説明

無線通信装置

【課題】 搭載する電池の構成を工夫することで、電池パックをユーザ自身で容易に交換することができ、且つ不審者によって電池を外されたとしても動作し続けることができ、防犯機能を十分に発揮することが可能な無線通信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明にかかる無線通信装置110の構成は、所定の入力により音、光または振動の発生による防犯機能を作動させる制御部202と、当該無線通信装置内部に不可視に内蔵される第1電池220と、当該無線通信装置に着脱可能である第2電池240と、当該無線通信装置が動作するための電力を、第1電池および第2電池から切り換えて供給する回路と、を備え、制御部は、防犯機能が作動している状態で第2電池が脱離されると、回路の電源供給元を第1電池に切り換えるよう制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯機能を備えた無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、子供や女性が危険に晒される事件が多発し、このような事件を回避すべく防犯装置が脚光を浴びている。しかし、それなりの体積を占有してしまう専用の防犯装置は、汎用性に欠け、いざというときに役に立たないこともある。そこで、今や大半の個人が所有していると考えられる携帯電話やPHS(Personal Handy phone System)等に代表される無線通信装置への防犯機能の搭載が注目されている。
【0003】
上記の無線通信装置に搭載される防犯機能としては、例えば、当該無線通信装置に設けられた防犯機能専用のストラップを抜いたり、所定のキー操作を行ったりすることにより、ブザー音(警告音)が発生するように構成され、防犯ブザーとして機能する無線通信装置が最も広く知られている。これによれば、ユーザが常時携帯することが多い無線通信装置に防犯ブザーとしての機能が搭載されるため、防犯ブザーを別途携帯する必要がなく、緊急時にその防犯機能を即座に利用することができる。
【0004】
また他の防犯機能が搭載された無線通信装置として、発呼動作や通話動作終了時に自動的に位置情報を受信し、受信した位置情報を所定の宛先へ送信する通信装置が開示されている(例えば特許文献1)。これによれば、子供等のユーザが不審者に襲われた場合、所持する通信端末から親等の所定の宛先(通信端末)に対する発呼動作や通話動作を行うだけで、その所定の宛先に位置情報を確実に知らせることが可能であるとしている。
【0005】
更に他の防犯機能が搭載された無線通信装置として、所定のキーが操作されると、電源オフ状態と、位置情報を取得し取得した位置情報を所定の宛先へ送信する電源オン状態と、の繰返しで構成される擬似電源オフ状態となる通信装置が開示されている(例えば特許文献2)。かかる通信装置は、擬似電源オフ状態における電源オン状態であるときに所定のフラグ付き情報を受信すると、擬似電源オフ状態から通常の電源オン状態に移行する。これによれば、他の通信端末からの所定のフラグ付き情報を受信することによって、擬似電源オフ状態となった通信端末は電源オン状態となるため、他の通信端末から当該携帯端末を遠隔操作することが可能であるとしている。
【0006】
しかし、上記の防犯ブザーとして機能する無線通信装置では、ブザー音が鳴ったことに気づいた不審者が、そのブザー音を停止させるために無線通信装置の電池パックを外そうとすることが容易に予想される。また、上記の特許文献1および特許文献2に記載の通信装置においても、通信装置の機能を停止させるために不審者が電池パックを外そうとすることは十分に起こりえる。故に、上記の無線通信装置(通信装置)であると、防犯機能を備えているにも拘らず、不審者に電池パックを外されてしまうと無線通信装置の電源が切断されてしまう。このため、非常事態に陥ったときにかかる防犯機能を十分に発揮することができないという問題があった。
【0007】
したがって、かかる問題を解決するために、二次電池と、二次電池を収納するための電池収納部と、電池収納部を覆うカバーと、所定の操作により警報音等を発生する警報発生手段と、を備え、かかる二次電池を容易に取り外せない構成とした携帯電話機が開示されている(例えば特許文献3、4および5)。これらの特許文献3、4および5に記載の携帯電話機であれば、不審者が携帯電話機(無線通信装置)から電池パックを外すことが困難になる。したがって、無線通信装置の電源が切断されてしまうという事態の発生を低減することができる。
【特許文献1】特開2006−16925号公報
【特許文献2】特開2008−61153号公報
【特許文献3】特開2008−05271号公報
【特許文献4】特開2008−16924号公報
【特許文献5】特開2008−28715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の特許文献3、4および5に記載された携帯電話機(無線通信装置)のように、無線通信装置から電池パックを外せなかった場合、不審者が、無線通信装置を破壊することによってその電源を切断しようとする可能性や、防犯ブザーが鳴り続ける無線通信装置を現場に遺棄するおそれがある。これらの事態が生じると、上述した電池パックを外された場合と同様に、当該無線通信装置に搭載された防犯機能の効果は激減してしまう。
【0009】
また上記の特許文献3、4および5に記載された携帯電話機(無線通信装置)であると、不審者が携帯電話機から電池パックを外すことが困難になるが、これは、すなわちユーザが携帯電話機から電池パックを外すことが困難になるということでもある。したがって、例えば、無線通信装置を頻繁に使用する等、電力消費量が多く、予備の電池パックを携帯しているユーザは、電池パックの交換を自身で容易に行うことができなくなる。故に、電池パックを自身で交換することを望むユーザにとっては、上記の携帯電話機は、利便性が悪いものとなる。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑み、搭載する電池の構成を工夫することで、電池パックをユーザ自身で容易に交換することができ、且つ不審者によって電池を外されたとしても動作し続けることができ、防犯機能を十分に発揮することが可能な無線通信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる無線通信装置の代表的な構成は、所定の入力により音、光または振動の発生による防犯機能を作動させる制御部と、当該無線通信装置内部に不可視に内蔵される第1電池と、当該無線通信装置に着脱可能である第2電池と、当該無線通信装置が動作するための電力を、第1電池および第2電池から切り換えて供給する回路と、を備え、制御部は、防犯機能が作動している状態で第2電池が脱離されると、回路の電源供給元を第1電池に切り換えるよう制御することを特徴とする。
【0012】
上記の回路は、電力を第1電池から供給するための第1スイッチと、電力を第2電池から供給するための第2スイッチと、を有し、当該無線通信装置に第2電池が装着されていない場合には、第1スイッチをオンにし且つ第2スイッチをオフにすることにより、無線通信装置に第1電池から電力を供給し、当該無線通信装置に第2電池が装着されている場合には、第1スイッチをオフにし且つ第2スイッチをオンにすることにより、無線通信装置に第2電池から電力を供給するとよい。
【0013】
上記の回路は、一時的に蓄電するキャパシタを更に有し、第1スイッチおよび第2スイッチの切り換え時に、キャパシタにより電力の供給を補うとよい。
【0014】
