説明

測定方法、測定装置、測定プログラムおよび測定プログラム生成プログラム

【課題】ユーザの使い勝手を向上させることができる測定方法、測定装置、測定プログラムおよび測定プログラム生成プログラムを提供する。
【解決手段】予め設定された測定プログラムに基づき、少なくとも測定前に入力された測定要件に沿って被測定物の寸法や形状を測定する測定方法。測定要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定要件を要件記憶手段71に記憶させる要件処理工程と、要件記憶手段に記憶された測定要件を読み出し、この測定要件に沿って測定を実行する測定処理工程と、測定プログラムまたは測定プログラム起動時に入力されたモード情報から、準備モードおよび測定モードのいずれかのモードに決定するモード決定工程とを備える。モード決定工程によって準備モードに決定された場合には要件処理工程を実行し、測定モードに決定された場合には測定処理工程を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定方法、測定装置、測定プログラムおよび測定プログラム生成プログラムに関する。例えば、画像測定機、三次元測定機、形状測定機、粗さ測定機などにおいて適用できる測定方法、測定装置、測定プログラムおよび測定プログラム生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の寸法や形状などを測定する測定装置においては、コンピュータからの数値制御信号に基づいてプローブと被測定物が相対移動するように構成された、いわゆる、CNCタイプのものが知られている。
CNCタイプの測定装置において、被測定物の測定を実行すると、その測定結果に基づき、その被測定物を測定する場合のプローブの移動経路が演算され、この演算結果を含むプログラムが生成され、この生成された自動測定プログラムにより自動測定が実行されるものも提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
自動測定プログラムの中には、測定前要件(例えば、測定時に精度と速度のどちらを優先するかを選択する要件)や、測定後要件(例えば、測定データを保存するファイルのパス名を指定する要件)などを実行時にもらうものが知られている。
これらの要件をもらう手段としては、ダイアログボックスが利用されている。ダイアログボックスを出すタイミングとしては、次の事例が考えられる。
【0004】
(1A)起動→[測定前要件入力ダイアログボックス]→[測定]→終了
(1B)起動→[測定]→[測定後要件入力ダイアログボックス]→[測定後処理]→終了
(1C)起動→[測定前要件入力ダイアログボックス]→[測定]
→[測定後要件入力ダイアログボックス]→[測定後処理]→終了
【0005】
測定中にダイアログボックスを出すと、オペレータが測定装置から離れられず、自動測定のメリットが損なわれる。そのため、ダイアログボックスを出すタイミングは、測定前(測定開始前)と測定後(測定終了後)の一方または両方が望ましい。このようにすれば、オペレータは、測定中においては測定装置から離れることができるので、自動測定のメリットを享受できる。
【0006】
しかし、上述した従来の方法の問題は、測定前(測定開始前)と測定後(測定終了後)には、オペレータが測定装置のダイアログボックスを操作しなければならないことである。つまり、測定プログラムの起動時と終了時は無人化できない。
そのため、次のような要求に応えられない。
(2A)夜中の無人起動終了測定(例えば、振動や温度変動が少ない夜中の測定)
(2B)複数の測定プログラムによる無人連続測定(多品種連続自動測定)
例:[測定プログラムA]→[測定プログラムB]→[測定プログラムC]
(2C)同一の測定プログラムによる無人連続測定(同一品種連続自動測定)
例:[測定プログラムA]→[測定プログラムA]→[測定プログラムA]
(2D)上記要求(2B)+(2C)
例:[測定プログラムA]→[測定プログラムB]→[測定プログラムA]
【0007】
従来、無人で起動終了する場合、次のように行われている。
(3A)オペレータが測定プログラムに対する要件をデータにまとめる。
(3B)オペレータが無人起動手段を設定し、始動する。
(これまでが有人、この後は無人)
(3C)無人起動手段が測定プログラムを起動する。
(3D)測定プログラムが要件データをもらい、要件に沿った測定を実行する。
(3E)測定プログラムが終了する。
要件データの受け渡しには、コマンドライン引数と要件ファイルの一方または両方を使う方法が知られている。
【0008】
<要件データの受け渡しに、コマンドライン引数を使う例>
コマンドラインは、次のような書式の文字列である。
「PCB_A Measure=Speedy Output=”C:¥Data¥PCB_A_001”」
コマンドラインの先頭は測定プログラム名、2番目以降がコマンドライン引数で、要件を表す。処理の流れは次のようになる。
(4A)オペレータが要件をコマンドラインにまとめる。
(4B)オペレータが無人起動手段にコマンドラインを設定し、無人起動手段を始動する。
(4C)無人起動手段がコマンドラインを、測定装置の測定プログラム言語処理系(インタプリンタやコンパイラ)に渡す。
(4D)測定プログラムは、コマンドライン引数を測定プログラム言語処理系から受け取り、要件を知り、要件に沿った処理を実行する。
(4E)測定プログラムが終了する。
【0009】
<要件データの受け渡しに、要件ファイルを使う例>
要件ファイルは、次のような書式のテキストファイルである。
「Measure=Speedy
Output=”C:¥Data¥PCB1”」
ファイル名は”Requirement.dat”、フォルダは測定プログラムと同じである。処理の流れは次のようになる。
(5A)オペレータが要件を要件ファイルにまとめる。
要件ファイルの作成には、通常、テキストエディタを使う。
(5B)オペレータが無人起動手段に測定プログラム名を設定し、無人起動手段を始動する。
(5C)無人起動手段が測定プログラムを起動する。
(5D)測定プログラムは、要件ファイルを参照し、その要件に沿った処理を実行する。
(5E)測定プログラムが終了する。
【0010】
【特許文献1】特開2004−17198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の方法(コマンドライン引数、要件ファイルを使う方法)では、次のような課題がある。
有人起動終了時はダイアログボックスで要件をもらい、無人起動終了時はコマンドライン引数や要件ファイルで要件をもらうことになるため、オペレータは、有人実行(有人起動終了)と無人実行(無人起動終了)の2種類の操作を覚えなければならない。特に後者は覚え難い。
しかも、有人起動終了と無人起動終了の2種類の操作を覚えたとしても、後者は操作性が悪く、両者の操作性のギャップに苦労する。このため、これら問題の改善が要望されている。
【0012】
