説明

液滴塗布装置及び液滴塗布方法

【課題】塗布ヘッドに非適正ノズルが発生した場合でも、その非適正ノズルを適正な状態に戻すメンテナンス作業を行う機会を減少させ、稼働率の低下を抑える。
【解決手段】複数のノズルが所定方向に配列された塗布ヘッドと塗布領域を有する基板とをノズルの配列方向と交差する方向に相対的に走査移動させ、この走査移動時に塗布領域に対向するノズルから液滴を吐出させて塗布領域に塗布液の液滴を塗布する液滴塗布装置において、ノズルからの液滴の吐出状態を検出する検出部と、塗布ヘッドと基板とをノズルの配列方向に相対的に移動させる移動駆動部と、検出部と移動駆動部とを制御する制御部25とを有し、制御部25は、検出部23の検出結果に基づいて各ノズルからの液滴の吐出状態の適否を判定し、非適正ノズルがあるときには、非適正ノズルが塗布領域から外れて位置するよう移動駆動部10を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布ヘッドのノズルから液滴を吐出して塗布対象物に塗布する液滴塗布装置及び液滴塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴塗布装置は、液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の表示装置あるいは半導体装置等を製造する場合、例えば、カラーフィルタを形成する場合、あるいは、ガラス基板や半導体ウェハ等の基板に配向膜やレジスト等の機能性薄膜を形成する場合に用いられている。
【0003】
この液滴塗布装置は、基板等の塗布対象物に向けてインク等の塗布液を複数のノズルから吐出する塗布ヘッドを備えている。液滴塗布装置は、塗布ヘッドと塗布対象物とを相対移動させながらノズルから塗布液を液滴として吐出させ、その液滴を塗布対象物の塗布領域に塗布することにより所定の薄膜を形成している。
【0004】
このような液滴塗布装置においては、様々な原因により液滴の吐出状態が適正でないノズル(以下、「非適正ノズル」という。)が発生する場合がある。例えば、塗布液中に混入した気泡がノズルを塞ぐことによるノズルからの液滴の不吐出や、塗布ヘッドのノズル面のワイピング時にノズル内に異物が入り込んでノズルを詰まらせることによるノズルからの液滴の不吐出等である。
【0005】
非適正ノズルが発生すると、各塗布領域に塗布される塗布液の量がばらつき、塗布された塗布液により形成される薄膜の厚さがばらつきを生じ、完成した製品の歩留まりが低下することになる。
【0006】
そこで、非適正ノズルが発生した場合、例えば、塗布液中に気泡が混入したことによるノズルからの液滴の不吐出が発生した場合には、下記特許文献1に記載されたように塗布液中から気泡を抜くメンテナンス作業を行い、ノズルからの液滴の吐出状態を適正な状態に戻している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−275659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非適正ノズルが発生した場合にその非適正ノズルからの液滴の吐出状態を適正な状態に戻すメンテナンス作業を行うためには、液滴塗布装置による液滴塗布作業を中断する必要がある。このため、非適正ノズルが発生する都度その非適正ノズルからの液滴の吐出状態を適正な状態に戻すメンテナンス作業を行うと、液滴塗布装置の稼働率が著しく低下するという問題が生じる。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、塗布ヘッドに非適正ノズルが発生した場合でも、その非適正ノズルを適正な状態に戻すメンテナンス作業を行う機会を減少させ、稼働率の低下を抑えることができる液滴塗布装置及び液滴塗布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、塗布液の液滴を吐出する複数のノズルが所定方向に配列して設けられた塗布ヘッドと塗布領域を有する基板とを前記ノズルの配列方向
と交差する方向に相対的に走査移動させ、この走査移動時に前記塗布領域に対向する前記ノズルから液滴を吐出させて前記塗布領域に塗布液の液滴を塗布する液滴塗布装置において、前記ノズルからの液滴の吐出状態を検出する検出部と、前記塗布ヘッドと前記基板とを前記ノズルの配列方向に相対的に移動させる移動駆動部と、前記検出部の検出結果に基づいて前記移動駆動部を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて各前記ノズルからの液滴の吐出状態の適否を判定し、液滴の吐出状態が適正でない非適正ノズルがあると判定したときには、前記塗布領域に対して液滴を塗布する前記走査移動の際に、当該非適正ノズルが前記塗布領域から外れて位置するように前記移動駆動部を制御することである。
【0011】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、塗布液の液滴を吐出する複数のノズルが所定方向に配列して設けられた塗布ヘッドと塗布領域を有する基板とを前記ノズルの配列方向と交差する方向に相対的に走査移動させ、この走査移動時に前記塗布領域に対向する前記ノズルから液滴を吐出させて前記塗布領域に塗布液の液滴を塗布する液滴塗布方法において、個々の前記ノズルから吐出された液滴の吐出状態を検出する工程と、個々の前記ノズルから吐出された液滴の吐出状態が適正か否かを判定する工程と、液滴の吐出状態が適正でない非適正ノズルがあるときは、前記塗布領域に対して液滴を塗布する前記走査移動の際に、前記非適正ノズルが前記塗布領域から外れて位置するように前記塗布ヘッドと前記基板とを前記ノズルの配列方向に相対的に移動させる工程と、を備えることである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液滴の吐出状態が適正でない非適正ノズルが発生した場合でも、その非適正ノズルを適正な状態に戻すメンテナンス作業を行う機会を減少させることができるので、液滴塗布装置の稼働率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る溶液塗布装置を示す正面図である。
