液晶表示装置及び有機EL表示装置
【課題】表示品位に優れた液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、基板上に設けられ複数の導電層27a、27b、27cが積層して形成された複数の配線と、それぞれスイッチング素子及び画素電極を含み複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板と、対向基板と、液晶層と、を備えている。各配線を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、他の導電層に重なっているとともに他の導電層から外れて形成されている。
【解決手段】液晶表示装置は、基板上に設けられ複数の導電層27a、27b、27cが積層して形成された複数の配線と、それぞれスイッチング素子及び画素電極を含み複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板と、対向基板と、液晶層と、を備えている。各配線を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、他の導電層に重なっているとともに他の導電層から外れて形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置及び有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、表示装置として、液晶表示パネル及びバックライトユニットを備えた液晶表示装置が知られている。液晶表示パネルは、アレイ基板と、対向基板と、液晶層とを備えている。アレイ基板は、ガラス基板上に形成された複数の走査線及び複数の信号線と、それぞれ走査線及び信号線の交差部近傍に設けられた複数のTFT(薄膜トランジスタ)と、複数のTFTに接続された画素電極とを有している。
【0003】
上記したような液晶表示装置において、配線部の断面の偏平率を上げる技術が開示されている。開口率を上げることにより、輝度レベルを向上することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−109008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、液晶表示装置は、コントラスト向上等、表示品位の向上が求められている。このため、上記のように液晶表示装置を形成した場合、例えば、バックライトが信号線で拡散することにより、光漏れが生じてしまう。これにより、コントラスト比は低下してしまう。
【0005】
また、1枚のマザーガラスから複数のアレイ基板を形成する多面取りの場合、面内で製造誤差が生じる傾向にある。この場合、コントラスト特性もアレイ基板毎に異なるため、コントラスト比の低下を招くアレイ基板も形成されてしまう。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、表示品位に優れた液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る液晶表示装置は、
基板上に設けられ複数の導電層が積層して形成された複数の配線と、それぞれスイッチング素子及び画素電極を含み前記複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板と、
前記アレイ基板に対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板間に挟持された液晶層と、を備え、
各配線を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、前記他の導電層に重なっているとともに前記他の導電層から外れて形成されている。
【0007】
また、本発明の他の態様に係る有機EL表示装置は、
基板上に設けられ複数の導電層が積層して形成された複数の配線と、それぞれ有機EL素子を含み前記複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板を備え、
各配線を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、前記他の導電層に重なっているとともに前記他の導電層から外れて形成されている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、表示品位に優れた液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態に係る液晶表示装置について詳細に説明する。
図1乃至図5に示すように、液晶表示装置は、液晶表示パネルP及びバックライトユニット7を備えている。液晶表示パネルPは、アレイ基板1と、このアレイ基板に対向配置された対向基板2と、これら両基板間に挟持された液晶層3とを備えている。液晶表示装置は、アレイ基板1及び対向基板2が重なった表示領域を有している。アレイ基板1は、表示領域にマトリクス状に配置された複数の画素PXを有している。なお、画素PXについては後述する。
【0010】
アレイ基板1は、透明な絶縁基板として、例えばガラス基板10を備えている。ガラス基板10上にはアンダーコーティング層12が成膜されている。
【0011】
表示領域において、ガラス基板10上には、第1方向d1に沿って延出した複数の走査線19及び第1方向に直交した第2方向d2に沿って延出した複数の信号線27が配置されている。隣合う2本の信号線27及び隣合う2本の走査線19で囲まれた各領域には画素PXが形成されている。
【0012】
