説明

液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの製造方法

【課題】本発明は、例えばインクジェット方式のプリンタに適用して、半導体基板に貫通孔を作成することなく犠牲層を溶解液により溶解除去してインク液室等を作成する構成において、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避することができるようにする。
【解決手段】犠牲層の溶解液から電極70を保護する保護層88を電極70に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの製造方法に関し、例えばインクジェット方式のプリンタに適用することができる。本発明は、犠牲層の溶解液から電極を保護する保護層を設けることにより、半導体基板に貫通孔を作成することなく犠牲層を溶解液により溶解除去してインク液室等を作成する構成において、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避することができるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、液滴吐出ヘッドであるインクジェット方式のプリンタヘッドは、駆動素子によりインク液室の圧力を可変し、インク液室に保持したインクの液滴をノズルから吐出させる。サーマル方式のプリンタヘッドは、この駆動素子に発熱素子が適用され、複数の発熱素子が、各発熱素子を駆動する駆動回路と共に半導体基板上に一体に作成される。またサーマル方式のプリンタヘッドは、通常、この半導体基板上に、インク液室、インク流路、ノズルを構成する部材を配置して作成される。
【0003】
ここで図17は、このプリンタヘッドを示す断面図である。このプリンタヘッド1は、保持部材2にヘッドチップ3を配置して作成される。ここで保持部材2は、ヘッドチップ3を保持すると共に、ヘッドチップ3にインクを導く主インク流路を構成する部材である。保持部材2は、アルミニウム、ステンレス等の金属、又は樹脂等を用いた機械加工により作成される。保持部材2は、ヘッドチップ3保持側端とは逆側に、インクタンクからのインクを供給するインク供給口4が設けられ、またこのインク供給口4に連通する主インク流路5が設けられる。
【0004】
ヘッドチップ3は、半導体製造工程により発熱素子8、発熱素子8を駆動する駆動回路等が半導体基板6上に作成され、この半導体基板6上に配置された被覆層7により、インク液室9、各インク液室9に主インク流路5からのインクを導く副インク流路10、ノズルNが作成される。なお図17において、ヘッドチップ3は、半導体基板6に作成された貫通孔12を介して、主インク流路5と副インク流路10が接続される。
【0005】
ここで特許第3343875号公報には、ヘッドチップ3の作成方法が提案されている。すなわち特許第3343875号公報に提案の手法では、半導体製造工程により半導体基板6上に、複数のヘッドチップの発熱素子8、駆動回路等を作成する。続いてフォトレジスト等の感光性樹脂を半導体基板6上に塗布した後、フォトリソグラフィーにより、この感光性樹脂をパターンニングして副インク流路10、インク液室9の形状による犠牲層を作成する。さらにこの犠牲層の上層に、スピンコート等により樹脂を塗布し、被覆層7を配置する。
【0006】
特許第3343875号公報に提案の手法では、続いてドライエッチング等により被覆層7にノズルNを作成した後、ウエットエッチング等により半導体基板6の裏面から貫通孔12を作成する。続いてこの貫通孔12を介して、溶解液により犠牲層を溶解除去し、副インク流路10、インク液室9を作成する。
【特許文献1】特許第3343875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらこの特許第3343875号公報に提案の手法では、半導体基板6に貫通孔12を作成するために、製造工程が複雑化し、製造時間が長くなる欠点がある。またその結果、プリンタヘッド1では、歩留まりが悪くなる欠点がある。
【0008】
これにより半導体基板6に貫通孔12を設けることなく、確実に犠牲層を溶解除去することが望まれ、さらに各インク液室にインクを導くことが望まれる。
【0009】
図18(A)は、これらの欠点を回避したヘッドチップの説明に供する断面図である。このヘッドチップ21は、ヘッドチップ21の端面からインクを供給するいわゆるエッジ供給方式により作成される。このヘッドチップ21は、半導体製造工程により、半導体ウエハ上に複数のヘッドチップ21の発熱素子8、駆動回路等がまとめて作成される。
【0010】
このヘッドチップ21は、半導体ウエハ上で、犠牲層22、被覆層23、ノズルNが順次作成される。ヘッドチップ21は、ノズルNを作成する際に、併せて半導体ウエハを個々のヘッドチップに分離するダイシングライン上に、犠牲層22を露出させる開口27が作成される。ヘッドチップ21は、この開口27を介して溶解液により犠牲層22が溶解除去されて副インク流路、インク液室が作成される。
【0011】
その後、ヘッドチップ21は、図18(B)に示すように、ダイサー26を用いたダイシングにより、上述したダイシングラインで個々のヘッドチップにスクライビング処理された後、所定の保持部材に保持されてプリンタヘッドに加工される。この図18に示す構成によれば、半導体基板6に貫通孔12を設けなくても、犠牲層を溶解除去することができ、また主インク流路から各インク液室にインクを導くことができる。
