説明

炊飯器

【課題】水タンクに水を投入する手間がかかり、忙しい時や水の入れ忘れなどによって、水がない状態で炊飯を行い、蒸気炊飯が行えず、常に食味の良い食味のご飯を提供することが困難である。
【解決手段】蓋体4には内鍋2の開口部を覆い内鍋2内で発生した蒸気を排出する蒸気口5を有する加熱板6と加熱板6を加熱する加熱板加熱手段7を設け、加熱板6に配設され内鍋2の鍋フランジ2aと加熱板6との隙間を密閉するゴム材質で構成された鍋パッキン8を内鍋2全周に有している。また鍋パッキン8には内鍋2と連通した蒸気回収部9を有し、鍋パッキン8の略下方には炊飯中に内鍋2内から発生する蒸気を回収した蒸気回収部9内の水を加熱する蒸気回収部加熱手段11を設けることにより、水タンクの水の入れ忘れや水タンクに水を投入する手間を省き、常に蒸気炊飯を行うことができ、より良い食味のご飯を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な炊飯器を図9に示す。図9において、19は炊飯器本体を示し、着脱自在に内鍋20を内装している。さらに内鍋20の上面開口部を覆う蓋体21が開閉自在に設置されている。また内鍋20を加熱する内鍋加熱手段22と内鍋20の温度を検知する内鍋温度検知手段23を炊飯器本体19内部に配置する。炊飯器本体19内部には水タンク24を内装しており、水タンク24には水タンク加熱手段25を有し、水タンク24と水タンク加熱手段25により蒸気発生手段26を構成する。
【0003】
さらに蒸気管27により蒸気発生手段26と内鍋20の上面の一部が接続される。内鍋20上面の開口部を蒸気孔28とする。また、内鍋20より炊飯器本体19外へ蒸気が放出される蒸気筒29を設けている。
【0004】
上記の構成において、炊飯を行う米とその米量に対応する水を内鍋20入れ、炊飯器本体19の所定の状態に内装する。さらに炊飯器本体19に設けられた水タンク24内に所定量の水を入れ、炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、炊飯工程が実施される。炊飯工程は浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分されている。それぞれの工程において、内鍋20内部の水と米の状態が適正値として設定された温度や所定時間維持される。そのため、内鍋温度検知手段23の出力を検出しながら内鍋加熱手段22、水タンク加熱手段25を駆動させる。
【0005】
水タンク加熱手段25が駆動することにより、水タンク24内の水が加熱され、蒸気を生成する。この蒸気は蒸気管27内を移動して、内鍋20の上面の一部から内鍋20内部に放出される。内鍋20内部の水と米は、内鍋加熱手段22により内鍋20底から加熱され、さらに上面を内鍋20に放出される蒸気により加熱される。蒸気を上面からの加熱源として用いることで、浸水工程においては、従来の内鍋加熱手段22の加熱に比べ米の糊化が開始されない温度まで均一かつ短時間で上昇する。内鍋20内の米全体を目的の温度に均一に維持することで、米の吸水条件が均一でかつ、短時間で炊き上げに必要となる水分量を吸水するものである。また炊き上げ工程においても、均一かつ短時間で沸点に到達するものである。
【0006】
さらに炊き上げ工程の沸騰状態が維持されている間において、米からでんぷんが溶出した液体(おねば)が泡を含んで体積膨張した状態で内鍋20から放出される現象、いわゆる吹きこぼれが現れようとする。この吹きこぼれの防止対策として、内鍋20上方に膨張するおねばに対して、蒸気をあてることでおねばに含まれる泡を破壊し体積膨張を抑制する。
【0007】
したがって、沸騰維持中の沸騰状態を停止させることなしに吹きこぼれを防止することが可能となる。沸騰状態を維持しながら吹きこぼれを防止できることで、米が吸水しながら加熱され米飯へ変化する糊化現象の進行が抑制されることがなく、炊飯工程を終了した米飯がより糊化度の高いものとなる。
【0008】