当該無線通信装置は、ユーザの入力を検知する検知部を更に備え、検知部が入力を検知したら、制御部は、当該無線通信装置の動作モードを、防犯機能を作動させる防犯モードに設定するとよい。
【0015】
当該無線通信装置は、音声を出力する音声出力部を更に備え、防犯機能は、音声出力部による警告音の出力であるとよい。
【0016】
上記の電力は、当該無線通信装置に第2電池が装着されている場合には第2電池から優先的に供給され、第2電池に蓄電された電力を消費した後には第1電池から供給されるとよい。
【0017】
当該無線通信装置に第2電池が装着されている場合には、第1電池が優先的に充電され、第1電池の充電が終了した後に第2電池が充電されるとよい。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明にかかる無線通信装置の他の構成は、基地局との無線通信を行う無線通信装置であって、所定の入力により音、光または振動の発生による防犯機能を作動させる制御部と、当該無線通信装置内部に不可視に内蔵される第1電池と、当該無線通信装置が動作するための電力を供給する二次電池あるいは一次電池に模した、着脱可能であるダミー電池と、を備え、制御部は、防犯機能が実行される状態でダミー電池が脱離されても、第1電池による電力の供給により防犯機能を継続することを特徴とする。
【0019】
上記のダミー電池と略同じ形状であり、ダミー電池と入れ替え可能かつ当該無線通信装置に電力を供給可能な第2電池と、当該無線通信装置が動作するための電力を、第1電池および第2電池から切り換えて供給する回路と、を更に備え、制御部は、第2電池が装着された状態で防犯機能が作動され、第2電池が脱離されると、回路の電源供給元を第1電池に切り換えるよう制御するとよい。
【0020】
上記の第2電池およびダミー電池は、それぞれ異なる抵抗値を示すID抵抗を各々有し、ID抵抗の値を測定することにより、当該無線通信装置が、第2電池またはダミー電池のいずれかを装着される状態か、またはいずれもを脱離される状態かを判断するとよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、搭載する電池の構成を工夫することで、電池パックをユーザ自身で容易に交換することができ、且つ不審者によって電池を外されたとしても動作し続けることができ、防犯機能を十分に発揮することが可能な無線通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0023】
PHS端末や携帯電話等に代表される無線通信装置は、所定間隔をおいて固定配置される基地局と無線で通信を行う無線通信システムを構築する。ここでは、まず、無線通信システム全体を説明し、その後、無線通信装置の具体的構成を説明する。また、本実施形態では、無線通信装置として携帯電話を例示するが、かかる例に限らず、PHS端末、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、カーナビゲーション、ポータブルテレビ、ゲーム機器、DVDプレイヤー、リモートコントローラ等無線通信可能な様々な電子機器を無線通信装置として用いることもできる。
【0024】
(無線通信システム100)
図1は、無線通信システム100の概略的な接続関係を示した説明図である。当該無線通信システム100は、無線通信装置110と、無線通信装置110との無線通信を確立する基地局120と、基地局120に接続され、Ethernet(登録商標)、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線、インターネット、専用回線等で構成される通信網130と、通信網130を通じて各基地局120を中継する中継サーバ140と、連絡先端末150を含んで構成される。ここで、本実施形態においては、連絡先端末150となる通信装置として連絡先ユーザが所有する携帯電話を例示するが、これに限定するものではなく、上述した電子機器や固定電話、パーソナルコンピュータ等を用いることも可能である。
【0025】
当該無線通信システム100において、無線通信装置110は、基地局120との無線通信を通じて他の無線通信装置との通話や通信を実行し、また、通信網130を介して接続される各サービス事業者のWebサーバ(図示せず)から様々なサービスを受けることができる。特に、本実施形態では、無線通信システム100を経由して、当該無線通信装置に登録された連絡先端末150との通信を確立し、自己の危機的状態を連絡先端末150に伝達することが可能となる。連絡先端末150を有する連絡先ユーザは、かかる伝達事項を受けて、無線通信装置110を有するユーザを保護する早期の安全対策を実行することが可能となる。以下、無線通信装置110の具体的な構成を詳述する。
【0026】
(無線通信装置110)
図2は、無線通信装置110のハードウェア構成を示した機能ブロック図であり、図3は、無線通信装置110の外観を示した斜視図である。特に図3(a)は正面斜視図であり、図3(b)は背面斜視図である。なお、本実施形態では、無線通信装置110としてストレートタイプの携帯電話を例示しているが、これに限定するものではなく、折りたたみタイプやスライドタイプの携帯電話としてもよい。
【0027】
無線通信装置110は、制御部202と、表示部204と、音声入力部206と、音声出力部208と、発光部210と、振動出力部212と、撮像部214と、操作部216と、第1電池220と、電池装着部230と、第2電池240またはダミー電池250と、電池蓋260と、抵抗測定部270と、電池蓋検知部272と、キャパシタ274と、第1スイッチ276と、第2スイッチ278と、着脱判断部280と、検知部282と、メモリ284と、無線通信部288と、GPS受信部290と、を含んで構成される。
【0028】
制御部202は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により無線通信装置110全体の機能を管理および制御し、メモリ284のプログラムを用いて、通話機能、メール送受信機能、撮像機能、音楽再生機能、TV視聴機能も遂行する。
【0029】
表示部204は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)等で構成される。かかる表示部204は、メモリ284に記憶された、または通信網130を介して中継サーバ140から提供される、Webコンテンツ、アプリケーションのGUI(Graphical User Interface)等のユーザに対する情報を表示することができる。
【0030】
音声入力部206は、マイク等の音声認識手段で構成され、通話時に入力されたユーザの音声を無線通信装置110内で処理可能な電気信号に変換する。
【0031】
音声入力部206は、自装置(当該無線通信装置110)が防犯モードに設定されたら(または後述する着脱判断部280が自装置から第2電池240またはダミー電池250が脱離したと判断したら)、音声の入力を行うとよい。これにより、入力された音声を基に、ユーザの置かれている状況を判断したり、不審者の特定を行うことが可能となる。
【0032】
音声出力部208は、スピーカで構成され、無線通信装置110で受信した通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、着信音や、操作部216の操作音、アラーム音等も出力できる。
【0033】
音声出力部208は、後述する検知部282が、ユーザの入力によりユーザの危機的状況を検知し、当該無線通信装置110の動作モードが、防犯機能を作動させる防犯モードに設定されたら、防犯機能としての警告音の出力を行うとよい。これにより、ユーザの危機的状況を周囲の人間に報知し、且つ不審者を威嚇することができる。
