説明

熱交換器

【課題】コスト上昇を抑制しつつ接続パイプの突出高さを低くして車両への搭載性を向上させた熱交換器を提供すること。
【解決手段】各プレート間に冷却水流路32とオイル流路30とが交互に構成された積層部12と、積層部12の底面に固定され外側へ張り出す張出部40H、42Hが形成され冷却水流路32と連通する冷却水流通部54A、54B及びオイル流路30と連通するオイル流通部56A、56Bとを備えた流通部構成部材14と、張出部40Hの上面に形成され冷却水導入パイプ50が接続される冷却水導入口46と、張出部40Hの上面に形成され冷却水導出パイプ52が接続される冷却水導出口48と、流通部構成部材14の下面に形成されオイル導入口及びオイル導出口となる一対のオイル連通孔42Aと、を熱交換器10が有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の自動変速機(以下、単に自動変速機と記載)の作動油や内燃機関の潤滑油等の加熱・冷却に用いられる熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動変速機の作動油や内燃機関の潤滑油を加熱・冷却するための熱交換器として、複数のプレートを積層して該プレート間にオイル流路と冷却水流路とを交互に構成したプレート積層部でオイルと冷却水の熱交換を行なう水冷式の積層型熱交換器(例えば、特許文献1)が知られている。
【0003】
特許文献1の熱交換器では、プレート積層部(コア部)の頂部に上方へ突出する一対のオイル通路管、冷却水導入管及び冷却水排出管を接続している。これらの冷却水導入管及び冷却水排出管は冷却水流路と連通し、一対のオイル通路管はオイル流路と連通している。このため、一方のオイル通路管から流入した高温のオイルは、プレート積層部で冷却水と熱交換が行なわれて加熱・冷却され、他方のオイル通路から流出される。
【0004】
一方、水冷式の積層型熱交換器としては、特許文献2の熱交換器も知られている。特許文献2の熱交換器では、複数のプレートを積層して該プレート間にオイル流路を構成したプレート積層部(熱交換器コア部)をケーシングで囲い、プレート積層部の周囲の空間を冷却水流路としている。また、プレート積層部の底部にはオイル流路と連通する一対のオイル通路管が設けられ、ケーシングの外周には冷却水流路と連通する冷却水導入管及び冷却水排出管が接続されている。このため、一方のオイル通路管から流入した高温のオイルは、プレート積層部で冷却水と熱交換が行なわれて冷却され、他方のオイル通路管から流出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−332818号公報
【特許文献2】特開2009−52849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の熱交換器では、オイル通路管、冷却水導入管及び冷却水排出管がプレート積層部の頂部から上方に突出していることから、車両に搭載するためには、高さ方向に大きなスペースが必要となる。
【0007】
一方、特許文献2の熱交換器の場合、冷却水導入管及び冷却水排出管が厚肉のケーシングの側面に接続されることから、冷却水導入管及び冷却水排出管の突出高さを低く抑えられる。しかし、厚肉のケーシングを用いるため、製品コストが上昇している。
【0008】
本発明は、コスト上昇を抑制しつつ、接続パイプの突出高さを低くして車両への搭載性を向上させた熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の熱交換器は、複数のプレートを積層して形成され、各プレート間に第1流体が流れる第1流体流路と第2流体が流れる第2流体流路とが交互に構成された積層部と、前記積層部の底面に固定され、前記積層部の外周よりも外側へ張り出す張出部が形成され、前記第1流体流路と連通する第1流体流通部及び前記第2流体流路と連通する第2流体流通部を備えた流通部構成部材と、前記張出部の上面に形成され、前記第1流体流通部へ前記第1流体を導入する導入パイプが接続される第1流体導入口と、前記張出部の上面に形成され、前記第1流体流通部から前記第1流体を導出する導出パイプが接続される第1流体導出口と、前記流通部構成部材の下面に形成され、前記第2流体流通部へ前記第2流体を導入する第2流体導入口と、前記流通部構成部材の下面に形成され、前記第2流体流通部から前記第2流体を導出する第2流体導出口と、を有している。
【0010】