【図2】溶液塗布装置を示す平面図である。
【図3】溶液塗布装置を示す側面図である。
【図4】塗布ヘッドを示す断面図である。
【図5】制御部の機能を示すブロック図である。
【図6】非適正ノズルが発生した場合の塗布ヘッドの移動について説明する模式図である。
【図7】ノズルの位置を設定する工程を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る溶液塗布装置における制御部の機能を説明するブロック図である。
【図9】非適正ノズルが発生した場合の処理について説明する模式図である。
【図10】ノズルの位置を設定する工程を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る液滴塗布装置における制御部の機能を説明するブロック図である。
【図12】非適正ノズルが発生した場合の処理について説明する模式図である。
【図13】ノズルの位置を設定する工程を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について、図1ないし図7に基づいて説明する。図1ないし図3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る液滴塗布装置1は、水平状態に配置されたベース2を有し、ベース2の上面の幅方向(矢印Y方向)の両側には、ベース2の上面の長手方向(矢印X方向)に沿って設けられた一対のガイド部材3が固定されている。両ガイド部材3の上面には、載置テーブル4が、その下面の幅方向(矢印Y方向)の両
側に平行に設けられた受け部材5をスライド可能に係合させて支持されている。
【0015】
ガイド部材3には固定子(図示せず)が設けられ、受け部材5には可動子(図示せず)が設けられ、これらの固定子と可動子とにより載置テーブル4をガイド部材3に沿って矢印X方向に移動させるリニアモータ(図示せず)が構成されている。
【0016】
載置テーブル4には、塗布対象物である基板6、例えば、液晶表示装置に用いられるガラス製の基板6が載置される。この基板6は、載置テーブル4に真空吸着や静電吸着等の手段によって吸着保持される。従って、載置テーブル4上に載置された基板6は、載置テーブル4と共にガイド部材3に沿って矢印X方向に走査移動される。
【0017】
ベース2の長手方向中途部には、一対のガイド部材3を跨いだ門型の支持体7が立設されている。この支持体7の上部には一対の取付板8が対向して固定され、これらの取付板8の間には、ボールネジ9とこのボールネジ9を回転駆動させる移動駆動部である駆動モータ10とが設けられている。ボールねじ9は、載置テーブル4の上面と平行であって、かつ、載置テーブル4の移動方向(矢印X方向)と直角に交差する方向(矢印Y方向)の軸心をもって配置されている。
【0018】
ボールネジ9には、枠体11が保持されている。ボールネジ9による枠体11の保持は、枠体11の上部側に固定された一対の保持片11aにボールネジ9を螺合させることにより行われている。この枠体11は、ボールネジ9の回転に伴ないボールネジ9の軸心方向(矢印Y方向)に沿って移動する。
【0019】
枠体11の枠内には、インクジェット方式によって機能性薄膜、例えば配向膜を形成する塗布液(ポリイミド溶液)を液滴としてドット状に吐出する複数の塗布ヘッド12が矢印Y方向に沿って配置されている。この実施の形態では、3つの塗布ヘッド12が千鳥状に配置されている。
【0020】
塗布ヘッド12は、図4に示すように、ヘッド本体13を備えている。ヘッド本体13は筒状に形成され、その下面側開口部分は可撓板14によって閉塞されている。この可撓板14は、ノズルプレート15により覆われ、ノズルプレート15と可撓板14との間に複数の液室16が形成されている。
【0021】
各液室16は、ノズルプレート15内に形成された主管路17に図示しない枝管路を介してそれぞれ連通され、主管路17から枝管路を介して塗布液が各液室16に供給される。主管路17は、一端が給液孔18に接続され、他端が回収孔19に接続されている。なお、給液孔18は供給する塗布液を貯留した供給タンク(図示せず)に接続され、回収孔19は回収した塗布液を貯留する回収タンク(図示せず)に接続されている。即ち、各塗布ヘッド12は、液室16に塗布液を供給してノズル20から吐出させるだけでなく、液室16内の塗布液を回収孔19から回収することができる。
【0022】
ノズルプレート15には、基板6の搬送方向(矢印X方向)と直角に交差する方向(矢印Y方向)に沿って複数のノズル20が穿設されている。可撓板14の上面には、各ノズル20にそれぞれ対向する複数の圧電素子21が設けられている。
【0023】
各圧電素子21は、ヘッド本体13内に設けられた圧電素子駆動部22によって駆動電圧が印加される。この駆動電圧が印加されることにより圧電素子21が伸縮し、可撓板14が部分的に変形し、伸縮した圧電素子21と対向して位置するノズル20から液室16内の塗布液が液滴としてドット状に吐出される。ノズル20から吐出された液滴は、塗布ヘッド12の下方を矢印X方向に走査移動する載置テーブル4上の基板6の上面の塗布領
域に塗布される。従って、基板6の上面には、液滴がドット状に配列されてなる塗布パターンが形成される。この塗布パターンは、ドット状の液滴が流動して濡れ広がることにより、付着し合って1つの膜となる。
【0024】
