測定装置
【課題】入遮光位置の測定精度を高める。
【解決手段】検出光を出射する投光素子62と、前記投光素子62と対向配置されたイメージセンサ85と、前記イメージセンサ85から受光信号を読み出す信号読出回路90と、前記受光信号のレベルと所定の基準レベルとを比較し、被検出物が前記検出領域を通過した際に、前記受光信号のレベルが基準レベル以上から前記基準レベル以下に、あるいは前記基準レベル以下から前記基準レベル以上に変化する入遮光位置を測定して出力する測定回路120とを備え、前記信号読出回路90と前記測定回路120の間に、前記信号読出回路90で読み出される受光信号波形から所定周波数の信号成分を除去する第一フィルタ回路100を備える。
【解決手段】検出光を出射する投光素子62と、前記投光素子62と対向配置されたイメージセンサ85と、前記イメージセンサ85から受光信号を読み出す信号読出回路90と、前記受光信号のレベルと所定の基準レベルとを比較し、被検出物が前記検出領域を通過した際に、前記受光信号のレベルが基準レベル以上から前記基準レベル以下に、あるいは前記基準レベル以下から前記基準レベル以上に変化する入遮光位置を測定して出力する測定回路120とを備え、前記信号読出回路90と前記測定回路120の間に、前記信号読出回路90で読み出される受光信号波形から所定周波数の信号成分を除去する第一フィルタ回路100を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像面上における入遮光位置を測定する測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像面上における入遮光位置を測定する測定装置が知られている。例えば、下記特許文献1の測定装置は、検出光を出射する投光ユニットと、出射された検出光を受ける二次元の撮像部を有する受光ユニットとから構成されていて、両ユニットを向い合わせた状態で一定距離離れて配置している。そして、両ユニットの間を吸着ヘッドや部品などの遮光体が横切ると、検出光の一部が遮光体に遮られることから、受光ユニットの受光面には、図8に示すように遮られた部分(同図においてハッチングで示す)だけ信号レベルが低い、部分欠けの受光像ができる。
【0003】
部分欠け受光像のエッジでは、受光信号のレベルが入光/遮光に切り換るので、受光ユニットにて受光信号の読み出しを行って、受光信号のレベルが入光レベルから遮光レベル、或いは遮光レベルから入光レベルに切り替わる入遮光位置を測定することで、部分欠けの受光画像のエッジ位置を求めることが可能であり、こうした受光画像に基づいて遮光体たる部品の姿勢等を認識していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−311336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、受光画像のエッジ位置(入遮光位置)の検出は、受光信号のレベルが入光レベルから遮光レベルに切り替わる位置を測定することにより行われるので、エッジ位置での輝度差(受光信号のレベル差)が大きくシャープな画像ほど、エッジ位置を高精度に検出可能である。しかしながら、近年では、投光ユニットと受光ユニットの相対距離L0(図2参照)が長く設定される場合があり、遮光体が両ユニット間のどの位置を通過するかによって受光画像がなまった画像(すなわちエッジ位置での輝度差が小さい画像)となり、エッジ位置の検出精度が下がることが問題視されていた。また特に、撮像部に形成される受光像中には、投光レンズによる光の屈折による検出光の干渉や、遮光体による検出光の回折により受光縞が出来ることから、この受光縞が受光画像にノイズ成分として重畳し、エッジ位置の検出精度を更に低下させる要因となっていた。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、入遮光位置(エッジ位置)の測定精度を高めるところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、検出光を検出領域に向けて出射する投光手段と、前記投光手段と検出領域をはさんで対向配置され、少なくとも一次元状に配置される複数の受光素子からなる受光手段と、前記受光手段から受光信号を順次読み出す信号読出手段と、前記信号読出手段で読み出された受光信号のレベルと所定の基準レベルとを比較し、被検出物が前記検出領域を通過した際に、前記受光信号のレベルが基準レベル以上から前記基準レベル以下に、あるいは前記基準レベル以下から前記基準レベル以上に変化する入遮光位置を測定して出力する測定手段とを備える測定装置において、前記信号読出手段と前記測定手段の間に配置され、前記信号読出手段で順次読み出される受光信号波形から、所定周波数の信号成分を除去する第一フィルタ回路を備える。
【0008】
この発明の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
・前記所定周波数は、前記受光手段が前記検出光を受光して出来る受光像中に出来る受光縞の空間周波数である。尚、ここでいう受光縞には、検出光の干渉による干渉縞や、回折による回折縞が含まれる。
【0009】
・前記第一フィルタ回路と前記測定手段の間に、前記受光信号波形を二次微分して前記受光信号波形との差分を求めて出力する第二フィルタ回路を設ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フィルタ回路により受光縞のノイズ成分を除去するので、受光信号のレベルが基準レベル以上から前記基準レベル以下に、あるいは前記基準レベル以下から前記基準レベル以上に変化する入遮光位置を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に適用された部品実装機の平面図
【図2】吸着ヘッドに保持された部品が検出光軸を横切る状態を示す斜視図
【図3】測定装置の電気的構成を示すブロック図
【図4】CMOSイメージセンサの受光面を示す図
【図5】デジタルフィルタ回路のブロック図
【図6】部品の姿勢と入射光位置の関係を示す図
【図7】イメージセンサと遮光物体の位置関係を示す図
【図8】部品の姿勢と入射光位置の関係を示す図
【図9】受光信号波形を示す図(デジタルフィルタ回路通過前)
【図10】受光信号波形を示す図(デジタルフィルタ回路通過後)
【図11】受光信号波形を示す図(デジタルフィルタ回路通過前)
