説明

測位装置およびそれを用いる位置情報システム

【課題】 携帯電話の端末装置や携帯情報端末に組込まれるなどして、使用者によって所持され、GPS測位を行うとともに自律測位も併用するようにしたセキュリティ端末において、常に良好な測位結果を得られるようにする。
【解決手段】 GPS受信手段11およびGPS測位手段12によるGPS測位結果と、自律測位測位手段13による自律測位結果とを、制御手段15が選択的に採用して、無線通信手段14から通信ネットワーク2を介してセンター装置3へ送信するセキュリティ端末1において、前記制御手段15は、GPS測位を行う度に、GPS測位結果と自律測位結果とから、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記自律測位手段13の初期位置に設定する。したがって、逐次更新され、しかもGPS測位結果をそのまま採用する訳ではなく、初期位置精度を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS測位手段などの外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を求める電波利用測位手段を備えるとともに、初期位置からの移動方向および移動量を積算して自律測位を行っており、前記電波利用測位手段による測位不能時や誤差拡大時に、前記現在位置のデータが代わって使用される自律測位手段を合わせて備える測位装置およびそれを用いる位置情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を利用して測位するだけでなく、前記GPS衛星からの電波を受信できない状況に備えて、各種測位センサを補助的に使用して、上述のように自律測位を行うタイプの測位装置が提案されている。
【0003】
このタイプの携帯用測位装置の典型的な従来技術として、たとえば特許文献1および2が挙げられる。これらの従来技術は、GPS受信機とセンサとを備えて構成され、GPS衛星からの電波の受信が可能なときはGPS測位を行い、ビル中、街中、林などGPS測位が不可能な場所では、センサを用いて、移動距離は「歩幅×歩数」の演算で検出し、移動方向は地磁気センサを用いて検出し、現在位置を測位するようになっている。
【特許文献1】特開平11−194033号公報
【特許文献2】特開2000−97722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、GPS測位が不可能な場所でも、自律測位によって現在位置の確認を可能にしている。一方、GPS測位は消費電力が大きく、連続で測位を行った場合、携帯型の測位装置における電池の消耗が早く、このためGPS衛星からの電波を良好に受信できる状況でも、間欠測位を行い、測位を行わない期間は前記自律測位を行うことも考えられる。
【0005】
しかしながら、前記自律測位は、GPSなどによる絶対測位ではなく、相対測位であるので、絶対位置が得られず、初期位置が位置精度に大きく影響することは避けられない。前記特許文献1および2では、その初期位置の設定は、歩幅等の入力とともに、使用者が行うようになっている。したがって、設定を行わない限り誤差は蓄積されてゆく。この場合、GPS測位が可能であり続ければ問題はないが、GPS測位が不能になると、誤差の蓄積された自律測位の結果に切換わることになる。そこで、精度を保とうとすれば、頻繁に初期位置を更新しなければならないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、常に良好な測位結果を提供することができる測位装置およびそれを用いる位置情報システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の測位装置は、使用者によって所持される測位装置において、外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を求める電波利用測位手段と、初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段と、前記電波利用測位手段および自律測位手段を制御するとともに、それらの測位結果から求めた位置を現在位置とする制御手段と、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果から、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記電波利用測位手段の測位毎に前記自律測位手段の初期位置に設定する初期位置設定手段とを含むことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、携帯電話の端末装置や携帯情報端末に組込まれるなどして、使用者によって所持され、外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を絶対測位できる電波利用測位手段と、初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段とを併用し、制御手段が、それらを制御するとともに、それらの測位結果から求めた位置を現在位置として、表示したり外部へ通報したりすることができる測位装置において、初期位置設定手段を設け、この初期位置設定手段によって、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果から、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記電波利用測位手段の測位毎に前記自律測位手段の初期位置に設定する。
【0009】
したがって、自律測位手段における初期位置が逐次更新され、しかも衛星配置や電波状況が良好でマルチパスの影響を受けない場合は精度良い位置検出が可能であるが、それらが悪い場合には位置精度が劣化してしまうGPS測位結果を、そのまま自律測位の初期位置に採用する訳ではなく、より正確と推定される方の測位結果を設定するので、初期位置の精度が高くなり、常に良好な測位結果を提供することができる。
【0010】
好ましくは、前記電波利用測位手段は、複数のGPS衛星からの電波を受信し、または複数の携帯電話の電波を受信し、もしくは複数のテレビ電波を受信し、それらの受信信号から、演算によって、複数の衛星、または基地局もしくは送信所からの距離をそれぞれ求め、現在位置を絶対測位する。
【0011】