液滴塗布装置1には、図5に示すように、各塗布ヘッド12の各ノズル20から吐出される液滴の吐出状態(吐出の有無、吐出量、吐出方向、吐出位置等)を検出する検出部であるカメラ23と、カメラ23による検出結果である撮像画像を処理する画像処理部24と、画像処理された情報に基づいて個々のノズル20からの液滴の吐出状態の適否を判定する機能、液滴の吐出状態が適正でない非適正ノズルがあると判定したときには塗布領域に対して液滴を塗布する走査移動の際に当該非適正ノズルが塗布領域から外れて位置するように駆動モータ10を制御する機能等を備えた制御部25とが設けられている。カメラ23は、各塗布ヘッド12に1つずつ対応させて合計3つ設けられている。
【0025】
枠体11の外側面には上下方向(矢印Z方向)に沿って設けられたガイド部材26が固定され、このガイド部材26には上下方向スライド可能に受け部材27が係合され、この受け部材27にカメラ23が固定されている。受け部材27は図示しない駆動部により駆動され、カメラ23と共にガイド部材26に沿って上下方向(矢印Z方向)に移動可能となっている。
【0026】
各塗布ヘッド12により基板6上に塗布液を塗布する場合には、各カメラ23をガイド部材26の上端側の位置(図1において実線で示す位置)に移動させ、矢印X方向に移動する載置テーブル4がカメラ23に干渉しないようにする。
【0027】
各塗布ヘッド12の各ノズル20から吐出される液滴の吐出状態を検出する場合には、まず、載置テーブル4を図1において二点鎖線で示す位置に移動させ、載置テーブル4における矢印X方向の一端側に取付部材28を介して取付けられている液槽29を塗布ヘッド12の下側に位置させる。さらに、各カメラ23をガイド部材26の下端側の検出作業位置(図1において二点鎖線で示す位置)へ移動させ、ノズル20から液槽29に向けて吐出される液滴がカメラ23の撮像視野内に入るようにする。この状態でノズル20から液槽29に向けて液滴を吐出させることにより、各ノズル20から吐出した液滴をカメラ23で撮像することができる。なおここで、カメラ23は塗布ヘッド12の全てのノズル20から同時に吐出された液滴を一度に取り込むことができる大きさの撮像視野を備えるものとする。また、カメラ23による液滴の撮像は、液滴の吐出タイミングに合わせて飛翔中の1滴の液滴をストロボ撮像によって撮像するものとする。
【0028】
制御部25は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータであり、図5に示すように、吐出状態適否判定部30と、非適正ノズル位置判定部31と、非適正ノズル対応位置判定部32と、非適正ノズル対応数判定部33と、零判定部34と、中断信号出力部35と、塗布ヘッド移動位置演算部36と、移動信号出力部37と、を備えている。
【0029】
吐出状態適否判定部30は、画像処理部24で画像処理された情報に基づき、個々のノズル20からの液滴の吐出状態が適正であるか否かを判定する。例えば、ノズル20から液滴が吐出されていない場合、ノズル20から吐出される液滴の吐出量が基準量より少ない場合、ノズル20からの液滴の吐出方向が傾いている場合等には、そのノズル20からの液滴の吐出状態が適正でないと判定する。すなわち、吐出状態適否判定部30は、画像処理部24による処理画像内において液滴画像が塗布ヘッド12の備えるノズル20の数分存在するか否かによって液滴が吐出されていないノズル(不吐出ノズル)20の有無を判定することが可能である。また、処理画像内における各液滴画像の面積や寸法に基づいて各ノズル20から吐出された液滴の量を近似的に算出することが可能である。さらに、
処理画像内における各液滴画像同士の間隔がノズル20の配置間隔と一致するか否かによってノズル20からの液滴の吐出方向が傾いているか否かを判定することが可能である。
【0030】
非適正ノズル位置判定部31は、液滴の吐出状態が適正でないと判定されたノズル(非適正ノズル)20の位置を判定する。例えば、非適正ノズル20は、塗布ヘッド12の一端側から何番目のノズル20であるかを判定する。非適正ノズル20の位置は、処理画像内おける液滴画像同士の間隔に基づいて求めることができる。例えば、不吐出ノズル(非適正ノズル)20がある場合、その非適正ノズル20に対応する箇所で液滴同士の間隔がノズル20の配置間隔の2倍になるので、その間に不吐出ノズル20が存在すると判定できる。
【0031】
非適正ノズル対応位置判定部32は、非適正ノズル位置判定部31によって判定された非適正ノズル20が塗布領域に対応するノズルであるか否かを判定する。
【0032】
非適正ノズル対応数判定部33は、塗布ヘッド12を移動させた場合に、基板6の塗布領域に対応する液滴の吐出状態が適正でないノズル(非適正ノズル)20が最少になる数を判定する。例えば、図6を用いて説明すれば、非適正ノズル対応数判定部33は以下の如くの判定を行なう。まず、塗布ヘッド12を移動、すなわち、塗布ヘッド12と基板6との位置関係を、左側の塗布ヘッド12のノズル20の列における左端のノズル20が基板6における矢印Y方向に2つ並んだ塗布領域“S”のうち左側の塗布領域“S”の左端部に対向する状態(状態A)から右側の塗布ヘッド12のノズル20の列における右端のノズル20が基板6における右側の塗布領域“S”の右端部に対向する状態(状態B)となるまで、ノズル20の配置間隔(ピッチ)ずつ仮想的にずらし、それぞれの位置関係において塗布領域に対応する非適正ノズル20aの数を判定する。次に、判定した非適正ノズル20aの数のうち、最小値を判定する。図6の場合、上述した状態Aから1ピッチずらした位置関係と2ピッチずらした位置関係とで非適正ノズル20aの数が“0”になり、それ以外の位置関係では“1”となる。なお、「塗布領域に対応するノズル20」とは、基板6が走査移動されて塗布ヘッド12の下方を通過するときに、基板6の塗布領域に対して上下方向で対向して位置するノズル20を意味する。
