説明

液滴吐出装置

【課題】基板に着弾した液滴の乾燥を促進させ作業効率を向上させることができる液滴吐
出装置を提供する。
【解決手段】吐出ヘッド本体30Aを挟んで、籠41に収容された水分吸着粒子42から
なる水分吸着装置40を配置した。水分吸着装置40は、着弾した液滴Fbの乾燥を妨げ
るグリーンシート4Gから発生し同グリーンシート4Gの表面に停留する水蒸気を吸着し
、グリーンシート4Gの表面を乾燥状態にする。従って、吐出ヘッド30から吐出されグ
リーンシート4Gに着弾した液滴Fbの乾燥を促進させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低温焼成セラミック(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics )技術は、グリ
ーンシートと金属との一括焼成を可能にすることから、セラミックの層間に各種の受動素
子を組み込んだ素子内蔵基板を具現できる。システム・オン・パッケージ(SOP)の実
装技術においては、電子部品の複合化や表面実装部品に発生する寄生効果の最小化を図る
ため、この素子内蔵基板(以下単に、LTCC多層基板という。)に関わる製造方法が鋭
意開発されている。
【0003】
LTCC多層基板の製造方法では、複数のグリーンシートの各々に受動素子や配線等の
パターンを描画する描画工程と、該パターンを有する複数のグリーンシートを積層して圧
着する圧着工程と、圧着体を一括焼成する焼成工程とが順に実施される。
【0004】
描画工程には、各種パターンの高密度化を図るため、導電性インクを微小な液滴にして
吐出する、いわゆるインクジェット法が提案されている(例えば、特許文献1)。インク
ジェット法は、数ピコリットル〜数十ピコリットルの液滴を吐出する液滴吐出装置を用い
、該液滴の吐出位置の変更によってパターンの微細化や狭ピッチ化を可能にする。
【0005】
そして、高精細なパターンを短時間で形成するには、グリーンシートに着弾した液滴を
短時間で乾燥させ、次の液滴を着弾させることが好ましい。そこで、グリーンシートを加
熱し同グリーンシートの温度を上げておき、着弾した液滴の乾燥速度を上げることが行わ
れている。
【特許文献1】特開2005−57139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、液滴吐出装置にて受動素子や配線等のパターンが描画されるグリーンシート
は、多くの水分を含んでいる。従って、グリーンシートを加熱しながら同グリーンシート
にパターンを描画する場合、グリーンシートから水蒸気が発生する。この発生した水蒸気
はグリーンシートの表面に停留するため、着弾した液滴の乾燥を妨げていた。その結果、
着弾した液滴の乾燥速度が遅くなり、描画工程の作業効率を低下させていた。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、基板に着弾し
た液滴の乾燥を促進させ作業効率を向上させることができる液滴吐出装置を提供すること
にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液滴吐出装置は、キャリッジに取着した液滴吐出ヘッドとステージに載置した
基板とを相対移動させ、前記液滴吐出ヘッドにて機能材料を含む機能液の液滴を前記基板
に向かって順次吐出させて、前記基板の表面にパターンを描画する液滴吐出装置であって
、前記液滴吐出ヘッドの隣接位置に、水分吸着装置を配置した。
【0009】
本発明の液滴吐出装置によれば、水分吸着装置が、液滴吐出ヘッドとともに基板と相対
移動し、基板の上面を通過する。このとき、水分吸着装置は、基板の上面に停留している
水蒸気の水分を吸着し、基板の表面を乾燥状態にする。従って、液滴吐出ヘッドから吐出
され基板に着弾した液滴の乾燥が促進される。
【0010】
この液滴吐出装置において、前記水分吸着装置は、前記液滴吐出ヘッドの相対移動方向
側又は反相対移動方向側のいずれかの隣接位置に配置してもよい。
本発明の液滴吐出装置によれば、水分吸着装置を液滴が着弾する前の位置または着弾直
後の位置を通過させることができ、着弾した液滴を確実かつ効率よく乾燥させることがで
きる。
【0011】
この液滴吐出装置において、前記ステージに前記基板を加熱する加熱手段を備えてもよ
い。
この液滴吐出装置によれば、加熱によって基板に含まれていた水分が水蒸気となって基
板の表面に停留しても、水分吸着装置にて該水蒸気の水分を吸着することができる。
【0012】
この液滴吐出装置において、前記基板は、セラミック粒子と樹脂とから構成される低温
焼成用シートであり、前記機能液は、機能材料として金属粒子を分散させた金属インクで
あってもよい。
【0013】
この液滴吐出装置によれば、水分吸着装置は、液滴吐出ヘッドから吐出され低温焼成用
シートに着弾した金属インクの液滴の乾燥を促進させることができる。
