説明

溶解性を改良するためのα−アミノ酸誘導体

本発明は、溶解性の乏しい物質の水または水溶液への溶解性を改良するためのα−アミノ酸誘導体の使用ならびに混合物および好ましい組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解性の乏しい物質の水または水溶液への溶解性を改良するためのα−アミノ酸誘導体の使用ならびに混合物および好ましい組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性化合物は、相対的に少量で生じるか加えられて、大きな生理学的作用をもたらすことができる物質である。これらは現在、我々の毎日の生活に不可欠になっており、例えば、美容ケアにおいても医学的治療および栄養吸収においても重要な役割を果たしている。
【0003】
物質の作用可能性に関して、かつ組成物の薬学的許容性に関して、例えばエマルジョンなどの非固体組成物への活性化合物の十分な溶解性がかなり重要であることが知られている。
【0004】
いくつかの溶解性の乏しい成分では、組成物への十分な溶解性を、再結晶化作用を伴うことなく達成することはかなり困難であることが知られている。
【0005】
特に、例えば、バイオフラボノイド、クロモン、クロマノン、クマリンおよびクマラノンなどの天然産物または天然と同一の産物の使用は、その僅かな溶解性によりかなり制限され得ることが知られている。さらに、不十分な溶解性はまた、数多くの合成成分でかなり欠点を示しうる。挙げることのできるその例は、例えば、UVフィルター、抗酸化剤、セルフタンニング/スキンライトニング活性化合物、アンチエイジング活性化合物などの選択される化粧用活性化合物、さらにはまた薬理学的に活性な化合物である。
【0006】
したがって、この欠点を克服する組成物を開発することが望ましい。同時に、例えば、可溶化剤などの望ましくない二次的成分の使用を介する場合のように、別の欠点が生じるべきではない。
【0007】
化粧品の調製におけるさらなる困難は、化粧用組成物中に組み込もうとする活性化合物が往々にして、酸性pH範囲では十分な溶解性を示さないことである。
【0008】
例えば、Eusolex(登録商標)232(フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、PBSA)は、化粧品中で使用するために、十分な溶解性を達成するために弱アルカリ性にする必要がある。pH7から8の配合物の必要なアルカリpHは、この場合には不利である。対照的に、酸性化粧品が、皮膚の許容性および天然の酸性pHの理由から好ましい。しかしながら、多くの活性化合物、例えばPBSAを酸性範囲で使用することは、スルホン酸の再結晶化がこの場合に生じるので、今日まで可能にはなっていない。化粧用配合物の理想的な値はpH5.5であり、したがって皮膚の天然pHに一致する。
【0009】
通常、PBSAに関するコメントは、こうして配合されるべき有機酸にも通常は当てはまる。有機酸の例は、遊離酸の形態の防腐剤またはさらに、遊離酸の形態の薬理学的に活性な化合物である。
【0010】
加えて、アルカリ性配合物のさらなる欠点は、例えばフェノール物質、または例えばビタミンCおよびビタミンC誘導体(例えば、WO2008017346に開示)などのビタミンのような酸化感受性物質ならびにジヒドロキシアセトンなどのセルフタンニング物質が容易に酸化し得ることであるが、知られている通り、pHを低下させると酸化安定性が生じる。
【0011】
したがって、スキンケア用、化粧用および皮膚用組成物で使用するためにも適している皮膚で許容される可溶化剤が必要とされている。
【0012】
したがって、本発明の対象は、その使用により、溶液のpHがpH7未満であると水への溶解性が乏しい物質の溶解性が改良される化合物を提供することである。
【0013】
意外にも、α−アミノ酸の誘導体が、上記で定義された溶解性の乏しい物質の溶解性を高めるために大いに適していることが発見された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は第1に、1種または複数の溶解性の乏しい物質の水または水溶液への溶解性を改良するために少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体、その塩または水和物を使用することに関する。少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体のα−窒素原子はこの場合、第4級、第3級または第2級である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の目的では、溶解性の乏しい物質とは、詳細には、溶液のpHがpH7未満である場合に、20℃から25℃の温度の水へのその溶解性が1重量%未満である物質であると考えられる。
【0016】
本発明による使用では、したがって、α−アミノ酸誘導体の不存在下で20℃から25℃の温度および3から6.5の組成物のpHでの水へのその溶解性が1重量%未満である物質の溶解性を改良することが好ましい。
【0017】
本発明による使用の利点は、詳細には、良好な皮膚溶解性と、α−アミノ酸誘導体の本発明による使用により、アルカリ領域でしか十分な溶解性を有さない活性化合物を、酸性または中性の化粧用および皮膚用組成物中でも使用することができるようになるという事実である。
【0018】
加えて、本発明により、一方では、酸性pHでは元々は溶解性の乏しい活性化合物を溶解することができ、従ってさらに酸性媒体中で酸化から保護されている物質と組み合わせることができ、他には、アルカリ条件下では不安定でありしたがって酸性媒体中で溶解性の乏しい活性化合物と組み合わせることができなかった物質と組み合わせることが可能になる。
【0019】
例えば、本発明により、元々は中性からアルカリ性媒体にしか溶解し得ない物質のフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(PBSA、Eusolex(登録商標)232)をジヒドロキシアセトンまたはビタミンCなどの酸化感受性物質と酸性媒体中で組み合わせることができる。知られている通り、ジヒドロキシアセトンおよびビタミンCは、アルカリ性媒体中では不安定である。酸性媒体中では、対照的に、PBSAは従来の手順の後には晶出するであろう。
【0020】
本発明の目的では、十分な溶解性という用語は、製品に特異的な貯蔵の間に晶出しない物質の特性を示している。用途に応じて、十分な溶解性とは、詳細には、良好な効力を保証する溶解性と同時に、貯蔵安定性と考えられる。
【0021】
十分な活性化合物を配合物に溶解させることができ、また、貯蔵の間に溶けたままである場合に、即ち再び晶出しない場合に、良好な効力が達成される。
【0022】
本発明による使用では、使用される少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体は、好ましくは、非両性ベタイン、2−ピロリドン−5−カルボン酸および/またはホルムイミノグリシンの誘導体である。
【0023】
ベタインという用語は非常に一般的には、第4級アンモニウム基および酸基を含有する全ての化合物を包含する。一般性を制限することはないが、本発明により使用される非両性ベタインは、特に好ましくはトリメチルグリシンである。
【0024】
使用されるさらなるα−アミノ酸誘導体は、特に好ましくは2−ピロリドン−5−カルボン酸である:
【0025】
【化1】

【0026】
一般性を制限することはないが、本発明により使用されるホルムイミノグリシンの誘導体は、特に好ましくは次の化合物の1種または複数である。
【0027】
【化2】

【0028】
本発明により使用されるホルムイミノグリシンは、非常に特に好ましくはエクトインまたはクレアチニンである。
【0029】
本発明により使用されるα−アミノ酸誘導体は、特に好ましくはホルムイミノグリシンの誘導体である。
【0030】
1種または複数の溶解性の乏しい物質の水または水溶液への溶解性を改良するために使用されるα−アミノ酸誘導体は、非常に特に好ましくはクレアチニンである。
【0031】
全てのα−アミノ酸誘導体はまた、本発明により、その塩または水和物の形態で、例えば、クレアチン水和物の形態で使用することができる。
【0032】
本発明では、クロモン、クロマノン、フラボノイドおよび有機酸からなる群から選択される溶解性の乏しい物質、例えば遊離酸の形態の防腐剤、遊離酸の形態の薬理学的に活性な化合物、遊離酸の形態の化粧用活性化合物の溶解性が好ましくは改良される。特に好ましい有機酸は、芳香族モノスルホン酸である。
【0033】
クロモン誘導体は、好ましくは、老化過程および害のある環境影響に対してヒトの皮膚およびヒトの髪を予防処理するための活性化合物として適しているある種のクロメノン誘導体を意味すると解される。同時に、これらは皮膚に対して低い刺激可能性を示し、皮膚への水の結合に対してプラスの作用を有し、皮膚の弾力性を維持または向上させ、したがって皮膚の平滑化を促進する。
【0034】
一般性を制限することはないが、溶解性が本発明により改良される溶解性の乏しいクロメノンは、特に好ましくは一般式(I)の化合物である
【0035】
【化3】

【0036】
[式中、
1およびR2は、同じでも異なってもよく、H、直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基または直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−ヒドロキシアルキル基を表し、
3は、Hまたは直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基を表し、
4は、HまたはOR7を表し、
5およびR6は、同じでも異なってもよく、H、OHまたは直鎖もしくは分枝鎖C3からC20−アルケニル基を表し、
7は、Hまたは直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基を表し、
ここで、置換基R1、R2、R4からR6のうちの少なくとも2個は、Hとは異なる]。
【0037】
式(I)のクロモン誘導体のうち、5,7−ジヒドロキシ−2−メチルクロモンが特に好ましい。
【0038】
クロマノン誘導体は好ましくは、皮膚または髪の全体的な状態をケア、保護または改良し、ヒトの皮膚およびヒトの髪を時間および/または光に誘発される老化過程に対して予防し、皮膚疾患を予防および/または治療するための活性化合物として適しているクロマノン誘導体を意味すると解される。同時に、これらは皮膚に対して低い刺激可能性を示し、皮膚への水の結合に対してプラスの作用を有し、皮膚の弾力性を維持または向上させ、したがって皮膚の平滑化を促進する。
【0039】
一般性を制限することはないが、溶解性が本発明により改良される溶解性の乏しい物質は、特に好ましくは一般式(II)の化合物である。
【0040】
【化4】