【図12】受光信号波形を示す図(デジタルフィルタ回路通過後)
【図13】実施形態2における測定装置の電気的構成を示すブロック図
【図14】受光信号波形を示す図(ラプラシアンフィルタ処理前)
【図15】受光信号波形を示す図(ラプラシアンフィルタ処理後)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図12によって説明する。
本実施形態は、本発明に係る測定装置50を部品実装機10に搭載したものである。部品実装機10は基台11の中央に基板搬送用のコンベア15を設けており、実装対像の基板Fを基台11上に搬入させた後、基台中央寄りの作業位置にて停止させるようになっている。
【0013】
そして、作業位置の側方にあたる図1の下部側には部品供給部16が設けられている。係る部品供給部16にはフィーダ40が多数個横並び状に設置されている。フィーダ40は基板Fに実装される部品Wを供給する機能を担うものである。
【0014】
また、基台11の左右両側には作業位置を間に挟んで、一対のガイドレール21が設置されるとともに、同ガイドレール21を左右に架設してヘッド支持体22が設置されている。係るヘッド支持体22は左右のガイドレール21に沿って図1の上下方向に移動自在な構成となっている。
【0015】
そして、上記ヘッド支持体22には、ヘッドユニット30が装着されている。ヘッドユニット30は、ヘッド支持体22の長手方向に移動自在な構成とされる。これにより、ヘッド支持体22をガイドレール21に沿って上下方向に移動させつつ、ヘッド支持体22に沿ってヘッドユニット30を左右方向に移動させることで、基台11上の任意の位置にヘッドユニット30を水平移動させることができる構成となっている。
【0016】
そして、ヘッドユニット30の下面部には、下方に突出するようにして吸着ヘッド31が取り付けられている(図1中は省略、図2参照)。係る吸着ヘッド31はヘッドユニット30に対して昇降可能な構成とされ、先端には吸着ノズル35を設けている。そして、吸着ノズル35には図外の負圧手段から負圧が供給され、ヘッド先端に吸引力を生じさせる構成となっている。
【0017】
上記の如く構成することで、フィーダ40上の部品Wを以下の要領で取り出すことができる。まず、ヘッドユニット30をフィーダ40上に移動させ、フィーダ40の上方にて停止させる(図1に示す(A)の位置)。
【0018】
その後、吸着ヘッド31を下降させつつ、下降タイミングに合わせて吸着ヘッド31に負圧を供給する。これにより、フィーダ40を通じて供給される部品Wを吸着ヘッド31にて吸着保持できる。
【0019】
あとは、下降状態にある吸着ヘッド31を上昇させてやれば、吸着保持された部品Wは吸着ヘッド31とともに上昇する。これにて、フィーダ40より部品Wが取り出される。
【0020】
そして、部品Wの取り出し作業が完了したら、次に、基板F上に部品を実装するべく、フィーダ上方に位置するヘッドユニット30を作業位置に停止する基板Fの上方に向けて移動させる処理が行われる。
【0021】
これにより、図1の例では、部品Wを保持したヘッドユニット30は基台奥側にあたる図1の紙面上方に移動することとなるが、本実施形態のものは、係る移動過程で後に説明する測定装置50の検出光軸Lを吸着ヘッド31の先端に吸着保持された部品Wが横切ることで(図2参照)、吸着ヘッド31に吸着保持された部品Wの姿勢が検査(以下、検出ともいう)される構成となっている。
【0022】
そして、検査の結果、部品姿勢に異常がなければ、ヘッドユニット30による部品の実装処理が進められ、作業位置に停止する基板F上に部品Wが実装される。
【0023】
次に、測定装置50について説明する。
測定装置50は検出光を、被検出物たる部品Wが通過する検出領域Kに向けて出射する投光ユニット60と、投光ユニット60と検出領域Kを間に挟んで対向配置され、出射された検出光を受ける受光ユニット70とから構成されている。両ユニット60、70は共にケーシング61、71内に各種装置を内蔵させたものである。
【0024】
図3に示すように、投光ユニット60は、レーザダイオードからなる投光素子(すなわち、レーザ光源)62を備えている。係る投光ユニット60は、受光ユニット70と電気的に連なっており、受光ユニット70側の制御回路130より発せられる投光指令に従って、投光素子62をドライブして検出光としてレーザ光を出射する構成となっている。
【0025】
受光ユニット70は、投光ユニット60から出射された検出光を受ける受光部80を備えている。受光部80は集光レンズ81とイメージセンサ85とから構成されている。集光レンズ81は検出光を集光させつつイメージセンサ85上に入光させる機能を担うものであり、イメージセンサ85の前方に設置されている。
【0026】
イメージセンサ85は図4に示すように、受光素子(以下、画素とも言う)Pを行列状に配置して受光面86を形成した二次元のものであり、本実施形態のものは、各受光素子Pに増幅素子を組み込んだCMOS(シーモス)ディバイス構造のCOMSイメージセンサを使用している。
【0027】
尚、CMOSイメージセンサは受光面を構成する複数の受光素子Pの中から、ある受光素子Pを選択して受光信号(信号電荷を内部で増幅して信号電圧にしたもの)を読み出すことが可能なランダムアクセスタイプのディバイスとして知られている。そして、本実施形態に適用のCMOSイメージセンサ85は受光信号の読み出しが垂直ラインVごとに行われる形式となっており、また、読み出し対像となる垂直ラインV1〜V16を任意選択できる。
【0028】
また、CMOSイメージセンサ85が本発明の受光手段に相当している。
【0029】
図3に戻って、説明を続けると、受光ユニット70には、ユニット全体を制御統括する制御回路130、信号読出回路90、デジタルフィルタ回路(本発明の「第一フィルタ回路」に相当)100、測定回路120、記憶部135が設けられている。
【0030】
信号読出回路90は制御回路130より与えられる読出指令に従って、CMOSイメージセンサ85から受光信号の読み出しを行うものである。
【0031】
デジタルフィルタ回路100は、信号読出回路90と測定回路120の間に配置されている。このデジタルフィルタ回路100は、図5に示すようにM次(具体的には6次)のFIR(Finite Impulse Responce)フィルタであり遅延素子T、増幅素子A、加算器Uを6段備えた構成となっている。尚、図5中の「x」は入力信号を示し、「y」は出力信号を示す。このデジタルフィルタ回路100は、信号読出回路90から読み出した受光信号波形(読み出しラインV上の位置を横軸とし、受光信号のレベルを縦軸として受光信号波形)から所定周波数、すなわち受光縞Yの空間周波数帯域の信号成分を除去する回路であり、受光像Zに含まれる受光縞Yの空間周波数を阻止域に含むように、各増幅素子A1〜A7のフィルタ係数a1〜a7を設定している。
