、本変形例に係る塗布処理部及びレジスト塗布現像処理システムも、本発明における液処理部及び液処理システムのそれぞれに相当し、各種の薬液を用いてウェハを塗布処理する塗布処理装置、各種の薬液を用いてウェハを現像処理又は酸処理する液処理装置、及び各種の洗浄液を用いてウェハを洗浄処理する洗浄処理装置を含むものであってもよい。
(第2の実施の形態)
次に、図9を参照し、第2の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムについて説明する。
【0084】
図9は、本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの搬送部及び塗布処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【0085】
本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムは、仕切板が、搬送室と加熱処理室との間に設けられていない点で、第1の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムと相違する。
【0086】
本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムは、図1から図3を用いて説明した液処理システムと同様にすることができる。ただし、本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムには、加熱処理部PABを設けなくてもよい。また、第1の仕切板50の中央部分に矩形形状を有する第1の開口部51が形成されていることも、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0087】
一方、本実施の形態では、図9に示すように、搬送室と加熱処理室とは仕切板で仕切られておらず、搬送室26と塗布処理室27とが仕切板で仕切られる。従って、第1の実施の形態における第1の仕切板50、及び第3の仕切板70のみが設けられ、第1の排気流路53は、排気系との間において、搬送室26の床下に設けられた第3の排気流路71を介し、搬送室26及び塗布処理室27以外の部分に設けられたファン30aにより排気され、更に排気系へと排気される。第3の排気流路71が、搬送室26の床板である第3の仕切板70により搬送室26と仕切られ、搬送室26の雰囲気を排気するための第3の排気孔72が設けられているのは、第1の実施の形態と同様である。
【0088】
本実施の形態でも、ウェハ搬送アーム21の動きに伴って塗布処理室27内から搬送室26内に流出しようとするミストは、第1の開口部51を横切る際に、第1の開口部51の周辺に形成された第1の排気孔52により吸引され、第1の排気流路53を通って排気される。従って、薬液のミストが塗布処理部COTを含むエリア(塗布処理室27)から搬送部8を含むエリア(搬送室26)に流出することを防止できる。
【0089】
また、第1の実施の形態と同様に、本実施の形態に係る塗布処理部及びレジスト塗布現像処理システムも、本発明における液処理部及び液処理システムのそれぞれに相当し、各種の薬液を用いてウェハを塗布処理する塗布処理装置、各種の薬液を用いてウェハを現像処理又は酸処理する液処理装置、及び各種の洗浄液を用いてウェハを洗浄処理する洗浄処理装置を含むものであってもよい。
(第2の実施の形態の変形例)
次に、図10を参照し、第2の実施の形態の変形例に係るレジスト塗布現像処理システムについて説明する。
【0090】
図10は、本変形例に係るレジスト塗布現像処理システムの搬送部及び塗布処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【0091】
本変形例に係るレジスト塗布現像処理システムは、第1の仕切板の搬送部側の面に排気孔が設けられていない点で、第2の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムと相違する。
【0092】
本変形例に係るレジスト塗布現像処理システムも、図1から図3を用いて説明した液処理システムと同様にすることができる。また、第1の仕切板50の中央部分に矩形形状を有する第1の開口部51が形成されていることも、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0093】
一方、本変形例では、図10に示すように、第1の仕切板50の搬送部8側の面に排気孔が設けられていない。また、搬送室26の床面に排気孔が設けられていない。従って、本変形例では、第1の開口部51の内周面及び第1の仕切板50の塗布処理部COT側の面に、第1の排気孔52が設けられる。
【0094】
本変形例でも、ウェハ搬送アーム21の動きに伴って塗布処理室27内から搬送室26内に流出しようとするミストは、第1の開口部51を横切る際に、第1の開口部51の内周面に形成された第1の排気孔52により吸引され、第1の排気流路53を通って排気される。また、第1の仕切板50の塗布処理部COT側の面に第1の排気孔52が形成されていることにより、第1の開口部51の周辺においても薬液のミストが第1の仕切板50の内部に形成された第1の排気流路53に吸引されるため、薬液のミストが塗布処理部COTを含むエリア(塗布処理室27)から搬送部8を含むエリア(搬送室26)に流出することを防止できる。