本発明の目的は、これらの要望に応え、ユーザの使い勝手を向上させることができる測定方法、測定装置、測定プログラムおよび測定プログラム生成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の測定方法は、予め設定された測定プログラムに基づき、少なくとも測定前に入力された測定要件に沿って被測定物の寸法や形状を測定する測定方法であって、前記測定要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定要件を要件記憶手段に記憶させる要件処理工程と、前記要件記憶手段に記憶された測定要件を読み出し、この測定要件に沿って測定を実行する測定処理工程と、前記測定プログラムまたは測定プログラム起動時に入力されたモード情報から、準備モードおよび測定モードのいずれかのモードに決定するモード決定工程とを備え、前記モード決定工程によって前記準備モードに決定された場合には前記要件処理工程を実行し、前記測定モードに決定された場合には前記測定処理工程を実行する、ことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、予め測定プログラムにモード情報を、または、測定プログラム起動時にモード情報を入力する。測定プログラムが起動されると、モード決定工程において準備モードおよび測定モードのいずれかのモードに決定される。
準備モードに決定されると、要件処理工程、つまり、測定要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定要件を要件記憶手段に記憶させる処理が実行される。
測定モードに決定されると、測定処理工程、つまり、要件記憶手段に記憶された測定要件を読み出し、この測定要件に沿って測定を行う処理が実行される。
従って、最初(1回目)に、オペレータが、測定プログラムを準備モードで起動すると、測定要件の入力指示が出され、これに基づいて、オペレータが測定要件を入力すると、その測定要件が要件記憶手段に記憶される(有人起動終了)。次(2回目)に、無人起動手段などによって、測定プログラムを測定モードで起動させると、最初の起動で要件記憶手段に記憶された測定要件に沿って測定が実行される(無人起動終了)。そのため、1つの測定プログラムで、有人起動終了と無人起動終了の2通りの使い方に対応できるから、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
しかも、無人起動終了を行うにあたって、事前の測定要件設定を要件処理工程によって設定できるので、無人起動手段などは測定要件などを扱う必要がなく、単に測定プログラムを起動させるだけでよいから、単純な無人起動手段でも利用できる。
【0015】
本発明の測定方法において、前記要件処理工程は、対話インターフェースにより入力指示と測定要件入力を行い、測定要件入力にエラーがあった場合に警告をすることが好ましい。
従来、無人起動終了測定では、オペレータが、コマンドライン引数や要件ファイルをタイプ入力する必要があるが、これらの入力間違いに気づき難く、無人測定に失敗し、多くの時間を無駄にすることがあった。
上記構成によれば、対話インターフェースを通じて測定要件を入力でき、測定要件入力にエラーがあった場合には警告が出されるから、入力ミスを低減できる。よって、無人測定に失敗し、多くの時間を無駄にするのを防げる。
【0016】
本発明の測定方法において、前記要件処理工程は、測定前要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定前要件を前記要件記憶手段に記憶させる測定前要件処理工程と、測定後要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定後要件を前記要件記憶手段に記憶させる測定後要件処理工程とを含み、前記測定処理工程は、前記要件記憶手段に記憶された測定前要件を読み出し、この測定前要件に沿って測定を実行する本測定工程と、前記要件記憶手段に記憶された測定後要件を読み出し、この測定後要件に沿って測定後処理を実行する測定後処理工程とを含む、ことが好ましい。
【0017】
この構成によれば、要件処理工程は、測定前要件処理工程と測定後要件処理工程とを含んでいるから、測定前要件処理工程において、例えば、測定において精度と速度のどちらを優先するかを指定できる測定前要件を要件記憶手段に記憶させることができるとともに、測定後要件処理工程において、例えば、測定データなどを保存するファイルのパス名などの測定後要件も要件記憶手段に記憶させることができる。
また、測定処理工程は、本測定工程と測定後処理工程とを含んでいるから、本測定工程において、要件記憶手段に記憶された測定前要件に沿って、例えば、精度か速度のいずれかを優先した測定を実行することができるとともに、測定後処理工程において、要件記憶手段に記憶された測定後要件に沿って、例えば、測定データなどを指定のファイルに保存することができる。
【0018】
本発明の測定方法において、前記モード決定工程は、前記測定プログラムの起動直後に、対話インターフェースを表示し、この対話インターフェースに対して予め設定された所定時間内に入力操作が行われたか否かを判定し、所定時間内に入力操作が行われた場合には準備モード、所定時間内に入力操作が行われなかった場合には測定モードに決定する、ことを特徴とする。
この構成によれば、測定プログラムの起動直後に、対話インターフェースが表示される。この対話インターフェースに対して予め設定された所定時間内に入力操作が行われた場合には準備モードに、所定時間内に入力操作が行われなかった場合には測定モードに決定される。従って、測定プログラムの起動直後に表示される対話インターフェースを通じて、無人の時は自動的に測定モードになり、有人の時はオペレータが準備モードを選択できる(操作しないことで、測定モードも選択できる)。そのため、測定プログラムにモード情報などを付加しなくてもよいから、使い勝手がよい。また、測定モードを指定して起動できない単純な自動起動手段でも使える。
【0019】
本発明の測定方法において、前記モード決定工程は、前記測定プログラムの起動時に、前記測定プログラムに付加されたコマンドライン引数を判別し、このコマンドライン引数に応じて準備モードおよび測定モードを決定する、ことが好ましい。
本発明の測定方法において、前記モード決定工程は、前記測定プログラムの起動時に、最初に制御が渡されたプログラム開始点を判別し、このプログラム開始点に応じて準備モードおよび測定モードを決定する、ことが好ましい。
これらの構成によれば、測定プログラムに付加されたコマンドライン引数やプログラム開始点から準備モードおよび測定モードを指定できるから、測定プログラム起動後にオペレータがモード情報を入力する操作を不要にできる。また、操作の有無を判断するために暫く待つ必要がある前述の方法と違い、モード決定に要する時間が一瞬で済む。また、開始点を利用する方法は、コマンドライン引数を扱えない単純な無人起動手段でも使える。
【0020】
本発明の測定方法において、前記モード決定工程は、上述した対話インターフェースによるモード決定工程、コマンドライン引数によるモード決定工程、プログラム開始点によるモード決定工程のうちの複数のモード決定工程を備えていることが好ましい。
この構成によれば、対話インターフェース、コマンドライン引数、プログラム開始点などのうちの複数のモード決定工程を備えているから、任意の方法によりモードを指定することができ、更に使い勝手を向上させることができる。
【0021】
本発明の測定方法において、前記モード決定工程は、前記測定プログラムまたは測定プログラム起動時に入力されたモード情報から、準備モード、測定モードおよび準備・測定モードのいずれかのモードに決定し、前記モード決定工程によって、前記準備モードに決定された場合には前記要件処理工程を実行し、前記測定モードに決定された場合には前記測定処理工程を実行し、前記準備・測定モードに決定された場合には前記要件処理工程および測定処理工程を実行する、ことが好ましい。
この構成によれば、準備モード、測定モードのほかに、準備・測定モードに決定されると、要件処理工程および測定処理工程が実行されるから、通常の有人起動終了の測定動作を行うことができる。
