測定装置、破岩装置および応力波の測定方法
本発明は応力波の測定方法と、測定装置と、破岩装置とに関するものである。衝撃装置(7)は衝撃パルスを導波路(21)に与え、導波路では圧縮応力波および反射引張応力が生成され、これらは導波路を伝播する。圧縮応力波は導波路で拡張を、引張応力波は収縮を生じ、この場合、導波路の断面における幾何学的変化を測定することによって導波路の特性を判定してよい。この測定データは破岩装置の制御に利用される。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、破岩において用いられる応力波の測定方法に関するものであり、この方法は導波路を伝播する応力波の測定することを含む。
【0002】
本発明はさらに、応力波を測定する測定装置に関するものであり、この装置は少なくとも1つの測定部材と、測定結果を処理する少なくとも1つの制御ユニットとを含む。
【0003】
さらに本発明は破岩装置に関するものであり、この破岩装置はフレームと、ツールと、ツールに応力波を発生させる装置と、ツールを伝わる応力波を測定する測定手段と、破岩装置を測定された応力波に基づいて制御する少なくとも1つの制御ユニットとを含む。
【0004】
破岩は打撃削岩機によって岩石を穿孔することにより行ってよい。そうでなければ、破砕ハンマーによって岩石を破壊してもよい。本文において、用語「岩石」とは広く、巨岩、ロック材料、地核および他の比較的硬い材料にも及ぶものとする。削岩機および破砕ハンマーは打撃装置を含み、打撃装置はツールに対して直接、またはシャンクを介して衝撃パルスを与える。すなわち、打撃装置はツールに圧縮応力波を発生させるのに用いられ、この波はツールの最先端部へ伝播する。圧縮応力波がツールの最先端部に到達すると、ツールはその波の影響によって岩石に貫入する。打撃装置によって生成された圧縮応力波のエネルギーの一部は反射波として反射して戻り、反射波はツールの反対方向、すなわち打撃装置の方向に伝播する。状況によって、反射波は圧縮応力波のみを、もしくは引張応力波のみを含んでよい。しかし、反射波は典型的には引張応力成分と圧縮応力成分の両方を含む。たとえば米国特許第 4,671,366号に開示されているように、ツールを伝わる応力波を測定し、その測定結果を用いて破岩装置を制御することができる。典型的には、応力波の測定には抵抗ひずみ計が用いられるが、ひずみ計の取り付けが問題を生じている。ひずみ計をツールに接着するのが困難なのである。米国特許第 6,356,077号および米国特許第 6,640,205号はさらに、ツールの周囲にコイルを配設してツール内の応力波により生じる磁気ひずみおよび磁気弾性の変化を測定することを開示している。これらの誘導方法に関する問題は、ツール材料の密度および磁気履歴が測定精度に影響を及ぼすことにある。
【発明の簡単な説明】
【0005】
本発明の目的は、導波路から応力波を測定する新規で改善された装置を提供することである。
【0006】
本発明による方法は、応力波が測定点を通過するときの導波路の断面における幾何学的変化を判定することと、断面における変化から応力波の特性を判定することとを特徴とする。
【0007】
本発明による測定装置は、測定装置が応力波の影響による導波路断面における幾何学的変化を判定する測定部材を含み、制御装置が導波路の断面における変化から測定された応力波の特性を判定するよう配設されていることを特徴とする。
【0008】
本発明による破岩装置は、応力波の影響によるツールの断面における幾何学的変化を検出する手段を含み、少なくとも1つの制御ユニットがツールの断面における変化に基づいて応力波の特性を判定するよう配設されて破岩装置を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明は、導波路の幾何学的断面における導波路を伝わる応力波の影響を判定することと、これに基づいて応力波の特性を判定することとに基づいている。圧縮応力波は導波路を長手方向に圧縮しようとするが、この場合、導波路の断面はその圧縮応力波のところで増大する傾向にある。同様に、引張応力波も上導波路を長手方向に引き伸ばそうとするが、この場合、導波路の幾何学的断面積は引張応力波のところで増大する傾向にある。断面における変化の大きさは応力波の強さに直接相関していることが分かっている。
【0010】
本発明の利点は、応力波測定の制御が磁気ひずみおよび磁気弾性測定方法の場合より容易であることである。
【0011】
本発明による実施例の基本概念は、1つまたは複数の導電性測定電極を導波路の近辺もしくはその周囲に配設することにあり、電極は導波路および絶縁ギャップと共にコンデンサを形成している。測定装置はこのように形成されているコンデンサの電気容量を判定するように構成されている。電気容量は実質的に絶縁ギャップの大きさによってのみ左右される。他方、この絶縁ギャップの大きさは導波路の膨張および収縮によって左右され、膨張および収縮は導波路を移動する応力波により生じる。測定装置によって導波路と電極との間における電気容量の変化を測定してよく、または、測定装置を2つの測定用電極間の電気容量を測定するよう構成してよく、測定用電極はいずれも導波路と共にコンデンサを形成している。
【0012】
本発明の実施例の基本概念は、電気容量測定に用いる測定用電極が導電性リングであることであり、導電性リングは導波路の周囲に配設される。
【0013】
本発明の実施例の基本概念は、応力波の測定を無接触方式にし、この場合、導波路をその軸の周りを回転してよく、かつ測定用部材に妨げられることなく軸方向に移動可能してよいことにある。このことは、特に削岩においては有利である。なぜならば、ツールは典型的には穿孔中に回転装置によって回転されるからである。
【0014】
本発明の実施例の基本概念は、電気容量測定において用いられる少なくとも2つの測定用電極を導波路の長手方向に前後に配設することにある。連続する測定用電極は互いから絶縁されている。このような場合、測定信号を連続する測定用電極からワイヤなどを径て少なくとも1つの制御ユニットへ送信してよく、この場合、測定装置と導波路との間には機械的接触はなく、測定を無接触で行ってよい。
【0015】
本発明の実施例の基本概念は、電気容量測定において用いられる測定用電極を導波路に軸受によって支持し、測定用電極は、導波路が横方向に移動しても導波路に対する位置を保つことにある。このような場合、この導波路の横方向の移動は測定結果には実質的に何の影響も及ぼさない。
【0016】
本発明による実施例の基本概念は、電気容量測定に基づく2つ以上の測定電極を少なくとも1つの測定点において用い、これらの電極を導波路の長手方向に同じ場所ではあるが、互いに対して導波路の相対する側に配設することにある。応力波は導波路の相対する側の電極部品と導波路との間の電気容量を判定することによって測定してよい。このような場合、これらの測定用電極を導波路へ機械的に接続する必要はなく、測定は無接触方式でおこなってよい。他方、測定用電極から得た測定結果は、この測定装置の制御ユニットにおいて、たとえば導波路の横方向の移動をフィルタリングで除去することによって処理してよい。その場合、導波路と測定用電極との間の横方向の動きは測定結果に対しては影響を及ぼさず、応力波は導波路の幾何学的断面における変化にのみ基づいて判定される。
【0017】
本発明による実施例の基本概念は、測定用電極を導波路の最大外径のところに配設することにあり、この場合、測定制度をより高くすることができる。削岩機では、測定用電極をたとえばシャンクの周囲に配設してよい。なぜならば、シャンクの直径は典型的にはドリルロッドの直径よりも大きいからである。
【0018】
本発明の実施例の基本概念は、制御ユニットが測定された応力波に基づいて破岩装置の制御パラメータを調節するよう配設されていることにある。この制御ユニットは1つまたは複数の調整方法を含んでよく、調整方法はたとえばツールの最大貫入率の達成、穿孔における穿設孔の質の改善、ツールおよび機器の長期耐用性の達成、または破岩装置の効率の改善を目的としている。制御パラメータには打撃回数と、打撃エネルギーと、送り強さが含まれてよい。さらに、送り速度、回転速度および注水を削岩における制御パラメータとして用いてよい。
【0019】
本発明の実施例の基本概念は、測定装置は測定結果を保存する少なくとも1つの記憶要素を含んでよいことにある。このような場合、測定結果を保存し、後にたとえば作業現場の岩石の種類を判断し、さらにその作業現場および使用すべき方法を設計する場合に、またはその状態を監視する際に利用してよい。測定結果を別個のコンピュータ装置において処理してもよい。
【0020】
本発明の実施例は、測定装置は測定結果を測定装置から破岩装置もしくは他の装置へ送信する少なくとも1つのデータ送信部材を含むという概念に基づいている。このような場合、測定結果を穿孔工程もしくは破岩工程の制御に用いてよい。
【0021】
本発明の実施例は、電気機械フィルム(EMFi)によって導波路の断面における変化を測定するという概念に基づき、フィルムは導波路の断面が拡大縮小する時に受ける圧縮に反応する。
【0022】
本発明の実施例は、導波路の断面における変化をレーザー光線によって測定するという概念に基づいている。
【0023】
本発明の実施例は、導波路の容積における変化によって応力波を測定するという概念に基づいている。
【発明のいくつかの実施例の詳細な説明】
【0024】
明瞭にするため、図は本発明の複数の実施例を簡略に示す。同図において同じ参照番号は同じ部分を示す。
【0025】