請求項1の熱交換器では、導入パイプから導入された第1流体は、第1流体流通部を通って第1流体流路を流れ、第1流体流通部から導出パイプを通って導出される。一方、第2流体導入口から導入された第2流体は、第2流体流通部を通って第2流体流路を流れ、第2流体流通部から第2流体導出口を通って導出される。
【0011】
ここで、第1流体流路と第2流体流路とがプレートを隔てて交互に構成されていることから、第1流体流路を流れる第1流体と第2流体流路を流れる第2流体との間で熱交換が効率よく行なわれる。
【0012】
一方、上記熱交換器では、張出部の上面に形成された第1流体導入口及び第1流体導出口に導入パイプ及び導出パイプがそれぞれ接続されていることから、例えば、積層部の上面に第1流体供給口及び第1流体排出口を形成して導入パイプ及び導出パイプをそれぞれ接続したものと比べて、導入パイプ及び導出パイプの突出高さを低くすることができる。これにより、車両への搭載性が向上する。
さらに、張出部の上面に形成された第1流体導入口及び第1流体導出口に導入パイプ及び導出パイプがそれぞれ接続されていることから、例えは、従来のように、積層部をケーシングで囲う必要がないため、コスト上昇を抑制することができる。
【0013】
請求項2の熱交換器は、請求項1に記載の熱交換器において、前記第1流体流通部には、前記第1流体導入口と前記第1流体導出口とを連通する第1流体バイパス流路が形成され、前記第2流体流通部には、前記第2流体導入口と前記第2流体導出口とを連通し、前記第1流体バイパス流路に隣接する第2流体バイパス流路が形成されている。
【0014】
請求項2の熱交換器では、第1流体バイパス流路と第2流体バイパス流路とが隣接していることから、第1流体バイパス流路を流れる第1流体と第2流体バイパス流路を流れる第2流体との間でも熱交換が行なわれる。これにより、第1流体と第2流体との熱交換効率が向上する。
【0015】
請求項3の熱交換器は、請求項1に記載の熱交換器において、前記流通部構成部材は、中央部に凸部が形成され、該凸部の両側に前記第2流体導入口と前記第2流体導出口が形成された下プレートと、前記下プレートに積層されたとき前記凸部を挟んで前記第1流体流通部を前記第1流体導入口側と前記第1流体導出口側とに仕切る一対の凹部が形成されると共に、該凹部には前記第2流体導入口と前記第2流体流出口と連通する流路口がそれぞれ形成された上プレートと、を備えている。
【0016】
請求項3の熱交換器では、下プレートに凸部を形成し、上プレートに該凸部を挟む一対の凹部を形成するという簡単な構成で、第1流体流通部を第1導入口側と第1導出口側とに仕切ることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の熱交換器は、コスト上昇を抑制しつつ、接続パイプの突出高さを低くして車両への搭載性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の熱交換器の斜視図である。
【図2】第1実施形態の熱交換器の分解斜視図である。
【図3】第1実施形態の熱交換器を前後方向に沿って切断した断面図である。
【図4】第1実施形態の熱交換器を幅方向に沿って切断した断面図である。
【図5】第2実施形態の熱交換器を前後方向に沿って切断した断面図である。
【図6】第2実施形態の熱交換器を幅方向に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の熱交換器の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の熱交換器10は、自動変速機の作動油(以下、単にオイルと記載。)とエンジンの冷却水との熱交換を行なうものである。なお、冷却水は第1流体の一例であり、オイルは第2流体の一例である。
【0020】
図中の矢印UPは熱交換器10の上方向を示し、矢印Wは熱交換器10の幅方向を示し、矢印Fは熱交換器10の前方向を示している。また、本文中では、熱交換器10の上下方向を単に「上下方向」、熱交換器10の幅方向を単に「幅方向」、熱交換器10の前後方向を単に「前後方向」と適宜記載する。
【0021】
図1に示すように、熱交換器10は、オイルと冷却水との熱交換を行う積層部12と、この積層部12の底部に固定される流通部構成部材14と、を有している。
【0022】
図2に示すように、積層部12は、略円板状のオイル流路用プレート20と略円板状の冷却水流路用プレート22を交互に積層し、最上段に略円板状の厚肉の上部プレート24を積層して形成されている。オイル流路用プレート20、冷却水流路用プレート22及び上部プレート24は、外形が同じ形状とされており、積層部12は全体として略円柱状とされている。
【0023】