【0041】
式中、
1'およびR2'は、同じでも異なってもよく、
H、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C3からC20−アルケニル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−ヒドロキシアルキル基、
3からC10−シクロアルキル基および/またはC3からC12−シクロアルケニル基(ここで、環はそれぞれ、−(CH2)n−基(n=1から3)により架橋されていてもよい)、
から選択されるか、または
1'およびR2'は、(CH2oにより結合しており、ここで、oは、0、1、2、3、4、5または6を表し、
3'、R4'およびR5'は、それぞれ相互に独立に、
H、OH、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルコキシ基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アシルオキシ基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C3からC20−アルケニル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−ヒドロキシアルキル基
から選択され、
6'は、H、OH、COOH、COCH3
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C3からC20−アルケニル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−ヒドロキシアルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルコキシ基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルコキシカルボニル基または
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アシルオキシ基を表す。
【0042】
式(II)のクロマン−4−オンの誘導体のうち、5,7−ジヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−オンまたは6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−オンが特に好ましく、6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルクロマン−4−オンが非常に好ましい。
【0043】
クロモンまたはクロマノン誘導体から選択される1種または複数の化合物の組成物中での割合は、全体としての組成物に対して好ましくは0.001重量%から5重量%、特に好ましくは0.01重量%から2重量%である。
【0044】
本発明では、フラボノイドは、フラバノン、フラボン、3−ヒドロキシフラボン(=フラボノール)、オーロン、イソフラボンおよびロテノイドの配糖体を意味すると解される[Roempp Chemie Lexikon [Roempp's Lexicon of Chemistry]、Volume 9、1993年]。しかしながら、本発明の目的では、これらはまた、アグリコン、即ち糖不含成分ならびにフラボノイドおよびアグリコンの誘導体を意味すると解される。さらに、フラボノイドという用語はまた、本発明の目的ではアントシアニジン(シアニジン)を意味する。
【0045】
特に化粧品および薬学でのフラボノイドの使用は、それ自体知られている。フラボノイドは一般に、例えば、トロキセルチンおよびα−グルコシルルチンを除いて、溶解性の乏しい化合物である。
【0046】
一般性を制限することはないが、本発明により溶解性が改良される溶解性の乏しい物質は、好ましくはイソケルセチンまたは一般式(III)の化合物である。
【0047】
【化5】

【0048】
式中、
8、R9およびR10は、同じでも異なってもよく、それぞれ相互に独立に、OH、CH3COO、アルコキシまたはモノグリコシド基を表し、ここでアルコキシ基は、分枝鎖または非分枝鎖であってよく、1から8個のC原子を有してよく、
11は、モノ−またはジグリコシド基であり、ここでいずれの場合も、
【0049】
【化6】

【0050】
が、このグリコシド基に−O−基を介して結合しており、
12は、基R8からR10の意味を有し、
ここで、グリコシド基のOH基中の1個または複数の水素原子はそれぞれ、相互に独立に、アセチルにより、または1から8個のC原子を有するアルキル基により置き換えられていてもよい。
【0051】
式(III)の化合物のうち、チリロシドが特に好ましい。
【0052】
上記の少なくとも1種のフラボノイドを好ましくは、対応する配合物中での本発明による使用のために、0.01重量%から10重量%の全量で、より好ましくは0.1重量%から5重量%の量で使用する。
【0053】
遊離酸の形態での適切な防腐剤は、安息香酸、ベンジル酸、ギ酸、プロピオン酸、サリチル酸およびソルビン酸である。α−アミノ酸誘導体の可溶化は、詳細には、防腐作用を著しく改良する。クレアチニンにより、遊離酸の形態の防腐剤もまた、皮膚類似pHを有する組成物中に溶解することができる。
【0054】
芳香族モノスルホン酸は、詳細には化粧品および薬学において、特にUVフィルターとして適している活性化合物である。化粧用および皮膚用組成物でのその使用は知られている。
【0055】
一般性を制限することはないが、本発明により溶解性が改良される芳香族モノスルホン酸は、特に好ましくはアルカリ媒体中でしか水溶性ではなく、2−アリールベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸および3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体の群から選択されるUVフィルターである。
【0056】
【化7】

【0057】
アリールベンゾイミダゾールスルホン酸は、好ましくは、例えば一般式(IV)に一致する。
【0058】
【化8】

【0059】
式中、Arは、非置換か、または1個または複数のC1からC6−アルキルまたは−アルコキシ基により置換されているフェニルである。
【0060】
式IVの化合物のうち、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸が特に好ましい。
【0061】
【化9】

【0062】
3−ベンジリデンカンファーのモノスルホン酸誘導体は、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸または2−メチル−5−(オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸である。
【0063】
【化10】