図1は削岩リグ1を示し、削岩リグは、キャリア2と少なくとも1つの送りビーム3とを含み、送りビームには削岩機4が可動的に配設されている。送り装置5によって、削岩機4を削岩すべき岩石に向けて押し、同様にそれから引き離してもよい。送り装置5は、たとえば1つまたは複数の液圧式シリンダを含んでよく、液圧式シリンダは削岩機4を適当な動力伝達手段によって動かすよう配設されてよい。典型的には、送りビーム3はブーム6に配設され、ブーム6はキャリア2に対して移動させられてよい。削岩機4は打撃装置7を含み、打撃パルスを削岩機4に連結されたツール8に与える。ツール8は1つまたは複数のドリルロッドおよびドリルビット10を含んでよい。さらに、ドリル4は回転装置11を含んでツール8をその長手方向の軸について回転させてよい。穿孔中、打撃装置7は打撃パルスをツール8に与え、同時にツールを回転装置11によって回転させてよい。さらに、削岩機4は穿孔中に岩石に向けて押されてドリルビット10によって岩石を破壊することができてよい。削岩を1つまたは複数の制御ユニット12で制御してよい。制御ユニット12はコンピュータもしくは同様のものを含んでよい。制御ユニット12は、削岩リグ4および送り装置5の動作を制御するアクチュエータに対して制御指令を与えてよく、アクチュエータはたとえば圧力媒体を制御する弁などである。削岩機4の打撃装置7や回転装置11および送り装置5は、圧力媒体作動式アクチュエータでもよいし、電気式アクチュエータでもよい。
【0026】
図2aは、ツール8がそのシャンク13に連結されている削岩機4を示す。削岩機4に含まれる打撃装置7は、打撃ピストンなどの打撃要素14を含んでよく、打撃要素は、往復運動しシャンク13の打撃面15を打ち衝撃パルスを生成するよう配設され、この衝撃パルスは材質に応じて一定の速度で圧縮応力波としてシャンク13およびツール8を通じてドリルビット10へ伝播する。削岩の特殊なケースを図2cに示していて、ここではドリルビット10は圧縮応力波p の影響によって岩石16に貫入することができない。その理由は、たとえば岩質16’が非常に硬いためであってもよい。このような場合、最初の応力波p は圧縮応力波h としてドリルビット10から打撃装置7へ反射して戻る。他の特殊なケースを図2dに示すが、ここではドリルビット10は抵抗力を受けることなく前方へ進んでよい。たとえば穿孔を岩石の穴に対して行う場合、貫入抵抗は小さい。このような場合、最初の圧縮応力波p は引張反射波としてドリルビット10から打撃装置7へ反射する。実際の穿孔では、図2aに示すようにドリルビット10は抵抗を受けるが、圧縮応力波p の影響により引き続き前進することができる。ドリルビット10の前進は、その大きさがドリルビット10の岩石16に対する貫入の程度に依存する力によって抵抗を受ける。すなわち、ドリルビット10が深く貫入するほど抵抗力は大きくなり、また逆の場合は小さくなる。したがって実際の穿孔では、反射波h はドリルビット10から反射し、この反射波は引張反射成分と圧縮反射成分の両方を含む。図では、引張応力を(+)記号で、圧縮応力を(-)記号で示す。引張反射成分(+)は反射波h においては常に最初のものであり、圧縮応力成分(-)はそれに続く。その理由は、第一次圧縮応力波p の作用が始まった段階ではドリルビット10の貫入および貫入抵抗は小さく、これによって引張反射成分(+)が生成されるからである。したがって初期状況は、ドリルビット10が大きな抵抗力を受けることなく前進してよい上述の特殊な状況に似ている。他方、第一次圧縮応力波p の作用の最終段階では、ドリルビット10はすでに岩石16へさらに深く貫入していて、この場合、貫入抵抗はより大きくなり、最初の圧縮応力波p はもはや実質的にはドリルビット10を岩石16へさらに深く押し込むことができない。この状況は、ドリルビット10が岩石16へ進入するのを妨げられる上述の第2に特殊なケースに似ている。これにより反射圧縮応力波(-)が生成され、反射圧縮応力波はすぐにドリルビット10から最初に反射した引張応力波(+)に続く。
【0027】
削岩の際、応力波をシャンクやドリルロッドまたはこの両方から測定することができ、したがってこれらは導波路の役目をする。
【0028】
図1bに示す破砕ハンマーでは、チゼルもしくはチゼルホルダが導波路の役目をしてよい。破砕ハンマー20において、打撃装置はツールに応力波を生成し、この応力波はツールの第1端部、すなわち打撃装置側の端部からツールの第2端部へ、次いでツールの第1端部へ伝播する。
【0029】
図3に、本発明による測定原理を示す。変化は、導波路21の幾何学的断面において、そこで移動する応力波として起こる。本発明は断面におけるこの幾何学的変化を測定するという考え、および測定結果を波形、振幅、波長、振動数などの応力波の特性を決定する基礎として用いることに基づいている。圧縮応力波が導波路21を移動する場合、その断面はこの応力波のところで縮む傾向にあり、この場合その断面は広がる。同様に、引張応力波のところで断面は小さくなる。換言すれば、膨張もしくは収縮は、応力波が圧縮応力波であるかまたは引張応力波であるかに基づいて導波路で発生する。図3では、破線a は圧縮応力波の影響による断面の増大を、破線b は引張応力波の影響による断面の収縮を非常に簡略化して示す。測定は導波路21の外径における変化、管状導波路の内径における変化、その断面積における変化、または導波路の容積における変化に基づいてよい。
【0030】
図4aは容量応力波測定の原理を示す。測定装置23に含まれる制御ユニット24に接続された金属リングなどの環状導電性測定用電極22が導波路21の周囲に配設されている。導波路21の外面と測定用電極との間には絶縁層25を配してよく、絶縁層は気体、潤滑油、フラッシング液、または同様のものでよい。応力波が導波路を移動すると、その外径に変化が生じ、これが絶縁層25の厚さに影響を及ぼす。導波路21と絶縁層25と測定用電極22とで形成されているコンデンサの容量は測定装置23によって測定する。測定において、絶縁材料の誘電率は実質的に変化しない。導波路の外面の面積はその断面が変化すると変化し、したがって電気容量にも影響を与える。しかし、この容量は主として絶縁ギャップ26の大きさによって影響を受ける。したがって、絶縁ギャップ26の大きさは電圧を測定することによって決定されてよく、ギャップの大きさは応力波により生じる膨張もしくは収縮に依存する。さらに、導波路21と絶縁ギャップ26と測定用電極22とにより形成されたコンデンサを共振回路もしくは同様のものに接続してよく、この場合、回路における周波数の変化が測定の際に考慮される。電気容量を測定する他の方法も適用してよい。応力波から測定した情報を測定装置の制御ユニット24から破砕装置の制御ユニット12へ送ってよい。
【0031】
さらに、絶縁層25を複数の異なる部分で構成してもよい。たとえば、測定用電極22はプラスチック製ケーシングもしくはフレームを備えてよく、そこには電極22の導電性部材が配設される。この場合、導波路21の外面と電極22との間の絶縁層25はプラスチック材と気体とで構成されてよい。電極22もしくは導波路21またはその両方が絶縁材で作られた被覆剤で被覆されている場合、絶縁層25は複数の異なる部分を含む。測定結果を処理する際に、異なる絶縁部分の影響を考慮してよい。さらに、絶縁層25が複数の重なった部分を含む場合、1つまたは複数の部分を圧縮性のものにして導波路21の断面の変化とその変化の測定を可能にしてよい。
【0032】
図4bはさらに、測定用電極22を複数の部材22aないし22dに分割してよいことを示し、これらの部材はトーラスセクタの形をし、これらの間に絶縁体27aないし27dが配されている。測定用電極の部材27の数は図に示すように4つでよいが、他方、2つ以上であってもよい。測定装置23を、相対する側にある電極部材22aおよび22cと、22bおよび22dとで形成されたコンデンサを測定するのに用いてよく、この場合、測定は無接触方式で行ってよい。さらに、この構造は測定用電極の部材22に対する導波路21のいかなる横方向の移動も考慮することができる。測定情報はこの測定用電極のそれぞれの部材22から制御ユニット24へ送信してよく、そこで測定結果をフィルターにかけて導波路の横方向の移動により生じる誤差を除去してよい。導波路21はたとえば軸受が損傷することにより横断方向に移動してもよい。
【0033】
図5は、2つの測定用電極22a、22bを軸方向に並べて配設した方式を示す。これらの測定用電極22の間には気体ギャップまたは他の絶縁層27がある。必要であれば、3つ以上の測定用電極を軸方向に並べて配設してよい。本実施例において、容量を連続する測定用電極22a、22bと導波路21との間の測定装置23によって測定する。測定は無接触方式で行ってよく、すなわち測定用電極と導波路のとの間には機械的接触がない。さらに、1つまたは複数の測定用電極22を、たとえば図4bに示すように2つ以上の電極部材で構成してよく、この場合、導波路21の偏心により生じる測定誤差をフィルタリングによって除去してよい。
【0034】
図6は、測定用電極22を管状導波路21の内側に配設した実施例を示す。このような場合、導波路21は環状断面を有し、内径と外径とを含む。ここで注目すべきことは、たとえば削岩に用いるドリルロッドおよびシャンクは典型的には環状断面を有し、フラッシング液が供給されることである。測定用電極22を導波路21内で適切な支持部材で支持してよい。測定用電極22は複数の電極部材22a、22bを含み、その場合、電気容量をこれらの部材間で測定してよい。さらに、これは複数の電極部材を含むので、これを導波路内に正確に中央に置く必要はなく、導波路21の中心軸からの逸脱は制御ユニット24で行われる測定結果のフィルタリングの際に考慮すればよい。