オイル流路用プレート20は、積層部12の中心線を通り前後方向に沿う直線上の2箇所にオイル連通孔20Aが形成され、積層部12の中心線を通り幅方向に沿う直線上の2箇所に冷却水連通孔20Bが形成されている。また、オイル流路用プレート20は、冷却水連通孔20Bの周囲が上凸のボス部21として一段高く形成されている。
【0024】
冷却水流路用プレート22は、オイル流路用プレート20のオイル連通孔20A及び冷却水連通孔20Bと同じ位置に同じ大きさのオイル連通孔22A及び冷却水連通孔22Bがそれぞれ形成されている。また、冷却水流路用プレート22は、オイル連通孔22Aの周囲が上凸のボス部23として一段高く形成されている。
【0025】
図3に示すように、隣接するオイル流路用プレート20と冷却水流路用プレート22との間では、冷却水流路用プレート22のボス部23上面がオイル流路用プレート20の下面に接合され、図4に示すように、オイル流路用プレート20のボス部21上面が冷却水流路用プレート22の下面に接合されている。このようにして、オイル流路用プレート20の上面と冷却水流路用プレート22の下面との間にオイル流路30が形成され、オイル流路用プレート20の下面と冷却水流路用プレート22の上面との間に冷却水流路32が形成されている。これらのオイル流路30及び冷却水流路32は上下方向に交互に構成されている。
【0026】
また、図3に示すように、上部プレート24の下面には、オイル流路用プレート20のボス部21の上面が接合され、上部プレート24の下面とオイル流路用プレート20のボス部21の上面との間にオイル流路30が形成されている。
【0027】
図3に示すように、各オイル流路30同士は複数のオイル連通孔20A、22Aを介して連通している。これにより、積層部12に流入したオイルは、複数のオイル連通孔20A、22Aを介して各オイル流路30に流通される。なお、図3における矢印ATF(実線)は、オイルの流通方向を示している。
【0028】
一方、図4に示すように、各冷却水流路32同士は複数の冷却水連通孔20B、22Bを介して連通している。これにより、積層部12に流入した冷却水は、複数の冷却水連通孔20B、22Bを介して各冷却水流路32に流通される。なお、図4における矢印LLC(破線)は、冷却水の流れる方向を示している。
【0029】
図2に示すように、本実施形態のオイル流路用プレート20の上面には、略円板状のオフセットフィン34が接合されている。このオフセットフィン34は、オイル流路用プレート20のオイル連通孔20Aと同じ位置に同じ大きさのオイル連通孔34Aが形成されている。また、オイル流路用プレート20のボス部21と同じ位置にボス部21が貫通する貫通孔34Bが形成されている。また、オフセットフィン34は、強度の確保及び流速の制御用に設けられている。なお、図2では、オフセットフィン34の一部のみを示し、残りを図示省略し、図3、4では、オフセットフィン34を図示省略している。
【0030】
本実施形態の冷却水流路用プレート22には、上凸のディンプル22Eが複数形成されている。これらのディンプル22Eは、オフセットフィン34と同様に、強度の確保及び流速の制御に用いられている。
【0031】
図2〜4に示すように、オイル流路用プレート20、冷却水流路用プレート22、及び上部プレート24の各周縁部20F、22F、24Fは、それぞれテーパー状をなしている。これらのオイル流路用プレート20、冷却水流路用プレート22、及び上部プレート24を積層した状態では、各周縁部20F、22F、24Fの外周面が互いに密接している。
【0032】
図1、2に示すように、流通部構成部材14は、積層部12の最下段を構成するオイル流路用プレート20の底面に接合される第1下部プレート40(上プレートの一例)と、第1下部プレート40の周縁部40Fに周縁部42Fが接合されて第1下部プレート40との間に後述する第1冷却水流通部54A、及び第2冷却水流通部54Bを形成する第2下部プレート42(下プレートの一例)と、を備えている。
【0033】
第1下部プレート40及び第2下部プレート42には、積層部12の外周よりも外周側へ張り出す張出部40H、42Hがそれぞれ形成されている。この張出部40H、42Hは、本実施形態においては、積層部12を挟んで幅方向両側にそれぞれ形成されている。
また、第1下部プレート40の一方の張出部40H(図2では左側)の上面には、後述する冷却水導入口46が形成され、他方の張出部40H(図2では右側)の上面には、後述する冷却水導出口48が形成されている。
【0034】
