説明

照明装置のためのプラスチック構成要素

本発明は、照明装置で使用するためのプラスチック構成要素に関し、プラスチック構成要素は、脂肪族ジアミンとジカルボン酸とから誘導される繰り返し単位を含んでなる半芳香族ポリアミド(X)を含んでなり、(a)脂肪族ジアミンは2〜5個のC原子を有する10〜70モル%の短鎖脂肪族ジアミンと、少なくとも6個のC原子を有する30〜90モル%の長鎖脂肪族ジアミンとの混合物からなり、(b)ジカルボン酸は5〜65モル%の脂肪族ジカルボン酸および任意にテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸と、35〜95モル%のテレフタル酸との混合物からなり、(c)テレフタル酸と長鎖脂肪族ジアミンとを合わせたモル量は、ジカルボン酸およびジアミンの総モル量に対して少なくとも60モル%である。本発明はまた、前記プラスチック構成要素を作るのに使用できる、100pbwの半芳香族ポリアミド(X)と1〜250pbwの無機材料を含んでなるポリマー組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、照明装置で使用するためのプラスチック構成要素に関する。より具体的には本発明は、LED(発光ダイオード)の反射器ハウジングやエネルギー節約型ランプのランプベースなどの光源の不可分の一部を形成するプラスチック構成要素に関し、ならびにバックライトシステム中の反射器プレートおよび自動車用ライトの反射器、プラスチック取り付け基盤、ヒートシンク、および光源または照明電機子に取り付けられまたは固定されるその他のプラスチック構成要素などの照明電機子の不可分の一部を形成するプラスチック構成要素に関する。
【0002】
本発明はまた、前記プラスチック構成要素を作成するのに使用できるポリマー組成物に関する。より具体的には本発明は、テレフタル酸と脂肪族ジアミンとから誘導できる繰り返し単位を含んでなる半芳香族ポリアミドを含んでなるポリマー組成物に関し、そのポリマー組成物は表面実装工程における改善された耐熱性を提供する。
【0003】
発光ダイオード(LED)は、明るい照明が望ましい多様な電子工学用途で広く使用される。これらの用途において、LEDは、その照明特性が改善されて望ましい様式で方向づけられるように、典型的に基盤に取り付けられて、光反射表面内にまたはそれに沿って配置される。電流によって発生する熱を散逸させるために、LEDまたはそれにLEDが取り付けられる基盤は、通常、吸熱または熱散逸装置にもまた取り付けられる。最近になってようやく開発された、青色チップを使用する白色光の追加は、赤色および緑色発光ダイオードを組み込んだ以前の用途と同程度まで、LEDの拡大された役割と可能な用途に大幅に貢献した。しかしこのような照明用途に関連して使用される材料は、典型的にカプセル封入材料の不良接着特性、従来の材料に付随する望ましくない水分吸収、不良熱特性、熱酸化、不良UV抵抗性、ハンダ付け用途における膨れなどに概して起因する、要求の厳しい課題に直面する。
【0004】
LCPおよびポリアミドを含んでなるポリマー組成物、特に半芳香族ポリアミドは、照明装置に付随するプラスチックPLCC(プラスチック・リーデッド・チップキャリア)の構成要素に広く使用される。これらの用途の多くは、プラスチック構成要素が、発熱する光源の近傍にあるか、またはそれと接することを必要とする。特にLED中では、供給電流のためにLEDチップのP−N接合部(ダイオードのn領域とp領域間の接合部)で発生する熱が懸案事項である。それとは別に、このような照明装置で使用される多数の構成要素は、リフローハンダ付けステップを含んでなる表面実装技術(SMT)などの熱処理ステップを含んでなる工程によって取り付けられる。ポリアミドはこのような工程中に膨れを示す傾向がある。さらに重量を低下させるため、そして小型化の理由から構成要素はずっと小さな厚みを有さねばならず、材料が良好な成形性を有すること、すなわち成形操作において良好な流動性を有し、それと同時に成形プラスチック構成要素のための良好な機械的特性がもたらされることが必須となる。必要とされる機械的特性を得るために、ポリマー組成物は多量の強化材を含んでなることが必要な場合がある。熱源からの熱を散逸させるための熱伝導性などのその他の要件に適合するため、および/または光源からの光を反射するために、ポリマー組成物は、多量の熱伝導材料および/または光反射材料を含んでなることが必要な場合がある。このような多量の強化材、熱伝導材料および/または光反射材料が存在する一方で、優れた成形性は保持されるべきである。構成要素のほとんどは高精度部品であり、小型化がそれを際立たせる。
【0005】
さらにLEDアセンブリーは、チップまたはダイは別として、一般に様々な導体素子ならびに電気絶縁素子からなる、多数の構成要素を含んでなる。さらにLEDが適切に機能するために、n領域に接続する全ての導体素子の間、ならびにp領域に接続する導体素子の間には固体導電接点がなくてはならない。2つの素子間の固体導電接点が存在しなくてはならない移行部としては、n領域またはp領域と使用される接合線材との間、接合線材と使用されるリードフレームの導電性リード線との間、および/または適用される場合はn領域またはp領域のどちらかとダイ付着層との間の接点が挙げられる。
【0006】
したがって本明細書でさらにLEDアセンブリー工程と称される、このようなLEDアセンブリーの生産のために応用される方法は、次のステップの全てか、そうでなければその異なる組み合わせを含む、導電接点を作るためのいくつかの連続的ステップを含んでなる。接合線材とn領域および/またはp領域とを接合するステップ、接合線材とリードフレームの導電性リード線とを接合するステップ(ワイヤボンディングと称される)、および/またはn領域またはp領域のどちらかとリードフレームの導電性リード線の1つとの間にダイ付着層を塗布するステップ(この工程はダイボンディングと称される)。
【0007】
したがって例えば特願JP20070112765号公報で言及されるような連続的取り付けステップが応用される。チップとリードフレームの間に導電接点を作るためのワイヤボンディングは一般に超音波溶接によって行われ、例えば金―金超音波接合によって行われる。欧州特許出願公開第1524705−A2号明細書で言及されるように、ワイヤボンディングは複雑な工程であり、その間にLEDが偶発的に損傷し得る。最近では、チップを接合するステップを含む取り付け技術が応用される。このような工程では、接合は例えば銀エポキシハンダを使用した熱リフロー工程によって達成されてもよい。270℃以下のダイ付着工程温度のために設計された接点金属化(例えばCree Optoelectronicsによる)が、リードフレーム基盤中でプラスチック材料を利用する表面実装パッケージを可能にすることから、スズ合金もまた推奨されている。より最近では、チップ接合ステップのための共晶接合に向かう傾向がある。その例については、欧州特許出願公開第1524705−A2号明細書および米国特許公開第2005/01408081−A1号明細書で言及される。
【0008】
LEDシステム製造のためのアセンブリー工程の次に、基盤上に取り付けられたこのようなLEDアセンブリーを含んでなる電気的および電子構成要素が取り付け工程によって作られ、LEDの導電性リード線がPCB上に取り付けられる。この工程はハンダ付け工程とも称される。例えば様々な用途で使用されるPCB(プリント回路基板)上に、LEDアセンブリー全体を取り付けることができる。PCB上へのLED取り付けには、典型的にリフロー表面実装が使用される。
【0009】
従来このようなSMT工程では、鉛含有ハンダ組成物が使用されたのに対して、無鉛ハンダ組成物に向かう傾向がある。無鉛ハンダ組成物のためには、より高い融解温度を有し、リフローハンダ付け工程においてより高い温度を要するスズ、ビスマスなどの合金、および/またはインジウムベースの合金が使用される。
【0010】
第1のステップまたは複数のステップ(LEDアセンブリーステップ)で使用されるハンダまたは接合金属の接合完全性を保持するために、そこで使用されるハンダまたは金属材料は、表面実装工程で使用されるハンダよりも高い融点を有さなくてはならない。共晶接合工程のためには、米国特許公開第2005/01408081−A1号明細書で言及されるように、Si、Ag、およびAu、さらにはNi、Ti、およびPtなどのさらにより高い融点の金属の合金が使用される。欧州特許出願公開第1524705−A2号明細書では、共晶接合ならびに金−金超音波接合が報告されている。共晶接合のために使用される好ましい合金は、共融点280℃の80%Auと20%Snとの共融金スズ合金である。共融工程のためには、通常315〜320℃前後のピークリフロー温度、2〜3分のピーク温度保圧時間、および約20〜30分のサイクル時間の釣鐘型温度プロフィールが適用される。これらの高加工温度における膨れの不在、および構成要素の寸法完全性の保持は必須である。これらの工程で加えられる高温への構成要素の曝露は比較的短いかもしれないが、ピーク温度および/または局部加熱は非常に高い場合があり、したがって多くのプラスチック材料が破損する。