【0035】
図7は非常に簡略化した実施例を示すが、ここでは測定用電極22a、22bは導波路21に軸受けによって取り付けられて、導波路21は測定用電極22に対して軸方向に移動し、かつその長手軸の周りを回転してよい。代わりに、測定用電極22は導波路21が横方向に動く場合には、導波路21と共に動くよう配設されている。このような場合、測定用電極22は、たとえ導波路21が何らかの理由でその元の位置から移動した場合でも、導波路21と同軸のままである。測定用電極22を測定用フレーム28に配設してよく、これを1つまたは複数の軸受け29によって導波路21の外面に対して支持してよい。測定用電極22を軸受けによって導波路21の外面に取り付ける他の方法も当然適用してよい。
【0036】
図8は、導波路の幾何学的断面に生じる変化をレーザー干渉計30によって測定する実施例を示す。導波路21の両側にレーザー光線トランシーバ31を設けて導波路21の外面までの距離L1、L2を測定してよい。圧縮応力波により生じる膨張は距離L1、L2における増加として示され、同様に、引張応力波により生じる収縮は距離L1、L2における減少として示される。測定装置の制御ユニット24で測定結果を分析し、これらから応力波の特性を決定してよい。さらに、測定された距離の一方が増加し、他方が減少した場合、測定装置の制御ユニット24はこれを応力波により生じた寸法の変化としてではなく、導波路の横方向の移動として示してよい。レーザー干渉計ではなく、応力波により導波路の横方向に生じる移動を検出可能な他の光学式距離測定装置を用いることができる。
【0037】
図9は、媒体フィルム33を導波路21とドリルフレームなどの基準面32との間の間隙に配設した実施例を示す。この媒体フィルムは導波路断面の寸法変化により生じる圧縮圧の変化に対して反応する。圧縮応力波の影響により、導波路21の外径は大きくなり、その場合、媒体フィルム33は導波路21と基準面32との間にあるので、より大きな圧力が間隙に配設された媒体フィルムに加えられる。同様に、引張応力波が測定点に到達すると、媒体フィルム33に加わる圧力は小さくなる。圧縮圧に対して反応する媒体フィルム33は、たとえば電気機械式フィルム(EMFi)もしくは同様なものでよい。電気機械式フィルムは薄い常時荷電式プラスチックフィルムでよく、その両側は導電層で被覆されていてよい。フィルムに加わる圧迫は、フィルムにより生成される電圧信号として検出することができる。測定装置23の制御ユニット24は、この電圧信号を分析してこれから応力波の特性を判定してよい。図9はさらにデータ通信連絡部36および記憶要素37を示し、これらを測定装置23に接続して測定データを処理してよい。測定データをデータ通信連絡部によって無線もしくは有線で測定装置23から破岩装置の制御ユニット24もしくは他のところへ送信してよい。さらに、測定データを記憶要素37に保存してさらなる処理を行ってよい。記憶要素37に保存された測定データを、状態の監視と岩質に関するデータの収集と採鉱坑もしくは同様なものの設計とに利用することができる。
【0038】
図10は他の実施例を示し、ここでは圧力流体空間34が導波路21の周囲に形成されている。この中で作用する加圧液を圧力センサ35によって測定する。応力波が導波路21の断面における寸法変化をもたらし、この場合、導波路21の容積も関連する軸方向の部分において変化する。導波路21の容積の変化も圧力流体空間34の変化をもたらし、これは圧力測定において圧力パルスとして検出することができる。測定結果を測定装置23の制御ユニット24に送信してよく、制御ユニットは圧力パルスを分析してそれらから応力波の特性を判定してよい。
【0039】
1つまたは複数の制御方法を削岩リグもしくは破砕ハンマーの制御ユニット12に設定して、測定した応力波に基づいて装置の動作を自動調整してよい。調整は手動で行ってもよく、その場合、操作者は制御ユニット12から応力波に基づいて計算された制御データに関する情報を受け、パラメータを手動で調整してよい。破岩装置の制御ユニット12と測定装置23の制御ユニット24は両方とも1つまたは複数のコンピュータを有してよく、そのプロセッサはコンピュータプログラムプロダクトを実行してよい。本発明による測定および調整を行うコンピュータプログラムプロダクトは制御ユニット12、24の記憶装置に保存してよく、またはコンピュータプログラムプロダクトをCD-ROMなどの記憶要素からコンピュータへロードしてもよい。さらに、コンピュータプログラムプロダクトを他のコンピュータからデータネットワークを経て、たとえば制御システムに属する装置へロードしてよい。
【0040】
測定装置23の制御ユニット24は主要機械、たとえば削岩リグもしくは掘削機の制御ユニット12に組み入れてもよく、または別個のユニットとしてもよい。制御ユニット24は測定装置23の内部作業を制御してよく、内部作業にはたとえば測定信号のフィルタリング、演算、保存、表示および他のユニットもしくは他の同様の処理工程への送信などがある。場合によっては、この制御ユニット24は外部の機能もしくは装置を制御してもよい。
【0041】
測定装置23に含まれる電極、センサ、もしくは他の測定部材も接続して測定信号を直接破砕装置の制御ユニット12へ送信してよい。
【0042】
次に、岩石を打撃削岩リグにより削岩し、ツールを移動する応力波を電気容量測定装置により測定する3つの実施例を説明する。
実施例1
図11は時間の一次応力波p と反射応力波h の曲線を関数として示す。ここでは、削岩リグに含まれる打撃装置によって衝撃パルスがツールに与えられていて、これにより一次圧縮応力波がツールに発生していて、この波はツールをその最先端部まで伝播する。送り不足で穿孔が行われた場合、ツールと岩石との間には間隙ができる可能性がある。そのような場合、ツールは間隙があるため最初は貫入抵抗を受けないが、これにより大きな反射引張応力波h+ が発生し、これは打撃装置へ伝播する。ツールと岩石との間に間隙がなくなった後、貫入抵抗は再び大きくなり、これにより大きな反射圧縮応力波h- が発生し、これは反射引張応力波h+ に続いて打撃装置へ伝播する。この形状の反射波h が検出された場合、制御ユニットは穿孔が送り不足で行われたと解釈してよい。その場合、制御動作は送りを増加させるものでよい。
【0043】
図13は電気容量測定装置の測定結果を示し、図12はその測定結果から判定した導波路断面における半径方向の移動を示す。図11ないし図13から分かるように、電気容量の変化と導波路の半径方向の移動は実質的に応力波の形状に一致している。
【0044】
断面における半径方向の移動は次の式で算出してよい。
【0045】
【数1】
ここでνは材料のポアソン定数であり、E は弾性係数であり、r0は非変形断面の外半径である。
【0046】
さらに、環状電極に関する電気容量は次の式を用いて算出してよい。
【0047】
【数2】
ここで、ε0は真空の誘電率であり、εは絶縁体の比誘電率であり、d は環状電極とツールの中心点間の距離(偏心度)であり、r はツールの外径(変形 r=r0+uRを含む)であり、R は電極の内径である。
実施例2
図14は一次応力波p と反射応力波h との曲線を時間の関数として示す。この場合、削岩リグに含まれる打撃装置は衝撃パルスをツールに与えていて、これが一次圧縮応力波p をツールに生成していて、この応力波はツールをその最先端部へ伝播する。非常に軟質の岩を穿孔する場合、貫入抵抗は小さい。ツールは岩石に対して適切に支持されていないので、打撃装置へ伝播する反射波h は一次応力波p から反射され、反射波は大きな反射引張応力波h+ を有す一方、小さい反射圧縮応力波h- しか持たない。なぜなら、軟岩においてはツールの貫入が終わるまで小さな貫入抵抗が生じないからである。したがって、反射波の大部分は主として引張応力から成る。このような反射応力波h が検出された場合、制御ユニットは穿孔が軟岩のタイプに行われたと認識してよい。そのような場合、制御動作は、入来する応力波p の振幅を減衰させるものでよく、これによって穿孔機器に対して有害な反射引張応力波h+ を減衰させることができる。代わりとして、大きい貫入抵抗を有するツールを採用してよい。
【0048】
図14ないし16から分かるように、電気容量における変化と、導波路における半径方向の変動は実質的に応力波の形状に一致する。
実施例3
図17は一次応力波p と反射応力波h との曲線を時間の関数として示す。
【0049】
環状測定用電極は測定すべき導波路の周囲に、すなわち、代表的には削岩機のドリルロッドの周囲に配設してよい。ドリルロッドが測定用電極に対して偏心している場合、偏心は電気容量の変化をもたらす。図18は3つの異なる偏心度値に関する電気容量を示す。
【0050】
相対偏心度dsは次の式で算出してよい。
【0051】
【数3】
しかし、注目すべきは、偏心度の測定方法を有効にするためには、偏心度により生じる電気容量の変化およびドリルロッドにより生じる断面における変化をそれぞれ区別する必要があることである。
【0052】
偏心度が小さい場合、偏心の誤差は、たとえば低周波成分を信号からフィルタリングすることによって除去することができる。これによって図19による信号がもたらされる。
【0053】
偏心誤差は次の式に従って、相対電気容量Csを用いて一層良好に補正することができる。
【0054】
【数4】
