液晶表示装置
【課題】視野角のばらつきを容易に補正することができ、また、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消する。
【解決手段】第一画素電極5aとの間に第一補償容量Cs1を形成する第一容量電極17と、第二画素電極5bとの間に第二補償容量Cs2を形成する第二容量電極18aと、前記第二画素電極5bとの間に第三補償容量Cs3を形成する第三容量電極18bと、隣接する一方の画素の第一画素電極5aと他方の画素の第二画素電極5bとの間の領域に共通電極と対向させて配置された補助電極19とを備え、第一容量電極17と第二容量電極18aとに共通電極への印加電圧と同じ第一電圧を印加し、第三容量電極18bに前記第一の電圧とは異なる第二電圧を印加し、補助電極19に、共通電極との電位差が第一画素電極5a及び第二画素電極5bと共通電極との間に印加する電圧の最大値よりも大きい補助電圧を印加する。
【解決手段】第一画素電極5aとの間に第一補償容量Cs1を形成する第一容量電極17と、第二画素電極5bとの間に第二補償容量Cs2を形成する第二容量電極18aと、前記第二画素電極5bとの間に第三補償容量Cs3を形成する第三容量電極18bと、隣接する一方の画素の第一画素電極5aと他方の画素の第二画素電極5bとの間の領域に共通電極と対向させて配置された補助電極19とを備え、第一容量電極17と第二容量電極18aとに共通電極への印加電圧と同じ第一電圧を印加し、第三容量電極18bに前記第一の電圧とは異なる第二電圧を印加し、補助電極19に、共通電極との電位差が第一画素電極5a及び第二画素電極5bと共通電極との間に印加する電圧の最大値よりも大きい補助電圧を印加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、広い視野角をもった液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、表示の視野角を広くすることが望まれている。そのために、画素を二つの領域に区分し、その一方の領域と他方の領域とで液晶に印加される電圧値を異ならせることにより、前記2つの領域の視野角特性を互いに異ならせ、その両方の視野角特性が相乗した広い視野角を得ることが考えられている。
【0003】
この種の液晶表示装置としては、例えば、第一の薄膜トランジスタに接続された第一の画素電極と第二の薄膜トランジスタに接続された第二の画素電極とを画素毎に形成したものがある。
【0004】
この液晶表示装置において、前記第一の薄膜トランジスタと前記第二の薄膜トランジスタは、互いに同じデータ信号線及び走査信号線に接続されている。なお、前記走査信号線は、前記第一の画素電極と前記第二の画素電極との間を延伸するように配線されている。
【0005】
そして、この液晶表示装置では、前記第一の薄膜トランジスタの充電能力と、前記第二の薄膜トランジスタの充電能力とを異ならせることにより、前記一方の領域の液晶と他方の領域の液晶とに、異なる値の電圧を印加するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−152013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、液晶表示装置は、各種の工程を経て製造されるため、同機種の液晶表示装置であっても、製造工程で生じた絶縁膜厚や基板間隙等の誤差により、表示装置相互間に視野角のばらつきを生じることがある。そして、上記従来の液晶表示装置は、視野角のばらつきの補正が難しいため、所定の視野角の液晶表示装置を歩留まり良く得ることができない。
【0008】
また、上記従来の液晶表示装置は、第一画素電極及び第二画素電極と共通電極との間に電圧を印加したときに、前記第二画素電極と、隣接する画素の第一画素電極との何れか一方の電極の辺部付近の液晶分子が、配向膜のラビング方向によって規定されたプレチルト方向とは異なる方向に向かってチルトし、ディスクリネーションを発生する。
【0009】
このディスクリネーションの発生は、遮光膜(ブラックマスク)により隠されて見えないが、表示面に部分的に荷重が加わると、ディスクリネーションを発生した部分が周囲に押し広げられて画素の開口部内に入り込み、異常表示を生じさせる。そして、上記従来の液晶表示装置は、表示面に加えられた荷重が開放されても、ある程度の時間、前記ディスクリネーションによる異常表示が見える。
【0010】
この発明は、視野角のばらつきを容易に補正することができ、また、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる液晶表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、第一の薄膜トランジスタに接続された第一の画素電極と第二の薄膜トランジスタに接続された第二の画素電極とが画素毎に形成され、前記第一の薄膜トランジスタと前記第二の薄膜トランジスタとが、互いに同じデータ信号線及び走査信号線に接続され、前記第一の画素電極と共通電極との間及び前記第二の画素電極と前記共通電極との間に液晶層が形成された液晶表示装置であって、
前記第一の画素電極と前記第二の画素電極との間を延伸するように前記走査信号線が配置されると共に、
前記第一画素電極との間に第一誘電層が介在されて第一補償容量を形成する第一容量電極と、
前記第二画素電極との間に第二誘電層が介在されて第二補償容量を形成する第二容量電極と、
前記第二容量電極との間に所定の間隔をあけて配置され、前記第二画素電極との間に第三誘電層が介在されて第三補償容量を形成する第三容量電極と、
前記走査信号線の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素のうちの一方の画素の前記第一画素電極と他方の画素の前記第二画素電極との間の領域に、前記共通電極と対向させて、前記第一画素電極と前記第二画素電極の隣り合う辺に沿う方向に延伸するように配置された補助電極と、
前記第一容量電極と前記第二容量電極とに前記共通電極への印加電圧と同じ第一の電圧を印加し、前記第三容量電極に前記第一の電圧とは異なる第二の電圧を印加し、前記補助電極に、前記共通電極との電位差が、前記第一画素電極及び第二画素電極と前記共通電極との間に印加する電圧の最大値よりも大きい補助電圧を印加する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の液晶表示装置において、前記補助電圧は、前記共通電極との電位差が、液晶分子を最大チルト角で立ち上がり配向させる電圧値以上の電圧であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の液晶表示装置において、前記補助電圧は、前記走査信号線に印加する走査信号のうちの前記第一及び第二薄膜トランジスタをオフさせる電圧値の直流電圧であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の液晶表示装置において、前記補助電極は、前記一方の画素の第一画素電極と前記他方の画素の第二画素電極との間隔よりも狭幅な形状に形成され、前記第一画素電極との間隔と、前記第二画素電極との間隔とが等しくなるように配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1から3の何れかに記載の液晶表示装置において、前記補助電極は、前記一方の画素の第一画素電極と前記他方の画素の第二画素電極との間隔全体にわたる幅を有する形状に形成され、前記第一画素電極との重なり幅と、前記第二画素電極との重なり幅とが等しくなるように配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1から5の何れかに記載の液晶表示装置において、前記第一画素電極及び第二画素電極を覆って形成された第一配向膜と、前記共通電極を覆って形成された第二配向膜がそれぞれ、前記補助電極の延伸方向に対して交差する方向にラビングされていることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、前記請求項1から6の何れかに記載の液晶表示装置において、前記第一容量電極は、前記第一画素電極の全ての辺に重なるように形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の液晶表示装置において、前記第二容量電極と前記第三容量電極は、その一方の容量電極が、前記第二画素電極の所定の一辺に沿う方向に延伸し、且つ前記所定の一辺に重なるように形成され、他方の容量電極が、前記一方の容量電極との間に所定の間隔をあけて、前記第二画素電極の前記所定の一辺を除く他の辺に重なるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、前記第三容量電極に印加する第二電圧の値を制御するだけで視野角を微調整することができ、従って、視野角のばらつきを容易に補正することができる。また、前記第二画素電極と隣接する画素の第一画素電極との間の領域の液晶の分子が、前記補助電極への前記補助電圧の印加によって立ち上がり配向するため、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の第一実施例による液晶表示装置の構成図。
【図2】第一実施例における液晶表示素子の平面図。
【図3】前記液晶表示素子の側面図。
【図4】前記液晶表示素子の第一基板の一部分の被覆絶縁膜及び配向膜を省略した平面図。
【図5】図4の一部分の拡大図。
【図6】図4のVI−VI矢視線に沿う拡大断面図。
【図7】図4のVII−VII矢視線に沿う拡大断面図。
【図8】図4のVIII−VIII矢視線に沿う拡大断面図。
【図9】図4のIX−IX矢視線に沿う拡大断面図。
【図10】前記液晶表示素子の液晶分子の初期配向状態及び第一及び第二偏光板の吸収軸の向きを示す平面図。
【図11】前記液晶表示素子の一つの画素の回路図。
【図12】前記液晶表示素子を駆動する走査信号とデータ信号と第一及び第二電圧の波形図。
【図13】前記第一電圧と第二電圧の関係を示す図。
【図14】前記画素の第一領域における第一画素電極と共通電極との間に印加される電圧を示す図。
【図15】前記画素の第二領域における第二画素電極と共通電極との間に印加される電圧を示す図。
【図16】前記第一領域と第二領域の液晶層での電圧−透過率特性図。
【図17】第一比較例の液晶表示装置の視角−輝度特性図。
【図18】第一実施例の液晶表示装置の視角−輝度特性図。
【図19】第二比較例の液晶表示装置における電圧印加時の液晶分子の配向状態を示す模式図。
【図20】前記第二比較例の液晶表示装置における表示面に荷重が加わったときの液晶分子の配向状態を示す模式図。
【図21】前記第二比較例の液晶表示装置における荷重開放後の液晶分子の配向状態を示す模式図。
【図22】第一実施例の液晶表示装置における電圧印加時の液晶分子の配向状態を示す模式図。
【図23】この発明の第二実施例における液晶表示素子の第一基板の一部分の被覆絶縁膜及び配向膜を省略した平面図。
【図24】この発明の第三実施例における液晶表示素子の第一基板の一部分の第一被覆絶縁膜と第二被覆絶縁膜及び配向膜を省略した平面図。
【図25】図25のXXV−XXV矢視線に沿う拡大断面図。
【図26】図25のXXVI−XXVI矢視線に沿う拡大断面図。
【図27】この発明の第四実施例における液晶表示素子の第一基板の一部分の第一被覆絶縁膜と第二被覆絶縁膜及び配向膜を省略した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施例]
この発明の第一実施例の液晶表示装置は、図1のように、液晶表示素子1と前記液晶表示素子1を駆動する駆動手段31とにより構成されている。
【0022】
前記液晶表示素子1は、薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)をスイッチング素子としたアクティブマトリックス型液晶表示素子であり、複数の画素30が、図2のように、行方向(図において左右方向)及び列方向(図において上下方向)に配列させて形成されている。
【0023】
この液晶表示素子1は、図2〜図10のように、対向配置された透明な第一基板3と第二基板4を備えている。そして、前記第一基板(例えば表示面側とは反対側の基板)3の第二基板4と対向する面に、複数の透明な画素電極5が行方向及び列方向に配列させて設けられ、前記第二基板4の第一基板3と対向する面に、前記各画素電極5と対向する一枚膜状の透明な共通電極6が設けられている。
【0024】
前記各画素電極5はそれぞれ、電気的に分離して形成された第一の画素電極5aと第二の画素電極5bとからなっている。この実施例において、第一画素電極5aと第二画素電極5bは、同じ横幅(行方向の幅)を有しており、第一画素電極5aは、縦幅(列方向の幅)が前記横幅の約2倍である縦長矩形形状に形成され、第二画素電極5bは、縦幅と横幅が同程度の略正方形形状に形成されている。
【0025】
さらに、前記第一基板3には、各画素電極5の行毎に行方向に延伸させて配線された複数の走査信号線7と、各画素電極5の列毎に列方向に延伸させて配線された複数のデータ信号線8とが設けられている。
【0026】
前記走査信号線7は、第一画素電極5aと第二画素電極5bとの間を延伸するように配置されている。また、前記データ信号線8は、各列の画素電極5の一側の領域に、列方向に延伸するように配置されている。
【0027】
また、前記第一基板3には、前記各画素電極5にそれぞれ対応させて、前記第一画素電極5aに接続された第一のTFT9aと、前記第二画素電極5bに接続された第二のTFT9aとが配置されている。この第一TFT9aと第二TFT9aは、前記第一画素電極5aと第二画素電極5bとの間の領域に、前記行方向に並べて配置されている。
【0028】
前記第一TFT9aと第二TFT9bはそれぞれ、図4、図5、図6及び図7のように、第一基板3上に形成されたゲート電極10と、前記第一基板3上の略全域に前記ゲート電極10を覆って形成された透明なゲート絶縁膜11と、このゲート絶縁膜11上にゲート電極10と対向させて形成された真正アモルファスシリコンからなる半導体薄膜12と、前記半導体薄膜12の上面の中央部に設けられたチャネル保護膜13と、前記半導体薄膜12のチャネル領域を挟んで、その一方の側と他方の側との上にそれぞれn型アモルファスシリコンからなるコンタクト層14を介して形成されたソース電極15及びドレイン電極16とからなっている。
【0029】
なお、前記第一TFT9aと第二TFT9bは、互いに逆向きの形状に形成されている。すなわち、第一TFT9aは、第一画素電極5aと対向する側にドレイン電極16が設けられ、その反対側にソース電極15が設けられた形状に形成されている。また、第二TFT9bは、第二画素電極5bと対向する側にドレイン電極16が設けられ、その反対側にソース電極15が設けられた形状に形成されている。
【0030】
そして、前記第一TFT9aのゲート電極10と第二TFT9bのゲート電極10は、前記第一画素電極5aと第二画素電極5bとの間を延伸するように配置された走査信号線7に接続されている。
【0031】
さらに、前記第一TFT9aのソース電極15と第二TFT9bのソース電極15は、前記第一画素電極5aと第二画素電極5bの一側を延伸するように配置されたデータ信号線8に接続されている。
【0032】
なお、前記各走査信号線7は、前記第一基板3上に、第一及び第二TFT9a,9bのゲート電極10と同じ金属膜により、前記ゲート電極10と一体に形成されている。また、前記各データ信号線8は、前記ゲート絶縁膜11の上に、第一及び第二TFT9a,9bのソース,ドレイン電極15,16と同じ金属膜により、前記各ソース電極15,15と一体に形成されている。
【0033】
前記データ信号線8には、各行の画素電極5の第一画素電極5aと第二画素電極5bとの間の領域に向かって延びる複数の分岐線8aが一体に形成されている。この分岐線8aは、互いに逆向きの形状に形成された前記第一TFT9aと第二TFT9bのうちの前記データ信号線8に近い側に配置された第一TFT9aのソース電極15側を通り、さらに前記データ信号線8から遠い側に配置された第二TFT9bのソース電極15側に達するように屈曲させた形状に形成されている。そして、前記データ信号線8は、前記分岐線8aを介して、前記第一TFT9aのソース電極15及び第二TFT9bのソース電極15に一体的に接続されている。
【0034】
なお、この実施例において、第一TFT9a及び第二TFT9bと走査信号線7とデータ信号線8は、第一基板3上にゲート電極10と走査信号線7を形成し、さらにゲート絶縁膜11と半導体薄膜12とチャネル保護膜13とを順次成膜して前記チャネル保護膜13を半導体薄膜12の中央部を覆う形状にパターニングした後に、コンタクト層14と金属膜とを順次成膜し、前記金属膜とコンタクト層14及び半導体薄膜12を一括してソース電極15及びドレイン電極とデータ信号線8の形状にパターニングする工程で形成されている。そのため、前記データ信号線8は、第一TFT9a及び第二TFT9bを構成する積層膜のうちの半導体薄膜12とコンタクト層14とからなる下地層の上に形成されている。
【0035】
さらに、前記ゲート絶縁膜11の上には、前記各TFT9a,9b及び前記各データ信号線8を覆って透明な被覆絶縁膜20が設けられており、この被覆絶縁膜20の上に前記第一画素電極5aと第二画素電極5bが形成されている。そして、前記第一画素電極5aは、前記第一TFT9aのドレイン電極16に接続され、第二画素電極5bは、前記第二TFT9aのドレイン電極16に接続されている。
【0036】
なお、第一画素電極5aと第二画素電極5bは、被覆絶縁膜20の第一TFT9a及び第二TFT9bのドレイン電極16,16上の部分に第一及び第二のコンタクト孔201,202を穿設した後に、前記被覆絶縁膜20上にITO膜を成膜し、そのITO膜を第一及び第二画素電極5a,5bの形状にパターニングすることにより形成される。
【0037】
従って、第一画素電極5aは、第一のコンタクト孔201において第一TFT9aのドレイン電極16に接続され、第二画素電極5bは、第二のコンタクト孔202において第二TFT9bのドレイン電極16に接続されている。
【0038】
すなわち、前記液晶表示素子1は、第一TFT9aに接続された第一画素電極5aと第二TFT9bに接続された第二画素電極5bとが画素30毎に形成され、前記第一TFT9aと第二TFT9bとが、互いに同じデータ信号線8及び走査信号線7に接続されたものである。
【0039】
そのため、各画素30はそれぞれ、第一画素電極5aと第2画素電極5bとの間の部分を境にして、第一画素電極5aが形成された側の第一領域30aと、第2画素電極5bが形成された側の第二領域30bとに区分されている。
【0040】
そして、第一TFT9aと第二TFT9bは、同じ走査信号線7からの走査信号によりオン,オフを制御され、同時にオンして、同じデータ信号線8から供給されたデータ信号を第一画素電極5aと第二画素電極5bに各々印加する。
【0041】
また、前記第一基板3には、各画素30毎に、第一画素電極5aとの間に第一誘電層が介在されて第一補償容量Cs1を形成する第一容量電極17と、第二画素電極5bとの間に第二誘電層が介在されて第二補償容量Cs2を形成する第二容量電極18aと、前記第二画素電極5bとの間に第三誘電層が介在されて第三補償容量Cs3を形成する第三容量電極18bとが設けられている。
【0042】
図4、図5及び図10のように、第一容量電極17は、第一画素電極5aの全ての辺に重なるように、第一画素電極5aの外形に対応する矩形枠形状に形成されている。なお、この第一容量電極17は、その各辺の第一画素電極5aに重なる側とは反対側の縁部が、第一画素電極5aの外側に僅かに張り出す幅に形成されている。そして、各画素30の第一容量電極17は、行毎に、隣り合う第一容量電極17,17の走査信号線7に隣接する辺とは反対側の辺の端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0043】
一方、第二容量電極18aと第三容量電極18bとのうち、第三容量電極18bは、第二画素電極5bの所定の一辺に沿う方向に延伸し、且つ前記所定の一辺に重なるように形成され、第二容量電極18aは、前記第三容量電極18bとの間に所定の間隔をあけて、前記第二画素電極5bの前記所定の一辺を除く他の辺に重なるように形成されている。