【0064】
一般性を制限することはないが、例えば、チリロシド、5,7−ジヒドロキシ−2−メチルクロメン−4−オンまたはEusolex(登録商標)232(2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸)の水または水溶液への溶解性が、2−ピロリドン−5−カルボン酸、エクトイン、ヒドロキシエクトイン、クレアチンまたはクレアチニンの使用により改良される。
【0065】
2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸を特に好ましくは、水または水溶液中で溶解性の乏しい物質として使用する。
【0066】
好ましい水溶液は例えば、水と、メタノール、エタノールまたはプロパノールなどのアルコール、特に好ましくはエタノールとの混合物である。アルコールと水との重量比は、好ましくは10:1から1:100、特に好ましくは5:1から1:50である。しかしながら、アルコールを含まない水溶液の実施形態も好ましい。このタイプの水溶液では、芳香族モノスルホン酸、特に2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸の溶解性が特に好ましく改良される。
【0067】
クレアチニンとPBSAの特に好ましい組合せの利点は、改良された毛髪ケアまたは毛髪保護のためにUVフィルターPBSAと毛髪との結合が改良されることである。さらに、UVにより誘発される色変化に対して染毛剤または染毛された毛髪の有効なUV保護をこうして達成することができる。
【0068】
クレアチニンとPBSAの特に好ましい組合せのさらなる利点は、この組合せを含む組成物の耐水性である。前記の毛髪ケア作用と同様に、クレアチニンはPBSAの皮膚直接性を向上させる。このことにより、組成物、特に日焼け止め製品の耐水性が改良される。クレアチニンとPBSAとのこの好ましい組合せを使用すると、PBSA含有製品の汗または水分に対する耐性が改良される。
【0069】
本発明はさらに、上記で定義された少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体および少なくとも1種の溶解性の乏しい物質を含む組成物、好ましくは化粧用組成物、医薬組成物、医用製品または食品に関し、ここで、組成物に対してα−アミノ酸誘導体の重量パーセントでの割合は、溶解性の乏しい物質の重量パーセントでの割合よりも高い。
【0070】
一実施形態では、α−アミノ酸誘導体が2−ピロリドン−5−カルボン酸、クレアチニン、クレアチン、エクトインおよびヒドロキシエクトインから選択される組成物が好ましく、クレアチニンが非常に特に好ましくは選択される。さらに、溶解性の乏しい物質が芳香族モノスルホン酸である組成物が好ましい。非常に特に好ましい組成物は、クレアチニンおよびPBSAを含む。
【0071】
本発明による組成物の好ましい実施形態では、少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体は、0.05重量%から20重量%の量で、好ましくは0.5重量%から10重量%の量で、特に好ましくは1重量%から5重量%の量で存在する。
【0072】
組成物のさらなる好ましい実施形態では、少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体および少なくとも1種の芳香族モノスルホン酸は、10:1から1.1:1、好ましくは5:1から1.5:1、非常に特に好ましくは3:1から2:1の重量パーセントの比で存在する。
【0073】
本発明によるこの組成物の利点は、組成物の水性相のpHが7未満、好ましくは6.5未満であることである。言い換えると、組成物の水性相の好ましいpH範囲は、pH4.5から6.5、特に好ましくはpH5から6である。
【0074】
この場合の組成物は通常、局所で適用されてよい組成物、例えば化粧用もしくは皮膚用配合物または医用製品である。この場合、組成物は、化粧用または皮膚用に適した媒体、および所望の特性プロファイルに応じて、場合によってさらなる適切な成分を含む。医薬組成物の場合には、組成物は、薬学的に許容される賦形剤、および場合によってさらなる薬学的に活性な化合物を含む。食品サプリメントの場合には、この目的のために適した媒体を選択すべきである。
【0075】
組成物が香料である場合、本発明の一変法では、さらなる助剤が、香気または香油ならびにフラボノイドならびに水などの典型的な担体物質、アルコールなどの溶媒、油ならびに場合による乳化剤の他には存在しないことが好ましい。芳香活性香料成分の場合、これらの成分の制御放出のためにクレアチニンを使用することができる。
【0076】
本発明の目的では、製剤または配合物という用語はまた、組成物という用語と共に同義的に使用されている。
【0077】
組成物中で使用することができる化合物または成分は全て、知られていて市販されているか、知られている方法により合成することができる。
【0078】
本発明はさらに、好ましくは、2−ピロリドン−5−カルボン酸、クレアチニン、クレアチン、エクトインおよびヒドロキシエクトインから選択される少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体、ならびに好ましくは、クロモン、クロマノン、フラボノイドおよび有機酸、特定すると芳香族モノスルホン酸から選択される少なくとも1種の溶解性の乏しい物質を含む混合物、詳細には固体混合物に関する。この混合物は、詳細には化粧品、医薬組成物、医用製品または食品製剤の調製に適している。
【0079】
本発明による混合物の好ましい実施形態では、少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体および少なくとも1種の溶解性の乏しい物質は、10:1から1.1:1、好ましくは5:1から1.5:1、非常に特に好ましくは3.5:1から2:1の重量パーセント比で存在する。
【0080】
さらに好ましい実施形態では、本発明による混合物は、90重量%から11重量%の上記で定義された少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体および45重量%から10重量%の上記で定義された少なくとも1種の溶解性に乏しい物質を含む。上記で定義された2種の主な成分の他に、混合物は、例えば剥離剤などのさらなる物質を追加的に含むことができる。使用することができる剥離剤は、例えばケイ酸(Aerosil)、タルク、酸化亜鉛またはデンプンである。
【0081】
本発明による混合物中の溶解性の乏しい物質は非常に特に好ましくは、好ましくは上記の式IVの2−アリールベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸または3−ベンジリデンカンファーの誘導体の群から選択される芳香族モノスルホン酸である。2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸およびソルビン酸または2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸もしくはソルビン酸が特に好ましくは、本発明による混合物中の溶解性の乏しい物質として選択される。クレアチニンを特に好ましくは、本発明による混合物中のα−アミノ酸誘導体として使用する。実施形態のさらなる好ましい組合せは、請求項において開示する。
【0082】
本発明による混合物は、当業者によく知られている技術を用いて調製することができる。例えば、α−アミノ酸誘導体を適切な溶媒、好ましくは水または水溶液に溶解し、溶解性の乏しい物質を加え、適切な技術を使用して、再び溶媒を除去する。例えば、蒸留、凍結乾燥または噴霧乾燥が適している。噴霧乾燥が特に適している。
【0083】
したがって、本発明はさらに上記の混合物を調製する方法に関し、これはα−アミノ酸誘導体を適切な溶媒に溶解し、溶解性の乏しい物質および場合によって剥離剤を加え、溶媒を除去することを特徴とする。
【0084】
α−アミノ酸誘導体としてクレアチニンを含む混合物を調製する好ましい方法は、初めにクレアチンを水に40℃から50℃の温度で溶解し、溶解性の乏しい物質および場合によって剥離剤を続いて、40℃から50℃の温度で加え、溶液を噴霧乾燥に掛けることを特徴とする。噴霧乾燥は例えば、160℃から240℃の供給空気温度および80℃から120℃の排出空気温度で実施する。
【0085】
組成物または混合物は、前記必須成分または任意選択の成分を包含するか、または含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなってよい。
【0086】
本発明により少なくとも1種のα−アミノ酸の誘導体および少なくとも1種の溶解性の乏しい物質を含む前記の組成物および混合物では、顔料が存在することもまた可能であり、ここで顔料の層構造は限られない。
【0087】
着色顔料は、好ましくは0.5重量%から5重量%の使用で皮膚色調または茶色であるべきである。対応する顔料の選択は当業者であれば熟知している。
【0088】
有利な着色顔料は例えば、二酸化チタン、マイカ、酸化鉄(例えば、Fe23、Fe34、FeO(OH))および/または酸化スズである。有利な染料は、例えばカルミン、ベルリンブルー、酸化クロムグリーン、ウルトラマリンブルーおよび/またはマンガンバイオレットである。
【0089】
下記のリストからの染料および/または着色顔料を選択することが特に有利である。カラーインデックス番号(CINs)は、Rowe Colour Index、第3版、Society of Dyers and Colourists、Bradford、England、1971年からとった。
【0090】
【表1−1】

【0091】
【表1−2】

【0092】
【表1−3】

【0093】
【表1−4】

【0094】
【表1−5】

【0095】
【表1−6】

【0096】
下記に挙げられる真珠箔顔料のタイプが特に好ましい:
1.例えば、
「パールエッセンス」(魚鱗からのグアニン/ヒポキサンチン混合結晶)および
「真珠層」(摩砕されたムラサキイガイの貝殻)
などの天然真珠箔顔料、
2.例えばオキシ塩化ビスマス(BiOCl)などの単結晶真珠箔顔料、
3.層状物質顔料:例えばマイカ/金属酸化物。
【0097】
真珠箔顔料のためのベースは、例えばオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンの粉末状顔料またはヒマシ油分散液、さらに、マイカ上のオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンにより形成される。例えばCIN77163に挙げられている光沢顔料が特に有利である。
【0098】
また、例えばマイカ/金属酸化物をベースとする下記の真珠箔顔料タイプが有利である。
【0099】
【表2】

【0100】
例えば、MerckからTimiron(登録商標)、Colorona(登録商標)、Dichrona(登録商標)、Xirona(登録商標)またはRonastar(登録商標)の商品名で得られる真珠箔顔料が特に好ましい。
【0101】
前記真珠箔顔料のリストは勿論、制限を意図していない。本発明の目的に有利な真珠箔顔料は、それ自体知られている数多くの経路により得ることができる。例えば、マイカとは別の他の基材をまた、例えばシリカなどのさらなる金属酸化物でコーティングすることができる。例えば、Merckにより販売されていて、微細なしわを光学的に減らすのに特に適しているTiO2−およびFe23コーティングされたSiO2粒子(「ロナスフェア(Ronasphere)」グレード)が有利である。
【0102】
加えて、マイカなどの基材を完全に省くことが有利なことがある。SiO2を使用して調製された真珠箔顔料が特に有利である。また、角度有彩作用(goniochromatic effects)を追加的に有することもあるこのような顔料を、例えば、Sicopearl Fantasticoの商品名でBASFから入手することができる。
【0103】
また、二酸化チタンでコーティングされているホウケイ酸カルシウムナトリウムをベースとするEngelhard/Mearl顔料を使用することが、有利であることがある。これらは、Reflecks(登録商標)の名称で入手することができる。40〜80μmのその粒径により、これらは色に加えて光沢作用を有する。
【0104】
また、Flora TechからMetasomes(登録商標)Standard/Glitterの商品名で様々な色(黄色、赤色、緑色、青色)で入手することができる効果顔料が特に有利である。光沢粒子はこの場合、様々な助剤と染料(例えば色指数(CI)番号19140、77007、77289、77491を有する染料など)との混合物の形態である。
【0105】
本発明による組成物または混合物は加えて、好ましくは、例えば忌避剤、特に昆虫忌避剤、UVフィルター、アリールオキシムおよびパラベンなどのさらなる活性物質を含むこともできる。
【0106】
多くの忌避剤活性化合物は、アミド、アルコール、エステルおよびエーテルの物質群に属する。忌避剤はこの場合通常、次の条件を満たすべきである。これらは、あまり早く蒸発してはならず、皮膚に浸透してはならない。これらは、原発性の刺激または感作作用を皮膚に有してはならず、加えて非毒性であるべきである。その効力はまた、皮膚の水分および/またはUV放射線に曝露された場合にも保持されるべきである。
【0107】
好ましい忌避剤は、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド、3−(アセチルブチルアミノ)プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、プトピロンオキシル、2,3,4,5−ビス(2−ブチレン)テトラヒドロ−2−フルアルデヒド、N,N−ジエチルカプリルアミド、N,N−ジエチルベンズアミド、o−クロロ−N,N−ジエチルベンズアミド、N−(2−エチルヘキシル)−8,9,10−トリノルボルン−5−エン−2,3−ジカルボキシミド、ジメチルカルバート、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、(R)−p−メンタ−1,8−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、N−オクチルビシクロへペテンジカルボキシミド(octylbicyclohepetenedicarboximide)、ピペロニルブトキシド、1−(2−メチルプロピルオキシカルボニル)−2−(ヒドロキシエチル)ピペリジン(Bayrepel(登録商標);Bayer)またはその混合物から選択され、ここで、特に好ましくは、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド、3−(アセチルブチルアミノ)プロピオン酸エチル、1−(2−メチルプロピルオキシカルボニル)−2−(ヒドロキシエチル)ピペリジンまたはその混合物から選択される。
【0108】
パラベンは、遊離形態またはナトリウム塩として、食品、化粧品および医薬品の分野において組成物を防腐するために使用される、4−ヒドロキシ安息香酸エステルである。このエステルの作用は、アルキル基の鎖長に正比例するが、逆に、溶解性は鎖長が長くなるにつれて低下する。非解離化合物として、エステルは実質的にpH依存性であり、3.0〜8.0のpH範囲で作用する。抗菌作用の機構は、PHBエステルの表面活性による微生物膜の損傷およびタンパク質変質に基づく。加えて、相互作用が補酵素と共に生じる。作用は、カビ、酵母および細菌を対象としている。防腐剤として最も重要なパラベンは、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピルおよび4−ヒドロキシ安息香酸ブチルである。
【0109】
アリールオキシムのうち、HMLO、LPOまたはF5としても知られている2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを使用することが好ましい。化粧用組成物中で使用するためのその適性は、例えばドイツ特許第4116123号に開示されている。2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを含む組成物はしたがって、炎症を随伴する皮膚疾患を治療するために適している。このタイプの組成物は、例えば乾癬、様々な形態の湿疹、刺激性および中毒性皮膚炎、UV皮膚炎ならびに皮膚および皮膚外肢の他のアレルギー性および/または炎症性疾患を治療するために使用することができることが知られている。前記化合物(複数可)に加えて、アリールオキシム、好ましくは2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを追加的に含む本発明による組成物は、意外な抗炎症適性を示す。組成物はこの場合、好ましくはアリールオキシム0.01から10重量%を含み、組成物が、アリールオキシム0.05から5重量%を含むことが特に好ましい。
【0110】
組成物が1種または複数の抗酸化剤を含む場合、酸化ストレスに対する、または遊離基の作用に対する組成物の保護作用を改良することができ、この場合、直ちにまたは遅れて適切に作用する抗酸化剤を選択する際に、当業者には困難はまったくない。
【0111】
したがって、好ましい実施形態では、組成物は、酸化ストレスに対して体細胞を保護するための、特に皮膚の加齢を低減するための組成物であり、これは他の成分の他に1種または複数の抗酸化剤を含むことを特徴とする。
【0112】
抗酸化剤として使用することができる、専門文献から知られている実証されている物質が多く存在し、例えばアミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(例えばアンセリン)などのペプチド、カロテノイド、カロテン(例えば、α−カロテン、β−カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンならびにそのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびその塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)ならびにスルホキシイミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−およびヘプタチオニンスルホキシイミン) (非常に低い耐量で(例えば、pmolからμmol/kg))、ならびにまた、(金属)キレート剤(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、酢酸ビタミンE)、ビタミンAおよび誘導体(例えば、パルミチン酸ビタミンA)ならびにベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、セレニウムおよびその誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、酸化スチルベン、酸化トランス−スチルベン)である。
【0113】
適切な抗酸化剤はまた、一般式AまたはBの化合物であり
【0114】
【化11】