【0032】
具体的に説明すると、イメージセンサ85が検出光を受光して出来る受光像Zには受光縞(干渉縞と回折縞の総称)Yが含まれている。これは、投光レンズ(図略)で屈折した検出光が干渉することにより干渉縞が出来、また検出光軸Lを横切る部品W等の遮光物体にて検出光が回折を起こすことにより回折縞が出来るためである。こうした回折縞は、イメージセンサ85から遮光物体までの距離Laに応じて縞の繰り返し周期、すなわち空間周波数が異なる。尚、図6には受光縞Yの一例を模式的に示してある。
【0033】
そのため、本実施形態では、図7に示すように遮光物体である部品Wを、受光ユニット70寄りの近点、中間点、遠点の3箇所に置いて受光像Zの撮影を行い、その結果から、受光縞の一例として回折縞の空間周波数を特定する。
【0034】
詳しく説明すると、まず、各3点について受光像Zの画像データを対象に、フーリエ変換を行い、空間周波数とパワースペクトルの相関を示すパワースペクトルの分布を算出する。
【0035】
これら各3点(近点、中間点、遠点)に部品Wを置いた時の、受光画像は回折縞を除いて同じ画像となるので、3点の受光画像のパワースペクトルの分布を比較して変化の有無を調べることで、遮光物体の通過位置に対応して出来る回折縞の空間周波数を特定することが出来る。すなわち、近点の受光画像のパワースペクル分布について、それ以外の受光画像のパワースペクル分布に対して周波数帯域Faに変化が見られた場合には、部品が近点を通過した時に出来る回折縞の空間周波数は「周波数帯域Fa」とわかる。
【0036】
また、同様に、中間点の受光画像のパワースペクル分布について、それ以外の受光画像のパワースペクル分布に対して周波数帯域Fbに変化が見られた場合には、部品が中間点を通過した時に出来る回折縞の空間周波数は「周波数帯域Fb」とわかる。また、遠点の受光画像のパワースペクル分布について、それ以外の受光画像のパワースペクル分布に対して周波数帯域Fcに変化が見られた場合には、部品が遠点を通過した時に出来る回折縞の空間周波数は「周波数帯域Fc」とわかる。
【0037】
そして、本実施形態では、近点から遠点までのどのポイントを遮光物体が通過しても、それによって出来る受光縞(回折縞)を受光信号波形から除去(フィルタリング)できるように周波数帯域Fa〜Fcを全て阻止域に含むようにフィルタ係数a1〜a7を設定している。尚、この実施形態では、周波数帯域Fa〜Fcが8MHz以上に存在していることから、8MHz以上を阻止域とし、8MHz以下を通過域とするローパスフィルタとなるようにフィルタ係数a1〜a7を設定している。
【0038】
測定回路120は、デジタルフィルタ回路100を通過した受光信号の受光レベル(以下、単にレベルとも言う)を、予め設定された基準レベルRと比較することで、読み出した受光信号のレベルが基準レベルR以上の入光レベルにあるか、基準レベルR以下の遮光レベルにあるかを判別するものである。そして、測定回路120では、検出ラインV上において受光信号のレベルが入光レベルから遮光レベル、或いは遮光レベルから入光レベルに切り替わる入遮光位置が測定される。尚、上記により、本発明の「受光信号のレベルと所定の基準レベルとを比較し、被検出物が前記検出領域を通過した際に、前記受光信号のレベルが基準レベル以上から前記基準レベル以下に、あるいは前記基準レベル以下から前記基準レベル以上に変化する入遮光位置を測定する」が実現されている。
【0039】
そして、測定回路120により測定された結果は、受光ユニット70とは別に設けられた姿勢検出装置140に信号線を介して出力される構成となっている。
【0040】
次に、測定装置50の動作説明を行う。部品実装機10側の制御回路(不図示)から、吸着ヘッド31の移動タイミングを知らせるタイミング信号Srが入力されると、以下の要領で測定が自動的に開始される。
【0041】
順に説明してゆくと、制御回路130は上記タイミング信号Srを受けると、吸着ヘッド31に吸着保持された部品Wが検出光軸Lを横切るタイミングに合わせて投光ユニット60に投光指令を与えて投光素子62をパルス点灯させる。
【0042】
すると、投光素子62より出射された検出光は、集光レンズ81により集光されつつ、CMOSイメージセンサ85の受光面86上に入光する。このとき、検出光の一部が吸着ヘッド31及び、それに吸着保持された部品Wに遮られる。従って、CMOSイメージセンサ85の受光面86には、図8に示すように遮られた部分(同図においてハッチングで示す)だけ受光レベルが低い、部分欠けの受光像Zができる。
【0043】
そして、受光像Zの形成に合わせて、信号読出回路90は検出ラインV上の受光素子Pから受光信号を順に読み出してゆく。その後、読み出された受光信号はデジタルフィルタ回路100に入力される。
【0044】
デジタルフィルタ回路100では8MHz以上の高周波の信号が全て抑圧される。受光像Zに含まれる受光縞(ここでは、回折縞)は、この帯域に含まれているので、受光信号をデジタルフィルタ回路100に通すことで、受光信号波形から受光縞Yによるノイズ成分を除去できる。図9は、デジタルフィルタ回路100を通過する前の受光信号波形であり、図10はデジタルフィルタ回路100を通過後の受光信号波形である。図10の受光信号波形では、図9のそれに対してノイズ成分が除去できていることが理解できる。
【0045】
デジタルフィルタ回路100を通過した受光信号は、その後測定回路120に入力される。測定回路120では、読み出された各受光信号のレベルが入光レベルにあるか、遮光レベルにあるかを検出する処理が行なわれ、検出ラインV上において受光信号のレベルが入光レベルから遮光レベル、或いは遮光レベルから入光レベルに切り替わる入遮光位置が測定される。
【0046】
本例であれば、部品下面より上側は遮光状態となるのに対して、部品下面より下側は入光状態となる。従って、吸着ヘッド31に部品Wが正しく保持された図8の(1)の場合には、入遮光位置は(c)の位置となる。尚、図9、図10の受光信号波形は、部品が正しく保持された図8の(1)のものであり、(c)の位置にて、受光レベルが入光レベルから遮光レベルに切り換っている。一方、吸着ヘッド31に部品Wが立った姿勢で保持された図8の(2)の場合には、(d)の位置が入遮光位置となる。