ここで、C0は偏心しているが非変形のドリルロッドと電極との間の電気容量である。これはこの測定点において応力波が作用していない状態において電気容量を測定することによって達成される。
【0055】
これによって図20による信号が生成される。
【0056】
さらに注目すべきは、本発明は加圧媒体作動式および電気作動式打撃装置7の両方に関連して適用してもよいことである。応力波を導波路21で生成する装置の種類は本発明の実施には関係がない。したがって応力波は、適切な衝撃および打撃ピストンのない適当な波発生装置によって、たとえば液圧エネルギーから直接発生させてよい。換言すれば、打撃装置もしくは応力波を生成する同様の装置によって導波路内に短い力効果が発生し、この力効果によって導波路に応力波を生成する。この装置によって生成された応力波は圧縮応力波もしくは引張応力波でよい。
【0057】
導波路の幾何学的断面に及ぶ応力波の影響は測定装置により検出可能である。導波路に加えられた応力波と反射応力波の両方が導波路の断面における変化をもたらす。これらの応力波の形状および他の特性は測定装置の制御ユニットにおいて、破岩装置の制御ユニットにおいて、または他の制御ユニットもしくは演算装置において測定結果に基づいて分析されてよい。さらに、この応力波が入来する応力波であるか、あるいは反射応力波であるか否かを判定するばかりでなく、これらのさまざまな波成分を判定してもよい。
【0058】
上述の実施例による測定装置23を打撃装置に関連して配設し、衝撃力や衝撃頻度などを打撃ピストンなどの打撃要素の断面における変化に基づいて判定することもできる。このような場合、その打撃要素は導波路として機能する。
【0059】
穿孔に加えて、本発明による応力波測定を衝撃パルスを用いる他の装置に適用してよく、他の装置とはたとえば破砕ハンマーおよび岩材料もしくは他の硬い材料の破壊を目的とした他の装置などであり、さらにはたとえば杭打ち装置に適用することができる。
【0060】
場合によっては、本願に開示している構成要件をその他の構成要件に関わりなく用いてよい。他方、本願に示されている構成要件を、必要であればさまざまに組み合わせてよい。
【0061】
本図面および関連する説明は本発明概念を説明することのみを目的としている。本発明の内容を本発明の請求の範囲内で変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
添付の図面において発明のいくつかの実施例をより詳細に説明する。
【図1a】削岩リグの概略側面図である。
【図1b】破砕ハンマーの概略側面図である。
【図2a】削岩状態における削岩機およびこれに連結されたツールの概略側面図である。
【図2b】ツールの第1の端部、すなわち打撃装置側の端部と、反射応力の移動とを概略的に示す図である。
【図2c】および
【図2d】穿孔における特殊な状況と、ツールの最先端部、すなわち第2の端部からの応力波の戻り反射とを概略的に示す図である。
【図3】本発明による導波路の断面と応力波の測定原理と概略的に示す図である。
【図4a】導波路の周囲に配設された1つの電極による応力波の電気容量測定をツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図4b】容量測定に基づいて測定用電極を導波路の周囲の複数の電極部分に分割したものをツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図5】軸方向に連続した複数の電極による応力波の電気容量測定を示す概略斜視図である。
【図6】管状導波路内に配設された1つまたは複数の電極による応力波の電気容量測定をツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図7】測定用電極が測定すべき導波路に軸受により支持された装置の概略側面図である。
【図8】レーザー干渉分光法に基づく応力波測定の原理をツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図9】導波路の周囲に配したEMFiフィルムなどの媒体に基づく応力波測定をツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図10】ツール周囲の流体空間の容積における変化に基づく応力波測定をツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図11】ないし
【図13】岩石を送り不足状態で穿孔している状況において電気容量測定に基づいて決定された曲線を概略的に示す図である。
【図14】ないし
【図16】穿孔すべき岩石が軟岩である状況において電気容量測定に基づいて決定された曲線を概略的に示す図である。
【図17】ないし
【図20】電気容量測定用電極と導波路との間の偏心の補正に関する曲線を概略的に示す図である。
【発明の背景】
【0001】
本発明は、破岩において用いられる応力波の測定方法に関するものであり、この方法は導波路を伝播する応力波の測定することを含む。
【0002】
本発明はさらに、応力波を測定する測定装置に関するものであり、この装置は少なくとも1つの測定部材と、測定結果を処理する少なくとも1つの制御ユニットとを含む。
【0003】
さらに本発明は破岩装置に関するものであり、この破岩装置はフレームと、ツールと、ツールに応力波を発生させる装置と、ツールを伝わる応力波を測定する測定手段と、破岩装置を測定された応力波に基づいて制御する少なくとも1つの制御ユニットとを含む。
【0004】
破岩は打撃削岩機によって岩石を穿孔することにより行ってよい。そうでなければ、破砕ハンマーによって岩石を破壊してもよい。本文において、用語「岩石」とは広く、巨岩、ロック材料、地核および他の比較的硬い材料にも及ぶものとする。削岩機および破砕ハンマーは打撃装置を含み、打撃装置はツールに対して直接、またはシャンクを介して衝撃パルスを与える。すなわち、打撃装置はツールに圧縮応力波を発生させるのに用いられ、この波はツールの最先端部へ伝播する。圧縮応力波がツールの最先端部に到達すると、ツールはその波の影響によって岩石に貫入する。打撃装置によって生成された圧縮応力波のエネルギーの一部は反射波として反射して戻り、反射波はツールの反対方向、すなわち打撃装置の方向に伝播する。状況によって、反射波は圧縮応力波のみを、もしくは引張応力波のみを含んでよい。しかし、反射波は典型的には引張応力成分と圧縮応力成分の両方を含む。たとえば米国特許第 4,671,366号に開示されているように、ツールを伝わる応力波を測定し、その測定結果を用いて破岩装置を制御することができる。典型的には、応力波の測定には抵抗ひずみ計が用いられるが、ひずみ計の取り付けが問題を生じている。ひずみ計をツールに接着するのが困難なのである。米国特許第 6,356,077号および米国特許第 6,640,205号はさらに、ツールの周囲にコイルを配設してツール内の応力波により生じる磁気ひずみおよび磁気弾性の変化を測定することを開示している。これらの誘導方法に関する問題は、ツール材料の密度および磁気履歴が測定精度に影響を及ぼすことにある。
【発明の簡単な説明】
【0005】
本発明の目的は、導波路から応力波を測定する新規で改善された装置を提供することである。
【0006】
本発明による方法は、応力波が測定点を通過するときの導波路の断面における幾何学的変化を判定することと、断面における変化から応力波の特性を判定することとを特徴とする。
【0007】
本発明による測定装置は、測定装置が応力波の影響による導波路断面における幾何学的変化を判定する測定部材を含み、制御装置が導波路の断面における変化から測定された応力波の特性を判定するよう配設されていることを特徴とする。
【0008】
本発明による破岩装置は、応力波の影響によるツールの断面における幾何学的変化を検出する手段を含み、少なくとも1つの制御ユニットがツールの断面における変化に基づいて応力波の特性を判定するよう配設されて破岩装置を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明は、導波路の幾何学的断面における導波路を伝わる応力波の影響を判定することと、これに基づいて応力波の特性を判定することとに基づいている。圧縮応力波は導波路を長手方向に圧縮しようとするが、この場合、導波路の断面はその圧縮応力波のところで増大する傾向にある。同様に、引張応力波も上導波路を長手方向に引き伸ばそうとするが、この場合、導波路の幾何学的断面積は引張応力波のところで増大する傾向にある。断面における変化の大きさは応力波の強さに直接相関していることが分かっている。
【0010】
本発明の利点は、応力波測定の制御が磁気ひずみおよび磁気弾性測定方法の場合より容易であることである。
【0011】
本発明による実施例の基本概念は、1つまたは複数の導電性測定電極を導波路の近辺もしくはその周囲に配設することにあり、電極は導波路および絶縁ギャップと共にコンデンサを形成している。測定装置はこのように形成されているコンデンサの電気容量を判定するように構成されている。電気容量は実質的に絶縁ギャップの大きさによってのみ左右される。他方、この絶縁ギャップの大きさは導波路の膨張および収縮によって左右され、膨張および収縮は導波路を移動する応力波により生じる。測定装置によって導波路と電極との間における電気容量の変化を測定してよく、または、測定装置を2つの測定用電極間の電気容量を測定するよう構成してよく、測定用電極はいずれも導波路と共にコンデンサを形成している。
