熱処理装置
【課題】基板保持具に基板を搬送するときにパーティクルの基板への付着を防ぎ、且つ熱処理後に基板保持具がローディング室にアンロードされたときにローディング室の上部側の温度上昇を防ぐことができる技術を提供すること。
【解決手段】ローディング室内にて給気口から排気口に向けて清浄気体による横方向の気流を形成する気体循環機構と、前記給気口に設けられ、前記気流についてローディング室の下部側の通気流量に対する上部側の通気流量の流量比率を調整する気流調整機構と、を備えるように装置を構成する。前記気流調整機構は、熱処理後の基板を保持した基板保持具がアンロード位置に待機し、熱処理後の基板の受け渡しが開始される前の状態における前記流量比率が、前記基板保持具に対して基板の受け渡しを行うときの前記流量比率よりも大きくなるように作動して、ローディング室の上部側の冷却を促進する。
【解決手段】ローディング室内にて給気口から排気口に向けて清浄気体による横方向の気流を形成する気体循環機構と、前記給気口に設けられ、前記気流についてローディング室の下部側の通気流量に対する上部側の通気流量の流量比率を調整する気流調整機構と、を備えるように装置を構成する。前記気流調整機構は、熱処理後の基板を保持した基板保持具がアンロード位置に待機し、熱処理後の基板の受け渡しが開始される前の状態における前記流量比率が、前記基板保持具に対して基板の受け渡しを行うときの前記流量比率よりも大きくなるように作動して、ローディング室の上部側の冷却を促進する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハ等の基板を基板保持具に搭載して縦型熱処理炉に搬入して熱処理を行う熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置の一つとして、多数の半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)に対して一括(バッチ)で熱処理を行う縦型熱処理装置がある。この熱処理装置では、パーティクルの基板への付着を防ぐためにローディングエリアに横方向の気流を形成した状態で、搬送容器に収納されたウエハを当該ローディングエリアに置かれたウエハボートに棚状に保持させる。次いでこのウエハボートを上昇させて熱処理炉内にロードし、多数枚のウエハに対して同時に所定の熱処理を行う。この後、ウエハボートをローディングエリアに下降させて熱処理炉からアンロードし、熱処理後のウエハを移載ロボットにより搬送容器内に回収することが行われている。
【0003】
ところで熱処理後にウエハボートをアンロードしたときには、ウエハボート及びウエハの熱により上昇気流が生じ、ローディングエリアの上部側の温度が下部側に比べて高くなり、この上部側に設けられる各種のセンサや駆動機構へのダメージが懸念される。また、ウエハの熱による前記移載ロボット及び搬送容器の熱による変形や溶解を防ぐために、前記ウエハボートのアンロード後、移載ロボットによる搬送を開始するまでの冷却時間を設定している。ここで、上記のようにローディングエリアの上部側の温度が高くなると、ウエハボートの上部側のウエハが冷却され難いため、このウエハに合わせて冷却時間を設定しなければならない。従って、前記冷却時間が長くなり、スループットが低下することが懸念される。
【0004】
特許文献1には温度変化によりバイメタルを変形させ、このバイメタルに接続される羽根の向きを変えて風量を変化させる技術について記載されている。また、特許文献2については、暖房機の複数の流路をバイメタルにより形成し、温度変化により流路を変形させて流路間での風量を調節する技術について記載されている。しかし、これらの特許文献1,2には上記の熱処理装置に関する問題については記載されておらず、この問題を解決できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−248394
【特許文献2】特開2001−4227
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は基板保持具に基板を搬送するときにパーティクルの基板への付着を防ぎ、且つ熱処理後に基板保持具がローディング室にアンロードされたときにローディング室の上部側の温度上昇を防ぐことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱処理装置は、ローディング室にて基板搬送機構により基板保持具に対して基板の受け渡しを行い、複数の基板が棚状に保持された当該基板保持具をアンロード位置から上昇させて縦型の熱処理炉内に搬入し、基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
前記ローディング室内にて給気口から排気口に向けて清浄気体による横方向の気流を形成すると共に前記排気口に吸い込まれた気体を前記給気口に戻すように構成された気体循環機構と、
前記給気口に設けられ、前記気流についてローディング室の下部側の通気流量に対する上部側の通気流量の流量比率を調整する気流調整機構と、を備え、
前記気流調整機構は、熱処理後の基板を保持した基板保持具がアンロード位置に待機し、当該熱処理後の基板の受け渡しが開始される前の状態における前記流量比率が、前記基板保持具に対して基板の受け渡しを行うときの前記流量比率よりも大きくなるように作動することを特徴とする。
【0008】
前記熱処理装置の具体的な態様としては例えば下記の通りである。
(1)前記気流調整機構は、熱処理後の基板を保持している基板保持具がアンロード位置に待機しているときには、ローディング室の下部側の通気流量よりも上部側の通気流量の方が大きくなるように調整される。
(2)前記気流調整機構は、各々水平方向に伸びると共に上下方向に複数配列される羽板を備えたルーバーにより構成され、羽板の上下方向の傾きを変えることにより流量比率が調整される。
(3)前記羽板の少なくとも1枚はバイメタルからなり、ローディング室内の温度変化に応じて前記傾きが変わるように変形する自律変形羽板として構成されることを特徴とする。
(4)前記ルーバーは、前記自律変形羽板と、前記温度変化に応じてその傾きが変わらない非変形羽板と、自律変形羽板の変形に応じて非変形羽板の傾きを変えるために自律変形羽板と非変形羽板とを接続する接続部と、からなることを特徴とする。
【0009】
(5)前記各羽板はバイメタルからなる接続部を介して、この羽板を支持する支持部に設けられ、
前記接続部がローディング室内の温度変化に応じて変形することにより、羽板の傾きが変わる。
(6)前記羽板の代わりに筒状部材が設けられる。
【0010】
(7)前記気流調整機構は、ローディング室の下部側に開口する下部側開口部と、上部側に開口する上部側開口部とを備えると共に各開口部から給気口より供給される清浄気体をローディング室に供給するための開口部形成部と、
前記下部側開口部を開閉するシャッタと、を備える。
(8)前記シャッタはバイメタルからなる変形部に接続され、この変形部がローディング室内の温度変化に応じて変形することにより、前記シャッタが開閉される。
【0011】
(9)その内部にガスを拡散させるための空間を備えた筐体を備え、
前記清浄気体の供給口は
前記筐体の側壁に、前記拡散空間を拡散したガスを水平方向に供給するための水平供給口と、前記ガスをローディング室内の上部側に向けて供給するための上方供給口と、により構成され、
前記気流調整機構は、前記上方供給口を開閉する蓋部材により構成される。
(10)前記蓋部材はバイメタルにより構成され、ローディング室内の温度変化により、前記上方供給口を開閉するように変形する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、清浄気体の給気口に設けられる気流調整機構により、熱処理後の基板を保持した基板保持具がアンロード位置に待機しているときのローディング室の下部側の通気流量に対する上部側の通気流量の流量比率が、基板保持具に対して前記基板の受け渡しを行うときの前記流量比率よりも大きくなる。このように流量比率を制御することで、基板を基板保持具に受け渡すときにはローディング室の上部側、下部側への各々の風量の分布の偏りを抑えて、パーティクルの基板への付着を抑制し、基板及び基板保持具の熱によりローディング室の上部側の温度が上昇するときに当該上部側への清浄気体の供給量を増やして前記温度の上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる縦型熱処理装置の一実施の形態の全体構成を示す横断平面図である。
【図2】前記縦型熱処理装置の縦断側面図である。
【図3】前記縦型熱処理装置のローディングエリアの縦断面図である。
【図4】前記縦型熱処理装置に設けられるウエハボート及びルーバーの概略斜視図である。
【図5】低温度における前記ルーバーの縦断側面図である。
【図6】高温度における前記ルーバーの縦断側面図である。
【図7】前記ローディングエリアS2のエアの流れを示す説明図である。
【図8】前記ローディングエリアS2のエアの流れを示す説明図である。
【図9】前記ローディングエリアS2のエアの流れを示す説明図である。
【図10】前記ローディングエリアS2のエアの流れを示す説明図である。
【図11】前記ローディングエリアS2のエアの流れを示す説明図である。
【図12】他の実施形態のルーバーの側面図である。
【図13】解放時のシャッタの斜視図である。
【図14】閉鎖時のシャッタの斜視図である。
【図15】天井の流路の閉鎖時の気体供給部とその天井板の縦断側面図である。
【図16】天井の流路の解放時の気体供給部とその天井板の縦断側面図である。
【図17】ルーバーの羽板の他の構成を示す斜視図である。
【図18】前記羽板を備えたルーバーの側面図である。
【図19】ルーバーが無いローディングエリアS2の温度測定結果を示すグラフ図である。
【図20】ルーバーが無いローディングエリアS2の温度測定結果を示すグラフ図である。
【図21】ルーバーが無いローディングエリアS2の温度測定結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下に本発明の実施形態に係る縦型熱処理装置1についてその横断平面図、縦断側面図である図1、図2を夫々参照しながら説明する。図中11は装置1の筐体であり、この筐体11内には、基板であるウエハWを収納したキャリアCが装置に対して搬入、搬出されるための搬入搬出領域S1と、キャリアC内のウエハを搬送して後述の熱処理炉内に搬入するためのローディング室であるローディングエリアS2と、が設けられている。搬入搬出領域S1とローディングエリアS2とは隔壁12により仕切られており、搬入搬出領域S1は大気雰囲気とされ、清浄乾燥気体(パーティクル及び有機成分が搬入搬出領域S1よりも少なく、露点−60℃以下の空気)雰囲気とされている。
【0015】