【0034】
発光部210は、LED(Light Emitting Diode)、EL発光体、サブLCD、その他の照光可能な電子部品から構成される。これにより、例えば音声出力ができない場合に、着信やメールの受信を発光部の発光で認識することが可能となる。
【0035】
振動出力部212は、電動機(図示せず)と、その電動機の回転軸(図示せず)に設けられ重心が偏心している金属等の剛体(図示せず)とから構成され、剛体を回転させることで当該無線通信装置110にバイブレーション振動を与えることができる。すなわち、振動出力部212はバイブレータである。これにより、例えば電車、会議といった音声出力ができないところで着信やメールの受信、アラームを認識することができる。
【0036】
撮像部214は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の映像素子で構成されており、これにより画像(静止画や動画)を撮影することが可能となる。
【0037】
撮像部214は、自装置(当該無線通信装置110)が防犯モードに設定されたら(または後述する着脱判断部280が自装置から第2電池240またはダミー電池250が脱離したと判断したら)、画像の撮影を行うとよい。これにより、撮影された画像を不審者の特定に利用することが可能となる。
【0038】
また撮像部214は、後述する電池蓋検知部272が当該無線通信装置110から電池蓋260が外されたことを検知したら、着脱判断部280が自装置から第2電池240またはダミー電池250が脱離したと判断していない場合においても、画像の撮影を行ってもよい。これにより、不審者が第2電池240またはダミー電池250を抜くために電池蓋260を外すと、撮像部214が画像の撮影を開始することとなる。このため、電池蓋260を外し、次に第2電池240またはダミー電池250を外そうとしている不審者の顔を撮影することができる。したがって、不審者の顔をより確実に撮影することが可能となる。
【0039】
操作部216は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等の複数の可動操作キー(ハードウェアキー)で構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。本実施形態においては、ユーザの危機的状況を検知するために後述する検知部282を設けているが、例えば操作部216を検知部282とし、ユーザによる所定のキー操作をユーザ入力としてもよい。
【0040】
第1電池220は、当該無線通信装置110内部に不可視に内蔵され、無線通信装置110が動作するための電力を供給する。これにより、不審者が当該無線通信装置110から第2電池240を外したとしても、第1電池220から電力を供給することが可能となる。したがって、第2電池240が外された後も電源が切断されることがないため、無線通信装置110が動作し続けることができる。また、不可視に内蔵されていることから、不審者が第1電池220の存在に気づくことを回避できる。
【0041】
電池装着部230は、後述する第2電池240またはダミー電池250のいずれか一方を装着される。これにより、当該無線通信装置110にそれらのいずれか一方を装着することが可能となる。このため、ユーザは、自身の無線通信装置110に搭載する電池パックとしてこれらのうちどちらか一方を選択することが可能となる。したがって、無線通信装置110を頻繁に使用する等、電力消費量が多く、大量の電力供給を所望するユーザは、電池装着部230に装着する部材として第2電池240を選択するとよい。これにより、第1電池220だけでなく第2電池240からも電力を得ることができるため、無線通信装置110への電力供給量を増加させ、使用時間を延長することが可能となる。また第2電池240を電池装着部230に装着することで、第2電池240を当該無線通信装置110と一体に携行することができるため、予備の電池パックの携行し忘れを防止することができる。
【0042】
更に、第2電池240は電池装着部に容易に着脱可能であり、着脱作業に特殊な工具等を要さない。したがって、ユーザによる交換作業を阻害しないため、利便性を低下させることがない。
【0043】
また、それほど多くの電力供給を必要としないユーザは、電池装着部230に装着する部材としてダミー電池250を選択するとよい。これにより、無線通信装置110の電池パックに要するコストを低減することができる。
【0044】
第2電池240は、当該無線通信装置110すなわち電池装着部230に着脱可能であり、無線通信装置110が動作するための電力を供給する二次電池である。かかる第2電池240は、無線通信装置110へ電力を供給するための給電端子を有する。第2電池240が、特別な工具を要することなく電池装着部230に容易に着脱可能であることから、ユーザによる交換作業を阻害しないため、利便性を低下させることがない。なお、第2電池240としては、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等を好適に用いることができる。
【0045】
第2電池240は、ID抵抗240aを有する。これにより、後述する着脱判断部280が、電池装着部230に装着されている部材が第2電池240であることを識別することが可能となる。
【0046】
ダミー電池250は、当該無線通信装置110(電池装着部230)に着脱可能であり、無線通信装置110が動作するための電力を供給しない模型部材である。かかるダミー電池250は、第2電池240が有する給電端子と略同一の形状の擬似給電端子を有する。なお、ダミー電池250は第2電池240と略同一の形状としてもよいし、第2電池240と略同じ重量としてもよい。
【0047】
ダミー電池250は、ID抵抗250aを有する。これにより、後述する着脱判断部280が、電池装着部230に装着されている部材がダミー電池250であることを識別することが可能となる。
【0048】
なお、上記のID抵抗240aとID抵抗250aとは、それぞれ異なる抵抗の値を示すように構成される。これにより、抵抗測定部270が測定したこれらの抵抗の値を基に、着脱判断部280がこれらを確実に識別することが可能となる。
【0049】
電池蓋260は、無線通信装置110に装着される第2電池240およびダミー電池250を被覆するための蓋である。電池蓋260は、白抜き矢印方向にスライドさせることにより当該無線通信装置110から外すことができる。なお、電池蓋260はいかなる開け方を採用していてもよく、スライド式であれば縦横左右いずれかの方向にスライドさせるものでもよいし、いずれかの縁をヒンジとする開閉式でもよい。また、電池蓋260を水平な状態を保ったままで開ける方式でもよい。
【0050】
本実施形態において、電池蓋260は撮像部214が配されている面に設けられる(図3(b)参照)。これにより、電池蓋260や第2電池240またはダミー電池250を外そうとしている不審者の顔を確実に撮影することが可能となる。
【0051】
抵抗測定部270は、無線通信装置110内部に設けられた抵抗の値(抵抗値)を測定する。これにより、後述する着脱判断部280が、かかる値を用いて、自装置(電池装着部230)に第2電池240またはダミー電池250のいずれかが装着されているか否か、および自装置に装着されている電池パック(部材)が第2電池240またはダミー電池250のいずれであるか、すなわち当該無線通信装置110に対する第2電池240またはダミー電池250の装着または脱離を、容易且つ確実に判断することが可能となる。
【0052】
