説明

減圧弁

【課題】ダイヤフラムに連結される弁体に、弁体を弁座から離座させる側にダイヤフラムばねからのばね荷重を作用せしめるとともに、ダイヤフラムばねからのばね荷重作用方向とは反対側から弁体に背面コイルばねのばね荷重を作用せしめ、その背面コイルばねのばね荷重を調節可能とした減圧弁において、背面コイルばねを用いた調圧構造の小型化を図るとともに優れた搭載性が得られるようにする。
【解決手段】ガイド孔8に同軸に連なる収容孔37が、弁体12と反対側を開口するようにして弁ハウジング9に設けられ、調節部材14が軸線方向での移動を可能とするものの回転作動することを不能として収容孔37に挿入され、収容孔37の軸線に沿う方向を一定として収容孔37の開口端に回転可能に嵌合される操作部材38が、調節部材14の中央部に螺合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧流体が導入される弁室を形成するとともに弁孔を中央部に開口させて前記弁室に臨む弁座ならびに前記弁孔と同軸のガイド孔とが設けられる弁ハウジングと、該弁ハウジングに固定されるダイヤフラムカバーと、該ダイヤフラムカバーおよび前記弁ハウジング間に周縁部が挟持されるダイヤフラムと、前記弁座に着座することを可能として前記ガイド孔に摺動可能に嵌合されるとともに前記ダイヤフラムの中央部に連結される弁体と、該弁体を前記弁座から離座させる側に前記ダイヤフラムを付勢するようにして前記ダイヤフラムカバーおよび前記ダイヤフラム間に設けられるダイヤフラムばねと、前記ガイド孔の軸線に沿う方向での進退位置を調節可能として前記弁体に関して前記弁室とは反対側に配置される調節部材と、前記ダイヤフラムばねからのばね荷重作用方向とは反対側から前記弁体にばね荷重を作用せしめることを可能として前記調節部材および前記弁体間に設けられる背面コイルばねとを備える減圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤフラムに連結される弁体に、該弁体を弁座から離座させる側にダイヤフラムばねからのばね荷重を作用せしめるとともに、ダイヤフラムばねからのばね荷重作用方向とは反対側から前記弁体に背面コイルばねのばね荷重を作用せしめ、その背面コイルばねのばね荷重を調節することで、出力圧を調節するようにした減圧弁が、特許文献1によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−181393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1で開示されたものでは、背面コイルばねが、弁ハウジングの一部を構成するボディに外周部が螺合されることで軸方向位置を進退可能とした調節部材と、弁体との間に縮設されており、調節部材の外径は背面コイルばねの外径よりも大きいので、背面コイルばねを用いた調圧構造の大型化を招いている。しかも背面コイルばねのばね荷重を調節すべく調節部材を進退させると、その進退方向での減圧弁の全体長さが変化してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、背面コイルばねを用いた調圧構造の小型化を図るとともに優れた搭載性が得られるようにした減圧弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、高圧流体が導入される弁室を形成するとともに弁孔を中央部に開口させて前記弁室に臨む弁座ならびに前記弁孔と同軸のガイド孔とが設けられる弁ハウジングと、該弁ハウジングに固定されるダイヤフラムカバーと、該ダイヤフラムカバーおよび前記弁ハウジング間に周縁部が挟持されるダイヤフラムと、前記弁座に着座することを可能として前記ガイド孔に摺動可能に嵌合されるとともに前記ダイヤフラムの中央部に連結される弁体と、該弁体を前記弁座から離座させる側に前記ダイヤフラムを付勢するようにして前記ダイヤフラムカバーおよび前記ダイヤフラム間に設けられるダイヤフラムばねと、前記ガイド孔の軸線に沿う方向での進退位置を調節可能として前記弁体に関して前記弁室とは反対側に配置される調節部材と、前記ダイヤフラムばねからのばね荷重作用方向とは反対側から前記弁体にばね荷重を作用せしめることを可能として前記調節部材および前記弁体間に設けられる背面コイルばねとを備える減圧弁において、前記ガイド孔に同軸に連なる収容孔が、前記弁体と反対側を開口するようにして前記弁ハウジングに設けられ、前記調節部材が軸線方向での移動を可能とするものの回転作動することを不能として前記収容孔に挿入され、前記収容孔の軸線に沿う方向を一定として該収容孔