そして、この電波利用測位手段が前記GPS衛星からの信号を受信して測位を行うGPS測位手段である場合、前記予め設定されるエラー値判断基準は、たとえばC/N(Carrier/Noise)値、DOP値、EPE値、または誤差分散値から成る。また、前記電波利用測位手段が、前記携帯電話の基地局からの信号を受信して測位を行う携帯電波測位手段や、前記テレビジョン放送の中継局からの信号を受信して測位を行うテレビ電波測位手段である場合、前記予め設定されるエラー値判断基準は、電波強度値から成る。
【0012】
一方、前記自律測位手段は、好ましくは、前記使用者の歩行による歩数をカウントする上下動加速度センサおよび進行方向を検出する地磁気センサから成り、前記予め設定されるエラー値判断基準は、たとえば歩数×歩幅×所定エラー率から成る。
【0013】
また、本発明の測位装置では、前記初期位置設定手段は、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果におけるそれぞれのエラー値の割合に対応した比率でそれぞれの測位結果を合成し、前記自律測位手段の初期位置に設定することを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、前記初期位置設定手段は、上述のように、電波利用測位手段がGPS測位手段である場合、たとえば前記誤差分散値から、前記自律測位手段が前記上下動加速度センサおよび地磁気センサから成る場合、たとえば歩数×歩幅×所定エラー率から求められる見積もりエラー値から、それらの割合に対応した比率でそれぞれの測位結果を合成することで、前記自律測位手段の初期位置を求める。
【0015】
したがって、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果から、より正確と推定される方の測位結果の割合を大きく前記自律測位手段の初期位置に設定することができる。
【0016】
さらにまた、本発明の測位装置は、使用者によって所持される測位装置において、外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を求める電波利用測位手段と、初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段と、前記電波利用測位手段および自律測位手段を制御するとともに、それらの測位結果から求めた位置を現在位置とする前記制御手段と、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果の平均値を、前記電波利用測位手段の測位毎に前記自律測位手段の初期位置に設定する初期位置設定手段とを含むことを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、携帯電話の端末装置や携帯情報端末に組込まれるなどして、使用者によって所持され、外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を絶対測位できる電波利用測位手段と、初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段とを併用し、制御手段が、それらを制御するとともに、それらの測位結果から求めた位置を現在位置とする測位装置において、初期位置設定手段を設け、この初期位置設定手段によって、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果から、その平均値(重心)を、前記電波利用測位手段の測位毎に前記自律測位手段の初期位置に設定する。
【0018】
したがって、自律測位手段における初期位置が逐次更新され、しかも衛星配置や電波状況が良好でマルチパスの影響を受けない場合は精度良い位置検出が可能であるが、それらが悪い場合には位置精度が劣化してしまうGPS測位結果を、そのまま自律測位の初期位置に採用する訳ではなく、平均値を設定するので、初期位置の精度が高くなり、常に良好な測位結果を提供することができる。
【0019】
また、本発明の位置情報システムは、前記の測位装置において、無線通信網を介して測位結果を送信する無線通信手段をさらに備え、前記測位装置にコマンドを送信し、それに応答して返信された測位結果を受信する無線通信手段と、受信した測位結果を記憶する記憶手段と、受信した測位結果を表示する表示手段とを備えて構成されるセンター装置をさらに備えて成ることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、センター装置側から必要に応じて使用者の現在位置を確認したり、定期的に現在位置を送信させ、移動経路を確認したりすることができる位置情報システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の測位装置は、以上のように、携帯電話の端末装置や携帯情報端末に組込まれるなどして、使用者によって所持され、外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を絶対測位できる電波利用測位手段と、初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段とを併用し、制御手段が、それらを制御するとともに、それらの測位結果から求めた位置を現在位置として、表示したり外部へ通報したりすることができる測位装置において、初期位置設定手段を設け、この初期位置設定手段によって、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果から、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記電波利用測位手段の測位毎に前記自律測位手段の初期位置に設定する。
【0022】
それゆえ、自律測位手段における初期位置が逐次更新され、しかもGPS測位結果をそのまま前記初期位置に採用する訳ではなく、より正確と推定される方の測位結果を設定するので、初期位置の精度が高くなり、常に良好な測位結果を提供することができる。
【0023】
さらにまた、本発明の測位装置は、以上のように、携帯電話の端末装置や携帯情報端末に組込まれるなどして、使用者によって所持され、外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を絶対測位できる電波利用測位手段と、初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段とを併用し、制御手段が、それらを制御するとともに、それらの測位結果から求めた位置を現在位置とする測位装置において、初期位置設定手段を設け、この初期位置設定手段によって、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果から、その平均値(重心)を、前記電波利用測位手段の測位毎に前記自律測位手段の初期位置に設定する。