前記搬入搬出領域S1は、第1の領域13と、この第1の領域13に対してローディングエリアS2側に設けられた第2の領域14とからなり、第1の領域13には、キャリアCを載置するための第1の載置台15が設けられている。キャリアCとしては、基板である例えば直径300mmのウエハWが複数枚例えば25枚棚状に配列されて収納され、前面の図示しない取り出し口が蓋体により塞がれた密閉型の搬送容器(FOUP)が用いられる。前記第2の領域14には第2の載置台16とキャリア保管部17が設けられると共に、キャリアCを第1の載置台15、第2の載置台16並びにキャリア保管部17の間で搬送するキャリア搬送機構18が設けられている。図中21は、キャリアC内とローディングエリアS2とを連通する開口部であり、22は当該開口部21の扉、23はキャリアCの蓋体を開閉する蓋開閉機構である。
【0016】
前記ローディングエリアS2の上方には、下端が炉口として開口する縦型の熱処理炉24が設けられている。熱処理炉24の下方にはシャッタ24Aが設けられ、通常はこのシャッタ24Aは炉口から退避しており、熱処理後に炉口を塞いで炉内からローディングエリアS2への熱輻射を防ぐ役割を有する。さらに、ローディングエリアS2における熱処理炉2以外の領域には、例えば熱処理炉2の開口部近傍の高さ位置に天井部24Bが形成されている。
【0017】
以降、ローディングエリアS2について、搬入搬出領域S1側に向かって見た縦断側面を示す図3も参照しながら説明する。前記ローディングエリアS2内には、例えば2基のウエハボート25(25A,25B)が設けられている。これらウエハボート25(25A,25B)は、夫々多数枚のウエハWを棚状に配列保持する基板保持具をなすものである。ここで、ウエハボート25の構成について簡単に説明すると、天板26と底板27との間に例えば4本(図2、図3では3本のみ図示)の支柱28が設けられており、この支柱28に形成された図示しない溝部にウエハWの周縁部が保持されて、例えば100枚のウエハWを所定の間隔で上下に配列して保持できるように構成されている。前記底板27の下部には支持部29が設けられている。
【0018】
そして、ローディングエリアS2内には、前記ウエハボート25を載置するためのステージが3箇所に用意されている。このうちの昇降ステージ30は、前記熱処理炉24の下方側に設けられた保持具搬送機構をなすボートエレベータ31の上に設けられている。このボートエレベータ31は昇降自在に構成され、その上には、前記熱処理炉24の蓋体32と前記昇降ステージ30とがこの順序で設けられており、この昇降ステージ30の上にウエハボート25が搭載される。
【0019】
前記ボートエレベータ31は、上下方向に伸びるガイドレール33に沿って移動機構34により昇降自在に構成され、こうしてウエハボート25をロード位置とアンロード位置との間で昇降させるようになっている。前記ロード位置とは、ウエハボート25が熱処理炉24内の反応容器2Aに搬入され、熱処理炉24の開口部を蓋体32が覆う位置であり、前記アンロード位置とは、ウエハボート25が熱処理炉2の下方側に搬出される位置(図1〜図4に示す位置)である。
【0020】
ウエハボート25のステージとしてはさらに載置部である第1のステージ35と第2のステージ36とが設けられている。前記第2のステージ35は、ウエハボート25と第2の載置台16上のキャリアCとの間でウエハWの移載を行なう際に、当該ウエハボート25が載置されるステージである。また、第2のステージ36は、熱処理炉2にて熱処理を行なう前後のウエハボート25を仮置きするために用いられるステージである。以降、説明の便宜上この第1のステージ35及び第2のステージ36が設けられる側をローディングエリアS2の手前側、昇降ステージ30が設けられる側をローディングエリアS2の奥側として説明し、この手前側から奥側(図1中X方向)に向かって後述するようにエアが流れる。
【0021】
ローディングエリアS2には、ボートエレベータ31の昇降ステージ30と、第1のステージ35と、第2のステージ36との間でウエハボート25の移載を行うボート搬送機構37が設けられている。ボート搬送機構37は、昇降自在、水平軸回りに回動自在、進退自在で平面視概ねC字状のボート保持部38を備えており、ボート保持部38はステージに載置されたウエハボート25の支持部29を囲んだ状態で底板27を持ち上げて当該ウエハボート25を移動させる。その反対の動作にて、移動先のステージにウエハボート25を載置する。
【0022】
第1のステージ35の奥側に、基板搬送機構をなすウエハ搬送機構41が設けられている。このウエハ搬送機構41は、第1のステージ35上のウエハボート25と第2の載置台15上のキャリアCとの間でウエハWの移載を行うものである。このウエハ搬送機構41は、ウエハWを保持する複数枚例えば5枚のフォーク42と、これらフォーク42を進退自在に支持する搬送基体43とを備えており、この搬送基体43は、鉛直軸回りに回動自在及び昇降自在、及び左右方向に移動自在に構成されている。
【0023】
ローディングエリアS2の手前側の側面には、第1のフィルタユニット5Aと第2のフィルタユニット5Bが、左右方向(図1中Y方向)に配列されて設けられている。これらフィルタユニット5(5A,5B)は、互いに同様に構成されている。図3に示した第1のフィルタユニット5Aを代表して説明すると、このフィルタユニット5Aは気体供給部51と気体供給流路52とを備えている。気体供給部51は、内部に気体を清浄化するためのフィルタを備えた筐体により構成され、前記筐体の各ステージに向かう側面には多数の孔が分散して形成されている。前記孔は清浄気体の給気口をなす。後述するように前記筐体内に供給されたエアは、前記フィルタにより清浄化され、概ね前記側面全体からローディングエリアS2の後方側に向けて水平方向に供給される。そして、各ステージ30、35、36に載置されたウエハボート25はこのように供給された清浄なエアに曝される。前記気体供給部51の孔及びフィルタは図3では省略している。
【0024】
前記気体供給部51にはローディングエリアS2を上下に伸びる前記気体供給流路52の一端側が接続され、気体供給流路52の他端は、ローディングエリアS2の下方に設けられるガスの回収路をなす通気室53に接続されている。通気室53は水平な仕切り板54によりローディングエリアS2から区画されて形成されている。この仕切り板54は、ボートエレベータ31の奥側に開口した排気口55を備えており、フィルタユニット5から吐出されたエアが当該排気口55から排気される。前記通気室53はその内部にラジエータ56を備え、ラジエータ56は通気室53を流通するエアを冷却する。通気室53の前方側には気体循環機構をなす第1のファン57が設けられ、通気室53のエアを気体供給流路52を介して気体供給部51に供給する。また、通気室53の手前側には第1のゲートバルブ58を介してエアの導入路59が接続されている。
【0025】
さらに、通気室53の奥側は第2のゲートバルブ61及び第2のファン62を介して工場の排気設備に接続されており、第2のファン62により通気室53のエアは前記排気設備へと排気される。このような構成により、フィルタユニット5(5A,5B)からローディングエリアS2に供給されたエアの一部は工場の排気設備へと排気され、一部はフィルタユニット5で清浄化されて当該フィルタユニット5からローディングエリアS2へ繰り返し供給される。つまり、フィルタユニット5、排気口55及び通気室53はエアの循環路を構成している。
【0026】
図3、図1に示す63及び図1に示す64は遮蔽板であり、ボートエレベータ31の駆動系への熱影響及びウエハ搬送機構41等の駆動系への熱影響を抑える役割を有する。遮蔽板63には、その高さ方向に沿って、ボートエレベータ31の移動領域を形成するための開口部65が形成され、この開口部65を介してフィルタユニット5から供給されたエアが排気口55に流入する。
【0027】
続いて、フィルタユニット5の後方側に設けられる気流調整機構をなすルーバー7について、その斜視図である図4と縦断側面図である図5も参照しながら説明する。ただし、図4ではルーバー7の各構成要素を示すために当該ルーバー7の横方向の長さを短く示しており、またステージ35、36及びボート搬送機構37の図示を省略している。ルーバー7は、例えば支持部71、71と、変形板(自律変形羽板)72と、8枚の羽板(非変形羽板)73と、接続部74、74とを備えている。支持部71、71はローディングエリアS2の左右に各々配置され、各々垂直方向に伸びるように形成されている。
【0028】
各羽板73は垂直方向に配列されており、ローディングエリアS2に横長に形成されている。羽板73の基端側は支持部71に挟まれており、その先端側が、ローディングエリアS2を奥側に向かう。各羽板73はその基端側に横方向に形成された孔部73Aを備え、この孔部73Aに前記支持部71、71に固定された軸73Bが挿通されている。これによって羽板73の先端側は軸73B、即ち水平軸回りに回動自在に構成されている。
【0029】
最上段の羽板73の上側にはこの羽板73と間隔をおいて前記変形板72が支持部71に挟まれて設けられている。この変形板72は周囲温度に応じて変形するバイメタルにより構成されており、その基端側は支持部71に固定されている。変形板72は、その周囲温度が比較的低いときには図4、図5に示すように変形板と同様な形状であり、基端側と先端側とが同じ高さになるように構成されている。そして前記周囲温度が上昇すると、図6に示すように先端側が基端側よりも高くなるように湾曲する。
【0030】
各支持部71の奥側には垂直方向に伸びるように形成された前記接続部74、74が、羽板73及び変形板72を挟むように設けられている。変形板72及び羽板73にはこの接続部74に重なる位置に横方向に開口した孔部72C、73Cが夫々設けられ、これら開口部72C,73Cに前記接続部74、74に固定された軸72D,73Dが挿通されている。開口部72C、73Cは、これらの軸72D,73Dに対して回転自在に構成される。
【0031】
このようにルーバー7が構成されることにより、変形板72の周囲温度、すなわちローディングエリアS2内の上部側温度が低いときには図5に示すように変形板72の形状が水平に保たれると共に羽板73が水平方向を向き、これら変形板72及び羽板73はフィルタユニット5から供給されるエアを水平方向へとガイドする。そして、変形板72の周囲温度が高いときには、既述のように変形板72が変形し、図6に示すように羽板73の先端側が基端側よりも高くなるように傾けられる。つまり羽板73の仰角が可変する。そして、このように変形した変形板72及び傾いた羽板73によりフィルタユニット5から供給されるエアが斜め上方へ向けてガイドされる。
【0032】
