液晶表示装置及び表示機器
【課題】本発明は低消費電力化が実現でき、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる液晶表示装置及び表示機器を提供する。
【解決手段】
本発明は、内面側にTFT素子(スイッチング素子)5、該TFT素子5に接続する画素電極3を形成してなる第1の基板14と、内面側に表示電極18を備えた第2の基板15との間に、液晶層12を封入して成る液晶表示装置である。そして、第1の基板14上に、画素電極3と接続する第1の導体膜22、表示電極18に接続する第2の導体膜2及び第1の導体膜22と第2の導体膜2との間に配置された強誘電体膜21を形成した。
【解決手段】
本発明は、内面側にTFT素子(スイッチング素子)5、該TFT素子5に接続する画素電極3を形成してなる第1の基板14と、内面側に表示電極18を備えた第2の基板15との間に、液晶層12を封入して成る液晶表示装置である。そして、第1の基板14上に、画素電極3と接続する第1の導体膜22、表示電極18に接続する第2の導体膜2及び第1の導体膜22と第2の導体膜2との間に配置された強誘電体膜21を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はTFT(薄膜トランジス)スイッチング素子に用いたアクティブマトリックスタイプの液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は中小型の携帯情報端末やノートパソコンの他に、大型かつ高精細のモニターにまで使用されている。さらにバックライトユニットを使用しない反射型液晶表示装置の技術も開発されており、薄型、軽量および低消費電力化に優れている。
【0003】
反射型液晶表示装置には、後方に配設した基板の内面側に凹凸形状の光反射層を形成した散乱反射型があるが、バックライトユニットを用いないことで、周囲の光を有効に利用している。
【0004】
また、反射膜に代えて、半透過膜を形成し、バックライトユニットを設け、反射モードや透過モードに使い分ける半透過型液晶表示装置も開発されている。
【0005】
この半透過型液晶表示装置によれば、太陽光、蛍光灯などの外部照明によって反射型の液晶表示装置として用いたり、あるいはバックライトユニットを内部照明として装着して透過型の液晶表示装置として使用するが、双方の機能を併せ持たせるために、半透過膜を使用している(特開平8−292413号および特開平7−318929号参照)。
【0006】
また、光透過用の透過孔を設けた反射膜により、透過孔からバックライトユニットの光の一部を透過させ、また、反射膜にて外光の一部を反射させることにより半透過型液晶表示装置を実現する構成も提案されている(特開2000-19563号参照)。
【0007】
携帯情報機器用途においては、長時間の電池駆動が必須となり、より消費電力の少ない表示装置が望まれている。そこで、電源を遮断しても表示を維持することを可能にするため、メモリー性を持った表示装置が必要とされる。このような液晶表示装置としては、強誘電性液晶、コレステリック型液晶等のメモリー性を有する液晶材料を用いる構造と、それぞれの画素にメモリー性を付与するためのフラッシュメモリー等の回路を設ける構造がある。前者の強誘電性液晶、コレステリック型液晶については、階調表示が難しい点や、衝撃に対する強度が弱い点や、使用温度範囲が狭いといった問題がある。後者のフラッシュメモリー等の回路を設ける構造については、画素構造の微細化が難しく、開口率が低くなり、高精細化に不利であるといった問題がある。
【0008】
このような問題を解決する液晶表示装置として、強誘電体キャパシタを液晶層に直列に接続した構造が提案されている。(特開2003−241169号および特開平09−236824号参照)。
【特許文献1】特開2003−241169号公報
【特許文献2】特開平09−236824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、強誘電体膜から構成される補助容量部を液晶層に対して直列に接続すると、通常電源をつなぎ各画素に電圧を印加する際に、その電圧は液晶層と補助電極部に各容量の比率で分圧されてしまい。液晶層に十分な電圧を印加するために、より大きな電圧を画素に与えなければならず、消費電力が大きくなってしまう。
【0010】
即ち、従来においては低消費電力化が実現でき、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる液晶表示装置の実現ができなかった。
【0011】
本発明は上述の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的は低消費電力化が実現でき、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる液晶表示装置及び表示機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、内面側にTFTスイッチング素子、該TFTスイッチング素子に接続する画素電極及び配向膜を形成してなる第1の基板と、内面側に表示電極及び配向膜を備えた第2の基板との間に、液晶層を封入して成る液晶表示装置であって、前記第1の基板上に、前記画素電極と接続する第1の導体膜、前記第2の基板側の前記表示電極に接続する第2の導体膜及び第1の導体膜と第2の導体膜との間に配置された強誘電体膜を形成して、前記第1の導体膜、第2の導体膜及び強誘電体膜とで補助容量部を配置した液晶表示装置である。
【0013】
また、この液晶装置をカラー表示可能となるため、表示面側に前記第2の基板を配置し、前記第2の基板の内面側にカラーフィルタ層を形成したことを特徴とする。また、表示面側に前記第1の基板を配置し、前記第2の基板の内面側にカラーフィルタ層を形成したことを特徴とする。
【0014】
また、この液晶表示装置を外部の光を利用して反射をモードで液晶表示をさせるため、表示面側に前記第2の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極及び第1の導体膜は、互いに同一面で連続する反射性金属膜で形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、この液晶表示装置をプロジェクタなどの画像形成などに用いるべく、透過モードで液晶表示をさせるため、表示面側に前記第2の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極、第1の導体膜、第2の導体膜及び強誘電体膜は、それぞれ透明部材で形成されるとともに、前記画素電極及び第1の導体膜は互いに同一面で連続する導体膜で形成されていることを特徴とする。また、表示面側に前記第1の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極、第1の導体膜は、透明部材で形成されるとともに、前記画素電極及び第1の導体膜は互いに同一面で連続する導体膜で形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、反射モードと透過モードの両モード(半透過モード)で液晶表示をさせるため、表示面側に第2の基板を配置し、前記第1の基板の外側にバックライトユニットを配置するとともに、前記第1の基板の内面側には透明導電膜で形成された画素電極及び第1の導体膜を形成するとともに、さらに半透過膜を形成したことを特徴とする。
【0017】
また、同じく半透過モードで液晶表示をさせるため、表示面側に第2の基板を配置し、前記第1の基板の外側にバックライトユニットを配置するとともに、前記第1の基板の内面側には、透明導電膜からなる画素電極と、前記バックライトユニットの光の透過させる透過孔が形成された反射性金属膜の一部で構成される第1の導体膜とから形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、前記反射性金属膜に形成した透過孔は画素電極形成領域内に存在していることを特徴とする。
【0019】
また、 前記反射性金属膜からなる第1の導体膜は、液晶側からみて画素電極の下側に配置されている。また、 前記反射性金属膜からなる第1の導体膜は、液晶側からみて画素電極の上側に配置されている。
【0020】
さらに、このような液晶表示装置と、液晶表示装置のTFT素子にスイッチングON−OFFの信号、液晶に印加する電位信号を供給する駆動制御回路、該駆動制御回路に画像情報を供給する画像制御回路とを含むことを特徴する表示機器である。
【発明の効果】
【0021】
以上の構成により、本発明の液晶表示装置によれば、第1の基板に形成した第1の導体膜、第2導体膜及び強誘電体層とで補助容量部が構成される。この第1の導体膜が第1基板の画素電極に接続され、第2の導体膜が第2の基板の表示電極に接続されているため、補助容量部は液晶層(画素電極と表示電極との間に配置)に対して並列的に配置されることになる。従って、従来のように液晶層に対して直列的に補助容量部を接続するものに比較して、低消費電力化が実現できることになる。
【0022】