【0024】
それゆえ、自律測位手段における初期位置が逐次更新され、しかもGPS測位結果をそのまま前記初期位置に採用する訳ではなく、平均値を設定するので、初期位置の精度が高くなり、常に良好な測位結果を提供することができる。
【0025】
また、本発明の位置情報システムは、以上のように、前記の測位装置は、無線通信網を介して測位結果を送信する無線通信手段をさらに備え、前記測位装置にコマンドを送信し、それに応答して返信された測位結果を受信する無線通信手段と、受信した測位結果をメモリする記憶手段と、受信した測位結果を表示する表示手段とを備えて構成されるセンター装置を備えて成る。
【0026】
それゆえ、センター装置側から必要に応じて使用者の現在位置を確認したり、定期的に現在位置を送信させ、移動経路を確認したりすることができる位置情報システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の第1の形態に係るセキュリティ端末1を用いた位置情報システムの概要を示す図である。この位置情報システムは、大略的に、測位装置である1または複数のセキュリティ端末1と、無線通信網を含む通信ネットワーク2と、前記通信ネットワーク2を介して前記セキュリティ端末1と接続されるセンター装置3とを備えて構成される。
【0028】
前記セキュリティ端末1は、携帯電話の端末装置や携帯情報端末に組込まれるなどして構成されており、利用者4が携帯し、予め定める周期、またはセンター装置3からの測位指示(検索指示)に応答して、後述するようにして複数のGPS衛星からの電波を受信してGPS測位を行い、および/または自律測位を行い、その測位結果(位置情報)を、予め定める周期、またはセンター装置3からの送信要求(検索指示)に応答して、前記センター装置3へ返信する。
【0029】
前記センター装置3は、位置情報サービスの提供業者の管理センターなどに設置されるサーバコンピュータなどで実現され、前記通信ネットワーク2を介して接続される管理者や保護者側のパーソナルコンピュータからの指示によって、前記測位およびその結果の送信指示をセキュリティ端末1へ送信したり、セキュリティ端末1から受信した現在位置や移動経路などの位置情報を前記管理者や保護者側のパーソナルコンピュータへ送信する。このような動作によって、貴重品や車両の盗難に対する追跡を行ったり、子供や老人の行方を確認したりすることができるようになっている。
【0030】
図2は、図1で示す構成の電気的構成を示すブロック図である。前記セキュリティ端末1は、前記GPS衛星からの電波を受信するGPS受信手段11と、その受信結果に測位演算を施し、現在位置を絶対測位できるGPS測位手段12と、初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段13と、前記通信ネットワーク2を介してセンター装置3と通信を行うための無線通信手段14と、前記GPS受信手段11、GPS測位手段12、自律測位手段13および無線通信手段14を制御する制御手段15と、後述するようにして求めた現在位置や前記移動経路などを記憶しておく記憶手段16と、前記現在位置や移動経路などを表示するとともに、緊急通報などの入力操作が行われる表示入力手段17とを備えて構成される。
【0031】
前記通信ネットワーク2は、携帯電話の基地局21〜23や、いわゆるインターネットプロトコル群が通信に利用される固定通信網などから構築されている。前記センター装置3は、前記通信ネットワーク2を介してセキュリティ端末1と通信を行うための無線通信手段31と、前記セキュリティ端末1に前記の指示を与える制御手段32と、前記セキュリティ端末1から送信されてきた現在位置や移動経路などを記憶しておく記憶手段33と、前記現在位置や移動経路などを表示するとともに、位置情報の検索要求の入力や各セキュリティ端末1の設定などを入力することができる表示入力手段34とを備えて構成される。
【0032】
上述のように構成される位置情報システムにおいて、電波利用測位手段であるGPS受信手段11およびGPS測位手段12は、予め定める周期またはセンター装置3からの検索指示に応答して、現在位置をGPS測位する。このGPS測位では、絶対位置を検知することができ、また衛星配置や電波状況が良好でマルチパスの影響を受けない場合は精度良い位置検出が可能であるが、それらが悪い場合には位置精度が劣化してしまうという問題がある。
【0033】
一方、自律測位手段13も、予め定める周期またはセンター装置3からの検索指示に応答して、現在位置を自律測位する。この自律測位手段13は、利用者4の歩行による歩数をカウントする上下動加速度センサや振動センサおよび進行方向を検出する地磁気センサならびに初期位置にそれらのセンサからの出力による移動方向および移動量を積算してゆくことで現在位置を求める演算手段を備えて成る。
【0034】
注目すべきは、本実施の形態では、前記自律測位手段13の初期位置を更新してゆくにあたって、初期位置設定手段でもある制御手段15は、GPS測位手段12および自律測位手段13の測位結果から、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記GPS測位手段12の測位毎に前記自律測位手段13の初期位置に設定することである。図3は、制御手段15による上述の動作を説明するためのフローチャートである。
【0035】
ステップS1でセキュリティ端末1の電源スイッチがONされて動作を開始すると、ステップS2でGPS受信手段11およびGPS測位手段12を使用してGPS電波による測位が行われ、ステップS3ではその測位結果の精度が予め定めるレベルに達しているか否かが判断され、達していない場合および未測位の場合には前記ステップS1に戻ってGPS測位を継続し、所定精度のGPS測位結果が得られるとステップS4に移り、その測位位置が自律測位手段13の初期位置に設定される。こうして、最初の初期位置を得る場合は、精度のよい絶対位置が得られるまで、毎回、たとえば1秒毎に、GPS測位を行う。
【0036】
続いてステップS51およびS52では、並列処理によって、前記予め定める周期、たとえば5分毎の間欠にGPS測位が行われ、一方、予め定める周期、たとえば1秒毎に自律測位が行われる。前記ステップS51,S52からはステップS6に移り、GPS測位結果と自律測位結果とを比較し、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記GPS測位手段12の測位毎に前記自律測位手段13の初期位置に設定する。
【0037】