【0012】
しかしながらこの図18に示す構成では、犠牲層22を除去する際に、半導体基板6の被覆層23側を溶解液に曝すことが必要になる。ここで半導体基板6の被覆層23側面には、電源、各種駆動用の信号を供給するためのパッド、各種の配線パターンが設けられている。従ってこの場合、パッド等が犠牲層22の溶解液に曝されてしまうことになる。
【0013】
ここでこれらパッド、配線パターンは、通常、Al−Si、Al−Cu等で作成される。これに対して犠牲層22の溶解液は、感光性樹脂の溶解液であるアルカリ溶液が適用される。その結果、図18の構成では、犠牲層22を除去する際に、パッドの配線材料が犠牲層22の溶解液に溶解し、その結果、十分な信頼性により電源等を供給することが困難になる問題がある。なお犠牲層22の溶解時間が長い場合、パッドを構成する配線材料の溶解が、被覆層23の下層に配置された配線パターンにまで及ぶことになり、この場合には、一段と信頼性が劣化することになる。
【0014】
この問題を解決する1つの方法として、事前にレジスト等により保護層を作成し、この保護層により犠牲層22の溶解液からパッドを保護することが考えられる。この方法の場合、犠牲層22を除去した後、酸素プラズマ等を用いたドライエッチングプロセスにより保護層を除去することになる。
【0015】
しかしながらこの方法の場合、保護層を除去する際に、被覆層23等も併せてエッチングすることになり、その結果、ノズルの厚み、ノズル径等が変化する問題がある。このノズルの厚み、ノズル径等の変化は、半導体ウエハ内で必ずしも一様では無い。従って、この方法では、ヘッドチップ間でノズルの厚み、ノズル径がばらつくことになり、ヘッドチップ間で印画時の濃度のばらつき、インク液滴の着弾位置のずれが発生し、画質が劣化する恐れがある。
【0016】
またこの方法の場合、酸素プラズマドライエッチングにより、被覆層23において、インクに対する接触角が変化し、吐出面全体が親水性に変化する等の問題もある。
【0017】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、半導体基板に貫通孔を作成することなく犠牲層を溶解液により溶解除去してインク液室等を作成する構成において、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避することができる液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの製造方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するため請求項1の発明は、液滴吐出ヘッドに適用して、液体を保持する液室と、前記液室に前記液体を導く流路と、前記液室の圧力を可変して、前記液室に保持した液体の液滴をノズルから吐出させる駆動素子とを有するようにする。前記駆動素子は、所定の基板上に設けられ、前記基板上に作成された電極を介して駆動され、少なくとも前記液室及び流路は、前記基板上に、前記液室及び流路の形状による犠牲層を作成した後、全体を被覆層で被覆し、前記犠牲層を溶解する溶解液により前記犠牲層を溶解して作成される。前記電極に、前記溶解液から前記電極を保護する保護層が作成される。
【0019】
また請求項5の発明は、所望の液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置に適用して、前記液滴吐出ヘッドは、前記液滴の液体を保持する液室と、前記液体を導く流路と、前記液室の圧力を可変して、前記液滴をノズルから吐出させる駆動素子とを有するようにする。前記駆動素子は、所定の基板上に設けられ、前記基板上に作成された電極を介して駆動され、少なくとも前記液室及び流路は、前記基板上に、前記液室及び流路の形状による犠牲層を作成した後、全体を被覆層で被覆し、前記犠牲層を溶解する溶解液により前記犠牲層を溶解して作成される。前記電極に、前記溶解液から前記電極を保護する保護層が作成される。
【0020】
また請求項8の発明は、液滴吐出ヘッドの製造方法に適用する。請求項8の発明は、所定の基板上に、液室の圧力を可変して、前記液室に保持した液体の液滴をノズルから吐出させる駆動素子を作成する駆動素子配置ステップと、前記駆動素子を駆動するための電極を前記基板上に作成する電極作成ステップと、前記基板上に、前記液室及び前記液室に前記液体を導く流路の形状による犠牲層を作成する犠牲層作成ステップと、前記基板を被覆層で被覆する被覆層作成ステップと、前記犠牲層を溶解する溶解液により前記犠牲層を溶解して、前記液室及び前記流路を作成する犠牲層除去ステップとを有する。前記電極作成ステップは、前記電極に、前記溶解液から前記電極を保護する保護層を作成する。
【0021】
請求項1、請求項5、又は請求項8の構成によれば、電極に作成した保護層により、溶解液から電極を保護することができる。従って半導体基板に貫通孔を作成することなく犠牲層を溶解液により溶解除去してインク液室等を作成して、電極が溶解液に曝される場合であっても、この電極の損傷を防止することができ、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、半導体基板に貫通孔を作成することなく犠牲層を溶解液により溶解除去してインク液室等を作成する構成において、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0024】