【0022】
本発明の測定方法において、前記モード決定工程は、前記測定プログラムの起動直後に、対話インターフェースを表示し、前記対話インターフェースには、測定の実行を指令する入力指示項目、予約の指定を行う入力指示項目が表示され、予め設定された所定時間内に入力操作が行われなかった場合には、測定モードに決定し、予約指定の入力操作が行われた場合には、準備モードに決定し、測定指令の入力操作が行われた場合には、準備・測定モードに決定することが好ましい。
この構成によれば、対話インターフェースには、測定の実行を指令する入力指示項目、予約の指定を行う入力指示項目が表示され、所定時間内に入力操作が行われたか否か、測定や予約の操作によって、測定モード、準備モード、準備・測定モードに決定に決定されるから、オペレータは、これらの選択肢からモードを選択できる。また、対話インターフェースがユーザーの入力を誘導し、入力エラーを警告するので、入力の手間を軽減できるとともに、入力エラーも防止できる。
【0023】
ちなみに、従来のコマンドライン引数や要件ファイルを利用する方法では、オペレータが、コマンドラインや要件ファイルの書式を覚えて、それに従ってコマンドラインや要件ファイルにタイプすることが要求される。そのため、操作の手間も多く、タイプミスなどでコマンドラインや要件ファイルなどを作り間違い、無人測定を失敗することが多いが、このような問題も低減できる。
【0024】
本発明において、前記要件処理工程は、対話インターフェースにより入力指示と測定要件入力を行い、前記モード決定工程に使われる対話インターフェースが、前記要件処理工程の対話インターフェースと一体であることが好ましい。
この構成によれば、1つの対話インターフェースを通じて、測定要件入力とモード決定とを達成できるから、入力操作を迅速かつ簡便にできる。
【0025】
本発明の測定方法において、前記要件処理工程では、複数回の測定実行に関して、前記測定要件の単数または複数の組の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された単数または複数の組の測定要件を要件記憶手段に記憶させ、前記測定処理工程では、前記要件記憶手段に記憶された単数または複数の組の測定要件のいずれか一つを選択し、これに沿って、測定を実行する、ことが好ましい。ここで、いずれか一つの選択方法は、先頭、またはコマンドライン引数などで指定されたものとすれば便利である。
この構成によれば、測定プログラムの複数回の実行を予約できるから、同じ測定要件や異なる測定要件で、無人で一つのプログラムを繰り返し複数回実行させることができる。
【0026】
本発明の測定装置は、予め設定された測定プログラムに基づき、少なくとも測定前に入力された測定要件に沿って被測定物の寸法や形状を測定する測定装置であって、前記測定要件を記憶する要件記憶手段と、前記測定要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定要件を前記要件記憶手段に記憶させる要件処理手段と、前記要件記憶手段に記憶された測定要件を読み出し、この測定要件に沿って測定を実行する測定処理手段と、前記測定プログラムまたは測定プログラムの起動時に入力されたモード情報から、準備モードおよび測定モードのいずれかのモードを決定するモード決定手段と、このモード決定手段によって前記準備モードに決定された場合には前記要件処理手段を実行させるとともに、前記測定モードに決定された場合には前記測定処理手段を実行させる処理選択手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の測定プログラムは、上述したいずれかに記載の測定方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
この構成によれば、上述した測定方法と同様な効果が期待できる。
【0027】
本発明の測定プログラム生成プログラムは、被測定物データを参照しながら、予め設定された測定手順を実行させるコードを記録した測定プログラムコード原本を備えるとともに、前記被測定物に関するデータを入力する処理と、前記測定要件を入力する処理と、前記各ステップで入力された被測定物データおよび測定要件を記憶手段に記憶させる処理と、前記測定プログラムコード原本をコード記憶部に複製する処理とを備え、前記測定プログラムコード原本には、前記測定要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定要件を要件記憶手段に記憶させる要件処理と、前記要件記憶手段に記憶された測定要件を読み出し、この測定要件に沿って測定を実行する測定処理と、前記測定プログラムまたは測定プログラムの起動時に入力されたモード情報から、準備モードおよび測定モードのいずれかのモードを決定するモード決定処理と、このモード決定ステップによって前記準備モードに決定された場合には前記要件処理を実行させるとともに、前記測定モードに決定された場合には前記測定処理を実行させる処理選択処理とを備える、ことを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、測定要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定要件を要件記憶手段に記憶させる要件処理と、要件記憶手段に記憶された測定要件を読み出し、この測定要件に沿って測定を実行する測定処理と、測定プログラムまたは測定プログラムの起動時に入力されたモード情報から、準備モードおよび測定モードのいずれかのモードを決定するモード決定処理と、このモード決定処理によって準備モードに決定された場合には要件処理を実行させるとともに、測定モードに決定された場合には測定処理を実行させる選択処理とを備え、被測定物データを参照しながら、予め設定された測定手順を実行させるコードを記録した測定プログラムを自動的に作成することができる。
従って、被測定物データや測定要件を入力すれば、測定プログラムを自動的に生成することができるとともに、この測定プルグラムを用いて測定を実行すれば、上述した各効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
<全体構成の説明(図1参照)>
図1には、本発明に係る測定方法を適用した画像処理システムの実施形態が示されている。同画像処理システムは、被測定物の画像データを取得する画像データ取得装置1と、この画像データ取得装置1を制御するとともに、画像データ取得装置1で取得された画像データから被測定物の寸法や形状を求める制御装置3とから構成されている。
【0030】
画像データ取得装置1には、ステージ11と、このステージ11に対して三次元方向へ相対移動可能に設けられた本体部12と、これらステージ11および本体部12を三次元方向へ相対移動させる三次元移動機構13とが設けられている。
ステージ11には、中央に光透過性を有する被測定物載置部14が設けられている。被測定物載置部14の上面には被測定物Wが載置されるとともに、下方位置に透過照明用光源15が配置されている。
本体部12には、被測定物Wの真上(被測定物載置部14の真上)に、対物レンズ16、ビームスプリッタ17およびカメラ18が順番に配列されているとともに、ビームスプリッタ17を介して被測定物Wの真上から光を照射する落射照明用光源19およびリング状で被測定物Wの斜め上から光を照射するリング照明用光源20がそれぞれ設けられている。
【0031】
