説明

炎症性皮膚障害を治療又は予防するための併用療法

炎症性皮膚障害又はその皮膚障害に伴う徴候及び/若しくは症状の治療及び予防の改善のための方法及び組成物が記載される。この方法は、治療有効量のブリモニジンなどのα2アドレナリン受容体アゴニスト、及び治療有効量のジクロフェナクなどの非ステロイド性抗炎症薬の組み合わせの皮膚への局所適用を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、対象の皮膚領域に、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト、治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬及び薬学的に許容される担体を含む局所組成物を局所的に投与するステップを含む、対象において炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの炎症性皮膚障害は、不格好な有痛性の発疹、ざ瘡、持続性の赤色の静脈並びに斑、小結節及び漏出又は痂皮化することもある膿疱などのざ瘡様皮疹になることが多い。例えば、酒さには、一般に、頬、鼻、頤及び額が含まれ、発生の典型的な年齢は、30歳から60歳である。例えば、Zuber T.J.、Rosacea:Beyond First Blush 32 H OSP.P RACT.188〜189頁(1997年);THE MERCK MANUAL 813〜814頁(Keryn A.G.Laneら編、第17版 2001年)を参照されたい。酒さを有する多くの人は、自分たちが成人のざ瘡、日焼け若しくは風焼け、又は通常の老化の影響に悩まされていると間違って思い込む。酒さの症状は、頻回の潮紅及び顔面皮膚の高頻度の刺激性及び徐々に重度になる紅斑(皮膚の異常な発赤)及び毛細血管拡張症(毛細血管及び細動脈の異常な拡張による目に見える赤い線)が含まれる。充実性であるか(丘疹又は小結節と呼ばれる)又は膿が溜まっている(膿疱として知られる)場合がある小膿疱様皮疹が発症し得る。かかる皮疹はしばしば、ざ瘡のように見えるが、稗粒腫又は黒色面皰(それぞれ、開放面皰及び閉鎖面皰)は、通常存在しない。酒さのより重度の症状は、鼻瘤(鼻の脂腺及び上皮結合組織の肥厚した分葉のある過成長)を特徴とするものが含まれる。未治療のままにした場合、酒さは、進行して不可逆的に外観を損なうことがある。酒さの症状はしばしば、日光曝露、温度変化又は極端な温度、風及び香辛料の効いた食品、カフェイン、及びアルコールなどの一部の食品の摂取によって悪化する。
【0003】
酒さなどの顔の炎症性皮膚科学的障害を含めた多くの炎症性皮膚障害について、知られている治療法はない。発赤、炎症及び皮疹を制御することを対象とする現在の治療は、多くの患者において有効性が限られており、一般に、限定された期間のみ用いることができる。標準的な治療には、日光曝露、風曝露、飲酒量、香辛料の効いた食品並びに刺激性の洗顔料、ローション剤及び化粧品などのトリガーの回避が含まれる。抗生物質は、伝統的な第一選択の治療である。テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン又はクラリスロマイシンなどの経口抗生物質による長期治療(5から8週又はそれ以上)は、皮疹を制御することができる。代替の経口治療には、イソレチノイン(isoretinoin)などのビタミンA薬剤、及び抗真菌性の薬剤が含まれる。残念ながら、かかる経口薬剤はしばしば副作用を引き起こし、多くの人は、耐容性が限られている。局所的に適用されたメトロニダゾール、イソレチノイン、ステロイド、アゼライン酸、レンチノイン酸(rentinoic acid)又はレチンアルデヒド、又はビタミンC製剤などによる局所治療は、利用可能であるが、有効性は限られており、全症状を治療することはできない。例えば、イソレチノインは、重篤な催奇形性の副作用を有し、妊娠可能年齢の女性患者は、有効な受胎調節を使用するか又は治療を避けなければならない。血管のレーザー除去などの手術は、通常、最後の手段であり、他の治療が無効である場合に処方することができる。鼻の過形成を伴う患者において、外科的縮小は、患者の美容上の外見を改善することができるが、疾患自体を治療しない。混合光パルス(フォトデルム)治療は、一部の患者において、酒さなどのある種の炎症性の皮膚の調子を伴う症状にいくぶん有効であることが証明されている。
【0004】
α2アドレノセプターのアゴニストは、高血圧、うっ血性心不全、狭心症、痙攣、緑内障、下痢を含めたいくつかの状態のために及びオピアート退薬症状の抑制のために治療上用いられている(Progress in Basic and Clinical Pharmacology Vol.8、P.Lomax and E.S.Vesell編、Karger、1991年におけるJ.P.Heible and R.R.Ruffolo Therapeutic Applications of Agents Interacting with α-Adrenoceptors、180〜206頁)。クロニジンなどの、アドレノセプターアゴニストは、パッチ配合物が知られているが、主として経口で用いられている。
【0005】
全身性の副作用は、α2アドレノセプターアゴニストの使用に関連している。副作用は、例えば、チモロールのようなβ-遮断薬の心肺の影響;口の乾燥、紅潮、発熱、頻脈、尿閉、痙攣及びアトロピンによる易刺激性;フェニルエフィン(phenylephine)による高血圧;流涎の増加、悪心、嘔吐、下痢、胃痙攣、気管支の分泌物、気管支(brionchial)狭窄、喘息、徐脈、縮瞳薬による異常知覚;クロニジンによる低血圧;及び口渇、疲労並びにアプラクロニジン及びブリモニジンによる眠気が含まれる。カナダ特許第2326690号を参照されたい。
【0006】
米国特許出願公開第20050276830号は、α2アドレナリン受容体アゴニスト及び炎症性皮膚障害を治療又は予防するためのそれらの使用を開示している。
【0007】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、炎症を低減するため及び鎮痛薬として用いられている。しかし、NSAIDSは、広範囲の望ましくない副作用を伴う。例えば、NSAIDの使用は、胃腸管(GIT)の直接的な及び間接的な刺激性を引き起こし、その結果、悪心、ディスペプシア、胃の潰瘍化/出血、及び下痢などのいくつかの薬物有害反応(ADR)をもたらす可能性がある。潰瘍化のリスクは、期間が長くなり、NSAIDの用量が高くなるとともに増加する。NSAIDはまた、塩貯留、体液貯留及び高血圧などの腎性のADRの比較的高い発生率、稀な場合では、間質性腎炎、ネフローゼ症候群、急性腎不全、及び急性尿細管壊死などのより重度の腎状態に関連する。NSAIDを比較する試験のメタアナリシスでは、ナプロキセンを除いて、選択的Cox-2阻害薬及び伝統的なNSAIDの両方が心臓血管のリスクの増加に関連することが判明した(Kearneyら、BMJ 332:1302〜1308頁(2006年))。
【0008】
したがって、副作用を伴わない又はほとんど伴わない、酒さなどの炎症性皮膚障害、及びそれらの症状を寛解させる新規な方法及び組成物が依然として必要とされている。かかる方法及び組成物は、本出願に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】カナダ特許第2326690号
【特許文献2】米国特許出願公開第20050276830号
【特許文献3】米国特許第6,387,383号
【特許文献4】米国特許第6,517,847号
【特許文献5】米国特許第6,468,989号
【特許文献6】米国特許第5,424,078号
【特許文献7】米国特許第5,736,165号
【特許文献8】米国特許第6,194,415号
【特許文献9】米国特許第6,248,741号
【特許文献10】米国特許第6,465,464号
【特許文献11】米国特許第3,278,447号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Zuber T.J.、Rosacea:Beyond First Blush 32 H OSP.P RACT.188〜189頁(1997年)
【非特許文献2】THE MERCK MANUAL 813〜814頁(Keryn A.G.Laneら編、第17版 2001年)
【非特許文献3】Progress in Basic and Clinical Pharmacology Vol.8、P.Lomax and E.S.Vesell編、Karger、1991年におけるJ.P.Heible and R.R.Ruffolo Therapeutic Applications of Agents Interacting with α-Adrenoceptors、180〜206頁
【非特許文献4】Kearneyら、BMJ 332:1302〜1308頁(2006年)
【非特許文献5】Wilkin Jら、2004年、J Am Acad Dermatol.2004年6月;50巻(6号):907〜12頁
【非特許文献6】Wilkin Jら、2002年、J Am Acad Dermatol.2002年4月;46巻(4号):584〜7頁
【非特許文献7】BERGE ET AL.、66 J.PHARM.SCI.1〜19頁(1977年)
【非特許文献8】THE MERCK MANUAL 811〜830頁(Keryn A.G.Laneら編 第17版、2001年)
【非特許文献9】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1577〜1591頁、1672〜1673頁、866〜885頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年)
【非特許文献10】Ghosh、T.K.ら、TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS(1997年)
【非特許文献11】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 282〜291頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年)
【非特許文献12】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1517〜1518頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年)
【非特許文献13】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1585〜1591頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年)
【非特許文献14】REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1563〜1576頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この度、α2アドレナリン受容体アゴニスト及び非ステロイド性抗炎症薬の組み合わせは、副作用を伴わない又はほとんど伴わない炎症性皮膚障害の治療における大きな改善をもたらしたことが発見された。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一般的な一態様では、本発明の実施形態は、対象において炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防する方法に関する。本方法は、対象の皮膚領域に、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト、治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬及び薬学的に許容される担体を含む局所組成物を局所的に投与するステップを含み、皮膚領域は、炎症性皮膚障害又はそれに伴う症状に罹患しているか又は罹患しやすい。
【0013】
他の一般的な態様では、本発明の実施形態は、対象において炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防するための局所投与可能な組成物に関する。組成物は、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト、治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬及び薬学的に許容される担体を含む。
【0014】
さらに他の一般的な態様では、本発明の実施形態は、対象において炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防するためのキットに関する。キットは、
(1)治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト及び薬学的に許容される担体を含む第一の局所投与可能な組成物、
(2)治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬及び薬学的に許容される担体を含む第二の局所投与可能な組成物、及び
(3)第一の局所投与可能な組成物及び第二の局所投与可能な組成物を、対象の皮膚領域に局所的に投与するための指示書を含み、前記皮膚領域は、前記炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状に罹患しているか又は罹患しやすい。
【0015】
本発明の他の態様、特徴及び利点は、本発明の詳細な説明及びその好ましい実施形態及び添付した特許請求の範囲を含めて、以下の開示から明らかである。
【0016】
前述の概要、並びに以下の本発明の詳細な説明は、添付した図面と併せて読むと、より良く理解される。本発明を例示する目的のために、図面中で本発明の実施形態が示される。しかし、本発明が、示される正確な装置及び手段に限られるものではないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マウスにおいてTPAによって誘導された耳の浮腫の低減における、単独の又は組み合わせたブリモニジン及びジクロフェナクの効果を例示した図である。耳の厚さは、化合物の耳への局所投与の6時間後に測定され、y軸は、各群の5匹のマウスから測定した平均の耳の厚さを表し、x軸は、化合物の濃度を示す。
【図2】マウスにおいてアラキドン酸によって誘導された耳の浮腫の低減における、単独の又は組み合わせたブリモニジン及びジクロフェナクの効果を例示した図である。耳の厚さは、化合物の耳への局所投与の1時間後に測定され、y軸は、各群の5匹のマウスから測定した平均の耳の厚さを表し、x軸は、化合物の濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
様々な印刷物、記事及び特許は、背景技術及び本明細書全体において引用又は記載されており、これらの参照のそれぞれは、その全体を参照により本明細書に組み込む。本明細書中に含まれている文献、行為、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明についての状況を示す目的のためである。かかる考察は、これらの内容のいずれか又はすべてが、開示又は特許請求された任意の発明に関する従来技術の一部を形成することを認めるものではない。
【0019】
別段定義されない限り、本明細書に用いられるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。そうでなければ、本明細書で用いられるいくつかの用語は、本明細書中に記載されている意味を有する。すべての特許、公開特許出願及び本明細書で引用した印刷物は、本明細書に完全に記載されている場合と同様に、参照により組み込まれる。本明細書及び添付した特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、別段文脈で明確に指示しない限り、複数の対象を含むことに留意しなければならない。
【0020】
本明細書で使用される場合、「炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状」及び「炎症性皮膚科学的障害」という用語は、発赤、フラッシング、灼熱、落屑、ざ瘡(小膿疱、丘疹、膿疱(特に、稗粒腫及び黒色面皰がない場合))、毛細血管拡張症、圧痛、表面刺激性又は疼痛、そう痒、並びに/又は炎症の徴候及び/若しくは症状を示す皮膚、爪、若しくは粘膜に関連する任意の疾患若しくは医学的状態を意味する。疾患又は医学的状態の程度又は重症度は変わり得る。例示的な炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状には、それだけには限らないが、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、汎発性剥脱性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎(statis dermatitis)、限局性神経皮膚炎などの皮膚炎;ざ瘡、酒さ及び鼻瘤などの毛包及び脂腺の障害、口囲皮膚炎、及び偽須毛包炎(pseudofolliculitis barbae);並びに薬疹、多形紅斑、結節性紅斑及び環状肉芽腫などの炎症反応が含まれる。好ましい実施形態において、本発明の局所配合物は、酒さなどの顔の炎症性皮膚科学的障害を治療又は予防するために用いられる。