【0115】
[式中、
1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2および−C(O)N(R42の群から選択することができ、
Xは、OまたはNHを表し、
2は、1から30個のC原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを表し、
3は、1から20個のC原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを表し、
4は、それぞれの場合、相互に独立に、Hまたは1から8個のC原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキルを表し、
5は、Hまたは1から8個のC原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキルまたは1から8個のC原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルコキシを表し、
6は、1から8個のC原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルを表す]、好ましくは、2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロン酸および/または2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロン酸の誘導体、特に好ましくは、ビス(2−エチルヘキシル)2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロネート(例えば、Oxynex(登録商標)ST Liquid)および/またはビス(2−エチルヘキシル)2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロネート(例えば、RonaCare(登録商標)AP)である。
【0116】
抗酸化剤の混合物も同様に、本発明による化粧用組成物中での使用に適している。知られている市販の混合物は、例えば活性成分として、レシチン、L−(+)−アスコルビルパルミテートおよびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)AP)、天然トコフェロール、L−(+)−アスコルビルパルミテート、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)K LIQUID)、天然源からのトコフェロール抽出物、L−(+)−アスコルビルパルミテート、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)L LIQUID)、DL−α−トコフェロール、L−(+)−アスコルビルパルミテート、クエン酸およびレシチン(例えば、Oxynex(登録商標)LM)またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L−(+)−アスコルビルパルミテートおよびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)2004)を含む混合物である。このタイプの抗酸化剤は通常、本発明による化合物を有するこのような組成物中で、1000:1から1:1000の範囲の重量パーセント比で、好ましくは100:1から1:100の重量パーセント比で使用される。
【0117】
適切な抗酸化剤はさらに、ドイツ特許出願第10244282号に記載されている式(C)の化合物である。
【0118】
【化12】