次に、画素PXを1つ取り出して説明する。
画素PXは、画素電極34及び画素電極に接続されたスイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)14を有している。
【0013】
詳述すると、アンダーコーティング層12上に、チャネル層15が形成されている。チャネル層15は、アンダーコーティング層12上に形成された半導体膜をパターニングすることにより形成されている。この実施の形態において、チャネル層15は、ポリシリコンで形成されている。
【0014】
アンダーコーティング層12及びチャネル層15上に、ゲート絶縁膜18が成膜されている。ゲート絶縁膜18上に、複数の走査線19と、これら走査線の一部を延出した複数のゲート電極20とが形成されている。
【0015】
走査線19及びゲート電極20は、アルミニウムやモリブデン−タングステン等の遮光性を有する低抵抗材料により同時に形成されている。この実施の形態において、走査線19及びゲート電極20は、モリブデン−タングステンで形成されている。各ゲート電極20は、各チャネル層15に重なって形成されている。
【0016】
ゲート絶縁膜18、走査線19及びゲート電極20上に、層間絶縁膜22が形成されている。層間絶縁膜22を含むガラス基板10上の下地層11上には、複数のソース電極26、複数の信号線27及び複数のドレイン電極28が形成されている。
【0017】
ソース電極26及び信号線27は、一体に形成され、互いに電気的に接続されているソース電極26は、ゲート絶縁膜18及び層間絶縁膜22の一部を貫通したコンタクトホール23を介してチャネル層15のソース領域RSに電気的に接続されている。ドレイン電極28は、ゲート絶縁膜18及び層間絶縁膜22の一部を貫通したコンタクトホール24を介してチャネル層15のドレイン領域RDに電気的に接続されている。
層間絶縁膜22、ソース電極26、信号線27及びドレイン電極28上に、絶縁膜として、透明な樹脂により平坦化膜31が成膜されている。
【0018】
平坦化膜31上には、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)等の透明な導電材料により複数の画素電極34が形成されている。画素電極34は、マトリクス状に配置されている。画素電極34は、平坦化膜31に形成されたコンタクトホールを介してドレイン電極28に電気的に接続されている。画素電極34は、隣合う2本の信号線27及び隣合う2本の走査線19に周縁を重ねて形成されている。
【0019】
上記のように、TFT14及び画素電極34等が形成されたガラス基板10上に、図示しないが複数の柱状スペーサが形成されている。柱状スペーサが形成されたガラス基板10上に、配向膜37が形成されている。
各画素PXは、TFT14及び画素電極34を1つずつ有している。
【0020】
次に、対向基板2について説明する。
対向基板2は、透明な絶縁基板として、例えばガラス基板40を備えている。ガラス基板40上には、カラーフィルタ50が形成されている。
【0021】
カラーフィルタ50は、複数の赤色の着色層50R、複数の緑色の着色層50G及び複数の青色の着色層50Bを有している。各着色層は、ストライプ状に形成され、信号線27の延出した方向に平行である。各着色層の周縁は、信号線27に重なっている。カラーフィルタ50上には、ITO等の透明な導電材料により対向電極41が形成されている。カラーフィルタ50及び対向電極41上に、配向膜43が形成されている。
【0022】
アレイ基板1及び対向基板2は、複数の柱状スペーサにより、所定の隙間を保持して対向配置されている。アレイ基板1及び対向基板2は、表示領域外周の両基板間に配置されたシール材60により接合されている。液晶層3は、アレイ基板1、対向基板2及びシール材60で囲まれた領域に形成されている。シール材60の一部には液晶注入口61が形成され、この液晶注入口は封止材62で封止されている。
【0023】
バックライトユニット7は、導光板7aと、この導光板の一側縁に対向配置された図示しない光源及び反射板とを有している。導光板7aは、アレイ基板1に対向配置されている。バックライトユニット7は、液晶層3に向けて光を出射するものである。なお、アレイ基板1の外面側が表示画像の視認側となる場合、バックライトユニット7は対向基板2の外面側に位置していれば良い
次に、上記液晶表示装置の実施例1及び実施例2について説明する。
(実施例1)
図3、図5及び図6に示すように、実施例1において、信号線27は、複数の導電層を積層して形成されている。ここでは、信号線27は、Ti/Al/Tiの3層構造を有している。このため、最下層の導電層27aはTiで形成されている。導電層27bはAlで形成されている。最上層の導電層27cはTiで形成されている。なお、導電層27c上には、Tiを含む導電膜27dが設けられている。
【0024】
最下層の導電層27aは、他の導電層27b、27cよりサイズが大きく、導電層27b、27cに重なっているとともに導電層27b、27cから外れて形成されている。導電層27aは、導電層27b、27cから、例えば、0.1μm外れて形成されている。
【0025】
さらに、最上層の導電層27cは、導電層27bよりサイズが大きく、導電層27bに重なっているとともに導電層27bから外れて形成されている。導電層27cは、導電層27bから、例えば、0.1μm外れて形成されている。
【0026】
(実施例2)
図3、図5及び図7に示すように、実施例2において、信号線27は、複数の導電層を積層して形成されている。ここでは、信号線27は、Al/Tiの2層構造を有している。このため、最下層の導電層27bはAlで形成されている。最上層の導電層27cはTiで形成されている。なお、導電層27c上には、Tiを含む導電膜27dが設けられている。