この液滴吐出装置において、前記液滴吐出装置は、通気穴を有した籠と同籠に収容され
た水分吸着粒子から構成してもよい。
【0014】
この液滴吐出装置によれば、籠の通気穴を介して同籠に収容された水分吸着粒子に、水
蒸気の水分は吸着される。
この液滴吐出装置において、前記水分吸着粒子はシリカゲルであってもよい。
【0015】
この液滴吐出装置によれば、シリカゲルは水蒸気の水分を吸着し保持する。
本発明の液滴吐出装置によれば、
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を、LTCC多層基板(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics
多層基板)に半導体チップを実装してなる回路モジュールであって、そのLTCC多層基
板を構成する複数の低温焼成用シート(グリーンシート)に描画する配線パターンの形成
に具体化した一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
【0017】
まず、LTCC多層基板に半導体チップを実装してなる回路モジュールについて説明す
る。図1は、回路モジュール1の断面図を示し、回路モジュール1は、板状に形成された
LTCC多層基板2と、そのLTCC多層基板2の上側に、ワイヤーボンディング接続さ
れた半導体チップ3とを有している。
【0018】
LTCC多層基板2は、シート状に形成された複数の低温焼成基板4の積層体である。
各低温焼成基板4は、それぞれガラスセラミック系材料(例えば、ホウケイ酸アルカリ酸
化物などのガラス成分とアルミナなどのセラミック成分の混合物)の焼結体(多孔質性基
板)であって、その厚みが数百μmで形成されている。
【0019】
そして、低温焼成基板4は、その焼結前のものを低温焼成用シートとしてのグリーンシ
ート4G(図2,3参照)という。グリーンシート4Gは、ガラスセラミック系材料の粉
末と分散媒をバインダ、整泡剤などとともに混合してスラリーを作成しこれを板状にした
後に乾燥した基板である。
【0020】
各低温焼成基板4には、抵抗素子、容量素子、コイル素子などの各種の回路素子5と、
各回路素子5を電気的に接続する内部配線6と、スタックビア構造、サーマルビア構造を
呈する所定の孔径(例えば、20μm)を有した複数のビアホール7と、該ビアホール7
に充填されたビア配線8と、がそれぞれ回路設計に基づいて適宜形成されている。
【0021】
各低温焼成基板4上の各内部配線6は、それぞれ銀や銀合金などの金属微粒子の焼結体
であって、図2に示すパターン形成装置としての液滴吐出装置20を利用した配線パター
ン形成方法によって形成される。
【0022】
図2は、液滴吐出装置20を説明する全体斜視図である。
図2において、液滴吐出装置20は、直方体形状に形成された基台21を有している。
基台21の上面には、その長手方向(Y矢印方向)に沿って延びる一対の案内溝22が形
成されている。案内溝22の上方には、案内溝22に沿ってY矢印方向及び反Y矢印方向
に移動するステージ23が備えられている。
【0023】
ステージ23は、その上面に焼成前の低温焼成基板4であるグリーンシート4Gを載置
する。ステージ23に載置されるグリーンシート4Gは、裏面にキャリアフィルム4Fが
剥離可能に貼着されている。
【0024】
キャリアフィルム4Fは、描画工程やその後の各種工程においてグリーンシート4Gを
支持するためのフィルムであり、例えばグリーンシート4Gとの剥離性や各工程における
機械的耐性に優れたプラスチックフィルムを用いることができる。キャリアフィルム4F
には、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィル
ム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムを用いることができる。
【0025】
グリーンシート4Gは、ガラスセラミック粉末やバインダ等を含むガラスセラミック組
成物からなる層である。グリーンシート4Gの膜厚は、回路素子5としてコンデンサ素子
を形成する場合に数十μmで形成され、他の層においては100μm〜200μmで形成
される。このグリーンシート4Gは、ドクターブレード法やリバースロールコータ法等の
シート成形法を用い、分散媒でスラリー化したガラスセラミック組成物をキャリアフィル
ム4Fの上に塗布し、該塗布膜をハンドリング可能な状態に乾燥することによって得られ
る。
【0026】
分散媒としては、例えば界面活性剤やシランカップリング剤等を用いることができ、ガ
ラスセラミック粉末を均一に分散させるものであれば良い。
ガラスセラミック粉末は、0.1μm〜5μmの平均粒径を有する粉末であり、例えば
アルミナやフォルステライト等のセラミック粉末にホウ珪酸系ガラスを混合したガラス複