【0021】
酒さには、サブタイプI:紅斑性毛細血管拡張性(erythematotelangiectactic)酒さ(ETR):サブタイプII:丘疹膿疱性酒さ(PPR);サブタイプIII:瘤腫性(phymatous)酒さ(PR);及びサブタイプIV:眼性酒さという、4つのサブタイプがある。さらに、各サブタイプは、疾患重症度によって類別される。Wilkin Jら、2004年、J Am Acad Dermatol.2004年6月;50巻(6号):907〜12頁;及びWilkin Jら、2002年、J Am Acad Dermatol.2002年4月;46巻(4号):584〜7頁を参照されたい)。臨床診断に基づいたこの分類及び類別系は、酒さの様々な構成物を明らかにするのに役立ち、治療を選択する上で臨床医を支援している。しかし、酒さの異なるサブタイプは、疾患の進展において異なる逐次的ステップを表すのか、異なる疾患を表すのかは知られていない。「炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状」という用語は、酒さの4つのすべてのサブタイプを包含するものとする。
【0022】
本明細書で使用される場合、「α2アドレナリン受容体アゴニスト」又は「α2アドレノセプターのアゴニスト」は、αアドレナリン受容体サブクラスα2に結合し、これを選択的に刺激する化合物を意味する。かかる化合物は、哺乳動物、具体的には、ヒトの体に導入したとき、強力な血管収縮性の効果を有し得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「非ステロイド性抗炎症薬」又は「NSAID」という用語は、炎症の過程において(とりわけ)メッセンジャー分子として働くプロスタグランジン(PG)の産生を阻害する非ステロイド性抗炎症性化合物を意味する。ほとんどのNSAIDは、COX-1、COX-2、及びおそらく他のCOXアイソザイムを含めた、酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)の非選択的阻害薬として働く。COXは、PG及び主として、アラキドン酸から得られたトロンボキサンの形成を触媒する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、飽和した、一価の、分岐していない若しくは分枝の炭化水素鎖を意味する。アルキル基の例には、それだけには限らないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどの(C1〜C3)アルキル基、及び2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、ブチル、イソブチル、sec -ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどの(C4〜C8)アルキル基が含まれる。アルキル基は、置換されなくても1種若しくは複数の適当な置換基で置換されてもよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、アルキルの酸素エーテル基を意味する。アルコキシの例には、それだけには限らないが、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ヘキシルオキシなどが含まれる。アルコキシ基は、置換されなくても1種若しくは複数の適当な置換基で置換されてもよい。
【0026】
ある特定の基が「置換されている」とき(例えば、アルキル、アルコキシ)、その基は、置換基のリストから独立に選択される1種若しくは複数の置換基、好ましくは1個から5個の置換基、より好ましくは1個から3個の置換基、最も好ましくは1個から2個の置換基を有し得る。
【0027】
置換基に関して、「独立に」という用語は、かかる置換基の2個以上が可能であるとき、かかる置換基は、互いが同一であっても異なっていてもよいことを意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。同様に、「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、化合物の名称は、化合物のすべての有り得る既存の異性体の形態(例えば、光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体若しくはラセミ混合物)、エステル、プロドラッグ、代謝産物の形態、又は薬学的に許容される塩を包含するものとする。例えば、「ブリモニジン」は、化合物(5-ブロモ-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、及びブリモニジン酒石酸塩などの化合物の任意の薬学的に許容される塩であってもよく、「ジクロフェナク」は、化合物2-[2-(2,6-ジクロロフェニルアミノ)フェニル]酢酸、及びジクロフェナクのナトリウム塩又はカリウム塩などの化合物の任意の薬学的に許容される塩であってもよい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という語句は、哺乳動物における局所使用に安全及び有効であり、所望の生物活性を有する、目的とする化合物のこれらの塩を意味する。薬学的に許容される塩には、指定された化合物に存在する酸性の若しくは塩基性の基の塩が含まれる。薬学的に許容される酸付加塩には、それだけには限らないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシナート、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロナート、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(benzensulfonate)、p-トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトアート))塩が含まれる。本発明に用いられるいくつかの化合物は、様々なアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。適当な塩基との塩には、それだけには限らないが、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩及びジエタノールアミン塩が含まれる。薬学的に許容される塩に関する総説については、参照により本明細書に組み込まれるBERGE ET AL.、66 J.PHARM.SCI.1〜19頁(1977年)を参照されたい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「水和物」という用語は、非共有結合性分子間力によってそれに結合した化学量論的な量又は不定比量の水をさらに含む、目的とする化合物又は薬学的に許容されるその塩を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合「局所投与可能な組成物」、「局所組成物」、又は「局所配合物」という用語は、本発明による指定された化合物の局所送達のための薬学的に許容される及び/又は化粧品として許容される任意の配合物又は組成物を意味する。局所投与のために用いることができる配合物の例示的な形態は、それだけには限らないが、スプレー剤、ミスト、エアゾール、液剤、ローション剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、ペースト剤、軟膏、乳剤及び懸濁剤が含まれる。局所投与可能な組成物の選択は、治療又は予防しようとする症状の性質、投与しようとする特定の化合物の生理化学的な特性及び存在する他の添加剤の生理化学的な特性、配合物中のそれらの安定性、利用可能な製造設備及び費用制約条件を含めた、いくつかの因子に依存する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、指定された量の中に指定された成分を含む生成物並びに指定された量中の指定された成分の組み合わせから直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含するものとする。
【0034】
本明細書で使用される場合、「カルボマー」は、分散性であるが水に不溶性である様々なポリマー酸についての米国薬局方(USP)の名称である。酸分散液が塩基で中和されるとき、透明な安定したゲルが形成される。カルボマー934Pは、生理的に不活性であり、主な刺激物又は感作物質ではない。他のカルボマーには、910、940、941及び1342が含まれる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくは本発明の実施形態に従って化合物又は局所配合物を投与する又は投与しているヒトを意味する。本明細書で使用される場合、「哺乳動物」という用語は、任意の哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、それだけには限らないが、雌ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなどが含まれ、より好ましくは、ヒトである。好ましくは、対象は、炎症性皮膚障害及びそれに伴う症状の治療又は予防を必要としており、又はそれらの観察若しくは実験の対象である。
【0036】
本明細書で使用される場合、「指示書」という用語は、キットと関連して用いるとき、その指定された使用のためのキットの有用性を伝えるために用いることができる、印刷物、記録、図表又は任意の他の表現の媒体が含まれる。指示書は、例えば、キット用の容器に添付されてもその中に含まれてもよい。
【0037】
一実施形態では、「治療」又は「治療する」は、疾患若しくは障害、又は少なくとも1種の認識できるその症状の寛解、予防、又は後退を意味し、例えば、皮膚の発赤を少なくすることにより炎症性皮膚障害(例えば、酒さ)を治療することを意味する。他の実施形態では、「治療」又は「治療する」は、哺乳動物において又は哺乳動物によって必ずしも認識できるわけではない、治療対象となる疾患若しくは障害に関連する少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善、予防又は後退を意味する。さらに他の実施形態では、「治療」又は「治療する」は、物理的に(例えば、認識できる症状の安定化)、生理的に(例えば、物理的パラメータの安定化)、又はその両方で疾患又は障害の進行を抑制するか又は遅らせることを意味する。さらに他の実施形態では、「治療」又は「治療する」は、疾患又は障害の発生を遅延させることを意味する。
【0038】
いくつかの実施形態では、目的とする化合物は、予防措置として投与される。本明細書で使用される場合、「予防」又は「予防する」は、所与の疾患若しくは障害を被るリスクの低減を意味する。実施形態の好ましい様式では、指定された化合物は、障害の症状がないか又はごくわずかである場合でも、酒さなどの炎症性皮膚障害への素因を有する対象への予防措置として投与される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト」は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家が求めている、組織系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を誘発するα2アドレナリン受容体アゴニストの量を意味し、これは、治療対象となる疾患又は障害の症状の軽減を含む。好ましい実施形態において、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニストは、炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療する、この治療を改善する又は予防的に防止するために有効である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬」は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家によって探し求められている組織系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を誘発する非ステロイド性抗炎症薬の量を意味し、これは、治療対象となる疾患若しくは障害の症状の軽減を含む。好ましい実施形態において、治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬は、炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療する、この治療を改善する又は予防的に防止するために有効である。
【0041】
一般的な一態様では、本発明は、対象において炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防する方法に関する。本方法は、対象の皮膚領域に、薬学的に許容される担体、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト及び治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬を含む組成物を局所的に投与するステップを含み、皮膚領域は、炎症性皮膚障害又はそれに伴う症状に罹患しているか又は罹患しやすい。
【0042】
本発明の他の態様には、組成物、例えば、局所投与可能な組成物、及び対象において炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防するために用いることができるキットが含まれる。本発明の実施形態による組成物又はキットは、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト及び治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬を含む。
【0043】
本発明による方法及び組成物は、任意の炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防するために用いることができ、その例には、それだけには限らないが、乾癬、湿疹及び皮膚炎(例えば、湿疹性皮膚炎、トピック(topic)皮膚炎、アトピー性皮膚炎又は脂漏性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎又は刺激性接触皮膚炎、貨幣状湿疹、汎発性剥脱性皮膚炎、亀裂性湿疹、光アレルギー性皮膚炎、光毒性皮膚炎、植物性光線皮膚炎、放射線皮膚炎、及びうっ滞性皮膚炎、限局性神経皮膚炎)などの細胞増殖;強皮症、皮膚若しくは粘膜の外傷、熱傷、水胞性の障害又は虚血から生じる潰瘍及び侵食;魚鱗癬、表皮水疱症、肥厚性瘢痕、ケロイドのいくつかの形態;内因的な老化、光老化の皮膚変化;皮膚の機械的な剪断によって引き起こされる摩擦の水疱形成及びコルチコステロイドの局所使用から生じる皮膚萎縮、口唇炎などの粘膜の炎症、唇のひび割れ、鼻の刺激感、粘膜炎及び外陰腟炎に伴う状態が含まれる。
【0044】
本発明の実施形態による方法によって治療又は予防することができる炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状の例にはまた、それだけには限らないが、ざ瘡、酒さ及び鼻瘤、口囲皮膚炎及び偽須毛包炎などの毛包及び脂腺の障害;及び薬疹、多形紅斑、結節性紅斑及び環状肉芽腫などの炎症反応が含まれる。
【0045】
好ましい実施形態において、本発明の実施形態による方法は、酒さなどの顔の炎症性皮膚科学的障害又は酒さに伴う徴候及び/若しくは症状、例えば、酒さの紅斑を治療又は予防するために用いられる。本発明の実施形態による方法によって治療又は予防することができる炎症性皮膚障害の他の好ましい例には、それだけには限らないが、乾癬、トピック皮膚炎、及びざ瘡が含まれる。
【0046】
本発明の実施形態では、α2アドレナリン受容体アゴニストには、それだけには限らないが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20050276830号に開示されたα2アドレナリン受容体アゴニストが含まれる。
【0047】
本発明の一実施形態では、α2アドレナリン受容体アゴニストは、式(I)の化合物である
【0048】
【化1】