【0027】
最上層の導電層27cは、導電層27bよりサイズが大きく、導電層27bに重なっているとともに導電層27bから外れて形成されている。導電層27cは、導電層27bから、例えば、0.1μm外れて形成されている。
【0028】
次に、上記実施例1及び実施例2のように、信号線27を形成する最上層又は最下層の導電層を他の導電層より大きく形成したことによる効果を図8乃至図11を用いて説明する。
図8に示すように、信号線27を形成する最上層の導電層は、他の導電層より大きく形成されている。最上層の導電層は、他の導電層で反射したバックライトを遮ることができる。このため、信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができる。
【0029】
また、図9に示すように、信号線27は、逆テーパ状に形成されていても良い。この場合も、信号線27を形成する最上層の導電層は、他の導電層より大きく形成されている。信号線27の逆テーパ角を所定の角度に設定することにより、最上層の導電層は、他の導電層で反射したバックライトを遮ることができる。このため、信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができる。
【0030】
図10に示すように、信号線27を形成する最下層の導電層は、他の導電層より大きく形成されている。最下層の導電層は、他の導電層に向かうバックライトを遮ることができる。このため、信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができる。
【0031】
また、図11に示すように、信号線27は、テーパ状に形成されていても良い。この場合も、信号線27を形成する最下層の導電層は、他の導電層より大きく形成されている。信号線27のテーパ角を所定の角度に設定することにより、最上層の導電層は、他の導電層に向かうバックライトを遮ることができる。このため、信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができる。
【0032】
次に、比較例として、信号線27を形成する全ての導電層を同一パターンに形成した場合の不具合を図12を用いて説明する。
【0033】
図12に示すように、信号線27を形成する複数の導電層が同一パターンに形成された場合、信号線27の側面で反射したバックライトは、表示画像の視認側に全て抜けることになる。このため、比較例の信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができない。
【0034】
以上のように構成された液晶表示装置によれば、信号線27は複数の導電層が積層して形成されている。信号線27を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、他の導電層に重なっているとともに他の導電層から外れて形成されている。信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができるため、コントラスト比の向上を図ることができる。
【0035】
信号線27の最上層又は最下層の導電層は、他の導電層から、例えば、0.1μm外れて形成されている。このため、高開口率を維持した状態で、コントラスト比の向上を図ることができる。
上記したことから、表示品位に優れた液晶表示装置を得ることができる。
【0036】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0037】
例えば、本発明は、信号線27に限らず、複数の導電層が積層して形成された配線があれば適用可能である。この場合、上記配線を形成する最上層又は最下層の導電層が、他の導電層よりサイズが大きく、他の導電層に重なっているとともに他の導電層から外れて形成されていれば良い。
信号線27(配線)の最上層又は最下層の導電層は、他の導電層から、例えば、0.1μm外れて形成されているが、これに限らず、例えば、0.1μm以内であっても、0.1μm以上外れて形成されていても良い。
【0038】
信号線27を形成する際は、一般に知られた製造方法を用いて形成すれば良い。例えば、成膜及びパターニングを繰り返して導電層を一層ずつ形成しても良く、また、複数の導電膜を成膜した後パターニングして導電層を形成しても良い。信号線を形成する複数の導電層は、Ti、Alに限らず、他の導電材料により形成されても良い。
【0039】
この発明は、液晶表示装置に限らず、有機EL表示装置にも適用可能である。この場合、有機EL表示装置は、少なくとも、基板上に設けられ複数の導電層が積層して形成された複数の配線と、それぞれ有機EL素子を含み複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板を備えている。そして、各配線を形成する最上層又は最下層の導電層が、他の導電層よりサイズが大きく、他の導電層に重なっているとともに他の導電層から外れて形成されていれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置を示す斜視図。
【図2】図1に示したアレイ基板の一部を示す概略構成図。
【図3】図1及び図2に示したアレイ基板の一部を示す拡大平面図。
【図4】図3に示したアレイ基板の等価回路図。
【図5】上記液晶表示装置の一部を示す拡大断面図。
【図6】上記液晶表示装置の実施例1の信号線を示す概略断面図。