【0047】
そして、入遮光位置のデータは測定回路120から姿勢検出装置140に出力され、姿勢検出装置140にて入遮光位置のデータに応じた処理が行われる。
【0048】
すなわち、姿勢検出装置140は入遮光位置は(c)の位置であるとするデータを受け取った場合、「正常保持」と判定し、部品実装処理を進める旨の制御信号を部品実装機10に送る。これにより、部品実装機10の主導の下、作業位置に停止する基板Fに部品Wを実装する実装処理が進められることとなる。
【0049】
一方、姿勢検出装置140は入遮光位置は(d)の位置であるとするデータを受け取った場合、「保持エラー」と判定し、エラー信号を部品実装機10に送る。これにより、部品実装機10においてエラー処理が行われることとなる。
【0050】
そして、上記要領で部品Wの姿勢検出、部品Wの実装処理が繰り返し行われることで、基板Fに対する部品Wの実装処理が進められることとなる。
【0051】
次に、本実施形態の効果について説明する。
部品Wが、両ユニット60、70間のどこを通過するかによって受光画像は、シャープな画像(すなわち入遮光位置での輝度差が大きい画像)になったり、なまった画像(すなわち入遮光位置での輝度差が小さい画像)となる。これは、被写体たる部品Wと受光レンズ81との位置関係によりピントがあったり、合わなかったりするからである。
【0052】
ピントが合わず受光画像がなまった波形となる場合、受光信号をデジタルフィルタ回路100に通さないとすると、図11に示すように、なまった受光信号波形に対して、更に受光縞のノイズ成分が重畳するので、入遮光位置を誤検出し易くなる。具体的には、入遮光位置として、正しくは(D)位置と(E)位置の中間位置を検出するべきところ、誤って(D)位置や(E)位置を検出してしまう。
【0053】
この点、本実施形態では、受光信号をデジタルフィルタ回路100に通して、図12に示すように、受光信号波形から受光縞Yの信号成分(すなわち、ノイズ成分)を除去する。そのため、受光信号の入遮光位置を正確に測定できる。具体的には、入遮光位置として、(D)位置と(E)位置のほぼ中間位置にあたる(F)位置を検出する。従って、部品Wの姿勢を正確に認識できる。
【0054】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図13ないし図15によって説明する。
実施形態2の受光ユニット170は、実施形態1の受光ユニット70に対してラプラシアンフィルタ回路(本発明の「第二フィルタ回路」に相当)110を追加したものである。このラプラシアンフィルタ回路110は、デジタルフィルタ回路100と測定回路120の間にあって、デジタルフィルタ回路100を通過した受光信号に対して、以下の処理を行って、後段の測定回路120へ出力する。
【0055】
ラプラシアンフィルタ回路110では、受光信号(原受光信号)の波形データの二次微分を求め、その後、受光信号(原受光信号)に対して二次微分した信号を差し引く処理が行われる。
【0056】
上記処理を行うことで、受光信号の入遮光位置における輝度差が強調される波形データを生成できる。例えば、図13、図14にて一点鎖線で示すように、受光信号は入遮光位置にて輝度差が大きな信号となる。尚、図13、図14では、原受光信号を実線で示し、ラプラシアンフィルタ処理後の受光信号を一点鎖線で示してある。
【0057】
このように、デジタルフィルタ回路100と測定回路120の間に、ラプラシアンフィルタ回路110を設けておけば、デジタルフィルタ回路100の通過に伴って生ずる波形のなまりにより、入射光位置の輝度差が小さくなってしまっても、輝度差を戻すことが可能となるので、後段の測定回路120にて受光信号の入遮光位置を正確に測定できる。従って、部品Wの姿勢を正確に認識できる。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0059】
(1)上記実施形態では、2次元のCMOSイメージセンサ85を受光部80に用いたが、受光素子を二次元的に配置し、かつ任意ラインを選択して、受光信号を読み出すことができるものであれよく、例えば、一次元のラインセンサを複数個並べて受光面を構成するものであってもよい。また、単に一次元のラインセンサであってもよい。
【0060】
(2)上記実施形態では、受光信号波形から回折縞によるノイズ成分を除去する例を説明したが、干渉縞によるノイズ成分も併せて除去することが好ましい。これには、受光信号波形を波形分析することにより、干渉縞の空間周波数を検出して、その帯域を阻止域に含むようにデジタルフィルタ回路(ローパスフィルタ回路)のフィルタ係数を設定すればよい。
【符号の説明】
【0061】
50…測定装置
60…投光ユニット
62…投光素子(本発明の「投光手段」に相当)
70…受光ユニット
80…受光部
81…集光レンズ
85…CMOSイメージセンサ(本発明の「受光手段」に相当)
90…信号読出回路(本発明の「信号読出手段」に相当)
100…デジタルフィルタ回路(本発明の「第一フィルタ回路」に相当)
110…ラプラシアンフィルタ回路(本発明の「第二フィルタ回路」に相当)
120…測定回路(本発明の「測定手段」に相当)
130…制御回路
180…姿勢検出装置
L…検出光軸
W…部品(本発明の「被検出物」に相当)
V…垂直ライン)
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像面上における入遮光位置を測定する測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像面上における入遮光位置を測定する測定装置が知られている。例えば、下記特許文献1の測定装置は、検出光を出射する投光ユニットと、出射された検出光を受ける二次元の撮像部を有する受光ユニットとから構成されていて、両ユニットを向い合わせた状態で一定距離離れて配置している。そして、両ユニットの間を吸着ヘッドや部品などの遮光体が横切ると、検出光の一部が遮光体に遮られることから、受光ユニットの受光面には、図8に示すように遮られた部分(同図においてハッチングで示す)だけ信号レベルが低い、部分欠けの受光像ができる。
【0003】