(1−1)全体構成
図2は、本発明の実施例1のプリンタを示す斜視図である。このプリンタ31は、ラインプリンタであり、各部が長方形状の筐体32に収納される。プリンタ31は、筐体32の正面に形成されたトレイ出入口に用紙トレイ33が装着される。
【0025】
プリンタ31は、所定の機構によりこの用紙トレイ33に収納した用紙34が給紙ローラ36に押し当てられ、この給紙ローラ36の回転により、矢印Aで示すように、用紙34が用紙トレイ33よりプリンタ31の背面側に向かって送り出される。プリンタ31は、この用紙送りの側に反転ローラ37が配置され、この反転ローラ37の回転等により、矢印Bで示すように、正面方向に用紙34の送り方向が切り換えられる。
【0026】
プリンタ31は、この用紙送り方向が切り換えられてなる用紙34が用紙トレイ33の上を横切るように拍車ローラ38等により搬送され、矢印Cで示すように、プリンタ31の正面側に配置された排出口より排出される。プリンタ31は、この拍車ローラ38から排出口までの間に、矢印Dにより示すように、ヘッドカートリッジ40が交換可能に配置される。
【0027】
ここでヘッドカートリッジ40は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインク液滴を吐出させるプリンタヘッド41が所定形状のホルダー42の下面側に配置され、このホルダー42に順次イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクカートリッジY、M、C、Kが配置される。これによりプリンタ31は、ヘッドカートリッジ40に設けられたプリンタヘッド41から吐出するインク液滴を搬送中の用紙34に付着し、所望の画像等を印刷する。
(1−2)プリンタヘッドの構成
ここで図3は、プリンタヘッド41を下面側から見て示す平面図である。プリンタヘッド41は、複数のヘッドモジュール52をねじ53によりヘッドフレーム51に固定して作成される。ここでヘッドフレーム51は、ヘッドモジュール52の保持部材である。ヘッドフレーム51は、所定板厚の金属板材を加工して作成され、用紙34の送り方向と直交する方向に延長する印刷に供するインクにそれぞれ対応する4つの長孔54が、用紙34の送り方向に並列に設けられる。なおこの長孔54は、ほぼこのプリンタヘッド1の印刷幅の長さ、及び一定幅により作成される。
【0028】
ヘッドモジュール52は、複数のヘッドチップ55を一体化したユニットである。この実施例において、ヘッドモジュール52は、1種類のインクについて、プリンタヘッド1の印刷幅の1/2の幅を印刷可能に、複数のヘッドチップ55を一体化して作成される。ヘッドモジュール52は、ヘッドフレーム51に設けられた長孔54にそれぞれ2個ずつ設けられ、これによりこのプリンタヘッド41は、全体で8個のヘッドモジュール52が設けられ、A4サイズの用紙34をカラー印刷可能に作成される。
【0029】
より具体的に、ヘッドモジュール52は、後述するヘッドチップ保持部材にヘッドチップ55が実装された後、フレキシブル配線基板56に各ヘッドチップ55が接続される。ヘッドモジュール52は、このヘッドチップ保持部材によりインクカートリッジのインクを各ヘッドチップ55に導く主インク流路が形成され、またこのフレキシブル配線基板56を介して各ヘッドチップ55が駆動される。なおフレキシブル配線基板56は、ヘッドチップ55を配置する部位にそれぞれ矩形形状の開口部56aが設けられ、この開口部56aによりヘッドチップ55に設けられたノズル列を露出させる。またフレキシブル配線基板56は、この開口部56aに沿って配置された電極により、各ヘッドチップ55と接続される。
【0030】
ヘッドモジュール52は、長孔54の延長する方向に延長するように、長孔54の幅方向のほぼ中央に、ヘッドチップ保持部材による主インク流路が形成され、この主インク流路を間に挟んでヘッドチップ55が交互に連続するように、いわゆる千鳥配置によりヘッドチップ55が配置される。
【0031】
すなわち図4は、図3において、A−A線により切り取って示すプリンタヘッド41の断面図である。プリンタヘッド41は、ヘッドチップ保持部材61にヘッドチップ55が実装され、ヘッドチップ保持部材61に設けられたインク供給口62を介して、インクタンクから主インク流路63にインクが供給される。ヘッドチップ55は、半導体基板71上に発熱素子69等が作成された後、犠牲層、被覆層65が順次作成される。ヘッドチップ55は、続いて犠牲層が除去されて副インク流路66、インク液室67が作成される。ヘッドチップ55は、この副インク流路66が半導体基板71の端面側に開口するように形成され、いわゆるエッジ供給方式により主インク流路63から副インク流路66にインクが供給される。
【0032】
ヘッドチップ55は、主インク流路63とは逆側端に、フレキシブル配線基板56との接続部68が設けられ、この接続部68に、フレキシブル配線基板56との接続用電極(パッド)70が設けられる。ヘッドチップ55は、この電極70を介して供給される電源等により発熱素子69が駆動され、ノズルNからインク液滴を吐出する。なおヘッドモジュール52において、フレキシブル配線基板56は、主インク流路63を封止する封止部材としても機能するように、エポキシ等によりヘッドチップ55、ヘッドチップ保持部材61に接着されて保持される。