【0049】
[式中、R1、R2、及びR3のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン(hologen)、アルキルであり、好ましくは非置換のアルキル、又はアルコキシであり、好ましくは非置換のアルコキシであり;R4及びR5のそれぞれは独立に、水素、アルキルであり、好ましくは非置換のアルキル、又はアルコキシであり、好ましくは非置換のアルコキシであり;R6及びR7のそれぞれは独立に、水素、ニトロ、アルキルであり、好ましくは非置換のアルキル、又はアルコキシであり、好ましくは非置換のアルコキシである]。
【0050】
好ましい実施形態において、R6及びR7は、式(I)中で両方とも水素である。
【0051】
他の好ましい実施形態において、R4及びR5は、式(I)中で両方とも水素である。
【0052】
本発明の一実施形態では、α2アドレナリン受容体アゴニストは、式(Ia)の化合物である
【0053】
【化2】

【0054】
[式中、R1、R2、及びR3のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、アルキルであり、好ましくは非置換のアルキル、又はアルコキシであり、好ましくは非置換のアルコキシであり;R4及びR5のそれぞれは独立に、水素、アルキルであり、好ましくは非置換のアルキル、又はアルコキシであり、好ましくは非置換のアルコキシであり;R6及びR7のそれぞれは独立に、水素、ニトロ、アルキルであり、好ましくは非置換のアルキル、又はアルコキシであり、好ましくは非置換のアルコキシである]。
【0055】
好ましい実施形態において、R6及びR7は、式(Ia)中で両方とも水素である。
【0056】
他の好ましい実施形態において、R4及びR5は、式(Ia)中で両方とも水素である。
【0057】
他のさらに好ましい実施形態において、R2及びR3は、式(Ia)中で、両方とも水素であり、R1はハロであり、好ましくは、ブロモである。
【0058】
本発明の一実施形態では、α2アドレナリン受容体アゴニストは、式(Ib)の化合物である
【0059】
【化3】

【0060】
[式中、R1、R2、及びR3のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、アルキルであり、好ましくは、非置換のアルキル、又はアルコキシであり、好ましくは、非置換のアルコキシである]。
【0061】
好ましい実施形態において、R2及びR3は、式(Ib)中で両方とも水素であり、R1は、ハロであり、好ましくは、ブロモである。
【0062】
本発明の一実施形態では、α2アドレナリン受容体アゴニストは、式(Ic)の化合物である
【0063】
【化4】

【0064】
[式中、R1は、水素、ハロゲン、アルキルであり、好ましくは、非置換のアルキル、又はアルコキシであり、好ましくは非置換のアルコキシである]。
【0065】
好ましい実施形態において、式(Ic)中で、R1は、ハロであり、より好ましくは、ブロモであり;R4及びR5のそれぞれは独立に、水素、アルキルであり、好ましくは、非置換のアルキル、又はアルコキシであり、好ましくは、非置換のアルコキシである。
【0066】
好ましい実施形態において、R4及びR5の少なくとも1つは、式(Ic)中で水素である。
【0067】
本発明の一実施形態では、α2アドレナリン受容体アゴニストは、式(Id)の化合物である
【0068】
【化5】

【0069】
[式中、R1は、水素、ハロゲン、アルキルであり、好ましくは、非置換のアルキル、又はアルコキシであり、好ましくは、非置換のアルコキシである]。
【0070】
好ましい実施形態において、R1は、式(Id)中でハロであり、より好ましくは、ブロモである。
【0071】
本発明の他の実施形態では、α2アドレナリン受容体アゴニストは、式(II)の化合物である
【0072】
【化6】

【0073】
[式中、A1、A3、及びA4のそれぞれは独立に、水素又はアルキルであり;A2は、独立に、水素又はヒドロキシである]。
【0074】
本発明の他の実施形態では、α2アドレナリン受容体アゴニストは、式(III)の化合物である。
【0075】
【化7】

【0076】
[式中、B1、B2、及びB3のそれぞれは独立に、水素、ヒドロキシ、又はアルコキシであり、好ましくはメトキシであり;B4及びB5のそれぞれは独立に、水素又はアルキルである]。
【0077】
本発明で用いることができる代表的なα2アドレナリン受容体アゴニストには、それだけには限らないが、表1に列挙したものが含まれる。
【0078】
【表1A】