【0044】
この実施例において、前記第三容量電極18bは、第二画素電極5bの走査信号線7の延伸方向と平行な二つの辺(以下、横辺という)のうちの走査信号線7に隣接する側とは反対側の横辺に重なる直線形状に形成されている。なお、この第三容量電極18bは、第二画素電極5bに重なる側とは反対側の縁部が、第二画素電極5bの外側に僅かに張り出す幅に形成されている。そして、各画素30の第三容量電極18bは、行毎に、隣り合う第三容量電極18b,18bの端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0045】
また、第二容量電極18aは、第二画素電極5bの走査信号線7に隣接する側の横辺と、前記走査信号線7の延伸方向に対して交差する二つの辺(以下、縦辺という)とに重なる三方枠形状に形成されている。なお、この第二容量電極18aは、その各辺の第二画素電極5bに重なる側とは反対側の縁部が、第2画素電極5bの外側に僅かに張り出す幅に形成されている。そして、各画素30の第二容量電極18aは、行毎に、隣り合う第二容量電極18a,18aの前記走査信号線7に隣接する辺の端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0046】
さらに、前記第一基板3には、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素30,30のうちの一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域にそれぞれ、前記共通電極6と対向させて配置された補助電極19が設けられている。この補助電極19は、前記第一画素電極5aと第二画素電極の隣り合う辺に沿う方向に延伸するように形成されている。
【0047】
前記補助電極19は、一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bとの間隔よりも狭幅な直線形状に形成されており、前記第一画素電極5aとの間隔と、前記第二画素電極5bとの間隔とが等しくなるように配置されている。なお、この補助電極19は、一方の画素30の第一容量電極17と他方の画素30の第三容量電極18bとの間隔よりも狭い幅を有しており、前記第一容量電極17との間及び前記第三容量電極18bとの間に間隔をあけて配置されている。そして、各補助電極19は、行毎に、隣り合う補助電極19,19の端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0048】
この実施例において、前記第一、第二及び第三容量電極17,18a,18bと前記補助電極19は、第一基板3上に、各TFT9a,9bのゲート電極10及び走査信号線7と同じ金属膜により形成されている。
【0049】
そして、第一容量電極17は、第一画素電極5aの各辺に対して、前記ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜からなる第一誘電層を介して対向し、第一画素電極5aとの間に第一補償容量Cs1を形成している。
【0050】
また、第二容量電極18aは、第二画素電極5bの走査信号線7に隣接する横辺及び二つの縦辺に対して、前記ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜からなる第二誘電層を介して対向し、第二画素電極5bとの間に第二補償容量Cs2を形成している。
【0051】
さらに、第三容量電極18bは、前記第二画素電極5bの走査信号線7に隣接する側とは反対側の横辺に対して、前記ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜からなる第三誘電層を介して対向し、第二画素電極5bとの間に前記第三補償容量Cs3を形成している。
【0052】
すなわち、前記第一補償容量Cs1の第一誘電層と、前記第二各補償容量Cs2の第二誘電層と、前記第三補償容量Cs3の第三誘電層は、同一の層(ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜)として形成されている。
【0053】
一方、第二基板4には、図6〜図9のように、赤色フィルタ21R、緑色フィルタ21G及び青色フィルタ21Bの三色のカラーフィルタが、各画素30の列毎に交互に並べて形成されている。さらに、前記第二基板4には、各行及び各列の隣り合う画素30,30の間の領域及び各画素30の第一領域30aと第二領域30bとの間の領域に対応させて遮光膜22が形成されている。
【0054】
この実施例において、前記遮光膜22は、例えば黒色系の顔料を添加した感光性樹脂により形成されており、前記三色のカラーフィルタ21R,21G,21Bは、第二基板4上の遮光膜22の無い領域に形成されている。そして、前記共通電極6は、前記カラーフィルタ21R,21G,21B及び遮光膜22の上に、各画素30の配列領域の全域にわたって形成されている。
【0055】
さらに、第一基板3には、第一画素電極5a及び第二画素電極5bを覆って第一配向膜23が設けられ、第二基板4には、共通電極6を覆って第二配向膜24が設けられている。この配向膜23,24は、ポリイミド等の水平配向膜であり、それぞれの膜面を、前記補助電極19の延伸方向に対して交差する方向にラビングされている。
【0056】
前記第一基板3と第二基板4は、図2及び図3のように、所定の間隙を設けて対向配置され、画面エリア1aを囲む枠状のシール材25を介して貼り合わされている。そして、第一画素電極5aと共通電極6との間及び第二画素電極5bと前記共通電極6との間に液晶層2が形成されている。前記液晶層2は、第一基板3と第二基板4との間の間隙の前記シール材25で囲まれた領域に液晶を封入して形成されている。
【0057】
また、第一基板3の外面には、第一偏光板26が、その吸収軸を所定の方向に向けて配置され、第二基板4の外面には、第二偏光板27が、その吸収軸を所定の方向に向けて配置されている。
【0058】
この実施例の液晶表示素子1は、例えばTN型液晶表示素子であり、前記第一配向膜23と第二配向膜24は、互いに直交する方向にラビング処理されている。すなわち、図10において、矢印23rは第一配向膜23のラビング方向、矢印24rは第二配向膜24のラビング方向を示している。図10のように、第一配向膜23は、前記補助電極19の延伸方向(画面エリア1aの横軸方向と平行な方向)に対して一方の方向(図では右回り方向)に45°の角度で交差する方向にラビングされ、第二配向膜24は、前記補助電極19の延伸方向に対して前記一方の方向とは反対方向(図において左回り方向)に45°の角度で交差する方向にラビングされている。
【0059】
また、液晶層2は、誘電異方性が正のネマティック液晶からなっている。この液晶層2の液晶分子2aは、図11のように、第一基板3の近傍において第一配向膜23のラビング方向23rに分子長軸を向けて配列し、第二基板4の近傍において第二配向膜24のラビング方向24rに分子長軸を向けて配列すると共に、前記ラビング方向23r,24rの上流側(ラビングの開始端側)から下流側(ラビングの終了端側)に向かって配向膜面から離れる方向にプレチルトした状態で、第一基板3と第二基板4との間、つまり第一画素電極5a及び第二画素電極5bと共通電極6との間において、図11に示した破線矢印方向に90°のツイスト角でツイスト配向している。
【0060】
なお、前記補助電極19の延伸方向に対する第一配向膜23及び第二配向膜24のラビング方向23r,23rの角度は、厳密に45°でなくてもよく、また、液晶分子2aのツイスト角も、厳密に90°でなくてもよい。すなわち、補助電極19の延伸方向に対する配向膜23,24のラビング方向23r,24rの角度は、±5°程度の誤差が許容され、前記液晶分子2aのツイスト角は、±10°程度の誤差が許容される。
【0061】
そして、前記第一偏光板26と第二偏光板27は、第一画素電極5a及び第二画素電極5bと共通電極6との間への印加電圧が0Vのときの表示が最も明るい明表示であるノーマリーホワイトモードの液晶表示素子を構成するように配置されている。すなわち、図10のように、第一偏光板26は、その吸収軸26aを第一配向膜23のラビング方向24rと直交するか或いは平行な方向(図では直交する方向)に向けて配置され、第二偏光板27は、その吸収軸27aを前記第一偏光板26の吸収軸26aと直交する方向に向けて配置されている。
【0062】
また、第一基板3には、図2及び図3のように、例えば画面エリア1aの上下方向(列方向)の一端側に、第二基板4の外方に張出すドライバ搭載部3aが形成されており、このドライバ搭載部3aに、複数の入力端子と複数の走査信号出力端子及び複数のデータ信号出力端子(図示せず)が形成されたLSIからなるドライバ素子28が搭載されている。
【0063】
そして、前記各走査信号線7は、画面エリア1aの外側を迂回させて前記ドライバ素子28の各走査信号出力端子にそれぞれ接続され、前記各データ信号線8は、前記ドライバ素子28の各データ信号出力端子にそれぞれ接続されている。
【0064】
さらに、前記ドライバ搭載部3aには、第一電圧入力端子29aと第二電圧入力端子29bと補助電圧入力端子29cがそれぞれ一つずつ形成されている。そして、前記共通電極6は、前記枠状のシール材25による基板接合部に設けられたクロス接続部(図示せず)を介して、前記第一電圧入力端子29aに接続されている。
【0065】
また、図では省略しているが、前記第一基板3には、前記画面エリア1aの外側に、前記第一電圧入力端子29aに接続された一本の第一電圧供給線と、前記第二電圧入力端子29bに接続された一本の第二電圧供給線と、前記補助電圧入力端子29cに接続された一本の補助電圧供給線が、データ信号線8と平行に配線されている。
【0066】
そして、行毎に共通接続された全ての行の第一容量電極17と、行毎に共通接続された全ての行の第二容量電極18aは、前記一本の第一電圧供給線に接続され、この第一電圧供給線を介して、前記共通電極6と共に前記第一電圧入力端子29aに接続されている。また、行毎に共通接続された全ての行の第三容量電極18bは、前記一本の第二電圧供給線に接続され、この第二電圧供給線を介して前記第二電圧入力端子29bに接続されている。さらに、行毎に共通接続された全ての行の補助電極19は、前記一本の補助電圧供給線に接続され、この第二電圧供給線を介して前記補助電圧入力端子29cに接続されている。
【0067】
前記液晶表示素子1は、前記各画素30の行(以下、画素行という)を一行ずつ順次選択し、各画素行毎にその行の各画素30の第一画素電極5a及び第二画素電極5bと共通電極6との間に電圧を印加することにより駆動され、前記電圧の印加による液晶分子の配向状態の変化により、前記画素30の第一領域30aと第二領域30bの光の透過を制御して画像を表示する。なお、この液晶表示素子1の背後(表示面側とは反対側)には、画面エリア1aの全域に向けて均一な照度の光を照射する面光源(図示せず)が配置されている。
【0068】
次に、前記液晶表示素子1を駆動する駆動手段31について説明する。この駆動手段31は、図1のように、外部から入力される画像データを一時的に記憶する画像メモリ32と、前記液晶表示素子1の各走査信号線7に走査信号を印加する走査信号線駆動回路33と、前記液晶表示素子1の各データ信号線8にデータ信号を印加するデータ信号線駆動回路34と、第一電圧発生回路35及び第二電圧発生回路36と、これらの制御部37とを備えている。なお、前記走査信号線駆動回路33とデータ信号線駆動回路34は、前記液晶表示素子1のドライバ搭載部3aに搭載されたドライバ素子28に形成されている。
【0069】
さらに、この駆動手段31は、第一TFT9a及び第二TFT9bをオンさせる所定の値のオン電圧VgHと、前記第一TFT9a及び第二TFT9bをオフさせる所定の値のオフ電圧VgLとを発生する走査信号電源38を備えている。
【0070】
走査信号線駆動回路33は、走査信号電源38から前記オン電圧VgHとオフ電圧VgLを供給され、制御部37からの同期用クロック信号等の制御信号に基づいて、各走査信号線7にそれぞれ、電圧値がオン電圧VgHとオフ電圧VgLとに変化する走査信号を印加する。
【0071】
図12において、t1,t2,t3,t4,…tnは、一画面を表示する1フレーム(第一行から最終行までの各画素行を順次選択して全ての画素行の各画素30に一画面分のデータ信号を印加する期間)を前記各画素の行数で分割した各画素行の選択期間であり、t1は第一行の選択期間、t2は第二行の選択期間、t3は第三行の選択期間、t4は第四行の選択期間、t5は第五行の選択期間、tnは最終行(n行)の選択期間である。
【0072】
また、図12において、G1,G2,G3,G4,…Gnは各走査信号線7にそれぞれ印加される走査信号であり、G1は第一行の走査信号線7に印加される走査信号、G2は第二行の走査信号線7に印加される走査信号、G3は第三行の走査信号線7に印加される走査信号、G4は第四行の走査信号線7に印加される走査信号、G5は第五行の走査信号線7に印加される走査信号、Gnは最終行(n行)の走査信号線7に印加される走査信号である。
【0073】
これらの走査信号は、該走査信号を印加する走査信号線7が対応する画素行の選択期間t1,t2,t3,t4,…tnの開始時よりも所定時間遅れた書込み開始時に前記オン電圧VgHになり、前記選択期間t1,t2,t3,t4,…tnの終了時よりも所定時間早い書込み終了時に前記オフ電圧VgLになる波形の信号であり、非選択期間はオフ電圧VgLに保たれる。
【0074】
そのため、各行の画素30の第一TFT9aと第二TFT9bは、その行の選択期間に、前記書込み開始時にオン電圧VgHの走査信号によりオンし、一定時間後の書込み終了時にオフ電圧VgLの走査信号によりオフする。
【0075】
データ信号線駆動回路34は、制御部37からの制御信号に基づいて、前記画像メモリ32に一時的に記憶された画像データを一画素行分ずつ前記制御部37を介して取り込み、各画素行の選択期間毎に、一画素行分の各画像データそれぞれの階調値に対応した各データ信号を各データ信号線8に印加する。
【0076】
図12に示したデータ信号Dは、各データ信号線8のうちの一本のデータ信号線に印加される信号であり、このデータ信号Dは、各画素行の選択期間t1,t2,t3,t4,…tn毎に、共通電極6に印加される第一電圧V1との差が、前記画像データの各選択期間毎の階調値に対応する値になるように電位が変化する矩形波信号である。
【0077】
前記各データ信号線8に印加されたデータ信号Dは、選択された行の各画素30の第一画素電極5aと第二画素電極5bとに、前記第一TFT9a及び第二TFT9bのオンにり同時に供給される。
【0078】
また、第一電圧発生回路35は、制御部37からの制御信号に基づいて第一の電圧V1を発生する。この第一電圧V1は、前記第一電圧入力端子29aを介して、共通電極6と、各行の第一容量電極17及び第二容量電極18aとに印加される。すなわち、各行の第一容量電極17及び第二容量電極18aに印加される第一電圧V1は、共通電極6への印加電圧と同じ電圧である。
【0079】
この実施例において、第一電圧発生回路35から共通電極6と各行の第一容量電極17及び第二容量電極18aに印加される第一電圧V1は、図12に示したように、各画素行の選択期間t1,t2,t3,t4,…tn毎に電圧レベルがハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lとに反転し、さらに前記電圧レベルが1フレーム毎に反転する矩形波交流電圧である。以下、この第一電圧V1のうちの共通電極6に印加する電圧をコモン信号Vcomという。
【0080】
一方、第二電圧発生回路36は、制御部37からの制御信号に基づいて、前記第一電圧V1とは異なる第二の電圧V2を発生する。この実施例において、前記第二電圧V2は、図12に示したように、一定レベルの直流電圧であり、前記第二電圧入力端子29bを介して、前記各行の第三容量電極18bに印加される。
【0081】
この実施例において、前記第二電圧V2は、図13のように、前記第一電圧V1のハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lとの間の値の電圧、例えばハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lの中間の値の電圧である。
【0082】
このように、前記駆動手段31は、前記第一容量電極17と第二容量電極18aとに共通電極6への印加電圧と同じ第一の電圧V1を印加し、第三容量電極18bに前記第一の電圧V1とは異なる第二の電圧V2を印加する。
【0083】
この液晶表示装置において、前記液晶表示素子1の各画素30はそれぞれ、図11のような回路で表すことができる。すなわち、一つの画素30の第一領域30aは、第一画素電極5aと共通電極6及びその間の液晶層2とからなる第一画素容量CLC1と、前記第一画素電極5aと第一容量電極17及びその間の第一誘電層(ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜)とからなる第一補償容量Cs1とが第一画素電極5aにおいて接続され、前記第一画素電極5aに第一TFT9aが接続された回路からなっている。
【0084】
また、前記画素30の第二領域30bは、第二画素電極5bと共通電極6及びその間の液晶層2とからなる第二画素容量CLC2と、前記第二画素電極5bと第二容量電極18a及びその間の第二誘電層(ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜)とからなる第二補償容量Cs2と、前記第二画素電極5bと第三容量電極18b及びその間の第三誘電層(ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜)とからなる第三補償容量Cs3とが第二画素電極5bにおいて接続され、前記第二画素電極5bに第二TFT9bが接続された回路からなっている。
【0085】
そして、前記共通電極6には、各画素行の選択期間毎に電圧レベルがハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lとに反転するコモン信号Vcomが印加され、前記第一容量電極17と前記第二容量電極18aにはそれぞれ、前記コモン信号Vcomと同じ第一電圧V1が印加され、前記第三容量電極18bには、前記第一電圧V1とは異なる第二電圧(第一及び第二TFT9a,9bのオフ電圧VgLと同じ値の直流電圧)V2が印加される。
【0086】
また、選択された画素行の各画素30の第一画素電極5aと第二画素電極5bには、第一TFT9a及び第二TFT9bのオンにより、データ信号線8から供給されたデータ信号Dがそれぞれ印加される。
【0087】
前記第一画素電極5aと共通電極6との間と、前記第二画素電極5bと共通電極6との間に印加される電圧(以下、書込み電圧という)はそれぞれ、前記第一電圧V1と前記データ信号Dとの電圧差に対応した値の電圧であり、その書込み電圧が前記第一画素容量CLC1と前記第二画素容量CLC2とにチャージされる。
【0088】
また、前記第一容量電極17と前記第二容量電極18aへの印加電圧はそれぞれ前記共通電極6へ印加されるコモン信号Vcomと同じ第一電圧V1であるため、前記第一補償容量Cs1と第二補償容量Cs2にはそれぞれ前記書込み電圧と同じ電圧がチャージされる。
【0089】
一方、前記第三容量電極18bへの印加電圧は前記第一電圧V1とは異なる第二電圧V2であるため、前記第三補償容量Cs3には、前記書込み電圧とは異なる電圧(書込み電圧に対して第一電圧V1と第二電圧V2との差に対応した電圧差をもった電圧)がチャージされる。
【0090】
なお、第一画素電極5aと走査信号線7及びデータ信号線8との間には、第一TFT9aのゲート−ソース間容量及びドレイン−ソース間容量等の寄生容量(以下、第一寄生容量という)が存在する。また、第二画素電極5bと走査信号線7及び走査信号線7との間には、第二TFT9bのゲート−ソース間容量及びドレイン−ソース間容量等の寄生容量(以下、第二寄生容量という)が存在する。
【0091】