の開口端に回転可能に嵌合される操作部材が、前記調節部材の中央部に螺合されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記弁座が一端側に形成されるとともに他端側を開放したガイド部材収容孔を有するボディと、前記ガイド孔および前記収容孔を有するとともに前記ボディとの間に前記弁室を形成して前記ガイド部材収容孔の他端側に一端部が気密に嵌合されるガイド部材とで前記弁ハウジングが構成され、前記ガイド部材の他端側を前記ボディとの間に挟持して前記ガイド部材を前記ボディに固定するカバー部材が前記ボディに取付けられ、前記操作部材が、前記カバー部材に設けられた調節孔からの回転操作を可能として該カバー部材で覆われることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記ガイド部材が合成樹脂により形成されることを第3の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は、第2または第3の特徴の構成に加えて、前記ボディに、前記弁室に高圧のLPG燃料を導入する高圧通路と、前記弁座よりも下流側の低圧通路とが形成され、前記カバー部材に臨む側で前記ボディには、前記高圧通路および前記低圧通路を流通するLPG燃料を加熱するための加熱流体を流通せしめる加熱流体通路を前記カバー部材との間に形成する凹部が設けられることを第4の特徴とする。
【0010】
なお実施の形態のナット14が本発明の調節部材に対応する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば、ガイド孔に同軸に連なる収容孔の弁体とは反対側の開口端に、収容孔の軸線に沿う方向を一定とした操作部材が回転可能に嵌合され、軸線方向での移動を可能とするものの回転作動することを不能として収容孔に挿入される調節部材の中央部に操作部材が螺合され、調節部材および弁体間に背面コイルばねが設けられるので、背面コイルばねの内周よりも内方で調節部材に操作部材が螺合されることになり、ねじ部分を小径化することで背面コイルばねを用いた調圧構造の小型化を図ることができるとともに、ねじ部分で生じる切粉の発生を抑制することができる。しかも調節部材は軸方向に進退するものの操作部材の軸方向位置は一定であり、調節部材の進退方向での減圧弁の全体長さは一定であり、減圧弁の搭載性向上に寄与することができる。また調節部材の進退方向での減圧弁の全体長さを一定としつつ、調節部材の軸方向進退距離を比較的大きくして背面コイルばねのばね荷重調節代を大きくし、調圧範囲を大きくすることができる。さらに調節部材として既存のナットを用いることも可能であり、そうすることでコスト低減を図ることができる。
【0012】
また本発明の第2の特徴によれば、弁ハウジングをボディとともに構成するガイド部材をボディに固定する機能を果たすカバー部材が、収容孔の開口端に軸方向位置を一定として操作部材を保持する機能も果たすことになり、部品点数を低減することができる。
【0013】
本発明の第3の特徴によれば、ガイド部材を合成樹脂製とすることで、調節部材を回転不能に係合せしめるようにした内周面を有する収容孔を容易に形成することができる。
【0014】
さらに本発明の第4の特徴によれば、ボディに形成された高圧通路および低圧通路を流通するLPG燃料を加熱するための加熱流体通路を、カバー部材に臨む側でボディ側に設けられる凹部と、カバー部材とで、部品点数の増大を回避しつつ容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】減圧弁の縦断面図である。
【図2】図1の2ー2線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付の図1および図2を参照しながら説明すると、先ず図1において、この減圧弁は、LPG燃料を減圧してエンジン(図示せず)に供給するためのものであり、高圧のLPG燃料が導入される弁室5を形成するとともに弁孔6を中央部に開口させて前記弁室5に臨む弁座7ならびに前記弁孔6と同軸のガイド孔8とが設けられる弁ハウジング9と、該弁ハウジング9に固定されるダイヤフラムカバー11と、該ダイヤフラムカバー11および前記弁ハウジング9間に周縁部が挟持されるダイヤフラム10と、前記弁座7に着座することを可能として前記ガイド孔8に摺動可能に嵌合されるとともに前記ダイヤフラム10の中央部に連結される弁体12と、該弁体12を前記弁座7から離座させる側に前記ダイヤフラム10を付勢するようにして前記ダイヤフラムカバー11および前記ダイヤフラム10間に設けられるダイヤフラムばね13と、前記ガイド孔8の軸線に沿う方向での進退位置を調節可能として前記弁体12に関して前記弁室5とは反対側に配置される調節部材としてのナット14と、前記ダイヤフラムばね13からのばね荷重作用方向とは反対側から前記弁体12にばね荷重を作用せしめることを可能として前記ナット14および前記弁体12間に設けられる背面コイルばね15とを備える。