部分欠け受光像のエッジでは、受光信号のレベルが入光/遮光に切り換るので、受光ユニットにて受光信号の読み出しを行って、受光信号のレベルが入光レベルから遮光レベル、或いは遮光レベルから入光レベルに切り替わる入遮光位置を測定することで、部分欠けの受光画像のエッジ位置を求めることが可能であり、こうした受光画像に基づいて遮光体たる部品の姿勢等を認識していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−311336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、受光画像のエッジ位置(入遮光位置)の検出は、受光信号のレベルが入光レベルから遮光レベルに切り替わる位置を測定することにより行われるので、エッジ位置での輝度差(受光信号のレベル差)が大きくシャープな画像ほど、エッジ位置を高精度に検出可能である。しかしながら、近年では、投光ユニットと受光ユニットの相対距離L0(図2参照)が長く設定される場合があり、遮光体が両ユニット間のどの位置を通過するかによって受光画像がなまった画像(すなわちエッジ位置での輝度差が小さい画像)となり、エッジ位置の検出精度が下がることが問題視されていた。また特に、撮像部に形成される受光像中には、投光レンズによる光の屈折による検出光の干渉や、遮光体による検出光の回折により受光縞が出来ることから、この受光縞が受光画像にノイズ成分として重畳し、エッジ位置の検出精度を更に低下させる要因となっていた。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、入遮光位置(エッジ位置)の測定精度を高めるところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、検出光を検出領域に向けて出射する投光手段と、前記投光手段と検出領域をはさんで対向配置され、少なくとも一次元状に配置される複数の受光素子からなる受光手段と、前記受光手段から受光信号を順次読み出す信号読出手段と、前記信号読出手段で読み出された受光信号のレベルと所定の基準レベルとを比較し、被検出物が前記検出領域を通過した際に、前記受光信号のレベルが基準レベル以上から前記基準レベル以下に、あるいは前記基準レベル以下から前記基準レベル以上に変化する入遮光位置を測定して出力する測定手段とを備える測定装置において、前記信号読出手段と前記測定手段の間に配置され、前記信号読出手段で順次読み出される受光信号波形から、所定周波数の信号成分を除去する第一フィルタ回路を備える。
【0008】
この発明の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
・前記所定周波数は、前記受光手段が前記検出光を受光して出来る受光像中に出来る受光縞の空間周波数である。尚、ここでいう受光縞には、検出光の干渉による干渉縞や、回折による回折縞が含まれる。
【0009】
・前記第一フィルタ回路と前記測定手段の間に、前記受光信号波形を二次微分して前記受光信号波形との差分を求めて出力する第二フィルタ回路を設ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フィルタ回路により受光縞のノイズ成分を除去するので、受光信号のレベルが基準レベル以上から前記基準レベル以下に、あるいは前記基準レベル以下から前記基準レベル以上に変化する入遮光位置を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に適用された部品実装機の平面図
【図2】吸着ヘッドに保持された部品が検出光軸を横切る状態を示す斜視図
【図3】測定装置の電気的構成を示すブロック図
【図4】CMOSイメージセンサの受光面を示す図
【図5】デジタルフィルタ回路のブロック図
【図6】部品の姿勢と入射光位置の関係を示す図
【図7】イメージセンサと遮光物体の位置関係を示す図
【図8】部品の姿勢と入射光位置の関係を示す図
【図9】受光信号波形を示す図(デジタルフィルタ回路通過前)
【図10】受光信号波形を示す図(デジタルフィルタ回路通過後)
【図11】受光信号波形を示す図(デジタルフィルタ回路通過前)
【図12】受光信号波形を示す図(デジタルフィルタ回路通過後)
【図13】実施形態2における測定装置の電気的構成を示すブロック図
【図14】受光信号波形を示す図(ラプラシアンフィルタ処理前)
【図15】受光信号波形を示す図(ラプラシアンフィルタ処理後)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図12によって説明する。
本実施形態は、本発明に係る測定装置50を部品実装機10に搭載したものである。部品実装機10は基台11の中央に基板搬送用のコンベア15を設けており、実装対像の基板Fを基台11上に搬入させた後、基台中央寄りの作業位置にて停止させるようになっている。
【0013】
そして、作業位置の側方にあたる図1の下部側には部品供給部16が設けられている。係る部品供給部16にはフィーダ40が多数個横並び状に設置されている。フィーダ40は基板Fに実装される部品Wを供給する機能を担うものである。
【0014】
また、基台11の左右両側には作業位置を間に挟んで、一対のガイドレール21が設置されるとともに、同ガイドレール21を左右に架設してヘッド支持体22が設置されている。係るヘッド支持体22は左右のガイドレール21に沿って図1の上下方向に移動自在な構成となっている。
【0015】
そして、上記ヘッド支持体22には、ヘッドユニット30が装着されている。ヘッドユニット30は、ヘッド支持体22の長手方向に移動自在な構成とされる。これにより、ヘッド支持体22をガイドレール21に沿って上下方向に移動させつつ、ヘッド支持体22に沿ってヘッドユニット30を左右方向に移動させることで、基台11上の任意の位置にヘッドユニット30を水平移動させることができる構成となっている。
【0016】
そして、ヘッドユニット30の下面部には、下方に突出するようにして吸着ヘッド31が取り付けられている(図1中は省略、図2参照)。係る吸着ヘッド31はヘッドユニット30に対して昇降可能な構成とされ、先端には吸着ノズル35を設けている。そして、吸着ノズル35には図外の負圧手段から負圧が供給され、ヘッド先端に吸引力を生じさせる構成となっている。
【0017】
上記の如く構成することで、フィーダ40上の部品Wを以下の要領で取り出すことができる。まず、ヘッドユニット30をフィーダ40上に移動させ、フィーダ40の上方にて停止させる(図1に示す(A)の位置)。