前記縦型熱処理装置1には制御部70が設けられている。この制御部70は例えばコンピュータからなり、プログラム、メモリ、CPUからなるデータ処理部を備えていて、前記プログラムには制御部70から縦型熱処理装置1の各部に制御信号を送り、後述の搬送順序及び基板の処理を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。前記プログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等の記憶部に格納されて制御部70にインストールされる。
【0033】
続いて、縦型熱処理装置1の作用についてローディングエリアS2内のエアの流れを矢印で示した図7〜図11を参照しながら説明する。図7〜図11では矢印の間隔でエアの流量分布を示しており、矢印の間隔が狭いほど前記エア流量が多く、間隔が広いほど前記エアの流量が小さい。ゲートバルブ58、61を開き、ファン57、62及びラジエータ56を駆動する。これによって、通気室53を流通するエアが所定の温度に制御されてフィルタユニット5からローディングエリアS2に清浄化されて供給される。このときにウエハボート25はウエハWの加熱処理から所定の時間経過しているために、ローディングエリアS2内の上部の温度は比較的低く、図7に示すようにルーバー7の変形板72は水平であり、羽板73も水平になっている。
【0034】
エアは、ルーバー7により水平方向にガイドされることにより、ローディングエリアS2内を上下方向に均一性高い量で供給される。このエアは、排気口55から排気されて通気室53に流入し、既述のようにその一部がファン62により排気されて通気室53から除去され、他の一部がファン57によりフィルタユニット5からローディングエリアS2内に繰り返し供給される。そして、ファン62により排気されて低下する通気室53の圧力を補償するようにエアの導入路59を介して所定の温度のエアが通気室53に流入し、フィルタユニット5からは単位時間あたりに一定の量のエアが供給される。
【0035】
図示しない自動搬送ロボットにより第1の載置台15に載置されたキャリアCは、キャリア搬送機構18により第2の載置台16に搬送され、第2の載置台16が隔壁12に対して移動し、キャリアCを構成する蓋体の周縁が隔壁12の開口部21に気密に当接される。この後、蓋開閉機構23によりキャリアCから蓋体が取り外され、扉22、蓋開閉機構23及び蓋体が例えば上昇して開口部21から退避し、キャリアC内とローディングエリアS2とが連通した状態となる。
【0036】
一方、ローディングエリアS2では、ウエハボート25A、25Bのうち一方を第1のステージ44に、他方を第2のステージ45に載置しておく。ここではウエハボート25Aを第1のステージ44に載置した場合について説明する。図7に示すようにウエハ搬送機構41が、前記第1のステージ44に置かれた第1のウエハボート25Aに対してキャリアC内のウエハWを順次取り出して移載する。このときに既述のルーバー7により水平にエアがガイドされているため、ウエハボート25Aの高さ方向に概ね均一の流量分布でエアが供給され、ウエハボート25Aの各高さのウエハWにパーティクルが付着していても、このエアに押し流されて除去される。
【0037】
このウエハボート25Aに所定枚数のウエハWが搭載されると、当該ウエハボート25Aは、ボート搬送機構37により第1のステージ44からボートエレベータ31の昇降ステージ30上に移載され、アンロード位置に位置する。次いでボートエレベータ31が上昇して、ウエハボート25Aは、熱処理炉24内のロード位置に搬入される(図8)。そして、当該ウエハボート25Aに搭載されたウエハWに対して例えば400〜1000℃の温度で熱処理例えばCVD、アニール処理、酸化処理などが行われる。
【0038】
ボートエレベータ31が下降して熱処理後の第1のウエハボート25Aが、熱処理炉24からアンロード位置に搬出されると、ローディングエリアS2の温度が上昇し、エリアS2内の雰囲気が加熱されて上昇気流が発生し、ローディングエリアS2の上部側の温度が下部側の温度に比べて大きく上昇する。この上部側の温度の上昇により、前記ルーバー7の変形板72がその先端が高くなるように変形し、それによってその先端が斜め上方を向くように各羽板73が傾き、その仰角が次第に大きくなる。図9に示すように、このように変形した変形板72及び傾いた羽板73により、フィルタユニット5から供給されるエアが斜め上方へ向けてガイドされ、ローディングエリアS2の上部側へのエアの供給量が下部側の供給量に比べて多くなる。
【0039】
エアの供給量が増えることによりローディングエリアS2の上部側に滞留した高温の雰囲気が効率よく押し流され、当該上部側が速やかに冷却され、次第にローディングエリアS2の上部側と下部側の温度分布が小さくなると共に、この上部側の冷却により変形板72の形状が次第に水平に戻り、羽板73の仰角も小さくなる。さらにローディングエリアS2の上部側の温度が下がると、図10に示すように変形板72の形状が水平になると共に羽板73が水平に位置し、再びローディングエリアS2の上部側、下部側にエアが均一性高く供給され、ウエハボート25A及び搭載されたウエハWが引き続き冷却される。
【0040】
こうして、アンロード位置で冷却されたウエハボート25Aは、ボート搬送機構37により、例えば一旦第2のステージ36に搬送される。なお、このウエハボート25Aの第2のステージ36への搬送前にウエハボート25Bはボート搬送機構37により予め第1のステージ35に移載されてウエハWが搭載されるものとし、その後ウエハボート25Aと同様に昇降ステージ30へ搬送されて処理されるものとする。第2のステージ36に移載されたウエハボート25Aは、第1のステージ35に搬送され、ウエハ搬送機構41により熱処理後のウエハWがキャリアC内に移載される。このときにも図11に示すようにルーバー7により水平にエアがガイドされているため、ウエハボート25Aの高さ方向に概ね均一の流量分布でエアが供給され、ウエハボート25Aの各高さのウエハWのパーティクルがこのエアに押し流されて除去される。
【0041】
この縦型熱処理装置1によれば、ルーバー7がローディングエリアS2の上部側の温度に応じてフィルタユニット5の風向を変化させ、ウエハボート25Aとウエハ搬送機構41との間でウエハWを受け渡すときには、ローディングエリアS2の上部側及び下部側にエアを均一性高い流量で各々供給し、ウエハWを加熱処理後にウエハボート25がアンロード位置に移動したときには前記上部側への供給流量を下部側への供給流量に比べて多くする。このようにローディングエリアS2内の下部側の供給流量に対する上部側の供給流量が変化することによって、ウエハWをウエハボート25に搭載するときにウエハボート25の各高さのウエハWにパーティクルが付着することを抑え、且つ前記アンロード時にウエハボート25の熱により、前記上部側の温度が上昇することを抑えることができる。この温度上昇を抑えることで、上部側のセンサや駆動機構などの各機器がダメージを受けることが抑えられるし、ウエハボート25の上部側のウエハWの冷却が遅れてスループットが低下することを防ぐことができる。
【0042】
(第2の実施形態)
続いて第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態はルーバー7の代わりにルーバー75が設けられる。ルーバー75におけるルーバー7との差異点を説明すると、ルーバー75では上記の羽板73及び接続部74を設けず、図12に示すように上下方向に変形板72を配置して構成される。各変形板72は第1の実施形態と同様にバイメタルにより構成され、その基端側が支持部71に固定されている。そして、ウエハボート25とウエハ搬送機構41との間でウエハWを受け渡すときには、その周囲温度が低いため変形板72は図中に鎖線で示すように水平に構成されて、フィルタユニット5の気体供給部51から供給されるエアを水平にガイドする。ウエハボート25がアンロードされたときには、その周囲温度が高いため、変形板72は図中に実線で示すようにその先端が基端よりも上方に向かい、フィルタユニット5からのエアを斜め上方にガイドする。
【0043】
このようにルーバー75を構成しても第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、この第2の実施形態では、第1の実施形態のように変形板72及び羽板73に設けられた孔部72C、73C、73Aと軸73B、73Dとの擦れが起きないため、パーティクルの発生を抑えることができる。
【0044】
(第3の実施形態)
図13を参照しながら第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態においては、フィルタユニット5の気体供給部51の手前側を覆うように開口部の形成部である立て板81が設けられており、この立て板81には、複数の横長の下側開口部をなすスリット82が上下方向に間隔をおいて形成されている。この立て板81の後方側には前記スリット82を開閉するためのシャッタ83が設けられており、シャッタ83には複数の横長のスリット84が上下方向に間隔をおいて形成されている。図13の例では、シャッタ83と立て板81とを同様の形状に示している。シャッタ83の上方には変形板85が設けられている。変形板85は、第1の実施形態の変形板72と同様にバイメタルにより構成されており、その基端側がフィルタユニット5に対して固定されている。この変形板85にはワイヤー86を介して前記シャッタ83が接続されており、変形板85の変形によりシャッタ83が昇降する。
【0045】
ウエハボート25とウエハ搬送機構41との間でウエハWを受け渡すときには第1の実施形態と同様に変形板85は図13に示すように水平な形状であり、シャッタ83は、そのスリット84が立て板81のスリット82に重なるように位置する。つまり、スリット82は開放されており、前記気体供給部51から水平方向に供給されたエアがこのスリット82を介してローディングエリアS2に向かう。また、このとき前記エアは、変形板85とシャッタ83との間に形成される流路87、変形板85とローディングエリアS2の天井との間に形成される流路88からも水平方向に供給される。流路87、88は上側開口部をなす。これによって、ローディングエリアS2の上部側、下部側に均一性高くエアが供給される。
【0046】
そして、ウエハボート25がアンロードされるときには、第1の実施形態と同様に変形板85は図14に示すようにその先端が基端よりも上方に向かうように湾曲する。それによって、ワイヤー86を介してシャッタ83が引き上げられ、立て板81のスリット82がシャッタ83に塞がれる。ローディングエリアS2へ向けて供給されるエアは、これら立て板81及びシャッタ83に遮られて上方へと向かい、変形板85の上下の流路87、88からローディングエリアS2の上部側へ供給される。その結果として、当該上部側へのエアの供給量が増大し、下部側へのエアの供給量は低下する。
【0047】