【0079】
【表1B】

【0080】
【表1C】

【0081】
最も好ましいα2アドレナリン受容体アゴニストは、ブリモニジン、(5-ブロモ-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン及びブリモニジンの酒石酸塩などの薬学的に許容されるそれらの塩である。
【0082】
本発明で用いることができるα2アドレナリン受容体アゴニストの他の例には、それだけには限らないが、デクスメデトミジン、メデトミジン、ロミフィジン、クロニジン、デトミジン、ロフェキシジン、キシラジン、チザニジン、グアンファシン、及びアミトラズが含まれる。
【0083】
本発明の実施形態では、非ステロイド性抗炎症薬は、ジクロフェナク、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、スリンダク、次サリチル酸コリン(choline subsalicylate)、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメート(meclofenamate)、サルサラート、トルメチン及びサリチル酸マグネシウムからなる群から選択される。
【0084】
好ましくは、NSAIDは、ジクロフェナク、2-[2-(2,6-ジクロロフェニルアミノ)フェニル]酢酸及びジクロフェナクのナトリウム塩又はカリウム塩などの薬学的に許容されるそれらの塩である。
【0085】
好ましい実施形態において、本発明の方法は、治療有効量のブリモニジン、治療有効量のジクロフェナク及び薬学的に許容される担体を含む組成物を対象の皮膚に局所的に投与するステップを含む。
【0086】
当業者は、本発明に用いられるα2アドレナリン受容体アゴニストの治療有効量及びNSAIDの治療有効量が、特定の対象、例えば、年齢、食事、健康状態など、治療又は予防しようと努める炎症性皮膚障害の重症度及び合併症、用いられる配合物などの因子で変わり得ることが認識される。本開示の点から、標準手順を、局所組成物の対象への投与の効果を評価するために行うことができ、したがって、当業者が、対象に投与するためにα2アドレナリン受容体アゴニストの治療有効量及びNSAIDの治療有効量を決定することが可能である。例えば、炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療する上でのα2アドレナリン受容体アゴニスト及びNSAIDの組み合わせの臨床的に観察可能な有益な効果は、対象から直接観察することもモニターすることもできる。
【0087】
臨床的に観察可能な有益な効果は、本発明の組成物が、炎症性皮膚障害に関連する徴候及び/又は症状が観察できるようになってから対象に投与されると、徴候及び/又は症状が、さらに発生若しくは悪化しない、又は本発明の実施形態による指定された組成物を投与しないときよりも進展する程度が低い状態とすることができる。臨床的に観察可能な有益な効果はまた、本発明の組成物が炎症性皮膚障害に関連する徴候及び/又は症状が観察できる前に対象に投与されると、徴候及び/又は症状が、発生しない、又は本発明の組成物を投与しないときよりもその後の起こる程度が低いこととすることができる。
【0088】
一実施形態では、治療有効量のNSAIDと併用した治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニストは、炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を伴う対象の症候群又は不快な状態を、少なくとも約20%低減し、例えば、少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又は約100%低減する。
【0089】
他の実施形態では、治療有効量のNSAIDと併用した治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニストは、炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を伴う対象の症候群又は不快な状態を予防する、又はその発生の確率を少なくとも約20%低減し、例えば、少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、若しくは約100%低減する。
【0090】
本発明の方法は、参照により本明細書に組み込まれるTHE MERCK MANUAL 811〜830頁(Keryn A.G.Laneら編 第17版、2001年)に開示されるものなど、炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状のための1種若しくは複数の他の治療及び薬剤と併せて用いることができる。
【0091】
他の医薬品又は治療は、有効成分又は薬剤が炎症性皮膚障害(例えば、酒さ)並びにそれに伴う徴候及び/又は症状を治療又は予防するように一緒に作用することができるように、α2アドレナリン受容体アゴニスト及びNSAIDの併用療法と同時に、又はある時間間隔の範囲内で連続して、対象に投与することができる。例えば、他の医薬品若しくは治療、α2アドレナリン受容体アゴニスト及びNSAIDは、同一の又は異なる時間で同一の又は別々の配合物中で投与することができる。
【0092】
任意の適当な投与経路は、それだけには限らないが、経口、口腔内、直腸、非経口、局所、皮膚上、経皮、皮下、筋肉内、鼻腔内、舌下、口腔、硬膜内、眼内、呼吸器内(intrarespiratory)、又は経鼻吸入を含めた追加の治療又は薬剤を送達するために使用することができる。
【0093】
一実施形態では、本発明の局所配合物は、それだけには限らないが、テトラサイクリン、ミノシン、ミノサイクリン、エリスロマイシン及びドキシサイクリンなどの経口投与される抗生物質及びイソトレチノイン(例えば、アキュテイン又はロアキュタンス(Roaccutance))などの経口投与されたレチノイドを含めて、抗生物質又はレチノイドの全身投与と併用して用いられる。
【0094】
他の実施形態では、本発明の局所配合物は、それだけには限らないが、メトロニジゾール(metronidizole)、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、リポ酸及びアゼライン酸、及び硫黄製剤からなる局所配合物;メトロニダゾール、クリンダマイシン及びエリスロマイシンなどの局所的に投与される抗生物質;トレチノイン、アダパレン、タザロテンなどの局所レチノイド;又は局所ステロイドを含めた他の局所治療と併用して用いられる。
【0095】
他の実施形態では、本発明の局所配合物は、混合光パルス治療(フォトデルム)、パルスダイレーザー治療、又は電気外科と併用して用いられる。
【0096】
本発明の実施形態による局所投与可能な組成物は、薬学的に許容される担体、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト及び治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬を含む。本発明の実施形態による指定された化合物の局所送達のために有用な担体は、それだけには限らないが、多価アルコール又は水などの薬学的に許容される溶媒;クリーム剤又はローション剤などの乳剤(水中油型又は油中水型乳剤);マイクロエマルション;ゲル剤;軟膏剤;リポソーム;散剤;及び水溶液又は懸濁液を含めて、医薬品を局所的に投与するために当技術分野で公知の任意の担体とすることができる。薬学的に許容される担体には、それだけには限らないが、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、香料、保存剤、色素及びコーティング剤を含めて必須の及び不活性な製剤添加剤が含まれる。
【0097】
本発明の実施形態による局所投与可能な組成物は、当技術分野で公知の方法、例えば、これらの両方が参照により本明細書に組み込まれる、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1577〜1591頁、1672〜1673頁、866〜885頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年);Ghosh、T.K.ら、TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS(1997年)などの標準的参考書によって示される方法に従って、薬学的に許容される担体を治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト及び治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬と混合することによって調製される。
【0098】
一実施形態では、局所投与可能な本発明の組成物は、乳剤の形態である。クリーム剤及びローション剤などの乳剤は、本発明における使用のための適当な局所配合物である。乳剤は、少なくとも2つの不混和性の相を含む分散した系であり、一方の相が直径0.1μmから100μmの範囲の液滴としてもう一方の相で分散したものである。乳化剤は、通常、安定性を改善させるために含まれる。水が分散相であり、油が分散媒であるとき、乳剤は、油中水型乳剤と呼ばれる。油が液滴として水相全体に液滴として分散しているとき、乳剤は、水中油型乳剤と呼ばれる。局所担体として用いることができるクリーム剤及びローション剤などの乳剤、及びそれらの調製は、参照により本明細書に組み込まれるREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 282〜291頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年)に開示される。
【0099】
他の実施形態では、局所投与可能な本発明の組成物は、ゲル剤の形態であり、例えば、2相ゲル剤又は単相ゲル剤である。ゲル剤は、液体によって浸透した小型の無機粒子又は大型の有機分子の懸濁液からなる半固形系である。ゲル質量が、小型の分離した無機粒子のネットワークを含むとき、2相ゲル剤として分類される。単相ゲル剤は、明らかな境界が分散した巨大分子と液体との間に存在しないような、液体全体に均一に分布した有機巨大分子からなる。本発明における使用のための適当なゲル剤は、参照により本明細書に組み込まれるREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY1517〜1518頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年)に開示される。本発明での使用のための他の適当なゲル剤は、(2002年5月14日発行の)米国特許第6,387,383号;(2003年2月11日発行の)米国特許第6,517,847号;及び(2002年10月22日発行の)米国特許第6,468,989号に開示され、これらの特許はそれぞれ参照により本明細書に組み込む。
【0100】
一実施形態では、局所組成物は、水並びにカルボマー、グリセリンポリアクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される水をゲル化する量の薬学的に許容されるゲル化剤を含む水性ゲル剤をさらに含み、局所組成物は、生理的に許容されるpHを有する。
【0101】
本発明の実施形態による組成物で使用され得るポリマー増粘剤(ゲル化剤)は、化粧品及び医薬品業界でしばしば用いられる親水性及び水アルコールゲル化剤などの、当業者に公知のものが含まれる。好ましくは、親水性若しくは水アルコールゲル化剤は、「CARBOPOL(登録商標)」(B.F.Goodrich、Cleveland、Ohio)、「HYPAN(登録商標)」(Kingston Technologies、Dayton、N.J.)、「NATROSOL(登録商標)」(Aqualon、Wilmington、Del.)、「KLUCEL(登録商標)」(Aqualon、Wilmington、Del.)、又は「STABILEZE(登録商標)」(ISP Technologies、Wayne、N.J.)を含む。好ましくは、ゲル化剤は、組成物の約0.2重量%から約4重量%の間を含む。より具体的には、「CARBOPOL(登録商標)」についての好ましい組成上の重量パーセント範囲は、約0.5%から約2%の間であり、「NATROLSOL(登録商標)」及び「KLUCEL(登録商標)」についての好ましい重量パーセント範囲は、約0.5%から約4%の間である。「HYPAN(登録商標)」及び「STABILEZE(登録商標)」の両方についての好ましい組成上の重量パーセント範囲は、0.5%から約4%の間である。
【0102】
「CARBOPOL(登録商標)」は、カルボマーという一般的に採用された名称を与えられる多数の架橋アクリル酸ポリマーの1つである。これらのポリマーを水に溶解させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、又は他のアミン塩基などの腐食性物質と中和してから透明な若しくはわずかに濁ったゲルを形成する。「KLUCEL(登録商標)」は、水に分散されるセルロースポリマーであり、完全に水和してから、均一のゲルを形成する。他の好ましいゲル化ポリマーには、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースガム、MVE/MAデカジエンクロスポリマー、PVM/MAコポリマー、又はその組み合わせが含まれる。
【0103】
他の好ましい実施形態において、局所投与可能な本発明の組成物は、軟膏剤の形態である。軟膏剤は、水があったとしてもほとんど含まない油性の半固形である。好ましくは、軟膏剤は、ろう、ワセリン、又はゲル状の鉱油などの炭化水素系である。本発明において用いるための適当な軟膏剤は、当技術分野で周知であり、参照により本明細書に組み込まれるREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1585〜1591頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年)に開示されている。
【0104】
本発明の実施形態において、局所投与可能な本発明の組成物は、クリーム剤及び軟膏剤の少なくとも1種を含み、それぞれは、ステアリン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、グリセリン、水及びそれらの混合物からなる群から選択される薬剤を含み、局所組成物は、生理的に許容されるpHを有する。
【0105】
他の実施形態では、局所投与可能な本発明の組成物は、水溶液又は懸濁液の形態であり、好ましくは、水溶液である。本発明において用いるための適当な水性局所配合物は、参照により本明細書に組み込まれるREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 1563〜1576頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年)に開示されるものが含まれる。他の適当な水性局所担体系には、(1995年6月13日発行の)米国特許第5,424,078号;(1998年4月7日発行の)米国特許第5,736,165号;(2001年2月27日発行の)米国特許第6,194,415号;(2001年6月19日発行の)米国特許第6,248,741号;(2002年10月15日発行の)米国特許第6,465,464号に開示されるものが含まれ、これらの特許のすべては、参照により本明細書に組み込む。