【0018】
その後、吸着ヘッド31を下降させつつ、下降タイミングに合わせて吸着ヘッド31に負圧を供給する。これにより、フィーダ40を通じて供給される部品Wを吸着ヘッド31にて吸着保持できる。
【0019】
あとは、下降状態にある吸着ヘッド31を上昇させてやれば、吸着保持された部品Wは吸着ヘッド31とともに上昇する。これにて、フィーダ40より部品Wが取り出される。
【0020】
そして、部品Wの取り出し作業が完了したら、次に、基板F上に部品を実装するべく、フィーダ上方に位置するヘッドユニット30を作業位置に停止する基板Fの上方に向けて移動させる処理が行われる。
【0021】
これにより、図1の例では、部品Wを保持したヘッドユニット30は基台奥側にあたる図1の紙面上方に移動することとなるが、本実施形態のものは、係る移動過程で後に説明する測定装置50の検出光軸Lを吸着ヘッド31の先端に吸着保持された部品Wが横切ることで(図2参照)、吸着ヘッド31に吸着保持された部品Wの姿勢が検査(以下、検出ともいう)される構成となっている。
【0022】
そして、検査の結果、部品姿勢に異常がなければ、ヘッドユニット30による部品の実装処理が進められ、作業位置に停止する基板F上に部品Wが実装される。
【0023】
次に、測定装置50について説明する。
測定装置50は検出光を、被検出物たる部品Wが通過する検出領域Kに向けて出射する投光ユニット60と、投光ユニット60と検出領域Kを間に挟んで対向配置され、出射された検出光を受ける受光ユニット70とから構成されている。両ユニット60、70は共にケーシング61、71内に各種装置を内蔵させたものである。
【0024】
図3に示すように、投光ユニット60は、レーザダイオードからなる投光素子(すなわち、レーザ光源)62を備えている。係る投光ユニット60は、受光ユニット70と電気的に連なっており、受光ユニット70側の制御回路130より発せられる投光指令に従って、投光素子62をドライブして検出光としてレーザ光を出射する構成となっている。
【0025】
受光ユニット70は、投光ユニット60から出射された検出光を受ける受光部80を備えている。受光部80は集光レンズ81とイメージセンサ85とから構成されている。集光レンズ81は検出光を集光させつつイメージセンサ85上に入光させる機能を担うものであり、イメージセンサ85の前方に設置されている。
【0026】
イメージセンサ85は図4に示すように、受光素子(以下、画素とも言う)Pを行列状に配置して受光面86を形成した二次元のものであり、本実施形態のものは、各受光素子Pに増幅素子を組み込んだCMOS(シーモス)ディバイス構造のCOMSイメージセンサを使用している。
【0027】
尚、CMOSイメージセンサは受光面を構成する複数の受光素子Pの中から、ある受光素子Pを選択して受光信号(信号電荷を内部で増幅して信号電圧にしたもの)を読み出すことが可能なランダムアクセスタイプのディバイスとして知られている。そして、本実施形態に適用のCMOSイメージセンサ85は受光信号の読み出しが垂直ラインVごとに行われる形式となっており、また、読み出し対像となる垂直ラインV1〜V16を任意選択できる。
【0028】
また、CMOSイメージセンサ85が本発明の受光手段に相当している。
【0029】
図3に戻って、説明を続けると、受光ユニット70には、ユニット全体を制御統括する制御回路130、信号読出回路90、デジタルフィルタ回路(本発明の「第一フィルタ回路」に相当)100、測定回路120、記憶部135が設けられている。
【0030】
信号読出回路90は制御回路130より与えられる読出指令に従って、CMOSイメージセンサ85から受光信号の読み出しを行うものである。
【0031】
デジタルフィルタ回路100は、信号読出回路90と測定回路120の間に配置されている。このデジタルフィルタ回路100は、図5に示すようにM次(具体的には6次)のFIR(Finite Impulse Responce)フィルタであり遅延素子T、増幅素子A、加算器Uを6段備えた構成となっている。尚、図5中の「x」は入力信号を示し、「y」は出力信号を示す。このデジタルフィルタ回路100は、信号読出回路90から読み出した受光信号波形(読み出しラインV上の位置を横軸とし、受光信号のレベルを縦軸として受光信号波形)から所定周波数、すなわち受光縞Yの空間周波数帯域の信号成分を除去する回路であり、受光像Zに含まれる受光縞Yの空間周波数を阻止域に含むように、各増幅素子A1〜A7のフィルタ係数a1〜a7を設定している。
【0032】
具体的に説明すると、イメージセンサ85が検出光を受光して出来る受光像Zには受光縞(干渉縞と回折縞の総称)Yが含まれている。これは、投光レンズ(図略)で屈折した検出光が干渉することにより干渉縞が出来、また検出光軸Lを横切る部品W等の遮光物体にて検出光が回折を起こすことにより回折縞が出来るためである。こうした回折縞は、イメージセンサ85から遮光物体までの距離Laに応じて縞の繰り返し周期、すなわち空間周波数が異なる。尚、図6には受光縞Yの一例を模式的に示してある。
【0033】
そのため、本実施形態では、図7に示すように遮光物体である部品Wを、受光ユニット70寄りの近点、中間点、遠点の3箇所に置いて受光像Zの撮影を行い、その結果から、受光縞の一例として回折縞の空間周波数を特定する。
【0034】
詳しく説明すると、まず、各3点について受光像Zの画像データを対象に、フーリエ変換を行い、空間周波数とパワースペクトルの相関を示すパワースペクトルの分布を算出する。
【0035】
これら各3点(近点、中間点、遠点)に部品Wを置いた時の、受光画像は回折縞を除いて同じ画像となるので、3点の受光画像のパワースペクトルの分布を比較して変化の有無を調べることで、遮光物体の通過位置に対応して出来る回折縞の空間周波数を特定することが出来る。すなわち、近点の受光画像のパワースペクル分布について、それ以外の受光画像のパワースペクル分布に対して周波数帯域Faに変化が見られた場合には、部品が近点を通過した時に出来る回折縞の空間周波数は「周波数帯域Fa」とわかる。
【0036】
また、同様に、中間点の受光画像のパワースペクル分布について、それ以外の受光画像のパワースペクル分布に対して周波数帯域Fbに変化が見られた場合には、部品が中間点を通過した時に出来る回折縞の空間周波数は「周波数帯域Fb」とわかる。また、遠点の受光画像のパワースペクル分布について、それ以外の受光画像のパワースペクル分布に対して周波数帯域Fcに変化が見られた場合には、部品が遠点を通過した時に出来る回折縞の空間周波数は「周波数帯域Fc」とわかる。