【0011】
国際公開第2006/135842号パンフレットは、半芳香族ポリアミドを含んでなるポリマー組成物を含んでなる発光ダイオードアセンブリーのためのプラスチック構成要素について述べている。国際公開第2006/135842号パンフレットの半芳香族ポリアミドは、50〜100モル%のテレフタル酸を含んでなるジカルボン酸モノマーと、10〜20個の炭素原子を有する50〜100モル%のジアミンを含んでなるジアミンモノマーとから誘導される繰り返し単位を含んでなる。任意に存在する残りのプラスチック構成要素は、テレフタル酸以外の芳香族酸である0〜50モル%のジカルボン酸と、および/または4〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、および4〜9個の炭素原子を有する0〜50モル%のジアミンを含んでなる。製品は、例えばポリアミド−6およびポリアミド−6,6よりも改善された特性を有すると主張されている。しかし国際公開第2006/135842号パンフレットでは、ポリアミド−10,T/10,12(90/10モル比)であるこのようなポリマーの1つのみについて特に言及されており、それがポリアミド−6T/66およびポリアミド−9Tと比較されている。
【0012】
国際公開第2006/135842号パンフレットでは、一般的に述べられている膨れ試験で得られたポリアミド−10,T/10,12の試験結果が、ポリアミド−6T/66(55/45モル比)およびポリアミド−9T(85/15モル比で9T/約8T)と比較されている。ポリアミド−10,T/10,12はポリアミド−6T/66よりも良い膨れ抵抗性を示したが、ポリアミド−9Tと同様であった。さらにこれらの材料は、機械的特性を十分に保持しておらず、靭性不良のためにひび割れもしやすい。
【0013】
上述の要件と、小型化に向かう、および工程温度の上昇を伴うアセンブリーおよび取り付け工程に向かう傾向とを勘案して、連続使用中および/または加工段階中のいずれかにおいて、良好な成形性と機械的特性を保持しながら、抗耐熱性および低感湿性、および特に改善された膨れ抵抗性および寸法安定性などの改善された特性を有する、照明装置のためのプラスチック構成要素、およびその中で使用できる材料に対する必要性がある。
【0014】
したがって本発明の目的は、照明装置用のプラスチック構成要素と、その中で使用できる改善された膨れ抵抗性および/または寸法安定性を有する材料とを提供することである。
【0015】
この目的は、本発明に従ったプラスチック構成要素によって達成され、プラスチック構成要素は、半芳香族ポリアミドXを含んでなるポリマー組成物を含んでなり、
a.ジカルボン酸(A)は5〜65モル%の脂肪族ジカルボン酸および任意にテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸(A1)と、35〜95モル%のテレフタル酸(A2)との混合物からなり、
b.脂肪族ジアミン(B)は2〜5個のC原子を有する10〜70モル%の短鎖脂肪族ジアミン(B1)と、少なくとも6個のC原子を有する30〜90モル%の長鎖脂肪族ジアミン(B2)との混合物からなり、
c.テレフタル酸(A2)と長鎖脂肪族ジアミンと(B2)を合わせたモル量は、ジカルボン酸およびジアミンの総モル量に対して少なくとも60モル%である。
【0016】
簡潔さと読みやすさのために半芳香族ポリアミドX、または単にポリアミドXとも称される前記半芳香族ポリアミドの本発明に従ったプラスチック構成要素中の影響は、ポリアミド−10,T/10,12 ポリアミド−6T/66およびポリアミド−9Tなどの対応する半芳香族ポリアミドから製造されるプラスチック構成要素と比較して、膨れ抵抗性および/または寸法安定性が改善されることである。新しい材料は、同一状況で試験されたポリアミド−9,Tと比較して必ずしもより低い水分吸収を有するとは限らないので、これらの改善は極めて驚くべきことである。これらの改善はまた、ポリアミド−4,6およびポリアミド4,6/4,Tなどの主に短鎖ジアミンベースのポリアミドが高度に水分を取り込みやすく、必従の寸法変化および膨れに対して非常に感応性であるという事実を考慮しても高度に驚くべきである。
【0017】
前記ポリマー組成物から製造されるプラスチック構成要素は、材料が非常に良好な流動を示すために高い寸法精度で作ることができ、適切な添加剤と共に調合すると、良好な流動特性を保持しながら良好な反射性能と熱放散性能が達成される。さらにポリマー組成物は、良好な機械的特性を有し、高温および高湿度条件においてそれを保持する。
【0018】
本発明で使用される半芳香族ポリアミドは、脂肪族ジアミンとジカルボン酸とから誘導される単位を含んでなる。ジカルボン酸から誘導される単位はA−A単位として示すことができ、ジアミンから誘導される単位はB−B単位として表すことができる。それに従ってポリアミドは、例えばNylon Plastic handbook,Ed.M.I.Kohan,Hanser Publishers,Munich,ISBN 1−56990−189−9(1995),page 5で適用される分類に対応するAABBポリマーとして表すことができる。
【0019】
短鎖脂肪族ジアミンは、C2〜C5脂肪族ジアミンまたはその混合物である。換言すればそれは2〜5個の炭素(C)原子を有する。短鎖脂肪族ジアミンは、例えば1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミンおよび1,5−ペンタンジアミン、およびそれらの混合物であってもよい。好ましくは、短鎖脂肪族ジアミンは、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは1,4−ブタンジアミンである。
【0020】
短鎖脂肪族ジアミン(B1)は、C2〜C5脂肪族ジアミンまたはその混合物である。換言すればそれは2〜5個の炭素(C)原子を有する。短鎖脂肪族ジアミンは、例えば1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、および1,5−ペンタンジアミン、およびそれらの混合物であってもよい。好ましくは短鎖脂肪族ジアミンは、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは1,4−ブタンジアミンである。
【0021】
長鎖脂肪族ジアミン(B2)は少なくとも6個の炭素(C)原子を有する脂肪族ジアミンである。長鎖脂肪族ジアミンは、直鎖、分枝鎖および/または脂環式であってもよい。長鎖脂肪族ジアミンは、例えば2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(2−メチルペンタメチレンジアミンとしてもまた知られている)、1,5−ヘキサンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、m−キシリレンジアミン、およびp−キシリレンジアミン、およびそれらの任意の混合物であってもよい。好ましくは長鎖脂肪族ジアミンは6〜12個の炭素原子を有し、適切にはC8またはC10ジアミンである。好ましい実施態様では長鎖ジアミンは、6〜9個の炭素原子を有するジアミンの50〜100モル%、より好ましくは75〜100モル%を構成する。これはさらに良い高温特性を有する材料をもたらす。より好ましくは長鎖脂肪族ジアミンは、1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは1,6−ヘキサンジアミンである。この好ましい選択、および特により好ましい1,6−ヘキサンジアミンの選択の利点は、本発明に従ったコポリアミドの高温特性がさらに良いことである。
【0022】