図2〜4に示すように、第1下部プレート40は、オイル流路用プレート20のオイル連通孔20A及び冷却水連通孔20Bと同じ位置にオイル連通孔40A及び冷却水連通孔40Bが形成されている。また、第1下部プレート40は、オイル連通孔40Aの周囲が下凸のボス部41(凹部の一例)として一段低く形成されている。これら一対のボス部41の上面とオイル流路用プレート20の下面との間には、第1オイル流通部56A、及び第2オイル流通部56Bがそれぞれ形成されている。
【0035】
第2下部プレート42は、オイル流路用プレート20のオイル連通孔20Aと同じ位置にオイル連通孔42Aが形成されている。また、第2下部プレート40の前後方向の中央部には、第1下部プレート40の一対のボス部41間に挟まれる上凸状のボス部43が形成されている。このボス部43は、上面が第1下部プレート40の一対のボス部41間の下面に接合され、両側面が一対のボス部41の側面にそれぞれ接合されて、第1冷却水流通部54Aと第2冷却水流通部54Bとを仕切っている。なお、2箇所に形成されるオイル連通孔42Aの一方は、第2流体導入口の一例であり、後述するミッションケース60のオイル送出口62と連通し、他方は、第2流体導出口の一例であり、オイル回収口64と連通するようになっている。
【0036】
第1下部プレート40の一方の張出部42H(図2では左側)の上面には、冷却水導入口46としてバーリングが形成されている。この冷却水導入口46には、L型の冷却水導入パイプ50が接続されている。この冷却水導入パイプ50の先端には、図示しないエンジン側からの配管が接続され、この配管を通して冷却水導入パイプ50に冷却水が送り込まれるようになっている。
【0037】
また、第2下部プレート40の他方の張出部42H(図2では右側)の上面には、冷却水導出口48としてバーリングが形成されている。この冷却水導出口48には、L型の冷却水導出パイプ52が接続されている。この冷却水導出パイプ52の先端には、図示しないエンジン側からの配管が接続され、この配管を通して熱交換器10を通った冷却水がエンジン側へ戻されるようになっている。
【0038】
図1〜4に示すように、第2下部プレート42の底面には、厚肉のベースプレート44が接合されている。このベースプレート44の外形は、第2下部プレート42よりも若干大きくなっている。また、ベースプレート44には、第2下部プレート42のオイル連通孔42Aと同じ位置に同じ大きさのオイル連通孔44Aが形成されている。
【0039】
図3及び図4に示すように、ベースプレート44は、自動変速機のミッションケース60上に載置されるようになっている。ミッションケース60の上面には、オイルのオイル送出口62及びオイル回収口64(図3参照)が形成されており、ベースプレート44は、オイル送出口62及びオイル回収口64と一対のオイル連通孔44Aとの位置が一致するように載置されている。また、ベースプレート44には、積層部12の外周よりも外側に張り出すボルト取付用張出部44Hが形成され、このボルト取付用張出部44Hには、上記のように載置した状態のベースプレート44とミッションケース60をボルト止めするためのボルト孔45(図1、2参照)が形成されている。
【0040】
図3に示すように、ベースプレート44の下面には、オイル連通孔44Aを中心とした環状の溝58が形成され、この溝58にはシール材としてOリング59が嵌挿されている。このOリング59は、ミッションケース60の上面に密着してオイル送出口62と一方のオイル連通孔44A、及びオイル回収口64と他方のオイル連通孔44Aとの間のオイル漏れを防止している。
【0041】
なお、前述したオイル流路用プレート20、冷却水流路用プレート22、上部プレート24、オフセットフィン34、第1下部プレート40、第2下部プレート42、及びベースプレート44は、ろう付によって一体化されている。
また、本実施形態では、オイル流路用プレート20、冷却水流路用プレート22、上部プレート24、オフセットフィン34、第1下部プレート40及び第2下部プレート42の各ボス部21、23、41、43、各周縁部20F、22F、24F、42H、冷却水導入口46、及び冷却水導出口48が、それぞれプレス加工により形成されている。
【0042】
次に、熱交換器10の作用効果について説明する。
図4に示すように、熱交換器10では、エンジン側から冷却水導入パイプ50を通して冷却水が導入される。この冷却水は、冷却水導入口46から第1冷却水流通部54Aへ流出し、この第1冷却水流通部54Aから前方側の冷却水連通孔40B、20B、22Bを通って各冷却水流路32へ流出する。そして、冷却水は、後方側の冷却水連通孔20B、22B、40Bを通って第2冷却水流通部54Bへ流出し、第2冷却水流通部54Bから冷却水導出口48を通り、冷却水導出パイプ52を通ってエンジン側へ戻される。