(1−3)ヘッドチップの製造工程
図1、図5〜図9は、ヘッドチップ55の製造工程の説明に供する断面図である。この製造工程は、図5(A)に示すように、P型シリコン基板71を洗浄した後、シリコン窒化膜を堆積する。この製造工程は、続いてリソグラフィー工程、リアクティブイオンエッチング工程によりシリコン基板71を処理し、これによりトランジスタを形成する所定領域以外の領域よりシリコン窒化膜を取り除く。これらによりこの製造工程は、シリコン基板71上のトランジスタを形成する領域にシリコン窒化膜を形成する。
【0033】
この製造工程は、続いて熱酸化工程により、シリコン窒化膜が除去されている領域に熱シリコン酸化膜を形成し、この熱シリコン酸化膜によりトランジスタを分離するための素子分離領域(LOCOS:Local oxidation of silicon)72を形成する。この製造工程は、続いてシリコン基板71を洗浄した後、トランジスタ形成領域にタングステンシリサイド/ポリシリコン/熱酸化膜構造のゲートを形成する。さらにソース・ドレイン領域を形成するためのイオン注入工程、熱処理工程によりシリコン基板71を処理し、MOS型によるスイッチングトランジスタ74、75等を形成する。なおここでスイッチングトランジスタ74は、30〔V〕軽度の耐圧を有するMOS型ドライバートランジスタであり、発熱素子の駆動に供するものである。これに対してトランジスタ75は、このドライバートランジスタを制御する集積回路を構成するトランジスタであり、5〔V〕の電圧により動作するものである。この工程は、続いてCVD(Chemical Vapor Deposition )法によりBPSG(Boro Phosepho Silicate Glass )膜76を堆積し、層間絶縁膜を製作する。
【0034】
続いてこの工程は、フォトリソグラフィー工程、CFx系ガスを用いたリアクティブイオンエッチング法により、シリコン半導体拡散層(ソース・ドレイン)上に接続孔(コンタクトホール)77を作成する。さらにシリコン基板71を希フッ酸により洗浄し、スパッタリング法にて順次、膜厚20〔nm〕のチタン膜、膜厚50〔nm〕の窒化チタンバリアメタルを椎積する。さらにこの工程はシリコンを1〔at%〕添加してなるアルミニウムを600〔nm〕を堆積する。さらに続いてフォトリソグラフィー工程、ドライエッチング工程を経、これにより1層目の配線パターン78を作成する。これによりこの工程は、エレクトロマイグレーション耐性を強化した配線材料により配線パターン78を作成し、この配線パターン78により駆動回路を構成するMOS型トランジスタ75を接続してロジック集積回路を形成する。
【0035】
続いてこの工程は、CVD法により層間絶縁膜であるシリコン酸化膜(いわゆるTEOSである)79を堆積し、CMP(Chemical Mechanical Polishing )工程により、またはレジストエッチバック法により、このシリコン酸化膜79を平滑化する。
【0036】
この工程は、続いて図5(B)に示すように、層間絶縁膜を形成した後、スパッタリング法により所定膜厚でTa、Ta2 N、TaAl等による発熱抵抗素子材料を堆積し、フォトリソグラフィー工程、ドライエッチング工程により余剰な発熱抵抗素子材料を除去することにより、発熱素子69を製作する。
【0037】
続いてこの工程は、図6(A)に示すように、CVD法により所定膜厚でSiN又はSiCを堆積し、これにより配線材料のドライエッチングから発熱素子69を保護する保護層81を作成する。ここでこの保護層81は、十分な膜厚(100〔nm〕以上)により作成される。
【0038】
この工程は、続いて図6(B)に示すように、リソグラフィー工程の後、CFx系ガスを主体としたプラズマによるドライエッチング工程によりこの保護層81を処理し、配線パターンにより接続する部位を除いて、保護層81が発熱素子69上に局所的に配置されてなるようにする。
【0039】
続いてこの工程は、フォトリソグラフィー工程、CFx系ガスを用いたリアクティブイオンエッチング法により接続孔(コンタクトホール)82を作成する。さらにシリコン基板71を希フッ酸により洗浄し、図7(A)に示すように、スパッタリング法にて順次、膜厚20〔nm〕のチタン膜、膜厚50〔nm〕の窒化チタンバリアメタルを堆積する。さらにこの工程は、シリコンを1〔at%〕添加してなるアルミニウムをスパッタリング法により所定膜厚だけ堆積する。これによりこの工程は、1層目の配線パターンとコンタクトホール82により接続して、また発熱素子69が露出してなる部位で発熱素子69と接続して、配線材料膜83を作成する。
【0040】
このようにして配線材料膜83を作成すると、この工程は、図7(B)に示すように、フォトレジスト工程の後、塩素系ガス主体のプラズマを利用した異方性ドライエッチングにより、2層目の配線パターン84を作成する。この工程はこの2層目の配線パターン84により、電源用の配線パターン、アース用の配線パターン、フレキシブル配線基板56との接続用電極70の配線パターンを作成し、またドライブトランジスタ74を発熱素子69に接続する。
【0041】