そのため、第一TFT9a及び第二TFT9bがオフし、書込みが終了すると、第一画素容量CLC1及び第二補償容量Cs2にチャージされた電圧が、前記第一寄生容量への電圧の引込みによってある程度降下し、第二画素容量CLC2と第二補償容量Cs2及び第三補償容量Cs3にチャージされた電圧が、前記第二寄生容量への電圧の引込みによってある程度降下する。
【0092】
そして、画素30の第一領域30aの液晶は、前記第一画素容量CLC1のチャージ電圧(第一画素電極5aと共通電極6との間の電圧)により駆動される。また、前記画素30の第二領域30bの液晶は、前記第二画素容量CLC2のチャージ電圧(第二画素電極5bと共通電極6との間の電圧)により駆動される。
【0093】
図14は、第一行の各画素30のうちの1つの画素30の第一領域30aにおける第一画素電極5aと共通電極6との間に印加される電圧を示し、図15は、前記画素30の第二領域30bにおける第二画素電極5bと共通電極6との間に印加される電圧を示している。図14において、VP1は第一画素電極5aの電位である。また、図15において、VP2は第二画素電極5bの電位である。なお、図14及び図15では、前記第一画素電極5a及び第二画素電極5bの電位VP1,VP2とコモン信号Vcomとを区別しやすいように、これらの立ち上がり及び立ち下がりを傾斜させている。
【0094】
図14のように、第一画素電極5aと共通電極6との間の電圧は、前記第一行の選択期間t1のうちのTFT9a,9bのオン期間に、データ信号線8から第一TFT9aを介して第一画素電極5aに印加されたデータ信号Dと、共通電極6に印加されたコモン信号Vcomとの電位差に対応した書込み電圧Vaになる。
【0095】
そして、前記第一TFT9aがオフすると、前記第一画素電極5aと共通電極6との間の電圧が、前記書込み電圧Vaに対して前記第一寄生容量による引込み電圧ΔV1分だけ降下した電圧Va1になる。以下、この電圧Va1を第一保持電圧という。
【0096】
また、前記共通電極6に印加されるコモン信号Vcomの電圧レベルは、各画素行の選択期間t1,t2,t3,t4,…tn毎に反転するが、前記コモン信号Vcomと第一容量電極17に印加される第一電圧V1は同じ電圧であるため、前記コモン信号Vcomの電圧レベルが反転しても、第一画素容量CLC1及び第一補償容量Cs1のチャージ電圧は変化しない。そのため、前記第一画素電極5aと共通電極6との間の電圧は、第二行以下の各画素行の選択期間線t2,t3,t4,…tnにおいても前記第一保持電圧Va1に保たれる。
【0097】
従って、前記第一画素電極5aと共通電極6との間の第一保持電圧Va1は、前記コモン信号Vcomの電圧レベル反転にかかわらず、第一行の選択期間t1の書込み終了後から1フレームの終了時までの期間中、前記第一行の選択期間t1における第一保持電圧Va1と実質的に同じ電圧に維持され、その電圧が、前記第一領域30aの液晶に1フレームの実効電圧として印加される。
【0098】
また、第二画素電極5bと共通電極6との間の電圧は、図15のように、前記第一行の選択期間t1のうちのTFT9a,9bのオン期間に、前記データ信号線8から第二TFT9bを介して第二画素電極5bに印加されたデータ信号Dと、共通電極6に印加されたコモン信号Vcomとの電位差に対応した書込み電圧Vaになる。この書込み電圧Vaは、前記第一画素電極5aと共通電極6との間に印加された書込み電圧Vaと同じ値の電圧である。
【0099】
そして、第二TFT9bがオフすると、前記第二画素電極5bと共通電極6との間の電圧が、前記書込み電圧Vaに対して前記第二寄生容量による引込み電圧ΔV2分だけ降下した電圧Va2になる。以下、この電圧Va2を第二保持電圧という。なお、前記第二寄生容量による引込み電圧ΔV2は、前記第一寄生容量による引込み電圧ΔV1と略同じであり、従って、前記第二保持電圧Va2は、前記第一保持電圧Va1と略同じ値の電圧である。
【0100】
一方、第二容量電極18aへの印加電圧である第一電圧V1は、共通電極6に印加されるコモン信号Vcomと同じ電圧(各画素行の選択期間t1,t2,t3,…tn毎に電圧レベルが反転する電圧)であるが、第三容量電極18bへの印加電圧である第二電圧V2は、前記第一電圧V1とは異なる一定レベルの直流電圧である。
【0101】
そのため、前記コモン信号Vcomの電圧レベルが第一行の選択期間t1の電圧レベルに対して反転すると、共通電極6と第三容量電極18bとの間の電圧値の低下に伴って、第一画素容量CLC1と第二補償容量Cs2及び第三補償容量Cs3のそれぞれのチャージ電圧が、これらのCLC1,Cs2,Cs3の容量値に対応した比率で降圧する。
【0102】
また、前記コモン信号Vcomの電圧レベルが第一行の選択期間t1の電圧レベルと同じになると、第一画素容量CLC1及び第二補償容量Cs2のチャージ電圧と第三補償容量Cs3のチャージ電圧がそれぞれ前記第一画素行の選択期間t1における書込み終了後の電圧(第二TFT9bがオフした後の電圧)になる。
【0103】
そのため、第二画素電極5bと共通電極6との間の電圧は、第二行以下の各画素行のうちの偶数番の画素行の選択期間(コモン信号Vcomの電圧レベルが第一行の選択期間t1の電圧レベルに対して反転する選択期間)t2,t4,…に、前記第二保持電圧Va2に対して降圧した電圧Va3になり、奇数番の画素行の選択期間(コモン信号Vcomの電圧レベルが第一行の選択期間t1の電圧レベルと同じになる選択期間)t3,t5,…に、前記第二保持電圧Va2と実質的に同じ電圧に戻る。
【0104】
従って、第二領域30bの液晶には、各画素行の選択期間t1,t2,t3,…tn毎に交互に印加される前記電圧Va2,Va3を平均した値の電圧が、1フレームの実効電圧として印加される。
【0105】
なお、前記第二保持電圧Va2と、この第二保持電圧Va2に対して降圧した電圧Va3は、次の(1)式及び(2)式により求めることができる。
【0106】
Va2=(Cic+C2)×(Vpix−VcomL)+C3×(Vpix−C3)
+Cds×(Vpix−VsigH)+Cgs×(Vpix−VgL) …(1)
Va3=(Cic+C2)×(Vpix−VcomH)+C3×(Vpix−C3)
+Cds×(Vpix−VsigL)+Cgs×(Vpix−VgL) …(2)
Clc;第二画素容量CLC2の容量値
C2;第二補償容量Cs2の容量値
C3;第三補償容量Cs3の容量値
Cgs;第二TFT9bのゲート−ソース間容量
Cds;第二TFT9bのドレイン−ソース間容量
VsigH;第一画素行の選択期間におけるデータ信号の電位
VsigL;第二画素行の選択期間におけるデータ信号の電位
VgL;走査信号のオフ電圧
Vpix;第二画素電極5bの電位
VcomL;コモン信号Vcomのローレベル値値(V1L)
VcomH;コモン信号Vcomのハイレベル値値(V1H)
また、前記第二領域30bの液晶に印加される1フレームの実効電圧は、次の(3)式により求めることができる。
【0107】
実効電圧={(Va22+Va32)/2}1/2 …(3)
このように、各画素30の第二領域30bの1フレームの実効電圧は、同じ画素30の第一領域30aの1フレームの実効電圧に対して降圧した電圧であり、従って、同じ階調値のデータ信号に対して、前記第二領域30bの液晶分子が、前記第一領域30aの液晶分子の立ち上がり角よりも小さい角度で立ち上がる。
【0108】
そのため、各画素30の第二領域30bの液晶層2での電圧−透過率特性は、前記第一領域30aの液晶層2での電圧−透過率特性とは異なる特性である。図16は、画素電極5と共通電極6との間への印加電圧が0Vのときの表示が最も明るいノーマリーホワイトモードの液晶表示素子における前記第一領域30aと第二領域30bの電圧−透過率特性を示している。図16のように、前記第二領域30bの電圧−透過率特性は、前記第一領域30aの電圧−透過率特性に対して高電圧側にシフトした特性である。
【0109】
従って、液晶層2の層厚(第一基板1と第二基板2との間の間隙)等を、第一領域30aの電圧−透過率特性が所定の視野角が得られる特性になるように設計し、さらに、前記第二電圧V2の値を、第二領域30bの電圧−透過率特性が前記第一領域30aの電圧−透過率特性に対して所定量だけシフトした特性、つまり第一領域30aの視野角とは異なる視野角が得られる特性になるように前記第二電圧V2の値を設定することにより、第一領域30aの視野角特性と第二領域30bの視野角特性とが相乗した広い視野角を得ることができる。
【0110】
また、第一領域30aの視野角特性と第二領域30bの視野角特性とが相乗した視野角は、前記第一領域30aと第二領域30bとの面積比(第一画素電極5aと第二画素電極5bとの面積比)に対応するため、この面積比を選択することにより、所定の広さの視野角を得ることができる。
【0111】
図17は、各画素電極がそれぞれ画素の全域に対応する形状に形成され、6時方向から見たときにコントラストが最も高くなるように設計された第一比較例のTN型液晶表示装置の視角−輝度特性を示している。また、図18は、上記第一実施例の液晶表示装置であって、前記各画素30の第一領域30aと第二領域30bの面積比が、第一領域面積:第二領域面積=7:3に設定され、6時方向から見たときにコントラストが最も高くなるように設計されたTN型液晶表示装置の視角−輝度特性を示している。図17及び図18において、視角は、9時方向の視角を0°としたときの前記0°方向に対して反時計回り(左回り)の角度である。また、輝度は、各視角における液晶表示素子の法線に対して所定角度傾いた方向の輝度である。
【0112】
なお、図17及び図18では、各画素30の第一画素電極5aと第二画素電極5bに、L0(最も暗い階調値)〜L21(最も明るい階調値)の22階調のうちのL0,L1,L2,L7,L10,L12,L16,L18,L19,L20,L21の各階調値のデータ信号を印加したときの視角−輝度特性を示している。
【0113】
図18のように、上記実施例の液晶表示装置は、90°(6時)における方向の視角−輝度特性が、前記比較例の液晶表示装置と略同じであり、しかも、270°(12時)方向の視角−輝度特性が、前記比較例の液晶表示装置に比べて、低階調側での階調潰れや階調反転が改善された特性であり、従って、広い視野角を得ることができる。
【0114】
さらに、上記実施例の液晶表示装置は、前記第三容量電極18bに印加する電圧値を制御するだけで視野角を微調整することができる。そのため、製造工程で生じた絶縁膜厚や基板間隙等の誤差により、表示装置相互間に視野角のばらつきが生じても、前記視野角のばらつきを容易に補正することができる。
【0115】
すなわち、上記実施例の液晶表示装置は、前記第一容量電極17と第二容量電極18aとに共通電極6への印加電圧と同じ第一電圧V1を印加し、前記第三容量電極18bに前記第一の電圧V1とは異なる第二電圧V2を印加するようにしているため、前記第三容量電極18bに印加する第二電圧V2の値を制御することにより、前記第二領域30bの電圧−透過率特性を変化させることができる。
【0116】
前記第二領域30bの電圧−透過率特性は、図16に示したように、前記第一領域30aの電圧−透過率特性に対して高電圧側にシフトした特性であり、そのシフト量は、前記第二容量電極18aに印加された第一電圧V1と、前記第三容量電極18bに印加された第二電圧V2との差に対応する。
【0117】
この実施例において、前記第一領域30aの電圧−透過率特性に対する第二領域30bの電圧−透過率特性のシフト量は、前記第一電圧V1に対する第二電圧V2の差を小さくするのに伴って小さくなり、前記第一電圧V1に対する第二電圧V2の差を大きくするのに伴って大きくなる。
【0118】
このように、上記液晶表示装置は、前記第二領域30bの電圧−透過率特性を変化させることができるため、前記第二領域30bの視野角特性を任意に調整することができる。従って、前記第一領域30aの視野角特性と第二領域30bの視野角特性とを相乗させた視野角を所定の値になるように微調整し、表示装置相互間の視野角のばらつきを補正することができる。この視野角のばらつきの補正は、前記第三容量電極18bに印加する第二電圧V2を制御するだけで容易に行うことができる。
【0119】
また、上記液晶表示装置は、前記第一容量電極17を、第一画素電極5aの全ての辺に重なる矩形枠形状に形成しているため、前記第一補償容量Cs1の容量値を充分大きくすることができる。
【0120】
さらに、上記液晶表示装置は、前記第二容量電極18aと第三容量電極18bとのうち、第三容量電極18bを、第二画素電極5bの所定の一辺に沿う方向に延伸し、且つ前記所定の一辺に重なるように形成し、第二容量電極18aを、前記第三容量電極18bとの間に所定の間隔をあけて、前記第二画素電極5bの前記所定の一辺を除く他の辺に重なるように形成しているため、前記第三補償容量Cs3の容量値に対して前記第二補償容量Cs2の容量値を大きくすることができる。そのため、第三容量電極18bに印加する第二電圧V2の値に若干の変動があっても、第二領域30bの液晶層2での電圧−透過率特性がみだりに変動することがない。従って、より微細に電圧−透過率特性を調整することが可能になる。また、前記第三容量電極18bへのノイズ電圧の印加による前記第二領域30bの液晶層2での電圧−透過率特性の変動も抑制することができる。
【0121】
また、上記実施例では、共通電極6に印加するコモン信号Vcomと第一容量電極17に印加する第一電圧V1(Vcom=V1)を、電圧レベルが所定の周期で反転する矩形波交流電圧、例えば1フレーム中の各画素行の選択期間t1,t2,t3,t4,…tn毎に電圧レベルが反転する矩形波交流電圧としている。そのため、各画素30の第一領域30aの液晶に、第一行の選択期間t1の書込み終了後から1フレームの終了時までの期間中、前記第一保持電圧Va1に対応した一定値の実効電圧を印加することができる。
【0122】
さらに、上記実施例では、第二容量電極18aに、共通電極6及び第一容量電極17への印加電圧と同じ第一電圧(矩形波交流電圧)V1を印加し、前記第三容量電極18bに、一定レベル、例えば前記第一電圧V1を形成するハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lとの間の値の直流電圧からなる第二電圧V2を印加している。そのため、第二画素電極5bと共通電極6との間の電圧を、図15のように、第二保持電圧Va2とそれよりも降圧した電圧Va3とに交互に変化させ、各画素30の第二領域30bの液晶に、第一行の選択期間t1の書込み終了後から1フレームの終了時までの期間中、前記二つの電圧Va2,Va3を平均した値の実効電圧を印加することができる。
【0123】
しかも、この液晶表示装置は、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素30,30のうちの一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域にそれぞれ、共通電極6と対向させて、前記第一画素電極5aと前記第二画素電極5bの隣り合う辺に沿う方向に延伸するように配置された補助電極19を備えている。ため、この補助電極19と共通電極6との間に電圧を印加することができる。
【0124】
そのため、上記実施例の液晶表示装置は、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0125】
図19〜図21は、前記補助電極19を備えない第二比較例の液晶表示装置における液晶分子2aの配向状態を示す模式図、図22は、上記実施例の液晶表示装置における液晶分子2aの配向状態を示す模式図であり、何れも、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接した二つの画素30,30の隣接部分における液晶分子2aの配向状態を示している。
【0126】
なお、前記第二比較例の液晶表示装置は、前記補助電極19を備えていないが、他の構成は上記実施例の液晶表示装置と同じである。また、上記実施例及び第二比較例の液晶表示装置はTN型液晶表示装置であるが、図19〜図21及び図22では、液晶分子2aのチルト方向を簡単に把握できるように、第一配向膜23と第二配向膜24を互いに平行で且つ反対方向にラビングした非ツイストのホモジニアス配向型における液晶分子2aの配向状態を示している。
【0127】
前記第二比較例の液晶表示装置は、前記補助電極19を備えていないため、隣接する一方の画素30の第一画素電極51と他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域と共通電極6との間は常に無電界状態である。
【0128】
そして、第一及び第二画素電極5a,5bと共通電極6との間に電圧が印加されると、第一画素電極5aと共通電極6との間及び第二画素電極5bと共通電極6との間に駆動電界が生じ、この駆動電界によって液晶分子2aが基板3,4面に対して立ち上がるように配向する。
【0129】
前記駆動電界は、隣接する画素電極5a,5bの縁部間に生じる横電界の影響により、第一画素電極5aの辺部付近及び第二画素電極5bの辺部付近において基板3,4の法線方向に対して斜めに傾いた方向に歪んだ電界である。すなわち、第一画素電極5aと共通電極6との間に生じる駆動電界は、図19に等電位線E1で示したような電位分布の電界であり、また第二画素電極5bと共通電極6との間に生じる駆動電界は、図19に等電位線E2で示したような電位分布の電界である。
【0130】
そのため、第一画素電極5aと第二画素電極5bの互いに隣接する辺部のうち、第一配向膜23のラビング方向23rの上流側及び第二配向膜24のラビング方向24rの下流側に位置する画素電極の辺部付近の液晶分子2aが、第一配向膜23及び第二配向膜24のラビング方向23r,24rによって規定されたプレチルト方向とは反対方向にチルトするように立ち上がり、その部分にディスクリネーションを発生する。
【0131】
例えば第一配向膜23及び第二配向膜24のラビング方向23r,24rが図19のような方向であるときは、図において右側に位置する第二画素電極5bの左側の辺部付近の液晶分子2aがプレチルト方向とは反対方向にチルトするように立ち上がってディスクリネーションを発生する。また、前記第一配向膜23及び第二配向膜24のラビング方向23r,24rが図19とは反対方向であるときは、図において左側に位置する第一画素電極5aの右側の辺部付近の液晶分子2aがプレチルト方向とは反対方向にチルトするように立ち上がってディスクリネーションを発生する。
【0132】
前記液晶分子2aがプレチルト方向に対して順方向にチルトする領域と、プレチルト方向に対して反対方向にチルトする領域との境目は、ディスクリネーションラインと呼ばれている。このディスクリネーションラインDLは、殆んどの場合、第二基板4に設けられた遮光膜22により隠された位置に生じるため、ディスクリネーションの発生は外部からは見えない。
【0133】
しかし、図20のように、液晶表示装置の表示面に、指先の押付け等によって部分的に荷重Wが加わり、その荷重Wによって第二基板4が撓み変形すると、ディスクリネーションを発生した部分が周囲に押し広げられてディスクリネーションラインDLが前記右側の画素30の開口部内に入り込み、異常表示を生じさせる。
【0134】
そして、上記第二比較例の液晶表示装置は、表示面に加えられた荷重Wが開放され、第二基板4が図21のようにフラットな状態に復帰しても、直ぐには液晶分子2aの配向状態が図19の状態に戻らないため、ある程度の時間、前記ディスクリネーションによる異常表示が見える。
【0135】
上記第二比較例の液晶表示装置に対して、上記実施例の液晶表示装置は、前記補助電極19を備えているため、この補助電極19への補助電圧の印加により、該補助電極19と共通電極6との間に電界を生じさせ、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域に対応する部分の液晶分子2aを基板3,4面に対して立ち上がり配向させることができる。
【0136】
前記補助電極19と共通電極6との間に生じさせる電界は、前記第一画素電極5aと共通電極6との間及び第二画素電極5bと共通電極6との間の駆動電界の最大値よりも強い電界が良い。
【0137】
そのために、上記実施例の液晶表示装置は、前記駆動手段31により、前記補助電極19に対して、共通電極6との電位差が第一画素電極5a及び第二画素電極5bと共通電極6との間に印加する電圧の最大値よりも大きい補助電圧を印加するようにしている。