【0106】
本発明の局所配合物のpHは、好ましくは、生理的に許容されるpHの範囲内であり、例えば、約6から約8の範囲内であり、より好ましくは、約6.3から約6.5の範囲である。pHを安定させるために、好ましくは、緩衝液の有効量が含まれる。一実施形態では、緩衝剤は、配合物の約0.05から約1重量パーセントの量で水性局所配合物中に存在する。酸若しくは塩基は、必要に応じて、pHを調整するために用いることができる。
【0107】
等張化調整剤は、本発明の水性局所配合物中に含むことができる。適当な等張化調整剤の例には、それだけには限らないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ブドウ糖、グリセリン及びプロピレングリコールが含まれる。等張化剤の量は、配合物の所望の特性に応じて幅広く変わり得る。一実施形態では、等張化調整剤は、配合物の約0.5から約0.9重量パーセントの量で水性局所配合物中に存在する。
【0108】
好ましくは、本発明の水性局所配合物は、粘度を約15cpsから約25cpsの範囲で有する。本発明の水溶液の粘度は、粘度調整剤、例えば、それだけには限らないが、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースを加えることにより調整することができる。
【0109】
好ましい実施形態において、本発明の水性局所配合物は、塩化ベンザルコニウム又は二酸化塩素などの保存剤、ポリビニルアルコールなどの粘度調整剤、並びにクエン酸ナトリウム及びクエン酸などの緩衝系を含む等張食塩水である。
【0110】
本発明の実施形態による局所投与可能な組成物は、それだけには限らないが、保護薬、吸着剤、粘滑薬、皮膚軟化剤、保存剤、酸化防止剤、保湿剤、緩衝剤、可溶化剤、皮膚浸透剤、及び界面活性剤を含めて、参照により本明細書に組み込まれる、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY 866〜885頁(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995年;Ghosh、T.K.ら、TRANSDERMAL AND TOPICAL DRUG DELIVERY SYSTEMS(1997年)に列挙されたものなどの薬学的に許容される添加剤を含むことができる。
【0111】
適当な保護薬及び吸着剤には、それだけには限らないが、粉剤、亜鉛ステラート(sterate)、コロジオン、ジメチコーン、シリコーン、炭酸亜鉛、アロエベラゲル及び他のアロエ製品、ビタミンE油、アラトイン(allatoin)、グリセリン、ワセリン及び酸化亜鉛を含まれる。
【0112】
適当な粘滑薬には、それだけには限らないが、安息香、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルアルコールが含まれる。
【0113】
適当な皮膚軟化剤には、それだけには限らないが、動物及び植物性脂肪及び油、ミリスチルアルコール、ミョウバン及び酢酸アルミニウムが含まれる。
【0114】
一実施形態では、局所投与可能な本発明の組成物は、保存剤、局所麻酔薬及び皮膚湿潤剤からなる群から選択される1種若しくは複数の薬剤をさらに含む。
【0115】
適当な保存剤には、それだけには限らないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化デクアリニウム及び塩化セチルピリジニウムなどの第4級アンモニウム化合物;硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀及びチメロサールなどの水銀剤;アルコール性薬剤、例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール及びベンジルアルコール;抗菌性のエステル、例えば、パラヒドロキシ安息香酸のエステル;及びクロルヘキシジン、クロロクレゾール、安息香酸及びポリミキシンなどの他の抗菌薬が含まれる。
【0116】
二酸化塩素(ClO2)、好ましくは、安定化二酸化塩素は、本発明の局所配合物による使用のための好ましい保存剤である。「安定化二酸化塩素」という用語は、当業界で及び当業者によって周知である。安定化二酸化塩素には、1種若しくは複数の二酸化塩素含有複合体及び/又は1種若しくは複数の亜塩素酸塩含有構成物及び/又は二酸化塩素を形成するために水性媒体中で分解する又は分解されることができる1種若しくは複数の他の実体などの1種若しくは複数の二酸化塩素前駆体が含まれる。参照により本明細書に組み込まれる、(1995年6月13日発行の)米国特許第5,424,078号は、安定化二酸化塩素の形態及びそれを形成するための方法を開示し、これは、水性点眼剤用の保存剤として用いることができ、本発明の局所配合物に有用である。いくつかの安定化二酸化塩素生成物の製造又は生成は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,278,447号に記載されている。本発明の実施に利用することができる市販の安定化二酸化塩素は、Purogene(商標)又はPurite(商標)という商標で販売されているNorman、Okla.のBioCide International、Inc.の専売の安定化二酸化塩素である。他の適当な安定化二酸化塩素生成物には、Rio Linda Chemical Company、Inc.によってDuraKlorという商標で販売されているもの及びInternational Dioxide、Inc.によってAntheium Dioxideという商標で販売されているものが含まれる。
【0117】
適当な酸化防止剤には、それだけには限らないが、アスコルビン酸及びそのエステル、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール並びにEDTA及びクエン酸のようなキレート化剤が含まれる。
【0118】
適当な保湿剤には、それだけには限らないが、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素及びプロピレングリコールが含まれる。
【0119】
本発明による使用のための適当な緩衝剤には、それだけには限らないが、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、乳酸緩衝液及びホウ酸緩衝液が含まれる。
【0120】
適当な可溶化剤には、それだけには限らないが、第4級塩化アンモニウム、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチン及びポリソルベートが含まれる。
【0121】
適当な皮膚浸透剤には、それだけには限らないが、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクチルフェニルポリエチレングリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N-デシルメチルスルホキシド、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、モノオレイン酸グリセロール、及びモノオレイン酸プロピレングリコール);及びN-メチルピロリドンが含まれる。
【0122】
本発明の実施形態による局所投与可能な組成物は、α2アドレナリン受容体アゴニスト及び非ステロイド性抗炎症薬などの、医薬品若しくは薬学的に許容されるそれらの塩、それだけには限らないが、ベタメタゾン、ジフロラゾン、アムシノニド、フルオシノロン、モメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン及びトリアムシノロンなどのコルチコステロイド及び他の抗炎症薬;カンフル、メントール、リドカイン及びジブカイン、及びプラモキシンなどの局所麻酔薬及び鎮痛薬;シクロピロクス、クロロキシレノール、トリアセチン、スルコナゾール、ナイスタチン、ウンデシレン酸、トルナフタート、ミコニゾール(miconizole)、クロトリマゾール、オキシコナゾール、グリセオフルビン、エコナゾール、ケトコノゾール(ketoconozole)及びアムホテリシンBなどの抗真菌薬;ムピロシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、ゲンタマイシン、ポリミキシン、バシトラシン及びスルファジアジン銀などの抗生物質及び抗感染症薬;並びにヨウ素、ポピジンヨード(povidine-iodine)、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、クロルヘキシジン、ニトロフラジン(nitrofurazine)、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、ヘキサクロロフェン、フェノール、レソルシノール、及び塩化セチルピリジニウムなどの防腐剤を含めて、場合によっては1種若しくは複数の他の薬学的に有効な成分を含むことができる。
【0123】
好ましい実施形態において、本発明の実施形態による局所投与可能な組成物は、好ましくは、配合物中でブリモニジンの色又は他の着色された成分を遮蔽するのに十分であるが、皮膚に刺激性をもたらさない量で二酸化チタン(TiO2)をさらに含む。TiO2は、軽い刺激性を引き起こし眼が赤くなることがあり、したがって、TiO2を含有する局所投与可能な組成物との眼の接触は避けるべきである。
【0124】
用量及び投薬回数は、用いられる化合物の活性、ある特定の局所配合物の特性、及び治療又は予防される皮膚科学的障害のアイデンティティ及び重症度に応じて、訓練された医療専門家によって決定される。
【0125】
本発明の実施形態において、局所投与可能な組成物は、α2アドレナリン受容体アゴニスト0.01重量%から5重量%及び非ステロイド性抗炎症薬0.01重量%から5重量%を含む。例えば、組成物は、α2アドレナリン受容体アゴニスト0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%又は5重量%;及び非ステロイド性抗炎症薬0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%又は5重量%を含むことができる。
【0126】
好ましい実施形態において、局所投与可能な組成物は、α2アドレナリン受容体アゴニストの0.05重量%〜0.5重量%、0.07重量%〜0.7重量%又は0.1重量%〜0.6重量%及び非ステロイド性抗炎症薬の0.05重量%〜0.5重量%、0.1重量%〜1重量%又は0.5重量%〜2重量%を含む。
【0127】
炎症性皮膚障害(例えば、酒さ)を治療又は予防するために、本開示の点から、例えば、局所投与可能な本発明の組成物は、例えば、スポイト又はアプリケータースティックによって、エアゾール塗布器によるミストとして、皮内若しくは経皮パッチによって、又は患部に本発明の配合物を指で単に塗ることにより、当技術分野で周知の任意の従来の方式で患部に直接局所的に適用される。一般に、患部皮膚領域に適用される本発明の局所配合物の量は、皮膚表面積の約0.1g/cm2から約5g/cm2の範囲であり、好ましくは、皮膚表面積の0.2g/cm2から約0.5g/cm2の範囲である。通常、1日1回から4回の適用が治療期間中に推奨される。
【0128】
本発明の他の態様は、表示した1種若しくは複数の適当な容器中の本発明の実施形態による1種若しくは複数の局所配合物と、炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防するための使用についての指示書とを含むキットに関する。キットは、
(1)治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト及び薬学的に許容される担体を含む第一の局所投与可能な組成物、
(2)治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬及び薬学的に許容される担体を含む第二の局所投与可能な組成物、及び
(3)第一の局所投与可能な組成物及び第二の局所投与可能な組成物を、対象の皮膚領域に局所的に投与するための指示書を含み、前記皮膚領域は、前記炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状に罹患しているか又は罹患しやすい。
【0129】
本発明の一実施形態では、第一及び第二の局所投与可能な組成物は、同一の単一の局所投与可能な組成物であり、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト及び治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬の両方を含む。単一の局所投与可能な組成物は、スポイト、広口びん、又は任意の薬学的に適当な材料で作られた先端が幅広い管などの適当な小型の開口サイズを有する管など、適当な1個の容器内に含まれる。
【0130】
他の実施形態では、第一及び第二の局所投与可能な組成物は、2つに分かれた個別の局所投与可能な組成物であり、それぞれが、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト又は治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬をそれぞれ備える。2つに分かれた局所投与可能な組成物は、スポイト、広口びん、又は任意の薬学的に適当な材料で作られた先端が幅広い管などの適当な小型の開口サイズを有する管など、適当な2つの別々の容器内に含まれる。
【0131】
本発明の局所配合物は、プラスチック製スクイーズボトル又は管に充填し包装することができる。本発明の局所配合物を包装するために適当な容器-クロージャー系は、例えば、Wheaton Plastic Products、1101 Wheaton Avenue、Millville、N.J.08332から市販されている。
【0132】
好ましくは、指示書は、例えば、パンフレット又はパッケージ表示など本発明の配合物と共に包装される。表示される指示書は、炎症性皮膚障害(例えば、酒さ)並びにそれに伴う徴候及び/又は症状を治療又は予防するのに十分な量で及び期間に本発明の局所配合物の投与の仕方、例えば、同時に投与される1つの組成物として、又は同一の若しくは異なる時点で投与される2つの組成物として、第一の局所投与可能な組成物及び第二の局所投与可能な組成物を対象に局所的に投与するための指示を説明する。好ましくは、表示には、用量及び投与指示、局所配合物の組成物、臨床薬理学、薬剤耐性、薬物動態、吸収、バイオアベイラビリティ及び禁忌が含まれる。
【0133】
本発明は、続く限定しない例の参照により、より良く理解されるが、当業者は、これらの例がその後に続く特許請求の範囲においてさらに十分に記載される通り、本発明の例示的なものに過ぎないということは容易に理解される。
【実施例1】
【0134】
ゲル配合物
例示的なゲル配合物を、当技術分野で公知の方法を用いて、例えば、指定された濃度で以下の成分を混合することによって調製する。
【0135】
【表1D】

