説明

温度補償ズームレンズ

【課題】色収差を良好に補正し、かつ、温度変化によるフォーカス位置のずれを抑えて、そのフォーカスずれ量の焦点距離間較差を小さくしたズームレンズを提供する。
【解決手段】ズームレンズZLは、可視光を含む領域において用いられ、ズーミング時に移動する移動群を複数有し、少なくとも1つの移動群内に、条件式:Vd<55,0.0018×Vd+P<0.65を満たす材料から成る負レンズを少なくとも1枚有し、少なくとも1つの移動群内に、条件式60<Vd,0.645<0.0018×Vd+P,9×10-6<dN/dTを満たす材料から成る正レンズを少なくとも1枚有し(Vd:d線に関するアッベ数、P=(Ng−NF)/(NF−NC)、Ng:g線に関する屈折率、NF:F線に関する屈折率、NC:C線に関する屈折率、dN/dT:常温近辺での温度変化に対する屈折率変化率)、ズーミング時に負レンズと正レンズとが光軸上を同方向に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はズームレンズに関するものであり、更に詳しくは、温度変化に伴うフォーカスずれの補正と色収差の補正を行う機能を備えた温度補償ズームレンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高精細な光学系を実現するためには、色収差を抑えることが必須である。色収差の2次スペクトルを補正するには異常分散性の大きい材料が大変有効であるが、この材料は温度に対する屈折率変化が大きく、フォーカスずれが問題になりやすい。特許文献1〜4には、この問題を解決することを狙った光学系が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、色収差を低減しつつも温度変化時におけるズーミング中のフォーカスずれ量を少なくするため、フォーカスユニット以外のレンズユニットに、低屈折率・低分散の異常分散ガラスから成る正レンズと、高屈折率・高分散・低屈折率温度変化のガラスから成る負レンズと、を少なくとも1枚ずつ使用したズームレンズが提案されている。また特許文献2では、鏡筒の熱膨張を利用してフォーカスずれを補正するズームレンズが提案されている。そのズームレンズでは、プラスチックレンズと撮像素子とを連結する鏡筒が、フォーカス位置の移動に対応するような線膨張率を有する材料で構成されており、温度が上昇すると、鏡筒が光軸方向に伸びて、レンズの屈折率変化によるフォーカスずれが相殺される。
【0004】
特許文献3に記載のズームレンズは、焦点距離と異常分散量とに関する条件設定により、色収差とフォーカスずれを少なくする構成になっている。また、特許文献4に記載の光学系では、色収差補正のための異常分散ガラスで発生したフォーカスずれを石英ガラスで補正する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−297244号公報
【特許文献2】特開2003−248171号公報
【特許文献3】特開2008−242402号公報
【特許文献4】特開2011−53663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1〜4に記載の光学系には、色収差とフォーカスずれを共に十分に補正することができないという問題がある。例えば、特許文献1に記載のズームレンズでは、色収差,フォーカスずれ共に補正効果が小さく、特許文献3に記載のズームレンズでは、異常分散ガラスが0〜1枚しか用いられていないため、フォーカスずれを抑えることはできても、色収差補正は困難である。
【0007】
特許文献2に記載のズームレンズでは、装置の小型化のために、所望の伸縮量が得られる程に鏡筒を光軸方向に長くできない場合や、装置の強度構成上、保持鏡筒に対して適切な線膨張率を有する材料を選定できない場合等があるため、フォーカスずれを補正することのできる量に限界がある。したがって、フォーカスずれを良好に補正することは困難である。また、ズーミングにおけるフォーカスずれ量の焦点距離間較差を小さくすることができないという問題もある。特許文献4に記載の光学系は、単焦点レンズを想定したものである。このため特許文献4では、ズームレンズ特有のズームポジションによるフォーカスずれ較差の補正方法について触れられていない。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、色収差を良好に補正し、かつ、温度変化によるフォーカス位置のずれを抑えて、そのフォーカスずれ量の焦点距離間較差を小さくしたズームレンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明のズームレンズは、可視光を含む領域において用いられ、ズーミング時に移動する移動群を複数有するズームレンズであって、少なくとも1つの移動群内に、以下の条件式(1)及び(2)を満たす材料から成る負レンズを少なくとも1枚有し、少なくとも1つの移動群内に、以下の条件式(3)〜(5)を満たす材料から成る正レンズを少なくとも1枚有し、ズーミング時に前記負レンズと前記正レンズとが光軸上を同方向に移動することを特徴とする。
Vd<55 …(1)
0.0018×Vd+P<0.65 …(2)
60<Vd …(3)
0.645<0.0018×Vd+P …(4)
9×10-6<dN/dT …(5)
ただし、
Vd:d線に関するアッベ数、
P=(Ng−NF)/(NF−NC)
Ng:g線に関する屈折率、
NF:F線に関する屈折率、
NC:C線に関する屈折率、
dN/dT:常温近辺での温度変化に対する屈折率変化率、
である。
【0010】