この処理において、この工程は、配線材料膜83を十分にオーバーエッチングするように、エッチングの時間が設定され、このオーバーエッチングにより、段差の部分に、配線材料が取り残されないようにし、このような配線材料が取り残されてなることによる配線パターン間のショートを十分に防止する。
【0042】
続いてこの工程は、図8に示すように、インク保護層として機能するシリコン窒化膜85を膜厚300〔nm〕により堆積する。続いて図1に示すように、スパッタ法により膜厚200〔nm〕のタンタル膜を堆積し、このタンタル膜により耐キャビテーション層86を形成する。
【0043】
続いてこの工程は、フォトリソグラフィー工程、CFx系ガスを用いたドライエッチング法により、接続部68に形成する接続用電極70の部位に、電極作成用の開口を作成し、2層目の配線パターン84を露出させる。さらにこの工程は、この開口の部位に、犠牲層を溶解除去する溶解液から接続用電極70を保護する保護層88を金メッキ層により作成する。
【0044】
より具体的に、この工程は、図10に示すように、スパッタ法によりTiWを膜厚200〔nm〕により成膜し、続いてスパッタ法により膜厚100nmによりAuを積層することにより金メッキ層の下地となるUBM(アンダーバリアメタル)層を作成する。その後、この工程は、フォトレジスト工程の後、電解メッキ法で膜厚1〔μm〕のAuメッキ層を堆積した後、レジストを除去し、Auメッキ層をマスクとしたウエットエッチングにより電極70以外の部位のUBM層を除去する。なおAuスパッタ膜のエッチングにはヨウ化アンモニウム溶液を使用し、TiWスパッタ膜のエッチングには過酸化水素水を使用した。
【0045】
なおここで保護層88は、犠牲層を溶解除去する溶解液から接続用電極70を保護する構成であることから、この機能を発揮し得るのに十分な膜厚で足りる。この鑑点から、保護層88は、1〔μm〕以上の膜厚により作成して十分に溶解液から接続用電極70を保護することができる。
【0046】
またこの実施例では、以降の工程において、犠牲層及び被覆層65を作成する。ここで保護層88の膜厚が大きくなると、犠牲層及び被覆層65を均一な膜厚により作成することが困難になる。ここで犠牲層及び被覆層65の膜厚がばらつくと、ノズルNの厚みがばらつくことになり、各ノズルNから吐出するインク液滴量がばらつき、その結果、印画品質が著しく劣化することになる。係る鑑点から、保護層88は、保護層88による接続部68における凹凸が、接続部68以外の部位における凹凸以下となるように、より具体的には、2〔μm〕以下の膜厚により作成される。なおこの判断は、600〔DPI〕による印刷の場合である。
【0047】
続いてこの工程は、図9に示すように、犠牲層を作成した後、全体を覆うように被覆層65を作成し、この被覆層65の加工によりノズルNを作成すると共に、接続部68の電極70を露出させる。さらに犠牲層を除去し、インク液室67、副インク流路66を作成する。その後、この工程は、スクライビング処理によりヘッドチップ55を個々に分離する。この工程は、インク液室67、副インク流路66を作成した後、半導体ウエハの状態で、又は個々のヘッドチップに分離した状態で、各接続用電極70に、金によるスタッドバンプが配置され、このスタッドバンプを介してフレキシブル配線基板56が各ヘッドチップ55に接続される。
【0048】
(1−4)インク液室作成工程
図11〜図15は、犠牲層の作成からインク液室の作成までの工程の説明に供する図である。この工程は、図11(A)に示すように、インク液室67、副インク流路66の形状により犠牲層90を作成する。この実施例では、半導体ウエハ上の隣接するヘッドチップ55との間のダイシングラインまで延長するように犠牲層90を作成する。
【0049】
より具体的に、この工程は、フォトレジスト等の感光性樹脂をスピンコートにより一定膜厚で塗布した後、フォトリソグラフィーによりパターンニングして犠牲層90を作成する。すなわちポジ型フォトレジストであるPMER−LA900(東京応化工業(株)製)を膜厚10〔μm〕によりスピンコートで塗布し、マスクアライナーで露光した後、現像液(水酸化テトラメチルアンモニウム3〔%〕水溶液)で現像し、純水でリンス処理して犠牲層90を作成した。その後、レジストパターン上にマスクアライナーを用いて犠牲層90を全面露光し、窒素雰囲気中で24時間自然放置した。従ってこの段階において、接続部68では、接続用電極70が露出していることになる。
【0050】
続いてこの工程は、図11(B)に示すように、感光性レジストをスピンコートにより塗布し、全体を覆うように被覆層65を作成する。より具体的に、光硬化型のネガ型フォトレジストをスピンコートによって膜厚10〔μm〕により塗布し、被覆層65を作成した。
【0051】
続いてこの工程は、図12(A)に示すように、被覆層65をパターンニングし、ノズルNを作成し、また接続部68から被覆層65を除去する。またさらにダイシングライン上に、犠牲層90を露出させる開口部91を作成し、この開口部91の部位に凹部92を作成する。なお凹部92は、詳細を後述する。具体的に、この工程は、マスクアライナーで被覆層65を露光した後、現像液(OK73シンナー:東京応化工業(株)製)により現像し、その後リンス液(IPA)によってリンスを行った。なおノズルNは、直径15〔μm〕により作成した。
【0052】