【0033】
零判定部34は、非適正ノズル対応数判定部33で判定された塗布領域に対応する非適正ノズル20の数が“0”であるか否かを判定する。
【0034】
中断信号出力部35は、零判定部34での判定結果が“0”でない場合に、塗布ヘッド12を移動させるためのその後の動作を中断する中断信号を出力する。この中断信号の出力により、例えば、非適正ノズルを回復すべくメンテナンス動作(例えば、特許文献1に記載されたように塗布液を塗布ヘッドに圧送しノズルから流出させることでノズル内から気泡を抜くメンテナンス作業)が実行される。または、非適正ノズルがあることが報知され、非適正ノズルを回復させる作業を促す。
【0035】
塗布ヘッド移動位置演算部36は、非適正ノズル対応数判定部33での判定結果に応じ、塗布領域に対応する非適正ノズルの数が最少となる塗布ヘッド12の移動位置を演算する。
【0036】
移動信号出力部37は、塗布ヘッド移動位置演算部36での演算結果に基づく移動信号を駆動モータ10に対して出力し、塗布ヘッド12を矢印Y方向に移動させる。
【0037】
なお、塗布ヘッド12を移動させた後に基板6に対して塗布液を塗布する場合には、塗布ヘッド12のどのノズル20から液滴を吐出させてどのノズル20からは液滴を吐出させないという、吐出情報を修正する。吐出情報は、圧電素子21に印加する駆動電圧や液
滴の吐出間隔に関する情報と共に制御部25に記憶されている。
【0038】
非適正ノズル20aが発生した場合の塗布ヘッド12の移動について、図6に基づいて説明する。
【0039】
図6の(a)は、塗布ヘッド12に一つの非適正ノズル20aが存在し、その非適正ノズル20aが基板6の塗布領域“S”に対応する状態を示している。この場合には、塗布ヘッド12と基板6との矢印Y方向における位置関係において、塗布領域“S”に対応する非適正ノズルが最少となる数(この場合は“0”)が非適正ノズル対応数判定部33で判定される。その判定結果が“0”の場合、塗布領域“S”に対応する非適正ノズルの数が“0”となる塗布ヘッド12の移動位置が塗布ヘッド移動位置演算部36で演算される。なお、この例においては、初期状態(図6の(a)に示す状態)において、塗布ヘッド12と基板6との位置関係は、中央の塗布ヘッド12の中央に位置するノズル20が基板6の幅方向(Y方向)における中央位置と略一致するように、駆動モータ10によって調整されている。また、図6においては、塗布ヘッド12と基板6との位置関係を上述した状態Aから1ピッチずらした位置関係と2ピッチずらした位置関係とで非適正ノズル20aの数が“0”になる。よって、塗布ヘッド移動位置演算部36は、非適正ノズルの数が“0”となる塗布ヘッド12の移動位置を、初期状態から矢印Y方向における右方向に3ピッチまたは4ピッチずらした位置として求めることができる。複数の移動位置が演算された場合、塗布ヘッド移動位置演算部36は、何れかの移動位置を選択することとなるが、例えば、初期状態からの移動距離が最短となる移動位置を選択する。
【0040】
塗布ヘッド移動位置演算部36での演算が行われると、その演算結果に基づく移動信号が移動信号出力部37から駆動モータ10に出力される。駆動モータ10はボールネジ9を回転駆動し、ボールネジ9の回転により塗布ヘッド12が矢印Y方向に所定寸法“L”移動し、図6の(b)に示すように非適正ノズル20aが基板6の塗布領域“S”から外れる。この例の場合、所定寸法“L”は、ノズル20の配置間隔(ピッチ)の3倍分である。
【0041】
ノズル20の位置を設定する処理を図7のフローチャートに基づいて説明する。まず、液槽29を図1の二点鎖線で示す塗布ヘッド12の下方に位置させ、及び、カメラ23を二点鎖線で示す検出作業位置に位置させる。その後、各ノズル20から液滴を吐出させ、その液滴をカメラ23で撮像し(ステップS1)、カメラ23で撮像した液滴の撮像画像を画像処理する(ステップS2)。
【0042】
画像処理して得られた情報に基づき、各ノズル20からの液滴の吐出状態が適正であるか否か(非適正ノズル20が有るか否か)が吐出状態適否判定部30で判定される(ステップS3)。全てのノズル20からの液滴の吐出状態が適正である場合(非適正ノズル20がない場合)には(ステップS3のNO)、塗布ヘッド12を移動させる(ノズル20の位置を新たに設定する)必要はないので、ノズル20の位置を設定する処理が終了する。
【0043】
非適正ノズル20が有る場合には(ステップS3のYES)、非適正ノズル20の位置が非適正ノズル位置判定部31により判定される(ステップS4)。
【0044】
非適正ノズル20の位置が判定されると、非適正ノズル20が塗布領域に対応するノズルであるか否かが、非適正ノズル対応位置判定部32によって判定される(ステップS5)。非適正ノズル20が塗布領域に対応しない場合(ステップS5のNO)、すなわち、非適正ノズル20が今回の基板6の塗布領域への塗布液の塗布に用いられないノズル20である場合、今回の塗布には支障が無いので、ステップS3でNOと判定された場合と同
様に、塗布ヘッド12を移動させる必要はないので、ノズル20の位置を設定する処理が終了する。
【0045】
一方、非適正ノズル20が塗布領域に対応すると判定される(ステップS5のYES)と、塗布ヘッド12を移動させた場合に、塗布領域に対応する非適正ノズル20が最少になる数が非適正ノズル対応数判定部33で判定され(ステップS6)、その最少になる数が“0”であるか否かが零判定部34で判定される(ステップS7)。
【0046】
零判定部34での判定結果が“0”でない場合は(ステップS6のNO)、その後の塗布ヘッド12を移動させる動作を中断させる中断信号が中断信号出力部35から出力され(ステップS8)、ノズル位置を設定する処理が終了する。