そして、前記ローディングエリアS2の上部側の温度が低くなると、変形板85が次第に水平形状へと戻ってシャッタ83が下がることにより、立て板81のスリット82の開口幅が大きくなり、次第にローディングエリアS2の下部側へのエアの供給量が大きくなり、上部側へのエアの供給量が減少する。この第3の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
(第4の実施形態)
続いて図15を参照しながら第4の実施形態について説明する。既述のようにフィルタユニット5の気体供給部51は筐体とフィルタとを備えている。図15では前記筐体を91、前記フィルタを92とし、筐体91にローディングエリアS2の奥側に向かって開口した多数の孔を93としている。この第4の実施形態では筐体91の天井板(蓋部材)94がバイメタルにより構成されており、気流調整機構をなす。この天井板94は、その基端側(ローディングエリアS2の手前側であり、図中右側)が気体供給流路52に固定されている。ローディングエリアS2の上部側の温度が低いときには、この図15に示すように天井板94は水平な形状であり、その先端側が筐体91の側壁に密着し、筐体91の天井が閉鎖されるため、気体供給部51に供給されたエアは筐体91の各孔93から水平に供給される。
【0049】
ローディングエリアS2の上部側の温度が高いときには、図16に示すように天井板94の先端側が上昇するように変形して、筐体91の天井が開放されて筐体91の内部空間に連通する上方供給口95が形成される。そして変形した天井板94にガイドされて上方供給口95からローディングエリアS2の斜め上方へ向けてエアが供給される。このように上方供給口95からエアが供給される分、孔93から供給されるエアの流量は減少する。つまり、ローディングエリアS2の上部側へのエアの供給量が多くなり、下部側へのエアの供給量が減少する。このような構成としても、第1の実施形態と同様の効果が得られ、さらに各部の擦動を抑えることができるので第2の実施形態と同様にパーティクルの発生を抑えることができる。
【0050】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について図17及び図18を参照しながら説明する。この実施形態では、支持部71と角型の筒部96とコイル97とが設けられ、図17に示すように筒部96は第2の実施形態の変形板72と同様に支持部71の上下方向に多数設けられている。図17では1つしか示していないが、支持部71は2つ設けられ、筒部96を挟んでいる。支持部71と筒部96とはコイル97を介して接続されており、コイル97の一端側が支持部71に、コイル97の他端側が支持部71に夫々接続される。コイル97はバイメタルにより構成されており、その周囲温度が変化するとコイル97の一端側に対してコイル97の他端側はコイル97の軸回りに回転するように移動する。
【0051】
それによって、ローディングエリアS2の温度が低いときには図17に鎖線で示すように各筒部96は水平方向を向き、気体供給部51から供給されたエアは、筒部96の外周壁及び内周壁にガイドされて、水平方向に向かう。ローディングエリアS2の温度が高いときには、図17に実線で示すように各筒部96はその先端が斜め上方を向かい、気体供給部51から供給されたエアは、前記外周壁及び内周壁にガイドされて斜め上方へと向かう。この第5の実施形態においても第2の実施形態と同様の効果が得られる。また、この例では温度変化に対して筒部96の傾きの変化を大きくするためにバイメタルをコイル状に形成しているが、このような形状にすることには限られない。また、筒部96及び支持部71は、左右方向(フィルタユニット5A、5Bの配列方向)に複数配列してもよい。また、第1の実施形態の羽板73の代わりに、筒部96を設けてもよい。
【0052】
各実施形態ではバイメタルを利用してルーバーの羽板や筒部の傾きを変えたり、シャッタを開閉しているが、このような構成には限られない。例えば第1の実施形態において羽板73をモータにより傾きが変更自在に構成する。そして、通常は制御部70から羽板73を水平状態にするようにモータに制御信号を送信し、加熱されたウエハボート25がローディング位置からアンロード位置へ下降したときに所定の時間、羽板73が第1の実施形態で示したとおり傾くようにモータに制御信号を出力するようにしてもよい。また、例えば第3の実施形態において、シャッタ83の開閉アクチュエータにより行うように構成する。そして、通常は立て板81のスリット82を開放し、加熱されたウエハボート25がアンロード位置へ下降したときに所定の時間、シャッタ83によるスリット82の閉鎖が行われるようにアクチュエータに制御信号を出力するようにしてもよい。ただし、上記のようにバイメタルを利用することで、各部の摺動を抑えてパーティクルの発生を抑えることができるし、電力などの供給が不要であるため装置の規模が増大することを抑えることができる。
【0053】
(評価試験)
続いて、本発明の知見を得るに至った評価試験について説明する。ローディングエリアS2内に設定した9箇所の測定ポイントに温度センサを設け、第1の実施形態で説明したようにウエハWを搬入してから搬出するまでの各測定ポイントの温度変化を調べた。前記ローディングエリアS2はルーバー7が設けられないことを除いては第1の実施形態に示した構成と同一である。測定ポイントの位置としては、仕切り板54からの高さが夫々1350mmの位置(上段位置とする)、850mmの位置(中段位置とする)、350mmの位置(下段位置とする)とし、これらの各高さ位置において左右方向(図1中Y方向)に3箇所ずつ設定している。
【0054】
上段位置の測定ポイントをチャンネル(CH)7、4、1とし、この順に搬入搬出領域S1に近づくように設定している。また中段位置の測定ポイントをチャンネル8,5,2、下段位置の測定ポイントをチャンネル9、6、3とし、夫々この順に搬入搬出領域S1に近づくように設定している。チャンネル1、2、3、チャンネル4、5、6、チャンネル7、8、9は夫々上下方向に直線状に配列され、また、各チャンネルは、フィルタユニット5から250mm離れるように設定した。
【0055】
図19〜図21はこの試験の結果を示したグラフであり、横軸に処理を開始してからの経過時間(単位:分)を表示し、縦軸に各チャンネルが検出した温度(単位:℃)を示している。グラフ中にT1として表示した期間は、熱処理したウエハWを保持したウエハボート25をアンロード位置に移動開始してからウエハWのウエハボート25からの搬出を開始するまでの期間である。この期間T1においてローディングエリアS2の上部側に設定されたCH1、CH4、CH7の温度は、他のCHの温度よりも高く、このCH1、CH4、CH7と他のCHとの間で最大約90℃の温度差が形成されることが確認された。この試験結果から、各実施形態で説明したようにウエハボート25をアンロードさせたときに、ローディングエリアS2の上部側へのエアの供給量を下部側のエアの供給量に比べて増大させることが有効であることが分かる。
【符号の説明】
【0056】
1 縦型熱処理装置
S2 ローディングエリア
30 昇降ステージ
31 ボートエレベータ
41 ウエハ搬送機構
5 フィルタユニット
53 通気室
57 ファン
7 ルーバー
71 支持部
72 変形板
73 羽板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハ等の基板を基板保持具に搭載して縦型熱処理炉に搬入して熱処理を行う熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置の一つとして、多数の半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)に対して一括(バッチ)で熱処理を行う縦型熱処理装置がある。この熱処理装置では、パーティクルの基板への付着を防ぐためにローディングエリアに横方向の気流を形成した状態で、搬送容器に収納されたウエハを当該ローディングエリアに置かれたウエハボートに棚状に保持させる。次いでこのウエハボートを上昇させて熱処理炉内にロードし、多数枚のウエハに対して同時に所定の熱処理を行う。この後、ウエハボートをローディングエリアに下降させて熱処理炉からアンロードし、熱処理後のウエハを移載ロボットにより搬送容器内に回収することが行われている。
【0003】
ところで熱処理後にウエハボートをアンロードしたときには、ウエハボート及びウエハの熱により上昇気流が生じ、ローディングエリアの上部側の温度が下部側に比べて高くなり、この上部側に設けられる各種のセンサや駆動機構へのダメージが懸念される。また、ウエハの熱による前記移載ロボット及び搬送容器の熱による変形や溶解を防ぐために、前記ウエハボートのアンロード後、移載ロボットによる搬送を開始するまでの冷却時間を設定している。ここで、上記のようにローディングエリアの上部側の温度が高くなると、ウエハボートの上部側のウエハが冷却され難いため、このウエハに合わせて冷却時間を設定しなければならない。従って、前記冷却時間が長くなり、スループットが低下することが懸念される。
【0004】
特許文献1には温度変化によりバイメタルを変形させ、このバイメタルに接続される羽根の向きを変えて風量を変化させる技術について記載されている。また、特許文献2については、暖房機の複数の流路をバイメタルにより形成し、温度変化により流路を変形させて流路間での風量を調節する技術について記載されている。しかし、これらの特許文献1,2には上記の熱処理装置に関する問題については記載されておらず、この問題を解決できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−248394
【特許文献2】特開2001−4227
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は基板保持具に基板を搬送するときにパーティクルの基板への付着を防ぎ、且つ熱処理後に基板保持具がローディング室にアンロードされたときにローディング室の上部側の温度上昇を防ぐことができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱処理装置は、ローディング室にて基板搬送機構により基板保持具に対して基板の受け渡しを行い、複数の基板が棚状に保持された当該基板保持具をアンロード位置から上昇させて縦型の熱処理炉内に搬入し、基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
前記ローディング室内にて給気口から排気口に向けて清浄気体による横方向の気流を形成すると共に前記排気口に吸い込まれた気体を前記給気口に戻すように構成された気体循環機構と、
前記給気口に設けられ、前記気流についてローディング室の下部側の通気流量に対する上部側の通気流量の流量比率を調整する気流調整機構と、を備え、
前記気流調整機構は、熱処理後の基板を保持した基板保持具がアンロード位置に待機し、当該熱処理後の基板の受け渡しが開始される前の状態における前記流量比率が、前記基板保持具に対して基板の受け渡しを行うときの前記流量比率よりも大きくなるように作動することを特徴とする。