脂肪族ジカルボン酸は、直鎖、分枝鎖および/または脂環式であってもよく、炭素原子数は特に限定されない。しかし脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは4〜25個の炭素原子を有する、より好ましくは6〜18個、さらにより好ましくは6から12個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖脂肪族ジカルボン酸、またはその混合物を含んでなる。適切な脂肪族ジカルボン酸は、例えばアジピン酸(C6)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(C8)、スベリン酸(C8)、セバシン酸(C10)、ドデカン酸(C12)またはその混合物である。好ましくは脂肪族ジカルボン酸は、アジピン酸、セバシン酸またはその混合物をはじめとする、C6〜C10脂肪族ジカルボン酸であり、およびより脂肪族ジカルボン酸は、C6〜C8脂肪族ジカルボン酸である。最も好ましくは脂肪族ジカルボン酸はアジピン酸である。
【0023】
芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸に次いで、例えばイソフタル酸および/またはナフタランジカルボン酸などのその他の芳香族ジカルボン酸を含んでなってもよい。
【0024】
半芳香族ポリアミドは、テレフタル酸に次いで、脂肪族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸とを適切には含んでなってもよい。好ましくはテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸の量は、存在する場合、脂肪族ジカルボン酸と、テレフタル酸(A1)以外の芳香族ジカルボン酸との総モル量に対して50モル%未満、より好ましくは25モル%未満である。
【0025】
本発明に従った組成物中の半芳香族ポリアミド中では、短鎖脂肪族ジアミン(B1)が脂肪族ジアミン単位(B)の10〜70モル%を構成し、長鎖脂肪族ジアミン(B2)が残りの30〜90モル%を構成する。
【0026】
好ましくは短鎖脂肪族ジアミンのモル量は、短鎖および長鎖ジアミンのモル量に対して、最大60モル%、より好ましくは50モル%、40モル%、または35モル%でさえある。このようにより低いモル量の短鎖ジアミンを有するコポリアミドの利点は、所定のTmを有するコポリアミドで膨れ挙動が改善されることである。
【0027】
また好ましくは、半芳香族ポリアミド中の短鎖脂肪族ジアミンのモル量は、短鎖脂肪族ジアミンおよび長鎖脂肪族ジアミンの総モル量に対して、少なくとも15モル%、より好ましくは、少なくとも20モル%である。短鎖脂肪族ジアミンのモル量が多いほど、ポリアミドの熱安定性はより良くなる。
【0028】
脂肪族ジカルボン酸、およびテレフタル酸以外の任意の芳香族ジカルボン酸(A1)は、ジカルボン酸単位(A)の5〜65モル%を構成し、テレフタル酸(A2)は残りの35〜95モル%を構成する。
【0029】
好ましくはジカルボン酸は、テレフタル酸の少なくとも40モル%、より好ましくは少なくとも45モル%、またはさらには少なくとも50モル%を構成する。テレフタル酸量の増大の利点は、高温特性がさらに改善することである。また好ましくは脂肪族ジカルボン酸、そして存在する場合はテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸(A1)の量は、ジカルボン酸の少なくとも10モル%、より好ましくは少なくとも15モル%である。このより高い量は、組成物がより良い加工性を有するという利点を有する。
【0030】
高度に好ましい実施態様では、ジカルボン酸(A)は、ジカルボン酸のモル量に対して、50〜85モル%のテレフタル酸(A2)および50〜15モル%の脂肪族ジカルボン酸、そして任意にテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸(A1)からなり、脂肪族ジアミン(B)は、脂肪族ジアミンの総モル量に対して、40〜80モル%の長鎖ジアミン(B2)および60〜20モル%の短鎖ジアミン(B1)からなる。この好ましい組成物により、良好な溶融加工性を保持しながら、短期の高ピーク温度に対するさらにより良い抵抗性、ならびに高温への長期曝露時の機械的特性のより良い保持とガス放出低下を含んでなる、より良い総体的バランスを特性が得られる。
【0031】
長鎖脂肪族ジアミン(B2)の最小量が、脂肪族ジアミンの総モル量に対して30モル%であり、テレフタル酸(A2)の最小量がジカルボン酸のモル量に対して35モル%である一方、テレフタル酸(A2)と長鎖脂肪族ジアミン(B2)とを合わせたモル量は、ジカルボン酸とジアミンの総モル量に対して少なくとも60モル%である。その結果、長鎖脂肪族ジアミンの相対量が最低30モル%である場合、テレフタル酸の相対量は少なくとも90モル%である。同様にテレフタル酸の相対量が最低35モル%である場合、長鎖脂肪族ジアミンの相対量は少なくとも85モル%である。
【0032】
別の高度に好ましい実施態様では、テレフタル酸(A2)と長鎖脂肪族ジアミン(B2)のモル量の和が、ジカルボン酸とジアミンの総モル量に対して少なくとも65モル%、より好ましくは少なくとも70モル%、さらにより好ましくは少なくとも75モル%である。テレフタル酸(A2)と長鎖脂肪族ジアミン(B2)とのモル量の和がより高いポリアミの利点は、ポリアミドが短期の高ピーク温度に対するさらにより良い抵抗性と、より良い熱安定性および良好な溶融加工性とを兼ね備えることである。適切には前記の和は、ジカルボン酸とジアミンの総モル量に対して70〜85モル%、または75〜80モル%の範囲でさえある。
【0033】
ジカルボン酸(AA)およびジアミン(BB)から誘導されるA−A−B−B単位に次いで、本発明に従ったポリアミドは、脂肪族アミノカルボン酸(AB単位)および対応する環式ラクタム、ならびに少量の分岐剤および/または連鎖停止剤などのその他の構成要素から誘導される単位を含んでなってもよい。
【0034】
好ましくは本発明に従ったポリアミドは、ポリアミド総質量に対して、最大で10質量%、より好ましくは最大8質量%、およびさらにより好ましくは最大5質量%のジカルボン酸およびジアミン以外の構成要素から誘導される単位を含んでなる。最も好ましくは本発明に従ったポリアミドは、このようなその他の構成要素を全く含まず、ジカルボン酸およびジアミンから誘導されるA−A−B−B単位のみからなる。その利点は、ロジスティック的により単純な工程およびより良い結晶性特性である。
【0035】
半芳香族ポリアミドは、熱可塑性半結晶質半芳香族コポリアミドである。半結晶質ポリアミドは、適切には少なくとも290℃、および好ましくは少なくとも約300℃、より好ましくは少なくとも310℃の融解温度(Tm)を有する。また適切には融解温度は350℃未満であり、好ましくは約340℃未満である。また好ましくは半芳香族ポリアミドは100℃を超え、より好ましくは少なくとも110℃であり、または少なくとも120℃でさえあるガラス転移温度(Tg)を有する。好ましくはTgは最高140℃、より好ましくは最高130℃である。Tmが高いほど、ならびにTgが高いほど、リフローハンダ付け工程および共晶接合工程における本発明に従った構成要素の性能はより良くなる。Tgがこれらの限度内にあることのさらなる利点は、膨れ抵抗性、寸法安定性、および加工挙動におけるさらにより良いバランスである。
【0036】
融点(温度)という用語は本明細書では、加熱速度10℃/分でDSCによりASTM D3417−97/D3418−97に従って測定され、融解範囲に入り最高溶融速度を示す温度であると理解される。ガラス転移点という用語は本明細書では、加熱速度10℃/分でDSCによりASTM E 1356−91に従って測定される温度であると理解され、親熱曲線(parent thermal curve)の変曲点に対応する親熱曲線(parent thermal curve)の一次導関数(時間に関する)のピーク温度として測定される。
【0037】
前記半芳香族ポリアミドは、広い範囲にわたって変動する粘度を有してもよい。強化難燃性組成物の良好な機械的特性をなおも保持しながら、相対粘度が1.6程度に低く、またはなおもさらに低くあってもよいことが観察されている。本明細書で相対粘度は、ISO307第4版の方法に従って96%硫酸中で測定される。好ましくは相対粘度は少なくとも1.7、より好ましくは1.8、または1.9でさえある。機械的特性の保持はこのような成形品にとって実に重要であり、これはこのように低い相対粘度でもなお当てはまる。また好ましくは相対粘度は4.0未満、より好ましくは3.5未満、さらにより好ましくは3.0未満である。この低い相対粘度は成形中の流れがより良く、より薄い要素を有する成形品を作ることができるという利点を有する。
【0038】