第2の発明のズームレンズは、上記第1の発明において、前記移動群の縮小側に固定群を有し、その固定群内に、前記条件式(3)及び以下の条件式(6)を満たす材料から成る正レンズを少なくとも1枚有することを特徴とする。
0.67<0.0018×Vd+P …(6)
【0011】
第3の発明のズームレンズは、上記第1又は第2の発明において、前記条件式(3)〜(5)を満たす材料から成る少なくとも1枚の正レンズが、すべてのズームポジションで以下の条件式(7)を満たすことを特徴とする。
0.85<|Fx/Fxmax| …(7)
ただし、
Fx:ズームレンズを構成する各レンズを通過する軸上光束において、拡大側又は縮小側のレンズ面のいずれかで最周縁を通過する光線の光軸からの距離、
Fxmax:ズームレンズを構成する各レンズを通過する軸上光束において、拡大側又は縮小側のレンズ面のいずれかで最周縁を通過する光線の光軸からの距離(Fx)の最大値、
である。
【0012】
第4の発明のズームレンズは、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記条件式(3)〜(5)を満たす材料から成る少なくとも1枚の正レンズが、複数の移動群のうちの最も縮小側の移動群内に位置することを特徴とする。
【0013】
第5の発明のズームレンズは、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記条件式(3)〜(5)を満たす材料の波長350nmの光に対する透過率が、材料の厚さ10mmで80%以上であることを特徴とする。
【0014】
第6の発明のズームレンズは、上記第5の発明において、前記条件式(3)〜(5)を満たす材料が石英ガラスであることを特徴とする。
【0015】
第7の発明の撮像光学装置は、上記第1〜第6のいずれか1つの発明に係るズームレンズと、受光面上に形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備え、前記撮像素子の受光面上に被写体の光学像が形成されるように前記ズームレンズが設けられていることを特徴とする。
【0016】
第8の発明のデジタル機器は、上記第7の発明に係る撮像光学装置を備えることにより、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とする。
【0017】
第9の発明のプロジェクタは、画像を表示する画像表示素子と、光源と、その光源からの光を前記画像表示素子に導く照明光学系と、前記画像表示素子に表示された画像をスクリーン面に拡大投影する上記第1〜第6のいずれか1つの発明に係るズームレンズと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、所定の条件を満たした材料から成る負レンズ及び正レンズを移動群に有する構成になっているため、色収差を良好に補正し、かつ、温度変化によるフォーカス位置のずれを抑えることができ、とりわけ、温度変化によるフォーカス位置のずれ量の焦点距離間較差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態(実施例1)の光路図。
【図2】第2の実施の形態(実施例2)の光路図。
【図3】実施例1の望遠端,無限遠物体距離時の収差図。
【図4】実施例1の望遠端,最近接物体距離時の収差図。
【図5】実施例1の中間ポジション,無限遠物体距離時の収差図。
【図6】実施例1の中間ポジション,最近接物体距離時の収差図。
【図7】実施例1の広角端,無限遠物体距離時の収差図。
【図8】実施例1の広角端,最近接物体距離時の収差図。
【図9】実施例2の望遠端,無限遠物体距離時の収差図。
【図10】実施例2の望遠端,最近接物体距離時の収差図。
【図11】実施例2の中間ポジション,無限遠物体距離時の収差図。
【図12】実施例2の中間ポジション,最近接物体距離時の収差図。
【図13】実施例2の広角端,無限遠物体距離時の収差図。
【図14】実施例2の広角端,最近接物体距離時の収差図。
【図15】光学ガラスのアッベ数と部分分散比との関係を示すグラフ。
【図16】ズームレンズを搭載したデジタル機器の概略構成例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るズームレンズ等を説明する。本発明に係るズームレンズは、可視光を含む領域において用いられ、ズーミング時に移動する移動群を複数有するズームレンズである。そして、少なくとも1つの移動群内に、以下の条件式(1)及び(2)を満たす材料から成る負レンズを少なくとも1枚有し、少なくとも1つの移動群内に、以下の条件式(3)〜(5)を満たす材料から成る正レンズを少なくとも1枚有し、ズーミング時に前記負レンズと前記正レンズとが光軸上を同方向に移動することを特徴としている。
Vd<55 …(1)
0.0018×Vd+P<0.65 …(2)
60<Vd …(3)
0.645<0.0018×Vd+P …(4)
9×10-6<dN/dT …(5)
ただし、
Vd:d線に関するアッベ数、
P=(Ng−NF)/(NF−NC)
Ng:g線に関する屈折率、
NF:F線に関する屈折率、
NC:C線に関する屈折率、
dN/dT:常温近辺での温度変化に対する屈折率変化率、
である。
【0021】
一般に、色収差の2次スペクトルを補正するには、異常低分散ガラスから成る正レンズやそれとは逆の異常性を持つガラスから成る負レンズを用いる必要がある。十分な補正効果を得るには、それらを複数用いる必要がある。しかしながら、異常低分散ガラスは温度変化による屈折率変化率dN/dTの値が負に大きい傾向があり、逆の異常性を持つガラスはdN/dTの値が正に大きい傾向があるため、それらを多く用いると温度変化によるフォーカスずれが大きく発生し、画質が低下する。そこで、前記レンズのほかに、dN/dTの値が正に大きい材料の正レンズを用いれば、温度変化時に発生したフォーカスずれを打ち消すことができ、画質の低下を防ぐことができる。このときに、その材料が比較的低分散で、かつ標準近傍〜異常分散性高めであれば、色収差の2次スペクトルが悪化しない。