【0037】
そして、本実施形態では、近点から遠点までのどのポイントを遮光物体が通過しても、それによって出来る受光縞(回折縞)を受光信号波形から除去(フィルタリング)できるように周波数帯域Fa〜Fcを全て阻止域に含むようにフィルタ係数a1〜a7を設定している。尚、この実施形態では、周波数帯域Fa〜Fcが8MHz以上に存在していることから、8MHz以上を阻止域とし、8MHz以下を通過域とするローパスフィルタとなるようにフィルタ係数a1〜a7を設定している。
【0038】
測定回路120は、デジタルフィルタ回路100を通過した受光信号の受光レベル(以下、単にレベルとも言う)を、予め設定された基準レベルRと比較することで、読み出した受光信号のレベルが基準レベルR以上の入光レベルにあるか、基準レベルR以下の遮光レベルにあるかを判別するものである。そして、測定回路120では、検出ラインV上において受光信号のレベルが入光レベルから遮光レベル、或いは遮光レベルから入光レベルに切り替わる入遮光位置が測定される。尚、上記により、本発明の「受光信号のレベルと所定の基準レベルとを比較し、被検出物が前記検出領域を通過した際に、前記受光信号のレベルが基準レベル以上から前記基準レベル以下に、あるいは前記基準レベル以下から前記基準レベル以上に変化する入遮光位置を測定する」が実現されている。
【0039】
そして、測定回路120により測定された結果は、受光ユニット70とは別に設けられた姿勢検出装置140に信号線を介して出力される構成となっている。
【0040】
次に、測定装置50の動作説明を行う。部品実装機10側の制御回路(不図示)から、吸着ヘッド31の移動タイミングを知らせるタイミング信号Srが入力されると、以下の要領で測定が自動的に開始される。
【0041】
順に説明してゆくと、制御回路130は上記タイミング信号Srを受けると、吸着ヘッド31に吸着保持された部品Wが検出光軸Lを横切るタイミングに合わせて投光ユニット60に投光指令を与えて投光素子62をパルス点灯させる。
【0042】
すると、投光素子62より出射された検出光は、集光レンズ81により集光されつつ、CMOSイメージセンサ85の受光面86上に入光する。このとき、検出光の一部が吸着ヘッド31及び、それに吸着保持された部品Wに遮られる。従って、CMOSイメージセンサ85の受光面86には、図8に示すように遮られた部分(同図においてハッチングで示す)だけ受光レベルが低い、部分欠けの受光像Zができる。
【0043】
そして、受光像Zの形成に合わせて、信号読出回路90は検出ラインV上の受光素子Pから受光信号を順に読み出してゆく。その後、読み出された受光信号はデジタルフィルタ回路100に入力される。
【0044】
デジタルフィルタ回路100では8MHz以上の高周波の信号が全て抑圧される。受光像Zに含まれる受光縞(ここでは、回折縞)は、この帯域に含まれているので、受光信号をデジタルフィルタ回路100に通すことで、受光信号波形から受光縞Yによるノイズ成分を除去できる。図9は、デジタルフィルタ回路100を通過する前の受光信号波形であり、図10はデジタルフィルタ回路100を通過後の受光信号波形である。図10の受光信号波形では、図9のそれに対してノイズ成分が除去できていることが理解できる。
【0045】
デジタルフィルタ回路100を通過した受光信号は、その後測定回路120に入力される。測定回路120では、読み出された各受光信号のレベルが入光レベルにあるか、遮光レベルにあるかを検出する処理が行なわれ、検出ラインV上において受光信号のレベルが入光レベルから遮光レベル、或いは遮光レベルから入光レベルに切り替わる入遮光位置が測定される。
【0046】
本例であれば、部品下面より上側は遮光状態となるのに対して、部品下面より下側は入光状態となる。従って、吸着ヘッド31に部品Wが正しく保持された図8の(1)の場合には、入遮光位置は(c)の位置となる。尚、図9、図10の受光信号波形は、部品が正しく保持された図8の(1)のものであり、(c)の位置にて、受光レベルが入光レベルから遮光レベルに切り換っている。一方、吸着ヘッド31に部品Wが立った姿勢で保持された図8の(2)の場合には、(d)の位置が入遮光位置となる。
【0047】
そして、入遮光位置のデータは測定回路120から姿勢検出装置140に出力され、姿勢検出装置140にて入遮光位置のデータに応じた処理が行われる。
【0048】
すなわち、姿勢検出装置140は入遮光位置は(c)の位置であるとするデータを受け取った場合、「正常保持」と判定し、部品実装処理を進める旨の制御信号を部品実装機10に送る。これにより、部品実装機10の主導の下、作業位置に停止する基板Fに部品Wを実装する実装処理が進められることとなる。
【0049】
一方、姿勢検出装置140は入遮光位置は(d)の位置であるとするデータを受け取った場合、「保持エラー」と判定し、エラー信号を部品実装機10に送る。これにより、部品実装機10においてエラー処理が行われることとなる。
【0050】
そして、上記要領で部品Wの姿勢検出、部品Wの実装処理が繰り返し行われることで、基板Fに対する部品Wの実装処理が進められることとなる。
【0051】
次に、本実施形態の効果について説明する。
部品Wが、両ユニット60、70間のどこを通過するかによって受光画像は、シャープな画像(すなわち入遮光位置での輝度差が大きい画像)になったり、なまった画像(すなわち入遮光位置での輝度差が小さい画像)となる。これは、被写体たる部品Wと受光レンズ81との位置関係によりピントがあったり、合わなかったりするからである。
【0052】
ピントが合わず受光画像がなまった波形となる場合、受光信号をデジタルフィルタ回路100に通さないとすると、図11に示すように、なまった受光信号波形に対して、更に受光縞のノイズ成分が重畳するので、入遮光位置を誤検出し易くなる。具体的には、入遮光位置として、正しくは(D)位置と(E)位置の中間位置を検出するべきところ、誤って(D)位置や(E)位置を検出してしまう。
【0053】
この点、本実施形態では、受光信号をデジタルフィルタ回路100に通して、図12に示すように、受光信号波形から受光縞Yの信号成分(すなわち、ノイズ成分)を除去する。そのため、受光信号の入遮光位置を正確に測定できる。具体的には、入遮光位置として、(D)位置と(E)位置のほぼ中間位置にあたる(F)位置を検出する。従って、部品Wの姿勢を正確に認識できる。