【図7】上記液晶表示装置の実施例2の信号線を示す概略断面図。
【図8】最上層の導電層が他の導電層より大きく形成された信号線及びバックライトの光路を示す図。
【図9】図8に示した信号線の変形例を示す図であり、逆テーパ状に形成された信号線及びバックライトの光路を示す図。
【図10】最下層の導電層が他の導電層より大きく形成された信号線及びバックライトの光路を示す図。
【図11】図10に示した信号線の変形例を示す図であり、テーパ状に形成された信号線及びバックライトの光路を示す図。
【図12】上記液晶表示装置の比較例の信号線を示す図であり、導電層が全て同一パターンに形成された信号線及びバックライトの光路を示す図。
【符号の説明】
【0041】
1…アレイ基板、2…対向基板、3…液晶層、7…バックライトユニット、10…ガラス基板、11…下地層、14…TFT、19…走査線、27…信号線、27a,27b,27c…導電層、27d…導電膜、34…画素電極、37…配向膜、40…ガラス基板、41…対向電極、43…配向膜、50…カラーフィルタ、P…液晶表示パネル、PX…画素。
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置及び有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、表示装置として、液晶表示パネル及びバックライトユニットを備えた液晶表示装置が知られている。液晶表示パネルは、アレイ基板と、対向基板と、液晶層とを備えている。アレイ基板は、ガラス基板上に形成された複数の走査線及び複数の信号線と、それぞれ走査線及び信号線の交差部近傍に設けられた複数のTFT(薄膜トランジスタ)と、複数のTFTに接続された画素電極とを有している。
【0003】
上記したような液晶表示装置において、配線部の断面の偏平率を上げる技術が開示されている。開口率を上げることにより、輝度レベルを向上することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−109008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、液晶表示装置は、コントラスト向上等、表示品位の向上が求められている。このため、上記のように液晶表示装置を形成した場合、例えば、バックライトが信号線で拡散することにより、光漏れが生じてしまう。これにより、コントラスト比は低下してしまう。
【0005】
また、1枚のマザーガラスから複数のアレイ基板を形成する多面取りの場合、面内で製造誤差が生じる傾向にある。この場合、コントラスト特性もアレイ基板毎に異なるため、コントラスト比の低下を招くアレイ基板も形成されてしまう。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、表示品位に優れた液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る液晶表示装置は、
基板上に設けられ複数の導電層が積層して形成された複数の配線と、それぞれスイッチング素子及び画素電極を含み前記複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板と、
前記アレイ基板に対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板間に挟持された液晶層と、を備え、
各配線を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、前記他の導電層に重なっているとともに前記他の導電層から外れて形成されている。
【0007】
また、本発明の他の態様に係る有機EL表示装置は、
基板上に設けられ複数の導電層が積層して形成された複数の配線と、それぞれ有機EL素子を含み前記複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板を備え、
各配線を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、前記他の導電層に重なっているとともに前記他の導電層から外れて形成されている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、表示品位に優れた液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態に係る液晶表示装置について詳細に説明する。
図1乃至図5に示すように、液晶表示装置は、液晶表示パネルP及びバックライトユニット7を備えている。液晶表示パネルPは、アレイ基板1と、このアレイ基板に対向配置された対向基板2と、これら両基板間に挟持された液晶層3とを備えている。液晶表示装置は、アレイ基板1及び対向基板2が重なった表示領域を有している。アレイ基板1は、表示領域にマトリクス状に配置された複数の画素PXを有している。なお、画素PXについては後述する。
【0010】
アレイ基板1は、透明な絶縁基板として、例えばガラス基板10を備えている。ガラス基板10上にはアンダーコーティング層12が成膜されている。
【0011】
表示領域において、ガラス基板10上には、第1方向d1に沿って延出した複数の走査線19及び第1方向に直交した第2方向d2に沿って延出した複数の信号線27が配置されている。隣合う2本の信号線27及び隣合う2本の走査線19で囲まれた各領域には画素PXが形成されている。
【0012】
次に、画素PXを1つ取り出して説明する。
画素PXは、画素電極34及び画素電極に接続されたスイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)14を有している。