また、むらし工程においては、炊飯開始時に鍋に入れた水が米に吸水、蒸発してほとんど無くなった状態となるが、内鍋20内の底部に水分が残留する傾向がある。その余分な水分を除去することと米の糊化を促進させるために、蒸らし工程においても鍋2を加熱する。しかしながら水分が少ないため、内鍋20底から加熱すると内鍋20の加熱される面付近の米は焦げる。
【0009】
また、内鍋20上面の米は水分の蒸発が活発となるので乾燥しやすい状態となる。したがって蒸らし工程においても上面からの蒸気による加熱を行うことで、内鍋全体の加熱の局部的な温度上昇と上面とその近傍の米の乾燥を防止することができるものである。
【特許文献1】特許第3546881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成では、水タンクに水を投入する手間がかかり、忙しい時や水の入れ忘れなどによって、水がない状態で炊飯を行い、蒸気炊飯が行えず、常に食味の良い食味のご飯が炊けないことがあった。
【0011】
本発明は、前記従来の議題を解決するもので、常に食味の良いご飯が炊ける炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するため、鍋パッキン内に蒸気回収部を設けて炊飯中に炊飯器から発生する蒸気を結露させて、蒸気を回収する空間を設け、蒸気回収部加熱手段により蒸気を発生させ、鍋の上方から米飯、水の加熱を均一に行う構成とするものである。
【0013】
これによって、鍋上方を取り囲むように覆っている鍋パッキンに結露してできた水を蒸気回収部加熱手段が加熱して蒸気を発生させ、その蒸気を内蓋で加熱して、加熱した蒸気を内鍋内のご飯に均等に吹きかけることにより、鍋部位での炊きむらがない、より良い食味のご飯を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の炊飯器は、炊飯器内で発生した蒸気を鍋パッキンに結露させて、その結露してできた水を加熱させ蒸気にすることで、炊飯する度に水を補給する手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される内鍋と、前記内鍋を加熱する内鍋加熱手段と、前記内鍋の開口部を覆う蓋体と、前記蓋体内に配設されると共に前記内鍋の鍋フランジと前記蓋体との隙間を密閉する鍋パッキンと、前記鍋パッキンに配設され前記内鍋と連通すると共に前記内鍋内で発生した蒸気を回収する蒸気回収部と、前記蒸気回収部内の水を加熱する蒸気回収部加熱手段とを有した炊飯器とすることにより、炊飯中に発生した蒸気を蒸気回収部で回収して、蒸気回収部加熱手段で蒸気を加熱し、内鍋内に投入することで、より良い食味のご飯を提供することができる。
【0016】
第2の発明は、蒸気回収部は鍋パッキンの全周に配設した炊飯器とすることにより、蒸気回収部内で発生した蒸気が内鍋内のご飯に満遍なくあたり、ご飯にむらがない、より良い食味のご飯を提供することができる。
【0017】
第3の発明は、蓋体に配設されて内鍋の開口部を覆うと共に前記内鍋内で発生した蒸気を排出する蒸気口を有する加熱板と、前記加熱板を加熱する加熱板加熱手段を設け、蒸気回収部から発生した蒸気は、前記加熱板に接触した後、内鍋に投入されるようにした炊飯器とすることにより、蒸気回収部内で発生した蒸気は加熱板によって更に加熱され、より高温の蒸気をご飯に投入することができ、より良い食味のご飯を提供することができる。
【0018】
第4の発明は、蒸気回収部加熱手段は、鍋フランジの略下方に設けた炊飯器とすることにより、外気と接触して冷やされやすい内鍋フランジを温め、内鍋の温度をより均一にすることができ、より良い食味のご飯を提供することができる。
【0019】
第5の発明は、蒸気回収部加熱手段は、誘導加熱手段とした炊飯器とすることにより、蒸気回収部を効率よく加熱することができる。
【0020】
第6の発明は、炊き上げ工程中には蒸気口を塞ぎ、蒸らし工程中には前記蒸気口を開くように制御した炊飯器とすることにより、炊き上げ工程中に内鍋内から発生した蒸気が、蒸気口から外部に放出されにくくなり、蒸気回収部により多くの蒸気を回収することができる。
【0021】