前記半芳香族ポリアミドはまた、相対粘度の高い半芳香族ポリアミドと、相対粘度の低い半芳香族ポリアミドとの配合物からなってもよい。適切には配合物は、相対粘度が少なくとも1.8、より好ましくは少なくとも1.9の構成要素と、相対粘度が1.7未満、より好ましくは1.6未満の1つの構成要素とを含んでなる。相対粘度が少なくとも1.9の第1の構成要素が少なくとも10,000の分子量を有することができるのに対し、相対粘度が1.6未満の第2の構成要素は、7,500未満、好ましくは5,000未満、さらにより好ましくは2,500未満の分子量を有することができる。第1および第2の構成要素は、大きな範囲にわたって変動する重量比で存在してもよく、好ましくは19:1〜1:1、より好ましくは9:1〜3:1の範囲である。相対粘度が低い第2の構成要素が存在する利点は、ポリアミド組成物の成形挙動がさらに改善されて、さらにより薄い壁セクションを有する部品の成形ができるようになることである。
【0039】
本発明に従った照明装置で使用するための構成要素で使用されるポリマー組成物は、適切には半芳香族ポリアミドXに次いで1つ以上のその他の構成要素を含んでなる。ポリマー組成物は、例えば無機賦形剤および/または補強材のような無機材料、その他のポリマー材料、難燃剤、およびさらなる添加剤を含んでなってもよい。
【0040】
好ましくはポリマー組成物は無機材料を含んでなる。無機材料は、大きな範囲にわたって変動する量で存在してもよい。好ましくはポリマー組成物は、100pbwの半芳香族ポリアミドXに対して、1〜250pbw、好ましくは5〜200、より好ましくは10〜150pbwの量、または50〜100pbwでさえある量で無機材料を含んでなる。
【0041】
前記半芳香族ポリアミドXと無機材料とを含んでなる前記組成物の利点は、材料がより低い熱膨張を有することである。無機材料含量がより高ければ、この熱膨張はさらに低下してLEDアセンブリー中のその他の構成要素に近くなり、したがってさらなる加工におけるLED部品の、およびその機能寿命におけるLEDアセンブリーの、完全性のより良い保持に寄与する。
【0042】
無機材料は、適切には無機賦形剤および/または補強材を含んでなる。適切な賦形剤の例は、ガラスフレークと、炭酸カルシウムと、粘土、カオリン、珪灰石、および滑石などの無機賦形剤と、その他のミネラルと、それらの任意の組み合わせである。無機材料はまた、熱伝導材料および/または光反射材料を含んでなってもよい。
【0043】
好ましい実施態様では、組成物は光反射材料(化合物C)を含んでなる。光反射材料は、可視および/またはUV光を反射できる、無機顔料、無機補強材、無機賦形剤、および線維性および薄板無機化合物をはじめとする、任意の無機化合物であってもよい。光反射材料は、適切には少なくとも2.5g/cm、好ましくは少なくとも3g/cmの密度を有する。適切な光反射材料の例は二酸化チタン(TiO2)などの白色顔料であり、好ましくはより高い光線反射率を提供することからルチル形二酸化チタンであり、硫酸バリウム(BaSO4)などの賦形剤、および珪灰石およびチタン酸カリウム繊維などの繊維性材料である。
【0044】
光反射材料は、大きな範囲にわたって変動する量で存在してもよい。
【0045】
好ましくは光反射材料は、100pbwの半芳香族ポリアミドXに対して、2〜100pbw、好ましくは5〜50pbw、10〜20pbwの量で存在する。その他の構成要素もまた存在する場合、光反射材料は、ポリマー組成物の総重量に対して好ましくは0.6〜40重量%、より好ましくは1.5〜30重量%、または5〜20重量%でさえある量で存在する。光反射材料含量がより高い利点は、非常に低い光透過率である。
【0046】
好ましくは光反射材料は、ポリマー組成物、またはそれから製造されるプラスチック構成要素が、波長400nmにおいて、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、およびさらにより好ましくは少なくとも90%の光反射率を有するような量で存在する。反射率を測定するために、例えばいわゆるSpectraMagicソフトウェアを使用して、ミノルタCM−2600D分光光度計を用いて反射スペクトルを測定できる。これらの測定のためには、記述されている材料の射出成形プレートを使用した。製造された成形プラスチック構成要素は、良好な機械的強度、熱抵抗性、寸法安定性、光反射率、および遮光特性を有する。
【0047】
好ましくはポリマー組成物は、最大1のa値、最大2のb値、および少なくとも90のL値を有するCIE Lab色指数を有する。製品は成形後に良好な白色度を有し、熱処理後の変色が少ない。
【0048】
別の好ましい実施態様では、組成物は熱伝導材料(化合物D)を含んでなる。熱伝導材料は無機賦形剤または無機補強材であってもよい。このような材料としては、少なくとも約5W/mKの熱伝導性を有するものが挙げられる。
【0049】
熱伝導材料は好ましくは、少なくとも10W/mK、好ましくは少なくとも20W/mK、より好ましくは少なくとも50W/mK、または少なくとも100W/mKでさえある熱導電率を有する。熱伝導材料は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、フッ化カルシウム、および黒鉛などの熱伝導性賦形剤、または炭素繊維などの熱伝導性繊維性材料であってもよい。
【0050】
熱伝導材料は、大きな範囲にわたって変動する量で存在してもよい。好ましくは熱伝導材料は、100pbwの半芳香族ポリアミドXに対して、5〜200pbw、より好ましくは10〜150pbw、または50〜100pbwでさえある量で存在する。その他の構成要素もまた存在する場合、熱伝導材料(化合物D)は好ましくはポリマー組成物総重量に対して1.5〜60重量%、より好ましくは3〜45重量%、または15〜40重量%でさえある量で存在する。より高い熱伝導材料含量の利点はより良い吸熱特性に反映され、より多くの熱を生じて、それにプラスチック構成要素が曝されるより高い温度をもたらす光源が利用できる。
【0051】
好ましくは熱伝導材料は、ポリマー組成物、またはそれから製造されるプラスチック構成要素が、少なくとも1W/mk、より好ましくは少なくとも5W/mk、およびさらにより好ましくは少なくとも10W/mk、または少なくとも20W/mkでさえある熱伝導性を有するような量で存在する。対応する組成物は、LED用途におけるこのような材料の使用にとって効果的な組み合わせである、熱的取り付け工程における優れた特性と、改善された熱伝導性および熱放散特性とを提供する。
【0052】
熱伝導率(Λ)は、W.Nunes dos Santos,P.Mummery and A.Wallwork,Polymer Testing 14(2005),628−634で述べられている手順によって測定できる。最初に熱拡散率をNetzsch LFA 447レーザーフラッシュ機器を用いてASTM E1461−01に従って測定する。次に熱容量(Cp)を同一Netzsch LFA 447レーザーフラッシュ機器を使用して測定する。式、Λ=D*ρ*Cpに従って、熱拡散率(D)、密度(ρ)および熱容量(Cp)から熱伝導率(Λ)を計算できる。
【0053】
組成物は、適切には光反射材料(化合物C)および熱伝導材料(化合物D)とは異なる無機賦形剤および補強材(一緒にして化合物Eとして示される)を含んでなる。補強材は、ガラス繊維、ウィスカー、珪灰石繊維、および炭素繊維をはじめとする異なる繊維性材料を含んでなってもよく、低い導電率を保持しながら良好な機械的特性を得る点で、そのうちガラス繊維が好ましい。適切には化合物Eは、100pbwの半芳香族ポリアミドXに対して5〜200pbw、好ましくは10〜150pbw、50〜100pbwの量で存在する。ポリマー組成物総重量に対して、化合物Eは1.5〜60重量%、好ましくは3〜45重量%、15〜30重量%の量で存在してもよい。
【0054】
補強材はTgを超える温度で組成物の弾性率に対して強力な増大効果を有し、その増大はいくつかのその他のポリアミド中におけるよりもより大きい。これによって非常に良好な機械的特性になおも到達しながら、補強材量を制限できるようになる。これは良好な流動特性を同時に保持しながら、多量の熱伝導材料およびまたは光反射材料が必要とされる場合に特に有利である。総体的効果は、これらの組成物の流れ特性が、例えばポリアミド6T/66ベースの対応する同様の機械的特性を有する組成物よりもはるかにより良くなることである。
【0055】