【0138】
前記補助電極19に印加する補助電圧は、共通電極6との電位差が、液晶分子2aを基板3,4面に対して最大チルト角で立ち上がり配向させる強さの電界を生じさせる値の電圧が好ましい。
【0139】
上記実施例では、前記補助電極19に、補助電圧として、走査信号線7に印加する走査信号のうちの第一及び第二薄膜トランジスタ9a,9bをオフさせる電圧値の直流電圧を印加するようにしている。
【0140】
すなわち、上記実施例では、走査信号電源38のオフ電圧VgLの出力端子を、液晶表示素子1のドライバ搭載部3aに形成された補助電圧入力端子29cに接続し、制御部37により、液晶表示素子1の駆動中継続して前記走査信号電源38は前記補助電圧入力端子29cにオフ電圧VgLを出力させるようにしている。
【0141】
なお、前記オフ電圧VgLは、共通電極6に印加するコモン信号Vcom(=V1)の振幅の中心電位に対して10〜15Vの電位差をもった電圧である。一方、前記コモン信号Vcomの振幅(ハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lとの差)は5V±1V程度である。従って、前記オフ電圧VgLは、前記コモン信号Vcomのハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lの両方に対して7V以上の電位差を有している。
【0142】
上記実施例の液晶表示装置においても、第一画素電極5aと共通電極6との間に生じる駆動電界は、図22に等電位線E1で示したような電位分布の電界であり、また第二画素電極5bと共通電極6との間に生じる駆動電界は、図22に等電位線E2で示したような電位分布の電界である。
【0143】
そのため、第一画素電極5aと第二画素電極5bの互いに隣接する辺部のうち、第一配向膜23のラビング方向23rの上流側及び第二配向膜24のラビング方向24rの下流側に位置する画素電極の辺部付近(図22では右側に位置する第二画素電極5bの左側の辺部付近)の液晶分子2aが、第一配向膜23及び第二配向膜24のラビング方向23r,24rによって規定されたプレチルト方向とは反対方向にチルトするように立ち上がり、その部分にディスクリネーションを発生する。
【0144】
そして、液晶表示装置の表示面に部分的に荷重Wが加わると、ディスクリネーションを発生した部分が周囲に押し広げられてディスクリネーションラインDLが前記右側の画素30の開口部内に入り込み、異常表示を生じさせる。
【0145】
しかし、上記実施例の液晶表示装置は、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域に配置された補助電極19と共通電極6との間に常に強い電界Eaが生じているため、表示面に加えられた荷重Wが開放されると、前記第一画素電極5aと第二画素電極5bとの間の領域の液晶分子2aが、速やかに前記電界Eaによって立ち上がり配向し、それに伴って、液晶分子2aの配向状態が図22の状態に戻る。
【0146】
従って、上記実施例の液晶表示装置によれば、表示面に加えられた荷重Wが開放される表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0147】
なお、図19〜図21及び図22には、非ツイストのホモジニアス配向型における液晶分子2aの配向状態を示したが、第一配向膜23と第二配向膜24を画面エリア1aの横軸方向に対して45°の角度で交差する方向にラビングしたTN型液晶表示装置では、第一配向膜23と第二配向膜24のラビング方向23r,24rが図5及び図10に示した方向であるときに、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bの隣り合う辺部のうち、第二画素電極5bの辺部付近にディスクリネーションが発生する。また、第一配向膜23と第二配向膜24のラビング方向23r,24rが図5及び図10に示した方向とは反対方向であるときは、第一画素電極5aの辺部付近にディスクリネーションが発生する。
【0148】
しかしながら、上記実施例の液晶表示装置は、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域に補助電極19を配置しているため、前記ディスクリネーションが、前記第二画素電極5bの辺部付近と、第一画素電極5aの辺部付近の何れに発生しても、表示面に加えられた荷重Wが開放される表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消することができる。
【0149】
また、上記実施例では、前記補助電極19に、補助電圧として、走査信号線7に印加する走査信号のうちの第一及び第二薄膜トランジスタ9a,9bをオフさせる電圧値の直流電圧を印加するようにしているため、前記補助電圧を新たに発生させる必要が無く、従って、駆動手段31を図1のように簡易化することができる。
【0150】
さらに、上記実施例では、前記補助電極19を、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bとの間隔よりも狭幅な直線形状に形成し、この補助電極19を、前記第一画素電極5aとの間隔と、前記第二画素電極5bとの間隔とが等しくなるように配置しているため、補助電極19と第一画素電極5aとの間に形成される容量と、前記補助電極19と第二画素電極5bとの間に形成される容量は同じである。
【0151】
従って、補助電極19と第一画素電極5aとの間及び前記補助電極19と第二画素電極5bとの間に容量が形成されても、これらの容量が、第一画素電極5aに前記第一補償容量Cs1を設け、第二画素電極5bに前記第二補償容量Cs2と第三補償容量Cs3とを設けたことによる広視野角効果に影響することはない。
【0152】
[第二実施例]
図23に示した第二実施例の液晶表示装置は、第二容量電極18aを、第二画素電極5bの日二つの縦辺の一方(図では走査信号線7に隣接する縦辺)に重なる直線形状に形成に形成し、第三容量電極18bを、前記第三容量電極18bとの間に所定の間隔をあけて、前記第二画素電極5bの他の各辺(図では走査信号線7に隣接する辺とは反対側の横辺と二つの縦辺)に重なる三方枠形状に形成に形成したしたものであり、他の構成は上記第一実施例と同じである。
【0153】
この第二実施例の液晶表示装置によれば、第二補償容量Cs2の容量値に対して第三補償容量Cs3の容量値を大きくすることができるため、前記第三容量電極18bに対して小さな電圧変動を与えるだけで、第二領域30bの液晶層2での電圧−透過率特性を大きく変動させることができ、従って、視野角を大きく調整することができる。これは特に、製造された液晶表示装置相互間で液晶層2の厚さが大きくばらついてしまうような場合に有効である。
【0154】
そして、この第二実施例においても、視野角のばらつきを容易に補正することができ、また、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0155】
また、この第二実施例においても、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素30,30のうちの一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域にそれぞれ、共通電極6と対向させて、前記第一画素電極5aと前記第二画素電極5bの隣り合う辺に沿う方向に延伸するように配置された補助電極19を備えているため、第一実施例と同様に、前記補助電極19に補助電圧を印加することにより、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0156】
[第三実施例]
次に、この発明の第三実施例を図24〜図26を参照して説明する。なお、この第三実施例において、上記第一実施例に対応するものには同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0157】
この第三実施例において、第一TFT9aと第二TFT9bは、上記第一実施例と同じ積層膜により構成されている。また、各走査信号線7は、前記第一基板3上に形成され、前記第一TFT9a及び第二TFT9bのゲート絶縁膜11により覆われている。そして、各データ信号線8は、ゲート絶縁膜11の上に形成されている。なお、この第二実施例においても、各データ信号線8は、前記各TFT9a,9bを構成する積層膜のうちの半導体薄膜12とコンタクト層14とからなる下地層の上に形成されている。
【0158】
一方、第一、第二及び第三容量電極17,18a,18bは、前記ゲート絶縁膜11上に各TFT9a,9b及び各データ信号線8を覆って設けられた透明な第一被覆絶縁膜20aの上に、上記第一実施例と同じ形状(図5の同じ形状)に形成されている。
【0159】
そして、第一画素電極5aと第二画素電極5bは、前記第一被覆絶縁膜20a上に、各容量電極17,18a,18bを覆って設けられた第二被覆絶縁膜20bの上に、前記第一被覆絶縁膜20a及び第二被覆絶縁膜20bに設けられた第一及び第二のコンタクト孔201,202において前記第一TFT9aのドレイン電極16と前記第二TFT9bのドレイン電極16に各々接続して形成されている。
【0160】
すなわち、この第三実施例において、第一画素電極5aと第一容量電極17との間の第一誘電層と、第二画素電極5bと第二容量電極18aとの間の第二誘電層と、前記第二画素電極5bと第三容量電極18bとの間の第三誘電層はそれぞれ、第二被覆絶縁膜20bからなっている。
【0161】
なお、この第三実施例では、第一画素電極5a及び第二画素電極5bが、前記コンタクト孔201,202内に入り込んだ部分(第一及び第二TFT9a,9bのドレイン電極16との接続部)において各容量電極17,18a,18bと短絡しないように、各容量電極17,18a,18bのコンタクト孔付近の部分を前記コンタクト孔201,202から充分に離間させた形状に形成している。
【0162】
さらに、前記第一被覆絶縁膜20aの上には、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素30,30のうちの一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域にそれぞれ、前記共通電極6と対向させて、前記第一画素電極5aと第二画素電極の隣り合う辺に沿う方向に延伸するように形成された補助電極19が設けられている。
【0163】
前記補助電極19は、上記第一及び第二実施例と同様に、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bとの間隔よりも狭幅な直線形状に形成されており、前記第一画素電極5aとの間隔と、前記第二画素電極5bとの間隔とが等しくなるように配置されている。そして、各補助電極19は、行毎に、隣り合う補助電極19,19の端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0164】
この第三実施例の液晶表示装置においても、第一容量電極17と第二容量電極18aとに共通電極6への印加電圧と同じ第一電圧V1を印加し、第三容量電極18bに前記第一電圧V1とは異なる第二電圧V2を印加することにより、上記第一実施例と同様に、視野角のばらつきを容易に補正することができ、また、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0165】
また、この第三実施例においても、前記補助電極19を備えているため、第一実施例と同様に、前記補助電極19に補助電圧を印加することにより、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0166】
[第四実施例]
図27に示した第四実施例は、上記第三実施例の液晶表示装置において、補助電極19を、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素30,30のうちの一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bとの間隔全体にわたる幅を有する形状に形成したものであり、他の構成は上記第三実施例と同じである。
【0167】
この第四実施例において、前記補助電極19は、その両側縁が、前記第一画素電極5aと第二画素電極5bとにそれぞれ極く僅かな重なり幅で重なる幅を有する形状に形成されており、第一画素電極5aとの重なり幅と、第二画素電極5bとの重なり幅とが等しくなるように配置されている。
【0168】
なお、この第四実施例では、第一容量電極17と、第二及び第三容量電極18a,18cのうちの補助電極19と隣接する第三容量電極18bとをそれぞれ、前記補助電極19と隣接する辺を第一画素電極5a及び第二画素電極5bの外縁よりもある程度、画素電極5a,5bの内側に入り込ませた形状に形成し、前記補助電極19を、前記第一容量電極17との間及び前記第三容量電極18bとの間に間隔をあけて配置している。
【0169】
この第四実施例の液晶表示装置においても、第一容量電極17と第二容量電極18aとに共通電極6への印加電圧と同じ第一電圧V1を印加し、第三容量電極18bに前記第一電圧V1とは異なる第二電圧V2を印加することにより、上記第一実施例と同様に、視野角のばらつきを容易に補正することができ、また、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0170】
また、この第四実施例においても、前記補助電極19を備えているため、第一実施例と同様に、前記補助電極19に補助電圧を印加することにより、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0171】
さらに、この第四実施例では、前記補助電極19を、第一画素電極5aとの重なり幅と、第二画素電極5bとの重なり幅とが等しくなるように配置しているため、補助電極19と第一画素電極5aとの間に形成される容量と、前記補助電極19と第二画素電極5bとの間に形成される容量は同じである。従って、補助電極19と第一画素電極5aとの間及び前記補助電極19と第二画素電極5bとの間に容量が形成されても、これらの容量が、第一画素電極5aに前記第一補償容量Cs1を設け、第二画素電極5bに前記第二補償容量Cs2と第三補償容量Cs3とを設けたことによる広視野角効果に影響することはない。
【0172】
[他の実施例]
なお、上記各実施例では、第三容量電極18bに、一定レベルの直流電圧からなる第二電圧V2を印加しているが、第三容量電極18bに印加する第二電圧は、第一容量電極17と第二容量電極18aに印加する第一電圧(共通電極6への印加電圧と同じ電圧)V1と異なる値の電圧であれば、他の電圧でもよい。
【0173】
その場合、前記第二電圧は、電圧レベルが前記第一電圧V1と同じ周期で反転し、且つ、振幅が前記第一電圧V1の振幅よりも小さい矩形波交流電圧でもよい。また、この第二電圧V2は、第一電圧V1と同位相の矩形波交流電圧でも、前記第一電圧V1とは逆位相の矩形波交流電圧でもよい。
【0174】
さらに、上記各実施例では、補助電極19に、補助電圧として、走査信号線7に印加する走査信号のうちの第一及び第二薄膜トランジスタ9a,9bをオフさせる電圧値の直流電圧を印加しているが、前記補助電圧は、共通電極6との電位差が、第一画素電極5a及び第二画素電極5bと前記共通電極6との間に印加する電圧の最大値よりも大きい電圧であれば、他の電圧でもよい。なお、補助電圧は、共通電極6との電位差が、液晶分子2aを最大チルト角で立ち上がり配向させる電圧値以上の電圧が好ましい。
【0175】
その場合、前記補助電圧は、直流電圧に限らず、例えば、電圧レベルが共通電極6に印加するコモン信号Vcom(第一及び第二容量電極17,18aに印加する第一電圧V1と同じ電圧)と同じ周期で反転し、且つ、振幅が前記第一電圧V1の振幅よりも大きい矩形波交流電圧でもよい。
【0176】
また、上記各実施例では、第一、第二及び第三容量電極17,18a,18bと補助電極19を、同じ面上(第一基板3上または第一被覆絶縁膜20a上)に形成しているが、前記各容量電極17,18a,18bと補助電極19は、異なる面上に形成してもよい。すなわち、例えば上記第三および第四実施例において、各容量電極17,18a,18bを第一基板3上に形成し、補助電極19を第一被覆絶縁膜20a上に形成してもよい。また、補助電極19を第一基板3上に形成し、各容量電極17,18a,18bを第一被覆絶縁膜20a上に形成してもよい。
【0177】
また、前記液晶表示素子1は、TN型液晶表示素子に限らず、液晶分子を180°〜270°の範囲の捩れ角でツイスト配向させたSTN型液晶表示素子、非ツイストのホモジニアス配向型液晶表示素子等でもよい。
【符号の説明】
【0178】
1…液晶表示素子、2…液晶層、3,4…基板、5a…第一画素電極、5b…第二画素電極、6…共通電極、7…走査信号線、8…データ信号線、9a…第一TFT、9b…第二TFT、17…第一容量電極、18a…第二容量電極、18b…第三容量電極、Cs1…第一補償容量、Cs2…第二補償容量、Cs3…第三補償容量、19…補助電極、30…画素、30a…第一領域、30b…第二領域、31…駆動手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、広い視野角をもった液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、表示の視野角を広くすることが望まれている。そのために、画素を二つの領域に区分し、その一方の領域と他方の領域とで液晶に印加される電圧値を異ならせることにより、前記2つの領域の視野角特性を互いに異ならせ、その両方の視野角特性が相乗した広い視野角を得ることが考えられている。
【0003】
この種の液晶表示装置としては、例えば、第一の薄膜トランジスタに接続された第一の画素電極と第二の薄膜トランジスタに接続された第二の画素電極とを画素毎に形成したものがある。
【0004】
この液晶表示装置において、前記第一の薄膜トランジスタと前記第二の薄膜トランジスタは、互いに同じデータ信号線及び走査信号線に接続されている。なお、前記走査信号線は、前記第一の画素電極と前記第二の画素電極との間を延伸するように配線されている。
【0005】
そして、この液晶表示装置では、前記第一の薄膜トランジスタの充電能力と、前記第二の薄膜トランジスタの充電能力とを異ならせることにより、前記一方の領域の液晶と他方の領域の液晶とに、異なる値の電圧を印加するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−152013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、液晶表示装置は、各種の工程を経て製造されるため、同機種の液晶表示装置であっても、製造工程で生じた絶縁膜厚や基板間隙等の誤差により、表示装置相互間に視野角のばらつきを生じることがある。そして、上記従来の液晶表示装置は、視野角のばらつきの補正が難しいため、所定の視野角の液晶表示装置を歩留まり良く得ることができない。
【0008】
また、上記従来の液晶表示装置は、第一画素電極及び第二画素電極と共通電極との間に電圧を印加したときに、前記第二画素電極と、隣接する画素の第一画素電極との何れか一方の電極の辺部付近の液晶分子が、配向膜のラビング方向によって規定されたプレチルト方向とは異なる方向に向かってチルトし、ディスクリネーションを発生する。
【0009】
このディスクリネーションの発生は、遮光膜(ブラックマスク)により隠されて見えないが、表示面に部分的に荷重が加わると、ディスクリネーションを発生した部分が周囲に押し広げられて画素の開口部内に入り込み、異常表示を生じさせる。そして、上記従来の液晶表示装置は、表示面に加えられた荷重が開放されても、ある程度の時間、前記ディスクリネーションによる異常表示が見える。
【0010】
