説明

液状体吐出用バルブ

【課題】 液状体が筒状体の外側へ回り込むことを防止して、吐出量の管理を高い精度で行い、充填時間を短縮することが可能な液状体吐出用バルブの提供。
【解決手段】 シャットバルブ20を構成するプランジャ22の縮径部22Bの外径は、筒状体21の縮径部21Cの内径よりも僅かに小さく、縮径部21Cの内周面により画成される貫通孔内空間21b内を摺動可能である。プランジャ22の縮径部22Bが液状体排出位置にあるときには、プランジャ22は液状体流入貫通孔21dに対向し、液状体流入貫通孔21dが閉鎖される。また、プランジャ22の先端部は筒状体21の一端部開口端21Aから突出する。プランジャ22の下端面22Cは半球状をなす曲面によって構成され、鉛直下方へ開口する凹部形状をなし、プランジャ22の下端面22Cとプランジャ22の縮径部22Bの側面22Dとは鋭角をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状体吐出用バルブに関し、特に高い精度で所定量の高粘性液状体を吐出可能な液状体吐出用バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
タンクに貯留されている高粘性液状体を所定量ずつ小さなポッドへ注入する自動充填機が従来より用いられている。自動充填機は、タンクと、ポッドと、一端がタンク内部に連通し高粘性液状体通路を画成する管部材とを有する。管部材の他端にはプランジャを有するバルブが設けられている。タンク内には高粘性液状体が貯留されており、高粘性液状体は高粘性液状体通路を通ってバルブ内に充填されバルブから吐出され、プランジャが駆動することによりバルブからの吐出が終了するように構成されている。
【0003】
特開2003−212214号公報(特許文献1)には、液状体吐出用バルブたる充填弁が記載されている。充填弁はプランジャたる弁体と筒状体とを備えており、弁体は筒状体の内周面により画成される空間内において筒状体の軸方向へ移動可能である。弁体は筒状体の一端に形成された開口部を画成する弁座に圧接可能であり、圧接しているときに充填弁が閉鎖されるように構成されている。また、弁体が弁座から離間しているときに充填弁が開放されるように構成されている。
【0004】
また、筒状体には液状体流入孔が形成されており、液状体流入孔には液状体供給管が接続されている。液状体供給管には、ホットメルト接着剤が供給可能に構成されている。
【0005】
液状体供給管に供給されたホットメルト接着剤は、筒状体内に流入して筒状体内に充填される。弁体が弁座から離間することにより筒状体内に充填されたホットメルト接着剤は、弁座により画成される開口部から吐出される。その後、弁体が弁座に圧接されて重点弁が閉鎖されると、弁座により画成される開口部からのホットメルト接着剤の吐出が終了する。
【特許文献1】特開2003−212214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の液状体吐出用バルブたる充填弁では、液状体を吐出した後、充填弁を閉じたときに、高粘度液状体が弁座の設けられている筒状体先端の外側へ回り込んで付着することがあった。このように液状体が筒状体の外側へ回り込んで付着すると、当該付着した分だけ吐出される液状体の量が減り、吐出される液状体の量を高い精度で管理することができなくなる。
【0007】
特に、電子部品の製造に用いられる導電性材料からなるペーストを液状体として吐出する場合には、1つの電子部品の寸法は極めて小さく当該電子部品の製造に用いられる液状体の量は微量であるため、例えば、2kg±1gといった極めて高い精度で吐出量の管理を行う必要がある。このような場合に、液状体が筒状体の外側へ回り込み当該外側に位置に付着してしまうと、吐出量の管理が極めて困難になっていた。
【0008】
また、自動充填機では、外側に付着した液状体がポッドに垂れ終わったときに吐出量が所望の値となるようになっているため、高い精度で吐出量の管理を行うためには外側に付着した液状体が垂れ終わるまで待つ必要があり、このため、自動充填機によるポッドへの充填の時間が長くなっていた。
【0009】
そこで、本発明は、液状体が筒状体の外側へ回り込むことを防止して、吐出量の管理を高い精度で行い、充填時間を短縮することが可能な液状体吐出用バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は貫通孔に連通する液状体流入孔が形成され、該貫通孔内空間の少なくとも一部であって該貫通孔の一端の開口端部側が液状体受容空間として作用する筒状体と、該液状体流入孔を該液状体受容空間と連通させると共に先端部と該貫通孔との協働により該液状体受容空間を画成する液状体受容位置と、該液状体流入孔を閉鎖するとともに該液状体受容空間内の液状体を外部に排出する液状体排出位置との間で該貫通孔に対して摺動移動可能で、該摺動方向と直交する外形の断面形状が該貫通孔の断面形状と略一致するプランジャと、該液状体流入孔に接続される液状体供給部とを備え、該プランジャの液状体排出位置では、該プランジャ先端部が該筒状体開口端よりも突出すると共に、該プランジャの該先端部は、該プランジャ外周面と先端面とのなす角度が鋭角の凹部形状をなしている液状体吐出用バルブを提供している。