【0012】
本発明の実施例の基本概念は、電気容量測定に用いる測定用電極が導電性リングであることであり、導電性リングは導波路の周囲に配設される。
【0013】
本発明の実施例の基本概念は、応力波の測定を無接触方式にし、この場合、導波路をその軸の周りを回転してよく、かつ測定用部材に妨げられることなく軸方向に移動可能してよいことにある。このことは、特に削岩においては有利である。なぜならば、ツールは典型的には穿孔中に回転装置によって回転されるからである。
【0014】
本発明の実施例の基本概念は、電気容量測定において用いられる少なくとも2つの測定用電極を導波路の長手方向に前後に配設することにある。連続する測定用電極は互いから絶縁されている。このような場合、測定信号を連続する測定用電極からワイヤなどを径て少なくとも1つの制御ユニットへ送信してよく、この場合、測定装置と導波路との間には機械的接触はなく、測定を無接触で行ってよい。
【0015】
本発明の実施例の基本概念は、電気容量測定において用いられる測定用電極を導波路に軸受によって支持し、測定用電極は、導波路が横方向に移動しても導波路に対する位置を保つことにある。このような場合、この導波路の横方向の移動は測定結果には実質的に何の影響も及ぼさない。
【0016】
本発明による実施例の基本概念は、電気容量測定に基づく2つ以上の測定電極を少なくとも1つの測定点において用い、これらの電極を導波路の長手方向に同じ場所ではあるが、互いに対して導波路の相対する側に配設することにある。応力波は導波路の相対する側の電極部品と導波路との間の電気容量を判定することによって測定してよい。このような場合、これらの測定用電極を導波路へ機械的に接続する必要はなく、測定は無接触方式でおこなってよい。他方、測定用電極から得た測定結果は、この測定装置の制御ユニットにおいて、たとえば導波路の横方向の移動をフィルタリングで除去することによって処理してよい。その場合、導波路と測定用電極との間の横方向の動きは測定結果に対しては影響を及ぼさず、応力波は導波路の幾何学的断面における変化にのみ基づいて判定される。
【0017】
本発明による実施例の基本概念は、測定用電極を導波路の最大外径のところに配設することにあり、この場合、測定制度をより高くすることができる。削岩機では、測定用電極をたとえばシャンクの周囲に配設してよい。なぜならば、シャンクの直径は典型的にはドリルロッドの直径よりも大きいからである。
【0018】
本発明の実施例の基本概念は、制御ユニットが測定された応力波に基づいて破岩装置の制御パラメータを調節するよう配設されていることにある。この制御ユニットは1つまたは複数の調整方法を含んでよく、調整方法はたとえばツールの最大貫入率の達成、穿孔における穿設孔の質の改善、ツールおよび機器の長期耐用性の達成、または破岩装置の効率の改善を目的としている。制御パラメータには打撃回数と、打撃エネルギーと、送り強さが含まれてよい。さらに、送り速度、回転速度および注水を削岩における制御パラメータとして用いてよい。
【0019】
本発明の実施例の基本概念は、測定装置は測定結果を保存する少なくとも1つの記憶要素を含んでよいことにある。このような場合、測定結果を保存し、後にたとえば作業現場の岩石の種類を判断し、さらにその作業現場および使用すべき方法を設計する場合に、またはその状態を監視する際に利用してよい。測定結果を別個のコンピュータ装置において処理してもよい。
【0020】
本発明の実施例は、測定装置は測定結果を測定装置から破岩装置もしくは他の装置へ送信する少なくとも1つのデータ送信部材を含むという概念に基づいている。このような場合、測定結果を穿孔工程もしくは破岩工程の制御に用いてよい。
【0021】
本発明の実施例は、電気機械フィルム(EMFi)によって導波路の断面における変化を測定するという概念に基づき、フィルムは導波路の断面が拡大縮小する時に受ける圧縮に反応する。
【0022】
本発明の実施例は、導波路の断面における変化をレーザー光線によって測定するという概念に基づいている。
【0023】
本発明の実施例は、導波路の容積における変化によって応力波を測定するという概念に基づいている。
【発明のいくつかの実施例の詳細な説明】
【0024】
明瞭にするため、図は本発明の複数の実施例を簡略に示す。同図において同じ参照番号は同じ部分を示す。
【0025】
図1は削岩リグ1を示し、削岩リグは、キャリア2と少なくとも1つの送りビーム3とを含み、送りビームには削岩機4が可動的に配設されている。送り装置5によって、削岩機4を削岩すべき岩石に向けて押し、同様にそれから引き離してもよい。送り装置5は、たとえば1つまたは複数の液圧式シリンダを含んでよく、液圧式シリンダは削岩機4を適当な動力伝達手段によって動かすよう配設されてよい。典型的には、送りビーム3はブーム6に配設され、ブーム6はキャリア2に対して移動させられてよい。削岩機4は打撃装置7を含み、打撃パルスを削岩機4に連結されたツール8に与える。ツール8は1つまたは複数のドリルロッドおよびドリルビット10を含んでよい。さらに、ドリル4は回転装置11を含んでツール8をその長手方向の軸について回転させてよい。穿孔中、打撃装置7は打撃パルスをツール8に与え、同時にツールを回転装置11によって回転させてよい。さらに、削岩機4は穿孔中に岩石に向けて押されてドリルビット10によって岩石を破壊することができてよい。削岩を1つまたは複数の制御ユニット12で制御してよい。制御ユニット12はコンピュータもしくは同様のものを含んでよい。制御ユニット12は、削岩リグ4および送り装置5の動作を制御するアクチュエータに対して制御指令を与えてよく、アクチュエータはたとえば圧力媒体を制御する弁などである。削岩機4の打撃装置7や回転装置11および送り装置5は、圧力媒体作動式アクチュエータでもよいし、電気式アクチュエータでもよい。
【0026】
図2aは、ツール8がそのシャンク13に連結されている削岩機4を示す。削岩機4に含まれる打撃装置7は、打撃ピストンなどの打撃要素14を含んでよく、打撃要素は、往復運動しシャンク13の打撃面15を打ち衝撃パルスを生成するよう配設され、この衝撃パルスは材質に応じて一定の速度で圧縮応力波としてシャンク13およびツール8を通じてドリルビット10へ伝播する。削岩の特殊なケースを図2cに示していて、ここではドリルビット10は圧縮応力波p の影響によって岩石16に貫入することができない。その理由は、たとえば岩質16’が非常に硬いためであってもよい。このような場合、最初の応力波p は圧縮応力波h としてドリルビット10から打撃装置7へ反射して戻る。他の特殊なケースを図2dに示すが、ここではドリルビット10は抵抗力を受けることなく前方へ進んでよい。たとえば穿孔を岩石の穴に対して行う場合、貫入抵抗は小さい。このような場合、最初の圧縮応力波p は引張反射波としてドリルビット10から打撃装置7へ反射する。実際の穿孔では、図2aに示すようにドリルビット10は抵抗を受けるが、圧縮応力波p の影響により引き続き前進することができる。ドリルビット10の前進は、その大きさがドリルビット10の岩石16に対する貫入の程度に依存する力によって抵抗を受ける。すなわち、ドリルビット10が深く貫入するほど抵抗力は大きくなり、また逆の場合は小さくなる。したがって実際の穿孔では、反射波h はドリルビット10から反射し、この反射波は引張反射成分と圧縮反射成分の両方を含む。図では、引張応力を(+)記号で、圧縮応力を(-)記号で示す。引張反射成分(+)は反射波h においては常に最初のものであり、圧縮応力成分(-)はそれに続く。その理由は、第一次圧縮応力波p の作用が始まった段階ではドリルビット10の貫入および貫入抵抗は小さく、これによって引張反射成分(+)が生成されるからである。したがって初期状況は、ドリルビット10が大きな抵抗力を受けることなく前進してよい上述の特殊な状況に似ている。他方、第一次圧縮応力波p の作用の最終段階では、ドリルビット10はすでに岩石16へさらに深く貫入していて、この場合、貫入抵抗はより大きくなり、最初の圧縮応力波p はもはや実質的にはドリルビット10を岩石16へさらに深く押し込むことができない。この状況は、ドリルビット10が岩石16へ進入するのを妨げられる上述の第2に特殊なケースに似ている。これにより反射圧縮応力波(-)が生成され、反射圧縮応力波はすぐにドリルビット10から最初に反射した引張応力波(+)に続く。
【0027】
削岩の際、応力波をシャンクやドリルロッドまたはこの両方から測定することができ、したがってこれらは導波路の役目をする。
【0028】
図1bに示す破砕ハンマーでは、チゼルもしくはチゼルホルダが導波路の役目をしてよい。破砕ハンマー20において、打撃装置はツールに応力波を生成し、この応力波はツールの第1端部、すなわち打撃装置側の端部からツールの第2端部へ、次いでツールの第1端部へ伝播する。
【0029】
図3に、本発明による測定原理を示す。変化は、導波路21の幾何学的断面において、そこで移動する応力波として起こる。本発明は断面におけるこの幾何学的変化を測定するという考え、および測定結果を波形、振幅、波長、振動数などの応力波の特性を決定する基礎として用いることに基づいている。圧縮応力波が導波路21を移動する場合、その断面はこの応力波のところで縮む傾向にあり、この場合その断面は広がる。同様に、引張応力波のところで断面は小さくなる。換言すれば、膨張もしくは収縮は、応力波が圧縮応力波であるかまたは引張応力波であるかに基づいて導波路で発生する。図3では、破線a は圧縮応力波の影響による断面の増大を、破線b は引張応力波の影響による断面の収縮を非常に簡略化して示す。測定は導波路21の外径における変化、管状導波路の内径における変化、その断面積における変化、または導波路の容積における変化に基づいてよい。