電流および光源によって発生する熱を考慮して、ポリマー組成物は、有利には1つ以上の難燃性材料(化合物F)を含んでなってもよい。難燃剤系は、ハロゲン化難燃剤および/またはハロゲンフリー難燃剤、および前記難燃剤またはその組み合わせに次いで、任意に難燃性共力剤も含んでなってもよい。
【0056】
これらの難燃性材料は、照明装置の引火性要件規制に適合するように、その他の構成要素に加えて適切な量で添加されてもよい。適切には難燃剤系は、組成物総重量に対して1〜40重量%の総量で存在する。好ましくは難燃剤は5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%の量で存在し、共力剤は組成物総重量に対して好ましくは0〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%、およびさらにより好ましくは5〜10重量%の量で存在する。
【0057】
その他のポリマー材料(化合物G)は、例えばゴムおよび熱可塑性ポリマーを含んでなってもよい。ゴムは、適切には耐衝撃性改良剤を含む。熱可塑性ポリマーは、その他のポリアミドであってもよい。好ましくはポリアミドは、高温半結晶質半芳香族ポリアミドの融解温度よりも低い融解温度を有する半結晶質ポリアミドである。仮に存在する場合、その他のポリマーは、100pbwの半芳香族ポリアミドに対して、好ましくは100pbw未満、より好ましくは50pbw未満、さらにより好ましくは20pbw未満の量で存在する。また好ましくはその他のポリマー材料は、組成物総重量に対して0〜25重量%、より好ましくは1〜20重量%、さらにより好ましくは2〜15重量%、および最も好ましくは5〜10重量%の範囲である総量で存在する。その他のポリマーのより低い量は、高温への長期の曝露時における耐熱性改善およびガス放出低下に寄与する。
【0058】
ポリマー組成物は、有利には上述の構成要素(化合物H)以外の添加剤を含んでなってもよい。これらの添加剤は、成形用途のために一般にポリマー組成物で使用される補助添加剤から選択されてもよい。これらの添加剤としては、適切にはUV安定剤や熱安定剤や抗酸化剤などの安定剤、流動促進添加剤や潤滑剤や型剥離剤などの加工助剤、顔料や染料をはじめとする着色剤、可塑剤、および耐衝撃性改良剤が挙げられる。
【0059】
補助添加剤をはじめとするこれらのその他の添加剤は、これらの添加剤が、ポリマー組成物およびそれから作られるプラスチック構成要素の性能特性に有害な影響を及ぼさない限り、その他の構成要素に加えて、適切な量で添加されてもよい。これらの添加剤は典型的に少量使用され、その適切な量は、通例の実験によって、照明用途のための成形組成物の製造当業者によって容易に測定される。補助添加剤の量は大きな範囲にわたって変動してもよいが、適切には組成物総重量に対して0〜12重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲である。
【0060】
好ましい実施態様では、プラスチック構成要素は本発明に従ったポリマー組成物から製造され、ポリマー組成物は、
(I)20〜95重量%の半芳香族ポリアミドX、および
(II)0.6〜60重量%の光反射材料(化合物C)および/または熱伝導材料(化合物D)、および
(III)総量が0.1〜60重量%である(I)および(II)以外の次の化合物の少なくとも1つからなる:無機賦形剤および補強材(化合物E)、難燃性材料(化合物F)、ポリマー(化合物G)、および補助添加剤(化合物H)、またはそれらの任意の組み合わせ。
ここでI、II、およびIIIの特定量は、合計100重量%になるべきである。
【0061】
本発明は、半芳香族ポリアミドX、ならびに上述のような任意のその好ましい実施態様を含んでなるポリマー組成物を含んでなる、照明装置のためのプラスチック構成要素、またはプラスチック部品に関する。好ましくはプラスチック部品は、光反射プラスチック構成要素および/または熱伝導性プラスチック構成要素である。
【0062】
プラスチック構成要素は、光源の不可分の一部を形成するプラスチック構成要素、光源または照明電機子に取り付けられまたは固定される取り付け基盤またはその他の構成要素、ならびに照明電機子の不可分の一部照明電機子不可分の一部を形成するプラスチック構成要素であってもよい。このような構成要素の例は、反射器または反射器カップとも称されるPLCC(プラスチック・リーデッド・チップキャリア)LED反射器ハウジング、および周波数帯変換器などのLED構成要素と、LED光源の一次または二次光学系と、例えばエネルギー節約型ランプのためのランプベースと、LED基盤およびランプ取り付け要素と、特にバックライトシステムとバックライトシステム中のUV光生成とのための反射器プレートと、自動車照明装置反射器と、ヒートシンクである。短期の高いピーク温度に対する高い膨れおよび熱抵抗性に次いで、半芳香族ポリアミドXを含んでなる本発明に従ったプラスチック構成要素のさらなる利点は、自動車照明装置などで起きる高温への長期曝露時の非常に良好な耐熱性と低いガス放出であり、したがってこのようなシステムの改善された安全性に寄与する。
【0063】
本発明はまた、LEDアセンブリーに関する。LEDアセンブリーは典型的に、次をはじめとする異なる構成要素を含んでなる。
(a)n領域およびp領域を有するダイオードを含んでなるダイまたはチップ、
(b)好ましくは金からなる1本または2本の結合線材、または接合線材、
(c)2本の導電性リード線からなり、導線が接合線材を通じて、または代案としては片方は接合線材を通じて他方はダイ付着層を通じて、ダイオードのn領域またはp領域のどちらかに接続されるリードシステム(またはリードフレーム)、
(d)反射器ハウジングまたは反射器カップとも称されるハウジング、
(e)透明カプセル封入部品、および任意に
(f)レンズおよび/または
(g)ヒートシンク。
【0064】
反射器カップは成形組成物から作ることができ、その成形組成物はそれ自体が光反射性でもよく、またはポリマー表面を金属化することでハウジングを反射性にできる。透明なカプセル封入部品は、例えばエポキシまたはケイ素樹脂から作ることができる。カプセル封入部品およびレンズの機能が統合されてもよい。反射器カップおよびヒートシンクの機能も同様に統合されてもよい。ダイ付着層はまた別個の金属層でもよく、ヒートシンクに熱を伝導し、および/または導電性リード線フレームとの電気接点として機能する。
【0065】
本発明に従った前記LEDアセンブリーは、ヒートシンクおよび/または反射器カップのどちらかが、半結晶質ポリアミドXを含んでなるポリマー組成物から製造される。
【0066】
本発明はまた、チップまたはダイ、導電性リード線システム、およびプラスチック構成要素を含んでなるLEDアセンブリーを製造するための組み立て方法にも関し、チップ接合ステップが適用され、チップまたはダイが導電性リードフレームと、チップまたはダイの間の導電接点とを保有する基盤上に取り付けられて、導電性リードフレームが作り出される。前記工程のチップ接合ステップは共晶接合ステップであり、接合は共融材料層によって達成される。本発明に従った工程では、基盤は、半芳香族ポリアミドXを含んでなるポリマー組成物を、より特定的には本発明に従ったプラスチック構成要素またはその任意の好ましい実施態様を含んでなる。適切には基盤、またはその一部は、半芳香族ポリアミドXを含んでなるポリマー組成物からなる。適切には共晶接合ステップでは、少なくとも280℃、好ましくは300〜350℃、より好ましくは315〜330℃の範囲であるピーク温度の温度プロフィールが適用される。この過程で、導電性リードフレーム中に、ハンダ組成物と金属、または金属群との合金からなる接触層が形成されて、ダイ付着層を構成する。
【0067】
共晶接合は、ここで第1の構成要素から製造される1つの部品と、第2の構成要素から製造される別の部品とを使用して、2つの部品間に結合を形成する工程と理解される。部品を加熱して接触させると、境界面で拡散が生じて合金が形成される。境界面の共融組成物合金は、そのどちらの側の材料よりも低い融点を有し、したがって溶融は薄層に限定され、結合を形成するのは溶融した共融材料である。代案としてはどちら側の材料も同一であり、同一材料を含んでなる金属を含んでなる合金が使用される。その利点は、低い融点の合金が使用できること、そして加熱してどちらかの側の材料と接触させた際に移行が生じて、組成にわずかな変化しかなく、増大する融解温度を有する接合層がもたらされることである。
【0068】