【0022】
ズーム移動群に色収差の補正効果を持たせることは、ズーミングによる色収差の変動につながるのであまり望ましくないが、限られたレンズ枚数で高度に色収差補正するには、固定群だけではなく移動群にも補正効果を持たせる必要がある。前述の理由で色収差の補正効果を持つガラスはフォーカスずれを引き起こしやすいが、固定群に存在するレンズは焦点距離に関係なくほぼ一律のフォーカスずれを引き起こすのに対し、移動群に存在するレンズは、ずれる方向こそ同じだが、焦点距離ごとに異なる量のフォーカスずれを引き起こす。そこで、dN/dTの値が正に大きい材料の正レンズを移動群内に配置すると較差を小さくすることができるので、適切に配置をすれば実用上問題ないレベルまでフォーカスずれを補正することができる。
【0023】
フォーカスずれ量はレンズのパワー(パワー:焦点距離の逆数で定義される量)と光束の幅とdN/dTの値で決まり、ズームタイプにはよらない。フォーカスずれの原因となるレンズがあればどんなタイプのレンズ系でもフォーカスずれは発生し、それが移動群に存在すれば、フォーカスずれ較差も必ず発生する。後述する実施例はいずれも負リードのズームレンズであるが、本発明の効果は正リードのズームレンズを含めてどのようなレンズ構成でも同様に得られる。
【0024】
条件式(1)及び(2)を満たすガラスから成る負レンズ(実施例1,2のレンズG11,G13に相当する。)を有することで、色収差の2次スペクトルを良好に補正することができる。条件式(1)又は条件式(2)の上限を上回ると、色収差の補正が不足することになる。条件式(3),(4)及び(5)を満たす正レンズ(実施例1,2のレンズG15に相当する。)を有し、さらにズーミング時に光軸上を前記負レンズと同方向に移動させることで、2次スペクトルを増大させることなく前記負レンズで発生したフォーカスずれを補正することができる。条件式(3)又は条件式(4)の下限を下回ると、色収差が悪化することになる。条件式(5)の下限を下回ると、充分なフォーカスずれ補正効果が得られなくなる。
【0025】
図15は、光学ガラスのアッベ数Vdと部分分散比Pとの関係を示す部分分散比分布図である。異常分散性の標準ラインLnは、HOYAのC7とF2(OHARAのNSL7とPBM2)のPとVdをプロットした2点を結んだ直線であり、標準ラインLnから(特に上方向に)離れたガラスは異常分散性が大きいことを示している。標準ラインLn上のガラスは0.0018×Vd+P=0.648で、標準ラインLnの上は0.648<0.0018×Vd+P、標準ラインLnの下は0.0018×Vd+P<0.648となる。0.0018×Vd+Pが特に大きいガラス(特に決まった境界値はないが、0.67以上ぐらい)を異常分散ガラスと呼ぶ。条件式(2)は標準近傍〜いわゆる異常分散ガラスとは逆の異常分散性、条件式(4)は標準近傍〜異常分散性高め、後述する条件式(6)は異常分散性が非常に高いことを要求している。
【0026】
上述したズームレンズの特徴的構成によると、色収差を良好に補正し、かつ、温度変化によるフォーカス位置のずれを抑えることができ、とりわけ、温度変化によるフォーカス位置のずれ量の焦点距離間較差を小さくすることができる。そして、そのズームレンズをデジタルカメラ,プロジェクタ等のデジタル機器に用いれば、デジタル機器に対し高性能の画像入力機能や画像出力機能を軽量・コンパクトに付加することが可能となる。したがって、デジタル機器のコンパクト化,低コスト化,高性能化,高機能化等に寄与することができる。こういった効果をバランス良く得るとともに、更に高い光学性能,小型化等を達成するための条件等を以下に説明する。
【0027】
前記移動群の縮小側に固定群を有し、その固定群内に、以下の条件式(3)及び(6)を満たす材料から成る正レンズを少なくとも1枚有することが望ましい。
60<Vd …(3)
0.67<0.0018×Vd+P …(6)
【0028】
条件式(3)及び条件式(6)を満たす異常低分散ガラスから成る正レンズ(実施例1,2のレンズG18,G19,G21,G22に相当する。)を有することで、色収差の2次スペクトルを良好に補正することができる。条件式(3)又は条件式(6)の下限を下回ると、色収差の補正が不足するおそれがある。
【0029】
前記条件式(3)〜(5)を満たす材料から成る少なくとも1枚の正レンズが、すべてのズームポジションで以下の条件式(7)を満たすことが望ましい。
0.85<|Fx/Fxmax| …(7)
ただし、
Fx:ズームレンズを構成する各レンズを通過する軸上光束において、拡大側又は縮小側のレンズ面のいずれかで最周縁を通過する光線の光軸からの距離、
Fxmax:ズームレンズを構成する各レンズを通過する軸上光束において、拡大側又は縮小側のレンズ面のいずれかで最周縁を通過する光線の光軸からの距離(Fx)の最大値、
である。
【0030】
広い光束が通過するレンズほどフォーカスずれの補正に効果がある。したがって、条件式(7)を満たすような光束の広い位置に、条件式(3),(4)及び(5)を満たす正レンズ(実施例1,2のレンズG15に相当する。)を配置すると、より効率的にフォーカスずれを補正することができる。ズーミング中に条件式(7)を満たさないポジションがあると、そのポジションではフォーカスずれの補正効果が十分に得られず、結果的に画質低下につながることになる。
【0031】
以下の条件式(7a)を満たすことが望ましく、条件式(7b)を満たすことが更に望ましい。