【0017】
前記弁ハウジング9は、金属製のボディ16と、該ボディ16に嵌合、固定される合成樹脂製のガイド部材17とで構成される。前記ボディ16には、前記弁座7ならびに該弁座7の中央部に開口する弁孔6が一端側に形成されるとともに他端側を開放したガイド部材収容孔18が設けられ、前記ボディ16との間に前記弁室5を形成するガイド部材17の一端部が前記ガイド部材収容孔18の他端側開口部に気密に嵌合される。
【0018】
前記ガイド部材収容孔18の一端で前記ボディ16には、前記弁座7が内周部に設けられるようにした内向き鍔19が、前記弁孔6を内周で形成するようにして一体に設けられており、前記ガイド部材収容孔18は、一端に前記内向き鍔19が設けられるとともに前記内向き鍔19から離反するにつれて大径となるように内周面をわずかに傾斜させた小径孔部18aと、該小径孔部18aの他端よりも大径にして小径孔部18aの他端に一端が同軸に連なる中径孔部18bと、該中径孔部18bの他端よりも大径にして中径孔部18bの他端に一端が同軸に連なる大径孔部18cとが同軸に連なって成り、大径孔部18cの他端は前記内向き鍔19とは反対側に開口される。
【0019】
前記ガイド部材17は、前記中径孔部18bに嵌合される小径部17aと、前記大径孔部18cに嵌合されるよにして前記小径部17aに一端が同軸に連なる大径部17bと、前記大径孔部18cの開口端周縁で前記ボディ16に当接、係合するようにして前記大径部17bの他端外周から半径方向外方に張り出す鍔部17cと、前記小径部17aよりも小径に形成されて前記大径部17bの他端中央に同軸に連設される小径突部17dと、前記小径部17aよりも外径を小径として前記小径部17aの一端に同軸に連なって前記内向き鍔19側に突出する円筒部17eとを一体に有する。而して前記小径部17aの外周には前記中径孔部18bの内周に弾発的に接触する環状の第1シール部材20が装着され、前記大径部17bの外周には前記大径孔部18cの内周に弾発的に接触する環状の第2シール部材21が装着される。
【0020】
前記弁体12は、前記円筒部17eの先端に外周部を対向させる円板状の弁体主部12aと、前記ガイド孔8に摺動可能に嵌合されるようにして前記弁体主部12aの中央部に同軸に連なるガイド軸部12bと、前記弁孔6を緩く貫通するようにして前記ガイド軸部12bとは反対側で前記弁体主部12aの中央部に同軸に連なる連結軸部12cとを一体に備える。前記ガイド軸部12bの外周には、前記ガイド孔8の内周に弾発的に摺接する一対の環状の第3シール部材22…が装着され、前記弁体主部12aの前記弁座7に対向する面には、弁座7に着座し得る第4シール部材23が装着される。
【0021】
前記ボディ16には、減圧すべきLPG燃料を導く管路(図示せず)を接続するための入口側接続孔24がボディ16の側面に開口するようにして設けられるとともに、該入口側接続孔24を前記弁室5に通じさせる高圧通路25が形成される。
【0022】
前記ダイヤフラムカバー11は、端壁11aと、該端壁11aで一端が閉じられるようにした段付き円筒状の筒状側壁11bと、該筒状側壁11bの他端から半径方向外方に張り出すフランジ部11cとを一体に有する。一方、前記ボディ16の一端には、前記ダイヤフラムカバー11におけるフランジ部11cの外周側に対応して側方に張り出すフランジ部16aが設けられ、前記ダイヤフラム10の外周縁を前記フランジ部16aとの間に挟む前記フランジ部11cが、該フランジ部11cの外面に当接した状態で他方のフランジ部16aの外面に係合、当接するようにかしめられるリング状の結合部材26によって、ボディ16の前記フランジ部16aに固定される。これによりボディ16との間にダイヤフラム10の外周縁を挟むダイヤフラムカバー11がボディ16に固定される。
【0023】
また前記ボディ16には、前記ダイヤフラムカバー11における筒状側壁11bとの間で前記ダイヤフラム10の半径方向中間部を挟む筒状の挟持突部16bが一体に設けられており、ダイヤフラム10は、前記筒状側壁11bおよび前記挟持突部16bで挟まれた部分よりも内方で撓むことになる。
【0024】