好ましくは金スズ合金が使用され、より好ましくは共融材料は共融Au(80%)/Sn(20%)合金である。金スズ合金は、ニッケル表面をハンダ付けするために使用されてもよいが、好ましくはそれは、金めっき、スパッタ金膜またはAu、Pt−Au、およびPd−Au厚膜金属化などの金保有表面を合金にするのに使用される。
【0069】
本発明はまた、リードフレームを保有する基盤上に表面実装されるチップまたはダイパッケージまたはLEDアセンブリーを含んでなる電子システムを製造するための表面実装工程にも関し、工程は、ピーク温度が少なくとも250℃であるリフローハンダ付けステップを含んでなる。本発明に従ったリフローハンダ付け工程では、チップ/ダイパッケージまたはLEDアセンブリーおよび/または基盤は、半芳香族ポリアミドXを含んでなるポリマー組成物を有するプラスチック部品を含んでなる。特にポリマー組成物は、本発明に従ったさらなる無機材料または任意のその好ましい実施態様を含んでなる。
【0070】
好ましくは工程は、本発明に従ったプラスチック構成要素を含んでなるチップ/ダイアセンブリーを含んでなり、リードフレームを保有する基盤上に取り付けられた導電性リード線を保有する電子システムを製造するための表面実装工程であり、工程はハンダ付け組成物層によって、導電性リード線とリードフレームとを接合するためのリフローハンダ付けステップを含んでなり、少なくとも260℃、より好ましくは260〜290℃の範囲、およびさらにより好ましくは270〜280℃の範囲であるピーク温度が加えられる。
【0071】
好ましくは電子システムは照明装置であり、また好ましくはチップはLEDチップである。
【0072】
本発明に従った共晶接合工程およびリフローハンダ付け工程では、プラスチック部品は本発明に従ったプラスチック構成要素またはその好ましい実施態様である。工程はポリマー組成物の膨れ低下、およびより良い熱性能をはじめとする上述の利点を有する。
【0073】
本発明はまた、本発明に従った共晶接合工程またはハンダリフロー工程、またはその組み合わせによって得られる電子システムに関する。
【0074】
本発明はまた、本発明に従ったプラスチック構成要素を含んでなる照明装置にも関する。好ましくは、照明装置は上で述べられている工程の1つ、またはその組み合わせによって得られるLED照明装置である。
【0075】
照明装置はまた、携帯電話、PDA、ハンドヘルド装置、コンピュータモニター、テレビ、車載インフォテインメントシステム、GPSなどのための液晶ディスプレイスクリーンのバックライト用光源、自動車のウィンカーまたはヘッドライトおよびインストルメントパネル、照明機器などであってもよい。
【0076】
本発明は本発明に従った構成要素および導線端子を含んでなる電子システムにさらに関し、導線端子は共融材料層によってチップ/ダイに接合される。
【0077】
特定の実施態様では、電子システムは、LED素子(チップまたはダイを含んでなる)、取り付け基盤、およびヒートシンクを含んでなるLED照明装置であり、基盤は片面に金属リードフレームおよび/または他面に熱伝導性層を含んでなり、LED素子はリード端子および反射器ハウジングを含んでなり、反射器は基盤の片面に取り付けられてヒートシンクは取り付け基盤の他面に取り付けられ、金属リードフレームおよびリード端子、および/または熱伝導性層およびヒートシンクのどちらかがリフローハンダ付け工程によってまたは共晶接合によって接合され、取り付け基盤の構成要素、反射ハウジング、およびヒートシンクの少なくとも1つは、本発明に従ったプラスチック組成物から製造される。
【0078】
光反射材料および/または熱伝導材料を含んでなる本発明に従った光反射および/または熱伝導性ポリマー組成物は、接点、スイッチ、リレー、プリント配線板を含んでなるその他の電子構成要素、およびギアおよびカムなどのスライディング構成要素、および空気取入れ口マニホルドなどの自動車構成要素のための成形品を作るのにも適することがさらに分かった。
【0079】
[実施例]
照明構成要素の調製で使用されたポリアミド組成物は、最初にポリアミドポリマー例実施例1〜5(E−1〜E−5)および比較例(CE)A、B、C、およびFを調製することで調製された。比較例DおよびEは市販製剤である。
【0080】
[ポリマー調製]
[E−1ポリマー:PA−6T/4T/46(モル比67.5/21.3/11.2)]
179.8gテトラメチレンジアミン、347.25gヘキサメチレンジアミン、537g水、0.36g次亜リン酸ナトリウム一水和物、72.36gアジピン酸、および653.38gテレフタル酸の混合物を2.5Lオートクレーブ内で加熱して水を蒸留により除去しながら撹拌した。ポリアミド調製中のテトラメチレンジアミンの損失を埋め合わせるために、計算されるポリアミド組成物の組成と比較して、約2〜4重量%のわずかに過剰なテトラメチレンジアミンを使用した。約27分後に91重量%塩水溶液が得られた。この過程で温度は169℃から223℃に上昇した。21分間にわたり温度を210℃から226℃に上昇させて重合を達成し、その間に圧力は1.3MPaに上昇し、その後オートクレーブの内容物をフラッシュして固体生成物を窒素下でさらに冷却した。このようにして得られたプレポリマーを引き続いて乾燥キルン内で、真空および0.02MPaの窒素気流下において、125℃で数時間加熱して乾燥させた。乾燥プレポリマーを金属管型反応器(d=85mm)内において、窒素気流下(2400g/h)200℃で数時間、次に窒素/水蒸気気流下(3/1重量比、2400g/h)225℃で2時間、および260℃で40時間加熱して固相に後濃縮した。次にポリマーを室温に冷却した。
【0081】
[E−2ポリマー:PA−6T/4T/46(モル比75/10/15)の調製]
E−1ポリマーと同様にして、127.09gテトラメチレンジアミン、350.05gヘキサメチレンジアミン、487g水、0.66g次亜リン酸ナトリウム一水和物、91.59gアジピン酸、および567.48gテレフタル酸の混合物を2.5Lオートクレーブ内で加熱しながら撹拌したところ、91重量%塩水溶液が22分後に得られた。この過程で温度は176℃から212℃に上昇した。22分間にわたり温度を220℃から226℃に上昇させて重合を達成し、その間に圧力は1.4MPaに上昇した。このようにして得られたプレポリマーを引き続いて乾燥キルン内で、真空および0.02MPaの窒素気流下において125℃および180℃で数時間加熱して乾燥させた。乾燥プレポリマーを金属管型反応器(d=85mm)内において、窒素気流下(2400g/h)190℃および230℃で数時間、次に窒素/水蒸気気流下(3/1重量比、2400g/h)251℃で96時間加熱して固相に後濃縮した。次にポリマーを室温に冷却した。
【0082】
[E−3ポリマー:PA−6T/5T/66(モル比70/15/15)同等物であるPA−6T/56(モル比85/15)の調製]
55.3gのペンタメチレンジアミン(98重量%)、529.7g水性ヘキサメチレンジアミン(59.6重量%)、360.4g水、0.5g次亜リン酸ナトリウム一水和物、67.2gアジピン酸、および433.04gテレフタル酸の混合物を2.5Lオートクレーブ内で加熱して水を蒸留により除去しながら撹拌した。35分後に90重量%の塩水溶液が得られ、温度は170℃から212℃に上昇した。次にオートクレーブを閉じた。25分間にわたり温度を212℃から250℃に上昇させて重合を達成した。混合物を250℃で15分間撹拌し、その間圧力は2.9MPaに上昇し、その後オートクレーブの内容物をフラッシュして、固体生成物を窒素下でさらに冷却した。プレポリマーを金属管型反応器(d=85mm)内において、窒素気流下(2400g/h)200℃で数時間、次に窒素/水蒸気気流下(3/1重量比、2400g/h)230℃で2時間、および260℃で24時間加熱して、固相に後濃縮した。次にポリマーを室温に冷却した。
【0083】
[E−4ポリマー:PA−6T/5T/56(モル比75.5/15/9.5)の調製]
78.4gのペンタメチレンジアミン(98重量%)、473.3g水性ヘキサメチレンジアミン(59.6重量%)、382.56g水、0.5g次亜リン酸ナトリウム一水和物、42.6gアジピン酸、および461.5gテレフタル酸の混合物を2.5Lオートクレーブ内で加熱して水を蒸留により除去しながら撹拌した。35分後に90重量%の塩水溶液が得られ、温度は170℃から212℃に上昇した。次にオートクレーブを閉じた。25分間にわたり温度を212℃から250℃に上昇させて重合を達成した。混合物を250℃で15分間撹拌し、その間圧力は2.8MPaに上昇し、その後オートクレーブの内容物をフラッシュして、固体生成物を窒素下でさらに冷却した。プレポリマーを引き続いて乾燥させ、E−1ポリマーと同様にして固相に後濃縮した。次にポリマーを室温に冷却した。
