説明

熱プレス成形装置及び同装置のための金型システム

【課題】熱可塑性板の表面に凹凸パターンを転写する熱プレス成形において、熱可塑性板とスタンパとの接触状態を均一化する。
【解決手段】プレス装置のスライド104とボルスタ102に、シリンダ機構112,114が搭載される。各シリンダ機構は、熱媒流体で満たされる圧力室126を内側にもつシリンダ120を有する。シリンダ120は可撓な天板124を有し、可撓な天板124は、圧力室126に面した内面と、スタンパ128を支持する外面とを有する。圧力室126内の熱媒流体を加熱及び冷却するための複数の熱交換パイプ134が、圧力室126内に配置される。予圧装置160が、天板124を外方へ膨らますためのバイアス圧を、圧力室126に印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンパを押し付けて熱可塑性の板の表面に微細な形状のパターンを転写するための熱プレス成形装置、及び同装置用の金型システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の熱プレス成形装置は、例えば、液晶ディスプレイのバックライト用の導光板や拡散板、並びにレンズや光ディスク基板のように、微細な形状パターンを表面に有する光学部品や高意匠性のパネルを成形するために利用される。この種の熱プレス成形のための金型の構造が、例えば特許文献1に開示されている。この開示によれば、加熱冷却手段を有する加熱冷却板の上に板状のスタンパが取付けられ、加熱冷却板によってスタンパが加熱冷却され、そして、加熱冷却板を介してスタンパが熱可塑性樹脂板の表面に押付けられる。
【0003】
【特許文献1】特開2004-74769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の熱プレス成形により転写される形状パターンの凹凸の高さは、典型的に数μmから数十μmである。一方、被加工材である熱可塑性樹脂板の厚さは±0.1mm程度のバラツキを持っている。さらに、スタンパを取付ける金型の寸法やスタンパ自身の厚みや平面度にも0.01〜0.05mm程度のバラツキがある。
【0005】
また、特許文献1に開示された熱プレス成形では、スタンパを加熱冷却板で加熱した状態で被加工材の表面に押付け、そして、加熱冷却板でスタンパを冷却した後に、被加工材へのスタンパの押付けを終了させる。そのため、加熱冷却板には、加熱冷却時に熱ひずみによる反りが発生する。
【0006】
これらの事象が原因となって、成形時においてスタンパと被加工材の接触面上の圧力分布が不均一になり、スタンパの一部分が被加工材に所要圧力で押付けられないという事態が発生する。結果として、被加工材の表面に部分的に、パターンが完全に転写されない欠陥が生じる。
【0007】
この問題を解決するために幾つかの対策が考えられる。例えば、転写に必要な加圧力以上の大きな加圧力を負荷する。或いは、スタンパの加熱温度を上げて、転写に必要な面圧を下げる。或いは、加熱したスタンパの被加工材への押付け時間を長くして、被加工材の軟化層を大きくして転写に必要な面圧を下げる。
【0008】
しかし、これらの対策は、設備コスト、ランニングコスト、生産時間の面で望ましくないばかりでなく、必要以上の温度や面圧を被加工材に負荷するため、成形時に材料側面の膨らみが大きくなり、成形終了後に膨らんだ材料側面の後加工が必要になる。
【0009】
従って、本発明の目的は、熱可塑性板の表面に凹凸パターンを転写する熱プレス成形において、熱可塑性板とスタンパとの接触状態を均一化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従う、スタンパを押し付けて熱可塑性の板の表面に形状パターンを転写するための熱プレス成形装置は、ボルスタと、スライドと、前記スライドを駆動する駆動装置とを有するプレス装置と、前記スライド又はボルスタに搭載されるシリンダ機構とを備える。前記シリンダ機構は、熱媒流体で満たされる圧力室を内側にもつシリンダを有する。シリンダは可撓な天板を有する。可撓な天板は、圧力室に面した内面と、スタンパを支持する外面とを有する。さらに、この熱プレス成形装置は、圧力室内の熱媒流体を加熱及び冷却する加熱冷却装置と、圧力室にバイアス圧を印加する予圧装置とを備える。