【0047】
零判定部34において、塗布領域に対応する非適正ノズル20の数が“0”であると判定された場合には(ステップS7のYES)、塗布領域に非適正ノズル20を対応させないようにする塗布ヘッド12の移動位置(塗布領域に対応する非適正ノズルの数が“0”となる塗布ヘッド12の移動位置)が塗布ヘッド移動位置演算部36で演算される(ステップS9)。例えば、図6の(a)に示すように、基板6の塗布領域“S”に対応する一つのノズルが非適正ノズル20aであると判定された場合、その非適正ノズル20aが基板6の塗布領域“S”に対応しないようにするための塗布ヘッド12の移動位置(図6の(b)に示す位置)が演算される。
【0048】
移動位置が演算された後は、演算された移動位置に向けて塗布ヘッド12を矢印Y方向に沿って移動させる移動信号が移動信号出力部37から駆動モータ10に出力され(ステップS10)、出力された移動信号に基づいて駆動モータ10が駆動され(ステップS11)、塗布ヘッド12が移動することによりノズル20の位置を設定する処理が終了する。
【0049】
塗布ヘッド12の移動が終了した後、移動した塗布ヘッド12により基板6の塗布領域への塗布液の塗布が行われる。この塗布作業は、図1に2点鎖線で示す位置から基板6を載置した載置テーブル4を矢印X方向に移動させることで基板6を走査移動させ、各ノズル20の下を基板6の塗布領域が通過するタイミングにあわせて塗布領域に対向するノズル20から設定された吐出量(設定された駆動電圧が圧電素子21に印加)および吐出間隔で液滴を吐出させることにより行われる。塗布領域に塗布された液滴は濡れ広がって互いに付着し合い一体化し、基板6の塗布領域に塗布膜が形成される。
【0050】
なお、零判定部34によって非適正ノズル20aの数が“0”でないと判定された場合(ステップS7のNO)には、基板6の塗布領域への塗布液の塗布は実行されず、非適正ノズル20aを回復すべくメンテナンス動作が実行される。メンテナンス動作の後は、上述したステップS1〜S11が実行される。
【0051】
したがって、この実施の形態によれば、非適正ノズル20が発生した場合において、非適正ノズル20aを基板6の塗布領域に対応させることなく塗布を実行できる場合には、液滴塗布作業を中断する非適正ノズル20のメンテナンス作業を行うことなく液滴塗布作業を継続することができ、メンテナンス作業を行う機会を減少させることができる。その結果、液滴塗布装置1の稼働率を高めることができる。
【0052】
また、非適正ノズル20aを基板6の塗布領域に対応しない位置へ移動させるように駆動モータ10を制御して塗布ヘッド12を移動させるので、塗布領域に対する液滴の塗布に要する走査移動の回数を増加させることなく液滴の塗布を実行することが可能となる。そのため、非適正ノズル20aが生じた場合であっても、生産性を低下させることなく、
塗布の実行が可能である。
【0053】
なお、本実施の形態では、各ノズル20から吐出される液滴の吐出状態を検出する検出部としてカメラ23を用いた場合を例に挙げて説明したが、検出部としてはカメラ23以外のものを用いてもよい。例えば、ノズルから吐出された液滴を受ける受け部材と、この受け部材に付着した液滴の情報(量、サイズ)を検出するセンサとを用いてもよい。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図8ないし図10に基づいて説明する。なお、本実施の形態および以下に説明する他の実施形態において、第1の実施の形態で説明した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0054】
第2の実施の形態の液滴塗布装置の外観構成は第1の実施の形態の液滴塗布装置1と同じであり、第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、制御部25Aの構成である。
【0055】
制御部25Aは、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータであり、図8に示すように、第1の実施の形態で説明した吐出状態適否判定部30と、非適正ノズル位置判定部31と、非適正ノズル対応位置判定部32と、非適正ノズル対応数判定部33と、零判定部34と、塗布ヘッド移動位置演算部36と、移動信号出力部37とを備え、中断信号出力部35に代えて液滴吐出停止部38と、液滴吐出量増加部39とを備えている。
【0056】
塗布ヘッド移動位置演算部36は、非適正ノズル対応数判定部33での判定結果に応じ、塗布領域に対応する非適正ノズルの数が最少(“0”の場合又は“0”以外の場合)となる塗布ヘッド12の移動位置を演算する。
【0057】
液滴吐出停止部38は、塗布ヘッド移動位置演算部36の演算によって求められた移動位置に塗布ヘッド12を移動させた場合に、塗布領域に対応することとなる非適正ノズル20からの液滴の吐出を停止させる設定を行う。この場合には、塗布ヘッド12の移動位置に応じ、塗布領域に対応しないノズル20に加え、塗布領域に対応する非適正ノズル20からの液滴の吐出を停止させるように、制御部25Aに記憶されている吐出情報が修正される。
【0058】
液滴吐出量増加部39は、液滴吐出停止部38により液滴の吐出が停止される非適正ノズル20に隣接して位置するとともに塗布領域に対応する適正ノズル20からの液滴の吐出量を増加させる設定を行う。この場合には、圧電素子21に印加する電圧を、塗布領域に対応する非適正ノズル20の隣に位置する適正ノズル20の圧電素子21に対してのみ他の適正ノズル20の圧電素子21よりも所定量増加させた電圧となるように、制御部25Aに記憶されている圧電素子21の駆動電圧に関する情報が修正される。
【0059】