透過照明用光源15、落射照明用光源19およびリング照明用光源20は、照明制御部21によって制御される。
カメラ18によって撮像された被測定物Wの画像データは、画像処理部22へ送られ、そこで画像処理されたのち、制御装置3へ送られる。
三次元移動機構13は、ステージ11および本体部12を三次元方向(X,Y,Z方向)へ相対移動させる機構で、例えば、ステージ11を前後方向(Y方向)、本体部12を左右方向(X方向)および上下方向(Z方向)へ移動させる。なお、三次元移動機構13の構成は、これに限られない。なお、ここには、図示していないが、X,Y,Z方向への変位量を検出する変位検出器が各方向毎に設けられ、これによって検出された各方向の変位量が制御装置3に与えられるようになっている。
【0032】
制御装置3は、予め設定された測定プログラムに従って、三次元移動機構13を駆動させるとともに、照明制御部21を介して透過照明用光源15、落射照明用光源19およびリング照明用光源20を制御しながら、画像処理部22で取得された画像データから被測定物Wの寸法や形状を求める制御部31と、測定要件や被測定物データなどを入力する入力部32と、入力データや測定結果などを表示する表示部33とを備える。
【0033】
<制御部の説明(図2参照)>
制御部31の内部には、測定プログラム生成部41と、測定プログラム記憶部42と、測定プログラム実行部43とが設けられている。
測定プログラム生成部41は、予め作成した測定プログラムコード原本を記憶した測定プログラムコード原本記憶部41Aと、測定プログラム生成時に測定プログラムコード原本を測定プログラム記憶部42に複製するコード生成命令部41Bと、入力部32から入力された測定要件(照明条件などの生成時測定要件、実行時測定要件)を測定プログラム記憶部42に組み込む測定要件組込命令部41Cと、入力部32から入力された被測定物データ(設計データやNCデータなど)から測定に必要なデータ(測定箇所など)を求めて測定プログラム記憶部42に組み込む被測定物データ組込命令部41Dとを含んで構成されている。
【0034】
測定プログラム記憶部42は、コード生成命令部41Bによって複製された測定プログラムコード原本を記憶するコード記憶部42Aと、データ記憶部42Bとを備えている。
コード記憶部42Aに記憶される測定プログラムコード原本には、データ記憶部42Bのデータを参照しながら、測定やそれに付随する処理を行うコードなどが書き込まれている。
データ記憶部42Bには、測定要件組込命令部41Cおよび被測定物データ組込命令部41Dによって読み込まれた測定要件や被測定物データが記憶される。
測定プログラム実行部43は、測定プログラム記憶部42に記憶された測定プログラムに基づいて処理を実行し、被測定物の寸法や形状などを求める。
【0035】
ここで、始めに、測定プログラム記憶部42に記憶される測定プログラムおよびこれを実行する測定プログラム実行部43により行われる処理の概要を説明しておく。
ここでは、有人実行(有人起動終了)時の処理の流れと、無人実行(無人起動終了)時の処理の流れとを説明するが、その詳細については、後述する。
【0036】
<有人実行(有人起動終了)時の処理の流れ>
(6A)オペレータによって測定プログラムが起動される。
(6B)測定プログラムおよび測定プログラム実行部が、測定前要件対話インターフェースを表示する。例えば、図3に示す測定前要件ダイアログボックス51を表示する。これには、速度優先(低精度)か精度優先(長時間)かを選択させる測定前要件に関する入力指示項目52のほかに、測定の実行を指令する「測定」ボタン53、予約の指定を行う「予約」ボタン54、キャンセルを指令する「キャンセル」ボタン55が表示されている。
(6C)オペレータが、測定前要件ダイアログボックス51に測定前要件を入力し、つまり、速度優先(低精度)か精度優先(長時間)かを選択し、「測定」ボタン53をクリックする。
(6D)測定プログラムおよび測定プログラム実行部が、入力された測定要件に沿って測定を行う。このとき、オペレータは測定機から離れられる。
(6E)測定プログラムおよび測定プログラム実行部が、測定後要件対話インターフェースを表示する。例えば、図4に示す測定後要件ダイアログボックス61を表示する。これには、測定データを保存するファイルのパス名の入力欄、「参照」ボタンなどの測定後要件に関する入力指示項目62のほかに、入力終了を指令する「OK」ボタン63、「キャンセル」ボタン64が表示されている。
(6F)オペレータが、測定後要件ダイアログボックス61に測定後要件を入力し、つまり、測定データを保存するファイルのパス名を入力したのち、「OK」ボタン63をクリックする。
(6G)測定プログラムおよび測定プログラム実行部が、入力された測定後要件に沿って測定後処理を行う。
(6H)測定プログラムが終了する。
【0037】
<無人実行(無人起動終了)時の処理の流れ>
無人実行(無人起動終了)では、測定プログラムが2回実行される。1回目は、有人で対話処理部分だけを実行し、測定要件を記憶させて終了する(有人起動終了)。2回目は、記憶された測定要件に沿って、バッチ処理(測定、測定後処理)だけを実行して終了する(無人起動終了)。つまり、1回目は、
(6A)→(6B)→(6C)→(6E)→(6F)→(6H)
を実行する。
2回目は、
(6A-1)オペレータが、測定プログラムの自動起動手段をセットする。
(6A-2)自動起動手段が測定プログラムを起動する。
(6D)測定プログラムおよび測定プログラム実行部が、入力された測定前要件に沿って測定を行う。
(6G)測定プログラムおよび測定プログラム実行部が、入力された測定後要件に沿って測定後処理を行う。
(6H)測定プログラムが終了する。
つまり、無人実行(無人起動終了)をする場合には、事前に有人で対話処理部分だけを実行し、測定要件(測定前要件、測定後要件)を記憶させておく。無人起動時には、記憶された測定要件(測定前要件、測定後要件)に沿ってバッチ処理(測定、測定後処理)だけが実行される。
【0038】
そのため、測定プログラムは、有人実行と無人実行とで、処理する内容が異なる。
(7A)有人実行 : (6A)→(6B)→(6C)→(6D)→(6E)→(6F)→(6G)→(6H)
(7B)無人準備1回目: (6A)→(6B)→(6C)→ → →(6E)→(6F)→ → →(6H)
(7C)無人実行2回目:(6A-1)(6A-2)→ → → → →(6D)→ → → → →(6G)→(6H)
となる。ここでは、(7A)有人実行を準備・測定モード(通常の有人起動終了測定)、(7B) 無人準備1回目を準備モード(無人起動終了測定前の準備)、(7C)無人実行2回目を測定モード(無人起動終了測定)としている。
従って、これらを区別して実行させるためには、有人実行モードと無人実行モードを決定する手段が必要である。有人実行モードと無人実行モードを決定する方法としては、次の3通りある。次に、これらについて説明するが、このモード決定方法については、一つだけを採用しても良いし、複数を併用してもよい。
【0039】
<(1)モード決定:コマンドライン引数を使う決定方法>
コマンドライン引数でモードを指定する。例えば、無人実行モードでは次のようなコマンドラインを使う。
「PCB_A Unattended」
ここで、「PCB_A」は測定プログラム名、「Unattended」がコマンドライン引数で、無人モードを指定する。コマンドライン引数で指定しない場合の既定のモードを決めておくと便利な場合もある。コマンドライン引数を使う場合の難点は、無人起動手段と測定プログラム言語処理系の少なくとも一方が、コマンドライン引数をサポートしていない場合は、利用できないことである。このような場合でも、後述の方法は有効である。