また、TFT素子からなるスイッチングがOFF状態となっても、画素電極と表示電極との間の液晶層には、強誘電体膜からなる補助容量部に保持された電圧がかかり、表示を維持することができる。尚、液晶層と補助容量部の強誘電体膜とが並列関係であるため、TFT素子のスイッチングがON状態で印加される電圧が、液晶層と補助容量部との間に分圧されないため、スイッチングON状態においても消費電力を低くすることができる。
【0023】
よって、低消費電力化が実現でき、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる液晶表示装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を図面に基づいて詳説する。
【0025】
図1は、本発明の液晶表示装置の概略断面図を示すものである。図2は斜視図であり、図3は液晶表示素子LCの断面構造を示す。
【0026】
本発明の液晶表示装置は、液晶表示素子LCと、導光板D、光源KとからなるバックライトユニットBLと両者を収容する筐体C1、C2から構成されている。
【0027】
液晶表示素子LCは、第1の基板14と第2基板15と、その間に介在された液晶層12とから主に構成されている。
【0028】
図3に示すように、液晶表示素子LCを構成する第1の基板14の内面側には、画素領域ごとに画素電極が形成され、この該画素電極に接続するTFTからなるスイッチング素子、画素電極を被覆する配向膜が形成されている。尚、本発明において、TFTからなるスイッチング素子が形成された側の基板を第1の基板という。
【0029】
また、第2の基板15の内面側には、第1の基板14に形成した画素電極に対応するように表示電極、該表示電極を被覆する配向膜を具備している。
【0030】
第1の基板14と、第2の基板15との間には、シール部Sによって周囲が囲まれた液晶層12が配置されている。図3では第1の基板14の内部に形成した画素電極、TFT素子、配向膜を含む構造物を単に符号S1で示し、第2の基板15の内面側に形成した表示電極、配向膜を含む構造物を単に符号S2で示している。
【0031】
この第1の基板14の画素電極と第2の基板15の表示電極とは、互いに対向してあっており、表示面からみた時に、対向しあう領域(画素領域)がマトリックス状に配列されている。
【0032】
なお、各表示画素領域を構成する1画素には、たとえば透過型液晶表示装置においては、画素電極、表示電極の両方は透明導電膜で構成されて、バックライトユニットBLからの光を、液晶表示素子LCを介して表示面側に透過して液晶表示が行われる(透過モード)。即ち、バックライトユニットBLが必須の構成となる。
【0033】
また、半透過型液晶表示装置においては、表示側の基板と対向する側の基板(第1の基板であっても、第2の基板であってもよい)の画素電極または表示電極上に半透過膜(光の透過と反射を行う層)を形成する。これにより表示側から入射した外光は、液晶層12を通過して半透過膜でその一部が反射し、再度、液晶層12を透過して液晶表示行う。また、バックライトユニットBLの光は、その一部が半透過膜を通過して液晶層12を介して透過モードの液晶表示を行う。
【0034】
また、別の半透過型液晶表示装置においては、表示側の基板と対向する側の基板の画素電極または表示電極で各画素領域の一部に反射膜を形成する。即ち、反射膜が形成された領域が反射部となり、反射性金属膜が形成されていない領域が透過部となる。これにより画素領域が反射部と透過部とからなり、表示側から入射した外光が反射部で反射し(反射モードの表示)、また、バックライトユニットBLの光は、透過部を介して表示面側に透過して液晶表示(透過モードの表示)を行う。これらの半透過型液晶表示装置においてもバックライトユニットBLが必須構成となる。
【0035】
また、反射型液晶表示装置において、表示側の基板と対向する側の基板の画素電極または表示電極は反射性金属膜で形成する。即ち、画素領域全体が反射部となり、表示側から入射した外光が反射部で反射して液晶表示が行われる。この場合には、バックライトユニットBLは不要であり、必要において表示面側にフロントライト(図示せず)を配置する場合がある。
【0036】
このような、透過型、半透過型、反射型の液晶表示装置は、液晶表示が行われる環境を考慮して、その構造を選択するものである。
【0037】
また、基板14、15の外面主面には、図では省略しているが、偏光板が配置され、さらに必要に応じて位相差フィルム、拡散フィルタなどが配置されている。
【0038】
また、カラー表示を達成するために、第1の基板14の内部構造物S1または第2の基板15の内部構造物S2のいずれかには、各画素領域に対応したカラーフィルタが形成されている。
【0039】
基板14、15は、ガラス、透光性プラスチックなどが例示できる。
【0040】
画素領域を規定する表示電極や画素電極が透明導電膜の場合には、ITOや酸化錫などで形成され、反射部を構成する反射性金属膜としては、アルミニウム系材料(Al、Al合金(AlNd、AlTi)、銀系材料(Ag、Ag合金(AgPd、AgPdCu、AuCuAg))やチタンなどが例示できる。また、配向膜はラビング処理したポリイミド樹脂からなる。さらに、カラーフィルタを形成する場合には樹脂に染料や顔料など添加した材料が用いられ、画素領域ごとに赤、緑、青の各色のフィルタを形成し、さらに各フィルタ間や画素領域の周囲を遮光目的で黒色樹脂を用いてもよい。
【0041】
このような基板14と基板15は、シール部Sを介して貼り合わせ圧着し、そのシール部Sの一部の開口よりネマチック液晶などからなる液晶材を注入し、しかる後に、その注入口を封止する。また、必要において、表示面と対向する側に配置した基板の外側には、バックライトユニットBLが配置されている。
【0042】
このような液晶表示素子LCと必要に応じてバックライトユニットBLは、たとえば表示領域が開口する上側の筐体C1とバックライトユニットBLを保護する下側の筐体C2とに収容される。
【0043】
バックライトユニットBLは、導光板Dと導光板Dに供給される光源Kとから構成されている。
【0044】
以下に、内部構造S1、S2の構造のうち1画素領域部分の構造を各断面構造図に基づいて説明する。
【0045】
図4に示す液晶表示装置は、第2の基板15を上側(表示面側)に配置して、TFT素子が形成された第1の基板14を下側(非表示面側)に配置し、画素領域に反射部と透過部を有する半透過型液晶表示装置の1画素領域部分を示している。
【0046】
図4において、符号1はゲート配線、2は補助容量部配線である第2の導体膜、3は透明導電膜からなる画素電極、4は反射部及び透過部を規定する反射性金属膜からなる反射膜、5は薄膜トランジスタ(TFT素子)、11は保護膜、12は液晶層、18は第2の基板に形成した透明導電膜からなる表示電極、14、15はガラスまたはプラスチック等からなる透明基板であり、16はカラーフィルタである。
【0047】
また、21は強誘電体膜であり、22は第1の導体膜である。
【0048】
第1の基板14上には、複数のゲート配線1と複数のソース配線6が交差(直交)するように配置され、これらの配線に囲まれた部分が画素であり、これらの配線の交差部には前記スイッチング素子である薄膜トランジスタ5が設けられている。の配線で囲まれた領域に薄膜トライジスタ5の例えばドレイン電極7に接続する画素電極3が配置されている。
【0049】
薄膜トランジスタ5は、従来周知のごとく、ゲート配線1の上部に、ゲート絶縁膜8、半導体層9、n+−Si層10、ソース電極6、ドレイン電極7で構成される。
【0050】
ゲート配線1はCr、Ta、Al、Al合金(AlTa、AlNd)等の金属薄膜で形成される。ゲート絶縁膜8はTa2O3やSiNX等で形成される。半導体膜9はSiで形成される。ソース電極6とドレイン電極7は、Cr、Al、Al合金(AlTa、AlNd)等の金属膜で形成されている。
【0051】
また、画素領域には、画素電極3とは別に、透過部となる透過孔を有する反射膜4が形成されている。この反射膜4は、アルミニウム系材料(Al、Al合金(AlNd、AlTi)、銀系材料(Ag、Ag合金(AgPd、AgPdCu、AuCuAg))等の金属膜で形成されている。そして、反射膜4と画素電極3とは電気的に接続され、また、反射膜4の一部が、強誘電体膜21を介して第2の導体膜2に対向する第1の導体膜22となっている。
【0052】
この反射膜4の一部である第1の導体膜22、第2の導体膜2、強誘電体膜21によって容量成分を構成する。この容量成分が補助容量部CEFとなる。尚、第1の基板14に形成された第2の導体膜2は第2の基板15側の表示領域全面に形成された表示電極18に電気的に接続している(図で太線Vで示す)。具体的な接続構造は第1の基板14で各画素領域の第2の導体膜2を相互に接続し、その一部をシール部S(導電性シール材)や第1の基板14と第2の基板15とのギャップ間を貫く導電性バンプを介して第2の基板15の表示電極18に接続する。導電性シール材としては、導電性フィラーを含有したシール樹脂で構成し、シール部を介して、第1の基板14の第2の導体膜2の一部と、第2の基板15の表示電極18の一部とを対向させて、この対向部分で導電性フィラーを介して電気的に接続する。また、シール部Sに絶縁材料を用いた場合には、シール部Sの内部領域または外側領域の1箇所または複数箇所で第1の基板14の第2の導体膜2の一部と、第2の基板15の表示電極18の一部とを導電性バンプによって接続する。