【0008】
前記熱処理装置の具体的な態様としては例えば下記の通りである。
(1)前記気流調整機構は、熱処理後の基板を保持している基板保持具がアンロード位置に待機しているときには、ローディング室の下部側の通気流量よりも上部側の通気流量の方が大きくなるように調整される。
(2)前記気流調整機構は、各々水平方向に伸びると共に上下方向に複数配列される羽板を備えたルーバーにより構成され、羽板の上下方向の傾きを変えることにより流量比率が調整される。
(3)前記羽板の少なくとも1枚はバイメタルからなり、ローディング室内の温度変化に応じて前記傾きが変わるように変形する自律変形羽板として構成されることを特徴とする。
(4)前記ルーバーは、前記自律変形羽板と、前記温度変化に応じてその傾きが変わらない非変形羽板と、自律変形羽板の変形に応じて非変形羽板の傾きを変えるために自律変形羽板と非変形羽板とを接続する接続部と、からなることを特徴とする。
【0009】
(5)前記各羽板はバイメタルからなる接続部を介して、この羽板を支持する支持部に設けられ、
前記接続部がローディング室内の温度変化に応じて変形することにより、羽板の傾きが変わる。
(6)前記羽板の代わりに筒状部材が設けられる。
【0010】
(7)前記気流調整機構は、ローディング室の下部側に開口する下部側開口部と、上部側に開口する上部側開口部とを備えると共に各開口部から給気口より供給される清浄気体をローディング室に供給するための開口部形成部と、
前記下部側開口部を開閉するシャッタと、を備える。
(8)前記シャッタはバイメタルからなる変形部に接続され、この変形部がローディング室内の温度変化に応じて変形することにより、前記シャッタが開閉される。
【0011】
(9)その内部にガスを拡散させるための空間を備えた筐体を備え、
前記清浄気体の供給口は
前記筐体の側壁に、前記拡散空間を拡散したガスを水平方向に供給するための水平供給口と、前記ガスをローディング室内の上部側に向けて供給するための上方供給口と、により構成され、
前記気流調整機構は、前記上方供給口を開閉する蓋部材により構成される。
(10)前記蓋部材はバイメタルにより構成され、ローディング室内の温度変化により、前記上方供給口を開閉するように変形する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、清浄気体の給気口に設けられる気流調整機構により、熱処理後の基板を保持した基板保持具がアンロード位置に待機しているときのローディング室の下部側の通気流量に対する上部側の通気流量の流量比率が、基板保持具に対して前記基板の受け渡しを行うときの前記流量比率よりも大きくなる。このように流量比率を制御することで、基板を基板保持具に受け渡すときにはローディング室の上部側、下部側への各々の風量の分布の偏りを抑えて、パーティクルの基板への付着を抑制し、基板及び基板保持具の熱によりローディング室の上部側の温度が上昇するときに当該上部側への清浄気体の供給量を増やして前記温度の上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる縦型熱処理装置の一実施の形態の全体構成を示す横断平面図である。
【図2】前記縦型熱処理装置の縦断側面図である。
【図3】前記縦型熱処理装置のローディングエリアの縦断面図である。
【図4】前記縦型熱処理装置に設けられるウエハボート及びルーバーの概略斜視図である。
【図5】低温度における前記ルーバーの縦断側面図である。
【図6】高温度における前記ルーバーの縦断側面図である。
【図7】前記ローディングエリアS2のエアの流れを示す説明図である。
【図8】前記ローディングエリアS2のエアの流れを示す説明図である。
【図9】前記ローディングエリアS2のエアの流れを示す説明図である。
【図10】前記ローディングエリアS2のエアの流れを示す説明図である。
【図11】前記ローディングエリアS2のエアの流れを示す説明図である。
【図12】他の実施形態のルーバーの側面図である。
【図13】解放時のシャッタの斜視図である。
【図14】閉鎖時のシャッタの斜視図である。
【図15】天井の流路の閉鎖時の気体供給部とその天井板の縦断側面図である。
【図16】天井の流路の解放時の気体供給部とその天井板の縦断側面図である。
【図17】ルーバーの羽板の他の構成を示す斜視図である。
【図18】前記羽板を備えたルーバーの側面図である。
【図19】ルーバーが無いローディングエリアS2の温度測定結果を示すグラフ図である。
【図20】ルーバーが無いローディングエリアS2の温度測定結果を示すグラフ図である。
【図21】ルーバーが無いローディングエリアS2の温度測定結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下に本発明の実施形態に係る縦型熱処理装置1についてその横断平面図、縦断側面図である図1、図2を夫々参照しながら説明する。図中11は装置1の筐体であり、この筐体11内には、基板であるウエハWを収納したキャリアCが装置に対して搬入、搬出されるための搬入搬出領域S1と、キャリアC内のウエハを搬送して後述の熱処理炉内に搬入するためのローディング室であるローディングエリアS2と、が設けられている。搬入搬出領域S1とローディングエリアS2とは隔壁12により仕切られており、搬入搬出領域S1は大気雰囲気とされ、清浄乾燥気体(パーティクル及び有機成分が搬入搬出領域S1よりも少なく、露点−60℃以下の空気)雰囲気とされている。
【0015】
前記搬入搬出領域S1は、第1の領域13と、この第1の領域13に対してローディングエリアS2側に設けられた第2の領域14とからなり、第1の領域13には、キャリアCを載置するための第1の載置台15が設けられている。キャリアCとしては、基板である例えば直径300mmのウエハWが複数枚例えば25枚棚状に配列されて収納され、前面の図示しない取り出し口が蓋体により塞がれた密閉型の搬送容器(FOUP)が用いられる。前記第2の領域14には第2の載置台16とキャリア保管部17が設けられると共に、キャリアCを第1の載置台15、第2の載置台16並びにキャリア保管部17の間で搬送するキャリア搬送機構18が設けられている。図中21は、キャリアC内とローディングエリアS2とを連通する開口部であり、22は当該開口部21の扉、23はキャリアCの蓋体を開閉する蓋開閉機構である。
【0016】
前記ローディングエリアS2の上方には、下端が炉口として開口する縦型の熱処理炉24が設けられている。熱処理炉24の下方にはシャッタ24Aが設けられ、通常はこのシャッタ24Aは炉口から退避しており、熱処理後に炉口を塞いで炉内からローディングエリアS2への熱輻射を防ぐ役割を有する。さらに、ローディングエリアS2における熱処理炉2以外の領域には、例えば熱処理炉2の開口部近傍の高さ位置に天井部24Bが形成されている。
【0017】
以降、ローディングエリアS2について、搬入搬出領域S1側に向かって見た縦断側面を示す図3も参照しながら説明する。前記ローディングエリアS2内には、例えば2基のウエハボート25(25A,25B)が設けられている。これらウエハボート25(25A,25B)は、夫々多数枚のウエハWを棚状に配列保持する基板保持具をなすものである。ここで、ウエハボート25の構成について簡単に説明すると、天板26と底板27との間に例えば4本(図2、図3では3本のみ図示)の支柱28が設けられており、この支柱28に形成された図示しない溝部にウエハWの周縁部が保持されて、例えば100枚のウエハWを所定の間隔で上下に配列して保持できるように構成されている。前記底板27の下部には支持部29が設けられている。
【0018】
そして、ローディングエリアS2内には、前記ウエハボート25を載置するためのステージが3箇所に用意されている。このうちの昇降ステージ30は、前記熱処理炉24の下方側に設けられた保持具搬送機構をなすボートエレベータ31の上に設けられている。このボートエレベータ31は昇降自在に構成され、その上には、前記熱処理炉24の蓋体32と前記昇降ステージ30とがこの順序で設けられており、この昇降ステージ30の上にウエハボート25が搭載される。
【0019】
前記ボートエレベータ31は、上下方向に伸びるガイドレール33に沿って移動機構34により昇降自在に構成され、こうしてウエハボート25をロード位置とアンロード位置との間で昇降させるようになっている。前記ロード位置とは、ウエハボート25が熱処理炉24内の反応容器2Aに搬入され、熱処理炉24の開口部を蓋体32が覆う位置であり、前記アンロード位置とは、ウエハボート25が熱処理炉2の下方側に搬出される位置(図1〜図4に示す位置)である。
【0020】
ウエハボート25のステージとしてはさらに載置部である第1のステージ35と第2のステージ36とが設けられている。前記第2のステージ35は、ウエハボート25と第2の載置台16上のキャリアCとの間でウエハWの移載を行なう際に、当該ウエハボート25が載置されるステージである。また、第2のステージ36は、熱処理炉2にて熱処理を行なう前後のウエハボート25を仮置きするために用いられるステージである。以降、説明の便宜上この第1のステージ35及び第2のステージ36が設けられる側をローディングエリアS2の手前側、昇降ステージ30が設けられる側をローディングエリアS2の奥側として説明し、この手前側から奥側(図1中X方向)に向かって後述するようにエアが流れる。
【0021】
ローディングエリアS2には、ボートエレベータ31の昇降ステージ30と、第1のステージ35と、第2のステージ36との間でウエハボート25の移載を行うボート搬送機構37が設けられている。ボート搬送機構37は、昇降自在、水平軸回りに回動自在、進退自在で平面視概ねC字状のボート保持部38を備えており、ボート保持部38はステージに載置されたウエハボート25の支持部29を囲んだ状態で底板27を持ち上げて当該ウエハボート25を移動させる。その反対の動作にて、移動先のステージにウエハボート25を載置する。
【0022】
第1のステージ35の奥側に、基板搬送機構をなすウエハ搬送機構41が設けられている。このウエハ搬送機構41は、第1のステージ35上のウエハボート25と第2の載置台15上のキャリアCとの間でウエハWの移載を行うものである。このウエハ搬送機構41は、ウエハWを保持する複数枚例えば5枚のフォーク42と、これらフォーク42を進退自在に支持する搬送基体43とを備えており、この搬送基体43は、鉛直軸回りに回動自在及び昇降自在、及び左右方向に移動自在に構成されている。
【0023】