第7の発明は、炊飯器本体内の圧力を測定する圧力測定手段と、蒸気口周辺に設けられた開閉弁とを有し、前記圧力測定手段が所定以上の圧力を検知すると、前記開閉弁を開くように制御したことにより、炊飯中に発生した蒸気によって炊飯器本体内の圧力が高くなり、炊飯器本体が壊れる事を防止することができる。
【0022】
第8の発明は、蒸気回収部が、熱交換器を有した炊飯器とすることにより、炊飯中に発生した蒸気を水に変換することにより、容易に蒸気を回収することができる。
【0023】
第9の発明は、蒸らし工程中に蒸気回収部内の水を加熱するように制御した炊飯器とすることにより、炊飯開始時に鍋に入れた水が米に吸水、蒸発してほとんど無くなった状態となる蒸らし工程においても、鍋上面から蒸気で加熱することにより、乾燥を抑えて米の糊化を促進させるために加熱することができる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の側断面図を示し、図2・図3はそれぞれ鍋パッキン部の拡大図を示すものである。
【0026】
図1において、1は炊飯器本体を示し、着脱自在に内鍋2を内装しており、内鍋2を加熱する内鍋加熱手段3と内鍋2の温度を検知する内鍋温度検知手段15を炊飯器本体1内部に配置する。さらに内鍋2の上面開口部を覆う蓋体4を開閉自在に設置し、蓋体4には内鍋2の開口部を覆い内鍋2内で発生した蒸気を排出する蒸気口5を有する加熱板6と加熱板6を加熱する加熱板加熱手段7を設け、加熱板6には鍋フランジ2aと加熱板6との隙間を密閉するゴム材質で構成された鍋パッキン8を内鍋2全周に有している。また鍋パッキン8には内鍋2と連通した蒸気回収部9を有し、蒸気回収部9の蒸気出口の蒸気回収部リブ10の高さを加熱板6の下面よりも高くしており、鍋パッキン8の略下方の鍋フランジ2a下には蒸気回収部9内に蒸気が冷やされて滴下して回収された水を加熱する蒸気回収部加熱手段11を設けてある。
【0027】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作・作用を説明する。
【0028】
まず、炊飯を行う米とその米量に対応する水を内鍋2内に入れ、炊飯器本体1の所定の状態に内装する。炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、炊飯工程が実施される。炊飯工程は浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分され、それぞれの工程において、内鍋2内部の水と米の状態が適正値として設定された温度に所定時間維持され、内鍋温度検知手段15、蓋温度検知手段14の出力を検出しながら内鍋加熱手段3、加熱板加熱手段7、蒸気回収部加熱手段11を駆動させる。
【0029】
浸水工程で、米に炊き上げ工程に必要となる水を吸収させた後、炊き上げ工程に入り、内鍋2内に投入された水は沸騰し、一部は蒸気となって蒸気口5を通って外部に放出し、また一部は、炊飯器本体1と蓋体4の隙間から外気が入り込み、鍋パッキン8に直接外気があたる為、冷やされやすい構成となっている蒸気回収部9に結露して、水となり蒸気回収部9内に蓄えられる。
【0030】
蒸らし工程に移行すると、蒸気回収部加熱手段11は内鍋2の鍋フランジ2aを温め、鍋フランジ2aを介して、内鍋2全周に配設された鍋パッキン8に設けられた蒸気回収部9内を加熱するように制御され、蒸気回収部9内に回収された水を加熱し、蒸気を生成する。この蒸気は鍋パッキン8の上面部8aと蒸気回収部リブ10を通り、蒸気回収部リブ10が加熱板6の下面部6aよりも高い為、蒸気は加熱板加熱手段7によって100℃以上に加熱された加熱板6に触れ、100℃以上に加熱される。100℃以上に加熱された蒸気は、内鍋2の全周の上面から内鍋2内に放出され、内鍋2内部の米は内鍋加熱手段3により内鍋2底から加熱され、さらに上面部は内鍋2内に放出される蒸気により加熱されるようになる。米の水分の蒸発が活発となり、乾燥しやすい内鍋2を上面から蒸気で加熱することにより、内鍋2全体の加熱の局部的な温度上昇と上面とその近傍の米の乾燥を防止することができる。
【0031】