ステップS7では、ステップS6で設定された初期位置にセンサ計測結果から算出された移動量を加算する自律測位のみを行い、ステップS8では、前記センター装置3からの検索要求の有無を判断する。検索要求がない場合にはステップS9に移り、GPS測位周期の前記5分が経過したか否かが判断され、経過していないときには前記ステップS7に戻って自律測位のみを繰返し、経過したときには前記ステップS51,S52まで戻ってGPS測位から繰返す。こうして、前記1秒に1回自律測位を行い、かつ5分に1回GPS測位を行い、その初期位置を更新する。
【0038】
一方、保護者や管理者がセンター装置3へセキュリティ端末1の検索指示を出し、前記ステップS8において検索要求が発生しているとステップS10に移り、GPS測位および自律測位を行い、ステップS11ではGPS測位結果の精度が予め定めるレベルに達しているか否かが判断され、達している場合にはステップS12に移ってGPS測位結果をセンター装置3へ送信し、所定精度に達していない場合および未測位の場合にはステップS13に移って、自律測位の結果をセンター装置3へ送信して処理を終了する。
【0039】
前記ステップS12またはS13の測位結果を受信すると、センター装置3はその位置を地図画面に合わせて表示し、また同様の表示データを前記保護者や管理者のパーソナルコンピュータへ送信する。
【0040】
このように構成することで、自律測位手段13における初期位置が前記5分に1回のGPS測位の度に逐次更新され、しかもGPS測位結果をそのまま自律測位の初期位置に採用する訳ではなく、より正確と推定される方の測位結果を設定するので、初期位置の精度が高くなり、常に良好な測位結果を提供することができる。
【0041】
図4〜図7は、上述のステップS6における処理を具体的に示すフローチャートである。GPS測位結果のエラー値判断基準として、図4の例は使用衛星の平均C/N0値(dBHz)を用いるものであり、図5の例はPDOP値を用いるものであり、図6の例はEPE値を用いるものであり、図7の例は誤差分散値を用いるものであり、たとえば測位に使用したGPS電波の内、前記各値が最も低いものと、以下の比較を行う。一方、自律測位手段13の測位結果のエラー値判断基準は、歩数×歩幅×所定エラー率から成る見積もりエラー値(m)とする。前記所定エラー率は、たとえば5%に選ばれる。
【0042】
図4で示す平均C/N0値を用いる例では、表1にも示すように、ステップS611でその平均C/N0値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値a1以下である場合にはステップS612に移り、前記値a1より大きい場合にはステップS613に移る。ステップS612では、前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b1以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差が比較的小さい場合にはステップS614に移り、自律測位手段13の測位結果が、それからの自律測位手段13の測位にあたっての初期位置に設定(更新)されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS612において、前記見積もりエラー値が前記値b1より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差も比較的大きい場合にはステップS615に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0043】
同様に、ステップS613でも前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b1以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差も比較的小さい場合にはステップS616に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS613において、前記見積もりエラー値が前記値b1より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差が比較的大きい場合にはステップS617に移り、GPS測位手段12の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0044】
なお、前記ステップS615,S616において、自律測位手段13の初期位置に、GPS測位手段12の測位結果と自律測位手段13の測位結果とのいずれを採用するかは、さらに条件を設定するなどして、任意に選択されればよい。
【0045】
【表1】

【0046】
また、図5で示すPDOP値を用いる例では、表2にも示すように、ステップS621でそのPDOP値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値a2以下である場合にはステップS622に移り、前記値a2より大きい場合にはステップS623に移る。ステップS622では、前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b2以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差も比較的小さい場合には前記ステップS616に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS622において、前記見積もりエラー値が前記値b2より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差が比較的大きい場合には前記ステップS617に移り、GPS測位手段12の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0047】
同様に、ステップS623でも前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b2以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差が比較的小さい場合には前記ステップS614に移り、自律測位手段13の測位結果が、その自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS623において、前記見積もりエラー値が前記値b2より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差も比較的大きい場合には前記ステップS615に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0048】