続いてこの工程は、図12(B)に示すように、溶解液の液槽内に浸漬することにより、ノズルN及び開口部91から犠牲層90を徐々に溶解除去し、インク液室67、インク流路66を作成する。すなわち犠牲層90を構成するポジ型フォトレジストに対して溶解性を有する有機溶剤(PGMEA)に浸漬した状態で、超音波振動を加え、犠牲層90を除去する。この場合、接続部68では、接続用電極70が露出しており、溶解液に曝されることになるものの、接続用電極70に作成した保護層88により接続用電極70が溶解液から保護され、その結果、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避することができる。
【0053】
ここで図13は、犠牲層90を除去した状態におけるヘッドチップ55を示す平面図である。ヘッドチップ55は、主インク流路63からのインクをそれぞれ個別にインク液室67に導くように、インク液室67毎に副インク流路66が設けられる。なお各副インク流路66は、インク液室67の直前で一旦、共通化される。凹部92は、副インク流路66に主インク流路63からインクを速やかに流入させるために、副インク流路66のインク流入側の流路径を部分的に拡大する目的で設けられる。
【0054】
なお半導体ウエハの段階でスタッドバンプを作成する場合、この工程は、続いて金バンプを接続用電極70に配置する。
【0055】
(1−5)ヘッドチップ実装工程
続いてこの工程は、図14に示すように、ダイサーを用いてダイシングラインにより半導体ウエハをダイシングし、ヘッドチップ55を個々に分離する。なお図15は、図13との対比により、個々に分離した後のヘッドチップ55を示す断面図及び平面図である。
【0056】
続いて図16に示すように、この工程は、エポキシ接着剤を用いた接着によりヘッドチップ保持部材61にヘッドチップ55を実装する。なお接着条件は、110℃で10分間の加熱硬化である。
【0057】
続いてこの工程は(図4参照)、フレキシブル配線基板56が配置され、主インク流路63がフレキシブル配線基板56により封止されると共に、ヘッドチップ55がフレキシブル配線基板56に接続される。なおこの封止は、例えばエポキシ樹脂、熱圧着等により実行される。
【0058】
(2)実施例の動作
以上の構成において、プリンタ31では(図2)、印刷に供する画像データ、テキストデータ等によるヘッドカートリッジ40の駆動により、記録対象である用紙34を所定の用紙送り機構により搬送しながら、ヘッドカートリッジ40に設けられたプリンタヘッド41からインク液滴が吐出され、このインク液滴が搬送中の用紙34に付着して画像、テキスト等が印刷される。
【0059】
これに対応してプリンタヘッド41では(図3、図4)、インクカートリッジY、M、C、Kのインクがヘッドチップ55のインク液室67に導かれ、各インク液室67に配置された駆動素子である発熱素子69の駆動によりインク液室67の圧力が可変し、この圧力の可変により各インク液室67のインクがノズルNからインク液滴により吐出される。
【0060】
プリンタヘッド41は(図1、図5〜図9)、半導体製造技術により複数の発熱素子69、各発熱素子69を駆動する駆動回路等が半導体基板71上に作成された後、インク液室67、インク流路66が作成される。これによりプリンタヘッド41は、高い精度により高解像度、高画質に印刷可能に作成される。また半導体ウエハ上に、複数のヘッドチップ55が作成され、これにより半導体製造技術を利用して、効率良くプリンタヘッド41を作成することができる。
【0061】
しかしながら発熱素子69、駆動回路等は、半導体製造技術をそのまま適用して半導体基板71上に作成できるものの、インク液室67、インク流路66、ノズルNにあっては、半導体基板71上に作成される構造物であることから、直には、半導体製造技術を適用して作成し得ない。
【0062】
そこでフォトリソグラフィーの技術を適用して(図11〜図13)、半導体基板71上に、インク液室67、インク流路66の形状により犠牲層90を作成した後、犠牲層90を覆うように被覆層65を作成し、その後、犠牲層90を除去することにより、半導体基板71上に、インク液室67、インク流路66の構造物を作成する。この場合、半導体製造技術により作成した半導体基板71上に、精度良く、また複数のヘッドチップ55についてまとめてインク液室67等を作成することができる。
【0063】
しかしながら半導体基板71の表面側(インク液室67側)から犠牲層90を除去する場合には、ヘッドチップ55を配線する配線用電極70が犠牲層90を溶解除去する溶解液に曝されることになり、半導体製造工程で使用するアルミニウム等による配線用電極70にあっては、溶解液により損傷することになる。その結果、プリンタヘッド41は、信頼性が劣化することになる。
【0064】
またこれを避けるために半導体基板71の裏面側から犠牲層90を除去する場合には、半導体基板71に貫通孔を作成することが必要になる(図17)。しかして半導体基板71に貫通孔を作成する場合には、製造工程が複雑化し、製造時間が長くなる等の欠点があり、極力、避けることが望まれる。
【0065】
そこでこの実施例では、エッジ供給方式により各ヘッドチップ55のインク流路66に、主インク流路63からインクを供給するようにして(図4)、半導体基板71に貫通孔を設けなくても、各ヘッドチップ55のインク液室67にインクを供給できるようにする。