なお、図2、図3は鍋パッキン部の拡大図を示すものであるが、本実施の形態では図2のように加熱板6と鍋パッキン8は接着剤などで取り付けてあるが、図3のように、加熱板支え30を設けて、加熱板6と加熱板支え30との間に鍋パッキン8を挟み込んでかしめる方式でもよい。
【0032】
なお、本実施の形態では、蒸気回収部加熱手段11は誘導加熱方式を採用して鍋フランジ部2aを介して、蒸気回収部9を温める方式を用いたが、誘導加熱方式の代わりに電気ヒータ加熱方式、ハロゲンヒータ加熱方式、マイクロ波加熱方式、ガス加熱方式などを用いても同様の効果が得られる。
【0033】
なお、図4に示すように、蒸気回収部加熱手段(IHコイル)11を蒸気回収部9略側面に設けて、蒸気回収部9の内側に磁性体31を蒸着させる、もしくは貼り付けた構成を用いて、蒸気回収部9内の磁性体31は蒸気回収部加熱手段11によって直接加熱される為、効率よく蒸気回収部内の水を温め、蒸気を発生させることができる。
【0034】
(実施の形態2)
図5、図6は、本発明の第2の実施の形態における炊飯器の側断面図を示しており、図5は炊き上げ工程、図6は蒸らし工程における開閉弁の状態を示している。図6において、開閉弁12は沸騰工程中には蒸気口5を閉じ、蒸らし工程中には蒸気口5を開くように開閉弁制御手段16によって制御されている。また、蓋体4には圧力計17を設け、その圧力計17からの信号を受け、開閉弁制御手段16は蒸気口5を開くように制御している。その他の構成においては、第1の実施の形態と同じである。
【0035】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作・作用を説明する。
【0036】
まず、炊飯を行う米とその米量に対応する水を内鍋2内に入れ、炊飯器本体1の所定の状態に内装する。炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、炊飯工程が実施される。炊飯工程は浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分され、それぞれの工程において、内鍋2内部の水と米の状態が適正値として設定された温度に所定時間維持され、内鍋温度検知手段15、蓋温度検知手段14の出力を検出しながら内鍋加熱手段3、加熱板加熱手段7、蒸気回収部加熱手段11を駆動させる。
【0037】
浸水工程で、米に炊き上げ工程に必要となる水を吸収させた後、炊き上げ工程に入り、内鍋2内に投入された水は沸騰し、蒸気となって蒸気口5を通って外部に放出しようとするが、蒸気口5周辺に設けられた開閉弁12は、蒸気口5を閉じる様に制御される為(図5)、蒸気は外部に放出されず、炊飯器本体1と蓋体4の隙間から外気が入り込み、冷やされやすい構成となっている蒸気回収部9内に、より多くの蒸気が結露し、蓄えられる。ただし、内鍋2内から発生する蒸気が増えるに伴い、炊飯器本体1内部の圧力は上がり、蓋体4は上方に押され開こうとし、蓋体4と炊飯器本体1を係合しているフックレバー(図示せず)を破壊してしまう為、蓋体4内に設けられた圧力計17の値がフックレバーを破壊する値になる圧力値よりも充分に余裕を取った値(半分以下が望ましい)を越えると、開閉弁12は蒸気口5を開くように制御している。
【0038】
蒸らし工程に移行すると、蒸気回収部加熱手段11は内鍋2の鍋フランジ2aを温め、鍋フランジ2aを介して、内鍋2全周に配設された鍋パッキン8に設けられた蒸気回収部9内を加熱するように制御され、蒸気回収部9内に回収された水を加熱し、蒸気を生成する。この蒸気は鍋パッキン8の上面部8aと蒸気回収部リブ10を通り、蒸気回収部リブ10が加熱板6の下面部6aよりも高い為、蒸気は加熱板加熱手段7によって100℃以上に加熱された加熱板6に触れ、100℃以上に加熱される。100℃以上に加熱された蒸気は、内鍋2の全周の上面から内鍋2内に放出され、内鍋2内部の米は内鍋加熱手段3により内鍋2底から加熱され、さらに上面部は内鍋2内に放出される蒸気により加熱されるようになる。また、加熱板6の蒸気口5周辺に設けられた開閉弁12は蒸らし工程では蒸気口を開くように内鍋2に垂直に開くように制御されるが、垂直に開かれた開閉弁12(図6)によって蒸気はすぐに蒸気口から外部に排出されず、加熱板6を伝い蒸気口5まで加熱されつづけ、開閉弁12によって外気と最も触れ冷やされやすいご飯中心部にたどりつき、ご飯中心部は外周部を加熱する蒸気よりも高い温度の蒸気に加熱されるため均一に加熱することができる。米の水分の蒸発が活発となり、乾燥しやすい内鍋2を上面から蒸気で加熱することにより、内鍋2全体の加熱の局部的な温度上昇と上面とその近傍の米の乾燥を防止することができる。