【表2】

【0049】
さらにまた、図6で示すEPE値を用いる例では、表3にも示すように、ステップS631でそのEPE値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値a3以下である場合にはステップS632に移り、前記値a3より大きい場合にはステップS633に移る。ステップS632では、前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b3以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差も比較的小さい場合には前記ステップS616に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS632において、前記見積もりエラー値が前記値b3より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差が比較的大きい場合には前記ステップS617に移り、GPS測位手段12の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0050】
同様に、ステップS633でも前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b3以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差が比較的小さい場合には前記ステップS614に移り、自律測位手段13の測位結果が、その自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS633において、前記見積もりエラー値が前記値b3より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差も比較的大きい場合には前記ステップS615に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0051】
【表3】

【0052】
また、図6で示す誤差分散値を用いる例では、表4にも示すように、ステップS641でその誤差分散値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値a4以下である場合にはステップS642に移り、前記値a4より大きい場合にはステップS643に移る。ステップS642では、前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b4以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差も比較的小さい場合には前記ステップS616に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS642において、前記見積もりエラー値が前記値b4より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差が比較的大きい場合には前記ステップS617に移り、GPS測位手段12の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0053】
同様に、ステップS643でも前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b4以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差が比較的小さい場合には前記ステップS614に移り、自律測位手段13の測位結果が、その自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS643において、前記見積もりエラー値が前記値b4より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差も比較的大きい場合には前記ステップS615に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0054】
【表4】

【0055】
以上のようにして、前記ステップS6におけるGPS測位結果と自律測位結果とを比較し、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を自律測位手段13の初期位置に設定することが可能になる。
【0056】
[実施の形態2]
図8は、本発明の実施の第2の形態に係るセキュリティ端末40の電気的構成を示すブロック図である。このセキュリティ端末40は、前述のセキュリティ端末1に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。また、通信ネットワーク2およびセンター装置3の構成は同一のものを使用することができ、図2に対して、この図8では省略している。
【0057】
注目すべきは、このセキュリティ端末40では、前記GPS測位に代えて、携帯電話の電波を用いた測位を行うことである。したがって、電波利用測位手段である携帯電波受信手段41は、予め定める周期またはセンター装置3からの検索指示に応答して、複数の携帯電話基地局からの電波を受信し、携帯電波測位手段42は、その受信結果に測位演算を施し、現在位置を絶対測位する。制御手段45は、携帯電波測位手段42および前述の自律測位手段13の測位結果から、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記携帯電波測位手段42の測位毎に前記自律測位手段13の初期位置に設定する。
【0058】
残余の自律測位手段13、無線通信手段14、記憶手段16および表示入力手段17は、前述のセキュリティ端末1と同様である。携帯電波を用いる測位には、位置の分かっている3つ以上の基地局からの電波を受信する必要があり、1つの基地局と通信を行うPDC(Personal Digital Cellular)方式の携帯電話端末の場合には、その無線通信手段14とは別に携帯電波受信手段41および携帯電波測位手段42を設ける必要があるが、3つ以上の基地局と通信を行うことができるCDMA(Code Division Multiple Access)方式の携帯電話端末の場合には、無線通信手段14で現在位置の測位を行うことで、それらは省略されてもよい。
【0059】