【実施例2】
【0136】
TPA-誘導浮腫動物モデルにおけるブリモニジン及びジクロフェナクの組み合わせの改善された抗炎症活性
12-O-テトラデカノイルホルボール-13-アセタート(TPA)-誘導浮腫動物モデルを用いて、ブリモニジン及びジクロフェナクの抗炎症効果の改善を実証した。
【0137】
動物が関与するすべての手順を、完全に認可された動物施設において、予め承認を受けたプロトコールに従って実施した。
【0138】
浮腫誘導物質、TPAを、0.01重量%でエタノールに溶解してTPA溶液(「TPA溶液」)を得た。試験化合物、ブリモニジン(CD07805)及びジクロフェナク(CD08100/02)を、所望の濃度で単独で又は組み合わせてTPA溶液に溶解した。陽性対照化合物、吉草酸ベタメタゾン(betametasone valerate)(CD0153)を、0.01重量%でTPA溶液に溶解した。
【0139】
TPA溶液(陰性対照)、TPA溶液に溶解した試験化合物、又はTPA溶液に溶解した陽性対照各20(20)μlを、健常な、8〜9週齢雌マウス(BALB/c ByJ Rj)の耳に局所的に適用した。異なる用量の異なる化合物を動物10群で試験し、各群はマウス5匹を有した(表2を参照されたい)。
【0140】
【表2】