【0053】
即ち、第2の導体膜2と第1の導体膜22(反射膜4の一部)との間に強誘電体膜21を形成することによって、画素電極3と表示電極18との挟まれた液晶層12と並列関係の補助容量部CEFが形成される。
【0054】
強誘電体膜21は、ポリマー系として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF) −(CF2−CH2)n− 、フッ化ビニリデンオリゴマー(VDFオリゴマー) [CF3(CF2CH2)17I] 、(モノマー)フッ化ビニリデン(VDF) CF2=CH2 、(モノマー)トリフルオロエチレン(TrFE) CH2=CFH 、(モノマー)テトラフルオロエチレン(TFE) CH2=CF2 があり、無機系として、ニオブ酸リチウムLNO LiNbO3、タンタル酸リチウムLTO LiTaO3、チタン酸ジルコン酸鉛PZT Pb(Ti,Zr)O3、チタン酸鉛PTO PbTiO3、チタン酸バリウムBTO BaTiO3、SBTO、ハフニア(HFO2)、およびそのシリケート(HF−SI−O)とアルミネート(HF−AL−O)等など例示でき、強誘電体特性を有する。
【0055】
画素電極3はたとえばITOなどの透明導電膜からなり、透過部、反射部を問わず液晶層12の液晶分子に電界を与えるために機能する。また、反射膜4はその画素領域に透過孔が形成され、バックライトユニットBLの光を透過する透過部と外光を反射させる反射部を規定するとともに、第1の導体膜22となるものであり、たとえば、アルミニウム系材料(Al、Al合金(AlNd、AlTi)、銀系材料(Ag、Ag合金(AgPd、AgPdCu、AuCuAg))などで形成されている。
【0056】
尚、反射膜4に形成した透過孔の寸法は、この対応する画素領域に形成されたカラーフィルタ16の色によって代えても構わない。一般的には透過孔の寸法は、画素領域の大きさに対して30%程度であるが、例えば赤のカラーフィルタ16に対応する画素領域に形成した透過孔の大きさを画素領域に対して35%、緑のカラーフィルタ16に対応する画素領域に形成した透過孔の大きさを画素領域に対して25%、青のカラーフィルタ16に対応する画素領域に形成した透過孔の大きさを画素領域に対して35%として反射モードのホワイトバランスを黄色よりにし、透過モードのホワイトバランスを青よりにしてもよい。
【0057】
尚、図示していないが、以上のような構成のアクティブマトリックス基板上に配向膜を塗布している。
【0058】
この図4の液晶表示装置においては、第2の基板15の基板上には1.0μmの膜厚で顔料分散したカラーフィルタ16と0.12μmの膜厚のITO等からなる表示電極18と0.05μmの膜厚の配向膜(図示せず)を形成している。
【0059】
また、液晶層12は、Δnd(液晶のΔnとセルギャップdとの積)を0.238μm(Δn=0.07、セルギャップ=3.4μm)とし、液晶分子のねじれ角は70°である。
【0060】
次に電圧の印加状態について図5を用いて説明する。図5において、液晶表示を行うために、所定信号線(ゲート1に信号を、ソース電極6、ドレイン電極7間に所定電位差を発生させる)に画像データに応じた画像を表示させるべく、画素電極3に所定電位が供給することにより、所定画素領域で対向しあう画素電極3と表示電極18との間に所定電位が印加され、液晶層12において画像データに応じた分子の配列となる状態が得られ、液晶表示が行われる。
【0061】
このとき画素電極3に接続された第1の導体膜22と表示電極18に接続する第2の導体膜2との間に配置された強誘電体膜21も同電位となる。この液晶層12で形成される容量成分CLCと補助容量部CEFとが並列関係であるため、液晶層12に印加される電圧が、強誘電体膜21を有する補助容量部CEFを形成したとしても分圧されず、液晶層12にかかる電位の変動させることなく、補助容量部CEF内に電荷を蓄電することができる。このとき、電源の供給時、液晶層12にかかる電位の変動がないため、消費電力を低く抑えることができる。
【0062】
次に、液晶層12に印加される電圧を切ると、強誘電体膜21を有する補助容量部CEFに蓄電された電荷によって液晶層12の液晶分子の状態が電圧を切る前の状態を長時間維持でき、静止画表示を維持することができる。
【0063】
以上のように、本発明では、画素電極3と表示電極18との間の液晶層12で形成される容量成分CLCと補助容量部CEFとが並列関係であるため、液晶層12に印加される電圧の変動をなくし、また、消費電力を低く抑え、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる液晶表示装置を実現できることになる。
【0064】
図6に示す液晶表示装置は、第2の基板15を上側(表示面側)に配置して、TFT素子が形成された第1の基板14を下側(非表示面側)に配置し、画素電極に透明導体膜で形成した場合の透過型液晶表示装置または画素電極に反射性金属膜で形成した場合の反射型液晶表示装置の1画素領域部分を示している。
【0065】
図6において、符号1はゲート配線、2は第2の導体膜、3は透明導電膜または反射性金属膜からなる画素電極、5は薄膜トランジスタ(TFT素子)、11は保護膜、12は液晶層、18は第2の基板に形成した透明導電膜からなる表示電極、14、15はガラスまたはプラスチック等からなる透明基板であり、16はカラーフィルタである。また、21は強誘電体膜であり、22は第1の導体膜である。
【0066】
図6に示す液晶表示装置では、画素電極3の一部が、そのまま第1の導体膜22となっている。即ち、画素電極3の材料のよって、例えば透明導電膜で形成して透過型液晶表素子装置に、例えば反射性金属膜で形成して反射型液晶表示装置としている。尚、反射型液晶表示装置においてバックライトユニットは不要である。
【0067】
この液晶表示装置は、図4に示す半透過型液晶表示装置との相違点は、透明導電膜の画素電極3及び透過部や反射部を規定する反射膜4を設けていない。即ち、この透過型の液晶表示装置や反射型の液晶表示装置では、画素電極3と補助容量部CEFを形成する第1の導体膜22とを共用でき、構造か非常に簡素化することになる。
【0068】
尚、画素電極3の一部である第1の導体膜22、第2の導体膜2、強誘電体膜21によって容量成分を構成されるが、第1の基板14に形成された第2の導体膜2と第2の基板15側の表示電極18との電気的に接続においては上述したとおりであり、強誘電体膜21も上述と同一材料をもって形成することができる。
尚、図示していないが、液晶層12と接触する第1の基板14、第2の基板15の面には配向膜が形成されている。
【0069】
また、図6に示す透過型の液晶表示装置の変形例として、例えば、透明導電膜からなる画素電極の表面に、屈折率が相違する複数の誘電体膜を積層してなる半透過膜を設けることにより、簡単に、図4の半透過型液晶表示装置とは別の半透過型の液晶表示装置が達成できる。
【0070】
上述の図4、図6は、TFT素子を形成した第1の基板14が、非表示側に配置した構造である。これに対して、図7に示す液晶表示装置は、TFT素子が形成された第1の基板14を上側(表示面側)に配置して、第2の基板15を下側(非表示面側)に配置し、画素領域に対応するに反射部と透過部を有する半透過型液晶表示装置の1画素領域部分を示している。
【0071】
図7において、符号1はゲート配線、2は第2の導体膜、3は透明導電膜からなる画素電極、5は薄膜トランジスタ(TFT素子)、11は保護膜、21は強誘電体膜、22は第1の導体膜である。これらは第1の基板14側に形成されている。また、符号4は反射部及び透過部を規定する反射性金属膜からなる反射膜、18は第2の基板に形成した透明導電膜からなる表示電極であり、16はカラーフィルタである。これらは第2の基板15側に形成されている。
【0072】
図7の半透過型液晶表示装置においては、補助容量部CEFを形成する第1の導体膜22は、第1の基板14の透明導電膜からなる画素電極3の一部として形成されている。
【0073】
また、1画素領域を透過部と反射部とに規定する反射膜4が第2の基板15側に形成されていることである。しかも、反射膜4は第2の基板15においても、透明導電膜からなる表示電極18とは別体に形成されており、電気的な機能を有さない。
【0074】
また、第2の基板15において、基板15側から所定大きさの透過孔が形成された反射膜、少なくとも透過孔を被覆して反射膜4の一部に形成されたカラーフィルタ16、平滑化を達成するためのオーバーコート層13、透明導電膜からなる表示電極18から構成されている。
【0075】
図7の半透過型液晶装置において、非表示面側の第2の基板15の構造の変更によって、透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、半透過膜を用いた半透過型液晶表示装置の対応が非常に容易となる。
【0076】
図8に示すように、第2の基板15上の反射膜4を1画素領域に対応するように形成することにより、反射型液晶表示装置となる。また、図8における反射膜4を半透過膜に変えることにより、半透過膜を用いた半透過型の液晶表示装置になる。
【0077】
図9に示すように、第2の基板15上から反射膜4を除去することにより、透過型の液晶装置になる。