【0054】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図13ないし図15によって説明する。
実施形態2の受光ユニット170は、実施形態1の受光ユニット70に対してラプラシアンフィルタ回路(本発明の「第二フィルタ回路」に相当)110を追加したものである。このラプラシアンフィルタ回路110は、デジタルフィルタ回路100と測定回路120の間にあって、デジタルフィルタ回路100を通過した受光信号に対して、以下の処理を行って、後段の測定回路120へ出力する。
【0055】
ラプラシアンフィルタ回路110では、受光信号(原受光信号)の波形データの二次微分を求め、その後、受光信号(原受光信号)に対して二次微分した信号を差し引く処理が行われる。
【0056】
上記処理を行うことで、受光信号の入遮光位置における輝度差が強調される波形データを生成できる。例えば、図13、図14にて一点鎖線で示すように、受光信号は入遮光位置にて輝度差が大きな信号となる。尚、図13、図14では、原受光信号を実線で示し、ラプラシアンフィルタ処理後の受光信号を一点鎖線で示してある。
【0057】
このように、デジタルフィルタ回路100と測定回路120の間に、ラプラシアンフィルタ回路110を設けておけば、デジタルフィルタ回路100の通過に伴って生ずる波形のなまりにより、入射光位置の輝度差が小さくなってしまっても、輝度差を戻すことが可能となるので、後段の測定回路120にて受光信号の入遮光位置を正確に測定できる。従って、部品Wの姿勢を正確に認識できる。
【0058】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0059】
(1)上記実施形態では、2次元のCMOSイメージセンサ85を受光部80に用いたが、受光素子を二次元的に配置し、かつ任意ラインを選択して、受光信号を読み出すことができるものであれよく、例えば、一次元のラインセンサを複数個並べて受光面を構成するものであってもよい。また、単に一次元のラインセンサであってもよい。
【0060】
(2)上記実施形態では、受光信号波形から回折縞によるノイズ成分を除去する例を説明したが、干渉縞によるノイズ成分も併せて除去することが好ましい。これには、受光信号波形を波形分析することにより、干渉縞の空間周波数を検出して、その帯域を阻止域に含むようにデジタルフィルタ回路(ローパスフィルタ回路)のフィルタ係数を設定すればよい。
【符号の説明】
【0061】
50…測定装置
60…投光ユニット
62…投光素子(本発明の「投光手段」に相当)
70…受光ユニット
80…受光部
81…集光レンズ
85…CMOSイメージセンサ(本発明の「受光手段」に相当)
90…信号読出回路(本発明の「信号読出手段」に相当)
100…デジタルフィルタ回路(本発明の「第一フィルタ回路」に相当)
110…ラプラシアンフィルタ回路(本発明の「第二フィルタ回路」に相当)
120…測定回路(本発明の「測定手段」に相当)
130…制御回路
180…姿勢検出装置
L…検出光軸
W…部品(本発明の「被検出物」に相当)
V…垂直ライン)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出光を検出領域に向けて出射する投光手段と、
前記投光手段と検出領域をはさんで対向配置され、少なくとも一次元状に配置される複数の受光素子からなる受光手段と、
前記受光手段から受光信号を順次読み出す信号読出手段と、
前記信号読出手段で読み出された受光信号のレベルと所定の基準レベルとを比較し、被検出物が前記検出領域を通過した際に、前記受光信号のレベルが基準レベル以上から前記基準レベル以下に、あるいは前記基準レベル以下から前記基準レベル以上に変化する入遮光位置を測定して出力する測定手段とを備える測定装置において、
前記信号読出手段と前記測定手段の間に配置され、前記信号読出手段で順次読み出される受光信号波形から、所定周波数の信号成分を除去する第一フィルタ回路を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記所定周波数は、前記受光手段が前記検出光を受光して出来る受光像中に出来る受光縞の空間周波数であることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記第一フィルタ回路と前記測定手段の間に、前記受光信号波形を二次微分して前記受光信号波形との差分を求めて出力する第二フィルタ回路を設けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【請求項1】
検出光を検出領域に向けて出射する投光手段と、
前記投光手段と検出領域をはさんで対向配置され、少なくとも一次元状に配置される複数の受光素子からなる受光手段と、
前記受光手段から受光信号を順次読み出す信号読出手段と、
前記信号読出手段で読み出された受光信号のレベルと所定の基準レベルとを比較し、被検出物が前記検出領域を通過した際に、前記受光信号のレベルが基準レベル以上から前記基準レベル以下に、あるいは前記基準レベル以下から前記基準レベル以上に変化する入遮光位置を測定して出力する測定手段とを備える測定装置において、
前記信号読出手段と前記測定手段の間に配置され、前記信号読出手段で順次読み出される受光信号波形から、所定周波数の信号成分を除去する第一フィルタ回路を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記所定周波数は、前記受光手段が前記検出光を受光して出来る受光像中に出来る受光縞の空間周波数であることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記第一フィルタ回路と前記測定手段の間に、前記受光信号波形を二次微分して前記受光信号波形との差分を求めて出力する第二フィルタ回路を設けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−16555(P2013−16555A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146557(P2011−146557)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
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