【0011】
この熱プレス成形装置は、圧力室内の熱媒流体を加熱することでスタンパを加熱し、スタンパの温度が熱可塑性板の材料軟化温度以上に加熱されると、プレス装置のスライドを降下させ、スタンパを熱可塑性板に押付ける。このとき、スタンパは、圧力室の内圧により、可撓な天板を介して、熱可塑性板の表面に押付けられるので、スタンパの熱可塑性板の表面への圧力の分布が、より均一になる。その後、この押し付け状態で圧力室内の熱媒流体が冷却される。スタンパの温度が熱可塑性板のの材料軟化温度以下まで冷却されると、スライドが上昇する。
【0012】
好適な実施形態では、プレス装置からシリンダ機構に加わるプレス力が上昇すると、圧力室の内圧が上昇するように、シリンダ機構が構成されている。例えば、シリンダ機構が、圧力室の容積を可変するように前記シリンダ内にスライド可能に挿入されたピストンを更に有し、ピストンは、スライド又はボルスタに連結され、スライド又はボルスタからピストンに加わるプレス力が上昇すると、圧力室の容積を減らすようにシリンダ内でスライドするようになっている。
【0013】
好適な実施形態では、前記加熱冷却装置が、圧力室内に設けられた熱交換パイプと、熱交換パイプ内に加熱流体及び冷却流体を供給する加熱冷却流体供給装置とを有する。或いは、変形例として、前記加熱冷却装置が、圧力室内に設けられた電気ヒータと、圧力室内に設けられた熱交換パイプと、電気ヒータを駆動するヒータ電源と、熱交換パイプ内に冷却流体を供給する冷却流体供給装置とを有していてもよい。
【0014】
好適な実施形態では、前記予圧装置が、熱可塑性板へのスタンパの押し付けを終了させるためにスライドが上昇するときに、圧力室の内圧により天板が外方へ膨らみ出て凸形状となるのに必要な大きさの圧力を、前記バイアス圧として圧力室に印加するようになっている。
【0015】
好適な実施形態では、圧力室の内圧を検出する圧力センサが更に設けられる。そして、上記駆動装置が、圧力センサからの検出圧力に基づき、圧力室の内圧が予め設定された設定圧になるように、スライドの移動を制御するようになっている。
【0016】
好適な実施形態では、圧力室内の熱媒流体の温度を検出する温度センサが更に設けられる。そして、上記加熱冷却装置が、温度センサからの検出温度に基づき、圧力室内の熱媒流体の温度を、予め設定された設定温度になるように制御するようになっている。
【0017】
本発明の別の側面に従う、スタンパを押し付けて熱可塑性の板の表面に凹凸パターンを転写するための熱プレス成形装置のための金型システムは、上述したシリンダ機構と、加熱冷却装置と、予圧装置とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、成形時の熱可塑性板とスタンパとの接触状態を均一化することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態にかかる熱プレス成形装置について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態にかかる熱プレス成形装置の全体構成を示す。
【0021】
熱プレス成形装置100は、汎用的なプレス装置と、熱プレス成形のための金型システムとの組み合わせとして構成される。汎用的なプレス装置は、床に固定されたボルスタ102と、このボルスタ102の上方に配置されたスライド104と、スライド104を駆動する駆動装置106を備える。スライド104は、駆動装置106によって駆動されることにより、ボルスタ102に対して接近及び離反するように、図示しない支柱に沿って上下方向に移動する。駆動装置106は、例えば、スライド104を駆動するサーボモータ108と、サーボモータ108を駆動し制御するモータコントローラ110を有する。駆動装置106として、図示のようなサーボモータを用いたものの代わりに、油圧アクチュエータを用いたものを用いてもよい。
【0022】
金型システムは、ボルスタ102とスライド104にそれぞれ互いに対向配置されるように搭載された上下2つのシリンダ機構112,114を備える。図2は、これら2つのシリンダ機構112,114の部分を拡大して示している。2つのシリンダ機構112,114は実質的に同じ構成をもつので、上のシリンダ機構112を例にとり、その構成について図1と図2を参照して説明する。