図9は、前記制御手段45による動作を説明するためのフローチャートである。図3および図4〜図7の処理と同一の処理には同一のステップ番号を付して示し、類似する処理には同一のステップ番号に添字aを付して示している。前記ステップS1でセキュリティ端末40の電源スイッチがONされて動作を開始すると、ステップS2aで携帯電波受信手段41および携帯電波測位手段42を使用して携帯電波による測位が行われ、ステップS3aではその測位結果の精度が予め定めるレベルに達しているか否かが判断され、達していない場合および未測位の場合には前記ステップS1に戻って携帯電波測位を継続し、所定精度の携帯電波測位結果が得られるとステップS4aに移り、その測位位置が自律測位手段13の初期位置に設定される。こうして、最初の初期位置を得る場合は、精度のよい絶対位置が得られるまで、毎回、たとえば1秒毎に、携帯電波測位を行う。
【0060】
続いてステップS51aおよびS52では、並列処理によって、前記予め定める周期、たとえば5分毎の間欠に携帯電波測位が行われ、一方、予め定める周期、たとえば1秒毎に自律測位が行われる。前記ステップS51a,52からは以下の処理に移り、携帯電波測位結果と自律測位結果とを比較し、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記携帯電波測位手段42の測位毎に前記自律測位手段13の初期位置に設定する。
【0061】
具体的には、前記携帯電波の強度値(dBm)を用い、測位に使用した携帯電波の内の最も低いレベルの強度値を用いる。そして、表5にも示すように、ステップS651でその強度値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値a5以下である場合にはステップS652に移り、前記値a5より大きい場合にはステップS653に移る。ステップS652では、前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b5以下である場合、すなわち携帯電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差が比較的小さい場合には前記ステップS614に移り、自律測位手段13の測位結果が、それからの自律測位手段13の測位にあたっての初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS652において、前記見積もりエラー値が前記値b5より大きい場合、すなわち携帯電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差も比較的大きい場合にはステップS655に移り、携帯電波測位手段42または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0062】
同様に、ステップS653でも前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b5以下である場合、すなわち携帯電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差も比較的小さい場合にはステップS656に移り、携帯電波測位手段42または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS653において、前記見積もりエラー値が前記値b5より大きい場合、すなわち携帯電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差が比較的大きい場合にはステップS657に移り、携帯電波測位手段42の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0063】
前記ステップS655,S656において、自律測位手段13の初期位置に、携帯電波測位手段42の測位結果と自律測位手段13の測位結果とのいずれを採用するかは、さらに条件を設定するなどして、任意に選択されればよい。
【0064】
【表5】

【0065】
ステップS7では、ステップS6で設定された初期位置にセンサ計測結果から算出された移動量を加算する自律測位のみを行い、ステップS8では、前記センター装置3からの検索要求の有無を判断する。検索要求がない場合にはステップS9に移り、携帯電波測位周期の前記5分が経過したか否かが判断され、経過していないときには前記ステップS7に戻って自律測位のみを繰返し、経過したときには前記ステップS51a,S52まで戻って携帯電波測位から繰返す。こうして、前記1秒に1回自律測位を行い、かつ5分に1回携帯電波測位を行い、その初期位置を更新する。
【0066】
一方、保護者や管理者がセンター装置3へセキュリティ端末40の検索指示を出し、前記ステップS8において検索要求が発生しているとステップS10aに移り、携帯電波測位および自律測位を行い、ステップS11aでは携帯電波測位結果の精度が予め定めるレベルに達しているか否かが判断され、達している場合にはステップS12aに移って携帯電波測位結果をセンター装置3へ送信し、所定精度に達していない場合および未測位の場合にはステップS13に移って、自律測位の結果をセンター装置3へ送信して処理を終了する。
【0067】
このように構成することでもまた、自律測位手段13における初期位置が前記5分に1回の携帯電波測位の度に逐次更新され、しかも携帯電波測位結果をそのまま自律測位の初期位置に採用する訳ではなく、より正確と推定される方の測位結果を設定するので、初期位置の精度が高くなり、常に良好な測位結果を提供することができる。
【0068】
[実施の形態3]
図10は、本発明の実施の第3の形態に係るセキュリティ端末50の電気的構成を示すブロック図である。このセキュリティ端末50は、前述のセキュリティ端末1,40に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。また、通信ネットワーク2およびセンター装置3の構成は同一のものを使用することができ、図2に対して、この図10では省略している。
【0069】
注目すべきは、このセキュリティ端末50では、前記GPS測位や携帯電波測位に代えて、テレビ電波を用いた測位を行うことである。したがって、電波利用測位手段であるテレビ電波受信手段51は、予め定める周期またはセンター装置3からの検索指示に応答して、複数の送信所からのテレビ電波を受信し、テレビ電波測位手段52は、各送信所の位置データを保持しており、利用者4の設定やセンター装置3からのエリア指定に対応した送信所からのテレビ電波のみを抽出して、その受信結果に測位演算を施し、現在位置を絶対測位する。制御手段55は、テレビ電波測位手段52および前述の自律測位手段13の測位結果から、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記テレビ電波測位手段52の測位毎に前記自律測位手段13の初期位置に設定する。残余の自律測位手段13、無線通信手段14、記憶手段16および表示入力手段17は、前述のセキュリティ端末1,40と同様である。