ローディングエリアS2の手前側の側面には、第1のフィルタユニット5Aと第2のフィルタユニット5Bが、左右方向(図1中Y方向)に配列されて設けられている。これらフィルタユニット5(5A,5B)は、互いに同様に構成されている。図3に示した第1のフィルタユニット5Aを代表して説明すると、このフィルタユニット5Aは気体供給部51と気体供給流路52とを備えている。気体供給部51は、内部に気体を清浄化するためのフィルタを備えた筐体により構成され、前記筐体の各ステージに向かう側面には多数の孔が分散して形成されている。前記孔は清浄気体の給気口をなす。後述するように前記筐体内に供給されたエアは、前記フィルタにより清浄化され、概ね前記側面全体からローディングエリアS2の後方側に向けて水平方向に供給される。そして、各ステージ30、35、36に載置されたウエハボート25はこのように供給された清浄なエアに曝される。前記気体供給部51の孔及びフィルタは図3では省略している。
【0024】
前記気体供給部51にはローディングエリアS2を上下に伸びる前記気体供給流路52の一端側が接続され、気体供給流路52の他端は、ローディングエリアS2の下方に設けられるガスの回収路をなす通気室53に接続されている。通気室53は水平な仕切り板54によりローディングエリアS2から区画されて形成されている。この仕切り板54は、ボートエレベータ31の奥側に開口した排気口55を備えており、フィルタユニット5から吐出されたエアが当該排気口55から排気される。前記通気室53はその内部にラジエータ56を備え、ラジエータ56は通気室53を流通するエアを冷却する。通気室53の前方側には気体循環機構をなす第1のファン57が設けられ、通気室53のエアを気体供給流路52を介して気体供給部51に供給する。また、通気室53の手前側には第1のゲートバルブ58を介してエアの導入路59が接続されている。
【0025】
さらに、通気室53の奥側は第2のゲートバルブ61及び第2のファン62を介して工場の排気設備に接続されており、第2のファン62により通気室53のエアは前記排気設備へと排気される。このような構成により、フィルタユニット5(5A,5B)からローディングエリアS2に供給されたエアの一部は工場の排気設備へと排気され、一部はフィルタユニット5で清浄化されて当該フィルタユニット5からローディングエリアS2へ繰り返し供給される。つまり、フィルタユニット5、排気口55及び通気室53はエアの循環路を構成している。
【0026】
図3、図1に示す63及び図1に示す64は遮蔽板であり、ボートエレベータ31の駆動系への熱影響及びウエハ搬送機構41等の駆動系への熱影響を抑える役割を有する。遮蔽板63には、その高さ方向に沿って、ボートエレベータ31の移動領域を形成するための開口部65が形成され、この開口部65を介してフィルタユニット5から供給されたエアが排気口55に流入する。
【0027】
続いて、フィルタユニット5の後方側に設けられる気流調整機構をなすルーバー7について、その斜視図である図4と縦断側面図である図5も参照しながら説明する。ただし、図4ではルーバー7の各構成要素を示すために当該ルーバー7の横方向の長さを短く示しており、またステージ35、36及びボート搬送機構37の図示を省略している。ルーバー7は、例えば支持部71、71と、変形板(自律変形羽板)72と、8枚の羽板(非変形羽板)73と、接続部74、74とを備えている。支持部71、71はローディングエリアS2の左右に各々配置され、各々垂直方向に伸びるように形成されている。
【0028】
各羽板73は垂直方向に配列されており、ローディングエリアS2に横長に形成されている。羽板73の基端側は支持部71に挟まれており、その先端側が、ローディングエリアS2を奥側に向かう。各羽板73はその基端側に横方向に形成された孔部73Aを備え、この孔部73Aに前記支持部71、71に固定された軸73Bが挿通されている。これによって羽板73の先端側は軸73B、即ち水平軸回りに回動自在に構成されている。
【0029】
最上段の羽板73の上側にはこの羽板73と間隔をおいて前記変形板72が支持部71に挟まれて設けられている。この変形板72は周囲温度に応じて変形するバイメタルにより構成されており、その基端側は支持部71に固定されている。変形板72は、その周囲温度が比較的低いときには図4、図5に示すように変形板と同様な形状であり、基端側と先端側とが同じ高さになるように構成されている。そして前記周囲温度が上昇すると、図6に示すように先端側が基端側よりも高くなるように湾曲する。
【0030】
各支持部71の奥側には垂直方向に伸びるように形成された前記接続部74、74が、羽板73及び変形板72を挟むように設けられている。変形板72及び羽板73にはこの接続部74に重なる位置に横方向に開口した孔部72C、73Cが夫々設けられ、これら開口部72C,73Cに前記接続部74、74に固定された軸72D,73Dが挿通されている。開口部72C、73Cは、これらの軸72D,73Dに対して回転自在に構成される。
【0031】
このようにルーバー7が構成されることにより、変形板72の周囲温度、すなわちローディングエリアS2内の上部側温度が低いときには図5に示すように変形板72の形状が水平に保たれると共に羽板73が水平方向を向き、これら変形板72及び羽板73はフィルタユニット5から供給されるエアを水平方向へとガイドする。そして、変形板72の周囲温度が高いときには、既述のように変形板72が変形し、図6に示すように羽板73の先端側が基端側よりも高くなるように傾けられる。つまり羽板73の仰角が可変する。そして、このように変形した変形板72及び傾いた羽板73によりフィルタユニット5から供給されるエアが斜め上方へ向けてガイドされる。
【0032】
前記縦型熱処理装置1には制御部70が設けられている。この制御部70は例えばコンピュータからなり、プログラム、メモリ、CPUからなるデータ処理部を備えていて、前記プログラムには制御部70から縦型熱処理装置1の各部に制御信号を送り、後述の搬送順序及び基板の処理を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。前記プログラムは、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)等の記憶部に格納されて制御部70にインストールされる。
【0033】
続いて、縦型熱処理装置1の作用についてローディングエリアS2内のエアの流れを矢印で示した図7〜図11を参照しながら説明する。図7〜図11では矢印の間隔でエアの流量分布を示しており、矢印の間隔が狭いほど前記エア流量が多く、間隔が広いほど前記エアの流量が小さい。ゲートバルブ58、61を開き、ファン57、62及びラジエータ56を駆動する。これによって、通気室53を流通するエアが所定の温度に制御されてフィルタユニット5からローディングエリアS2に清浄化されて供給される。このときにウエハボート25はウエハWの加熱処理から所定の時間経過しているために、ローディングエリアS2内の上部の温度は比較的低く、図7に示すようにルーバー7の変形板72は水平であり、羽板73も水平になっている。
【0034】
エアは、ルーバー7により水平方向にガイドされることにより、ローディングエリアS2内を上下方向に均一性高い量で供給される。このエアは、排気口55から排気されて通気室53に流入し、既述のようにその一部がファン62により排気されて通気室53から除去され、他の一部がファン57によりフィルタユニット5からローディングエリアS2内に繰り返し供給される。そして、ファン62により排気されて低下する通気室53の圧力を補償するようにエアの導入路59を介して所定の温度のエアが通気室53に流入し、フィルタユニット5からは単位時間あたりに一定の量のエアが供給される。
【0035】
図示しない自動搬送ロボットにより第1の載置台15に載置されたキャリアCは、キャリア搬送機構18により第2の載置台16に搬送され、第2の載置台16が隔壁12に対して移動し、キャリアCを構成する蓋体の周縁が隔壁12の開口部21に気密に当接される。この後、蓋開閉機構23によりキャリアCから蓋体が取り外され、扉22、蓋開閉機構23及び蓋体が例えば上昇して開口部21から退避し、キャリアC内とローディングエリアS2とが連通した状態となる。
【0036】
一方、ローディングエリアS2では、ウエハボート25A、25Bのうち一方を第1のステージ44に、他方を第2のステージ45に載置しておく。ここではウエハボート25Aを第1のステージ44に載置した場合について説明する。図7に示すようにウエハ搬送機構41が、前記第1のステージ44に置かれた第1のウエハボート25Aに対してキャリアC内のウエハWを順次取り出して移載する。このときに既述のルーバー7により水平にエアがガイドされているため、ウエハボート25Aの高さ方向に概ね均一の流量分布でエアが供給され、ウエハボート25Aの各高さのウエハWにパーティクルが付着していても、このエアに押し流されて除去される。
【0037】
このウエハボート25Aに所定枚数のウエハWが搭載されると、当該ウエハボート25Aは、ボート搬送機構37により第1のステージ44からボートエレベータ31の昇降ステージ30上に移載され、アンロード位置に位置する。次いでボートエレベータ31が上昇して、ウエハボート25Aは、熱処理炉24内のロード位置に搬入される(図8)。そして、当該ウエハボート25Aに搭載されたウエハWに対して例えば400〜1000℃の温度で熱処理例えばCVD、アニール処理、酸化処理などが行われる。
【0038】
ボートエレベータ31が下降して熱処理後の第1のウエハボート25Aが、熱処理炉24からアンロード位置に搬出されると、ローディングエリアS2の温度が上昇し、エリアS2内の雰囲気が加熱されて上昇気流が発生し、ローディングエリアS2の上部側の温度が下部側の温度に比べて大きく上昇する。この上部側の温度の上昇により、前記ルーバー7の変形板72がその先端が高くなるように変形し、それによってその先端が斜め上方を向くように各羽板73が傾き、その仰角が次第に大きくなる。図9に示すように、このように変形した変形板72及び傾いた羽板73により、フィルタユニット5から供給されるエアが斜め上方へ向けてガイドされ、ローディングエリアS2の上部側へのエアの供給量が下部側の供給量に比べて多くなる。
【0039】
エアの供給量が増えることによりローディングエリアS2の上部側に滞留した高温の雰囲気が効率よく押し流され、当該上部側が速やかに冷却され、次第にローディングエリアS2の上部側と下部側の温度分布が小さくなると共に、この上部側の冷却により変形板72の形状が次第に水平に戻り、羽板73の仰角も小さくなる。さらにローディングエリアS2の上部側の温度が下がると、図10に示すように変形板72の形状が水平になると共に羽板73が水平に位置し、再びローディングエリアS2の上部側、下部側にエアが均一性高く供給され、ウエハボート25A及び搭載されたウエハWが引き続き冷却される。
【0040】