【0078】
これらの、図7〜図9に示すように、同一の構造の第1の基板14を用いて、第2の基板15の構造を適宜変更することにより、画素電極3と表示電極18との間の液晶層12で形成される容量成分CLCと補助容量部CEFとが並列関係であるため、液晶層12に印加される電圧の変動をなくし、また、消費電力を低く抑え、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる各種表示モードの液晶表示装置を実現できることになる。
【0079】
図10は、反射膜4を用いた半透過型の液晶表示装置の別の構造である。
【0080】
図4の半透過型の液晶表示装置では、画素領域の透過部、反射部を規定する反射膜4が透明導電膜からなる画素電極3よりも、非表示面側に配置されていた。これに対して、図10の構造では、反射膜41は、透明導電膜からなる画素電極3よりも、表示面側に配置されている。これは、外光を反射させて液晶表示を行う際に、反射膜41よりも、表示側に配置される構造物を少なくして、液晶層12を介して反射膜41に入射される光及び反射膜41の表面で反射ささる光の損失を防止して、反射モードにおける表示の改善を図ると同時に、透過部の液晶層12の膜厚を反射部の液晶層12の膜厚より2倍程度厚くすることにより、透過率の改善も図るものである。
【0081】
尚、図10の半透過型の液晶表示装置では、液晶層12に所定電界を与える電極としては、透明導電膜からなる画素電極3と画素電極3に接続するように形成され、且つ液晶層12に近い反射膜41とで行うことになる。即ち、反射部では、反射膜41が実際の電極となり、透過部では透明導電膜からなる画素電極3が実際に液晶層12に電界を供給する電極になる。
【0082】
また、補助容量部CEFを構成する第1の導体膜22は、画素電極3の一部で構成している。
【0083】
このような構成では、反射モードにおける表示が、外光の損失が少ないために良好に行え、かつ透過率の高い半透過型の液晶表示装置になる。
【0084】
図11〜図12は、光透光孔を有する反射層4、41を有する半透過型液晶表示装置における異なるカラーフィルタ16の構造を示している。
【0085】
図11に示す半透過型の液晶表示装置においては、反射膜4によって規定された反射部において、反射部に対応するカラーフィルタ16の一部に欠損部16aが存在している。即ち、反射部を用いて液晶表示を行う反射モードでは、外光が反射膜4に反射することにより、2回液晶層12及びカラーフィルタ16を通過することになる。これにより、バックライトユニットBLの光が透過部を通過して表示する透過モードに比較して、カラーフィルタ16を通過する回数がおおいため、色付き現象が激しくなる。そのため、反射部に対応するカラーフィルタ16に欠損部16aを形成することにより、色付き現象を緩和し、反射モードと透過モードの色付き度合いの差をなくすものである。
【0086】
図12は、反射膜4によって規定されている透過部に対応するカラーフィルタ16bの厚みを、反射部に対応するカラーフィルタ16に比較して厚くしている。これは、第2の基板15上に、フィルタ厚み制御を行うための絶縁膜19を反射部に対応するように形成している。
【0087】
これによっても、上述の透過孔を具備した反射膜を有する半透過型の液晶表示装置における反射モードと透過モードにおける色付き度合いの差を緩和することができる。
【0088】
このような液晶表示装置は、実際には、液晶表示素子の各画素領域に接続されるTFT素子のスイッチングをON−OFF制御する信号、液晶層に印加する電位信号を供給する駆動制御回路、駆動制御回路に画像情報を供給する画像制御回路を用いて表示機器として利用する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の液晶表示装置の概略断面図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の斜視図である。
【図3】本発明の液晶表示装置を構成する液晶表示素子の断面構造図である。
【図4】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図5】本発明の液晶表示装置における容量的な等価回路図である。
【図6】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図7】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図8】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図9】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図10】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図11】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図12】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【符号の説明】
【0090】
LC・・・液晶表示素子
BL・・・バックライトユニット
CEF・・・補助容量部
1・・・ゲート配線
2・・・第2の導体膜
3・・・画素電極
4、41・・・反射膜
5・・・薄膜トランジスタ
6・・・ソース電極
7・・ドレイン電極
8・・・ゲート絶縁膜
9・・・半導体層
10・・・n+−Si層
11・・・保護膜
12・・・液晶層
13・・・オーバーコート層
14・・・第1の基板
15・・・第2の基板
16・・・カラーフィルタ
21・・・強誘電体膜
22・・第1の導体膜
【技術分野】
【0001】
本発明はTFT(薄膜トランジス)スイッチング素子に用いたアクティブマトリックスタイプの液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は中小型の携帯情報端末やノートパソコンの他に、大型かつ高精細のモニターにまで使用されている。さらにバックライトユニットを使用しない反射型液晶表示装置の技術も開発されており、薄型、軽量および低消費電力化に優れている。
【0003】
反射型液晶表示装置には、後方に配設した基板の内面側に凹凸形状の光反射層を形成した散乱反射型があるが、バックライトユニットを用いないことで、周囲の光を有効に利用している。
【0004】
また、反射膜に代えて、半透過膜を形成し、バックライトユニットを設け、反射モードや透過モードに使い分ける半透過型液晶表示装置も開発されている。
【0005】
この半透過型液晶表示装置によれば、太陽光、蛍光灯などの外部照明によって反射型の液晶表示装置として用いたり、あるいはバックライトユニットを内部照明として装着して透過型の液晶表示装置として使用するが、双方の機能を併せ持たせるために、半透過膜を使用している(特開平8−292413号および特開平7−318929号参照)。
【0006】
また、光透過用の透過孔を設けた反射膜により、透過孔からバックライトユニットの光の一部を透過させ、また、反射膜にて外光の一部を反射させることにより半透過型液晶表示装置を実現する構成も提案されている(特開2000-19563号参照)。
【0007】
携帯情報機器用途においては、長時間の電池駆動が必須となり、より消費電力の少ない表示装置が望まれている。そこで、電源を遮断しても表示を維持することを可能にするため、メモリー性を持った表示装置が必要とされる。このような液晶表示装置としては、強誘電性液晶、コレステリック型液晶等のメモリー性を有する液晶材料を用いる構造と、それぞれの画素にメモリー性を付与するためのフラッシュメモリー等の回路を設ける構造がある。前者の強誘電性液晶、コレステリック型液晶については、階調表示が難しい点や、衝撃に対する強度が弱い点や、使用温度範囲が狭いといった問題がある。後者のフラッシュメモリー等の回路を設ける構造については、画素構造の微細化が難しく、開口率が低くなり、高精細化に不利であるといった問題がある。
【0008】
このような問題を解決する液晶表示装置として、強誘電体キャパシタを液晶層に直列に接続した構造が提案されている。(特開2003−241169号および特開平09−236824号参照)。
【特許文献1】特開2003−241169号公報
【特許文献2】特開平09−236824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、強誘電体膜から構成される補助容量部を液晶層に対して直列に接続すると、通常電源をつなぎ各画素に電圧を印加する際に、その電圧は液晶層と補助電極部に各容量の比率で分圧されてしまい。液晶層に十分な電圧を印加するために、より大きな電圧を画素に与えなければならず、消費電力が大きくなってしまう。
【0010】
即ち、従来においては低消費電力化が実現でき、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる液晶表示装置の実現ができなかった。
【0011】