【0084】
[E−5ポリマー:PA−6T/66/56(モル比76.5/12/11.5)の調製]
36.9gのペンタメチレンジアミン(98重量%)、553.0g水性ヘキサメチレンジアミン(59.6重量%)、351.2g水、0.5g次亜リン酸ナトリウム一水和物、105.8gアジピン酸、および391.4gテレフタル酸の混合物を2.5Lオートクレーブ内で加熱して水を蒸留により除去しながら撹拌した。35分後に90重量%の塩水溶液が得られ、温度は170℃から212℃に上昇した。次にオートクレーブを閉じた。25分間にわたり温度を212℃から250℃に上昇させて重合を達成した。混合物を250℃で20分間撹拌し、その間圧力は2.8MPaに上昇し、その後オートクレーブの内容物をフラッシュして、固体生成物を窒素下でさらに冷却した。プレポリマーを引き続いて乾燥させ、E−1ポリマーと同様にして固相に後濃縮した。次にポリマーを室温に冷却した。
【0085】
[CE−Aポリマー:PA6T/66(モル比60/40)]
ポリマーIと同様にして、520gヘキサメチレンジアミン、537g水、0.36g次亜リン酸ナトリウム一水和物、330gアジピン酸、および420gテレフタル酸の混合物を2.5Lオートクレーブ内で加熱しながら撹拌し、27分後に91重量%の塩水溶液が得られた。この過程で温度は169℃から223℃に上昇した。21分間にわたり温度を210℃から226℃に上昇させて重合を達成し、その間圧力は1.3MPaに上昇した。プレポリマーを引き続いて乾燥させ、E−1ポリマーと同様にして固相に後濃縮した。次にポリマーを室温に冷却した。
【0086】
[CE−B,Cポリマー:PA46]
ポリマーIと同様にして、430.4gテトラメチレンジアミン、500g水、0.33g次亜リン酸ナトリウム一水和物、および686.8gアジピン酸の混合物を2.5Lオートクレーブ内で加熱しながら撹拌し、25分後に90重量%の塩水溶液が得られた。この過程で温度は110℃から162℃に上昇した。温度を162℃から204℃に上昇させて重合を達成し、その間圧力は1.3MPaに上昇した。プレポリマーを引き続いて乾燥させ、E−1ポリマーと同様にして固相に後濃縮した。次にポリマーを室温に冷却した。
【0087】
[比較例CE−F:PA−6T/5T(モル比56/44)の調製]
201.4gのペンタメチレンジアミン、300.8gヘキサメチレンジアミン、521.1g水、0.65g次亜リン酸ナトリウム一水和物、および722.18gテレフタル酸の混合物を2.5Lオートクレーブ内で加熱して水を蒸留により除去しながら撹拌した。27分後に90重量%の塩水溶液が得られ、温度は170℃から211℃に上昇した。次にオートクレーブを閉じた。15分にわたり温度を211℃から250℃に上昇させて重合を達成した。混合物を250℃で29分間撹拌し、その間圧力は2.9MPaに上昇し、その後オートクレーブの内容物をフラッシュして、固体生成物を窒素下でさらに冷却した。プレポリマーを引き続いて乾燥させ、E−3ポリマーと同様にして固相に後濃縮した。次にポリマーを室温に冷却した。
【0088】
[化合物調製]
E−1〜E−5、CE−A〜C、およびCE−Fはまた、次の構成要素も含んだ。
・ポリアミド用標準ガラス繊維等級、
・難燃剤:臭素化ポリスチレン(Albermarleから入手できるSaytex(登録商標)HP3010)、
・難燃剤共力剤:ホウ酸亜鉛(Luzenacから入手できるFirebrake(登録商標)500)、および
・剥離剤および安定化パッケージを含んでなる補助添加剤。
【0089】
比較実験DおよびEは、次の市販製品をベースとした。CE−Dはデュポン(DuPont)からのPA6T/66製品であるZytel HTNFR52G30BLであり、およびCE−Eはクラレ(Kururay)からのPA9T製品であるジェネスタ(Genestar)GN2332BKであった。従来の分析的技術を使用して、これらの市販品で使用される臭素化ポリスチレン、共力剤、および補助添加剤の比率を推定した。ジェネスタからのPA9T製品の分析からは、ポリアミド構成要素がモル比およそ20:80のPA8TとPA9Tから構成されることが明らかになった。
【0090】
325℃フラット温度に設定したWerner & Pfleiderer KSK 4042D押し出し機上で、化合物E−1〜E−5、CE−A〜C、およびCE−Fを調製した。側方供給ポートを通じて溶融物中に別途投入されたガラス繊維を除いて、全ての構成要素は押し出し機の供給ポートに投入された。ポリマー溶融物を脱気して押し出し機の終端でストランドにし、冷却して顆粒に細断した。
【0091】
[射出成形:]
次の条件を適用して、射出成形中での使用に先だって上述の材料を予備乾燥させた。コポリアミドを0.02Mpaの真空下で80℃に加熱して、窒素気流を通過させながらその温度と圧力を24時間保った。予備乾燥材料をArburg 5射出成型機上で、22mmスクリュー径およびCampus UL 0.8mm二体(2本体)射出成形金型により射出成形した。シリンダー壁の温度は345℃に設定され、金型の温度は140℃に設定された。このようにして得られたCampus ULバーをさらなる試験のために使用した。
【0092】
【表1】



【0093】
[試験方法]
[相対粘度(RV)]
1質量%ギ酸溶液中で測定した。
【0094】
[スパイラルフロー]
有効射出圧力80MPaにおける半芳香族ポリアミドXの溶融温度よりも10℃高い温度で、寸法280×15×1mmのスパイラルキャビティ上で測定した。
【0095】
[DSCによる温度特性決定]
ASTM D3417−97 E793−85/794−85に従って、示差走査熱量測定(DSC)(2回目の試行、10℃/分)を用いて融点(T)およびガラス転移温度(T)を測定した。
【0096】
[E−弾性率]
ISO 527に従って23℃および5mm/分における引張り試験で測定した。
【0097】
[衝撃試験(ノッチ付シャルピー)]
ISO 179/1Aに従って23℃で測定した。
【0098】
[水/湿度吸収試験]
予備乾燥サンプル(0.8mm ULバー)を規定温度および湿度レベルの蒸留水加湿キャビネットまたは容器内で順化させ、飽和レベルに達するまで重量増加を経時的にモニターした。飽和レベルにおける重量増加を予備乾燥サンプルの開始重量の百分率として計算した。
【0099】
[リフローハンダ付け条件下の膨れ性能]
リフローハンダ付け条件下の膨れ性能のためには、上述の水吸収試験と同様にして、多数の予備乾燥サンプルを所定温度および湿度レベルの加湿キャビネット内で順化した。異なる時間間隔で個々のサンプル(10個ずつのロット)をキャビネットから取り出して、直ちに周囲条件で室温に冷却し、リフローオーブンに入れてリフローハンダ付け工程で適用される温度条件を与えた。温度プロフィールは、次のとおりであった。サンプルは最初に平均1.5℃/秒の加熱傾斜で予熱されて80秒後に140℃の温度に達し、その後はサンプルはより徐々に加熱されて開始から210秒後に160℃の温度に達した。次にサンプルは最初の加熱傾斜約6℃/秒で260℃に加熱されて220秒後に220℃の温度に達し、2℃/秒のより漸進的加熱速度で開始から290秒後に260℃の温度に達した。その後、サンプルを140℃に20秒間冷却した。次に10個のサンプルをオーブンから取り出して室温に放冷し、膨れの存在について検査した。加湿キャビネット内での各条件期間について、膨れの発生を示したサンプルの百分率を評価した。膨れがあったサンプルの百分率を記録した。
【0100】
[線熱膨張率]
ISO 11359−1/−2に従って測定した。
【0101】
[サンプル(DAM)の比誘電率]
周波数3Ghzおよび23℃で、IEC 60250に従って測定した。
【0102】
[サンプル(DAM)の絶縁耐力]
IEC 60243−1に従って測定した。
【0103】
[比較トラッキング指数]
IEC 60112に従って測定した。
【0104】
[加熱撓み温度]
1.8MPaの負荷をかけてISO 75−1/−2に従って測定した。
【0105】
全ての化合物は、0.8mm試験バーのためのUL−94−V0に適合した。
【0106】
[結果]
実験結果を表2に示す。
【0107】
表2に示されるように、本発明の組成物は、必要とされる従来の組成物の加工、電気的、および難燃性特性を少なくとも保持しながら、改善された膨れ抵抗性、寸法安定性、および高温時機械的特性を有するポリアミド組成物を提供することで、従来のポリアミド組成物を用いたハンダ付け照明構成要素に付随する問題を克服する。