この発明は、視野角のばらつきを容易に補正することができ、また、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる液晶表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、第一の薄膜トランジスタに接続された第一の画素電極と第二の薄膜トランジスタに接続された第二の画素電極とが画素毎に形成され、前記第一の薄膜トランジスタと前記第二の薄膜トランジスタとが、互いに同じデータ信号線及び走査信号線に接続され、前記第一の画素電極と共通電極との間及び前記第二の画素電極と前記共通電極との間に液晶層が形成された液晶表示装置であって、
前記第一の画素電極と前記第二の画素電極との間を延伸するように前記走査信号線が配置されると共に、
前記第一画素電極との間に第一誘電層が介在されて第一補償容量を形成する第一容量電極と、
前記第二画素電極との間に第二誘電層が介在されて第二補償容量を形成する第二容量電極と、
前記第二容量電極との間に所定の間隔をあけて配置され、前記第二画素電極との間に第三誘電層が介在されて第三補償容量を形成する第三容量電極と、
前記走査信号線の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素のうちの一方の画素の前記第一画素電極と他方の画素の前記第二画素電極との間の領域に、前記共通電極と対向させて、前記第一画素電極と前記第二画素電極の隣り合う辺に沿う方向に延伸するように配置された補助電極と、
前記第一容量電極と前記第二容量電極とに前記共通電極への印加電圧と同じ第一の電圧を印加し、前記第三容量電極に前記第一の電圧とは異なる第二の電圧を印加し、前記補助電極に、前記共通電極との電位差が、前記第一画素電極及び第二画素電極と前記共通電極との間に印加する電圧の最大値よりも大きい補助電圧を印加する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の液晶表示装置において、前記補助電圧は、前記共通電極との電位差が、液晶分子を最大チルト角で立ち上がり配向させる電圧値以上の電圧であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の液晶表示装置において、前記補助電圧は、前記走査信号線に印加する走査信号のうちの前記第一及び第二薄膜トランジスタをオフさせる電圧値の直流電圧であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の液晶表示装置において、前記補助電極は、前記一方の画素の第一画素電極と前記他方の画素の第二画素電極との間隔よりも狭幅な形状に形成され、前記第一画素電極との間隔と、前記第二画素電極との間隔とが等しくなるように配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1から3の何れかに記載の液晶表示装置において、前記補助電極は、前記一方の画素の第一画素電極と前記他方の画素の第二画素電極との間隔全体にわたる幅を有する形状に形成され、前記第一画素電極との重なり幅と、前記第二画素電極との重なり幅とが等しくなるように配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1から5の何れかに記載の液晶表示装置において、前記第一画素電極及び第二画素電極を覆って形成された第一配向膜と、前記共通電極を覆って形成された第二配向膜がそれぞれ、前記補助電極の延伸方向に対して交差する方向にラビングされていることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、前記請求項1から6の何れかに記載の液晶表示装置において、前記第一容量電極は、前記第一画素電極の全ての辺に重なるように形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載の液晶表示装置において、前記第二容量電極と前記第三容量電極は、その一方の容量電極が、前記第二画素電極の所定の一辺に沿う方向に延伸し、且つ前記所定の一辺に重なるように形成され、他方の容量電極が、前記一方の容量電極との間に所定の間隔をあけて、前記第二画素電極の前記所定の一辺を除く他の辺に重なるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、前記第三容量電極に印加する第二電圧の値を制御するだけで視野角を微調整することができ、従って、視野角のばらつきを容易に補正することができる。また、前記第二画素電極と隣接する画素の第一画素電極との間の領域の液晶の分子が、前記補助電極への前記補助電圧の印加によって立ち上がり配向するため、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の第一実施例による液晶表示装置の構成図。
【図2】第一実施例における液晶表示素子の平面図。
【図3】前記液晶表示素子の側面図。
【図4】前記液晶表示素子の第一基板の一部分の被覆絶縁膜及び配向膜を省略した平面図。
【図5】図4の一部分の拡大図。
【図6】図4のVI−VI矢視線に沿う拡大断面図。
【図7】図4のVII−VII矢視線に沿う拡大断面図。
【図8】図4のVIII−VIII矢視線に沿う拡大断面図。
【図9】図4のIX−IX矢視線に沿う拡大断面図。
【図10】前記液晶表示素子の液晶分子の初期配向状態及び第一及び第二偏光板の吸収軸の向きを示す平面図。
【図11】前記液晶表示素子の一つの画素の回路図。
【図12】前記液晶表示素子を駆動する走査信号とデータ信号と第一及び第二電圧の波形図。
【図13】前記第一電圧と第二電圧の関係を示す図。
【図14】前記画素の第一領域における第一画素電極と共通電極との間に印加される電圧を示す図。
【図15】前記画素の第二領域における第二画素電極と共通電極との間に印加される電圧を示す図。
【図16】前記第一領域と第二領域の液晶層での電圧−透過率特性図。
【図17】第一比較例の液晶表示装置の視角−輝度特性図。
【図18】第一実施例の液晶表示装置の視角−輝度特性図。
【図19】第二比較例の液晶表示装置における電圧印加時の液晶分子の配向状態を示す模式図。
【図20】前記第二比較例の液晶表示装置における表示面に荷重が加わったときの液晶分子の配向状態を示す模式図。
【図21】前記第二比較例の液晶表示装置における荷重開放後の液晶分子の配向状態を示す模式図。
【図22】第一実施例の液晶表示装置における電圧印加時の液晶分子の配向状態を示す模式図。
【図23】この発明の第二実施例における液晶表示素子の第一基板の一部分の被覆絶縁膜及び配向膜を省略した平面図。
【図24】この発明の第三実施例における液晶表示素子の第一基板の一部分の第一被覆絶縁膜と第二被覆絶縁膜及び配向膜を省略した平面図。
【図25】図25のXXV−XXV矢視線に沿う拡大断面図。
【図26】図25のXXVI−XXVI矢視線に沿う拡大断面図。
【図27】この発明の第四実施例における液晶表示素子の第一基板の一部分の第一被覆絶縁膜と第二被覆絶縁膜及び配向膜を省略した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施例]
この発明の第一実施例の液晶表示装置は、図1のように、液晶表示素子1と前記液晶表示素子1を駆動する駆動手段31とにより構成されている。
【0022】
前記液晶表示素子1は、薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)をスイッチング素子としたアクティブマトリックス型液晶表示素子であり、複数の画素30が、図2のように、行方向(図において左右方向)及び列方向(図において上下方向)に配列させて形成されている。
【0023】
この液晶表示素子1は、図2〜図10のように、対向配置された透明な第一基板3と第二基板4を備えている。そして、前記第一基板(例えば表示面側とは反対側の基板)3の第二基板4と対向する面に、複数の透明な画素電極5が行方向及び列方向に配列させて設けられ、前記第二基板4の第一基板3と対向する面に、前記各画素電極5と対向する一枚膜状の透明な共通電極6が設けられている。
【0024】
前記各画素電極5はそれぞれ、電気的に分離して形成された第一の画素電極5aと第二の画素電極5bとからなっている。この実施例において、第一画素電極5aと第二画素電極5bは、同じ横幅(行方向の幅)を有しており、第一画素電極5aは、縦幅(列方向の幅)が前記横幅の約2倍である縦長矩形形状に形成され、第二画素電極5bは、縦幅と横幅が同程度の略正方形形状に形成されている。
【0025】
さらに、前記第一基板3には、各画素電極5の行毎に行方向に延伸させて配線された複数の走査信号線7と、各画素電極5の列毎に列方向に延伸させて配線された複数のデータ信号線8とが設けられている。
【0026】
前記走査信号線7は、第一画素電極5aと第二画素電極5bとの間を延伸するように配置されている。また、前記データ信号線8は、各列の画素電極5の一側の領域に、列方向に延伸するように配置されている。
【0027】
また、前記第一基板3には、前記各画素電極5にそれぞれ対応させて、前記第一画素電極5aに接続された第一のTFT9aと、前記第二画素電極5bに接続された第二のTFT9aとが配置されている。この第一TFT9aと第二TFT9aは、前記第一画素電極5aと第二画素電極5bとの間の領域に、前記行方向に並べて配置されている。
【0028】
前記第一TFT9aと第二TFT9bはそれぞれ、図4、図5、図6及び図7のように、第一基板3上に形成されたゲート電極10と、前記第一基板3上の略全域に前記ゲート電極10を覆って形成された透明なゲート絶縁膜11と、このゲート絶縁膜11上にゲート電極10と対向させて形成された真正アモルファスシリコンからなる半導体薄膜12と、前記半導体薄膜12の上面の中央部に設けられたチャネル保護膜13と、前記半導体薄膜12のチャネル領域を挟んで、その一方の側と他方の側との上にそれぞれn型アモルファスシリコンからなるコンタクト層14を介して形成されたソース電極15及びドレイン電極16とからなっている。
【0029】
なお、前記第一TFT9aと第二TFT9bは、互いに逆向きの形状に形成されている。すなわち、第一TFT9aは、第一画素電極5aと対向する側にドレイン電極16が設けられ、その反対側にソース電極15が設けられた形状に形成されている。また、第二TFT9bは、第二画素電極5bと対向する側にドレイン電極16が設けられ、その反対側にソース電極15が設けられた形状に形成されている。
【0030】
そして、前記第一TFT9aのゲート電極10と第二TFT9bのゲート電極10は、前記第一画素電極5aと第二画素電極5bとの間を延伸するように配置された走査信号線7に接続されている。
【0031】
さらに、前記第一TFT9aのソース電極15と第二TFT9bのソース電極15は、前記第一画素電極5aと第二画素電極5bの一側を延伸するように配置されたデータ信号線8に接続されている。
【0032】
なお、前記各走査信号線7は、前記第一基板3上に、第一及び第二TFT9a,9bのゲート電極10と同じ金属膜により、前記ゲート電極10と一体に形成されている。また、前記各データ信号線8は、前記ゲート絶縁膜11の上に、第一及び第二TFT9a,9bのソース,ドレイン電極15,16と同じ金属膜により、前記各ソース電極15,15と一体に形成されている。
【0033】
前記データ信号線8には、各行の画素電極5の第一画素電極5aと第二画素電極5bとの間の領域に向かって延びる複数の分岐線8aが一体に形成されている。この分岐線8aは、互いに逆向きの形状に形成された前記第一TFT9aと第二TFT9bのうちの前記データ信号線8に近い側に配置された第一TFT9aのソース電極15側を通り、さらに前記データ信号線8から遠い側に配置された第二TFT9bのソース電極15側に達するように屈曲させた形状に形成されている。そして、前記データ信号線8は、前記分岐線8aを介して、前記第一TFT9aのソース電極15及び第二TFT9bのソース電極15に一体的に接続されている。
【0034】
なお、この実施例において、第一TFT9a及び第二TFT9bと走査信号線7とデータ信号線8は、第一基板3上にゲート電極10と走査信号線7を形成し、さらにゲート絶縁膜11と半導体薄膜12とチャネル保護膜13とを順次成膜して前記チャネル保護膜13を半導体薄膜12の中央部を覆う形状にパターニングした後に、コンタクト層14と金属膜とを順次成膜し、前記金属膜とコンタクト層14及び半導体薄膜12を一括してソース電極15及びドレイン電極とデータ信号線8の形状にパターニングする工程で形成されている。そのため、前記データ信号線8は、第一TFT9a及び第二TFT9bを構成する積層膜のうちの半導体薄膜12とコンタクト層14とからなる下地層の上に形成されている。
【0035】
さらに、前記ゲート絶縁膜11の上には、前記各TFT9a,9b及び前記各データ信号線8を覆って透明な被覆絶縁膜20が設けられており、この被覆絶縁膜20の上に前記第一画素電極5aと第二画素電極5bが形成されている。そして、前記第一画素電極5aは、前記第一TFT9aのドレイン電極16に接続され、第二画素電極5bは、前記第二TFT9aのドレイン電極16に接続されている。
【0036】
なお、第一画素電極5aと第二画素電極5bは、被覆絶縁膜20の第一TFT9a及び第二TFT9bのドレイン電極16,16上の部分に第一及び第二のコンタクト孔201,202を穿設した後に、前記被覆絶縁膜20上にITO膜を成膜し、そのITO膜を第一及び第二画素電極5a,5bの形状にパターニングすることにより形成される。
【0037】
従って、第一画素電極5aは、第一のコンタクト孔201において第一TFT9aのドレイン電極16に接続され、第二画素電極5bは、第二のコンタクト孔202において第二TFT9bのドレイン電極16に接続されている。
【0038】
すなわち、前記液晶表示素子1は、第一TFT9aに接続された第一画素電極5aと第二TFT9bに接続された第二画素電極5bとが画素30毎に形成され、前記第一TFT9aと第二TFT9bとが、互いに同じデータ信号線8及び走査信号線7に接続されたものである。
【0039】
そのため、各画素30はそれぞれ、第一画素電極5aと第2画素電極5bとの間の部分を境にして、第一画素電極5aが形成された側の第一領域30aと、第2画素電極5bが形成された側の第二領域30bとに区分されている。
【0040】
そして、第一TFT9aと第二TFT9bは、同じ走査信号線7からの走査信号によりオン,オフを制御され、同時にオンして、同じデータ信号線8から供給されたデータ信号を第一画素電極5aと第二画素電極5bに各々印加する。
【0041】
また、前記第一基板3には、各画素30毎に、第一画素電極5aとの間に第一誘電層が介在されて第一補償容量Cs1を形成する第一容量電極17と、第二画素電極5bとの間に第二誘電層が介在されて第二補償容量Cs2を形成する第二容量電極18aと、前記第二画素電極5bとの間に第三誘電層が介在されて第三補償容量Cs3を形成する第三容量電極18bとが設けられている。
【0042】
図4、図5及び図10のように、第一容量電極17は、第一画素電極5aの全ての辺に重なるように、第一画素電極5aの外形に対応する矩形枠形状に形成されている。なお、この第一容量電極17は、その各辺の第一画素電極5aに重なる側とは反対側の縁部が、第一画素電極5aの外側に僅かに張り出す幅に形成されている。そして、各画素30の第一容量電極17は、行毎に、隣り合う第一容量電極17,17の走査信号線7に隣接する辺とは反対側の辺の端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0043】
一方、第二容量電極18aと第三容量電極18bとのうち、第三容量電極18bは、第二画素電極5bの所定の一辺に沿う方向に延伸し、且つ前記所定の一辺に重なるように形成され、第二容量電極18aは、前記第三容量電極18bとの間に所定の間隔をあけて、前記第二画素電極5bの前記所定の一辺を除く他の辺に重なるように形成されている。
【0044】
この実施例において、前記第三容量電極18bは、第二画素電極5bの走査信号線7の延伸方向と平行な二つの辺(以下、横辺という)のうちの走査信号線7に隣接する側とは反対側の横辺に重なる直線形状に形成されている。なお、この第三容量電極18bは、第二画素電極5bに重なる側とは反対側の縁部が、第二画素電極5bの外側に僅かに張り出す幅に形成されている。そして、各画素30の第三容量電極18bは、行毎に、隣り合う第三容量電極18b,18bの端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0045】
また、第二容量電極18aは、第二画素電極5bの走査信号線7に隣接する側の横辺と、前記走査信号線7の延伸方向に対して交差する二つの辺(以下、縦辺という)とに重なる三方枠形状に形成されている。なお、この第二容量電極18aは、その各辺の第二画素電極5bに重なる側とは反対側の縁部が、第2画素電極5bの外側に僅かに張り出す幅に形成されている。そして、各画素30の第二容量電極18aは、行毎に、隣り合う第二容量電極18a,18aの前記走査信号線7に隣接する辺の端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0046】
さらに、前記第一基板3には、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素30,30のうちの一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域にそれぞれ、前記共通電極6と対向させて配置された補助電極19が設けられている。この補助電極19は、前記第一画素電極5aと第二画素電極の隣り合う辺に沿う方向に延伸するように形成されている。
【0047】
前記補助電極19は、一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bとの間隔よりも狭幅な直線形状に形成されており、前記第一画素電極5aとの間隔と、前記第二画素電極5bとの間隔とが等しくなるように配置されている。なお、この補助電極19は、一方の画素30の第一容量電極17と他方の画素30の第三容量電極18bとの間隔よりも狭い幅を有しており、前記第一容量電極17との間及び前記第三容量電極18bとの間に間隔をあけて配置されている。そして、各補助電極19は、行毎に、隣り合う補助電極19,19の端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0048】
この実施例において、前記第一、第二及び第三容量電極17,18a,18bと前記補助電極19は、第一基板3上に、各TFT9a,9bのゲート電極10及び走査信号線7と同じ金属膜により形成されている。
【0049】
そして、第一容量電極17は、第一画素電極5aの各辺に対して、前記ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜からなる第一誘電層を介して対向し、第一画素電極5aとの間に第一補償容量Cs1を形成している。
【0050】
また、第二容量電極18aは、第二画素電極5bの走査信号線7に隣接する横辺及び二つの縦辺に対して、前記ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜からなる第二誘電層を介して対向し、第二画素電極5bとの間に第二補償容量Cs2を形成している。
【0051】
さらに、第三容量電極18bは、前記第二画素電極5bの走査信号線7に隣接する側とは反対側の横辺に対して、前記ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜からなる第三誘電層を介して対向し、第二画素電極5bとの間に前記第三補償容量Cs3を形成している。
【0052】
すなわち、前記第一補償容量Cs1の第一誘電層と、前記第二各補償容量Cs2の第二誘電層と、前記第三補償容量Cs3の第三誘電層は、同一の層(ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜)として形成されている。
【0053】
一方、第二基板4には、図6〜図9のように、赤色フィルタ21R、緑色フィルタ21G及び青色フィルタ21Bの三色のカラーフィルタが、各画素30の列毎に交互に並べて形成されている。さらに、前記第二基板4には、各行及び各列の隣り合う画素30,30の間の領域及び各画素30の第一領域30aと第二領域30bとの間の領域に対応させて遮光膜22が形成されている。
【0054】