本発明は上述の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的は低消費電力化が実現でき、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる液晶表示装置及び表示機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、内面側にTFTスイッチング素子、該TFTスイッチング素子に接続する画素電極及び配向膜を形成してなる第1の基板と、内面側に表示電極及び配向膜を備えた第2の基板との間に、液晶層を封入して成る液晶表示装置であって、前記第1の基板上に、前記画素電極と接続する第1の導体膜、前記第2の基板側の前記表示電極に接続する第2の導体膜及び第1の導体膜と第2の導体膜との間に配置された強誘電体膜を形成して、前記第1の導体膜、第2の導体膜及び強誘電体膜とで補助容量部を配置した液晶表示装置である。
【0013】
また、この液晶装置をカラー表示可能となるため、表示面側に前記第2の基板を配置し、前記第2の基板の内面側にカラーフィルタ層を形成したことを特徴とする。また、表示面側に前記第1の基板を配置し、前記第2の基板の内面側にカラーフィルタ層を形成したことを特徴とする。
【0014】
また、この液晶表示装置を外部の光を利用して反射をモードで液晶表示をさせるため、表示面側に前記第2の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極及び第1の導体膜は、互いに同一面で連続する反射性金属膜で形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、この液晶表示装置をプロジェクタなどの画像形成などに用いるべく、透過モードで液晶表示をさせるため、表示面側に前記第2の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極、第1の導体膜、第2の導体膜及び強誘電体膜は、それぞれ透明部材で形成されるとともに、前記画素電極及び第1の導体膜は互いに同一面で連続する導体膜で形成されていることを特徴とする。また、表示面側に前記第1の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極、第1の導体膜は、透明部材で形成されるとともに、前記画素電極及び第1の導体膜は互いに同一面で連続する導体膜で形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、反射モードと透過モードの両モード(半透過モード)で液晶表示をさせるため、表示面側に第2の基板を配置し、前記第1の基板の外側にバックライトユニットを配置するとともに、前記第1の基板の内面側には透明導電膜で形成された画素電極及び第1の導体膜を形成するとともに、さらに半透過膜を形成したことを特徴とする。
【0017】
また、同じく半透過モードで液晶表示をさせるため、表示面側に第2の基板を配置し、前記第1の基板の外側にバックライトユニットを配置するとともに、前記第1の基板の内面側には、透明導電膜からなる画素電極と、前記バックライトユニットの光の透過させる透過孔が形成された反射性金属膜の一部で構成される第1の導体膜とから形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、前記反射性金属膜に形成した透過孔は画素電極形成領域内に存在していることを特徴とする。
【0019】
また、 前記反射性金属膜からなる第1の導体膜は、液晶側からみて画素電極の下側に配置されている。また、 前記反射性金属膜からなる第1の導体膜は、液晶側からみて画素電極の上側に配置されている。
【0020】
さらに、このような液晶表示装置と、液晶表示装置のTFT素子にスイッチングON−OFFの信号、液晶に印加する電位信号を供給する駆動制御回路、該駆動制御回路に画像情報を供給する画像制御回路とを含むことを特徴する表示機器である。
【発明の効果】
【0021】
以上の構成により、本発明の液晶表示装置によれば、第1の基板に形成した第1の導体膜、第2導体膜及び強誘電体層とで補助容量部が構成される。この第1の導体膜が第1基板の画素電極に接続され、第2の導体膜が第2の基板の表示電極に接続されているため、補助容量部は液晶層(画素電極と表示電極との間に配置)に対して並列的に配置されることになる。従って、従来のように液晶層に対して直列的に補助容量部を接続するものに比較して、低消費電力化が実現できることになる。
【0022】
また、TFT素子からなるスイッチングがOFF状態となっても、画素電極と表示電極との間の液晶層には、強誘電体膜からなる補助容量部に保持された電圧がかかり、表示を維持することができる。尚、液晶層と補助容量部の強誘電体膜とが並列関係であるため、TFT素子のスイッチングがON状態で印加される電圧が、液晶層と補助容量部との間に分圧されないため、スイッチングON状態においても消費電力を低くすることができる。
【0023】
よって、低消費電力化が実現でき、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる液晶表示装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を図面に基づいて詳説する。
【0025】
図1は、本発明の液晶表示装置の概略断面図を示すものである。図2は斜視図であり、図3は液晶表示素子LCの断面構造を示す。
【0026】
本発明の液晶表示装置は、液晶表示素子LCと、導光板D、光源KとからなるバックライトユニットBLと両者を収容する筐体C1、C2から構成されている。
【0027】
液晶表示素子LCは、第1の基板14と第2基板15と、その間に介在された液晶層12とから主に構成されている。
【0028】
図3に示すように、液晶表示素子LCを構成する第1の基板14の内面側には、画素領域ごとに画素電極が形成され、この該画素電極に接続するTFTからなるスイッチング素子、画素電極を被覆する配向膜が形成されている。尚、本発明において、TFTからなるスイッチング素子が形成された側の基板を第1の基板という。
【0029】
また、第2の基板15の内面側には、第1の基板14に形成した画素電極に対応するように表示電極、該表示電極を被覆する配向膜を具備している。
【0030】
第1の基板14と、第2の基板15との間には、シール部Sによって周囲が囲まれた液晶層12が配置されている。図3では第1の基板14の内部に形成した画素電極、TFT素子、配向膜を含む構造物を単に符号S1で示し、第2の基板15の内面側に形成した表示電極、配向膜を含む構造物を単に符号S2で示している。
【0031】
この第1の基板14の画素電極と第2の基板15の表示電極とは、互いに対向してあっており、表示面からみた時に、対向しあう領域(画素領域)がマトリックス状に配列されている。
【0032】
なお、各表示画素領域を構成する1画素には、たとえば透過型液晶表示装置においては、画素電極、表示電極の両方は透明導電膜で構成されて、バックライトユニットBLからの光を、液晶表示素子LCを介して表示面側に透過して液晶表示が行われる(透過モード)。即ち、バックライトユニットBLが必須の構成となる。
【0033】
また、半透過型液晶表示装置においては、表示側の基板と対向する側の基板(第1の基板であっても、第2の基板であってもよい)の画素電極または表示電極上に半透過膜(光の透過と反射を行う層)を形成する。これにより表示側から入射した外光は、液晶層12を通過して半透過膜でその一部が反射し、再度、液晶層12を透過して液晶表示行う。また、バックライトユニットBLの光は、その一部が半透過膜を通過して液晶層12を介して透過モードの液晶表示を行う。
【0034】
また、別の半透過型液晶表示装置においては、表示側の基板と対向する側の基板の画素電極または表示電極で各画素領域の一部に反射膜を形成する。即ち、反射膜が形成された領域が反射部となり、反射性金属膜が形成されていない領域が透過部となる。これにより画素領域が反射部と透過部とからなり、表示側から入射した外光が反射部で反射し(反射モードの表示)、また、バックライトユニットBLの光は、透過部を介して表示面側に透過して液晶表示(透過モードの表示)を行う。これらの半透過型液晶表示装置においてもバックライトユニットBLが必須構成となる。
【0035】
また、反射型液晶表示装置において、表示側の基板と対向する側の基板の画素電極または表示電極は反射性金属膜で形成する。即ち、画素領域全体が反射部となり、表示側から入射した外光が反射部で反射して液晶表示が行われる。この場合には、バックライトユニットBLは不要であり、必要において表示面側にフロントライト(図示せず)を配置する場合がある。
【0036】
このような、透過型、半透過型、反射型の液晶表示装置は、液晶表示が行われる環境を考慮して、その構造を選択するものである。
【0037】
また、基板14、15の外面主面には、図では省略しているが、偏光板が配置され、さらに必要に応じて位相差フィルム、拡散フィルタなどが配置されている。
【0038】
また、カラー表示を達成するために、第1の基板14の内部構造物S1または第2の基板15の内部構造物S2のいずれかには、各画素領域に対応したカラーフィルタが形成されている。
【0039】
基板14、15は、ガラス、透光性プラスチックなどが例示できる。
【0040】