【0011】
摺動方向と直交するプランジャの外形の断面形状が貫通孔の断面形状と略一致し、プランジャが液状体排出位置にあるときに液状体流入孔を閉鎖するため、液状体の流路に液状体が外気の触れて乾燥し固化することによる詰まりが発生することを防止することができる。
【0012】
更に、プランジャの液状体排出位置では、プランジャ先端部が筒状体開口端よりも突出すると共に、プランジャの先端部は、プランジャ外周面と先端面とのなす角度が鋭角の凹部形状をなしているため、筒状体開口端の外側へ液状体が回り込むことを抑制することができる。このため、筒状体の開口端の外側に付着する液状体の量を極力減らすことができ、その付着した液状体が、吐出先であるポッド等へ全て垂れ終わるまでにかかる時間を極力短縮することができる。また、液状体が回り込み付着する液状体の量を抑制できるため、吐出される液状体の量を高い精度で管理することができる。
【0013】
ここで、該プランジャの該先端面は曲面からなることが好ましい。プランジャの先端面は曲面からなるため、液状体がプランジャの外側のみならず、筒状体開口端の外側へ回り込むことをより効果的に防止することができる。
【0014】
また、該プランジャの内部には、該プランジャの該先端面に開口しガス供給装置に接続可能なガス噴出通路が形成されていることが好ましい。
【0015】
プランジャの内部には、プランジャの先端面に開口しガス供給装置に接続可能なガス噴出通路が形成されているため、プランジャの先端面に付着した液状体をガスによって吹き飛ばすことができる。更に、プランジャの先端面が曲面からなる場合には、液状体がプランジャの摺動軸の仮想延長線から離間する方向へ吹き飛ばされることを極力防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上により、液状体が筒状体の外側へ回り込むことを防止して、吐出量の管理を高い精度で行い、充填時間を短縮することが可能な液状体吐出用バルブを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態による液状体吐出用バルブについて図1〜図4を参照しながら説明する。先ず液状体吐出用バルブが設けられている液状体自動充填装置について説明する。図1に示されるように、液状体自動充填装置1は、供給バルブ11と、圧力容器12と、出口バルブ13と、絞りバルブ14と、液状体吐出用バルブたるシャットバルブ20と、これらを互いに接続する管部材15と、ポッド16と、計量器17と、液状体供給装置を構成する材料タンク18、真空バルブ12Aとを備えている。また、供給バルブ11と真空バルブ12Aと後述の加圧バルブ12Bと出口バルブ13と絞りバルブ14と液状体吐出用バルブたるシャットバルブ20と計量器17とにそれぞれ接続され、これらを制御する制御装置19を備えている。
【0018】
供給バルブ11は、管部材15により材料タンク18と出口バルブ13とに接続されている。また、供給バルブ11と出口バルブ13とを接続する管部材15は途中で分岐しており、圧力容器12は当該分岐している管部材15に接続されている。真空バルブ12Aは圧力容器12に接続されており、真空バルブ12Aには図示せぬ真空装置が接続されている。出口バルブ13が閉じた状態で供給バルブ11と真空バルブ12Aとを開くことにより、圧力容器12内を負圧として材料タンク18から圧力容器12へ液状体を供給可能である。
【0019】
圧力容器12には加圧バルブ12Bが接続されており、加圧バルブ12Bには図示せぬ加圧装置が接続されている。加圧バルブ12Bが開くことにより圧力容器12内の液状体を加圧可能である。供給バルブ11と真空バルブ12Aとが閉じており出口バルブ13と絞りバルブ14とが開いた状態で加圧バルブ12Bを開くことによりにより圧力容器12内の液状体を加圧することによって、圧力容器12内の液状体をシャットバルブ20へと供給できるように構成されている。
【0020】
シャットバルブ20の鉛直下方にはポッド16が配置されており、シャットバルブ20からポッド16へと液状体を吐出可能である。ポッド16は計量器17上に載置されており、シャットバルブ20からポッド16内へ吐出された液状体の量を計量器17により計測可能である。使用される液状体は、Ni粉とチタン酸バリウムとターピネオールとを有する高粘性のニッケルペーストであり、温度は25℃に保持され、比重は2であり、粘度は10PaSである。