複数の非適正ノズル20a,20bが発生した場合の塗布ヘッド12の移動及びノズル20からの液滴の吐出状態について、図9に基づいて説明する。
【0060】
図9の(a)は、基板6の塗布領域“S”に2つの非適正ノズル20a,20bが対応している状態を示している。この場合には、上述したように、非適正ノズル20a,20bを除いた適正ノズル20のみが塗布領域“S”に対応するように塗布ヘッド12を位置させることが可能であるか否かが判定され、不可能である場合には、いずれか一方の非適正ノズル20aを塗布領域“S”に対応させない配置が可能であるか否かが判定される。
【0061】
図9の(b)は、塗布領域“S”に対応する非適正ノズルの数が最少(この場合には1
つ)になる塗布ヘッド12の移動位置が演算され、その移動位置に塗布ヘッド12が移動した状態を示している。塗布ヘッド12は矢印Y方向へ寸法“L”移動し、一方の非適正ノズル20aが塗布領域“S”から外れ、他方の非適正ノズル20bのみが塗布領域“S”に対応している。
【0062】
図9の(c)は、図9の(b)に示す移動位置へ塗布ヘッド12を移動させた後、基板6を矢印X方向に搬送するとともに塗布領域“S”へ塗布液を吐出させた場合の様子を示している。この場合は、塗布領域“S”に対応する非適正ノズル20bからの液滴の吐出が停止され、その非適正ノズル20bの両隣に位置する適正ノズル20からの液滴の吐出量が50%ずつ増加されている。
【0063】
非適正ノズル20bからの液滴の吐出を停止させ、その両側に位置する適正ノズル20からの液滴の吐出量を50%ずつ増加させることにより、塗布領域内に塗布される液滴の量を目的の量に維持することができ、塗布領域内に塗布された液滴が付着し合って形成される膜の厚さを他の塗布領域の膜の厚さと同じにすることができる。
【0064】
したがって、塗布ヘッド12に2つ(複数)の非適正ノズル20a,20bが発生し、塗布ヘッド12を移動させても一方(いくつか)の非適正ノズル20bが塗布領域に対応する場合であっても、他方(残り)の非適正ノズル20aを基板6の塗布領域に対応させることなく塗布を実行できる場合には、液滴塗布作業を中断する非適正ノズル20a,20bのメンテナンス作業を行うことなく液滴塗布作業を継続することができ、メンテナンス作業を行う機会を減少させることができる。その結果、液滴塗布装置1の稼働率を高めることができる。
【0065】
ノズル20の位置を設定する処理を図10のフローチャートに基づいて説明する。ステップS1からステップS7、及び、ステップS9からステップS11までの処理は、図7に示した第1の実施の形態と同じように行われる。
【0066】
ステップS1において各ノズル20から吐出された液滴の画像をカメラ23で撮像し、ステップS2においてカメラ23で撮像された液滴の撮像画像を画像処理し、ステップS3において各ノズル20からの液滴の吐出状態が適正であるか否かが判定され、吐出状態が非適正である非適正ノズル20がある場合、ステップ4において非適正ノズル20の位置が判定され、非適正ノズル20の位置が判定されると、非適正ノズル20が塗布領域に対応するノズルであるか否かがステップS5において判定される。
【0067】
ステップS6においては、塗布ヘッド12と基板6との位置関係を矢印Y方向にノズル20の配置間隔(ピッチ)ずつ仮想的にずらしたそれぞれの位置関係において塗布領域に対応する非適正ノズル20の数を判定する。なお、図9の例では、塗布領域に対応する非適正ノズル20の数が“0”の場合は存在せず、“1”或いは“2”となる。
【0068】
零判定部34での判定結果が“0”でない場合には(ステップS7のNO)、塗布領域に対応する非適正ノズル20の数が最少となる塗布ヘッド12の移動位置が塗布ヘッド移動位置演算部36で演算される(ステップS12)。図9の例では、塗布領域に対応する非適正ノズル20の数の最小値は“1”である。すなわち、図9の(a)に示す状態(初期状態)から塗布ヘッド12を矢印Y方向における右方向にノズル20の配置間隔で1ピッチ〜6ピッチの間で塗布領域に対応する非適正ノズル20a、20bの数が“1”となる。より詳細には、初期状態から矢印Y方向の右方向に1ピッチ〜3ピッチ移動させる間では非適正ノズル20bが塗布領域に対応するものの非適正ノズル20aは塗布領域に対応せず、4ピッチ〜6ピッチ移動させる間では非適正ノズル20aが塗布領域に対応するものの非適正ノズル20bは塗布領域に対応せず、塗布領域に対応する非適正ノズル20
a、20bの数は“1”となる。
【0069】
このとき、塗布ヘッド移動位置演算部36は、塗布ヘッド12の移動位置を1ピッチ〜6ピッチの移動位置の中から選択する必要があるが、この選択は、第1の実施形態のように、塗布ヘッド12の移動距離が最短となるものを選択すれば良い。
【0070】
塗布ヘッド12の移動位置が演算された後は、塗布ヘッド12が移動位置に移動した場合に、塗布領域に対応する非適正ノズル20からの液滴の吐出を停止するように液滴吐出停止部38で設定される(ステップS13)。さらに、液滴の吐出が停止される非適正ノズル20の隣に位置するとともに塗布領域に対応する適正ノズル20からの液滴の吐出量が増加するように液滴吐出量増加部39で設定される(ステップS14)。
【0071】
ステップS12〜ステップS14の処理が行われた後、ステップS12で演算された移動位置に塗布ヘッド12を移動させる移動信号が駆動モータ10に出力され(ステップS10)、出力された移動信号に基づいて駆動モータ10が駆動され(ステップS11)、その駆動に応じて塗布ヘッド12が移動することによりノズル20の位置を設定する処理が終了する。
【0072】