【0141】
動物50匹それぞれの耳の厚さを、化合物適用の6時間後に測定した。測定後、動物を、予め承認を受けたプロトコールに従い二酸化炭素によって屠殺した。
【0142】
10群それぞれにおける動物5匹から測定した耳の厚さの平均値を算出した。試験化合物の抗炎症活性を、TPAによって誘導された耳の浮腫を低減するその能力によって、すなわち、TPA単独で治療したものと比較したとき、試験化合物及びTPAの両方で治療した動物の耳の厚さの低減の百分率として測定した。
【0143】
表3及び図1で示された通り、単回の局所適用後、0.2%ブリモニジン(CD07805)単独では、マウスにおけるTPAによって誘導された耳の浮腫を46.3%低減し、中等度の抗炎症効果を実証した。0.1%、0.3%及び1%のジクロフェナク(CD08100/02)単独では、マウスにおけるTPAによって誘導された耳の浮腫を、それぞれ63.8%、60.0%及び70.0%低減し、中等度から強度の抗炎症効果を実証した。驚くべきことに、0.2%ブリモニジン(CD07805)の0.1%、0.3%及び1%のジクロフェナク(CD08100/02)との組み合わせは、マウスにおけるTPAによって誘導された耳の浮腫を完全に低減し、すなわち、試験された3つすべてのジクロフェナク濃度で100%低減した。
【0144】
【表3】

【0145】
ブリモニジン及びジクロフェナクの組み合わせの完全な抗炎症効果は、0.01%吉草酸ベタメタゾン(CD0153)のものと匹敵し、マウスにおけるTPAによって誘導された耳の浮腫を同様の試験条件下で97.5%低減した。
【0146】
これらの結果から、α2アドレナリン受容体アゴニスト及び非ステロイド性抗炎症薬の組み合わせの局所投与が炎症性皮膚障害の治療の改善をもたらすことが実証される。
【実施例3】
【0147】
アラキドン酸-誘導急性浮腫動物モデルにおけるブリモニジン及びジクロフェナクの組み合わせの抗炎症活性の改善
アラキドン酸(AA)- 誘導急性浮腫動物モデルを用いてブリモニジン及びジクロフェナクの抗炎症効果の改善をさらに実証した。
【0148】
動物が関与するすべての手順を、完全に認可された動物施設において及び予め承認を受けたプロトコールに従って実施した。
【0149】
浮腫誘導物質、アラキドン酸を、4重量%でテトラヒドロフラン(THF):メタノール(1:1)の溶液に溶解してアラキドン酸溶液(AA溶液)を得た。試験化合物、ブリモニジン(CD07805)及びジクロフェナク(CD08100/02)を、所望の濃度で単独で又は組み合わせてAA溶液に溶解した。陽性対照化合物、インドメタシン(CD0016)を、5重量%でAA溶液に溶解した。
【0150】
AA溶液(陰性対照)、AA溶液に溶解した試験化合物、又はAA溶液に溶解した陽性対照各20(20)μlを健常な、8〜9週齢雌マウス(BALB/c ByJ Rj)の右耳の内側に適用した。異なる用量の異なる化合物を動物10群で試験し、各群はマウス5匹を有した(表4を参照されたい)。
【0151】
【表4】

【0152】
動物50匹それぞれの耳の厚さを、化合物適用の0、1、2及び4時間後に測定した。最後の測定後に、動物を、予め承認を受けたプロトコールに従い二酸化炭素によって屠殺した。
【0153】
10群それぞれにおける動物5匹から測定した耳の厚さの平均値を算出した。試験化合物の抗炎症活性を、AAによって誘導された耳の浮腫を低減するその能力によって、すなわち、AA単独で治療したものと比較したとき、試験化合物及びAAで治療した動物の耳の厚さの低減の百分率として測定した。
【0154】
表5及び図2で示された通り、単回の局所適用後、0.2%ブリモニジン(CD07805)単独では、マウスにおけるAAによって誘導された耳の浮腫を、最大80.8%低減し、中等度から強度の抗炎症効果を実証した。0.1%、0.3%及び1%のジクロフェナク(CD08100/02)単独では、マウスにおけるAAによって誘導された耳の浮腫をそれぞれ最大71.2%、80.6%及び83.9%低減し、やはり中等度から強度の抗炎症効果を実証した。驚くべきことに、0.2%ブリモニジン(CD07805)の0.1%、0.3%及び1%のジクロフェナク(CD08100/02)との組み合わせは、マウスにおけるAAによって誘導された耳の浮腫を完全に低減し、すなわち、試験された3つすべてのジクロフェナク濃度で最大100%低減した。
【0155】
ブリモニジン及びジクロフェナクの組み合わせの抗炎症効果は、5%インドメタシン(CD0016)の場合よりも強力であり、マウスにおけるAAによって誘導された耳の浮腫を同様の試験条件下で最大94.2%低減した。
【0156】
表6に示す通り、ブリモニジン及びジクロフェナクの組み合わせは、試験された3つすべての濃度で及び3回すべての測定時にジクロフェナクの抗炎症効果を顕著に改善した。
【0157】
これらの結果は、TPAによって誘導された耳の浮腫試験から得られたものを確認した。これらから、α2アドレナリン受容体アゴニスト及び非ステロイド性抗炎症薬の組み合わせの局所投与が炎症性皮膚障害の治療の改善をもたらすことがさらに実証される。
【0158】
広範な本発明のその概念から逸脱することなく前述の実施形態に変更がなされ得ることが当業者によって理解されよう。したがって、本発明が、開示された特定の実施形態に限定されないが、添付した特許請求の範囲によって定義される通り、本発明の精神及び範囲内で修正形態を包含するものとするということが理解される。
【0159】
【表5】