【0021】
次に、液状体吐出用バルブたるシャットバルブ20について説明する。図2、図3に示されるようにシャットバルブ20は、略円筒形状の筒状体21とプランジャ22と液状体供給管23とを備えている。筒状体21の一端と他端とにおいては、筒状体21の内周面により画成される空間がそれぞれ開口して一端部開口端21Aと他端部開口端21Bとをなしており、一端部開口端21Aと他端部開口端21Bとを結ぶ方向は鉛直方向に一致し、一端部開口端21Aは他端部開口端21Bに対して鉛直下方に位置している。
【0022】
筒状体21の一端部開口端21A寄りの部分は、内径及び外径の小さい縮径部21Cをなしており、他端部開口端21B寄りの部分は、縮径部21Cよりも内径及び外径が大きな拡径部21Dをなしている。筒状体21の他端部開口端21Bには図示せぬピストンを有するエアシリンダ24が固定されて設けられており、エアシリンダ24から拡径部21Dの内周面により画成される空間内へ向けて、図示せぬピストンに接続されたピストン軸24Aが延出している。ピストン軸24Aは、拡径部21D内において連結部材25を介してプランジャ22に接続されている。エアシリンダ24には、図示せぬエア供給装置が接続されており、エアシリンダ24内にエアを供給可能である。筒状体21の縮径部21Cと拡径部21Dとが接続されている筒状体21の部分の内周面には、後述のプランジャ22と筒状体21との間でシールを行うためのシール部材26が設けられている。
【0023】
拡径部21Dの所定の位置には一対の長穴21a、21aが形成されている。一対の長穴21a、21aは、筒状体21の直径方向の位置にそれぞれ形成されており、その長手方向は鉛直方向へ指向し、筒状体21の他端部開口端21B近傍から、拡径部21Dと縮径部21Cとの接続位置近傍へ至るまで形成されている。
【0024】
縮径部21Cの内周面により画成される空間は貫通孔内空間21bをなし、図2に示されるように、貫通孔内空間21bの一部であって筒状体21の一端部開口端21A側の部分は、液状体が流入する液状体受容空間21cをなす。縮径部21Cの液状体受容空間21cを画成する部分には、図2に示されるように、縮径部21Cの側面21Eと液状体受容空間21cを画成する縮径部21Cの内周面とにそれぞれ開口する液状体流入貫通孔21dが形成されている。また、液状体供給管23は、液状体流入貫通孔21dが形成されている縮径部21Cの側面21Eから水平方向へ延出して設けられており、このため、液状体流入貫通孔21dは、液状体供給管23の内周面により画成される空間内に開口している。
【0025】
液状体供給管23の延出端は、図2、図3に示されるように、一端が絞りバルブ14(図1)に接続されている液状体自動充填装置1の管部材15の他端に接続されている。液状体供給管23は液状体供給部に相当し、液状体流入貫通孔21dは液状体流入孔に相当する。
【0026】
プランジャ22は略円柱形状をなしており、図2、図3に示されるように、軸方向が鉛直方向に指向している。プランジャ22の上端部は拡径部22Aとなっており、その他の部分は、筒状体21の縮径部21Cの内径と略同一の外径を有する縮径部22Bとなっている。より正確には、プランジャ22の縮径部22Bの外径は筒状体21の縮径部21Cの内径よりも僅かに小さく、縮径部21Cの内周面により画成される貫通孔内空間21b内を摺動可能である。
【0027】
液状体は高い粘性を有しているため縮径部21Cの内周面とプランジャ22の縮径部22Bの周面との間へ進入してゆくことを防止することができる。液状体が進入して行くと外気に触れることとなり、液状体受容空間21c内に、液状体が外気に触れて乾燥し固化することによる詰まりが発生するが、このように進入しないため、詰まりの発生を防止することができる。
【0028】
プランジャ22の縮径部22Bは、エアシリンダ24が駆動することにより、貫通孔内空間21bにおいて、比較的鉛直上方の位置である液状体受容位置と、比較的鉛直下方の位置である液状体排出位置との間で摺動可能である。プランジャ22の縮径部22Bが液状体受容位置にあるときには、図2に示されるように、プランジャ22は液状体流入貫通孔21dに対向していないため、液状体流入貫通孔21dを介して液状体受容空間21cと液状体供給管23の内周面により画成される空間とが連通する。液状体受容空間21cは、プランジャ22の下端部たる先端部の先端面たる下端面22Cと、筒状体21の縮径部21Cの内周面とにより画成される。
【0029】