【0013】
詳述すると、アンダーコーティング層12上に、チャネル層15が形成されている。チャネル層15は、アンダーコーティング層12上に形成された半導体膜をパターニングすることにより形成されている。この実施の形態において、チャネル層15は、ポリシリコンで形成されている。
【0014】
アンダーコーティング層12及びチャネル層15上に、ゲート絶縁膜18が成膜されている。ゲート絶縁膜18上に、複数の走査線19と、これら走査線の一部を延出した複数のゲート電極20とが形成されている。
【0015】
走査線19及びゲート電極20は、アルミニウムやモリブデン−タングステン等の遮光性を有する低抵抗材料により同時に形成されている。この実施の形態において、走査線19及びゲート電極20は、モリブデン−タングステンで形成されている。各ゲート電極20は、各チャネル層15に重なって形成されている。
【0016】
ゲート絶縁膜18、走査線19及びゲート電極20上に、層間絶縁膜22が形成されている。層間絶縁膜22を含むガラス基板10上の下地層11上には、複数のソース電極26、複数の信号線27及び複数のドレイン電極28が形成されている。
【0017】
ソース電極26及び信号線27は、一体に形成され、互いに電気的に接続されているソース電極26は、ゲート絶縁膜18及び層間絶縁膜22の一部を貫通したコンタクトホール23を介してチャネル層15のソース領域RSに電気的に接続されている。ドレイン電極28は、ゲート絶縁膜18及び層間絶縁膜22の一部を貫通したコンタクトホール24を介してチャネル層15のドレイン領域RDに電気的に接続されている。
層間絶縁膜22、ソース電極26、信号線27及びドレイン電極28上に、絶縁膜として、透明な樹脂により平坦化膜31が成膜されている。
【0018】
平坦化膜31上には、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)等の透明な導電材料により複数の画素電極34が形成されている。画素電極34は、マトリクス状に配置されている。画素電極34は、平坦化膜31に形成されたコンタクトホールを介してドレイン電極28に電気的に接続されている。画素電極34は、隣合う2本の信号線27及び隣合う2本の走査線19に周縁を重ねて形成されている。
【0019】
上記のように、TFT14及び画素電極34等が形成されたガラス基板10上に、図示しないが複数の柱状スペーサが形成されている。柱状スペーサが形成されたガラス基板10上に、配向膜37が形成されている。
各画素PXは、TFT14及び画素電極34を1つずつ有している。
【0020】
次に、対向基板2について説明する。
対向基板2は、透明な絶縁基板として、例えばガラス基板40を備えている。ガラス基板40上には、カラーフィルタ50が形成されている。
【0021】
カラーフィルタ50は、複数の赤色の着色層50R、複数の緑色の着色層50G及び複数の青色の着色層50Bを有している。各着色層は、ストライプ状に形成され、信号線27の延出した方向に平行である。各着色層の周縁は、信号線27に重なっている。カラーフィルタ50上には、ITO等の透明な導電材料により対向電極41が形成されている。カラーフィルタ50及び対向電極41上に、配向膜43が形成されている。
【0022】
アレイ基板1及び対向基板2は、複数の柱状スペーサにより、所定の隙間を保持して対向配置されている。アレイ基板1及び対向基板2は、表示領域外周の両基板間に配置されたシール材60により接合されている。液晶層3は、アレイ基板1、対向基板2及びシール材60で囲まれた領域に形成されている。シール材60の一部には液晶注入口61が形成され、この液晶注入口は封止材62で封止されている。
【0023】
バックライトユニット7は、導光板7aと、この導光板の一側縁に対向配置された図示しない光源及び反射板とを有している。導光板7aは、アレイ基板1に対向配置されている。バックライトユニット7は、液晶層3に向けて光を出射するものである。なお、アレイ基板1の外面側が表示画像の視認側となる場合、バックライトユニット7は対向基板2の外面側に位置していれば良い
次に、上記液晶表示装置の実施例1及び実施例2について説明する。
(実施例1)
図3、図5及び図6に示すように、実施例1において、信号線27は、複数の導電層を積層して形成されている。ここでは、信号線27は、Ti/Al/Tiの3層構造を有している。このため、最下層の導電層27aはTiで形成されている。導電層27bはAlで形成されている。最上層の導電層27cはTiで形成されている。なお、導電層27c上には、Tiを含む導電膜27dが設けられている。
【0024】
最下層の導電層27aは、他の導電層27b、27cよりサイズが大きく、導電層27b、27cに重なっているとともに導電層27b、27cから外れて形成されている。導電層27aは、導電層27b、27cから、例えば、0.1μm外れて形成されている。
【0025】
さらに、最上層の導電層27cは、導電層27bよりサイズが大きく、導電層27bに重なっているとともに導電層27bから外れて形成されている。導電層27cは、導電層27bから、例えば、0.1μm外れて形成されている。
【0026】
(実施例2)
図3、図5及び図7に示すように、実施例2において、信号線27は、複数の導電層を積層して形成されている。ここでは、信号線27は、Al/Tiの2層構造を有している。このため、最下層の導電層27bはAlで形成されている。最上層の導電層27cはTiで形成されている。なお、導電層27c上には、Tiを含む導電膜27dが設けられている。
【0027】