【0023】
上側のシリンダ機構112は、ダイセット116、ピストン118、シリンダ120及びホルダ122を有する。ダイセット116は、ほぼ矩形板形であり、スライド104上に固定される。ピストン118は、ほぼ矩形柱形であり、ダイセット116の中央部上に固定される。シリンダ120は、ほぼ矩形筒形であり、その底部が開口している。シリンダ120の底部の開口からシリンダ120の内側へ、ピストン118が挿入される。シリンダ120の内側面とピストン118の外側面とが密着した状態で、シリンダ120は、ピストン118に対して上下方向にスライド可能である(換言すれば、ピストン118は、シリンダ120に対して上下方向にスライド可能である)。ホルダ122は、ほぼ矩形輪形であり、ダイセット116上に固定され、シリンダ120の外周に嵌め込まれる。シリンダ120は、ホルダ122に対しても、上下方向にスライド可能である。ホルダ122は、シリンダ120を外側から拘束して、シリンダ120がスライドするときに傾かないようにする。
【0024】
ホルダ122の頭面上に、その頭面上に真空パッキンを有した円環状の密閉枠144が、スプリング146を介して、取り付けられている。密閉枠144は、ホルダ122に対してスライド可能であり、スプリング146により、下方へ付勢されている。スライド104が降下して密閉枠144が下側のシリンダ機構114が当接すると、密閉枠144の内側に真空チャンバが形成されるようになっている。更にスライド104が降下すると、密閉枠144は、スプリング146からの押圧力で下側のシリンダ機構114に当接したままで、ホルダ122に対して上方へスライドする。図示しない真空ポンプと大気開放バルブによって、この真空チャンバの真空吸引と大気開放が自在に行える。
【0025】
シリンダ120は、その頭部に天板124を有する。天板124は、可撓な薄い金属板である。シリンダ120内には、天板124と、ピストン118と、シリンダ120の側壁とにより、圧力室126が画成される。圧力室126内には、大気圧下でも高温に加熱することが可能な熱伝導率の高い熱媒流体(例えば、油やGALDEN(登録商標)等の液体)が充填される。圧力室126は、実質的に密閉され、圧力室126の内圧が高まっても圧力室126から外へ熱媒流体が漏れ出ないようになっている。
【0026】
密閉された圧力室126の容積は、シリンダ120に対してピストン118がスライドすることによって変化することができる。スライド104からピストン118に加わるプレス力が増大すると、ピストン118がシリンダ120の頭部へ向かってスライドして圧力室126の容積を減らそうとするので、圧力室126の内圧が上昇する。可撓な天板124を除き、圧力室126に面したすべての壁は、剛体であって、圧力室126の内圧に応じて変形することはない。他方、可撓な天板124は、圧力室126の内圧が上昇すると、その内圧を内面に受け、外方へ膨らみ出るように変形する。
【0027】
図2に示すように、シリンダ120の頭部の外面(頭面)上には、可撓な薄い板状のスタンパ128が固定される。スタンパ128の固定方法としては、例えば、シリンダ120の頭面上に加工された真空吸着溝130による真空吸引(そのための真空ポンプは図示省略)と、シリンダ120の頭面上に設けられた固定治具130との組み合わせを用いることができる。シリンダ120の頭部に固定されたスタンパ128は、その背面が可撓な天板124の外面に密着する。圧力室126の内圧により天板124が変形すると、スタンパ128も同様に変形することになる。熱プレス成形時には、熱可塑性樹脂の板である被加工材200の上限両面に上下のスタンパ128,128が押し付けられる。このとき、上記のように圧力室126の内圧の上昇に伴ってスタンパ128,128が変形することにより、被加工材200の表面へのスタンパ128,128の成形圧力の分布が従来より均一になる。
【0028】