【0030】
図4aは容量応力波測定の原理を示す。測定装置23に含まれる制御ユニット24に接続された金属リングなどの環状導電性測定用電極22が導波路21の周囲に配設されている。導波路21の外面と測定用電極との間には絶縁層25を配してよく、絶縁層は気体、潤滑油、フラッシング液、または同様のものでよい。応力波が導波路を移動すると、その外径に変化が生じ、これが絶縁層25の厚さに影響を及ぼす。導波路21と絶縁層25と測定用電極22とで形成されているコンデンサの容量は測定装置23によって測定する。測定において、絶縁材料の誘電率は実質的に変化しない。導波路の外面の面積はその断面が変化すると変化し、したがって電気容量にも影響を与える。しかし、この容量は主として絶縁ギャップ26の大きさによって影響を受ける。したがって、絶縁ギャップ26の大きさは電圧を測定することによって決定されてよく、ギャップの大きさは応力波により生じる膨張もしくは収縮に依存する。さらに、導波路21と絶縁ギャップ26と測定用電極22とにより形成されたコンデンサを共振回路もしくは同様のものに接続してよく、この場合、回路における周波数の変化が測定の際に考慮される。電気容量を測定する他の方法も適用してよい。応力波から測定した情報を測定装置の制御ユニット24から破砕装置の制御ユニット12へ送ってよい。
【0031】
さらに、絶縁層25を複数の異なる部分で構成してもよい。たとえば、測定用電極22はプラスチック製ケーシングもしくはフレームを備えてよく、そこには電極22の導電性部材が配設される。この場合、導波路21の外面と電極22との間の絶縁層25はプラスチック材と気体とで構成されてよい。電極22もしくは導波路21またはその両方が絶縁材で作られた被覆剤で被覆されている場合、絶縁層25は複数の異なる部分を含む。測定結果を処理する際に、異なる絶縁部分の影響を考慮してよい。さらに、絶縁層25が複数の重なった部分を含む場合、1つまたは複数の部分を圧縮性のものにして導波路21の断面の変化とその変化の測定を可能にしてよい。
【0032】
図4bはさらに、測定用電極22を複数の部材22aないし22dに分割してよいことを示し、これらの部材はトーラスセクタの形をし、これらの間に絶縁体27aないし27dが配されている。測定用電極の部材27の数は図に示すように4つでよいが、他方、2つ以上であってもよい。測定装置23を、相対する側にある電極部材22aおよび22cと、22bおよび22dとで形成されたコンデンサを測定するのに用いてよく、この場合、測定は無接触方式で行ってよい。さらに、この構造は測定用電極の部材22に対する導波路21のいかなる横方向の移動も考慮することができる。測定情報はこの測定用電極のそれぞれの部材22から制御ユニット24へ送信してよく、そこで測定結果をフィルターにかけて導波路の横方向の移動により生じる誤差を除去してよい。導波路21はたとえば軸受が損傷することにより横断方向に移動してもよい。
【0033】
図5は、2つの測定用電極22a、22bを軸方向に並べて配設した方式を示す。これらの測定用電極22の間には気体ギャップまたは他の絶縁層27がある。必要であれば、3つ以上の測定用電極を軸方向に並べて配設してよい。本実施例において、容量を連続する測定用電極22a、22bと導波路21との間の測定装置23によって測定する。測定は無接触方式で行ってよく、すなわち測定用電極と導波路のとの間には機械的接触がない。さらに、1つまたは複数の測定用電極22を、たとえば図4bに示すように2つ以上の電極部材で構成してよく、この場合、導波路21の偏心により生じる測定誤差をフィルタリングによって除去してよい。
【0034】
図6は、測定用電極22を管状導波路21の内側に配設した実施例を示す。このような場合、導波路21は環状断面を有し、内径と外径とを含む。ここで注目すべきことは、たとえば削岩に用いるドリルロッドおよびシャンクは典型的には環状断面を有し、フラッシング液が供給されることである。測定用電極22を導波路21内で適切な支持部材で支持してよい。測定用電極22は複数の電極部材22a、22bを含み、その場合、電気容量をこれらの部材間で測定してよい。さらに、これは複数の電極部材を含むので、これを導波路内に正確に中央に置く必要はなく、導波路21の中心軸からの逸脱は制御ユニット24で行われる測定結果のフィルタリングの際に考慮すればよい。
【0035】
図7は非常に簡略化した実施例を示すが、ここでは測定用電極22a、22bは導波路21に軸受けによって取り付けられて、導波路21は測定用電極22に対して軸方向に移動し、かつその長手軸の周りを回転してよい。代わりに、測定用電極22は導波路21が横方向に動く場合には、導波路21と共に動くよう配設されている。このような場合、測定用電極22は、たとえ導波路21が何らかの理由でその元の位置から移動した場合でも、導波路21と同軸のままである。測定用電極22を測定用フレーム28に配設してよく、これを1つまたは複数の軸受け29によって導波路21の外面に対して支持してよい。測定用電極22を軸受けによって導波路21の外面に取り付ける他の方法も当然適用してよい。
【0036】
図8は、導波路の幾何学的断面に生じる変化をレーザー干渉計30によって測定する実施例を示す。導波路21の両側にレーザー光線トランシーバ31を設けて導波路21の外面までの距離L1、L2を測定してよい。圧縮応力波により生じる膨張は距離L1、L2における増加として示され、同様に、引張応力波により生じる収縮は距離L1、L2における減少として示される。測定装置の制御ユニット24で測定結果を分析し、これらから応力波の特性を決定してよい。さらに、測定された距離の一方が増加し、他方が減少した場合、測定装置の制御ユニット24はこれを応力波により生じた寸法の変化としてではなく、導波路の横方向の移動として示してよい。レーザー干渉計ではなく、応力波により導波路の横方向に生じる移動を検出可能な他の光学式距離測定装置を用いることができる。
【0037】
図9は、媒体フィルム33を導波路21とドリルフレームなどの基準面32との間の間隙に配設した実施例を示す。この媒体フィルムは導波路断面の寸法変化により生じる圧縮圧の変化に対して反応する。圧縮応力波の影響により、導波路21の外径は大きくなり、その場合、媒体フィルム33は導波路21と基準面32との間にあるので、より大きな圧力が間隙に配設された媒体フィルムに加えられる。同様に、引張応力波が測定点に到達すると、媒体フィルム33に加わる圧力は小さくなる。圧縮圧に対して反応する媒体フィルム33は、たとえば電気機械式フィルム(EMFi)もしくは同様なものでよい。電気機械式フィルムは薄い常時荷電式プラスチックフィルムでよく、その両側は導電層で被覆されていてよい。フィルムに加わる圧迫は、フィルムにより生成される電圧信号として検出することができる。測定装置23の制御ユニット24は、この電圧信号を分析してこれから応力波の特性を判定してよい。図9はさらにデータ通信連絡部36および記憶要素37を示し、これらを測定装置23に接続して測定データを処理してよい。測定データをデータ通信連絡部によって無線もしくは有線で測定装置23から破岩装置の制御ユニット24もしくは他のところへ送信してよい。さらに、測定データを記憶要素37に保存してさらなる処理を行ってよい。記憶要素37に保存された測定データを、状態の監視と岩質に関するデータの収集と採鉱坑もしくは同様なものの設計とに利用することができる。
【0038】
図10は他の実施例を示し、ここでは圧力流体空間34が導波路21の周囲に形成されている。この中で作用する加圧液を圧力センサ35によって測定する。応力波が導波路21の断面における寸法変化をもたらし、この場合、導波路21の容積も関連する軸方向の部分において変化する。導波路21の容積の変化も圧力流体空間34の変化をもたらし、これは圧力測定において圧力パルスとして検出することができる。測定結果を測定装置23の制御ユニット24に送信してよく、制御ユニットは圧力パルスを分析してそれらから応力波の特性を判定してよい。
【0039】
1つまたは複数の制御方法を削岩リグもしくは破砕ハンマーの制御ユニット12に設定して、測定した応力波に基づいて装置の動作を自動調整してよい。調整は手動で行ってもよく、その場合、操作者は制御ユニット12から応力波に基づいて計算された制御データに関する情報を受け、パラメータを手動で調整してよい。破岩装置の制御ユニット12と測定装置23の制御ユニット24は両方とも1つまたは複数のコンピュータを有してよく、そのプロセッサはコンピュータプログラムプロダクトを実行してよい。本発明による測定および調整を行うコンピュータプログラムプロダクトは制御ユニット12、24の記憶装置に保存してよく、またはコンピュータプログラムプロダクトをCD-ROMなどの記憶要素からコンピュータへロードしてもよい。さらに、コンピュータプログラムプロダクトを他のコンピュータからデータネットワークを経て、たとえば制御システムに属する装置へロードしてよい。
【0040】
測定装置23の制御ユニット24は主要機械、たとえば削岩リグもしくは掘削機の制御ユニット12に組み入れてもよく、または別個のユニットとしてもよい。制御ユニット24は測定装置23の内部作業を制御してよく、内部作業にはたとえば測定信号のフィルタリング、演算、保存、表示および他のユニットもしくは他の同様の処理工程への送信などがある。場合によっては、この制御ユニット24は外部の機能もしくは装置を制御してもよい。