【0119】
式中、
1からR10は、同じでも異なってもよく、
H、
OR11
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C3からC20−アルケニル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−ヒドロキシアルキル基(ここで、ヒドロキシル基は鎖の第1もしくは第2の炭素原子に結合していてよく、さらにアルキル鎖は酸素により中断されていてもよい)および/または
3からC10−シクロアルキル基および/またはC3からC12−シクロアルケニル基(ここで、環はそれぞれ、−(CH2)n−基(n=1から3)により架橋されていてもよい)、
から選択され、
OR11は全て、相互に独立に、
OH、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルコキシ基、
直鎖もしくは分枝鎖C3からC20−アルケニルオキシ基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−ヒドロキシアルコキシ基(ここで、ヒドロキシル基は、鎖の第1もしくは第2の炭素原子に結合していてよく、さらに、アルキル鎖は、酸素により中断されていてもよい)および/または
3からC10−シクロアルキル基および/またはC3からC12−シクロアルケニルオキシ基(ここで、環はそれぞれ、−(CH2n−基(n=1から3)により架橋されていてもよい)および/または
モノ−および/またはオリゴグリコシル基を表し、
ただし、R1からR7の少なくとも4個の基はOHを表し、隣接する−OH基の少なくとも2対が分子中に存在するか、または
2、R5およびR6はOHを表し、基R1、R3、R4およびR710はHを表す。
【0120】
使用される組成物または混合物は、さらなる成分としてビタミンを含んでよい。ビタミンA、プロピオン酸ビタミンA、パルミチン酸ビタミンA、酢酸ビタミンA、レチノール、ビタミンB、塩化チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、酢酸トコフェロールE、水素コハク酸トコフェロール、ビタミンK1、エスクリン(ビタミンP活性化合物)、チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバラミン(ビタミンB12)、特に好ましくは、パルミチン酸ビタミンA、ビタミンCおよびその誘導体、DL−α−トコフェロール、酢酸トコフェロールE、ニコチン酸、パントテン酸およびビオチンから選択されるビタミンおよびビタミン誘導体が好ましい。化粧用の用途では、ビタミンを通常、フラボノイド含有プレミックスまたは組成物と共に、全重量に対して0.01から5.0重量%の範囲で加える。栄養−生理学的用途は、個々の推奨されるビタミン要求に左右される。
【0121】
好ましい組成物はまた、日焼け防止のために役立ち得る。したがって、本発明による組成物または混合物はまた、α−アミノ酸誘導体および溶解性の乏しい物質および任意の他の成分の他にUVフィルターを含むことができる。
【0122】
原則として、全てのUVフィルターがα−アミノ酸誘導体と組み合わせて本発明により使用するために適している。生理学的許容性が既に証明されているUVフィルターが特に好ましい。UVAおよびUVBフィルターのいずれでも、専門文献から知られている多くの証明されている物質が存在し、例えば、
3−(4'−メチルベンジリデン)−dl−カンファー(例えばEusolex(登録商標)6300)、3−ベンジリデンカンファー(例えばMexoryl(登録商標)SD)、N−[(2および4)−[(2−オキソボルン−3−イリデン)メチル]ベンジル]アクリルアミドのポリマー(例えばMexoryl(登録商標)SW)またはN,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウムメチルスルフェート(例えばMexoryl(登録商標)SK))などのベンジリデンカンファー誘導体、
1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン(例えばEusolex(登録商標)9020)または4−イソプロピルジベンゾイルメタン(例えばEusolex(登録商標)8020)などのベンゾイル−またはジベンゾイルメタン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(例えば、Eusolex(登録商標)4360)または2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸のナトリウム塩などのベンゾフェノン、
オクチルメトキシシンナメート(例えばEusolex(登録商標)2292)、例えば、異性体の混合物としてのイソペンチル4−メトキシシンナメート(例えばNeo Heliopan(登録商標)E1000)などのメトキシケイ皮酸エステル、
2−エチルヘキシルサリチレート(例えばEusolex(登録商標)OS)、4−イソプロピルベンジルサリチレート(例えばMegasol(登録商標))または3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレート(例えばEusolex(登録商標)HMS)などのサリチレート誘導体、
2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンゾイミダゾール−4,6−ジスルホン酸およびその塩(例えばNeoheliopan(登録商標)AP)などのフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸のカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩ならびに
2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(例えばEusolex(登録商標)OCR)、
3,3'−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イル−メタンスルホン酸およびその塩(例えばMexoryl(登録商標)SX)、
2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2'−エチルヘキシル−1'−オキシ)−1,3,5−トリアジン(例えばUvinul(登録商標)T150)および
ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(例えばUvinul(登録商標)UVA Plus、BASF)などのさらなる物質である。
【0123】
リストに挙げられた化合物は、例としてのみ見なされるべきである。また勿論、他のUVフィルターを使用することもできる。
【0124】
さらなる適切な有機UVフィルターは例えば、
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(例えばSilatrizole(登録商標)、ドロメトリゾール、トリシロキサン、Mexoryl(登録商標)XL)、
2−エチルヘキシル4,4'−[(6−[4−[(1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル]フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(ベンゾエート)(例えばUvasorb(登録商標)HEB)、
α−(トリメチルシリル)−ω−[トリメチルシリル)オキシ]ポリ[オキシ(ジメチル)[および約6%のメチル[2−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル]ビニル]フェノキシ]−1−メチレンエチル)および約1.5%のメチル[3−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル)ビニル]フェノキシ]プロペニル]および0.1から0.4%の(メチル水素)シリレン]](n≒60)(CAS No.207 574−74−1)、
2,2'−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(CAS No.103 597−45−1)、
2,2'−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンゾイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、一ナトリウム塩)(CAS No.180 898−37−7)ならびに
2,4−ビス[[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS No.103 597−45−、187 393−00−6)である。
【0125】
さらなる適切なUVフィルターはまた、ドイツ特許出願第10232595号に対応するメトキシフラボンである。
【0126】
有機UVフィルターは一般に0.5から20重量パーセント、好ましくは1〜15重量%の量で配合物中に組み込まれる。
【0127】
最適化されたUV保護を保証するために、光保護特性を有する組成物が、無機UVフィルターも含むことがさらに好ましい。考えうる無機UVフィルターは、例えばコーティングされた二酸化チタン(例えば、Eusolex(登録商標)T−2000、Eusolex(登録商標)T−AQUA、Eusolex(登録商標)T−AVO)などの二酸化チタン、酸化亜鉛(例えばSachtotec(登録商標))、酸化鉄またはさらに酸化セリウムの群からのものである。これらの無機UVフィルターは一般に、0.5から20重量パーセント、好ましくは2〜10重量%の量で化粧用組成物に組み込まれる。
【0128】
UVフィルター特性を有する好ましい化合物は、3−(4'−メチルベンジリデン)−dl−カンファー、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルメトキシシンナメート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレート、2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸ならびにそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩である。
【0129】
UV放射線の有害な作用に対する保護作用は、UVフィルター作用を有する1種または複数の前記化合物を組み合わせることによって最適化することができる。
【0130】
前記UVフィルターは全てカプセル封入された形態でも使用することができる。特に、カプセル封入された形態の有機UVフィルターを使用することが有利である。詳細には、下記の利点が生じる。
【0131】
カプセル壁の親水性をUVフィルターの溶解性とは無関係に設定することができる。したがって、例えば疎水性UVフィルターを純粋な水性組成物中に組み込むことも可能である。加えて、往々にして不快と思われる疎水性UVフィルターを含む組成物を塗布した際の油っぽい印象が抑えられる。
【0132】
特定のUVフィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体は、化粧用組成物中で低い光安定性しか示さない。これらのフィルターまたは例えばケイ皮酸誘導体などのこれらのフィルターの光安定性を損なう化合物をカプセル封入することによって、組成物全体の光安定性を向上させることができる。
【0133】
有機UVフィルターによる皮膚浸透およびヒトの皮膚への直接塗布に刺激作用が関連する可能性は、文献において繰り返し検討されている。本明細書で提案されている対応する物質のカプセル封入は、この作用を抑える。
【0134】
一般に、個々のUVフィルターまたは他の成分のカプセル封入によって、相互作用が抑えられるために、結晶化過程、沈殿および凝集物形成などの個々の組成物成分の互いの相互作用により生じる配合上の問題を回避することができる。
【0135】
したがって、1種または複数の上記のUVフィルターが、カプセル封入された形態であることが好ましい。この場合、カプセルが小さくて、肉眼では見えないことが有利である。上記の作用を達成するために、カプセルが十分に安定しており、カプセル封入された活性化合物(UVフィルター)が周囲に小規模にしか、またはまったく放出されないことがさらに必要である。
【0136】
適切なカプセルは、無機または有機ポリマーの壁を有することができる。例えば、米国特許第6,242,099B1号には、キチン、キチン誘導体またはポリヒドロキシル化ポリアミンの壁を有する適切なカプセルの製造が記載されている。WO00/09652、WO00/72806およびWO00/71084に記載されている通り、使用されるのが特に好ましいカプセルは、ゾルゲル法により得ることができる壁を有する。その壁は、シリカゲル(シリカ;不定形水酸化酸化ケイ素)から作られたカプセルが、この場合もまた好ましい。対応するカプセルの生産は、例えばその内容が本出願の対象にも明確に属する、挙げられている特許出願から当業者には知られている。
【0137】
本発明により使用される組成物中のカプセルは、好ましくはカプセル封入されたUVフィルターが上記で示された重量パーセント比で組成物中に存在することを保証する量で存在する。
【0138】
本発明により使用される組成物は加えて、さらなる従来の皮膚保護またはスキンケアの活性化合物を含むことができる。これらは基本的には全て当業者に知られている活性化合物であり得る。
【0139】
特に好ましい活性化合物は、特に皮膚用組成物では、例えばいわゆる相容性溶質である。これらは植物または微生物の浸透圧調節に関与している物質であり、これらの生物から単離することができる。この場合、相容性溶質との総称は、ドイツ特許出願第10133202号に記載されている浸透圧調節物質も包含する。適切な浸透圧調節物質は、例えば、ポリオール、メチルアミン化合物およびアミノ酸およびその個々の前駆体である。ドイツ特許出願第10133202号の目的では、浸透圧調節物質は、特に、例えばミオ−イノシトール、マンニトールまたはソルビトールなどのポリオールの群からの物質、および/または下記で挙げられる1種または複数の浸透圧活性物質:タウリン、コリン、ベタイン、ホスホリルコリン、グリセロホスホリルコリン、グルタミン、グリシン、α−アラニン、グルタメート、アスパルテート、プロリンおよびタウリンを意味すると解される。これらの物質の前駆体は、例えば、グルコース、グルコースポリマー、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、無機ホスフェート、タンパク質、ペプチドおよびポリアミノ酸である。前駆体は、例えば代謝段階によって浸透圧調節物質に変換される化合物である。
【0140】
上記の相容性溶質は、本発明による組成物または混合物中で、好ましくは15重量%までの量で使用することができる。
【0141】
この場合、相容性溶質が、ジ−ミオ−イノシトールホスフェート(DIP)、環状2,3−ジホスホグリセレート(cDPG)、1,1−ジグリセロールホスフェート(DGP)、β−マンノシルグリセレート(フィロイン)、β−マンノシルグリセルアミド(フィロインA)または/およびジマンノシルジイノシトールホスフェート(DMIP)またはその混合物から選択されることが特に好ましい。
【0142】
本発明による組成物または混合物はさらに、少なくとも1種のセルフタンニング剤をさらなる成分として含むことができる。
【0143】
使用することができる有利なセルフタンニング物質は、特に
【0144】
【化13】

【0145】
である。
【0146】
さらに、新鮮なクルミの殻から抽出される5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ユグロン)
【0147】
【化14】

【0148】
およびヘンナの葉で生じる2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ローソン)
【0149】
【化15】

【0150】
を挙げるべきである。
【0151】
1,3−ジヒドロキシアセトン(DHA)、人体で生じるその三官能性の糖およびその誘導体が非常に特に好ましい。
【0152】
【化16】