最上層の導電層27cは、導電層27bよりサイズが大きく、導電層27bに重なっているとともに導電層27bから外れて形成されている。導電層27cは、導電層27bから、例えば、0.1μm外れて形成されている。
【0028】
次に、上記実施例1及び実施例2のように、信号線27を形成する最上層又は最下層の導電層を他の導電層より大きく形成したことによる効果を図8乃至図11を用いて説明する。
図8に示すように、信号線27を形成する最上層の導電層は、他の導電層より大きく形成されている。最上層の導電層は、他の導電層で反射したバックライトを遮ることができる。このため、信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができる。
【0029】
また、図9に示すように、信号線27は、逆テーパ状に形成されていても良い。この場合も、信号線27を形成する最上層の導電層は、他の導電層より大きく形成されている。信号線27の逆テーパ角を所定の角度に設定することにより、最上層の導電層は、他の導電層で反射したバックライトを遮ることができる。このため、信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができる。
【0030】
図10に示すように、信号線27を形成する最下層の導電層は、他の導電層より大きく形成されている。最下層の導電層は、他の導電層に向かうバックライトを遮ることができる。このため、信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができる。
【0031】
また、図11に示すように、信号線27は、テーパ状に形成されていても良い。この場合も、信号線27を形成する最下層の導電層は、他の導電層より大きく形成されている。信号線27のテーパ角を所定の角度に設定することにより、最上層の導電層は、他の導電層に向かうバックライトを遮ることができる。このため、信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができる。
【0032】
次に、比較例として、信号線27を形成する全ての導電層を同一パターンに形成した場合の不具合を図12を用いて説明する。
【0033】
図12に示すように、信号線27を形成する複数の導電層が同一パターンに形成された場合、信号線27の側面で反射したバックライトは、表示画像の視認側に全て抜けることになる。このため、比較例の信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができない。
【0034】
以上のように構成された液晶表示装置によれば、信号線27は複数の導電層が積層して形成されている。信号線27を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、他の導電層に重なっているとともに他の導電層から外れて形成されている。信号線27は、信号線27自体で反射した光に起因した光漏れを低減させることができるため、コントラスト比の向上を図ることができる。
【0035】
信号線27の最上層又は最下層の導電層は、他の導電層から、例えば、0.1μm外れて形成されている。このため、高開口率を維持した状態で、コントラスト比の向上を図ることができる。
上記したことから、表示品位に優れた液晶表示装置を得ることができる。
【0036】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0037】
例えば、本発明は、信号線27に限らず、複数の導電層が積層して形成された配線があれば適用可能である。この場合、上記配線を形成する最上層又は最下層の導電層が、他の導電層よりサイズが大きく、他の導電層に重なっているとともに他の導電層から外れて形成されていれば良い。
信号線27(配線)の最上層又は最下層の導電層は、他の導電層から、例えば、0.1μm外れて形成されているが、これに限らず、例えば、0.1μm以内であっても、0.1μm以上外れて形成されていても良い。
【0038】
信号線27を形成する際は、一般に知られた製造方法を用いて形成すれば良い。例えば、成膜及びパターニングを繰り返して導電層を一層ずつ形成しても良く、また、複数の導電膜を成膜した後パターニングして導電層を形成しても良い。信号線を形成する複数の導電層は、Ti、Alに限らず、他の導電材料により形成されても良い。
【0039】
この発明は、液晶表示装置に限らず、有機EL表示装置にも適用可能である。この場合、有機EL表示装置は、少なくとも、基板上に設けられ複数の導電層が積層して形成された複数の配線と、それぞれ有機EL素子を含み複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板を備えている。そして、各配線を形成する最上層又は最下層の導電層が、他の導電層よりサイズが大きく、他の導電層に重なっているとともに他の導電層から外れて形成されていれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置を示す斜視図。
【図2】図1に示したアレイ基板の一部を示す概略構成図。
【図3】図1及び図2に示したアレイ基板の一部を示す拡大平面図。
【図4】図3に示したアレイ基板の等価回路図。
【図5】上記液晶表示装置の一部を示す拡大断面図。
【図6】上記液晶表示装置の実施例1の信号線を示す概略断面図。
【図7】上記液晶表示装置の実施例2の信号線を示す概略断面図。
【図8】最上層の導電層が他の導電層より大きく形成された信号線及びバックライトの光路を示す図。
【図9】図8に示した信号線の変形例を示す図であり、逆テーパ状に形成された信号線及びバックライトの光路を示す図。