【0040】
<(2)モード決定:測定プログラムの開始点を使う決定方法>
測定プログラムの開始点(エントリポイント)を別々にし、開始点によって判別する。測定プログラムの開始点とは、測定プログラムを起動するときに、最初に制御を渡す部分である。測定プログラムの処理系によっては、測定プログラムに複数の開始点を持たせ、起動時にいずれの開始点から開始するかを選択できる。例えば、プログラムが複数のファイルで構成されている場合、複数のファイルを開始点にでき、そのいずれかを起動時に選択できる。あるいは、プログラムが複数のプロシージャで構成されている場合、複数のプロシージャを開始点にでき、そのいずれかを起動時に選択できる。更には、ファイルとファイル中のプロシージャの組み合わせを、開始点として起動時に選択できる。
【0041】
例えば、以下の開始点を設ける。
準備モード開始点 :無人起動終了前の有人実行
測定モード開始点 :無人起動終了。
準備・測定モード開始点:通常の有人実行
未定モード開始点 :起動後、別の手段(後述)でモードを決定する。
【0042】
なお、通常は、開始点が異なっても、測定プログラムは一体である。例えば、図5に示すように、測定プログラムは一体である。
しかし、例えば、測定機の仕様の制約で、一体の測定プログラムに複数の開始点を持たせられない場合がある。この場合、図6に示すように、前述の開始点毎に1つのプログラムを作り、これらの組み合わせを1つの測定プログラムと見なせば、本発明を実施できる。
また、図7に示すように、複数のプログラムで、ライブラリを共有することもできる。
【0043】
<(3)モード決定:対話インターフェースに対する操作の有無による決定方法>
対話インターフェースへの操作が所定時間内にあるか否かを調べ、無操作の場合、無人モード(測定モード)に決定する。操作があった場合は、有人モードに決定する。有人モードの場合は、対話インターフェースにより、更に細かいモードを指定してもらうと、更に便利である。例えば、前述の測定前要件対話インターフェースには[予約]ボタンと[測定]ボタンがある。[予約]ボタンがクリックされた場合は、準備モードに決定する。[測定]ボタンがクリックされた場合は、準備・測定モードに決定する。
【0044】
対話インターフェースにダイアログボックスを用いる場合、例えば、図8に示すダイアログボックスを表示する。
図8において、10秒以内に操作があれば有人と判断し、無ければ無人と判定する。
あるいは、最初の測定前要件入力ダイアログボックス(図3の測定前要件ダイアログボックス51)をそのまま表示する。10秒以内に操作が無ければ、無人と判定して、ダイアログボックスを閉じる。10秒以内に何らかの操作があれば、有人と判断する。その操作がダイアログボックスを閉じる操作でない限りは、要件入力を続ける。この場合、通常の要件入力操作が有人無人判定に使われるので、オペレータの操作の手数が減り、便利である。一旦操作があれば、その後は操作が10秒以上途切れてもダイアログボックスは閉じない。オペレータが要件設定で迷ってもゆっくり考えられる。最初の操作としては、要件設定に直接関係しなくてもよい。例えば、ダイアログボックスを移動する操作やダイアログボックスの余白部をクリックする操作、さらに広くは、任意のマウス操作、任意のキーボード操作でも、有人と判定するようにすれば、便利である。
【0045】
対話インターフェースは、上記例のようにダイアログボックスが好適であるが、これに限られない。次のようなコンソール形態であってもよい。
プログラム→測定は速度優先ですか?{Y,N}
プログラム→無応答の場合、約10秒後に無人測定を開始します。
プログラム→スペースキーでカウントダウンが止まります。
オペレータ→
プログラム→10秒間無応答だったので無人測定を開始します。
【0046】
<測定プログラム実行部の説明(図9参照)>
図9は、上述した有人起動終了と無人起動終了の両方に対応できる測定プログラムが測定プログラム実行部43で実行されている状態の概念図(ブロック図)を示している。この例は、有人無人判定(モード決定)は、開始ポイントと操作の有無とを併用した例である。つまり、開始ポイントでモードを判定し、開始ポイントが未定モードであれば、操作の有無で判定する。
測定プログラム実行部43は、測定プログラム記憶部42に記憶された測定プログラムを読み込んで、その測定プログラムの各処理を実行する。この測定プログラムは、図9に示すように、要件記憶手段71と、本来処理部72と、開始点方式モード決定部73と、対話方式モード決定部74と、処理選択部75とから構成されている。
【0047】
本来処理部72は、測定プログラムの本来の処理を行うもので、測定前要件入力対話処理部72Aと、測定バッチ処理部72Bと、測定後要件入力対話処理部72Cと、測定後処理バッチ処理部72Dとから構成されている。
測定前要件入力対話処理部72Aは、測定前にもらう測定前要件(例えば、測定を行うにあたって、精度を速度のどちらを優先するかの要件)を図3に示す測定前要件ダイアログボックス51を用いて入力し、これを要件記憶手段71に書き込む。未定モードの場合、測定前要件ダイアログボックス51を表示して所定時間(例えば、10秒)以内に何の操作も無い場合、処理が終了する。そうでない場合は、ユーザの操作により終了する。終了時に、対話種別を対話方式モード決定部74に渡す。対話種別は次の4種である。[キャンセル]コマンド、[測定]コマンド、[予約]コマンド、「無操作」である。[キャンセル]コマンドは、測定プログラムの処理を中止するだけであるため、図9のブロック図では省略されている。
【0048】
測定バッチ処理部72Bは、要件記憶手段71に記憶された測定前要件を読み出し、その測定前要件に沿って測定をバッチ処理する。
測定後要件入力対話処理部72Cは、測定後にもらう測定後要件(例えば、測定データの保存先などの要件)を図4に示す測定後要件ダイアログボックス61を用いて入力し、これを要件記憶手段71に書き込む。
測定後処理バッチ処理部72Dは、要件記憶手段71に記憶された測定後要件を読み出し、その測定後要件に沿って測定後処理をバッチ処理する。
【0049】
開始点方式モード決定部73は、測定プログラムの起動時に、その測定プログラムの開始点によって、処理選択部75のモードを決定する。開始点とは、測定プログラムを起動するときに、最初に制御を渡す点である。具体的には、ファイルやプロシージャ名やそれらの組み合わせである。処理選択部75のモードと一対一で対応した4つの開始点がある。
対話方式モード決定部74は、対話の種別によって、処理選択部75のモードを決定する。具体的には、測定前要件入力対話処理部72Aから対話の種別をもらい、処理選択部75のモードを決定する。
「無操作」 →測定モード
[測定]コマンド→準備・測定モード
[予約]コマンド→準備モード
【0050】
処理選択部75は、本来処理部72の4つの処理部(測定前要件入力対話処理部72A、測定バッチ処理部72B、測定後要件入力対話処理部72C、測定後処理バッチ処理部72D)の全部または一部を選択して実行する。
準備・測定モード:4つの処理部(72A〜72D)の全部を実行させる。
有人起動終了での測定に適する。
準備モード :2つの対話処理部(72A,72C)を実行させる。
無人起動終了測定に備えて、測定要件を有人で対話入力する。
測定モード :2つのバッチ処理部(72B,72D)を実行させる。
無人起動終了での測定。
未定モード :測定前要件入力対話処理部(72A)だけを実行させる。
その後、他のモードのいずれかに移行する。