【0066】
またさらに配線用電極70には、溶解液からの損傷を保護する保護層88が設けられ(図1、図10)、この保護層88により溶解液による配線用電極70の損傷が防止され、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避する。これらによりこの実施例では、半導体基板71に貫通孔を作成することなく犠牲層90を溶解液により溶解除去してインク液室67等を作成する構成において、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避することができる。
【0067】
より具体的に、プリンタヘッド41では、この保護層88が金メッキ層であることにより、確実に溶解液による配線用電極70の損傷を防止することができ、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避することができる。
【0068】
またさらにTiWによるバリアメタル層を作成した後、金メッキ層を作成して保護層88とすることにより、金メッキ層を強固に保持して信頼性を向上することができる。
【0069】
しかしながらこの保護層88の厚みが少ない場合には、十分に配線用電極70を保護できない。これに対して余りに保護層88の厚みが厚い場合には、犠牲層90、被覆層65を均一な厚さにより作成することが困難になり、インク液滴量にばらつきが発生する。
【0070】
そこでこの実施例では、膜厚1〜2〔μm〕により保護層88を作成し、十分に配線用電極70を保護すると共に、犠牲層90、被覆層65を均一な厚みにより作成する。
【0071】
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、犠牲層の溶解液から電極を保護する保護層を設けることにより、半導体基板に貫通孔を作成することなく犠牲層を溶解液により溶解除去してインク液室等を作成する構成において、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避することができる。
【0072】
またこの保護層が金メッキ層であることにより、溶解液による信頼性の劣化を有効に回避することができる。
【0073】
またこの金メッキ層の下地に、バリアメタル層を作成することにより、金メッキ層を強固に保持して信頼性を向上することができる。
【0074】
また保護層を膜厚1〜2〔μm〕により作成することにより、十分に配線用電極を保護すると共に、犠牲層、被覆層を均一な厚みにより作成することができる。
【実施例2】
【0075】
なお上述の実施例においては、被覆層のパターンニングによりノズルを作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、インク液室、インク流路及びノズルの形状により犠牲層を作成した後、被覆層を作成し、その後、犠牲層の除去によりインク液室、インク流路と共にノズルを作成する場合にも広く適用することができる。
【0076】
また上述の実施例においては、バンプにより配線用電極にフレキシブル配線基板を接続する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばワイヤボンディング等、種々の接続方法により配線用電極に配線を設ける場合に広く適用することができる。
【0077】
また上述の実施例においては、フレキシブル配線基板により主インク流路を封止する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ニッケル、アリミニウム、ステンレス等の金属箔によるシート材等、専用の部材により封止するようにしてもよい。
【0078】
また上述の実施例においては、駆動素子に発熱素子を使用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、圧電素子、静電アクチュエータ等の各種駆動素子を使用する場合にも広く適用することができる。
【0079】
また上述の実施例においては、カラー印刷用のラインプリンタに本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば白黒印刷用のラインプリンタ等、種々のプリンタに広く適用することができる。
【0080】
また上述の実施例においては、本発明をプリンタに適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、インク液滴に代えて液滴が各種染料の液滴、保護層形成用の液滴等である各種液滴吐出ヘッド、さらには液滴が試薬等であるマイクロディスペンサー、各種測定装置、各種試験装置、パターン描画装置等に広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、例えばインクジェット方式のプリンタに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施例1のプリンタに適用されるヘッドチップの製造の説明に供する断面図である。
【図2】本発明の実施例1のプリンタを示す斜視図である。
【図3】図2のプリンタに適用されるプリンタヘッドを示す平面図である。
【図4】図3のプリンタヘッドの断面図である。
【図5】図4のプリンタヘッドに適用されるヘッドチップの製造の説明に供する断面図である。