一方、図3に示すように、熱交換器10では、オイルが自動変速機のオイル送出口62からオイル連通孔44A、42Aを通して第1オイル流通部56Aへ導入される。このオイルは、第1オイル流通部56Aから図示状態左側のオイル連通孔40A、20A、22Aを通って各オイル流路30へ流出する。そして、オイルは、図示状態右側のオイル連通孔20A、22A、40Aを通って第2オイル流通部56Bへ流出し、第2オイル流通部56Bからオイル連通孔42A、44Aを通り、オイル回収口64を通って自動変速機内へ戻される。
【0043】
ここで、熱交換器10は、積層部12において、冷却水流路32とオイル流路30とがプレートを隔てて交互に構成されていることから、冷却水流路32を流れる冷却水とオイル流路30を流れるオイルとの間で熱交換が効率よく行なわれる。これにより、エンジン始動直後には先に高温となるエンジン冷却水によってオイルを加熱し、またオイル過熱時にはエンジン冷却水によって高温となったオイルを冷却することができる。
【0044】
一方、熱交換器10では、各張出部40Hの上面に形成された冷却水導入口46及び冷却水導出口48に冷却水導入パイプ50及び冷却水導出パイプ52がそれぞれ接続されていることから、例えば、積層部12の上面に冷却水導入口46及び冷却水導出口48を形成して冷却水導入パイプ50及び冷却水導出パイプ52をそれぞれ接続したものと比べて、冷却水導入パイプ50及び冷却水導出パイプ52の突出高さを低くすることができる。これにより、熱交換器10の車両への搭載性が向上する。
さらに、各張出部40Hの上面に形成された冷却水導入口46及び冷却水導出口48に冷却水導入パイプ50及び冷却水導出パイプ52がそれぞれ接続されていることから、例えば、従来のように、積層部12をケーシングで囲う必要がないため、ケーシング分のコスト上昇を抑制することができる。
【0045】
また、熱交換器10では、流通部構成部材14の第2下部プレート42に上凸のボス部43を形成し、第1下部プレート40にボス部43を挟む一対の下凸のボス部41を形成するという簡単な構成で、第1下部プレート40と第2下部プレート42との間の空間部を第1冷却水流通部54Aと第2冷却水流通部54Bとに仕切ることができる。
【0046】
さらに、熱交換器10を構成する積層部12及び流通部構成部材14は、前述したように、各ボス部、各周縁部、冷却水導入口46、及び冷却水導出口48が、それぞれプレス加工により形成されていることから、コストの上昇をさらに抑制することができる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の熱交換器について図5、6を参照しながら説明する。第2実施形態の熱交換器80では、第1実施形態の流通部構成部材14の代わりに流通部構成部材81を用いている。なお、その他の構成は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0048】
図5に示すように、本実施形態の流通部構成部材81は、第1下部プレート82及び第2下部プレート84により構成されている。
第1下部プレート82には、第1実施形態の第1下部プレート40と同様に冷却水導入口46、冷却水導出口48、オイル連通孔40A、ボス部41及び冷却水連通孔40Bが形成されている。
【0049】
一方、第2下部プレート84には、第1実施形態の第2下部プレート42と同様にオイル連通孔42A及びボス部43が形成されている。2箇所に設けられたオイル連通孔42Aは、前後方向に連続して延在する上凸のボス部43に形成されている。このボス部43の上面には、第1下部プレート82のボス部41の下面が接合されている。
これにより、第1下部プレート82の下面と第2下部プレート84のボス部43の上面との間に冷却水バイパス流路90(図6参照)が形成され、第2下部プレート84のボス部43の下面とベースプレート44の上面との間にオイルバイパス流路86(図5参照)が形成されている。なお、本実施形態では、冷却水バイパス流路90内に強度の確保及び流速の制御用のオフセットフィン92を設置し、オイルバイパス流路86内にも強度の確保及び流速の制御用のオフセットフィン88を設置している。
【0050】
なお、本実施形態では、流路の強度の確保及び流速の制御用にオフセットフィン88、92を用いているが、本発明はこの構成に限らず、流路の強度確保及び流速制御ができれば、例えば、第2下部プレート84のボス部43の上部をディンプル構造(上凸又は下凸のディンプルを複数設ける構造)としてもよく、その他の構造を採用してもよい。