【0070】
図11は、前記制御手段55による動作を説明するためのフローチャートである。図3、図4〜図7および図9の処理と同一の処理には同一のステップ番号を付して示し、類似する処理には同一のステップ番号に添字bを付して示している。前記ステップS1でセキュリティ端末50の電源スイッチがONされて動作を開始すると、ステップS2bでテレビ電波受信手段51およびテレビ電波測位手段52を使用してテレビ電波による測位が行われ、ステップS3bではその測位結果の精度が予め定めるレベルに達しているか否かが判断され、達していない場合および未測位の場合には前記ステップS1に戻ってテレビ電波測位を継続し、所定精度のテレビ電波測位結果が得られるとステップS4bに移り、その測位位置が自律測位手段13の初期位置に設定される。こうして、最初の初期位置を得る場合は、精度のよい絶対位置が得られるまで、毎回、たとえば1秒毎に、テレビ電波測位を行う。
【0071】
続いてステップS51bおよびS52では、並列処理によって、前記予め定める周期、たとえば5分毎の間欠にテレビ電波測位が行われ、一方、予め定める周期、たとえば1秒毎に自律測位が行われる。前記ステップS51b,52からは以下の処理に移り、テレビ電波測位結果と自律測位結果とを比較し、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記テレビ電波測位手段52の測位毎に前記自律測位手段13の初期位置に設定する。
【0072】
具体的には、前記テレビ電波の強度値(dBm)を用い、測位に使用したテレビ電波の内の最も低いレベルの強度値を用いる。そして、表6にも示すように、ステップS661でその強度値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値a6以下である場合にはステップS662に移り、前記値a6より大きい場合にはステップS663に移る。ステップS662では、前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b6以下である場合、すなわちテレビ電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差が比較的小さい場合には前記ステップS614に移り、自律測位手段13の測位結果が、それからの自律測位手段13の測位にあたっての初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS662において、前記見積もりエラー値が前記値b6より大きい場合、すなわちテレビ電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差も比較的大きい場合にはステップS665に移り、テレビ電波測位手段52または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0073】
同様に、ステップS663でも前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b6以下である場合、すなわちテレビ電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差も比較的小さい場合にはステップS666に移り、テレビ電波測位手段52または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。一方、前記ステップS663において、前記見積もりエラー値が前記値b6より大きい場合、すなわちテレビ電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差が比較的大きい場合にはステップS667に移り、テレビ電波測位手段52の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS7に移る。
【0074】
前記ステップS665,S666において、自律測位手段13の初期位置に、テレビ電波測位手段52の測位結果と自律測位手段13の測位結果とのいずれを採用するかは、さらに条件を設定するなどして、任意に選択されればよい。
【0075】
【表6】

【0076】
さらにステップS7で自律測位を行い、ステップS8で検索要求の有無を、ステップS9でテレビ電波測位周期の経過の有無が判断され、前記1秒に1回自律測位を行い、かつ5分に1回テレビ電波測位を行い、その初期位置を更新する。そして、前記ステップS8で検索要求が発生しているとステップS10bに移り、テレビ電波測位および自律測位を行い、ステップS11bではテレビ電波測位結果の精度が予め定めるレベルに達しているか否かが判断され、達している場合にはステップS12bに移ってテレビ電波測位結果をセンター装置3へ送信し、所定精度に達していない場合および未測位の場合にはステップS13に移って、自律測位の結果をセンター装置3へ送信して処理を終了する。
【0077】
このように構成することでもまた、自律測位手段13における初期位置が前記5分に1回のテレビ電波測位の度に逐次更新され、しかもテレビ電波測位結果をそのまま自律測位の初期位置に採用する訳ではなく、より正確と推定される方の測位結果を設定するので、初期位置の精度が高くなり、常に良好な測位結果を提供することができる。
【0078】
[実施の形態4]
図12は、本発明の実施の第4の形態に係るセキュリティ端末の制御手段による動作を説明するためのフローチャートである。本実施の形態のセキュリティ端末は、前述の図2で示すセキュリティ端末1の構成を用いることができ、前記制御手段15による初期位置の設定動作が異なるだけである。すなわち、注目すべきは、本実施の形態では、前述の図3の処理におけるステップS6の初期位置の設定処理に代えて、ステップS6aを実施し、GPS測位結果と自律測位結果とにおけるそれぞれのエラー値の割合に対応した比率で、それぞれの測位結果を合成し、前記自律測位手段13の初期位置に設定することである。残余の総ての処理は、前述の図3の処理と同様である。
【0079】
前記エラー値は、たとえばGPS測位手段12では前記誤差分散値a7(m)であり、前記自律測位手段13では前記歩数×歩幅×所定エラー率(5%)から求められる見積もりエラー値b7(m)であり、a7:b7の比で内分した位置を初期位置としで求める。
【0080】