こうして、アンロード位置で冷却されたウエハボート25Aは、ボート搬送機構37により、例えば一旦第2のステージ36に搬送される。なお、このウエハボート25Aの第2のステージ36への搬送前にウエハボート25Bはボート搬送機構37により予め第1のステージ35に移載されてウエハWが搭載されるものとし、その後ウエハボート25Aと同様に昇降ステージ30へ搬送されて処理されるものとする。第2のステージ36に移載されたウエハボート25Aは、第1のステージ35に搬送され、ウエハ搬送機構41により熱処理後のウエハWがキャリアC内に移載される。このときにも図11に示すようにルーバー7により水平にエアがガイドされているため、ウエハボート25Aの高さ方向に概ね均一の流量分布でエアが供給され、ウエハボート25Aの各高さのウエハWのパーティクルがこのエアに押し流されて除去される。
【0041】
この縦型熱処理装置1によれば、ルーバー7がローディングエリアS2の上部側の温度に応じてフィルタユニット5の風向を変化させ、ウエハボート25Aとウエハ搬送機構41との間でウエハWを受け渡すときには、ローディングエリアS2の上部側及び下部側にエアを均一性高い流量で各々供給し、ウエハWを加熱処理後にウエハボート25がアンロード位置に移動したときには前記上部側への供給流量を下部側への供給流量に比べて多くする。このようにローディングエリアS2内の下部側の供給流量に対する上部側の供給流量が変化することによって、ウエハWをウエハボート25に搭載するときにウエハボート25の各高さのウエハWにパーティクルが付着することを抑え、且つ前記アンロード時にウエハボート25の熱により、前記上部側の温度が上昇することを抑えることができる。この温度上昇を抑えることで、上部側のセンサや駆動機構などの各機器がダメージを受けることが抑えられるし、ウエハボート25の上部側のウエハWの冷却が遅れてスループットが低下することを防ぐことができる。
【0042】
(第2の実施形態)
続いて第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態はルーバー7の代わりにルーバー75が設けられる。ルーバー75におけるルーバー7との差異点を説明すると、ルーバー75では上記の羽板73及び接続部74を設けず、図12に示すように上下方向に変形板72を配置して構成される。各変形板72は第1の実施形態と同様にバイメタルにより構成され、その基端側が支持部71に固定されている。そして、ウエハボート25とウエハ搬送機構41との間でウエハWを受け渡すときには、その周囲温度が低いため変形板72は図中に鎖線で示すように水平に構成されて、フィルタユニット5の気体供給部51から供給されるエアを水平にガイドする。ウエハボート25がアンロードされたときには、その周囲温度が高いため、変形板72は図中に実線で示すようにその先端が基端よりも上方に向かい、フィルタユニット5からのエアを斜め上方にガイドする。
【0043】
このようにルーバー75を構成しても第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、この第2の実施形態では、第1の実施形態のように変形板72及び羽板73に設けられた孔部72C、73C、73Aと軸73B、73Dとの擦れが起きないため、パーティクルの発生を抑えることができる。
【0044】
(第3の実施形態)
図13を参照しながら第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態においては、フィルタユニット5の気体供給部51の手前側を覆うように開口部の形成部である立て板81が設けられており、この立て板81には、複数の横長の下側開口部をなすスリット82が上下方向に間隔をおいて形成されている。この立て板81の後方側には前記スリット82を開閉するためのシャッタ83が設けられており、シャッタ83には複数の横長のスリット84が上下方向に間隔をおいて形成されている。図13の例では、シャッタ83と立て板81とを同様の形状に示している。シャッタ83の上方には変形板85が設けられている。変形板85は、第1の実施形態の変形板72と同様にバイメタルにより構成されており、その基端側がフィルタユニット5に対して固定されている。この変形板85にはワイヤー86を介して前記シャッタ83が接続されており、変形板85の変形によりシャッタ83が昇降する。
【0045】
ウエハボート25とウエハ搬送機構41との間でウエハWを受け渡すときには第1の実施形態と同様に変形板85は図13に示すように水平な形状であり、シャッタ83は、そのスリット84が立て板81のスリット82に重なるように位置する。つまり、スリット82は開放されており、前記気体供給部51から水平方向に供給されたエアがこのスリット82を介してローディングエリアS2に向かう。また、このとき前記エアは、変形板85とシャッタ83との間に形成される流路87、変形板85とローディングエリアS2の天井との間に形成される流路88からも水平方向に供給される。流路87、88は上側開口部をなす。これによって、ローディングエリアS2の上部側、下部側に均一性高くエアが供給される。
【0046】
そして、ウエハボート25がアンロードされるときには、第1の実施形態と同様に変形板85は図14に示すようにその先端が基端よりも上方に向かうように湾曲する。それによって、ワイヤー86を介してシャッタ83が引き上げられ、立て板81のスリット82がシャッタ83に塞がれる。ローディングエリアS2へ向けて供給されるエアは、これら立て板81及びシャッタ83に遮られて上方へと向かい、変形板85の上下の流路87、88からローディングエリアS2の上部側へ供給される。その結果として、当該上部側へのエアの供給量が増大し、下部側へのエアの供給量は低下する。
【0047】
そして、前記ローディングエリアS2の上部側の温度が低くなると、変形板85が次第に水平形状へと戻ってシャッタ83が下がることにより、立て板81のスリット82の開口幅が大きくなり、次第にローディングエリアS2の下部側へのエアの供給量が大きくなり、上部側へのエアの供給量が減少する。この第3の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0048】
(第4の実施形態)
続いて図15を参照しながら第4の実施形態について説明する。既述のようにフィルタユニット5の気体供給部51は筐体とフィルタとを備えている。図15では前記筐体を91、前記フィルタを92とし、筐体91にローディングエリアS2の奥側に向かって開口した多数の孔を93としている。この第4の実施形態では筐体91の天井板(蓋部材)94がバイメタルにより構成されており、気流調整機構をなす。この天井板94は、その基端側(ローディングエリアS2の手前側であり、図中右側)が気体供給流路52に固定されている。ローディングエリアS2の上部側の温度が低いときには、この図15に示すように天井板94は水平な形状であり、その先端側が筐体91の側壁に密着し、筐体91の天井が閉鎖されるため、気体供給部51に供給されたエアは筐体91の各孔93から水平に供給される。
【0049】
ローディングエリアS2の上部側の温度が高いときには、図16に示すように天井板94の先端側が上昇するように変形して、筐体91の天井が開放されて筐体91の内部空間に連通する上方供給口95が形成される。そして変形した天井板94にガイドされて上方供給口95からローディングエリアS2の斜め上方へ向けてエアが供給される。このように上方供給口95からエアが供給される分、孔93から供給されるエアの流量は減少する。つまり、ローディングエリアS2の上部側へのエアの供給量が多くなり、下部側へのエアの供給量が減少する。このような構成としても、第1の実施形態と同様の効果が得られ、さらに各部の擦動を抑えることができるので第2の実施形態と同様にパーティクルの発生を抑えることができる。
【0050】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について図17及び図18を参照しながら説明する。この実施形態では、支持部71と角型の筒部96とコイル97とが設けられ、図17に示すように筒部96は第2の実施形態の変形板72と同様に支持部71の上下方向に多数設けられている。図17では1つしか示していないが、支持部71は2つ設けられ、筒部96を挟んでいる。支持部71と筒部96とはコイル97を介して接続されており、コイル97の一端側が支持部71に、コイル97の他端側が支持部71に夫々接続される。コイル97はバイメタルにより構成されており、その周囲温度が変化するとコイル97の一端側に対してコイル97の他端側はコイル97の軸回りに回転するように移動する。
【0051】
それによって、ローディングエリアS2の温度が低いときには図17に鎖線で示すように各筒部96は水平方向を向き、気体供給部51から供給されたエアは、筒部96の外周壁及び内周壁にガイドされて、水平方向に向かう。ローディングエリアS2の温度が高いときには、図17に実線で示すように各筒部96はその先端が斜め上方を向かい、気体供給部51から供給されたエアは、前記外周壁及び内周壁にガイドされて斜め上方へと向かう。この第5の実施形態においても第2の実施形態と同様の効果が得られる。また、この例では温度変化に対して筒部96の傾きの変化を大きくするためにバイメタルをコイル状に形成しているが、このような形状にすることには限られない。また、筒部96及び支持部71は、左右方向(フィルタユニット5A、5Bの配列方向)に複数配列してもよい。また、第1の実施形態の羽板73の代わりに、筒部96を設けてもよい。
【0052】
各実施形態ではバイメタルを利用してルーバーの羽板や筒部の傾きを変えたり、シャッタを開閉しているが、このような構成には限られない。例えば第1の実施形態において羽板73をモータにより傾きが変更自在に構成する。そして、通常は制御部70から羽板73を水平状態にするようにモータに制御信号を送信し、加熱されたウエハボート25がローディング位置からアンロード位置へ下降したときに所定の時間、羽板73が第1の実施形態で示したとおり傾くようにモータに制御信号を出力するようにしてもよい。また、例えば第3の実施形態において、シャッタ83の開閉アクチュエータにより行うように構成する。そして、通常は立て板81のスリット82を開放し、加熱されたウエハボート25がアンロード位置へ下降したときに所定の時間、シャッタ83によるスリット82の閉鎖が行われるようにアクチュエータに制御信号を出力するようにしてもよい。ただし、上記のようにバイメタルを利用することで、各部の摺動を抑えてパーティクルの発生を抑えることができるし、電力などの供給が不要であるため装置の規模が増大することを抑えることができる。
【0053】
(評価試験)
続いて、本発明の知見を得るに至った評価試験について説明する。ローディングエリアS2内に設定した9箇所の測定ポイントに温度センサを設け、第1の実施形態で説明したようにウエハWを搬入してから搬出するまでの各測定ポイントの温度変化を調べた。前記ローディングエリアS2はルーバー7が設けられないことを除いては第1の実施形態に示した構成と同一である。測定ポイントの位置としては、仕切り板54からの高さが夫々1350mmの位置(上段位置とする)、850mmの位置(中段位置とする)、350mmの位置(下段位置とする)とし、これらの各高さ位置において左右方向(図1中Y方向)に3箇所ずつ設定している。