0.9<|Fx/Fxmax| …(7a)
0.95<|Fx/Fxmax| …(7b)
これらの条件式(7a),(7b)は、前記条件式(7)が規定している条件範囲のなかでも、前記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。したがって、好ましくは条件式(7a)、更に好ましくは条件式(7b)を満たすことにより、上記効果をより一層大きくすることができる。
【0032】
前記条件式(3)〜(5)を満たす材料から成る少なくとも1枚の正レンズが、複数の移動群のうちの最も縮小側の移動群内に位置することが望ましい。この構成によると、移動群で発生するフォーカスずれを補正しつつ、固定群で発生するフォーカスずれを最も良く補正することができるので、すべての焦点距離においてバランス良くフォーカスずれを打ち消すことができる。例えば、固定群から遠く離れた移動群では、フォーカスずれの焦点距離間較差を埋めることしかできず、固定群ではフォーカスずれを一様に補正するのみで焦点距離間較差を埋めることができないが、固定群に近い側の移動群では、その両方の特性を持たせることができる。
【0033】
前記条件式(3)〜(5)を満たす材料の波長350nmの光に対する透過率が、材料の厚さ10mmで80%以上であることが望ましい。この構成によると、実使用上問題ない透過率(後述する各実施例では99.9%)が得られ、また、良好な色バランスを維持することができる。
【0034】
前記条件式(3)〜(5)を満たす材料は石英ガラスであることが望ましい。石英ガラスは、標準的な異常分散性を示すため、色収差を増大させることがなく、かつ、フォーカス位置ずれを良好に補正することができる。石英ガラスは、図15のグラフではアッベ数Vd=67.72、部分分差比P=0.524にあり、標準的な異常分散性を示し、色収差を増大させるおそれがない。また石英ガラスは、その透過率が波長350nmで99.9%(材料の厚さ10mm)と充分に大きく、また、色バランスを良好に維持することができる。さらに、石英ガラスは、温度変化に対する屈折率変化率dN/dTが9.9×10-6と大きく、正レンズで発生するフォーカス位置のずれを良好に補正し、画質の低下を防ぐことができる。
【0035】
本発明に係るズームレンズは、画像入力機能付きデジタル機器用の撮像レンズとしての使用に適しており、これを撮像素子等と組み合わせることにより、被写体の映像を光学的に取り込んで電気的な信号として出力する撮像光学装置を構成することができる。撮像光学装置は、被写体の静止画撮影や動画撮影に用いられるカメラの主たる構成要素を成す光学装置であり、例えば、物体(すなわち被写体)側から順に、物体の光学像を形成するズームレンズと、そのズームレンズにより形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えることにより構成される。そして、撮像素子の受光面(すなわち撮像面)上に被写体の光学像が形成されるように、前述した特徴的構成を有するズームレンズが配置されることにより、小型・低コストで高変倍・高性能の撮像光学装置やそれを備えたデジタル機器を実現することができる。
【0036】
画像入力機能付きデジタル機器の例としては、シネマ用カメラ,デジタルカメラ,ビデオカメラ,監視カメラ,車載カメラ,テレビ電話用カメラ等のカメラが挙げられ、また、パーソナルコンピュータ,デジタル機器(例えば、携帯電話,モバイルコンピュータ等の小型で携帯可能な情報機器端末),これらの周辺機器(スキャナー,プリンター等),その他のデジタル機器等に内蔵又は外付けされるカメラが挙げられる。これらの例から分かるように、撮像光学装置を用いることによりカメラを構成することができるだけでなく、各種機器に撮像光学装置を搭載することによりカメラ機能を付加することが可能である。例えば、カメラ付きプロジェクタ等の画像入力機能付きデジタル機器を構成することが可能である。
【0037】
図16(A)に、画像入力機能を有するデジタル機器DUの概略構成例を模式的断面で示す。図16(A)に示すデジタル機器DUに搭載されている撮像光学装置LUは、物体(すなわち被写体)側から順に、物体の光学像(像面)IMを変倍可能に形成するズームレンズZL(AX:光軸)と、平行平面板PT(撮像素子SRのカバーガラス;必要に応じて配置される光学的ローパスフィルター,赤外カットフィルター等の光学フィルター等に相当する。)と、ズームレンズZLにより受光面SS上に形成された光学像IMを電気的な信号に変換する撮像素子SRと、を備えている。この撮像光学装置LUで画像入力機能付きデジタル機器DUを構成する場合、通常そのボディ内部に撮像光学装置LUを配置することになるが、カメラ機能を実現する際には必要に応じた形態を採用することが可能である。例えば、ユニット化した撮像光学装置LUをデジタル機器DUの本体に対して着脱自在又は回動自在に構成することが可能である。
【0038】
ズームレンズZLは、複数のズーム移動群がそれぞれ光軸AXに沿って移動して各ズーム群間隔を変化させることにより変倍(すなわちズーミング)を行い、最も物体側(拡大側)のズーム群内の2つのフォーカス群がそれぞれ光軸AXに沿って移動することによりフォーカシングを行い(インナーフォーカス)、撮像素子SRの受光面SS上に光学像IMを形成する構成になっている。撮像素子SRとしては、例えば複数の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ,CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の固体撮像素子が用いられる。ズームレンズZLは、撮像素子SRの光電変換部である受光面SS上に被写体の光学像IMが形成されるように設けられているので、ズームレンズZLによって形成された光学像IMは、撮像素子SRによって電気的な信号に変換される。