プランジャ22の縮径部22Bが液状体排出位置にあるときには、図3に示されるように、プランジャ22は液状体流入貫通孔21dに対向しており、液状体流入貫通孔21dが閉鎖される。また、プランジャ22の先端部は筒状体21の一端部開口端21Aから突出し、プランジャ22によって液状体受容空間21c内の液状体は、筒状体21の外部へ排出されるように構成されている。このようにプランジャ22の先端部たる下端部が筒状体21の一端部開口端21Aから突出するため、筒状体21の一端部開口端21Aの外側へ液状体が回り込むことを抑制することができる。
【0030】
図4に示されるように、プランジャ22の下端部を構成する下端面22Cは曲面により構成されている。下端面22Cは半球状をなす曲面により構成されており、当該半球の直径位置は、プランジャ22の下端に一致しプランジャ22の縮径部22Bの外周面である側面22Dに接続されている。従って、プランジャ22の下端面22Cとプランジャ22の縮径部22Bの側面22Dとは、その接続位置であるプランジャ22の下端の位置において、図4に示されるように鋭角をなしており、半球状をなす曲面によって構成される下端面22Cは、鉛直下方へ開口する凹部形状となっている。半球状をなしているプランジャ22の下端面22Cの半径は5mmであり、プランジャ22の下端において下端面22Cにより画成される凹部形状の部分の当該下端部における開口の径は、10mmである。
【0031】
プランジャ22の下端部がこのように構成されているため、筒状体21の一端部開口端21Aの外側へ液状体が回り込むことを抑制することができる。このため、筒状体21の一端部開口端21Aの外側に付着する液状体の量を極力減らすことができ、その付着した液状体が、吐出先であるポッド16へ全て垂れ終わるまでにかかる時間を極力短縮することができる。また、このように回り込み付着する液状体の量を抑制できるため、シャットバルブ20から吐出される液状体の量を高い精度で管理することができる。また、プランジャ22の下端面22Cは曲面からなるため、液状体がプランジャ22の外側のみならず、筒状体21の一端部開口端21Aの外側へ回り込むことをより効果的に防止することができる。
【0032】
プランジャ22の内部にはガス噴出通路22aが形成されている。ガス噴出通路22aは、図2、図3に示されるように、プランジャ22の下端面22Cにおいて開口し、プランジャ22の軸心位置に沿ってプランジャ22の下端面22Cからプランジャ22の拡径部22A内の所定の位置に至るまで延出して形成され、垂直に折曲がり、拡径部22Aの側面22Eにおいて開口している。プランジャ22の縮径部22B内におけるガス噴出通路22aの径は2mmである。
【0033】
拡径部22Aの側面22Eにおいて開口するガス噴出通路22aの開口部には、図2、図3に示されるように、ガス供給管27が接続されている。ガス供給管27は、筒状体21の長穴21aを通って筒状体21外部へ延出しており、図示せぬガス供給装置に接続されている。図示せぬガス供給装置が高圧でガスを供給し、ガス噴出通路22aを介してプランジャ22の下端面22Cにおける開口からガスを吐出可能に構成されている。ガスを吐出することにより、プランジャ22の下端面22Cに付着した液状体を吹き飛ばすことができる。この際、プランジャ22の下端面22Cが曲面により構成されているため、液状体がプランジャ22の軸心の仮想延長線から離間する方向へ吹き飛ばされることを極力防止することができる。
【0034】
液状体吐出用バルブたるシャットバルブ20が設けられている液状体自動充填装置1の動作については以下のとおりである。先ず、制御装置19は、出口バルブ13を閉じるとともに供給バルブ11と真空バルブ12Aとを開いて材料タンク18から圧力容器12内へ液状体を注入する。次に、制御装置19は供給バルブ11と真空バルブ12Aとを閉じ、加圧バルブ12Bを開くことにより圧力容器12内の液状体を加圧し、出口バルブ13と絞りバルブ14とを開き、また、図2に示されるように、シャットバルブ20のプランジャ22を液状体受容位置へ移動させる。このことにより、液状体は、管部材15を介して出口バルブ13、絞りバルブ14、液状体流入貫通孔21dを通ってシャットバルブ20の液状体受容空間21c内へ注入され、筒状体21の一端部開口端21Aからポッド16へと吐出される。
【0035】
ポッド16ヘ液状体を吐出している間中計量器17により液状体の量が計測され続け、ポッド16へ吐出すべき定量よりも所定の量だけ少ない量がポッド16へ吐出されたことを計量したときに、定量前信号が計量器17から制御装置19へ出力され、定量前信号に基づき制御装置19は絞りバルブ14を閉じる。次に、ポッド16へ吐出すべき定量が計量されたときに、定量信号が計量器17から制御装置19へ出力され、定量信号に基づき制御装置19は、図3に示されるように、シャットバルブ20のプランジャ22を液状体排出位置へと摺動させ、シャットバルブ20を閉じる。ここで、定量とは、2kg±1gという高い精度の量である。