【図6】図5の続きの説明に供する断面図である。
【図7】図6の続きの説明に供する断面図である。
【図8】図7の続きの説明に供する断面図である。
【図9】図4のプリンタヘッドに適用されるヘッドチップを示す断面図である。
【図10】図1のヘッドチップの接続部を示す断面図である。
【図11】図3のプリンタヘッドにおけるインク液室作成工程の説明に供する断面図である。
【図12】図11の続きの説明に供する断面図である。
【図13】図12の工程により作成されるヘッドチップを示す平面図である。
【図14】図12の続きの説明に供する断面図である。
【図15】図14の工程により作成されるヘッドチップを示す図である。
【図16】ヘッドチップの実装の説明に供する断面図である。
【図17】従来のプリンタヘッドを示す断面図である。
【図18】エッジ供給方式によるプリンタヘッドを示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1、41……プリンタヘッド、3、21、55……ヘッドチップ、6、64……半導体基板、7、23、65……被覆層、8、69……発熱素子、9、67……インク液室、10、12、63、66……インク流路、22、90……犠牲層、31……プリンタ、68……接続部、70……接続用電極、88……保護層、N……ノズル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を保持する液室と、
前記液室に前記液体を導く流路と、
前記液室の圧力を可変して、前記液室に保持した液体の液滴をノズルから吐出させる駆動素子とを有し、
前記駆動素子は、
所定の基板上に設けられ、前記基板上に作成された電極を介して駆動され、
少なくとも前記液室及び流路は、
前記基板上に、前記液室及び流路の形状による犠牲層を作成した後、全体を被覆層で被覆し、前記犠牲層を溶解する溶解液により前記犠牲層を溶解して作成され、
前記電極に、前記溶解液から前記電極を保護する保護層が作成された
液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
前記保護層は、
金メッキ層である
請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
前記保護層は、
前記金メッキ層の下地に、バリアメタル層が作成された
請求項2に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
前記保護層は、
膜厚1〜2〔μm〕により作成された
請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
所望の液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドを有し、
前記液滴吐出ヘッドは、
前記液滴の液体を保持する液室と、
前記液室に前記液体を導く流路と、
前記液室の圧力を可変して、前記液滴をノズルから吐出させる駆動素子とを有し、
前記駆動素子は、
所定の基板上に設けられ、前記基板上に作成された電極を介して駆動され、
少なくとも前記液室及び流路は、
前記基板上に、前記液室及び流路の形状による犠牲層を作成した後、全体を被覆層で被覆し、前記犠牲層を溶解する溶解液により前記犠牲層を溶解して作成され、
前記電極に、前記溶解液から前記電極を保護する保護層が作成された
液滴吐出装置。
【請求項6】
前記保護層は、
金メッキ層である
請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記保護層にバンプが設けられ、
前記バンプを介して配線基板を前記電極に接続して前記駆動素子を駆動する
請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
所定の基板上に、液室の圧力を可変して、前記液室に保持した液体の液滴をノズルから吐出させる駆動素子を配置する駆動素子配置ステップと、
前記駆動素子を駆動するための電極を前記基板上に作成する電極作成ステップと、
前記基板上に、前記液室及び前記液室に前記液体を導く流路の形状による犠牲層を作成する犠牲層作成ステップと、
前記基板を被覆層で被覆する被覆層作成ステップと、
前記犠牲層を溶解する溶解液により前記犠牲層を溶解して、前記液室及び前記流路を作成する犠牲層除去ステップとを有し、
前記電極作成ステップは、
前記電極に、前記溶解液から前記電極を保護する保護層を作成する
液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記保護層は、
金メッキ層である
請求項8に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記電極作成ステップは、
前記金メッキ層の下地に、バリアメタル層を作成する
請求項9に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−36376(P2010−36376A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199184(P2008−199184)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】