【0039】
なお、図7に示すようにフックレバー(図示せず)に歪みゲージ32を張り付け、炊飯器本体内の圧力が上がることにより、外蓋が上部に持ち上げられ、蓋と係合しているフックレバーが引張られ伸びる為、その伸びを測定することにより、フックレバーが破壊する伸びから充分に余裕を取った値(半分以下が望ましい)になったら弁を開き、蒸気が外部に流れるように制御し、炊飯器本体内の圧力を下げるように制御してもよい。
【0040】
(実施の形態3)
図8は、本発明の第3の実施の形態における炊飯器の側断面図を示している。
【0041】
図8において、蒸気回収部9には熱交換器13(冷却ファン)を設けており、熱交換器制御手段18によって、蓋温度検知手段14が内鍋2内の沸騰状態を検知すると、蒸気回収部9を冷却するように作動し、沸騰が終了し、蒸らし工程に移行すると熱交換器13の動作を停止するように制御している。その他の構成においては、第1の実施の形態と同じである。
【0042】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作・作用を説明する。
【0043】
まず、炊飯を行う米とその米量に対応する水を内鍋2内に入れ、炊飯器本体1の所定の状態に内装する。炊飯開始スイッチ(図示せず)を使用者が操作すると、炊飯工程が実施される。炊飯工程は浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分され、それぞれの工程において、内鍋2内部の水と米の状態が適正値として設定された温度に所定時間維持され、内鍋温度検知手段15、蓋温度検知手段14の出力を検出しながら内鍋加熱手段3、加熱板加熱手段7、蒸気回収部加熱手段11を駆動させる。
【0044】
浸水工程で、米に炊き上げ工程に必要となる水を吸収させた後、炊き上げ工程に入り、内鍋2内に投入された水は沸騰し、蒸気となって蒸気口5を通って外部に放出しようとするが、蒸気口5周辺に設けられた開閉弁12は、蒸気口5を閉じる様に制御される為、蒸気は外部に放出されない。また、熱交換器制御手段18によって熱交換器13(冷却ファン)は蒸気回収部9を100℃未満の温度になるように冷却し、蒸気回収部9に蒸気が結露し、蓄えられる。
【0045】
蒸らし工程に移行すると、熱交換部13は停止し、蒸気回収部9の温度が100℃以上になるように、蒸気回収部加熱手段11は内鍋2の鍋フランジ2aを温め、鍋フランジ2aを介して、内鍋2全周に配設された鍋パッキン8に設けられた蒸気回収部9内を加熱するように制御され、蒸気回収部9内に回収された水を加熱し、蒸気を生成する。この蒸気は鍋パッキン8の上面部8aと蒸気回収部リブ10を通り、蒸気回収部リブ10が加熱板6の下面部6aよりも高い為、蒸気は加熱板加熱手段7によって100℃以上に加熱された加熱板6に触れ、100℃以上に加熱される。100℃以上に加熱された蒸気は、内鍋2の全周の上面から内鍋2内に放出され、内鍋2内部の米は内鍋加熱手段3により内鍋2底から加熱され、さらに上面部は内鍋2内に放出される蒸気により加熱されるようになる。また、加熱板6の蒸気口5周辺に設けられた開閉弁12は蒸らし工程では蒸気口を開くように内鍋2に垂直に開くように制御されるが、垂直に開かれた開閉弁12(図6)によって蒸気はすぐに蒸気口から外部に排出されず、加熱板6を伝い蒸気口5まで加熱されつづけ、開閉弁12によって外気と最も触れ冷やされやすいご飯中心部にたどりつき、ご飯中心部は外周部を加熱する蒸気よりも高い温度の蒸気に加熱されるため均一に加熱することができる。