電池蓋検知部272は、電池蓋260が当該無線通信装置110から外されたことを検知する。これにより、上述したように撮像部214が、電池蓋260が外されたことを契機に画像の撮影を開始することが可能となる。
【0053】
キャパシタ274は、当該無線通信装置110内部に内蔵され、一時的に蓄電する。これにより、後述する第1スイッチ276および第2スイッチ278を切り替える際に、キャパシタ274に蓄電された電力を無線通信装置110に供給することが可能となる。したがって、スイッチ切替時の電源の瞬断を回避することができる。
【0054】
第1スイッチ276は、当該無線通信装置110への電力を第1電池220から供給するための回路を有効化する。かかる第1スイッチ276は、第1電池220から電力が供給される際にはオンの状態とされ、第2電池240から電力が供給される際にはオフの状態とされる。
【0055】
第2スイッチ278と、当該無線通信装置110への電力を第2電池240から供給するための回路を有効化する。かかる第2スイッチ278は、第1電池220から電力が供給される際にはオフの状態とされ、第2電池240から電力が供給される際にはオンの状態とされる。
【0056】
上述したように、第1スイッチ276および第2スイッチ278を切り替えることにより、当該無線通信装置110に第1電池220または第2電池240のいずれか一方から電力を供給することが可能となる。これにより、不審者が無線通信装置110から第2電池240を外したら、着脱判断部280は当該無線通信装置110に第2電池240が装着されていないと判断し、第1電池220から電力が供給される。したがって、第2電池240が外された後も電源が切断されず、無線通信装置110が動作し続けることができ、防犯機能を十分に発揮することができる。
【0057】
着脱判断部280は、抵抗測定部270が測定した抵抗の値を用いて、当該無線通信装置110に対する第2電池240またはダミー電池250の装着または脱離を判断する。なお、本実施形態においては着脱判断部280は、抵抗測定部270が測定した抵抗の値を用いて第2電池240またはダミー電池250の装着または脱離の判断を行っているが、これに限定するものではない。かかる判断には、第2電池240またはダミー電池250の装着または脱離により変化する他の要素を用いてもよい。例えば、抵抗に替えて、回路内の電流や電圧を用いることができる。
【0058】
着脱判断部280が、当該無線通信装置110に第2電池240が装着されていると判断したら、当該無線通信装置110を動作させるための電力は、第2電池240から優先的に供給され、第2電池240に蓄電された電力を消費した後に第1電池220から供給されるとよい。これにより、第2電池240から優先的に電力が供給され、その間、第1電池220に蓄電された電力を温存しておくことができる。したがって、第1電池220に、不審者により第2電池240を抜かれた場合に当該無線通信装置110に供給するための電力を多く残存させ、不審者に第2電池240を抜かれた後に当該無線通信装置110が動作し続ける時間を長くすることが可能となる。
【0059】
また、着脱判断部280が、当該無線通信装置110に第2電池240が装着されていないと判断したら、当該無線通信装置110を動作させるための電力は第1電池220から供給される。これにより、当該無線通信装置110は、不審者により第2電池240が抜かれた場合においても動作し続けることが可能となり、自装置に搭載された防犯機能を十分に遂行することができる。このため、不審者が防犯機能の停止を諦め、その場から立ち去るという効果を期待できる。また、装着されている電池パックがダミー電池250の場合においても、当該無線通信装置110が動作することが可能となる。
【0060】
更に、着脱判断部280が、当該無線通信装置110に第2電池240が装着されていると判断したら、第1電池220を優先的に充電し、第1電池220の充電が終了した後に第2電池240を充電するとよい。これにより、第1電池220および第2電池の両方の電池を充電することができる。また、時間に余裕がない場合等、第1電池220および第2電池240の両方を満充電させることができない場合に、第1電池220により多くの電力を充電することができる。したがって、不審者に第2電池240を抜かれた後に当該無線通信装置110が動作し続けるための電力を多く確保することが可能となる。
【0061】
また、当該無線通信装置110が防犯モードであるときに、着脱判断部280が、無線通信装置110に第2電池240またはダミー電池250が装着されたと判断したら、制御部202は、防犯モードへの設定を解除するとよい。これにより、ユーザが誤って第2電池240またはダミー電池250を外してしまった場合や、ユーザの意思とは無関係に第2電池240またはダミー電池250が外れてしまった場合等、不審者が第2電池240またはダミー電池250を外したのではない場合に、ユーザが第2電池240またはダミー電池250を当該無線通信装置110に再度装着させることで、防犯モードが解除され、通常モード(通常の動作状態)となる。したがって、ユーザは無線通信装置110を再び快適に使用することが可能となる。
【0062】
上記の場合以外にも、不審者に奪取された無線通信装置110をユーザが取り返した場合に、ユーザが第2電池240またはダミー電池250を当該無線通信装置110に再度装着させることで無線通信装置110は通常モードとなる。したがって、無線通信装置110を直ぐに使用することが可能となり、即座に警察等に通報し、救助を求めることが可能となる。
【0063】
検知部282は、ユーザの入力を検知する。これにより、かかる検知に基づいて、制御部202が当該無線通信装置110の動作モードを、無線通信装置110の防犯機能を作動させる防犯モードに設定することが可能となる。したがって、ユーザが危機的状況に陥った際に当該無線通信装置110の防犯機能を確実に作動させることが可能となる。
【0064】
なお、本実施形態では、防犯モードにおける防犯機能として、上述したように音声出力部208が警告音の出力(音声出力)を行うが、これに限定するものではなく、当該無線通信装置110に設けられている他の部材を機能させてもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、検知部282は、ピンプラグ282a(ピンプラグスイッチ)としている。そして、ピンプラグ282aをユーザが引っ張り、ピンプラグ282aが無線通信装置110から外れると、検知部282は、ユーザの入力を検知する。したがって、本実施形態におけるユーザの入力とは、ユーザがピンプラグ282aを無線通信装置110から外すことである。なお、これに限定するものではなく、ユーザ入力は、上述したように操作部216の所定のキー操作の入力としてもよいし、例えば、無線通信装置110の筺体外部に別途スイッチを設け、かかるスイッチの押下としてもよい。
【0066】
メモリ284は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、制御部202で処理されるプログラムや通信データ等を記憶する。かかる284には、防犯モードにおいて、音声出力部208により入力された音声や、撮像部214により撮像された画像を記憶することもできる。また、本実施形態では、メモリ284は、連絡先登録部286としても機能する。
【0067】
連絡先登録部286は、当該無線通信装置110以外の他の通信装置を連絡先端末150として登録する。これにより、後述する無線通信部288による基地局120を介した連絡先端末150との無線通信や、送信部292による連絡先端末150への位置情報の送信が可能となる。したがって、連絡先端末150のユーザは、当該無線通信装置110のユーザの状況を把握することができ、当該無線通信装置110のユーザを早急に救助するべく対処することが可能となる。