【0153】
同様に、ジヒドロキシアセトンおよびクレアチニンおよびPBSAを3:1のクレアチニン/PBSA混合比で含む混合物が特に好ましい。本発明により上記の規定混合比でクレアチニンをPBSAと共に使用することにより初めて、好ましくは上記のpH範囲の酸性pHを有するDHAおよびPBSAを含む組成物の調製が可能になる。
【0154】
α−アミノ酸誘導体および溶解性の乏しい物質、さらに任意の他の活性化合物または本発明による混合物を、通常の方法で、例えば混合により組成物に組み込むことができる。
【0155】
適切な組成物は、例えば、クリーム、ローション、ゲルの形態か、または皮膚にスプレーすることができる溶液としての外用のためのものである。内用に適しているのは、カプセル、コーティングされている錠剤、粉末、錠剤溶液または溶液などの投与形態である。
【0156】
使用される組成物の適用形態の挙げることができる例は、溶液、懸濁液、エマルジョン、PITエマルジョン、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング配合物、オイル、エアロゾルおよびスプレーである。好ましい適用形態はまた、商業的なセルフタンニングスタジオからはスプレータンニングまたはエアーブラシタンニングとしても知られている、シャンプー、タンニング用ローションおよびシャワー用製品である。
【0157】
好ましい助剤は、防腐剤、安定剤、可溶化剤、着色剤、臭気改良剤の群に由来する。
【0158】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、従来の媒体、例えば動物性および植物性脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛またはこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0159】
パウダーおよびスプレーは、従来の媒体、例えば、ラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含むことができる。スプレーは、従来の易揮発性の液化した噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルを追加的に含むことができる。圧縮空気もまた、有利に使用することができる。
【0160】
溶液およびエマルジョンは、溶剤、可溶化剤および乳化剤などの従来の媒体、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、油、特に、綿実油、落花生油、小麦胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールならびにソルビタンの脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0161】
懸濁液は、液体希釈剤などの従来の媒体、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminium metahydroxide)、ベントナイト、寒天およびトラガカントまたはこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0162】
石鹸は、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオン酸塩、ラノリン、脂肪族アルコール、植物油、植物抽出エキス、グリセロール、糖またはこれらの物質の混合物などの従来の媒体を含むことができる。
【0163】
界面活性剤含有クレンジング製品は、脂肪族アルコールスルフェートの塩、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、イミダゾリニウム誘導体、タウリン酸メチル、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物および合成油、ラノリン誘導体、エトキシ化グリセロール脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物などの従来の媒体を含むことができる。
【0164】
フェイスおよびボディオイルは、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、シリコーン油などの合成油、植物油および油性植物抽出エキスなどの天然油、パラフィン油、ラノリン油またはこれらの物質の混合物などの従来の媒体を含むことができる。
【0165】
さらなる典型的な化粧品の適用形態はまた、口紅、リップケアスティック、パウダーメーキャップ、エマルジョンメーキャップおよびワックスメーキャップならびに日焼け止め剤、日焼け前および日焼け後用組成物である。
【0166】
好ましい組成物形態にはまた、特にエマルジョンが包含される。
【0167】
エマルジョンが有利であり、例えば、前記脂肪、油、ワックスおよび他の脂肪物質、ならびにこのタイプの組成物に通常使用される水および乳化剤を含む。
【0168】
脂質相は有利には、下記の物質の群から選択することができる:
鉱油、鉱物性ワックス、
カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリドなどの油、さらに、例えばヒマシ油などの天然油、
脂肪、ワックスならびに他の天然および合成の脂肪物質、好ましくは脂肪酸と低炭素数を有するアルコール、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールもしくはグリセロールとのエステルまたは脂肪族アルコールと低炭素数を有するアルカン酸もしくは脂肪酸とのエステル、
ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンおよびこれらの混合した形態などのシリコーン油。
【0169】
本発明の目的では、エマルジョン、オレオゲルまたは水性分散液(hydrodispersion)もしくは油性分散液(lipodispersion)の油相は有利には、3から30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝鎖および/または非分枝鎖アルカンカルボン酸と、3から30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝鎖および/または非分枝鎖アルコールとのエステルの群から、または芳香族カルボン酸と、3から30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝鎖および/または非分枝鎖アルコールとのエステルの群から選択する。そこで、このタイプのエステル油は有利には、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシルならびに合成、半合成およびこのタイプのエステルの天然の混合物、例えばホホバ油の群から選択することができる。
【0170】
油相はさらに有利には、分枝鎖および非分枝鎖炭化水素および炭化水素ワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテルの群または飽和もしくは不飽和の分枝鎖もしくは非分枝鎖アルコールおよび脂肪酸トリグリセリド、特に8から24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝鎖および/または非分枝鎖アルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルの群から選択することができる。脂肪酸トリグリセリドは有利には、例えば合成、半合成および天然の油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、ナタネ油、アーモンド油、パーム油、ヤシ油、パーム核油などの群から選択することができる。
【0171】
このタイプの油およびワックス成分の任意の所望の混合物を有利には、本発明の目的のために使用することもできる。また、ワックス、例えばパルミチン酸セチルを、油相の唯一の脂質成分として使用することが有利であることもある。
【0172】
使用される組成物の水相は場合によって有利には、低炭素数を有するアルコール、ジオールまたはポリオールおよびそのエーテル、好ましくは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルまたはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルおよび類似の生成物、さらに低炭素数を有するアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、ならびに特に有利には二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖類およびその誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの群から、特に有利には、ポリアクリレートの群から、好ましくはいわゆるCarbopol、例えばCarbopolグレード980、981、1382、2984、5984の群からのポリアクリレートから選択される1種または複数の増粘剤をそれぞれの場合に個々に、または組み合わせて含む。
【0173】
特に上記の溶媒の混合物を使用する。アルコール溶媒の場合は、水がさらなる成分であってもよい。
【0174】
エマルジョンが有利であり、例えば前記脂肪、油、ワックスおよび他の脂肪物質、さらにこのタイプの配合物に通常使用される水および乳化剤を含む。
【0175】
好ましい実施形態では、使用される組成物は親水性界面活性剤を含む。親水性界面活性剤は好ましくは、アルキルグルコシド、アシルラクチレート、ベタインおよびココヤシアムホアセテートの群から選択される。
【0176】
同様に、本発明により使用される活性化合物の有効含分により区別される天然もしくは合成の原料および助剤または混合物、例えば、Plantaren(登録商標)1200(Henkel KGaA)、Oramix(登録商標)NS10(Seppic)を使用することも有利である。
【0177】
化粧用および皮膚用組成物は、様々な形態で存在してよい。したがって、これらは例えば、溶液、無水組成物、油中水(W/O)型もしくは水中油(O/W)型のエマルジョンもしくはマイクロエマルジョン、例えば水中油中水(W/O/W)型の多相エマルジョン、ゲル、固形スティック、軟膏またはエアロゾルであってよい。また、エクトインをカプセル封入された形態で、例えばコラーゲンマトリックスおよび他の従来のカプセル封入材料中で、例えばセルロースカプセル封入として、ゼラチン、ワックスマトリックスまたはリポソームによりカプセル封入して投与することも有利である。特に、ドイツ特許第4308282号に記載されているようなワックスマトリックスは、有利であると立証されている。エマルジョンが好ましい。O/Wエマルジョンが特に好ましい。エマルジョン、W/OエマルジョンおよびO/Wエマルジョンは、従来の方法で得ることができる。
【0178】
使用することができる乳化剤は、例えば知られているW/OおよびO/W乳化剤である。好ましいO/Wエマルジョン中で従来の補助乳化剤(co−emulsifier)をさらに使用することが有利である。
【0179】
選ばれる補助乳化剤は有利には、O/W乳化剤が飽和基RおよびR'を有する限り、例えば主に11〜16のHLB値を有する物質、非常に特に有利には14.5〜15.5のHLB値を有する物質の群からのO/W乳化剤である。O/W乳化剤が不飽和基Rおよび/またはR'を有する場合、またはイソアルキル誘導体が存在する場合、このような乳化剤の好ましいHLB値はまたそれより低くても高くてもよい。
【0180】
脂肪族アルコールエトキシレートを、エトキシ化ステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)の群から選択することが有利である。下記のものが特に好ましい:ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス−20)、ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス−12)、ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス−20)、ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルエーテル(セテス−20)、ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス−20)、ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス−12)、ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス−13)、ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス−14)、ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス−15)、ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス−12)、ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス−12)、ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエーテル(セテアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエーテル(セテアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエーテル(セテアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエーテル(セテアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエーテル(セテアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエーテル(セテアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエーテル(セテアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエーテル(セテアレス−20)。
【0181】
脂肪酸エトキシレートを下記の群から選択することがさらに有利である:
ポリエチレングリコール(20)ステアレート、ポリエチレングリコール(21)ステアレート、ポリエチレングリコール(22)ステアレート、ポリエチレングリコール(23)ステアレート、ポリエチレングリコール(24)ステアレート、ポリエチレングリコール(25)ステアレート、ポリエチレングリコール(12)イソステアレート、ポリエチレングリコール(13)イソステアレート、ポリエチレングリコール(14)イソステアレート、ポリエチレングリコール(15)イソステアレート、ポリエチレングリコール(16)イソステアレート、ポリエチレングリコール(17)イソステアレート、ポリエチレングリコール(18)イソステアレート、ポリエチレングリコール(19)イソステアレート、ポリエチレングリコール(20)イソステアレート、ポリエチレングリコール(21)イソステアレート、ポリエチレングリコール(22)イソステアレート、ポリエチレングリコール(23)イソステアレート、ポリエチレングリコール(24)イソステアレート、ポリエチレングリコール(25)イソステアレート、ポリエチレングリコール(12)オレエート、ポリエチレングリコール(13)オレエート、ポリエチレングリコール(14)オレエート、ポリエチレングリコール(15)オレエート、ポリエチレングリコール(16)オレエート、ポリエチレングリコール(17)オレエート、ポリエチレングリコール(18)オレエート、ポリエチレングリコール(19)オレエート、ポリエチレングリコール(20)オレエート。
【0182】
有利に使用することのできるエトキシ化アルキルエーテルカルボン酸またはその塩は、ナトリウムラウレス−11カルボキシレートである。有利に使用することのできるアルキルエーテルスルフェートは、ナトリウムラウレス−14スルフェートである。有利に使用することができるエトキシ化コレステロール誘導体は、ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。ポリエチレングリコール(25)ソヤステロールも、有効性が証明されてきた。有利に使用することのできるエトキシ化トリグリセリドは、ポリエチレングリコール(60)マツヨイグサグリセリドである。
【0183】
ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルを、ポリエチレングリコール(20)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(21)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(22)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(23)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(6)グリセリルカプレート/カプリネート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルオレエート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルイソステアレート、ポリエチレングリコール(18)グリセリルオレエート/ココエートの群から選択することがさらに有利である。
【0184】
同様に、ソルビタンエステルを、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノイソステアレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノオレエートの群から選択することが好ましい。
【0185】
下記は任意選択のW/O乳化剤として使用することができるが、しかしながら本発明により有利であり得るものである:
8から30個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、8から24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝鎖および/または非分枝鎖アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、8から24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝鎖および/または非分枝鎖アルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、8から24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝鎖および/または非分枝鎖アルコールのモノグリセロールエーテル、8から24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝鎖および/または非分枝鎖アルコールのジグリセロールエーテル、8から24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝鎖および/または非分枝鎖アルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステルならびに8から24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分枝鎖および/または非分枝鎖アルカンカルボン酸のソルビタンエステル。
【0186】
特に有利なW/O乳化剤は、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノカプリル酸ソルビタン、モノイソオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸スクロース、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、モノラウリン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリルである。
【0187】
本発明による好ましい組成物はまた、老化過程に対して、および酸化ストレスに対して、即ち、例えば、日光、熱または他の影響により生じるような遊離基が誘発するダメージに対して、ヒトの皮膚を保護するために適している。このことに関連して、これらは、この用途のために通常使用される様々な投与形態である。例えば、これらは、特に、クリームまたは乳液(O/W、W/O、O/W/O、W/O/W)の形態などのローションまたはエマルジョンの形態、油/アルコール、油/水または水/アルコール系のゲルまたは溶液の形態、固形スティックの形態であってよいか、またはエアロゾルとして配合することができる。
【0188】
組成物は、このタイプの組成物に通常使用される、例えば、増粘剤、軟化剤、保湿剤、界面活性剤、乳化剤、防腐剤、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、組成物自体または皮膚を着色する染料および/または色素ならびに化粧品に通常使用される他の成分などの、化粧品補助剤を含むことができる。
【0189】
使用される分散剤または可溶化剤は、油、ワックスもしくは他の脂肪物質、低級モノアルコールもしくは低級ポリオールまたはこれらの混合物であってよい。特に好ましいモノアルコールまたはポリオールには、エタノール、i−プロパノール、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールが包含される。
【0190】
本発明の好ましい実施形態は、例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、特に、脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然および合成の油またはワックスならびに乳化剤を、水の存在下で含む保護クリームまたは乳液の形態のエマルジョンである。
【0191】
さらなる好ましい実施形態は、天然もしくは合成の油およびワックス、ラノリン、脂肪酸エステル、特に、脂肪酸のトリグリセリドをベースとする油性ローションまたはエタノールなどの低級アルコールもしくはプロピレングリコールなどのグリセロールおよび/もしくはグリセロールなどのポリオールならびに油、ワックスおよび脂肪酸のトリグリセリドなどの脂肪酸エステルをベースとする油性−アルコール性ローションである。
【0192】
組成物はまた、エタノール、プロピレングリコールまたはグリセロールなどの1種または複数の低級アルコールまたはポリオールおよびケイ質土などの増粘剤を含むアルコール性ゲルの形態でもあってよい。油性−アルコール性ゲルはまた、天然または合成油またはワックスを含む。
【0193】
固形スティックは、天然または合成ワックスおよび油、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリンならびに他の脂肪物質からなる。
【0194】
組成物をエアロゾルとして配合する場合は、アルカン、フルオロアルカンおよびクロロフルオロアルカンなどの従来の噴射剤、好ましくはアルカンが通常は使用される。
【0195】
使用される組成物は、当業者には周知の技術を用いて調製することができる。
【0196】
上記の本発明による組成物を調製する方法は、少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体と、少なくとも1種の溶解性の乏しい物質または本発明による混合物および局所投与に適している媒体、例えば、化粧品に、薬学的にまたは皮膚科学的に適した媒体との混合であってよい。混合により、媒体への溶解、乳化または分散が生じ得る。
【0197】
さらに説明をしなくても、当業者であれば最も広い範囲で上記の説明を利用することができるであろうことが想定される。したがって、好ましい実施形態および例は、決して何ら限定するものではない説明的な開示としてのみ考えられるべきである。上記および下記で挙げられた全ての出願および刊行物の開示内容全体が、参照により本出願に援用される。例の組成物中の個々の成分の重量パーセント比は、明細書の開示含分に明らかに属しており、したがって形態として使用することができる。
【0198】
下記に示されている本発明による対象物の例は、単なる説明であり、本発明を決して制限するものではない。加えて、記載された発明は、特許請求の範囲の全ての範囲において実施することができる。組成物中で使用することができる全ての化合物または成分は、知られていて市販されているか、または知られている方法により合成することができる。使用される原料のINCI名を示す(INCI名は、定義により英語で示す)。
【実施例】
【0199】
チリロシドおよび5,7−ジヒドロキシ−2−メチルクロモンの溶解性の向上:
初めに、4%エクトイン溶液を水中で、および水/エタノール混合物(3:1)中で調製する。続いて、溶解するべき活性化合物を2種のエクトイン溶液に、それぞれ1%および1.5%の量で加える。それぞれエクトイン不含のバッチを比較として役立てる。エクトインによる溶解性の向上の評価を視覚的に実施する(エクトインと組み合わせた場合には透明な溶液、エクトインが存在しない場合には濁った溶液)。
【0200】
【化17】