画素領域を規定する表示電極や画素電極が透明導電膜の場合には、ITOや酸化錫などで形成され、反射部を構成する反射性金属膜としては、アルミニウム系材料(Al、Al合金(AlNd、AlTi)、銀系材料(Ag、Ag合金(AgPd、AgPdCu、AuCuAg))やチタンなどが例示できる。また、配向膜はラビング処理したポリイミド樹脂からなる。さらに、カラーフィルタを形成する場合には樹脂に染料や顔料など添加した材料が用いられ、画素領域ごとに赤、緑、青の各色のフィルタを形成し、さらに各フィルタ間や画素領域の周囲を遮光目的で黒色樹脂を用いてもよい。
【0041】
このような基板14と基板15は、シール部Sを介して貼り合わせ圧着し、そのシール部Sの一部の開口よりネマチック液晶などからなる液晶材を注入し、しかる後に、その注入口を封止する。また、必要において、表示面と対向する側に配置した基板の外側には、バックライトユニットBLが配置されている。
【0042】
このような液晶表示素子LCと必要に応じてバックライトユニットBLは、たとえば表示領域が開口する上側の筐体C1とバックライトユニットBLを保護する下側の筐体C2とに収容される。
【0043】
バックライトユニットBLは、導光板Dと導光板Dに供給される光源Kとから構成されている。
【0044】
以下に、内部構造S1、S2の構造のうち1画素領域部分の構造を各断面構造図に基づいて説明する。
【0045】
図4に示す液晶表示装置は、第2の基板15を上側(表示面側)に配置して、TFT素子が形成された第1の基板14を下側(非表示面側)に配置し、画素領域に反射部と透過部を有する半透過型液晶表示装置の1画素領域部分を示している。
【0046】
図4において、符号1はゲート配線、2は補助容量部配線である第2の導体膜、3は透明導電膜からなる画素電極、4は反射部及び透過部を規定する反射性金属膜からなる反射膜、5は薄膜トランジスタ(TFT素子)、11は保護膜、12は液晶層、18は第2の基板に形成した透明導電膜からなる表示電極、14、15はガラスまたはプラスチック等からなる透明基板であり、16はカラーフィルタである。
【0047】
また、21は強誘電体膜であり、22は第1の導体膜である。
【0048】
第1の基板14上には、複数のゲート配線1と複数のソース配線6が交差(直交)するように配置され、これらの配線に囲まれた部分が画素であり、これらの配線の交差部には前記スイッチング素子である薄膜トランジスタ5が設けられている。の配線で囲まれた領域に薄膜トライジスタ5の例えばドレイン電極7に接続する画素電極3が配置されている。
【0049】
薄膜トランジスタ5は、従来周知のごとく、ゲート配線1の上部に、ゲート絶縁膜8、半導体層9、n+−Si層10、ソース電極6、ドレイン電極7で構成される。
【0050】
ゲート配線1はCr、Ta、Al、Al合金(AlTa、AlNd)等の金属薄膜で形成される。ゲート絶縁膜8はTa2O3やSiNX等で形成される。半導体膜9はSiで形成される。ソース電極6とドレイン電極7は、Cr、Al、Al合金(AlTa、AlNd)等の金属膜で形成されている。
【0051】
また、画素領域には、画素電極3とは別に、透過部となる透過孔を有する反射膜4が形成されている。この反射膜4は、アルミニウム系材料(Al、Al合金(AlNd、AlTi)、銀系材料(Ag、Ag合金(AgPd、AgPdCu、AuCuAg))等の金属膜で形成されている。そして、反射膜4と画素電極3とは電気的に接続され、また、反射膜4の一部が、強誘電体膜21を介して第2の導体膜2に対向する第1の導体膜22となっている。
【0052】
この反射膜4の一部である第1の導体膜22、第2の導体膜2、強誘電体膜21によって容量成分を構成する。この容量成分が補助容量部CEFとなる。尚、第1の基板14に形成された第2の導体膜2は第2の基板15側の表示領域全面に形成された表示電極18に電気的に接続している(図で太線Vで示す)。具体的な接続構造は第1の基板14で各画素領域の第2の導体膜2を相互に接続し、その一部をシール部S(導電性シール材)や第1の基板14と第2の基板15とのギャップ間を貫く導電性バンプを介して第2の基板15の表示電極18に接続する。導電性シール材としては、導電性フィラーを含有したシール樹脂で構成し、シール部を介して、第1の基板14の第2の導体膜2の一部と、第2の基板15の表示電極18の一部とを対向させて、この対向部分で導電性フィラーを介して電気的に接続する。また、シール部Sに絶縁材料を用いた場合には、シール部Sの内部領域または外側領域の1箇所または複数箇所で第1の基板14の第2の導体膜2の一部と、第2の基板15の表示電極18の一部とを導電性バンプによって接続する。
【0053】
即ち、第2の導体膜2と第1の導体膜22(反射膜4の一部)との間に強誘電体膜21を形成することによって、画素電極3と表示電極18との挟まれた液晶層12と並列関係の補助容量部CEFが形成される。
【0054】
強誘電体膜21は、ポリマー系として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF) −(CF2−CH2)n− 、フッ化ビニリデンオリゴマー(VDFオリゴマー) [CF3(CF2CH2)17I] 、(モノマー)フッ化ビニリデン(VDF) CF2=CH2 、(モノマー)トリフルオロエチレン(TrFE) CH2=CFH 、(モノマー)テトラフルオロエチレン(TFE) CH2=CF2 があり、無機系として、ニオブ酸リチウムLNO LiNbO3、タンタル酸リチウムLTO LiTaO3、チタン酸ジルコン酸鉛PZT Pb(Ti,Zr)O3、チタン酸鉛PTO PbTiO3、チタン酸バリウムBTO BaTiO3、SBTO、ハフニア(HFO2)、およびそのシリケート(HF−SI−O)とアルミネート(HF−AL−O)等など例示でき、強誘電体特性を有する。
【0055】
画素電極3はたとえばITOなどの透明導電膜からなり、透過部、反射部を問わず液晶層12の液晶分子に電界を与えるために機能する。また、反射膜4はその画素領域に透過孔が形成され、バックライトユニットBLの光を透過する透過部と外光を反射させる反射部を規定するとともに、第1の導体膜22となるものであり、たとえば、アルミニウム系材料(Al、Al合金(AlNd、AlTi)、銀系材料(Ag、Ag合金(AgPd、AgPdCu、AuCuAg))などで形成されている。
【0056】
尚、反射膜4に形成した透過孔の寸法は、この対応する画素領域に形成されたカラーフィルタ16の色によって代えても構わない。一般的には透過孔の寸法は、画素領域の大きさに対して30%程度であるが、例えば赤のカラーフィルタ16に対応する画素領域に形成した透過孔の大きさを画素領域に対して35%、緑のカラーフィルタ16に対応する画素領域に形成した透過孔の大きさを画素領域に対して25%、青のカラーフィルタ16に対応する画素領域に形成した透過孔の大きさを画素領域に対して35%として反射モードのホワイトバランスを黄色よりにし、透過モードのホワイトバランスを青よりにしてもよい。
【0057】
尚、図示していないが、以上のような構成のアクティブマトリックス基板上に配向膜を塗布している。
【0058】
この図4の液晶表示装置においては、第2の基板15の基板上には1.0μmの膜厚で顔料分散したカラーフィルタ16と0.12μmの膜厚のITO等からなる表示電極18と0.05μmの膜厚の配向膜(図示せず)を形成している。
【0059】
また、液晶層12は、Δnd(液晶のΔnとセルギャップdとの積)を0.238μm(Δn=0.07、セルギャップ=3.4μm)とし、液晶分子のねじれ角は70°である。
【0060】
次に電圧の印加状態について図5を用いて説明する。図5において、液晶表示を行うために、所定信号線(ゲート1に信号を、ソース電極6、ドレイン電極7間に所定電位差を発生させる)に画像データに応じた画像を表示させるべく、画素電極3に所定電位が供給することにより、所定画素領域で対向しあう画素電極3と表示電極18との間に所定電位が印加され、液晶層12において画像データに応じた分子の配列となる状態が得られ、液晶表示が行われる。
【0061】
このとき画素電極3に接続された第1の導体膜22と表示電極18に接続する第2の導体膜2との間に配置された強誘電体膜21も同電位となる。この液晶層12で形成される容量成分CLCと補助容量部CEFとが並列関係であるため、液晶層12に印加される電圧が、強誘電体膜21を有する補助容量部CEFを形成したとしても分圧されず、液晶層12にかかる電位の変動させることなく、補助容量部CEF内に電荷を蓄電することができる。このとき、電源の供給時、液晶層12にかかる電位の変動がないため、消費電力を低く抑えることができる。
【0062】
次に、液晶層12に印加される電圧を切ると、強誘電体膜21を有する補助容量部CEFに蓄電された電荷によって液晶層12の液晶分子の状態が電圧を切る前の状態を長時間維持でき、静止画表示を維持することができる。
【0063】
以上のように、本発明では、画素電極3と表示電極18との間の液晶層12で形成される容量成分CLCと補助容量部CEFとが並列関係であるため、液晶層12に印加される電圧の変動をなくし、また、消費電力を低く抑え、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる液晶表示装置を実現できることになる。
【0064】