【0160】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防する方法であって、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト、治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬及び薬学的に許容される担体を含む局所組成物を対象の皮膚領域に局所的に投与するステップを含み、前記皮膚領域が前記炎症性皮膚障害又はそれに伴う症状に罹患しているか又は罹患しやすい、方法。
【請求項2】
α2アドレナリン受容体アゴニストが、
(1)式(I)の化合物
【化1】

[式中、R1、R2、及びR3のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、アルキル、又はアルコキシであり;R4及びR5のそれぞれは独立に、水素、アルキル、又はアルコキシであり;R6及びR7のそれぞれは独立に、水素、ニトロ、アルキル、又はアルコキシである]、
(2)式(II)の化合物
【化2】

[式中、A1、A3、及びA4のそれぞれは独立に、水素又はアルキルであり;A2は、独立に、水素又はヒドロキシである]、
(3)式(III)の化合物
【化3】

[式中、B1、B2、及びB3のそれぞれは独立に、水素、ヒドロキシ、又はアルコキシであり;B4及びB5のそれぞれは独立に、水素又はアルキルである]、
(4)式(IV)の化合物
【化4】

及び
(5)式(V)の化合物
【化5】

からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
α2アドレナリン受容体アゴニストが、ブリモニジン、(8-ブロモ-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(8-ブロモ-キノキサリン-5-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(5-ブロモ-3-メチル-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(5-ブロモ-2-メトキシ-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-(8-メチル-キノキサリン-6-イル)-アミン、(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-キノキサリン-5-イル-アミン、ナファゾリン、テトラヒドロザリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリン、及びメトキサミンからなる群から選択され、
非ステロイド性抗炎症薬が、ジクロフェナク、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、スリンダク、次サリチル酸コリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメート、サルサラート、トルメチン、及びサリチル酸マグネシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
α2アドレナリン受容体アゴニストがブリモニジンであり、非ステロイド性抗炎症薬がジクロフェナクである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、α2アドレナリン受容体アゴニスト0.01重量%から5重量%及び非ステロイド性抗炎症薬0.01重量%から5重量%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
炎症性皮膚障害が、酒さ、乾癬、トピック皮膚炎、又はざ瘡である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状のための1種若しくは複数の他の治療及び薬剤を対象に投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
対象において炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防するための局所投与可能な組成物であって、治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト、治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬、及び薬学的に許容される担体を含む組成物。
【請求項9】
α2アドレナリン受容体アゴニストが、
(1)式(I)の化合物
【化6】

[式中、R1、R2、及びR3のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、アルキル、又はアルコキシであり;R4及びR5のそれぞれは独立に、水素、アルキル、又はアルコキシであり;R6及びR7のそれぞれは独立に、水素、ニトロ、アルキル、又はアルコキシである]、
(2)式(II)の化合物
【化7】

[式中、A1、A3、及びA4のそれぞれは独立に、水素又はアルキルであり;A2は、独立に、水素又はヒドロキシである]、
(3)式(III)の化合物
【化8】

[式中、B1、B2、及びB3のそれぞれは独立に、水素、ヒドロキシ、又はアルコキシであり;B4及びB5のそれぞれは独立に、水素又はアルキルである]、
(4)式(IV)の化合物
【化9】

及び
(5)式(V)の化合物
【化10】

からなる群から選択される、請求項8に記載の局所投与可能な組成物。
【請求項10】
α2アドレナリン受容体アゴニストが、ブリモニジン、(8-ブロモ-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(8-ブロモ-キノキサリン-5-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(5-ブロモ-3-メチル-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(5-ブロモ-2-メトキシ-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-(8-メチル-キノキサリン-6-イル)-アミン、(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-キノキサリン-5-イル-アミン、ナファゾリン、テトラヒドロザリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリン、及びメトキサミンからなる群から選択され、
非ステロイド性抗炎症薬が、ジクロフェナク、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、スリンダク、次サリチル酸コリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメート、サルサラート、トルメチン、及びサリチル酸マグネシウムからなる群から選択される、請求項9に記載の局所投与可能な組成物。
【請求項11】
α2アドレナリン受容体アゴニストがブリモニジンであり、非ステロイド性抗炎症薬がジクロフェナクである、請求項10に記載の局所投与可能な組成物。
【請求項12】
スプレー剤、ミスト、エアゾール、液剤、ローション剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、ペースト剤、軟膏、乳剤、及び懸濁剤からなる群から選択される形態の、請求項8に記載の局所投与可能な組成物。
【請求項13】
α2アドレナリン受容体アゴニスト0.01重量%から5重量%及び非ステロイド性抗炎症薬0.01重量%から5重量%を含む、請求項8に記載の局所投与可能な組成物。
【請求項14】
水と、カルボマー、グリセリンポリアクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される水をゲル化する量の薬学的に許容されるゲル化剤とを含む水性ゲル剤をさらに含み、生理的に許容されるpHを有する、請求項8に記載の局所投与可能な組成物。
【請求項15】
ステアリン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、グリセリン、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される薬剤をそれぞれ含むクリーム剤及び軟膏剤の少なくとも1種をさらに含み、生理的に許容されるpHを有する、請求項8に記載の局所投与可能な組成物。
【請求項16】
炎症性皮膚障害又はそれに伴う症状を治療又は予防するための追加の医薬有効成分、保存剤、局所麻酔薬及び皮膚湿潤剤からなる群から選択される1種若しくは複数の薬剤をさらに含む、請求項8に記載の局所投与可能な組成物。
【請求項17】
二酸化チタンをさらに含む、請求項8に記載の局所投与可能な組成物。
【請求項18】
炎症性皮膚障害又はそれに伴う徴候及び/若しくは症状を治療又は予防するためのキットであって、
(1)治療有効量のα2アドレナリン受容体アゴニスト及び薬学的に許容される担体を含む第一の局所投与可能な組成物、
(2)治療有効量の非ステロイド性抗炎症薬及び薬学的に許容される担体を含む第二の局所投与可能な組成物、及び
(3)第一の局所投与可能な組成物及び第二の局所投与可能な組成物を、対象の皮膚領域に局所的に投与するための指示書
を含み、前記皮膚領域が、前記炎症性皮膚障害又はそれに伴う症状に罹患しているか又は罹患しやすい、キット。
【請求項19】
α2アドレナリン受容体アゴニストが、
(1)式(I)の化合物
【化11】

[式中、R1、R2、及びR3のそれぞれは独立に、水素、ハロゲン、アルキル、又はアルコキシであり;R4及びR5のそれぞれは独立に、水素、アルキル、又はアルコキシであり;R6及びR7のそれぞれは独立に、水素、ニトロ、アルキル、又はアルコキシである]、
(2)式(II)の化合物
【化12】

[式中、A1、A3、及びA4のそれぞれは独立に、水素又はアルキルであり;A2は、独立に、水素又はヒドロキシである]、
(3)式(III)の化合物
【化13】

[式中、B1、B2、及びB3のそれぞれは独立に、水素、ヒドロキシ、又はアルコキシであり;B4及びB5のそれぞれは独立に、水素又はアルキルである]、
(4)式(IV)の化合物
【化14】

及び
(5)式(V)の化合物
【化15】

からなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
α2アドレナリン受容体アゴニストが、ブリモニジン、(8-ブロモ-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(8-ブロモ-キノキサリン-5-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(5-ブロモ-3-メチル-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(5-ブロモ-2-メトキシ-キノキサリン-6-イル)-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-アミン、(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-(8-メチル-キノキサリン-6-イル)-アミン、(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イル)-キノキサリン-5-イル-アミン、ナファゾリン、テトラヒドロザリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリン、及びメトキサミンからなる群から選択され、
非ステロイド性抗炎症薬が、ジクロフェナク、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ピロキシカム、ナプロキセン、スリンダク、次サリチル酸コリン、ジフルニサル、フェノプロフェン、インドメタシン、メクロフェナメート、サルサラート、トルメチン、及びサリチル酸マグネシウムからなる群から選択される、請求項18に記載のキット。
【請求項21】
α2アドレナリン受容体アゴニストがブリモニジンであり、非ステロイド性抗炎症薬が、ジクロフェナクである、請求項20に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−511490(P2013−511490A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539326(P2012−539326)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067749
【国際公開番号】WO2011/061252
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】