圧力室126内には、そこに充填された熱媒流体を加熱及び冷却するための装置が設けられる。この実施形態では、一例として、複数本の熱交換パイプ134が、圧力室126内に配置される。これら複数本の熱交換パイプ134の入口は、シリンダ120内に形成されたマニホールド138を介して、ダイセット116内に敷設された供給パイプ136に接続される。また、これら複数本の熱交換パイプ134の出口は、シリンダ120内に形成されたマニホールド142をを介して、ダイセット116内に敷設された排出パイプ140に接続される。さらに、圧力室126内の熱媒流体の温度を検出するための温度センサ148が、圧力室126内または圧力室126に面した壁面(この実施形態では、ピストン118の頭面上)に設けられている。
【0029】
図1に示すように、供給パイプ136と排出パイプ140は、加熱冷却流体供給装置150に接続される。加熱冷却流体供給装置150は、流体循環装置152と制御装置154を有する。流体循環装置152は、温度調節された高温の加熱流体(例えば蒸気、湯、油等)と低温の冷却流体(例えば冷却水)を供給パイプ136に供給し、そして、熱交換パイプ134を通って排出パイプ140へ出た上記流体を吸収する。加熱流体と冷却流体を交互に熱交換パイプ134に流すことで、圧力室126内の熱媒流体を加熱及び冷却することができる。制御装置154、温度センサ148からの出力信号を受けて、その出力信号が示す圧力室126内の熱媒流体の温度が、予め設定された設定温度(加熱用の設定温度と冷却用の設定温度)になるように、流体循環装置152により供給される加熱流体と冷却流体の温度及び流量を制御する。
【0030】
なお、圧力室126内の熱媒流体を加熱及び冷却するための変形構成例として、圧力室126内に電気ヒータ(図示省略)と熱交換パイプ134を設け、加熱時には外部のヒータ電源(図示省略)により電気ヒータに通電すると共に熱交換パイプ134への冷却流体の供給を停止して熱交換パイプ126へエアーを供給し、また、冷却時には電気ヒータへの通電を停止すると共に熱交換パイプ126へ冷却流体を供給するようにしてもよい。
【0031】
また、図1に示すように、圧力室126には、予圧パイプ162を介して、予圧装置160が接続される。予圧装置162は、所定のバイアス圧を圧力室126に常に印加し続けると共に、圧力室162の内圧が所定の許容上限圧を超えた場合には、圧力室162の超過圧力を逃がして許容上限圧にする。ここで、上記バイアス圧は、パターン転写が行われた後に被加工材200へのスタンパ128の押し付けを終了させるためにスライド104が上昇するときに、圧力室126の内圧により天板124が外方へ膨らみ出て凸形状となるのに必要な大きさの圧力(例えば、1MPa程度)である。このバイアス圧は、パターン転写に必要な圧力(例えば、4〜5MPa程度)よりは低い。また、上記許容上限圧は、パターン転写に必要な圧力(例えば、4〜5MPa程度)よりはずっと高い圧力である。
【0032】
図1に示すように、圧力室126の内圧を検出するための圧力センサ164が、圧力室126又は予圧パイプ162(この実施例では予圧パイプ162)に設けられている。圧力センサ164の出力信号は、駆動装置106のモータコントローラ110に入力される。モータコントローラ110は、圧力センサ164の出力信号が示す圧力室126の内圧が、予め設定された設定内圧(加工工程に応じて変わる値である)になるように、サーボモータ108を駆動源とするスライド104の移動を制御する。その結果、サーボモータ108からスライド104に印加されるプレス力の大きさが制御される。
【0033】
図3A〜Dは、上述した構成をもつ熱プレス成型装置100が行う加工動作の流れを示す。
【0034】
図3Aに示すように、スライド104が上限位置にある状態で、下側のスタンパ128上に、加工前の熱可塑性樹脂板である被加工材200がセットされる。その後、図3Bに示すように、スライド104が下降して、密閉枠144が下側のホルダ122に接触する。密閉枠144の内側に真空チャンバ170が形成され、スライド104が停止する。図示しない真空ポンプによって、真空チャンバ170の真空引き開始されると共に、上下の熱交換パイプ134,134へ加熱媒体の供給が開始される。
【0035】