【0201】
【表3】

【0202】
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(PBSA)の溶解性の向上:
初めに、4%エクトイン、クレアチニンおよびピロリドンカルボン酸水溶液を調製する。続いて、活性化合物PBSAを溶液に過剰に分散させる。懸濁液のpHを4.6に調節する。溶解していない活性化合物を、1時間撹拌した後に濾別する。高速液体クロマトグラフィーにより溶解した活性化合物のフラクションを決定する。可溶化剤を用いない実験を比較として役立てる。PBSAをクレアチニン水溶液に溶解する場合には、溶解性をpH5.7で追加的に決定する。即ち、この場合pHは4.6に戻されない。
【0203】
【化18】

【0204】
結果:
水へのPBSAの溶解性
(4.6に設定された分散液のpH) 0.34g/l
4%のエクトインを含む水へのPBSAの溶解性
(4.6に設定された分散液のpH) 0.60g/l
4%のクレアチニンを含む水へのPBSAの溶解性
(4.6に設定された分散液のpH) 0.94g/l
4%のクレアチニンを含む水へのPBSAの溶解性
(5.7の分散液のpH) 8.50g/l
4%のピロリドンカルボン酸を含む水へのPBSAの溶解性
(4.6に設定された分散液のpH) 0.34g/l
下記の通りの様々な混合物M1、M2、M3を含む化粧用配合物の例:
【0205】
【表4】