合セラミックを用いることができる。また、ガラスセラミック粉末としては、ZnO−M
gO−Al2O3−SiO2系の結晶化ガラスを用いた結晶化ガラスセラミック、BaO
−Al2O3−SiO2系セラミック粉末やAl2O3−CaO−SiO2−MgO−B
2O3系セラミック粉末等を用いた非ガラス系セラミックを用いても良い。
【0027】
バインダは、ガラスセラミック粉末の結合剤としての機能を有し、後工程の焼成工程で
分解して容易に除去できる有機高分子である。バインダとしては、例えばブチラール系、
アクリル系、セルロース系等のバインダ樹脂を用いることができる。アクリル系のバイン
ダ樹脂としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)ア
クリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)
アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物の単独重合体を用いることができる。また
、アクリル系のバインダ樹脂としては、該(メタ)アクリレート化合物の2種以上から得
られる共重合体、あるいは(メタ)アクリレート化合物と不飽和カルボン酸類等の他の共
重合性単量体から得られる共重合体を用いることができる。
【0028】
なお、バインダは、例えばアジピン酸エステル系可塑剤、ジオクチルフタレート(DO
P)、ジブチルフタレート(DBP)フタル酸エステル系可塑剤、グリコールエステル系
可塑剤等の可塑剤を含有しても良い。
【0029】
ステージ23の上面23aには、加熱手段としてのラバーヒータHが配設されている。
ステージ23に載置されたグリーンシート4Gは、ラバーヒータHにて所定の温度に加熱
されるようになっている。そして、ステージ23に載置されたグリーンシート4Gは、同
ステージ23に対して位置決め固定されて、グリーンシート4GをY矢印方向及び反Y矢
印方向に搬送する。
【0030】
図2に示すように、基台21には、Y矢印方向と直交する方向(X矢印方向)に跨ぐ門
型のガイド部材25が架設されている。ガイド部材25の上側には、X矢印方向に延びる
インクタンク26が配設されている。インクタンク26は、金属インクF(図3参照)を
貯留し、貯留する金属インクFを液滴吐出ヘッド(以下単に、吐出ヘッドという。)30
に所定の圧力で供給する。そして、吐出ヘッド30に供給された金属インクFは、吐出ヘ
ッド30から液滴Fb(図3参照)となってグリーンシート4Gに向かって吐出されるよ
うになっている。
【0031】
金属インクFは、機能材料としての金属微粒子、例えば粒径が数nmの金属微粒子を溶
媒に分散させた分散系金属インクを用いることができる。
金属インクFに使用する金属微粒子としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(
Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)、チタン(Ti
)、タンタル(Ta)、及びニッケル(Ni)などの材料の他、これらの酸化物、並びに
超電導体の微粒子などが用いられる。金属微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であ
ることが好ましい。0.1μmより大きいと吐出ヘッド30の吐出ノズルNに目詰まりが
生じるおそれがある。また、1nmより小さいと金属微粒子に対する分散剤の体積比が大
きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0032】
分散媒としては、上記の金属微粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば
特に限定されない。例えば水系溶媒のほか、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラ
デカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロ
ナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、
またエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン
、1,3−プロパンジオールなどのポリオール類、ポリエチレングリコール、エチレング
リコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール
メチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール
ジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエ
タン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、
さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、乳酸エチルなどの極性
化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法
への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好
ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0033】
グリーンシート4Gに着弾した金属インクFは、その表面側から溶媒あるいは分散媒の
一部が蒸発する。このとき、ラバーヒータHにてグリーンシート4Gが加熱されているこ
とから溶媒あるいは分散媒の蒸発は促進される。
【0034】
そして、グリーンシート4Gに着弾した金属インクFは、乾燥とともにその表面の外縁
から増粘し、つまり、中央部に比べて外周部における固形分(粒子)濃度が速く飽和濃度
に達することから表面の外縁から増粘していく。外縁の増粘した金属インクFは、グリー
ンシート4Gの面方向に沿う自身の濡れ広がりを停止する(ピニングする)。ピニングさ
れた状態の金属インクFは、グリーンシート4Gに固定され重ね打ちされても、グリーン
シート4Gに固定状態になっており、液滴Fbの外径が変化しなくなっているため、次の
液滴Fbに引き寄せられることはない。
【0035】
ガイド部材25には、そのX矢印方向略全幅にわたって、X矢印方向に延びる上下一対
のガイドレール28が形成されている。上下一対のガイドレール28には、キャリッジ2
9が取り付けられている。キャリッジ29は、ガイドレール28に案内されてX矢印方向
及び反X矢印方向に移動する。
【0036】
キャリッジ29は、下側に設けた支持プレート29Aが前記ステージ23と平行に配設
され、その支持プレート29Aには液滴吐出ヘッド30が取着されている。液滴吐出ヘッ
ド30は、支持プレート29Aに対してY方向に延びるように固着されたヘッド基板31
とヘッド基板31に対して同じくY方向に延びるように固着されたヘッド本体30Aとを
有する。
【0037】
ヘッド基板31は支持プレート29Aに位置決め固定される。つまり、液滴吐出ヘッド
30は、図3に示すように、支持プレート29Aに貫通した貫通穴32を同支持プレート
29Aの上面29Aaから吐出ヘッド本体30Aを貫通させ、吐出ヘッド本体30Aを支
持プレート29Aの下面29Abから突出させる。そして、吐出ヘッド本体30Aを支持
プレート29Aの下面29Abから突出させた状態で、支持プレート29Aの上面29A
aとヘッド基板31を密着固定することによって、液滴吐出ヘッド30は支持プレート2
9Aに支持固定される。従って、液滴吐出ヘッド30は、キャリッジ29とともに、X方
向に移動する。
【0038】
吐出ヘッド本体30Aは、図3に示すように、その下側には、ノズルプレート33が備
えられている。
ノズルプレート33は、その下面(ノズル形成面33a)がグリーンシート4Gの上面
(吐出面4Ga)と略平行に形成されている。ノズルプレート33は、グリーンシート4
Gが吐出ヘッド30の直下に位置するとき、ノズル形成面33aと吐出面4Gaとの間の
距離(プラテンギャップ)を所定の距離(例えば、600μm)に保持する。
【0039】
図4において、ノズル形成面33aには、Y矢印方向に沿って配列された複数のノズル
Nからなるノズル列NLが形成されている。一対のノズル列NLには、それぞれ1インチ
当たりに180個のノズルNが形成されている。
【0040】
図3において、吐出ヘッド30の上側には、供給チューブ30Tが連結されている。供
給チューブ30Tは、Z矢印方向に延びるように配設されて、インクタンク26からの金
属インクFを吐出ヘッド30に供給する。
【0041】
各ノズルNの上側には、供給チューブ30Tに連通するキャビティ34が形成されてい
る。キャビティ34は、供給チューブ30Tからの金属インクFを収容して、対応するノ
ズルNに金属インクFを供給する。
【0042】
キャビティ34の上側には、上下方向に振動してキャビティ34内の容積を拡大及び縮
小する振動板35が貼り付けられている。振動板35の上側には、ノズルNに対応する圧
電素子PZが配設されている。圧電素子PZは、上下方向に収縮及び伸張して振動板35
を上下方向に振動させる。上下方向に振動する振動板35は、金属インクFを所定サイズ
の液滴Fbにして対応するノズルNから吐出させる。吐出された液滴Fbは、対応するノ
ズルNの反Z矢印方向に飛行して、グリーンシート4Gの吐出面4Gaに着弾する。
【0043】
前記支持プレート29Aの下面29Abであって吐出ヘッド本体30AのX方向の両側
に吐出ヘッド本体30Aを挟んで一対の水分吸着部材としての水分吸着装置40が取着さ
れている。水分吸着装置40は直方体の籠41と同籠41に収容された水分吸着粒子42