【0054】
上段位置の測定ポイントをチャンネル(CH)7、4、1とし、この順に搬入搬出領域S1に近づくように設定している。また中段位置の測定ポイントをチャンネル8,5,2、下段位置の測定ポイントをチャンネル9、6、3とし、夫々この順に搬入搬出領域S1に近づくように設定している。チャンネル1、2、3、チャンネル4、5、6、チャンネル7、8、9は夫々上下方向に直線状に配列され、また、各チャンネルは、フィルタユニット5から250mm離れるように設定した。
【0055】
図19〜図21はこの試験の結果を示したグラフであり、横軸に処理を開始してからの経過時間(単位:分)を表示し、縦軸に各チャンネルが検出した温度(単位:℃)を示している。グラフ中にT1として表示した期間は、熱処理したウエハWを保持したウエハボート25をアンロード位置に移動開始してからウエハWのウエハボート25からの搬出を開始するまでの期間である。この期間T1においてローディングエリアS2の上部側に設定されたCH1、CH4、CH7の温度は、他のCHの温度よりも高く、このCH1、CH4、CH7と他のCHとの間で最大約90℃の温度差が形成されることが確認された。この試験結果から、各実施形態で説明したようにウエハボート25をアンロードさせたときに、ローディングエリアS2の上部側へのエアの供給量を下部側のエアの供給量に比べて増大させることが有効であることが分かる。
【符号の説明】
【0056】
1 縦型熱処理装置
S2 ローディングエリア
30 昇降ステージ
31 ボートエレベータ
41 ウエハ搬送機構
5 フィルタユニット
53 通気室
57 ファン
7 ルーバー
71 支持部
72 変形板
73 羽板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローディング室にて基板搬送機構により基板保持具に対して基板の受け渡しを行い、複数の基板が棚状に保持された当該基板保持具をアンロード位置から上昇させて縦型の熱処理炉内に搬入し、基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
前記ローディング室内にて給気口から排気口に向けて清浄気体による横方向の気流を形成すると共に前記排気口に吸い込まれた気体を前記給気口に戻すように構成された気体循環機構と、
前記給気口に設けられ、前記気流についてローディング室の下部側の通気流量に対する上部側の通気流量の流量比率を調整する気流調整機構と、を備え、
前記気流調整機構は、熱処理後の基板を保持した基板保持具がアンロード位置に待機し、当該熱処理後の基板の受け渡しが開始される前の状態における前記流量比率が、前記基板保持具に対して基板の受け渡しを行うときの前記流量比率よりも大きくなるように作動することを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
前記気流調整機構は、熱処理後の基板を保持している基板保持具がアンロード位置に待機しているときには、ローディング室の下部側の通気流量よりも上部側の通気流量の方が大きくなるように調整されることを特徴とする請求項1記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記気流調整機構は、各々水平方向に伸びると共に上下方向に複数配列される羽板を備えたルーバーにより構成され、羽板の上下方向の傾きを変えることにより流量比率が調整されることを特徴とする請求項1または2記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記羽板の少なくとも1枚はバイメタルからなり、ローディング室内の温度変化に応じて前記傾きが変わるように変形する自律変形羽板として構成されることを特徴とする請求項3記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記ルーバーは、前記自律変形羽板と、前記温度変化に応じてその傾きが変わらない非変形羽板と、自律変形羽板の変形に応じて非変形羽板の傾きを変えるために自律変形羽板と非変形羽板とを接続する接続部と、からなることを特徴とする請求項4記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記各羽板はバイメタルからなる接続部を介して、この羽板を支持する支持部に設けられ、
前記接続部がローディング室内の温度変化に応じて変形することにより、羽板の傾きが変わることを特徴とする3ないし5のいずれか一つに記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記羽板の代わりに筒状部材が設けられることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか一つに記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記気流調整機構は、ローディング室の下部側に開口する下部側開口部と、上部側に開口する上部側開口部とを備えると共に各開口部から給気口より供給される清浄気体をローディング室に供給するための開口部形成部と、
前記下部側開口部を開閉するシャッタと、を備えることを特徴とする請求項1または2記載の熱処理装置。
【請求項9】
前記シャッタはバイメタルからなる変形部に接続され、この変形部がローディング室内の温度変化に応じて変形することにより、前記シャッタが開閉されることを特徴とする請求項8記載の熱処理装置。
【請求項10】
その内部にガスを拡散させるための空間を備えた筐体を備え、
前記清浄気体の供給口は
前記筐体の側壁に、前記拡散空間を拡散したガスを水平方向に供給するための水平供給口と、前記ガスをローディング室内の上部側に向けて供給するための上方供給口と、により構成され、
前記気流調整機構は、前記上方供給口を開閉する蓋部材により構成されることを特徴とする請求項1または2記載の熱処理装置。
【請求項11】
前記蓋部材はバイメタルにより構成され、ローディング室内の温度変化により、前記上方供給口を開閉するように変形することを特徴とする請求項10記載の熱処理装置。
【請求項1】
ローディング室にて基板搬送機構により基板保持具に対して基板の受け渡しを行い、複数の基板が棚状に保持された当該基板保持具をアンロード位置から上昇させて縦型の熱処理炉内に搬入し、基板に対して熱処理を行う熱処理装置において、
前記ローディング室内にて給気口から排気口に向けて清浄気体による横方向の気流を形成すると共に前記排気口に吸い込まれた気体を前記給気口に戻すように構成された気体循環機構と、
前記給気口に設けられ、前記気流についてローディング室の下部側の通気流量に対する上部側の通気流量の流量比率を調整する気流調整機構と、を備え、
前記気流調整機構は、熱処理後の基板を保持した基板保持具がアンロード位置に待機し、当該熱処理後の基板の受け渡しが開始される前の状態における前記流量比率が、前記基板保持具に対して基板の受け渡しを行うときの前記流量比率よりも大きくなるように作動することを特徴とする熱処理装置。
【請求項2】
前記気流調整機構は、熱処理後の基板を保持している基板保持具がアンロード位置に待機しているときには、ローディング室の下部側の通気流量よりも上部側の通気流量の方が大きくなるように調整されることを特徴とする請求項1記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記気流調整機構は、各々水平方向に伸びると共に上下方向に複数配列される羽板を備えたルーバーにより構成され、羽板の上下方向の傾きを変えることにより流量比率が調整されることを特徴とする請求項1または2記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記羽板の少なくとも1枚はバイメタルからなり、ローディング室内の温度変化に応じて前記傾きが変わるように変形する自律変形羽板として構成されることを特徴とする請求項3記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記ルーバーは、前記自律変形羽板と、前記温度変化に応じてその傾きが変わらない非変形羽板と、自律変形羽板の変形に応じて非変形羽板の傾きを変えるために自律変形羽板と非変形羽板とを接続する接続部と、からなることを特徴とする請求項4記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記各羽板はバイメタルからなる接続部を介して、この羽板を支持する支持部に設けられ、
前記接続部がローディング室内の温度変化に応じて変形することにより、羽板の傾きが変わることを特徴とする3ないし5のいずれか一つに記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記羽板の代わりに筒状部材が設けられることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか一つに記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記気流調整機構は、ローディング室の下部側に開口する下部側開口部と、上部側に開口する上部側開口部とを備えると共に各開口部から給気口より供給される清浄気体をローディング室に供給するための開口部形成部と、
前記下部側開口部を開閉するシャッタと、を備えることを特徴とする請求項1または2記載の熱処理装置。
【請求項9】
前記シャッタはバイメタルからなる変形部に接続され、この変形部がローディング室内の温度変化に応じて変形することにより、前記シャッタが開閉されることを特徴とする請求項8記載の熱処理装置。
【請求項10】
その内部にガスを拡散させるための空間を備えた筐体を備え、
前記清浄気体の供給口は
前記筐体の側壁に、前記拡散空間を拡散したガスを水平方向に供給するための水平供給口と、前記ガスをローディング室内の上部側に向けて供給するための上方供給口と、により構成され、
前記気流調整機構は、前記上方供給口を開閉する蓋部材により構成されることを特徴とする請求項1または2記載の熱処理装置。
【請求項11】
前記蓋部材はバイメタルにより構成され、ローディング室内の温度変化により、前記上方供給口を開閉するように変形することを特徴とする請求項10記載の熱処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−26509(P2013−26509A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161081(P2011−161081)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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