この実施例において、前記遮光膜22は、例えば黒色系の顔料を添加した感光性樹脂により形成されており、前記三色のカラーフィルタ21R,21G,21Bは、第二基板4上の遮光膜22の無い領域に形成されている。そして、前記共通電極6は、前記カラーフィルタ21R,21G,21B及び遮光膜22の上に、各画素30の配列領域の全域にわたって形成されている。
【0055】
さらに、第一基板3には、第一画素電極5a及び第二画素電極5bを覆って第一配向膜23が設けられ、第二基板4には、共通電極6を覆って第二配向膜24が設けられている。この配向膜23,24は、ポリイミド等の水平配向膜であり、それぞれの膜面を、前記補助電極19の延伸方向に対して交差する方向にラビングされている。
【0056】
前記第一基板3と第二基板4は、図2及び図3のように、所定の間隙を設けて対向配置され、画面エリア1aを囲む枠状のシール材25を介して貼り合わされている。そして、第一画素電極5aと共通電極6との間及び第二画素電極5bと前記共通電極6との間に液晶層2が形成されている。前記液晶層2は、第一基板3と第二基板4との間の間隙の前記シール材25で囲まれた領域に液晶を封入して形成されている。
【0057】
また、第一基板3の外面には、第一偏光板26が、その吸収軸を所定の方向に向けて配置され、第二基板4の外面には、第二偏光板27が、その吸収軸を所定の方向に向けて配置されている。
【0058】
この実施例の液晶表示素子1は、例えばTN型液晶表示素子であり、前記第一配向膜23と第二配向膜24は、互いに直交する方向にラビング処理されている。すなわち、図10において、矢印23rは第一配向膜23のラビング方向、矢印24rは第二配向膜24のラビング方向を示している。図10のように、第一配向膜23は、前記補助電極19の延伸方向(画面エリア1aの横軸方向と平行な方向)に対して一方の方向(図では右回り方向)に45°の角度で交差する方向にラビングされ、第二配向膜24は、前記補助電極19の延伸方向に対して前記一方の方向とは反対方向(図において左回り方向)に45°の角度で交差する方向にラビングされている。
【0059】
また、液晶層2は、誘電異方性が正のネマティック液晶からなっている。この液晶層2の液晶分子2aは、図11のように、第一基板3の近傍において第一配向膜23のラビング方向23rに分子長軸を向けて配列し、第二基板4の近傍において第二配向膜24のラビング方向24rに分子長軸を向けて配列すると共に、前記ラビング方向23r,24rの上流側(ラビングの開始端側)から下流側(ラビングの終了端側)に向かって配向膜面から離れる方向にプレチルトした状態で、第一基板3と第二基板4との間、つまり第一画素電極5a及び第二画素電極5bと共通電極6との間において、図11に示した破線矢印方向に90°のツイスト角でツイスト配向している。
【0060】
なお、前記補助電極19の延伸方向に対する第一配向膜23及び第二配向膜24のラビング方向23r,23rの角度は、厳密に45°でなくてもよく、また、液晶分子2aのツイスト角も、厳密に90°でなくてもよい。すなわち、補助電極19の延伸方向に対する配向膜23,24のラビング方向23r,24rの角度は、±5°程度の誤差が許容され、前記液晶分子2aのツイスト角は、±10°程度の誤差が許容される。
【0061】
そして、前記第一偏光板26と第二偏光板27は、第一画素電極5a及び第二画素電極5bと共通電極6との間への印加電圧が0Vのときの表示が最も明るい明表示であるノーマリーホワイトモードの液晶表示素子を構成するように配置されている。すなわち、図10のように、第一偏光板26は、その吸収軸26aを第一配向膜23のラビング方向24rと直交するか或いは平行な方向(図では直交する方向)に向けて配置され、第二偏光板27は、その吸収軸27aを前記第一偏光板26の吸収軸26aと直交する方向に向けて配置されている。
【0062】
また、第一基板3には、図2及び図3のように、例えば画面エリア1aの上下方向(列方向)の一端側に、第二基板4の外方に張出すドライバ搭載部3aが形成されており、このドライバ搭載部3aに、複数の入力端子と複数の走査信号出力端子及び複数のデータ信号出力端子(図示せず)が形成されたLSIからなるドライバ素子28が搭載されている。
【0063】
そして、前記各走査信号線7は、画面エリア1aの外側を迂回させて前記ドライバ素子28の各走査信号出力端子にそれぞれ接続され、前記各データ信号線8は、前記ドライバ素子28の各データ信号出力端子にそれぞれ接続されている。
【0064】
さらに、前記ドライバ搭載部3aには、第一電圧入力端子29aと第二電圧入力端子29bと補助電圧入力端子29cがそれぞれ一つずつ形成されている。そして、前記共通電極6は、前記枠状のシール材25による基板接合部に設けられたクロス接続部(図示せず)を介して、前記第一電圧入力端子29aに接続されている。
【0065】
また、図では省略しているが、前記第一基板3には、前記画面エリア1aの外側に、前記第一電圧入力端子29aに接続された一本の第一電圧供給線と、前記第二電圧入力端子29bに接続された一本の第二電圧供給線と、前記補助電圧入力端子29cに接続された一本の補助電圧供給線が、データ信号線8と平行に配線されている。
【0066】
そして、行毎に共通接続された全ての行の第一容量電極17と、行毎に共通接続された全ての行の第二容量電極18aは、前記一本の第一電圧供給線に接続され、この第一電圧供給線を介して、前記共通電極6と共に前記第一電圧入力端子29aに接続されている。また、行毎に共通接続された全ての行の第三容量電極18bは、前記一本の第二電圧供給線に接続され、この第二電圧供給線を介して前記第二電圧入力端子29bに接続されている。さらに、行毎に共通接続された全ての行の補助電極19は、前記一本の補助電圧供給線に接続され、この第二電圧供給線を介して前記補助電圧入力端子29cに接続されている。
【0067】
前記液晶表示素子1は、前記各画素30の行(以下、画素行という)を一行ずつ順次選択し、各画素行毎にその行の各画素30の第一画素電極5a及び第二画素電極5bと共通電極6との間に電圧を印加することにより駆動され、前記電圧の印加による液晶分子の配向状態の変化により、前記画素30の第一領域30aと第二領域30bの光の透過を制御して画像を表示する。なお、この液晶表示素子1の背後(表示面側とは反対側)には、画面エリア1aの全域に向けて均一な照度の光を照射する面光源(図示せず)が配置されている。
【0068】
次に、前記液晶表示素子1を駆動する駆動手段31について説明する。この駆動手段31は、図1のように、外部から入力される画像データを一時的に記憶する画像メモリ32と、前記液晶表示素子1の各走査信号線7に走査信号を印加する走査信号線駆動回路33と、前記液晶表示素子1の各データ信号線8にデータ信号を印加するデータ信号線駆動回路34と、第一電圧発生回路35及び第二電圧発生回路36と、これらの制御部37とを備えている。なお、前記走査信号線駆動回路33とデータ信号線駆動回路34は、前記液晶表示素子1のドライバ搭載部3aに搭載されたドライバ素子28に形成されている。
【0069】
さらに、この駆動手段31は、第一TFT9a及び第二TFT9bをオンさせる所定の値のオン電圧VgHと、前記第一TFT9a及び第二TFT9bをオフさせる所定の値のオフ電圧VgLとを発生する走査信号電源38を備えている。
【0070】
走査信号線駆動回路33は、走査信号電源38から前記オン電圧VgHとオフ電圧VgLを供給され、制御部37からの同期用クロック信号等の制御信号に基づいて、各走査信号線7にそれぞれ、電圧値がオン電圧VgHとオフ電圧VgLとに変化する走査信号を印加する。
【0071】
図12において、t1,t2,t3,t4,…tnは、一画面を表示する1フレーム(第一行から最終行までの各画素行を順次選択して全ての画素行の各画素30に一画面分のデータ信号を印加する期間)を前記各画素の行数で分割した各画素行の選択期間であり、t1は第一行の選択期間、t2は第二行の選択期間、t3は第三行の選択期間、t4は第四行の選択期間、t5は第五行の選択期間、tnは最終行(n行)の選択期間である。
【0072】
また、図12において、G1,G2,G3,G4,…Gnは各走査信号線7にそれぞれ印加される走査信号であり、G1は第一行の走査信号線7に印加される走査信号、G2は第二行の走査信号線7に印加される走査信号、G3は第三行の走査信号線7に印加される走査信号、G4は第四行の走査信号線7に印加される走査信号、G5は第五行の走査信号線7に印加される走査信号、Gnは最終行(n行)の走査信号線7に印加される走査信号である。
【0073】
これらの走査信号は、該走査信号を印加する走査信号線7が対応する画素行の選択期間t1,t2,t3,t4,…tnの開始時よりも所定時間遅れた書込み開始時に前記オン電圧VgHになり、前記選択期間t1,t2,t3,t4,…tnの終了時よりも所定時間早い書込み終了時に前記オフ電圧VgLになる波形の信号であり、非選択期間はオフ電圧VgLに保たれる。
【0074】
そのため、各行の画素30の第一TFT9aと第二TFT9bは、その行の選択期間に、前記書込み開始時にオン電圧VgHの走査信号によりオンし、一定時間後の書込み終了時にオフ電圧VgLの走査信号によりオフする。
【0075】
データ信号線駆動回路34は、制御部37からの制御信号に基づいて、前記画像メモリ32に一時的に記憶された画像データを一画素行分ずつ前記制御部37を介して取り込み、各画素行の選択期間毎に、一画素行分の各画像データそれぞれの階調値に対応した各データ信号を各データ信号線8に印加する。
【0076】
図12に示したデータ信号Dは、各データ信号線8のうちの一本のデータ信号線に印加される信号であり、このデータ信号Dは、各画素行の選択期間t1,t2,t3,t4,…tn毎に、共通電極6に印加される第一電圧V1との差が、前記画像データの各選択期間毎の階調値に対応する値になるように電位が変化する矩形波信号である。
【0077】
前記各データ信号線8に印加されたデータ信号Dは、選択された行の各画素30の第一画素電極5aと第二画素電極5bとに、前記第一TFT9a及び第二TFT9bのオンにり同時に供給される。
【0078】
また、第一電圧発生回路35は、制御部37からの制御信号に基づいて第一の電圧V1を発生する。この第一電圧V1は、前記第一電圧入力端子29aを介して、共通電極6と、各行の第一容量電極17及び第二容量電極18aとに印加される。すなわち、各行の第一容量電極17及び第二容量電極18aに印加される第一電圧V1は、共通電極6への印加電圧と同じ電圧である。
【0079】
この実施例において、第一電圧発生回路35から共通電極6と各行の第一容量電極17及び第二容量電極18aに印加される第一電圧V1は、図12に示したように、各画素行の選択期間t1,t2,t3,t4,…tn毎に電圧レベルがハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lとに反転し、さらに前記電圧レベルが1フレーム毎に反転する矩形波交流電圧である。以下、この第一電圧V1のうちの共通電極6に印加する電圧をコモン信号Vcomという。
【0080】
一方、第二電圧発生回路36は、制御部37からの制御信号に基づいて、前記第一電圧V1とは異なる第二の電圧V2を発生する。この実施例において、前記第二電圧V2は、図12に示したように、一定レベルの直流電圧であり、前記第二電圧入力端子29bを介して、前記各行の第三容量電極18bに印加される。
【0081】
この実施例において、前記第二電圧V2は、図13のように、前記第一電圧V1のハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lとの間の値の電圧、例えばハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lの中間の値の電圧である。
【0082】
このように、前記駆動手段31は、前記第一容量電極17と第二容量電極18aとに共通電極6への印加電圧と同じ第一の電圧V1を印加し、第三容量電極18bに前記第一の電圧V1とは異なる第二の電圧V2を印加する。
【0083】
この液晶表示装置において、前記液晶表示素子1の各画素30はそれぞれ、図11のような回路で表すことができる。すなわち、一つの画素30の第一領域30aは、第一画素電極5aと共通電極6及びその間の液晶層2とからなる第一画素容量CLC1と、前記第一画素電極5aと第一容量電極17及びその間の第一誘電層(ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜)とからなる第一補償容量Cs1とが第一画素電極5aにおいて接続され、前記第一画素電極5aに第一TFT9aが接続された回路からなっている。
【0084】
また、前記画素30の第二領域30bは、第二画素電極5bと共通電極6及びその間の液晶層2とからなる第二画素容量CLC2と、前記第二画素電極5bと第二容量電極18a及びその間の第二誘電層(ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜)とからなる第二補償容量Cs2と、前記第二画素電極5bと第三容量電極18b及びその間の第三誘電層(ゲート絶縁膜11と被覆絶縁膜20との二層膜)とからなる第三補償容量Cs3とが第二画素電極5bにおいて接続され、前記第二画素電極5bに第二TFT9bが接続された回路からなっている。
【0085】
そして、前記共通電極6には、各画素行の選択期間毎に電圧レベルがハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lとに反転するコモン信号Vcomが印加され、前記第一容量電極17と前記第二容量電極18aにはそれぞれ、前記コモン信号Vcomと同じ第一電圧V1が印加され、前記第三容量電極18bには、前記第一電圧V1とは異なる第二電圧(第一及び第二TFT9a,9bのオフ電圧VgLと同じ値の直流電圧)V2が印加される。
【0086】
また、選択された画素行の各画素30の第一画素電極5aと第二画素電極5bには、第一TFT9a及び第二TFT9bのオンにより、データ信号線8から供給されたデータ信号Dがそれぞれ印加される。
【0087】
前記第一画素電極5aと共通電極6との間と、前記第二画素電極5bと共通電極6との間に印加される電圧(以下、書込み電圧という)はそれぞれ、前記第一電圧V1と前記データ信号Dとの電圧差に対応した値の電圧であり、その書込み電圧が前記第一画素容量CLC1と前記第二画素容量CLC2とにチャージされる。
【0088】
また、前記第一容量電極17と前記第二容量電極18aへの印加電圧はそれぞれ前記共通電極6へ印加されるコモン信号Vcomと同じ第一電圧V1であるため、前記第一補償容量Cs1と第二補償容量Cs2にはそれぞれ前記書込み電圧と同じ電圧がチャージされる。
【0089】
一方、前記第三容量電極18bへの印加電圧は前記第一電圧V1とは異なる第二電圧V2であるため、前記第三補償容量Cs3には、前記書込み電圧とは異なる電圧(書込み電圧に対して第一電圧V1と第二電圧V2との差に対応した電圧差をもった電圧)がチャージされる。
【0090】
なお、第一画素電極5aと走査信号線7及びデータ信号線8との間には、第一TFT9aのゲート−ソース間容量及びドレイン−ソース間容量等の寄生容量(以下、第一寄生容量という)が存在する。また、第二画素電極5bと走査信号線7及び走査信号線7との間には、第二TFT9bのゲート−ソース間容量及びドレイン−ソース間容量等の寄生容量(以下、第二寄生容量という)が存在する。
【0091】
そのため、第一TFT9a及び第二TFT9bがオフし、書込みが終了すると、第一画素容量CLC1及び第二補償容量Cs2にチャージされた電圧が、前記第一寄生容量への電圧の引込みによってある程度降下し、第二画素容量CLC2と第二補償容量Cs2及び第三補償容量Cs3にチャージされた電圧が、前記第二寄生容量への電圧の引込みによってある程度降下する。
【0092】
そして、画素30の第一領域30aの液晶は、前記第一画素容量CLC1のチャージ電圧(第一画素電極5aと共通電極6との間の電圧)により駆動される。また、前記画素30の第二領域30bの液晶は、前記第二画素容量CLC2のチャージ電圧(第二画素電極5bと共通電極6との間の電圧)により駆動される。
【0093】
図14は、第一行の各画素30のうちの1つの画素30の第一領域30aにおける第一画素電極5aと共通電極6との間に印加される電圧を示し、図15は、前記画素30の第二領域30bにおける第二画素電極5bと共通電極6との間に印加される電圧を示している。図14において、VP1は第一画素電極5aの電位である。また、図15において、VP2は第二画素電極5bの電位である。なお、図14及び図15では、前記第一画素電極5a及び第二画素電極5bの電位VP1,VP2とコモン信号Vcomとを区別しやすいように、これらの立ち上がり及び立ち下がりを傾斜させている。
【0094】
図14のように、第一画素電極5aと共通電極6との間の電圧は、前記第一行の選択期間t1のうちのTFT9a,9bのオン期間に、データ信号線8から第一TFT9aを介して第一画素電極5aに印加されたデータ信号Dと、共通電極6に印加されたコモン信号Vcomとの電位差に対応した書込み電圧Vaになる。
【0095】
そして、前記第一TFT9aがオフすると、前記第一画素電極5aと共通電極6との間の電圧が、前記書込み電圧Vaに対して前記第一寄生容量による引込み電圧ΔV1分だけ降下した電圧Va1になる。以下、この電圧Va1を第一保持電圧という。
【0096】
また、前記共通電極6に印加されるコモン信号Vcomの電圧レベルは、各画素行の選択期間t1,t2,t3,t4,…tn毎に反転するが、前記コモン信号Vcomと第一容量電極17に印加される第一電圧V1は同じ電圧であるため、前記コモン信号Vcomの電圧レベルが反転しても、第一画素容量CLC1及び第一補償容量Cs1のチャージ電圧は変化しない。そのため、前記第一画素電極5aと共通電極6との間の電圧は、第二行以下の各画素行の選択期間線t2,t3,t4,…tnにおいても前記第一保持電圧Va1に保たれる。
【0097】
従って、前記第一画素電極5aと共通電極6との間の第一保持電圧Va1は、前記コモン信号Vcomの電圧レベル反転にかかわらず、第一行の選択期間t1の書込み終了後から1フレームの終了時までの期間中、前記第一行の選択期間t1における第一保持電圧Va1と実質的に同じ電圧に維持され、その電圧が、前記第一領域30aの液晶に1フレームの実効電圧として印加される。
【0098】
また、第二画素電極5bと共通電極6との間の電圧は、図15のように、前記第一行の選択期間t1のうちのTFT9a,9bのオン期間に、前記データ信号線8から第二TFT9bを介して第二画素電極5bに印加されたデータ信号Dと、共通電極6に印加されたコモン信号Vcomとの電位差に対応した書込み電圧Vaになる。この書込み電圧Vaは、前記第一画素電極5aと共通電極6との間に印加された書込み電圧Vaと同じ値の電圧である。
【0099】
そして、第二TFT9bがオフすると、前記第二画素電極5bと共通電極6との間の電圧が、前記書込み電圧Vaに対して前記第二寄生容量による引込み電圧ΔV2分だけ降下した電圧Va2になる。以下、この電圧Va2を第二保持電圧という。なお、前記第二寄生容量による引込み電圧ΔV2は、前記第一寄生容量による引込み電圧ΔV1と略同じであり、従って、前記第二保持電圧Va2は、前記第一保持電圧Va1と略同じ値の電圧である。
【0100】
一方、第二容量電極18aへの印加電圧である第一電圧V1は、共通電極6に印加されるコモン信号Vcomと同じ電圧(各画素行の選択期間t1,t2,t3,…tn毎に電圧レベルが反転する電圧)であるが、第三容量電極18bへの印加電圧である第二電圧V2は、前記第一電圧V1とは異なる一定レベルの直流電圧である。
【0101】
そのため、前記コモン信号Vcomの電圧レベルが第一行の選択期間t1の電圧レベルに対して反転すると、共通電極6と第三容量電極18bとの間の電圧値の低下に伴って、第一画素容量CLC1と第二補償容量Cs2及び第三補償容量Cs3のそれぞれのチャージ電圧が、これらのCLC1,Cs2,Cs3の容量値に対応した比率で降圧する。
【0102】
また、前記コモン信号Vcomの電圧レベルが第一行の選択期間t1の電圧レベルと同じになると、第一画素容量CLC1及び第二補償容量Cs2のチャージ電圧と第三補償容量Cs3のチャージ電圧がそれぞれ前記第一画素行の選択期間t1における書込み終了後の電圧(第二TFT9bがオフした後の電圧)になる。