【0039】
デジタル機器DUは、撮像光学装置LUの他に、信号処理部1,制御部2,メモリ3,操作部4,表示部5等を備えている。撮像素子SRで生成した信号は、信号処理部1で所定のデジタル画像処理や画像圧縮処理等が必要に応じて施され、デジタル映像信号としてメモリ3(半導体メモリ,光ディスク等)に記録されたり、場合によってはケーブルを介したり赤外線信号等に変換されたりして他の機器に伝送される(例えば携帯電話の通信機能)。制御部2はマイクロコンピュータから成っており、撮影機能(静止画撮影機能,動画撮影機能等),画像再生機能等の機能の制御;ズーミング,フォーカシング,手ぶれ補正等のためのレンズ移動機構の制御等を集中的に行う。例えば、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方を行うように、制御部2により撮像光学装置LUに対する制御が行われる。表示部5は液晶モニター等のディスプレイを含む部分であり、撮像素子SRによって変換された画像信号あるいはメモリ3に記録されている画像情報を用いて画像表示を行う。操作部4は、操作ボタン(例えばレリーズボタン),操作ダイヤル(例えば撮影モードダイヤル)等の操作部材を含む部分であり、操作者が操作入力した情報を制御部2に伝達する。
【0040】
ここで、第1,第2の実施の形態を挙げて、ズームレンズZLの具体的な光学構成を更に詳しく説明する。図1,図2は、第1,第2の実施の形態を構成するズームレンズZLにそれぞれ対応する光路図であり、望遠端(T),中間ポジション(M,中間焦点距離状態),広角端(W)でのレンズ配置,光路等を光学断面で示している。図1,図2中、矢印mi(i=2,3,…)は、望遠端(T)から広角端(W)へのズーミングにおける第iレンズ群Griの移動をそれぞれ模式的に示しており、矢印mb,mcは、無限遠物体距離から最近接物体距離へのフォーカシングにおける第1b群Gr1b,第1c群Gr1cの移動をそれぞれ模式的に示している。また、第jレンズGjは拡大側からj番目に位置するレンズである。
【0041】
第1,第2の実施の形態(図1,図2)のズームレンズZLは、最も拡大側(物体側)のズーム群及び最も縮小側(像側)のズーム群(絞りSTは最終群において最も拡大側に位置する)を固定群とし、それ以外のズーム群を移動群として光軸AXに沿って移動させることによりズーミングを行う構成になっている。例えば、第1の実施の形態(図1)は、拡大側から順に負正正負正のパワーを有する5群構成のズームレンズであり、第1レンズ群Gr1及び第5レンズ群Gr5が固定群であり、第2レンズ群Gr2〜第4レンズ群Gr4が移動群である。第2の実施の形態(図2)は、拡大側から順に負正負正負正正のパワーを有する7群構成のズームレンズであり、第1レンズ群Gr1及び第7レンズ群Gr7が固定群であり、第2レンズ群Gr2〜第6レンズ群Gr6が移動群である。
【0042】
また、ズーム時に固定で負のパワーを有する第1レンズ群Gr1は、拡大側から順に、第1a群Gr1aと、第1b群Gr1bと、第1f群Gr1fと、第1c群Gr1cと、の4つのレンズ群で構成されている。その4つのレンズ群のうち、第1a群Gr1aと第1b群Gr1bと第1c群Gr1cは、負のパワーを有するレンズ群であり、第1a群Gr1aと第1f群Gr1fは、フォーカス時に固定である。第1a群Gr1aは少なくとも1枚の正レンズを含み、第1b群Gr1bは無限遠から近距離へのフォーカス時に縮小側へ移動し、第1c群Gr1cは無限遠から近距離へのフォーカス時に拡大側へ移動する構成になっている。
【0043】
次に、ズームレンズZLを適用したプロジェクタの一実施の形態を説明する。図16(B)に、プロジェクタPJの概略構成例を示す。このプロジェクタPJは、ズームレンズZL,反射ミラー12,画像表示素子13,光源14,照明光学系15,制御部16,プリズムPR等を備えている。制御部16は、プロジェクタPJの全体制御を司る部分である。画像表示素子13は、光を変調して画像を生成する画像変調素子であり、画像を表示する表示面上には、カバーガラスCGが設けられている。光源14からの光は、照明光学系15,ミラー12及びプリズムPRで画像表示素子13に導かれる。プリズムPRは、例えばTIRプリズム(他に色分離合成プリズム等)から成り、照明光と投影光との分離を行う。画像表示素子13に表示された画像は、ズームレンズZLでスクリーン面11に拡大投影される。
【0044】
ズーミングやフォーカシングのために移動するレンズ群には、それぞれ光軸AXに沿って拡大側又は縮小側に移動させるアクチュエータ17が接続されている。そしてアクチュエータ17には、移動群の移動制御を行うための制御部16が接続されている。なお、制御部16及びアクチュエータ17については、これを使わず手動でレンズ群を移動させてもよい。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施したズームレンズの構成等を、実施例のコンストラクションデータ等を挙げて更に具体的に説明する。ここで挙げる実施例1,2(EX1,2)は、前述した第1〜第2の実施の形態にそれぞれ対応する数値実施例であり、第1,第2の実施の形態を表す光路図(図1,図2)は、対応する実施例1,2のレンズ構成,光路等をそれぞれ示している。
【0046】