【0206】
所定の作用に応じて、示されている配合物は、セルフタンニング物質(例えば、0.5〜10%のジヒドロキシアセトンおよび/またはエリトリロース)および/またはフラボノイド(例えば、0.25〜3%のトロキセルチン、チリロシド)および/またはアスコルビン酸誘導体(例えば、0.1〜5%のアスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビルおよび/またはWO2008017346による物質)を含んでもよい。
【0207】
混合物M1、M2、M3、M4、M5の例:
混合物M1:
重量パーセントでの組成:75%のクレアチニン、25%のPBSA
調製方法1:
クレアチニン30gを、室温で撹拌しながら水500mlに溶解し、続いてPBSA(Eusolex(登録商標)232)10gを加える。溶媒を真空(60mbar)および50℃の浴温度で除去する。白色の固体混合物を200mbarおよび40℃で乾燥室中でさらに48時間乾燥させ、続いてふるいに掛ける(100μmふるい)。
【0208】
調製方法2:
クレアチニン30gを、室温で撹拌しながら水400mlに溶解し、続いてPBSA(Eusolex(登録商標)232)10gを加える。噴霧乾燥の後に白色の粉末が得られ、これは水に溶けるとpH6未満のpHを示す。
【0209】
調製方法3:
クレアチン35gを、室温で撹拌しながら水400mlに溶解し、クレアチニンへの完全な変換が生じるまで、混合物を還流加熱する。次いで、PBSA(Eusolex(登録商標)232)10gを加える。噴霧乾燥の後に白色の粉末が得られ、これは水に溶けるとpH6未満のpHを示す。
【0210】
混合物M2:
重量パーセントでの組成:80%のエクトイン、20%のチリロシド
調製:
エクトイン30gを、室温で撹拌しながらエタノール/水混合物(3:1)500mlに加える。続いてチリロシド7.5gを加える。溶媒を真空(60mbar)および50℃の浴温度で除去する。黄色の固体混合物を200mbarおよび40℃で乾燥室中でさらに48時間乾燥させ、100μmふるいに通す。別の乾燥方法として、エタノール/水混合物を噴霧乾燥させることもできる。
【0211】
混合物M3:
重量パーセントでの組成:70%のクレアチニン、21%のイソケルセチン、8.5%のケイ酸
調製:
クレアチニン25gを、室温で撹拌しながらエタノール/水混合物(3:1)500mlに加える。続いてイソケルセチン7.5gを加える。溶媒を真空(60mbar)および50℃の浴温度で除去する。ケイ酸3gを黄色の固体混合物に加え、混合物を200mbarおよび40℃で乾燥室中でさらに48時間乾燥させ、100μmふるいに通す。ケイ酸(例えば、Aeroperl300/30などのAerosil)を使用する代わりに、デンプン、タルクまたは酸化亜鉛を、代わりの剥離剤として使用することができる。
【0212】
混合物M4:
重量パーセントでの組成:60%のクレアチニン、40%のソルビン酸
調製:
クレアチニン30gを、室温で撹拌しながら水400mlに溶解し、続いてソルビン酸20gを加える。噴霧乾燥の後に白色の粉末が得られ、これは水に溶けるとpH6未満のpHを示す。
【0213】
混合物M5:
2重量部の混合物M1を、1重量部のジヒドロキシアセトン(DHA)と均一に混合する。この操作を好ましくは不活性化条件下で実施して、DHAの酸化損失を防ぐ。不活性化条件は例えば、UV線の遮断下、保護ガスの存在下、またはさらに低温での混合物の調製である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または複数の溶解性の乏しい物質の水または水溶液への溶解性を改良するための少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体、その塩または水和物の使用であって、該少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体のα−窒素原子が第4級、第3級または第2級である使用。
【請求項2】
前記少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体が、非両性ベタイン、2−ピロリドン−5−カルボン酸および/またはホルムイミノグリシンの誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体が、配合物中で0.05から20重量%の量で使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体および前記少なくとも1種の溶解性の乏しい物質が、10:1から1.1:1の重量パーセント比で使用されることを特徴とする、請求項1から3の一項または複数項に記載の使用。
【請求項5】
溶液のpHがpH7未満である場合に、20℃から25℃の温度の水へのその溶解性が1重量%未満である物質の溶解性が改良されることを特徴とする、請求項1から4の一項または複数項に記載の使用。
【請求項6】
前記少なくとも1種の溶解性の乏しい物質が、クロモン、クロマノン、フラボノイドおよび/または有機酸から選択されることを特徴とする、請求項1から5の一項または複数項に記載の使用。
【請求項7】
前記溶解性の乏しい物質が、一般式(I)の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1から6の一項または複数項に記載の使用
【化1】

[式中、
1およびR2は、同じでも異なってもよく、H、直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基または直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−ヒドロキシアルキル基を表し、
3は、Hまたは直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基を表し、
4は、HまたはOR7を表し、
5およびR6は、同じでも異なってもよく、H、OHまたは直鎖もしくは分枝鎖C3からC20−アルケニル基を表し、
7は、Hまたは直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基を表し、
ここで、置換基R1、R2、R4からR6のうちの少なくとも2個は、Hとは異なる]。
【請求項8】
前記溶解性の乏しい物質が、式(II)の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1から6の一項または複数項に記載の使用
【化2】

[式中、
1'およびR2'は、同じでも異なってもよく、
H、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C3からC20−アルケニル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−ヒドロキシアルキル基、
3からC10−シクロアルキル基および/またはC3からC12−シクロアルケニル基(ここで、環はそれぞれ、−(CH2n−基(n=1から3)により架橋されていてもよい)、
から選択されるか、または
1'およびR2'は、(CH2oにより結合しており、ここで、oは0、1、2、3、4、5または6を表し、
3'、R4'およびR5'は、それぞれ相互に独立に、
H、OH、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルコキシ基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アシルオキシ基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C3からC20−アルケニル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−ヒドロキシアルキル基
から選択され、
6'は、H、OH、COOH、COCH3
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C3からC20−アルケニル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−ヒドロキシアルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルコキシ基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルキル基、
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アルコキシカルボニル基または
直鎖もしくは分枝鎖C1からC20−アシルオキシ基を表す]。
【請求項9】
前記溶解性の乏しい物質が、式(III)の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1から6の一項または複数項に記載の使用
【化3】

[式中、
8、R9およびR10は、同じでも異なってもよく、それぞれ相互に独立に、OH、CH3COO、アルコキシまたはモノグリコシド基を表し、前記アルコキシ基は、分枝鎖または非分枝鎖であってよく、1から8個のC原子を有してよく、
11は、モノ−またはジグリコシド基であり、いずれの場合も、
【化4】

が、このグリコシド基に−O−基を介して結合しており、
12は、前記基R8からR10の意味を有し、
ここで、前記グリコシド基のOH基中の1個または複数の水素原子はそれぞれ、相互に独立に、アセチルにより、または1から8個のC原子を有するアルキル基により置き換えられていてもよい]。
【請求項10】
前記溶解性の乏しい物質が、2−アリールベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸または3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1から6の一項または複数項に記載の使用。
【請求項11】
前記溶解性の乏しい物質が、安息香酸、ベンジル酸、ギ酸、プロピオン酸、サリチル酸またはソルビン酸から選択されることを特徴とする、請求項1から6の一項または複数項に記載の使用。
【請求項12】
少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体および少なくとも1種の芳香族モノスルホン酸を含む組成物であって、該組成物における前記α−アミノ酸誘導体の重量パーセントでの割合が、前記芳香族モノスルホン酸の重量パーセントでの割合よりも高い組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体が、2−ピロリドン−5−カルボン酸、クレアチニン、クレアチン、エクトインおよびヒドロキシエクトインから選択されることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体および前記少なくとも1種の芳香族モノスルホン酸が、10:1から1.1:1の重量パーセント比で存在することを特徴とする、請求項12または13に記載の組成物。
【請求項15】
前記芳香族モノスルホン酸が、2−アリールベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸および3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体の群から選択されることを特徴とする、請求項12から14の一項または複数項に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体を、少なくとも1種の溶解性の乏しい物質および局所適用に適した媒体と混合することを特徴とする、請求項12から15の一項または複数項に記載の組成物を調製する方法。
【請求項17】
少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体および少なくとも1種の溶解性の乏しい物質を含む混合物。
【請求項18】
前記混合物が固体混合物であることを特徴とする、請求項17に記載の混合物。
【請求項19】
前記少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体および前記少なくとも1種の溶解性の乏しい物質が、10:1から1.1:1の重量パーセント比で存在することを特徴とする、請求項17または18に記載の混合物。
【請求項20】
90重量%から11重量%の少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体および45重量%から10重量%の少なくとも1種の溶解性の乏しい物質を含むことを特徴とする、請求項17から19の一項または複数項に記載の混合物。
【請求項21】
前記少なくとも1種のα−アミノ酸誘導体が、2−ピロリドン−5−カルボン酸、クレアチニン、クレアチン、エクトインおよびヒドロキシエクトインから選択されることを特徴とする、請求項17から20の一項または複数項に記載の混合物。
【請求項22】
前記少なくとも1種の溶解性の乏しい物質が、クロモン、クロマノン、フラボノイドおよび有機酸から選択されることを特徴とする、請求項17から21の一項または複数項に記載の混合物。
【請求項23】
前記少なくとも1種の溶解性の乏しい物質が芳香族モノスルホン酸であることを特徴とする、請求項17から22の一項または複数項に記載の混合物。
【請求項24】
剥離剤が存在することを特徴とする、請求項17から23の一項または複数項に記載の混合物。
【請求項25】
α−アミノ酸誘導体を適切な溶媒に溶解し、前記溶解性の乏しい物質および場合によって剥離剤を加え、前記溶媒を除去することを特徴とする、請求項17から24の一項または複数項に記載の混合物を調製する方法。

【公表番号】特表2011−504891(P2011−504891A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535285(P2010−535285)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/010045
【国際公開番号】WO2009/068275
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】