【0068】
無線通信部288は、CDMA(Code Division Multiple Access)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信方式を通じて基地局120との無線通信を確立し、通信相手との音声通信やWebサーバとのデータ通信を遂行する。
【0069】
無線通信部288は、当該無線通信装置110が防犯モードに設定されたら(または着脱判断部280が自装置から第2電池240またはダミー電池250が脱離したと判断したら)、基地局120を介した連絡先端末150との無線通信を開始するとよい。更に好ましくは、かかる無線通信において、音声入力部206により入力された音声もしくは撮像部214により撮影された画像のいずれか一方または両方を連絡先端末150に送信するとよい。これにより、当該無線通信装置110のユーザが危機的状況に陥った場合に、入力された音声や撮影した画像が連絡先端末150に送信される。したがって、連絡先端末150のユーザは送信された音声や画像により、当該無線通信装置110のユーザが置かれている状況を把握することができ、それに応じた対応を取ることが可能となる。
【0070】
例えば当該無線通信装置110のユーザが子供である場合、親の無線通信装置を連絡先端末150として登録しておくとよい。これにより、子供が不審者に襲われ、無線通信装置110が防犯モードに設定されたら(もしくは子供の無線通信装置110の第2電池240またはダミー電池250が外されたら)、入力された音声や撮影した画像が親の無線通信装置(連絡先端末150)に送信されることとなる。したがって、親は送信された音声や画像により子供の状況を判断することができ、子供の安全を確保するために対処することが可能となる。
【0071】
なお、上記の連絡先端末150との無線通信は、連絡先端末150への通常の音声通話発信(発呼)でもよいし、連絡先端末150への電子メール送信やTV電話発信(発呼)等でもよい。
【0072】
また本実施形態においては、無線通信部288は、送信部としても機能する。送信部292は、後述するGPS受信部290が導出した当該無線通信装置110の位置の送信を行う。
【0073】
送信部292は、当該無線通信装置110が防犯モードに設定されたら(または着脱判断部280が自装置から第2電池240またはダミー電池250が脱離したと判断したら)、GPS受信部290が導出した当該無線通信装置110の位置を連絡先端末150もしくはサーバ(中継サーバ140)のいずれか一方または両方に送信するとよい。これにより、送信部292が、当該無線通信装置110の位置を連絡先端末150に送信すれば、連絡先端末150のユーザはその位置を直接把握することができる。また、送信部292が、当該無線通信装置110の位置をサーバに送信すれば、連絡先端末150のユーザはサーバへの通信接続を行うことによりその位置を把握することが可能となる。したがって、いずれにおいても連絡先端末150のユーザは当該無線通信装置110の位置を把握することができる。
【0074】
GPS受信部290は、GPS衛星160からの信号を受信し、信号を用いて当該無線通信装置110の位置を導出する。
【0075】
GPS受信部290は、当該無線通信装置110が防犯モードに設定されたら(または着脱判断部280が自装置から第2電池240またはダミー電池250が脱離したと判断したら)、当該無線通信装置110の位置の導出を行うとよい。これにより、送信部292(無線通信部288)が自装置の位置を連絡先端末150またはサーバに送信することが可能となる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態にかかる無線通信装置110は、内部に不可視に内蔵された第1電池220を備え、第2電池240所謂電池パックまたはダミー電池250を装着可能であり、着脱判断部280が当該無線通信装置110に対する第2電池240またはダミー電池250の装着または脱離を判断する。そして、不審者が無線通信装置110から第2電池240を外したとしても、着脱判断部280が当該無線通信装置110に第2電池240が装着されていない、すなわち第2電池240が脱離していると判断し、第1電池220から当該無線通信装置110に電力が供給される。これにより、第2電池240が外された後も電源が切断されることがないため、無線通信装置が動作し続けることが可能となる。したがって、不審者が防犯機能を停止させるために無線通信装置110から第2電池240を外したとしても、警告音の出力などの防犯機能が継続する。
【0077】
通常、不審者は、電源供給源と思しき第2電池240を外すことにより防犯機能は停止するものと思い込んでいる。このような中で、第2電池240を外したにもかかわらず防犯機能が継続するため、不審者は驚き、防犯機能の停止を諦めてその場を逃げ去る可能性が生じる。このようにして犯罪を回避する可能性を生じさせることが出来る。また、第2電池が外された後も防犯モードが継続することで、より長時間、周囲への注意喚起を促すことができるため、助けがくる可能性を向上させることも出来る。
【0078】
また、第2電池240が外された後も無線通信装置110が動作し続けることが可能であることから、防犯モードや電源擬似切断モードといった無線通信装置110が主体となる、すなわち能動的な防犯機能以外にも、当該無線通信装置110のユーザ以外の人間が主体となる、すなわち受動的な防犯機能を発揮することが可能となる。例えば近年普及している、当該無線通信装置110の位置を、他の通信装置により検索するサービス等を利用することが可能となる。
【0079】
図4は、無線通信装置110の電気回路の構成を示す回路図である。図4(a)は第2電池240およびダミー電池250のいずれも装着されていない状態を示している。図4(b)は第2電池240が装着されている状態を示している。図4(c)はダミー電池250が装着されている状態を示している。なお図4中、当該無線通信装置110の回路における電気の流れを矢印を用いて示す。また本発明に直接関係のない要素については説明を省略する。
【0080】
図4(a)に示すように、当該無線通信装置110に第2電池240およびダミー電池250のいずれも装着されない場合、電池装着部230が有する給電端子である、電池装着部側プラス給電端子232、電池装着部側マイナス給電端子234、電池装着部側ID用端子236のいずれの給電端子にも電池側の給電端子が接続されていない。そして、制御部202により第1スイッチ276がオン、第2スイッチ278がオフになると、第1電池220から電力が供給される。
【0081】
図4(b)に示すように、当該無線通信装置110に第2電池240が装着される場合、第2電池240が有する給電端子である、第2電池側プラス給電端子242、第2電池側マイナス給電端子246、第2電池側ID用端子248が、電池装着部230のそれぞれ対応する給電端子に接続される。そして、制御部202により第2スイッチ278がオン、第1スイッチ276がオフになると、第2電池240から電力が供給される。
【0082】
図4(c)に示すように、当該無線通信装置110にダミー電池250が装着される場合、ダミー電池250が有する擬似給電端子である、ダミー電池側プラス擬似給電端子252、ダミー電池側マイナス擬似給電端子254、ダミー電池側ID用端子256が、電池装着部230のそれぞれ対応する給電端子に接続される。そして、制御部202により第1スイッチ276がオン、第2スイッチ278がオフになると、第1電池220から電力が供給される。