各実施例のコンストラクションデータでは、面データとして、左側の欄から順に、面番号i,曲率半径r(mm),軸上面間隔d(mm),d線(波長587.6nm)に関する屈折率Nd,d線に関するアッベ数Vdを示す。また、各種データとして、ズーム比を示し、さらに各焦点距離状態(T),(M),(W)について、全系の焦点距離(FL,mm),Fナンバー(FNO),像高(Y’,mm),レンズ全長(TL,mm),バックフォーカス(BF,mm),最近接物体距離時の倍率(近端倍率),無限遠物体距離時の半画角(無限ω,°),最近接物体距離時の半画角(近端ω,°),画角変動(%),並びにズーミング及びフォーカシングにおける可変面間隔di(i:面番号,mm)を示し、ズームレンズ群データとして、各レンズ群の焦点距離(mm)を示す。なお、いずれの実施例においても、無限遠から至近距離まででの画角変動を2%程度に抑えることができている。
【0047】
なお、バックフォーカスBFは、レンズ最終面から近軸像面IMまでの距離を空気換算長により表記しており、レンズ全長TLは、レンズ最前面からレンズ最終面までの距離にバックフォーカスを加えたものである。また、(T,∞),(M,∞),(W,∞)は各焦点距離状態(T),(M),(W)における無限遠物体距離時の可変面間隔diを示しており、(T,N),(M,N),(W,N)は各焦点距離状態(T),(M),(W)における最近接物体距離時の可変面間隔diを示している。
【0048】
表1〜表4に各条件式の関連データを各実施例について示し、表5に各実施例の条件式対応値を示す。表1〜表4中、条件式(2),(4),(6)に関連する異常性のデータは0.0018×Vd+Pであり、条件式(5)に関連するdN/dTのデータは×10-6(E−6)での表記である。また、条件式(7)に関連するFxのデータは、拡大側レンズ面,縮小側レンズ面のうち光線が最周縁を通過するものを示しており、拡大側レンズ面と縮小側レンズ面との間の欄にFx/Fxmaxのデータを示している。
【0049】
表6に、温度補償レンズ(G15)の材料として石英を用いた実施例1,2と、温度補償レンズ(G15)の材料としてダミーガラスを用いた比較例1,2と、について、各焦点距離(mm)でのフォーカスずれ量(mm,20℃から50℃まで温度が変化したときの値)とフォーカスずれ較差(mm)を示す。ダミーガラスは、屈折率Nd及びアッベ数Vdが石英と同じであって、条件式(5)の対応値がゼロの架空のガラス材料であり、実施例1,2と比較例1,2とは、温度補償レンズ(G15)の材料が異なるほかは同じ構成になっている。
【0050】
図3〜図8,図9〜図14は、実施例1,2(EX1,2)にそれぞれ対応する収差図である。図3,図4,図9,図10は望遠端(T)における諸収差を示しており、図5,図6,図11,図12は中間ポジション(M,中間焦点距離状態)における諸収差を示しており、図7,図8,図13,図14は広角端(W)における諸収差を示している。また、図3,図5,図7,図9,図11,図13は無限遠物体距離時(無限ポジション:∞)の諸収差を示しており、図4,図6,図8,図10,図12,図14は最近接物体距離時(近端ポジション:N)の諸収差を示している。
【0051】
図3〜図14のそれぞれにおいて、(A)は球面収差(mm)、(B)は非点収差(mm)、(C)は歪曲収差(%)、(D)は倍率色収差(mm)を示している(H:入射高さ(mm),Y’:像高(mm))。(A)の球面収差図において、実線はe線(波長546.1nm)に対する球面収差、破線はg線(波長435.8nm)に対する球面収差、一点鎖線はC線(波長656.3nm)に対する球面収差、をそれぞれ表している。(B)の非点収差図において、太線で示すmer−e,mer−g,mer−Cはメリディオナル像面、細線で示すsag−e,sag−g,sag−Cはサジタル像面であり、実線はe線(波長546.1nm)、破線はg線(波長435.8nm)、一点鎖線はC線(波長656.3nm)に対する非点収差をそれぞれ表している。(C)の歪曲収差図において実線はe線に対する歪曲(%)を表しており、(D)の倍率色収差図において破線はg線(波長435.8nm)、一点鎖線はC線(波長656.3nm)に対する倍率色収差をそれぞれ表している。
【0052】
実施例1
単位:mm
面データ
i r d Nd Vd
1 166.067
8.632 1.69680 55.5
2 301.160
0.500
3 112.627
8.511 1.71300 53.9
4 191.882
0.500
5 70.555
3.387 1.72916 54.7
6 34.168
9.893
7 62.893
2.371 1.72916 54.7
8 26.769
可変(フォーカス)
9 -113.546
1.393 1.80518 25.5
10 32.822
可変(フォーカス)
11 -134.227
7.178 1.59270 35.5
12 -26.596
0.010
13 -26.596
1.676 1.48749 70.4
14 77.321
2.448
15 93.911
6.396 1.59270 35.5
16 -58.472
可変(フォーカス)
17 -48.591
1.692 1.65412 39.7
18 -196.645
可変(フォーカス・ズーム)
19 297.717
7.272 1.48749 70.4
20 -38.451
3.983
21 133.494
3.558 1.88300 40.8
22 84.814
可変(ズーム)
23 43.901
8.081 1.54814 45.8
24 -158.261
可変(ズーム)
25 -93.075
2.343 1.88300 40.8
26 40.177
0.010
27 40.177
6.403 1.48749 70.4
28 -88.944
0.500
29 105.024
4.726 1.45847 67.7
30 -77.381
可変(ズーム)
31(絞り) ∞
1.450
32 37.279
6.540 1.59270 35.5