【0095】
また、第2の実施の形態と同様に、本変形例に係る塗布処理部及びレジスト塗布現像処理システムも、本発明における液処理部及び液処理システムのそれぞれに相当し、各種の薬液を用いてウェハを塗布処理する塗布処理装置、各種の薬液を用いてウェハを現像処理又は酸処理する液処理装置、及び各種の洗浄液を用いてウェハを洗浄処理する洗浄処理装置を含むものであってもよい。
(第3の実施の形態)
次に、図11を参照し、第3の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムについて説明する。
【0096】
図11は、本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムの搬送部及び加熱処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【0097】
本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムは、仕切板が、搬送室と塗布処理室との間に設けられていない点で、第1の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムと相違する。
【0098】
本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムは、図1から図3を用いて説明した液処理システムと同様にすることができる。ただし、本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムには、塗布処理部COTを設けなくてもよい。また、第2の仕切板60に第2の開口部61、62が形成されていることは、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0099】
一方、本実施の形態では、図11に示すように、搬送室と塗布処理室とは仕切板で仕切られておらず、搬送室26と加熱処理室28、29とが仕切板で仕切られる。従って、第1の実施の形態における第2の仕切板60のみが設けられ、第2の排気流路64は、搬送室26及び加熱処理室28、29以外の部分に設けられたファン30aにより排気され、更に排気系へと排気される。
【0100】
加熱処理部PABでウェハWを熱板41、42に載置して加熱処理を行う際に、ウェハWの表面に供給された薬液がウェハWの表面からミスト又はパーティクルとして飛散する場合がある。この場合、ウェハ搬送アーム21を搬送室26から加熱処理室28、29に進出させ、加熱処理が行われたウェハWを、ウェハ搬送アーム21により加熱処理部PABから搬出しようとするときに、加熱処理室28、29内の雰囲気に含まれるミスト又はパーティクルがウェハ搬送アーム21の水平面内での動きに伴って、加熱処理室28、29から搬送室26に流出する場合がある。
【0101】
しかし、本実施の形態では、第2の開口部61、62の周辺に第2の排気孔63を形成し、第2の仕切板60の内部に設けられた第2の排気流路64により排気を行う。従って、ウェハ搬送アーム21の動きに伴って加熱処理室28、29内から搬送室26内に流出しようとするミストは、第2の開口部61、62を横切る際に、第2の開口部61、62の周辺に形成された第2の排気孔63により吸引され、第2の排気流路64を通って排気される。従って、ミスト又はパーティクルが加熱処理部PABを含むエリア(加熱処理室28、29)から搬送部8を含むエリア(搬送室26)に流出することを防止できる。
【0102】
また、本実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムは、本発明における液処理システムに相当する。また、本実施の形態に係る加熱処理部は、熱板に載置して加熱処理する加熱処理部、加熱ランプ等によりウェハを加熱処理する加熱処理部その他の広範な種類の方法を用いてウェハを加熱処理する加熱処理部であってもよい。
(第3の実施の形態の変形例)
次に、図12を参照し、第3の実施の形態の変形例に係るレジスト塗布現像処理システムについて説明する。
【0103】
図12は、本変形例に係るレジスト塗布現像処理システムの搬送部及び加熱処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【0104】
本変形例に係るレジスト塗布現像処理システムは、第2の仕切板の搬送部側の面に排気孔が設けられていない点で、第3の実施の形態に係るレジスト塗布現像処理システムと相違する。
【0105】
本変形例に係るレジスト塗布現像処理システムも、図1から図3を用いて説明した液処理システムと同様にすることができる。また、第2の仕切板に矩形形状を有する第2の開口部が形成されていることも、第2の実施の形態と同様にすることができる。