【0051】
<測定プログラム実行時の説明(図10〜図14参照)>
測定プログラムが起動されると、図10〜図14に示すフローチャートに従って、処理が実行される。
すなわち、測定プログラムが起動されると、開始点によるモード判定処理(モード決定工程:図10参照)、測定前要件入力の対話処理(測定要件処理工程:図11参照)、測定のバッチ処理(本測定工程:図12参照)、測定後要件入力の対話処理(測定後要件処理工程:図13参照)、測定後処理のバッチ処理(測定後処理工程:図14参照)が順に行われる。
【0052】
開始点によるモード判定処理(図10参照)では、測定プログラムに付加された開始点により、未定モード、準備モード、準備・測定モード、測定モードのいずれかに判定する。
【0053】
測定前要件入力の対話処理(図11参照)では、まず、モードを判定し(ST11)、測定モードであれば、次の測定のバッチ処理(図12参照)へ進む。つまり、測定前要件入力の対話処理が実行されない。
他のモード(測定モード以外のモード)であれば、測定前要件対話インターフェースを表示する(ST12)。例えば、図3に示す測定前要件ダイアログボックス51を表示する。オペレータは、測定前要件を入力し、つまり、速度優先(低精度)か精度優先(長時間)かを選択し、「測定」ボタン、「予約」ボタン、「キャンセル」ボタンのいずれかをクリックする(ST13)。すると、次に、測定前要件入力対話処理部72Aから渡される対話の種別に応じて、次のようにモードを決定する。
[キャンセル]コマンド→要件記憶手段の記憶内容をクリア、中止処理(ST14)
「無操作」 →測定モード(ST15)
[測定]コマンド →準備・測定モード(ST16)
[予約]コマンド →準備モード(ST17)
この後、測定モードの場合には、直ちに、次の測定のバッチ処理(図12参照)へ進む。準備・測定モードおよび準備モードの場合には、入力された測定前要件を要件記憶手段71に書き込んだ後(ST18)、次の測定のバッチ処理(図12参照)へ進む。
【0054】
測定のバッチ処理(図12参照)では、まず、モードを判定し(ST21)、準備モードであれば、次の測定後要件入力の対話処理(図13参照)へ進む。つまり、測定バッチ処理が実行されない。
他のモード(準備モード以外のモード)であれば、要件記憶手段71に記憶された測定前要件を読み出したのち(ST22)、読み出した測定前要件のエラーチェックを行う(ST23)。エラーがあった場合には、処理を中止する。エラーが無かった場合には、測定バッチ処理を実行したのち(ST24)、測定後要件入力の対話処理(図13参照)へ進む。
【0055】
測定後要件入力の対話処理(図13参照)では、まず、モードを判定し(ST31)、測定モードであれば、次の測定後処理のバッチ処理(図14参照)へ進む。つまり、測定後要件入力の対話処理が実行されない。
他のモード(測定モード以外のモード)であれば、測定後要件対話インターフェースを表示する。例えば、図4に示す測定後要件ダイアログボックス61を表示する(ST32)。オペレータは、測定後要件を入力し、つまり、測定データを保存するファイルのパス名を入力したのち、「OK」ボタン、「キャンセル」ボタンのいずれかをクリックする(ST33)。すると、クリックされたボタンの種別に応じて、次のような処理を行う。
[キャンセル]コマンド→要件記憶手段の記憶内容をクリア、中止処理(ST34)
「OK」コマンド →入力された測定前要件を要件記憶手段に書き込む(ST35)
【0056】
測定後処理のバッチ処理(図14参照)では、まず、モードを判定し(ST41)、準備モードであれば、終了とする。つまり、測定後処理が実行されない。
他のモード(準備モード以外のモード)であれば、要件記憶手段71に記憶された測定後要件を読み出したのち(ST42)、読み出した測定後要件のエラーチェックを行う(ST43)。エラーがあった場合には、処理を中止する。エラーが無かった場合には、測定後バッチ処理を実行したのち(ST44)、終了する。
【0057】
従って、各モードによって次のような処理が実行される。
(8A)無人起動終了前の準備モードであれば、測定前要件対話インターフェースを通じて測定前要件を要件記憶手段71に記憶させることができ、続いて、測定後要件対話インターフェースを通じて測定後要件を要件記憶手段71に記憶させることができる。つまり、無人起動終了前の準備を行うことができる。
(8B)無人起動終了の測定モードであれば、要件記憶手段71に記憶された測定前要件が読み出され、この測定前要件に沿って測定が実行され、続いて、要件記憶手段71に記憶された測定後要件が読み出され、この測定後要件に沿って測定後処理が実行される。つまり、無人測定動作が行われる。
【0058】
(8C)有人起動終了の準備・測定モードであれば、測定前要件対話インターフェースを通じて測定前要件を要件記憶手段71に記憶させることができ、次に、要件記憶手段71に記憶された測定前要件が読み出され、この測定前要件に沿って測定が実行され、続いて、測定後要件対話インターフェースを通じて測定後要件を要件記憶手段71に記憶させることができ、次に、要件記憶手段71に記憶された測定後要件が読み出され、この測定後要件に沿って測定後処理が実行される。つまり、通常の有人起動終了の測定動作を行うことができる。
(8D)未定モードであれば、測定前要件対話インターフェースに対するオペレータの操作(または無操作)によって、準備モード、測定モード、準備・測定モードのいずれかに移行できる。準備モード、測定モードに移行した場合は、測定前要件を要件記憶手段71に記憶させることもできる。その後は、移行したモードの動作(前述)を行える。
オペレータは、測定前要件対話インターフェースで、準備モードから準備・測定モードへモードを変更できる。同じく、準備・測定モードから準備モードへモードを変更できる。
【0059】
<測定プログラム生成の説明(図15および図16参照)>
測定プログラム生成部41が起動されると、図15に示す表示画面が表示部33に表示される。図15に示す表示画面から、測定プログラムの名前やコメント、被測定物データである設計データ、座標処理、画像処理(レンズ、照明、エッジ)などの測定要件データの入力、設定ができるようになっている。
以上の操作が行われると、図16のフローチャートに沿って処理が行われる。
被測定物データ(設計データ)の入力の有無、測定要件(座標処理、画像処理、照明、エッジなどに関する測定条件)の有無が判断される(ST1,ST2)。
被測定物データ(設計データ)が入力されたことを認識すると、入力された被測定物データ(設計データ)を、データ記憶部42Bに記憶する(ST3)。測定要件(座標処理、画像処理、照明、エッジなどに関する測定条件)の各データが選択、入力されたことを認識すると、これらのデータをデータ記憶部42Bに記憶する(ST4)。
この後、入力終了か否かを判断し(ST5)、終了でなければ、ST1,ST2の判断を繰り返す。終了であれば、測定プログラムコード原本をコード記憶部42Aに複製、記憶する(ST6)。これにより、測定プログラムが生成される。
【0060】
以上の説明から、測定プログラムを生成するための測定プログラム生成プログラムは、
被測定物データおよび測定要件(生成時測定要件および実行時測定要件)を参照しながら、被測定物の測定を行う測定手順を予めコードで記録(プログラム言語で記述)した測定プログラムコード原本と、被測定物に関するデータを読み込む処理と、測定要件を読み込む処理と、各ステップで読み込まれた被測定物データおよび測定要件をデータ記憶部に記憶させる処理と、測定プログラムコード原本をコード記憶部に複製する処理とを備える。