【0108】
本発明の組成物は、照明構成要素用途に適したポリアミド組成物に、改善された膨れ性能を提供することが分かった。本発明の範囲内の組成物は、JEDEC 2/2a膨れ試験(IPC/JEDEC J−STD−020C 2004年7月)の要件に適合することが分かった。対照的に比較例は、いずれもこの業界基準に適合できなかった。
【0109】
JEDECレベル2は、85℃および85%相対湿度で168時間のサンプル馴化後、リフローハンダ付け条件後に膨れが観察されなければ達成される。
【0110】
JEDECレベル2は、30℃および60%相対湿度で696時間のサンプル馴化後、リフローハンダ付け条件後に膨れが観察されなければ達成される。
【0111】
比較例の内、ポリアミド9Tベースの組成物を含んだCE−Eは最良の膨れ性能を記録したが、本発明の範囲内の組成物よりもなおかなり低かった。この所見は、CE−Eのより低い水分吸収に基づいて予期される。実際、比較例中の膨れの結果から、膨れ性能と水分取り込みレベルの間の相関が明らかになった。
【0112】
より少ない水分を吸収するより疎水性の高いポリアミドを製造することを通じて、改善された膨れ性能が達成されるという教示はまた、テレフタル酸と10〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンとを含んでなるジカルボン酸モノマーから誘導される反復単位を含んでなるポリアミド組成物(例えばPA10T)中の改善された膨れ性能を開示する、上述の米国特許公開第6,140,459号明細書および国際公開第2006/135841号パンフレットにも存在する。したがって本発明の範囲内の実施例が、それらの比較的高い水取り込みにもかかわらず、従来のポリアミドと比較して優れた膨れ性能を有することは驚くべきことである。
【0113】
比較の目的で述べると、引用した米国特許公開第6,140,459号明細書では、膨れは40℃、95%RHで96時間の馴化後に、250℃までのピーク温度を適用して試験された。これらの試験ではPA6T/66は240℃で既に不合格であり、PA6T/D6は210℃にすら合格しなかった。
【0114】
比較例とは対照的に、本発明の組成物は、ポリマー流と垂直および平行方向間の線熱膨張率(CLTE)のより低い変動によって例証されるように、等方性挙動を示す。この低い差違は反りを発生しにくい構成要素をもたらす。構成要素壁厚が削減される傾向にあるため、この特質はますます重要になっている。同様の改善はまた、金型収縮性能に関しても観察された。
【0115】
同様に荷重たわみ温度(Tdef)によって測定される高温時剛性は、ハンダ付け工程中に遭遇する高温環境に薄壁構成要素が機械的に耐えられるようにするため、ますます重要な要因になっている。本発明の組成物は改善された高温時剛性を示し、PA66/6TおよびPA9Tベースの組成物のTとTdefの間の約20℃の差と比較して、構成要素部品はそれらの融点の11℃以内の負荷に耐える。
【0116】
【表2】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
100pbwの半芳香族ポリアミド(X)および1〜250pbwの無機材料を含んでなり、前記半芳香族ポリアミドXが脂肪族ジアミンとジカルボン酸とから誘導される繰り返し単位を含んでなり、
(a)前記ジカルボン酸(A)が5〜65モル%の脂肪族ジカルボン酸および任意にテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸(A1)と、35〜95モル%のテレフタル酸(A2)との混合物からなり、
(b)前記脂肪族ジアミン(B)が2〜5個のC原子を有する10〜70モル%の短鎖脂肪族ジアミン(B1)と、少なくとも6個のC原子を有する30〜90モル%の長鎖脂肪族ジアミン(B2)との混合物からなり、
(c)前記テレフタル酸(A2)と前記長鎖脂肪族ジアミン(B2)とを合わせたモル量が、前記ジカルボン酸およびジアミンの総モル量に対して少なくとも60モル%である、
ポリマー組成物。
【請求項2】
前記無機材料が(a)光反射材料(化合物C)および/または(b)熱伝導材料(化合物D)を含んでなる、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記無機材料が、酸化チタン(TiO2)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪灰石、チタン酸カリウム、無機粘土からなる群から選択される化合物C、および/または酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、フッ化カルシウム、および黒鉛からなる群から選択される化合物Dを含んでなる、請求項に1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記ポリアミド組成物が少なくとも50%の光反射率、および/または少なくとも1W/mKの熱伝導性を有する、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記ポリマー組成物が、
(I)20〜95重量%の半芳香族ポリアミドX、および
(II)0.6〜60重量%の光反射材料(化合物C)および/または熱伝導材料(化合物D)、および任意に
(III)繊維強化材および/または無機賦形剤(化合物E)、難燃剤(化合物F)、その他の化合物以外のポリマー(化合物G)、または1つ以上のその他の添加剤(化合物H)、またはそれらの任意の組み合わせ
を含んでなり、重量%が組成物総重量に対するものである、請求項の1〜5いずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の半芳香族ポリアミドXを含んでなる、照明装置のための構成要素。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマー組成物を含んでなる、請求項6に記載の構成要素。
【請求項8】
構成要素が、PLCC LED反射器ハウジング、周波数帯変換器、LED光源の一次または二次光学系、ランプベース、LED基盤、ランプ取り付け要素、反射器プレート、自動車照明装置の反射器、およびヒートシンクからなる群から選択される、請求項6または7に記載の構成要素。
【請求項9】
LEDアセンブリーを製造するための組み立て方法であって、チップまたはダイを共融材料層によって導電性リード線に接合するために共晶接合するステップを含んでなり、少なくとも280℃のピーク温度が加えられる、チップ/ダイと、導電性リード線を含んでなる導電性リード線システムと、請求項6〜8のいずれか一項に記載のプラスチック構成要素とを含んでなる、組み立て方法。
【請求項10】
電子システムを製造するための表面実装方法であって、導電性リードをハンダ付け組成物層によってリードフレームに接合するためにリフローハンダ付けするステップを含んでなり、少なくとも260℃のピーク温度が加えられる、導電性リード線と請求項6〜8のいずれか一項に記載のプラスチック構成要素とを含んでなるLEDアセンブリーをリードフレームを有する基盤上に取り付けるステップを含んでなる、表面実装方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法の1つ、またはその組み合わせによって得られる電子システム。
【請求項12】
請求項6〜8のいずれか一項に記載のプラスチック構成要素を含んでなる照明装置。
【請求項13】
請求項10または11に記載の方法またはその組み合わせによって得られるLED照明装置である、請求項12に記載の照明装置。
【請求項14】
接点、スイッチ、リレー、プリント配線板を含んでなる、電子構成要素のための成形品を生産するため、またはヒートシンク、ギアおよびカムなどのスライディング構成要素、空気取入れ口マニホルドなどの自動車構成要素を生産するための請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー組成物の使用。

【公表番号】特表2010−534257(P2010−534257A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517304(P2010−517304)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005866
【国際公開番号】WO2009/012933
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】