【0083】
ここで、図4に示す回路における抵抗に着目すると、回路には本体抵抗300が設けられている。そして、第2電池240にはID抵抗240aが、ダミー電池250にはID抵抗250aが設けられている。したがって、図4(a)に示す回路における抵抗は本体抵抗300のみであり、図4(b)に示す回路における抵抗は本体抵抗300およびID抵抗240aである。また、図4(c)に示す回路における抵抗は本体抵抗300およびID抵抗250aである。これにより、抵抗測定部270が回路の抵抗の値を測定することにより、着脱判断部280が自装置に第2電池240もしくはダミー電池250のいずれかが装着されているか否か、および装着されている部材が第2電池240またはダミー電池250のいずれであるかを判断することが可能となる。
【0084】
例えば、本体抵抗300が示す抵抗値を100kΩ、ID抵抗240aが示す抵抗値を100kΩ、ID抵抗250aが示す抵抗値を10kΩと仮定すると、図4(a)に示す回路の抵抗値は100kΩ(本体抵抗300の抵抗値)、図4(b)に示す回路の抵抗値は200kΩ(本体抵抗300およびID抵抗240aの抵抗値)、図4(c)に示す回路の抵抗値は110kΩ(本体抵抗300およびID抵抗250a)となる。したがって、着脱判断部280は、抵抗測定部270が測定した抵抗値が110kΩ未満であれば、電池装着部230には何も装着されていないと判断することができ、抵抗値が110kΩ以上200kΩ未満であれば、電池装着部230にはダミー電池250が装着されていると判断することができ、抵抗値が200kΩ以上であれば、電池装着部230には第2電池240が装着されていると判断することができる。
【0085】
なお上記を踏まえ、本体抵抗300およびID抵抗250aの抵抗値を第1所定値とし、本体抵抗300およびID抵抗240aの抵抗値を第2所定値としてもよい。これにより、着脱判断部280は、抵抗測定部270が測定した抵抗値が第1所定値未満の場合、電池装着部230には何も装着されていないと判断することができ、第1所定値以上第2所定値未満の場合、電池装着部230にはダミー電池250が装着されていると判断することができ、抵抗値が第2所定値以上の場合、電池装着部230には第2電池240が装着されていると判断することができる。
【0086】
また本実施形態では、着脱判断部280は抵抗値を用いて電池装着部230(無線通信装置110)への第2電池240またはダミー電池250の装着または脱離を判断しているが、他の手段としては、抵抗測定部270に流れる電力の電圧や電流を用いることも可能である。
【0087】
図5は、無線通信装置110の動作を示すフローチャートである。図5に示すように、当該無線通信装置110の電源を入れると、まず第1スイッチ276がオン(ON)の状態となり(S400)、第1電池220から電力が供給される。そして、抵抗測定部270は、無線通信装置110内部の抵抗の値(抵抗値)を測定する(S402)。着脱判断部280は、かかる抵抗の値を用いて、当該無線通信装置110に対する第2電池240またはダミー電池250の装着または脱離を判断する(S404)。
【0088】
抵抗値が第1所定値未満の場合(S404の第1所定値未満)、着脱判断部280は、当該無線通信装置110には第2電池240およびダミー電池250のいずれも装着されていないと判断し、その旨を表示部204に表示することでユーザに報知し、いずれかの装着を促す(S406)。その後、第2電池240またはダミー電池250のいずれかが装着されたら(S408のYES)、抵抗測定部270は再度抵抗値の測定を行う(S404)。第2電池240およびダミー電池250のいずれも装着されない場合(S408のNO)、第1電池220からの電力供給を継続し、制御部202は間欠的に第1電池220の電力の残量確認を行う(S410)。
【0089】
第1電池220の電力の残量が所定量以下となったら、すなわち残量がない(またはほとんどない)状態となったら(S410のNO)、その旨を表示部204に表示し、ユーザに第1電池220の充電を促す(S412)。充電する場合(S412のYES)、充電動作を行う(S414)。充電しない場合(S412のNO)、第1電池220の電力は消費され、当該無線通信装置110の動作は終了する。
【0090】
抵抗値が第1所定値以上第2所定値未満の場合(S404の第1所定値以上第2所定値未満)、着脱判断部280は、当該無線通信装置110にはダミー電池250が装着されていると判断し(S416)、第1電池220からの電力供給が継続される。
【0091】
抵抗値が第2所定値以上の場合(S404の第2所定値以上)、着脱判断部280は、当該無線通信装置110には第2電池240が装着されていると判断する(S418)。そして、制御部202は、第1スイッチ276をオフの状態とし、第2スイッチ278をオンの状態とし(S420)、当該無線通信装置110には第2電池240から電力が供給される。その後、制御部202は間欠的に第2電池240の電力の残量確認を行う(S422)。
【0092】
第2電池240の電力の残量が所定量以下(残量がないまたはほとんどない状態)となったら(S422のNO)、表示部204にその旨を表示し、ユーザに第2電池240の充電を促す(S424)。充電する場合(S424のYES)、充電動作を行う(S412)。充電しない場合(S424のNO)、第2スイッチ278をオフの状態とし、第1スイッチ276をオンの状態とし(S426)、当該無線通信装置110には第1電池220から電力が供給される。
【0093】
その後、制御部202は間欠的に第1電池220の電力の残量確認を行う(S428)。第1電池220の電力の残量が所定量以下となったら、すなわち残量がない(またはほとんどない)状態となったら(S428のNO)、その旨を表示部204に表示し、ユーザに第1電池220の充電を促す(S412)。
【0094】
当該無線通信装置110が、第1電池220から電力を供給され(S428のYES)、通常モードで動作している状態において、ピンプラグ282aが外されることで、検知部282がユーザの入力(ユーザの危機的状況)を検知したら(S430のYES)、または、第2電池240から電力を供給され(S422のYES)、通常モードで動作している状態において、ピンプラグ282aが外されることで、検知部282がユーザの入力(ユーザの危機的状況)を検知したら(S432のYES)、制御部202は当該無線通信装置110の動作モードを防犯モードに設定する(S434)。
【0095】
防犯モードに設定されたら、電池蓋検知部272は電池蓋260が当該無線通信装置110から外されているか否かを間欠的に検知する(S438)。電池蓋検知部272が、電池蓋260が当該無線通信装置110から外されたことを検知したら、すなわち電池蓋260がない状態となったら(S438のYES)、撮像部214は、画像の撮影(撮像)を開始する(S440)。
【0096】
なお、本実施形態においては、撮像部214による画像の撮影を、防犯モードにおいて電池蓋260が外されたことを契機に行っているが、これに限定するものではなく、防犯モード設定において行ってもよい。この場合、後述するサブルーチンによる防犯モード設定に撮像開始処理が含まれることは言うまでもない。また、撮像部214による画像の撮影は、第2電池またはダミー電池が脱離したことを契機に行ってもよい。
【0097】