33 -33.425
0.010
34 -33.425
0.839 1.83481 42.7
35 42.507
16.896
36 45.752
6.869 1.49700 81.6
37 -43.520
0.500
38 118.174
5.360 1.49700 81.6
39 -53.071
2.917
40 -38.455
1.024 1.88300 40.8
41 34.631
2.815
42 42.958
7.497 1.49700 81.6
43 -62.483
1.000
44 828.643
4.132 1.49700 81.6
45 -75.958
38.000
46 ∞
1.000 1.51680 64.2
47 ∞
1.000
48 ∞
【0053】
各種データ
ズーム比 1.61
(T) (M) (W)
FL 29.0 22.5 18.0
FNO 3.15 3.15 3.15
Y' 16.8 16.8 16.8
TL 271.2 271.2 271.2
BF 39.7 39.7 39.7
近端倍率 -0.0914 -0.0733 -0.0588
無限ω(°) 31.0 36.8 43.0
近端ω(°) 30.7 36.4 42.2
画角変動(%) -0.81 -1.08 -1.86

(T,∞) (M,∞) (W,∞) (T,N) (M,N) (W,N)
d8 11.642 11.642 11.642 14.515 14.515 14.515
d10 10.761 10.761 10.761 7.888 7.888 7.888
d16 9.995 9.995 9.995 5.261 5.261 5.261
d18 1.666 0.440 0.586 6.400 5.174 5.320
d22 0.500 20.335 38.408 0.500 20.335 38.408
d24 5.292 7.328 9.866 5.292 7.328 9.866
d30 42.392 21.748 0.991 42.392 21.748 0.991
【0054】
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -16.876
2 19 90.121
3 23 63.265
4 25 -498.206
5 31 98.491
【0055】
実施例2
単位:mm
面データ
i r d Nd Vd
1 232.913
11.380 1.72916 54.7
2 -489.850
3.200
3 -238.540
5.623 1.59270 35.3
4 1555.364
0.500
5 196.039
9.989 1.48749 70.2
6 -332.424
0.500
7 132.022
3.039 1.60300 65.4
8 32.308
可変(フォーカス)
9 -89.867
2.188 1.75700 47.8
10 48.827
可変(フォーカス)
11 -87.815
4.211 1.51633 64.1
12 75.048
0.010
13 75.048
10.000 1.83481 42.7
14 -66.499
可変(フォーカス)
15 -48.310
4.102 1.51633 64.1
16 22216.872
可変(フォーカス・ズーム)
17 -229.144
7.547 1.48749 70.2
18 -52.104
可変(ズーム)
19 154.427
12.826 1.62041 60.3
20 -43.677
0.010
21 -43.677
2.789 1.88300 40.8
22 508.663
可変(ズーム)
23 94.235
11.528 1.59270 35.3
24 -82.541
可変(ズーム)
25 -129.135
3.802 1.88300 40.8
26 55.274
0.010
27 55.274
9.918 1.62041 60.3
28 -291.945
可変(ズーム)
29 165.719
9.394 1.45847 67.7
30 -78.365
可変(ズーム)
31(絞り) ∞
11.827
32 76.438
8.529 1.59270 35.3
33 -43.225
0.010
34 -43.225
2.051 1.88300 40.8
35 334.850
13.683
36 67.342
6.036 1.49700 81.5
37 -109.202
1.056
38 43.363
6.935 1.49700 81.5
39 -135.874
2.515
40 -245.042
1.805 1.88300 40.8
41 26.368
8.339
42 32.941
4.642 1.49700 81.5
43 66.609
5.264
44 -166.832
3.237 1.49700 81.5
45 -73.012
38.000
46 ∞
2.000 1.51633 64.1
47 ∞
1.000
48 ∞
【0056】
各種データ
ズーム比 1.77
(T) (M) (W)
FL 49.5 37.2 28.0
FNO 2.70 2.70 2.70
Y' 16.8 16.8 16.8
TL 353.3 353.3 353.3
BF 40.3 40.3 40.3
近端倍率 -0.0861 -0.0648 -0.0487
無限ω(°) 18.7 24.4 31.2
近端ω(°) 18.6 24.4 31.1
画角変動(%) -0.36 -0.23 -0.37

(T,∞) (M,∞) (W,∞) (T,N) (M,N) (W,N)
d8 15.368 15.368 15.368 17.757 17.757 17.757
d10 13.570 13.570 13.570 11.181 11.181 11.181