【0051】
次に、熱交換器80の作用効果について説明する。
熱交換器80では、図5、6に示すように、流通部構成部材81内に構成されるオイルバイパス流路86と冷却水バイパス流路90とが第2下部プレート84を隔てて隣接していることから、冷却水バイパス流路90を流れる冷却水とオイルバイパス流路86を流れるオイルとの間でも熱交換が行なわれる。このため、熱交換器80では、第1実施形態よりも冷却水とオイルとの熱交換をより効率的に行なえる。
【0052】
[その他の実施形態]
前述の実施形態では、冷却水を第1流体の一例、オイルを第2流体の一例としたが、オイルを第1流体の一例、冷却水を第2流体の一例としてもよい。
さらに、前述の実施形態では、熱交換器10、80で自動変速機のオイルとエンジンの冷却水との熱交換を行なう構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、熱交換器10、40で無段変速機又はエンジンオイルとエンジン冷却水との熱交換を行なう構成としてもよい。
【0053】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
10、80 熱交換器
12 積層部
14、81 流通部構成部材
20 オイル流路用プレート(プレート)
22 冷却水流路用プレート(プレート)
24 上部プレート(プレート)
30 オイル流路(第2流体流路)
32 冷却水流路(第1流体流路)
34 オフセットフィン
40、82 第1下部プレート(上プレート)
42、84 第2下部プレート(下プレート)
42A オイル連通孔(第2流体導入口、第2流体導出口)
46 冷却水導入口(第1流体導入口)
48 冷却水導出口(第1流体導出口)
50 冷却水導入パイプ(導入パイプ)
52 冷却水導出パイプ(導出パイプ)
54A 冷却水流通部(第1流体流通部)
54B 冷却水流通部(第1流体流通部)
56A オイル流通部(第2流体流通部)
56B オイル流通部(第2流体流通部)
86 オイルバイパス流路(第2流体バイパス流路)
90 冷却水バイパス流路(第1流体バイパス流路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレートを積層して形成され、各プレート間に第1流体が流れる第1流体流路と第2流体が流れる第2流体流路とが交互に構成された積層部と、
前記積層部の底面に固定され、前記積層部の外周よりも外側へ張り出す張出部が形成され、前記第1流体流路と連通する第1流体流通部及び前記第2流体流路と連通する第2流体流通部を備えた流通部構成部材と、
前記張出部の上面に形成され、前記第1流体流通部へ前記第1流体を導入する導入パイプが接続される第1流体導入口と、
前記張出部の上面に形成され、前記第1流体流通部から前記第1流体を導出する導出パイプが接続される第1流体導出口と、
前記流通部構成部材の下面に形成され、前記第2流体流通部へ前記第2流体を導入する第2流体導入口と、
前記流通部構成部材の下面に形成され、前記第2流体流通部から前記第2流体を導出する第2流体導出口と、
を有する熱交換器。
【請求項2】
前記第1流体流通部には、前記第1流体導入口と前記第1流体導出口とを連通する第1流体バイパス流路が形成され、
前記第2流体流通部には、前記第2流体導入口と前記第2流体導出口とを連通し、前記第1流体バイパス流路に隣接する第2流体バイパス流路が形成されている請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記流通部構成部材は、中央部に凸部が形成され、該凸部の両側に前記第2流体導入口と前記第2流体導出口が形成された下プレートと、
前記下プレートに積層されたとき前記凸部を挟んで前記第1流体流通部を前記第1流体導入口側と前記第1流体導出口側とに仕切る一対の凹部が形成されると共に、該凹部には前記第2流体導入口と前記第2流体流出口と連通する流路口がそれぞれ形成された上プレートと、を備えている請求項1に記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−32057(P2012−32057A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170700(P2010−170700)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(390039929)三桜工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】