からなる。
【0044】
籠41は、無数の通気穴(図示せず)が貫通形成されたステンレス製の籠体であって、
通気穴は収容した水分吸着粒子42が外にこぼれないサイズに形成されている。そして、
籠41は、支持プレート29Aに対してネジ(図示しない)にて取り外し可能に固着され
ている。水分吸着粒子42は、シリカゲルからなり、籠41は、無数の通気穴を介して籠
41内に流れ込んだ空気に含まれた水分を吸着する。
【0045】
次に、上記液滴吐出装置20を利用したグリーンシート4Gの配線パターンの形成方法
について説明する。
図2に示すように、吐出面4Gaが上側になるようにグリーンシート4Gをステージ2
3に載置する。このとき、ステージ23は、グリーンシート4Gをキャリッジ29の反Y
矢印方向に配置する。このグリーンシート4Gは、ビアホール7が形成され、そのビアホ
ール7にビア配線8がなされていて、その吐出面4Gaに内部配線6を形成するものとす
る。
【0046】
又、ステージ23に設けたラバーヒータHは駆動されていて、ステージ23に載置され
たグリーンシート4Gは所定の温度に加熱されている。この加熱によって、グリーンシー
ト4Gから水蒸気が発生し、同グリーンシート4Gの表面に水蒸気が停留する状態が発生
する。
【0047】
そして、吐出ヘッド30がグリーンシート4Gの所定の直上位置をX矢印方向に通過す
るように、ステージ23を搬送した後、吐出ヘッド30の走査(往動)を開始させる。吐
出ヘッド30が走査(往動)を開始すると、液滴吐出装置20は、内部配線6を形成する
ための着弾位置に吐出ヘッド30が位置するたびに、図3に示すように、選択されたノズ
ルNから液滴Fbを吐出させる。吐出される各液滴Fbは、対応する内部配線6を形成す
るための着弾位置に順次着弾する。
【0048】
この吐出ヘッド30は、液滴Fbを吐出させながらグリーンシート4G上をX矢印方向
に往動させているとき、加熱されたグリーンシート4Gの表面に停留する水蒸気の中を通
過する。このとき、吐出ヘッド30の進行方向側及び反進行側に設けた水分吸着装置40
もグリーンシート4Gの表面に停留した水蒸気の中を通過する。
【0049】
水分吸着装置40は、表面に停留した水蒸気の中を通過するとき、籠41内に収容した
水分吸着粒子42にて該水蒸気中に水分を吸着し、グリーンシート4Gの表面を乾燥状態
にする。
【0050】
従って、吐出ヘッド30から吐出されグリーンシート4Gに着弾した液滴Fbは、グリ
ーンシート4Gの表面が乾燥状態になっているため、乾燥が促進される。
吐出ヘッド30が、グリーンシート4Gの端から端までの走査を完了すると、すなわち
、吐出ヘッド30をX矢印方向に走査(往動)させて、1回目の液滴Fbの動作が完了す
ると、内部配線6を形成するためのグリーンシート4G上の新たな位置に液滴Fbを吐出
させるべく、ステージ23をY方向に所定の量搬送させた後、吐出ヘッド30を反X矢印
方向に走査(復動)させる。
【0051】
吐出ヘッド30が走査(復動)を開始すると、液滴吐出装置20は、前記と同様に、内
部配線6を形成するための着弾位置に吐出ヘッド30が位置するたびに、選択されたノズ
ルNから液滴Fbを吐出させる。
【0052】
この吐出ヘッド30は、液滴Fbを吐出させながらグリーンシート4G上を反X矢印方
向に往動させているとき、同様に、グリーンシート4Gの表面に停留する水蒸気の中を通
過する。このとき、前記と同様に、水分吸着装置40は、表面に停留した水蒸気を、籠4
1内に収容した水分吸着粒子42にて該水蒸気中に水分を吸着し、グリーンシート4Gの
表面を乾燥状態にする。
【0053】
従って、吐出ヘッド30から吐出されグリーンシート4Gに着弾した液滴Fbは、グリ
ーンシート4Gの表面が乾燥状態になっているため、乾燥が促進される。
以後、吐出ヘッド30を、X矢印方向及び反X矢印方向に往復動させるとともに、ステ
ージ23をY矢印方向に搬送させ、吐出ヘッド30の往復動中に液滴Fbをグリーンシー
ト4Gに所定のタイミングで吐出させる動作を繰り返す。これによって、グリーンシート
4G上には、着弾した液滴Fbによる内部配線6の配線パターンが描画される。
【0054】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、ステージ23にラバーヒータHを設け、ステージ23に
載置したグリーンシート4Gを所定の温度に加熱した。従って、吐出ヘッド30から吐出
されグリーンシート4Gに着弾された液滴Fbは、速やかに乾燥される。
【0055】
(2)上記実施形態によれば、吐出ヘッド本体30AのX方向の両側に吐出ヘッド本体
30Aを挟んで、籠41に収容された水分吸着粒子42からなる水分吸着装置40を配置
した。そして、この水分吸着装置40にて、着弾した液滴Fbの乾燥を妨げるグリーンシ
ート4Gから発生し同グリーンシート4Gの表面に停留する水蒸気を吸着し、グリーンシ