米の水分の蒸発が活発となり、乾燥しやすい内鍋2を上面から蒸気で加熱することにより、内鍋2全体の加熱の局部的な温度上昇と上面とその近傍の米の乾燥を防止することができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、熱交換器に冷却ファンを用いて空冷方式としたが、蒸気回収部に水を入れた水タンクを触れさせて冷却する水冷方式や、蒸気回収部にヒートシンクを触れさせて冷却する方式でも、同様に効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の炊飯器は、蒸気を用いて炊飯する炊飯器に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の側断面図
【図2】実施の形態1における鍋パッキンの拡大図
【図3】実施の形態1における鍋パッキンの拡大図
【図4】本発明の実施の形態1における炊飯器の側断面図
【図5】本発明の実施の形態2における炊き上げ工程時の炊飯器の側断面図
【図6】本発明の実施の形態2における蒸らし工程時の炊飯器の側断面図
【図7】本発明の実施の形態2における炊飯器の側断面図
【図8】本発明の実施の形態3における炊飯器の側断面図
【図9】従来の炊飯器の側断面図
【符号の説明】
【0049】
1 炊飯器本体
2 内鍋
2a 鍋フランジ
3 内鍋加熱手段
4 蓋体
5 蒸気口
6 加熱板
7 加熱板加熱手段
8 鍋パッキン
9 蒸気回収部
10 蒸気回収部リブ
11 蒸気回収部加熱手段
12 開閉弁
13 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される内鍋と、前記内鍋を加熱する内鍋加熱手段と、前記内鍋の開口部を覆う蓋体と、前記蓋体内に配設されると共に前記内鍋の鍋フランジと前記蓋体との隙間を密閉する鍋パッキンと、前記鍋パッキンに配設され前記内鍋と連通すると共に前記内鍋内で発生した蒸気を回収する蒸気回収部と、前記蒸気回収部内の水を加熱する蒸気回収部加熱手段とを有した炊飯器。
【請求項2】
蒸気回収部は鍋パッキンの全周に配設した請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
蓋体に配設されて内鍋の開口部を覆うと共に前記内鍋内で発生した蒸気を排出する蒸気口を有する加熱板と、前記加熱板を加熱する加熱板加熱手段を設け、蒸気回収部から発生した蒸気は、前記加熱板に接触した後、前記内鍋に投入されるようにした請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
蒸気回収部加熱手段は、鍋フランジの略下方に設けた請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】
蒸気回収部加熱手段は、誘導加熱手段とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
炊き上げ工程中には蒸気口を塞ぎ、蒸らし工程中には前記蒸気口を開くように制御した請求項3〜5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項7】
炊飯器本体内の圧力を測定する圧力測定手段と、蒸気口周辺に設けられた開閉弁とを有し、前記圧力測定手段が所定以上の圧力を検知すると、前記開閉弁を開くように制御した請求項6に記載の炊飯器。
【請求項8】
蒸気回収部が、熱交換器を有した請求項1〜7のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項9】
蒸らし工程中に蒸気回収部内の水を加熱するように制御した請求項1〜8のいずれか1項に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−296908(P2006−296908A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126046(P2005−126046)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】