【0036】
次に、図示せぬガス供給装置から高圧でガスを供給し、ガス噴出通路22aを介してプランジャ22の下端面22Cにおける開口からガスを吐出し、プランジャ22の下端面22Cに付着した液状体を吹き飛ばす。以上で1回のポッド16への定量の液状体の吐出を終了する。実際には以上の一連の工程を繰返し行う。
【0037】
本発明による液状体吐出用バルブは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、筒状体は略円筒形状をなしていたが、これに限定されず、例えば、外形が角柱状の筒状体をなしていてもよい。また、筒状体の内周面により画成される空間が角柱形状をなしている場合には、図5に示されるようにこれに伴いプランジャ122も当該角柱形状と略同一の角柱状をなす。この場合であっても、プランジャ122の下端面122Cは曲面により構成され、下端面122Cとプランジャ122の側面122Dとは鋭角をなす。
【0038】
また、プランジャ22や筒状体21の寸法は、上述の実施例の値に限定されない。また、プランジャ22の下端面22Cは半球形状をなしていたが、半球に限定されず、例えば楕円形状等であってもよい。また、使用される液状体は上述のニッケルペーストに限定されない。高粘性を有する液状体であればよい。また、本実施の形態では、エアシリンダ24によってプランジャ22を摺動させたが、これに限定されない。例えば、油圧シリンダ等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の液状体吐出用バルブは、高粘性のニッケルペースト等の液状体の吐出と吐出停止との切替えを行い、高い精度での吐出量の管理が要求されるバルブの分野等において特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態による液状体吐出用バルブを備える液状体充填装置を示す概略図。
【図2】本発明の実施の形態による液状体吐出用バルブのプランジャが、液状体受容位置にある状態を示す断面図。
【図3】本発明の実施の形態による液状体吐出用バルブのプランジャが、液状体排出位置にある状態を示す断面図。
【図4】本発明の実施の形態による液状体吐出用バルブのプランジャの先端部面及びその近傍を示す要部断面図。
【図5】本発明の実施の形態による液状体吐出用バルブのプランジャの変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0041】
20 シャットバルブ
21 筒状体
21A 一端部開口端
21b 貫通孔内空間
21c 液状体受容空間
21d 液状体流入貫通孔
22 プランジャ
22C 下端面
22D 側面
22a ガス噴出通路
23 液状体供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔に連通する液状体流入孔が形成され、該貫通孔内空間の少なくとも一部であって該貫通孔の一端の開口端部側が液状体受容空間として作用する筒状体と、
該液状体流入孔を該液状体受容空間と連通させると共に先端部と該貫通孔との協働により該液状体受容空間を画成する液状体受容位置と、該液状体流入孔を閉鎖するとともに該液状体受容空間内の液状体を外部に排出する液状体排出位置との間で該貫通孔に対して摺動移動可能で、該摺動方向と直交する外形の断面形状が該貫通孔の断面形状と略一致するプランジャと、
該液状体流入孔に接続される液状体供給部とを備え、
該プランジャの液状体排出位置では、該プランジャ先端部が該筒状体開口端よりも突出すると共に、
該プランジャの該先端部は、該プランジャ外周面と先端面とのなす角度が鋭角の凹部形状をなしていることを特徴とする液状体吐出用バルブ。
【請求項2】
該プランジャの該先端面は曲面からなることを特徴とする請求項1記載の液状体吐出用バルブ。
【請求項3】
該プランジャの内部には、該プランジャの該先端面に開口しガス供給装置に接続可能なガス噴出通路が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液状体吐出用バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−7619(P2007−7619A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194629(P2005−194629)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】