電池蓋がある状態(S438のNO)でピンプラグ282aが再装着されたら(S442のYES)、制御部202は、当該無線通信装置110の防犯モードを解除し(S444)、自装置の動作モードを通常モードとする。ピンプラグ282aが再装着されない場合(S442のNO)、電池蓋検知部272による間欠的な検知を継続する(S438)。
【0098】
撮像部214の撮像開始(S440)後、着脱判断部280は、第2電池240またはダミー電池250の脱離を間欠的に判断する(S446)。着脱判断部280が第2電池240またはダミー電池250の脱離を判断したら(S446のYES)、制御部202は、脱離した部材が第2電池240またはダミー電池のいずれであるかに拘わらず、第1スイッチをオン、第2スイッチをオフの状態にし、第1電池から電力を供給し、当該無線通信装置の動作、すなわち防犯モードを継続する(S448)。
【0099】
その後、無線通信装置110に第2電池240またはダミー電池250が再装着されたら、すなわち着脱判断部280が自装置に第2電池240またはダミー電池250が装着されたと判断したら(S450のYES)、制御部202は、防犯モードへの設定を解除し(S444)、自装置の動作モードを通常モードとする。第2電池240またはダミー電池250が再装着されない場合(S450のNO)、当該無線通信装置110は電源擬似切断モードのまま電力を消費し、動作が終了する。
【0100】
当該無線通信装置110からの第2電池240またはダミー電池250の脱離がない場合(S446のNO)、電池蓋検知部272が、電池蓋260が当該無線通信装置110に装着された(再装着された)ことを検知したら(S454のYES)、制御部202は、当該無線通信装置110の防犯モードを解除する(S444)。電池蓋260が再装着されない場合(S454のNO)、着脱判断部280による間欠的な脱離判断を継続する(S446)。
【0101】
なお本実施形態では、防犯モードにおいて電力が消費されると、当該無線通信装置110の動作は終了する。しかし、かかる動作の終了後、第2電池240またはダミー電池250が装着されたり、第1電池220が充電され、当該無線通信装置110の電源が入れられた場合、当該無線通信装置110は、動作終了時のモード、すなわち防犯モードではなく、通常モードとして、起動してよい。
【0102】
図6は、無線通信装置110の充電動作を示すフローチャートである。図6に示すように、充電を行う場合、まず制御部202は第1スイッチ276がオンの状態であるかを判定する(S500)。第1スイッチ276がオンでない場合(S500のNO)、制御部202は第1スイッチ276をオンの状態にする(S502)。第1スイッチ276がオンの状態だったら(S500のYES)、または第1スイッチ276をオンの状態にしたら(S502)、制御部202は第1電池220の充電を開始する(S504)。
【0103】
第1電池220の充電が終了したら、すなわち第1電池220が満充電となったら(S506のYES)、抵抗測定部270は、無線通信装置110内部の抵抗の値(抵抗値)を測定する(S508)。着脱判断部280は、かかる抵抗の値を用いて、当該無線通信装置110に対する第2電池240またはダミー電池250の装着または脱離を判断する(S510)。
【0104】
抵抗値が第1所定値未満の場合(S510の第1所定値未満)、着脱判断部280は、当該無線通信装置110には第2電池240およびダミー電池250のいずれも装着されていない(装着なし)と判断する(S512)。また、抵抗値が第1所定値以上第2所定値未満の場合(S510の第1所定値以上第2所定値未満)、着脱判断部280は、当該無線通信装置110にはダミー電池250が装着されていると判断する(S514)。これらの場合、制御部202は充電動作を終了する。
【0105】
抵抗値が第2所定値以上の場合(S510の第2所定値以上)、着脱判断部280は、当該無線通信装置110には第2電池240が装着されていると判断する(S516)。この場合、制御部202は、第1スイッチ276をオフの状態とし、第2スイッチ278をオンの状態とし(S518)、第2電池240の充電を開始する(S520)。第2電池240の充電が終了したら、すなわち第2電池240が満充電となったら(S522のYES)、制御部202は充電動作を終了する。
【0106】
図7は、防犯モードの設定動作および解除動作を示すフローチャートである。図7(a)は防犯モードの設定動作を、図7(b)は防犯モードの解除動作を示している。
【0107】
当該無線通信装置110の動作モードを防犯モードに設定する場合、図7(a)に示すように、まず制御部202は、音声出力部208により警告音を出力する(S600)。そして、制御部202は、音声入力部206による音声入力を開始し(S602)、無線通信部288による基地局120を介した連絡先端末150との無線通信を開始し(S604)、かかる無線通信により、入力された音声を連絡先端末150に送信する。
【0108】
上記に並行して、制御部202は、GPS受信部290を起動し(S606)、GPS受信部290はGPS衛星160からの信号を受信して当該無線通信装置110の位置を導出する。次に、制御部202は、送信部292を起動し、GPS受信部290が導出した位置の情報(位置情報)を連絡先端末150に送信する。
【0109】
なお、本実施形態においては、音声や位置情報等を連絡先端末150に送信しているが、これに限定するものではなく、サーバ、または連絡先端末150およびサーバの両方に送信してもよいし、警備会社等、ユーザを救助可能な機関に送信してもよい。
【0110】
また、本実施形態では、防犯モードにおいて、音声入力部206による音声入力、無線通信部288による基地局120を介した連絡先端末150との無線通信、GPS受信部290による自装置の位置の導出等、複数の動作を行っているが、これに限定するものではない。かかる防犯モードにおいては、上記の動作のうち、1以上の動作を行えばよい。例えば、GPS受信部290による自装置の位置の導出、および送信部292による位置の送信のみを行うこととすれば、消費電力を低減することができ、極力長い時間、その動作を行うことが可能となる。
【0111】
更に、不審者に対する威嚇や、周囲に対する報知のみを目的とするのであれば、防犯モードにおいて、上記の動作を行わず、音声出力部208による警告音の出力のみを行ってもよい。これにより、消費電力を更に削減し、当該無線通信装置110が動作可能な時間を延長することができる。
【0112】
当該無線通信装置110の動作モードを通常モードに戻す場合、すなわち防犯モードを解除する場合、図7(b)に示すように、まず制御部202は、音声出力部208による警告音の出力を停止する(S650)。次に、制御部202は、無線通信部288の無線通信を終了し(S652)、音声入力部206による音声入力を停止する(S654)。そして、制御部202は、撮像部214による撮像の停止(S656)、送信部292による位置情報送信の停止(S658)、GPS受信部290による信号の受信および位置の導出の停止(S660)を行う。
【0113】
上記説明したように、本実施形態にかかる無線通信装置110によれば、第1電池220および第2電池240またはダミー電池250を備え、第2電池240が脱離したら第1電池220から電力が供給される。これにより、第2電池240が外された後も動作し続けることが可能となる。そして、第2電池240またはダミー電池250が不審者に外されると、通常の動作モードから防犯モードに移行することで、防犯機能を十分に発揮することが可能となる。
【0114】
また、当該無線通信装置110に、二次電池である第2電池240を装着することにより、かかる無線通信装置110の起動時間を延長することが可能となる。更に、第1電池220が不可視に設けられていることから、不審者により当該無線通信装置110の電力供給源を完全に排除されることがない。