【0041】
測定装置23に含まれる電極、センサ、もしくは他の測定部材も接続して測定信号を直接破砕装置の制御ユニット12へ送信してよい。
【0042】
次に、岩石を打撃削岩リグにより削岩し、ツールを移動する応力波を電気容量測定装置により測定する3つの実施例を説明する。
実施例1
図11は時間の一次応力波p と反射応力波h の曲線を関数として示す。ここでは、削岩リグに含まれる打撃装置によって衝撃パルスがツールに与えられていて、これにより一次圧縮応力波がツールに発生していて、この波はツールをその最先端部まで伝播する。送り不足で穿孔が行われた場合、ツールと岩石との間には間隙ができる可能性がある。そのような場合、ツールは間隙があるため最初は貫入抵抗を受けないが、これにより大きな反射引張応力波h+ が発生し、これは打撃装置へ伝播する。ツールと岩石との間に間隙がなくなった後、貫入抵抗は再び大きくなり、これにより大きな反射圧縮応力波h- が発生し、これは反射引張応力波h+ に続いて打撃装置へ伝播する。この形状の反射波h が検出された場合、制御ユニットは穿孔が送り不足で行われたと解釈してよい。その場合、制御動作は送りを増加させるものでよい。
【0043】
図13は電気容量測定装置の測定結果を示し、図12はその測定結果から判定した導波路断面における半径方向の移動を示す。図11ないし図13から分かるように、電気容量の変化と導波路の半径方向の移動は実質的に応力波の形状に一致している。
【0044】
断面における半径方向の移動は次の式で算出してよい。
【0045】
【数1】
ここでνは材料のポアソン定数であり、E は弾性係数であり、r0は非変形断面の外半径である。
【0046】
さらに、環状電極に関する電気容量は次の式を用いて算出してよい。
【0047】
【数2】
ここで、ε0は真空の誘電率であり、εは絶縁体の比誘電率であり、d は環状電極とツールの中心点間の距離(偏心度)であり、r はツールの外径(変形 r=r0+uRを含む)であり、R は電極の内径である。
実施例2
図14は一次応力波p と反射応力波h との曲線を時間の関数として示す。この場合、削岩リグに含まれる打撃装置は衝撃パルスをツールに与えていて、これが一次圧縮応力波p をツールに生成していて、この応力波はツールをその最先端部へ伝播する。非常に軟質の岩を穿孔する場合、貫入抵抗は小さい。ツールは岩石に対して適切に支持されていないので、打撃装置へ伝播する反射波h は一次応力波p から反射され、反射波は大きな反射引張応力波h+ を有す一方、小さい反射圧縮応力波h- しか持たない。なぜなら、軟岩においてはツールの貫入が終わるまで小さな貫入抵抗が生じないからである。したがって、反射波の大部分は主として引張応力から成る。このような反射応力波h が検出された場合、制御ユニットは穿孔が軟岩のタイプに行われたと認識してよい。そのような場合、制御動作は、入来する応力波p の振幅を減衰させるものでよく、これによって穿孔機器に対して有害な反射引張応力波h+ を減衰させることができる。代わりとして、大きい貫入抵抗を有するツールを採用してよい。
【0048】
図14ないし16から分かるように、電気容量における変化と、導波路における半径方向の変動は実質的に応力波の形状に一致する。
実施例3
図17は一次応力波p と反射応力波h との曲線を時間の関数として示す。
【0049】
環状測定用電極は測定すべき導波路の周囲に、すなわち、代表的には削岩機のドリルロッドの周囲に配設してよい。ドリルロッドが測定用電極に対して偏心している場合、偏心は電気容量の変化をもたらす。図18は3つの異なる偏心度値に関する電気容量を示す。
【0050】
相対偏心度dsは次の式で算出してよい。
【0051】
【数3】
しかし、注目すべきは、偏心度の測定方法を有効にするためには、偏心度により生じる電気容量の変化およびドリルロッドにより生じる断面における変化をそれぞれ区別する必要があることである。
【0052】
偏心度が小さい場合、偏心の誤差は、たとえば低周波成分を信号からフィルタリングすることによって除去することができる。これによって図19による信号がもたらされる。
【0053】
偏心誤差は次の式に従って、相対電気容量Csを用いて一層良好に補正することができる。
【0054】
【数4】
ここで、C0は偏心しているが非変形のドリルロッドと電極との間の電気容量である。これはこの測定点において応力波が作用していない状態において電気容量を測定することによって達成される。
【0055】
これによって図20による信号が生成される。
【0056】
さらに注目すべきは、本発明は加圧媒体作動式および電気作動式打撃装置7の両方に関連して適用してもよいことである。応力波を導波路21で生成する装置の種類は本発明の実施には関係がない。したがって応力波は、適切な衝撃および打撃ピストンのない適当な波発生装置によって、たとえば液圧エネルギーから直接発生させてよい。換言すれば、打撃装置もしくは応力波を生成する同様の装置によって導波路内に短い力効果が発生し、この力効果によって導波路に応力波を生成する。この装置によって生成された応力波は圧縮応力波もしくは引張応力波でよい。
【0057】
導波路の幾何学的断面に及ぶ応力波の影響は測定装置により検出可能である。導波路に加えられた応力波と反射応力波の両方が導波路の断面における変化をもたらす。これらの応力波の形状および他の特性は測定装置の制御ユニットにおいて、破岩装置の制御ユニットにおいて、または他の制御ユニットもしくは演算装置において測定結果に基づいて分析されてよい。さらに、この応力波が入来する応力波であるか、あるいは反射応力波であるか否かを判定するばかりでなく、これらのさまざまな波成分を判定してもよい。
【0058】
上述の実施例による測定装置23を打撃装置に関連して配設し、衝撃力や衝撃頻度などを打撃ピストンなどの打撃要素の断面における変化に基づいて判定することもできる。このような場合、その打撃要素は導波路として機能する。
【0059】
穿孔に加えて、本発明による応力波測定を衝撃パルスを用いる他の装置に適用してよく、他の装置とはたとえば破砕ハンマーおよび岩材料もしくは他の硬い材料の破壊を目的とした他の装置などであり、さらにはたとえば杭打ち装置に適用することができる。
【0060】
場合によっては、本願に開示している構成要件をその他の構成要件に関わりなく用いてよい。他方、本願に示されている構成要件を、必要であればさまざまに組み合わせてよい。
【0061】
本図面および関連する説明は本発明概念を説明することのみを目的としている。本発明の内容を本発明の請求の範囲内で変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
添付の図面において発明のいくつかの実施例をより詳細に説明する。
【図1a】削岩リグの概略側面図である。
【図1b】破砕ハンマーの概略側面図である。
【図2a】削岩状態における削岩機およびこれに連結されたツールの概略側面図である。
【図2b】ツールの第1の端部、すなわち打撃装置側の端部と、反射応力の移動とを概略的に示す図である。
【図2c】および
【図2d】穿孔における特殊な状況と、ツールの最先端部、すなわち第2の端部からの応力波の戻り反射とを概略的に示す図である。
【図3】本発明による導波路の断面と応力波の測定原理と概略的に示す図である。
【図4a】導波路の周囲に配設された1つの電極による応力波の電気容量測定をツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図4b】容量測定に基づいて測定用電極を導波路の周囲の複数の電極部分に分割したものをツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図5】軸方向に連続した複数の電極による応力波の電気容量測定を示す概略斜視図である。
【図6】管状導波路内に配設された1つまたは複数の電極による応力波の電気容量測定をツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図7】測定用電極が測定すべき導波路に軸受により支持された装置の概略側面図である。
【図8】レーザー干渉分光法に基づく応力波測定の原理をツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図9】導波路の周囲に配したEMFiフィルムなどの媒体に基づく応力波測定をツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図10】ツール周囲の流体空間の容積における変化に基づく応力波測定をツールの長手方向から見て概略的に示す図である。
【図11】ないし
【図13】岩石を送り不足状態で穿孔している状況において電気容量測定に基づいて決定された曲線を概略的に示す図である。
【図14】ないし
【図16】穿孔すべき岩石が軟岩である状況において電気容量測定に基づいて決定された曲線を概略的に示す図である。
【図17】ないし
【図20】電気容量測定用電極と導波路との間の偏心の補正に関する曲線を概略的に示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路(8、21)を伝播する応力波を測定することを含む破岩において用いられる応力波の測定方法において、
前記応力波が測定点を通過するときに前記導波路(8、21)の断面における幾何学的変化を測定することと、