d14 10.909 10.909 10.909 6.223 6.223 6.223
d16 9.107 9.672 5.000 13.793 14.358 9.687
d18 0.500 23.045 56.281 0.500 23.045 56.281
d22 2.183 0.500 13.480 2.183 0.500 13.480
d24 1.206 4.532 2.901 1.206 4.532 2.901
d28 1.728 14.458 0.500 1.728 14.458 0.500
d30 69.938 32.456 6.500 69.938 32.456 6.500
【0057】
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -31.396
2 17 135.953
3 19 -282.245
4 23 75.571
5 25 -106.051
6 29 117.051
7 31 200.591
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
【表5】

【0063】
【表6】

【符号の説明】
【0064】
DU デジタル機器
LU 撮像光学装置
ZL ズームレンズ
Gr1 第1レンズ群
Gr2 第2レンズ群
Gr3 第3レンズ群
Gr4 第4レンズ群
Gr5 第5レンズ群
Gr6 第6レンズ群
Gr7 第7レンズ群
ST 絞り
SR 撮像素子
SS 受光面(撮像面)
IM 像面(光学像)
AX 光軸
1 信号処理部
2 制御部
3 メモリ
4 操作部
5 表示部
PJ プロジェクタ
13 画像表示素子
14 光源
15 照明光学系
16 制御部
17 アクチュエータ
PR プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光を含む領域において用いられ、ズーミング時に移動する移動群を複数有するズームレンズであって、
少なくとも1つの移動群内に、以下の条件式(1)及び(2)を満たす材料から成る負レンズを少なくとも1枚有し、
少なくとも1つの移動群内に、以下の条件式(3)〜(5)を満たす材料から成る正レンズを少なくとも1枚有し、
ズーミング時に前記負レンズと前記正レンズとが光軸上を同方向に移動することを特徴とするズームレンズ;
Vd<55 …(1)
0.0018×Vd+P<0.65 …(2)
60<Vd …(3)
0.645<0.0018×Vd+P …(4)
9×10-6<dN/dT …(5)
ただし、
Vd:d線に関するアッベ数、
P=(Ng−NF)/(NF−NC)
Ng:g線に関する屈折率、
NF:F線に関する屈折率、
NC:C線に関する屈折率、
dN/dT:常温近辺での温度変化に対する屈折率変化率、
である。
【請求項2】
前記移動群の縮小側に固定群を有し、その固定群内に、前記条件式(3)及び以下の条件式(6)を満たす材料から成る正レンズを少なくとも1枚有することを特徴とする請求項1記載のズームレンズ。
0.67<0.0018×Vd+P …(6)
【請求項3】
前記条件式(3)〜(5)を満たす材料から成る少なくとも1枚の正レンズが、すべてのズームポジションで以下の条件式(7)を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載のズームレンズ;
0.85<|Fx/Fxmax| …(7)
ただし、
Fx:ズームレンズを構成する各レンズを通過する軸上光束において、拡大側又は縮小側のレンズ面のいずれかで最周縁を通過する光線の光軸からの距離、
Fxmax:ズームレンズを構成する各レンズを通過する軸上光束において、拡大側又は縮小側のレンズ面のいずれかで最周縁を通過する光線の光軸からの距離(Fx)の最大値、
である。
【請求項4】
前記条件式(3)〜(5)を満たす材料から成る少なくとも1枚の正レンズが、複数の移動群のうちの最も縮小側の移動群内に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記条件式(3)〜(5)を満たす材料の波長350nmの光に対する透過率が、材料の厚さ10mmで80%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記条件式(3)〜(5)を満たす材料が石英ガラスであることを特徴とする請求項5記載のズームレンズ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のズームレンズと、受光面上に形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備え、前記撮像素子の受光面上に被写体の光学像が形成されるように前記ズームレンズが設けられていることを特徴とする撮像光学装置。
【請求項8】
請求項7記載の撮像光学装置を備えることにより、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とするデジタル機器。
【請求項9】
画像を表示する画像表示素子と、光源と、その光源からの光を前記画像表示素子に導く照明光学系と、前記画像表示素子に表示された画像をスクリーン面に拡大投影する請求項1〜6のいずれか1項に記載のズームレンズと、を備えたことを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−68689(P2013−68689A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205638(P2011−205638)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】