図6に示す液晶表示装置は、第2の基板15を上側(表示面側)に配置して、TFT素子が形成された第1の基板14を下側(非表示面側)に配置し、画素電極に透明導体膜で形成した場合の透過型液晶表示装置または画素電極に反射性金属膜で形成した場合の反射型液晶表示装置の1画素領域部分を示している。
【0065】
図6において、符号1はゲート配線、2は第2の導体膜、3は透明導電膜または反射性金属膜からなる画素電極、5は薄膜トランジスタ(TFT素子)、11は保護膜、12は液晶層、18は第2の基板に形成した透明導電膜からなる表示電極、14、15はガラスまたはプラスチック等からなる透明基板であり、16はカラーフィルタである。また、21は強誘電体膜であり、22は第1の導体膜である。
【0066】
図6に示す液晶表示装置では、画素電極3の一部が、そのまま第1の導体膜22となっている。即ち、画素電極3の材料のよって、例えば透明導電膜で形成して透過型液晶表素子装置に、例えば反射性金属膜で形成して反射型液晶表示装置としている。尚、反射型液晶表示装置においてバックライトユニットは不要である。
【0067】
この液晶表示装置は、図4に示す半透過型液晶表示装置との相違点は、透明導電膜の画素電極3及び透過部や反射部を規定する反射膜4を設けていない。即ち、この透過型の液晶表示装置や反射型の液晶表示装置では、画素電極3と補助容量部CEFを形成する第1の導体膜22とを共用でき、構造か非常に簡素化することになる。
【0068】
尚、画素電極3の一部である第1の導体膜22、第2の導体膜2、強誘電体膜21によって容量成分を構成されるが、第1の基板14に形成された第2の導体膜2と第2の基板15側の表示電極18との電気的に接続においては上述したとおりであり、強誘電体膜21も上述と同一材料をもって形成することができる。
尚、図示していないが、液晶層12と接触する第1の基板14、第2の基板15の面には配向膜が形成されている。
【0069】
また、図6に示す透過型の液晶表示装置の変形例として、例えば、透明導電膜からなる画素電極の表面に、屈折率が相違する複数の誘電体膜を積層してなる半透過膜を設けることにより、簡単に、図4の半透過型液晶表示装置とは別の半透過型の液晶表示装置が達成できる。
【0070】
上述の図4、図6は、TFT素子を形成した第1の基板14が、非表示側に配置した構造である。これに対して、図7に示す液晶表示装置は、TFT素子が形成された第1の基板14を上側(表示面側)に配置して、第2の基板15を下側(非表示面側)に配置し、画素領域に対応するに反射部と透過部を有する半透過型液晶表示装置の1画素領域部分を示している。
【0071】
図7において、符号1はゲート配線、2は第2の導体膜、3は透明導電膜からなる画素電極、5は薄膜トランジスタ(TFT素子)、11は保護膜、21は強誘電体膜、22は第1の導体膜である。これらは第1の基板14側に形成されている。また、符号4は反射部及び透過部を規定する反射性金属膜からなる反射膜、18は第2の基板に形成した透明導電膜からなる表示電極であり、16はカラーフィルタである。これらは第2の基板15側に形成されている。
【0072】
図7の半透過型液晶表示装置においては、補助容量部CEFを形成する第1の導体膜22は、第1の基板14の透明導電膜からなる画素電極3の一部として形成されている。
【0073】
また、1画素領域を透過部と反射部とに規定する反射膜4が第2の基板15側に形成されていることである。しかも、反射膜4は第2の基板15においても、透明導電膜からなる表示電極18とは別体に形成されており、電気的な機能を有さない。
【0074】
また、第2の基板15において、基板15側から所定大きさの透過孔が形成された反射膜、少なくとも透過孔を被覆して反射膜4の一部に形成されたカラーフィルタ16、平滑化を達成するためのオーバーコート層13、透明導電膜からなる表示電極18から構成されている。
【0075】
図7の半透過型液晶装置において、非表示面側の第2の基板15の構造の変更によって、透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、半透過膜を用いた半透過型液晶表示装置の対応が非常に容易となる。
【0076】
図8に示すように、第2の基板15上の反射膜4を1画素領域に対応するように形成することにより、反射型液晶表示装置となる。また、図8における反射膜4を半透過膜に変えることにより、半透過膜を用いた半透過型の液晶表示装置になる。
【0077】
図9に示すように、第2の基板15上から反射膜4を除去することにより、透過型の液晶装置になる。
【0078】
これらの、図7〜図9に示すように、同一の構造の第1の基板14を用いて、第2の基板15の構造を適宜変更することにより、画素電極3と表示電極18との間の液晶層12で形成される容量成分CLCと補助容量部CEFとが並列関係であるため、液晶層12に印加される電圧の変動をなくし、また、消費電力を低く抑え、電源を供給しなくても静止画表示を維持できる各種表示モードの液晶表示装置を実現できることになる。
【0079】
図10は、反射膜4を用いた半透過型の液晶表示装置の別の構造である。
【0080】
図4の半透過型の液晶表示装置では、画素領域の透過部、反射部を規定する反射膜4が透明導電膜からなる画素電極3よりも、非表示面側に配置されていた。これに対して、図10の構造では、反射膜41は、透明導電膜からなる画素電極3よりも、表示面側に配置されている。これは、外光を反射させて液晶表示を行う際に、反射膜41よりも、表示側に配置される構造物を少なくして、液晶層12を介して反射膜41に入射される光及び反射膜41の表面で反射ささる光の損失を防止して、反射モードにおける表示の改善を図ると同時に、透過部の液晶層12の膜厚を反射部の液晶層12の膜厚より2倍程度厚くすることにより、透過率の改善も図るものである。
【0081】
尚、図10の半透過型の液晶表示装置では、液晶層12に所定電界を与える電極としては、透明導電膜からなる画素電極3と画素電極3に接続するように形成され、且つ液晶層12に近い反射膜41とで行うことになる。即ち、反射部では、反射膜41が実際の電極となり、透過部では透明導電膜からなる画素電極3が実際に液晶層12に電界を供給する電極になる。
【0082】
また、補助容量部CEFを構成する第1の導体膜22は、画素電極3の一部で構成している。
【0083】
このような構成では、反射モードにおける表示が、外光の損失が少ないために良好に行え、かつ透過率の高い半透過型の液晶表示装置になる。
【0084】
図11〜図12は、光透光孔を有する反射層4、41を有する半透過型液晶表示装置における異なるカラーフィルタ16の構造を示している。
【0085】
図11に示す半透過型の液晶表示装置においては、反射膜4によって規定された反射部において、反射部に対応するカラーフィルタ16の一部に欠損部16aが存在している。即ち、反射部を用いて液晶表示を行う反射モードでは、外光が反射膜4に反射することにより、2回液晶層12及びカラーフィルタ16を通過することになる。これにより、バックライトユニットBLの光が透過部を通過して表示する透過モードに比較して、カラーフィルタ16を通過する回数がおおいため、色付き現象が激しくなる。そのため、反射部に対応するカラーフィルタ16に欠損部16aを形成することにより、色付き現象を緩和し、反射モードと透過モードの色付き度合いの差をなくすものである。
【0086】
図12は、反射膜4によって規定されている透過部に対応するカラーフィルタ16bの厚みを、反射部に対応するカラーフィルタ16に比較して厚くしている。これは、第2の基板15上に、フィルタ厚み制御を行うための絶縁膜19を反射部に対応するように形成している。
【0087】
これによっても、上述の透過孔を具備した反射膜を有する半透過型の液晶表示装置における反射モードと透過モードにおける色付き度合いの差を緩和することができる。
【0088】
このような液晶表示装置は、実際には、液晶表示素子の各画素領域に接続されるTFT素子のスイッチングをON−OFF制御する信号、液晶層に印加する電位信号を供給する駆動制御回路、駆動制御回路に画像情報を供給する画像制御回路を用いて表示機器として利用する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の液晶表示装置の概略断面図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の斜視図である。
【図3】本発明の液晶表示装置を構成する液晶表示素子の断面構造図である。
【図4】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図5】本発明の液晶表示装置における容量的な等価回路図である。
【図6】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図7】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図8】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図9】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図10】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図11】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【図12】本発明の液晶表示装置における液晶表示素子の他の画素領域に対応する部分の断面図である。