しかも前記ダイヤフラムカバー11および前記ダイヤフラム10間にはばね室28が形成されており、このばね室28に通じる負圧導入管29が、たとえば圧入、ろう付けによってダイヤフラムカバー11の端壁11aに接続される。この負圧導入管29はエンジンに接続され、前記ばね室28にはエンジンの吸気負圧が導入される。また前記挟持突部16bよりも内方側で前記ボディ16および前記ダイヤフラム10間には、前記弁孔6を介して前記弁室5に通じ得る減圧室30が形成される。しかも前記挟持突部16bよりも外方で前記ボディ16には、前記ダイヤフラム10で開放端が塞がれるようにして低圧通路31が形成され、前記挟持突部16bには、前記減圧室30および前記低圧通路31間を結ぶ通路を前記ダイヤフラム10との間に形成する切欠き32が設けられる。また前記低圧通路31に通じる出口側接続管33を気密に接続せしめるための出口側接続孔34が前記ボディ16に設けられる。
【0025】
前記弁体12の連結軸部12cは、前記ダイヤフラム10の減圧室30に臨む面の中央部に当接する鍔部35aと、前記ダイヤフラム10の中央部を貫通する軸部35bとを一体に有するダイヤフラムロッド35に連結される。一方、ダイヤフラム10のばね室28に臨む面の中央部にはリング状のリテーナ36が当接されており、該リテーナ36をも貫通する前記軸部35bの前記ばね室28側の端部外周をかしめて前記リテーナ36に係合、当接させることにより、ダイヤフラム10の中央部がダイヤフラムロッド35の鍔部35aおよびリテーナ36間に挟持され、ダイヤフラム10の中央部に連結軸部12cがダイヤフラムロッド35を介して連結されることになる。またボディ16の内向き鍔19には、前記ダイヤフラムロッド35の鍔部35aに当接して前記減圧室30の容積を縮小する側への前記ダイヤフラム10の撓みを規制する複数の規制突部51…が突設される。
【0026】
しかも前記ダイヤフラムばね13は、ダイヤフラムカバー11における前記端壁11aおよびリテーナ36間に縮設され、該ダイヤフラムばね13のばね荷重は、前記弁体12に開弁方向に作用するが、弁体12およびナット14間に縮設される背面コイルばね15のばね荷重は、前記弁体12に閉弁方向に作用するものであり、背面コイルばね15のばね荷重を調節することにより前記ダイヤフラムばね13のばね荷重も調節されることになる。
【0027】
前記弁ハウジング9におけるガイド部材17には、前記ガイド孔8に同軸に連なる収容孔37が前記弁体12と反対側を開口するようにして設けられており、前記ナット14が軸線方向での移動を可能とするものの回転作動することを不能として前記収容孔37に挿入される。
【0028】
ところで前記収容孔37は、断面形状を非円形として一端を前記ガイド孔8に連ならせる非円形孔部37aと、断面形状を円形として前記非円形孔部37aの他端に連なる円形孔部37bとから成り、前記弁体12と反対側の前記収容孔37の端部すなわち円形孔部37bの他端部は開放され、非円形孔部37aおよび円形孔部37b間には弁体12と反対側に臨む段部37cが形成される。
【0029】
図2において、前記非円形孔部37aは、基本的には正方形であるが前記背面コイルばね15の一部を配置するための4つの円弧部が前記正方形の各辺の中央部に配置される断面形状を有するように形成され、正方形状に形成される前記ナット14が、軸方向移動は可能とするものの回転作動を不能としつつ前記収容孔37の非円形孔部37aに挿入される。すなわちナット14は、収容孔37の内周面に係合することで回転作動を不能としつつ軸方向移動を可能として収容孔37に挿入される。
【0030】
前記収容孔37の開口端すなわち円形孔部37bには、操作部材38が前記収容孔37の軸線に沿う方向を一定としつつ回転可能に嵌合される。この操作部材38は、前記円形孔部37bに回転可能に嵌合される操作部材主部38aと、該操作部材主部38の中央部に同軸に連なるねじ軸部38bとを一体に備えるものであり、操作部材主部38aの外周には、前記円形孔部37bの内周に弾発的に接触する環状の第5シール部材39が装着される。また前記操作部材38における操作部材主部38aの外端中央部には、図示しないドライバ等の工具を係合して操作部材38を回転操作するための係合凹部41が設けられる。
【0031】
前記ナット14の中央部にはねじ孔40が設けられており、前記操作部材38のねじ軸部38bが前記ねじ孔40に螺合される。すなわち収容孔37の軸線に沿う方向を一定として該収容孔37の開口端に回転可能に嵌合される操作部材38が、前記ナット14の中央部に螺合されることになり、前記係合凹部41に工具を係合して操作部材38を回転操作することで前記収容孔37内での前記ナット14の軸方向位置を変化させることができ、それにより、背面コイルばね15のばね荷重が調節される。