該断面における変化から該応力波の特性を判定することとを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記導波路(21)の断面における幾何学的変化を、測定用部材(22、31、35)と該導波路(21)との間の機械的接触なしに判定することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記導波路(21)と少なくとも1つの測定用部材(22、31)との間の距離を測定することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法において、
前記導波路(21)と少なくとも1つの測定用電極(22)との間の電気容量を測定することを特徴とする方法。
【請求項5】
少なくとも1つの測定用部材(22、31、35)と、
測定結果を処理する少なくとも1つの制御ユニット(24)とを含む応力波を測定する測定装置において、
該測定装置(23)は前記応力波の影響による導波路(21)の断面における変化を検出する測定用部材(22、31、35)を含み、
前記制御ユニット(24)は、測定された応力波の特性を前記導波路(21)の断面における変化から判定するよう配設されていることを特徴とする測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測定装置において、
該測定装置(23)は前記導波路(21)と少なくとも1つの測定用電極(22)との間の電気容量を判定する手段を含むことを特徴とする測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の測定装置において、
前記測定用電極(22)は前記導波路(21)の周囲に配設可能な環状導電部品であることを特徴とする測定装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の測定装置において、
該測定装置(23)は軸方向に前後に配設された2つの測定用電極(22a、22b)を含み、
絶縁層(27)が該測定用電極(22a、22b)の間に配設され、
前記制御ユニット(24)は、該連続する測定用電極(22a、22b)と前記導波路(21)との間の電気容量を測定するよう配設されていることを特徴とする測定装置。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれかに記載の測定装置において、
該測定装置(23)は測定結果を保存する少なくとも1つの記憶要素を含むことを特徴とする測定装置。
【請求項10】
請求項5ないし9のいずれかに記載の測定装置において、
該測定装置(23)は測定結果を該測定装置(23)から他の装置へ送信する少なくとも1つのデータ送信部材を含むことを特徴とする測定装置。
【請求項11】
フレームと、
ツール(8)と、
該ツール(8)に応力波を発生させる装置(7)と、
該ツール(8)を移動する応力波を測定する測定手段と、
測定された応力波に基づいて破岩装置を制御する少なくとも1つの制御ユニット(12)とを含む破岩装置において、
該破岩装置(4、20)は前記応力波の影響による前記ツール(8)の断面における幾何学的変化を検出する手段を含み、
少なくとも1つの制御ユニット(12、24)は、前記ツール(8)の断面における変化に基づいて応力波の特性を判定して前記破岩装置を制御するよう配設されていることを特徴とする破岩装置。
【請求項12】
請求項11に記載の破岩装置において、
該破岩装置は削岩機(4)であり、該削岩機はシャンク(13)を有し、該シャンクでは打撃装置(7)により応力波が発生し、該シャンクには前記ツール(8)が備えられ、
前記測定手段は少なくとも1つの環状導電性測定用電極(22)を含み、該電極は前記シャンク(13)の周囲に配設され、
該測定用電極(22)は前記シャンク(13)の外径と該測定用電極(22)との間の電気容量を測定するよう配設され、該電気容量は該シャンク(13)の外径と該測定用電極(22)との間の距離に直接比例し、
前記制御ユニット(12、24)は、電気容量における変化から応力波の特性を判定するよう配設されていることを特徴とする破岩装置。
【請求項1】
導波路(8、21)を伝播する応力波を測定することを含む破岩において用いられる応力波の測定方法において、
前記応力波が測定点を通過するときに前記導波路(8、21)の断面における幾何学的変化を測定することと、
該断面における変化から該応力波の特性を判定することとを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記導波路(21)の断面における幾何学的変化を、測定用部材(22、31、35)と該導波路(21)との間の機械的接触なしに判定することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記導波路(21)と少なくとも1つの測定用部材(22、31)との間の距離を測定することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法において、
前記導波路(21)と少なくとも1つの測定用電極(22)との間の電気容量を測定することを特徴とする方法。
【請求項5】
少なくとも1つの測定用部材(22、31、35)と、
測定結果を処理する少なくとも1つの制御ユニット(24)とを含む応力波を測定する測定装置において、
該測定装置(23)は前記応力波の影響による導波路(21)の断面における変化を検出する測定用部材(22、31、35)を含み、
前記制御ユニット(24)は、測定された応力波の特性を前記導波路(21)の断面における変化から判定するよう配設されていることを特徴とする測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測定装置において、
該測定装置(23)は前記導波路(21)と少なくとも1つの測定用電極(22)との間の電気容量を判定する手段を含むことを特徴とする測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の測定装置において、
前記測定用電極(22)は前記導波路(21)の周囲に配設可能な環状導電部品であることを特徴とする測定装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の測定装置において、
該測定装置(23)は軸方向に前後に配設された2つの測定用電極(22a、22b)を含み、
絶縁層(27)が該測定用電極(22a、22b)の間に配設され、
前記制御ユニット(24)は、該連続する測定用電極(22a、22b)と前記導波路(21)との間の電気容量を測定するよう配設されていることを特徴とする測定装置。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれかに記載の測定装置において、
該測定装置(23)は測定結果を保存する少なくとも1つの記憶要素を含むことを特徴とする測定装置。
【請求項10】
請求項5ないし9のいずれかに記載の測定装置において、
該測定装置(23)は測定結果を該測定装置(23)から他の装置へ送信する少なくとも1つのデータ送信部材を含むことを特徴とする測定装置。
【請求項11】
フレームと、
ツール(8)と、
該ツール(8)に応力波を発生させる装置(7)と、
該ツール(8)を移動する応力波を測定する測定手段と、
測定された応力波に基づいて破岩装置を制御する少なくとも1つの制御ユニット(12)とを含む破岩装置において、
該破岩装置(4、20)は前記応力波の影響による前記ツール(8)の断面における幾何学的変化を検出する手段を含み、
少なくとも1つの制御ユニット(12、24)は、前記ツール(8)の断面における変化に基づいて応力波の特性を判定して前記破岩装置を制御するよう配設されていることを特徴とする破岩装置。
【請求項12】
請求項11に記載の破岩装置において、
該破岩装置は削岩機(4)であり、該削岩機はシャンク(13)を有し、該シャンクでは打撃装置(7)により応力波が発生し、該シャンクには前記ツール(8)が備えられ、
前記測定手段は少なくとも1つの環状導電性測定用電極(22)を含み、該電極は前記シャンク(13)の周囲に配設され、
該測定用電極(22)は前記シャンク(13)の外径と該測定用電極(22)との間の電気容量を測定するよう配設され、該電気容量は該シャンク(13)の外径と該測定用電極(22)との間の距離に直接比例し、
前記制御ユニット(12、24)は、電気容量における変化から応力波の特性を判定するよう配設されていることを特徴とする破岩装置。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2009−524013(P2009−524013A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549895(P2008−549895)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050020
【国際公開番号】WO2007/082997
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050020
【国際公開番号】WO2007/082997
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】
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