ート4Gの表面を乾燥状態にする。しかも、水分吸着装置40は、グリーンシート4Gの
表面に停留する水蒸気の中を通過し水蒸気を吸着することから、グリーンシート4Gの表
面を効率よく乾燥状態にすることができる。
【0056】
従って、吐出ヘッド30から吐出されグリーンシート4Gに着弾した液滴Fbの乾燥を
促進させることができる。
(3)上記実施形態によれば、吐出ヘッド本体30AのX方向の両側に吐出ヘッド本体
30Aを挟んで、水分吸着装置40を配置した。従って、簡単な構造で水分吸着装置40
を着弾前の位置と着弾後の位置を通過させることができ、着弾した液滴Fbを確実かつ効
率よく乾燥させることができる。
【0057】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、水分吸着装置40を、吐出ヘッド本体30AのX方向の両側に吐
出ヘッド本体30Aを挟んで配置した。これを、いずれか一方のみに配置してもよい。ま
た、吐出ヘッド30の四方を囲むように配置してもよい。さらに、吐出ヘッド30が突出
している箇所を除く支持プレート29A全面に水分吸着装置40を設けてもよい。
【0058】
・上記実施形態では、水分吸着装置40の籠41に収容した水分吸着粒子42を、シリ
カゲルで構成したが、シリカゲルに限定されるものではなく、水分を吸着し保持し、吐出
ヘッド本体30Aの隣接位置に配置できるものであれば何でもよい。
【0059】
・上記実施形態では、機能液を、金属インクFとして具体化した。これに限らず、例え
ば、液晶材料を含有した機能液に具体化してもよい。つまり、パターンを形成するための
吐出させる機能液であればよい。
【0060】
・上記実施形態では、基板を、グリーンシート4Gに具体化した。これに限らず、例え
は、基板を、ガラス基板、ポリイミド基板、ガラエポ基板などに具体化してもよい。
・上記実施形態では、液滴吐出手段を、圧電素子駆動方式の液滴吐出ヘッド30に具体
化した。これに限らず、液滴吐出ヘッドを、抵抗加熱方式や静電駆動方式の吐出ヘッドに
具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】回路モジュールの側断面図。
【図2】液滴吐出装置の全体斜視図。
【図3】液滴吐出ヘッドの要部側断面図。
【図4】液滴吐出ヘッドの下方からみた斜視図。
【符号の説明】
【0062】
4G…基板としてのグリーンシート、20…液滴吐出装置、23…ステージ、23a…
上面、29…キャリッジ、30…液滴吐出ヘッド、40…水分吸着装置、41…籠、42
…水分吸着粒子42、H…加熱手段としてのラバーヒータ、F…機能液としての金属イン
ク、Fb…液滴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジに取着した液滴吐出ヘッドとステージに載置した基板とを相対移動させ、前
記液滴吐出ヘッドにて機能材料を含む機能液の液滴を前記基板に向かって順次吐出させて
、前記基板の表面にパターンを描画する液滴吐出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドの隣接位置に、水分吸着装置を配置したことを特徴とする液滴吐出
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液滴吐出装置において、
前記水分吸着装置は、前記液滴吐出ヘッドの相対移動方向側又は反相対移動方向側のい
ずれかの隣接位置に配置したことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液滴吐出装置において、
前記ステージに前記基板を加熱する加熱手段を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の液滴吐出装置において、
前記基板は、セラミック粒子と樹脂とから構成される低温焼成用シートであり、
前記機能液は、機能材料として金属粒子を分散させた金属インクであることを特徴とす
る液滴吐出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の液滴吐出装置において、
前記液滴吐出装置は、通気穴を有した籠と同籠に収容された水分吸着粒子からなること
を特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液滴吐出装置において、
前記水分吸着粒子はシリカゲルであることを特徴とする液滴吐出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−172497(P2009−172497A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12296(P2008−12296)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】