【0032】
ところで前記収容孔37の開口端に操作部材38の操作部材主部38aが第5シール部材39を介して回転可能に嵌合されることにより、前記弁体12および前記操作部材主部38a間で前記収容孔37内には、前記ナット14を収容せしめた背圧室49が弁体12の背面を臨ませるようにして形成されることになり、背圧室49の圧力が弁体12の開閉作動に影響をもたらすことを回避するために、前記弁ハウジング9を協働して構成するボディ16およびガイド部材17には、前記背圧室49を低圧通路31に連通せしめる連通路50が設けられる。
【0033】
前記ボディ16の前記ダイヤフラムカバー11とは反対側の面には、前記ガイド部材17の他端側で前記鍔部17cを前記ボディ16との間に挟持するとともに前記ガイド部材17の小径突部17dおよび前記操作部材38を覆うようにしてカバー部材42が複数のボルト43,43…で取付けられ、前記鍔部17cには、前記カバー部材42の内面に弾発的に接触する環状の第6シール部材44が装着される。またカバー部材42の中央部には、前記操作部材38を該カバー部材42の外方から回転操作することを可能とするための調節孔45が、前記操作部材38の係合凹部41を臨ませるようにして設けられる。
【0034】
さらに前記カバー部材42に臨む側で前記ボディ16には、前記高圧通路25および前記低圧通路31を流通するLPG燃料を加熱するための加熱流体を流通せしめる加熱流体通路46を前記カバー部材42との間に形成する凹部47が設けられ、ボディ16およびカバー部材42間には、前記加熱流体通路46を囲む環状の第7シール部材48が介装される。而して前記加熱流体通路46には、図示しないエンジン本体に設けられるウォータジャケットを流通するエンジン冷却水が導入される。
【0035】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、弁体12を摺動可能に嵌合せしめるガイド孔8に同軸に連なる収容孔37が、弁体12と反対側を開口するようにして弁ハウジング9に設けられ、前記収容孔37にナット14が軸線方向での移動を可能とするものの回転作動することを不能として挿入され、収容孔37の軸線に沿う方向を一定として該収容孔37の開口端に回転可能に嵌合される操作部材38が、前記ナット14の中央部に螺合されるので、ナット14および弁体12間に設けられる背面コイルばね15の内周よりも内方でナット14に操作部材38が螺合されることになり、ねじ部分を小径化することで背面コイルばね15を用いた調圧構造の小型化を図ることができるとともに、ねじ部分で生じる切粉の発生を抑制することができる。しかもナット14は軸方向に進退するものの操作部材38の軸方向位置は一定であり、ナット14の進退方向での減圧弁の全体長さは一定であり、減圧弁の搭載性向上に寄与することができる。またナット14の進退方向での減圧弁の全体長さを一定としつつ、ナット14の軸方向進退距離を比較的大きくして背面コイルばね15のばね荷重調節代を大きくし、調圧範囲を大きくすることができる。さらに既存のナット14を用いることも可能であり、そうすることでコスト低減を図ることができる。
【0036】
また前記弁ハウジング9が、弁座7が一端側に形成されるとともに他端側を開放したガイド部材収容孔18を有するボディ16と、ガイド孔8および収容孔37を有するとともに前記ボディ16との間に前記弁室5を形成して前記ガイド部材収容孔18の他端側に一端部が気密に嵌合されるガイド部材17とで構成されており、ガイド部材17の他端側を前記ボディ16との間に挟持して前記ガイド部材17を前記ボディ16に固定するカバー部材42が前記ボディ16に取付けられ、前記操作部材38が、前記カバー部材42に設けられた調節孔45からの回転操作を可能として該カバー部材42で覆われるので、ガイド部材17をボディ16に固定する機能を果たすカバー部材42が、収容孔37の開口端に軸方向位置を一定として操作部材38を保持する機能も果たすことになり、部品点数を低減することができる。
【0037】
またガイド部材17が合成樹脂により形成されるので、ナット14を回転不能に係合せしめるようにした内周面を有する収容孔37を容易に形成することができる。
【0038】