なお、上述のステップS5において塗布領域に対応すると判定された非適正ノズル20の数と、ステップS12において演算して求めた塗布領域に対応する非適正ノズル20の数の最少値とを比較し、後者の数(最小値)が前者の数よりも小さくならない場合には、基板6の塗布領域に対する液滴の塗布の実行等のその後の処理を中断し、非適正ノズルのメンテナンス作業を実行するようにしても良い。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について図11ないし図13に基づいて説明する。
【0073】
第3の実施の形態の液滴塗布装置の外観構成は第1の実施の形態の液滴塗布装置1と同じであり、第3の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、制御部25Bの構成である。
【0074】
制御部25Bは、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータであり、図11に示すように、第1の実施の形態で説明した吐出状態適否判定部30と、非適正ノズル位置判定部31と、非適正ノズル対応位置判定部32と、非適正ノズル対応数判定部33と、零判定部34と、塗布ヘッド移動位置演算部36と、移動信号出力部37とを備え、中断信号出力部35に代えて1回目塗布条件設定部40と、2回目塗布条件設定部41とを備えている。
【0075】
本実施の形態では、塗布領域に対応する非適正ノズル20の数が最少となる移動位置へ塗布ヘッド12を移動させた後に、非適正ノズル20のうち塗布領域に対応するものが未だ存在する場合、すなわち、非適正ノズル対応数判定部33による非適正ノズル20の数の最小値が“1”以上である場合には、塗布領域への液滴の塗布を1回目塗布と2回目塗布との2回に分けて行う。
【0076】
1回目塗布条件設定部40は、塗布ヘッド12を移動位置に移動させた後に非適正ノズル20が塗布領域に対応する場合、塗布領域に対応する非適正ノズル20からの液滴の吐出を停止させるとともに、塗布領域に対応する適正ノズル20から液滴を吐出させるように1回目塗布の塗布条件を設定する。
【0077】
図12の(a)は、1回目塗布条件設定部40の設定に従って1回目塗布が行われた基板6の塗布領域“S”を示している。この1回目塗布では、塗布領域“S”に対応する非
適正ノズル20bからの液滴の吐出が行われないので、塗布領域“S”の一部に液滴が塗布されない直線状の領域“W”が発生する。
【0078】
2回目塗布条件設定部41は、1回目の塗布を行った後に、1回目の塗布時に非適正ノズル20に対応して液滴が塗布されなかった直線状の領域に適正ノズル20が対応するように塗布ヘッド12を移動させるとともに、1回目の塗布時に液滴が塗布されなかった直線状の領域に対応する適正ノズル20のみから液滴を吐出させるように2回目塗布の塗布条件を設定する。
【0079】
図12の(b)は、2回目塗布条件設定部41の設定に従って2回目塗布が行われた基板6の塗布領域“S”を示している。この2回目塗布では、1回目塗布時に発生した直線状の領域に適正ノズル20が対応するように塗布ヘッド12が移動される。この場合、塗布ヘッド12は、図12の(a)に示す状態からY方向へノズル20の1ピッチ分移動される。塗布ヘッド12を移動させた後に、1回目塗布において液滴が塗布されなかった直線状の領域“W”に対応する適正ノズル20のみから液滴が吐出される。1回目塗布と2回目塗布とが行われることにより、液滴の塗布領域“S”全体に液滴が均等に塗布される。
【0080】
ノズル20の位置を設定する処理を図13のフローチャートに基づいて説明する。ステップS1からステップS7、及び、ステップS9からステップS11までの処理は、図7に示した第1の実施の形態と同じように行われる。
【0081】
零判定部34での判定結果が“0”でない場合には(ステップS7のNO)、塗布領域に対応する非適正ノズル20の数が最少となる塗布ヘッド12の移動位置が塗布ヘッド移動位置演算部36で演算される(ステップS12)。
【0082】
そして、その移動位置にて液滴の1回目塗布を行う場合の条件として、塗布領域に対応する非適正ノズル20からの液滴の吐出を停止させることと、塗布領域に対応する適正ノズル20から液滴を吐出させることとが、1回目塗布条件設定部40で設定される(ステップS15)。
【0083】
さらに、2回目塗布を行う場合の条件として、図12に示したように、1回目の塗布時に非適正ノズル20に対応して液滴が塗布されなかった直線状の領域に適正ノズル20が対応するように塗布ヘッド12を移動させることと、直線状の領域に対応する適正ノズル20のみから液滴を吐出させることとが、2回目塗布条件設定部41で設定される(ステップS16)。
【0084】
ステップS15〜ステップS16の処理が行われた後、ステップS12で演算された移動位置に塗布ヘッド12を移動させる移動信号が駆動モータ10に出力され(ステップS10)、出力された移動信号に基づいて駆動モータ10が駆動され(ステップS11)、その駆動に応じて塗布ヘッド12が走査移動することによりノズル20の位置を設定する処理が終了する。
【0085】
ステップS10の駆動モータ10の駆動により塗布ヘッド12が移動位置に移動した後、基板6が一方向に搬送されることにより、1回目塗布条件設定部40で設定された塗布条件に従って図12の(a)に示すように液滴の塗布が行われる。その後、基板6が逆方向に走査移動されることにより、2回目塗布条件設定部41で設定された塗布条件に従って図12の(b)に示すように液滴の塗布が行われる。
【0086】
なお、上記実施の形態において、塗布ヘッド12と基板6とをノズル20の配列方向と
交差する方向に相対的に走査移動させる場合として、基板6を走査移動させた場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、塗布ヘッド12を走査移動させるものであっても、基板6と塗布ヘッド12の双方を走査移動(例えば、双方を対向方向に同時に走査移動)させるものであっても良い。