したがって、GPS測位手段12および自律測位手段13の測位結果から、より正確と推定される方の測位結果の割合を大きくして、前記自律測位手段13の初期位置に設定することができる。
【0081】
[実施の形態5]
図13は、本発明の実施の第5の形態に係るセキュリティ端末の制御手段による動作を説明するためのフローチャートである。本実施の形態のセキュリティ端末も、前述の図2で示すセキュリティ端末1の構成を用いることができ、前記制御手段15による初期位置の設定動作が異なるだけである。注目すべきは、本実施の形態では、前述の図3の処理におけるステップS6の初期位置の設定処理に代えて、ステップS6bを実施し、GPS測位結果と自律測位結果との平均値(重心)を、前記自律測位手段13の初期位置に設定することである。残余の総ての処理は、前述の図3の処理と同様である。
【0082】
このように構成してもまた、自律測位の初期位置の精度が高くなり、常に良好な測位結果を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の第1の形態に係るセキュリティ端末を用いた位置情報システムの概要を示す図である。
【図2】図1で示す構成の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の第1の形態に係るセキュリティ端末の制御手段による動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図3で示す測位動作における自律測位のための初期位置設定動作を具体的に示すフローチャートである。
【図5】図3で示す測位動作における自律測位のための初期位置設定動作を具体的に示すフローチャートである。
【図6】図3で示す測位動作における自律測位のための初期位置設定動作を具体的に示すフローチャートである。
【図7】図3で示す測位動作における自律測位のための初期位置設定動作を具体的に示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の第2の形態に係るセキュリティ端末の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の第2の形態に係るセキュリティ端末の制御手段による動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の実施の第3の形態に係るセキュリティ端末の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の第3の形態に係るセキュリティ端末の制御手段による動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の実施の第4の形態に係るセキュリティ端末の制御手段による動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の実施の第5の形態に係るセキュリティ端末の制御手段による動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1,40,50 セキュリティ端末
2 通信ネットワーク
3 センター装置
4 利用者
11 GPS受信手段
12 GPS測位手段
13 自律測位手段
14 無線通信手段
15,45,55 制御手段
16 記憶手段
17 表示入力手段
21〜23 基地局
31 無線通信手段
32 制御手段
33 記憶手段
34 表示入力手段
41 携帯電波受信手段
42 携帯電波測位手段
51 テレビ電波受信手段
52 テレビ電波測位手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者によって所持される測位装置において、
外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を求める電波利用測位手段と、
初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段と、
前記電波利用測位手段および自律測位手段を制御するとともに、それらの測位結果から求めた位置を現在位置とする制御手段と、
前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果から、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を、前記電波利用測位手段の測位毎に前記自律測位手段の初期位置に設定する初期位置設定手段とを含むことを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記初期位置設定手段は、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果におけるそれぞれのエラー値の割合に対応した比率でそれぞれの測位結果を合成し、前記自律測位手段の初期位置に設定することを特徴とする請求項1記載の測位装置。
【請求項3】
使用者によって所持される測位装置において、
外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を求める電波利用測位手段と、
初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段と、
前記電波利用測位手段および自律測位手段を制御するとともに、それらの測位結果から求めた位置を現在位置とする前記制御手段と、
前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果の平均値を、前記電波利用測位手段の測位毎に前記自律測位手段の初期位置に設定する初期位置設定手段とを含むことを特徴とする測位装置。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の測位装置において、無線通信網を介して測位結果を送信する無線通信手段をさらに備え、
前記測位装置にコマンドを送信し、それに応答して返信された測位結果を受信する無線通信手段と、受信した測位結果を記憶する記憶手段と、受信した測位結果を表示する表示手段とを備えて構成されるセンター装置を備えて成ることを特徴とする位置情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−177772(P2006−177772A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371229(P2004−371229)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】