さらにボディ16に、弁室5に高圧のLPG燃料を導入する高圧通路25と、前記弁座7よりも下流側の低圧通路31とが設けられ、前記カバー部材42に臨む側で前記ボディ16には、前記高圧通路25および前記低圧通路31を流通するLPG燃料を加熱するための加熱流体を流通せしめる加熱流体通路46を前記カバー部材42との間に形成する凹部47が設けられるので、ボディ16に形成された高圧通路25および低圧通路31を流通するLPG燃料を加熱するための加熱流体通路46を、カバー部材42に臨む側でボディ16側に設けられる凹部47と、カバー部材42とで、部品点数の増大を回避しつつ容易に形成することができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0040】
5・・・弁室
6・・・弁孔
7・・・弁座
8・・・ガイド孔
9・・・弁ハウジング
10・・・ダイヤフラム
11・・・ダイヤフラムカバー
12・・・弁体
13・・・ダイヤフラムばね
14・・・調節部材であるナット
15・・・背面コイルばね
16・・・ボディ
17・・・ガイド部材
18・・・ガイド部材収容孔
25・・・高圧通路
31・・・低圧通路
37・・・収容孔
38・・・操作部材
42・・・カバー部材
45・・・調節孔
46・・・加熱流体通路
47・・・凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧流体が導入される弁室(5)を形成するとともに弁孔(6)を中央部に開口させて前記弁室(5)に臨む弁座(7)ならびに前記弁孔(6)と同軸のガイド孔(8)とが設けられる弁ハウジング(9)と、該弁ハウジング(9)に固定されるダイヤフラムカバー(11)と、該ダイヤフラムカバー(11)および前記弁ハウジング(9)間に周縁部が挟持されるダイヤフラム(10)と、前記弁座(7)に着座することを可能として前記ガイド孔(8)に摺動可能に嵌合されるとともに前記ダイヤフラム(10)の中央部に連結される弁体(12)と、該弁体(12)を前記弁座(7)から離座させる側に前記ダイヤフラム(10)を付勢するようにして前記ダイヤフラムカバー(11)および前記ダイヤフラム(10)間に設けられるダイヤフラムばね(13)と、前記ガイド孔(8)の軸線に沿う方向での進退位置を調節可能として前記弁体(12)に関して前記弁室(5)とは反対側に配置される調節部材(14)と、前記ダイヤフラムばね(13)からのばね荷重作用方向とは反対側から前記弁体(12)にばね荷重を作用せしめることを可能として前記調節部材(14)および前記弁体(12)間に設けられる背面コイルばね(15)とを備える減圧弁において、前記ガイド孔(8)に同軸に連なる収容孔(37)が、前記弁体(12)と反対側を開口するようにして前記弁ハウジング(9)に設けられ、前記調節部材(14)が軸線方向での移動を可能とするものの回転作動することを不能として前記収容孔(37)に挿入され、前記収容孔(37)の軸線に沿う方向を一定として該収容孔(37)の開口端に回転可能に嵌合される操作部材(38)が、前記調節部材(14)の中央部に螺合されることを特徴とする減圧弁。
【請求項2】
前記弁座(7)が一端側に形成されるとともに他端側を開放したガイド部材収容孔(18)を有するボディ(16)と、前記ガイド孔(8)および前記収容孔(37)を有するとともに前記ボディ(16)との間に前記弁室(5)を形成して前記ガイド部材収容孔(18)の他端側に一端部が気密に嵌合されるガイド部材(17)とで前記弁ハウジング(9)が構成され、前記ガイド部材(17)の他端側を前記ボディ(16)との間に挟持して前記ガイド部材(17)を前記ボディ(16)に固定するカバー部材(42)が前記ボディ(16)に取付けられ、前記操作部材(38)が、前記カバー部材(42)に設けられた調節孔(45)からの回転操作を可能として該カバー部材(42)で覆われることを特徴とする請求項1記載の減圧弁。
【請求項3】
前記ガイド部材(17)が合成樹脂により形成されることを特徴とする請求項2記載の減圧弁。
【請求項4】
前記ボディ(16)に、前記弁室(5)に高圧のLPG燃料を導入する高圧通路(25)と、前記弁座(7)よりも下流側の低圧通路(31)とが形成され、前記カバー部材(42)に臨む側で前記ボディ(16)には、前記高圧通路(25)および前記低圧通路(31)を流通するLPG燃料を加熱するための加熱流体を流通せしめる加熱流体通路(46)を前記カバー部材(42)との間に形成する凹部(47)が設けられることを特徴とする請求項2または3記載の減圧弁。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−70419(P2011−70419A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221246(P2009−221246)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】