また、測定プログラムコード原本には、測定要件(測定前要件、測定後要件)の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定要件を要件記憶手段71に記憶させる要件処理と、この要件処理によって要件記憶手段71に記憶された測定要件に沿って測定(本測定、測定後処理)を実行する測定処理と、測定プログラムまたは測定プログラムの起動時に入力されたモード情報から、準備モード、測定モードおよび準備・測定モードのいずれかのモードを決定するモード決定処理と、このモード決定処理によって準備モードに決定された場合には要件処理を実行させ、測定モードに決定された場合には測定処理を実行させ、準備・測定モードに決定された場合には要件処理および測定処理を実行させる選択処理とを有する。
【0061】
<変形例の説明>
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれる。
【0062】
(複数件予約)
前記実施形態では、無人起動終了は1件しか予約できない。複数件、予約できるようにすれば、更に便利である。例えば、次のような例を挙げることができる。
測定要件ダイアログボックスは、測定前にまとめる。測定後処理の要件(測定後要件)も測定前に入力する。測定要件ダイアログボックスで、[予約]ボタンをクリックしたら、測定プログラムは終了せず、図17に示すような、ダイアログボックスが表示されるようにする。
【0063】
図17において、予約リストには、現在保持されている予約が表示される。
「名前」欄は、オペレータが予約につけた名前を示す。タイプすることで任意の名前を付けることができる。
「No.」欄は、無人起動の順位を示す。図17の例では、1回目の無人起動で、「PCB _001」予約が使われ、リストから除去され、2番目以降の予約の順位が繰り上がる。さらに、2回目の無人起動をすると、「PCB_002」予約が使われ、リストから除去される。以下同様である。しかし、最後の1件はリストから除去されない。これにより、一つの予約を何回も繰り返し使う操作が簡便になる。無人起動時にコマンドライン引数に予約名を指定し、順不同に実行することも可能である。この場合、予約リストから除去されない。
【0064】
予約リストの行を選択して、[追加]ボタンをクリックすると、別画面に設定されている要件が予約され、予約リストの選択行に挿入される。選択行が無い場合は、末尾に追加される。最初の名前は無題である。必要なら「名前」欄にタイプして名前を付けることもできる。
予約リストの行を選択して、[削除]ボタンをクリックすると、選択された予約が予約リストから削除される。
予約リストの行を選択して、短い矢印ボタンをクリックすると、選択された予約の順位を一つずつ上げ下げできる。
予約リストの行を選択して、長い矢印ボタンをクリックすると、選択された予約の順位を先頭あるいは末尾に移動できる。
「戻る」ボタンをクリックすると、要件入力ダイアログボックスに戻り、別の要件を設定できる。
何件かの予約が終わったら、[プログラム終了]ボタンをクリックする。
【0065】
(対話インターフェースの変形例)
前記実施形態では、測定前要件および測定後要件の入力に際して、ダイアログボックスを表示するようにしたが、これに限られない。例えば、次のようなコンソール形態であってもよい。
プログラム→測定は速度優先ですか?{Y,N}
オペレータ→Y
プログラム→測定を開始しました。
プログラム→測定を終了しました。
プログラム→データ出力パス名をタイプして下さい。
オペレータ→C:¥Date¥PCB_A_001
プログラム→入力エラー!C:¥Dateが見つかりません。再入力して下さい。
プログラム→C:¥Data¥PCB_A_001
プログラム→終了
【0066】
(適用装置)
前記実施形態では、画像測定システムを挙げて説明したが、これに限らず、他の測定機であってもよい。例えば、三次元測定機や形状測定機などにおいて、1つの測定プログラムで、有人起動終了測定と無人起動終了測定を併用可能に構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、被測定物の寸法や形状を測定する画像測定機、三次元測定機、形状測定機、粗さ測定機などに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態に係る画像測定機の全体構成を示すブロック図。
【図2】同上実施形態において、制御装置の内部機能を説明するブロック図。
【図3】同上実施形態において、測定前要件対話インターフェースを示す図。
【図4】同上実施形態において、測定後要件対話インターフェースを示す図。
【図5】同上実施形態において、開始点が異なる測定プログラム例を示す図。
【図6】同上実施形態において、複数の測定プログラムの組み合わせ例を示す図。
【図7】同上実施形態において、共有ライブラリを使う複数の測定プログラムの組み合わせ例を示す図。
【図8】同上実施形態において、モード決定対話インターフェースを示す図。
【図9】同上実施形態において、測定プログラムの内部機能を説明する図。
【図10】同上実施形態において、起動時モード決定工程を示すフローチャート。
【図11】同上実施形態において、測定前要件処理工程を示すフローチャート。
【図12】同上実施形態において、測定バッチ(測定)工程を示すフローチャート。
【図13】同上実施形態において、測定後要件処理工程を示すフローチャート。
【図14】同上実施形態において、測定後処理工程を示すフローチャート。
【図15】同上実施形態において、測定プログラム生成時の表示画面を示す図。
【図16】同上実施形態において、測定プログラム生成時のフローチャート。
【図17】同上実施形態において、予約リストを示す図。
【符号の説明】
【0069】
1…画像データ取得装置
3…制御装置
41…測定プログラム生成部
41A…測定プログラムコード原本記憶部
41B…コード生成命令部
41C…測定要件組込命令部
41D…被測定物データ組込命令部
42…測定プログラム記憶部
42A…コード記憶部
42B…データ記憶部
43…測定プログラム実行部
51…測定前要件対話インターフェース
52…入力指示項目
53…「測定」ボタン
54…「予約」ボタン
55…「キャンセル」ボタン
61…測定後要件対話インターフェース
62…入力指示項目
63…「OK」ボタン
64…「キャンセル」ボタン
71…要件記憶手段
72…本来処理部
72A…測定前要件入力対話処理部(要件処理手段)
72B…測定バッチ処理部(測定処理手段)
72C…測定後要件入力対話処理部(要件処理手段)
72D…測定後処理バッチ処理部(測定処理手段)
73…開始点方式モード決定部(モード決定手段)
74…対話方式モード決定部(モード決定手段)
75…処理選択部(処理選択手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された測定プログラムに基づき、少なくとも測定前に入力された測定要件に沿って被測定物の寸法や形状を測定する測定方法であって、
前記測定要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定要件を要件記憶手段に記憶させる要件処理工程と、
前記要件記憶手段に記憶された測定要件を読み出し、この測定要件に沿って測定を実行する測定処理工程と、
前記測定プログラムまたは測定プログラム起動時に入力されたモード情報から、準備モードおよび測定モードのいずれかのモードに決定するモード決定工程とを備え、