その後、図3Cに示すように、上下の圧力室126,126内の熱媒流体の温度が所定の設定温度にまで上昇し、かつ真空チャンバ170内の真空度が所定の真空圧に到達すると、スライド104が再び降下を開始し、上下のスタンパ128,128が被加工材200を挟んで被加工材200を加圧する。その結果、スライド104とボルスタ102から上下のシリンダ機構112,114に加わるプレス力が増大する。さらにスライド104が降下を続けると、上下のシリンダ120,120に対して上下のピストン118,118がスライドしてそれぞれの圧力室126,126の容積を小さくするので、それぞれの圧力室126,126の内圧が、バイアス圧より高く上昇する。それにより、上下の可撓な天板124,124が圧力室126,126の高い内圧を受けて外方へ膨らみ出ようとするので、上下のスタンパ128,128の外面が、その全領域にわたって、被加工材200の両面に高い均一な圧力で押付けられる。圧力室126,126の内圧は、それぞれの圧力センサ148,148で検出され、検出されたそれぞれの内圧が設定圧力(熱プレス成形に十分な高い圧力)となるように、スライド104の移動が調整される。所定の設定時間の間、前記設定圧力で、上下のスタンパ128,128が被加工材200の両面に押付けられる。
【0036】
その後、図3Dに示すように、上下の熱交換パイプ134への冷却流体の供給が開始される。圧力室126,126内の熱媒流体の温度が所定の低温に降下するまで、設定圧力でのスタンパ128,128の被加工材200への押付けが継続される。その後、スライド104が上昇して図3Aの状態に戻り、成形を終了する。
【0037】
このようにして可撓な天板128,128を介して圧力室126,126の内圧でスタンパ128,128を被加工材200の表面に押付けることにより、被加工材、スタンパ、金型の寸法精度の影響を受けずに、被加工材200の表面に均一な圧力でスタンパを押付けることが可能である。その結果、必要最小限のプレス力と加熱温度で熱プレス成形が可能になり、プレス成形装置の設備コスト及びランニングコストの低減、ならびに生産時間の短縮が可能になる。
【0038】
また、上記実施形態では、圧力室内に熱媒流体を加熱冷却するための熱交換部材(熱交換パイプや電気ヒータなど)が配置されているので、熱交換部材の配置や、加熱と冷却の切り替えが容易であり、また、スタンパが取付けられる天板の外面の温度のバラツキも小さい。
【0039】
さらに、上記実施形態では、圧力室は常にバイアス圧が印加された状態になっているため、成形後に被加工材からスタンパが離れたとき、圧力室の天板及びスタンパは、その中央部が外方へ僅かに膨らみ出た凸形状になる。このため、被加工材がスタンパから離型しやすい。
【0040】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲を上記実施形態にのみ限定する趣旨ではない。従って、本発明は、上記実施形態以外の態様でも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態にかかる熱プレス成形装置100の全体構成を示す図。
【図2】2つのシリンダ機構112,114の部分を拡大して示す図。
【図3】熱プレス成型装置100が行う加工動作の流れを示す図。
【符号の説明】
【0042】
100 熱プレス成形装置、
102 ボルスタ
104 スライド
106 駆動装置
110 モータコントローラ
112,114 シリンダ機構
118 ピストン
120 シリンダ
122 ホルダ
124 天板
126 圧力室
128 スタンパ
134 熱交換パイプ
148 温度センサ
150 加熱冷却流体供給装置
154 制御装置
160 予圧装置
164 圧力センサ
200 被加工材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンパ(128)を押し付けて熱可塑性の板(200)の表面に形状パターンを転写するための熱プレス成形装置(100)において、
ボルスタ(102)と、スライド(104)と、前記スライドを駆動する駆動装置(106)とを有するプレス装置と、