【符号の説明】
【0090】
LC・・・液晶表示素子
BL・・・バックライトユニット
CEF・・・補助容量部
1・・・ゲート配線
2・・・第2の導体膜
3・・・画素電極
4、41・・・反射膜
5・・・薄膜トランジスタ
6・・・ソース電極
7・・ドレイン電極
8・・・ゲート絶縁膜
9・・・半導体層
10・・・n+−Si層
11・・・保護膜
12・・・液晶層
13・・・オーバーコート層
14・・・第1の基板
15・・・第2の基板
16・・・カラーフィルタ
21・・・強誘電体膜
22・・第1の導体膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面側にTFTスイッチング素子、該TFTスイッチング素子に接続する画素電極及び配向膜を形成してなる第1の基板と、内面側に表示電極及び配向膜を備えた第2の基板との間に、液晶層を封入して成る液晶表示装置であって、
前記第1の基板上に、前記画素電極と接続する第1の導体膜、前記第2の基板側の前記表示電極に接続する第2の導体膜及び第1の導体膜と第2の導体膜との間に配置された強誘電体膜を形成して、前記第1の導体膜、第2の導体膜及び強誘電体膜とで補助容量部を配置したことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
表示面側に前記第2の基板を配置し、前記第2の基板の内面側にカラーフィルタ層を形成したことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
表示面側に前記第1の基板を配置し、前記第2の基板の内面側にカラーフィルタ層を形成したことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
表示面側に前記第2の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極及び第1の導体膜は、互いに同一面で連続する反射性金属膜で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項5】
表示面側に前記第2の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極、第1の導体膜は、同一面で連続する透明導電膜で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項6】
表示面側に前記第1の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極、第1の導体膜は、透明部材で形成されるとともに、前記画素電極及び第1の導体膜は互いに同一面で連続する導体膜で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項7】
表示面側に第2の基板を配置し、前記第1の基板の外側にバックライトユニットを配置するとともに、前記第1の基板の内面側には透明導電膜で形成された画素電極及び第1の導体膜を形成するとともに、さらに半透過膜を形成したことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項8】
表示面側に第2の基板を配置し、前記第1の基板の外側にバックライトユニットを配置するとともに、前記第1の基板の内面側には、透明導電膜からなる画素電極と、前記バックライトユニットの光の透過させる透過孔が形成された反射性金属膜の一部で構成される第1の導体膜とから形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記反射性金属膜に形成した透過孔は画素電極形成領域内に存在していることを特徴とする請求項7または8のいずれか記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記反射性金属膜からなる第1の導体膜は、液晶層側からみて画素電極の下側に配置されていることを特徴とする請求項9記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記反射性金属膜からなる第1の導体膜は、液晶層側からみて画素電極の上側に配置されていることを特徴とする請求項9記載の液晶表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載の液晶表示装置と、前記液晶表示装置のTFT素子にスイッチングON−OFFの信号、液晶に印加する電位信号を供給する駆動制御回路と、該駆動制御回路に画像情報を供給する画像制御回路とを含むことを特徴する表示機器。
【請求項1】
内面側にTFTスイッチング素子、該TFTスイッチング素子に接続する画素電極及び配向膜を形成してなる第1の基板と、内面側に表示電極及び配向膜を備えた第2の基板との間に、液晶層を封入して成る液晶表示装置であって、
前記第1の基板上に、前記画素電極と接続する第1の導体膜、前記第2の基板側の前記表示電極に接続する第2の導体膜及び第1の導体膜と第2の導体膜との間に配置された強誘電体膜を形成して、前記第1の導体膜、第2の導体膜及び強誘電体膜とで補助容量部を配置したことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
表示面側に前記第2の基板を配置し、前記第2の基板の内面側にカラーフィルタ層を形成したことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
表示面側に前記第1の基板を配置し、前記第2の基板の内面側にカラーフィルタ層を形成したことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
表示面側に前記第2の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極及び第1の導体膜は、互いに同一面で連続する反射性金属膜で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項5】
表示面側に前記第2の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極、第1の導体膜は、同一面で連続する透明導電膜で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項6】
表示面側に前記第1の基板を配置するとともに、前記第1の基板の内面側に形成された画素電極、第1の導体膜は、透明部材で形成されるとともに、前記画素電極及び第1の導体膜は互いに同一面で連続する導体膜で形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項7】
表示面側に第2の基板を配置し、前記第1の基板の外側にバックライトユニットを配置するとともに、前記第1の基板の内面側には透明導電膜で形成された画素電極及び第1の導体膜を形成するとともに、さらに半透過膜を形成したことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項8】
表示面側に第2の基板を配置し、前記第1の基板の外側にバックライトユニットを配置するとともに、前記第1の基板の内面側には、透明導電膜からなる画素電極と、前記バックライトユニットの光の透過させる透過孔が形成された反射性金属膜の一部で構成される第1の導体膜とから形成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記反射性金属膜に形成した透過孔は画素電極形成領域内に存在していることを特徴とする請求項7または8のいずれか記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記反射性金属膜からなる第1の導体膜は、液晶層側からみて画素電極の下側に配置されていることを特徴とする請求項9記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記反射性金属膜からなる第1の導体膜は、液晶層側からみて画素電極の上側に配置されていることを特徴とする請求項9記載の液晶表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載の液晶表示装置と、前記液晶表示装置のTFT素子にスイッチングON−OFFの信号、液晶に印加する電位信号を供給する駆動制御回路と、該駆動制御回路に画像情報を供給する画像制御回路とを含むことを特徴する表示機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−64731(P2006−64731A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243628(P2004−243628)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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