【0115】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0116】
なお、本明細書の無線通信方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【0117】
また本実施形態においては、第2電池の充電動作を説明するため、第2電池を二次電池としたが、第2電池の充電動作を除外すれば、第2電池を一次電池としても良い。この場合、ダミー電池は一次電池と略同様の外観、略同量の重量、略同様の給電端子に模した擬似給電端子を有することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、防犯機能を備えた無線通信装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】無線通信システムの概略的な接続関係を示した説明図である。
【図2】無線通信装置のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。
【図3】無線通信装置の外観を示した斜視図である。
【図4】無線通信装置の電気回路の構成を示す回路図である。
【図5】無線通信装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】無線通信装置の充電動作を示すフローチャートである。
【図7】防犯モードの設定動作および解除動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0120】
100 …無線通信システム
110 …無線通信装置
120 …基地局
130 …通信網
140 …中継サーバ
150 …連絡先端末
160 …GPS衛星
202 …制御部
204 …表示部
206 …音声入力部
208 …音声出力部
210 …発光部
212 …振動出力部
214 …撮像部
216 …操作部
220 …第1電池
230 …電池装着部
232 …電池装着部側プラス給電端子
234 …電池装着部側マイナス給電端子
236 …電池装着部側ID用端子
240 …第2電池
240a …ID抵抗
242 …第2電池側プラス給電端子
246 …第2電池側マイナス給電端子
248 …第2電池側ID用端子
250 …ダミー電池
250a …ID抵抗
252 …ダミー電池側プラス擬似給電端子
254 …ダミー電池側マイナス擬似給電端子
256 …ダミー電池側ID用端子
260 …電池蓋
270 …抵抗測定部
272 …電池蓋検知部
274 …キャパシタ
276 …第1スイッチ
278 …第2スイッチ
280 …着脱判断部
282 …検知部
282a …ピンプラグ
284 …メモリ
286 …連絡先登録部
288 …無線通信部
290 …GPS受信部
292 …送信部
300 …本体抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の入力により音、光または振動の発生による防犯機能を作動させる制御部と、
当該無線通信装置内部に不可視に内蔵される第1電池と、
当該無線通信装置に着脱可能である第2電池と、
当該無線通信装置が動作するための電力を、前記第1電池および前記第2電池から切り換えて供給する回路と、
を備え、
前記制御部は、前記防犯機能が作動している状態で前記第2電池が脱離されると、前記回路の電源供給元を前記第1電池に切り換えるよう制御することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記回路は、
前記電力を前記第1電池から供給するための第1スイッチと、
前記電力を前記第2電池から供給するための第2スイッチと、
を有し、
当該無線通信装置に前記第2電池が装着されていない場合には、前記第1スイッチをオンにし且つ前記第2スイッチをオフにすることにより、該無線通信装置に前記第1電池から前記電力を供給し、
当該無線通信装置に前記第2電池が装着されている場合には、前記第1スイッチをオフにし且つ前記第2スイッチをオンにすることにより、該無線通信装置に前記第2電池から前記電力を供給することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記回路は、一時的に蓄電するキャパシタを更に有し、
前記第1スイッチおよび第2スイッチの切り換え時に、前記キャパシタにより前記電力の供給を補うことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
当該無線通信装置は、ユーザの入力を検知する検知部を更に備え、
前記検知部が前記入力を検知したら、前記制御部は、当該無線通信装置の動作モードを、前記防犯機能を作動させる防犯モードに設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
当該無線通信装置は、音声を出力する音声出力部を更に備え、
前記防犯機能は、前記音声出力部による警告音の出力であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記電力は、当該無線通信装置に前記第2電池が装着されている場合には該第2電池から優先的に供給され、該第2電池に蓄電された電力を消費した後には前記第1電池から供給されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
当該無線通信装置に前記第2電池が装着されている場合には、前記第1電池が優先的に充電され、該第1電池の充電が終了した後に該第2電池が充電されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
基地局との無線通信を行う無線通信装置であって、
所定の入力により音、光または振動の発生による防犯機能を作動させる制御部と、
当該無線通信装置内部に不可視に内蔵される第1電池と、
当該無線通信装置が動作するための電力を供給する二次電池あるいは一次電池に模した、着脱可能であるダミー電池と、
を備え、
前記制御部は、前記防犯機能が実行される状態で前記ダミー電池が脱離されても、前記第1電池による電力の供給により前記防犯機能を継続することを特徴とする無線通信装置。
【請求項9】
前記ダミー電池と略同じ形状であり、該ダミー電池と入れ替え可能かつ当該無線通信装置に電力を供給可能な第2電池と、
当該無線通信装置が動作するための電力を、前記第1電池および前記第2電池から切り換えて供給する回路と、
を更に備え、
前記制御部は、前記第2電池が装着された状態で前記防犯機能が作動され、前記第2電池が脱離されると、前記回路の電源供給元を前記第1電池に切り換えるよう制御することを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記第2電池および前記ダミー電池は、それぞれ異なる抵抗値を示すID抵抗を各々有し、
前記ID抵抗の値を測定することにより、当該無線通信装置が、前記第2電池または前記ダミー電池のいずれかを装着される状態か、またはいずれもを脱離される状態かを判断することを特徴とする請求項9に記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−128725(P2010−128725A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301760(P2008−301760)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】