【0103】
そのため、第二画素電極5bと共通電極6との間の電圧は、第二行以下の各画素行のうちの偶数番の画素行の選択期間(コモン信号Vcomの電圧レベルが第一行の選択期間t1の電圧レベルに対して反転する選択期間)t2,t4,…に、前記第二保持電圧Va2に対して降圧した電圧Va3になり、奇数番の画素行の選択期間(コモン信号Vcomの電圧レベルが第一行の選択期間t1の電圧レベルと同じになる選択期間)t3,t5,…に、前記第二保持電圧Va2と実質的に同じ電圧に戻る。
【0104】
従って、第二領域30bの液晶には、各画素行の選択期間t1,t2,t3,…tn毎に交互に印加される前記電圧Va2,Va3を平均した値の電圧が、1フレームの実効電圧として印加される。
【0105】
なお、前記第二保持電圧Va2と、この第二保持電圧Va2に対して降圧した電圧Va3は、次の(1)式及び(2)式により求めることができる。
【0106】
Va2=(Cic+C2)×(Vpix−VcomL)+C3×(Vpix−C3)
+Cds×(Vpix−VsigH)+Cgs×(Vpix−VgL) …(1)
Va3=(Cic+C2)×(Vpix−VcomH)+C3×(Vpix−C3)
+Cds×(Vpix−VsigL)+Cgs×(Vpix−VgL) …(2)
Clc;第二画素容量CLC2の容量値
C2;第二補償容量Cs2の容量値
C3;第三補償容量Cs3の容量値
Cgs;第二TFT9bのゲート−ソース間容量
Cds;第二TFT9bのドレイン−ソース間容量
VsigH;第一画素行の選択期間におけるデータ信号の電位
VsigL;第二画素行の選択期間におけるデータ信号の電位
VgL;走査信号のオフ電圧
Vpix;第二画素電極5bの電位
VcomL;コモン信号Vcomのローレベル値値(V1L)
VcomH;コモン信号Vcomのハイレベル値値(V1H)
また、前記第二領域30bの液晶に印加される1フレームの実効電圧は、次の(3)式により求めることができる。
【0107】
実効電圧={(Va22+Va32)/2}1/2 …(3)
このように、各画素30の第二領域30bの1フレームの実効電圧は、同じ画素30の第一領域30aの1フレームの実効電圧に対して降圧した電圧であり、従って、同じ階調値のデータ信号に対して、前記第二領域30bの液晶分子が、前記第一領域30aの液晶分子の立ち上がり角よりも小さい角度で立ち上がる。
【0108】
そのため、各画素30の第二領域30bの液晶層2での電圧−透過率特性は、前記第一領域30aの液晶層2での電圧−透過率特性とは異なる特性である。図16は、画素電極5と共通電極6との間への印加電圧が0Vのときの表示が最も明るいノーマリーホワイトモードの液晶表示素子における前記第一領域30aと第二領域30bの電圧−透過率特性を示している。図16のように、前記第二領域30bの電圧−透過率特性は、前記第一領域30aの電圧−透過率特性に対して高電圧側にシフトした特性である。
【0109】
従って、液晶層2の層厚(第一基板1と第二基板2との間の間隙)等を、第一領域30aの電圧−透過率特性が所定の視野角が得られる特性になるように設計し、さらに、前記第二電圧V2の値を、第二領域30bの電圧−透過率特性が前記第一領域30aの電圧−透過率特性に対して所定量だけシフトした特性、つまり第一領域30aの視野角とは異なる視野角が得られる特性になるように前記第二電圧V2の値を設定することにより、第一領域30aの視野角特性と第二領域30bの視野角特性とが相乗した広い視野角を得ることができる。
【0110】
また、第一領域30aの視野角特性と第二領域30bの視野角特性とが相乗した視野角は、前記第一領域30aと第二領域30bとの面積比(第一画素電極5aと第二画素電極5bとの面積比)に対応するため、この面積比を選択することにより、所定の広さの視野角を得ることができる。
【0111】
図17は、各画素電極がそれぞれ画素の全域に対応する形状に形成され、6時方向から見たときにコントラストが最も高くなるように設計された第一比較例のTN型液晶表示装置の視角−輝度特性を示している。また、図18は、上記第一実施例の液晶表示装置であって、前記各画素30の第一領域30aと第二領域30bの面積比が、第一領域面積:第二領域面積=7:3に設定され、6時方向から見たときにコントラストが最も高くなるように設計されたTN型液晶表示装置の視角−輝度特性を示している。図17及び図18において、視角は、9時方向の視角を0°としたときの前記0°方向に対して反時計回り(左回り)の角度である。また、輝度は、各視角における液晶表示素子の法線に対して所定角度傾いた方向の輝度である。
【0112】
なお、図17及び図18では、各画素30の第一画素電極5aと第二画素電極5bに、L0(最も暗い階調値)〜L21(最も明るい階調値)の22階調のうちのL0,L1,L2,L7,L10,L12,L16,L18,L19,L20,L21の各階調値のデータ信号を印加したときの視角−輝度特性を示している。
【0113】
図18のように、上記実施例の液晶表示装置は、90°(6時)における方向の視角−輝度特性が、前記比較例の液晶表示装置と略同じであり、しかも、270°(12時)方向の視角−輝度特性が、前記比較例の液晶表示装置に比べて、低階調側での階調潰れや階調反転が改善された特性であり、従って、広い視野角を得ることができる。
【0114】
さらに、上記実施例の液晶表示装置は、前記第三容量電極18bに印加する電圧値を制御するだけで視野角を微調整することができる。そのため、製造工程で生じた絶縁膜厚や基板間隙等の誤差により、表示装置相互間に視野角のばらつきが生じても、前記視野角のばらつきを容易に補正することができる。
【0115】
すなわち、上記実施例の液晶表示装置は、前記第一容量電極17と第二容量電極18aとに共通電極6への印加電圧と同じ第一電圧V1を印加し、前記第三容量電極18bに前記第一の電圧V1とは異なる第二電圧V2を印加するようにしているため、前記第三容量電極18bに印加する第二電圧V2の値を制御することにより、前記第二領域30bの電圧−透過率特性を変化させることができる。
【0116】
前記第二領域30bの電圧−透過率特性は、図16に示したように、前記第一領域30aの電圧−透過率特性に対して高電圧側にシフトした特性であり、そのシフト量は、前記第二容量電極18aに印加された第一電圧V1と、前記第三容量電極18bに印加された第二電圧V2との差に対応する。
【0117】
この実施例において、前記第一領域30aの電圧−透過率特性に対する第二領域30bの電圧−透過率特性のシフト量は、前記第一電圧V1に対する第二電圧V2の差を小さくするのに伴って小さくなり、前記第一電圧V1に対する第二電圧V2の差を大きくするのに伴って大きくなる。
【0118】
このように、上記液晶表示装置は、前記第二領域30bの電圧−透過率特性を変化させることができるため、前記第二領域30bの視野角特性を任意に調整することができる。従って、前記第一領域30aの視野角特性と第二領域30bの視野角特性とを相乗させた視野角を所定の値になるように微調整し、表示装置相互間の視野角のばらつきを補正することができる。この視野角のばらつきの補正は、前記第三容量電極18bに印加する第二電圧V2を制御するだけで容易に行うことができる。
【0119】
また、上記液晶表示装置は、前記第一容量電極17を、第一画素電極5aの全ての辺に重なる矩形枠形状に形成しているため、前記第一補償容量Cs1の容量値を充分大きくすることができる。
【0120】
さらに、上記液晶表示装置は、前記第二容量電極18aと第三容量電極18bとのうち、第三容量電極18bを、第二画素電極5bの所定の一辺に沿う方向に延伸し、且つ前記所定の一辺に重なるように形成し、第二容量電極18aを、前記第三容量電極18bとの間に所定の間隔をあけて、前記第二画素電極5bの前記所定の一辺を除く他の辺に重なるように形成しているため、前記第三補償容量Cs3の容量値に対して前記第二補償容量Cs2の容量値を大きくすることができる。そのため、第三容量電極18bに印加する第二電圧V2の値に若干の変動があっても、第二領域30bの液晶層2での電圧−透過率特性がみだりに変動することがない。従って、より微細に電圧−透過率特性を調整することが可能になる。また、前記第三容量電極18bへのノイズ電圧の印加による前記第二領域30bの液晶層2での電圧−透過率特性の変動も抑制することができる。
【0121】
また、上記実施例では、共通電極6に印加するコモン信号Vcomと第一容量電極17に印加する第一電圧V1(Vcom=V1)を、電圧レベルが所定の周期で反転する矩形波交流電圧、例えば1フレーム中の各画素行の選択期間t1,t2,t3,t4,…tn毎に電圧レベルが反転する矩形波交流電圧としている。そのため、各画素30の第一領域30aの液晶に、第一行の選択期間t1の書込み終了後から1フレームの終了時までの期間中、前記第一保持電圧Va1に対応した一定値の実効電圧を印加することができる。
【0122】
さらに、上記実施例では、第二容量電極18aに、共通電極6及び第一容量電極17への印加電圧と同じ第一電圧(矩形波交流電圧)V1を印加し、前記第三容量電極18bに、一定レベル、例えば前記第一電圧V1を形成するハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lとの間の値の直流電圧からなる第二電圧V2を印加している。そのため、第二画素電極5bと共通電極6との間の電圧を、図15のように、第二保持電圧Va2とそれよりも降圧した電圧Va3とに交互に変化させ、各画素30の第二領域30bの液晶に、第一行の選択期間t1の書込み終了後から1フレームの終了時までの期間中、前記二つの電圧Va2,Va3を平均した値の実効電圧を印加することができる。
【0123】
しかも、この液晶表示装置は、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素30,30のうちの一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域にそれぞれ、共通電極6と対向させて、前記第一画素電極5aと前記第二画素電極5bの隣り合う辺に沿う方向に延伸するように配置された補助電極19を備えている。ため、この補助電極19と共通電極6との間に電圧を印加することができる。
【0124】
そのため、上記実施例の液晶表示装置は、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0125】
図19〜図21は、前記補助電極19を備えない第二比較例の液晶表示装置における液晶分子2aの配向状態を示す模式図、図22は、上記実施例の液晶表示装置における液晶分子2aの配向状態を示す模式図であり、何れも、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接した二つの画素30,30の隣接部分における液晶分子2aの配向状態を示している。
【0126】
なお、前記第二比較例の液晶表示装置は、前記補助電極19を備えていないが、他の構成は上記実施例の液晶表示装置と同じである。また、上記実施例及び第二比較例の液晶表示装置はTN型液晶表示装置であるが、図19〜図21及び図22では、液晶分子2aのチルト方向を簡単に把握できるように、第一配向膜23と第二配向膜24を互いに平行で且つ反対方向にラビングした非ツイストのホモジニアス配向型における液晶分子2aの配向状態を示している。
【0127】
前記第二比較例の液晶表示装置は、前記補助電極19を備えていないため、隣接する一方の画素30の第一画素電極51と他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域と共通電極6との間は常に無電界状態である。
【0128】
そして、第一及び第二画素電極5a,5bと共通電極6との間に電圧が印加されると、第一画素電極5aと共通電極6との間及び第二画素電極5bと共通電極6との間に駆動電界が生じ、この駆動電界によって液晶分子2aが基板3,4面に対して立ち上がるように配向する。
【0129】
前記駆動電界は、隣接する画素電極5a,5bの縁部間に生じる横電界の影響により、第一画素電極5aの辺部付近及び第二画素電極5bの辺部付近において基板3,4の法線方向に対して斜めに傾いた方向に歪んだ電界である。すなわち、第一画素電極5aと共通電極6との間に生じる駆動電界は、図19に等電位線E1で示したような電位分布の電界であり、また第二画素電極5bと共通電極6との間に生じる駆動電界は、図19に等電位線E2で示したような電位分布の電界である。
【0130】
そのため、第一画素電極5aと第二画素電極5bの互いに隣接する辺部のうち、第一配向膜23のラビング方向23rの上流側及び第二配向膜24のラビング方向24rの下流側に位置する画素電極の辺部付近の液晶分子2aが、第一配向膜23及び第二配向膜24のラビング方向23r,24rによって規定されたプレチルト方向とは反対方向にチルトするように立ち上がり、その部分にディスクリネーションを発生する。
【0131】
例えば第一配向膜23及び第二配向膜24のラビング方向23r,24rが図19のような方向であるときは、図において右側に位置する第二画素電極5bの左側の辺部付近の液晶分子2aがプレチルト方向とは反対方向にチルトするように立ち上がってディスクリネーションを発生する。また、前記第一配向膜23及び第二配向膜24のラビング方向23r,24rが図19とは反対方向であるときは、図において左側に位置する第一画素電極5aの右側の辺部付近の液晶分子2aがプレチルト方向とは反対方向にチルトするように立ち上がってディスクリネーションを発生する。
【0132】
前記液晶分子2aがプレチルト方向に対して順方向にチルトする領域と、プレチルト方向に対して反対方向にチルトする領域との境目は、ディスクリネーションラインと呼ばれている。このディスクリネーションラインDLは、殆んどの場合、第二基板4に設けられた遮光膜22により隠された位置に生じるため、ディスクリネーションの発生は外部からは見えない。
【0133】
しかし、図20のように、液晶表示装置の表示面に、指先の押付け等によって部分的に荷重Wが加わり、その荷重Wによって第二基板4が撓み変形すると、ディスクリネーションを発生した部分が周囲に押し広げられてディスクリネーションラインDLが前記右側の画素30の開口部内に入り込み、異常表示を生じさせる。
【0134】
そして、上記第二比較例の液晶表示装置は、表示面に加えられた荷重Wが開放され、第二基板4が図21のようにフラットな状態に復帰しても、直ぐには液晶分子2aの配向状態が図19の状態に戻らないため、ある程度の時間、前記ディスクリネーションによる異常表示が見える。
【0135】
上記第二比較例の液晶表示装置に対して、上記実施例の液晶表示装置は、前記補助電極19を備えているため、この補助電極19への補助電圧の印加により、該補助電極19と共通電極6との間に電界を生じさせ、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域に対応する部分の液晶分子2aを基板3,4面に対して立ち上がり配向させることができる。
【0136】
前記補助電極19と共通電極6との間に生じさせる電界は、前記第一画素電極5aと共通電極6との間及び第二画素電極5bと共通電極6との間の駆動電界の最大値よりも強い電界が良い。
【0137】
そのために、上記実施例の液晶表示装置は、前記駆動手段31により、前記補助電極19に対して、共通電極6との電位差が第一画素電極5a及び第二画素電極5bと共通電極6との間に印加する電圧の最大値よりも大きい補助電圧を印加するようにしている。
【0138】
前記補助電極19に印加する補助電圧は、共通電極6との電位差が、液晶分子2aを基板3,4面に対して最大チルト角で立ち上がり配向させる強さの電界を生じさせる値の電圧が好ましい。
【0139】
上記実施例では、前記補助電極19に、補助電圧として、走査信号線7に印加する走査信号のうちの第一及び第二薄膜トランジスタ9a,9bをオフさせる電圧値の直流電圧を印加するようにしている。
【0140】
すなわち、上記実施例では、走査信号電源38のオフ電圧VgLの出力端子を、液晶表示素子1のドライバ搭載部3aに形成された補助電圧入力端子29cに接続し、制御部37により、液晶表示素子1の駆動中継続して前記走査信号電源38は前記補助電圧入力端子29cにオフ電圧VgLを出力させるようにしている。
【0141】
なお、前記オフ電圧VgLは、共通電極6に印加するコモン信号Vcom(=V1)の振幅の中心電位に対して10〜15Vの電位差をもった電圧である。一方、前記コモン信号Vcomの振幅(ハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lとの差)は5V±1V程度である。従って、前記オフ電圧VgLは、前記コモン信号Vcomのハイレベル値V1Hとローレベル値V1Lの両方に対して7V以上の電位差を有している。
【0142】
上記実施例の液晶表示装置においても、第一画素電極5aと共通電極6との間に生じる駆動電界は、図22に等電位線E1で示したような電位分布の電界であり、また第二画素電極5bと共通電極6との間に生じる駆動電界は、図22に等電位線E2で示したような電位分布の電界である。
【0143】
そのため、第一画素電極5aと第二画素電極5bの互いに隣接する辺部のうち、第一配向膜23のラビング方向23rの上流側及び第二配向膜24のラビング方向24rの下流側に位置する画素電極の辺部付近(図22では右側に位置する第二画素電極5bの左側の辺部付近)の液晶分子2aが、第一配向膜23及び第二配向膜24のラビング方向23r,24rによって規定されたプレチルト方向とは反対方向にチルトするように立ち上がり、その部分にディスクリネーションを発生する。
【0144】
そして、液晶表示装置の表示面に部分的に荷重Wが加わると、ディスクリネーションを発生した部分が周囲に押し広げられてディスクリネーションラインDLが前記右側の画素30の開口部内に入り込み、異常表示を生じさせる。
【0145】
しかし、上記実施例の液晶表示装置は、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域に配置された補助電極19と共通電極6との間に常に強い電界Eaが生じているため、表示面に加えられた荷重Wが開放されると、前記第一画素電極5aと第二画素電極5bとの間の領域の液晶分子2aが、速やかに前記電界Eaによって立ち上がり配向し、それに伴って、液晶分子2aの配向状態が図22の状態に戻る。
【0146】
従って、上記実施例の液晶表示装置によれば、表示面に加えられた荷重Wが開放される表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0147】
なお、図19〜図21及び図22には、非ツイストのホモジニアス配向型における液晶分子2aの配向状態を示したが、第一配向膜23と第二配向膜24を画面エリア1aの横軸方向に対して45°の角度で交差する方向にラビングしたTN型液晶表示装置では、第一配向膜23と第二配向膜24のラビング方向23r,24rが図5及び図10に示した方向であるときに、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bの隣り合う辺部のうち、第二画素電極5bの辺部付近にディスクリネーションが発生する。また、第一配向膜23と第二配向膜24のラビング方向23r,24rが図5及び図10に示した方向とは反対方向であるときは、第一画素電極5aの辺部付近にディスクリネーションが発生する。
【0148】
しかしながら、上記実施例の液晶表示装置は、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域に補助電極19を配置しているため、前記ディスクリネーションが、前記第二画素電極5bの辺部付近と、第一画素電極5aの辺部付近の何れに発生しても、表示面に加えられた荷重Wが開放される表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消することができる。
【0149】
また、上記実施例では、前記補助電極19に、補助電圧として、走査信号線7に印加する走査信号のうちの第一及び第二薄膜トランジスタ9a,9bをオフさせる電圧値の直流電圧を印加するようにしているため、前記補助電圧を新たに発生させる必要が無く、従って、駆動手段31を図1のように簡易化することができる。