【0087】
また、塗布ヘッド12と基板6とをノズル20の配列方向に相対的に移動させる場合として、塗布ヘッド12を移動させて、非適正ノズル20を塗布領域に対応しない位置へ位置付けるものとしたが、これに限られるものではなく、載置テーブル4を矢印Y方向へ移動させる移動装置を付加し、載置テーブル4、すなわち基板6を矢印Y方向へ移動させることによって行なうようにしても良い。
【符号の説明】
【0088】
1 液滴塗布装置
6 基板(塗布対象物)
10 駆動モータ(移動駆動部)
12 塗布ヘッド
20 ノズル
23 カメラ(検出部)
25 制御部
25A 制御部
25B 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液の液滴を吐出する複数のノズルが所定方向に配列して設けられた塗布ヘッドと塗布領域を有する基板とを前記ノズルの配列方向と交差する方向に相対的に走査移動させ、この走査移動時に前記塗布領域に対向する前記ノズルから液滴を吐出させて前記塗布領域に塗布液の液滴を塗布する液滴塗布装置において、
前記ノズルからの液滴の吐出状態を検出する検出部と、
前記塗布ヘッドと前記基板とを前記ノズルの配列方向に相対的に移動させる移動駆動部と、
前記検出部の検出結果に基づいて前記移動駆動部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記検出部の検出結果に基づいて各前記ノズルからの液滴の吐出状態の適否を判定し、液滴の吐出状態が適正でない非適正ノズルがあると判定したときには、前記塗布領域に対して液滴を塗布する前記走査移動の際に、当該非適正ノズルが前記塗布領域から外れて位置するように前記移動駆動部を制御する
ことを特徴とする液滴塗布装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記非適正ノズルを前記塗布領域から外すことができないと判定したときには、前記基板の前記塗布領域に対する液滴の塗布の実行を中断することを特徴とする請求項1記載の液滴塗布装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記非適正ノズルを前記塗布領域から外すことができないと判定したときには、前記走査移動時に前記塗布領域に対向する前記非適正ノズルからの液滴の吐出を停止させるとともに、当該非適正ノズルに隣接する液滴の吐出状態が適正な前記ノズルからの液滴の吐出量を増加させることを特徴とする請求項1記載の液滴塗布装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記非適正ノズルを前記塗布領域から外すことができないと判定したときには、前記走査移動時に前記塗布領域に対向する前記非適正ノズルからの液滴の吐出を停止させた状態で前記塗布領域に対して液滴の塗布を実行し、その後当該非適正ノズルの位置に吐出状態が適正な前記ノズルを位置させるように前記移動駆動部を制御し、当該適正なノズルを用いて前記塗布領域に対する液滴の塗布を実行することを特徴とする請求項1記載の液滴塗布装置。
【請求項5】
塗布液の液滴を吐出する複数のノズルが所定方向に配列して設けられた塗布ヘッドと塗布領域を有する基板とを前記ノズルの配列方向と交差する方向に相対的に走査移動させ、この走査移動時に前記塗布領域に対向する前記ノズルから液滴を吐出させて前記塗布領域に塗布液の液滴を塗布する液滴塗布方法において、
個々の前記ノズルから吐出された液滴の吐出状態を検出する工程と、
個々の前記ノズルから吐出された液滴の吐出状態が適正か否かを判定する工程と、
液滴の吐出状態が適正でない非適正ノズルがあるときは、前記塗布領域に対して液滴を塗布する前記走査移動の際に、前記非適正ノズルが前記塗布領域から外れて位置するように前記塗布ヘッドと前記基板とを前記ノズルの配列方向に相対的に移動させる工程と、
を備えることを特徴とする液滴塗布方法。
【請求項6】
前記非適正ノズルを前記塗布領域から外すことができるか否かを判定する工程と、
前記非適正ノズルを前記塗布領域から外すことができないときは前記基板の前記塗布領域に対する液滴の塗布の実行を中断する工程と、
を備えることを特徴とする請求項5記載の液滴塗布方法。
【請求項7】
前記非適正ノズルを前記塗布領域から外すことができるか否かを判定する工程と、
前記非適正ノズルを前記塗布領域から外すことができないときは、前記走査移動時に前記塗布領域に対向する前記非適正ノズルからの液滴の吐出を停止させるとともに、当該非適正ノズルに隣接する液滴の吐出状態が適正な前記ノズルからの液滴の吐出量を増加させる工程と、
備えることを特徴とする請求項5記載の液滴塗布方法。
【請求項8】
前記非適正ノズルを前記塗布領域から外すことができるか否かを判定する工程と、
前記非適正ノズルを前記塗布領域から外すことができないときは、前記走査移動時に前記塗布領域に対向する前記非適正ノズルからの液滴の吐出を停止させた状態で前記塗布領域に対して液滴の塗布を実行する工程と、
前記非適正ノズルの位置に吐出状態が適正なノズルを位置させるように前記塗布ヘッドと前記基板とを相対移動させた後に当該適正なノズルを用いて前記塗布領域に対する液滴の塗布を実行する工程と、
を備えることを特徴とする請求項5記載の液滴塗布方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−106148(P2012−106148A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254638(P2010−254638)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】