【図10】最下層の導電層が他の導電層より大きく形成された信号線及びバックライトの光路を示す図。
【図11】図10に示した信号線の変形例を示す図であり、テーパ状に形成された信号線及びバックライトの光路を示す図。
【図12】上記液晶表示装置の比較例の信号線を示す図であり、導電層が全て同一パターンに形成された信号線及びバックライトの光路を示す図。
【符号の説明】
【0041】
1…アレイ基板、2…対向基板、3…液晶層、7…バックライトユニット、10…ガラス基板、11…下地層、14…TFT、19…走査線、27…信号線、27a,27b,27c…導電層、27d…導電膜、34…画素電極、37…配向膜、40…ガラス基板、41…対向電極、43…配向膜、50…カラーフィルタ、P…液晶表示パネル、PX…画素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられ複数の導電層が積層して形成された複数の配線と、それぞれスイッチング素子及び画素電極を含み前記複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板と、
前記アレイ基板に対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板間に挟持された液晶層と、を備え、
各配線を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、前記他の導電層に重なっているとともに前記他の導電層から外れて形成されている液晶表示装置。
【請求項2】
前記複数の配線は、複数の信号線である請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記最上層又は最下層の導電層は、前記他の導電層から0.1μm外れて形成されている請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記アレイ基板の外面側又は対向基板の外面側に位置し、前記液晶層に光を出射するバックライトユニットをさらに備えた請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
基板上に設けられ複数の導電層が積層して形成された複数の配線と、それぞれ有機EL素子を含み前記複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板を備え、
各配線を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、前記他の導電層に重なっているとともに前記他の導電層から外れて形成されている有機EL表示装置。
【請求項6】
前記複数の配線は、複数の映像信号線である請求項5に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記最上層又は最下層の導電層は、前記他の導電層から0.1μm外れて形成されている請求項5に記載の有機EL表示装置。
【請求項1】
基板上に設けられ複数の導電層が積層して形成された複数の配線と、それぞれスイッチング素子及び画素電極を含み前記複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板と、
前記アレイ基板に対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板間に挟持された液晶層と、を備え、
各配線を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、前記他の導電層に重なっているとともに前記他の導電層から外れて形成されている液晶表示装置。
【請求項2】
前記複数の配線は、複数の信号線である請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記最上層又は最下層の導電層は、前記他の導電層から0.1μm外れて形成されている請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記アレイ基板の外面側又は対向基板の外面側に位置し、前記液晶層に光を出射するバックライトユニットをさらに備えた請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
基板上に設けられ複数の導電層が積層して形成された複数の配線と、それぞれ有機EL素子を含み前記複数の配線に接続された複数の画素と、を有したアレイ基板を備え、
各配線を形成する最上層又は最下層の導電層は、他の導電層よりサイズが大きく、前記他の導電層に重なっているとともに前記他の導電層から外れて形成されている有機EL表示装置。
【請求項6】
前記複数の配線は、複数の映像信号線である請求項5に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記最上層又は最下層の導電層は、前記他の導電層から0.1μm外れて形成されている請求項5に記載の有機EL表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−122379(P2010−122379A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294656(P2008−294656)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
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