【0150】
さらに、上記実施例では、前記補助電極19を、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bとの間隔よりも狭幅な直線形状に形成し、この補助電極19を、前記第一画素電極5aとの間隔と、前記第二画素電極5bとの間隔とが等しくなるように配置しているため、補助電極19と第一画素電極5aとの間に形成される容量と、前記補助電極19と第二画素電極5bとの間に形成される容量は同じである。
【0151】
従って、補助電極19と第一画素電極5aとの間及び前記補助電極19と第二画素電極5bとの間に容量が形成されても、これらの容量が、第一画素電極5aに前記第一補償容量Cs1を設け、第二画素電極5bに前記第二補償容量Cs2と第三補償容量Cs3とを設けたことによる広視野角効果に影響することはない。
【0152】
[第二実施例]
図23に示した第二実施例の液晶表示装置は、第二容量電極18aを、第二画素電極5bの日二つの縦辺の一方(図では走査信号線7に隣接する縦辺)に重なる直線形状に形成に形成し、第三容量電極18bを、前記第三容量電極18bとの間に所定の間隔をあけて、前記第二画素電極5bの他の各辺(図では走査信号線7に隣接する辺とは反対側の横辺と二つの縦辺)に重なる三方枠形状に形成に形成したしたものであり、他の構成は上記第一実施例と同じである。
【0153】
この第二実施例の液晶表示装置によれば、第二補償容量Cs2の容量値に対して第三補償容量Cs3の容量値を大きくすることができるため、前記第三容量電極18bに対して小さな電圧変動を与えるだけで、第二領域30bの液晶層2での電圧−透過率特性を大きく変動させることができ、従って、視野角を大きく調整することができる。これは特に、製造された液晶表示装置相互間で液晶層2の厚さが大きくばらついてしまうような場合に有効である。
【0154】
そして、この第二実施例においても、視野角のばらつきを容易に補正することができ、また、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0155】
また、この第二実施例においても、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素30,30のうちの一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域にそれぞれ、共通電極6と対向させて、前記第一画素電極5aと前記第二画素電極5bの隣り合う辺に沿う方向に延伸するように配置された補助電極19を備えているため、第一実施例と同様に、前記補助電極19に補助電圧を印加することにより、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0156】
[第三実施例]
次に、この発明の第三実施例を図24〜図26を参照して説明する。なお、この第三実施例において、上記第一実施例に対応するものには同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0157】
この第三実施例において、第一TFT9aと第二TFT9bは、上記第一実施例と同じ積層膜により構成されている。また、各走査信号線7は、前記第一基板3上に形成され、前記第一TFT9a及び第二TFT9bのゲート絶縁膜11により覆われている。そして、各データ信号線8は、ゲート絶縁膜11の上に形成されている。なお、この第二実施例においても、各データ信号線8は、前記各TFT9a,9bを構成する積層膜のうちの半導体薄膜12とコンタクト層14とからなる下地層の上に形成されている。
【0158】
一方、第一、第二及び第三容量電極17,18a,18bは、前記ゲート絶縁膜11上に各TFT9a,9b及び各データ信号線8を覆って設けられた透明な第一被覆絶縁膜20aの上に、上記第一実施例と同じ形状(図5の同じ形状)に形成されている。
【0159】
そして、第一画素電極5aと第二画素電極5bは、前記第一被覆絶縁膜20a上に、各容量電極17,18a,18bを覆って設けられた第二被覆絶縁膜20bの上に、前記第一被覆絶縁膜20a及び第二被覆絶縁膜20bに設けられた第一及び第二のコンタクト孔201,202において前記第一TFT9aのドレイン電極16と前記第二TFT9bのドレイン電極16に各々接続して形成されている。
【0160】
すなわち、この第三実施例において、第一画素電極5aと第一容量電極17との間の第一誘電層と、第二画素電極5bと第二容量電極18aとの間の第二誘電層と、前記第二画素電極5bと第三容量電極18bとの間の第三誘電層はそれぞれ、第二被覆絶縁膜20bからなっている。
【0161】
なお、この第三実施例では、第一画素電極5a及び第二画素電極5bが、前記コンタクト孔201,202内に入り込んだ部分(第一及び第二TFT9a,9bのドレイン電極16との接続部)において各容量電極17,18a,18bと短絡しないように、各容量電極17,18a,18bのコンタクト孔付近の部分を前記コンタクト孔201,202から充分に離間させた形状に形成している。
【0162】
さらに、前記第一被覆絶縁膜20aの上には、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素30,30のうちの一方の画素30の第一画素電極5aと、他方の画素30の第二画素電極5bとの間の領域にそれぞれ、前記共通電極6と対向させて、前記第一画素電極5aと第二画素電極の隣り合う辺に沿う方向に延伸するように形成された補助電極19が設けられている。
【0163】
前記補助電極19は、上記第一及び第二実施例と同様に、隣接する一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bとの間隔よりも狭幅な直線形状に形成されており、前記第一画素電極5aとの間隔と、前記第二画素電極5bとの間隔とが等しくなるように配置されている。そして、各補助電極19は、行毎に、隣り合う補助電極19,19の端部同士を連続させて形成することにより共通接続されている。
【0164】
この第三実施例の液晶表示装置においても、第一容量電極17と第二容量電極18aとに共通電極6への印加電圧と同じ第一電圧V1を印加し、第三容量電極18bに前記第一電圧V1とは異なる第二電圧V2を印加することにより、上記第一実施例と同様に、視野角のばらつきを容易に補正することができ、また、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0165】
また、この第三実施例においても、前記補助電極19を備えているため、第一実施例と同様に、前記補助電極19に補助電圧を印加することにより、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0166】
[第四実施例]
図27に示した第四実施例は、上記第三実施例の液晶表示装置において、補助電極19を、走査信号線7の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素30,30のうちの一方の画素30の第一画素電極5aと他方の画素30の第二画素電極5bとの間隔全体にわたる幅を有する形状に形成したものであり、他の構成は上記第三実施例と同じである。
【0167】
この第四実施例において、前記補助電極19は、その両側縁が、前記第一画素電極5aと第二画素電極5bとにそれぞれ極く僅かな重なり幅で重なる幅を有する形状に形成されており、第一画素電極5aとの重なり幅と、第二画素電極5bとの重なり幅とが等しくなるように配置されている。
【0168】
なお、この第四実施例では、第一容量電極17と、第二及び第三容量電極18a,18cのうちの補助電極19と隣接する第三容量電極18bとをそれぞれ、前記補助電極19と隣接する辺を第一画素電極5a及び第二画素電極5bの外縁よりもある程度、画素電極5a,5bの内側に入り込ませた形状に形成し、前記補助電極19を、前記第一容量電極17との間及び前記第三容量電極18bとの間に間隔をあけて配置している。
【0169】
この第四実施例の液晶表示装置においても、第一容量電極17と第二容量電極18aとに共通電極6への印加電圧と同じ第一電圧V1を印加し、第三容量電極18bに前記第一電圧V1とは異なる第二電圧V2を印加することにより、上記第一実施例と同様に、視野角のばらつきを容易に補正することができ、また、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0170】
また、この第四実施例においても、前記補助電極19を備えているため、第一実施例と同様に、前記補助電極19に補助電圧を印加することにより、表示面に荷重が加わったときの異常表示を、荷重の開放と殆んど同時に解消し、常に高品質の表示を行うことができる。
【0171】
さらに、この第四実施例では、前記補助電極19を、第一画素電極5aとの重なり幅と、第二画素電極5bとの重なり幅とが等しくなるように配置しているため、補助電極19と第一画素電極5aとの間に形成される容量と、前記補助電極19と第二画素電極5bとの間に形成される容量は同じである。従って、補助電極19と第一画素電極5aとの間及び前記補助電極19と第二画素電極5bとの間に容量が形成されても、これらの容量が、第一画素電極5aに前記第一補償容量Cs1を設け、第二画素電極5bに前記第二補償容量Cs2と第三補償容量Cs3とを設けたことによる広視野角効果に影響することはない。
【0172】
[他の実施例]
なお、上記各実施例では、第三容量電極18bに、一定レベルの直流電圧からなる第二電圧V2を印加しているが、第三容量電極18bに印加する第二電圧は、第一容量電極17と第二容量電極18aに印加する第一電圧(共通電極6への印加電圧と同じ電圧)V1と異なる値の電圧であれば、他の電圧でもよい。
【0173】
その場合、前記第二電圧は、電圧レベルが前記第一電圧V1と同じ周期で反転し、且つ、振幅が前記第一電圧V1の振幅よりも小さい矩形波交流電圧でもよい。また、この第二電圧V2は、第一電圧V1と同位相の矩形波交流電圧でも、前記第一電圧V1とは逆位相の矩形波交流電圧でもよい。
【0174】
さらに、上記各実施例では、補助電極19に、補助電圧として、走査信号線7に印加する走査信号のうちの第一及び第二薄膜トランジスタ9a,9bをオフさせる電圧値の直流電圧を印加しているが、前記補助電圧は、共通電極6との電位差が、第一画素電極5a及び第二画素電極5bと前記共通電極6との間に印加する電圧の最大値よりも大きい電圧であれば、他の電圧でもよい。なお、補助電圧は、共通電極6との電位差が、液晶分子2aを最大チルト角で立ち上がり配向させる電圧値以上の電圧が好ましい。
【0175】
その場合、前記補助電圧は、直流電圧に限らず、例えば、電圧レベルが共通電極6に印加するコモン信号Vcom(第一及び第二容量電極17,18aに印加する第一電圧V1と同じ電圧)と同じ周期で反転し、且つ、振幅が前記第一電圧V1の振幅よりも大きい矩形波交流電圧でもよい。
【0176】
また、上記各実施例では、第一、第二及び第三容量電極17,18a,18bと補助電極19を、同じ面上(第一基板3上または第一被覆絶縁膜20a上)に形成しているが、前記各容量電極17,18a,18bと補助電極19は、異なる面上に形成してもよい。すなわち、例えば上記第三および第四実施例において、各容量電極17,18a,18bを第一基板3上に形成し、補助電極19を第一被覆絶縁膜20a上に形成してもよい。また、補助電極19を第一基板3上に形成し、各容量電極17,18a,18bを第一被覆絶縁膜20a上に形成してもよい。
【0177】
また、前記液晶表示素子1は、TN型液晶表示素子に限らず、液晶分子を180°〜270°の範囲の捩れ角でツイスト配向させたSTN型液晶表示素子、非ツイストのホモジニアス配向型液晶表示素子等でもよい。
【符号の説明】
【0178】
1…液晶表示素子、2…液晶層、3,4…基板、5a…第一画素電極、5b…第二画素電極、6…共通電極、7…走査信号線、8…データ信号線、9a…第一TFT、9b…第二TFT、17…第一容量電極、18a…第二容量電極、18b…第三容量電極、Cs1…第一補償容量、Cs2…第二補償容量、Cs3…第三補償容量、19…補助電極、30…画素、30a…第一領域、30b…第二領域、31…駆動手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の薄膜トランジスタに接続された第一の画素電極と第二の薄膜トランジスタに接続された第二の画素電極とが画素毎に形成され、
前記第一の薄膜トランジスタと前記第二の薄膜トランジスタとが、互いに同じデータ信号線及び走査信号線に接続され、
前記第一の画素電極と共通電極との間及び前記第二の画素電極と前記共通電極との間に液晶層が形成された液晶表示装置であって、
前記第一の画素電極と前記第二の画素電極との間を延伸するように前記走査信号線が配置されると共に、
前記第一画素電極との間に第一誘電層が介在されて第一補償容量を形成する第一容量電極と、
前記第二画素電極との間に第二誘電層が介在されて第二補償容量を形成する第二容量電極と、
前記第二容量電極との間に所定の間隔をあけて配置され、前記第二画素電極との間に第三誘電層が介在されて第三補償容量を形成する第三容量電極と、
前記走査信号線の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素のうちの一方の画素の前記第一画素電極と他方の画素の前記第二画素電極との間の領域に、前記共通電極と対向させて、前記第一画素電極と前記第二画素電極の隣り合う辺に沿う方向に延伸するように配置された補助電極と、
前記第一容量電極と前記第二容量電極とに前記共通電極への印加電圧と同じ第一の電圧を印加し、前記第三容量電極に前記第一の電圧とは異なる第二の電圧を印加し、前記補助電極に、前記共通電極との電位差が、前記第一画素電極及び第二画素電極と前記共通電極との間に印加する電圧の最大値よりも大きい補助電圧を印加する手段と、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記補助電圧は、前記共通電極との電位差が、液晶分子を最大チルト角で立ち上がり配向させる電圧値以上の電圧であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記補助電圧は、前記走査信号線に印加する走査信号のうちの前記第一及び第二薄膜トランジスタをオフさせる電圧値の直流電圧であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記補助電極は、前記一方の画素の第一画素電極と前記他方の画素の第二画素電極との間隔よりも狭幅な形状に形成され、前記第一画素電極との間隔と、前記第二画素電極との間隔とが等しくなるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記補助電極は、前記一方の画素の第一画素電極と前記他方の画素の第二画素電極との間隔全体にわたる幅を有する形状に形成され、前記第一画素電極との重なり幅と、前記第二画素電極との重なり幅とが等しくなるように配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第一画素電極及び第二画素電極を覆って形成された第一配向膜と、前記共通電極を覆って形成された第二配向膜がそれぞれ、前記補助電極の延伸方向に対して交差する方向にラビングされていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第一容量電極は、前記第一画素電極の全ての辺に重なるように形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第二容量電極と前記第三容量電極は、その一方の容量電極が、前記第二画素電極の所定の一辺に沿う方向に延伸し、且つ前記所定の一辺に重なるように形成され、他方の容量電極が、前記一方の容量電極との間に所定の間隔をあけて、前記第二画素電極の前記所定の一辺を除く他の辺に重なるように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
第一の薄膜トランジスタに接続された第一の画素電極と第二の薄膜トランジスタに接続された第二の画素電極とが画素毎に形成され、
前記第一の薄膜トランジスタと前記第二の薄膜トランジスタとが、互いに同じデータ信号線及び走査信号線に接続され、
前記第一の画素電極と共通電極との間及び前記第二の画素電極と前記共通電極との間に液晶層が形成された液晶表示装置であって、
前記第一の画素電極と前記第二の画素電極との間を延伸するように前記走査信号線が配置されると共に、
前記第一画素電極との間に第一誘電層が介在されて第一補償容量を形成する第一容量電極と、
前記第二画素電極との間に第二誘電層が介在されて第二補償容量を形成する第二容量電極と、
前記第二容量電極との間に所定の間隔をあけて配置され、前記第二画素電極との間に第三誘電層が介在されて第三補償容量を形成する第三容量電極と、
前記走査信号線の延伸方向に対して交差する方向に隣接する画素のうちの一方の画素の前記第一画素電極と他方の画素の前記第二画素電極との間の領域に、前記共通電極と対向させて、前記第一画素電極と前記第二画素電極の隣り合う辺に沿う方向に延伸するように配置された補助電極と、
前記第一容量電極と前記第二容量電極とに前記共通電極への印加電圧と同じ第一の電圧を印加し、前記第三容量電極に前記第一の電圧とは異なる第二の電圧を印加し、前記補助電極に、前記共通電極との電位差が、前記第一画素電極及び第二画素電極と前記共通電極との間に印加する電圧の最大値よりも大きい補助電圧を印加する手段と、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記補助電圧は、前記共通電極との電位差が、液晶分子を最大チルト角で立ち上がり配向させる電圧値以上の電圧であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記補助電圧は、前記走査信号線に印加する走査信号のうちの前記第一及び第二薄膜トランジスタをオフさせる電圧値の直流電圧であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記補助電極は、前記一方の画素の第一画素電極と前記他方の画素の第二画素電極との間隔よりも狭幅な形状に形成され、前記第一画素電極との間隔と、前記第二画素電極との間隔とが等しくなるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記補助電極は、前記一方の画素の第一画素電極と前記他方の画素の第二画素電極との間隔全体にわたる幅を有する形状に形成され、前記第一画素電極との重なり幅と、前記第二画素電極との重なり幅とが等しくなるように配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第一画素電極及び第二画素電極を覆って形成された第一配向膜と、前記共通電極を覆って形成された第二配向膜がそれぞれ、前記補助電極の延伸方向に対して交差する方向にラビングされていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第一容量電極は、前記第一画素電極の全ての辺に重なるように形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第二容量電極と前記第三容量電極は、その一方の容量電極が、前記第二画素電極の所定の一辺に沿う方向に延伸し、且つ前記所定の一辺に重なるように形成され、他方の容量電極が、前記一方の容量電極との間に所定の間隔をあけて、前記第二画素電極の前記所定の一辺を除く他の辺に重なるように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−197454(P2011−197454A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64865(P2010−64865)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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