前記スライド又はボルスタに搭載されるシリンダ機構(112,114)であって、熱媒流体で満たされる圧力室(126)を内側にもつシリンダ(120)を有し、前記シリンダは可撓な天板(124)を有し、前記可撓な天板は、前記圧力室に面した内面と、前記スタンパを支持する外面とを有する、前記シリンダ機構(112,114)と、
前記圧力室内の熱媒流体を加熱及び冷却する加熱冷却装置(134,150)と、
前記圧力室にバイアス圧を印加する予圧装置(160)と
を備えた熱プレス成形装置
【請求項2】
請求項1記載の熱プレス成形装置において、
前記プレス装置から前記シリンダ機構に加わるプレス力が上昇すると、前記圧力室の内圧が上昇するように、前記シリンダ機構が構成されている、
熱プレス成形装置。
【請求項3】
請求項3記載の熱プレス成形装置において、
前記シリンダ機構が、前記圧力室の容積を可変するように前記シリンダ内にスライド可能に挿入されたピストン(118)を更に有し、前記ピストンは、前記スライド又はボルスタに連結され、前記スライド又はボルスタから前記ピストンに加わるプレス力が上昇すると、前記圧力室の容積を減らすように前記シリンダ内でスライドする、
熱プレス成形装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載の熱プレス成形装置において、
前記加熱冷却装置が、前記圧力室内に設けられた熱交換パイプ(134)と、前記熱交換パイプ内に加熱流体及び冷却流体を供給する加熱冷却流体供給装置(150)とを有する、
熱プレス成形装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項記載の熱プレス成形装置において、
前記加熱冷却装置が、前記圧力室内に設けられた電気ヒータと、前記圧力室内に設けられた熱交換パイプと、前記電気ヒータを駆動するヒータ電源と、前記熱交換パイプ内に冷却流体を供給する冷却流体供給装置とを有する、
熱プレス成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項記載の熱プレス成形装置において、
前記予圧装置が、前記熱可塑性板への前記スタンパの押し付けを終了させるために前記スライドが上昇するときに、前記圧力室の内圧により前記天板が外方へ膨らみ出て凸形状となるのに必要な大きさの圧力を、前記バイアス圧として前記圧力室に印加する、
熱プレス成形装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項記載の熱プレス成形装置において、
前記圧力室の内圧を検出する圧力センサ(164)を更に備え、
前記駆動装置が、前記圧力センサからの検出圧力に基づき、前記圧力室の内圧が予め設定された設定圧になるように、前記スライドの移動を制御する、
プレス成形装置
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項記載の熱プレス成形装置において、
前記圧力室内の前記熱媒流体の温度を検出する温度センサ(148)を更に備え、
前記加熱冷却装置が、前記温度センサからの検出温度に基づき、前記圧力室内の前記熱媒流体の温度を、予め設定された設定温度になるように制御する制御装置を有する、
プレス成形装置
【請求項9】
スタンパを押し付けて熱可塑性の板の表面に凹凸パターンを転写するための熱プレス成形装置のための金型システムにおいて、
前記熱プレス装置のスライド又はボルスタに搭載されるシリンダ機構であって、熱媒流体で満たされる圧力室を内側にもつシリンダを有し、前記シリンダは可撓な天板を有し、前記可撓な天板は、前記圧力室に面した内面と、前記スタンパを支持する外面とを有する、前記シリンダ機構と、
前記圧力室内の熱媒流体を加熱及び冷却する加熱冷却装置と、
前記圧力室にバイアス圧を与える予圧装置と
を備えた金型システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−254350(P2008−254350A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99888(P2007−99888)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(394019082)コマツ産機株式会社 (103)
【Fターム(参考)】