【0106】
一方、本変形例では、図12に示すように、第2の仕切板60の搬送部8側の面に排気孔が設けられていない。従って、本変形例では、第2の開口部61、62の内周面及び第2の仕切板60の加熱処理部PAB側の面に、第2の排気孔63が設けられる。
【0107】
本変形例でも、ウェハ搬送アーム21の動きに伴って加熱処理室28、29内から搬送室26内に流出しようとするミスト又はパーティクルは、第2の開口部61、62を横切る際に、第2の開口部61、62の内周面に形成された第2の排気孔63により吸引され、第2の排気流路64を通って排気される。また、第2の仕切板60の加熱処理部PAB側に第2の排気孔63が形成されていることにより、第2の開口部61、62の周辺においても薬液のミストが第2の仕切板60の内部に形成された第2の排気流路64に吸引されるため、薬液のミストが加熱処理部PABを含むエリア(加熱処理室28、29)から搬送部8を含むエリア(搬送室26)に流出することを防止できる。
【0108】
また、第3の実施の形態と同様に、本変形例に係るレジスト塗布現像処理システムも、本発明における液処理システムに相当する。また、本変形例に係る加熱処理部は、熱板に載置して加熱処理する加熱処理部、加熱ランプ等によりウェハを加熱処理する加熱処理部その他の広範な種類の方法を用いてウェハを加熱処理する加熱処理部であってもよい。
【0109】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0110】
また、本発明に係る液処理システムは、ミスト又はパーティクルを発生させる装置を含む処理システムであれば、レジスト塗布現像処理装置のみならず、基板洗浄装置、成膜装置、エッチング装置その他の各種装置を含む処理システムに適用することが可能である。すなわち、本発明は、基板を処理する処理部と、前記基板を前記処理部に搬入出する搬送部と、前記処理部と前記搬送部との間を仕切るとともに、前記搬送部が前記基板を前記処理部に搬入出するための開口部が設けられた仕切板とを備え、前記仕切板に、前記処理部が設けられた空間の雰囲気を排気する排気孔が設けられたことを特徴とする処理システムに適用することが可能である。
【0111】
更に、本発明は、半導体基板、ガラス基板その他の各種基板を搬送する工程を含む装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0112】
8 第1の搬送部(搬送部)
26 搬送室
27 塗布処理室(空間)
28、29 加熱処理室
50 第1の仕切板(仕切板)
51 第1の開口部(開口部)
52 第1の排気孔
53 第1の排気流路
60 第2の仕切板
70 第3の仕切板
COT 塗布処理部(液処理部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を用いて基板を液処理する液処理部と、
前記基板を前記液処理部に搬入出する搬送部と、
前記液処理部と前記搬送部との間を仕切るとともに、前記搬送部が前記基板を前記液処理部に搬入出するための開口部が設けられた仕切板と
を備え、
前記仕切板に、前記液処理部が設けられた空間の雰囲気を排気する排気孔が設けられたことを特徴とする液処理システム。
【請求項2】
前記開口部の内周面に、前記排気孔が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の液処理システム。
【請求項3】
前記仕切板の前記液処理部側の面に、前記排気孔が設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液処理システム。
【請求項4】
前記仕切板の内部に、前記排気孔と連通する排気流路が設けられたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の液処理システム。
【請求項5】
前記仕切板は複数の部分に分割され、
分割された各部分ごとに異なる前記排気流路が設けられたことを特徴とする請求項4に記載の液処理システム。
【請求項6】
前記排気流路にケミカルフィルタが設けられたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の液処理システム。
【請求項7】
基板を熱板に載置して加熱処理する加熱処理部と、
前記基板を前記加熱処理部に搬入出する搬送部と、
前記加熱処理部と前記搬送部との間を仕切るとともに、前記搬送部が前記基板を前記加熱処理部に搬入出するための開口部が設けられた仕切板と
を備え、
前記仕切板に、前記加熱処理部が設けられた空間の雰囲気を排気する排気孔が設けられたことを特徴とする液処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−44597(P2011−44597A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192100(P2009−192100)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】