前記モード決定工程によって前記準備モードに決定された場合には前記要件処理工程を実行し、前記測定モードに決定された場合には前記測定処理工程を実行する、ことを特徴とする測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の測定方法において、
前記要件処理工程は、対話インターフェースにより入力指示と測定要件入力を行い、測定要件入力にエラーがあった場合に警告することを特徴とする測定方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の測定方法において、
前記要件処理工程は、測定前要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定前要件を前記要件記憶手段に記憶させる測定前要件処理工程と、測定後要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定後要件を前記要件記憶手段に記憶させる測定後要件処理工程とを含み、
前記測定処理工程は、前記要件記憶手段に記憶された測定前要件を読み出し、この測定前要件に沿って測定を実行する本測定工程と、前記要件記憶手段に記憶された測定後要件を読み出し、この測定後要件に沿って測定後処理を実行する測定後処理工程とを含む、
ことを特徴とする測定方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の測定方法において、
前記モード決定工程は、前記測定プログラムの起動直後に、対話インターフェースを表示し、この対話インターフェースに対して予め設定された所定時間内に入力操作が行われたか否かを判定し、所定時間内に入力操作が行われた場合には準備モード、所定時間内に入力操作が行われなかった場合には測定モードに決定する、ことを特徴とする測定方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の測定方法において、
前記モード決定工程は、前記測定プログラムの起動時に、前記測定プログラムに付加されたコマンドライン引数を判別し、このコマンドライン引数に応じて準備モードおよび測定モードを決定する、ことを特徴とする測定方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の測定方法において、
前記モード決定工程は、前記測定プログラムの起動時に、最初に制御が渡されたプログラム開始点を判別し、このプログラム開始点に応じて準備モードおよび測定モードを決定する、ことを特徴とする測定方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の測定方法において、
前記モード決定工程は、請求項4〜請求項6のうちの複数のモード決定工程を備えていることを特徴とする測定方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の測定方法において、
前記モード決定工程は、前記測定プログラムまたは測定プログラム起動時に入力されたモード情報から、準備モード、測定モードおよび準備・測定モードのいずれかのモードに決定し、
前記モード決定工程によって、前記準備モードに決定された場合には前記要件処理工程を実行し、前記測定モードに決定された場合には前記測定処理工程を実行し、前記準備・測定モードに決定された場合には前記要件処理工程および測定処理工程を実行する、ことを特徴とする測定方法。
【請求項9】
請求項8に記載の測定方法において、
前記モード決定工程は、前記測定プログラムの起動直後に、対話インターフェースを表示し、
前記対話インターフェースには、測定の実行を指令する入力指示項目、予約の指定を行う入力指示項目が表示され、
予め設定された所定時間内に入力操作が行われなかった場合には、測定モードに決定し、
予約指定の入力操作が行われた場合には、準備モードに決定し、
測定指令の入力操作が行われた場合には、準備・測定モードに決定することを特徴とする測定方法。
【請求項10】
請求項4または請求項7または請求項9に記載の測定方法において、
前記要件処理工程は、対話インターフェースにより入力指示と測定要件入力を行い、
前記モード決定工程に使われる対話インターフェースが、前記要件処理工程の対話インターフェースと一体であることを特徴とする測定方法
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれかに記載の測定方法において、
前記要件処理工程では、前記測定要件の単数または複数の組の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された単数または複数の組の測定要件を要件記憶手段に記憶させ、
前記測定処理工程では、前記要件記憶手段に記憶された単数または複数の組の測定要件のいずれか一つを選択し、これに沿って、測定を実行する、ことを特徴とする測定方法。
【請求項12】
予め設定された測定プログラムに基づき、少なくとも測定前に入力された測定要件に沿って被測定物の寸法や形状を測定する測定装置であって、
前記測定要件を記憶する要件記憶手段と、
前記測定要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定要件を前記要件記憶手段に記憶させる要件処理手段と、
前記要件記憶手段に記憶された測定要件を読み出し、この測定要件に沿って測定を実行する測定処理手段と、
前記測定プログラムまたは測定プログラムの起動時に入力されたモード情報から、準備モードおよび測定モードのいずれかのモードを決定するモード決定手段と、
このモード決定手段によって前記準備モードに決定された場合には前記要件処理手段を実行させるとともに、前記測定モードに決定された場合には前記測定処理手段を実行させる処理選択手段とを備えたことを特徴とする測定装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項11のいずれかに記載の測定方法をコンピュータに実行させる測定プログラム。
【請求項14】
被測定物データを参照しながら、予め設定された測定手順を実行させるコードを記録した測定プログラムコード原本を備えるとともに、
前記被測定物に関するデータを入力する処理と、
前記測定要件を入力する処理と、
前記各ステップで入力された被測定物データおよび測定要件を記憶手段に記憶させる処理と、
前記測定プログラムコード原本をコード記憶部に複製する処理とを備え、
前記測定プログラムコード原本には、
前記測定要件の入力指示を行うとともに、この入力指示に基づいて入力された測定要件を要件記憶手段に記憶させる要件処理と、
前記要件記憶手段に記憶された測定要件を読み出し、この測定要件に沿って測定を実行する測定処理と、
前記測定プログラムまたは測定プログラムの起動時に入力されたモード情報から、準備モードおよび測定モードのいずれかのモードを決定するモード決定処理と、
このモード決定ステップによって前記準備モードに決定された場合には前記要件処理を実行させるとともに、前記測定モードに決定された場合には前記測定処理を実行させる選択処理とを備える、
ことを特徴とする測定プログラム生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−157773(P2008−157773A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347344(P2006−347344)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】